説明

超音波トランスデューサ冷却装置及び方法

本発明は、超音波トランスデューサ冷却装置及び方法に関する。本発明による装置は、少なくとも1個のピエゾスタック(4)及び、該ピエゾスタック(4)と共に、λ/2発振器を形成する、少なくとも2個の円筒形トランスデューサ本体(5)から構成される。複合トランスデューサ配置においては、2個のトランスデューサ本体(5)を連結させて、共通トランスデューサ本体(6)を形成することが出来、該トランスデューサ本体(5、6)には、加圧冷却液が流動する流動溝(7)が設けられている。本発明による超音波トランスデューサ冷却方法は、超音波トランスデューサ本体内には加圧冷却液が流動し、及び/又は、該超音波トランスデューサ本体は加圧冷却液に包囲される。これにより、トランスデューサ内に発生した熱を対流により直接放散させることが出来る。更に、本発明による手段により、トランスデューサと冷却液間の共通接触表面を大きくすることが出来る。公知の方法よりもずっと効果的に熱を放散させることが出来、これにより、高性能連続運転が保証される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲第1項及び第6項のプレアンブルに記載した特徴を有する、超音波トランスデューサ冷却装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波トランスデューサの作動中に、エネルギの損失が熱に変換される。このエネルギの損失は、電気的損失及び、電気エネルギが機械エネルギへ変換される際、ピエゾ素子内に働く内部摩擦により起こる。発生した熱を効果的に取り除くための方法はたくさんあり、公知である。従来の冷却システムは、熱伝導若しくは熱対流により熱を伝達することにより行われている。多くの場合、この2つの原則を組み合わせて行っている。
【0003】
本質的に大きな振動振幅を有する強力超音波トランスデューサを冷却するのは、困難である。というのも、さらに摩擦を発生させずに、かつ更に熱を発生させずに、大量の熱を除去する必要があるからである。冷却流体は、キャビテーションにより、トランスデューサを損傷するおそれのある、かなりの量のエネルギを更に発生させやすいため、今までは、うまく、かつ効果的に熱を取り除くためにガス媒体だけを使用してきた。高圧における大量のガスが必要となるため、ガスを使用すると、この冷却方法が非常に高くついてしまう。更に、強力超音波トランスデューサを作動させる際、高圧でブリッジ回路を形成すると起こる短絡を防ぐために、冷却ガスには、固体や液体のごみが含まれていない状態でなければならない。
【0004】
EP 0553804 A2は、熱伝導に基づいて高周波超音波コンバータを冷却するシステムを開示している。超音波コンバータの背後に、ヒートシンクを配置させ、これを熱伝導樹脂によりハウジングに連結させる。最初に熱はトランスデューサからヒートシンクに伝えられ、そこから前記樹脂を介して周囲のハウジングに熱が伝わり、そこで、大気により熱を運び去る。この種の冷却方法は、強力装置には不向きであり、大量のエネルギが樹脂に運搬されるため、数マイクロメータの高い振動振幅では、この冷却方法を使用することが出来ない。
【0005】
多くの場合、超音波コンバータの冷却システムは、トランスデューサ(例えば、BANDELIN electronic GmbH&Co.KGのSONOPULS HD 60)の周囲にあるハウジング内に配置された開口部を介して、対流により熱を取り除くことによってのみ作動している。この種の冷却方法も又、ハイパワーにおける使用には不向きである。
【0006】
この種の冷却システムに幾つかの変更を加えたものが知られており、ファンや圧縮空気を使用した冷却をプラスしている。このタイプの冷却方法では、かなりの量のちりや湿気がハウジング内に運搬されてしまう不都合があり、これにより、電気的に伝導する混入物によりブリッジ回路が形成されるため、電気短絡を起こす危険が増えてしまう。また、ファン及び、内部から外部への熱交換を利用した閉鎖システムが知られている。これらのシステムは、かなり複雑であり、除去出来る熱の量も制限されている。
【0007】
EP 0782125 A2は、高周波超音波トランスデューサを冷却させるための配置を開示しており、ここでは、液体を運搬する熱伝導パイプが、トランスデューサの下流に配置されたヒートシンクに連結している。連結ラインを介して、冷却液が供給され、また、除去される。熱は、このようにして、対流によりヒートシンクから除去される。この冷却システムの特別な実施例では、トランスデューサの周囲にある部材内に溝を形成することにより、熱伝導パイプの一部、若しくは全部を形成して、特別に大きい接触面積を持たせている。この冷却液は、超音波トランスデューサ内を流動せず、トランスデューサと接触している冷却システム内を流動するようになっている。この配置もまた、ハイパワーを有する装置から効果的に熱を除去する際には不向きである。
【0008】
WO 0008630 A1は、特にハイパワーで作動している超音波トランスデューサから、熱を除去するための配置を開示している。熱の除去は、熱伝導や熱対流の組み合わせにより行っている。トランスデューサ本体の表面には、振動吸収層が設けられており、該層により、熱の移動中の機械的振動損失を減少させている。この振動吸収層の上方に、熱伝導部材層が配置されている。熱を対流させることにより冷却手段がヒートシンクから熱を除去することが可能であるが、このヒートシンクが、熱伝導層上に配置されている。この配置では、層と層の間の移りゆく温度差により、熱の除去効率が減少する欠点がある。更に、トランスデューサと冷却装置間の最大共通接触表面が、トランスデューサ表面に限定されてしまう。これにより、超音波トランスデューサは、大量の冷却流体を供給しない限り、ハイパワーで連続的に運転させることが出来ず、この方法では非常に不経済である。
【0009】
米国特許第5,936,163は、原子炉や蒸気管等の、高温環境で使用する超音波トランスデューサを開示している。周囲からトランスデューサに入り込む熱を除去するために、超音波トランスデューサ本体を、循環冷却媒体により冷却する。
【0010】
これら公知の解決方法は全て、超音波トランスデューサのハイパワー連続運転を阻んでおり、及び/又は、低効率での連続運転を可能にしているだけという傾向にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、熱損失によって発生した熱を、公知の装置よりもずっと効果的に除去可能で、それ故、ハイパワーレベルにおいても経済的に、確実に連続運転可能な超音波トランスデューサ冷却装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、本発明の特許請求の範囲第1項記載の特徴を有する方法、及び第8項記載の特徴を有する装置により解決できる。本発明による超音波コンバータ冷却方法の特徴は、冷却液が、超音波トランスデューサ内を及び/又は、その周囲を流動することである。このようにして、トランスデューサ内に発生した熱は、対流することにより直接的に除去できる利点がある。なお、ヒートシンクを介して熱を伝導させる必要はない。トランスデューサ内を冷却液が流れると、コンバータと冷却液の共通接触面積を大きくすることが出来る。これにより、本発明による手段を用いて、従来の方法と比較して、ずっと効果的に熱を除去するので、超音波トランスデューサのハイパワーでの連続運転が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による方法では、冷却流体の圧力を所定の大きさに設定することで、キャビテーションを減少させるか、若しくは該現象の発生を防止しているので、都合が良い。圧力は、2〜20バールの範囲で、好ましくは5バールに設定すると都合が良い。この方法によると、キャビテーションに伴う装置の損傷リスクを大幅に減少させることが出来、また、更にエネルギを消費してしまうキャビテーションを減少させるか、若しくはその発生を防止することが出来る。
【0014】
流通溝及び/又はガス圧を適宜な値に設定することで、冷却流体に圧力をかけることが出来る。
【0015】
更に、本発明の方法によると、冷却流体が超音波トランスデューサの本体内で、内部領域から外部領域にかけて流動するようにすることで、流体圧を内部領域で高め、冷却流体をハウジングを介して排出し、又は、流体が超音波トランスデューサの本体内で、外部領域から内部領域にかけて流動するようにすることで、圧力を外部領域で高め、該冷却流体を内部領域を介して排出する。この方法によると、特に効率的に熱をトランスデューサから排除することが出来る。加えて、キャビテーションを防止するために、内部領域及び外部領域の双方で圧力を設定することで、内部領域と外部領域間で圧力勾配を設定して、冷却流体を流動させることが出来る。更に、冷却流体を超音波トランスデューサの本体の周囲、好ましくは内部領域及び/又は外部領域で流動させることが出来、これにより熱が対流することで、該熱がトランスデューサ表面から除去可能である。
【0016】
本明細書では、内部領域は、テンションロッドとトランスデューサ本体間の中空空間であるのに対して、外部領域は、トランスデューサ本体とハウジング間の空間である。
【0017】
更に、本発明による方法では、冷却流体は、電気的に伝導しない流体であり、これにより電気短絡の発生を防止している。
【0018】
本発明による超音波トランスデューサ冷却装置には、少なくとも1つのピエゾスタック及び、該ピエゾスタックと共に、λ/2発振器を構成する、少なくとも2個の円筒形トランスデューサ本体が設けられており、2個のトランスデューサ本体を組み合わせて一体型トランスデューサ本体にすることにより、複合トランスデューサを有する構成を形成することが出来、また、少なくとも2個のトランスデューサ本体の内、少なくとも1個のトランスデューサ本体には、流入した冷却流体を強制的に流動させる少なくとも1つの流通溝が設けられている。このようにして、トランスデューサ内に発生した熱を、対流により直接除去できる利点がある。ヒートシンクを介して熱を伝導させる必要は無い。更に、本発明による手段では、トランスデューサと冷却流体との間の大きな共通接触面積を利用することが出来る。この方法による熱除去は、従来の方法よりもずっと効果的であり、それ故、本発明の手段を用いると、超音波トランスデューサがハイパワーレベルでも連続運転が可能となる。
【0019】
本発明の好都合な実施例によると、冷却流体の圧力を所定の値に設定することで、キャビテーションの発生を減少させるか、又は、該発生を防止することが出来る。該圧力は、2〜20バールの範囲で調整すると好ましく、最も好ましい圧力は、5バールである。この方法では、キャビテーションによる装置損傷の危険性を大幅に減少させ、該キャビテーションによって更にエネルギが消費されるのを防止する、若しくは消費されるエネルギを減少させるので都合が良い。
【0020】
更に、本発明の有利な実施例によると、少なくとも1つの流通溝をスリットの形で、トランスデューサ本体と冷却流体間の共通接触面積を特に大きくするように形成させて、熱除去の効率性を向上させている。
【0021】
本発明の更に有利な実施例によると、装置は、少なくとも2つのトランスデューサ本体の中空空間に配置させたテンションロッド、少なくとも2つの開口部、及び流入した加圧冷却流体が流動する、少なくとも1つのガイド溝を有している。これにより、冷却流体は、特に簡単に、かつ均一に中空空間内に流動し得る。
【0022】
更に、本発明の更に有利な実施例によると、冷却流体を少なくとも1つのガイド溝を介して供給することが出来、また、少なくとも1つの流通溝を介して除去することが出来る。冷却流体は、少なくとも1つの流通溝を介して供給し、テンションロッド内に設けた少なくとも1つのガイド溝を介して除去することが出来れば好ましい。このように、冷却流体を、トランスデューサ本体内を、内部領域から外部領域に向けて、若しくは、外部領域から内部領域に向けて、特にまっすぐに流動させることが出来る。
【0023】
更に、本発明の更に有利な実施例によると、装置には、流体密ハウジングが設けられている。ハウジングを設けたのは、一方でトランスデューサの駆動部分を保護するためであり、他方では冷却流体を収容し、これを案内する特別有利な選択肢になるからである。
【0024】
更に、本発明の有利な実施例によると、装置にはハウジング及び/又はホーン及び/又は終端マスに連結されたフランジが設けられている。フランジは、ハウジングの装着を簡単にする。更に、ホーンは、ソノトロードと接触するための特に有利な選択である。本発明の有利な実施例によると、装置には、冷却流体ライン連結部が少なくとも1個設けられており、ここから冷却流体がトランスデューサ本体の中空空間に流れ込み、及び/又はここを介して、トランスデューサ本体の中空空間から冷却流体を除去することが出来る。このようにして、中空空間を冷却流体供給装置に簡単に接続させることが出来、また簡単に冷却流体を供給することが出来る。
【0025】
更に、本発明の有利な実施例によると、装置には、冷却流体ライン連結部が少なくとも1個設けられており、ここを介して冷却流体が少なくとも1つのガイド溝内に流れ込み、及び/又はここを介して、少なくとも1つのガイド溝から冷却流体を除去することが出来る。このようにして、ガイド溝を、冷却流体供給装置に簡単に接続させることが出来、また、簡単に冷却流体を供給することが出来る。
【0026】
更に、本発明の有利な実施例によると、装置には、冷却流体ライン連結部が少なくとも1個設けられており、ここを介して冷却流体がハウジング内に流れ込み、及び/又はここを介して、ハウジングから冷却流体を除去することが出来る。このようにして、ハウジングを冷却流体供給装置に簡単に接続することが出来、該流体供給装置に冷却流体を簡単に供給することが出来る。
【0027】
更に、本発明の有利な実施例によると、冷却流体は、少なくとも2個のトランスデューサ本体の内の、少なくとも1つのトランスデューサ本体の、内表面の少なくとも一部の周囲を、及び/又は外表面の少なくとも一部の周囲を流動することが出来る。このようにして、熱を対流させて、該熱をトランスデューサから効果的に排除する。
【0028】
更に、本発明の有利な実施例によると、トランスデューサ本体には、流通溝が設けられていない。この実施例においては、冷却流体は、連結溝によって外部空間に連結した内部空間を有する、トランスデューサ本体の周囲だけを流動する。
【0029】
本発明による更に別の実施例は、他の従属項に列挙した特徴をもつ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明による実施例を、関連図面を参照して以下に述べる。
【0031】
図1は、超音波トランスデューサの長手方向の横断面を概略的に示した図であり、ここには、本発明による、超音波トランスデューサ冷却装置の実施例が示されている。超音波トランスデューサは、円筒形のトランスデューサ本体5、6及び、対応するトランスデューサ本体5、6の端面間に配置された複数のピエゾスタック4から構成されている。数個のトランスデューサ本体5、6が、一体型のトランスデューサ本体6として形成され、ピエゾスタック4が一体型トランスデューサ本体6の端面のそれぞれに配置される。複数のピエゾスタック4のそれぞれは、1個のトランスデューサ本体5と共に、また、複数の一体型トランスデューサ本体6の内の1個の半分と共に、また、2個の一体型トランスデューサ本体6の内の半分と共に、λ/2発振器を構成している。トランスデューサ本体5、6には、放射方向に伸延する流通溝7が設けられている。終端螺子を有するテンションロッド3上には、トランスデューサ本体5、6及びピエゾスタック4が交互に配置されている。この配置は、2つの螺子切りされた端部マス10により固定され、ピンと張られている。前記端部マス10は、テンションロッド3の対向する両側に設けられており、両端部マス10のそれぞれは、テンションロッド3の終端螺子に取り付けられている。テンションロッド3には、冷却流体用のガイド溝13が設けられている。ガイド溝13の一端には、冷却流体供給ライン1を構成している、冷却流体ライン連結部1が設けられている。テンションロッドには、冷却流体用出口開口部が形成されており、ここを介して、冷却流体が、ガイド溝からトランスデューサ本体の中空空間11に流出するようになっている。反対側の端部マス10には、ホーン8が連結されており、該ホーン8は、ソノトロードに連結し、かつ、トランスデューサによって発生した機械的振動を伝達することが出来る。装置には、冷却流体を収納する、流体密ハウジング12が設けられており、該流体密ハウジング12には、外部システムに装着されたフランジ9が連結されている。このフランジ9には、ホーン8が連結されている。フランジには、ハウジング12からの冷却流体を排出するドレインライン2を構成する、冷却流体ライン連結部2が形成されている。供給用冷却流体ライン1は、ハウジング12を貫通している。テンションロッド3のガイド溝13には、供給ライン1を介して強制的に冷却流体が入る。そして、該冷却流体は、ガイド溝13を介してトランスデューサ本体の中空空間11に供給される。その後、冷却流体はトランスデューサ本体内を流れ、最終的にトランスデューサ本体5、6の流通溝7内を流れるようになっている。これにより、トランスデューサによって発生した熱が対流することにより、該熱が直接冷却流体に運搬される。流通溝7から出た冷却流体はハウジング12に集められ、ドレイン2を介して装置から一掃される。このようにして、超音波トランスデューサを、従来の方法と比較してより効果的に冷却することが出来る。本発明の手段により、ハイパワーレベルでの超音波トランスデューサの連続運転が可能となる。
【0032】
流通溝7の両端に、円形の穴等の、開口部を形成すると、トランスデューサ本体の寿命を延ばすことが出来、及び/又は、スリット状の流通溝7を介した流れを改善することが可能である。前記穴の直径は、スリットの幅よりも大きいと好ましい。
【0033】
図2は、本発明による超音波トランスデューサ冷却装置の別の実施例のである、超音波トランスデューサのデザインの、長手方向横断面を概略的に示しており、これは基本的には図1に示す装置と対応している。しかしながら、図1の実施例と違って、冷却流体供給ライン1が2本設けられており、各供給ライン1は、ハウジング12及び端部マス10を介して外側から、テンションロッド3とトランスデューサ本体5、6間に形成された中空空間11内に放射方向に伸延している。こうして、トランスデューサの対向端部には、冷却流体ラインと中空空間11の連結部1が配置される。すると、冷却流体は、対向端部から中空空間11内に強制的に入り込み、流通溝7を介して一掃される。この配置は、図1の配置よりも、熱を装置の全長に亘ってより均一に除去で出来て都合が良い。従って、図1に示す実施例と比較して、より効果的に超音波トランスデューサを冷却することが出来る。
【0034】
図3は、本発明の更に別の実施例を示しており、この実施例では、トランスデューサ本体5、6には、流通溝7が設けられていない。しかしながら、連結溝15により、内部空間11と外部空間14は連結している。第一の変更では、供給ライン1を介して冷却流体が供給され、ガイド溝13を介して内部空間11に到達し、トランスデューサ本体の周囲を流れ、これを冷却し、その後、連結溝15を介して内部空間11から流出し、外部空間14及びドレインライン2を介して除去される。この変更では、トランスデューサ本体の内部だけが冷却される。別の選択肢として、第2の変更では、ハウジング供給ライン1aと円形ライン17を介して冷却流体を供給すると、トランスデューサ本体5、6の外側だけを冷却することが出来る。ハウジング供給ライン1aを介して供給された冷却流体を、円形ライン17により均一に供給、運搬し、該冷却流体は、トランスデューサ5、6の外側の周囲を流れ、少なくともここに冷却流体層を形成した後、ドレイン2を介して除去する。第3の変更では、内部空間11に、供給ライン1を介して冷却手段を供給することにより、また、外部空間14内に、ハウジング供給ライン1aを介して冷却手段を供給することにより、トランスデューサ本体5、6の内表面及び外表面を冷却することが出来る。トランスデューサ本体5、6の内表面を冷却するために供給ライン1を介して供給した冷却手段、また、トランスデューサ本体5、6の外表面を冷却するためにハウジング供給ライン1aを介して供給した冷却手段は、ドレインライン2を介して除去する。ガス圧、本実施例では6バールのガス圧を、ガス圧連結部16を介してハウジング12内に発生させる本実施例により、キャビテーションの発生を防ぐことが可能である。
【0035】
本発明は、例示実施例やこの変更に限定されるものではない。本発明の範囲及び趣旨を逸脱しない範囲で、前述した手段及び特徴を組み合わせることで、実施例や変更例を更に追加することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】軸方向に冷却流体用供給ラインを配置した、冷却装置付き、超音波トランスデューサの概略横断面図である。
【図2】放射状に2本の冷却流体用供給ラインを配置した、冷却装置付き、超音波トランスデューサの概略横断面図である。
【図3】流通溝をもたず、連結溝を形成した、冷却装置付き、超音波トランスデューサの概略横断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 冷却流体ライン連結部、供給ライン
1a ハウジング供給ライン
2 冷却流体ライン連結部、ドレイン
3 テンションロッド
4 ピエゾスタック
5 トランスデューサ本体
6 一体型トランスデューサ本体
7 流通溝
8 ホーン
9 フランジ
10 端部マス
11 中空空間、内部空間
12 流体密ハウジング
13 ガイド溝
14 外部空間
15 連結溝
16 ガス圧連結部
17 円形ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力損失により発生した熱を除去する超音波トランスデューサ冷却方法において、冷却流体は、該超音波トランスデューサの内部、及び/又は周囲を流動する、超音波トランスデューサ冷却方法。
【請求項2】
冷却流体に所定の圧力をかけることにより、キャビテーションの発生を減少させ、若しくは該発生を防止することを特徴とする、請求項第1項記載の方法。
【請求項3】
流通溝を所定の大きさに設定することにより、及び/又はガス圧により、前記圧力を生じさせることを特徴とする、請求項第2項記載の方法。
【請求項4】
前記冷却流体の圧力を、2〜20バールの範囲で調整し、好ましくは、5バールに調整することを特徴とする、請求項第1項乃至第3項のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記冷却流体は、前記超音波トランスデューサ本体内を、内部領域から外部領域に向けて、若しくは、外部領域から内部領域に向けて流動することを特徴とする、請求項第1項乃至第4項のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記冷却流体は、前記超音波トランスデューサ本体の内部領域の周囲を、及び/又は外部領域の周囲を流動することを特徴とする、請求項第1項乃至第5項のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記冷却流体は、電気的に伝導しない流体であることを特徴とする、請求項第1項乃至第6項のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのピエゾスタック(4)及び、前記ピエゾスタック(4)と共に、λ/2発振器を構成する、少なくとも2個の円筒形トランスデューサ本体(5)から構成され、対応する2個の前記トランスデューサ本体を、複合トランスデューサ配置として連結することにより、一体型トランスデューサ本体(6)を形成した超音波トランスデューサ冷却装置において、前記トランスデューサ本体(5、6)は、内部空間(11)及び外部空間(14)により包囲され、前記少なくとも2個のトランスデューサ本体(5、6)の内、少なくとも1つのトランスデューサ本体は、流入した加圧冷却流体を流動させ得る、少なくとも1つの流通溝(7)が設けられており、及び/又は少なくとも1個の連結溝(15)を、前記内部空間(11)及び外部空間(14)間に配置させたことを特徴とする、超音波トランスデューサ冷却装置。
【請求項9】
キャビテーションの発生を減少させ、又は防止し得るように、圧力を所定の値に調整し、該圧力を、2〜20バールの範囲で、好ましくは、5バールに調整することを特徴とする、請求項第8項記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つの流通溝(7)をスリット状に形成し、前記装置は、少なくとも2個のトランスデューサ本体(5、6)によって形成された中空空間(11)に配置されたテンションロッド(3)、該テンションロッド(3)は、少なくとも1個の開口部、及び前記加圧された冷却流体を流入させる少なくとも1つのガイド溝(13)から構成され、前記冷却流体を、少なくとも1個のガイド溝(13)から供給することが出来、かつ、該冷却流体を少なくとも1個の流通溝(7)から除去することが出来、前記冷却流体は、少なくとも1個の前記流通溝(7)から供給し、前記テンションロッド(3)に配置された少なくとも1個の前記ガイド溝(13)から除去することが出来ることを特徴とする、請求項第8項若しくは第9項記載の装置。
【請求項11】
前記装置には、流体密ハウジング(12)、該ハウジング(12)及びホーン(8)に連結されたフランジが設けられており、かつ、該装置には、冷却流体用対応連結部(1、2)が少なくとも1個設けられており、該連結部を介して冷却液が中空空間(11)内に流入し、及び/又は該中空空間(11)から除去され、又は、前記装置には、冷却流体ライン用対応連結部(1、2)が少なくとも1個設けられており、該連結部を介して冷却流体が、少なくとも1個のガイド溝(13)内に流入し、及び/又は少なくとも1個のガイド溝(13)から除去され、又は、前記装置には、冷却流体ライン用対応連結部(1a、2)が少なくとも1個設けられており、該連結部を介して冷却流体がハウジング(12)内に流入し、及び/又は該ハウジング(12)から除去されることを特徴とする、請求項第8項乃至第10項のうち何れか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記冷却流体は、少なくとも2個の前記トランスデューサ本体(5、6)の内、少なくとも1個のトランスデューサ本体の内表面部分の少なくとも周囲を、及び/又は外表面部分の少なくとも周囲を流動することを特徴とする、請求項第8項乃至第11項のうち何れか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記流通溝(7)の端部に開口部を形成し、該開口部は、該流通溝(7)の幅よりも大きい直径を有することを特徴とする、請求項第8項乃至第12項のうち何れか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−506633(P2006−506633A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552670(P2004−552670)
【出願日】平成15年11月19日(2003.11.19)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013003
【国際公開番号】WO2004/047073
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(505186809)ドクター ヒールシャー ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】