説明

超親水性両新媒性コポリマー及びその製造方法

置換コハク酸無水物などの疎水性試薬で変性された低分子量多糖類を含む超親水性両親媒性コポリマー及び該超親水性両親媒性コポリマーの製造方法。前記超親水性両親媒性コポリマー系は、目及び皮膚に対する刺激が低い、ヘルスケア製剤などの用途での使用に適切な泡を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケア製剤などの用途で使用するための、低刺激であり、大量の安定した泡を発生させる、超親水性両親媒性コポリマーに関する。詳細には、超親水性両親媒性コポリマーは、良好な泡立ちを生じさせるために置換コハク酸無水物などの疎水性試薬で変性された低分子量多糖類を含む。
【背景技術】
【0002】
合成洗剤、例えば、カチオン性、アニオン性、両性及び非イオン性界面活性剤は、様々な洗剤及びクレンジング組成物においてそれらにクレンジング性を付与するために広く使用されている。加えて、一定の組成物(例えば、パーソナルケア組成物、例えばシャンプー、洗浄剤など)では、比較的高い泡量及び/又は泡安定度を達成するために十分な界面活性剤の組み合わせ及びレベルを用いることが望ましいことがある。
【0003】
しかし、当分野において認識されているように、合成洗剤は、皮膚及び目に対して刺激性である傾向がある。従って、一定の組成物に付随するクレンジング性及び泡立ち性を増加させようとしてそのような洗剤のレベルを増加させると、そのような組成物に付随する刺激も増加する傾向があり、その結果、それらは皮膚及び/又は目での又は付近での使用に望ましくないものになる。
【0004】
よりマイルドなクレンジング組成物を生産する一定の試みは、比較的少ない量のアニオン性界面活性剤(比較的高い泡立ち性だが比較的高い刺激性でもある傾向がある)と比較的低刺激性の界面活性剤、例えば非イオン性及び/又は両性界面活性剤、とを組み合わせることを含んでいた。例えば、米国特許第4,726,915号参照。マイルドなクレンジング組成物を生産するためのもう1つの手法は、アニオン性界面活性剤と両性又はカチオン性化合物を会合させて界面活性剤複合体を生じさせる手法である。例えば、米国特許第4,443,362号;同第4,726,915号;同第4,186,113号;及び同第4,110,263号参照。不都合なことに、上述の方法の両方によって生産されるマイルドなクレンジング組成物には、比較的不良な泡立ち及びクレンジング性能を欠点として有する傾向がある。Librizzi et al.(米国特許出願公開第20050075256A1号)に記載されているさらにもう1つの手法は、低刺激クレンジング組成物を提供するための疎水性変性ポリマーと界面活性剤の両方を含む組成物の使用を考察している。
【0005】
マイルドなクレンジング組成物を生成するさらにもう1つの手法は、比較的低い重合度及び少なくとも約10mol%の両親媒性繰り返し単位を有する重合界面活性剤を使用する手法である。米国特許第7,417,020号参照。
【0006】
しかし、マイルドさに改善が加えられてきてはいるが、本発明者らは、マイルドさのさらなる改善、詳細には、マイルドさと、ひときわすぐれた所謂「フラッシュフォーム(flash foam)」をもたらす組成物の能力、すなわち比較的低いエネルギー投入量で大量の泡を形成する能力の両方の改善が望ましいことを認識している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,726,915号
【特許文献2】米国特許第4,726,915号
【特許文献3】米国特許第4,186,113号
【特許文献4】米国特許第4,110,263号
【特許文献5】米国特許出願公開第20050075256A1号
【特許文献6】米国特許第7,417,020号
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の組成物及び比較実施例の泡発生量のグラフである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、先行技術の欠点を克服するコポリマーであってそれらに付随する刺激性が比較的低いものであるコポリマー及び該コポリマーを含む組成物を提供する。詳細には、本出願人は、一定の高分子材料を使用して、それらに付随する刺激が低い組成物であって一定の実施形態では追加の有益な美的及び他の特性を兼備するものである組成物を非常に有利に生産することができることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様において、超親水性両親媒性コポリマーは、1つ又はそれ以上の疎水性試薬で変性された約200,000未満の重量平均分子量を有するデンプン又はセルロースに基づく多糖類を含む。
【0011】
もう1つの態様において、本発明は、超親水性両親媒性コポリマー溶液の製造方法に関する。この方法は、デンプン又はセルロースに基づく多糖類を水に溶解して水溶液を形成する段階、及びその水溶液のpHを約2.0に調整する段階を含む。さらなる工程において、本発明は、1つ又はそれ以上の疎水性試薬と水溶液中の多糖類とを約8.5のpHで、40℃で、21時間反応させる段階を含む。この態様による本発明は、得られたコポリマー溶液を約23℃に冷却する段階及びそのコポリマー溶液を約7.0のpHに中和する段階も含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書中で列挙するすべての百分率は、特に別の記述がない限り、重量による百分率である。
【0013】
本明細書において用いる場合、用語「ヘルスケア」は、乳児ケア、オーラルケア、生理用品、スキンケア(皮膚の健康を維持する、皮膚の健康を改善する、及び/又は皮膚の外観を向上させるための成人又は乳児の皮膚の処置を含む)、創傷ケア(創傷の閉鎖若しくは治癒を支援するための、及び/又は創傷に関連した疼痛若しくは瘢痕化を低減するための処置を含む)、女性の健康(内部若しくは外部膣領域及び/又乳房における組織の処置、そのような組織又は皮膚の健康の維持又は改善、そのような組織又は皮膚の修復、そのような組織又は皮膚の刺激の低減、そのような組織又は皮膚の外観の維持又は向上、並びにそのような組織又は皮膚に関連した性的機能の向上又は強化を含む)及びこれらに類するものを含む(しかしこれに限定されない)、パーソナルケア及びメディカルケアの分野を指す。
【0014】
本明細書において用いる場合、用語「超親水性両親媒性コポリマー」、(「SAC」)は、次の一般構造によって表すことができるコポリマーと定義する:
【化1】

(式中、「SRU」は、本明細書において定義するとおりの超親水性繰り返し単位であり、「ARU」は、本明細書において定義するとおりの両親媒性繰り返し単位であり、「HRU」は、本明細書において定義するとおりの親水性繰り返し単位であり、s≧2、a>0、h≧0、及び繰り返し単位の総数、s+a+hは4と約1000との間である)。用語「間」は、「4と約1000との間」などの範囲を指定するために本明細書において用いるとき、端点、例えば「4」及び「約1000」を含む。SACにおける繰り返し単位の総数は、そのSACの重量平均分子量(M)に基づき;従って、繰り返し単位の数も、本明細書において考察する場合、「重量平均」である。さらに、本明細書に記載するすべての分子量は、ダルトン(Da)の単位でのものである。当業者には判るであろうが、本発明のSACに組み込まれている繰り返し単位のパターン(SRU、ARU、HRU)は、一般にランダムである;しかし、それらは、交互、統計的又はブロック状組み込みパターンを有することもある。加えて、SACアーキテクチャーは、線状、星形、分岐、多分岐、樹状又はこれらに類するものであることがある。
【0015】
当業者には、SACにおける繰り返し単位の総数(SRU+ARU+HRU、すなわち上の式のs+a+h)が、SACの「重合度」(「DP」)という用語と同義であることが判るであろう。
【0016】
本明細書において定義する及び当分野において公知の「繰り返し単位」は、高分子、オリゴマー、ブロック又は鎖の必須構造の一部を構成する最小原子又は原子団(もしあれば、ペンダント原子又は基を伴う)であり、その繰り返しが、規則的な高分子、規則的なオリゴマー分子、規則的なブロック又は規則的な鎖を構成する(Glossary of Basic Terms in Polymer Science, A. D. Jenkins et al. Pure Appl. Chem.1996 68, 2287-2311からの定義)。本明細書における説明及び当分野の知識に鑑みて当業者には判るであろうが、エチレン性不飽和モノマーから誘導されたポリマーの主鎖は、重合前の該モノマーでは不飽和であった1個若しくは2個、又は交互ポリマーの場合には4個の炭素原子を含む繰り返し単位とそのような炭素の任意のペンダント基とを含む。例えば、式:(A)(Y)C=C(B)(Z)のエチレン性不飽和モノマーの重合は、このモノマーの2個の前は不飽和であった炭素とそれらのペンダント基(これらの例は、本明細書において下で、例えばSRU、ARU及びHRUの説明の中で説明する)を含む、式:
【化2】

の繰り返し単位を含むポリマーを一般には生じさせる結果となる。しかし、例えば上の式でA−C−YとB−C−Zが同じ部分であるような、2炭素のペンダント基が同じである場合には、それぞれのそのような1炭素単位及びそのペンダント基(同じである、A−C−Y又はB−C−Z)は、そのモノマーからの1個だけの前には不飽和であった炭素原子を含む繰り返し単位であるとみなされる(例えば、エチレン、HC=CHから誘導されたホモポリマーの繰り返し単位は、[−[CH]−]であり、[−[CHCH]−]でない)。当分野において公知であるように、(2つのモノマーから誘導された繰り返し単位がそのポリマーの全体にわたってランダムに連結されているポリマーを形成する、コモノマーのランダム重合、又は2つのコモノマーから誘導された繰り返し単位の非交互ブロックを形成する、コモノマーのブロック共重合とは対照的に)2つのコモノマーから誘導された繰り返し単位がそのポリマー全体にわたって一貫して交互に存在するポリマーと定義される交互コポリマーのみに関して言えば、繰り返し単位は、重合前の2つのコモノマー中の前にはエチレン性不飽和であった4個の炭素を含む各コモノマーのうちの1つから誘導された単位と定義される。すなわち、当分野ではマレイン酸無水物及びビニルメチルエーテルを使用して、交互コポリマー、下記の構造の繰り返し単位を有するポリ(マレイン酸無水物−alt−ビニルメチルエーテル)を形成する:
【化3】

主鎖が糖環を連結することによって形成される糖類系ポリマーについては、繰り返し単位が、一般に、(本明細書において下記で、例えばSRU、ARU及びHRUの説明の中で示すように)糖環及びペンダント基を含む。そのような繰り返し単位の例としては、ペンダント糖環を有する糖繰り返し単位も挙げられ、例えば、ガラクトマンナンは、マンノース(単糖類系)主鎖から構成される多糖類である。ペンダントガラクトース基が、主鎖中のマンノース基のすべてではないが一部からぶらさがっている(及びランダム又はブロック型に配列されている)。当業者には容易に理解されるであろうが、この構造は、2つの繰り返し単位、マンノース及びマンノース−ガラクトースを有するものとして最もよく説明される。
【化4】

【0017】
交互糖類系ポリマーについては、繰り返し単位が、交互糖系モノマー及びそれらのペンダント基から誘導される2つの糖環である。例えば、ヒアルロナンは、二糖類繰り返し単位をもたらすように交互に存在する2つの糖類、D−グルクロン酸及びD−N−アセチルグルコサミンから誘導された交互糖類コポリマーである。
【化5】

【0018】
「疎水性部分」は、次のうちの少なくとも1つを含有する非極性部分と本明細書では定義する:(a)少なくとも4炭素の炭素−炭素鎖であって、該4個の炭素がいずれもカルボニル炭素でなく、それに直接結合している親水性基を有さないものである炭素−炭素鎖;(b)2つ若しくはそれ以上のアルキルシロキシ基(−[Si(R)−O]−);及び/又は(c)連続した2つ又はそれ以上のオキシプロピレン基。疎水性部分は、線状、環式、芳香族、飽和又は不飽和基であることがあり、又は該基を含むことがある。一定の好ましい実施形態において、疎水性部分は、少なくとも6個又はそれ以上の炭素、さらに好ましくは7個又はそれ以上の炭素の炭素鎖であって、そのような鎖内のいずれの炭素もそれらに直接結合している親水性部分を有さないものである炭素鎖を含む。一定の他の好ましい疎水性部分としては、約8個又はそれ以上の炭素原子、さらに好ましくは約10個又はそれ以上の炭素原子の炭素鎖であって、そのような鎖内のいずれの炭素もそれらに直接結合している親水性部分を有さないものである炭素鎖を含む部分が挙げられる。疎水性官能性部分の例としては、少なくとも4炭素の炭素鎖であって、該4個のいずれの炭素もそれに直接結合している親水性部分を有さないものである炭素鎖がその中に組み込まれている又はそれに付いている、エステル、ケトン、アミド、カーボネート、ウレタン、カルバメート又はザンセート官能基及びこれらに類するものを挙げることができる。疎水性部分の他の例としては、少なくとも4炭素の炭素鎖であって、該4個のいずれの炭素もそれに直接結合している親水性部分を有さないものである炭素鎖を含有する、ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシブチレン)、ポリ(ジメチルシロキサン)、フッ素化炭化水素基などの基、およびこれらに類するものが挙げられる。
【0019】
本明細書において用いる場合、「親水性部分」は、極性である任意のアニオン性、カチオン性、双性イオン性又は非イオン性基である。非限定的な例としては、アニオン性のもの、例えば、スルフェート、スルホネート、カルボン酸/カルボキシレート、ホスフェート、ホスホネート、及びこれらに類するもの;カチオン性のもの、例えば:アミノ、アンモニウム(モノ−、ジ−及びトリアルキルアンモニウム種を含む)、ピリジニウム、イミダゾリニウム、アミジニウム、ポリ(エチレンイミニウム)、及びこれらに類するもの;双性イオン性のもの、例えば、アミノアルキルスルホネート、アミノアルキルカルボキシレート、アンホアセテート、及びこれらに類するもの;並びに非イオン性のもの、例えば、ヒドロキシル、スルホニル、エチレンオキシ、アミド、ウレイド、アミンオキシド、及びこれらに類するものが挙げられる。
【0020】
本明細書において用いる場合、用語「超親水性繰り返し単位」、(「SRU」)は、2つ又はそれ以上の親水性部分を含み疎水性部分を含まない繰り返し単位と定義する。例えば、SRUは、2つ又はそれ以上の親水性部分を有し疎水性部分を有さないエチレン性不飽和モノマーから誘導することができ、それらとしては、一般式:
【化6】

(式中、A、B、Y及びZは、総括して、少なくとも2つの親水性部分を含み、疎水性部分を含まない);又は
【化7】

(式中、W及びXは、総括して、少なくとも2つの親水性部分を含む)の繰り返し単位が挙げられる。そのようなSRUの例証となる例としては、本明細書に記載する超親水性モノマー及びこれらに類するものから誘導されるもの、例えば、グリセリルメタクリレートから誘導される
【化8】

;又は他のもの、例えば、4−ヒドロキシブチルイタコネートから誘導される
【化9】

;及びこれらに類するものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0021】
SRUの他の例としては、フルクトース、グルコース、ガラクトース、マンノース、グルコサミン、マンヌロン酸、グルロン酸、及びこれらに類するものから誘導される繰り返し単位をはじめとする糖類系繰り返し単位、例えば:
【化10】

(式中、A、B、U、V、W、X、Y、及びZは、総括して、少なくとも2つの親水性部分を含み、疎水性部分を含まない)(この一例としては、α(1→4)−D−グルコースSRUである
【化11】

が挙げられる);又は
【化12】

(式中、A、B、U、V及びWは、総括して、少なくとも2つの親水性部分を含み、疎水性部分を含まない)(この一例としては、
【化13】

β(2→1)−D−フルクトースSRUが挙げられる);及びこれらに類するものが挙げられる。当業者には判るであろうが、単糖類繰り返し単位を様々な様式で、すなわち、糖環上の様々な炭素によって、連結することができる、例えば、(1→4)、(1→6)、(2→1)など。そのような連結、又はそれらの組み合わせはいずれも、本明細書における単糖類SRU、ARU又はHRUでの使用に適し得る。
【0022】
SRUの他の例としては、アミノ酸から誘導される繰り返し単位が挙げられ、それらとしては、例えば、式:
【化14】

(式中、Rは親水性繰り返し単位を含む)の繰り返し単位が挙げられ、これらの例としては、
【化15】

アスパラギン酸SRU、及びこれらに類するものが挙げられる。
【0023】
本明細書において用いる場合、用語「両親媒性繰り返し単位」、(「ARU」)は、少なくとも1つの親水性部分と少なくとも1つの疎水性部分とを含む繰り返し単位と定義する。例えば、ARUは、少なくとも1つの親水性部分と少なくとも1つ疎水性部分とを有するエチレン性不飽和モノマーから誘導することができ、それらとしては、一般式:
【化16】

(式中、A、B、Y及びZは、総括して、1つの親水性部分及び少なくとも1つの疎水性部分を含む);又は
【化17】

(式中、W及びXは、総括して、少なくとも1つの親水性部分及び少なくとも1つの疎水性部分を含む)の繰り返し単位が挙げられ、これらの例としては、
【化18】

2−アクリルアミドドデシルスルホン酸ナトリウム両親媒性繰り返し単位(ARU)、及びこれらに類するものが挙げられる。
ARUの他の例としては、フルクトース、グルコース、ガラクトース、マンノース、グルコサミン、マンヌロン酸、グルロン酸、及びこれらに類するものから誘導される繰り返し単位をはじめとするものから誘導される繰り返し単位をはじめとする、糖類系繰り返し単位、例えば:
【化19】

(式中、A、B、U、V、W、X、Y、及びZは、総括して、少なくとも1つの親水性部分及び少なくとも1つの疎水性部分を含む)、又は
【化20】

(式中、A、B、U、V及びWは、総括して、少なくとも1つの親水性部分及び少なくとも1つの疎水性部分を含む)が挙げられ、これらの例としては、
【化21】

1,2−エポキシドデカン変性α(1→4)−D−グルコースARU、及びこれらに類するものが挙げられる。
ARUの他の例としては、アミノ酸から誘導される繰り返し単位が挙げられ、それらとしては、例えば、式:
【化22】

(式中、Rは疎水性繰り返し単位を含む)の繰り返し単位が挙げられ、これらの例としては、
【化23】

フェニルアラニンARU;及びこれらに類するものが挙げられる。
【0024】
当業者には容易に理解されるであろうが、用語「親水性繰り返し単位」、(「HRU」)は、1つの及び1つのみの親水性部分を含み、疎水性部分を含まない繰り返し単位と定義する。例えば、HRUは、1つ及び1つのみの親水性部分を有し、疎水性部分を有さない、エチレン性不飽和モノマーから誘導することができ、それらとしては、例えば、一般式:
【化24】

(式中、A、B、Y及びZは、総括して、1つ及び1つのみの親水性部分を含み、疎水性部分を含まない);又は
【化25】

(式中、W及びXは、総括して、1つ及び1つのみの親水性部分を有し、疎水性部分を有さない)の繰り返し単位が挙げられ、これらの例としては、
【化26】

メタクリル酸親水性繰り返し単位(HRU);及びこれらに類するものが挙げられる。
【0025】
HRUの他の例としては、フルクトース、グルコース、ガラクトース、マンノース、グルコサミン、マンヌロン酸、グルロン酸、及びこれらに類するものから誘導される繰り返し単位をはじめとする、糖類系繰り返し単位、例えば:
【化27】

(式中、A、B、U、V、W、X、Y、及びZは、総括して、1つ及び1つのみの親水性部分を含み、疎水性部分を含まない)、又は
【化28】

(式中、A、B、U、V及びWは、総括して、1つ及び1つのみの親水性部分を含み、疎水性部分を含まない)が挙げられる。糖類系親水性繰り返し単位の一例としては、メチルセルロースHRU、(メチル置換ポリ[β(1→4)−D−グルコース]、DS=2.0)が挙げられる:
【化29】

HRUの他の例としては、アミノ酸から誘導される繰り返し単位が挙げられ、それらとしては、例えば、式:
【化30】

(式中、Rは、親水性部分でも、疎水性部分でもない)の繰り返し単位(この一例としては、
【化31】

アラニンHRUが挙げられる);及びこれらに類するものが挙げられる。当業者には判るであろうが、本明細書における式のいずれにおいても、親水性でも疎水性でもない部分の例としては、水素、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアセトキシ、及びこれらに類するものが挙げられる。
【0026】
上で述べたように、本出願は、一定のSACが、それらに付随する刺激が比較的低く、泡の量が比較的多い組成物を生産する際の使用に適切なことを、帰せずして発見した。そのようなSACがミセル増粘剤と併用される一定の他の実施形態において、SACは、比較的多い即時泡立ち(flash forming)量をさらに呈示する組成物を生産する際の使用に適する。一定の好ましい実施形態に従って、本出願人は、4繰り返し単位と約1000繰り返し単位との間のDPを有するSACが、低い刺激性と高い泡立ち性という上述の有意で予想外の組み合わせを示すこと、及び高い即時泡立ちを呈示するミセル増粘剤と共に実施形態において使用することに適することを発見した。そのような実施形態と協調して使用することに適切な好ましいSACの例としては、4繰り返し単位と約500繰り返し単位との間、好ましくは4繰り返し単位と約200繰り返し単位との間、さらに好ましくは4繰り返し単位と約100繰り返し単位との間、さらに好ましくは4繰り返し単位と約50繰り返し単位との間のDPを有するものが挙げられる。他の例としては、5繰り返し単位と約500繰り返し単位との間、さらに好ましくは5繰り返し単位と約200繰り返し単位との間、さらに好ましくは5繰り返し単位と約100繰り返し単位との間、さらに好ましくは5繰り返し単位と約50繰り返し単位との間のDPを有するものが挙げられる。他の例としては、6繰り返し単位と約200繰り返し単位、さらに好ましくは6繰り返し単位と約100繰り返し単位、さらに好ましくは6繰り返し単位と約50繰り返し単位のDPを有するものが挙げられる。他の例としは7繰り返し単位と約100繰り返し単位との間、さらに好ましくは7繰り返し単位と約50繰り返し単位との間のDPを有するものが挙げられる。
【0027】
一定の実施形態に従って、本出願人は、一定のSACが、比較的低い「動的表面張力低下時間」(すなわち、個々の組成物に付随する、72mM/mから55mN/mへの純水の表面張力の低下に必要な時間、「tγ=55」。この値は、下の実施例でさらに詳細に説明する液滴形状分析試験(「DSA試験」)によって従来測定される)を有する組成物を形成できること、並びに比較対象となる組成物と比較して、低い刺激性と高い泡立ち性という有意で予想外の組み合わせ及び一定の実施形態では高い即時泡立ちを有する組成物での使用に好ましいことを、さらに発見した。一定の好ましい実施形態によると、本発明のSACは、約120秒(s)又はそれ以下のtγ=55を有する。一定のさらに好ましい実施形態において、本発明のSACは、約75秒又はそれ以下、さらに好ましくは約50秒又はそれ以下、さらに好ましくは約45秒又はそれ以下のtγ=55を有する。
【0028】
本発明のSACより高いDP及び/又は多いARUを有するものを含めて、様々な従来のポリマーは、特に、少量で組成物の粘度を増加させるように設計されているが、本発明の一定のSACは、それらが添加される組成物のレオロジー及ぼす影響が比較的小さい傾向があることを、本出願人はさらに発見した。従って、一定の実施形態では、より大量の本SACを添加して、有効な個人使用には粘稠すぎる組成物を生じさせることなく、より有意に刺激を低減し、比較的速い豊富な泡を作ることができる。詳細には、適切なSACとしては、(本明細書において下で説明する及び実施例に示す「溶液粘度試験」に従って測定して)約9センチポアズ(cP)又はそれ以下の溶液粘度を有するものが挙げられる。一定のさらに好ましい実施形態において、本発明のSACは、約7cps又はそれ以下、さらに好ましくは約4cps又はそれ以下、さらに好ましくは約3cps又はそれ以下の溶液粘度を有する。
【0029】
一定の好ましい実施形態によると、本発明での使用に適切なSACは、10%未満の両親媒性繰り返し単位のモルパーセント(mol%)(両親媒性mol%=(a/s+a+h))を呈示する。一定の好ましい実施形態において、そのようなSACとしは、約0.1から9.9mol%、さらに好ましくは約0.1から約9.4mol%、さらに好ましくは約0.1から約8.5mol%、及びさらに好ましくは約0.1から約8.0mol%のARUのmol%を有するものが挙げられる。一定の好ましい実施形態において、SACとしては、約0.5から約9.4mol%、さらに好ましくは約0.5から約8.5mol%、及びさらに好ましくは約0.5から約8.0mol%のARUのmol%を有するものが挙げられる。一定の好ましい実施形態において、SACとしては、約1から約8.5mol%、及びさらに好ましくは約1から約8.0mol%のARUのmol%を有するものが挙げられる。
【0030】
本発明のSACは、(必要DPを満たしていることを条件に)任意の適切な分子量のものであり得る。一定の好ましい実施形態において、SACは、約1000グラム/molから約200,000グラム/molの重量平均分子量を有する。好ましい実施形態において、SACは、約1000から約100,000、さらに好ましくは約1,000から約75,000、さらに好ましくは約1,000から約50,000、さらに好ましくは約1,000から約25,000、及びさらに好ましくは約1,000から約10,000、及びさらに好ましくは約3,000から約10,000の重量平均分子量を有する。
【0031】
本発明での使用に適切なSACは、様々な化学分類のポリマーであって、様々な合成経路によって得られるものであるポリマーを含む。例としては、多数の炭素−炭素結合を実質的に含む、好ましくは炭素−炭素結合から本質的に成る又は炭素−炭素結合のみから成る、主鎖を有するポリマー、及び多数の炭素−ヘテロ原子結合を含む主鎖を有するポリマーが挙げられる(当業者には判るであろうが、主鎖は、(「ペンダント基」に対して)隣接繰り返し単位に共有結合している、ポリマー内の繰り返し単位部分を一般に指す)。
【0032】
本発明のSACを得るための合成経路の例としては、(i)1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和両親媒性コモノマーと(ii)1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和超親水性コモノマー、及び場合により(iii)1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和親水性コモノマーの共重合が挙げられる。エチレン性不飽和両親媒性コモノマーの非限定的な例としては、以下の構造を有するものが挙げられる:
【化32】

式中、R=R=H、R=H若しくはCH、及びRは、両親媒性(Amphil)基を含む、又は
式中、R=R=H、Rは、親水性基(Hphil)を含み、及びRは、疎水性基(Hphob)を含む、又は
式中、R、Rは、独立してH若しくはCHであり、Rは、Hphilを含み、及びRは、Hphob基を含む、又は
式中、R、Rは、独立してH又はCHであり、Rは、Hphilを含み、及びRは、Hphob基を含む、又は
式中、R、Rは、独立してH若しくはCHであり、Rは、Hphilを含み、及びRは、Hphob基を含む
これらの例としては、以下のものが挙げられる:
アニオン性:
ω−アルケノエート:例えば、11−ウンデセン酸ナトリウム
【化33】

(式中、R=5個より多くの炭素原子を含有する任意の線状又は分岐炭素鎖、及びM=H、NH、又は任意のIA族アルカリ金属カチオン)。
(メタ)アクリルアミドアルキルカルボキシレート及び(メタ)アクリロイルオキシアルキルカルボキシレート:例えば、11−アクリルアミドウンデカン酸ナトリウム、11−メタクリロイルオキシウンデカン酸ナトリウム
【化34】

(式中、R=H又はCH、X=O又はNH、R=5個より多くの炭素原子を含有する任意の線状又は分岐炭素鎖、及びM=H、NH、又は任意のIA族アルカリ金属カチオン)。
【0033】
(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸:例えば、2−アクリルアミドドデシルスルホン酸
【化35】

(式中、R=H又はCH、X=O又はNH、R=5個より多くの炭素原子を含有する任意の線状又は分岐炭素鎖、及びM=H、NH、又は任意のIA族アルカリ金属カチオン)。
【0034】
アリルアルキルスルホスクシネート:例えば、アリルドデシルスルホコハク酸ナトリウム(TREM LF−40、Cognis)
【化36】

(式中、R=5個より多くの炭素原子を含有する任意の線状又は分岐炭素鎖、及びM=H、NH、又は任意のIA族アルカリ金属カチオン)。
カチオン性:
【0035】
四級化アミノアルキル(メタ)アクリルアミド及びアミノアルキル(メタ)アクリレート:例えば、(3−メタクリルアミドプロピル)ドデシルジメチルアンモニウムクロリド、(2−メタクリロイルオキシエチル)ドデシルジメチルアンモニウムクロリド
【化37】

(式中、R=H又はCH、X=O又はNH、R=5個又はそれ以下の炭素原子を含有する任意の線状又は分岐炭素鎖、R=H、CH、CHCH又はCHCHOH、R10=5個より多くの炭素原子を含有する任意の線状又は分岐炭素鎖、及びZ=任意のVII−A属ハリドアニオン、OR(この場合、R=H又はCH、X=O又はNH、R=5個より多くの炭素原子を含有する任意の線状又は分岐炭素鎖、R、R10は、独立してH、CH、CHCH又はCHCHOHであり、及びZは、任意のVII−A族ハリドアニオン))。
四級化ビニルピリジン:例えば、(4−ビニル)ドデシルピリジニウムブロミド
【化38】

(式中、R11=5個より多くの炭素原子を含有する任意の線状又は分岐炭素鎖、及びZ=任意のVII−A族ハリドアニオン)。
【0036】
アルキルジアリルメチルアンモニウムハリド:例えば、ジアリルドデシルメチルアンモニウムクロリド
【化39】

(式中、R12=H、CH又はR13、R13=5個より多くの炭素原子を含有する任意の線状又は分岐炭素鎖、及びZ=任意のVII−Aハリドアニオン)。
双性イオン性:
アミノアルカンカルボキシレート:
例えば、2−[(11−(N−メチルアクリルアミジル)ウンデシル)ジメチルアンモニオ]アセテート
【化40】

(式中、R14=H又はCH、X=O又はN、R15=H、CH、CHCH又はCHCHOH、R16=任意の線状又は分岐炭素鎖(5個より多くの炭素原子)、R17=5個又はそれ以下の炭素原子を含有する任意の線状又は分岐炭素鎖、及びR18=H、CH、又は無し)。
アンモニオアルカンスルホネート:例えば、3−[(11−メタクリロイルオキシウンデシル)ジメチルアミノ]プロパンスルホネート
【化41】

(式中、R19=H又はCH、X=O又はN、R20=H、CH、CHCH又はCHCHOH、R21=任意の線状又は分岐炭素鎖(5個より多くの炭素原子)、R22=5個又はそれ以下の炭素原子を含有する任意の線状又は分岐炭素鎖、及びR23=H、CH、又は無し)。
【0037】
非イオン性:
ω−メトキシポリ(エチレンオキシ)アルキル−α−(メタ)アクリレート:例えば、ω−メトキシポリ(エチレンオキシ)ウンデシル−α−メタクレート
【化42】

(式中、R24=H又はCH、X=O、R25=任意の線状又は分岐炭素鎖(5個より多くの炭素原子)、nは、約4から約800の整数であり、及びR26=5個又はそれ以下の炭素原子を含有する任意の線状又は分岐炭素鎖)
ω−アルコキシポリ(エチレンオキシ)−α−(メタ)アクリレート及びω−アルコキシポリ(エチレンオキシ)−α−イタコネート:例えば、ステアレス−20メタクリレート、セテス−20イタコネート
【化43】

(式中、R27=H、CH、又はCHCOOH、X=O、R28=任意の線状又は分岐炭素鎖(5個より多くの炭素原子)、及びnは、約4から約800の整数である)
エチレン性不飽和超親水性コモノマーの非限定的な例としては、以下のもの、およびそれらに類するものが挙げられる:
非イオン性:
グリセリル(メタ)アクリレート
スクロースモノ(メタ)アクリレート、グルコースモノ(メタ)アクリレート トリス(ヒドロキシメチル)アクリルアミドメタン、1−(2−(3−(アリルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアミノ)エチル)イミダゾリジン−2−オン(RhodiaからのSipomer(登録商標)WAM)
アニオン性:
イタコン酸、その親水性誘導体、及びそれらのアルカリ金属塩
クロトン酸、その親水性誘導体、及びそれらのアルカリ金属塩
マレイン酸、その親水性誘導体、及びそれらのアルカリ金属塩
カチオン性:
2−(メタ)アクリロイルオキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチルエチルアンモニウムクロリド、3−(メタ)アクリルアミド−N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムクロリド、3−(メタ)アクリルアミド−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルプロピルアンモニウムクロリド、N−(2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)エチル(メタ)アクリレート、N−(3−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)プロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル)−N,N,N’,N’.N’−ペンタメチルエタン−1,2−ジアンモニウムジクロリド
双性イオン性:
3−[(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホネート、3−(3−(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアンモニオ)プロピオネート、3−(3−(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアンモニオ)アセテート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルクロリド、及びこれらに類するもの
付加的なエチレン性不飽和親水性コモノマーの非限定的な例としては、以下のもの、及びそれらに類するものが挙げられる:
非イオン性:
例えば、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドエチルエチレンウレア、ω−メトキシポリ(エチレンオキシ)−α−(メタ)アクリレート、及びこれらに類するもの
アニオン性:
アクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタン酸、アリルヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム
カチオン性:
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルプロピル(メタ)アクリルアミド、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド
非限定的な例として、エチレン性不飽和モノマーの共重合によって製造されるSACとしては、
【化44】

ポリ[トリス(ヒドロキシメチル)アクリルアミドメタン−co−2−アクリルアミドドデシルスルホン酸ナトリウム]
【化45】

ポリ[グリセリルメタクリレート−co−(2−メタクリロイルオキシエチル)ドデシルジメチルアンモニウムクロリド];及びこれらに類するものが挙げられる。
【0038】
本発明のSACを獲得するためのさらなる合成経路は、一部の繰り返し単位を両親媒性にさせるための、SRUを含む前駆体ポリマーの、重合後変性によるものを含む。非限定的な例としては、多数のヒドロキシル官能基を含む繰り返し単離から構成される超親水性ポリマー、例えばデンプン、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、イヌリン、プルラン、ポリ(グリセリルメタクリレート)、ポリ[トリス(ヒドロキシメチル)アクリルアミドメタン)]又はポリ(スクロースメタクリレート)、との反応が挙げられ、これは、両親媒性繰り返し単位を生じさせる結果となるだろう。
適切な反応スキームの例としては、
i)アルケニルコハク酸無水物でのエステル化
ii)1,2−エポキシアルカンでのエーテル化
iii)3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアルキルジメチルアンモニウムクロリドでのエーテル化
iv)モノアルキルリン酸エステルでのエステル化が挙げられる。
一定の好ましい実施形態によると、本発明において使用するためのSACは、多数のヒドロキシ官能基を有するポリマーであり、これを、その後、一部の繰り返し単位をARUに転化させるように重合後変性させる。1つの特に好ましい実施形態では、ポリマー、例えば、デンプンデキストリンポリマーなどのデンプンをアルケニルコハク酸無水物でエステル化して、一部の超親水性アンヒドログルコース単位をARUに転化させる。得られる1つのそのような適切なSACの構造は、下に示す、C−6アルケニルコハク酸デキストリンナトリウムであり得る:
【化46】

例えば、SACは、R=C1223の場合、ドデセニルコハク酸デキストリンアトリウムであり得る。当業者には判るであろうが、例えば米国特許第2,661,349号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、多糖類のそのようなアルケニルコハク酸エステルを合成することができる。反応条件の性質、分子アーキテクチャー、糖繰り返し単位のタイプ、分岐点及び分子量に依存して、糖繰り返し単位(AGU)の変性は、上に示したC−6位置に加えて、C−2、C−3又はC−4位置ででも発生することがある。
【0039】
出発多糖類と疎水性試薬の反応から誘導される超親水性両親媒性コポリマーは、該疎水性試薬と結合した多糖類を含む。一定の好ましい実施形態において、SACは、1つ又はそれ以上の疎水性試薬で変性されたデンプン系多糖類である。適切なデンプンの例としては、トウモロコシ、小麦、イネ、タピオカ、馬鈴薯、サゴ及びこれらに類するものなどの植物に由来するものが挙げられる。そのようなデンプンは、天然品種のものである場合もあり、又は植物品種改良により若しくは遺伝子操作により開発されたものである場合もある。本発明のある実施形態において、デンプンは、そのようなデンプンのワキシーバージョン(5%未満アミロースを含有)、高アミロースデンプン(40%より多くアミロースを含有)、変性鎖長を有するもの(例えば、米国特許第5,954,883号に開示されているもの(該特許はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又はこれらの組み合わせのいずれかを含む。一定の好ましい実施形態において、出発デンプンは、馬鈴薯デンプン又はタピオカデンプンである。一定の他の好ましい実施形態において、出発デンプンは、ワキシー馬鈴薯デンプン又はワキシータピオカデンプンである。
一定の実施形態では、デンプン系多糖類を、そのような低分子量デンプン又は「デキストリン」を水に溶解すること、及びそのようなデンプンと疎水性試薬を反応させることによって変性する。望ましくは、デンプンを、当分野において公知の技術、例えば酸及び熱の作用、酵素的加工又は熱加工、によりその分子量を低下させるように加工する。低分子量デンプンを、場合によっては加熱しながら、水に溶解して水溶液にし、その溶液への無機酸(例えば塩酸)などの酸の添加によって、その水溶液のpHを約2.0に調整する。反応終了時の水の除去を最少にするために、デンプン溶液を可能な最高固形分で調製することが好ましい。例示的実施形態において、低分子量デンプンの水性固形分の適切な作業範囲は、溶液の総重量に基づき約10%から約80%デンプンである。好ましくは、低分子量デンプンの固形分パーセントは、その溶液の総重量に基づき約25%から約75%である。もう1つの実施形態において、低分子量デンプンの固形分パーセントは、その溶液の重量に基づき約35%から約70%であり得る。
【0040】
高分子界面活性剤の水溶液の粘度は、望ましくは、その溶液のポンピング又は流れに伴う該界面活性剤の高固形分レベルの有害作用を最少にするために低い。このために、本発明のある実施形態において、本発明の高分子界面活性剤についてのスピンドル#3を使用して200rpmで室温(約23℃)において測定されるブルックフィールド粘度は、溶液の総重量に基づき10%水性固形分で約1000cps未満であり得る。もう1つの実施形態において、スピンドル#3を使用して200rpmで室温(約23℃)において測定される10%水溶液についてのブルックフィールド粘度は、約25cps未満であり得る。さらにもう1つの実施形態において、スピンドル#3を使用して200rpmで室温(約23℃)において測定される10%水溶液についてのブルックフィールド粘度は、約10cps未満であるだろう。
【0041】
さらなる工程において、ARUへの超親水性アンヒドログルコース単位の一部の転化を、1つ又はそれ以上の疎水性試薬(例えば、アルケニルコハク酸無水物)とデンプンを水溶液中で、約8.5のpHで、約40℃で約21時間反応させてSACの水溶液を形成することによって行う。その後、追加のプロセス工程、例えば、SACの水溶液を約23℃に冷却する工程及びその溶液を約7.0のpHに中和する工程を行うことができる。本発明のある実施形態では、pHを、塩酸などの無機酸を使用して調整する。
【0042】
一定の好ましい実施形態では、デンプン系多糖類をアルケニルコハク酸無水物で変性する。驚くべきことに、C12又はそれより長い側鎖を含有する置換コハク酸無水物は、C12未満の側鎖を有する置換コハク酸無水物より改善された泡量及び泡安定度をもたらすことが判明した。一定の好ましい実施形態において、アルケニルコハク酸無水物は、ドデセニルコハク酸無水物(dodeceneylsuccinic anhydride)(DDSA)である。低分子量の乾燥量基準でのDDSAの例示的処理レベルは、約3から約25%の範囲である。もう1つの実施形態において、処理レベルは、低分子量出発デンプンの乾燥重量に基づき約5から約15%DDSAであり得る。
【0043】
本発明のある実施形態、出発多糖類とDDSAの反応から誘導される超親水性両親媒性コポリマー、において、デンプン系多糖類上の結合DDSAは、乾燥デンプンの重量に基づき約3から約15%であり得る。もう1つの実施形態において、結合DDSAは、デンプンの乾燥重量に基づき5%と12%との間であるだろう。
【0044】
本発明のある実施形態では、その後、低分子量多糖類を含有する溶液とDDSAとを、該DDSAを該溶液全体わたって均一に分散した状態に保つために十分な攪拌を用いて、接触させることができる。その後、25℃と60℃との間の温度で反応を起こし、この間、適切な塩基の遅い制御された添加によりその反応のpHを約7.0から約9.0に保持した。そのような適切な塩基材料のいくつかの例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム(sodium carbonate)、炭酸カリウム及び酸化カルシウム(石灰)並びにこれらに類するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
本発明の超親水性両親媒性コポリマーの溶液は、パーソナルケア用途において許容される審美性を提供するために、望ましくは透明であるかやや濁っている。ポリマーの10%の溶液は、好ましくは、約400ntu(下の実験の部で説明するとおり)未満である。1つの実施形態において、ポリマーの10%水溶液の透明度は、約120ntu未満である。もう1つの実施形態において、透明度は、約10ntu未満である。
【0046】
本発明の例示的実施形態において、疎水性試薬は、プロペンの四量体化から作られた12炭素側鎖を含有するDDSAの高分岐バージョンである。このとき、そのテトラプロペンをマレイン酸無水物とエン型反応で反応させると、それが高分岐テトラプロペニルコハク酸無水物(TPSA)になることが判明した。この材料は、やや粘稠な油であり、許容可能な水溶性(例えば、23℃で水中約2〜5%の水溶性)を有するので、この試薬は、低分子量多糖類と好適に反応することができる。従って、本発明のある実施形態において、低分子量デンプンを変性するために使用される疎水性試薬は、TPSAであり得る。
【0047】
一定の他の好ましい実施形態では、3個又はそれ以上の炭素原子を含有する少なくとも1本の鎖を有する長鎖第四級化合物でデンプン系多糖類を変性する。もう1つの実施形態において、長鎖第四級化合物は、6個又はそれ以上の及びさらに好ましくは12個又はそれ以上の炭素原子を含有する少なくとも1本の鎖を有する(例えば、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−ジメチルドデシルアンモニウムクロリド(QUAB(登録商標)342として市販されている)又はそのような化合物からのエポキシド、2,3 エポキシプロピルジメチルドデシルアンモニウムクロリド)。
【0048】
本発明のさらにもう1つの実施形態において、1つ又はそれ以上の疎水性試薬は、例えばコハク酸無水物と長鎖第四級アンモニウム化合物などの、試薬の組み合わせであることがある。ステアリル無水物などのジアルキル無水物も本発明において適切なことがある。
【0049】
さらなる実施形態において、疎水性試薬は、約220より大きい分子量を有する。好ましくは、疎水性試薬は、約250より大きい分子量を有する。
【0050】
一定の好ましい実施形態において、変性デンプン系多糖類は、200,000未満の重量平均分子量を有する。一定の好ましい実施形態において、変性デンプン系多糖類は、約1,000から25,000又は1,500から15,000及びさらに好ましくは約3,000から約10,000の重量平均分子量を有する。
【0051】
デンプン系多糖類に加えて、他の多糖類が本発明での使用に適する。そのような多糖類は、植物源から採取することができ、及び糖タイプの繰り返し単位に基づくものであり得る。これらの多糖類のいくつかの非限定的な例は、グアー、キサンタン、ペクチン、カラゲナン、ローカストビーンガム、及びセルロースであり、前述のものの物理的及び化学的変性誘導体を含む。本発明の実施形態では、分子量を所望の範囲に低減して所望の用途のための粘度をもたらすために、これらの材料の物理的、化学的及び酵素的分解が必要であることもある。化学的変性、例えば、プロピレンオキシド(PO)での処理、エチレンオキシド(EO)での処理、アルキルクロリドでの処理(アルキル化)及びエステル化(例えば、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−トリメチルアンモニウムクロリド、トリポリリン酸ナトリウム、クロロ酢酸、エピクロロヒドリン、オキシ塩化リン及びこれらに類するもの)を行って、追加の機能特性(例えば、カチオン性、アニオン性又は非イオン性)をもたらすこともできる。
【0052】
多糖類の重合後変性から誘導されるSACの別の非限定的な例としては、
【化47】

3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルラウリルジメチルアンモニウムクロリドで変性されたデキストラン(ポリ[α(1→6)−D−グルコース]);及びこれに類するものが挙げられる。
【0053】
他の合成経路としては、本発明のSACを獲得するためのアミノ酸の重合及び/又はポリアミノ酸の重合後変性、並びに本発明のSACを獲得するための親水性ポリマー又は両親媒性ポリマーの重合後変性、並びにこれらに類するものが挙げられる。
【0054】
本出願人は、本発明のSACが有意な量の泡を生じさせるのに有用であることを発見した。例えば、本出願人は、本発明のポリマーフォーム試験(Polymer Foam Test)に従って試験して少なくとも200mLの最大泡量(Max Foam Volume)を呈示する一定のポリマーを見つけた。一定の好ましい実施形態において、本発明のSACは、少なくとも約400mL、さらに好ましくは少なくとも約500mL、好ましくは少なくとも約600mL、及びさらにいっそう好ましくは少なくとも約700mLの最大泡量を呈示する。
【0055】
泡安定度(tability)も、これは、多くの場合、永続する豊かなあわを示すので、本明細書に記載するものなどのパーソナルケア製品の使用者にとって重要である。本発明のSACの泡安定度は、1000秒間の静置後の最大泡量の泡崩壊の尺度である。本明細書において用いる場合、泡安定度は、最大泡量で割った1000秒後の泡量として計算する。約15%又はそれ以上の泡安定度(tability)は、本発明による許容限度内と考えられる。ある実施形態において、本発明のSACは、約40%又はそれ以上の泡安定度を有する。もう1つの実施形態において、SACは、約80%又はそれ以上の泡安定度をもたらす。さらにもう1つの実施形態において、SACは、約90%又はそれ以上の泡安定度をもたらす。
【0056】
本出願人は、本発明の実施形態に従って、一定のSACは、迅速に及び大量に発生する泡をもたらすばかりでなく、刺激の低い組成物の生産にも有用であることを期せずして発見した。一定の好ましい実施形態に従って、本出願人は、本発明のSACが、(本明細書において下で説明する及び本実施例に示す手順と一致して測定して)約90%未満、さらに好ましくは約80%未満、さらに好ましくは約50%未満、及びさらに好ましくは約40%未満のPMOD%を提供できること、従って、それらに付随する刺激性が有益に低い組成物の生産に有用であることを発見した。
【0057】
Fevolaらに発行された及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「COMPOSITIONS COMPRISING LOW-DP POLYMERIZED SURFACTANTS AND METHODS OF USE THEREOF」と題する米国特許第7,417,020号に記載されているように、PMOD%は、「平均ミセル流体力学的直径d」、平均ミセルサイズの測定値を用いて計算する。「d<9ナノメートル(nm)を有するミセルの分率」で、界面活性剤を含む組成物に起因し得る刺激度が計れる。界面活性剤ミセルは、サイズ及び会合数(すなわち、個々のミセル中の界面活性剤分子の平均数)の点でめったに単分散にならない。むしろ、界面活性剤ミセルは、ミセルサイズ分布関数を生じさせるサイズ及び会合数の分布を有する集団として存在する傾向がある。従って「d<9ナノメートル(nm)を有するミセルの分率」は、より大きなミセルに有利であるように「シフト」される、ミセルの分布を生じさせる能力の尺度である。
【0058】
本発明のミセルサイズ分布を生じさせるために適切な任意の量のSACを本発明の方法に従って併せることができる。一定の実施形態によると、SACを、組成物中約0.1重量%を超えて約30重量%までの活性SAC濃度で使用する。好ましくは、SACは、組成物中約0.5から約20%、さらに好ましくは約1から約15%、さらにいっそう好ましくは約2から約10%の活性SAC濃度である。一定の他の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、組成物中に約0.5から約15%、さらに好ましくは約3から約15%又は約1.5%から約10%活性SACを含む。
【0059】
本出願人は、超親水性両親媒性コポリマーをミセル増粘剤と併せることにより、刺激も低く、フラッシュフォームの量も多い組成物を形成することができ、その結果、該組成物の美的アピールが大きく向上されることを期せずして発見した。
【0060】
本出願人は、超親水性両親媒性コポリマーを有する組成物を増粘する及びさらに該組成物を水での希釈により迅速に粘度低下させるミセル増粘剤の驚くべき能力に注目した。
【0061】
理論により拘束されることを望まないが、本出願人の発見の研究に基づき、本出願人は、超親水性両親媒性コポリマーが分子レベルでひも状ミセル(worm−like micelles)に容易に組み込まれ、このミセルの形成はミセル増粘剤によって起こると考えている。それによって作られる「分子間増粘性網目構造(intermolecular thickneing network)」は、非常に濃度感受性であり、従って希釈により容易に「壊れ」、これが強いフラッシュフォーム性能を可能にする。希釈により網目構造を崩壊するこの能力は、超親水性両親媒性コポリマーに依存して泡を発生させる組成物にとって特に重要である。超親水性両親媒性コポリマーは、従来の界面活性剤より大きく、一般にゆっくりと拡散していくからである。この可動性欠如は、フラッシュフォームを発生させる超親水性両親媒性コポリマーの能力をともすれば低下させるであろう。
【0062】
本明細書において定義する場合、用語「ミセル増粘剤」は、当業者には容易に理解されるであろうが、下記の2つの基準の一方又は両方を満たすポリマーを指す。第一の基準によると、(I):ミセル増粘剤は、少なくとも3つの親水性繰り返し単位又は超親水性繰り返し単位を含み、さらに2つ又はそれ以上の独立した疎水性部分を含むポリマーであって、比較的低い重量平均分子量、例えば約100,000未満、好ましくは約50,000未満、さらに好ましくは約25,000未満、最も好ましくは約10,000未満を有するポリマーである。好ましい疎水性部分は、10個又はそれ以上の炭素原子、さらに好ましくは12から30個の炭素原子、さらにいっそう好ましくは16から26個の炭素原子、及び最も好ましくは18から24個の炭素原子を含む。基準(I)を満たすミセル増粘剤は、一般に、界面活性剤ミセルのコロナ(外面)の変性適していると考えられ、便宜上、本明細書では以後「コロナ増粘剤」と呼ぶ。
【0063】
第二の基準によると、(II):ミセル増粘剤は、少なくとも2つの非イオン性親水性部分を含む;及び(a)8個若しくはそれ以上の炭素原子を含む炭素鎖を有する2つ若しくはそれ以上の疎水性部分;又は(b)12若しくはそれ以上の炭素原子を含む炭素鎖を有する1つ若しくはそれ以上の疎水性部分のいずれかを含む;及び約5,000(ダルトン)未満、好ましくは約3,000未満、さらに好ましくは2,000未満、最も好ましくは1500未満の分子量を有する、分子である。基準(II)を満たすミセル増粘剤は、一般に、界面活性剤ミセルのコア(中心)の変性に適切なと考えられ、便宜上、本明細書では以後「コア増粘剤」と呼ぶ。
【0064】
親水性部分、親水性繰り返し単位及び超親水性繰り返し単位は、SACに関して上で定義している。好ましい親水性部分としては、非イオン性のもの、例えばヒドロキシル及びエチレンオキシが挙げられる。ミセル増粘剤に含めるのに適切な好ましい親水性繰り返し単位又は超親水性繰り返し単位としては、エチレンオキシ、グリセロール、グリシドール又はグリセリルカーボネートから誘導されるもの、並びに親水性及び超親水性エチレン性不飽和モノマー(例えば、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム及びアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム)から誘導されるものが挙げられる。エチレンオキシ繰り返し単位が特に好ましい。親水性繰り返し単位の数は、約3から約1000、好ましくは約5から約500、さらに好ましくは約6から約400であり得る。疎水性部分もSACに関して上で定義している。含めるのに適切な好ましい疎水性部分は、線状又は分岐、飽和又は不飽和アルキル又はアリールアルキル基である。もう1つの好ましい実施形態において、疎水性部分は、例えば、オキシプロピレン又は(N−アルキルアシルアミド)、例えば(N−t−ブチルアクリルアミド)の隣接繰り返し単位又は「ブロック」を含む。疎水性部分がそのようなブロックを含む実施形態については、1ブロックあたりの繰り返し単位の数は、好ましくは約3から約400、さらに好ましくは約5から約200である。「独立した疎水性部分」とは、疎水性部分が共通の原子を一切含まないこと、すなわち、それらがミセル増粘剤の異なる部分に位置することを意味する。好ましい実施形態において、ミセル増粘剤は、非イオン性である。
【0065】
ミセル増粘剤は、例えば疎水性部分を親水性繰り返し単位に共有結合させるために役立つ、1つ又はそれ以上の連結基を含むことがある。適切な連結基としては、エステル、チオエステル、ジチオエステル、カーボネート、チオカーボネート、トリチオカーボネート、エーテル、チオエーテル、アミド、チオアミド、カルバメート/ウレタン及びザンセートが挙げられる。好ましい連結基は、エステル及びエーテルである。
【0066】
一定の好ましい実施形態において、ミセル増粘剤は、上で定義したとおりのコロナ増粘剤である。好ましくは、コロナ増粘剤の独立した疎水性部分は末端にある、すなわち、該疎水性部分は、該ポリマーの異なる鎖の別個の端又は末端にそれぞれ位置する。
【0067】
コロナ増粘剤は、様々な化学配置のものであり得る。1つの適切な配置は、線状配置、例えば、下の構造によって定義され得るものである:
【化48】

(式中、HRUは、1モルあたりh単位のHRUを有する疎水性繰り返し単位であり;L及びL’は、連結基であり;並びにR及びRは、疎水性部分である)。一定の好ましい実施形態において、コロナ増粘剤は、hが3〜1000、好ましくは5〜500、さらに好ましくは6〜400、及びさらに好ましくは10〜300である、上の式の線状分子である。
【0068】
線状コロナ増粘剤の適切な例は、下の構造によって表される、ポリエチレングリコール(PEG)の脂肪酸ジエステルである:
【化49】

(式中、L及びL’は、エステル連結基であり、HRUは、エチレンオキシである)。R及びRがC1735であり、及びn=150の、そのような線状コロナ増粘剤の1つの特定の例は、PEG−150ジステアレートである。
【0069】
線状コロナ増粘剤の他の適切な例は、下の構造によって表される、エトキシ化脂肪アルコールの脂肪酸エステルである:
【化50】

(式中、Lは、エーテル連結基であり、及びL’は、エステル連結基であり、及びHRUは、エチレンオキシである)。RがC2449であり、及びRがC2143であり、及びn=200の、そのような線状コロナ増粘剤の1つの特定の例は、デシルテトラデセス−200ベヘネートである。
【0070】
線状配置を有するもう1つの適切なコロナ増粘剤は、親水性繰り返し単位が多数の親水性官能基と会合しているもの、例えば、疎水変性エトキシ化ウレタン(HEUR)である。そのようなコロナ増粘剤一例を下に示す:
【化51】

が飽和ジフェニルメチレンであり、RがC1837であり、及びx=150繰り返し単位の、そのようなHEURの1つの特定の例は、PEG−150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマーである。
【0071】
線状配置を有するさらにもう1つの適切なコロナ増粘剤は、疎水性部分が3つ又はそれ以上のC又はそれ以上のアルコキシ基を連続して含み、親水性繰り返し単位繰り返し単位が、エチレンオキシを含むもの、例えば、PPO−PEO−PPOブロックコポリマーである。そのようなコロナ増粘剤の一例を下に示す:
【化52】

コロナ増粘剤の他の適切な配置は、配置が分岐している又は星形であるものである。「分岐している又は星形の」とは、ポリマーが、多数のセグメント、例えば4又は5のセグメント、例えば共通ノード構造から伸びているものを含むことを意味する。このノード構造は、疎水性部分又は親水性繰り返し単位についての上記要件を満たさない原子群であり得るが、必ずしもそうであるとは限らない。1つの実施形態において、ノード構造は、下に示す(4つのセグメントを有する)ネオペンチル基などの分岐炭化水素
【化53】

又は様々な官能基を反応させたフルクトース、グルコース、ガラクトース、マンノース、グルコサミン、マンヌロン酸、グルロン酸から誘導された糖類などの環式基(5つのセグメントを有するその一例を下に示す)である。
【化54】

【0072】
ノード構造から伸びているセグメントのうちの少なくとも2つは、末端疎水性部分、例えば、HRUによって該ノード構造に接合されている末端疎水性部分を含む。一定の実施形態において、ノード構造に接合されているセグメントうちの2つと4つとの間は、末端疎水性部分、例えば、HRUによって該ノード構造に接合されていることがあるものを含む。一定の他の実施形態において、セグメントの1つ又はそれ以上は、末端HRU、例えば、ノード構造に接合されているが、該ノード構造と末端疎水性部分の間の架橋を構成しないものである。
【0073】
分岐及び星形コロナ増粘剤は、エトキシ化部分の脂肪酸ポリエステルを含むことがある。適切な例としては、エトキシ化ポリグリコールの脂肪酸ポリエステルが挙げられる。他の適切な例としては、エトキシ化単糖類(例えば、フルクトース、グルコース、ガラクトース、マンノース、グルコサミン、マンヌロン酸、グルロン酸)の脂肪酸ポリエステルが挙げられる。エトキシ化グルコシドの脂肪酸ポリエステルが特に好ましい。エトキシ化グルコシドの脂肪酸ポリエステルの1つの特定の適切な例は、下の構造によって表されるような、エトキシ化メチルグルコシドの脂肪酸ジエステルである:
【化55】

式中、4つの異なる親水性セグメント(ここでは、それぞれがエチレンオキシHRUから構成される)は、エーテル結合によってメチルグルコシドノード構造に連結されている。エチレンオキシセグメントのうちの2つもエステル連結基によって末端脂肪酸疎水性部分に連結されている。従って、この特定のコロナ増粘剤は、5つのセグメントを有し、これら5つのうちの2つが、独立した末端疎水性部分を含む。残りのセグメントのうちの2つは、エーテル結合によってノード構造に接合されている末端HRUである。そのようなコロナ増粘剤の1つの特定の例は、エチレンオキシ繰り返し単位数の合計、w+x+y+z=119、並びにR及びRがC1733(オレエート)であるもの、EvonikによりAntil 120 Plusとして商業販売されているPEG−120メチルグルコースジオレエートである。適切な材料の他の例は、下の構造のエトキシ化メチルグルコシド脂肪酸エステルを含む:
【化56】

そのような材料の例としては、LubrizolによりGlucamate DOE−120として商業販売されている、PEG−120メチルグルコースジオレエート(式中、x+y=120、R=R=C1733)が挙げられる。
【0074】
エトキシ化グルコシドのもう1つの適切な脂肪酸ポリエステルは、下の構造によって表されるような、エトキシ化メチルグルコシドの脂肪酸トリエステルである:
【化57】

式中、4つの異なる親水性セグメント(この場合、それぞれがHRUから構成される)は、エーテル結合によりメチルグルコシドノード構造に連結されている。ポリエチレンオキシセグメントのうちの3つもエステル連結基により末端脂肪酸疎水性部分に連結されており、第四のポリエチレンオキシセグメントは、ヒドロキシル基を末端に有する。従って、この特定のコロナ増粘剤は、5つのセグメントを有し、これら5つのうちの3つが、独立した末端疎水性部分を含む。残りのセグメントのうちの1つは、エーテル結合によってノード構造に接合されている末端HRUである。そのようなコロナ増粘剤の1つの特定の例は、エチレンオキシ繰り返し単位数の合計、w+x+y+z=119、並びにR及びRがC1733(オレエート)であるもの、PEG−120メチルグルコーストリオレエートである。適切な材料の他の例は、エトキシ化メチルグルコシド脂肪酸エステル、下の式の脂肪酸エステルを含む:
【化58】

そのような材料の例としては、LubrizolによりGlucamate LTとして商業販売されている、PEG−120メチルグルコーストリオレエート(式中、x+y=120、R=R=R=C1733)が挙げられる。
【0075】
分岐(又は星形)配置を有するコロナ増粘剤のもう1つの適切な例は、4つのセグメントを有するものである。これら4セグメントは、独立した疎水性部分をそれぞれ含むことがある。これらは、HRUによってノード構造に接合されていることがある。4つのセグメントを有する分岐又は星形コロナ増粘剤の一例、星形PEGの脂肪酸エステルは、下の構造によって表される:
【化59】

式中、4つの異なる親水性セグメント(この場合、それぞれがエチレンオキシ繰り返し単位から構成される)は、エーテル結合によってノード構造に連結されている。このノード構造は、ペンタエリスリチル官能基(すなわち、それに結合している4つのペンダントCH基を有する第四級炭素原子)から成る。ポリエチレンオキシセグメントの4つすべてもまたエステル連結基によって末端脂肪酸疎水性部分に連結されている。そのようなコロナ増粘剤の1つの特定の例は、エチレンオキシ繰り返し単位数の合計、w+x+y+z=150、並びにR、R、R及びRがC1735であるもの、PEG−150ペンタエリスリチルテトラステアレートである。
【0076】
星形配置を有するコロナ増粘剤のもう1つの適切な例は、PEO−PPOスターブロックコポリマーである。適切な構造を下に提供する:
【化60】

上に示したコロナ増粘剤において、N−R−Nは、ノード構造を表し、このノード構造から4つのセグメントが放射状に外に広がっている。Rは、例えば、エチル基、−CHCH−であり得る。各枝は、x繰り返し単位のエチレンオキシセグメントを含み、ポリ(オキシプロピレン)疎水性ブロックを末端に有する。
【0077】
一定の実施形態において、ミセル増粘剤は、上で定義したとおりのコア増粘剤である。一定の好ましい実施形態において、コア増粘剤は、線状配置を有する。コア増粘剤の例としては、グリセロールから誘導されるものが挙げられる。グリセロールから誘導されるコア増粘剤の1つの適切な例は、グリセリル脂肪酸エステル、例えば、下の構造によって定義されるものである:
【化61】

1つの特定の例は、R=C1733の、グリセリルオレエートである。
【0078】
グリセロールから誘導される分岐コア増粘剤のもう1つの例は、ポリグリセロール、例えばポリグリセリル脂肪酸エステル、例えば、親水性部分のうちの1つがHRU中に位置する下記構造によって定義されるものである。
【化62】

1つの特定の例は、R=C1733及びx=9のポリグリセリル−10オレエート(スイス、バーゼルのLonza Group LLCから入手できる、Polyaldo 10−1−O)である。
【0079】
適切なコア増粘剤のさらにもう1つの例としては、脂肪酸モノ及びジ−アルカノールアミド、例えば、下の構造によって定義されるものが挙げられる:
【化63】

1つの特定の例は、R=C1123及びR=R=CHCHOHのLauramide DEAである。
【0080】
適切なコア増粘剤のもう1つの例としては、ソルビタンの脂肪酸エステル、例えば、下の構造によって定義されるものが挙げられる:
【化64】

1つの特定の例は、1molのソルビタンあたり平均1.5molのC15COを有する、R=C15CO又はHの、ソルビタンセスキカプリレート(ドイツ、デュッセルドルフのEvonik Industries AGからAntil SCで入手できる)である。
【0081】
本発明の組成物の粘度を増加させるために適切な任意の量のミセル増粘剤を、本発明に従って併せることができる。例えば、ミセル増粘剤は、組成物の粘度を(下で説明する製剤粘度試験に従って試験したとき)少なくとも約100増加させるために十分な、好ましくは該粘度を少なくとも約200cP上昇させるために十分な、さらに好ましくは該粘度を少なくとも約500cP上昇させるために十分な、さらにいっそう好ましくは該粘度を少なくとも約1000cP上昇させるために十分な、量で製剤に含めることができる。上で指定した粘度の増加は、ミセル増粘剤の代わりに水を有する組成物と比較した場合である。
【0082】
一定の実施形態によると、ミセル増粘剤を、組成物中約0.1重量%を超えて約15重量%までの活性ミセル増粘剤濃度で使用する。好ましくは、ミセル増粘剤は、組成物中約0.1から約10%、さらに好ましくは約0.1%から約5%、さらにいっそう好ましくは約0.2%から約4%、さらにいっそう好ましくは約0.5%から約4%、及び最も好ましくは約1%から約4%の活性ミセル増粘剤濃度である。
【0083】
本出願人は、本発明の組成物が予想外の即時泡立ち性を有する傾向があることを期せずして発見した。詳細には、本出願人は、本明細書において下で説明する製剤フラッシュフォーム試験に従って本発明の組成物を試験し、20サイクルでの泡量及びそれに付随する泡発生量を測定した。本出願人は、本発明の一定の実施形態が20サイクルで約250mL又はそれ以上の泡量を生成することを発見した。一定のさらに好ましい実施形態において、それらの実施形態は、20サイクルで約300mL又はそれ以上、さらに好ましくは約350mL又はそれ以上、さらに好ましくは約400mL又はそれ以上、さらに好ましくは約450mL又はそれ以上、及びさらに好ましくは約500mL又はそれ以上の泡量を呈示する。本出願人は、本発明の一定の実施形態が、約9mL/サイクル又はそれ以上の泡発生量を呈示することを発見した。一定のさらに好ましい実施形態において、それらの実施形態は、約10mL/サイクル又はそれ以上、さらに好ましくは約12mL/サイクル又はそれ以上、さらに好ましくは約14mL/サイクル又はそれ以上、さらに好ましくは約16mL/サイクル又はそれ以上、さらに好ましくは約18mL/サイクル又はそれ以上、さらに好ましくは約20mL/サイクル又はそれ以上、及びさらに好ましくは約22mL/サイクル又はそれ以上の泡発生量を呈示する。
【0084】
本発明において有用な組成物は、SACとして指定するために上で指定した要件を満たさない任意の様々な従来の重合界面活性剤を含むこともある。適切な従来の重合界面活性剤の例は、Fevolaらに発行された、「COMPOSITIONS COMPRISING LOW-DP POLYMERIZED SURFACTANTS AND METHODS OF USE THEREOF」と題する米国特許第7,417,020号に記載されているものが挙げられる。
【0085】
本発明において有用な組成物は、任意の様々な単量体界面活性剤も含むことがある。「単量体界面活性剤」とは、上で定義した「重合界面活性剤」の定義を満たさない任意の界面活性物質を意味する。単量体界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性又はカチオン性である場合があり、それらの例を下で詳述する。
【0086】
一定の実施形態によると、適切なアニオン性界面活性剤としては、以下の界面活性剤クラスから選択されるものが挙げられる:アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルモノグリセリルエーテルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルスルホスクシナメート、アルキルアミドスルホスクシナメート、アルキルカルボキシレート、アルキルアミドエーテルカルボキシレート、アルキルスクシネート、脂肪アシルサルコシネート、脂肪アシルアミノ酸、脂肪アシルタウレート、脂肪アルキルスルホアセテート、アルキルホスフェート、及びこれらのうちの2つ又はそれ以上のものの混合物が挙げられる。一定の好ましいアニオン性界面活性剤の例としては、以下のものが挙げられる:
下記式のアルキルスルフェート
R’−CHOSOX’;
下記式のアルキルエーテルスルフェート
R’(OCHCHOSOX’;
下記式のアルキルモノグリセリルエーテルスルフェート
【化65】

下記式のアルキルモノグリセリドスルフェート
【化66】

下記式のアルキルモノグリセリドスルホネート
【化67】

下記式のアルキルスルホネート
R’−SOX’;
下記式のアルキルアリールスルホネート
【化68】

下記式のアルキルスルホスクシネート
【化69】

下記式のアルキルエーテルスルホスクシネート
【化70】

下記式のアルキルスルホスクシナメート
【化71】

下記式のアルキルアミドスルホスクシナメート
【化72】

下記式のアルキルカルボキシレート:
【化73】

下記式のアルキルアミドエーテルカルボキシレート:
【化74】

下記式のアルキルスクシネート:
【化75】

下記式の脂肪アシルサルコシネート:
【化76】

下記式の脂肪アシルアミノ酸:
【化77】

下記式の脂肪アシルタウレート:
【化78】

下記式の脂肪アルキルスルホアセテート:
【化79】

下記式のアルキルホスフェート:
【化80】

(これらの式中、
R’は、約7から約22個、及び好ましくは約7から約16個の炭素原子を有するアルキル基であり;
R’は、約1から約18個、及び好ましくは約8から約14個の炭素原子を有するアルキル基であり;
R’は、天然又は合成Iアミノ酸の置換基であり;I
X’は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、及び約1から約3個の置換基で置換されているアンモニウムイオンから成る群から選択され、置換基のそれぞれは、同じである又は異なることがあり、並びに1から4個の炭素原子を有するアルキル基、及び約2から約4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基から成る群から選択され;並びに
vは、1から6の整数であり;
wは、0から20の整数である)
及びこれらの混合物。
【0087】
任意の様々な非イオン性界面活性剤が本発明での使用に適する。適切な非イオン性界面活性剤の例としては、脂肪アルコール酸又はアミドエトキシレート、モノグリセリドエトキシレート、ソルビタンエステルエトキシレートアルキルポリグリコシド、これらの混合物、及びそれらに類するものが挙げられるが、それらに限定されない。一定の好ましい非イオン性界面活性剤は、ポリオールエステルのポリエチレンオキシ誘導体を含み、このポリオールエステルのポリエチレンオキシ誘導体は、(1)(a)約8から約22個、及び好ましくは約10から約14個の炭素原子を含有する脂肪酸と、(b)ソルビトール、ソルビタン、グルコース、α−メチルグルコシド、ポリグルコース(1分子あたり平均約1から約3個のグルコース残基を有する)、グリセリン、ペンタエリスリトール及びこれらの混合物から選択されるポリオールとから誘導され、(2)約10から約120、及び好ましくは約20から約80個のエチレンオキシ単位を含有し、並びに(3)1モルのポリオールエステルのポリエチレンオキシ誘導体あたり平均で約1から約3個の脂肪酸残基を有する。そのような好ましい、ポリオールエステルのポリエチレンオキシ誘導体の例としては、PEG−80ソルビタンラウレート及びポリソルベート20が挙げられるが、これらに限定されない。平均で約80molのエチレンオキシドでエトキシ化されたラウリン酸のソルビタンモノエステルである、PEG−80ソルビタンラウレートは、ニュージャージー州エディソオンのCronda,Inc.から商品名「Atlas G−4280」で市販されている。おおよそ20モルのエチレンオキシドと縮合された、ソルビトールと無水ソルビトールの混合物のラウリン酸モノエステルである、ポリソルベート20は、ニュージャージー州エディソンのCroda,Inc.から商品名「Tween 20」で市販されている。
【0088】
適切な非イオン性界面活性剤のもう1つのクラスは、(a)約6から約22個、及び好ましくは約8から約14個の炭素原子を含有する長鎖アルコールと(b)グルコース又はグルコース含有ポリマーとの縮合生成物である、長鎖アルキルグルコシド又はポリグリコシドを含む。好ましいアルキルグルコシドは、1分子のアルキルグルコシドあたり約1から約6個のグルコース残基を含む。好ましいグルコシドは、デシルアルコールとグルコースポリマーの縮合生成物である、及びペンシルバニア州アンブラーのCognis Corporationから商品名「Plantaren 2000」で市販されている、デシルグルコシドである。
【0089】
任意の様々な両性界面活性剤が本発明での使用に適する。本明細書において用いる場合、用語「両性」は、1)例えばアミノ(塩基性)官能基と酸(例えば、カルボン酸、酸性)官能基の両方を含有するアミノ酸などの、酸性部位と塩基性部位の両方を含有する分子、又は2)同じ分子内に正電荷と負電荷の両方を保有する双性イオン性分子を、意味するものとする。後者の電荷は、組成物のpHに依存することがあり、または依存しないことがある。双性イオン性材料の例としては、アルキルベタイン及びアミドアルキルベタインが挙げられるが、これらに限定されない。両性界面活性剤を本明細書では対イオンなしで開示する。本発明の組成物のpH条件下で、両性界面活性剤が、正電荷と負電荷の平衡を保つことにより電気的に中性である、又はそれらが対イオン、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属若しくはアンモニウム対イオンを有することは、当業者には容易に判るであろう。
【0090】
本発明での使用に適切な両性界面活性剤の例としては、アンホカルボキシレート、例えばアルキルアンホアセテート(モノ又はジ);アルキルベタイン;アミドアルキルベタイン;アミドアルキルスルタイン;アンホホスフェート;リン酸化イミダゾリン、例えばホスホベタイン及びピロホスホベタイン;カルボキシアルキルアルキルポリアミン;アルキルイミノ−ジプロピオネート;アルキルアンホグリシネート(モノ又はジ);アルキルアンホプロピオネート(モノ又はジ);N−アルキルβ−アミノプロピオン酸;アルキルポリアミノカルボキシレート;及びこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0091】
適切なアンホカルボキシレート化合物の例としては、式:
A−CONH(CH
のものが挙げられ、式中、
Aは、約7から約21個、例えば約10から約16個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基であり;
xは、約2から約6の整数であり;
は、水素であるか、約2から約3個の炭素原子を含有するカルボキシアルキル基であり;
は、約2から約3個の炭素原子を含有するヒドロキシアルキル基であるか、式:
−O−(CHCO
(この式中、
は、約2から約3個の炭素原子を有するアルキレン基であり、及びnは1又は2である)の基であり;及び
は、約2から約3個の炭素原子を含有するカルボキシアルキル基である。
適切なアルキルベタインの例としては、式:
B−N10(CHCO
の化合物が挙げられ、式中、
Bは、約8から約22個、例えば約8から約16個の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基であり;
及びR10は、それぞれ独立して、約1から約4個の炭素原子を有するアルキル又はヒドロキシアルキル基であり;並びに
pは、1又は2である。
【0092】
本発明において使用するための好ましいベタインは、英国ウェストミッドランズのAlbright & Wilson Ltd.から「Empigen BB/J」として市販されているラウリルベタインである。
適切なアミドアルキルベタインの例としては、式:
D−CO−NH(CH−N1112(CHCO
の化合物が挙げられ、式中、
Dは、約7から約21個、例えば約7から約15個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基であり;
11及びR12は、それぞれ独立して、
約1から4個の炭素原子を有する
アルキル又はヒドロキシアルキル基であり;
qは、約2から約6の整数であり、並びにmは、1又は2である。
【0093】
1つのアミノアルキルベタインは、バージニア州ホープウェルのEvonik Industriesから商品名「Tegobetain L7」で市販されている、コカミドプロピルベタインである。
適切なアミドアルキルスルタインの例としては、式
【化81】

の化合物が挙げられ、式中、
Eは、約7から約21個、例えば約7から約15個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基であり;
14及びR15は、それぞれ独立して、約1から約4個の炭素原子を有するアルキル又はヒドロキシアルキル基であり;
rは、約2から約6の整数であり;並びに
13は、約2から約3個の炭素原子を有する
アルキレン又はヒドロキシアルキレン基である。
1つの実施形態において、アミドアルキルスルタインは、ニュージャージー州クランバリーのRhodia Novecareから商品名「Mirataine CBS」で市販されている、コカミドプロピルヒドロキシスルタインである。
【0094】
適切なアンホホスフェートの例としては、式:
【化82】

のものが挙げられ、式中、
Gは、約7から約21個、例えば約7から約15個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基であり;
sは、約2から約6の整数であり;
16は、水素であるか、約2から約3個の炭素原子を含有するカルボキシアルキル基であり;
17は、約2から約3個の炭素原子を含有するヒドロキシアルキル基であるか、式:
19−O−(CH−CO
(この式中、
13は、約2から約3個の炭素原子を有する
アルキレン又はヒドロキシアルキレン基であり、
及び
tは、1又は2である)の基であり;及び
18は、約2から約3個の炭素原子を有するアルキレン又はヒドロキシアルキレン基である。
【0095】
1つの実施形態において、アンホホスフェート化合物は、ニュージャージー州エディソンのCroda,Inc.から商品名「Monateric 1023」で市販されているラウロアンホPG−酢酸リン酸ナトリウム、及び参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,380,637号に開示されているものである。
【0096】
適切なホスホベタインの例としては、式:
【化83】

の化合物が挙げられ、式中のE、r、R、R及びRは、上で定義したとおりである。1つの実施形態において、ホスホベタイン化合物は、米国特許第4,215,064号、同第4,617,414号及び同第4,233,192号に開示されているものであり、特許すべてが参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
適切なピロホスホベタインの例としては、式:
【化84】

の化合物が挙げられ、この式中のE、r、R、R及びRは、上で定義したとおりである。1つの実施形態において、ピロホスホベタイン化合物は、米国特許第4,382,036号、同第4,372,869号及び同第4,617,414号に開示されているものであり、特許すべてが参照により本明細書に組み込まれる。
【0098】
適切なカルボキシアルキルアルキルポリアミンの例としては、式:
【化85】

のものが挙げられ、式中、
Iは、約8から約22個、例えば約8から約16個の炭素原子を含有するアルキル又はアルケニル基であり;
22は、約2から約3個の炭素原子を有するカルボキシアルキル基であり;
21は、約2から約3個の炭素原子を有するアルキレン基であり;及び
uは、約1から約4の整数である。
【0099】
本発明での使用に適しているカチオン性界面活性剤のクラスは、アルキル基が約6炭素から約30炭素原子を有する(約8から約22炭素原子が好ましい)、アルキル第四級化合物(quaternaries)(モノ、ジ又はトリ)、ベンジル第四級化合物、エステル第四級化合物、エトキシ化第四級化合物、アルキルアミン、及びこれらの混合物を含む。
【0100】
小型ミセルの分率が低い組成物(low small micelle fraction composition)を生成するために適切な任意の量の単量体界面活性剤を、本発明に従って併せることができる。例えば、本発明において使用する単量体界面活性剤の量は、組成物中約0.1から約30%、さらに好ましくは約0.5から約20%、さらにいっそう好ましくは約1から約15%の全活性単量体界面活性剤であり得、及びさらにいっそう好ましくは約2%から約10%であり得る。
【0101】
小型ミセルの分率が低い組成物を生成するために適切な任意の相対量の重合界面活性剤と単量体界面活性剤を、本発明に従って併せることができる。一定の実施形態によると、組成物は、全単量体界面活性剤の総和量に対して約0.1:1から約5:1、及び好ましくは約0.25:1から約3:1の比率のSACを含む。
【0102】
本発明の組成物は、ヘルスケア/パーソナルケア組成物に従来使用されている任意の様々なさらなる他の処方成分(「パーソナルケア成分」)を含むことがある。これらの他の処方成分としては、非排他的に、1つ又はそれ以上の、真珠光沢又は乳白剤、増粘剤、皮膚軟化薬、二次コンディショナー、保湿剤、キレート剤、活性物質(actives)、剥離剤、並びに組成物の外観、感触及び香気を向上させる添加剤、例えば着色剤、芳香剤、保存薬、pH調整剤及びこれらに類するものが挙げられる。
【0103】
シリコーンなどの水不溶性添加剤を懸濁させることができる、及び/又は結果として生ずる製品がコンディショニングシャンプーであることを消費者に示す結果につながる、任意の様々な市販真珠光沢または乳白剤が、本発明での使用に適する。この真珠光沢又は乳白剤は、組成物の全重量に基づき、約1パーセントから約10パーセント、例えば約1.5パーセントから約7パーセント又は約2パーセントから約5パーセントの量で存在し得る。適切な真珠光沢又は乳白剤の例としては、(a)約16から約22個の炭素原子を有する脂肪酸と(b)エチレングリコール又はプロピレングリコールのいずれかとのモノ又はジエステル;(a)約16から約22個の炭素原子を有する脂肪酸と(b)式:HO−(JO)−H(式中、Jは約2から約3個の炭素原子を有するアルキレン基であり;及びaは2又は3である)のポリアルキレングリコールとのモノ又はジエステル;約16から約22個の炭素原子を含有する脂肪アルコール;式:KCOOCHL(式中、K及びLは、独立して、約15から約21個の炭素原子を含有する)の脂肪エステル;シャンプー組成物に不溶性の無機固体、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
ペンシルバニア州アンバーのCognis Corporationから商品名「Euperlan PK−3000」として市販されているものなどの、真珠光沢又は乳白剤を、マイルドクレンジング組成物に、既製、安定化水性分散液として導入することができる。この材料は、グリコールジステアレート(エチレングリコールとステアリン酸のジエステル)とラウレス−4(CH(CH10CH(OCHCHOH)とコカミドプロピルベタインとの組み合わせであり、それぞれ約25から約30:約3から約15:約20から約25の重量パーセント比で存在し得る。
【0105】
本発明において有用な組成物は、ミセル増粘剤を考究するために上で指定した要件を満たさない任意の様々な従来の増粘剤も含むことがある。適切な従来の増粘剤の例としては、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、キサンタン及びグアーガム、スクシノグリカンガム及びこれらの混合物などの化学的物質を含む、1モルあたり約100,000グラムより大きい分子量を有する様々な増粘剤が挙げられる。
【0106】
適切な増粘剤の例としては、非排他的に、1)式HO−(CHCHO)H(式中、zは約3から約200の整数である)のポリエチレングリコールと2)約16から約22個の炭素原子を含有する脂肪酸とのモノ又はジエステル;エトキシ化ポリオールの脂肪酸エステル;脂肪酸とグリセリンのモノ及びジエステルのエトキシ化誘導体;ヒドロキシアルキルセルロース;アルキルセルロース;ヒドロキシアルキルアルキルセルロース;疎水変性アルカリ膨潤性エマルジョン(HASE);疎水変性エトキシ化ウレタン(HEUR);キサンタン及びグアーガム;並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましい増粘剤としては、ポリエチレングリコールエステル、及びさらに好ましくは、イリノイ州シカゴのHallstar Companyから商品名「PEG 6000DS」で入手できるPEG−150ジステアレートが挙げられる。
【0107】
毛髪へのつやなどの追加の特質を付与する、揮発性シリコーンなどの、任意の様々な市販二次コンディショナーが本発明での使用に適する。揮発性シリコーンコンディショニング剤は、約220°C未満の大気圧沸点を有する。揮発性シリコーンコンディショナーは、組成物の総重量に基づき、約0パーセントから約3パーセント、例えば、約0.25パーセントから約2.5パーセント又は約0.5から約1.0パーセントの量で存在し得る。適切な揮発し得シリコーンの例としては、非排他的に、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシクロシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、シクロメチコン液(例えば、ミシガン州ミッドランドのDow Corining Corporationから商品名「DC−345」で市販されているポリジメチルシクロシロキサン)及びこれらの混合物が挙げられ、好ましくは、シクロメチコン液が挙げられる。他の適切な二次コンディショナーとしては、カチオン性ポリマー(ポリ第四級化合物を含む)、カチオン性グアーガム、及びこれらに類するものが挙げられる。
【0108】
パーソナルクレンジング組成物に潤い付与特性及びコンディショニング特性をもたらすことができる任意の様々な市販の保湿剤が、本発明での使用に適する。保湿剤は、組成物の総重量に基づき、約0パーセントから約10パーセント、例えば、約0.5パーセントから約5パーセント又は約0.5から約3パーセントの量で存在し得る。適切な保湿剤の例としては、非排他的に、1)グリセリン、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリグリセロール及びこれらの混合物を含む群から選択される水溶性液体ポリオール;2)式:HO−(R”O)−H(式中、R”は、約2から約3個の炭素原子を有するアルキレン基であり、及びbは、約2から約10の整数である)のポリアルキレングリコール;3)式CH−C10−(OCHCH−OH(式中、cは、約5から約25の整数である)のメチルグルコースのポリエチレングリコールエーテル;4)ウレア;及び5)これらの混合物が挙げられ、グリセリンが好ましい保湿剤である。
【0109】
適切なキレート剤の例としては、本発明の組成物を保護及び保存することができるものが挙げられる。好ましくは、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)、及びさらに好ましくは、ミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyから商品名「Versene 100XL」で市販されているEDTAテトラナトリウムであり、組成物の総重量に基づき、約0から約0.5パーセント又は約0.05から約0.25パーセントの量で存在する。
【0110】
適切な保存薬としては、例えば、パラベン、第四級アンモニウム種、フェノキシエタノール、ベンゾエート、DMDMヒダントインが挙げられ、組成物の総重量に基づき、約0から約1パーセント又は約0.05パーセントから約0.5パーセントの量で存在する。
【0111】
SAC、付加的なミセル増粘剤、及び付加的な単量体界面活性剤、及び組成物の付加的な他の成分を、2つ又はそれ以上の流体又は固体を併せる任意の従来の方法により、本発明に従って併せることができる。例えば、少なくとも1つのSACを含むから本質的に成る又はから成る1つ又はそれ以上の組成物と、水、単量体界面活性剤又は適切な成分を含むから本質的になる又はから成る1つ又はそれ以上の組成物とを、注入、混合、添加、滴下、ピペッティング、ポンピング及びこれらに類するものによって併せることができ、任意の従来の装置、例えば機械攪拌プロペラ、パドル及びこれらに類するものを用いて、重合界面活性剤を含む組成物の1つを他の物に又は他の物と任意の順序で併せることができる。
【0112】
本発明の方法は、本明細書において上で説明した自由選択成分の1つ又はそれ以上を、SACを含む組成物と又は該組成物に、上で説明した併せる工程の前、該工程の後又は該工程と同時に混合する又は導入するための、任意の様々な工程をさらに含むことがある。一定の実施形態では、混合の順序は重要でないが、他の実施形態では、一定の成分、例えば芳香剤及び非イオン性界面活性剤を、重合界面活性剤を含む組成物への当該成分の添加前に、予備ブレンドするほうが好ましい。
【0113】
本組成物のpHは重要ではないが、皮膚への刺激を助長しない範囲内、例えば、約4から約7であり得る。パーソナルケア組成物の粘度は重要でないが、塗り広げることができるクリーム又はローション又はゲルであり得る。一定の実施形態において、パーソナルケア組成物は、例えば、下で説明するような製剤粘度試験に従って評価したとき、約200cPから約10,000cPの粘度を有する。
【0114】
組成物を、クレンジング用液体洗浄剤、ゲル、スティック、スプレー、固体バー、シャンプー、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、シェービングクリーム、ふき取り用品(wipes)、パッチ、マニキュア、創傷被覆材及び絆創膏、ヒドロゲル、フィルム及びメーキャップ、例えばファンデーション、マスカラ及び口紅を含む(しかしこれらに限定されない)、様々な製品タイプにすることができる。これらの製品タイプは、溶液、エマルジョン(例えば、マイクロエマルジョン及びナノエマルジョン)、ゲル及び固体をはじめとする(しかしこれに限定されない)幾つかのタイプの担体を含むことがある。他の担体としては溶剤が挙げられ、該溶剤としては、水、アセトン、アルコール、例えばイソプロパノール及びエタノール、エチレングリコール、グリセリン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ソルビトール並びにソルビトールのエーテル及びエステルを挙げることができるが、これらに限定されない。本発明のある実施形態では、水及びアルコールが好ましい担体である。他の担体を通常の当業者は調合することができる。
【0115】
本発明において有用な組成物は、ヒト皮膚などのターゲット組織への投与に適切な製剤を含むことがある。1つの実施形態において、組成物は、超親水性両親媒性コポリマー及び担体、好ましくは化粧用に許容される担体を含む。本明細書において用いる場合、用語「化粧用に許容される担体」は、過度の毒性、不適合性、不安定性、刺激、アレルギー反応及びこれらに類するものを伴うことなく、皮膚と接触した状態での使用に適切な担体を意味する。組成物を溶液として調合することができる。溶液は、水性又は油性溶剤(例えば、約50%から約99.99%又は約90%から約99%の化粧用に許容される水性又は有機溶剤)を概して含む。適切な有機溶剤の例としては、ポリグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(200、600)、ポリプロピレングリコール(425、2025)、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6−ヘキサントリオール、エタノール、及びこれらの混合物が挙げられる。一定の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、約50重量%から約99重量%の水を含む水溶液である。
【0116】
一定の実施形態によると、本発明に有用な組成物は、皮膚軟化薬を含む溶液として調合することができる。そのような組成物は、好ましくは、約2%から約50%の皮膚軟化薬(単数又は複数)を含有する。本明細書において用いる場合、「皮膚軟化薬」は、皮膚の保護にばかりでなく乾燥の予防又は緩和にも用いられる材料を指す。様々な適切な皮膚軟化薬が公知であり、ここで使用することができる。Sagarin, Cosmetics, Science and Technology, 2nd Edition, Vol. 1, pp. 32 43 (1972)並びにthe International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, eds. Wenninger and McEwen, pp. 1656 61, 1626, 及び 1654 55 (The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Assoc., Washington, D.C., 7.sup.th Edition, 1997)(本明細書では以後「ICI Handbook」)には、適切な材料の非常に多くの例が収録されている。そのような溶液からローションを製造することができる。ローションは、約1%から約20%(例えば、約5%から約10%)の皮膚軟化薬(単数または複数)及び約50%から約90%(例えば、約60%から約80%)の水を概して含む。
【0117】
本組成物は、様々な相組成のものであり得るが、好ましくは、水溶液であり、でなければ水性外相を含む(例えば、水性相が組成物の最外相である)。従って、水中油型エマルジョンであって、それを製造した後に1週間又はそれ以上にわたって標準条件(摂氏22度、相対湿度50%)で保持したときにそのエマルジョンが相安定性を喪失しないという点で保管安定性である水中油型エマルジョンになるように、本発明の組成物を調合することができる。
【0118】
一定の実施形態において、本発明により生産される組成物は、好ましくは、人体の少なくとも一部分を処置又はクレンジングするためのパーソナルケア製品として又は該製品に使用される。一定の好ましいパーソナルケア製品の例としては、身体の皮膚、毛髪、口部及び/又は会陰部への適用に適切な様々な製品、例えば、シャンプー、手洗い剤(hand wash)、洗顔料(face wash)及び/又は身体洗浄剤(body wash)、入浴剤、ゲル、ローション、クリーム並びにこれらに類するものが挙げられる。上で考察したように、本出願人は、本方法により、高い界面活性剤濃度ででさえ、皮膚及び/又は目への刺激が低減された並びに、一定の実施形態では1つ又はそれ以上の望ましい特性、例えば即時泡立ち特性、レオロジー及び機能性を有するパーソナルケア製品が得られることを、期せずして発見した。そのような製品は、体表で使用するための、組成物が塗布されている支持体を、さらに含むことがある。適切な支持体の例としては、拭き取り用品、プーフ、スポンジ及びこれらに類するもの、並びに吸収性物品、例えば包帯、生理用ナプキン、タンポン及びこれらに類するものが挙げられる。
【0119】
本発明は、身体の少なくとも一部分を本発明の組成物と接触させることを含む、人体の処置及び/又はクレンジング方法提供する。哺乳動物の皮膚、毛髪及び/又は膣部を本発明の組成物と接触させてそのような部位をクレンジングする、並びに/又はアクネ、しわ、皮膚炎、乾燥、筋肉痛、かゆみ及びこれらに類するものを含む(しかしこれに限定されない)任意の様々な状態についてそのような部位を処置することを含む、一定の好ましい方法。そのような状態を処置するための、当分野において公知の任意の様々な活性物質又は有益物質を、本発明において使用することができる。
【0120】
「有益物質」が意味するものは、固体(例えば粒子)、液体又は気体状態の、元素、イオン、化合物(例えば、合成化合物、若しくは天然源から単離された化合物)又は他の化学的部分、及び皮膚に化粧又は治療効果を及ぼす化合物である。
【0121】
本発明の組成物は、1つ又はそれ以上の有益物質又はそれらの医薬的に許容される塩及び/若しくはエステルをさらに含むことがあり、該有益物質は、一般に、皮膚と相互作用して皮膚に恩恵をもたらすことができる。本明細書において用いる場合、「有益物質」は、所望の位置の皮膚中及び/又は上に送達されることとなる任意の活性処方成分、例えば化粧品又は医薬品を含む。
【0122】
本明細書における有用な有益物質をそれらの治療的恩恵又はそれらの想定された作用方式によって類別することができる。しかし、本明細書における有用な有益物質は、状況によっては、1つより多くの治療的恩恵をもたらすことがあり、又は1つより多くの作用方式で動作することがある。従って、本明細書に提供する特定の分類は、便宜上、行うものであり、列挙する特定の用途(単数又は複数)にそれらの有益物質を限定することを意図したものではない。
【0123】
適切な有益物質の例としては、皮膚に恩恵をもたらすもの、例えば、これらに限定されないが、脱色素剤;反射剤;アミノ酸及びそれらの誘導体;抗微生物剤;アレルギー抑制剤;抗アクネ剤;抗老化剤;抗しわ剤;防腐剤;鎮痛剤;てかり抑制剤(shine−control agents);かゆみ止め;局所麻酔剤;抜け毛防止剤;発毛促進剤;発毛抑制剤;抗ヒスタミン薬;抗感染薬;抗炎症薬;抗コリン作動薬;血管収縮薬;血管拡張薬;創傷治癒促進剤;ペプチド;ポリペプチド及びタンパク質;脱臭剤及び制汗剤;薬剤;皮膚引き締め剤、ビタミン;美白剤;皮膚黒化剤(skin darkening agent);抗真菌剤;脱毛剤;反対刺激薬;痔疾薬(hemorrhoidals);殺虫剤;剥離又は他の機能的恩恵のための酵素;酵素阻害剤;ツタウルシ製品;アメリカツタウルシ製品;日焼け用製品;おむつかぶれ防止剤;汗疹剤;ビタミン;ハーブエキス;ビタミンA及びその誘導体;フラボノイド(flavenoids);センセート(sensates);抗酸化物質;ヘアライトナー;日焼け止め;抗浮腫剤;ネオコラーゲンエンハンサー;皮膜形成性ポリマー、キレート剤;抗フケ/脂漏性皮膚炎(sebhorreic dermatitis)/乾癬薬;角質溶解剤;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0124】
本発明のクレンジング方法は、例えば、石鹸の泡を塗る段階、すすぐ段階及びこれらに類するものをはじめとする、毛髪及び皮膚のクレンジングに従来付随する任意の様々なさらなる付加的な段階をさらに含むことがある。
【0125】
上で述べたように、本発明のSACは、ヘルスケア用途において特に有用である。しかし、これらのSACには、非ヘルスケア用途、例えば工業使用での用途もある。そのような用途の非限定的な例としては、洗剤用途、スケール防止用途、例えば自動皿洗い、油及びタールの乳化、多孔質材料の密度及び通気を低減するための増泡、布地及び/又は工業用表面のクレンジング、塗料用途のための表面張力改質剤として、生分解性成分を必要とする用途のための起泡及び/又は浄化の提供、並びにこれらに類するものが挙げられる。
【0126】
本発明のSACを含む組成物を含む本発明の実施形態において、該組成物は、特定の用途それぞれにおいて性能を強化するために機能性材料を含むことがある。これらの機能性材料の一部の例は、界面活性剤、スケール防止ポリマー、キレート剤、粘度調整剤、抗酸化物質、コロイド安定剤及び再付着防止ポリマーである。本発明のSACは、固体物品の密度を低下させるために及び固体物品を有孔性にするために使用することもでき、これらの用途では、SACが構造材料と併用されるであろう。そのような構造材料としては、活性炭、吸収材料、例えばポリアクリル酸、構造材料、例えばセルロース、ポリビニルアルコール、ポリスチレン及びポリアクリレート並びにこれらのコポリマーを挙げることができる。上のリストは、泡安定性SACの幅広い使用を例証となるものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0127】
以下の液滴形状分析(「DSA」)、動的光散乱(「DLS」)、ポリマーフォーム、製剤フォーム、溶液粘度、製剤フラッシュフォーム、及び製剤粘度試験を本方法及び以下の実施例において用いる。詳細には、上で説明したように、DSA試験を用いて、組成物中の高分子材料(例えば、SAC)が本発明に従って表面張力を低下させる程度を判定し;DLS試験、ポリマーフォーム試験及び溶液粘度を用いて、低減された刺激及び高い泡立ちを生じさせる特定のSACの適性を判定することができ;並びに製剤フラッシュフォーム試験及び製剤粘度試験を用いて、クレンジング組成物に多くの場合望ましい、特定の組成物が豊富な泡を発生させることができる及び/又は有益な粘度を生じさせることができる程度を判定することができる。
【0128】
別の指示がない限り、表に列挙する実施例組成物及び比較組成物中の処方成分の量は、全組成物に基づく処方成分のw/w%で表示する。
【0129】
液滴形状分析試験(「DSA試験」)
動的表面張力低下をDSA試験によって判定する。液滴形状分析(DSA、ペンダントドロップ法又はPDMとしても公知)は、時間の関数として静的界面又は表面張力(γ)を測定するための周知の方法である。DSAによって測定した表面張力を、界面張力を液滴形状に関係づけるヤング−ラプラス方程式に(ビデオ画像で保存した)懸滴の形状をあてはめることにより、判定する。このラプラス方程式は、界面によって分けられた2つの均一な流体についての力学的平衡条件である(Handbook of Applied Surface and Colloid Chemistry, Vol. 2; Holmberg, K., Ed.; John Wiley & Sons: Chicester, U.K., 2002, pp 222-223)。これより、湾曲した界面の両側の圧力差をその界面の表面張力及び曲率に関係づけられる:
【数1】

(式中、R及びRは、2つの主曲率半径であり、及びΔPは、界面の両側の圧力差である)。重力(g)以外の外力が一切ない場合、ΔPは、上昇の一次関数として示すことができる:
【数2】

(式中、ΔPは、基準面での圧力差であり、及びzは、その基準面から測定した液滴のたて座標である)。このようにしてγの所与の値について液滴の形状を決定することができる(Lahooti S., del Rio O.I., Cheng P., Neumann A.W. In Axisymmetric Drop Shape Analysis (ADSA), Neumann A.W., Spelt J.K., Eds. New York: Marcel Dekker Inc., 1996, Ch. 10; Hoorfar M., Neumann, A.W. Adv. Coll. and Interface Sci., 2006, 121(1-3), 25-49.参照)。
【0130】
表面張力の判定のための溶液を次のように調製した:ガラス栓を有する酸洗浄済みガラスフラスコの中で、ポリマーサンプル(1150mg 活性固体)をMillipore−Q脱イオン水(200mL)で希釈する。この保存溶液を5分間、手での振盪によって混合し、一晩放置する。酸洗浄済みガラス器具の中でその保存溶液をMillipore−Q水でさらに希釈することによって、保存溶液の希釈物(1/4)を調製する−これが、DSA分析に使用するサンプルである。
【0131】
DSA 100計器(ドイツ、ハンブルクのKruess GmbH)を使用し25℃で動作させてサンプルを分析する。液滴を120秒にわたってモニターし、最初の10秒間はおおよそ0.16秒ごとに、次の50秒間は0.5秒ごとに、及び最後の60秒間は毎秒、画像を撮影した。撮影した画像のすべてを分析して、各時間枠での表面張力を判定した。表面張力値は、Windows(登録商標)パッケージ用のDrop Shape Analysis(DSA)(ドイツ、ハンブルクのKruess GmbH)を用いて計算する。表面張力の動的低下を、試験溶液の表面張力を55mN/mに低下させるために必要な秒での時間、tγ=55として報告する。tγ=55の報告値は、3回の個別の測定ランの平均である。
【0132】
溶液粘度試験:
試験材料(例えば、SAC)の溶液、DI水中2重量%の溶液粘度は、応力制御レオメーター(AR−2000、米国、デラウェア州ニューカースルのTA Instruments Ltd.)で行った。二重壁クエット配置(Quette geometry)を用いて25.0±0.1℃で定常状態剪断応力スウィープを行った。データ収集及び分析は、Rheology Advantageソフトウェア v4.1.10(米国、デラウェア州ニューカースルのTA Instruments Ltd.)で行った。ニュートン流体のゼロ剪断見掛け粘度は、剪断応力範囲(0.02〜1.0Pa)にわたって得た粘度値の平均として報告する。偽塑性(剪断減稔性)流体については、剪断応力スイープデータをエリス粘度モデルにあてはめることによってゼロ剪断見掛け粘度を計算した。
【0133】
ポリマーフォーム試験:
以下のポリマーフォーム試験を様々な試験材料(例えば、重合界面活性剤)に関して行って、本発明に従って攪拌時の泡量を判定した。ポリマーフォーム試験は、次の通りに行う:試験材料(1000mLの0.5重量%溶液)を次の手順に従って先ず調製する:900g 脱イオン(DI)水を、メカニカルスターラーとホットプレートを装備した適切なサイズのガラスビーカーに投入する。低から中速で混合しながら、及び75〜80℃に加熱しながら、ポリマーサンプル(5.0g 活性固体)をそのビーカーにゆっくりと添加する。そのポリマー溶液を75〜80℃で15分間、又はポリマーが完全に溶解するまで、混合させておき、ポリマーが完全に溶解した時点で加熱をやめ、その溶液を放置して周囲温度への冷却を開始する。そのバッチ温度が40℃未満に落ちたら、DMDMヒダントイン(3.0gの55重量%溶液、LonzaからGlydantとして販売されている)及びEDTAテトラナトリウム(5.0gの50重量%溶液、Dow ChemicalからVersene XLとして販売されている)をその溶液に添加する。20%水酸化ナトリウム溶液及び/又は20重量%クエン酸溶液を使用してその溶液のpHを7.0±0.2に調整し、その後、100重量%までの適量のDI水を添加する。そのポリマー溶液を放置して周囲温度に冷却し、使用の準備が整うまで密閉ガラスジャーの中に保管する。最大泡量を判定するために、そのポリマー溶液(1000mL)をSita R−200泡試験機(ニューヨーク州ベスページのFuture Digital Scientific,Co.から市販されている)のサンプルタンクに添加した。試験パラメータは、30±2℃に設定した温度で1200RPMで旋回するローター(回転=1200)で1サイクルにつき15秒の攪拌時間(攪拌時間=15秒)で13攪拌サイクル(攪拌数=13)で250mLサンプルサイズ(全量=250mL)での3回反復ラン(連続数=3)に設定した。各サイクルの終了時に泡量データを収集し、3回のランの平均及び標準偏差を決定した。最大泡量を13攪拌サイクル後の値として各実施例について報告した。
【0134】
製剤フォーム試験:
以下の製剤フォーム試験を様々なパーソナルケア組成物に関して行って、本発明に従って攪拌時の泡量を判定した。先ず、試験組成物の溶液を模擬水道水で調製する。水道水の硬度に相当するように、0.36gの塩化カルシウムを995gのDI水に溶解する。その後、5(5.0)グラムの試験組成物をこの溶液に添加し、均一になるまで混合する。製剤泡量を判定するために、その組成物(1000mL)をSita R−2000泡試験機(ニューヨーク州ベスページのFuture Digital Scientific,Co.から市販されている)のサンプルタンクに添加した。試験パラメータは、30±2℃に設定した温度で1200RPMで旋回するローター(回転=1200)で1サイクルにつき15秒の攪拌時間(攪拌時間=15秒)で13攪拌サイクル(攪拌数=13)で250mLサンプルサイズ(全量=250mL)での3回反復ラン(連続数=3)に設定した。各サイクルの終了時に泡量データを収集し、3回のランの平均及び標準偏差を決定した。製剤フォームを13攪拌サイクル後の値として各実施例について報告した。
【0135】
動的光散乱試験(「DLS試験」):
動的光散乱(DLS、光子相関分光法又はPCS)は、平均ミセルサイズ(流体力学的直径dとして測定される)及びミセルサイズ分布の周知の判定方法である(この技術の総合的説明は、ISO試験法ISO13321:1996(E)において確認することができる)。DLSによって測定される流体力学的サイズは、測定される粒子のものと同じ様式で拡散する仮説的剛体球のサイズと定義される。実際には、ミセル種は、形状が等方性(球形)であることもあり又は異方性(例えば、楕円体又は円筒形)であることもある、動的(タンブリング)、溶媒和種である。このため、ミセルの拡散特性から計算される直径は、動的水和/溶媒和粒子の見掛けのサイズを示すこととなる;それ故、専門用語、「流体力学的直径」。ミセルdの判定のためのミセル溶液は、Millipore−Q濾過システムから得た0.1μm−濾過脱イオン水を用いて組成物をそれらの元の濃度の3.0%に希釈することによって調製する。(3.0%のターゲット希釈を選択する。これが、すすぎ落とすタイプのパーソナルケア組成物の使用中に遭遇する1.0%〜10%希釈の典型的な濃度範囲内であるからである。このターゲット希釈は、TEP試験において用いられる希釈範囲内でもある)。サンプルをボルテックスミキサーで1000rpmで最低5分間攪拌し、その後、一晩放置した後、分析する。サンプルを0.2μm Ana top−Plusシリンジフィルターに通して無塵使い捨てアクリル定寸キュベットに入れ、封止する。
【0136】
Zetasizer Nano ZS DLS計器(マサチューセッツ州サウスバラのMalvern Instruments,Inc.)を使用し25.0℃で動作させてサンプルを分析する。サンプルは、ミセルd及びミセルサイズ分布の正確な決定のために、100,000カウント毎秒(cps)の最低カウント速度を生じさせなければならない。この最低値より下のカウント速度を有するサンプルについては、サンプル濃度を、ことによると、その最低カウント速度が達成されるまで徐々に増加させる(すなわち、より少なく希釈する)か、場合によってはサンプルをニート形態でランすることがある。ミセルd及びミセルサイズ分布の値は、ISO13321試験法に従ってZ平均ミセルdを計算するDispersion Technology Software(DTS)v4.10パッケージ(マサチューセッツ州、サウスバラのMalvern Instruments Inc.)を用いて計算する。平均ミセルdの値を本明細書ではZ平均ミセルdとして報告する。ミセルdの報告値は、3回の個々の測定ランの平均である。DTSソフトウェアによって計算されるミセルサイズの強度分布を用いて、所与のサイズ限度より下のdの値を有するミセルの分率を計算した。
【0137】
ミセル種と比較して相対的大きい(すなわち、約200nmより大きい)dの値を呈示する添加剤、例えば、高MWポリマーレオロジー改質剤、ポリマーコンディショナー、粒状乳白剤、疎水性皮膚軟化薬皮膚軟化薬の(マイクロ)エマルジョン、シリコーン(マイクロ)エマルジョンなどは、ミセル種を含むパーソナルケア組成物に常例的に添加される。DLS分野の技術者には、そのような非ミセル材料が、希釈サンプル中の相対的に小さいミセル種より何桁も大きい光散乱強度を呈示するであろうことは明らかである。そのような材料の散乱強度は、ミセル種の散乱シグナルを圧倒し、従って、ミセルdの正確な判定に干渉する。典型的に、このタイプの干渉は、誤って大きく測定されるミセルd値をもたらすであろう。そのような干渉を避けるために、約200nmより大きいd値を呈示する添加剤がない状態で組成物のミセルd測定することが最も好ましい。DLS技術分野の技術者には、大きなd値を呈示する添加剤をサンプルのミセルdの判定前に濾過又は限外濾過によりサンプルから分離すべきであることは理解されるであろう。あるいは、Dispersion Technology Software v4.10パッケージを使用するDLSのより高度な分析を用いて、向上した解像度得ることもでき、及び非ミセル散乱種の不在下でミセルdの正確に特性づけすることもできる。
【0138】
上の説明と一致して、及び本実施例において下で示すように、試験材料(例えば、重合界面活性剤)に付随する「PMOD%」及び「PMODz−平均」は、約4.8活性重量%の試験材料、0.3重量パーセントのメチルパラベンナトリウム(と)プロピルパラベンナトリウム(と)エチルパラベンナトリウムの合剤(例えば、Nipasept Sodiumとして市販されている製品)、0.25重量パーセントのEDTAテトラナトリウム(例えば、Versense 100XL)と共に適量の水を含むモデル組成物を調製し、DLS試験を用いて、得られたモデル組成物中の9nm未満のdHを有するミセルの分率(PMOD%)、及びそれに付随するz−平均ミセルdH(PMODz−平均)を測定することによって計算する。本出願人は、一定の実施形態では試験材料が上のモデル組成物と矛盾することを認識している。従って、上のモデル組成物の製剤が2つの別個の液相及び/又はポリマー界面活性剤の沈殿を生じさせる場合、及び場合にのみ、PMOD%及びPMODz−平均手順は、約4.8活性重量%の試験材料、0.5重量パーセントの安息香酸ナトリウム、0.25重量パーセントのEDTAテトラナトリウム(例えば、Versene 100XL)を、4.8±0.2のpHまでの適量のクエン酸と、適量の水と共に含む組成物を作ること、並びにDLS試験を用いて、得られたモデル組成物中の9nm未満のdを有するミセルの分率(PMOD%)、及びそれに付随するz−平均ミセルd(PMODz−平均)を測定することを含む。
【0139】
製剤粘度試験:
以下の粘度試験を様々なパーソナルケア組成物に関して行って、本発明に従って粘度を判定した。試験製剤の粘度は、25℃で、Brookfield DV−I+粘度計(マサチューセッツ州ミドルボロのBrookfield Engineering Laboratories,Inc.)を使用して行った。粘度計での「%トルク」が確実に40%〜60%の間であるように測定パラメータを選択する。典型的な動作パラメータは、6rpmで動作するスピンドル#62である。当業者には、より高粘度のサンプルに適応するために、粘度計測定を可能にするようにスピンドル選択又は動作速度を変える必要があり得ることが判るだろう。
【0140】
製剤フラッシュフォーム試験:
以下の製剤フラッシュフォーム試験を様々なパーソナルケア組成物に関して行って、本発明に従って攪拌の関数として泡量を決定した。清浄な、乾いた500mLパイレックス(登録商標)ガラス目盛付混合シリンダーの底に、50gの試験製剤を投入した。その後、脱イオン水(50g)を、試験混合物との混合を避けるように注意しながら、フラスコの側面から下方へ、ゆっくりと注意深く注入して、試験製剤の上に別の水層を形成した。そのシリンダーに栓をしてParafilmで固定し、Gaum Foam Machine(ニュージャージー州ロビンズヴィルのGaum Inc.)のVertical Rotator Assemblyに取り付けた。シリンダーをサイクル速度#30で合計20サイクル回転させた。回転を停止させ、目盛付シリンダーで泡量を読み取ることによって、2サイクル間隔で泡量を記録した。泡バブルがその目盛付シリンダーを不透明にするほど稠密であるレベルで、泡の高さを測定した。製剤フラッシュフォーム値を2回の個々のランの平均として報告した。泡発生量、FGRは、製剤フラッシュフォーム値を振盪サイクル(2サイクルから20サイクル)の関数としてプロットし、そのデータを直線関数にあてはめることによって計算した。FGRは、得られる線形適合の傾きである。
【0141】
実施例E1〜E6及び比較実施例C1〜C3:重合界面活性剤の調製
以下の重合界面活性剤、本発明の実施例E1〜E6及び比較実施例C1〜3を調製した。
【表1】

【0142】
表1に示した重合界面活性剤を次のように調製した:比較実施例C1の、加水分解された、A−18は、1−オクタデセンとマレイン酸無水物の1:1交互コポリマー(PA−18低粘度低着色グレード、Chevron Phillips Chemical,LLCから市販されている)と水酸化ナトリウムの反応を水溶液中で行って、重量平均ベースで平均約50の両親媒性繰り返し単位と、約100%の両親媒性繰り返し単位のモル分率と、両親媒性繰り返し単位中にC16の疎水性基とを有するオクタデセン/MAコポリマーを生じさせることによって得た。
【0143】
比較実施例C2の、加水分解された、PA−14は、1−テトラデセンと無水マレイン酸の1:1交互コポリマー(PA−14)と水酸化ナトリウムの反応を水溶液中で行って、約50の平均重量の両親媒性繰り返し単位と、約100%の両親媒性繰り返し単位のモル分率と、両親媒性繰り返し単位にC12の疎水性基とを有するテトラデセン/MAコポリマーを生じさせることによって得た。
【0144】
比較実施例3のセチルヒドロキシエチルセルロースは、デラウェア州ウィルミントンのHercules,Inc.からNATROSOL Plus CS 330として得た。
【0145】
本発明の実施例E1〜E3のタピオカデキストリンドデセニルコハク酸ナトリウムは、下で説明するプロセスによって調製した。
【0146】
攪拌機、pHプローブ及び注入口を装備したフラスコに250gの水を投入した。そのフラスコに、低分子量、乾燥タピオカデンプンデキストリン(125g)を添加し、そのpHを酸(3:1混合物で塩酸:水)でpH2に調整した。その後、その反応混合物に反応性無水物(ドデセニルコハク酸無水物、12.5g)を投入し、高速で1分間混合した。その後、残りの反応時間は、反応容器を40℃恒温浴内に配置した。水酸化ナトリウム水溶液を使用してその混合物のpHを8.5に調整し、21時間、常に8.5に保った。この時間の後、反応物を冷却し、酸(3:1混合物での塩酸:水)を使用してそのpHを7に調整した。
【0147】
本発明の実施例E4〜E6の馬鈴薯デキストリンドデセニルコハク酸ナトリウムは、フラスコに600gの水、300gの低分子量馬鈴薯デンプンを添加し、その反応混合物に23グラムのドデセニルコハク酸無水物を投入したことを除き、タピオカデキストリンドデセニルコハク酸ナトリウムについて上で説明したものと同様のプロセスによって調製した。これら本発明の実施例のARU、SRU及びDPの特性は、上の表1に示されている。
【0148】
本発明のデキストリンドデセニルコハク酸ナトリウムの代表的な化学構造は、本明細書において上で代表的SACのサブクラス(B)のもとに示されている。
【0149】
重合界面活性剤の比較:実施例C1〜C3及びE1〜E6に従って調製した重合界面活性剤を、上のDSA試験に従って動的表面張力低下について試験した。これらの試験の結果を下の表2に列挙する:
【表2】

【0150】
表2から分かるように、比較実施例、C1〜C3、に付随する動的表面張力低下、具体的には、tγ=55は、120秒より大きい。本発明の実施例、E1〜E6、についてのtγ=55は、比較実施例のもの四分の一未満であり、これは、本発明における有用なSACにより、迅速な起泡を得ることができることを示している。
【0151】
重合界面活性剤の比較:実施例C1〜C3及びE1〜E6に従って調製した重合界面活性剤を、上の溶液粘度試験に従って溶液粘度について試験した。これらの試験の結果を下の表3に列挙する:
【表3】

【0152】
表3から分かるように、本発明の実施例E1〜E6に付随する溶液粘度は、試験した実施例すべてについて、1cP未満である。しかし、比較実施例C3の重合界面活性剤は、溶液粘度の劇的な増加を生じさせ、これは、フォーミングクレンザーの不安定性を生じさせる結果となり得る。
【0153】
重合界面活性剤の比較:実施例C1〜C3及びE1〜E6に従って調製した重合界面活性剤を、上のポリマーフォーム試験に従って泡について試験した。これらの試験の結果を下の表4に列挙する:
【表4】


表4から分かるように、本発明の実施例、E1〜E6、についてポリマーフォーム試験によって判定したときの泡量は100mLより多く、これに対して比較実施例C1及びC2は相当低い。SACを含む組成物が、単量体界面活性剤の不在にもかかわらず、高レベルの泡を生じさせることもできるということも分かるはずである。C1及びC2によって示される泡量は、使用中に、最終使用者の泡立ち要求量を満たすために追加の泡立て剤を添加する必要を生じさせる結果となり得る。これは、原料コストの望ましくない増加の原因となり得る。
【0154】
実施例E7〜E12及び比較実施例C4〜C5:動的光散乱試験のためのモデル組成物の調製
本発明の実施例E7からE12並びに比較実施例C4及びC5のモデル組成物を、DLS試験を行うために調製した。これらのモデル組成物は、次のように、上に示した特定の重合界面活性剤と他の処方成分とを別々にブレンドすることによって調製した:メカニカルスターラー及びホットプレートを装着したビーカーに水(約50.0部)を添加した。メチルパラベンナトリウム(及び)プロピルパラベンナトリウム(及び)エチルパラベンナトリウム(Nipasept Sodium、Clariant Corp.)粉末を添加し、溶解するまで混合した。その後、給気を避けるために低い攪拌速度で重合界面活性剤を添加した。EDTAテトラナトリウム(Versene XL、Dow Chemical)を添加し、混合を継続した。必要に応じて熱(60℃以下)加えて均一な溶液を得た。そのバッチを放置して、必要に応じて中速で混合を継続しながら、25℃に冷却した。クエン酸又は水酸化トリウム溶液を使用して、pHを7.0±0.2に調整した。水を、100%まで適量、添加した。それらのモデル組成物を下の表5に示す:
【表5】

【0155】
モデル組成物の比較:実施例C1〜C3及びE1〜E6に従って調製したモデル組成物を、上のDLS試験に従って動的光散乱について試験した。これらの試験の結果を下の表6に列挙する:
【表6】


表6は、本発明の実施例、E1〜E6が、驚くほど低い、すなわち<90%である(PMOD%によって示されるような)小型ミセルの分率をもたらすことを示している。これは、本発明の実施例により望ましく低刺激が得られるであろうことを示唆している。
【0156】
本発明の実施例E13〜E16及び比較実施例C7〜C8:本発明の実施例及び比較実施例の調製
本発明の実施例E13〜E16の調製:液体クレンザー製剤(下の表7に示す)を次のように調製した:メカニカルスターラー及びホットプレートを装着したビーカーに水(薬40.0部)及びグリセリンを添加した。低〜中速での混合及び75℃への加熱を開始した。その後、実施例SACポリマーを添加した。(註:比較実施例ポリマーC1及びC2の場合、11.25部の20%水酸化ナトリウム溶液を添加してインサイチューで加水分解を助長した)。バッチが60℃に達したら、PEG−120メチルグルコースジオレエートを添加した。すべての固体が溶解し、バッチが均一になるまで、バッチを75℃で混合させておいた。その後、加熱を停止し、バッチを放置して約50℃に冷却し、約50℃になった時点でコカミドプロピルベタインを添加した。40℃より下に冷却したら、EDTAテトラナトリウム、DMDMヒダントイン及び芳香剤を添加した。別の容器で、Polyquaternium−10及び水(15.0部)を併せ、完全に溶解するまで混合した;その後、この混合物をメインバッチに添加した。そのバッチを放置して、必要に応じて中速で混合を継続しながら、25℃に冷却した。クエン酸又は水酸化ナトリウムを使用して、pHを7.0±0.2に調整した。水を、100%まで適量、添加した。
【0157】
比較実施例C7及びC8の場合、次のような修正手順を用いた:メカニカルスターラー及びホットプレートを装着したビーカーに水(約40.0部)を添加した。低〜中速での混合及び90℃への加熱を開始した。その後、比較実施例ポリマーを添加した。インサイチューで加水分解を助長するために、11.25部の20%水酸化ナトリウム溶液を添加し、そのバッチを、ポリマーが完全に溶解するまで90℃で混合し、完全に溶解した時点で加熱を停止した。75℃に冷却したら、PEG−120 メチルグルコースジオレエートを添加した。すべての固体が溶解し、バッチが均一になるまで、バッチを75℃で混合させておいた。その後、加熱を停止し、バッチを放置して約50℃に冷却し、約50℃になった時点でコカミドプロピルベタインを添加した。40℃より下に冷却したら、EDTAテトラナトリウム、DMDMヒダントイン及び芳香剤を添加した。別の容器で、Polyquaternium−10及び水(15.0部)を併せ、完全に溶解するまで混合した;その後、この混合物をメインバッチに添加した。そのバッチを放置して、必要に応じて中速で混合を継続しながら、25℃に冷却した。クエン酸又は水酸化ナトリウム溶液を使用して、pHを7.0±0.2に調整した。水を、100%まで適量、添加した。
【表7】

【0158】
組成物の比較:実施例C7〜C8及びE13〜E16に従って調製した組成物を、上の製剤フォーム試験に従って泡について試験した。これらの試験の結果を下の表8に列挙する:
【表8】


表8から分かるように、本発明の実施例、E13〜E16、に付随する泡は、比較実施例C7及びC8について測定されるものより相当に多い(約3倍)。
本発明の実施例E17〜E20:本発明の実施例の調製及び試験
【0159】
E17〜E20のQUAB(登録商標)342(quat試薬)変性馬鈴薯デキストリンポリマーを、攪拌機、pHプローブ及び注入口を装備したフラスコに600gの水を投入することによって調製した。そのフラスコに乾燥馬鈴薯デンプンデキストリン(300g)を添加した。また、2.4グラムの水酸化ナトリウムを3%水溶液(80mL)として7.5mL/分の速度で添加した。その後、反応物を43℃に加熱し、30分間、その温度で攪拌させておいた。そのquat試薬を中和するために必要な全量のおおよそ1/2の水酸化ナトリウムを7.5mL/分で添加した。QUAB(登録商標)342 quat試薬の全活性投入量(E17については30グラム、E18については6グラム、E19については60グラム、及びE20については90グラム)を、該試薬を攪拌しながら反応容器に注入することによって添加した。その後、残りの水酸化ナトリウムを、反応物のpHが約11.5にまたはそれよりやや上になるまで、7.5mL/分で添加した。反応物を43℃で一晩(おおよそ18時間)攪拌し、その後、室温(25℃)に冷却した。希(10%)塩酸を使用してpHを5.5に調整し、イソプロピルアルコールへの沈殿によって生成物を回収した。その粉末を500mLのイソプロピルアルコールで3回洗浄し、空気乾燥させた。E17〜E20についての全結合窒素は、E17については0.28%、E18については0.10%、E19については0.38%、及びE20については0.53%であった。
【表9】

【0160】
実施例E17〜E20に従って調製した重合界面活性剤を、上のDSA試験に従って動的表面張力について試験した。これらの試験の結果を下の表10に列挙する:
【表10】


実施例E17〜E20に従って調製した重合界面活性剤を、上のポリマーフォーム試験に従って泡について試験した。これらの試験の結果を下の表11に列挙する:
【表11】

【0161】
組成物E21〜E24及びそれらのDLS試験:
本発明の実施例E21〜E24のモデル組成物を、DLS試験を行うために調製した。これらのモデル組成物は、次のように、上に示した特定の重合界面活性剤と他の処方成分とを別々にブレンドすることによって調製した:メカニカルスターラー及びホットプレートを装着したビーカーに水(約50.0部)を添加した。メチルパラベンナトリウム(及び)プロピルパラベンナトリウム(及び)エチルパラベンナトリウム(Nipasept Sodium、Clariant Corp.)粉末を添加し、溶解するまで混合した。その後、給気を避けるために低い攪拌速度で重合界面活性剤を添加した。EDTAテトラナトリウム(Versene XL、Dow Chemical)を添加し、混合を継続した。必要に応じて熱(60℃以下)加えて均一な溶液を得た。そのバッチを放置して、必要に応じて中速で混合を継続しながら、25℃に冷却した。クエン酸又は水酸化ナトリウムを使用して、pHを7.0±0.2に調整した。水を、100%まで適量、添加した。それらのモデル組成物を下の表12に示す:
【表12】


実施例E21〜E24に従って調製したモデル組成物を、上のDLS試験に従って動的光散乱について試験した。これらの試験の結果を下の表13に列挙する:
【表13】

【0162】
実施例E25〜E32:本発明のパーソナルケア組成物の調製及び製剤粘度の測定
以下のパーソナルケア組成物、本発明の実施例E25〜E32を調製し、製剤粘度について試験した。本発明の実施例E25〜E32のそれぞれがSAC及びコロナ増粘剤を含んだ。
【表14】

【0163】
本発明の実施例E25〜E32のタピオカデキストリンドデセニルコハク酸ナトリウムを、下で説明するプロセスによって調製した:
【0164】
攪拌機、pHプローブ及び注入口を装備したフラスコに250gの水を投入した。そのフラスコに、低分子量、乾燥タピオカデンプンデキストリン(125g)を添加し、そのpHを酸(3:1混合物で塩酸:水)でpH2に調整した。その後、その反応混合物に反応性無水物(ドデセニルコハク酸無水物、12.5g)を投入し、高速で1分間混合した。その後、残りの反応時間は、反応容器を40℃恒温浴内に配置した。水酸化ナトリウム水溶液を使用してその混合物のpHを8.5に調整し、21時間、常に8.5に保った。この時間の後、反応物を冷却し、酸(3:1混合物での塩酸:水)を使用してそのpHを7に調整した。
【0165】
本発明の実施例、Ex.25を次のように調製した:ホットプレート及びオーバヘッドメカニカルスターラーを装備した適切なサイズの容器に、60部の水を添加した。200〜250rpmで混合しながら、及び85〜90℃に加熱しながら、グリセリン及びデキストリンドデセニルコハク酸ナトリウムスラリーを添加した。65℃で、PEG−150ジステアレートを添加した。そのバッチを、すべてのPEG−150ジステアレートが溶解するまで、85〜90℃で混合した。すべてのPEG−150ジステアレートの溶解が完了したら、加熱を停止し、そのバッチを200〜250rpmで混合しながら放置して50℃に冷却した。50℃で、コカミドプロピルベタインをそのバッチに添加し、バッチを40℃より下に冷却し、冷却した時点でEDTAテトラナトリウム、DMDMヒダントイン及び香料を添加した。そのバッチを攪拌させておき、その間に30℃未満に冷却し、その後、必要量のクエン酸及び/又は水酸化ナトリウムを使用してpH6.7〜7.2(標的pH=6.9)に調整した。水を100重量%まで適量添加し、そのバッチを均一になるまで混合させておき、均一になった後、適切な保存容器に排出した。本発明の実施例Ex.26〜Ex32を同様に調製した。上で説明した製剤粘度試験を用いて、本発明の実施例のそれぞれについての製剤粘度を測定した。製剤粘度(センチポアズ、cPで)を表14に報告する。
【0166】
表14から明らかであるように、様々なミセル増粘剤をデキストリンドデセニルコハク酸ナトリウム(SAC)と併用して、例えば226cPほどもの低さから4190cPほどもの高さにわたる粘度を達成することができる。
【0167】
E13〜E28及びC7(HMスラリー)のSACの特性づけは、それが、6.1のmol%ARUで合計37 RUを有し、これが、平均2.3 ARU(a)及び35 SRU(s)に分解することを示す。このサンプルについてのtγ=55は、120秒より大きい。このサンプルの溶液粘度は、(DPに従って概算して)<2cPである。このサンプルについての最大泡量は、195mLである。動的光散乱試験のためのモデル組成物の調製における手順を用いて行ったとき、Z−平均ミセルdは、15.2nmであり、dを有するミセルの分率は34.7%である。
【0168】
実施例E33〜E36:本発明のパーソナルケア組成物の調製及び製剤粘度の測定
以下のパーソナルケア組成物、本発明の実施例E〜E36を調製し、製剤粘度について試験した。
【表15】

【0169】
本発明の実施例、Ex.33〜Ex.36を本発明の実施例Ex.13〜Ex.20に類似した手法で調製した。表14から明らかであるように、PEG−120メチルグルコースジオレエートの濃度を増加させることにより、デキストリンドデセニルコハク酸ナトリウムを含む組成物の粘度を、例えば37cPから約8325cPに、増加させることができる。
【0170】
実施例E37〜E40:パーソナルケア組成物の調製及び製剤粘度の測定
以下のパーソナルケア組成物、本発明の実施例E37〜E40を調製し、製剤粘度について試験した。
【表16】

【0171】
本発明の実施例、Ex.37〜Ex.40は、異なるミセル増粘剤を使用したことを除き、本発明の実施例Ex.33〜Ex.36に類似した手法で調製した。表15から明らかであるように、PEG−150ジステアレートの濃度を増加させることにより、デキストリンドデセニルコハク酸ナトリウムを含む組成物の粘度を、例えば約226cPから約4245cPに、増加させることができる。本発明の実施例Ex.33〜Ex.36に類似して、製剤粘度の増加は、ミセル増粘剤の濃度に対して非常に非線形である。
比較実施例C8:比較対象となるパーソナルケア組成物の調製及び製剤粘度の測定
【0172】
以下のパーソナルケア組成物、比較実施例C8を調製し、製剤粘度について試験した。
【表17】

【0173】
比較実施例、C8は、Carbopol Aqua SF−1(従来の高分子量「アルカリ膨潤性エマルジョン高分子増粘剤」)をPEG−120メチルグルコースジオレエートの代わりに用いたことを除いて、前の本発明の実施例、Ex.35と同様に調製した。製剤粘度を測定して4875cPであった(本発明の実施例、Ex.35にかなり近い)。
【0174】
パーソナルケア組成物についての製剤フラッシュフォーム値の比較
上で説明した製剤フラッシュフォーム試験を用いて、本発明の実施例、Ex.35及び比較実施例C8を製剤フラッシュフォーム値について試験した。データを下の表17に示す。2つのデータセット(一方は比較実施例C8についてのもの、他方は本発明の実施例Ex.35についてのもの)を図1にも示す。
【表18】

【0175】
表17から容易に分かるはずであるが、本発明の実施例、Ex.35は、試験中の大部分の時点(サイクル番号)で比較したとき、より多量のフラッシュフォーム、例えば、比較実施例、C8、より大量の泡を本質的に生じさせる。本発明の実施例、Ex.35はまた、20サイクルで最終泡量に達し、これは、比較実施例、C8のものよ84%高い(283と比較して523)。
【0176】
さらに、図1から分かるはずであるが、本発明の実施例、Ex.35についての泡発生量、FGRは、比較実施例、C8のもののほぼ3倍である(8.04と比較して22.84)。本出願人は、本発明の実施例の性能のこの優秀性が、希釈により「壊れ」て粘度を喪失する、ミセル増粘剤によって増粘された製剤の劇的な改善に起因すると考える。比較して、従来の高分子量アルカリ膨潤性エマルジョン高分子増粘剤で増粘されたSAC含有組成物は、希釈しても容易に「壊れ」ず、比較的劣ったフラッシュフォーマーである。
【0177】
本発明と関係があるので、透明度、粘度、泡発生及び泡安定度に対する分子量、様々な疎水性試薬量及び異なるデンプン系SACの使用の影響を例証するために、以下の実施例を含める。
【0178】
[実施例41]
天然(未変性)タピオカデンプンの水溶液の調製。
天然(未変性)タピオカの水溶液は、200gの水に10g 乾燥天然タピオカデンプンを懸濁させることによって調製した。その混合物を攪拌しながら30分間、80℃で加熱した。得られた濃稠で半透明の溶液を放置した冷却した。
【0179】
[実施例42]
タピオカデンプンデキストリンの水溶液の調製。
タピオカデンプンデキストリンの水溶液は、100gの水に10gのタピオカデキストリンを懸濁させることによって調製した。その懸濁液を、粉末が溶解するまで、加熱せずに混合した。得られた溶液は、やや濁っていた。
【0180】
[実施例43]
ドデセニルコハク酸無水物変性タピオカデンプンデキストリンの水溶液の調製。
ドデセニルコハク酸無水物変性タピオカデンプンデキストリンの水溶液は、攪拌機、pHプローブ及び注入口を装備したフラスコに250mgの水を投入することによって調製した。そのフラスコに、乾燥タピオカデンプンデキストリン(125g)を添加し、酸(3:1混合物での塩酸:水)で2のpHを調整した。その後、その反応混合物に反応性無水物(ドデセニルコハク酸無水物、12.5g)を投入し、高速で1分間混合した。その後、残りの反応時間は、反応容器を40℃恒温浴内に配置した。水酸化ナトリウム水溶液を使用してその混合物のpHを8.5に調整し、21時間、常に8.5に保った。この時間の後、反応物を冷却し、酸(3:1混合物での塩酸:水)を使用してそのpHを7に調整した。この実施例に従って調製したデンプン溶液をすぐに使用することができ、又は将来の使用のために保管することができることに、留意しなければならない。保管する場合には、それを冷凍、保存又は噴霧乾燥しなければならない。
【0181】
[実施例44]
オクテニルコハク酸無水物(OSA)変性馬鈴薯デンプンデキストリンの水溶液の調製。
オクテニルコハク酸無水物(OSA)の水溶液は、攪拌機、pHプローブ及び注入口を装備したフラスコに600mgの水を投入することによって調製した。そのフラスコに、乾燥タピオカデンプンデキストリン(300g)を添加し、酸(3:1混合物での塩酸:水)で2のpHを調整した。その後、その反応混合物に反応性無水物(オクテニルコハク酸無水物、23g)を投入し、高速で1分間混合した。その後、残りの反応時間は、反応容器を40℃恒温浴内に配置した。水酸化ナトリウム水溶液を使用してその混合物のpHを8.5に調整し、21時間、常に8.5に保った。この時間の後、酸(3:1混合物での塩酸:水)を使用してそのpHを7に調整した。この実施例に従って調製したデンプン溶液をすぐに使用することができ、又は将来の使用のために保管することができることに、留意しなければならない。保管する場合には、それを冷凍、保存又は噴霧乾燥しなければならない。
【0182】
[実施例45]
QUAB(登録商標)342変性馬鈴薯デキストリンサンプルの調製
QUAB(登録商標)342変性馬鈴薯デキストリンは、攪拌機、pHプローブ及び注入口を装備したフラスコに600gの水を投入することによって調製した。そのフラスコに乾燥馬鈴薯デンプンデキストリン(300g)を添加した。また、2.4グラムの水酸化ナトリウムを3%水溶液(80mL)として7.5mL/分の速度で添加した。その後、反応物を43℃に加熱し、30分間、その温度で攪拌させておいた。そのquat試薬を中和するために必要な全量のおおよそ1/2の水酸化ナトリウムを7.5mL/分で添加した。quatの全投入量(30グラム 活性試薬、デンプンに基づき10重量% 活性試薬)を、その試薬を反応容器に攪拌しながら注入することによって添加した。その後、残りの水酸化ナトリウムを、反応物のpHが約11.5またはそれよりやや上になるまで、7.5mL/分で添加した。反応物を43℃で一晩(おおよそ18時間)攪拌し、その後、室温(25℃)に冷却した。希(10%)塩酸を使用してpHを5.5に調整し、イソプロピルアルコールへの沈殿によって生成物を回収した。その粉末を500mLのイソプロピルアルコールで3回洗浄し、空気乾燥させた。サンプル13について報告すると、結合窒素は0.28パーセントであることが判明した。サンプル14及び15を上の手順に従って調製したが、反応物に投入した活性quatの量はそれぞれ20%及び30%であった。
【0183】
[実施例46]
水中での透明度
サンプル1は、実施例41に従って調製した。サンプル2は、実施例42に従って調製した。サンプル3〜5及び10は、記した分子量を有するタピオカデンプン分解物を使用して実施例43の場合のように調製した。サンプル6及び8は、種々の量のDDSAを使用して実施例43の場合のように調製した。サンプル7は、馬鈴薯基剤及び増加させたDDSAを使用して、実施例43の場合にように調製した。サンプル9は、トウモロコシ基剤を使用して、実施例43の場合のように調製した。サンプル11は、馬鈴薯基剤を使用して、実施例43の場合のように調製した。サンプル12は、実施例44に従って調製した。実施例13、14及び15は、実施例45のプロセスを用いて調製した。
【0184】
これらのサンプルを水中10%固形分溶液として試験した。その溶液を不透明(不合格)又は半透明若しくは透明(合格)として目視評価した。その後、濁度試験(モデル2100N Hach laboratory濁度計)を用いて合格サンプルを10%固形分で評価し、サンプル透明度を優良(<=10ntu)、やや濁りあり(10を超えて120ntuまで(120ntuを含む))、濁りあり(120ntuを超えて400ntuまで(400ntuを含む))、又は不合格(400ntuより上)に類別した。試験の結果を表18に示す。
【表19】

【0185】
この実施例は、溶液の透明度に対する分子量の影響を示すものであり、分子量が低いほど透明な溶液に相当する。
【0186】
[実施例47]
SAC粘度試験(水中)
水中の各サンプルの10%固形分溶液を調製した。溶液が顕著に濃稠(>1000cps)である場合、それは不合格であった。サンプル1のみが不合格であった。他のサンプルを#3スピンドル及び200rpmでブルックフィールド粘度について試験した。結果を表19に示す。
【表20】

【0187】
[実施例48]
水中での泡発生
水中の各サンプルの10%固形分溶液を調製した。20mLシンチレーションバイアルに5gの溶液を添加し、10回穏やかに振盪し、その液の上部空き高において発生した泡を測定することによって、サンプルを泡発生についてスクリーニングした。泡ヘッドが0.75”である又はそれより大きい場合、その試験を合格と記し、フォームヘッドが0.75”未満である場合、その試験を不合格と記した。
【0188】
優良な泡立ち性能と良好な泡立ち性能とを区別するために、前に説明した製剤フォーム試験を実行した。この試験のために、ポリマー(5g)を水(900g)に溶解し、Glydant保存薬(3g)及びEDTAテトラナトリウム(5g)を添加し、そのpHを水酸化ナトリウム(水中20重量%)及び/又はクエン酸(水中20重量%)で7.0+/−0.2に調整し、その後、試験のために1000mL合計量に達するまで水を添加することによって、ポリマーの溶液を調製した。その後、その試験溶液をSita R−2000泡試験機のサンプルタンクに添加し、前に説明した製剤フォーム試験に従って実行した。この実施例において報告する製剤フォームは、150秒での値であった。その時点で泡量が575mLを超えるサンプルを「優良」泡立ちサンプルと呼ぶ。結果を表20に示す。
【表21】

【0189】
[実施例49]
水中での泡安定性
水中のサンプル1〜12のそれぞれの10%固形分溶液を調製した。それらのサンプルを実施例48に関して説明したように泡発生についてスクリーニングし、その後、それらのバイアルを4時間、取っておいた。この時間の後、多少の泡がバイアルの中にまだはっきりと見えている場合、泡を持続性と書き留め、泡安定性試験について合格と評定した。
【0190】
良好な泡性能と優良な泡性能を区別するために、SITA泡試験機を実施例48の場合のように用いた。攪拌を外してから1000秒後に残存する泡ヘッドのパーセントを用いて泡安定性を定量した。5パーセントと50パーセントとの間の保持率を有するサンプルを良好な泡安定性を有するものと分類し、50パーセント及びそれ以上の保持率を有するものを優良な泡安定性を有するものと分類した。結果を表21にまとめる。
【表22】

【0191】
本発明の特定の実施形態を本明細書において例証し、説明したが、示した詳説に本発明を限定するつもりはない。むしろ、請求項の等価物の範囲及精神の中で、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、上記詳説に様々な変更を加えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又はそれ以上の疎水性試薬で変性されている、約1,000Dから約100,000Dの重量平均分子量を有するデンプン及び/又はセルロースに基づく多糖類を含む超親水性両親媒性コポリマーであって、該1つ又はそれ以上の疎水性試薬が、ドデセニルコハク酸無水物、3若しくはそれ以上の炭素原子を含有する少なくとも1本の鎖を有する長鎖第四級アンモニウム、又はそれらの組み合わせである、超親水性両親媒性コポリマー。
【請求項2】
前記多糖類が、デンプンに基づき、及び馬鈴薯又はタピオカ、好ましくはワキシー馬鈴薯又はワキシータピオカに由来する、請求項1に記載の超親水性両親媒性コポリマー。
【請求項3】
前記多糖類の重量平均分子量が、1,000Dから25,000D、好ましくは1,500Dから15,000Dである、請求項1又は2に記載の超親水性両親媒性コポリマー。
【請求項4】
前記1つ又はそれ以上の疎水性試薬の分子量が、220又はそれより大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載の超親水性両親媒性コポリマー。
【請求項5】
前記1つ又はそれ以上の疎水性試薬が、線状又は分岐ドデセニルコハク酸無水物、好ましくはテトラプロペニルコハク酸無水物である、請求項1から4のいずれか一項に記載の超親水性両親媒性コポリマー。
【請求項6】
前記長鎖第四級アンモニウム化合物が、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−ジメチルドデシルアンモニウムクロリド又は2,3 エポキシプロピルジメチルドデシルアンモニウムクロリドである、請求項1から5のいずれか一項に記載の超親水性両親媒性コポリマー。
【請求項7】
前記多糖類が、該多糖類の乾燥重量に基づいて3から15パーセントの結合疎水性試薬を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の超親水性両親媒性コポリマー。
【請求項8】
10%水溶液について120ntu未満の濁度、好ましくは10%水溶液について10ntu未満の濁度を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の超親水性両親媒性コポリマー。
【請求項9】
該高分子界面活性剤の1000mLの0.5%水溶液を1200RPMで140秒間攪拌したとき、400mLの最大泡量を形成する、請求項1から8のいずれか一項に記載の超親水性両親媒性コポリマー。
【請求項10】
泡安定度が、40%又はそれ以上である、請求項1から9のいずれか一項に記載の超親水性両親媒性コポリマー。
【請求項11】
デンプン又はセルロースに基づく多糖類を水に溶解して水溶液を形成する段階;
前記水溶液のpHを調製する段階;
1つ又はそれ以上の疎水性試薬を前記水溶液中の多糖類と反応させる段階;
得られたコポリマー溶液を冷却する段階;及び
前記コポリマー溶液を中和する段階 を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の超親水性両親媒性コポリマーの製造方法。
【請求項12】
前記1つ又はそれ以上の疎水性試薬の分子量が、220又はそれより大きい、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ又はそれ以上の疎水性試薬が、置換コハク酸無水物、3個若しくはそれ以上の炭素原子を含有する少なくとも1本の鎖を有する長鎖第四級アンモニウム化合物、又はそれらの組み合わせである、請求項11又は12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ又はそれ以上の疎水性試薬が、線状又は分岐ドデセニルコハク酸無水物、好ましくはテトラプロペニルコハク酸無水物である、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の疎水性試薬が、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−ジメチルドデシルアンモニウムクロリド又は2,3 エポキシプロピルジメチルドデシルアンモニウムクロリドである、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−507464(P2013−507464A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532555(P2012−532555)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064711
【国際公開番号】WO2011/042379
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(509131443)アクゾ ノーベル ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (26)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel Chemicals International B.V.
【住所又は居所原語表記】Stationsstraat 77, 3811 MH Amersfoort, Netherlands
【Fターム(参考)】