走行支援装置
【課題】特殊な照明装置を追加するといったコストアップを招くことなく、周期環境が暗い状況であっても障害物の検出精度の向上を図る。
【解決手段】光源検出部12は、光源対象領域Rdにおいて後続車両のヘッドライト(光源)に相当する面積を光源面積として算出する。そして、閾値算出部14は、算出した光源面積に応じて、後続車両検出部15において利用される差分法の閾値を設定する。この場合、後続車両検出部15は、撮像画像Ipにおいて検出領域R1,R2を設定し、評価パラメータである差分法の閾値に基づいて撮像画像を評価することにより、検出領域R1,R2内における障害物(併走車両)を検出する。
【解決手段】光源検出部12は、光源対象領域Rdにおいて後続車両のヘッドライト(光源)に相当する面積を光源面積として算出する。そして、閾値算出部14は、算出した光源面積に応じて、後続車両検出部15において利用される差分法の閾値を設定する。この場合、後続車両検出部15は、撮像画像Ipにおいて検出領域R1,R2を設定し、評価パラメータである差分法の閾値に基づいて撮像画像を評価することにより、検出領域R1,R2内における障害物(併走車両)を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像装置から時系列的に出力される撮像画像を処理し、移動体としての自車両周辺の障害物を検出することにより、走行支援を行う走行支援装置が開示されている。例えば特許文献1には、夜間等といった周囲環境が暗い状況でも、障害物を精度よく検出することが可能なシステムが開示されている。具体的には、当該システムは、車両が有する灯火装置の点灯によって撮像装置の撮像範囲内にて発生する障害物の影に対して当該影を抑制して障害物の輪郭を際立たせる第1の照明装置、および、模様を有する特定パターンの照明光を撮像装置の撮像範囲内に投影する第2の照明装置のいずれか一方または双方を撮像装置に備える。このシステムによれば、かかる照明装置を備えることにより、車両の灯火装置を点灯することによって生じた障害物の影に影響されず、この障害物の輪郭を抽出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−311216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された手法によれば、周期環境が暗い状況であっても障害物の検出精度を得ることができるものの、別途の照明装置を追加しなければならず、コストアップに繋がるという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、特殊な照明装置を追加するといったコストアップを招くことなく、周期環境が暗い状況であっても障害物の検出精度の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、本発明は、移動体後方の所定領域を撮像した撮像画像を利用する走行支援装置を提供する。この場合、当該装置は、撮像画像の所定の位置に設定される光源対象領域において光源に相当する面積を光源面積として算出し、この算出した光源面積に応じて、障害物検出閾値を設定する。そして、走行支援装置は、評価パラメータである前記障害物検出閾値に基づいて撮像画像を評価することにより、検出領域内における障害物を検出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光源面積に応じて障害物検出閾値が設定されることとなるので、後方に存在する他の移動体が発光する光源の明るさに応じて障害物検出閾値を最適な値に設定することが可能となる。これにより、他の移動体の光源からの影響を考慮して障害物の検出感度を制御することができるので、特殊な照明装置を追加するといったコストアップを招くことなく、周期環境が暗い状況であっても障害物の検出精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】走行支援装置の構成を模式的に示す説明図
【図2】カメラ1の撮像領域および検出領域R1,R2を模式的に示す説明図
【図3】コントローラ10の構成を機能的に示すブロック図
【図4】撮像画像Ipおよび光源を検出するための光源対象領域Rdの説明図
【図5】撮像画像Ipと自車両Caおよび後続車両Coの実空間上の対応関係とを説明する説明図
【図6】閾値算出処理の手順を示すフローチャート
【図7】ステップ5の処理に至った際の走行環境を模式的に示す説明図
【図8】ステップ7の処理に移行した際の走行環境を模式的に示す説明図
【図9】光源面積に応じた差分法の閾値を例示する説明図
【図10】ヨー角に応じた差分法の閾値を例示する説明図
【図11】ピッチ角に応じた差分法の閾値を例示する説明図
【図12】坂道の出入り口における後続車両Coと自車両Caとの位置関係を模式的に示す説明図
【図13】ステップ2における坂道判定処理の詳細を示すフローチャート
【図14】撮像画像IpにおけるAE枠Raeを示す説明図
【図15】直進走行時とカーブ走行時とにおける自車両Caと後続車両Coとの関係を模式的に示す説明図
【図16】坂道の出入り口付近における自車両Caと後続車両Coとの関係を模式的に示す説明図
【図17】カーブ走行時における左右後方に設定される検出領域R1,R2と後続車両Coのヘッドライトhsとの関係を模式的に示す説明図
【図18】検出領域R1,R2に適用する閾値L2の設定概念を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態にかかる走行支援装置の構成を模式的に示す説明図である。この走行支援装置は、移動体としての自車両Caに対して後方から接近する後続車両を検出する装置であり、コントローラ10を主体に構成される。
【0010】
コントローラ10は、システム全体を統合的に制御する機能を担っている。コントローラ10としては、例えば、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。このコントローラ10には、カメラ1、車速センサ2、ジャイロセンサ3からの情報が入力される。
【0011】
カメラ1は、例えば、路面からの高さh、カメラ高さの水平面とカメラ中心とがなす角(俯角)θの姿勢で自車両Caの後部に配置されており、当該カメラ1には、イメージセンサ(例えば、CCDまたはCMOSセンサ等)が内蔵されている。カメラ1は、図2に示すように、自車両後方の隣接車線を含む所定領域を周期的に撮像し、これより、当該撮像画像を時系列的に出力する(撮像手段)。車速センサ2は、自車両Caの速度(車速)を検出する(移動体速度検出手段)。ジャイロセンサ3は、自車両Caの運動状態を検出するセンサであり、本実施形態では、2つのジャイロセンサ3A,3B(図3参照)で構成されている。一方のジャイロセンサ3Aは、自車両Caの重心を通る鉛直線まわりの回転角(ヨー角)の角速度としてのヨーレートを検出し、これにより、自車両Caの旋回度合いとしてのヨー角を検出することができる(旋回度合い検出手段)。また、他方のジャイロセンサ3Bは、自車両Caの重心を左右に貫く軸まわりの回転角(ピッチ角)の角速度としてのピッチレートを検出し、これにより、自車両Caのピッチングの大きさとしてのピッチ角を検出することができる(ピッチング検出手段)。
【0012】
図3は、コントローラ10の構成を機能的に示すブロック図である。コントローラ10は、カメラ1から時系列的に出力される撮像画像を処理し、これにより、後続車両を検出する。コントローラ10は、これを機能的に捉えた場合、演算部11と、後続車両検出部
15とで構成されている。
【0013】
演算部11は、カメラ1からの撮像画像と、車速センサ2からの車速と、ジャイロセンサ3A,Bからのヨーレートおよびピッチレートとに基づいて、後続車両検出部15において用いられる評価パラメータである障害物検出閾値を設定する。本実施形態の特徴の一つは、この演算部11による障害物検出閾値の設定手法にあり、その詳細については後述する。設定された障害物検出閾値は、後続車両検出部15に出力される。
【0014】
後続車両検出部15は、撮像画像において自車両Caの後方に相当する所定の位置に検出領域を設定し、障害物検出閾値に基づいて撮像画像を評価することにより、検出領域内における障害物、特定的には自車両Caの後方に存在する後続車両を検出する(障害物検出手段)。本実施形態において、後続車両検出部15は、障害物検出閾値に基づいてカメラ1から時系列的に出力される一対の撮像画像間の差分結果を評価する差分法の手法ことにより、後続車両を検出する。すなわち、障害物検出閾値は、差分法の閾値に相当する。
【0015】
具体的には、後続車両検出部15は、時系列的に前後する2つの撮像画像(時刻t1,t2(t1+Δt(Δt:画像の出力周期))の撮像画像)間の差分画像を求める。そして、後続車両検出部15は、演算部11からの差分法の閾値と、演算した差分画像とを比較することにより、立体物を検出する。後続車両検出部15は、図2に示すように、自車両Caの左右後方、具体的には、隣接車線の後方に相当する位置に検出領域R1,R2を設定し、当該検出領域R1,R2内に速度を持つ立体物、すなわち、後続車両(具体的には、隣接車線を走行する後続車両である併走車両)が存在するか否かを判定する。また、後続車両検出部15は、後続車両が存在する場合には、その横位置を検出する。
【0016】
なお、時系列的に前後する2つの撮像画像による差分法を用いた障害物の検出手法としては、例えば特開2008−219063号公報に開示されているので必要ならば参照されたい。なお、検出領域R1,R2は、白線認識技術等を利用して適応的に設定してもよいが、自車両Caへの接触可能性のある後続車両を検出する用途においては、自車両Caに対する相対的な位置に固定的に設定してもよい。
【0017】
以下、本実施形態の特徴の一つである演算部11について説明する。演算部11は、これを機能的に捉えた場合、光源検出部12と、車間時間推定部13と、閾値算出部14とを有する。
【0018】
光源検出部12は、カメラ1で撮像された撮像画像において、他の移動体が発光する光源、すなわち、後続車両のヘッドライトを検出する(光源検出手段)。また、光源検出部12は、後続車両のヘッドライトが検出された場合には、ヘッドライトに相当する領域の面積を光源面積として算出する(光源面積算出手段)。算出された光源面積は、閾値算出部14に出力される。
【0019】
具体的には、光源検出部12は、図4に示したように、カメラ1から出力される撮像画像Ipの所定の位置に、後続車両のヘッドライトを検出する光源対象領域Rdを設定する。この光源対象領域Rdは、自車両CaのボディNaおよびナンバープレートNbが含まれないように設定される。この場合、路面Ncは当該領域Rdに含まれてもよい。また、光源対象領域Rdは、図2に示す検出領域R1,R2が含まれず、かつ、当該領域R1,R2よりも遠方の領域を含む範囲に設定される。すなわち、光源対象領域Rdは、当該領域Rdに位置する後続車両のヘッドライトが、検出領域R1,R2に位置する後続車両(併走車両)を照らすこととなる関係を満たすように設定されればよい。例えば、自車両Caを基準として、検出領域R1,R2において自車両Caの進行方向FDと反対の方向に関して最も遠い位置までの距離を10mとした場合、光源検出部12は、光源対象領域R
dを20mから30m後方に設定すればよい。光源検出部12は、光源対象領域Rdを設定するにあたり、画像上の座標を実空間の座標と対応付けた上で行ってもよいし、実験等を通じて予め設定した画像上の所定座標に設定してもよい。
【0020】
つぎに、光源検出部12は、光源対象領域Rd内において後続車両のヘッドライト相当の画素を抽出すると、その数をかぞえ、光源面積とする。光源面積の大小は、ヘッドライトの明るさの大小と対応する。画素数のカウント手法としては、二値化処理により、輝度値が判定値以上となる画素を抽出し、その数を数えるといった如くである。なお、二値化処理に用いる判定値は、カメラ1の特性等を考慮して、実験的に設定すればよい。あるいは、大津の手法等を用い、統計的な処理を通じて判定値を可変的に設定してもよい。
【0021】
また、光源検出部12は、光源面積の検出とともに、撮像画像においてヘッドライトに相当する画素のうち最も自車両に近い位置の座標を光源座標として検出する。この光源座標は、車間時間推定部13に出力される。
【0022】
なお、本実施形態では、面積に応じてヘッドライトの明るさを表現した。しかし、光源対象領域Rd内の輝度分布を求め、その分布の統計量(平均、分散など)に応じて明るさを表現してもよい。
【0023】
車間時間推定部13は、車間時間(Time-head way)を推定する。ここで、車間時間は
、後続車両が現在の後続車両の車速で進行した際に、現在の自車両Caの位置に到達するまでの時間である。すなわち、この車間時間は、自車両Caと後続車両との車間距離を、後続車両の車速で除算することにより演算される。
【0024】
図5は、撮像画像Ipと、自車両Caおよび後続車両Coの実空間上の対応関係とを説明する説明図である。前述の「自車両と後続車両との車間距離」は、自車両Caと後続車両のヘッドライトhsとの距離(光源距離)を推定した値を用いる。かかる光源距離の推定値は、カメラ1によって規定される幾何学的な関係に基づいて、光源検出部12により演算した光源座標、すなわち、撮像画像Ipにおけるヘッドライトに相当する画素Osのうち最も自車両に近い位置の座標、すなわち、光源座標Onを、実空間の座標hnに座標変換することにより得られる。また、「後続車両の車速」は、自車両Caの車速で代用することで足りる。
【0025】
なお、上述した演算では、同図(b)に示すように、後続車両Coのヘッドライトhsが映りこんだ路面の最寄の座標hnを求めることとなるため、推定値としての車間距離は実際の車間距離より短い値となり得る。したがって、上述の手法で求めた距離の推定値に、実験等を通じて特定した所定値を加算した値を車間距離として用いてもよい。また、後続車両が存在せず、光源検出部12で後続車両のヘッドライトが検出されない場合は、例外的に、通常では演算されないような値(例えば無限大など)を出力すればよい。
【0026】
閾値算出部14は、光源検出部12からの光源面積と、ジャイロセンサ3A,3Bからのヨーレートおよびピッチレートと、車間時間推定部13からの車間時間とに応じて、後続車両検出部15において利用される差分法の閾値を設定する(閾値設定手段)。
【0027】
図6は、閾値算出処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、閾値算出部14によって実行される。
【0028】
まず、ステップ1(S1)において、閾値算出部14は、ジャイロセンサ3Aからのヨーレートに基づいてヨー角を算出する。現時刻のヨーレートを「Y’」、1サイクル前のヨー角を「YP」とした場合、現時刻のヨー角Yは下式で与えられる。
(数式1)
Y=YP+Y’
【0029】
同数式に示す演算は、ヨーレートの積分に相当する。したがって、ノイズとして左右方向に微小なヨーレートが出力された場合、それらのノイズは独立に左右方向に(プラスマイナスに)現れるため、現時刻のヨー角Yはほぼゼロとなる。一方、ドライバの操舵による旋回ではプラス方向かマイナス方向のいずれかの変化率が連続するため、その値の絶対値は所定値以上となる。
【0030】
ステップ2(S2)において、閾値算出部14は、ジャイロセンサ3Bからピッチレートを読み込み、坂道判定として、現在の走行環境が坂道の出入り口に相当するか否かを判定する。坂道の出入り口としては、上り坂の入口、上り坂の出口、下り坂の入口および下り坂の出口の4つが挙げられる。なお、本ステップにおける処理の詳細については後述する。
【0031】
このステップ2において肯定判定された場合、すなわち、坂道の出入り口に相当する場合には、ステップ3(S3)以降の処理に進む。これにより、差分法の閾値を設定する手法として、後続車両との間の距離と、光源面積と、ヨー角とに基づいて演算を行う手法が採られる。一方、ステップ2において否定判定された場合、すなわち、坂道の出入り口に相当しない場合には、後述するステップ9(S9)に進む。これにより、差分法の閾値を選択する処理として、光源面積と、ヨー角とに基づいて演算を行う手法が採られる。
【0032】
ステップ3において、閾値算出部14は、ピッチ角を記録する。
【0033】
ステップ4(S4)において、閾値算出部14は、後続車両判定として、光源面積に基づき後続車両の有無を判定する。閾値算出部14は、判定値と光源面積とを比較し、光源面積が判定値以上であれば後続車両ありと判定し、光源面積が判定値未満ならば後続車両なしと判断する。当該判定値は、実験やシミュレーションを通じて最適値を予め設定しておくことが好ましい。このステップ4で肯定判定された場合、すなわち、後続車両ありの場合には、ステップ5(S5)に進む。一方、ステップ4で否定判定された場合、すなわち、後続車両なしの場合には、ステップ9に進む。
【0034】
ステップ5において、閾値算出部14は、後続車両が、自車両Caが現在位置する坂道の出入り口に到達する時間を記録する。具体的には、閾値算出部14は、本ステップ5の処理時における車間時間推定部13の車間時間を記録する。
【0035】
図7は、ステップ5の処理に至った際の走行環境を模式的に示す説明図である。ステップ5までの処理を通して、自車両Caの走行環境は、坂道の出入り口のいずれかに相当し、さらに後続車両Coが走行し、かつ、併走車両Cpが存在している可能性があると判断される。この場合、同図に示すように、併走車両Cpは、当該併走車両Cpよりも後方に存在する後続車両Coのヘッドライトhsによって照らされている場合が多い。
【0036】
そこで、ステップ6(S6)において、閾値算出部14は、坂道の出入り口を走行していると判断される前に設定された差分法の閾値を第1の所定時間だけ維持する。閾値を維持する時間は、自車両Caの車速に応じた値を設定すればよく、当該値は実験やシミュレーションを通じて予め設定しておくことが好ましい。
【0037】
図8は、ステップ7の処理に移行した際の走行環境を模式的に示す説明図である。ステップ7(S7)の処理に移行した際には、同図に示すように、並走車両Cpおよび後続車両Coのうち一方のみが坂道を走行しているため、並走車両Cpが後続車両Coのヘッド
ライトhsに十分に照らされていない場合が多い。
【0038】
ステップ7において、閾値算出部14は、ステップ3で記録した自車両Caのピッチ角と、ステップ1で算出した自車両Caのヨー角と、光源検出部12で算出した光源面積との3つのパラメータに応じて、差分法の閾値を選択する(第1の閾値選択処理)。これにより、並走車両Cpおよび後続車両Coのうち一方のみが坂道を走行しているシーンにおいて、差分法の閾値を、かかるシーンよりも前の状況(図7)において算出される差分法の閾値よりも小さい値に設定することができる。
【0039】
図9から図11は、差分法の閾値の設定概念を示す説明図である。図9に示すように、差分法の閾値は、光源面積が大きい程、その値が大きく設定される傾向を有している。一方、図10に示すように、当該閾値は、ヨー角が大きい程、その値が小さく設定される傾向を有している。また、図11に示すように、当該閾値は、ピッチ角が大きい程、その値が小さく設定される傾向を有している。3つのパラメータ(光源面積、ヨー角、ピッチ角)と、閾値との対応関係は、予め実験やシミュレーションを通じて設定されており、マップや演算式として閾値算出部14が保持している。これにより、閾値算出部14は、3つのパラメータに応じて閾値をそれぞれ設定し、例えば、平均値あるいは過重平均による積和演算といった手法により、3つのパラメータを考慮した閾値を演算する。
【0040】
ステップ8(S8)において、閾値算出部14は、後続車両到達判定として、後続車両が坂道に到達したか否かを判定する。この判定は、ステップ2の坂道判定で求めた、自車両Caの走行環境が坂道の出入り口に相当するかという情報と、車間時間推定部13で求めた車間時間とに基づいて行う。ステップ8において肯定判定された場合、すなわち、後続車両が坂道に到達した場合には、ステップ9に進む。一方、ステップ8において否定判定された場合、すなわち、後続車両が坂道に到達していない場合には、ステップ7に戻る。
【0041】
ここで、ステップ2の処理において坂道の出入り口に相当すると判定してからの経過時間を「T」とし、車間時間推定部13において求められる車間時間を「Tp」とする。図12に示すように、T≧Tpの関係を具備する場合には、後続車両Coが自車両Caと同じ坂道を走行している可能性が高い。このようなシーンでは、自車両Caと後続車両Coのヘッドライトhsの向きとが一致しているため、自車両Caにピッチ角が生じていないシーン(ステップ2における否定判定)と同様、光源面積と、ヨー角とに基づいて差分法の閾値を選択すればよい(ステップ9の処理)。一方、T<Tpの関係を具備する場合には、自車両Caと後続車両CoのヘッドライトHsの向きとが一致していないため、上記の2つのパラメータに加えて、ピッチ角に応じて差分法の閾値を選択する必要がある(ステップ7の処理)。
【0042】
ステップ9において、閾値算出部14は、ステップ1で算出した自車両Caのヨー角と、光源検出部12で算出した光源面積との2つのパラメータに応じて、差分法の閾値を算出する(第2の閾値選択処理)。図9,10に示すように、閾値算出部14は、2つのパラメータ(光源面積、ヨー角)に応じて閾値をそれぞれ設定し、例えば、平均値あるいは過重平均による積和演算といった手法により、2つのパラメータを考慮した閾値を演算する。
【0043】
ステップ10(S10)において、閾値算出部14は、例えば走行支援装置の電源オフといったように、システムを終了するか否かを判断する。このステップ10において肯定判定された場合、すなわち、システムを終了する場合には、本ルーチンを終了する。一方、ステップ10において否定判定された場合、すなわち、システムを終了しない場合には、ステップ1の処理に戻る。
【0044】
図13は、ステップ2における坂道判定処理の詳細を示すフローチャートである。まず、ステップ20(S20)において、閾値算出部14は、ジャイロセンサ3Bからのピッチレートを読み込む。
【0045】
ステップ21(S21)において、閾値算出部14は、ピッチレートから自車両Caのピッチ角を求める。現時刻のピッチレートを「Y’」、1サイクル前のピッチ角を「PP」とした場合、現時刻のピッチ角は下式で与えられる。
(数式2)
P=PP+P’
【0046】
同数式に示す演算は、ピッチレートの積分に相当する。したがって、路面の凹凸が激しく上下方向のピッチが連続するような場合には、プラスマイナスの変化率がジャイロセンサ3Bから出力されるため、現時刻のピッチ角Pはほぼゼロとなる。一方、坂道の出入り口ではプラス方向かマイナス方向のいずれかの変化率が連続するため、その値の絶対値は所定値以上となる。
【0047】
ステップ22(S22)において、閾値算出部14は、ピッチ判定として、ステップ21で算出したピッチ角と、判定値とを比較する。ピッチ角には上下それぞれの角度があるため、プラス側の判定値とマイナス側の判定値とを用意する。閾値算出部14は、ピッチ角がプラス側の判定値以上である場合、あるいはピッチ角がマイナス側の判定値以下である場合のいずれかである場合には、ステップ23に進み、坂道と判定する。一方、閾値算出部14は、ピッチ角がプラス側の判定値よりも小さく、かつマイナス側の判定値よりも大きい場合には、ステップ24に進み、坂道と判定する。
【0048】
このように本実施形態において、光源検出部12は、光源対象領域Rdにおいて後続車両のヘッドライト(光源)に相当する面積を光源面積として算出する。そして、閾値算出部14は、算出した光源面積に応じて、後続車両検出部15において利用される差分法の閾値を設定する。この場合、後続車両検出部15は、撮像画像Ipにおいて検出領域R1,R2を設定し、評価パラメータである差分法の閾値に基づいて撮像画像を評価することにより、検出領域R1,R2内における障害物(本実施形態では、併走車両)を検出する。
【0049】
本実施形態によれば、光源面積に応じて差分法の閾値が設定されることとなるので、後続車両のヘッドライトの明るさに応じて差分法の閾値を最適化することが可能となる。これにより、後続車両のヘッドライトの影響を考慮して併走車両の検出感度を制御することができるので、特殊な照明装置を追加するといったコストアップを招くことなく、周期環境が暗い状況であっても併走車両の検出精度の向上を図ることである。
【0050】
図14に示すように、自車両後方を撮像するカメラ1は、撮像画像Ipに路面Ncと自車後方の風景とが含まれるように設置される。そのため、自車両のボディNaが映り込み、そこにはナンバープレートNbが存在する。夜間、自車両Caのライトを点灯させた場合、ナンバープレートNbを照らすためのライトも点灯される。一方、自車両Caに搭載されるカメラ1には、ゲインコントロールが搭載されており、その機能は所定のAE枠Raeの輝度情報に基づいて制御される。したがって、この所定のAE枠Raeに、後続車両のヘッドライトが存在しない場合は、光源はナンバープレート周辺のライトのみとなり、ナンバープレート周辺のコントラストが強調されるようにゲインが制御される。そのため、自車後方に併走車両などの障害物が存在する場合であっても、そのエッジやコントラストの情報は不鮮明となる。したがって、差分法に基づく検出手法では障害物の検出そのものが困難になる。
【0051】
しかしながら、本実施形態によれば、光源対象領域Rdを設置し、後続車両のヘッドライトを検出し、そのヘッドライトの面積(光源面積)に基づいて差分法の閾値を変更することで、精度よく検出することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態において、後続車両検出部15は、差分法の閾値に基づいて、カメラ1から時系列的に出力される一対の撮像画像間の差分結果を評価する差分法の手法により、併走車両を検出する。
【0053】
かかる構成によれば、自車両後方の光源面積により、障害物検出のための差分法の閾値を設定しているので、差分法による障害物の検出精度を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、閾値算出部14は、ヨー角も考慮して、差分法の閾値を設定する。
【0055】
図15は、直進走行時とカーブ走行時とにおける自車両Caと後続車両Coとの関係を模式的に示す説明図である。直進走行時は、自車両Caの後方を撮像するカメラ1の向きと、後続車両Coのヘッドライトhsの向きとが概ね対応する。これに対して、カーブ走行時は、自車両Caのカメラ1の向きと、後続車両Coのヘッドライトhsの向きがずれた状態となる。したがって、後方に後続車両Coのヘッドライトhsが観測されていても、自車両周辺が照らされていないといったことが起こりえ得る。そのため、光源面積と、ヨー角(すなわち、旋回の大きさ)に応じて差分法の閾値を変更することで(図10参照)、カーブ走行といった走行環境であっても障害物を良好に検出することが可能となる。
【0056】
なお、本実施形態によれば、旋回の大きさを表すパラメータとして、例示的にヨー角を用いているが、これに代えて、ステアリング角や、横加速度といった、旋回の大きさを評価することができる種々のパラメータを用いることができる。
【0057】
また、本実施形態において、閾値算出部14は、ピッチ角(移動体のピッチングの大きさ)も考慮して、差分法の閾値を設定している。
【0058】
図16は、坂道の出入り口付近における自車両Caと後続車両Coとの関係を模式的に示す説明図である。坂道の出入り口は、自車両Caと後続車両Coとでピッチ角が相違するシーンがあり、このようなシーンでは、自車両Caのカメラ1の向きと、後続車両Coのヘッドライトhsの光源の向きとが異なることとなる。したがって、後方に後続車両Coのヘッドライトhsが観測されていたとしても、自車両周辺が照らされていないといったことが起こりえる。そのため、ピッチ角の大きさに応じて差分法の閾値を変更することで、坂道の出入り口でも良好に障害物を検出することが可能とある。
【0059】
また、本実施形態において、閾値算出部14は、自車両Caの旋回状態(プラス方向またはマイナス方向への所定のヨー角)を判断した場合には、旋回方向の内側に対応する検出領域の方が旋回方向の外側に対応する検出領域R1,R2よりも障害物が検出されやすくなるように、検出領域R1,R2のそれぞれに対して個別の閾値を設定している。
【0060】
図17は、カーブ走行時における左右後方に設定される検出領域R1,R2と後続車両Coのヘッドライトhsとの関係を模式的に示す説明図である。カーブ走行時、自車両Ca後方に後続車両Coのヘッドライトhsが観測された場合、自車両Caに対して斜め後方よりヘッドライトhsが照射される関係上、左右後方の検出領域R1,R2における照度状況が異なることとなる。同図に示すように、旋回方向と同じ方向の検出領域R2は後続車両Coのヘッドライトhsから照らされ難く、それと反対の方向の検出領域R1は照
らされ易いといった如くである。したがって、図18に示すように、検出領域R1,R2に一律の閾値を適用せずに、旋回と同方向に対応する検出領域R1,R2に適用する閾値L1と、旋回と反対方向に対応する検出領域R1,R2に適用する閾値L2とを設定することで、併走車両を精度よく検出することができる。
【0061】
また、本実施形態において、閾値算出部14は、自車両Caのピッチング状態(プラス方向またはマイナス方向への所定のピッチ角)を判断した場合には、差分法の閾値としてピッチング状態を判断する以前に設定された値を第1の所定時間維持する。また、閾値算出部14は、第1の所定時間の経過後、後続車両が坂道に到達するまでの時間(第2の所定時間)では、自車両Caのピッチ角、ヨー角、光源面積に応じて差分法の閾値を設定する。そして、閾値算出部14は、第2の所定時間の経過後は、ヨー角および光源面積に応じて差分法の閾値を設定する。
【0062】
図7に示したように、自車両Caが坂道の出入り口のいずれかを走行し、検出領域R1,R2に並走車Cpが存在し、かつ、そのさらに後方に後続車両Coが存在し、光源検出部12によりヘッドライトhsが検出された場合は、並走車Coは後続車両Coのヘッドライトhsにより照らされている。この場合は、ピッチングが生じる前の差分法の閾値を第1の所定時間維持すればよい。
【0063】
これに対して、図8に示すように、自車両Ca、並走車両Cpともに坂道の出入り口から第1の所定時間走行し、かつ後続車両Coが坂道に差し掛かっていない状況では、並走車両Cpと後続車両Coのヘッドライトhsとの向きが異なるため、並走車両Cpはヘッドライトhsにより十分に照らされていない状況となる。さらに、その照度状況は坂道の勾配に連動する、急な勾配変化ほど照らされ難い傾向となる。この場合は、後続車両Coが坂道に差し掛かるまで、差分法の閾値の設定方法を変更する必要があり、具体的には、光源面積、ヨー角およびピッチ角に応じた設定とすればよい。
【0064】
そして、後続車両も坂道に差し掛かると、並走車両は、後続車両のヘッドライトにより十分に照らされることとなるので、光源面積およびヨー角に応じて、差分法の閾値を変更すればよい。
【0065】
このように坂道の出入り口を走行する場合に、その状況を3つの走行環境に分けて、閾値の設定方法を切り替えることにより、並走車両を精度よく検出することができる。
【0066】
また、本実施形態において、閾値算出部14は、第1の所定時間を、自車両Caの速度に応じて設定している。
【0067】
かかる構成によれば、自車両Caの速度が速い程、後続車両が照らす坂道の出入り口を早く通過することとなるので、差分法の閾値として従前の値を維持する適切な時間(第1の所定時間)は自車両Caの速度に応じて変化する。そこで、自車両Caの車速に応じて、第1の所定時間を決めることで、坂道の出入り口付近において並走車両の検出精度の向上を図ることができる。
【0068】
なお、ピッチ角に変化が生じる坂道の出入り口を自車両が走行し、かつ並走車両も存在し、かつ後続車両が存在する場合、照度環境は坂道の出入り口の前とほぼ同等である。そこで、差分法の閾値を、坂道の出入り口前と同じ値を維持する第1の所定時間を予め定めておくことで、坂道の出入り口といった状況でも並走車両を精度よく検出することができる。
【0069】
また、本実施形態において、閾値算出部14は、後続車両のヘッドライトが検出されて
いる場合、推定された光源距離と自車両Caの速度とに基づいて演算される車間時間として、第2の所定時間を設定している。
【0070】
一般の走行シーンでは、追越し車両を除いて、自車両と後続車両の車速が大きく異なることは多くはない。したがって、自車両Caが坂道の出入り口を走行し、ピッチングが発生したときに、後続車両の車速と自車両の車速がほぼ等しいと仮定することができる。これにより、自車両の車速と、後続車の距離とから、自車両の位置(坂道の出入り口)へと後続車両が到達するまでのおおよその時間を求めることが可能となる。後続車両が坂道の出入り口に到達した場合には、自車両と後続車両の傾きはほぼ等しくなるため、後続車のヘッドライト面積と自車の旋回に応じて、障害物検出判定値を変更すればよい。したがって、ピッチング変化を検出し、かつ後続車両のヘッドライトが観測できた場合は、後続車両が坂の出入り口に到達する時間を推定し、その時間を第2の所定時間とすることで、より精度よく併走車両を検出することが可能となる。
【0071】
なお、本実施形態において、閾値算出部14は、後続車両のヘッドライトが検出されている場合には、カメラ1によって規定される幾何学的な関係に基づいて光源距離を推定し、当該推定した光源距離に応じて第2の所定時間を設定してもよい。
【0072】
かかる構成によれば、図8に示すように、光源距離として自車両Caを照らす後続車両Coの光源との距離を推定できるので、自車両Caと後続車両Coとの距離に応じて、第2の所定時間を設定することができる。後続車両のヘッドライトは路面を照らしているため、路面からの高さはゼロである。高さゼロの場合、カメラ1の幾何学的なモデルから、画像上の座標を実空間の座標に変換することができる。したがって、画像から光源の領域を抽出し、その領域の最も自車寄りの画像の座標を実空間の座標に変換することで、自車両Caと後続車両のヘッドライトとの間の距離を大まかに推定することができる。そして、推定した光源距離に応じて第2の所定時間を変化させることで、より精度よく並走車両を検出することができる。
【0073】
もっとも、図8に示すように、自車両Caに続き並走車両Cpが坂道の出入り口から所定時間走行し、かつ後続車両Coが坂道を走行していない状況に相当する所定時間を予め設定してよい。かかる構成であっても、第2の所定時間を設定することの効果が得られるので、併走車両の検出精度の向上を図ることができる。
【0074】
なお、本実施形態において、コントローラ10は、カメラ1から出力される撮像画像を対象として、画像の明暗が強調されるような前処理を施す前処理手段をさらに有していてもよい。
【0075】
かかる構成によれば、障害物の検出精度を上げることができる。このようなシーンとしては、は一般に光源が足りず、撮像画像において後続車両のエッジを峻別することができない場合に相当する。撮像画像に対して明暗が強調される前処理を施した上で、障害物検出を行うことにより評価値が大きくなる。したがって、前処理を行うことで障害物の検出精度の向上を図ることができる。
【0076】
なお、光源面積の大きさに応じて、差分法の閾値を可変としてもよい。これにより、障害物の検出精度を上げることができる。すなわち、多くの光源が観測されている場合は、後続車両のエッジを撮像画像内で観測することができるものの、光源が少ない場合には、後続車両のエッジがほとんど失われている。したがって、光源面積に応じて差分法の閾値を可変することで、照度の変化に左右されず、誤検出や、検出ができないといった事態を抑制することができる。
【0077】
また、光源面積の大きさに応じて、障害物検出に対する評価方法を変更してもよい。これにより、障害物を精度よく検出することが可能となる。例えば、後続車両検出部15がは差分法により障害物(後続車両)を検出している場合、光源が少なければ後続車両のエッジ情報が減少し、差分成分が得られにくい。この場合、光源が充分であれば時刻間で対応する画素の差分で評価値を算出していたものを、時刻間で対応する画素とその周囲の画素の差の合計で差分として算出すると、差分が大きく評価される。このように光源面積に応じて、評価方法を変えることで、照度の変化に左右されず、誤検出や、検出ができないといった事態を抑制することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態にかかる走行支援装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。例えば、本実施形態では、差分方による障害物検出であるため、差分方の閾値を前提として説明したが、上述した概念の閾値設定手法は、評価パラメータである障害物検出閾値に基づいて撮像画像を評価することにより、検出領域内における障害物を検出する手法に広く適用することができる。例えば、代表的な画像処理の障害物検出手法としては、差分方によるものの他、オプティカルフローを利用する手法や、テンプレートマッチングを利用する手法が挙げられる。かかる手法であっても、上述の実施形態に示す如く、障害物検出閾値を適切に設定することができるので、障害物の検出精度の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 カメラ
2 車速センサ
3 ジャイロセンサ
10 コントローラ
11 演算部
12 光源検出部
13 車間時間推定部
14 閾値算出部
15 後続車両検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像装置から時系列的に出力される撮像画像を処理し、移動体としての自車両周辺の障害物を検出することにより、走行支援を行う走行支援装置が開示されている。例えば特許文献1には、夜間等といった周囲環境が暗い状況でも、障害物を精度よく検出することが可能なシステムが開示されている。具体的には、当該システムは、車両が有する灯火装置の点灯によって撮像装置の撮像範囲内にて発生する障害物の影に対して当該影を抑制して障害物の輪郭を際立たせる第1の照明装置、および、模様を有する特定パターンの照明光を撮像装置の撮像範囲内に投影する第2の照明装置のいずれか一方または双方を撮像装置に備える。このシステムによれば、かかる照明装置を備えることにより、車両の灯火装置を点灯することによって生じた障害物の影に影響されず、この障害物の輪郭を抽出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−311216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された手法によれば、周期環境が暗い状況であっても障害物の検出精度を得ることができるものの、別途の照明装置を追加しなければならず、コストアップに繋がるという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、特殊な照明装置を追加するといったコストアップを招くことなく、周期環境が暗い状況であっても障害物の検出精度の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、本発明は、移動体後方の所定領域を撮像した撮像画像を利用する走行支援装置を提供する。この場合、当該装置は、撮像画像の所定の位置に設定される光源対象領域において光源に相当する面積を光源面積として算出し、この算出した光源面積に応じて、障害物検出閾値を設定する。そして、走行支援装置は、評価パラメータである前記障害物検出閾値に基づいて撮像画像を評価することにより、検出領域内における障害物を検出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光源面積に応じて障害物検出閾値が設定されることとなるので、後方に存在する他の移動体が発光する光源の明るさに応じて障害物検出閾値を最適な値に設定することが可能となる。これにより、他の移動体の光源からの影響を考慮して障害物の検出感度を制御することができるので、特殊な照明装置を追加するといったコストアップを招くことなく、周期環境が暗い状況であっても障害物の検出精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】走行支援装置の構成を模式的に示す説明図
【図2】カメラ1の撮像領域および検出領域R1,R2を模式的に示す説明図
【図3】コントローラ10の構成を機能的に示すブロック図
【図4】撮像画像Ipおよび光源を検出するための光源対象領域Rdの説明図
【図5】撮像画像Ipと自車両Caおよび後続車両Coの実空間上の対応関係とを説明する説明図
【図6】閾値算出処理の手順を示すフローチャート
【図7】ステップ5の処理に至った際の走行環境を模式的に示す説明図
【図8】ステップ7の処理に移行した際の走行環境を模式的に示す説明図
【図9】光源面積に応じた差分法の閾値を例示する説明図
【図10】ヨー角に応じた差分法の閾値を例示する説明図
【図11】ピッチ角に応じた差分法の閾値を例示する説明図
【図12】坂道の出入り口における後続車両Coと自車両Caとの位置関係を模式的に示す説明図
【図13】ステップ2における坂道判定処理の詳細を示すフローチャート
【図14】撮像画像IpにおけるAE枠Raeを示す説明図
【図15】直進走行時とカーブ走行時とにおける自車両Caと後続車両Coとの関係を模式的に示す説明図
【図16】坂道の出入り口付近における自車両Caと後続車両Coとの関係を模式的に示す説明図
【図17】カーブ走行時における左右後方に設定される検出領域R1,R2と後続車両Coのヘッドライトhsとの関係を模式的に示す説明図
【図18】検出領域R1,R2に適用する閾値L2の設定概念を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態にかかる走行支援装置の構成を模式的に示す説明図である。この走行支援装置は、移動体としての自車両Caに対して後方から接近する後続車両を検出する装置であり、コントローラ10を主体に構成される。
【0010】
コントローラ10は、システム全体を統合的に制御する機能を担っている。コントローラ10としては、例えば、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。このコントローラ10には、カメラ1、車速センサ2、ジャイロセンサ3からの情報が入力される。
【0011】
カメラ1は、例えば、路面からの高さh、カメラ高さの水平面とカメラ中心とがなす角(俯角)θの姿勢で自車両Caの後部に配置されており、当該カメラ1には、イメージセンサ(例えば、CCDまたはCMOSセンサ等)が内蔵されている。カメラ1は、図2に示すように、自車両後方の隣接車線を含む所定領域を周期的に撮像し、これより、当該撮像画像を時系列的に出力する(撮像手段)。車速センサ2は、自車両Caの速度(車速)を検出する(移動体速度検出手段)。ジャイロセンサ3は、自車両Caの運動状態を検出するセンサであり、本実施形態では、2つのジャイロセンサ3A,3B(図3参照)で構成されている。一方のジャイロセンサ3Aは、自車両Caの重心を通る鉛直線まわりの回転角(ヨー角)の角速度としてのヨーレートを検出し、これにより、自車両Caの旋回度合いとしてのヨー角を検出することができる(旋回度合い検出手段)。また、他方のジャイロセンサ3Bは、自車両Caの重心を左右に貫く軸まわりの回転角(ピッチ角)の角速度としてのピッチレートを検出し、これにより、自車両Caのピッチングの大きさとしてのピッチ角を検出することができる(ピッチング検出手段)。
【0012】
図3は、コントローラ10の構成を機能的に示すブロック図である。コントローラ10は、カメラ1から時系列的に出力される撮像画像を処理し、これにより、後続車両を検出する。コントローラ10は、これを機能的に捉えた場合、演算部11と、後続車両検出部
15とで構成されている。
【0013】
演算部11は、カメラ1からの撮像画像と、車速センサ2からの車速と、ジャイロセンサ3A,Bからのヨーレートおよびピッチレートとに基づいて、後続車両検出部15において用いられる評価パラメータである障害物検出閾値を設定する。本実施形態の特徴の一つは、この演算部11による障害物検出閾値の設定手法にあり、その詳細については後述する。設定された障害物検出閾値は、後続車両検出部15に出力される。
【0014】
後続車両検出部15は、撮像画像において自車両Caの後方に相当する所定の位置に検出領域を設定し、障害物検出閾値に基づいて撮像画像を評価することにより、検出領域内における障害物、特定的には自車両Caの後方に存在する後続車両を検出する(障害物検出手段)。本実施形態において、後続車両検出部15は、障害物検出閾値に基づいてカメラ1から時系列的に出力される一対の撮像画像間の差分結果を評価する差分法の手法ことにより、後続車両を検出する。すなわち、障害物検出閾値は、差分法の閾値に相当する。
【0015】
具体的には、後続車両検出部15は、時系列的に前後する2つの撮像画像(時刻t1,t2(t1+Δt(Δt:画像の出力周期))の撮像画像)間の差分画像を求める。そして、後続車両検出部15は、演算部11からの差分法の閾値と、演算した差分画像とを比較することにより、立体物を検出する。後続車両検出部15は、図2に示すように、自車両Caの左右後方、具体的には、隣接車線の後方に相当する位置に検出領域R1,R2を設定し、当該検出領域R1,R2内に速度を持つ立体物、すなわち、後続車両(具体的には、隣接車線を走行する後続車両である併走車両)が存在するか否かを判定する。また、後続車両検出部15は、後続車両が存在する場合には、その横位置を検出する。
【0016】
なお、時系列的に前後する2つの撮像画像による差分法を用いた障害物の検出手法としては、例えば特開2008−219063号公報に開示されているので必要ならば参照されたい。なお、検出領域R1,R2は、白線認識技術等を利用して適応的に設定してもよいが、自車両Caへの接触可能性のある後続車両を検出する用途においては、自車両Caに対する相対的な位置に固定的に設定してもよい。
【0017】
以下、本実施形態の特徴の一つである演算部11について説明する。演算部11は、これを機能的に捉えた場合、光源検出部12と、車間時間推定部13と、閾値算出部14とを有する。
【0018】
光源検出部12は、カメラ1で撮像された撮像画像において、他の移動体が発光する光源、すなわち、後続車両のヘッドライトを検出する(光源検出手段)。また、光源検出部12は、後続車両のヘッドライトが検出された場合には、ヘッドライトに相当する領域の面積を光源面積として算出する(光源面積算出手段)。算出された光源面積は、閾値算出部14に出力される。
【0019】
具体的には、光源検出部12は、図4に示したように、カメラ1から出力される撮像画像Ipの所定の位置に、後続車両のヘッドライトを検出する光源対象領域Rdを設定する。この光源対象領域Rdは、自車両CaのボディNaおよびナンバープレートNbが含まれないように設定される。この場合、路面Ncは当該領域Rdに含まれてもよい。また、光源対象領域Rdは、図2に示す検出領域R1,R2が含まれず、かつ、当該領域R1,R2よりも遠方の領域を含む範囲に設定される。すなわち、光源対象領域Rdは、当該領域Rdに位置する後続車両のヘッドライトが、検出領域R1,R2に位置する後続車両(併走車両)を照らすこととなる関係を満たすように設定されればよい。例えば、自車両Caを基準として、検出領域R1,R2において自車両Caの進行方向FDと反対の方向に関して最も遠い位置までの距離を10mとした場合、光源検出部12は、光源対象領域R
dを20mから30m後方に設定すればよい。光源検出部12は、光源対象領域Rdを設定するにあたり、画像上の座標を実空間の座標と対応付けた上で行ってもよいし、実験等を通じて予め設定した画像上の所定座標に設定してもよい。
【0020】
つぎに、光源検出部12は、光源対象領域Rd内において後続車両のヘッドライト相当の画素を抽出すると、その数をかぞえ、光源面積とする。光源面積の大小は、ヘッドライトの明るさの大小と対応する。画素数のカウント手法としては、二値化処理により、輝度値が判定値以上となる画素を抽出し、その数を数えるといった如くである。なお、二値化処理に用いる判定値は、カメラ1の特性等を考慮して、実験的に設定すればよい。あるいは、大津の手法等を用い、統計的な処理を通じて判定値を可変的に設定してもよい。
【0021】
また、光源検出部12は、光源面積の検出とともに、撮像画像においてヘッドライトに相当する画素のうち最も自車両に近い位置の座標を光源座標として検出する。この光源座標は、車間時間推定部13に出力される。
【0022】
なお、本実施形態では、面積に応じてヘッドライトの明るさを表現した。しかし、光源対象領域Rd内の輝度分布を求め、その分布の統計量(平均、分散など)に応じて明るさを表現してもよい。
【0023】
車間時間推定部13は、車間時間(Time-head way)を推定する。ここで、車間時間は
、後続車両が現在の後続車両の車速で進行した際に、現在の自車両Caの位置に到達するまでの時間である。すなわち、この車間時間は、自車両Caと後続車両との車間距離を、後続車両の車速で除算することにより演算される。
【0024】
図5は、撮像画像Ipと、自車両Caおよび後続車両Coの実空間上の対応関係とを説明する説明図である。前述の「自車両と後続車両との車間距離」は、自車両Caと後続車両のヘッドライトhsとの距離(光源距離)を推定した値を用いる。かかる光源距離の推定値は、カメラ1によって規定される幾何学的な関係に基づいて、光源検出部12により演算した光源座標、すなわち、撮像画像Ipにおけるヘッドライトに相当する画素Osのうち最も自車両に近い位置の座標、すなわち、光源座標Onを、実空間の座標hnに座標変換することにより得られる。また、「後続車両の車速」は、自車両Caの車速で代用することで足りる。
【0025】
なお、上述した演算では、同図(b)に示すように、後続車両Coのヘッドライトhsが映りこんだ路面の最寄の座標hnを求めることとなるため、推定値としての車間距離は実際の車間距離より短い値となり得る。したがって、上述の手法で求めた距離の推定値に、実験等を通じて特定した所定値を加算した値を車間距離として用いてもよい。また、後続車両が存在せず、光源検出部12で後続車両のヘッドライトが検出されない場合は、例外的に、通常では演算されないような値(例えば無限大など)を出力すればよい。
【0026】
閾値算出部14は、光源検出部12からの光源面積と、ジャイロセンサ3A,3Bからのヨーレートおよびピッチレートと、車間時間推定部13からの車間時間とに応じて、後続車両検出部15において利用される差分法の閾値を設定する(閾値設定手段)。
【0027】
図6は、閾値算出処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、閾値算出部14によって実行される。
【0028】
まず、ステップ1(S1)において、閾値算出部14は、ジャイロセンサ3Aからのヨーレートに基づいてヨー角を算出する。現時刻のヨーレートを「Y’」、1サイクル前のヨー角を「YP」とした場合、現時刻のヨー角Yは下式で与えられる。
(数式1)
Y=YP+Y’
【0029】
同数式に示す演算は、ヨーレートの積分に相当する。したがって、ノイズとして左右方向に微小なヨーレートが出力された場合、それらのノイズは独立に左右方向に(プラスマイナスに)現れるため、現時刻のヨー角Yはほぼゼロとなる。一方、ドライバの操舵による旋回ではプラス方向かマイナス方向のいずれかの変化率が連続するため、その値の絶対値は所定値以上となる。
【0030】
ステップ2(S2)において、閾値算出部14は、ジャイロセンサ3Bからピッチレートを読み込み、坂道判定として、現在の走行環境が坂道の出入り口に相当するか否かを判定する。坂道の出入り口としては、上り坂の入口、上り坂の出口、下り坂の入口および下り坂の出口の4つが挙げられる。なお、本ステップにおける処理の詳細については後述する。
【0031】
このステップ2において肯定判定された場合、すなわち、坂道の出入り口に相当する場合には、ステップ3(S3)以降の処理に進む。これにより、差分法の閾値を設定する手法として、後続車両との間の距離と、光源面積と、ヨー角とに基づいて演算を行う手法が採られる。一方、ステップ2において否定判定された場合、すなわち、坂道の出入り口に相当しない場合には、後述するステップ9(S9)に進む。これにより、差分法の閾値を選択する処理として、光源面積と、ヨー角とに基づいて演算を行う手法が採られる。
【0032】
ステップ3において、閾値算出部14は、ピッチ角を記録する。
【0033】
ステップ4(S4)において、閾値算出部14は、後続車両判定として、光源面積に基づき後続車両の有無を判定する。閾値算出部14は、判定値と光源面積とを比較し、光源面積が判定値以上であれば後続車両ありと判定し、光源面積が判定値未満ならば後続車両なしと判断する。当該判定値は、実験やシミュレーションを通じて最適値を予め設定しておくことが好ましい。このステップ4で肯定判定された場合、すなわち、後続車両ありの場合には、ステップ5(S5)に進む。一方、ステップ4で否定判定された場合、すなわち、後続車両なしの場合には、ステップ9に進む。
【0034】
ステップ5において、閾値算出部14は、後続車両が、自車両Caが現在位置する坂道の出入り口に到達する時間を記録する。具体的には、閾値算出部14は、本ステップ5の処理時における車間時間推定部13の車間時間を記録する。
【0035】
図7は、ステップ5の処理に至った際の走行環境を模式的に示す説明図である。ステップ5までの処理を通して、自車両Caの走行環境は、坂道の出入り口のいずれかに相当し、さらに後続車両Coが走行し、かつ、併走車両Cpが存在している可能性があると判断される。この場合、同図に示すように、併走車両Cpは、当該併走車両Cpよりも後方に存在する後続車両Coのヘッドライトhsによって照らされている場合が多い。
【0036】
そこで、ステップ6(S6)において、閾値算出部14は、坂道の出入り口を走行していると判断される前に設定された差分法の閾値を第1の所定時間だけ維持する。閾値を維持する時間は、自車両Caの車速に応じた値を設定すればよく、当該値は実験やシミュレーションを通じて予め設定しておくことが好ましい。
【0037】
図8は、ステップ7の処理に移行した際の走行環境を模式的に示す説明図である。ステップ7(S7)の処理に移行した際には、同図に示すように、並走車両Cpおよび後続車両Coのうち一方のみが坂道を走行しているため、並走車両Cpが後続車両Coのヘッド
ライトhsに十分に照らされていない場合が多い。
【0038】
ステップ7において、閾値算出部14は、ステップ3で記録した自車両Caのピッチ角と、ステップ1で算出した自車両Caのヨー角と、光源検出部12で算出した光源面積との3つのパラメータに応じて、差分法の閾値を選択する(第1の閾値選択処理)。これにより、並走車両Cpおよび後続車両Coのうち一方のみが坂道を走行しているシーンにおいて、差分法の閾値を、かかるシーンよりも前の状況(図7)において算出される差分法の閾値よりも小さい値に設定することができる。
【0039】
図9から図11は、差分法の閾値の設定概念を示す説明図である。図9に示すように、差分法の閾値は、光源面積が大きい程、その値が大きく設定される傾向を有している。一方、図10に示すように、当該閾値は、ヨー角が大きい程、その値が小さく設定される傾向を有している。また、図11に示すように、当該閾値は、ピッチ角が大きい程、その値が小さく設定される傾向を有している。3つのパラメータ(光源面積、ヨー角、ピッチ角)と、閾値との対応関係は、予め実験やシミュレーションを通じて設定されており、マップや演算式として閾値算出部14が保持している。これにより、閾値算出部14は、3つのパラメータに応じて閾値をそれぞれ設定し、例えば、平均値あるいは過重平均による積和演算といった手法により、3つのパラメータを考慮した閾値を演算する。
【0040】
ステップ8(S8)において、閾値算出部14は、後続車両到達判定として、後続車両が坂道に到達したか否かを判定する。この判定は、ステップ2の坂道判定で求めた、自車両Caの走行環境が坂道の出入り口に相当するかという情報と、車間時間推定部13で求めた車間時間とに基づいて行う。ステップ8において肯定判定された場合、すなわち、後続車両が坂道に到達した場合には、ステップ9に進む。一方、ステップ8において否定判定された場合、すなわち、後続車両が坂道に到達していない場合には、ステップ7に戻る。
【0041】
ここで、ステップ2の処理において坂道の出入り口に相当すると判定してからの経過時間を「T」とし、車間時間推定部13において求められる車間時間を「Tp」とする。図12に示すように、T≧Tpの関係を具備する場合には、後続車両Coが自車両Caと同じ坂道を走行している可能性が高い。このようなシーンでは、自車両Caと後続車両Coのヘッドライトhsの向きとが一致しているため、自車両Caにピッチ角が生じていないシーン(ステップ2における否定判定)と同様、光源面積と、ヨー角とに基づいて差分法の閾値を選択すればよい(ステップ9の処理)。一方、T<Tpの関係を具備する場合には、自車両Caと後続車両CoのヘッドライトHsの向きとが一致していないため、上記の2つのパラメータに加えて、ピッチ角に応じて差分法の閾値を選択する必要がある(ステップ7の処理)。
【0042】
ステップ9において、閾値算出部14は、ステップ1で算出した自車両Caのヨー角と、光源検出部12で算出した光源面積との2つのパラメータに応じて、差分法の閾値を算出する(第2の閾値選択処理)。図9,10に示すように、閾値算出部14は、2つのパラメータ(光源面積、ヨー角)に応じて閾値をそれぞれ設定し、例えば、平均値あるいは過重平均による積和演算といった手法により、2つのパラメータを考慮した閾値を演算する。
【0043】
ステップ10(S10)において、閾値算出部14は、例えば走行支援装置の電源オフといったように、システムを終了するか否かを判断する。このステップ10において肯定判定された場合、すなわち、システムを終了する場合には、本ルーチンを終了する。一方、ステップ10において否定判定された場合、すなわち、システムを終了しない場合には、ステップ1の処理に戻る。
【0044】
図13は、ステップ2における坂道判定処理の詳細を示すフローチャートである。まず、ステップ20(S20)において、閾値算出部14は、ジャイロセンサ3Bからのピッチレートを読み込む。
【0045】
ステップ21(S21)において、閾値算出部14は、ピッチレートから自車両Caのピッチ角を求める。現時刻のピッチレートを「Y’」、1サイクル前のピッチ角を「PP」とした場合、現時刻のピッチ角は下式で与えられる。
(数式2)
P=PP+P’
【0046】
同数式に示す演算は、ピッチレートの積分に相当する。したがって、路面の凹凸が激しく上下方向のピッチが連続するような場合には、プラスマイナスの変化率がジャイロセンサ3Bから出力されるため、現時刻のピッチ角Pはほぼゼロとなる。一方、坂道の出入り口ではプラス方向かマイナス方向のいずれかの変化率が連続するため、その値の絶対値は所定値以上となる。
【0047】
ステップ22(S22)において、閾値算出部14は、ピッチ判定として、ステップ21で算出したピッチ角と、判定値とを比較する。ピッチ角には上下それぞれの角度があるため、プラス側の判定値とマイナス側の判定値とを用意する。閾値算出部14は、ピッチ角がプラス側の判定値以上である場合、あるいはピッチ角がマイナス側の判定値以下である場合のいずれかである場合には、ステップ23に進み、坂道と判定する。一方、閾値算出部14は、ピッチ角がプラス側の判定値よりも小さく、かつマイナス側の判定値よりも大きい場合には、ステップ24に進み、坂道と判定する。
【0048】
このように本実施形態において、光源検出部12は、光源対象領域Rdにおいて後続車両のヘッドライト(光源)に相当する面積を光源面積として算出する。そして、閾値算出部14は、算出した光源面積に応じて、後続車両検出部15において利用される差分法の閾値を設定する。この場合、後続車両検出部15は、撮像画像Ipにおいて検出領域R1,R2を設定し、評価パラメータである差分法の閾値に基づいて撮像画像を評価することにより、検出領域R1,R2内における障害物(本実施形態では、併走車両)を検出する。
【0049】
本実施形態によれば、光源面積に応じて差分法の閾値が設定されることとなるので、後続車両のヘッドライトの明るさに応じて差分法の閾値を最適化することが可能となる。これにより、後続車両のヘッドライトの影響を考慮して併走車両の検出感度を制御することができるので、特殊な照明装置を追加するといったコストアップを招くことなく、周期環境が暗い状況であっても併走車両の検出精度の向上を図ることである。
【0050】
図14に示すように、自車両後方を撮像するカメラ1は、撮像画像Ipに路面Ncと自車後方の風景とが含まれるように設置される。そのため、自車両のボディNaが映り込み、そこにはナンバープレートNbが存在する。夜間、自車両Caのライトを点灯させた場合、ナンバープレートNbを照らすためのライトも点灯される。一方、自車両Caに搭載されるカメラ1には、ゲインコントロールが搭載されており、その機能は所定のAE枠Raeの輝度情報に基づいて制御される。したがって、この所定のAE枠Raeに、後続車両のヘッドライトが存在しない場合は、光源はナンバープレート周辺のライトのみとなり、ナンバープレート周辺のコントラストが強調されるようにゲインが制御される。そのため、自車後方に併走車両などの障害物が存在する場合であっても、そのエッジやコントラストの情報は不鮮明となる。したがって、差分法に基づく検出手法では障害物の検出そのものが困難になる。
【0051】
しかしながら、本実施形態によれば、光源対象領域Rdを設置し、後続車両のヘッドライトを検出し、そのヘッドライトの面積(光源面積)に基づいて差分法の閾値を変更することで、精度よく検出することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態において、後続車両検出部15は、差分法の閾値に基づいて、カメラ1から時系列的に出力される一対の撮像画像間の差分結果を評価する差分法の手法により、併走車両を検出する。
【0053】
かかる構成によれば、自車両後方の光源面積により、障害物検出のための差分法の閾値を設定しているので、差分法による障害物の検出精度を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、閾値算出部14は、ヨー角も考慮して、差分法の閾値を設定する。
【0055】
図15は、直進走行時とカーブ走行時とにおける自車両Caと後続車両Coとの関係を模式的に示す説明図である。直進走行時は、自車両Caの後方を撮像するカメラ1の向きと、後続車両Coのヘッドライトhsの向きとが概ね対応する。これに対して、カーブ走行時は、自車両Caのカメラ1の向きと、後続車両Coのヘッドライトhsの向きがずれた状態となる。したがって、後方に後続車両Coのヘッドライトhsが観測されていても、自車両周辺が照らされていないといったことが起こりえ得る。そのため、光源面積と、ヨー角(すなわち、旋回の大きさ)に応じて差分法の閾値を変更することで(図10参照)、カーブ走行といった走行環境であっても障害物を良好に検出することが可能となる。
【0056】
なお、本実施形態によれば、旋回の大きさを表すパラメータとして、例示的にヨー角を用いているが、これに代えて、ステアリング角や、横加速度といった、旋回の大きさを評価することができる種々のパラメータを用いることができる。
【0057】
また、本実施形態において、閾値算出部14は、ピッチ角(移動体のピッチングの大きさ)も考慮して、差分法の閾値を設定している。
【0058】
図16は、坂道の出入り口付近における自車両Caと後続車両Coとの関係を模式的に示す説明図である。坂道の出入り口は、自車両Caと後続車両Coとでピッチ角が相違するシーンがあり、このようなシーンでは、自車両Caのカメラ1の向きと、後続車両Coのヘッドライトhsの光源の向きとが異なることとなる。したがって、後方に後続車両Coのヘッドライトhsが観測されていたとしても、自車両周辺が照らされていないといったことが起こりえる。そのため、ピッチ角の大きさに応じて差分法の閾値を変更することで、坂道の出入り口でも良好に障害物を検出することが可能とある。
【0059】
また、本実施形態において、閾値算出部14は、自車両Caの旋回状態(プラス方向またはマイナス方向への所定のヨー角)を判断した場合には、旋回方向の内側に対応する検出領域の方が旋回方向の外側に対応する検出領域R1,R2よりも障害物が検出されやすくなるように、検出領域R1,R2のそれぞれに対して個別の閾値を設定している。
【0060】
図17は、カーブ走行時における左右後方に設定される検出領域R1,R2と後続車両Coのヘッドライトhsとの関係を模式的に示す説明図である。カーブ走行時、自車両Ca後方に後続車両Coのヘッドライトhsが観測された場合、自車両Caに対して斜め後方よりヘッドライトhsが照射される関係上、左右後方の検出領域R1,R2における照度状況が異なることとなる。同図に示すように、旋回方向と同じ方向の検出領域R2は後続車両Coのヘッドライトhsから照らされ難く、それと反対の方向の検出領域R1は照
らされ易いといった如くである。したがって、図18に示すように、検出領域R1,R2に一律の閾値を適用せずに、旋回と同方向に対応する検出領域R1,R2に適用する閾値L1と、旋回と反対方向に対応する検出領域R1,R2に適用する閾値L2とを設定することで、併走車両を精度よく検出することができる。
【0061】
また、本実施形態において、閾値算出部14は、自車両Caのピッチング状態(プラス方向またはマイナス方向への所定のピッチ角)を判断した場合には、差分法の閾値としてピッチング状態を判断する以前に設定された値を第1の所定時間維持する。また、閾値算出部14は、第1の所定時間の経過後、後続車両が坂道に到達するまでの時間(第2の所定時間)では、自車両Caのピッチ角、ヨー角、光源面積に応じて差分法の閾値を設定する。そして、閾値算出部14は、第2の所定時間の経過後は、ヨー角および光源面積に応じて差分法の閾値を設定する。
【0062】
図7に示したように、自車両Caが坂道の出入り口のいずれかを走行し、検出領域R1,R2に並走車Cpが存在し、かつ、そのさらに後方に後続車両Coが存在し、光源検出部12によりヘッドライトhsが検出された場合は、並走車Coは後続車両Coのヘッドライトhsにより照らされている。この場合は、ピッチングが生じる前の差分法の閾値を第1の所定時間維持すればよい。
【0063】
これに対して、図8に示すように、自車両Ca、並走車両Cpともに坂道の出入り口から第1の所定時間走行し、かつ後続車両Coが坂道に差し掛かっていない状況では、並走車両Cpと後続車両Coのヘッドライトhsとの向きが異なるため、並走車両Cpはヘッドライトhsにより十分に照らされていない状況となる。さらに、その照度状況は坂道の勾配に連動する、急な勾配変化ほど照らされ難い傾向となる。この場合は、後続車両Coが坂道に差し掛かるまで、差分法の閾値の設定方法を変更する必要があり、具体的には、光源面積、ヨー角およびピッチ角に応じた設定とすればよい。
【0064】
そして、後続車両も坂道に差し掛かると、並走車両は、後続車両のヘッドライトにより十分に照らされることとなるので、光源面積およびヨー角に応じて、差分法の閾値を変更すればよい。
【0065】
このように坂道の出入り口を走行する場合に、その状況を3つの走行環境に分けて、閾値の設定方法を切り替えることにより、並走車両を精度よく検出することができる。
【0066】
また、本実施形態において、閾値算出部14は、第1の所定時間を、自車両Caの速度に応じて設定している。
【0067】
かかる構成によれば、自車両Caの速度が速い程、後続車両が照らす坂道の出入り口を早く通過することとなるので、差分法の閾値として従前の値を維持する適切な時間(第1の所定時間)は自車両Caの速度に応じて変化する。そこで、自車両Caの車速に応じて、第1の所定時間を決めることで、坂道の出入り口付近において並走車両の検出精度の向上を図ることができる。
【0068】
なお、ピッチ角に変化が生じる坂道の出入り口を自車両が走行し、かつ並走車両も存在し、かつ後続車両が存在する場合、照度環境は坂道の出入り口の前とほぼ同等である。そこで、差分法の閾値を、坂道の出入り口前と同じ値を維持する第1の所定時間を予め定めておくことで、坂道の出入り口といった状況でも並走車両を精度よく検出することができる。
【0069】
また、本実施形態において、閾値算出部14は、後続車両のヘッドライトが検出されて
いる場合、推定された光源距離と自車両Caの速度とに基づいて演算される車間時間として、第2の所定時間を設定している。
【0070】
一般の走行シーンでは、追越し車両を除いて、自車両と後続車両の車速が大きく異なることは多くはない。したがって、自車両Caが坂道の出入り口を走行し、ピッチングが発生したときに、後続車両の車速と自車両の車速がほぼ等しいと仮定することができる。これにより、自車両の車速と、後続車の距離とから、自車両の位置(坂道の出入り口)へと後続車両が到達するまでのおおよその時間を求めることが可能となる。後続車両が坂道の出入り口に到達した場合には、自車両と後続車両の傾きはほぼ等しくなるため、後続車のヘッドライト面積と自車の旋回に応じて、障害物検出判定値を変更すればよい。したがって、ピッチング変化を検出し、かつ後続車両のヘッドライトが観測できた場合は、後続車両が坂の出入り口に到達する時間を推定し、その時間を第2の所定時間とすることで、より精度よく併走車両を検出することが可能となる。
【0071】
なお、本実施形態において、閾値算出部14は、後続車両のヘッドライトが検出されている場合には、カメラ1によって規定される幾何学的な関係に基づいて光源距離を推定し、当該推定した光源距離に応じて第2の所定時間を設定してもよい。
【0072】
かかる構成によれば、図8に示すように、光源距離として自車両Caを照らす後続車両Coの光源との距離を推定できるので、自車両Caと後続車両Coとの距離に応じて、第2の所定時間を設定することができる。後続車両のヘッドライトは路面を照らしているため、路面からの高さはゼロである。高さゼロの場合、カメラ1の幾何学的なモデルから、画像上の座標を実空間の座標に変換することができる。したがって、画像から光源の領域を抽出し、その領域の最も自車寄りの画像の座標を実空間の座標に変換することで、自車両Caと後続車両のヘッドライトとの間の距離を大まかに推定することができる。そして、推定した光源距離に応じて第2の所定時間を変化させることで、より精度よく並走車両を検出することができる。
【0073】
もっとも、図8に示すように、自車両Caに続き並走車両Cpが坂道の出入り口から所定時間走行し、かつ後続車両Coが坂道を走行していない状況に相当する所定時間を予め設定してよい。かかる構成であっても、第2の所定時間を設定することの効果が得られるので、併走車両の検出精度の向上を図ることができる。
【0074】
なお、本実施形態において、コントローラ10は、カメラ1から出力される撮像画像を対象として、画像の明暗が強調されるような前処理を施す前処理手段をさらに有していてもよい。
【0075】
かかる構成によれば、障害物の検出精度を上げることができる。このようなシーンとしては、は一般に光源が足りず、撮像画像において後続車両のエッジを峻別することができない場合に相当する。撮像画像に対して明暗が強調される前処理を施した上で、障害物検出を行うことにより評価値が大きくなる。したがって、前処理を行うことで障害物の検出精度の向上を図ることができる。
【0076】
なお、光源面積の大きさに応じて、差分法の閾値を可変としてもよい。これにより、障害物の検出精度を上げることができる。すなわち、多くの光源が観測されている場合は、後続車両のエッジを撮像画像内で観測することができるものの、光源が少ない場合には、後続車両のエッジがほとんど失われている。したがって、光源面積に応じて差分法の閾値を可変することで、照度の変化に左右されず、誤検出や、検出ができないといった事態を抑制することができる。
【0077】
また、光源面積の大きさに応じて、障害物検出に対する評価方法を変更してもよい。これにより、障害物を精度よく検出することが可能となる。例えば、後続車両検出部15がは差分法により障害物(後続車両)を検出している場合、光源が少なければ後続車両のエッジ情報が減少し、差分成分が得られにくい。この場合、光源が充分であれば時刻間で対応する画素の差分で評価値を算出していたものを、時刻間で対応する画素とその周囲の画素の差の合計で差分として算出すると、差分が大きく評価される。このように光源面積に応じて、評価方法を変えることで、照度の変化に左右されず、誤検出や、検出ができないといった事態を抑制することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態にかかる走行支援装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。例えば、本実施形態では、差分方による障害物検出であるため、差分方の閾値を前提として説明したが、上述した概念の閾値設定手法は、評価パラメータである障害物検出閾値に基づいて撮像画像を評価することにより、検出領域内における障害物を検出する手法に広く適用することができる。例えば、代表的な画像処理の障害物検出手法としては、差分方によるものの他、オプティカルフローを利用する手法や、テンプレートマッチングを利用する手法が挙げられる。かかる手法であっても、上述の実施形態に示す如く、障害物検出閾値を適切に設定することができるので、障害物の検出精度の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 カメラ
2 車速センサ
3 ジャイロセンサ
10 コントローラ
11 演算部
12 光源検出部
13 車間時間推定部
14 閾値算出部
15 後続車両検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の後部に配置されて、当該移動体後方の所定領域を撮像することにより撮像画像を出力する撮像手段と、
前記撮像手段から出力される撮像画像において移動体の後方に相当する所定の位置に検出領域を設定し、評価パラメータである障害物検出閾値に基づいて撮像画像を評価することにより、前記検出領域内における障害物を検出する障害物検出手段と、
前記撮像手段から出力される撮像画像の所定の位置に設定される光源対象領域において、他の移動体が発光する光源を検出する光源検出手段と、
前記光源対象領域において前記光源に相当する領域の面積を光源面積として算出する光源面積算出手段と、
前記光源面積算出手段が算出した光源面積に応じて、前記障害物検出手段において利用される前記障害物検出閾値を設定する閾値設定手段と
を有することを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
前記障害物検出手段は、前記障害物検出閾値に基づいて、前記撮像手段から時系列的に出力される一対の撮像画像間の差分結果を評価する差分法の手法により、前記障害物を検出することを特徴とする請求項1に記載された走行支援装置。
【請求項3】
移動体の旋回度合いを検出する旋回度合い検出手段をさらに有し、
前記閾値設定手段は、前記旋回度合い検出手段が検出した旋回度合いも考慮して、前記障害物検出閾値を設定することを特徴とする請求項1または2に記載された走行支援装置。
【請求項4】
前記障害物検出手段は、前記撮像画像において移動体の左右後方に相当する位置に前記検出領域をそれぞれ設定しており、
前記閾値設定手段は、前記旋回度合い検出手段を通じて移動体の旋回状態を判断した場合には、旋回方向の内側に対応する検出領域の方が旋回方向の外側に対応する検出領域よりも障害物が検出されやすくなるように、前記検出領域のそれぞれに対して個別の前記障害物検出閾値を設定することを特徴とする請求項3に記載された走行支援装置。
【請求項5】
移動体のピッチングの大きさを検出するピッチング検出手段をさらに有し、
前記閾値設定手段は、前記ピッチング検出手段が検出した前記移動体のピッチングの大きさも考慮して、前記障害物検出閾値を設定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載された走行支援装置。
【請求項6】
前記閾値設定手段は、前記ピッチング検出手段を通じて前記移動体のピッチング状態を判断した場合には、前記障害物検出閾値として当該ピッチング状態を判断する以前に設定された値を第1の所定時間維持し、当該第1の所定時間の経過後の第2の所定時間では、前記移動体のピッチングの大きさ、前記旋回度合いおよび前記光源面積に応じて前記障害物検出閾値を設定し、前記第2の所定時間の経過後は、前記旋回度合いおよび前記光源面積に応じて前記障害物検出閾値を設定することを特徴とする請求項5に記載された走行支援装置。
【請求項7】
移動体の速度を検出する移動体速度検出手段をさらに有し、
前記閾値設定手段は、前記第1の所定時間を、前記移動体速度検出手段によって検出された前記移動体の速度に応じて設定することを特徴とする請求項6に記載された走行支援装置。
【請求項8】
前記閾値設定手段は、前記光源検出手段によって光源が検出されている場合には、前記
撮像手段によって規定される幾何学的な関係に基づいて、移動体と他の移動体が発行する光源との間の距離を光源距離として推定し、当該推定した光源距離に応じて前記第2の所定時間を設定することを特徴とする請求項6または7に記載された走行支援装置。
【請求項9】
前記閾値設定手段は、前記光源検出手段によって光源が検出されている場合、前記推定された光源距離と、前記移動体の速度とに基づいて、前記第2の所定時間を設定することを特徴とする請求項8に記載される走行支援装置。
【請求項10】
前記撮像手段から出力される撮像画像を対象として、画像の明暗が強調されるような前処理を施す前処理手段をさらに有することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載された走行支援装置。
【請求項1】
移動体の後部に配置されて、当該移動体後方の所定領域を撮像することにより撮像画像を出力する撮像手段と、
前記撮像手段から出力される撮像画像において移動体の後方に相当する所定の位置に検出領域を設定し、評価パラメータである障害物検出閾値に基づいて撮像画像を評価することにより、前記検出領域内における障害物を検出する障害物検出手段と、
前記撮像手段から出力される撮像画像の所定の位置に設定される光源対象領域において、他の移動体が発光する光源を検出する光源検出手段と、
前記光源対象領域において前記光源に相当する領域の面積を光源面積として算出する光源面積算出手段と、
前記光源面積算出手段が算出した光源面積に応じて、前記障害物検出手段において利用される前記障害物検出閾値を設定する閾値設定手段と
を有することを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
前記障害物検出手段は、前記障害物検出閾値に基づいて、前記撮像手段から時系列的に出力される一対の撮像画像間の差分結果を評価する差分法の手法により、前記障害物を検出することを特徴とする請求項1に記載された走行支援装置。
【請求項3】
移動体の旋回度合いを検出する旋回度合い検出手段をさらに有し、
前記閾値設定手段は、前記旋回度合い検出手段が検出した旋回度合いも考慮して、前記障害物検出閾値を設定することを特徴とする請求項1または2に記載された走行支援装置。
【請求項4】
前記障害物検出手段は、前記撮像画像において移動体の左右後方に相当する位置に前記検出領域をそれぞれ設定しており、
前記閾値設定手段は、前記旋回度合い検出手段を通じて移動体の旋回状態を判断した場合には、旋回方向の内側に対応する検出領域の方が旋回方向の外側に対応する検出領域よりも障害物が検出されやすくなるように、前記検出領域のそれぞれに対して個別の前記障害物検出閾値を設定することを特徴とする請求項3に記載された走行支援装置。
【請求項5】
移動体のピッチングの大きさを検出するピッチング検出手段をさらに有し、
前記閾値設定手段は、前記ピッチング検出手段が検出した前記移動体のピッチングの大きさも考慮して、前記障害物検出閾値を設定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載された走行支援装置。
【請求項6】
前記閾値設定手段は、前記ピッチング検出手段を通じて前記移動体のピッチング状態を判断した場合には、前記障害物検出閾値として当該ピッチング状態を判断する以前に設定された値を第1の所定時間維持し、当該第1の所定時間の経過後の第2の所定時間では、前記移動体のピッチングの大きさ、前記旋回度合いおよび前記光源面積に応じて前記障害物検出閾値を設定し、前記第2の所定時間の経過後は、前記旋回度合いおよび前記光源面積に応じて前記障害物検出閾値を設定することを特徴とする請求項5に記載された走行支援装置。
【請求項7】
移動体の速度を検出する移動体速度検出手段をさらに有し、
前記閾値設定手段は、前記第1の所定時間を、前記移動体速度検出手段によって検出された前記移動体の速度に応じて設定することを特徴とする請求項6に記載された走行支援装置。
【請求項8】
前記閾値設定手段は、前記光源検出手段によって光源が検出されている場合には、前記
撮像手段によって規定される幾何学的な関係に基づいて、移動体と他の移動体が発行する光源との間の距離を光源距離として推定し、当該推定した光源距離に応じて前記第2の所定時間を設定することを特徴とする請求項6または7に記載された走行支援装置。
【請求項9】
前記閾値設定手段は、前記光源検出手段によって光源が検出されている場合、前記推定された光源距離と、前記移動体の速度とに基づいて、前記第2の所定時間を設定することを特徴とする請求項8に記載される走行支援装置。
【請求項10】
前記撮像手段から出力される撮像画像を対象として、画像の明暗が強調されるような前処理を施す前処理手段をさらに有することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載された走行支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−226556(P2012−226556A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93595(P2011−93595)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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