説明

超狭帯域2室式高繰返し率放電ガスレーザシステム

【課題】約4,000Hz又はそれ以上のパルス繰返し率及び約5mJ以上のパルスエネルギーで高品質パルスレーザ光を生成することができるシード光注入モジュール放電ガスレーザシステムを提供する。
【解決手段】2つの別個の放電室を備え、その一方は、第2の放電室で増幅される超狭帯域シード光を生成する主発振器の一部である。2つの放電室は別個に制御することができ、主発振器内の波長パラメータの最適化及び増幅室内のパルスエネルギーパラメータの最適化を可能にする。ArFレーザエキシマレーザシステムの好適な実施形態は、MOPAとして構成され、特に集積回路リソグラフィの光源として使用されるように設計される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2001年11月30日に出願された米国特許出願番号10/012,002の優先権を主張するものであり、2001年11月29日出願の米国特許出願番号10/006,913、2001年8月29日出願の米国特許出願番号09/943,343、2001年5月11日出願の米国特許出願番号09/854,097、2001年5月3日出願の米国特許出願番号09/848,043、1999年12月10日出願の米国特許出願番号09/459,165、2001年2月27日出願の米国特許出願番号09/794,782、2001年1月29日出願の米国特許出願番号09/771,789、2001年1月23日出願の米国特許出願番号09/768,753、2000年10月6日出願の米国特許出願番号09/684,629、2000年6月19日出願の米国特許出願番号09/597,812、及び1999年12月27日出願の米国特許出願番号09/473,852の一部継続出願である。本発明は、放電ガスレーザ、特に、超狭帯域で高繰返し率のシード光注入放電ガスレーザに関する。
【背景技術】
【0002】
放電ガスレーザ
放電ガスレーザは周知であり、1960年代にレーザが発明された直後から利用可能となっている。2つの電極間の高電圧放電は、レーザガスを励起してガス状利得媒質を生成する。利得媒質を含む空洞共振器は、光の誘導増幅を可能にし、その後、光はレーザ光の形態で抽出される。これらの放電ガスレーザの多くは、パルスモードで作動される。
【0003】
エキシマレーザ
エキシマレーザは、特定の形式の放電ガスレーザであり、1970年代半ばから知られている。集積回路リソグラフィに有用なエキシマレーザは、1991年6月11日発行の米国特許第5,023,884号「小型エキシマレーザ」に説明されている。この特許は、本出願人の雇用主に譲渡されており、その開示内容は引用により本明細書に組み込まれる。米国特許第5,023,884号で説明されているエキシマレーザは、高繰返し率パルスレーザである。これらのエキシマレーザは、集積回路リソグラフィに使用する場合、一般的に、時間当たり何千個もの高価な集積回路を「24時間体制」で製造する集積回路製造ラインで稼働するので、休止時間は非常に不経済である。この理由で、構成部品の大半は、数分以内に交換可能なモジュールにまとめられている。一般的に、リソグラフィに使用されるエキシマレーザは、出力ビームの帯域を1ピコメートルまで狭くする必要がある。この「線幅狭小化(line-narrowing)」は、一般的に、レーザの空洞共振器の背部を形成する線幅狭小化モジュール(「線幅狭小化パッケージ(line narrowing package)」又は「LNP」と呼ぶ)において達成される。このLNPは、プリズム、ミラー、及び格子を含む精巧な光学素子で構成される。米国特許第5,023,884号で説明されている形式の放電ガスレーザは、電気パルス電源システムを利用して2つの電極間で放電を引き起こすようになっている。このような従来技術によるシステムでは、各々のパルスに関して、直流電源装置は、「充電コンデンサ」又は「C0」と呼ばれるコンデンサバンクを「充電電圧」と呼ばれる所定の制御電圧まで充電する。この充電電圧値は、従来技術による装置では約500ボルトから1000ボルトの範囲である。C0が所定電圧まで充電された後、半導体スイッチを閉じると、C0に蓄積された電気エネルギーは、一連の磁気圧縮回路及び変成器を通って瞬時にリンギングされ、各電極の両端に約16,000ボルト(又はそれ以上)の範囲の高電圧電位が生じ、約20nsから50ns持続する放電を引き起こすようになっている。
【0004】
リソグラフィ光源の大きな進展
米国特許第5,023,884号に説明されているようなエキシマレーザは、1989年から2001年までの間に集積回路リソグラフィ用の主要な光源になった。現在、1000台以上のこれらのレーザが、最新の集積回路製造工場で使用されている。これらのレーザのほとんど全ては、米国特許第5,023,884号に説明されている基本設計の特徴を有する。これは、
(1)各電極の両端に毎秒約100パルスから2500パルスのパルス繰返し率で電気パルスを供給するための単一のパルス電力システム、
(2)部分反射ミラー形式の出力カプラと、プリズムビーム拡大器、調整ミラー及び格子から成る線幅狭小化ユニットで構成された単一の空洞共振器、
(3)レーザガス(KrF又はArF)、2つの細長い電極、及び各パルス間の放電領域をきれいにするのに十分な速度で2つの電極間でレーザガスを循環させるための横流ファンを含む単一の放電室、
(4)パルス間基準でパルスエネルギー、エネルギー線量、及び波長を制御するためのフィードバック制御システムを用いて、出力パルスのパルスエネルギー、波長、及び帯域幅をモニタするためのビームモニタ。
【0005】
1989年から2001年までの間に、これらのレーザの出力電力は徐々に大きくなり、パルスエネルギー安定性、波長安定性、及び帯域幅に関するビーム品質仕様もますます厳しくなってきている。集積回路製造で広く使用されている一般のリソグラフィレーザモデルの作動パラメータとしては、8mJのパルスエネルギー、2,500パルス/秒のパルス繰返し率(最大約30ワットまでの平均ビーム電力を供給)、約0.5pm(FWHM)の帯域幅、及び±0.35%でのパルスエネルギー安定性等を挙げることができる。
【0006】
これらのビームパラメータを更に改善するニーズがある。集積回路製造業者は、正確なパルスエネルギー制御による、波長、帯域幅、高ビーム電力の改善を望んでいる。米国特許第5,023,884号に説明されているような基本設計でいくらか改善できるが、その基本設計による大きな改善は実現できない。例えば、単一の放電室では、正確なパルスエネルギー制御は、波長及び/又は帯域幅に悪影響を与える場合があり、特に非常に高いパルス繰返し率では波長及び/又は帯域幅を厳密に制御しようとする正確なパルスエネルギー制御に悪影響を与える場合がある。
【0007】
シード注入
放電ガスレーザ(エキシマレーザシステムを含む)の帯域幅を狭くするための公知の技術では、狭帯域「シード」光が利得媒質に注入される。このシステムの一例として、「主発振器」と呼ばれるシード光を生成するレーザは、第1の利得媒質内に超狭帯域光を与えるように設計されており、この超狭帯域光は、第2の利得媒質内でシード光として使用される。第2の利得媒質が電力増幅器として機能する場合、このシステムは、主発振器電力増幅器(MOPA)システムと呼ぶ。第2の利得媒質自体が空洞共振器(レーザ発振を起こる)を有する場合、このシステムは、注入シード発振器(ISO)システム又は主発振器電力発振器(MOPO)システムと呼び、この場合、シードレーザを主発振器と呼び、下流側システムを電力発振器と呼ぶ。2つの別個のシステムで構成されたレーザシステムは、同程度の単一室レーザシステムよりもかなり高価で、大型かつ複雑なものになる傾向がある。従って、これらの2室レーザシステムの商業的用途は限られる。
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,023,884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
波長、帯域幅、及びパルスエネルギーを含む全てのビーム品質パラメータの正確な制御を可能にする、約4,000パルス/秒以上の範囲の繰返し率での作動に適したパルス放電ガスレーザの良好なレーザ設計が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、約20ワットから40ワット又はそれ以上の総合出力を得るための、約4,000Hz以上のパルス繰返し率及び約5mJから10mJ又はそれ以上のパルスエネルギーにて高品質レーザ光を生成することができるシード光注入モジュール式放電ガスレーザシステムを提供する。2つの別個の放電室を備え、その1つは、第2の放電室で増幅される超狭帯域シード光を生成する主発振器の一部である。2つの放電室は別個に制御可能であり、主発振器内の波長パラメータの最適化、及び増幅室内のパルスエネルギーパラメータの最適化が可能である。好適な実施形態は、MOPAとして構成されると共に、特に、集積回路リソグラフィの光源として使用されるように設計されたArFレーザエキシマレーザシステムである。この好適な実施形態において、両放電室及びレーザ光学部品は、レーザ・エンクロージャ内の垂直光学テーブル上に取り付けられる。好適なMOPA実施形態において、各々の放電室は、各パルス間で約0.25ミリ秒未満の時間で放電領域からデブリを除去することによって、4000Hz以上のパルス繰返し率での作動を可能にするのに十分なガス流を供給する単一の横流ファンを備える。放電領域から除去されるデブリには、放電によって生成されたイオンの実質的に全てが含まれ得る。主発振器は、パルス間基準で4000Hz以上のパルス繰返し率で中心線波長を制御でき、0.2ピコメートル未満の帯域幅を可能にする高速回転ミラーを有する、線幅狭小化パッケージを備えている。また、この好適な実施形態は、リソグラフィ用光学部品の劣化速度を実質的に低減するために、電力増幅器からの各パルスを2つのパルス又は4つパルスのいずれかに分割するパルス増倍モジュールを含む。他の好適な実施形態は、KrF又はF2MOPAレーザシステムとして構成される。本発明の好適な実施形態は、「3波長プラットフォーム」を利用する。これには、21世紀の初期に集積回路製造に実質的に使用されると予想される3つの形式の放電レーザシステム、即ち、KrFレーザ、ArFレーザ、及びF2レーザの各々に関して同一の、光学部品エンクロージャテーブル及び一般的な装置レイアウトが含まれる。
さらに、好ましい実施形態において、本発明によるレーザシステムは、第1の放電室の第1の窓と線幅狭小化ユニットとの間の第1のビームシールと、第1の放電室の第2の窓と出力カプラユニットとの間の第2のビームシールとをもたらすビーム密封システムを更に備え、ビームシールの各々が、金属ベローズを備えるものとすることができる。この場合において、ビームシールの各々は、エラストマを含有せず、レーザ室からの振動絶縁を行ない、大気ガスからのビーム列の隔離を行ない、前記LNP又は前記出力カプラユニットを乱すことなく、前記レーザ室を制限なく交換することを可能にするのが望ましい。また、ビーム密封システムは、真空適合シールを備えるのが好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の好適な実施形態
3波長プラットフォーム
第1の全体レイアウト
図1は、本発明の第1の好適な実施形態の斜視図である。この実施形態は、MOPAレーザシステムとして構成されたシード光注入狭帯域エキシマレーザシステムである。特に、集積回路リソグラフィの光源として使用されるように設計されている。従来技術によるリソグラフィレーザと比較して本実施形態で例示する本発明の大きな改良点は、シード光注入、及び特に2つの別個の放電室を有する主発振器電力増幅器(MOPA)構成を利用した点である。
【0012】
この第1の好適な実施形態は、アルゴン−フッ化物(ArF)エキシマレーザシステムであるが、このシステムは、クリプトン−フッ化物(KrF)レーザ構成部品、ArFレーザ構成部品、又はフッ素(F2)レーザ構成部品のいずれかに対応するように設計されるモジュール式プラットフォーム構成を利用するものである。このプラットフォーム設計によって、同じ基本キャビネット及びこれらの3つの形式のレーザのいずれかのレーザシステムモジュール及び構成部品の多くを使用できる。本出願人は、この3種類のレーザ設計では、KrFでは約248nm、ArFでは約193nm、F2では約157.63nmの波長のレーザ光を生成するので、このプラットフォームを「3波長プラットフォーム」と呼ぶ。また、このプラットフォームは、3種類の波長の各々におけるレーザシステムを全ての大手メーカーの最新式リソグラフィツールと互換性をもたせるためのインタフェース構成部品を使用して設計される。好適なArF生成オプションとしては以下のものを挙げることができる。

【0013】
この好適なレーザシステム2の主要構成部品は図1に特定されている。主要構成部品としては以下のものを挙げることができる。
(1)AC/DC電源装置モジュールを除くレーザの全てのモジュールを収容するように設計されたレーザシステムフレーム4、
(2)AC/DC高電圧電源装置モジュール6、
(3)毎秒4000回の充電で約1000ボルトまで2つの充電コンデンサバンクを充電するための空洞共振器モジュール7、
(4)各々が前述の充電コンデンサバンクの1つを備え、各々が充電コンデンサバンクに蓄積されたエネルギーから約16,000ボルトで約1μs持続時間の非常に短い高電圧電気パルスを形成するための整流器回路を備えている2つの整流器モジュール8A及び8B、
(5)主発振器モジュール10及び電力増幅器モジュール12から構成されるフレーム4内に上下配置で取り付けられている2つの放電室モジュール。各々のモジュールは、放電室10A及び12Aと、放電室の上部に取り付けられている圧縮ヘッド10B及び12Bとを含む。圧縮ヘッドは、対応する電流増加を伴って、整流器モジュールからの電気パルスを約1μsから約50nsまで圧縮する(時間に関して)。
(6)線幅狭小化パッケージ10C及び出力カプラ装置10Dを含む主発振器光学部品、
(7)光学部品、及びシード光を生成して電力増幅器へ導くと共にMO出力電力をモニタするための計器を含む波面エンジニアリングボックス14、
(8)波長モニタ、帯域幅モニタ、及びエネルギーモニタを含むビーム安定器モジュール16、
(9)シャッタモジュール18、
(10)ガス制御モジュール20、冷却水分配モジュール22、及び換気モジュール24が配置された補助キャビネット、
(11)顧客インタフェースモジュール26、
(12)レーザ制御モジュール28、
(13)ステータスランプ30。
【0014】
本明細書で詳細に説明するこの好適な実施形態は、前述のようなArFMOPA構成である。この特定の構成を他の構成に変えるためには、以下に示すような幾つかの変更が必要である。MOPA設計は、第2の放電室の周りに空洞共振器を設けることによってMOPO設計に変えることができる。これを行うために多くの方法を利用できるが、その一部は、引用により本明細書に組み込まれた特許出願で検討されている。KrFレーザ設計は、ArFレーザ設計とよく似ているので、本明細書で説明する特徴の大半は、そのままKrFに直接適用できる。実際には、ArFレーザ作動に使用される好適な回折格子は、両方のレーザの波長が回折格子の線間隔の整数倍に相当するのでKrFレーザでも同様に機能する。
【0015】
この設計をF2レーザに使用する場合、F2の固有スペクトルは一方が選択され他方は選択されない2本の主要線幅を有しているので、本明細書で説明するLNPの代わりに、MOPA又はMOPOのいずれか、好ましくは線幅選択ユニットが使用される。
【0016】
U字形光学テーブル
図1A及び図1Bに示すように、MO及びPAの光学部品は、U字形光学テーブル上に取り付けることが好ましい。U字形光学テーブルは、引用により本明細書に組み込まれた米国特許第5,863,017号に説明されている方法で、レーザの基部に運動学的に取り付けられる。MO及びPA放電室は、U字形光学テーブル上には取り付けられていないが、各々は、室2の下側フレームが支持するレール上の3つの車輪(一方側に2つ、他方側に1つ)によって支持される。(車輪及びレールは、引用により本明細書に組み込まれた米国特許第6,109,574号に説明されているように配置されることが好ましい。)この配置により、光学部品は放電室に起因する振動から遮断される。
【0017】
第2の全体レイアウト
図1Cに示す第2の全体レイアウトは、前述の第1の全体レイアウトと類似のものであるが、以下の特徴を含む。
(1)2つの放電室及びレーザ光学部品は、レーザキャビネット4内に(以下に説明するように)運動学的に取り付けられた垂直光学テーブル11上に取り付けられる。2つの放電室は、光学テーブルにボルト留めされた剛性片持部の上に支持される。この設計では、主発振器10は、電力増幅器12の上方に取り付けられている。
(2)高電圧電源装置6Bは、レーザキャビネット4に収容されている。ArF4000Hzの2つの放電室は、単一の1200ボルト電源装置のみを必要とする。しかしながら、レーザキャビネットには、6000HzF2レーザシステムの2つの放電室に必要となるであろう2台の追加高電圧電源装置のための空間が設けられている。追加高電圧電源装置の一方は、6000HzArFシステムで使用されることになる。
(3)2つのレーザ室の各々と、レーザ室用パルス電源装置とは、引用により本明細書に組み込まれた米国特許出願番号09/854,097で説明されている4000Hzの単一室レーザシステムで利用されるレーザ室及びパルス電源装置と実質的に同一である。
(4)光学テーブル11の後方に配置されているパルス増倍モジュール13は、この実施形態に含まれており、電力増幅器から出るパルスの持続時間を長くするようになっている。
(5)主発振器ビーム出力光学部品14Aは、MOからの出力ビームを電力増幅器入出力光学部品14Bへ導き、電力増幅器後部光学部品14Cを経由して電力増幅器12Cを通る2つの経路を得るように導く。第1の経路は電極に対して小さな角度を成し、第2の経路は電極に対して位置合わせされるが、これらは以下に説明する。パルス伸長器を含むレーザシステムを通るビームの全経路は、真空適合エンクロージャ(図示せず)内に密封され、エンクロージャは、窒素又はヘリウムでパージされる。
【0018】
第3の全体レイアウト
図1Dは第3の全体レイアウトの各部分を示す。このレイアウトは、各電極間の放電領域の長さが最初の2つの実施形態の各電極間の長さの約半分であるレーザ室を利用する本発明の実施形態に適合する。すなわち、放電領域の長さは、約53cmの典型的な長さに対して約26.5cmである。この場合、主発振器10(1)の空洞共振器は、出力カプラ10DとLNP10Cとの間の放電領域を通る2つの経路によって形成される。このレイアウトでは、ビームは、電力増幅器12(1)を通る4つの経路を作る。ミラー15Aから反射した後の第1の経路は、(例えば、下半分において左から右に約10ミリラジアンの所定角度の)角度をもつ電極と一致する所定角度で放電領域の下半分を通る。ミラー15Bから反射した後の第2の経路は、上半分を約4°の角度の所定角度で右から左へ通る。2つのミラー15Cから反射した後の第3の経路は、電極と位置合わせされて放電領域の上半分を通り、ミラー15Cから反射した後の最後の経路は、電極と位置合わせされて放電領域の下半分を通る。この最後の経路は、電力増幅器出力ビームを確立する。この出力ビームは、ミラー15Cを迂回し、ミラー(図示せず)によってパルス増倍装置(同様に図示せず)に導かれる。
【0019】
前述の3つのレイアウトの各々は、大幅な設計変更をすることなく顧客の好みに対応する目的で、出力ビームがレーザ・エンクロージャの左側又はエンクロージャの右側から出るのを好適に可能にする。
【0020】
前述のレイアウトの各々において、整流器及び圧縮ヘッドを統合して単一モジュールにすれば、多少性能を改善できる。本出願人は、どこかの構成部品が故障するとモジュール全体を交換する必要があるため、従来この組み合わせには抵抗してきた。しかしながら、本出願人の経験では、これらのユニットは非常に信頼性が高く、現在ではこの統合モジュールの実現は可能である。実際には、パルス電力装置の故障の2、3の原因の1つは、2つのモジュールを接続する電気ケーブルの故障であった。このケーブルは、統合モジュールでは必要ない。
【0021】
前述の好適なレーザシステム及びモジュールの設計及び作動を以下に詳細に説明する。
【0022】
主発振器
図1及び図1Cに示す主発振器10は、多くの点において米国特許第5,023,884号及び米国特許第6,128,323号に説明されているような従来技術のArFレーザと類似しており、出力パルスエネルギーが約5mJではなく約0.1mJであること以外は米国特許出願番号09/854,097に説明されているArFレーザと実質的に同一である。しかしながら、4000Hz以上での作動を可能にするために、米国特許第6,128,323号のレーザに比較して重要な改良が施されている。主発振器は、帯域幅制御を含むスペクトル性能が最大限に高められている。これにより、非常に狭い帯域幅となり、帯域幅安定性が改善される。主発振器は、図1、図2、及び図2Aに示す放電室10Aを備え、放電室10Aには、各々長さ約50cmで、約0.5インチだけ離れている一対の細長い電極10A−2及び10A−4が配置されている。陽極10A−4は、流れを形成する陽極支持ロッド10A−6に取り付けられる。4つの別個のフィン付き水冷式熱交換器ユニット10A−8が設けられている。横流ファン10A−10は2つのモータ(図示せず)によって駆動され、電極間で速度約80m/sのレーザガス流を供給するようになっている。放電室は、レーザ光に対して約45°に配置されたCaF2窓を備える窓ユニット(図示せず)を含む。放電室の中心に取入れ口を有する静電フィルタユニットは、図2に11で示すガス流の一部を濾過し、米国特許第5,359,620号(引用により本明細書に組み込まれている)で説明されている方法で清浄ガスを窓ユニットへ導いて、放電デブリを窓から隔離するようになっている。主発振器の利得領域は、この実施形態においては約3%アルゴン、0.1%F2、及び残りの部分のネオンで構成されるレーザガスを介して各電極の間の放電によって形成される。ガス流は、次のパルスの前に各々の放電によるデブリを放電領域から除去する。空洞共振器は、出力カプラ10Dによって出力側に形成され、出力カプラ10Dは、ビーム方向に垂直に取り付けられ、193nmの光の約30%を反射すると共に193nmの光の約70%を通過させるように被覆処理されたCaF2ミラーで構成される。空洞共振器の反対側の境界には、米国特許第6,128,323号で説明されている従来の線幅狭小化ユニットと類似の図1に示す線幅狭小化ユニット10Cがある。LNPについては、図16、図16A、図16B1に関連して以下に詳細に説明する。この線幅狭小化パッケージの重要な改良点には、ビームを水平方向に45倍に拡大するための4つのCaFビーム拡大プリズム10C1と、比較的大きな回転を得るためのステッピングモータによって制御される調整ミラー10C2、及び約300pm幅のArF固有スペクトルから選択された非常に狭い幅の紫外光を反射するリットロウ(Litrow)構成で取り付けられた約80ファセット/mmを有するミラーエシェル格子10C3の高精度の調整を行うための圧電ドライバが含まれる。主発振器は、従来技術によるリソグラフィ光源で一般的に使用されるよりもはるかに低いF2濃度で作動されることが好ましい。これにより帯域幅が非常に狭くなる。別の重要な改良点は、発振器ビームの断面を水平方向で1.1mm、垂直方向で7mmに制限する狭い後側開口である。発振器ビームの制御は以下に説明する。
【0023】
好適な実施形態において、主発振器及び電力増幅器の主充電コンデンサバンクは、ジッタ問題を低減するために並列に充電される。このことは、2つのパルス電力システムのパルス圧縮回路のパルスの圧縮時間が充電コンデンサの充電レベルに依存するので望ましい。パルスエネルギー出力は、充電電圧の調整によってパルス間基準で制御されることが好ましい。これは主発振器のビームパラメータを制御するための電圧使用を若干制限する。しかしながら、レーザガス圧及びF2濃度は、広範なパルスエネルギーの増加及びレーザガス圧にわたる所望のビームパラメータを得るために簡単に制御できる。帯域幅は、F2濃度及びレーザガス圧に伴って狭くなる。これらの制御上の特徴は、以下で詳細に検討するLNP制御に追加されるものである。主発振器の場合、放電と消灯との間の時間はF2濃度の関数(1ns/kPa)なので、F2濃度はタイミングを変えるために変更できる。
【0024】
電力増幅器
3つの実施形態の各々における電力増幅器は、対応する主発振器放電室と同様のレーザ室で構成される。2つの別個のレーザ室をもつことで、波長及び帯域幅とは別に、パルスエネルギー及び一連のパルスによる統合エネルギー(線量と呼ぶ)を広範に制御できる。これにより、線量安定性が高くなる。全てのレーザ室の構成部品は同一であり、製造工程時に交換可能である。しかしながら、作動時、MOのガス圧はPAのガス圧よりも実質的に低い。また、本実施形態において、電力増幅器の圧縮ヘッド12Bは、圧縮ヘッド10Bと実質的に同一であり、圧縮ヘッドの構成部品も製造時に交換可能である。1つの相違点は、圧縮ヘッド・コンデンサバンクのコンデンサが、PAと比較して、MOの場合の方が実質的に高いインダクタンスを生成するように広範囲にわたって配置できることである。パルス電力システムのレーザ室及び電気部品が実質的に同一なことは、ジッタ問題を最小限に抑えるように、パルス形成回路のタイミング特性を確実に同一に又は実質的に同一にするのを容易にする。
【0025】
電力増幅器は、前述の図1及び図1Cの実施形態においては電力増幅器放電室の放電領域を通る2つのビーム経路が得られるように、また、前述の図1Dの実施形態においては4つの経路が得られるように構成される。図3A及び図3Bは、図1の実施形態の場合の主発振器及び電力増幅器を通るビーム経路を示す。ビームは、図3Aに示すようにMO10のレーザ室10A及びLNP10Cを通って数回発振し、LNP10Cを通るその経路上で大幅に線幅狭小化される。線幅狭小化されたシード光は、ミラー14Aによって上方に反射され、ミラー14Bで僅かにスキュー角をもって(電極の方向に対して)水平方向に反射されレーザ室12Aを通る。図3Bに示すように、電力増幅器の後部では、2つのミラー12C及び12Dが、電極の方向に沿って水平方向にPA室12Aを通る第2の経路を得るためにビームを反対方向に反射する。
【0026】
充電電圧は、所望のパルス及び線量エネルギーを維持するようにパルス間基準で選択されることが好ましい。F2濃度及びレーザガス圧は、充電電圧の所望の作動電圧範囲が得られるように調整することができる。この所望範囲は、電圧によるエネルギーの変化がF2濃度及びレーザガス圧の関数なので、所望のdE/dV値を生じるように選択できる。注入タイミングは充電電圧に基づくことが好ましい。注入回数は、比較的一定の状態に保つために好適に多いことが好ましく、連続的又はほぼ連続的とすることができる。これらの実施形態の特定のユーザは、各F2注入の間の長い時間(2時間といった)を選ぶであろう。
【0027】
試験結果
本出願人は、図6A1に示すような種々の光路で、図1に示す基本MOPA構成の多数の試験を行なった。図6A2から図6Eは、主要な試験の裏付けされた結果の幾つかを示す。
【0028】
図6A2は、他の増幅器の設計に比べて、スキュー二重経路増幅器の設計がいかに良好な性能を発揮するかを示す。試験した他の設計は、単一経路、直線二重経路、分割増幅器電極による単一経路、傾斜二重経路である。図6Bは、650Vから1100Vの範囲の充電電圧でのスキュー二重経路構成に関するPA入力エネルギーの関数としてのシステム出力パルスエネルギーを示す。図6Cは、発振器パルスの立ち上がり時と4種類の入力エネルギーの増幅器パルスの立ち上がり時との間の時間遅延の関数としての出力パルスの形状を示す。図6Dは、出力ビーム帯域幅に関する各パルス間の時間遅延の影響を示す。また、このグラフは、出力パルスエネルギーに関する時間遅延の影響を示す。このグラフは、帯域幅はパルスエネルギーを犠牲にすれば狭くできることを示す。図6Eは、レーザシステムパルス持続時間も同様にパルスエネルギーを犠牲にすれば多少長くできることを示す。
【0029】
パルス電力回路
図1、図1C、及び図1Dに示す好適な実施形態において、基本的なパルス電力回路は、従来技術によるリソグラフィ用エキシマレーザ光源のパルス電力回路と類似のものである。しかしながら、充電コンデンサの下流側の別個のパルス電力回路が各々の放電室に対して設けられている。単一の共振充電器は、並列に接続された2つの充電コンデンサバンクを充電することが好ましく、両方の充電コンデンサバンクが正確に同じ電圧に確実に充電されるようになっている。また、パルス電力回路の構成部品の温度を調整するために重要な改良が行われている。好適な実施形態において、2つの室における相対的な放電タイミングを調整するために、可飽和インダクタの磁気コアの温度がモニタされ、温度信号がフィードバック回路で利用される。図5A及び図5Bは、MOに使用される好適な基本パルス電力回路の重要な部品を示す。同じ基本回路がPAにも使用される。
【0030】
共振充電器
図5Bは、好適な共振充電器システムを示す。主要な回路要素は以下の通りである。
I1:一定の直流電流出力の3相電源装置300、
C−1:既存のC0コンデンサ42より1桁又はそれ以上大きなソースコンデンサ302、
Q1、Q2、及びQ3:C0の調整電圧を充電及び維持する電流を制御するスイッチ、
D1、D2、及びD3:電流を単一の方向へ流す、
R1及びR2:制御回路への電圧フィードバックをもたらす、
R3:僅かな過充電が生じた場合にC0の電圧の急速放電を可能にする、
L1:電流の流れ及び設定充電移動タイミングを制限するC−1コンデンサ302とC0コンデンサバンク42との間の共振インダクタ、
制御ボード304:回路フィードバックパラメータに基づいてQ1、Q2、Q3の開閉を指令する。
【0031】
この回路には、De−Qingスイッチとして知られているスイッチQ2及びダイオードQ3を含む。このスイッチは、制御ユニットが共振充電中にインダクタを短絡できるようにすることによって回路調整を改善する。この「De−Qing」は、充電インダクタの電流に蓄えられた余分のエネルギーがコンデンサC0L1へ移動するのを防止する。
【0032】
レーザパルスが必要となる前に、C−1上の電圧が600ボルトから800ボルトに充電され、スイッチQ1−Q3が開く。レーザからの指令でQ1は閉じる。この時点で、電流は、充電インダクタL1を経由してC−1からC0へ流れる。前述のように、制御ボードの計算機は、レーザからの指令電圧設定値に対してC0の電圧及びL1へ流れる電流を評価する。Q1は、C0コンデンサバンク上の電圧とインダクタL1に蓄積された等価エネルギーとを加えたものが所望の指令電圧と等しい場合に開く。計算式は以下の通りである。
f=[VC0S2+(L1*ILIS2)/C00.5
ここで、
f=Q1が開きL1の電流がゼロになった後のC0電圧、
C0S=Q1が開いたときのC0電圧
LIS=Q1が開いたときのL2電流
【0033】
Q1が開いた後、L1に蓄積されたエネルギーは、D2を経由してC0コンデンサバンクへ移動し始め、C0コンデンサバンク上の電圧が指令電圧とほぼ等しくなるまで続く。この時点でQ2は閉じ、C0へ電流が流れなくなり、電流はD3を経由して流れる。「De−Qing」回路に加えて、ブリードダウン回路のQ3及びR3は、C0電圧の追加の微調整を可能にする。
【0034】
ブリードダウン回路216のスイッチQ3は、インダクタL1を流れる電流が停止したとき制御ボードから閉じるように指令を受け、C0電圧が所望の制御電圧2へブリードダウンされ、その後、スイッチQ3が開く。コンデンデC0及び抵抗器R3の時定数は、全充電サイクルが大きくなることなく、コンデンサC0を指令電圧へブリードダウンするほど早いことが必要である。
【0035】
結果的に、共振充電器は、3つのレベルの調整制御を設定できる。多少粗い調整は、充電サイクル中にエネルギー計算機、及びスイッチQ1が開くことによってもたらされる。C0コンデンサバンクの電圧が目標値に近づくとDe−Qingスイッチが閉じ、C0の電圧が目標値になるか又は僅かに目標値を越えると共振充電は停止する。好適な実施形態において、スイッチQ1及びDe−Qingスイッチは、±0.1%よりも高い精度で調整を行うために使用される。追加の調整が必要な場合、電圧調整に関する第3の制御を利用できる。これは、C0を正確な目標値まで放電するためのスイッチQ3及びR3のブリードダウン回路(図5Bでは216)である。
【0036】
0の下流側の改良
前述のように、本発明のMO及びPAのパルス電力システムの各々は、従来技術のシステムで使用されたのと同じ基本設計(図5A)を利用する。しかしながら、その基本設計における幾つかの重要な改良は、非常に高くなった繰返し率に起因する約3倍の熱負荷に求められるものであった。以下にこれらの改良点を説明する。
【0037】
整流器及び圧縮ヘッドの詳細な説明
以下に整流器及び圧縮ヘッド製造の詳細を説明する。
【0038】
半導体スイッチ
半導体スイッチ46は、米国ペンシルバニア州ヤングウッド所在のPowerex社から供給されるP/NCM800 HA−34H IGBTスイッチである。好適な実施形態において、2つのスイッチは並列に使用される。
【0039】
インダクタ
インダクタ48、54、及び64は、米国特許第5,448,580号及び米国特許第5,315,611号に説明されているような従来技術のシステムで使用されたものと類似の可飽和インダクタである。図7は、L0インダクタ48の好適な設計を示す。このインダクタにおいて、2つのIGBTスイッチ46Bからの4本の導線は16個のフェライトトロイド49を通り、内径が約1インチで外径が約1.5インチの高透磁性材料の長さ8インチの中空円筒の部品48Aを形成する。次に、4本の導線の各々は、ドーナツ形絶縁コアの回りに2度巻かれて部品48Bを形成する。次に、4本の導線は、C1コンデンサバンク52の高電圧側に接続されたプレートに接続される。
【0040】
図8は可飽和インダクタ54の好適な概略図を示す。この場合、インダクタは単巻回形状であり、全て高電圧である組立体の上部及び下部リッド541、542及び中央マンドレル543が、インダクタの磁気コアを貫通して単巻回を形成する。外側ハウジング545は接地電位である。磁気コアは、米国ペンシルバニア州バトラ所在のMagnetics社から、又は米国カリフォルニア州アデラント所在のNational Arnold社から供給される、50−50%Ni−Fe合金の厚さ0.0005インチのテープ巻きである。インダクタハウジングのフィン546は、内部的に放散された熱を強制空冷装置へ伝導するのを助長する。更に、セラミック製ディスク(図示せず)は、組立体の中央部からモジュールシャーシ底板への熱伝導を助長するためにリアクタの下部リッドの下に取り付けられる。また、図8は、C1コンデンサバンク52のコンデンサの1つ、及び1:25の昇圧パルス変成器56の誘導ユニットの1つの高電圧リード線への高電圧接続部を示す。ハウジング545は、ユニット56の接地リード線に接続される。
【0041】
図9A及び図9Bは、それぞれ可飽和インダクタ64の平面図及び断面図を示す。この実施形態のインダクタにおいて、図9Bに示すように、インダクタの漏洩磁束を低減するために、磁束遮断金属ピース301、302、303、及び304が追加されている。磁束遮断金属ピースは、磁束が貫通できる区域を実質的に減らすので、インダクタの飽和インダクタンスを最小にするのに役立つ。電流は、磁気コア307の回りにインダクタ組立体の垂直導体ロッドを通る5つのループを作る。図9Aに示すように、電流は、305で入り、符号「1」を付与した中央の大径導体を下り、同様に符号「1」を付与した円周部の6つの小径導体を上る。その後、電流は、内側の符号「2」を付与した2つの導体を下り、外側の符号「2」を付与した6つの導体を上り、その後、内側の磁束遮断金属を下り、外側の符号「3」を付与した6つの導体を上り、内側の符号「3」を付与した2つの導体を下り、その後、外側の符号「4」を付与した6つの導体を上り、内側の符号「4」を付与した導体を下る。磁束遮断金属部品は、導体を横切る全パルス電圧の半分に保持されるので、磁束遮断金属部と別の巻回の金属ロッドとの間の安全な分離空間を低減できる。磁気コア307は、米国ペンシルバニア州バトラ所在のMagnetics社、又は米国カリフォルニア州アデラント所在のNational Arnold社から供給された、80%−20%のNi−Fe合金の厚さ0.0005インチのテープ巻きによって形成された3つのコイル307A、307B、及び307Cで構成されている。ドイツ国VACUUM SCHITELZE GmbHから市販されているVITROPERM(登録商標)や日本国の日立金属から市販されているFINEMET(登録商標)等のナノ結晶材料をインダクタ54及び64に使用できることに留意されたい。
【0042】
従来技術のパルス電力システムにおいて、電気部品からのオイル漏れは潜在的な問題であった。この好適な実施形態において、オイルから隔離された構成部品は可飽和インダクタに限定されている。更に、図9Bに示すように、可飽和インダクタ64は、オイル漏れの可能性を実質的に無くすために全てのシール接続部がオイルレベルより上方に位置するポット形式のオイル収容ハウジング内に収容される。例えば、図9Bにはインダクタ64の最下部のシールが308で示されている。通常のオイルレベルは、ハウジング306の上端リップよりも下方にあるので、ハウジングが直立状態に保たれている限り、オイルが組立体から漏れ出すことはほとんど不可能である。
【0043】
コンデンサ
図5に示すように、コンデンサバンク42、52、62、及び82(即ち、C0、C1、Cp-1、及びCp)の全ては、並列に接続された規格品のコンデンサバンクで構成される。コンデンサ42及び52は、米国ノースカロライナ州ステーツヴィル又はドイツ国ウィマ所在のVishay Roederstein社等の供給業者から市販されているフィルム形コンデンサである。本出願人が選択したコンデンサ及びインダクタの接続方法は、米国特許第5,448,580号に説明されているものと同じ方法で、大径のニッケル被覆銅線を有する、特別なプリント回路基板上のプラス及びマイナス端子に半田付けすることである。コンデンサバンク62及び64は、一般的に、日本のムラタ又はティー・ディー・ケー(TDK)等から供給される高電圧セラミック製コンデンサの並列アレイで構成される。このArFレーザに使用される好適な実施形態において、コンデンサバンク82(即ち、Cp)は、9.9nFの静電容量が得られるように33個の0.3nFコンデンサで構成され、Cp-1は、総静電容量9.6nFが得られるように24個の0.40nFコンデンサバンクで構成され、C1は5.7μFのコンデンサバンクであり、C0は5.3μFのコンデンサバンクである。
【0044】
パルス変成器
また、パルス変成器56は、米国特許第5,448,580号及び米国特許第5,313,481号に説明されているパルス変成器と類似のものである。しかしながら、本実施形態のパルス変成器は、単巻きの2次巻線と、1:24の等価昇圧比が得られるように単一主巻回の1/24に等価な24個の誘導ユニットのみを有する。図10はパルス変成器56を示す。24個の誘導ユニットの各々は、図10の下縁部に沿って示すように、プリント回路基板56B上のプラス端子及びマイナス端子にボルト留めされている2つのフランジ(各々がねじ切りされたボルト穴を備える平坦な端部を有する)をもつアルミニウム製スプール56Aを含む。(マイナス端子は、24の主巻線の高電圧端子である。)絶縁体56Cは、各スプールのプラス端子を隣接スプールのマイナス端子から絶縁する。スプールの各フランジの間には、外径0.875、壁厚約1/32インチを有する1と1/16インチ長の中空円筒がある。スプールは、1インチ幅、0.7ミル厚のMetglas(登録商標)2605 S3Aで巻かれ、絶縁されたMetglas(登録商標)の巻きの外径が2.24インチになるまで0.1ミル厚のマイラフィルムで巻かれている。図10Aは、1つの主巻線を形成する単一巻きのスプールの予想図を示す。
【0045】
変成器の二次側は、きつく嵌入しているPTFE(テフロン(登録商標))の絶縁管内に取り付けられた単一外径のステンレス鋼ロッドである。巻線は、図10に示すように4つの区域になっている。図10において56Dとして示すステンレス鋼2次側の低電圧端は、56Eにてプリント回路基板56B上の1次HVリード線に接続され、高電圧端子は56Fで示す。結果として、変成器は、自動変成器の形態を呈し、昇圧比は、1:24ではなく1:25になる。従って、誘導ユニットのプラス及びマイナス端子間の約−1400ボルトのパルスは、2次側の端子56Fでは約−35,000ボルトのパルスを生じる。この単一巻回2次巻線設計は、超低漏洩インダクタンスをもたらし、非常に高速な出力立ち上がり時間を可能とする。
【0046】
レーザ室電気部品の詳細
Cpコンデンサ82は、レーザ室圧力容器の上部に取り付けられた33個の0.3nfコンデンサで構成される。(一般的に、ArFレーザは、3.5%アルゴン、0.1%フッ素、及び残りはネオンで構成されるレーザ発振用ガスで作動される)。各電極は、長さ約28インチであり、各々は、約0.5インチから1.0インチ、好ましくは約1/8インチだけ離間している。以下に好適な電極を説明する。この実施形態において、上部電極は陰極であり、下部電極は図5に示すように接地に接続されており陽極である。
【0047】
放電タイミング
ArF放電レーザ、KrF放電レーザ、及びF2放電レーザにおいて、充電は、約50ns(即ち、50/10億・秒)しか持続しない。この充電によってレーザ発振作用に必要な反転分布が生成されるが、この反転分布は放電中にのみ存在する。従って、シード光注入ArFレーザ、KrFレーザ、又はF2レーザの重要な要件は、分布がレーザガス内で反転された際に、主発振器からのシード光を、約50/10億・秒の間に電力増幅器の放電領域を確実に通過させてシード光を増幅できるようにすることである。放電の正確なタイミングに対する大きな障壁は、(図5に図示するように)スイッチ42を閉じるためにトリガされる時間と40nsから50nsしか持続されない放電の開始との間に約5マイクロ秒の遅延があることである。パルスがC0と各電極との間の回路を通ってリンギングするのに、この約5マイクロ秒の時間間隔が必要とされる。この時間間隔は、充電電圧の大きさ及び回路内のインダクタの温度でかなり変化する。
【0048】
それにも拘わらず、本明細書で説明する本発明の好適な実施形態では、本出願人は、約2ns(即ち、2/10億・秒)未満の相対精度内で2つの放電室の放電タイミング制御を行うことができる電気パルス電力回路を開発した。2つの回路のブロック図を図4に示す。
【0049】
本出願人は、充電電圧によりタイミングが約5ns/ボルトから10ns/ボルトの範囲で変化することを示す種々の試験を行なった。これによって、充電コンデンサを充電する高電圧電源装置の精度及び繰返し率に関する厳しい要件が設定される。例えば、5nsのタイミング制御が望まれる場合、10nm/ボルトのシフト感度であれば、分解精度は0.5ボルトになる。1000vの公称充電電圧の場合、これは0.05%の充電精度を必要とすることになるが、特にコンデンサをこの特定の値4000回/秒で充電する必要がある場合には、この充電精度を実現するのは非常に困難である。
【0050】
この問題に対する出願人の好適な解決策は、図1及び図4に示し更に前述したように、単一の共振充電器でMO及びPAの両充電コンデンサを並列に充電することである。また、図4に示すように、時間遅延:充電電圧の各曲線が一致するように、2つのシステムに対して2パルス圧縮/増幅回路を設計することが重要である。これは、各回路に同じ構成部品を可能な限り使用することによって最も簡単に行うことができる。
【0051】
従って、この好適な実施形態において、タイミング変動(この変動をジッタという)を最小限に抑えるために、出願人は、類似の構成部品を使用して両放電室のパルス電力部品を設計し、図4Aに示すように、時間遅延:電圧の曲線の各々が実際に再現されるのを確認した。出願人は、充電電圧の通常の作動範囲にわたって、電圧によるかなりの時間遅延の変動があるが、電圧による変動が、両回路のついては実質的に同じであることを確認した。従って、両充電コンデンサが並列に充電される状態では、充電電圧は、充電の相対的なタイミングを変えることなく、広い作動範囲にわたって変えることができる。
【0052】
温度の変動は、パルス圧縮タイミングに影響を与える場合があるので(特に可飽和インダクタの温度変化)、パルス電力回路における電気部品の温度制御も重要である。従って、設計目標は、温度変動を最小限に抑えることであり、第2のアプローチは、温度感応部品の温度をモニタし、フィードバック制御を用いてトリガタイミングを調整して補償することである。既知の作動履歴を用いて、過去のタイミング変動に関連する履歴データに基づいて調整を行うように学習アルゴリズムでプログラムされたプロセッサを用いて制御を行うことができる。その後、この履歴データは、レーザシステムの現在の作動に基づいてタイミング変化を予想するために利用される。
【0053】
トリガ制御
2つの室の各々の放電のトリガは、各回路について米国特許第6,016,325号に説明されているものの1つのトリガ回路を利用して別個に達成される。これらの回路では、充電電圧の変動及びパルス電力部の電気部品の温度変化を補正するためのタイミング遅延が追加されることにより、トリガと放電との間の時間が可能な限り一定に保たれる。前述のように、2つの回路は基本的に同一であり、補正後の変動はほとんど同じである(即ち、互いに約2ns以内)。
【0054】
図6C、図6D、及び図6Eに示すように、この好適な実施形態の性能は、主発振器の放電後の約40nsから50nsに電力増幅器に放電が発生した場合には大幅に高められる。これは、レーザパルスが主発振器で生成されるのに数ナノ秒掛かり、レーザ光の先端が主発振器から増幅器へ到達するのに更に数ナノ秒掛かるからであり、更に、主発振器からのレーザ光の後端は前端よりもはるかに狭い帯域幅であるからである。このような理由から、各室のスイッチ46をトリガするために別個のトリガ信号が供給される。図6C、図6D、及び、図6Eに示すような実際の性能曲線に基づいて、実際の遅延は、所望のビーム品質を達成するように選択される。例えば、MOトリガとPAトリガとの間の遅延を大きくすると、パルスエネルギーを犠牲にして、より狭い帯域でより長いパルスを得ることができることに留意されたい。
【0055】
放電タイミングを制御する他の方法
放電の相対的なタイミングは、図6C、図6D、及び図6Eのグラフに示すようなビーム品質に大きな影響を与えるので、付加される段階が、放電タイミングを制御に対して正しいと判定できる。例えば、特定のレーザ作動モードは、結果的に充電電圧の大きな変動又はインダクタ温度の大きな変動をもたらす場合がある。これらの大きな変動は、放電タイミングの制御を複雑にする場合がある。
【0056】
モニタタイミング
放電のタイミングは、パルス間基準でモニタすることができ、時間差は、フィードバック制御システムで使用してスイッチ42を閉じるトリガ信号のタイミングを調整することができる。PAでレーザ光が生成されない場合にはタイミングが不十分になる可能性があるので、レーザパルスではなくて放電蛍光(ASEという)を観察するために、PA放電はフォトセルを用いてモニタするのが好ましい。MOの場合にはASE又はシードレーザパルスのいずれかを使用できる。
【0057】
バイアス電圧の調整
図5Aに示すように、パルスタイミングは、インダクタ48、54、及び64のバイアスをもたらすインダクタLB1、LB2、及びLB3を通るバイアス電流を調整することによって増減することができる。他の方法を用いてこれらのインダクタを飽和させるのに必要な時間を長くすることができる。例えば、コア材料は、パルスタイミングモニタからのフィードバック信号に基づいてフィードバック制御することができる超高速応答PZT素子で機械的に分離することができる。
【0058】
調整可能な寄生負荷
調整可能な寄生負荷は、C0の下流のパルス電力回路のいずれか一方又は両方に追加することができる。
【0059】
追加のフィードバック制御
パルスタイミングモニタ信号の他に充電電圧及びインダクタ温度信号をフィードバック制御に使用して、前述のトリガタイミングの調整に加えて前述のバイアス電圧又はコアの機械的な分離を調整することができる。
【0060】
バースト式作動
タイミングのフィードバック制御は、レーザが連続的に作動している場合は比較的簡単で有効である。しかしながら、通常、リソグラフィレーザは、多くのウェーハの各々の20の区域を処理するために、以下なようなバーストモードで作動する。
ウェーハを所定の位置に移動させるために1分間オフ
区域1を照射するために0.2秒間4000Hz
区域2に移動するために0.3秒間オフ
区域2を照射するために0.2秒間4000Hz
区域3に移動するために0.3秒間オフ
区域3を照射するために0.2秒間4000Hz
・・・
区域199を照射するために0.2秒間4000Hz
区域200に移動するために0.3秒間オフ
区域200を照射するために0.2秒間4000Hz
ウェーハを交換するために1分間オフ
次のウェーハ上に区域1を照射するために0.2秒間4000Hz等。
【0061】
このプロセスは、何時間も繰り返すことができるが、1分間以上随時中断される。
【0062】
停止時間の長さは、MO及びPAの各パルス電力システムの間の相対的なタイミングに影響を与えることになり、MOからのシード光が所望の位置にある場合にPAの放電を確実に発生するようにトリガ制御の調整を必要とする場合がある。放電及び各室からの光のタイミングをモニタすることによって、レーザシステムのオペレータは、最良の性能を得るようにトリガタイミングを調整できる(約2ns以内まで正確に)。
【0063】
レーザ制御プロセッサは、タイミング及びビーム品質をモニタして最良の性能が得られるように、自動的にタイミングを調整するようプログラムされることが好ましい。本発明の好適な実施形態は、種々の作動モードセットに適用可能な種々のビン値セットを生成するタイミングアルゴリズムを利用する。これらのアルゴリズムは、好適な実施形態において、連続運転中にフィードバック制御へ切り替わるように設計され、ここでは1つ又はそれ以上の先行パルス(直前のパルスなど)のために収集されたフィードバックデータに基づいて最新パルスに関するタイミング値が設定される。
【0064】
無出力放電
前述のようなタイミングアルゴリズムは、連続的又は規則的に繰返される運転に関しては良好に作動する。しかしながら、タイミング精度は、例えば5分といった例外的な期間にわたるレーザオフの後の第1のパルス等の、例外的な状況では良好に作動しない場合がある。特定の状況において、バーストの最初の1つ又は2つのパルスに対する不正確なタイミングは問題を引き起こさないであろう。好適な方法は、1つ又は2つのパルスに対してMO及びPAの放電が意図的にシーケンスを外れるようにレーザをプログラムして、MOからのシード光の増幅をできないようにすることである。例えば、レーザは、MOのトリガの前に80nsだけPAの放電をトリガするようプログラムできる。この場合、レーザからの実質的な出力はないであろうが、レーザ測定センサは、第1の出力パルスに対するタイミングパラメータが正確であるようにタイミングパラメータを決定できる。
【0065】
構成部品の水冷
大きい熱負荷に対応し、より高い平均電力モードでの作動をサポートするために、レーザキャビネット内部で冷却ファンによって行われる通常の強制空冷に加え、パルス電力部品の水冷が行われる。
【0066】
水冷式の1つの欠点は、従来、電気部品又は高電圧配線付近の漏れが生じる可能性がある点であった。この特定の実施形態では、構成部品を冷却するためにモジュール内に蓄積された熱の大部分を常に分散するモジュール内部に道順が決められた単一の中実冷却管を利用することによって実質的にその潜在的な問題が回避される。モジュールエンクロージャ内部には継手や接続部はなく、更に、冷却管は、連続した中実金属(例えば、銅、ステンレス鋼)片であることから、モジュール内で発生する漏れの可能性は大幅に低減される。従って、冷却水とモジュールとの接続は、組立体の板金製エンクロージャの外部で行われ、冷却管は、クイック脱着式コネクタと結合する。
【0067】
可飽和インダクタ
整流器モジュールの場合、図11に示すように、水冷式可飽和インダクタ54Aが設けられ、水冷式可飽和インダクタ54Aは、図11に示すようなフィン54が水冷式ジャケットに置き換えられた点を除き、図8に示すインダクタ54と類似したものである。冷却ライン54A2は、ジャケット54A1を包み込むと共にIGBTスイッチ及び直列ダイオードが取り付けられるアルミニウム製の底板を貫通するように、モジュール内に配置される。これら3つの構成部品は、モジュール内の電力分散の大部分を行う。また、熱を放散する他の部品(スナバダイオード及び抵抗器、コンデンサ等)は、モジュール後部の2つのファンによって行われる強制空気によって冷却される。
【0068】
ジャケット54A1は接地電位に保持されることから、冷却管を反応器ハウジングに直接取り付ける際には電圧絶縁の問題はない。これは、冷却管を54a3に示すハウジング外側のアリ溝に圧入すると共に、冷却管とハウジングとの間の良好な熱接触を促進する熱伝導性コンパウンドを使用することによって行われる。
【0069】
高電圧部品の冷却
各IGBTスイッチは、高電圧で「フロートする」が、1/16インチ厚アルミニウム板によってスイッチから電気絶縁されたアルミニウム製基部に取り付けられる。放熱板として機能すると共に接地電位で作動するアルミニウム製底板は、冷却回路では高電圧絶縁が必要ないので冷却が容易である。
【0070】
図7Aは水冷アルミニウム製底板を示す。この場合、冷却管は、IGBTが取り付けられているアルミニウム製基部の溝に圧入される。インダクタ54aの場合と同様に、管と底板との全体的な結合を改善するために熱伝導性コンパウンドが使用される。
【0071】
また、直列ダイオードは、通常の作動中に高電位で「フロートする」。この場合、この設計で一般に使用されるダイオードハウジングは、高電圧絶縁されない。この必要な絶縁を行うために、ダイオード「ホッケーパック型」パッケージが放熱板組立体内部に取り付けられでクランプされ、次に、放熱板組立体がセラミック製基部上に取り付けら、次に、セラミック製基部が水冷式アルミニウム製底板上に取り付けられる。セラミック製基部は、必要な電気絶縁を行うのに適切な厚みであるが、必要以上の熱的インピーダンスとなる程には厚くない。この特定の設計では、セラミックは、1/16インチ厚のアルミナ製であるが、ダイオード接合部と冷却水との間の熱的インピーダンスを更に低減するために、ベリリア等の他の特殊な材料を使用することもできる。
【0072】
水冷整流器の第2の実施形態は、IGBT及びダイオード用シャーシ底板に取り付けられる単一の冷却板組立体を使用する。冷却板は、単品のニッケル管を2枚のアルミニウム製「上部」板及び「下部」板にろう付けすることによって製造することができる。前述のように、IGBT及びダイオードは、前述のセラミック製ディスクを組立体の下方に使用して、冷却板へ熱を伝達するように設計される。また、本発明の好適な実施形態において、冷却板の冷却方法は、共振充電器のIGBT及びダイオードを冷却するのに使用される。また、外部ハウジングからシャーシ板へ熱を伝達するために伝熱ロッド又はヒートパイプを使用することができる。
【0073】
圧縮ヘッドの詳細な説明
水冷式圧縮ヘッドは、電気的設計において従来技術の空冷式と類似する(反応器の設計では同型セラミック製コンデンサが使用され、類似の材料が使用される)。この場合の主な相違点は、このモジュールがより高い繰返し率で作動し、従って、より高い平均電力で作動する必要がある点である。圧縮ヘッドモジュールの場合、熱の大部分は、変更された可飽和インダクタ64A内で放散される。ハウジング全体が非常に高い電圧の短パルスで作動することから、部分組立体の冷却は簡単ではない。図12、図12A、及び図12Bに示すこの問題の解決策は、ハウジングを接地電位から誘導的に絶縁することである。このインダクタンスは、フェライト磁気コアを含む2つの円筒外形の回りに冷却管を巻きつけることによってもたらされる。図12、図12A、及び図12Bに示すように、入力冷却ライン及び出力冷却ラインの両方は、2つの円筒部と2つのフェライトブロックで形成されたフェライト磁気コアの円筒部の回りに巻かれている。
【0074】
フェライト片は、米国ニュージャージー州フェアフィールドのCeramic Magnetics社製造のCN−20材料で作られる。単品の銅管(0.187インチ径)は、インダクタ64Aのハウジング64A1の回りの一方の巻型上に圧入されて巻かれると共に、他方の巻型上にも圧入されて巻かれる。冷却管結合部がシャーシ内に存在しないように、銅管の両端部には圧縮ヘッドの板金製カバー内の取り付け具を貫通して延びることができる十分な長をもつ。
【0075】
インダクタ64Aは、水冷式整流器の第1段階の反応器ハウジングで使用されるものと類似の符号64A2で示すアリ溝を備える。このハウジングは、アリ溝を除いては前述の空冷バージョンとほとんど同じである。ハウジングと冷却水管材との良好な熱結合を行うために、水冷式銅管はこの溝に圧入される。また、熱伝導性コンパウンドは、熱的インピーダンスを最小限に抑えるために追加されている。
【0076】
インダクタ64Aの電気的設計は、図9A及び図9Bに示す符号64のものから若干変更されている。インダクタ64Aは、(3巻きではなく)テープによる4巻きの磁気コア64A3の回りに、(5つのループではなく)2つのループのみが形成されている。
【0077】
水冷式管の出力電位から接地電位までの導電経路によって、バイアス電流回路は若干異なっている。前述と同様に、バイアス電流は、整流器のDC−DC変換器にケーブルを介して圧縮ヘッドに供給される。電流は、「正の」バイアスインダクタLB2を通り、Cp−1電圧ノードに接続される。次に、電流は分離され、一部がHVケーブルを介して整流器へ戻る(変成器の2次巻線を通って接地され、DC−DC変換器に戻る)。他の電流は、圧縮ヘッド反応器Lp−1を通り(磁気スイッチをバイアスするため)、次に、冷却水管の「負の」バイアスインダクタLB3を通って接地しDC−DC変換器に戻る。各区間での抵抗のバランスをとることによって、設計者は、圧縮ヘッド反応器及び整流器変成器の両方で使用可能な十分なバイアス電流を確保することができる。
【0078】
「正の」バイアスインダクタのLB2は、「負の」バイアスインダクタLB3と極めて類似したものとされる。この場合、同じフェライトロッド及びブロックは、磁気コアとして使用される。しかしながら、2つの0.125インチ厚のプラスチック製スペーサを使用して、磁気コアがDC電流で飽和しないように磁気回路内にエアギャップを形成する。インダクタに冷却水管を巻く代わりに、巻型の回りに18AWGテフロン(登録商標)線が巻かれる。
【0079】
クイック接続
この好適な実施形態において、3つのパルス電力電気モジュールはブラインド係合式の電気接続を利用するので、レーザシステムの各部への全ての電気接続はモジュールをレーザキャビネット内の所定位置にスライドさせるだけで行うことができる。これらのモジュールは、交流配電モジュール、電源モジュール、及び共振充電器モジュールである。それぞれの場合において、モジュール上の雄又は雌プラグは、キャビネット後部に取り付けられた雌又は雄プラグと係合する。それぞれの場合において、モジュール上の2つの約3インチ端部テーパピンは、電気プラグが適切に契合するように、モジュールを正確な所定位置に案内する。米国ペンシルバニア州ハリスバーグ所在のAMP社から、AMPモデル番号194242−1等のブラインド係合式コネクタが市販されている。この実施形態において、コネクタは、交流208ボルト、交流400ボルト、直流1000ボルト(電源出力、共振充電器入力)及び幾つかの信号電圧等の各種電力回路用である。これらのブラインド係合接続によって、これらのモジュールは点検及び交換のために数秒又は数分で取り外すことができる。ブラインド係合接続は、モジュールの出力電圧が20ボルトから30,000ボルトの範囲である整流器モジュールには使用されない。その代わりに、一般的な高電圧コネクタが使用される。
【0080】
放電部品
図2及び図2Aは、本発明の好適な実施形態で利用される改良型放電構成の詳細を示す。この構成は、出願人がブレード誘電電極と呼ぶ電極構成を含む。この設計では、陽極10A4は、放電領域内でガス流を改善するために、図示のように誘電空間が陽極の両側に設けられた鈍いブレード状の電極を備える。
【0081】
陽極は、長さ26.4インチ、高さ0.439インチである。下部が幅0.284インチ、上部が幅0.141インチである。陽極は、中心部からの電極の異なる熱膨張を可能にするソケット貫通ネジを有する流れ形成陽極支持バー10A6に取り付けられる。陽極は、銅ベースの合金、好ましくはC36000、C95400、又はC19400で構成される。陰極10A2は、図2Aに示すように、陽極に対向する位置が若干尖っている断面形状を有する。好適な陰極材料はC36000である。このブレード誘導構成の詳細な説明は、本明細書に引用によって組み込まれた米国特許出願番号09/768753に示されている。この構成における電流戻り部10A8は、電極の長さ方向に沿って等間隔に配置された27本のリブを有する鯨骨形状に形成された細い(約1/16インチ径)銅線又は真鍮線による単一の長尺部で構成されており、その横断面は図2及び図2Aに示される。この電線は、陽極下部では線条溝に、室上部の内面では半環状溝に固定される。
【0082】
別のパルス電力回路
図5C1、図5C2、及び図5C3は、第2の好適なパルス電力回路を示す。この回路は、前述の実施形態と類似しているがC0を高い電圧値に充電するために高電圧電源を利用する。前述の実施形態と同様に、交流230ボルト又は460ボルトの工場電力で作動する高電圧パルス電源ユニットは、前述のように高速充電共振充電器の電源であり、約1100Vから2250Vの範囲の電圧に4000から6000Hzの周波数で2つの2.17μFを正確に充電するように設計される。主発振器の整流器及び圧縮ヘッド内の電気部品は、電力増幅器内の対応する構成部品と可能な限り同じである。このことは、2つの回路内の時間応答性を可能な限り同じに保つために行われる。各スイッチ46は、各々定格3300Vで並列に配置された2つのIGBTスイッチの列である。C0コンデンサバンク42は、2.17μFC0バンクを作るために64の平行区間に配置されている128個の0.068μFコンデンサで構成される。C1コンデンサバンク52は、2.33μFのバンク静電容量を形成するために68の平行区間に配置されている136個の0.068μF 1600Vコンデンサで構成される。Cp−1及びCpコンデンサバンクは、図5を参照して説明したものと同一である。可飽和インダクタ54は、0.5インチ厚の50%−50%Ni−Feで構成された、外径4.9インチ、内径3.8インチの5つの磁気コアを有する、約3.3nHの飽和インダクタンスをもたらす単巻きインダクタである。可飽和インダクタ64は、各々が80%−20%Ni−Feで作られ、外径5インチ、内径2.28インチを有する0.5インチ厚の5つのコアで構成された約38nHの飽和インダクタンスをもたらす2巻きインダクタである。トリガ回路は、2ナノ秒のタイミング精度でIGBTの46を閉じるために設けられている。主発振器は、一般的に電力増幅器のIGBT46のトリガの約40ns前にトリガされる。しかしながら、正確なタイミングは、主発振器の出力タイミング及び電力増幅器の放電タイミングを測定するセンサからのフィードバック信号を用いて決めるのが好ましい。
【0083】
タイミング制御の別の方法
前述のように、パルス電力システムの磁気パルス圧縮の処理タイミングは、材料温度等の関数とすることができる磁気材料の特性に依存する。従って、正確なタイミングを維持するためには、これらの材料特性を直接的又は間接的にモニタ及び/又は予測することが非常に重要である。前述の1つの方法では、タイミングを予測するために、先に収集したデータ(温度の関数としての遅延時間)と共に温度モニタが利用されることになる。
【0084】
別の方法では、各パルス間で磁気が逆バイアスされているので、磁気スイッチバイアス回路を利用して磁気特性(飽和時間)を実際に測定するようになっている。バイアス回路は、材料に逆バイアスをかけるのに十分な電圧を磁気スイッチへ印加すると同時に飽和時間を測定するので、レーザのタイミングは正確に制御できる。逆バイアスをかけるのに利用するボルト・秒の積は、順方向の通常の放電作動時に所要のものと等しい必要があるので、パルス電力システムの処理遅延時間は、到来パルスの作動電圧が分かれば簡単に計算できるであろう。
【0085】
提案方法の概略図を図5Dに示す。初期作動では、2つのバイアス分離インダクタであるLバイアス、及びスイッチS4を介して電源装置BT1から供給される電流により、磁気スイッチL1は既に順方向で飽和していると想定する。次に、この電流はS4を開くことで遮断され、S2を閉じることで100Vが磁気スイッチL1に印加され、30ns後に飽和する。タイマーは、S2が閉じるとトリガされ、電流プローブがL1の飽和を検出するとカウントを停止し、従って、100Vの印加電流に対するL1の飽和時間を計算する。この状態では、L1には逆バイアスがかけられ、S3及び他の構成部品による回路の残留電圧が無くなると主パルス放電手順の準備が完了する。
【0086】
パルス長
図6Eに示すように、出願人が行なった試験で測定された出力パルス長は、約20nsの範囲であり、ある程度、2回の放電の相対的なタイミングの関数である。パルス長(その他は同等として)が長くなると、リソグラフィ装置の光学部品の寿命を延ばすことができる。
【0087】
出願人は、パルス長を長くする幾つかの方法を特定した。前述のように、放電間の相対時間は、パルス長に対して最適化することができる。MO及びPAのパルス電力回路は、引用により本明細書に組み込まれた米国特許出願番号09/451,995に説明したような方法を用いて、より長いパルスが得られるように最適化することができる。個々のパルス強度を低減するために、引用により本明細書に組み込まれた米国特許第6,067,311号に説明されているもの等の光学パルス増倍システムをPAの下流に付加することができる。好適なパルス増倍ユニットは以下のセクションで説明する。このパルス増倍器は、リソグラフィツールのレンズ部品に対するビーム経路の一部とすることができる。室をより長く作ることもでき、長いパルス長が得られるように設計された進行波放電を生成するように電極を構成することもできる。
【0088】
パルス増倍ユニット
好適なパルス増倍装置を図22Aに示す。レーザ50からのレーザ光は、ビーム分割器22に当たる。ビーム分割器は、約40%の反射率を有する。光の約40%は、出力ビーム30の第1の部分を反射する。入射光の残りは、ビーム24としてビーム分割器22を通過する。ビームは、焦点がビーム分割器22からミラーまでの距離に等しい球面鏡であるミラー26によって、小さな角度で再度反射する。従って、ビームは、ビーム分割器22付近のそこから僅かに外れた点27に集束される。このビームは再度広がり、今度は、同様に焦点がこのミラーから点27までの距離に等しい球面鏡であるミラー28によって反射される。ミラー28は、ビームを小さな角度で反射し、同様に反射ビームを視準する。この反射ビーム32は、右へ進みミラー29でビーム分割器22へ反射され、ここでは、ビーム分割器22を通ってビームの約60%が伝達され、合流して出力ビーム30の第2の部分になる。ビーム34の一部(約40%)は、ビーム32の繰返し往復のためにビーム分割器22によってビーム24の方向へ反射される。その結果、短い入力パルスは幾つかの部分に分割されるので、ビームの全持続時間が長くなり、そのピーク強度が小さくなる。ミラー26及び28は、到来ビームの一部を互いに結像する中継システムを形成する。その結像のために、出力ビームの各部は実質的に同一である。(ミラー26及び28が平面鏡であった場合、ビームの拡散によってその後の繰返し毎にビームが広がるので、ビームサイズは繰返し毎に異なるものとなる)。ビーム分割器22から、ミラー26、ミラー28、ミラー27、最後にビーム分割器22までの全光学経路長によって、各繰返し間の時間遅延が決まる。図22B1は、ArFエキシマレーザによって生成された一般的なパルスのパルスプロファイルを示す。図22B2は、図22Aに基づいて形成されたパルス伸張器で引伸ばされた後の、類似のArFエキシマレーザのシミュレート出力パルスのプロファイルを示す。この実施例において、パルスのTisは、18.16nsから45.78nsに増大した。(Tisは、レーザパルスを説明するのに使用されるパルス持続時間の尺度である。積分二乗パルス時間を示す)。
【0089】
図22Cは、図22Aと類似の配置であるが、追加の遅延経路を備えている。この場合、第1のビーム分割器22Aは、25パーセントの反射が得られるように設計され、第2のビーム分割器22Bは、40パーセントの反射が得られるように設計される。図22Dは、コンピュータシミュレーションによって作成された最終的なビーム形状を示す。この引伸ばされたパルスのTisは、約73.2nsである。図22Cの実施形態において、ビーム分割器22Bを介して伝達されるビームの各部は、反射時に方向が反転し、結合して出口ビーム30になる。これによって、ビームの空間コヒーレンスが大幅に低減される。
【0090】
ビーム分割器の設計は、内部反射減衰を利用するものであってよく、また板の両側からフレネル反射を生成するための傾斜した被覆をもたない透明板が、所望の反射−伝達比を得るようにしてもよい。
【0091】
パルス伸張器ユニットは、前記に提案したように垂直光学テーブル11の裏面に組み込むことができ、又は、光学テーブルの上又はその内部に組み込むことができる。
【0092】
パルスエネルギー及び線量エネルギーの制御
パルスエネルギー及び線量エネルギーは、前述したようなフィードバック制御システム及びアルゴリズムで制御されることが好ましい。パルスエネルギーモニタは、リソグラフィツール内のウェーハ近傍のレーザとすることができる。この方法を使用して、所望のパルスエネルギーを生成するよう充電電圧が選択される。前述の好適な実施形態において、MO及びPAの両方には、COが並列に充電されることから同一の充電電圧が供給される。
【0093】
出願人は、この方法は非常に良好に機能し、タイミングジッタ問題を大幅に低減する判断した。しかしながら、この方法は、確かにPAから独立してMOを制御するレーザオペレータの能力を、ある程度低下させてしまう。しかしながら、各ユニットの性能を最適化するために別個に制御することができるMO及びPAの作動パラメータも幾つかある。これらの他のパラメータには、レーザガス圧、F2濃度、及びレーザガス温度が含まれる。これらのパラメータは、2つの室の各々において独立して制御され、プロセッサ制御によるフィードバック方式で調整されることが好ましい。
【0094】
他の光学的品質の改善
本発明は、従来技術による単室式高繰返し率放電ガスレーザよりもはるかに高いパルスエネルギー及び出力電力を可能とするレーザシステムを提供する。このシステムにおいて、主発振器は、大体において波長及び帯域幅を決定し、電力増幅器は、主としてパルスエネルギーを制御する。電力増幅器の効率的なシード光供給に必要なパルスエネルギーは、図6Bに示すように1mJよりもはるかに少なくてもよい。主発振器形式のレーザでは5mJパルスを容易に生成できるので、余分なエネルギーができる。この余分なパルスエネルギーは、特にエネルギー効率が高くないビーム品質を改善するための特定の方法を使用する機会を与える。
【0095】
これらの方法には以下のものが含まれる。
・引用により本明細書に組み込まれた米国特許第5,852,621号に説明されているようなパルストリミング。パルスエネルギーをモニタし、パルスを遅延させてポッケルス・セルなどの超高速光学スイッチを使用して、遅延パルスの一部をトリミングする。
・本明細書で後述する、非常に高いビーム拡大を伴う線幅狭小化モジュール及び小さな開口の使用。
・波面エンジニアリング
米国特許第6,094,448号に説明されている回折格子の単一屈曲とともに、空洞間の波面補正を主発振器に追加することができる。これは、引用により本明細書に組み込まれた米国特許出願番号09/703,317に説明されているような回折格子の複数屈曲、及び変形可能な調整ミラー14(引用により本明細書に組み込まれた米国特許第6,192,064号に説明)を挙げることができる。また、波面補正は、公知の波面歪みを補正するように構成された非平面プリズム面等の静的補正とすることができる。
・ビームフィルタリング
引用により本明細書に組み込まれた米国特許出願番号09/309,478に説明され、更に、図23の11で示す、帯域幅を低減するための空間フィルタ等のビームフィルタを追加できる。ビームフィルタは、MO空洞共振器内か又はMOとPAとの間に設けることができる。また、ビームフィルタは、PAの下流側に追加できる。焦点を通って進むビームを必要としない好適な空間フィルタは、完全内部空間フィルタであり、以下のセクションで説明する。
・コヒーレンス制御
レーザ光のコヒーレンスは、集積回路業者にとって問題になりかねない。放電ガスレーザは、一般的に、低コヒーレンスを有するレーザ光を生成する。しかしながら、帯域幅を非常に狭くすればするほど出力ビームのコヒーレンスが大きくなる。このような理由から、ある程度の誘導空間非コヒーレンスが望まれる場合がある。コヒーレンスを低減するための光学部品がMP共振充電器又はMOとPAとの間に追加されることが好ましい。移動相プレート又は音響光学素子等のコヒーレンスを低減するための幾つかの光学部品が公知である。
・開口の設定
シード光のビーム品質は、ビームのより厳しい開口設定によって改善することができる。
【0096】
完全内部空間フィルタ
空間フィルタリングは、統合された帯域幅の95%を低減するのに有用である。しかしながら、従来提案された全ての直接的な空間フィルタリング方法は、少なくともビームを集中させて、多くの場合、実際にビームを集束する必要があった。更に、全ての従来設計は、複数の光学素子を必要とした。集束ビームを必要としない単純かつ小型の空間フィルタは、簡単にレーザ反応器の内部に組み込むことができる。
【0097】
フィルタは、約2インチ長の単一プリズムである。プリズムの入射面及び出射面は互いに平行であり、入射ビームに対して垂直である。他の2つの面は互いに平行であるが、入射面及び出射面に対して臨界角に等しい角度で配向される。193.35nmの波長では、CaF2内の臨界角は、41.77°である。唯一必要とされる被覆は、プリズムの入射面及び出射面の法線入射反射防止被覆である。
【0098】
空間フィルタは以下のように作動することになる。ビームが法線入射でプリズムの入射面から入る。次に、ビームは、プリズムの臨界角面へ進む。ビームが視準されると、全ての光線はこの第2の面では臨界角で入射する。しかしながら、ビームが拡散又は集束すると、光線の一部は、臨界角より大きな角度及び臨界角より小さな角度でこの面にぶつかる。臨界角以上の角度でこの面にぶつかる全ての光線は100%反射される。臨界角より小さな角度でこの面にぶつかる全ての光線は、100%未満の値で反射され、減衰する。全ての反射光線は、同じ角度でプリズムの反対面に入射し、同じ量だけ減衰される。提案された設計において、各々の経路に関して合計6回の反射が行われることになる。臨界角より小さい1mradの角度におけるP−偏光の反射率は約71%である。従って、臨界角と1mrad以上相違する入射角をもつ全ての光線は、元の強度の13%未満で出射面に伝達されることになる。
【0099】
しかしながら、このフィルタの単一経路は片側だけとなる。臨界角より大きな角度で入射する全ての光線は100%反射する。ビームは、空間フィルタプリズムを一旦出るとミラーに入射することになる。レーザ共振器の内部では、このミラーは、LNPの出力カプラ又は回折格子である。ミラーから反射した後に、光線は再度空間フィルタプリズムに入るが、大きな相違点が1つある。臨界角より大きな角度で空間フィルタから出た全ての光線は、ミラーで反射した後に反転することになる。これらの光線は、今度は臨界角より小さな角度でプリズムに再び入り、減衰されることになる。プリズムを通るこの第2の経路は、プリズムの伝達機能を片側フィルタから真の帯域フィルタに変える。図23Aは、CaF2で作られた193.35nmにおける完全内部反射空間フィルタの理論的な伝達機能を示す。
【0100】
図23Bは、空間フィルタの設計を示す。プリズムの入射面及び出射面は1/2インチである。臨界角面は約2インチである。入射ビーム幅は2.6mmであり、短軸におけるビーム幅を表す。プリズムは、図の平面では1インチの高さをもつことになる。図は3セットの光線を示す。第1の光線セットは視準され、臨界角で各面にぶつかる。緑色光線である。第2の光線セットは、臨界角より小さな角度の面に入射し、第1の反射部で終わる。青色光線である。これらの光線は、拡大図においてより明らかになる。これは、第1の経路で減衰される光線を表す。最後の光線セットは、臨界角より大きな角度で入射する。これらの光線は、全ての第1の経路全体を通って進むが、第2の経路の第1の反射部で終わる。第2の経路で減衰される光線を表す。
【0101】
室間の望遠鏡
好適な実施形態において、円筒型反射望遠鏡は、主発振器の出力部と電力増幅器の入力部との間に設けられている。これによって、電力増幅器に入るビームの水平サイズが制御される。また、この望遠鏡は、公知の技術を用いて水平拡散を制御するように設計できる。
【0102】
ガス制御
本発明の好適な実施形態は、図1に示すようにガス制御モジュールを有し、各レーザ室を適切な量のレーザガスで満たすように構成される。各室に入るガスの連続的な流れを維持してレーザガス濃度を所望レベルに一定又はほぼ一定に維持するために、適切な制御装置及びプロセッサ装置を設けることが好ましい。これは、米国特許第6,028,880号、米国特許第6,151,349号、又は米国特許第6,240,117号(いずれも、引用により本明細書に組み込まれる)に説明されているような方法を用いて実現できる。
【0103】
出願人が二元充填法と呼ぶ、室に入るガスの連続的な流れを可能にするための他の方法は、各々がオリフィスを有する連続ラインである幾つかの(例えば5本の)充填ラインを設け、前のラインの流れを、遮断弁を有する各々のラインと重ねることを可能にする。最も低い流量ラインは、最小の均衡ガス流を可能にするようにオリフィスを有する。開かれる弁の組み合わせを適切に選択することによって、所望の流量をほとんど達成することができる。オリフィス付きラインとレーザガス源との間に、レーザ室圧力の約2倍の圧力に維持されるバッファタンクを設けることが好ましい。
【0104】
可変帯域幅制御
前述のように、本発明のこの好適な実施形態は、従来技術によるエキシマレーザ帯域幅よりもはるかに狭いレーザパルスを生成する。帯域幅が所望のものよりも狭く、非常に短い焦点深度の焦点となる場合もある。大きな帯域幅でより良好なリソグラフィ結果が得られる場合もある。従って、帯域幅を調整するための方法が好まれる場合がある。このような方法は、米国特許出願番号09/918,773及び米国特許出願番号09/608,543に説明されており、それらの全ての開示内容は、引用により本明細書に組み込まれる。この方法では、特定のリソグラフィ結果を得るための好適な帯域幅を決定し、次に、図16B1に示すPZT調整ミラー制御と共に利用可能な超高速波長制御を用いてパルスのバースト中に素早くレーザ波長を変更し、所望のスペクトル形状をシミュレートするコンピュータモデリングが使用される。この方法は、特に、集積回路内に比較的に深い孔を作る際に有用である。
【0105】
垂直光学テーブル
好適な実施形態において、2つの室及びレーザ光学部品は、垂直に配置された光学テーブル上に取り付けられる。光学テーブルは、3点運動学的支持部を有するレーザフレーム内に支持されることが好ましい。1つ好適な実施形態による配置を図1C1に示す。金属製ストラップは、光学テーブルがレーザフレーム4(図1C1では図示せず)に取り付けられる位置A、B、及びCにおいて光学テーブル11上に設けられている。位置Aには回り継手が設けられており、回り継手は、光学テーブルをしっかり固定するが光学テーブルの旋回を可能にする。位置Bにはボール及びV溝が設けられており、これは光学テーブルの底面の平面内での回転及び光学テーブルの前面の平面内での回転を制限する。位置Cには、A−B軸線回りの回転を制限するボール及びスロット溝が設けられている。
【0106】
高速制御アルゴリズムを使用した超高速波長計
パルスエネルギー、波長、及び帯域幅の制御
集積回路リソグラフィに使用される従来技術によるエキシマレーザは、レーザ光パラメータに関する厳しい仕様に支配される。これには、一般的に、各パルスのパルスエネルギー、帯域幅、及び中心波長の測定、及び、パルスエネルギー及び帯域幅のフィードバック制御が必要であった。従来技術による装置では、パルスエネルギーのフィードバック制御はパルス間基準、即ち、各パルスのパルスエネルギーは、得られたデータを直後のパルスのエネルギーを制御するための制御アルゴリズムで使用できるように迅速に測定される。1,000Hzシステムに関しては、これは、次のパルスのための測定及び制御の所要時間は1/1000秒未満で行う必要があることを意味する。4000Hzシステムに関しては、この4倍の速度で行う必要がある。引用により本明細書に組み込まれた米国特許第5,025,455号及び米国特許第5,978,394号には、中心波長を制御して波長及び帯域幅を測定する方法が説明されている。
【0107】
また、この好適な実施形態のビームパラメータの制御は、出力ビームの波長及び帯域幅が主発振器10の状態によって設定されるが、パルスエネルギーが電力増幅器12の状態でほぼ決定される点で、従来技術によるエキシマレーザ光源設計と異なる。この好適な実施形態において、波長、帯域幅、及びパルスエネルギーは、パルス増倍器の出力においてパルス間基準で測定され、この測定結果は、波長及びパルスエネルギーを制御するためにフィードバック制御システムで使用されることが好ましい。また、これらのビームパラメータは、電力増幅器の出力部や主発振器の出力部等の他の場所で測定することができる。
【0108】
好ましくは、電力モニタ(p−セル)は、電力増幅器やパルス倍増器の下流側で主発振器の出力部に設ける必要がある。また、好ましくは、p−セルは、主発振器への後方反射をモニタするために設ける必要がある。このような後方反射は、発振器で増幅されるとLNP光学部品を破損する場合がある。後方反射モニタからの後方反射信号は、危険閾値を超えた場合にレーザを停止するために使用される。また、システムは、何らかの大きな後方反射を引き起こす場合があるビーム経路内の閃光を回避するように設計する必要がある。
【0109】
ビームパラメータの高速測定及び制御
以下に、このレーザのビームパラメータの測定及び制御について説明する。本実施形態で使用される波長計は、米国特許第5,978,394号で説明されているものと類似しており、以下の説明の一部は、この特許から抜粋したものである。
【0110】
ビームパラメータの測定
図14は、好適な波長計ユニット120、絶対波長基準較正ユニット190、及び波長計プロセッサ197の配置を示す。
【0111】
これらのユニット内の光学機器は、パルスエネルギー、波長、及び帯域幅を測定する。これらの測定結果は、パルスエネルギー及び波長を所望の限界値内に維持するためにフィードバック回路で使用される。これらの光学機器は、レーザシステム制御プロセッサからの指令で原子基準源を参照して自己較正する。
【0112】
図14に示すように、レーザ出力ビームは、反射ミラー170と部分的に交差し、反射ミラー170は、出力ビーム33としてビームエネルギーの約95.5%を通過させ、パルスエネルギー、波長、及び帯域幅測定のために約4.5%を反射する。
【0113】
パルスエネルギー
反射されたビームの約4%は、ミラー171によってエネルギー検出器172に反射され、エネルギー検出器172は、4,000パルス/秒の速度で発生する個々のパルスのエネルギーを測定することができる超高速フォトダイオード69を備える。パルスエネルギーは約10mJであり、検出器69の出力は、コンピュータ制御装置に供給され、コンピュータ制御装置は、個々のパルスのエネルギー及びパルスの総バーストエネルギーの変動を制限するために、特有のアルゴリズムを用いて、記憶されたパルスエネルギーデータに基づいてレーザ充電電圧を調整して、以降のパルスのパルスエネルギーを正確に制御する。
【0114】
線形フォトダイオードアレイ
線形フォトダイオードアレイ180の受光面を、図14Aに詳細に示す。アレイは、1024個の別個のフォトダイオード集積回路及び関連のサンプル・ホールド読出し回路(図示せず)を備える集積回路チップである。フォトダイオードは、全長25.6mm(約1インチ)になるように25マイクロメートル間隔である。各々のフォトダイオードは、500マイクロメートル長である。
【0115】
このようなフォトダイオードアレイは、幾つかの供給元から販売されている。好適な納入業者は、Hamamatsuである。出願人の好適な実施形態において、4,000Hz以上の速度で完全な1024画素走査を読み取ることができるFIFOベースで、最大4×106画素/秒の速度で読み取ることができるモデルS3903−1024Qを使用する。PDAは、2×106画素/秒で作動するように設計されたものであるが、出願人は、それよりもはるかに高速に、即ち、4×106画素/秒で作動するようにオーバークロックを行うことが可能なことを見出した。4,000Hzより高いパルス繰返し率の場合、出願人は、同じPDAを使用することができるが、通常、毎回の走査では画素の一部(例えば60%)しか読み取ることができない。
【0116】
粗い波長の測定
ミラー171を通過するビームの約4%は、ミラー173によって反射され、スリット177を通ってミラー174、ミラー175に進み、ミラー174に戻ってエシェル格子176上に進む。ビームは、焦点距離458.4mmを有するレンズによって視準される。格子176で反射された光は、再びレンズ178を通過して再度ミラー174、175で反射され、再び174で反射された後に、ミラー179で反射され、図14Bの上側に示すように、画素600から画素950の領域で1024画素線形フォトダイオードアレイ180の左側に集束される(画素0から599は、精密な波長測定及び帯域幅のために残しておく)。フォトダイオードアレイ上のビームの空間位置は、出力ビームの相対公称波長の大まかな尺度である。例えば、図14Bに示すように、約193.350pmの波長範囲の光は、画素750及びその近傍に集束することになる。
【0117】
粗い波長の計算
波長計モジュール120の粗波長光学部品は、フォトダイオードアレイ180の左側に約0.25mm×3mmの矩形の像を生成する。10個又は11個の照光フォトダイオードは、受光強度(図14Cに示す)に比例した信号を出力し、信号は、波長計制御装置197のプロセッサによって読み取られてデジタル化される。この情報及び補間アルゴリズムを用いて、制御装置197は、像の中心位置を計算する。
【0118】
この位置は(画素単位で測定)、2つの較正係数を使用し、位置と波長との線形関係を前提にして粗波長値に変換される。これらの較正係数は、以下で説明するように、原子波長基準源を参照して決定される。例えば、像位置と波長との間の関係は以下のアルゴリズムとすることができる。
λ=(2.3pm/画素)P+191,625pm
但し、
P=粗画像中心位置
もしくは、所望であれば、“+()P2等の第2次項を追加することによって精度を高めることができる。
【0119】
精密な波長の測定
図14に示すミラー173を通過するビームの約95%は、ミラー182で反射して、レンズ183を通って、エタロン組立体184の入力部の拡散器(好ましくは、「改良エタロン」と題した以下のセクションで説明する回折拡散器)上に進む。エタロン184を出たビームは、エタロン組立体の焦点距離458.4mmのレンズによって集束され、図14に示す2つのミラーで反射した後に、線形フォトダイオードアレイ180の中央及び右側に干渉縞を生成する。
【0120】
分光計は、実質的にリアルタイムで波長及び帯域幅を測定する必要がある。レーザ繰返し率は、4,000Hzから6,000Hz又はそれ以上であってもよいので、経済的で小型の処理電子機器で所望の性能を達成するために、正確であるが計算が集中的でなにアルゴリズムを使用する必要がある。従って、計算アルゴリズムは、浮動小数点計算ではなく整数を使用することが好ましく、数学的演算は、計算効率が高い(平方根、サイン、ログ等を使用しない)ことが好ましい。
【0121】
この好適な実施形態で使用される好適なアルゴリズムの具体的詳細を以下に説明する。図14Dは、線形フォトダイオードアレイ180によって測定される典型的なエタロン干渉縞信号を表す、図示の5つのピークを有する曲線である。中央のピークは、高さが他のピークよりも低い。異なる波長の光がエタロンに入射すると、中央のピークは上昇又は下降し、ときにはゼロになる。この点から、中央のピークは波長測定には不適当である。他のピークは、波長の変化に応答して中央のピークの方向に移動するか又は中央のピークから離れるので、これらのピークの位置は、波長を決定するために使用でき、一方、ピークの幅はレーザの帯域幅を評価する。図14Dには、各々、データ窓と記された2つの領域が示されている。データ窓は、通常、中央のピークに最も近い干渉縞が分析に使用されるように位置決めされる。しかしながら、波長の変化により干渉縞が中央のピークに接近し過ぎた場合には(これによって歪み及びそれによる誤差の原因になる)、第1のピークは、窓の外に出るが、第2の最も近いピークは窓の内側にあり、ソフトウェアは、制御モジュール197に第2のピークを使用させる。逆に、波長が変化して、現在のピークを中央のピークから離れるようにデータ窓の外側に移動させる場合には、ソフトウェアは、データ窓内の内側干渉縞にジャンプする。また、データ窓は図14Bにも示されている。
【0122】
4,000Hzから6,000Hz又はそれ以上の範囲の繰返し率で各パルスの帯域幅を超高速で計算するために、好適な実施形態は、図15に示すハードウェアを使用する。ハードウェアは、米国アリゾナ州フェニックス所在のMotorola社から供給されるマイクロプロセッサ400、モデルMPC 823、米国カリフォルニア州サンホセ所在のAltera社から供給されるプログラム可能論理素子402、モデルEP 6016QC240、実行・データメモリバンク404、テーブル形式でフォトダイオードアレイデータを一時的に記憶するための専用超高速RAM406、メモリバッファとして作動する第3の4×1024画素RAMメモリバンク408、及びアナログ・デジタル変換器410を含む。
【0123】
米国特許第5,025、446号及び米国特許第5,978、394号で説明されるように、従来技術による装置は、中心線波長及び帯域幅を決定するために、エタロン184及びフォトダイオードアレイ180によって生成された干渉縞を表す大量のPDAデータ画素強度データを分析する必要があった。波長及び帯域幅の各計算のためにエタロン干渉縞を探して記述するために、約400画素強度値を分析する必要があるので、これはコンピュータプロセッサを使用しても比較的時間が掛かるプロセスであった。本発明の好適な実施形態は、重要な干渉縞を見つけるためのプロセッサを設け、波長情報を計算するプロセッサと並列に作動させることによって、このプロセスを大幅スピードアップする。
【0124】
基本的な方法は、画素データが生成される際にPDA画素データからフリンジデータ表を連続的に生成するのにプログラム可能論理回路402を使用することである。また、論理回路402は、干渉縞データセットのいずれが対象の干渉縞データを表すかを特定する。次に、中心波長及び帯域幅の計算が必要な場合には、マイクロプロセッサが特定された対象画素からデータを拾い上げて、中心波長及び帯域幅の必要な値を計算するだけである。このプロセスによって、マイクロプロセッサ計算時間は1/10に低減される。
【0125】
中心波長及び帯域幅を計算するための好適なプロセスにおける具体的な段階は以下の通りである。
1)2.5MHzで作動するように計時されたPDA180を用い、PDA180は、4,000Hzの走査速度で画素1から600のデータを収集し、100Hzの速度で画素1から1028のデータを読み出すようプロセッサ400から指示される。
2)PDA180が生成したアナログ画素強度データは、アナログ・デジタル変換器410によって、アナログ強度値からデジタル8ビット値(0から255)に変換され、デジタルデータは、フォトダイオードアレイ180の各画素において、強度を表す8ビット値としてRAMバッファ408に一時的に記憶される。
3)プログラム可能論理回路402は、干渉縞を捜しながらほぼリアルタイムでRAMバッファ408から連続的に出ていくデータを分析し、全てのデータをRAMメモリ406に記憶し、各々のパルスの全ての干渉縞を特定し、各々のパルスについて干渉縞のテーブルを作成し、テーブルRAM406に記憶し、更に分析するために、各々のパルスに関する2つの干渉縞からなる1つの最良の組を特定する。論理回路402に使用する方法は以下の通りである。
【0126】
A)PLD402は、最小の画素強度値を追跡しながら強度閾値を超えるか否か判定するためにバッファ408を経由して送られてくる各画素を分析する。閾値を超えている場合、これは、干渉縞ピークが生じつつあることを示す指標である。PLDは、閾値を超える最初の画素を「立ち上りエッジ」画素数として特定して、「立ち上りエッジ」画素に先行する画素の最小画素値を記憶する。この画素強度値は、干渉縞の「最小値」として特定される。
B)次に、PLD402は、干渉縞ピークを捜すためにその後の画素強度値をモニタする。強度が閾値値強度よりも低下するまで強度最高値を追跡することによってこれを行う。
【0127】
C)閾値を下回る値を有する画素が見つかると、PLDは、立ち下りエッジ画素番号としてその画素を特定して最大値を記憶する。次に、PLDは、立ち下りエッジ画素番号から立ち上りエッジ画素番号を引くことによって干渉縞の「幅」を計算する。
D)干渉縞の立ち上りエッジ画素番号、最大干渉縞強度、最小干渉縞強度、及び干渉幅の4つの値は、RAMメモリバンク406の干渉縞領域の円形テーブルに記憶される。ほとんどのパルスは2つの窓で2個から5個の干渉縞を生成するに過ぎないが、各パルスについて最大15個までの干渉縞を表すデータを記憶することができる。
【0128】
E)また、PLD402は、各パルスに対して、各パルスの「最良の」2つ干渉縞を特定するようにプログラムされる。これは、0個から199個のデータ窓の範囲内で最後の干渉縞を全て特定すると共に、400個から599個のデータ窓の範囲内で最初の干渉縞を完全に特定することによって行う。
【0129】
パルス後に、(1)画素データの収集、及び(2)干渉縞の円形テーブルの形成に必要とされる総時間は、約200マイクロ秒に過ぎない。この方法の時間節約に関する主たる利点は、干渉縞の検索が、干渉縞データが読み出されデジタル化され記憶される際に行われる点にある。特定のパルスについて2つの最良の干渉縞が特定されると、マイクロプロセッサ400は、RAMメモリバンク406から2つの干渉縞領域の生画素データを入手し、次に、そのデータから帯域幅及び中心波長を計算する。その計算は以下の通りである。
【0130】
エタロン干渉縞の典型的な形状を図14Dに示す。PLD402の過去の作業に基づいて、画素180周辺で最大値を有する干渉縞及び画素450周辺で最大値を有する干渉縞がマイクロプロセッサ400に対して特定される。干渉縞の形状及び位置を定義するために、これらの2つの最大値周辺の画素データが、マイクロプロセッサ400によって分析される。これは以下のように行われる。
【0131】
A)最大半値は、干渉縞最大値から干渉縞最小値を引いて、その差を2で割り、その結果を干渉縞最小値に加えることによって決定される。2つの干渉縞の各立ち上りエッジ及び各立ち下りエッジについては、最大半値よりも大きい最近値及び最大半値より小さい最近値を有する2つの画素が計算される。次に、1/32画素の精度で、図14Dに示すD1及びD2の終点を定義する場合、マイクロプロセッサは、2つの画素値の間で外挿を行う。これらの値から円形干渉縞の内径D1及び外径D2が決定される。
【0132】
精密な波長の計算
精密な波長の計算は、進路波長測定値、及びD1及びD2の測定値を使用して行われる。波長の基本的な方程式は以下の通りである。
λ=(2*n*d/m)cos(R/f) (1)
ただし、
λは、ピコメートル単位の波長である。
nは、エタロンの内部屈折率であり、約1.0003。
dは、+/−lμmで管理されたエタロン間隔であり、KrFレーザの場合は約1542μm、ArFレーザの場合は約934μm。
mは、次数であり、干渉縞ピークにおける波長の整数であり、KrFの場合は約12440、ArFの場合は9664。
Rは、干渉縞の半径であり、130個から280個のPDA画素であり、1画素は25ミクロン。
fは、レンズからPDA面までの焦点距離である。
【0133】
cos項を展開して無視できるほど小さい高次数項を取り除くと、
λ=(2*n*d/m)[1−(1/2)(R/f)2] (2)
直径D=2*Rについてこの方程式を書き換えると、
λ=(2*n*d/m)[1−(l/8)(D/f)2] (3)
【0134】
波長計の主な仕事は、Dからλを計算することである。これには、f、n、d、及びmを知る必要がある。n及びdは、エタロン固有のものであることから、組み合わせてNDという単一の較正定数にする。fは、Dの単位を純粋な比率に合わせるために、画素単位を用いるFDという別の較正定数にする必要がある。整数次数mは、波長及びいずれの干渉縞の対を選ぶかによって変わる。mは、その目的では十分に正確である粗干渉縞波長を使用して決定される。
【0135】
これらの方程式に関する幾つかの利点は、全ての大きな数字が正の値であるということである。WCMのマイクロコントローラは、約32ビットの精度を維持しながらこれを計算することができる。括弧付きの項をFRACと呼ぶ。
FRAC=[1−(1/8)(D/FD)2] (4)
【0136】
内部では、FRACは、小数点が最重要ビットの左にある符合のない32ビット値として表される。FRACは、常に1よりも僅かに小さいので、そこで最大の精度が得られる。FRACは、{560から260}画素のDレンジに関しては[1−120E−6]から[1−25E−6]の範囲である。
【0137】
ND較正値を入力すると、波長計は、内部の波長単位がフェムトメートル(fm)=10^−15メートル=0.001pmで2ND=2*NDという内部の符合なし64ビット値を計算する。内部では、精密波長に関しては波長λをfm単位でFWLとして表す。
これらの変数に関して方程式を書き換えると、
FWL=FRAC*2ND/m (5)
である。
【0138】
演算でfm単位のFWLをもたらすFRACの基数点シフトを処理する。mは、方程式を移し替えて同様にfm単位のCWLという既知の粗波長を代入して解く。
m=最も近い整数(FRAC*2ND/CWL) (6)
【0139】
最も近い整数を取るのは、最も近い精密波長から粗波長になるまで、従来の方法でFSRを加えたり引いたりするのと等価である。方程式(4)、方程式(6)、方程式(5)と順に解いて波長を計算する。内径及び外径については、別途にWLを計算する。平均値は線中心波長であり、その差は線幅である。
【0140】
帯域幅計算
レーザの帯域幅は、(λ2−λ1)/2として計算される。固定補正係数は、真のレーザ帯域幅に加えるエタロンピークの固有幅を求めるために適用される。数学的には、逆重畳アルゴリズムは、測定した幅からエタロン固有幅を取り除く方式であるが、集中的な計算になり過ぎるので、固定補正値Δλεを差し引くことによって、十分な精度が得られる。
従って、帯域幅は、

となる。Δλεは,エタロン仕様及び真のレーザ帯域幅に左右される。一般的に、本明細書で説明する用途の場合には0.1から1pmの範囲にある。
【0141】
改良エタロン
この実施形態は、改良エタロンを利用する。従来のエタロン取り付け方法では、通常、エラストマを用いて周囲の構造体に光学素子を取り付け、光学素子の位置を拘束するが、光学素子に加わる力を最小限に抑える。これに一般的に使用される化合物は室温加硫シリコン(RTV)である。しかしながら、これらのエラストマから放出される様々な有機的蒸気は、光学的表面を蒸着してその性能を低下させる場合がある。エタロン性能寿命を延ばすために、エラストマ化合物を含まない密閉エンクロージャ内にエタロンを取り付けることが望ましい。
【0142】
好適な実施形態は、図14及び図14Eに184で示す改良されたエタロン組立体を含む。図14Gに示す石英ガラス製エタロン79自体は、フランジ81を有する上部板80及び下部板82で構成され、両方の板は高級石英ガラスから成る。エタロンは、1.0003の屈折率及び25又はそれ以上の純度のガスによって取り囲まれる場合、193.35nmにて20.00pmの自由スペクトル範囲の干渉縞を生成するように設計される。熱膨張が非常に小さい3つの石英ガラス製スペーサ83は、両板を分離し、厚さは934マイクロメータ±1マイクロメータである。これらは、光学部品の製造技術では公知の方法である光学的接触によってエタロンを一体に保持する。エタロン内面の反射率は、それぞれ約92パーセントであり、外面は反射防止被覆処理が施されている。エタロンの透過率は約50パーセントである。
【0143】
エタロン79は、引出し線85で示す半径方向位置においてフランジ81の下縁の下方に中心から120°に配置された3つのパッド(図示せず)に対してフランジを押し当てる3つの低押力バネ86及び重力によってのみ、アルミニウム製ハウジング84の所定位置に保持される。フランジ81の上縁に沿ったわずか0.004インチの間隙87によって、エタロンが適切な位置にほぼ維持されるのが保証される。また、この公差嵌合によって、取り付けによって何らかのショック又は衝撃がエタロンシステムに伝達されても、光学部品とハウジング接点との間の相対速度は確実に最小に保たれる。エタロン組立体184の他の光学部品には、拡散器88、窓89、及び焦点距離458.4mmの集光レンズ90が含まれる。
【0144】
拡散器88は、エタロンの適切な作動に必要な様々な入射角度を作るためにエタロンの上流側に一般的に使用される標準的な従来技術による拡散器とすることができる。従来技術による拡散器の問題点は、拡散器を通過する光の約90パーセントが有効な角度になっていないので、フォトダイオードアレイ上に集束されない点である。しかしながら、この無駄な光は、光学系を加熱して光学面の劣化の一因となる場合がある。より好適な実施形態では、拡散器88として回折レンズアレイが使用される。この形式の拡散器では、光を完全に拡散させるが約5°以内の角度であるパターンが生成される。その結果、エタロンに当たる光の約90パーセントが有効な角度で入射し、エタロンに入射する光の大部分がフォトダイオードアレイによって最終的に検出される。その結果、エタロンに入射する光を大幅に低減することができるので、光学部品の寿命が大幅に延びる。出願人は、入射光は、フォトダイオードアレイ上の同等の光に関する従来技術の値の5%又は10%未満に低減できると推定している。
【0145】
回折拡散器による視準の改善
図14Hは、エタロンを通過する光強度を一層低減する好適な実施形態の特徴を示す。この実施形態は、前述の実施形態と類似する。ミラー182(約15mm×3mm)からのサンプルビームは、集光レンズ400を通過して上方に進むと、レンズ402によって再度視準される。ここで視準され寸法が約5mm×1mmに小さくなったビームは、エタロンハウジング窓404を通過した後、回折拡散素子406を通過するが、この場合(ArFレーザの場合)、回折拡散素子406は、米国アリゾナ州ハンツビル所在のMems Optical社から供給される回折拡散素子である。この回折拡散素子は、部品番号D023−193であり、任意の断面構成を有する任意の入射視準ビームにおける実質的に193nmビームの全てを、2°の角度で第1の方向に、4°の角度で第1の方向に垂直な第2の方向に拡大するビームへ変換する。次に、レンズ410は、拡大ビームを図14に示すフォトダイオードアレイ180を覆う矩形パターン上に「集束させる」。フォトダイオードアレイの活性領域は、幅が約0.5mm、長さが約25.6であり、レンズ410によって形成されたスポットパターンは、約15mm×30mmである。回折拡散素子はビームの空間成分を完全に混ぜ合わせるが、エタロンを通過する光を大幅に低減して効率的に利用することができるように、ビームエネルギーの実質的に全てを2°及び4°の限界値内に維持する。エタロンを通過するビームエネルギーの一層の低減は、フォトダイオードアレイの短い寸法のスポットパターンを低減することによって実現できることを理解されたい。しかしながら、更に15mm未満に小さくすると光学的な位置合わせが難しくなる。従って、設計者は、スポットパターンの大きさは、トレードオフの問題であることを考慮する必要がある。
【0146】
約248.327nmで作動するKrFレーザのために設計された他のシステムでは、類似の設計で波長の調整が行われる。この実施形態において、レンズ400は、約50mmの焦点距離を有する(レンズは、Melles Griot社製の部品番号OILQP001)。視準レンズ402は、−20mmの焦点距離を有する(EVI Laser社製の部品番号PLCC−10.0−10.3−UV)。回折拡散素子406は、Mems Optical社製の部品番号DO23−248である。この実施形態及びArF実施形態において、2つのレンズの間隔は、スペーサ416で適切に位置決めされる。出願人は、この設計範囲で作動するレーザでエタロンを通過するビームのエネルギーは、エタロンの重大な熱的問題を引き起こすほどのものではないと推定している。他の好適な実施形態において、ビームは、レンズ400と200との間で集束させることができる。この場合、公知の光学的方法使用して適切なレンズを選択できる。
【0147】
パルスエネルギー及び波長のフィードバック制御
引用により本明細書に組み込まれた米国特許第6,005,879号「エキシマレーザのパルスエネルギー制御」に全て説明されているように、後続パルスのパルスエネルギーは、前述した各パルスのパルスエネルギーの測定結果に基づいて、所望のパルスエネルギー及び特定の数のパルスの所望の統合線量を維持するように制御される。
【0148】
レーザの波長は、波長の測定値、及び、引用により本明細書に組み込まれた米国特許第5,978,394号「エキシマレーザの波長システム」に説明されている方法等の従来技術で公知の方法を用いて、フィードバック方式で制御することができる。出願人は、最近、圧電駆動装置を利用して調整ミラーを極めて高速で動かすための種々の波長調整方法を開発した。これらの方法の一部は、引用により本明細書に組み込まれた2000年6月30出願の米国特許出願番号608,543「レーザの帯域幅制御方法」に説明されている。以下のセクションでこれらの方法を簡単に説明する。圧電スタックによってレバーアームの支点位置が調整される。
【0149】
組み合わせPZT/ステッピングモータ駆動式調整ミラーを有する新LNP
圧電駆動装置の詳細設計
図16は、出力レーザ光の波長及びパルスエネルギーを制御するのに重要なレーザシステムの特徴を示すブロック図である。
【0150】
線幅狭小化は、4プリズムビーム拡張器(112aから112d)、調整ミラー114、及び格子10C3を含む線幅狭小化モジュール110によって行われる。非常に狭いスペクトルを実現するために、この線幅狭小化モジュールでは非常に高いビーム拡大が使用される。このビーム拡大は、一般的に従来技術によるマイクロリソグラフィエキシマレーザで使用される20Xから25Xに対して45Xである。更に、前部開口(116a)及び後部開口(116B)の水平寸法が小さくなっており、即ち、従来技術では約3mm及び2mmであるのに対して1.6及び1.1mmである。ビームの高さは、7mmに制限される。全てのこれらの測定値によって、帯域幅を約0.5pm(FWHM)から約0.2pm(FWHM)に減少させることができる。また、レーザエネルギーパルスは、5mJから約1mJに低減される。しかしながら、これは、この光は10mJの所望出力が得られるように増幅器において増幅されるので問題にはならない。出力カプラ118の反射率は30%であり、これは、従来技術によるレーザの反射率に近いものである。
【0151】
図16B1は、本発明の好適な実施形態の詳細な特徴を示す。ミラー14の位置の大きな変更は、ステッピングモータによって26.5:1のレバーアーム84を介して行われる。この場合、圧電駆動装置80端部のダイヤモンドパッド81は、レバーアーム84の支点で球形の位置決めボールに接触するように設けられる。レバーアーム84の上部とミラーマウント86との接触は、レバーアーム上の円筒形ドエルピンと、符号85で示すミラーマウント上に取り付けられた4つの球面玉軸受け(そのうちの2つのみを図示)によって行われる。圧電駆動装置80は、圧電マウント80Aを用いてLNPフレーム上に取り付けられており、ステッピングモータは、ステッピングモータマウント82Aを用いてフレームに取り付けられている。ミラー14は、3つのアルミニウム製球体(そのうちの1つのみが図16B1に図示)を使用して3点マウントを用いてミラーマウント86に取り付けられている。3本のバネ14Aによって、球体に対してミラーを保持するための圧縮力が付与される。この実施形態は、圧電駆動装置をLNP内の環境から隔離するためのベローズ87(缶として機能)を含む。この隔離によって、UVによる圧電駆動素子の損傷が防止されると共に、圧電材料からのガス抜けによる汚染の可能性がなくなる。
【0152】
事前調整及び能動的調整
前述の種々の実施形態は、チャープ補正以外の目的に使用することができる。集積回路リソグラフィ設備のオペレータは、所定の基準で波長を変更することを望む場合がある。換言すると、目標中心波長λTは固定波長とすることはできないが、特定パターンの後に、又は、初期の履歴波長データ又は他のパラメータを使用した学習アルゴリズムの連続的又は定期的な更新の結果として、所望の頻度で変更することができる。
【0153】
適応フィードフォワード
本発明の好適な実施形態は、フィードフォワードアルゴリズムを含む。これらのアルゴリズムは、既知のハースト作動パターンに基づいてレーザオペレータがコード化することができる。もしくは、このアルゴリズムは、レーザ制御によって上記の図表に示したようなバーストパターンが検出された後に、波長シフトを防止するか又は最小限に抑えるために、波長シフトを予期したミラー14の調整を行う目的での制御パラメータの修正に適応できるようにすることができる。適応フィードフォワード方法は、1つ又はそれ以上前のバーストからのデータから、及びチャープの影響を反転するためのPZTスタックを使用して、ソフトウェアにおいて任意の繰返し率でチャープのモデルを構築する。
【0154】
チャープ反転を適切に設計するために、(1)PZTスイッチのパルス応答、及び、(2)チャープの形状という2つの情報が必要である。各々の繰返し率については、PZTスタックのパルス応答によるチャープ波形の逆重畳によって、パルスのシーケンスが得られ、このシーケンスは、PZTスタック(適切な符号を有する)に適用される場合、チャープを取り消す。この計算は、1組の繰返し率での挙動調査によってオフラインで行うことができる。データシーケンスは、パルス番号及び繰返し率によって索引が付されたテーブルに保存することができる。このテーブルは、適応フィードフォワード反転で使用される適切な波形データを収集するために作動中に参照することができる。また、繰返し率が変更される度に作動開始時に幾つかのデータバーストを用いてほぼリアルタイムでチャープ形状モデルを得ることが可能であり、実際に選択されるであろう。チャープ形状モデル及び恐らくはPZTパルス応答モデルも、その後、モデルとデータとの間の蓄積誤差測定値に基づいてNバースト毎に更新する(例えば、適合させる)ことができる。好適なアルゴリズムを図16Eに示す。
【0155】
パルスバーストの始まりのチャープは、図16Eに示すアルゴリズムを使用して制御することができる。記号Kは、バースト内のパルス番号を示す。バーストは、k領域及びl領域の2つの領域に分離される。k領域は、k番目(チャープを取り囲むのに十分な長さの期間を定義する)未満のパルス番号に関するものである。各パルス番号に対して、別個の比例定数Pk、整数定数Ik、及び線幅中心誤差ΣLCEkの整数の和が使用される。次のバーストk領域内の対応するパルス番号のPZT電圧は、これらの定数及びその和で決定される。k番目のパルス以降、従来の比例整数ルーチンによりPZT電圧が制御される。バースト内の次のパルスの電圧は、現在の電圧+P*LCE+I*ΣLCEとなる。図16Eは、このアルゴリズムの主な段階を説明するフローチャートを示す。
【0156】
振動制御
好適な実施形態において、レーザ室由来の振動による種々の悪影響を低減するために能動的振動制御を適用することができる。この方法の1例として、圧電ロードセルを利用して、LNP振動をモニタして、Rmaxミラーに対して追加的な制御関数を与えるのに使用されるフィードバック信号をもたらす。この方法は、引用により本明細書に組み込まれた米国特許出願番号09/794,782に説明されている。
【0157】
他の帯域幅の測定方法
本発明の好適な実施形態によるレーザ光の帯域幅は、従来技術によるリソグラフィレーザと比較すると大幅に低減される。従って、前述のシステムが可能にする精度よりも非常に高い精度の測定システムを備えることが望ましい。この方法の1例は、引用により本明細書に組み込まれた2001年10月31日出願の米国特許出願番号10/003,513「高分解エタロン格子分光計」に説明されている。帯域幅、即ち、半値幅及び95%積分帯域幅の両方を測定する、他の高精度の方法は、レーザ部品として組み込むか、又は試験装置として設けることができる。
【0158】
レーザ室
熱交換器
好適な実施形態は、4,000パルス/秒のパルス繰返し率で作動するように設計される。パルス間で放電の影響を受けた放電領域からガスを清浄するには、電極18Aと電極20Aとの間に最大約67m/sのガス流が必要である。これらのガス速度を達成するために、横流ファンユニットの直径は5インチ(ブレード構造体の長さは26インチ)に設定され、回転速度は、約3500rpmに高められている。この性能を達成するために、実施形態は、協働して約4kwの駆動電力をファンブレード構造体に供給する2つのモータを利用する。4000Hzのパルス速度で、放電によって約12kwの熱エネルギーがレーザガスに加えられる。ファンによって加えられた熱と共に放電によって生成された熱を除去するために、4つの別個の水冷式フィン付き熱交換器ユニット58Aが設けられる。モータ及び熱交換器について以下に詳細に説明する。
【0159】
本発明の好適な実施形態は、図4に全体的に示す4つの水冷式フィン付き熱交換器58Aを利用する。これらの熱交換器の各々は、図1で58に示す単一の熱交換器と多少類似するが実質的な改良点を有する。
【0160】
熱交換器構成部品
熱交換器の1つの断面図を図21に示す。熱交換器の中央は切り取られているが両端は図示されている。図21Aは、熱膨張及び収縮に対応する熱交換器の端部の拡大図を示す。
【0161】
熱交換器構成部品には、純銅(CU11000)から機械加工されたファン付き構造体302が含まれ、12個のフィン/インチを有している。水流は、0.33インチのボア径を有する軸方向の経路を通る。軸方向の経路に位置するプラスチック製攪拌器306は、経路内の水の層状化を防止すると共に、経路の内面での高温境界層の形成を防止する。撓みフランジユニット304は、内フランジ304A、ベローズ304B、及び外フランジ304Cから成る溶接されたユニットである。熱交換器ユニットは、熱交換器内を流れる水をレーザガスからシールするための3つのC型シール308を含む。ベローズ304Bは、室に対する熱交換器の膨張及び収縮を可能にする。2重ポートナット400によって、熱交換器経路が標準的な5/16インチの位置決めエルボー管の取付け具に接続され、この取付け具は水供給源に接続されている。Oリング402によって、ナット400とフィン付き構造体302との間のシールが行われる。好適な実施形態において、4つの熱交換器ユニットのうちの2つの冷却水流の方向は、他の2つの熱交換器ユニットとは反対であり、軸方向の温度勾配が最小限に抑えられる。
【0162】
攪拌器
好適な実施形態において、攪拌器は、一般にエポキシ成分を混ぜ合わせるのに使用され、3M社から販売されている4つの市販の長尺インラインミキサで構成される(Static Mixer、部品番号06−D1229−00)。インラインミキサは図21及び図21Aに306に示す。インラインミキサによって、ピッチ距離(0.3インチ)毎に時計方向を反転させる概して螺旋状の経路に沿って水が強制的に流される。攪拌器は、熱交換器性能を大幅に改善する。出願人による試験の結果、攪拌器を付加すると、同程度のガス温度条件を維持するために必要な水流が約1/5に低減することが分かった。
【0163】
流路
この好適な実施形態において、放電領域を出入りするガス流は、従来技術によるレーザ室よりも大幅に改善されている。放電の上流で横流ファンの出口に隣接する領域は、放電領域の断面が大から小へ滑らかに移行する形状である。放電領域の直ぐ下流の断面は、ガスが強制的に90°方向転換して熱交換器に入る前に放電値が小から最大になるように滑らかに大きくなる。この配置によって、急激な高速ガス流によって引き起こされる圧力降下及び関連の乱流が最小限に抑えられる。
【0164】
ブロアモータ及び大型モータ
本発明のこの第1の好適な実施形態は、レーザガスを循環させるための2つのモータによって駆動される大型横流ファンを備える。図2に示すこの好適な配置によって、電極間には、4,000パルス間で放電領域の約1.7cmの空間を清浄するのに十分な67m/秒のガス流が供給される。
【0165】
ファンのブレード構造体の斜視図を図18Aに示す。
ブレード構造体は、直径5インチであり、中実アルミニウム合金6061−T6棒材から機械加工される。各区域の個々のブレードは、図18Aに示すように隣接区域から僅かにオフセットしている。このオフセットは、圧力波面の生成を防ぐために不均一であることが好ましい。もしくは、個々のブレードは、ブレード軸線に対して若干角度を付けることができる(圧力波面の生成を防ぐために)。また、ブレードは、放電領域と向かい合うブレード縁からの音の反射を低減するために鋭い前縁をもつ。
【0166】
図18に示すこの実施形態では、米国特許第4,950,840号で説明されているように、2つの3相ブラシレス直流モータであって、それぞれがモータの固定子部を図18に示すようなレーザガス環境から隔離する金属製圧力カップに収容された磁気回転子を備えるものを利用することができる。この実施形態において、圧力カップは、レーザガスバリアとして機能する0.016インチ厚の薄肉ニッケル合金400である。2つのモータ530及び532は、同じ軸を駆動し、反対方向に回転するようにプログラムされる。両モータは、センサレスモータである(即ち、位置センサレスで作動する)。右モータ530を制御する右モータ制御装置534は、開始/停止、電流指令、電流フィードバック等を実施するために、アナログ・デジタル信号によってスレーブモータ制御装置536を制御するマスタ制御装置として機能する。レーザ制御装置24Aとの通信は、マスタ制御装置534へのRS−232シリアルポートを介して行われる。
【0167】
高デューティサイクルLNP
線幅狭小化パッケージをパージすることは公知である。しかしながら、従来技術では、パージ流が格子面上に直接流れるのを防止することが教示されており、パージ流が一般に格子の背面等の位置に配置されたポートによってもたらされる。しかしながら、出願人は、非常に高い繰返し率では、高温ガス(窒素)の層が格子の面上に形成され、波長に歪みが生じることを発見した。この歪みは、前述した能動的波長制御によって少なくとも部分的に補正することができる。別のアプローチは、図17に示すように回折格子面をパージすることである。図17では、長さ10インチ、直径3/8インチのパージ管61の上部の小さな孔(1/4インチ間隔で1mm)によってパージ流が形成される。パージ流は、以下のセクションで説明するように純粋な窒素供給源からの窒素とすることができる。しかしながら、LNPの場合、LNP構成部品から熱を取り除く際にはヘリウムの方が有効であることから、ヘリウムは好適なパージガスである。他の方法を図17A、図17B、及び図17Cに示す。
【0168】
パージシステム
本発明のこの第1の実施形態は、性能を大幅に改善すると共に構成部品の寿命を実質的に延ばす超純粋窒素パージシステムを含む。
【0169】
図19は、本発明の第1の好適な実施形態の重要な特徴を示すブロック図である。本発明のこの実施形態において、窒素ガスによってパージされる5つのエキシマレーザ部品は、LNP2P、レーザ室6Pに取り付けられる高電圧部品4P、高電圧部品4Pを上流側のパルス電力部品10Pと接続する高電圧ケーブル8P、出力カプラ12P、及び波長計14Pである。構成部品2P、4P、8P、12P、及び14Pの各々は、各々が窒素入口ポート及び窒素出口ポートの2つのポートだけを有する密封容器又は室に収容される。窒素源16Pは、一般に集積回路製造工場における大型窒素タンク(一般に液体窒素温度に維持される)であるで、比較的小さな窒素の瓶とすることができる。窒素源ガスは、窒素源20Pを出ると、窒素パージモジュール7Pに入り窒素フィルタを通って、パージされる構成部品への窒素流を制御するための流量制御弁を収容する配電盤20Pに至る。各々の構成部品に関して、パージ流は、モジュール17Pに戻って流量モニタ装置22Pに至り、そこで各々のパージ装置から戻るパージ流がモニタされ、モニタされた流量が所定値を下回る場合にはアラーム(図示せず)が作動する。
【0170】
図19Aは、本発明のパージに関する特徴に特に関係するものではない一部の別の窒素に関する特徴を含む、この好適な実施形態の特定の構成部品を示す配線図である。
【0171】
窒素フィルタ
本発明の重要な特徴は、窒素フィルタ18を包含している点である。従来、集積回路リソグラフィ用エキシマレーザの製造業者は、市販の窒素の窒素ガス仕様はほんどいつも良好であり、仕様を満足するガスは十分にきれいなので、窒素パージガスのフィルタは必要ではないと信じていた。しかしながら、出願人は、時としてソースガスは仕様外れである場合があること、又は、パージシステムに至る窒素配管に汚染物質が含有されている可能性があることを見出した。また、配管は、保守又は運転中に汚れる可能性がある。出願人は、フィルタコストは、汚れによる損傷の確率は低いが非常に効果的な保険であると判断した。
【0172】
好適な窒素フィルタは、米国カリフォルニア州サンディェゴ所在のAeronex社から販売されているモデル500K不活性ガス清浄器である。このフィルタは、H2O、O2、CO、CO2、H2、及びノンメタン炭化水素をサブパーツ/10億のレベルまで除去する。0.003ミクロン以上の全ての微粒子の99.9999999パーセント取り除く。
【0173】
流れモニタ
ユニット22の流れモニタは、5つのパージされた構成部品の各々に対して設けられる。流量が低い場合のアラーム機能を有する市販ユニットが市販されている。
【0174】
配管
全ての配管は、内面が電解研磨されたステンレス鋼(316SST)製であることが好ましい。また、PFA400製又は超高純度テフロン(登録商標)製の特定の形式のプラスチック製管を使用することもできる。
【0175】
再循環及び清浄
パージガスの一部又は全ては、図19Bに示すように再循環させることができる。この場合、パージモジュールにはブロア及び水冷式熱交換器が付加される。例えば、光学部品からのパージ流を再循環させることができ、電気部品からのパージ流を排気することができ、又は、組み合わせた流れの一部を排気することもできる。また、オゾンを密閉されたビーム経路から除去するために、オゾン洗浄素子を追加することができる。これには、O3と反応する幾つかの材料の1つで作られたフィルタが含まれる。
【0176】
LNPのヘリウムパージ
好適な実施形態において、LNPはヘリウムでパージされ、残りのビーム経路は窒素でパージされる。ヘリウムは、窒素よりもはるかに屈折率が小さいので、ヘリウムを使用するとLNPの熱の影響が最小限に抑えられる。しかしながら、ヘリウムの値段は窒素の約1000倍である。
【0177】
改良されたシール
ビーム経路を密封するための好適な方法は、引用により本明細書に組み込まれた2001年11月14日出願の米国特許出願番号10/000,991「改良されたビーム経路を有する放電ガスレーザ」に説明されている。図19C、図19D、図19E、及び図19Fは、その出願から抜粋したものである。図19Cは、前述の主発振器と類似のガス放電システムの各構成部品間のベローズシールを示す図である。図19Dは、モータとLNPエンクロージャとの間の境界面をシールするための、LNPステッピングモータ配置に対するベローズ配置を含む変更を示す。図19Eは、LNPの加熱を最小限に抑えると共にヘリウムでパージできるようにLNP入口を取り囲む、LNP用の熱的に切り離された開口を示す。ヘリウムは、図19Cにおいて符号95で示すようにレーザ室窓ユニットを通ってLNPから出る。図19F1、図19F2、図19F3、図19F4及び図19F5は、各レーザモジュール間のシールを行うために使用されるが、迅速なモジュール交換を可能にするためにモジュールの迅速かつ簡単な切り離しを可能にする、簡単な密封ベローズシールを示す。図19Gは、波長計の高強度部をパージするための特別なパージ配置を示す。
【0178】
システムの利点
本明細書で説明するシステムでは、特にArFレーザ及びF2レーザに関して長期のエキシマレーザ性能に大きな改善が見られる。汚れの問題は基本的に解決るので、実質的に構成部品の寿命が延び、ビーム品質が改善される。更に、出口ポートを除き漏れはなくなっていることから、流量を所望の値に制御することができ、これには、窒素必要量をほぼ半減させる効果がある。
【0179】
電力計を有する密封シャッタユニット
この第1の実施形態は、図20、図20A、及び図20Bに示すように内蔵電力計付き密閉シャッタユニット500を含む。この重要な改良点において、シャッタは、レーザ光を阻止するシャッタとして、更に測定が必要とされるときは常にビーム電力をモニタする完全ビーム電力計としての2つの機能を有する。
【0180】
図20は、シャッタユニットの主要構成部品を示す平面図である。これらは、シャッタ502、ビームダンプ504、及び電力計506である。シャッタが閉じた位置でのレーザ出力ビームの経路を図20の符号510で示す。シャッタが開いた位置での経路を符号512で示す。ビーム停止部品516のシャッタ有効面は、室を出るビームの方向と45°であり、シャッタが閉じるとビームはシャッタ面で吸収されると共に、ビームダンプ504へ反射される。ビームダンプ有効面及びシャッタ有効面の両方は、レーザ光を多く吸収するようにクロムメッキが施されている。この実施形態において、ビーム停止部品516は、撓みバネ鋼製アーム518上に取り付けられる。図20Bに示すように、シャッタはコイルに電流を印加することで開くが、コイルは撓みアーム518及びビーム停止部品516を引き寄せて、ビーム停止部品516を出力レーザ光の経路から取り除く。シャッタは、コイル514への電流の供給を停止すことで閉じ、これによって、永久磁石520がビーム停止部品516及び撓みアーム518を引き寄せて閉位置に戻す。好適な実施形態において、電流の流れは、開位置と閉位置との間でビーム停止部品及び撓みアームの移動が容易なように慎重に調整される。
【0181】
電力計506は、図20及び図20Aに示すように、焦電光検出器を出力レーザ光の経路内に配置するために類似の形態で作動される。この場合、コイル520及び磁石522は、検出ユニット524及び撓みアーム526を引き寄せて、出力電力測定のためビーム経路を出入りさせる。この電力計は、シャッタの開時及びシャッタの閉時に作動できる。コイルに流れる電流は、シャッタの場合と同様に、ユニット524の移動が容易なようにしてビーム経路を出入りするように制御される。
【0182】
特別なF2レーザの特徴
以上の説明は、一般的にArFレーザシステムに直接適用されるが、その特徴のほぼ全ては、本業界では公知の僅かな変更でKrFレーザにも同じように適用できる。しかしながら、本発明のF2バージョンでは幾つかの重大な変更が必要とされる。これらの変更点には、LNPの場所での線幅選択器及び/又は2つの室間、又は電力増幅器の下流での線幅選択器が含まれる。線幅選択器は、一群のプリズムであることが好ましい。出力ビームの偏光を改善するために、ビームと所定の角度で配向される透明板を室間に使用することができる。出力ビームのコヒーレンスを低減するために、拡散器を室間に付加することができる。
【0183】
本発明では、その範囲を変更することなく、種々の変更を行うことができる。当業者は、多くの他の変形の可能性を理解できるであろう。例えば、パルス電力回路は、図5に示すようにパルス変成器56の出力までの共通の回路とすることができる。このアプローチは、引用により本明細書に組み込まれた米国特許出願番号09/848,043で説明されているようなジッタの更なる低減に対応するものである。パルス変成器に対する入力及び出力を示すその米国特許出願の図3Bは、便宜上、図13として本明細書に含まれている。帯域幅の能動的フィードバック制御は、図22Aに示す屈曲機構を調節するためにモータ駆動装置を使用して線幅狭小化回折格子の曲率を調整することによって行うことができる。あるいは、圧電素子を使用して回折格子の曲率を制御することによって更に高速の帯域幅制御を行うことができる。他の熱交換器の設計は、本明細書で示した1つの構成に対する明らかな変更例となるはずである。例えば、4つのユニットを全て組み合わせて1つのユニットにすることができる。レーザのバーストモード作動の結果として生じるガス温度の急激な変化の影響を緩和するために、熱交換器により大きなフィンを使用すると大きな利点がもたらされるであろう。極端に高いパルス繰返し率では、パルスエネルギーのフィードバック制御は、必ずしも、直前のパルスを使用して特定パルスのパルスエネルギーを制御するのに十分な速さである必要はないことを理解されたい。例えば、特定パルスのパルスエネルギー測定値を第2又は第3の後続のパルスの制御に使用する制御方法を行うことができる。波長計エタロン及び格子データを波長値に変換するアルゴリズムの多くの変更例及び変形例が可能である。例えば、出願人は、エタロン光学系の集束誤差から非常に小さな誤差が生じ、これによって、線幅測定値が実際よりも大きくなることを見出した。この誤差は、測定されるエタロン干渉縞の径が大きくなるにつれて若干大きくなる。これは、レーザ及び波長の範囲を走査して測定された干渉縞が窓を出るときの段階的な変化を観察すれば補正できる。次に、窓内の測定された干渉縞の位置に基づいて補正係数を決定することができる。図1に示した構成以外にも多くの配置構成を使用することができる。例えば、室は、並列に又はPAを下にして取り付けることができる。また、部分反射鏡等の出力カプラを設けることによって、第2のレーザユニットをスレーブ発振器として構成することができる。他の変更例も可能である。横流ファン以外のファンを使用することができる。これは、4kHzをはるかに上回る繰返し率の場合に必要となるであろう。ファン及び熱交換器は、放電室の外に配置することができる。また、米国特許出願番号09/837,035(引用により本明細書に組み込まれている)で説明されているパルスタイミング法を利用することができる。好適な実施形態の帯域幅は0.2pm未満とすることができることから、更に高精度の帯域幅測定が望まれる場合がある。これは、前述のエタロンよりも自由スペクトル範囲が小さいエタロンを使用して行うことができる。帯域幅の正確な測定に使用するために他の公知の方法を適応させることができる。従って、上記の開示内容は、その内容を限定することを意図したものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその法的均等物によって判断されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】本発明の好適な実施形態の斜視図である。
【図1A】U字形光学テーブルを示す。
【図1B】U字形光学テーブルを示す。
【図1C】第2の好適な実施形態を示す。
【図1C1】第2の好適な実施形態を示す。
【図1D】第3の好適な実施形態を示す。
【図2】放電室の特徴を示す。
【図2A】放電室の特徴を示す。
【図3A】2経路MOPAを示す。
【図3B】2経路MOPAを示す。
【図4】好適なパルス電力システムの特徴を示す。
【図4A】好適なパルス電力システムの特徴を示す。
【図4B】好適なパルス電力システムの特徴を示す。
【図4C】好適なパルス電力システムの特徴を示す。
【図5A】別のパルス電力の特徴を示す。
【図5B】別のパルス電力の特徴を示す。
【図5C1】別のパルス電力の特徴を示す。
【図5C2】別のパルス電力の特徴を示す。
【図5C3】別のパルス電力の特徴を示す。
【図5D】別のパルス電力の特徴を示す。
【図6A1】種々のMOPA構成及び試験結果を示す。
【図6A2】種々のMOPA構成及び試験結果を示す。
【図6B】試作MOPAシステムの試験結果を示す。
【図6C】試作MOPAシステムの試験結果を示す。
【図6D】試作MOPAシステムの試験結果を示す。
【図6E】試作MOPAシステムの試験結果を示す。
【図7】パルス電力システム構成部品の特徴を示す。
【図7A】パルス電力システム構成部品の特徴を示す。
【図8】パルス電力システム構成部品の特徴を示す。
【図9A】パルス電力システム構成部品の特徴を示す。
【図9B】パルス電力システム構成部品の特徴を示す。
【図10】パルス電力システム構成部品の特徴を示す。
【図10A】パルス電力システム構成部品の特徴を示す。
【図11】パルス電力システム構成部品の特徴を示す。
【図12】パルス電力システム構成部品の特徴を示す。
【図12A】パルス電力システム構成部品の特徴を示す。
【図12B】パルス電力システム構成部品の特徴を示す。
【図13】ジッタ問題を最小限に抑えるための方法示す。
【図14】波長計の構成部品を示す。
【図14A】帯域幅を測定するための方法を示す。
【図14B】帯域幅を測定するための方法を示す。
【図14C】帯域幅を測定するための方法を示す。
【図14D】帯域幅を測定するための方法を示す。
【図14E】帯域幅測定に使用されるエタロンの特徴を示す。
【図14F】帯域幅測定に使用されるエタロンの特徴を示す。
【図14G】帯域幅測定に使用されるエタロンの特徴を示す。
【図14H】帯域幅測定に使用されるエタロンの特徴を示す。
【図15】フォトダイオードアレイの高速読み取り方法を示す。
【図16】主発振器の微細線幅狭小化の方法を示す。
【図16A】PZT制御式LNPを示す。
【図16B】PZT制御式LNPを示す。
【図16C】PZT制御式LNPの使用結果を示す。
【図16D】LNPを制御するための方法を示す。
【図16E】LNPを制御するための方法を示す。
【図17】格子面をパージするための方法を示す。
【図17A】格子面をパージするための方法を示す。
【図17B】格子面をパージするための方法を示す。
【図17C】格子面をパージするための方法を示す。
【図18】ファンモータ駆動部配置を示す。
【図18A】好適なファンブレードを示す。
【図19】パージシステムの特徴を示す。
【図19A】パージシステムの特徴を示す。
【図19B】パージシステムの特徴を示す。
【図19C】パージシステムの特徴を示す。
【図19D】パージシステムの特徴を示す。
【図19E】パージシステムの特徴を示す。
【図19F1】パージシステムの特徴を示す。
【図19F2】パージシステムの特徴を示す。
【図19F3】パージシステムの特徴を示す。
【図19F4】パージシステムの特徴を示す。
【図19F5】パージシステムの特徴を示す。
【図19G】パージシステムの特徴を示す。
【図20】好適なシャッタの特徴を示す。
【図20A】好適なシャッタの特徴を示す。
【図20B】好適なシャッタの特徴を示す。
【図21】熱交換器の特徴を示す。
【図21A】熱交換器の特徴を示す。
【図22A】パルス増倍ユニットの特徴を示す。
【図22B1】パルス増倍ユニットの特徴を示す。
【図22B2】パルス増倍ユニットの特徴を示す。
【図22C】パルス増倍ユニットの特徴を示す。
【図22D】パルス増倍ユニットの特徴を示す。
【図23】シード光を空間的にフィルタリングするための方法を示す。
【図23A】シード光を空間的にフィルタリングするための方法を示す。
【図23B】シード光を空間的にフィルタリングするための方法を示す。
【符号の説明】
【0185】
10 主発振器モジュール
10A 放電室
10A−10 横流ファン
10C 線幅狭小化パッケージ
10C2 超高速調整ミラー
12 電力増幅器モジュール
12A 放電室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超狭帯域2室式高繰返し率の放電ガスレーザシステムであって、
A)1)a)第1のレーザガスと、
b)第1の放電領域を形成する、各々細長い形状で間隔をあけて設けられた第1の電極とを含む第1の放電室、
2)4,000パルス/秒又はそれ以上の範囲の繰返し率で作動する際に、各パルスの後に、放電によって生成されたイオンの実質的に全てを、次のパルスの前に前記第1の放電領域から除去するために、前記第1の放電領域における前記第1のレーザガスの十分なガス速度を作り出すための第1のファン、
3)前記第1のレーザガスから少なくとも16kwの熱エネルギーを除去することができる第1の熱交換器システム、
4)前記第1の放電室で生成された光パルスのスペクトル帯域幅を狭小化するための線幅狭小化装置を備える第1のレーザユニットと、
B)1)a)第2のレーザガスと、
b)第2の放電領域を形成する、各々細長い形状で間隔をあけて設けられた第2の電極対とを含む第2の放電室、
2)4,000パルス/秒又はそれ以上の範囲の繰返し率で作動する際に、各パルスの後に、放電によって生成されたイオンの実質的に全てを、次のパルスの前に前記第2の放電領域から除去するために、前記第2の放電領域における前記第2のレーザガスの十分なガス速度を作り出すための第2のファン、
3)前記第2のレーザガスから少なくとも16kwの熱エネルギーを除去することができる第2の熱交換器システムを備える第2のレーザユニットと、
C)約4,000パルス/秒の速度で約5mJを超える正確に制御されたパルスエネルギーを有するレーザパルスを生成するのに十分な電気パルスを前記第1の電極対及び前記第2の電極対に供給するようになったパルス電力システムと、
D)前記2室式レーザシステムによって生成されたレーザ出力パルスのパルスエネルギー、波長、及び帯域幅を測定すると共に、フィードバック制御方式で前記レーザ出力パルスを制御するためのレーザ光測定及び制御システムとを備えることを特徴とするレーザシステム。
【請求項2】
前記第1のレーザ装置は、主発振器として構成され、前記第2のレーザ装置は、電力増幅器として構成されることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項3】
前記レーザガスは、アルゴン、フッ化物、及びネオンを含むことを特徴とする請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項4】
前記レーザガスは、クリプトン、フッ化物、及びネオンを含むことを特徴とする請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項5】
前記レーザガスは、フッ素と、ネオン、ヘリウム、又はネオンとヘリウムとの混合物から成る群から選択されたバッファガスとを備えることを特徴とする請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項6】
前記電力増幅器は、前記第2の放電領域を通る2つのビーム経路用に構成されることを特徴とする請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項7】
前記電力増幅器は、前記第2の放電領域を通る4つのビーム経路用に構成されることを特徴とする請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項8】
前記主発振器は、前記第1の放電領域を通る2つの経路を作る共振経路をもたらすように構成されることを特徴とする請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項9】
前記主発振器は、前記第1の放電領域を通る2つの経路を作る共振経路をもたらすように構成され、前記電力増幅器は、前記第2の放電領域を通る4つビーム経路用に構成されることを特徴とする請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項10】
前記第1の放電室から独立している前記第1のレーザ装置の空洞共振器光学部品を支持するための光学テーブルを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項11】
前記光学テーブルは、略U字形であり、且つ、U字形空洞を有し、前記第1の放電室は、前記U字形空洞内に取り付けられることを特徴とする請求項7に記載のレーザシステム。
【請求項12】
垂直に取り付けられた光学テーブルを更に備え、前記第1の放電室及び第2の放電室が前記垂直光学テーブル上に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項13】
前記第1及び第2のレーザ室の各々は、前記放電領域で起こる静圧降下の大部分の回復を可能にするために、前記電極の下流側に、断面積が徐々に大きくなるガス流路を有することを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項14】
前記室は、前記放電領域の上流でガス速度を正規化するための羽根構造体を前記放電領域の上流に更に備えることを特徴とする請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項15】
前記第1のファン及び前記第2のファンの各々は、横流ファンであり、各々は2つのブラシレスDCモータによって駆動される軸を備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項16】
前記モータは、水冷式モータであることを特徴とする請求項15に記載のレーザシステム。
【請求項17】
前記モータの各々は、固定子を備え、前記モータの各々は、前記固定子を前記レーザガスから隔離する圧力カップ内に収容された磁気回転子を備えることを特徴とする請求項15に記載のレーザシステム。
【請求項18】
前記第1のファン及び第2のファンの各々は、前記アルミニウム材料から機械加工されたブレード構造体を備える横流ファンであることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項19】
前記ブレード構造体は、約5インチの外径を有することを特徴とする請求項15に記載のレーザシステム。
【請求項20】
前記ブレード構造体は、鋭い前縁を有するブレード要素を備えることを特徴とする請求項19に記載のレーザシステム。
【請求項21】
前記モータは、センサレスモータであり、前記モータの一方を制御するためのマスタモータ制御装置と、前記モータの他方を制御するためのスレーブモータ制御装置とを更に備えることを特徴とする請求項15に記載のレーザシステム。
【請求項22】
前記横流ファンの各々は、前記軸に対して角度を有するブレードを備えることを特徴とする請求項15に記載のレーザシステム。
【請求項23】
フィン付き熱交換器システムの各々は、水冷式であることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項24】
前記熱交換器システムの各々は、少なくとも4つの別個の水冷式熱交換器を備えることを特徴とする請求項23に記載のレーザシステム。
【請求項25】
前記熱交換器システムの各々は、管状の水流路を有する少なくとも1つの熱交換器を備え、少なくとも1つの攪拌器が前記流路に配置されることを特徴とする請求項23に記載のレーザシステム。
【請求項26】
前記4つの熱交換器の各々は、攪拌器を収容する管状の水流路を備えることを特徴とする請求項25に記載のレーザシステム。
【請求項27】
前記パルス電力システムは、水冷式電気部品を備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項28】
前記水冷式部品の少なくとも1つは、12,000ボルトを超える高電圧で作動する部品であることを特徴とする請求項27に記載のレーザシステム。
【請求項29】
前記高電圧は、冷却水が流れるインダクタを使用して接地から絶縁されることを特徴とする請求項28に記載のレーザシステム。
【請求項30】
前記パルス電力システムは、充電コンデンサを正確に制御された電圧に充電する共振充電システムを備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項31】
前記共振充電システムは、De−Qing回路を備えることを特徴とする請求項30に記載のレーザシステム。
【請求項32】
前記共振充電システムは、ブリード回路を備えることを特徴とする請求項30に記載のレーザシステム。
【請求項33】
前記共振充電システムは、De−Qing回路及びブリード回路を備えることを特徴とする請求項30に記載のレーザシステム。
【請求項34】
前記パルス電力システムは、並列に配置された少なくとも3つの電源装置から成る充電システムを備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項35】
前記レーザ光測定及び制御システムは、エタロンユニット、フォトダイオードアレイ、プログラム可能論理回路、及び前記エタロンユニットからのレーザ光を前記フォトダイオードアレイ上に集中させる光学部品を備え、前記プログラム可能論理回路は、前記フォトダイオードアレイからのデータを分析して、エタロン干渉縞の前記フォトダイオードアレイ上での位置を判定するようにプログラムされていることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項36】
前記測定及び制御システムは、前記プログラム可能論理回路によって位置を見つけ出した干渉縞データから波長及び帯域幅を計算するようにプログラムされたマイクロプロセッサを更に備えることを特徴とする請求項35に記載のレーザシステム。
【請求項37】
前記プログラム可能論理回路は、前記干渉縞の測定結果に基づいて波長及び帯域幅を計算するためのアルゴリズムでもってプログラムされることを特徴とする請求項35に記載のレーザシステム。
【請求項38】
前記プログラム可能論理回路は、1/4,000秒よりも速い速度で波長及び帯域幅を計算するように構成されることを特徴とする請求項37に記載のレーザシステム。
【請求項39】
前記エタロン装置は、回折拡散素子を備えることを特徴とする請求項35に記載のレーザシステム。
【請求項40】
PZT駆動装置によって少なくとも部分的に駆動される調整ミラーを備える線幅狭小化装置を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項41】
前記調整ミラーは、ステッピングモータによって更に部分的に駆動されることを特徴とする請求項40に記載のレーザシステム。
【請求項42】
事前調整手段を更に備えることを特徴とする請求項40に記載のレーザシステム。
【請求項43】
学習アルゴリズムを備える能動的調整手段を更に備えることを特徴とする請求項40に記載のレーザシステム。
【請求項44】
適応フィードフォワードアルゴリズムを更に備えることを特徴とする請求項40に記載のレーザシステム。
【請求項45】
前記線幅狭小化装置は、格子面を有する回折格子と、前記格子面付近にパージガスを送り込むためのパージ手段とを備えることを特徴とする請求項40に記載のレーザシステム。
【請求項46】
前記線幅狭小化装置は、ビームを単一の方向に約45倍だけ拡大するようになっている4プリズムビーム拡大器を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項47】
前記パージガスは、ヘリウムであることを特徴とする請求項40に記載のレーザシステム。
【請求項48】
窒素フィルタを有する窒素パージシステムを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項49】
流量モニタを有するパージモジュールを備える窒素パージシステムを更に備え、前記レーザシステムから排気パージガスを移送するための排気管を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項50】
電動シャッタを備えるシャッタユニットと、指令信号を用いてレーザ出力ビーム経路内に配置することができる電力メータとを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項51】
前記第1の放電室の第1の窓と前記線幅狭小化ユニットとの間の第1のビームシールと、前記第1の放電室の第2の窓と出力カプラユニットとの間の第2のビームシールとをもたらすビーム密封システムを更に備え、前記ビームシールの各々は、金属ベローズを備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項52】
前記第1のビームシール及び第2のビームシールの各々は、前記レーザ室を簡単に交換できるように構成されることを特徴とする請求項51に記載のレーザシステム。
【請求項53】
前記ビームシールの各々は、エラストマを含有せず、前記レーザ室からの振動絶縁を行ない、大気ガスからのビーム列の隔離を行ない、前記LNP又は前記出力カプラユニットを乱すことなく前記レーザ室の交換を制限しないようになっていることを特徴とする請求項51に記載のレーザシステム。
【請求項54】
前記ビーム密封システムは、真空適合シールを備えることを特徴とする請求項51に記載のレーザシステム。
【請求項55】
複数の前記シールは、手で簡単に取り外しできるように構成された簡易密封ベローズシールであることを特徴とする請求項54に記載のレーザシステム。
【請求項56】
前記測定及び制御システムは、前記レーザから出力パルスの一部を分割する1次ビーム分割器と、前記分割された出力パルスの一部を前記パルスエネルギー検出器に導く2次ビーム分割器と、前記1次ビーム分割器、前記2次ビーム分割器、及び前記パルスエネルギー検出器の窓に隣接する容積を前記測定及び制御システムの残りの部分から隔離して隔離領域を形成するための手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項57】
前記隔離領域をパージガスでパージするパージ手段を更に備えることを特徴とする請求項56に記載のレーザシステム。
【請求項58】
出力カプラユニット及び出力窓ユニットを更に備え、前記パージ手段は、前記隔離領域からの排気が前記出力カプラユニット及び前記出力窓ユニットをパージするように構成されることを特徴とする請求項57に記載のレーザシステム。
【請求項59】
ミラーの変更でもって、KrFレーザシステム、ArFレーザシステム、又はF2レーザシステムのいずれかで作動するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項60】
実質的に全ての構成部品は、レーザ・エンクロージャに収容されるが、前記エンクロージャから物理的に離れているAC/DCモジュールを備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項61】
前記パルス電力システムは、主発振器充電コンデンサバンクと、電力増幅器充電コンデンサバンクと、両充電コンデンサバンクを並列に充電するように構成された共振充電器とを備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項62】
前記パルス電力システムは、少なくとも2000Vの供給電圧を前記共振充電器へ供給するように構成された電源装置を備えることを特徴とする請求項61に記載のレーザシステム。
【請求項63】
主発振器ビームパラメータを制御するために、前記第1のレーザガスのF2濃度を制御するためのガス制御システムを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項64】
主発振器ビームパラメータを制御するために、前記第1のレーザガスのレーザガス圧力を制御するためのガス制御システムを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項65】
前記主発振器の放電の20nから60ns後に、前記電力増幅器の放電をトリガする放電タイミング制御装置を更に備えることを特徴とする請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項66】
特定の状況で、何らかの大きな出力パルスエネルギーを回避するよう時間調整された放電を引き起こすようにプログラムされた放電制御ユニットを更に備えることを特徴とする請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項67】
前記特定の状況において前記制御装置は、前記主発振器での放電の少なくとも20ns前に前記電力増幅器の放電を引き起こすようにプログラムされることを特徴とする請求項66に記載のレーザシステム。
【請求項68】
前記レーザからの出力パルスの持続時間を長くするためのパルス増倍ユニットを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項69】
パルス増倍ユニットは、前記出力パルスレーザ光を受光し、前記レーザ出力パルスに比較して実質的に強度値が低減された多数のパルスから成る単一の増倍器出力パルスビームを生成するためにパルス数/秒を2倍に増倍するように構成されており、前記パルス増倍ユニットは、
(1)前記出力ビームの一部を分離するように構成された第1のビーム分割器であって、前記分離された部分が遅延部分を定め、前記出力ビームが前記第1のビーム分割器におけるビーム寸法及びビーム広がり角を定めるようになっている、第1のビーム分割器と、
(2)前記第1のビーム分割器で始まって終わり、少なくとも2つの集束ミラーを備え、前記ミラーが、前記遅延部分を前記第1の遅延経路内で集束させると共に、前記第1のビーム分割器の前記出力ビームのビーム寸法及びビーム広がり角に等しいか又はほぼ等しいビーム寸法及びビーム広がり角をもつ前記遅延部分を前記第1のビーム分割器に戻すようになっている第1の遅延経路と、
を備えることを特徴とする請求項68に記載のレーザシステム。
【請求項70】
前記少なくとも2つの集束ミラーは、球面鏡であることを特徴とする請求項69に記載のレーザシステム。
【請求項71】
少なくとも2つの球面鏡を有する第2の遅延経路を更に備えることを特徴とする請求項69に記載のレーザシステム。
【請求項72】
前記第1の遅延経路は、4つの集束ミラーを備えることを特徴とする請求項69に記載のレーザシステム。
【請求項73】
前記第1の遅延経路内に配置された第2のビーム分割器によって形成される前記第2の遅延経路を更に備えることを特徴とする請求項72に記載のレーザシステム。
【請求項74】
前記第1の遅延経路は、第2のビーム分割器を備えると共に、少なくとも2つの集束ミラーを有する第2の遅延経路を更に備え、前記ミラーが、前記遅延部分を第1の遅延経路内で集束されると共に、第1のビーム分割器の前記出力ビームのビーム寸法及びビーム広がり角に等しいか又はほぼ等しいビーム寸法及びビーム広がり角をもつ前記遅延部分を前記第1のビーム分割器に戻すようになっていることを特徴とする請求項69に記載のレーザシステム。
【請求項75】
前記第1のビーム分割器は、内部反射減衰の光学的特性を利用して少なくとも2つの方向にレーザ光を導くように構成されることを特徴とする請求項69に記載のレーザシステム。
【請求項76】
前記第1のビーム分割器は、各々が平面を有する2つの透明な光学素子で構成され、前記光学素子は、前記平面が相互に平行な状態で配置され、200nm未満だけ離れていることを特徴とする請求項69に記載のレーザシステム。
【請求項77】
前記第1のビーム分割器は、所望の反射伝達比を達成するように前記出力レーザ光に対して所定の角度に向けられている被覆なし光学素子であることを特徴とする請求項69に記載のレーザシステム。
【請求項78】
前記パルス電力システムは、電気パルスを前記第1の電極対に供給するための第1の充電コンデンサバンク及び第1のパルス圧縮回路と、電気パルスを前記第2の電極対に供給するための第2の充電コンデンサバンク及び第2のパルス圧縮回路と、前記第1の充電コンデンサバンク及び第2の充電コンデンサバンクに正確に制御された電圧を並列に充電するための共振充電システムとを備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザシステム。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1C1】
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【図1D】
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【図2】
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【図2A】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C1】
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【図5C2】
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【図5C3】
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【図5D】
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【図6A1】
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【図6A2】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図10A】
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【図11】
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【図12】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図14G】
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【図14H】
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【図15】
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【図16】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図17】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図18】
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【図18A】
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【図19】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図19D】
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【図19E】
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【図19F1】
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【図19F2】
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【図19F3】
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【図19F4】
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【図19F5】
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【図19G】
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【図20】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図21A】
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【図22A】
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【図22B1】
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【図22B2】
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【図22C】
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【図22D】
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【図23】
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【図23A】
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【図23B】
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【公開番号】特開2008−294477(P2008−294477A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215610(P2008−215610)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【分割の表示】特願2007−310433(P2007−310433)の分割
【原出願日】平成14年8月28日(2002.8.28)
【出願人】(504010648)サイマー インコーポレイテッド (115)
【Fターム(参考)】