説明

超音波センサ及び超音波センサアレイ、これらを備えた超音波検出装置

【課題】機械的感度と光学的感度を両立させることによって、高感度化および広帯域化を同時に図ることができ、アレイ化が容易となる超音波センサ及び超音波センサアレイ、これらを備えた超音波検出装置を提供する。
【解決手段】超音波センサであって、
基板上に設けられ、超音波によって変位する可動部を含み構成される超音波受信部と、
前記超音波受信部に設けられた第1の反射膜と、前記基板上に保持された第2の反射膜とを、非固体媒質を介し対向配設して構成される共振器と、
を備え、前記超音波による可動部の変位を、該可動部の変位に応じた前記第1及び第2の反射膜間の相対距離の変化に基づく光学応答によって、検出する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサ及び超音波センサアレイ、これらを備えた超音波検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、非侵襲で体内の画像情報を取得する手段として、広く用いられている。
従来、超音波の送受信手段としては、ピエゾ素子が用いられてきた。
ピエゾ素子は超音波検出感度に関して優れた性能を発揮するが、小型化のための加工が難しく、解像度の向上が実質的に望めないことや、高速検出に限界があることによって、より高機能な画像情報の取得がむずかしいという課題がある(非特許文献1参照)。
また、環境的な配慮から、ピエゾ素子の代替機能を有する素子開発が望まれている。
【0003】
一般に高速な超音波検出を可能とする技術として、電気的なものと光学的なものが知られている。前者はCMUTに代表される静電容量型のセンサ(非特許文献2参照)が含まれる。
一方、後者に含まれるものとして、古くからファブリーペロー(Fabry−Perot;以下これをFPと記す)エタロン型のセンサが研究されてきた。
このようなセンサが研究されてきた理由は、電磁気ノイズの多い環境下でも容易にかつ高速にリモートセンシングできることによる。
すなわち、これによると超音波によるFP内部媒質の屈折率変化に起因する透過率/反射率変化、端面ミラーの変形による光路長変化に起因する透過率/反射率変化、またはこれらの複合効果を検出することができる。
しかし、これらのセンサは、ピエゾ型の素子と比べ、超音波に対する感度が低いという課題を有している。
【0004】
その理由として、つぎのような理由が挙げられる。
その一つは、上記の複合効果に含まれるFP共振器の媒質の屈折率変化と共振器長変化は互いに相殺する効果であるにも関わらず、デカップルできていないことである。
一般に前者の効果は後者に比べて1桁ほど小さいため、無視できているともいえるが、感度損失であることは否めない。
もう一つの理由は、高いフィネスを持つ共振器と、高効率な機械的トランスデューサーの両立がむずかしいことによる。
FP共振器の共振器長変化を十分に得るためには、超音波による歪みを効果的にFP共振器内に伝達できなければならない。
しかし、FP共振器を構成するミラーを超音波との良好なインピーダンスマッチングを保ちつつ、高反射率を与えるように設計することは、実質的にむずかしい。
【0005】
特許文献1では、ファイバーブラッググレーティングと全反射ミラー(金属ミラーと思われる)を用いたFP共振器を超音波センサに利用するようにした超音波検出方法が開示されている。
また、特許文献2では、超音波の送受信機構をモノリシックに構成する手段を備えた超音波診断装置が開示されている。
また、特許文献3では、メンブレンミラーの変位を利用した干渉計センサが開示されている。
【特許文献1】特開2002−102227号公報
【特許文献2】特開2003−169802号公報
【特許文献3】米国特許第6567572号明細書
【非特許文献1】E.D.Light,et al. Ultrasonic imaging,Vol.20,pp.1−15 (1998)
【非特許文献2】A.S.Ergun,G.G.Yaralioglu,B.T.Khuri−Yakub,J.Aerosp.Engineering.Vol.16,pp.76−84 (2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2のものにおいては、つぎのような課題を有している。
すなわち、特許文献1の方法では、ファイバーブラッググレーティングはファイバ中に直接加工でき、また、ストップバンドのスペクトル帯域が狭くできる利点を有するが、誘起できる屈折率差が限られている。
そのため、反射率を高くするためには1000層以上の多層構造が必要となり、バンド波長の温度依存性が著しくなる。
また、特許文献1の方法では、超音波によって、FP内部媒質の屈折率変化に起因する応答と、端面ミラーの変形による共振器長変化に起因する応答が含まれている。
しかし、これらは互いに光学応答としてはキャンセルされる効果があり、感度を低下させてしまう原因となる。
さらに、超音波パワーをFP構造に結合させるためには、超音波の入射側に十分に薄い金属ミラーを利用する必要があるが、薄膜金属ミラーでは反射率が低下し(厚膜によって得られる反射率はたかだか〜98%程度)、光共振器としての高いフィネスは得られない。
【0007】
また、特許文献2の装置は、超音波受信部は誘電体多層膜から構成されるが、これらの多層膜自身が超音波から受ける変形を利用しており、バンド端の急峻さを利用していることから、積層数を増やさなければ(200層以上)、十分な感度は得られない。
また、FPエタロンに関して開示されているが、ここでは誘電体エタロン全体が変形する構成となっており、機械的感度と光学的感度を両立させる手段に関しては何も開示されていない。
また、特許文献3ではメンブレンミラーの変位を利用した干渉計センサを開示しているが、このようなメンブレン構造では変形量が小さいことから、高感度化や広帯域化を図る上で、必ずしも適したものではない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、機械的感度と光学的感度を両立させることによって、高感度化および広帯域化を同時に図ることができ、アレイ化が容易となる超音波センサ及び超音波センサアレイ、これらを備えた超音波検出装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、つぎのように構成した超音波センサ及び超音波センサアレイ、これらを備えた超音波検出装置を提供するものである。
本発明の超音波センサは、
基板上に設けられ、超音波によって変位する可動部を含み構成される超音波受信部と、
前記超音波受信部に設けられた第1の反射膜と、前記基板上に保持された第2の反射膜とを、非固体媒質を介し対向配設して構成される共振器と、
を備え、前記超音波による可動部の変位を、該可動部の変位に応じた前記第1及び第2の反射膜間の相対距離の変化に基づく光学応答によって、検出することを特徴とする。
また、本発明の超音波センサは、
基板上に設けられ、超音波によって変位する可動部を含み構成される超音波受信部と、
前記音波受信部に設けられた第1のリング/ディスク共振器と、前記基板上に保持された第2のリング/ディスク共振器とを、非固体媒質を介し対向配設して構成された共振器構造と、
を備え、前記超音波による可動部の変位を、該可動部の変位に応じた前記第1及び第2のリング/ディスク共振器間の相対距離の変化に基づく光学応答によって、検出することを特徴とする。
また、本発明の超音波センサアレイは、上記したいずれかに記載の超音波センサを、アレイ状に配列して構成されていることを特徴とする。
また、本発明の超音波検出装置は、上記したいずれかに記載の超音波センサまたは上記超音波センサアレイを、超音波検出手段として備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機械的感度と光学的感度を両立させることによって、高感度化および広帯域化を同時に図ることができ、アレイ化が容易となる超音波センサ、該超音波センサを備えた超音波検出装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以上の構成によれば、機械的感度と光学的感度を両立させることができるが、それは、本発明者らの検討した結果によるつぎのような知見に基づくものである。
【0012】
すなわち、第1の反射膜またはリング/ディスク共振器と、第2の反射膜またはリング/ディスク共振器を非固体媒質(真空、気体または液体)を介して配置することで、超音波による可動部の機械的変位を光学設計要素と独立に最大化することができ、
また、反作用等による影響を低減し、前記第1及び第2の反射膜またはリング/ディスク共振器間の相対距離の変化に効果的に反映させて検出することができるという知見に基づくものである。
【0013】
以下に、これらについて更に詳細に説明する。
超音波光センサにおいて、センサの応答は振動子の機械的変位と、その変位に対する光学応答の積となるため、両者を最大化することが高感度化の上で重要であることは既に述べた。
前者に関しては、ヤング率が小さく、入射超音波に対してインピーダンス整合できる誘電体棒がよいことが一般に知られている。
また、超音波の動作周波数付近に、振動子の共振周波数がくるように、振動子の長さを設計するのが望ましい。
これにより、広帯域でかつ、単位圧力に対して大きな変位を得ることができるからである。
【0014】
光検出手段には、上記したファブリーペロー(FP)共振器、または干渉計(特許文献3参照)が広く用いられている。
FP共振器の場合、共振器全体が機械的振動子である構造が一般的である。
共振器の光学応答は、多光波干渉の結果として、等周波数間隔に共鳴構造を有し、反射と透過は互いに相補的なピーク構造になっている。
そして、この共鳴構造の波長は、共振器長(共振器を構成する反射鏡間の距離)や、共振器を構成するミラーの反射率に依存して変化する。
従って、高感度検出にはスペクトル共鳴構造としてシャープな(Q値の高い)スペクトル応答が望ましい。
Q値を上げるためには、ミラーの反射率を高くする必要がある。金属薄膜では近赤外波長域において〜95%程度の反射率がせいぜいであり、より高いQ値を実現するには、例えば誘電体多層膜を利用する必要がある。
しかし、共振器長が固体媒質で構成される従来の超音波光検出手法では、共振器長の変化は誘電体多層膜における超音波の反射によって、その効果は低減され、その代わりに誘電体多層膜の歪み自身が応答として検出される構成であることが多い(特許文献2参照)。
この場合、上記2つの効果は必ずしも加算的な効果にはならず、また応答の非線形性も大きくなってしまう。
ここで、注意しておきたいのは、主な光学応答の起源は共振器長の変化によるという点である。従って、共振器長の変化のみを選択的に取り出せる構造が望ましいといえる。
【0015】
そこで、本発明は、FP共振器内媒質を非固体物質(例えば真空や気体)で構成することにより、光学的要素(反射膜)が機械的振動子の変位機構からデカップルされるように構成される。
これにより、単位圧力に対して大きな変位を生じる機械的振動子とQ値の高い光共振器の組み合わせを同時に独立に最適化することが可能になる。
このようにすることによって、従来のFP共振器と比較して、より高感度検出が可能な微小共振器を用いることができるだけでなく、導波路型共振器の結合系へ応用することもできる。
このようなデカップリングの重要性を示すために、以下ではまず光共振器の特性について説明し、更にどのような構造が望ましいか等について説明する。
そして、そのような形態を実現するための機械的振動機構に関して述べ、本発明の構成によって高感度の超音波センサが実現できることについて、更に順次説明する。
【0016】
光共振器に関しては、FP共振器と、ディスク/リング共振器に分けて説明する。
(FP共振器)
FP共振器は2枚のミラーを対向させることによって構成され、共振器長とミラーの光学応答に依存したスペクトル応答が得られる。
2枚のミラーの反射率が等しいときに干渉の明瞭度は最大となるため、同種のミラーを用いることで、深い共鳴構造が得られる。
当然のことながら明瞭度は反射率が高ければ高いほど大きくなる。
明瞭度はS/Nやダイナミックレンジを決めるファクタであるため、実質的なデバイスを構成するために反射膜の反射率は90%以上(金属薄膜の反射率以上)が好ましい。
別々のミラーで構成する場合においても、構造パラメータが適切に制御されていれば、所定の波長において同じ反射率とすることで、深い共鳴構造を実現できるが、特定の波長においてその合わせ込みは、ミラーの設計と共振器長の二つを最適化しなければならない。
【0017】
共振器長が変化すると、スペクトル共鳴構造のピーク波長がシフトする。
共振器長Lと干渉の生じる波長の周波数をvの関係はv=mc/2nL(ここで、mは次数、cは光速、nは共振器媒質の屈折率)であるので、dv=−(v/L)dLとなる。
すなわち、共振器長が短いほど、周波数シフトは大きい。但し、干渉による共鳴構造の周波数幅はLが大きくなるにつれて細くなるので、周波数幅に対するシフト量は、コンスタントである。
従って、mが小さい共振器であれば、同じ線幅のレーザを用いると、より高精度な測定ができることになる。本発明において、微小共振器とはm=1を想定しているが、このとき、共振器長Lは光の波長(=c/v;数ミクロン以下)程度となる。
【0018】
ミラーの反射率が高ければ高いほど、回折損失や材料損失が共振器としての主要な損失要因となる。
従って共振器媒質の材料は透明性が高く、また、光子寿命に比例する実効的伝搬距離が短くなる微小共振器が好ましい。
共振器寿命τは共鳴プロファイルの半値全幅をΔfとするとτ=1/Δfであるので、Q値との関係はQ=ωτ(ω=2πν)である。
実効的な共振器長(伝搬距離)はLeff=сτと考えることができる。
材料損失としては、共振器媒質の強度損失係数をαとすると、Leff≪1/αであればよい。
一方、回折の効果に関しては、シングルモードビームの伝搬を考慮すると、Leff<z=kw/2であればよい。
ここで、zはレイリー長、kは波数、wはビーム半径である。
このことから、Q値が高い共振器に対しては、大きなビーム径が必要となることがわかる。
共振器のQと最小ビーム半径の関係を、波長λ=1550nm,1060nm,800nmに関してプロットしたものを図1に示す。
Q=10であってもw〜30μm程度であればよいことがわかる。
従ってこの程度のQ値をもつ光共振器であれば、ピッチ〜100μmでアレイ化することは可能であるといえる。
【0019】
以上、FP共振器を構成する2つのミラーの反射率は同程度であり、その反射率は高いほど高感度にでき、さらにm〜1のオーダーとなる微小共振器を用いることで、回折や材料損失の効果を低減できることについて述べた。
そして、これらによって、より高感度にできるだけでなく、高密度にアレイ化(高集積化)も可能となることについて説明した。
【0020】
(ディスク/リング共振器)
ディスク/リング共振器は光が周回モードを形成する共振器であり、誘電体導波路などによる閉じた導波路を用いたものが本発明に適する。
この場合、ディスク共振器は1次元方向に導波閉じ込めをした系において、ディスクの縁を伝搬する周回モード、リング共振器は2次元導波閉じ込めをした系を伝搬する周回モードを利用する。
どちらも、伝搬方向に屈折率が連続的であること、全反射構造によって低損失な伝搬をすることによって、高いQ値を得ることを可能とする(Q〜10〜10)。
高屈折率材料(例えばシリコン)を伝搬媒質として用いることにより、導波路の曲げ損を十分小さくできるため、ディスク/リングの直径がサブ10μmにおいても高いQ値を維持できる。
従って、〜100μm以下のピッチでアレイ化することができ、FP共振器のように回折損失によるピッチの制限もない。
これらの共振器構造へのパワーの入出力はカップラー導波路を近傍に配置することにより、
共振器の周回長が波長の整数倍となる光(共振器モード)と一致するパワーのみ、選択的に共振器に結合され、導波損失、または反射波との結合によって、出力光にディップが現れる。
結果として、FP共振器と同様に共鳴構造のスペクトルが得られるが、このスペクトル構造の深さは、カップラーの結合定数と共振器内損失のバランスによって決まり、ディップが最も深くなる点をクリティカルカップリングポイントという。
【0021】
この共振器モードの波長をシフトさせるには、FP共振器と同様、共振器長を変化させればよい。
但し、この場合においては、共振器長は導波モードの等価屈折率neffと幾何学的な伝搬距離の積で決まるので、以下では前者を変化させることを考える。
【0022】
導波モードの等価屈折率を大きく変化させるには、モード分離の原理を用いればよい。
図2に、モード分離の概念図を示す。
すなわち、ディスク/リング共振器と同等な共振器を近接させる。これにより、両共振器のモードは結合し、偶モードと奇モードが生じる。共振器間距離に応じて、前者は等価屈折率が高くなる方向に、後者は等価屈折率が低くなる方向に変化する。
そのため、偶モードは短波長側に、奇モードは長波長側にシフトする。二つの共振器間距離がゼロになると、それぞれは閉じ込め方向の基本モード、2次のモードとしてのスペクトル応答を示すが、この等価屈折率の変化量は〜10%程度にもなる。
但し、このような共振器結合作用は、エバネッセント結合によるので、共振器間距離は、シリコンなどの高屈折率媒質を用いた場合、200nm以下で顕著となる。
【0023】
以上、ディスク/リング共振器を利用することによって、高いQ値をもつスペクトル共鳴構造を得られることを述べた。
そして、2つのリング/ディスク共振器を波長以下の距離で近接させることによって、スペクトル応答を変化させることができることについて説明した。
【0024】
つぎに、機械的振動機構について説明する。
上述のFP共振器、ディスク/リング共振器ともに、変位に対して高感度に光応答を検出するには、作用距離が波長のオーダー、またはそれ以下が望ましいことについて説明した。
しかし、従来のFP共振器ベースの超音波センサのように共振器媒質が弾性体であるとすると(例えば特許文献2)、単位圧力の超音波に対する弾性体の機械的変位量は小さくなってしまうこととなる。
ディスク/リング共振器間の媒質が弾性体であるとすると、やはり同様の問題が生じる。
このトレードオフを解消する手段として、光学的要素が機械的振動子の変位機構からデカップルされることが重要であることは既に述べた。
そのためには、光学要素間(FP共振器であれば2つのミラー間、ディスク/リング共振器であれば二つの共振器間)を非固体物質(非弾性体)で構成し、機械的振動子の変位機構が光学要素間距離に反映されるように配置すればよい。
そのような構成例を図3〜図5に示す。
これらに共通することは、機械的振動機構のパラメータは、光学応答とは独立に設計できるという点である。
従って、上述の望ましい光学応答を実現しつつ、機械的振動機構の応答(機械的変位)は別途最大化することができる。
なお、特許文献3ではメンブレンミラーの変位を利用した干渉計センサを開示しているが、既に述べたように、一般にメンブレンの変形量は小さい。
そこで、図3〜図5では機械的ビームの変形、または円柱の変形を利用している。
以下では、それぞれに対して、どのような機械的振動機構が実現されるかを説明する。
なお、それらの説明に際し、FP、ディスク、リング共振器などの例を挙げて説明するが、FP共振器のミラー対をディスク/リング共振器対に置き換えても同じである。
【0025】
つぎに門構え構造について説明する。
図3に、上記門構え構造を説明する図を示す。
図3において、101aはサスペンション、102aは下部ミラー、103aは上部ミラー、104aは支持体、105aは第一の誘電体ブロック、106aは基板、107aは第二の誘電体ブロックである。
【0026】
図3に示すように、基板106a上にサスペンション101aが設置されており、その中間に誘電体ブロック105aを介して下部ミラー102aが設置されている。
一方、上部ミラー(またはディスク/リング共振器)103aは複数のサスペンション101aに橋渡しされた支持体104a、第二の誘電体ブロック107aを介して、下部ミラー(またはディスク/リング共振器)102a上に設置されている。
上部ミラー103aと下部ミラー102aのギャップは所望の共振器長(またはギャップ長)に設定されている。
この構造では、上部ミラー側から伝搬してくる超音波によってサスペンション101a、または支持体104aが振動し、共振器長を変調する。
このどちらが振動機構として顕著となるかは、デザインによるので、以下に述べる。
【0027】
サスペンションの変位dLrは、フックの法則からdLr=PLr/Erとなる。ここで、Pは入射圧力、Lrはサスペンションの長さ、Erはヤング率である。
一方、支持体の振動は、両端を固定されたビームの最大変位として考えると、dx=5PLs4/(32Es3)で与えられる。
ここで、Lsはビームの長さ、Esは支持体材料のヤング率、hは支持体の厚さである。
これら二つの変位成分の比を考えると、つぎのような式で表すことができる。

【0028】
すなわち、dLr/dx>>1であればサスペンションの変位が顕著であり、dLr/dχ<<1であれば支持体の変形による変位が顕著となる。
サスペンションの変位を利用する場合、ロッド形状を仮定して、つぎの式で表される共振周波数fは所望の値に設定する要請から決まる。

【0029】
ここで、ρはサスペンション材料の密度である。
サスペンションを例えばPDMS(ρ〜970kg/m,E〜0.5GPa)とすると、f=20MHzに対して、L〜10μmと決まる。
支持体の材料はシリコン(E=190GPa)と仮定し、ビームの長さをL=50μmとすると、dL/dx>10となる条件は(h/L)=b>0.3となり、支持体のアスペクト比に対する条件が得られる。
すなわち、支持体の厚みは〜15μmあればよい。実際の変位は、圧力P〜1kPaに対してdL=PL/E〜20pm、dx=PL/(32E)〜1.5pmとなるので、サスペンションの変位に比べて十分小さくできる。
また、このときの、支持体の共鳴周波数fはつぎの式で与えられる。

【0030】
その際、ビームの幅w〜50μmとしても、f〜200kHzとなり、機械振動子の共振周波数から大幅にずらすことができるので、応答の畳み込み効果も無視できる。
ビームの厚さは超音波波長(〜100μm)よりも十分短いが、超音波のインピーダンス不整合によって、入射超音波の反射が無視できないときには、サスペンションと支持体の接合面積を例えば縁のみにするなどして減らせばよい。
【0031】
サスペンションのヤング率Erを高剛性材料にすることによって、逆に、サスペンションと支持体の役割を反転させることも可能である。
すなわち、支持体の変位を利用して、共振器長を変調することもできる。
例えば、サスペンション材料として銅(Er=130GPa,ρ=8980kg/m3)を用いることを考える。
ロッド形状の共振周波数はLr=10μmとすれば、f〜60MHzとなり、またP=1kPaに対してdLr〜0.1pmとなるので、サスペンションの振動は無視できるようになる。
一方、dL/dx<0.01としてL=100μmに対してb<0.22を得る。
従って、ビームの厚みhは20μm以下であればよい。変位を大きくとるために例えばh〜5μmとすると、P=1kPaに対してdx〜660pmとなる。
共振周波数には幅のみが利くので、w〜20μmとすれば共振周波数を20MHzに設定できる。
この場合、ピッチ(L)に上限を設けると、共振周波数を20MHz付近に設定するためには、支持体の幅wを細くする必要があり、支持体にミラーを取り付ける工夫を要する。
【0032】
以上をまとめると、
1)サスペンションを低ヤング率材料にし、支持体を厚めにすることによってサスペンションの振動機構を利用する。
2)サスペンションを高ヤング率材料にして、支持体を薄めにすることによって、支持体の変形(ビームの変形)を振動機構として利用する。
という二つの方式が考えられる。
前者は支持体の変形がないので、共振器長の変化が面内方向にほぼ一様であるという特徴がある。
一方、後者は単位入射圧力に対して大きな変位が得られるが、支持体の変形が不均一である。
その不均一性は、光検出においてあまり問題とならないことは後述する。
しかし、支持体の変形を利用することで変位を大きくとり易くできるため、より機械的感度を向上させることができる。
なお、以上では、上部ミラーの負荷は無視したが、支持体の体積がミラーの体積と同等になる場合、共振周波数の低下を考慮しなければならない。
【0033】
つぎに、逆L字構造について説明する。
図4に、上記逆L字構造を説明する図を示す。
図4において、401aは誘電体ブロック、402aは下部ミラー、403aは上部ミラー、404aは支持体、405aはサスペンション、406aは基板である。
401bは誘電体ブロック、402bは入出力導波路、403bは下部ディスク共振器、404bは上部ディスク共振器、405bは支持体、406bはサスペンション、407bは基板である。
【0034】
図4(a)は、サスペンション1つに光共振器を1つ対応させた構造の例である。
このようにすることで、門構え構造よりも高密度にアレイ化が可能となる。
誘電体ブロック401a上に下部ミラー402aが設置されており、サスペンション405a上に設置された支持体404aを介して、下部ミラー402a上に上部ミラー403aが設置されている。
この場合においても、門構え構造と同様に、サスペンションの変形、支持体の変形のどちらかを選択的に抽出できるよう、設計することが可能である。
【0035】
片側自由端のビームの変形として支持体を考えると、単位入射圧力Pに対して最大変位量はdx〜1.5PL/Ehとなる。
すなわち、両端固定に比べて同じ条件であれば〜10倍大きな変位が得られる。従って、支持体の振動を積極的に利用するのが望ましい。この場合の共振周波数は次式のようになる。

【0036】
したがって、Ls=50μmとし、支持体の材料をシリコンと仮定すると、f=20MHzにするにはw〜3.5μmが必要である。
すなわち、門構え構造と比較して得られる大きな変位は、共振周波数の低下とトレードオフにあり、支持体をさらに細くしなければならない。
【0037】
この場合も、変位は光共振器の面内方向に均一にならない。
従って、FP共振器において変位が大きい場合、ビーム偏向の効果によって回折損失が変化するので注意が必要である。
回折損の効果が無視できるためにはw/Leff≪tanθ=dx/Lの条件が満たされればよい。例として、Q=10、波長λ=1.55μm、ビーム径w〜50μmとすると、w/Leff〜0.02である。
=50μmであるので、注目している変位量は1nm以下であれば、十分無視できることがわかる。
【0038】
図4(b)は、誘電体ブロック401b上に結合器用の入出力導波路(直線導波路)402bが設置されており、それにクリティカル・カップリングする位置に下部ディスク共振器403bが設置されている。
一方、サスペンション406b上には支持体405bが設置されており、その自由端の先端に第二の誘電体ブロック408bを介して上部ディスク共振器404bが下部ディスク共振器に対して最大の摂動を与えるように設置されている。
このようにすることで、支持体の変形に伴う上部ディスク共振器の歪みを低減できるが、これはFP共振器に対しても同様である。
【0039】
つぎに、同心円構造について説明する。
図5に、上記、同心円構造を説明する図を示す。
図5において、501は誘電体ブロック、502は低屈折率誘電体層、503は入出力導波路、504は低屈折率誘電体層、505はサスペンション、506は上部リング共振器、507は下部リング共振器、508は支持体、509は基板である。
【0040】
図5に示す同心円構造を用いてリング共振器を構成した場合、サスペンションと同心円状に共振器を設置することにより、さらに高密度なアレイ化が可能となる。
基板509上にサスペンション505が設置されており、その外周に円筒状の誘電体ブロック501が設置されている。
その上部には低屈折率誘電体層502を介して入出力導波路(結合器直線導波路)503が設置されている。
さらに、その上部には低屈折率誘電体層504を介して下部リング共振器507が設置されている。
サスペンション505の上部には円柱状の支持体508が設置されており、その縁にギャップを介して下部リング共振器507に対向する形で上部リング共振器506が設置されている。
このとき、導波路はシングルモードであり、支持体508の縁の振動は十分無視できる。
従って、サスペンション505に低ヤング率材料を採用することで、この振動が選択的にギャップの変調機構となる。
ディスク共振器やFP共振器の場合、サスペンションが外芯となるようにすればよい。
【0041】
以上、図3〜図5に示した構造を例に、前述の微小光学FP共振器、ディスク/リング共振器対を光学応答メカニズムとして用いる場合において、高速でかつ単位入射圧力に対して大きな変位を示す機械振動子をコンパチブルにする手法を述べた。
いずれの例においても、入射超音波に対して、機械振動子の応答のみを選択的に(光学応答とは独立に)設計できることが重要なポイントである。
なぜならば、光学応答は別途高感度なものを施すことによって、超音波センサとしての感度は向上できるからである。
これを実現するために、二つの光学要素間が非固体物質で構成されおり、機械的変位が反作用なしに直接的に光学要素間距離の変化に反映されるようになっている。
【0042】
以上の知見基づき、具体的には、つぎのような実施形態による超音波センサを構成することができる。
(1)本実施の形態における超音波センサは、
基板上の弾性を有するサスペンションに設けられ、超音波によって変位する支持体を含み構成される機械振動子(超音波受信部)と、
前記機械振動子に設けられた第1の反射膜と、前記基板上に保持された第2の反射膜とを、非固体媒質(真空または気体)を介し対向配設して構成される共振器と、
を備え、前記超音波による支持体またはサスペンションの変位を、それらの変位に応じた前記第1及び第2の反射膜間の相対距離の変化に基づく光学応答によって、検出可能に構成される。
この構成によれば、超音波に対する機械的応答は、サスペンション、または支持体による機械的振動として得られ、第1の反射膜は第2の反射膜に対して相対位置が変化する。
前記第1と第2の反射膜間は、固体でない(真空、気体または液体)ことにより、変形媒体の反作用がないため、サスペンション、または支持体による機械的変位を、ファブリーペロー共振器長の変化として効果的に利用できる。
従って、第1と第2の反射膜で形成されるファブリーペロー共振器の光学応答を光検出することによって、高感度に超音波を検出することが可能となる。
(2)本実施の形態における超音波センサは、前記第1及び第2の反射膜を、誘電体多層膜ミラー、金属ミラー、フォトニック結晶ミラーのうちのいずれか一つのミラー、またはそれらの組み合わせによって構成することができる。
この構成によれば、前記第1と第2の反射膜が、誘電体多層膜、金属ミラー、フォトニック結晶ミラー、またはそれらの組み合わせであることにより、高いQ値を有するファブリーペロー共振器を形成できる。
特に、金属ミラー、フォトニック結晶ミラーの場合、反射膜の体積を減らせるため、全体構造の機械的安定性を確保することができる。
(3)本実施の形態における超音波センサは、前記第1及び第2の反射膜を、該反射膜の反射率が90%以上とし、所定の波長において同じ反射率を有するように構成することができる。
この構成によれば、前記第1と第2の反射膜の反射率が90%以上であり、またそれぞれの反射率がある波長において等しいことにより、共振器の共鳴幅を狭くかつ共鳴による反射率低下を大きくすることができる。
すなわち、S/Nのよい測定を行なうことができるため、感度を向上させることができる。
(4)本実施の形態における超音波センサは、前記非固体媒質を介し対向配設されている前記第1及び第2の反射膜間の距離は、光の波長程度とされている。
この構成によれば、前記第1と第2の反射膜間距離は、光の波長程度(数ミクロン以下)であることにより、ある機械的変位量に対するファブリーペロー共振器の光学応答(波長シフト)を大きくできるため、低コストで高感度に検出できる。
さらに、反射膜間を伝搬する光ビーム径を小さくできるため、アレイ化に適する。
(5)本実施の形態における超音波センサは、基板上の弾性を有するサスペンションに設けられ、超音波によって変位する支持体を含み構成される機械振動子(超音波受信部)と、
前記機械振動子に設けられた第1のリング/ディスク共振器と、前記基板上に保持された第2のリング/ディスク共振器とを、非固体媒質(真空または気体)を介し対向配設して構成された共振器構造と、
を備え、前記超音波による支持体またはサスペンションの変位を、それらの変位に応じた前記第1及び第2のリング/ディスク共振器間の相対距離の変化に基づく光学応答によって、検出可能に構成される。
この構成によれば、入出力導波路を用いて光検出することにより、サスペンション、または支持体の機械的変位を、第1と第2のリング/ディスク共振器の結合度合いとして検出できる。
また、上記(1)の実施の形態と同様の理由により、二つのリング/ディスク共振器間が非固体物質であることにより、変形媒体の反作用がないため、サスペンション、または支持体による機械的変位を、共振器間距離の変化として効果的に利用できる。
さらに、検出用の光は、入出力導波路、およびリング/ディスク共振器に閉じ込められているため、アレイ化に適する。
(6)本実施の形態における超音波センサは、前記非固体媒質を介し対向配設されている前記第1及び第2のリング/ディスク共振器間の距離を、光の波長程度とされている。
この構成によれば、与えられた変位量に対する光学応答(波長シフト)を大きくできるため、高感度に検出できる。
また、以上の超音波センサを用いることにより、容易にアレイ状に配列してアレイ化することができ、高感度に超音波イメージング可能となる超音波センサアレイを得ることができる。
また、以上の超音波センサまたは超音波センサアレイを用いることにより、高感度に超音波イメージングを行なうことができる超音波検出装置を得ることができる。
【実施例】
【0043】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
本実施例では、FP共振器に誘電体多層膜鏡を用いた構成に関して、図3を参照して説明する。
本実施例において、サスペンション101aはNiの棒からなり、直径10μm、長さ15μmであり(f〜120.5MHz)、シリコン基板106a上に設置されている。
サスペンション101aの上に厚さ2μmのシリコンからなる支持体104aが置かれている。支持体104aの長さは70μmであり、2つのサスペンションの中間点には、SiO/TiOの上部ミラー(多層膜鏡)103aがSiOブロック107aを介してコーティングされている。
このとき、支持体の共振周波数は19.5MHzである。支持体の厚みは5μmであり、P=1kPaに対してdx=158pmとなる。
サスペンション101aに挟まれる形で、基板上にはSiOブロック105aが置かれており、その上部に前述のミラーと同様の下部ミラー(多層膜鏡)102aが成膜されている。
これら102aと103aで対称FP共振器が構成される。誘電体多層膜はSiOとTiOの積層で、各10層、11層ずつ計21層からなり、中心波長〜1550nm付近に設計されている。
積層の全厚みは4.7μmである。ギャップ長を1/2波長とすると、SiOブロック105aの厚みを1μm、107aの厚みを825nmとすればよい。
【0044】
光を基板側から入射すると、その反射特性には、ブラッグ反射波長帯に共振器長に依存したパスバンドが現れる。
ここで、超音波が支持体側から伝搬してくると、支持体の変位によってFP共振器の共振器長が変化し、パスバンドの波長が変化する。
本実施例はこの波長変化を計測することによって、変位を検出するものである。例えば、DFBレーザをパスバンドの半値波長に併せておき、強度変化を読み取る。
【0045】
図6に、上記FP共振器の光学応答を計算したグラフを示す。
パスバンドの半値全幅は〜0.35nmであり(Q値が〜4500)、1nmの変位に対して、反射率の最大変化は〜90%となる。
すなわち、的確な波長で十分に線幅の細いレーザで強度変化を読み取ると、〜1kPaの超音波に対して〜14%程度の変調が得られる。
Q値が〜4500であるので、共振器寿命τは〜23psであり、Leff=6.92mmである。
レイリー長を考慮すると、ビーム直径は〜50μm以上であればよいことになる。従って、誘電体多層膜鏡102a,103aの直径は〜60μmあればよい。
【0046】
つぎに、本実施例におけるFP共振器の製造方法について説明する。
図7に、本実施例のシステムにおける製造工程の一例を説明する図を示す。
図7において、700はSOI基板、701はSi基板、702はBOX層、703はデバイス層である。
704は犠牲層、705は第二の誘電体ブロック、706は上部誘電体多層膜、707はギャップ犠牲層、708は下部誘電体多層膜、709は第一の誘電体ブロックである。
710はエレクトロプレーティング用モールド、711はシード層、712はNiピラー、713はSi基板である。
【0047】
本実施例のFP共振器を製造するに際し、まず、デバイス層として、5μmのSOI基板700を形成する(図7(a))。
このSOI基板700は、具体的にはSi基板701とBOX層702とデバイス層703とによって形成される。
次に、このSOI基板700に、第二のSiO2ブロック705と犠牲層(Al)704を形成する。
後工程に対して平坦度を確保するために、ここで化学機械研磨を行ってもよい。続いて上部誘電体多層膜706を形成する(図7(b))。
次に、ギャップ犠牲層707、下部誘電体多層膜708、第一のSiO2ブロック709を順次形成する(図7(c))。
【0048】
次に、積層部を挟むように、80μm間隔でサスペンションを形成する。
これにはエレクトロプレーティング用モールド710を作製し(図7(d))、シード層711を付けた上で10μmφのNiピラー712をパターニングする(図7(e))。
次に、これを化学機械研磨し(図7(f))、シリコン基板713にダイレクトボンディングで接着し(図7(g)、SOI基板のSi基板701とBOX層702を除去する。
最後に犠牲層704と707を除去すると、図3に示す構造が得られる(図7(h))。
なお、サスペンションに低ヤング率材料を用いる場合は、ポリマー材料でサスペンションを形成できるので、モールドを形成する必要がなくなり、プロセスが容易になる。
【0049】
[実施例2]
本実施例では、FP共振器を構成するに際し、実施例1のように誘電体多層膜鏡を用いる代わりに、メタルミラーを用いた構成例について説明する。
具体的には、図4(a)に示す実施例1での上部誘電体多層膜鏡を、厚さ200nmのAuミラーで置き換えたものである。
図8に、本実施例の構成を説明する図を示す。
図8において、601は誘電体ブロック、602は下部誘電体多層膜ミラー、603は上部金属ミラー、604は支持体、605はサスペンション、606は基板である。
【0050】
本実施例において、Si基板606上に30φのSiO2ブロック601と下部誘電体多層膜ミラー602が設置されている。
サスペンション(Niピラー)605がその横に設置されており、その上部からSiの支持体604が設けられ、下部ミラー602の上に伸びている。支持体の下部ミラー側には200nmのAu、5nmCr膜が設けられている。
【0051】
本実施例によると、誘電体多層膜鏡に比べ、ミラーの体積が小さくなるので、支持体にかかる負荷を軽減できるというメリットが生まれる。
一方、金属膜で達成できる反射率の上限は〜98%程度であるので、フィネスにも上限があるが、そのためビームの偏向効果に対する尤度も小さくなるので、逆L字型構造を採用できる。
また、ミラーの反射帯域は十分広いので、フィネス最適化のための波長の合わせ込み精度(デフォルトのギャップの大きさに対する精度)は小さくできる。
【0052】
下部誘電体多層膜鏡の最適な層数は、ギャップ長に応じたパスバンドの波長に応じて制御する必要がある。例えば、1550nm付近ではSiOとTiOの多層膜を用いて〜17層程度が最適であり、達成できるQ値は〜420となる。図9に、上記FP共振器の光学応答を計算したグラフを示す。
従って、回折の効果はほとんど無視できるため、Auミラーと誘電体多層膜鏡の直径は〜10μmでもよい。
すなわち、非常に高密度なアレイ化(ピッチ<50μm)が可能となるが、機械的変位は支持体の長さに依存するので、狭ピッチにすると変位を稼げなくなる。本実施例での支持体の長さはL=70μm、幅w=70μm、厚さh=5μmである。
ミラーは支持体の先端から30×30μmの面積に蒸着されている。共振周波数はf=21MHzで、P=1kPaに対してdx=1.5nmとなる。
実際の変位は不均一ではあるが、空間平均としてdx=0.75nmであったとしても光量変化は〜20%にできることがわかる。
【0053】
本実施例の構造の作製フローは基本的に実施例1の場合と同様である。但し、この場合、ミラーに用いるAu層をエレクトロプレーティング法におけるシード層として利用することができる。
【0054】
[実施例3]
本実施例では、実施例1の下部誘電体多層膜鏡をフォトニック結晶ミラーで置き換えた構成例について説明する。
図10に、本実施例における構成例を説明する図を示す。
図10において、801は誘電体ブロック、802は上部ミラー、803はフォトニック結晶ミラー、804は支持体、805はサスペンション、806は基板である。
【0055】
本実施例では、Si基板806上にSiO2ブロック801が置かれており、その上にフォトニック結晶ミラー803が置かれている。
その両側にはサスペンション(Niピラー)805が設置されており、支持体804がピラー上部を橋渡しするように設置されている。
支持体からは第二のSiO2ブロックを介して上部ミラー(誘電体多層膜)802がフォトニック結晶ミラー803の上部に設置されている。
【0056】
フォトニック結晶ミラーは、面外入射光に対して、周期構造のブラッグ散乱に起因して面内に回折された光が、面内の周期構造自身のストップバンドによって反射されることによって生じる。
フォトニック結晶ミラーは厚さ350nm、穴径585nm、ピッチ780nmの正方格子からなる。
図11に、フォトニック結晶ミラーの反射率、透過率を計算したグラフを示す。無損失を仮定しているので、99%以上の反射率が得られる帯域は〜20nmであるが、反射帯域で透過率が激変するため、誘電体多層膜の反射率の合わせ込みがむずかしくなる。
また、この範囲にパスバンドが得られるようにするには、共振器長を〜20nmの精度で合わせ込む必要がある。
これを避けるためには、2枚のフォトニック結晶ミラーでFP共振器を構成する方法が考えられる。
しかし、上部ミラーの面積はQ値に依存した面積を確保する必要があるので、支持体に直接周期構造を作り込むことはむずかしい(f〜10MHzオーダーの共振周波数を維持できない)。また支持体に保持させるにも工夫が必要である。
【0057】
なお、この場合、SiO2の支持体を想定しているが、チッ化シリコンを用いる場合にも適宜構造パラメータを変えればよい。実際は加工精度により、得られる反射率に上限があると思われるが、理論的にはQ値>106が可能である。
例えば、上述のフォトニック結晶ミラーと、中心波長1550nmのSiO2とTiO2の35層の誘電体多層膜鏡で共振器を設け、共振器長を900nmとしたときに、ストップバンドの波長は1554.52nm、Q〜1.5×106となる。
従って、原理的には金属ミラーを利用する場合に比べて、高いQ値が可能であるが、それに対応してフォトニック結晶ミラーの反射面の面積は大きくする必要がある。
本実施例の構造の作製フローも、基本的に実施例1の場合と同様である。但し、フォトニック結晶構造の加工を行う際に、電子ビームリソグラフィ、またはイオンビームエッチングなどの高解像パターニングの技術を用いてもよい。
【0058】
[実施例4]
本実施例においては、実施例1〜実施例3のFP共振器を用いてアレイ化して構成した超音波検出装置の構成例について説明する。
図12に、本実施例の超音波検出装置の構成例を説明する図を示す。
図12において、1201は光ファイバ、1202はV溝、1203はレンズ、1204はFP共振器アレイ、1205はレンズアレイ、1206は光源、1207は光検出器である。
【0059】
本実施例において、入出力に用いる光源(レーザ)1206の線幅は、パスバンドの帯域よりも十分狭い必要があるので、通信用のDFBレーザが最適である。
光増幅器などを用いて増幅した後にパワースプリッタを用いて個々の共振器に接続されたファイバ1201に導光してもよいし、FP共振器と光源に1対1の対応をつけてもよい。
この場合のメリットは、作製誤差による波長のシフトを補償できる点にある。FP共振器からの戻り光は3dBカップラ、または光サーキュレータを利用する。
【0060】
信号の検出器1207には、pinフォトダイオード、アヴァランシェフォトダイオードを用いる。
通信用の光トランシーバーユニットを利用するのであれば、カップラやサーキュレータは不要で、光源と検出器が1ユニットとなる。
但し、この場合は入出力のファイバ数がアレイの数に比例するので、高出力の光源を、ハーフミラーを通して一括照射し、共振器からの反射光をフォトダイオードアレイで検出するようにしてもよい。
この場合、信号の損失は生じるが、配線の負荷が著しく軽減される。
【0061】
既述したように、高いQ値を有する平行平板共振器は、実効的な伝搬長が長くなるので、回折の効果を考慮しなければならない。
Q<5000程度であれば、SiO2ブロックの伝搬を考慮してもアレイピッチは150μm程度にできる。
従って、V溝1202上にマウントされたファイバーアレイから、レンズアレイ1205を介してFP共振器アレイ1204上にビームを照射してもよい。
この場合、レンズアレイ1205を基板として、その上にFP共振器を直接作りこんでもよい。
【0062】
[実施例5]
本実施例においては、実施例1〜実施例3のFP共振器を用いてアレイ化して構成した超音波検出装置の光源として、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)を用いる構成例について説明する。
30〜100μmのピッチであれば半導体導波路の近接結合効果は無視できるので、VCSELアレイを光源として用いることができる。
この場合、レンズアレイの要素にひとつずつ対応するように、光源と光検出器をモノリシックに集積したトランシーバー回路をレンズアレイの下に置くことで、装置の小型化が容易となる。
但し、この場合はレーザ線幅が10〜100MHz程度なので、共振器のQ値によっては信号分解能のダイナミックレンジがレーザの線幅によって狭くなる。
従って、実施例2に示したような金属ミラーの低Q値のシステムが適する。但し、VCSEL光源の波長は長波長が好ましい。
波長1μm以下では金属ミラーの反射率が低下し、FP共振器のQ値がさらに低下してしまうからである。
【0063】
[実施例6]
本実施例では、ディスク共振器の近接効果を用いた超音波光センサの構成例について、図4(b)を参照しながら説明する。
誘電体基板407b上に、直径30μm、厚み30mmのNiのサスペンション406bが置かれている。
この上には、厚さ2μmのSi支持体405b、SiO2ブロック408bを介して、上部ディスク共振器404bが接着されている。
サスペンション406bの隣にはSiO2ブロック401bが置かれ、その上に下部ディスク共振器403bと入出力導波路402bが置かれている。
ディスク共振器403b,404bは厚み500nm、径25μmのシリコンで、支持体とSiO2ブロックの接着面は20μm径でディスクの径よりも少し小さくなっている。
なお、その他の部分は円筒形である必要はない。入出力導波路402bは矩形導波路でディスク共振器の周回モードをクリティカルカップリングできるように配置される。
また、ディスク共振器間距離を調整する機構(例えばピエゾ)を別途SiO2ブロックの下においてもよい。
これにより、動作点を個々に調整できるようになる。なお、この場合、ピエゾ素子に及ぶ超音波の効果は十分無視できる。
【0064】
解析を簡略化するために、変数分離を仮定する。
すなわち、実効屈折率変化はギャップの変化による寄与分だけであるので、5層スラブ導波路モデルを考え、モード実効屈折率を求める。
図13に、ギャップ長に対するモード屈折率の依存性を示す。
ギャップ長d=360nm以下程度で上部と下部の導波路の結合が生じ始め、d〜150nm程度で1nmあたりΔneff〜0.04%程度の屈折率変化が生じる。
【0065】
実際の信号量変化を求めるには、例えば、非特許文献3(A.Yariv, Electron.Lett. Vol.36, p.321 (2000))に記載の解析的なモデルを用いればよい。
パラメータとして導波損失係数a=1dB/cm、結合損失γ=0.1dBを仮定した。
図14に、Δneff〜10-4 (ギャップ長変化〜270pmに対応)のときのスペクトル変化を示す。
信号差分値は80%以上であり、ギャップ長変化1nmあたりの信号変化量は〜300%となる。支持体の大きさはLs=50μm、幅w=30μm、厚さh=5μmである。
共振周波数はf=17.5MHzで、P=0.1kPaに対してdx=0.04nmとなる。従って、変位の不均一性を無視すると、光量変化は〜12%になることがわかる。
この場合、極端に高感度化できるが、ダイナミックレンジを調節したいときは、支持体のパラメータを変えるか、または門構え構造を採用すればよい。
【0066】
モード次数mが非常に大きいため、Q>104となっており、半値全幅は〜4GHzである。このため、線幅が1MHz以下となる波長安定化光源が必要である。
但し、センサ素子が複数ある場合は、波長可変機構を光センサに作りこんでもよい。
例えば、温度制御エレメントを基板の下に設けてもよい。この場合、光源を共有して、パワースプリッタで光入力を分配できるメリットが生じる。
【0067】
つぎに、本実施例におけるディスク共振器の製造方法について説明する。
図15に、本実施例のシステムにおける製造工程の一例を説明する図を示す。
図15において、1700はSOI基板、1701はSi基板、1702はBOX層、1703はデバイス層である。
1704aは犠牲層、1704bは第二の誘電体ブロック、1705は上部ディスク層、1706はギャップ犠牲層、1707は下部ディスク層、1708は低屈折率誘電体層、1709は入出力導波路層、1710はサスペンション、1711はSi基板である。
【0068】
本実施例のディスク共振器を製造するに際し、まず、SOI基板1700を形成する(図15(a))。
このSOI基板1700は、具体的にはSi基板1701とBOX層1702とデバイス層1703とによって形成される。
次に、このSOI基板1700に、Alによる犠牲層1704aとSiO2による第二の誘電体ブロック1704bをパターニングして積層する。
更にその上に、上部ディスク層1705、ギャップ犠牲層1706、下部ディスク層1707、低屈折率誘電体層1708、入出力導波路層1709を積層する(図15(b))。
ここで、犠牲層1704aと第二の誘電体ブロック1704bとの積層後に、化学機械研磨を行って平坦度を確保することが望ましい。
【0069】
次に、これらをパターニングし(図15(c))、更にサスペンション1710となるSOGをパターニングする(図15(d))。
次に、これを化学機械研磨した上で(図15(e))、ボンディングし(図15(f))、デバイス層(ハンドル層)1703とBOX層1702を除去する(図15(g))。
最後に、犠牲層1704、1706を除去する。この場合、サスペンションを十分薄く(5μm以下)できるため、SOGのようなポリマー材料を用いても、その変位は実質的に無視できる。
このプロセス例は一例であり、例えばSOGの散乱損失が大きいときは入出力導波路層の界面を低屈折率誘電体層でサンドイッチ形に挟む構造にしてもよい。
なお、本実施例ではディスク共振器の応答に関して説明したが、リング共振器に関しても以上と同様に構成することができる。
【0070】
[実施例7]
本実施例では、実施例6におけるディスク共振器型の超音波光センサを、シリコンフォトニクスの技術を用いてアレイ化した構成例について説明する。
図16に、本実施例のアレイをディスクと垂直な方向から見た模式図を示す。
図16において、1501は入出力配線導波路、1502は超音波センサ素子である。
入出力導波路1501がバスを形成しており、各センサ素子1502に対応して光配線されている。究極的には必要な素子のアレイピッチによって制限されるが、例えばイメージセンサの読み出し回路のように、センサアレイを4象限毎に分割して、入出力導波路をその外側に入出力を戻すようにしてもよい。
【0071】
図17はアレイ化した際のブロック図である。
図17において、1601は超音波検出部(超音波センサ素子アレイ)、1602は光入力部、1603は光出力部、1604は基板である。
基板1604上の超音波検出素子アレイ1601に対して、光入力段1602と光出力段1603が用意されている。
基板への光入出力は、チップ面上でもチップの端面からでも行うことができる。前者の場合、グレーティングカップラーとテーパー導波路の組み合わせを用いて−3dB程度の損失で高効率結合ができる。後者の場合、逆テーパー導波路やスロット導波路のようなモード変換機構を用いてもよい。
【0072】
基板への光入出力は素子の数に比例するが、素子ごとの動作波長をずらした場合、光出力の導波路はWDMにすることができる。
反対に、超音波検出素子の動作波長が同一である場合、光入力をひとつの光源からパワースプリッタで分配することができる。
また、光出力手段には、歪みGeのような通信波長帯に感度をもつ光検出器をオンチップに設け、出力信号は電気信号で得るようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態におけるQ値と最小ビーム半径の関係を説明する図。
【図2】本発明の実施形態におけるモード分離の概念を示す図。
【図3】本発明の実施形態における門構え構造を説明する図。
【図4】本発明の実施形態における逆L字構造を説明する図。
【図5】本発明の実施形態における同心円構造を説明する図。
【図6】本発明の実施例1におけるFP共振器の光学応答を計算した図。
【図7】本発明の実施例1におけるシステムの製造工程を説明する図。
【図8】本発明の実施例2におけるメタルミラーを用いたFP共振器の構成例について説明する図。
【図9】本発明の実施例2におけるFP共振器の光学応答を計算した図。
【図10】本発明の実施例3におけるフォトニック結晶ミラーを用いたFP共振器の構成例について説明する図。
【図11】本発明の実施例3におけるフォトニック結晶ミラーの反射率、透過率を計算した図。
【図12】本発明の実施例4におけるFP共振器を用いてアレイ化して構成した超音波検出装置の構成例について説明する図。
【図13】本発明の実施例6におけるギャップ長に対するモード屈折率の依存性を示す図。
【図14】本発明の実施例6におけるギャップ長変化に対応したスペクトル変化を示す図。
【図15】本発明の実施例6におけるシステムの製造工程を説明する図。
【図16】本発明の実施例7におけるディスク共振器型の超音波光センサをシリコンフォトニクスの技術を用いてアレイ化した構成例について説明する模式図。
【図17】本発明の実施例7におけるアレイ化した際のブロック図。
【符号の説明】
【0074】
101a:サスペンション
102a:下部ミラー
103a:上部ミラー
104a:支持体
105a:第一の誘電体ブロック
106a:基板
107a:第二の誘電体ブロック
401a:誘電体ブロック
402a:下部ミラー
403a:上部ミラー
404a:支持体
405a:サスペンション
406a:基板
401b:誘電体ブロック
402b:入出力導波路
403b:下部ディスク共振器
404b:上部ディスク共振器
405b:支持体
406b:サスペンション
407b:基板
408b:第二の誘電体ブロック
501:誘電体ブロック
502:低屈折率誘電体層
503:入出力導波路
504:低屈折率誘電体層
505:サスペンション
506:上部リング共振器
507:下部リング共振器
508:支持体
509:基板
601:誘電体ブロック
602:下部誘電体多層膜ミラー
603:上部金属ミラー
604:支持体
605:サスペンション
606:基板
700:SOI基板
701:Si基板
702:BOX層
703:デバイス層
704:犠牲層
705:第二の誘電体ブロック
706:上部誘電体多層膜
707:ギャップ犠牲層
708:下部誘電体多層膜
709:第一の誘電体ブロック
710:エレクトロプレーティング用モールド
711:シード層
712:Niピラー
713:Si基板
801:誘電体ブロック
802:上部ミラー
803:フォトニック結晶ミラー
804:支持体
805:サスペンション
806:基板
1201:光ファイバ
1202:V溝
1203:レンズ
1204:FP共振器アレイ
1205:レンズアレイ
1206:光源
1207:光検出器
1501:入出力配線導波路
1502:超音波センサ素子
1601:超音波検出部(超音波センサ素子アレイ)
1602:光入力部
1603:光出力部
1604:基板
1700:SOI基板
1701:Si基板
1702:BOX層
1703:デバイス層
1704a:犠牲層
1704b:第二の誘電体ブロック
1705:上部ディスク層
1706:ギャップ犠牲層
1707:下部ディスク層
1708:低屈折率誘電体層
1709:入出力導波路層
1710:サスペンション
1711:Si基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波センサであって、
基板上に設けられ、超音波によって変位する可動部を含み構成される超音波受信部と、
前記超音波受信部に設けられた第1の反射膜と、前記基板上に保持された第2の反射膜とを、非固体媒質を介し対向配設して構成される共振器と、
を備え、前記超音波による可動部の変位を、該可動部の変位に応じた前記第1及び第2の反射膜間の相対距離の変化に基づく光学応答によって、検出することを特徴とする超音波センサ。
【請求項2】
前記第1及び第2の反射膜は、誘電体多層膜ミラー、金属ミラー、フォトニック結晶ミラーのうちのいずれか一つのミラー、またはそれらの組み合わせによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記第1及び第2の反射膜は、該反射膜の反射率が90%以上であり、所定の波長において同じ反射率を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波センサ。
【請求項4】
前記非固体媒質を介し対向配設されている前記第1及び第2の反射膜間の距離は、光の波長程度とされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波センサ。
【請求項5】
超音波センサであって、
基板上に設けられ、超音波によって変位する可動部を含み構成される超音波受信部と、
前記音波受信部に設けられた第1のリング/ディスク共振器と、前記基板上に保持された第2のリング/ディスク共振器とを、非固体媒質を介し対向配設して構成された共振器構造と、
を備え、前記超音波による可動部の変位を、該可動部の変位に応じた前記第1及び第2のリング/ディスク共振器間の相対距離の変化に基づく光学応答によって、検出することを特徴とする超音波センサ。
【請求項6】
前記非固体媒質を介し対向配設されている前記第1及び第2のリング/ディスク共振器間の距離は、光の波長程度またはそれ以下とされていることを特徴とする請求項5に記載の超音波センサ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の超音波センサを、アレイ状に配列して構成されていることを特徴とする超音波センサアレイ。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の超音波センサまたは請求項7に記載の超音波センサアレイを、超音波検出手段として備えていることを特徴とする超音波検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−253493(P2009−253493A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96822(P2008−96822)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】