超音波モータ
【課題】単一の部材からなり、構造が単純であり、溝部等が不要であり、縦振動とねじれ振動を容易に励起することができ、該縦振動と該ねじれ振動を合成することにより楕円振動を形成し、該楕円振動によりロータを回転させる超音波モータを提供することである。
【解決手段】超音波モータ10は、中心軸に垂直な断面が矩形状の長さ比率を有する振動子である圧電素子11と、該圧電素子11の楕円振動発生面に接して振動子の該楕円振動発生面と直交する中心軸を回転軸として回転駆動されるロータ16と、を少なくとも備えている。そして、上記圧電素子11の回転軸方向に伸縮する縦1次共振振動と、上記回転軸をねじれ軸とするねじれ2次共振振動とを合成することにより、上記楕円振動を形成する。
【解決手段】超音波モータ10は、中心軸に垂直な断面が矩形状の長さ比率を有する振動子である圧電素子11と、該圧電素子11の楕円振動発生面に接して振動子の該楕円振動発生面と直交する中心軸を回転軸として回転駆動されるロータ16と、を少なくとも備えている。そして、上記圧電素子11の回転軸方向に伸縮する縦1次共振振動と、上記回転軸をねじれ軸とするねじれ2次共振振動とを合成することにより、上記楕円振動を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動を駆動力源として被駆動体を駆動する超音波モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、振動子の縦振動とねじれ振動を合成して楕円振動を発生させ、ロータを回転させる超音波モータが提案されている。そして、下記特許文献1の図1には、振動子の分解斜視図が描かれており、振動子軸方向に対し斜めにカッティングされた弾性体の間に複数枚の圧電素子が挿入された構成となっている。また、該圧電素子の正電極は2分割されており、ここでは、それぞれA相、B相と称するものとする。
【0003】
ここで、A相とB相に同位相の交番電圧を印加することで、棒状振動子に縦振動を発生させることができる。また、A相とB相に逆位相の交番電圧を印加することで、棒状振動子にねじれ振動を発生させることができる。尚、振動子の溝位置を調整して縦振動の共振周波数と、ねじれ振動の共振周波数を、ほぼ一致するようにしておく。そして、A相とB相にπ/2位相の異なる交番電圧を印加すると、縦振動とねじれ振動が同時に発生し、棒状弾性体上面に楕円振動を発生させることができる。棒状弾性体上面にロータを押圧することにより、ロータを時計方向(CW方向)若しくは反時計方向(CCW方向)に回転させることができる。
【特許文献1】特開平9−117168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された超音波モータは、その図1に示されるように、圧電素子と弾性体が必要になる、弾性体を斜めにカットしなければならない、縦振動とねじれ振動の周波数を合わせるために弾性体の一部に溝部を設けなければならない、等の課題があった。それ故、全体として振動子の構成が非常に複雑となるという課題を有していた。
【0005】
したがって本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、単一の部材からなり、構造が単純であり、溝部等が不要であり、縦振動とねじれ振動を容易に励起することができ、該縦振動と該ねじれ振動を合成することにより楕円振動を形成し、該楕円振動によりロータを回転させる超音波モータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、中心軸に垂直な断面が矩形状の長さ比率を有する振動子と、該振動子の楕円振動発生面に接して該振動子の該楕円振動発生面と直交する中心軸を回転軸として回転駆動されるロータと、を少なくとも備えた超音波モータであって、上記振動子の上記回転軸方向に伸縮する縦1次共振振動と、上記回転軸をねじれ軸とするねじれ2次共振振動とを合成することにより、上記楕円振動を形成してなることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、中心軸に垂直な断面が矩形状の長さ比率を有する振動子と、該振動子の楕円振動発生面に接して該振動子の該楕円振動発生面と直交する中心軸を回転軸として回転駆動されるロータと、を少なくとも備えた超音波モータであって、上記振動子の上記回転軸方向に伸縮する縦1次共振振動と、上記回転軸をねじれ軸とするねじれ3次共振振動とを合成することにより、上記楕円振動を形成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、単一の部材から成り、構造が単純であり、溝部等が不要であり、且つ、縦振動とねじれ振動を容易に励起することができる超音波振動子を提供することができ、該縦振動と該ねじれ振動を合成することにより楕円振動を形成し、該楕円振動によりロータを回転させる超音波モータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0011】
図1は本発明の第1の実施形態に係る超音波モータを示すもので、(a)は外観斜視図、(b)は断面図、(c)は摩擦接触部材を接着した状態の振動子の外観斜視図、(d)は振動子の外観斜視図、(e)は振動子表面に形成された交差指電極の配置例を示した図である。
【0012】
図1(a)及び(b)に示されるように、この超音波モータ10は、圧電素子11と、該圧電素子11の長手方向と直交する面に接着された摩擦接触部材13a及び13bと、上記圧電素子11の長手方向に形成された後述する貫通穴12に挿通されるシャフト15と、上記摩擦接触部材13a及び13bと接触して駆動されるロータ16、ベアリング17、ばね18、ばね保持リング19とから構成される。
【0013】
尚、本第1の実施形態を含む以下の全ての実施形態に於いて、振動子は圧電素子単体から構成されている。
【0014】
図1(c)及び(d)に示されるように、圧電素子11は略直方体形状をなしており、そのQ値は1000以上のハード系のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電素子から構成されている。また、圧電素子11の4つの側面には、それぞれ交差指電極25が設けられている。ここで、交差指電極とは、例えば、図1(e)に示されるように、+相の電極25aと−相の電極25bとが、交互に組み合わされて配置されているような電極を指すものとする。そして、交差指電極25は、その側面内でできるだけ大きな面積となるようにするため、実際には、図1(e)に示されるように、その側面部の一面に形成されているが、図面の簡単化のため、図1(e)以外の図面では省略して示されている。また、+相の電極25aと−相の電極25bの先端は、それぞれ電極導出部26a、26bが形成されている。尚、これらの交差指電極25の詳細については後述する。
【0015】
上記圧電素子11の長手方向(図の上下方向)の中央部には、シャフト15を挿通させるための貫通穴12が設けられている。図1(b)に示されるように、シャフト15はほぼ円柱形状で、圧電素子(振動子)11の貫通穴12のほぼ中央部21で接着剤22を用いて固定されている。上記シャフト15は、中央部21のみが、他の部分比べて僅かに径が大きく形成されている。そして、このシャフト15は、圧電素子11の貫通穴12の中央部でのみ、圧電素子11と接触固定されており、その他のシャフト部位は貫通穴12内部の壁面とは接触していない。
【0016】
圧電素子11の一方の端面(ロータ16が配される側の面)には、摩擦接触部材13a及び13bが接着されている。これらの摩擦接触部材13a及び13bは直方体形状に構成されるもので、圧電素子11の一方の端面で、且つ楕円振動が発生している2箇所の部位に、それぞれ接着されている。これら摩擦接触部材13a及び13bの材質は、PPS等のエンジニアリングプラスチックから成る。
【0017】
ロータ16は、アルミナセラミクスから構成されるもので、その中央部にはベアリング17が嵌め込まれている。したがって、ロータ16は、振動子の摩擦接触部材13a、13bに対し押圧力がかかった状態で載置されている。ばね18は、ばね保持リング19を回転していくことにより圧縮され、これにより、ロータ16と圧電素子11の摩擦接触部材13a、13b間に適切な押圧がかかるようになっている。尚、ばね18は、ベアリング17の内側にのみ接触する構造となっている。
【0018】
また、図示されないが、シャフト15の一部にはねじが形成されており、同じくねじが形成されているばね保持リング19と螺合して結合されている。
【0019】
次に、図2及び図3を参照して、本実施形態の超音波モータ10に使用される圧電素子11の固有周波数の一致に関して説明する。
【0020】
図2(a)に示されるように、圧電素子11の形状を直方体形状で、それぞれの辺a、b、cの各寸法を適切な値とすることで、縦1次振動モードの共振周波数とねじれ2次振動モード、若しくはねじれ3次振動モードの、共振周波数をほぼ一致させるようにしている。
【0021】
図2(b)はねじれ1次振動モード、図2(c)は縦1次振動モード、図2(d)はねじれ2次振動モード、図2(e)はねじれ3次振動モードの振動状態を概略的に示した図である。この場合、図2(b)〜(e)に於いて、図示p1 ,p2 はねじれ振動の方向を、図示qは縦振動の方向を表している。また、実線が振動前の圧電素子11の形状を示しており、破線が振動後の圧電素子11の形状を示している。尚、図中、27は振動子(圧電素子)の振動の節に相当する位置である。
【0022】
ここで、直方体の各辺a、b、cを定義する。いま、辺cの方向を、縦1次振動モードの振動の方向、且つ、ねじれ振動のねじれの軸方向とする。また、辺cと直交する方向を辺aの方向、辺bの方向とする。ここで、a<b<c、またaを短辺と称し、bを長辺と称するものとして、以下に説明する。
【0023】
図3は、辺cを一定として、横軸を短辺の長さ/長辺の長さ(a/b)とした時の各モードの共振周波数を表した図である。同図からわかるように、a/bを変化させた場合には、縦1次振動モードの共振周波数はa/bに依存せず、ほぼ一定の値をとる。しかしながら、ねじれ振動の共振周波数は、a/b値が1に近付けば近付くほど単調に大きくなっていく。ねじれ1次振動モードの共振周波数は、a/bがどのような値をとっても、縦1次振動モードの共振周波数と一致する条件はない。
【0024】
しかしながら、ねじれ2次振動モードの共振周波数は、a/b値が0.6近傍の時に一致することが明らかである。また、ねじれ3次振動モードの共振周波数は、a/b値が0.3近傍の時に一致することが明らかである。したがって、本実施形態では、圧電素子11の各寸法を、a/bが0.5〜0.7、好ましくはほぼ0.6となるように設定する。
【0025】
次に、本超音波モータ10の振動子である圧電素子11の側表面に設けられている交差指電極の詳細について、図4乃至図6を参照して、説明する。
【0026】
直方体形状の圧電素子11の辺cと平行な4つの側面に交差指電極が設けられている。図4は圧電素子11を上面から見た平面図、図5(a)〜(d)及び図6(a)〜(d)は、図4の圧電素子11をα方向、β方向、γ方向、δ方向から、それぞれ見た図である。
【0027】
この場合、駆動用交差指電極311 ,312 がα方向の面11aに、駆動用交差指電極321 ,322 がβ方向の面11bに、振動検出用交差指電極が331 ,332 がγ方向の面11cに、そして、振動検出用交差指電極が341 ,342 がδ方向の面11dに、それぞれ設けられている。
【0028】
面11aには、図5(a)に示されるように、2箇所に交差指電極311 ,312 が設けられ、これらは電気的に並列接続されている。交差指電極の設けられている位置は、図2(d)に示されるように、ねじれ2次振動の節近傍である。交差指電極の傾きをその電極同士が交差する方向と定義し、図6(a)に示されるように、θ(0<θ<π/2)、下側の交差指電極はπ−θの角度を有している。その理由は、下側の節近傍では、上側の節近傍のねじれ方向とは逆の方向にねじれているからである。
【0029】
交差指電極は、数μm厚程度の銀電極を、図示の如く圧電素子11の表面に印刷・焼成して製作される。その後、高電圧が印加されて分極処理が行われ、圧電的に活性化される。尚、交差指電極311 ,312 の下方には、電極導出部311 a,312 aが設けられている。更に、図5及び図6では、交差指電極は1ケ所について二対の例を示しているが、交差指電極の幅を細くすることで、図1(e)に示されるように、対数を適宜多くしてもよい。
【0030】
また、図5(b)に示されるように、面11aと対向する面11bにも、同様な位置に同様な理由によって交差指電極321 ,322 、更に電極導出部321 a,322 aが設けられている。そして、図6(b)に示されるように、上側の交差指電極は傾きがπ−θ、下側の交差指電極は傾きがθとなるように構成されている。この理由も上述した通りである。
【0031】
次に、他の2つの側面に設けられている振動検出用交差指電極の構成について説明する。
【0032】
図5(c)に示されるように、2箇所に交差指電極331 ,332 、が設けられ、それらは電気的には並列接続されている。交差指電極331 ,332 の下方には、電極導出部331 a,332 aが設けられている。上記交差指電極331 ,332 の設けられている位置は、図2(d)に示されるように、ねじれ2次振動の節近傍である。
【0033】
図6(c)に示されるように、上側の交差指電極はφ(0<φ<π/2)、下側の交差指電極はπ−φの角度を有している。すなわち、下側の節近傍では上側の節近傍のねじれ方向とは逆の方向にねじれているからであり、図2(d)によってそれは了解される。
【0034】
また、図5(d)に示されるように、面11cと対向する面11dにも、同様な位置に同様な理由によって交差指電極341 ,342 、更に電極導出部341 a,342 aが、設けられている。この場合、上側の交差指電極は傾きがπ−φ、下側の交差指電極は傾きがφとなるように構成されている。
【0035】
次に、このように構成された圧電素子11の動作について説明する。
【0036】
最初に、駆動用交差指電極を用いた圧電素子の動作について説明する。
【0037】
先ず、図5(a)に示されるA相(A+相、A−相)の電極導出部311 a,312 aに、縦1次振動、若しくはねじれ2次振動の共振周波数に対応した交番電圧が印加されたとする。図5(a)には、その際に逆圧電効果により上側の交差指電極に発生する力が、ベクトルで表示されている。図5(a)に表されているFなる力は交番力であり、その力をベクトル分解すると、F1とF2となる。F1なるカは図からも明らかなように、縦振動を励起させる力となる。また、F2は、図から明らかなように、ねじれ2次振動を発生させる力となる。
【0038】
次に、図5(b)に示されるB相(B+相、B−相)の電極導出部321 a,322 aにも、同じ周波数の交番電圧が印加された場合を考える。図5(b)には、その際に上側の交差指電極に発生する力が、ベクトルで表示される。図5(b)に示される力F′は交番力であり、その力をベクトル分解すると、F1′とF2′となる。力F1′は、図からも明らかなように、縦振動を励起させる力となる。また、力F2′は、図から明らかなように、ねじれ2次振動を発生させるカとなる。
【0039】
次に、上記下A相、B相に、同時に同位相の周波数の交番電圧が印加された場合に付いて考える。面11aと面11bの上部に、交差指電極により発生する力のみを考えた場合、図5及び図6を見て考えると、力F2と力F2′は、互いにキャンセルし合い、ねじれ2次振動は発生せずに、縦1次振動のみ発生することになる。
【0040】
次に、上記A相、B相に同時に逆位相(位相差π)の上記周波数の交番電圧が印加されたとする。同様に面11aと面11bの上部に交差指電極により発生する力のみを考えた場合、図5(a)及び(b)を見て考えると、力F1とF1′は、互いにキャンセルし合い、縦1次振動は発生せず、ねじれ2次振動のみ発生することになる。
【0041】
次に、A相、B相に同時に、位相が0とπの中間の位相差を与えた場合について考える。この場合には、縦1次振動とねじれ2次振動が同時に起こり、それらの振動が合成された振動となる。この場合は、図1(c)にも示されるように、振動子の摩擦接触部材13a、13bの接着位置に、ロータ16を回転させるような向きに、時計方向(CW方向)若しくは反時計方向(CCW方向)の楕円振動が形成される。
【0042】
尚、残りの一対の駆動用交差指電極(面11aの下側交差指電極と面11bの下側の交差指電極)についても同様であるので、説明は省略する。振動子の摩擦接触部材の位置に楕円振動が発生していると、押圧されているロータはその楕円振動の回転の向きに従って、時計方向(CW方向)若しくは反時計方向(CCW方向)の向きに回転動作が行われることになる。
【0043】
次に、振動検出用交差指電極の動作について説明する。
【0044】
図4に於けるγ方向の面11cとδ方向の面11dにも、上述した面11aと面11bと同様な交差指電極331 ,332 、341 ,342 が設けられている。
【0045】
ここで、縦1次振動やねじれ2次振動が発生すると、圧電効果により交差指電極の面には電荷が発生する。その電荷は、C相(C+,C−間)の電圧若しくはD相(D+,D−間)の電圧となって観測される。
【0046】
上記駆動用交差指電極での動作では、上述したように、逆圧電効果により駆動電圧により力が発生していたのであるが、それとは全く逆に、機械的歪により電荷若しくは電圧が発生する。よって、縦1次振動のみが発生している場合は、C相とD相を並列順接続(C+相の電極導出部331 aとD+相の電極導出部341 aを結線、C−相の電極導出部332 aとD−相の電極導出部342 aを結線:並列順接続相と定義する)して、その間に発生している電圧は縦1次振動の大きさ、位相に比例した信号が得られる。
【0047】
しかしながら、C相とD相を並列逆接続(C+相の電極導出部331 aとD−相の電極導出部342 aを結線、C−相の電極導出部332 aとD+相の電極導出部341 aを結線:並列逆接続相と定義する)した場合は、信号は出力されない。一方、ねじれ2次振動のみが発生している場合は、C相とD相を並列逆接続して、その間に発生している電圧はねじれ2次振動の大きさ、位相に比例した信号が得られる。しかし、C相とD相を並列順接続した場合は信号は出力されない。
【0048】
よって、C相とD相の結線を選択することにより、縦1次振動若しくはねじれ2次振動を独立に検出することが可能である。
【0049】
このような振動検出相(C相、D相)を用いてモータを駆動する方法について、以下に説明する。
【0050】
駆動相であるA相若しくはB相の信号の位相と、振動検出相(例えばC相とD相を並列逆接続したもの)の位相との位相差は、ねじれ2次振動の共振周波数動作時に、所定の値Ωをとることが知られている。したがって、この場合には、駆動相と検出相の位相差を常にΩになるように周波数を調整して駆動することで、モータ自身の発熱による温度上昇や周囲環境温度の変化による共振周波数変化や負荷変動による共振周波数変化があった場合でも、常にねじれ2次の共振周波数近傍で駆動することができる。それ故、常に最適な周波数で効率よく駆動することができる。これは、縦1次共振周波数近傍で駆動する場合も同様の考え方で可能である。
【0051】
このように、第1の実施形態によれば、圧電素子単体で振動子を構成することができ、形状も直方体と言う単純な形状のモータとなる。また、従来の縦・ねじれモータでは、ねじれ振動の周波数調整を行うための溝部が必須であったが、本実施形態ではそれが必要なくなる。更に、振動検出用電極も設けられているので、常に最適な周波数での駆動が可能である。
【0052】
(第1の変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第1の変形例について説明する。
【0053】
図7(a)〜(d)は、本第1の実施形態の第1の変形例に於ける圧電素子11(図4参照)をα方向、β方向、γ方向、δ方向から、それぞれ見た図である。
【0054】
この第1の変形例では、面11aに駆動相のA相(A+相の交差指電極411 aとA−相の交差指電極412 a)と、駆動相のB相(B+相の交差指電極421 aとB−相の交差指電極422 a)を設け、面11bに振動検出相のC相(C+相の交差指電極431 aとC−相の交差指電極432 a)と検出相のD相(D+相の交差指電極441 aとD−相の交差指電極442 a)を設けた例が示されている。この場合、面11cと面11dには、交差指電極は設けられない。その他の構成と動作は、上述した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0055】
この第1の変形例によれば、面11cと面11dに電極を設けないで良いので、構成が簡単になるという効果がある。尚、面11aに駆動相A相と振動検出相C相を設け、面11bに駆動相B相と振動検出相D相を設けるようにしてもよい。
【0056】
(第2の変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第2の変形例を説明する。
【0057】
図8は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例による超音波モータの外観斜視図である。
【0058】
この第2の変形例は、上述した第1の実施形態の超音波モータに、更に底面側にもロータを設けた例である。摩擦接触部材13a、13b、13c、13d、第1、第2のロータ16a、16b、ベアリング17a、17b、ばね18a、18b、ばね保持リング19a、19b、等の構成や駆動方法は、上述した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0059】
本第2の変形例によれば、ロータの回転は2箇所から取り出せるという効果がある。
【0060】
また、この第2の変形例に於いて、シャフトの軸に直交する圧電素子の断面の大きさが同一でない場合、例えば、直方体状の圧電素子のa/bの値が同じで第1のロータ16a側と第2のロータ16b側とで圧電素子の断面の大きさが異なる場合は、第1のロータ16aと第2のロータ16bから2つの異なる出力を取り出すことが可能となる。
【0061】
(第3の変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第3の変形例について説明する。
【0062】
上述した第1の実施形態では、圧電素子(振動子)の形状を略直方体として説明したが、これに限られるものではない。例えば、図9に示されるように、中心軸に垂直な断面が矩形状の長さ比率を有する形状の振動子でも同様のことが言える。
【0063】
図9は、本発明の第1の実施形態の第3の変形例による超音波モータを示すもので、(a)はシャフトに直交する圧電素子47の断面が楕円形状の例を示した図、(b)はシャフトに直交する圧電素子48の断面が菱形形状の例を示した図である。また、図9(a)及び(b)に於いて、その外径に接する仮想的な矩形は破線で示されており、図中a、bは仮想矩形の寸法を表している。
【0064】
これらの寸法a、bを適宜調整することで、縦1次振動共振周波数とねじれ2次共振周波数を、ほぼ致させることが可能であり、上述した第1の実施形態と同様な構成、駆動方法で超音波モータを駆動させることができる。
【0065】
尚、上述した第1の実施形態では、振動子を圧電素子単体構造として説明したが、交差指電極の片側を第1層、他の片側を第2層として、それらを交互に積層した積層圧電素子としても、全く同様の駆動原理にて超音波モータを動作させることができる。また、弾性体と圧電素子を接着した構造、または弾性体と積層圧電素子を接着した構造としても、交差指電極の構成を、本第1の実施形態と同様にすることで、同様に超音波モータとして動作させることが可能である。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0067】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る超音波モータを示す外観斜視図である。図11は、摩擦接触部材を接着した状態の振動子を示したもので、(a)は外観斜視図、(b)は平面図である。また、図12は圧電素子51を上面から見た平面図、図13(a)、(b)及び図14(a)、(b)は、図11の圧電素子51をα方向、β方向から、それぞれ見た図である。
【0068】
尚、この第2の実施形態に於いては、超音波モータの基本的な構成及び動作については上述した第1の実施形態と同じであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0069】
本第2の実施形態に於ける超音波モータ50の形状は、上述した第1の実施形態と同様に直方体形状であり、そのa/bの値は0.2〜0.4、好ましくは0.3程度としてある。このような比率とすることで、図3に示されるように、縦1次振動とねじれ3次振動の共振周波数がほぼ一致する。
【0070】
超音波モータ50は、単体で振動子を構成して貫通穴52を有する圧電素子51と、摩擦接触部材53a、53bと、シャフト15と、ロータ16と、ベアリング17と、ばね18と、ばね保持リング19と、を有して構成される。上記摩擦接触部材53a、53bは、PPS材料から成るもので、ロータ16の曲率と同じ曲率を有する円弧状に形成されており、ロータ16の外周よりも内側になる位置に設けられている。
【0071】
そして、本第2の実施形態では、図12の矢印α方向より見た圧電素子51の面51aと、同β方向より見た面51bに交差指電極が設けられているが、同γ方向より見た面51c、同δ方向より見た面51dには交差指電極は設けられていない。
【0072】
先ず、図13(a)を参照して、面51aの交差指電極について説明する。
【0073】
図2(e)によると、ねじれ3次振動は節が3箇所にあるが、それらを上部、中央部、下部と区別する。尚、中央部の節は圧電素子51の幾何学的な中央部と一致する。また、図2(c)に示される縦1次振動の節は中央部の1箇所にあり、よって、縦1次振動の節位置とねじれ3次振動の中央部の節位置とは、幾何学的に一致している。
【0074】
面51aの上部交差指電極と中央部交差指電極(交差指電極551 、552 、561 、562 )は電気的に並列に連結されており、駆動相A相(A+,A−)として機能する。また、下部交差指電極(交差指電極交差指電極571 、572 、581 、582 )は振動検出相C相(C+,C−)として機能する。上記交差指電極の角度は、図14(a)に示されるように、上部交差指電極をθ(0<φ<π/2)とすると、中央部交差指電極はπ−θ、下部交差指電極はφ(0<φ<π/2)とする。尚、φの値は、θと同じでも異なっていてもよい。
【0075】
次に、図13(b)を参照して、面51bの交差指電極について説明する。
【0076】
上述したのと同様に、上部、中央部、下部に交差指電極が設けられている。また、上部と中央部は電気的に並列に接続されていて駆動相B相(B+,B−)として機能する。下部の交差指電極は振動検出相D相(D+,D−)として機能する。
【0077】
上部交差指電極の角度は、図14(b)に示されるように、(π−θ)、中央部交差指電極の角度はθ、下部交差指電極の角度は(π−φ)に設定される。
【0078】
このような振動子を用いてモータとして構成したものが、図10に示される。この超音波モータ50の構成内容は、上述した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0079】
このように構成された超音波モータの動作について説明する。
【0080】
振動子、モータを駆動相により駆動する方法、及び振動検出相から振動を検出して最適な駆動周波数でモータを駆動する方法とも、上述した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0081】
このように、第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果を有しているうえ、更に振動子をより薄く構成することができる。
【0082】
また、第2の実施形態の変形例としては、上述した第1の実施形態の第1乃至第3の変形例が同様に考えられる。
【0083】
更に、振動検出用の交差指電極は、駆動用交差指電極と同一の面ではなく、例えば面51c、面51dに設けたものであってもよい。
【0084】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0085】
上述した第1及び第2の実施形態は圧電素子内に貫通穴を形成し、シャフトを挿通していたが、この第3の実施形態は圧電素子に貫通穴を設けずに構成している。
【0086】
図15は、本発明の第3の実施形態による超音波モータを示す外観斜視図である。図16は摩擦接触部材を接着した状態の振動子を示したもので、(a)は外観斜視図、(b)は平面図である。また、図17は圧電素子61を上面から見た平面図、図18(a)及び(b)は、図17の圧電素子61をα方向及びβ方向から、それぞれ見た図である。
【0087】
尚、この第3の実施形態に於いては、超音波モータの基本的な構成及び動作については上述した第2の実施形態と同じであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0088】
また、本第3の実施形態に於ける超音波モータ60の圧電素子61の形状は、上述した第2の実施形態と同様に直方体形状であり、そのa/bの値は0.2〜0.4、好ましくは0.3程度としている。このような比率とすることで、図3に示されるように、縦1次振動とねじれ3次振動の共振周波数がほぼ一致する。
【0089】
この超音波モータ60は、単体で振動子を構成する圧電素子61と、摩擦接触部材62a及び62bと、ロータ16と、ベアリング17と、ばね18と、ばね保持リング19と、振動子保持部材64と、シャフト固定リング65と、シャフト66と、から構成されている。
【0090】
上記振動子保持部材64は、圧電素子(振動子)61のほぼ中央部に接着して設けられている。この中央部とは、圧電素子61の縦1次振動の節部とねじれ3次振動の中央の節部と幾何学的にほぼ一致している。この振動子保持部材64はアルマイト処理が施されたアルミ材料、若しくは絶縁処理が施された金属材料から成るものであって、一体として形成されている。振動子保持部材64の下部は、圧電素子61をその側面側より挟み込むように、コの字形状をなしており、上面は中央に貫通穴が形成された平板状となっている。この貫通穴から、一部にねじ山を有するシャフト66が挿入される。
【0091】
このシャフト66は、シャフト固定リング65により、振動子保持部材64の上面で固定される。シャフト66は、上述したように、ベアリング17、ばね保持リング19、シャフト固定リング65内に挿入される。ベアリング17の外周には、ロータ16が回転自在に固定される。また、ばね保持リング19とベアリング17の間には、ばね18が挿入されており、ロータ16と圧電素子61間に適切な押圧カが働くように、ばね保持リング19を回転させて調整している。この調整後は、ばね保持リング19は接着剤を用いてシャフト66に固定される。
【0092】
次に、このように構成された超音波モータ60の動作を説明する。
【0093】
この第3の実施形態に於いて、振動子、超音波モータを駆動相によりの駆動する方法、及び振動検出から振動を検出して最適な駆動周波数でモータを駆動する方法とも、上述した第1及び第2の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0094】
本発明の第3の実施形態によれば、上述した第2の実施形態と同様な効果を有しているが、更に、以下のような効果を有している。すなわち、縦1次振動の節部とねじれ3次振動の中央の節部は幾何学的にほぼ一致している。よって、振動子を振動子保持部材64で該共通の節部近傍を保持しても、振動子の振動が妨げられることはほとんどなく、また振動子の振動はほとんど振動子保持部材64に伝播することはない。
【0095】
したがって、振動子保持部材64の上面を用いて、シャフトやロータやばね等を配設することができる。こうすることにより、圧電素子の長手方向の中央部に貫通穴を形成したり、その貫通穴内部でシャフトを固定する工程が不要となるので、工程が単純化される。
【0096】
また、本第3の実施形態の変形例としては、上述した第1の実施形態の変形例が同様に適用可能である。
【0097】
尚、この第3の実施形態に於いては、振動子保持部材64の圧電素子61を挟み込む位置は、縦1次振動の節部とねじれ3次振動の中央の節部とは幾何学的にほぼ一致した位置としている。しかしながら、多少のロスがあってもよいとするならば、例えば、直方体状の圧電素子のa/bの値を0.5〜0.7、好ましくは0.6程度とすると共に、振動子として第1の実施形態のものを用いるようにし、振動子保持部材64の挟み込み位置を、第1の実施形態に於ける圧電素子11のねじれ2次振動の節部の位置若しくは縦1次振動の節部の位置に設けるようにしてもよい。
【0098】
また、上述した実施形態では、圧電素子の側面部に設けられている電極を交差指電極として説明したが、これに限られるものではない。
【0099】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0100】
更に、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る超音波モータを示すもので、(a)は外観斜視図、(b)は断面図、(c)は摩擦接触部材を接着した状態の振動子の外観斜視図、(d)は振動子の外観斜視図、(e)は振動子表面に形成された交差指電極の配置例を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の超音波モータ10に使用される圧電素子11の固有周波数の一致に関して説明するための図である。
【図3】図2の圧電素子11の辺cを一定として、横軸を短辺の長さ/長辺の長さ(a/b)とした時の各モードの共振周波数を表した図である。
【図4】超音波モータ10の振動子である圧電素子11の側表面に設けられている交差指電極の詳細について説明するもので、圧電素子11を上面から見た平面図である。
【図5】超音波モータ10の振動子である圧電素子11の側表面に設けられている交差指電極の詳細について説明するもので、図4の圧電素子11をα方向、β方向、γ方向、δ方向から、それぞれ見た図である。
【図6】超音波モータ10の振動子である圧電素子11の側表面に設けられている交差指電極の詳細について説明するもので、図4の圧電素子11をα方向、β方向、γ方向、δ方向から、それぞれ見た図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の第1の変形例に於ける圧電素子11をα方向、β方向、γ方向、δ方向から、それぞれ見た図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の第2の変形例による超音波モータの外観斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の第3の変形例による超音波モータを示すもので、(a)はシャフトに直交する圧電素子47の断面が楕円形状の例を示した図、(b)はシャフトに直交する圧電素子48の断面が菱形形状の例を示した図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る超音波モータを示す外観斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る超音波モータの摩擦接触部材を接着した状態の振動子を示したもので、(a)は外観斜視図、(b)は平面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る超音波モータを示すもので、圧電素子51を上面から見た平面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る超音波モータを示すもので、図11の圧電素子51をα方向、β方向から、それぞれ見た図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る超音波モータを示すもので、図11の圧電素子51をα方向、β方向から、それぞれ見た図である。
【図15】本発明の第3の実施形態による超音波モータを示す外観斜視図である。
【図16】本発明の第3の実施形態による超音波モータの摩擦接触部材を接着した状態の振動子を示したもので、(a)は外観斜視図、(b)は平面図である。
【図17】本発明の第3の実施形態による超音波モータを示すもので、圧電素子61を上面から見た平面図である。
【図18】本発明の第3の実施形態による超音波モータを示すもので、図17の圧電素子61をα方向及びβ方向から、それぞれ見た図である。
【符号の説明】
【0102】
10、50、60…超音波モータ、11圧電素子(振動子)、11a、11b、11c、11d…面、12…貫通穴、13a、13b…摩擦接触部材、15…シャフト、16…ロータ、17…ベアリング、18…ばね、19…ばね保持リング、21…中央部、22…接着剤、25a、25b、311 ,312 、321 ,322 、331 ,332 、341 ,342 …交差指電極、26a、26b、311 ,312 、321 ,322 、331 ,332 、341 ,342…電極導出部、27…節部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動を駆動力源として被駆動体を駆動する超音波モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、振動子の縦振動とねじれ振動を合成して楕円振動を発生させ、ロータを回転させる超音波モータが提案されている。そして、下記特許文献1の図1には、振動子の分解斜視図が描かれており、振動子軸方向に対し斜めにカッティングされた弾性体の間に複数枚の圧電素子が挿入された構成となっている。また、該圧電素子の正電極は2分割されており、ここでは、それぞれA相、B相と称するものとする。
【0003】
ここで、A相とB相に同位相の交番電圧を印加することで、棒状振動子に縦振動を発生させることができる。また、A相とB相に逆位相の交番電圧を印加することで、棒状振動子にねじれ振動を発生させることができる。尚、振動子の溝位置を調整して縦振動の共振周波数と、ねじれ振動の共振周波数を、ほぼ一致するようにしておく。そして、A相とB相にπ/2位相の異なる交番電圧を印加すると、縦振動とねじれ振動が同時に発生し、棒状弾性体上面に楕円振動を発生させることができる。棒状弾性体上面にロータを押圧することにより、ロータを時計方向(CW方向)若しくは反時計方向(CCW方向)に回転させることができる。
【特許文献1】特開平9−117168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された超音波モータは、その図1に示されるように、圧電素子と弾性体が必要になる、弾性体を斜めにカットしなければならない、縦振動とねじれ振動の周波数を合わせるために弾性体の一部に溝部を設けなければならない、等の課題があった。それ故、全体として振動子の構成が非常に複雑となるという課題を有していた。
【0005】
したがって本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、単一の部材からなり、構造が単純であり、溝部等が不要であり、縦振動とねじれ振動を容易に励起することができ、該縦振動と該ねじれ振動を合成することにより楕円振動を形成し、該楕円振動によりロータを回転させる超音波モータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、中心軸に垂直な断面が矩形状の長さ比率を有する振動子と、該振動子の楕円振動発生面に接して該振動子の該楕円振動発生面と直交する中心軸を回転軸として回転駆動されるロータと、を少なくとも備えた超音波モータであって、上記振動子の上記回転軸方向に伸縮する縦1次共振振動と、上記回転軸をねじれ軸とするねじれ2次共振振動とを合成することにより、上記楕円振動を形成してなることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、中心軸に垂直な断面が矩形状の長さ比率を有する振動子と、該振動子の楕円振動発生面に接して該振動子の該楕円振動発生面と直交する中心軸を回転軸として回転駆動されるロータと、を少なくとも備えた超音波モータであって、上記振動子の上記回転軸方向に伸縮する縦1次共振振動と、上記回転軸をねじれ軸とするねじれ3次共振振動とを合成することにより、上記楕円振動を形成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、単一の部材から成り、構造が単純であり、溝部等が不要であり、且つ、縦振動とねじれ振動を容易に励起することができる超音波振動子を提供することができ、該縦振動と該ねじれ振動を合成することにより楕円振動を形成し、該楕円振動によりロータを回転させる超音波モータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0011】
図1は本発明の第1の実施形態に係る超音波モータを示すもので、(a)は外観斜視図、(b)は断面図、(c)は摩擦接触部材を接着した状態の振動子の外観斜視図、(d)は振動子の外観斜視図、(e)は振動子表面に形成された交差指電極の配置例を示した図である。
【0012】
図1(a)及び(b)に示されるように、この超音波モータ10は、圧電素子11と、該圧電素子11の長手方向と直交する面に接着された摩擦接触部材13a及び13bと、上記圧電素子11の長手方向に形成された後述する貫通穴12に挿通されるシャフト15と、上記摩擦接触部材13a及び13bと接触して駆動されるロータ16、ベアリング17、ばね18、ばね保持リング19とから構成される。
【0013】
尚、本第1の実施形態を含む以下の全ての実施形態に於いて、振動子は圧電素子単体から構成されている。
【0014】
図1(c)及び(d)に示されるように、圧電素子11は略直方体形状をなしており、そのQ値は1000以上のハード系のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電素子から構成されている。また、圧電素子11の4つの側面には、それぞれ交差指電極25が設けられている。ここで、交差指電極とは、例えば、図1(e)に示されるように、+相の電極25aと−相の電極25bとが、交互に組み合わされて配置されているような電極を指すものとする。そして、交差指電極25は、その側面内でできるだけ大きな面積となるようにするため、実際には、図1(e)に示されるように、その側面部の一面に形成されているが、図面の簡単化のため、図1(e)以外の図面では省略して示されている。また、+相の電極25aと−相の電極25bの先端は、それぞれ電極導出部26a、26bが形成されている。尚、これらの交差指電極25の詳細については後述する。
【0015】
上記圧電素子11の長手方向(図の上下方向)の中央部には、シャフト15を挿通させるための貫通穴12が設けられている。図1(b)に示されるように、シャフト15はほぼ円柱形状で、圧電素子(振動子)11の貫通穴12のほぼ中央部21で接着剤22を用いて固定されている。上記シャフト15は、中央部21のみが、他の部分比べて僅かに径が大きく形成されている。そして、このシャフト15は、圧電素子11の貫通穴12の中央部でのみ、圧電素子11と接触固定されており、その他のシャフト部位は貫通穴12内部の壁面とは接触していない。
【0016】
圧電素子11の一方の端面(ロータ16が配される側の面)には、摩擦接触部材13a及び13bが接着されている。これらの摩擦接触部材13a及び13bは直方体形状に構成されるもので、圧電素子11の一方の端面で、且つ楕円振動が発生している2箇所の部位に、それぞれ接着されている。これら摩擦接触部材13a及び13bの材質は、PPS等のエンジニアリングプラスチックから成る。
【0017】
ロータ16は、アルミナセラミクスから構成されるもので、その中央部にはベアリング17が嵌め込まれている。したがって、ロータ16は、振動子の摩擦接触部材13a、13bに対し押圧力がかかった状態で載置されている。ばね18は、ばね保持リング19を回転していくことにより圧縮され、これにより、ロータ16と圧電素子11の摩擦接触部材13a、13b間に適切な押圧がかかるようになっている。尚、ばね18は、ベアリング17の内側にのみ接触する構造となっている。
【0018】
また、図示されないが、シャフト15の一部にはねじが形成されており、同じくねじが形成されているばね保持リング19と螺合して結合されている。
【0019】
次に、図2及び図3を参照して、本実施形態の超音波モータ10に使用される圧電素子11の固有周波数の一致に関して説明する。
【0020】
図2(a)に示されるように、圧電素子11の形状を直方体形状で、それぞれの辺a、b、cの各寸法を適切な値とすることで、縦1次振動モードの共振周波数とねじれ2次振動モード、若しくはねじれ3次振動モードの、共振周波数をほぼ一致させるようにしている。
【0021】
図2(b)はねじれ1次振動モード、図2(c)は縦1次振動モード、図2(d)はねじれ2次振動モード、図2(e)はねじれ3次振動モードの振動状態を概略的に示した図である。この場合、図2(b)〜(e)に於いて、図示p1 ,p2 はねじれ振動の方向を、図示qは縦振動の方向を表している。また、実線が振動前の圧電素子11の形状を示しており、破線が振動後の圧電素子11の形状を示している。尚、図中、27は振動子(圧電素子)の振動の節に相当する位置である。
【0022】
ここで、直方体の各辺a、b、cを定義する。いま、辺cの方向を、縦1次振動モードの振動の方向、且つ、ねじれ振動のねじれの軸方向とする。また、辺cと直交する方向を辺aの方向、辺bの方向とする。ここで、a<b<c、またaを短辺と称し、bを長辺と称するものとして、以下に説明する。
【0023】
図3は、辺cを一定として、横軸を短辺の長さ/長辺の長さ(a/b)とした時の各モードの共振周波数を表した図である。同図からわかるように、a/bを変化させた場合には、縦1次振動モードの共振周波数はa/bに依存せず、ほぼ一定の値をとる。しかしながら、ねじれ振動の共振周波数は、a/b値が1に近付けば近付くほど単調に大きくなっていく。ねじれ1次振動モードの共振周波数は、a/bがどのような値をとっても、縦1次振動モードの共振周波数と一致する条件はない。
【0024】
しかしながら、ねじれ2次振動モードの共振周波数は、a/b値が0.6近傍の時に一致することが明らかである。また、ねじれ3次振動モードの共振周波数は、a/b値が0.3近傍の時に一致することが明らかである。したがって、本実施形態では、圧電素子11の各寸法を、a/bが0.5〜0.7、好ましくはほぼ0.6となるように設定する。
【0025】
次に、本超音波モータ10の振動子である圧電素子11の側表面に設けられている交差指電極の詳細について、図4乃至図6を参照して、説明する。
【0026】
直方体形状の圧電素子11の辺cと平行な4つの側面に交差指電極が設けられている。図4は圧電素子11を上面から見た平面図、図5(a)〜(d)及び図6(a)〜(d)は、図4の圧電素子11をα方向、β方向、γ方向、δ方向から、それぞれ見た図である。
【0027】
この場合、駆動用交差指電極311 ,312 がα方向の面11aに、駆動用交差指電極321 ,322 がβ方向の面11bに、振動検出用交差指電極が331 ,332 がγ方向の面11cに、そして、振動検出用交差指電極が341 ,342 がδ方向の面11dに、それぞれ設けられている。
【0028】
面11aには、図5(a)に示されるように、2箇所に交差指電極311 ,312 が設けられ、これらは電気的に並列接続されている。交差指電極の設けられている位置は、図2(d)に示されるように、ねじれ2次振動の節近傍である。交差指電極の傾きをその電極同士が交差する方向と定義し、図6(a)に示されるように、θ(0<θ<π/2)、下側の交差指電極はπ−θの角度を有している。その理由は、下側の節近傍では、上側の節近傍のねじれ方向とは逆の方向にねじれているからである。
【0029】
交差指電極は、数μm厚程度の銀電極を、図示の如く圧電素子11の表面に印刷・焼成して製作される。その後、高電圧が印加されて分極処理が行われ、圧電的に活性化される。尚、交差指電極311 ,312 の下方には、電極導出部311 a,312 aが設けられている。更に、図5及び図6では、交差指電極は1ケ所について二対の例を示しているが、交差指電極の幅を細くすることで、図1(e)に示されるように、対数を適宜多くしてもよい。
【0030】
また、図5(b)に示されるように、面11aと対向する面11bにも、同様な位置に同様な理由によって交差指電極321 ,322 、更に電極導出部321 a,322 aが設けられている。そして、図6(b)に示されるように、上側の交差指電極は傾きがπ−θ、下側の交差指電極は傾きがθとなるように構成されている。この理由も上述した通りである。
【0031】
次に、他の2つの側面に設けられている振動検出用交差指電極の構成について説明する。
【0032】
図5(c)に示されるように、2箇所に交差指電極331 ,332 、が設けられ、それらは電気的には並列接続されている。交差指電極331 ,332 の下方には、電極導出部331 a,332 aが設けられている。上記交差指電極331 ,332 の設けられている位置は、図2(d)に示されるように、ねじれ2次振動の節近傍である。
【0033】
図6(c)に示されるように、上側の交差指電極はφ(0<φ<π/2)、下側の交差指電極はπ−φの角度を有している。すなわち、下側の節近傍では上側の節近傍のねじれ方向とは逆の方向にねじれているからであり、図2(d)によってそれは了解される。
【0034】
また、図5(d)に示されるように、面11cと対向する面11dにも、同様な位置に同様な理由によって交差指電極341 ,342 、更に電極導出部341 a,342 aが、設けられている。この場合、上側の交差指電極は傾きがπ−φ、下側の交差指電極は傾きがφとなるように構成されている。
【0035】
次に、このように構成された圧電素子11の動作について説明する。
【0036】
最初に、駆動用交差指電極を用いた圧電素子の動作について説明する。
【0037】
先ず、図5(a)に示されるA相(A+相、A−相)の電極導出部311 a,312 aに、縦1次振動、若しくはねじれ2次振動の共振周波数に対応した交番電圧が印加されたとする。図5(a)には、その際に逆圧電効果により上側の交差指電極に発生する力が、ベクトルで表示されている。図5(a)に表されているFなる力は交番力であり、その力をベクトル分解すると、F1とF2となる。F1なるカは図からも明らかなように、縦振動を励起させる力となる。また、F2は、図から明らかなように、ねじれ2次振動を発生させる力となる。
【0038】
次に、図5(b)に示されるB相(B+相、B−相)の電極導出部321 a,322 aにも、同じ周波数の交番電圧が印加された場合を考える。図5(b)には、その際に上側の交差指電極に発生する力が、ベクトルで表示される。図5(b)に示される力F′は交番力であり、その力をベクトル分解すると、F1′とF2′となる。力F1′は、図からも明らかなように、縦振動を励起させる力となる。また、力F2′は、図から明らかなように、ねじれ2次振動を発生させるカとなる。
【0039】
次に、上記下A相、B相に、同時に同位相の周波数の交番電圧が印加された場合に付いて考える。面11aと面11bの上部に、交差指電極により発生する力のみを考えた場合、図5及び図6を見て考えると、力F2と力F2′は、互いにキャンセルし合い、ねじれ2次振動は発生せずに、縦1次振動のみ発生することになる。
【0040】
次に、上記A相、B相に同時に逆位相(位相差π)の上記周波数の交番電圧が印加されたとする。同様に面11aと面11bの上部に交差指電極により発生する力のみを考えた場合、図5(a)及び(b)を見て考えると、力F1とF1′は、互いにキャンセルし合い、縦1次振動は発生せず、ねじれ2次振動のみ発生することになる。
【0041】
次に、A相、B相に同時に、位相が0とπの中間の位相差を与えた場合について考える。この場合には、縦1次振動とねじれ2次振動が同時に起こり、それらの振動が合成された振動となる。この場合は、図1(c)にも示されるように、振動子の摩擦接触部材13a、13bの接着位置に、ロータ16を回転させるような向きに、時計方向(CW方向)若しくは反時計方向(CCW方向)の楕円振動が形成される。
【0042】
尚、残りの一対の駆動用交差指電極(面11aの下側交差指電極と面11bの下側の交差指電極)についても同様であるので、説明は省略する。振動子の摩擦接触部材の位置に楕円振動が発生していると、押圧されているロータはその楕円振動の回転の向きに従って、時計方向(CW方向)若しくは反時計方向(CCW方向)の向きに回転動作が行われることになる。
【0043】
次に、振動検出用交差指電極の動作について説明する。
【0044】
図4に於けるγ方向の面11cとδ方向の面11dにも、上述した面11aと面11bと同様な交差指電極331 ,332 、341 ,342 が設けられている。
【0045】
ここで、縦1次振動やねじれ2次振動が発生すると、圧電効果により交差指電極の面には電荷が発生する。その電荷は、C相(C+,C−間)の電圧若しくはD相(D+,D−間)の電圧となって観測される。
【0046】
上記駆動用交差指電極での動作では、上述したように、逆圧電効果により駆動電圧により力が発生していたのであるが、それとは全く逆に、機械的歪により電荷若しくは電圧が発生する。よって、縦1次振動のみが発生している場合は、C相とD相を並列順接続(C+相の電極導出部331 aとD+相の電極導出部341 aを結線、C−相の電極導出部332 aとD−相の電極導出部342 aを結線:並列順接続相と定義する)して、その間に発生している電圧は縦1次振動の大きさ、位相に比例した信号が得られる。
【0047】
しかしながら、C相とD相を並列逆接続(C+相の電極導出部331 aとD−相の電極導出部342 aを結線、C−相の電極導出部332 aとD+相の電極導出部341 aを結線:並列逆接続相と定義する)した場合は、信号は出力されない。一方、ねじれ2次振動のみが発生している場合は、C相とD相を並列逆接続して、その間に発生している電圧はねじれ2次振動の大きさ、位相に比例した信号が得られる。しかし、C相とD相を並列順接続した場合は信号は出力されない。
【0048】
よって、C相とD相の結線を選択することにより、縦1次振動若しくはねじれ2次振動を独立に検出することが可能である。
【0049】
このような振動検出相(C相、D相)を用いてモータを駆動する方法について、以下に説明する。
【0050】
駆動相であるA相若しくはB相の信号の位相と、振動検出相(例えばC相とD相を並列逆接続したもの)の位相との位相差は、ねじれ2次振動の共振周波数動作時に、所定の値Ωをとることが知られている。したがって、この場合には、駆動相と検出相の位相差を常にΩになるように周波数を調整して駆動することで、モータ自身の発熱による温度上昇や周囲環境温度の変化による共振周波数変化や負荷変動による共振周波数変化があった場合でも、常にねじれ2次の共振周波数近傍で駆動することができる。それ故、常に最適な周波数で効率よく駆動することができる。これは、縦1次共振周波数近傍で駆動する場合も同様の考え方で可能である。
【0051】
このように、第1の実施形態によれば、圧電素子単体で振動子を構成することができ、形状も直方体と言う単純な形状のモータとなる。また、従来の縦・ねじれモータでは、ねじれ振動の周波数調整を行うための溝部が必須であったが、本実施形態ではそれが必要なくなる。更に、振動検出用電極も設けられているので、常に最適な周波数での駆動が可能である。
【0052】
(第1の変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第1の変形例について説明する。
【0053】
図7(a)〜(d)は、本第1の実施形態の第1の変形例に於ける圧電素子11(図4参照)をα方向、β方向、γ方向、δ方向から、それぞれ見た図である。
【0054】
この第1の変形例では、面11aに駆動相のA相(A+相の交差指電極411 aとA−相の交差指電極412 a)と、駆動相のB相(B+相の交差指電極421 aとB−相の交差指電極422 a)を設け、面11bに振動検出相のC相(C+相の交差指電極431 aとC−相の交差指電極432 a)と検出相のD相(D+相の交差指電極441 aとD−相の交差指電極442 a)を設けた例が示されている。この場合、面11cと面11dには、交差指電極は設けられない。その他の構成と動作は、上述した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0055】
この第1の変形例によれば、面11cと面11dに電極を設けないで良いので、構成が簡単になるという効果がある。尚、面11aに駆動相A相と振動検出相C相を設け、面11bに駆動相B相と振動検出相D相を設けるようにしてもよい。
【0056】
(第2の変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第2の変形例を説明する。
【0057】
図8は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例による超音波モータの外観斜視図である。
【0058】
この第2の変形例は、上述した第1の実施形態の超音波モータに、更に底面側にもロータを設けた例である。摩擦接触部材13a、13b、13c、13d、第1、第2のロータ16a、16b、ベアリング17a、17b、ばね18a、18b、ばね保持リング19a、19b、等の構成や駆動方法は、上述した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0059】
本第2の変形例によれば、ロータの回転は2箇所から取り出せるという効果がある。
【0060】
また、この第2の変形例に於いて、シャフトの軸に直交する圧電素子の断面の大きさが同一でない場合、例えば、直方体状の圧電素子のa/bの値が同じで第1のロータ16a側と第2のロータ16b側とで圧電素子の断面の大きさが異なる場合は、第1のロータ16aと第2のロータ16bから2つの異なる出力を取り出すことが可能となる。
【0061】
(第3の変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第3の変形例について説明する。
【0062】
上述した第1の実施形態では、圧電素子(振動子)の形状を略直方体として説明したが、これに限られるものではない。例えば、図9に示されるように、中心軸に垂直な断面が矩形状の長さ比率を有する形状の振動子でも同様のことが言える。
【0063】
図9は、本発明の第1の実施形態の第3の変形例による超音波モータを示すもので、(a)はシャフトに直交する圧電素子47の断面が楕円形状の例を示した図、(b)はシャフトに直交する圧電素子48の断面が菱形形状の例を示した図である。また、図9(a)及び(b)に於いて、その外径に接する仮想的な矩形は破線で示されており、図中a、bは仮想矩形の寸法を表している。
【0064】
これらの寸法a、bを適宜調整することで、縦1次振動共振周波数とねじれ2次共振周波数を、ほぼ致させることが可能であり、上述した第1の実施形態と同様な構成、駆動方法で超音波モータを駆動させることができる。
【0065】
尚、上述した第1の実施形態では、振動子を圧電素子単体構造として説明したが、交差指電極の片側を第1層、他の片側を第2層として、それらを交互に積層した積層圧電素子としても、全く同様の駆動原理にて超音波モータを動作させることができる。また、弾性体と圧電素子を接着した構造、または弾性体と積層圧電素子を接着した構造としても、交差指電極の構成を、本第1の実施形態と同様にすることで、同様に超音波モータとして動作させることが可能である。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0067】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る超音波モータを示す外観斜視図である。図11は、摩擦接触部材を接着した状態の振動子を示したもので、(a)は外観斜視図、(b)は平面図である。また、図12は圧電素子51を上面から見た平面図、図13(a)、(b)及び図14(a)、(b)は、図11の圧電素子51をα方向、β方向から、それぞれ見た図である。
【0068】
尚、この第2の実施形態に於いては、超音波モータの基本的な構成及び動作については上述した第1の実施形態と同じであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0069】
本第2の実施形態に於ける超音波モータ50の形状は、上述した第1の実施形態と同様に直方体形状であり、そのa/bの値は0.2〜0.4、好ましくは0.3程度としてある。このような比率とすることで、図3に示されるように、縦1次振動とねじれ3次振動の共振周波数がほぼ一致する。
【0070】
超音波モータ50は、単体で振動子を構成して貫通穴52を有する圧電素子51と、摩擦接触部材53a、53bと、シャフト15と、ロータ16と、ベアリング17と、ばね18と、ばね保持リング19と、を有して構成される。上記摩擦接触部材53a、53bは、PPS材料から成るもので、ロータ16の曲率と同じ曲率を有する円弧状に形成されており、ロータ16の外周よりも内側になる位置に設けられている。
【0071】
そして、本第2の実施形態では、図12の矢印α方向より見た圧電素子51の面51aと、同β方向より見た面51bに交差指電極が設けられているが、同γ方向より見た面51c、同δ方向より見た面51dには交差指電極は設けられていない。
【0072】
先ず、図13(a)を参照して、面51aの交差指電極について説明する。
【0073】
図2(e)によると、ねじれ3次振動は節が3箇所にあるが、それらを上部、中央部、下部と区別する。尚、中央部の節は圧電素子51の幾何学的な中央部と一致する。また、図2(c)に示される縦1次振動の節は中央部の1箇所にあり、よって、縦1次振動の節位置とねじれ3次振動の中央部の節位置とは、幾何学的に一致している。
【0074】
面51aの上部交差指電極と中央部交差指電極(交差指電極551 、552 、561 、562 )は電気的に並列に連結されており、駆動相A相(A+,A−)として機能する。また、下部交差指電極(交差指電極交差指電極571 、572 、581 、582 )は振動検出相C相(C+,C−)として機能する。上記交差指電極の角度は、図14(a)に示されるように、上部交差指電極をθ(0<φ<π/2)とすると、中央部交差指電極はπ−θ、下部交差指電極はφ(0<φ<π/2)とする。尚、φの値は、θと同じでも異なっていてもよい。
【0075】
次に、図13(b)を参照して、面51bの交差指電極について説明する。
【0076】
上述したのと同様に、上部、中央部、下部に交差指電極が設けられている。また、上部と中央部は電気的に並列に接続されていて駆動相B相(B+,B−)として機能する。下部の交差指電極は振動検出相D相(D+,D−)として機能する。
【0077】
上部交差指電極の角度は、図14(b)に示されるように、(π−θ)、中央部交差指電極の角度はθ、下部交差指電極の角度は(π−φ)に設定される。
【0078】
このような振動子を用いてモータとして構成したものが、図10に示される。この超音波モータ50の構成内容は、上述した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0079】
このように構成された超音波モータの動作について説明する。
【0080】
振動子、モータを駆動相により駆動する方法、及び振動検出相から振動を検出して最適な駆動周波数でモータを駆動する方法とも、上述した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0081】
このように、第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果を有しているうえ、更に振動子をより薄く構成することができる。
【0082】
また、第2の実施形態の変形例としては、上述した第1の実施形態の第1乃至第3の変形例が同様に考えられる。
【0083】
更に、振動検出用の交差指電極は、駆動用交差指電極と同一の面ではなく、例えば面51c、面51dに設けたものであってもよい。
【0084】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0085】
上述した第1及び第2の実施形態は圧電素子内に貫通穴を形成し、シャフトを挿通していたが、この第3の実施形態は圧電素子に貫通穴を設けずに構成している。
【0086】
図15は、本発明の第3の実施形態による超音波モータを示す外観斜視図である。図16は摩擦接触部材を接着した状態の振動子を示したもので、(a)は外観斜視図、(b)は平面図である。また、図17は圧電素子61を上面から見た平面図、図18(a)及び(b)は、図17の圧電素子61をα方向及びβ方向から、それぞれ見た図である。
【0087】
尚、この第3の実施形態に於いては、超音波モータの基本的な構成及び動作については上述した第2の実施形態と同じであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0088】
また、本第3の実施形態に於ける超音波モータ60の圧電素子61の形状は、上述した第2の実施形態と同様に直方体形状であり、そのa/bの値は0.2〜0.4、好ましくは0.3程度としている。このような比率とすることで、図3に示されるように、縦1次振動とねじれ3次振動の共振周波数がほぼ一致する。
【0089】
この超音波モータ60は、単体で振動子を構成する圧電素子61と、摩擦接触部材62a及び62bと、ロータ16と、ベアリング17と、ばね18と、ばね保持リング19と、振動子保持部材64と、シャフト固定リング65と、シャフト66と、から構成されている。
【0090】
上記振動子保持部材64は、圧電素子(振動子)61のほぼ中央部に接着して設けられている。この中央部とは、圧電素子61の縦1次振動の節部とねじれ3次振動の中央の節部と幾何学的にほぼ一致している。この振動子保持部材64はアルマイト処理が施されたアルミ材料、若しくは絶縁処理が施された金属材料から成るものであって、一体として形成されている。振動子保持部材64の下部は、圧電素子61をその側面側より挟み込むように、コの字形状をなしており、上面は中央に貫通穴が形成された平板状となっている。この貫通穴から、一部にねじ山を有するシャフト66が挿入される。
【0091】
このシャフト66は、シャフト固定リング65により、振動子保持部材64の上面で固定される。シャフト66は、上述したように、ベアリング17、ばね保持リング19、シャフト固定リング65内に挿入される。ベアリング17の外周には、ロータ16が回転自在に固定される。また、ばね保持リング19とベアリング17の間には、ばね18が挿入されており、ロータ16と圧電素子61間に適切な押圧カが働くように、ばね保持リング19を回転させて調整している。この調整後は、ばね保持リング19は接着剤を用いてシャフト66に固定される。
【0092】
次に、このように構成された超音波モータ60の動作を説明する。
【0093】
この第3の実施形態に於いて、振動子、超音波モータを駆動相によりの駆動する方法、及び振動検出から振動を検出して最適な駆動周波数でモータを駆動する方法とも、上述した第1及び第2の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0094】
本発明の第3の実施形態によれば、上述した第2の実施形態と同様な効果を有しているが、更に、以下のような効果を有している。すなわち、縦1次振動の節部とねじれ3次振動の中央の節部は幾何学的にほぼ一致している。よって、振動子を振動子保持部材64で該共通の節部近傍を保持しても、振動子の振動が妨げられることはほとんどなく、また振動子の振動はほとんど振動子保持部材64に伝播することはない。
【0095】
したがって、振動子保持部材64の上面を用いて、シャフトやロータやばね等を配設することができる。こうすることにより、圧電素子の長手方向の中央部に貫通穴を形成したり、その貫通穴内部でシャフトを固定する工程が不要となるので、工程が単純化される。
【0096】
また、本第3の実施形態の変形例としては、上述した第1の実施形態の変形例が同様に適用可能である。
【0097】
尚、この第3の実施形態に於いては、振動子保持部材64の圧電素子61を挟み込む位置は、縦1次振動の節部とねじれ3次振動の中央の節部とは幾何学的にほぼ一致した位置としている。しかしながら、多少のロスがあってもよいとするならば、例えば、直方体状の圧電素子のa/bの値を0.5〜0.7、好ましくは0.6程度とすると共に、振動子として第1の実施形態のものを用いるようにし、振動子保持部材64の挟み込み位置を、第1の実施形態に於ける圧電素子11のねじれ2次振動の節部の位置若しくは縦1次振動の節部の位置に設けるようにしてもよい。
【0098】
また、上述した実施形態では、圧電素子の側面部に設けられている電極を交差指電極として説明したが、これに限られるものではない。
【0099】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0100】
更に、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る超音波モータを示すもので、(a)は外観斜視図、(b)は断面図、(c)は摩擦接触部材を接着した状態の振動子の外観斜視図、(d)は振動子の外観斜視図、(e)は振動子表面に形成された交差指電極の配置例を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の超音波モータ10に使用される圧電素子11の固有周波数の一致に関して説明するための図である。
【図3】図2の圧電素子11の辺cを一定として、横軸を短辺の長さ/長辺の長さ(a/b)とした時の各モードの共振周波数を表した図である。
【図4】超音波モータ10の振動子である圧電素子11の側表面に設けられている交差指電極の詳細について説明するもので、圧電素子11を上面から見た平面図である。
【図5】超音波モータ10の振動子である圧電素子11の側表面に設けられている交差指電極の詳細について説明するもので、図4の圧電素子11をα方向、β方向、γ方向、δ方向から、それぞれ見た図である。
【図6】超音波モータ10の振動子である圧電素子11の側表面に設けられている交差指電極の詳細について説明するもので、図4の圧電素子11をα方向、β方向、γ方向、δ方向から、それぞれ見た図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の第1の変形例に於ける圧電素子11をα方向、β方向、γ方向、δ方向から、それぞれ見た図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の第2の変形例による超音波モータの外観斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の第3の変形例による超音波モータを示すもので、(a)はシャフトに直交する圧電素子47の断面が楕円形状の例を示した図、(b)はシャフトに直交する圧電素子48の断面が菱形形状の例を示した図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る超音波モータを示す外観斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る超音波モータの摩擦接触部材を接着した状態の振動子を示したもので、(a)は外観斜視図、(b)は平面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る超音波モータを示すもので、圧電素子51を上面から見た平面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る超音波モータを示すもので、図11の圧電素子51をα方向、β方向から、それぞれ見た図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る超音波モータを示すもので、図11の圧電素子51をα方向、β方向から、それぞれ見た図である。
【図15】本発明の第3の実施形態による超音波モータを示す外観斜視図である。
【図16】本発明の第3の実施形態による超音波モータの摩擦接触部材を接着した状態の振動子を示したもので、(a)は外観斜視図、(b)は平面図である。
【図17】本発明の第3の実施形態による超音波モータを示すもので、圧電素子61を上面から見た平面図である。
【図18】本発明の第3の実施形態による超音波モータを示すもので、図17の圧電素子61をα方向及びβ方向から、それぞれ見た図である。
【符号の説明】
【0102】
10、50、60…超音波モータ、11圧電素子(振動子)、11a、11b、11c、11d…面、12…貫通穴、13a、13b…摩擦接触部材、15…シャフト、16…ロータ、17…ベアリング、18…ばね、19…ばね保持リング、21…中央部、22…接着剤、25a、25b、311 ,312 、321 ,322 、331 ,332 、341 ,342 …交差指電極、26a、26b、311 ,312 、321 ,322 、331 ,332 、341 ,342…電極導出部、27…節部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に垂直な断面が矩形状の長さ比率を有する振動子と、該振動子の楕円振動発生面に接して該振動子の該楕円振動発生面と直交する中心軸を回転軸として回転駆動されるロータと、を少なくとも備えた超音波モータであって、
上記振動子の上記回転軸方向に伸縮する縦1次共振振動と、上記回転軸をねじれ軸とするねじれ2次共振振動とを合成することにより、上記楕円振動を形成してなることを特徴とする超音波モータ。
【請求項2】
上記振動子の上記回転軸方向に伸縮する縦1次共振振動と、上記回転軸をねじれ軸とするねじれ2次共振振動と、の共振周波数がほぼ一致するように、上記振動子の上記矩形状の長さ比率を設定したことを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
【請求項3】
上記振動子の上記矩形状の長さ比率は、該矩形状の長辺に対する短辺を、略0.6とすることを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項4】
上記振動子の上記回転軸方向に直交する断面形状は、略長方形状であることを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。
【請求項5】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面のねじれ振動の少なくとも1つの節位置近傍に第1の駆動用交差指電極が設けられており、該第1の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度θが
0<θ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の駆動用交差指電極が設けられた面と対向する面には第2の駆動用交差指電極が設けられており、該第2の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度τが、
τ=π−θ
をもって配されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の超音波モータ。
【請求項6】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面のねじれ振動の少なくとも1つの節位置近傍に第1の駆動用交差指電極が設けられており、該第1の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度θが
0<θ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の駆動用交差指電極が設けられた面の上記ねじれとは逆方向のねじれ節位置近傍に第2の駆動用交差指電極が設けられており、該第2の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度τが、
τ=θ
をもって配されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の超音波モータ。
【請求項7】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面のねじれ振動の少なくとも1つの節位置近傍に第1の振動検出用交差指電極が設けられており、該第1の振動検出用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度φが
0<φ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の振動検出用交差指電極が設けられた面と対向する面には第2の振動検出用交差指電極が設けられており、該第2の振動検出用交差指電極の長手方向と該回転軸の方向とのなす角度ψが、
ψ=π−φ
をもって配されていることを特徴とする請求項5若しくは6に記載の超音波モータ。
【請求項8】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面のねじれ振動の少なくとも1つの節位置近傍に第1の振動検出用交差指電極が設けられており、該第1の振動検出用交差指電極の長手方向と該回転軸の方向とのなす角度φが
0<φ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の振動検出用交差指電極が設けられた面の上記ねじれとは逆方向のねじれ節位置近傍に第2の振動検出用交差指電極が設けられており、該第2の振動検出用交差指電極の長手方向と該回転軸の方向とのなす角度ψが、
ψ=φ
をもって配されていることを特徴とする請求項5若しくは6に記載の超音波モータ。
【請求項9】
上記駆動用交差指電極が一面につき複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項5若しくは6に記載の超音波モータ。
【請求項10】
上記振動検出用交差指電極が一面につき複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項7若しくは8に記載の超音波モータ。
【請求項11】
上記振動子の上記ねじれ軸方向中央部に設けられた貫通穴と、
該貫通穴の略中央部で固定されたシャフトと、
を更に具備し、
上記ロータは、上記シャフトの周りに回転自在に保持されたことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の超音波モータ。
【請求項12】
中心軸に垂直な断面が矩形状の長さ比率を有する振動子と、該振動子の楕円振動発生面に接して該振動子の該楕円振動発生面と直交する中心軸を回転軸として回転駆動されるロータと、を少なくとも備えた超音波モータであって、
上記振動子の上記回転軸方向に伸縮する縦1次共振振動と、上記回転軸をねじれ軸とするねじれ3次共振振動とを合成することにより、上記楕円振動を形成してなることを特徴とする超音波モータ。
【請求項13】
上記振動子の上記回転軸方向に伸縮する縦1次共振振動と、上記回転軸をねじれ軸とするねじれ3次共振振動と、の共振周波数がほぼ一致するように、上記振動子の上記矩形状の長さ比率を設定したことを特徴とする請求項12に記載の超音波モータ。
【請求項14】
上記振動子の上記矩形状の長さ比率は、該矩形状の長辺に対する短辺を、略0.3とすることを特徴とする請求項13に記載の超音波モータ。
【請求項15】
上記振動子の上記回転軸方向に直交する断面形状は、略長方形状であることを特徴とする請求項14に記載の超音波モータ。
【請求項16】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面のねじれ振動の少なくとも1つの節位置近傍に第1の駆動用交差指電極が設けられており、該第1の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度θが
0<θ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の駆動用交差指電極が設けられた面と対向する面には第2の駆動用交差指電極が設けられており、該第2の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度τが、
τ=π−θ
をもって配されていることを特徴とする請求項12乃至15の何れか1項に記載の超音波モータ。
【請求項17】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面のねじれ振動の少なくとも1つの節位置近傍に第1の駆動用交差指電極が設けられており、該第1の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度θが
0<θ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の駆動用交差指電極が設けられた面の上記ねじれとは逆方向のねじれ節位置近傍に第2の駆動用交差指電極が設けられており、該第2の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度τが、
τ=θ
をもって配されていることを特徴とする請求項12乃至15の何れか1項に記載の超音波モータ。
【請求項18】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面の少なくとも1つの節位置近傍に第1の振動検出用交差指電極が設けられており、該第1の振動検出用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度φが
0<φ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の振動検出用交差指電極が設けられた面と対向する面には第2の振動検出用交差指電極が設けられており、該第2の振動検出用交差指電極の長手方向と該回転軸の方向とのなす角度ψが、
ψ=π−φ
をもって配されていることを特徴とする請求項16若しくは17に記載の超音波モータ。
【請求項19】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面の少なくとも1つの節位置近傍に第1の振動検出用交差指電極が設けられており、該第1の振動検出用交差指電極の長手方向と該回転軸の方向とのなす角度φが
0<φ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の振動検出用交差指電極が設けられた面の上記ねじれとは逆方向のねじれ節位置近傍に第2の振動検出用交差指電極が設けられており、該第2の振動検出用交差指電極の長手方向と該回転軸の方向とのなす角度ψが、
ψ=φ
をもって配されていることを特徴とする請求項16若しくは17に記載の超音波モータ。
【請求項20】
上記駆動用交差指電極が一面につき複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項16若しくは17に記載の超音波モータ。
【請求項21】
上記振動検出用交差指電極が一面につき複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項18若しくは19に記載の超音波モータ。
【請求項22】
上記振動子の上記ねじれ軸方向中央部に設けられた貫通穴と、
該貫通穴の略中央部で固定されたシャフトと、
を更に具備し、
上記ロータは、上記シャフトの周りに回転自在に保持されたことを特徴とする請求項12乃至21の何れか1項に記載の超音波モータ。
【請求項23】
上記振動子の縦振動及びねじれ振動の共通の節位置近傍で固定された振動子保持部材を更に具備し、
上記ロータは、上記振動子保持部材に対し回転自在に保持されたことを特徴とする請求項12乃至21の何れか1項に記載の超音波モータ。
【請求項1】
中心軸に垂直な断面が矩形状の長さ比率を有する振動子と、該振動子の楕円振動発生面に接して該振動子の該楕円振動発生面と直交する中心軸を回転軸として回転駆動されるロータと、を少なくとも備えた超音波モータであって、
上記振動子の上記回転軸方向に伸縮する縦1次共振振動と、上記回転軸をねじれ軸とするねじれ2次共振振動とを合成することにより、上記楕円振動を形成してなることを特徴とする超音波モータ。
【請求項2】
上記振動子の上記回転軸方向に伸縮する縦1次共振振動と、上記回転軸をねじれ軸とするねじれ2次共振振動と、の共振周波数がほぼ一致するように、上記振動子の上記矩形状の長さ比率を設定したことを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
【請求項3】
上記振動子の上記矩形状の長さ比率は、該矩形状の長辺に対する短辺を、略0.6とすることを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項4】
上記振動子の上記回転軸方向に直交する断面形状は、略長方形状であることを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。
【請求項5】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面のねじれ振動の少なくとも1つの節位置近傍に第1の駆動用交差指電極が設けられており、該第1の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度θが
0<θ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の駆動用交差指電極が設けられた面と対向する面には第2の駆動用交差指電極が設けられており、該第2の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度τが、
τ=π−θ
をもって配されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の超音波モータ。
【請求項6】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面のねじれ振動の少なくとも1つの節位置近傍に第1の駆動用交差指電極が設けられており、該第1の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度θが
0<θ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の駆動用交差指電極が設けられた面の上記ねじれとは逆方向のねじれ節位置近傍に第2の駆動用交差指電極が設けられており、該第2の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度τが、
τ=θ
をもって配されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の超音波モータ。
【請求項7】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面のねじれ振動の少なくとも1つの節位置近傍に第1の振動検出用交差指電極が設けられており、該第1の振動検出用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度φが
0<φ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の振動検出用交差指電極が設けられた面と対向する面には第2の振動検出用交差指電極が設けられており、該第2の振動検出用交差指電極の長手方向と該回転軸の方向とのなす角度ψが、
ψ=π−φ
をもって配されていることを特徴とする請求項5若しくは6に記載の超音波モータ。
【請求項8】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面のねじれ振動の少なくとも1つの節位置近傍に第1の振動検出用交差指電極が設けられており、該第1の振動検出用交差指電極の長手方向と該回転軸の方向とのなす角度φが
0<φ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の振動検出用交差指電極が設けられた面の上記ねじれとは逆方向のねじれ節位置近傍に第2の振動検出用交差指電極が設けられており、該第2の振動検出用交差指電極の長手方向と該回転軸の方向とのなす角度ψが、
ψ=φ
をもって配されていることを特徴とする請求項5若しくは6に記載の超音波モータ。
【請求項9】
上記駆動用交差指電極が一面につき複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項5若しくは6に記載の超音波モータ。
【請求項10】
上記振動検出用交差指電極が一面につき複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項7若しくは8に記載の超音波モータ。
【請求項11】
上記振動子の上記ねじれ軸方向中央部に設けられた貫通穴と、
該貫通穴の略中央部で固定されたシャフトと、
を更に具備し、
上記ロータは、上記シャフトの周りに回転自在に保持されたことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の超音波モータ。
【請求項12】
中心軸に垂直な断面が矩形状の長さ比率を有する振動子と、該振動子の楕円振動発生面に接して該振動子の該楕円振動発生面と直交する中心軸を回転軸として回転駆動されるロータと、を少なくとも備えた超音波モータであって、
上記振動子の上記回転軸方向に伸縮する縦1次共振振動と、上記回転軸をねじれ軸とするねじれ3次共振振動とを合成することにより、上記楕円振動を形成してなることを特徴とする超音波モータ。
【請求項13】
上記振動子の上記回転軸方向に伸縮する縦1次共振振動と、上記回転軸をねじれ軸とするねじれ3次共振振動と、の共振周波数がほぼ一致するように、上記振動子の上記矩形状の長さ比率を設定したことを特徴とする請求項12に記載の超音波モータ。
【請求項14】
上記振動子の上記矩形状の長さ比率は、該矩形状の長辺に対する短辺を、略0.3とすることを特徴とする請求項13に記載の超音波モータ。
【請求項15】
上記振動子の上記回転軸方向に直交する断面形状は、略長方形状であることを特徴とする請求項14に記載の超音波モータ。
【請求項16】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面のねじれ振動の少なくとも1つの節位置近傍に第1の駆動用交差指電極が設けられており、該第1の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度θが
0<θ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の駆動用交差指電極が設けられた面と対向する面には第2の駆動用交差指電極が設けられており、該第2の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度τが、
τ=π−θ
をもって配されていることを特徴とする請求項12乃至15の何れか1項に記載の超音波モータ。
【請求項17】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面のねじれ振動の少なくとも1つの節位置近傍に第1の駆動用交差指電極が設けられており、該第1の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度θが
0<θ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の駆動用交差指電極が設けられた面の上記ねじれとは逆方向のねじれ節位置近傍に第2の駆動用交差指電極が設けられており、該第2の駆動用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度τが、
τ=θ
をもって配されていることを特徴とする請求項12乃至15の何れか1項に記載の超音波モータ。
【請求項18】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面の少なくとも1つの節位置近傍に第1の振動検出用交差指電極が設けられており、該第1の振動検出用交差指電極の長手方向と上記回転軸の方向とのなす角度φが
0<φ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の振動検出用交差指電極が設けられた面と対向する面には第2の振動検出用交差指電極が設けられており、該第2の振動検出用交差指電極の長手方向と該回転軸の方向とのなす角度ψが、
ψ=π−φ
をもって配されていることを特徴とする請求項16若しくは17に記載の超音波モータ。
【請求項19】
上記振動子は圧電素子のみから構成されるものであり、
上記圧電素子には、上記回転軸に平行な面であって、該回転軸に平行な面の少なくとも1つの節位置近傍に第1の振動検出用交差指電極が設けられており、該第1の振動検出用交差指電極の長手方向と該回転軸の方向とのなす角度φが
0<φ<π/2
の条件で設けられ、
上記第1の振動検出用交差指電極が設けられた面の上記ねじれとは逆方向のねじれ節位置近傍に第2の振動検出用交差指電極が設けられており、該第2の振動検出用交差指電極の長手方向と該回転軸の方向とのなす角度ψが、
ψ=φ
をもって配されていることを特徴とする請求項16若しくは17に記載の超音波モータ。
【請求項20】
上記駆動用交差指電極が一面につき複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項16若しくは17に記載の超音波モータ。
【請求項21】
上記振動検出用交差指電極が一面につき複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項18若しくは19に記載の超音波モータ。
【請求項22】
上記振動子の上記ねじれ軸方向中央部に設けられた貫通穴と、
該貫通穴の略中央部で固定されたシャフトと、
を更に具備し、
上記ロータは、上記シャフトの周りに回転自在に保持されたことを特徴とする請求項12乃至21の何れか1項に記載の超音波モータ。
【請求項23】
上記振動子の縦振動及びねじれ振動の共通の節位置近傍で固定された振動子保持部材を更に具備し、
上記ロータは、上記振動子保持部材に対し回転自在に保持されたことを特徴とする請求項12乃至21の何れか1項に記載の超音波モータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−22181(P2010−22181A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183170(P2008−183170)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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