説明

超音波探触子およびそれを用いる超音波診断装置

【課題】有機無機積層型の超音波探触子において、感度向上、低コスト化、薄型化する。
【解決手段】ハーモニックイメージングのための高調波の受信が可能な有機の受信用圧電層22と、大パワー送信が可能な無機の送信用圧電層21とを積層して成る超音波探触子2において、比較的硬い圧電層21に比較的軟らかい圧電層22を密着させ、かつ該圧電層22を受信波長λの1/4の厚さに形成してλ/4共振させて感度(S/N)を約2倍に高めるとともに、圧電層21の背後側にも硬い共振層27を設けるとともに、該圧電層21も送信波長λの1/4の厚さに形成してλ/4共振させる。したがって、従来の超音波探触子2’で設けられる中間層25を無くし、またバッキング層26に代えてデマッチドレイヤーと呼ばれる薄い共振層27を設け、さらに各圧電層21,22を、λ/2の厚さからλ/4の厚さに薄くすることで、超音波探触子2を、低コスト化、薄型化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に用いられる超音波探触子およびその超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記超音波診断装置は、超音波パルス反射法により、体表から生体内の軟組織の断層像を無侵襲に得る医療用画像機器である。この超音波診断装置は、他の医療用画像機器に比べ、小型で安価、X線などの被爆がなく安全性が高い、ドップラー効果を応用して血流イメージングが可能等、多くの特長を有し、循環器系(心臓の冠動脈)、消化器系(胃腸)、内科系(肝臓、膵臓、脾臓)、泌尿科系(腎臓、膀胱)、および産婦人科系などで広く利用されている。
【0003】
このような医療用超音波診断装置において、高調波信号を用いた組織ハーモニックイメージング(THI)診断は、従来のBモード診断では得られない鮮明な診断像が得られることから、標準的な診断モダリティとなりつつある。前記ハーモニックイメージングは、基本波に比較して、サイドローブレベルが小さいことで、S/Nが良く、コントラスト分解能が良くなること、周波数が高くなることでビーム幅が細くなり横方向分解能が良くなること、近距離では音圧が小さく、さらに音圧の変動が少ないので多重反射が起こらないこと、焦点以遠の減衰は基本波並みであり、高調波の超音波は基本波の超音波に比べ深速度を大きく取れること、という多くの利点を有している。
【0004】
そこで、本件出願人は、先に特許文献1において、送信用には大パワー送信が可能な無機材料から成る送信用圧電層を用い、受信用には前記ハーモニックイメージングのための高調波帯域の受信が可能な有機材料から成る受信用圧電層を用い、それらを受信用圧電層を被検体側として積層した超音波探触子を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−188415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術では、ハーモニックイメージングに適するものの、従来の単層の無機圧電素子から成る超音波探触子に比べて、積層しているために、厚く、またコストや信号の感度(S/N)も低いという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、感度を向上することができるとともに、コストおよび厚さを削減することができる超音波探触子およびそれを用いる超音波診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の超音波探触子は、被検体内に超音波を送信し、前記被検体内からの超音波を受信する超音波探触子において、無機材料から成る送信用圧電層と、前記送信用圧電層の前記超音波の放射面側に設けられ、受信超音波の波長の1/4の厚さに形成され、有機材料から成る受信用圧電層とを含むことを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、断層画像撮影などのために、被検体内に超音波を送信し、前記被検体内の組織境界からの反射波や前記組織境界で発生した高調波などの被検体内から来た超音波を受信する超音波探触子において、送信用には大パワー送信が可能な無機材料から成る送信用圧電層を用い、受信用にはハーモニックイメージングのための高調波帯域の受信が可能な有機材料から成る受信用圧電層を用い、それらを受信用圧電層を被検体側として積層する。さらに前記受信用圧電層の上には前記被検体(生体)との音響インピーダンスを整合させるための整合層およびさらにその上に音響レンズなどが適宜積層され、送信用圧電層の受信用圧電層とは反対側には、後方へ放射されてしまった送信超音波を吸収して熱に変換するバッキング(ダンパー)層などが設けられる。
【0010】
そして、そのような有機無機の積層構造で、通常は、無機の送信用圧電層と有機の受信用圧電層との間には、インピーダンス整合のための中間層が介在されるのに対して、本発明では、比較的硬い無機の送信用圧電層に対して、比較的軟らかい有機の受信用圧電層を、受信超音波の波長λの1/4の厚さに形成して密着させることである。
【0011】
したがって、前記受信用圧電層をλ/4共振させ、従来のλ/2共振の約2倍の感度(S/N)を得ることができる。また、前記中間層が無くなり、さらに受信用圧電層がλ/2の厚さからλ/4の厚さ、すなわち半分の厚さとなるので、超音波探触子のコストおよび厚さを削減することもできる。
【0012】
また、本発明の超音波探触子は、被検体内に超音波を送信し、前記被検体からの超音波を受信する超音波探触子において、無機材料から成り、前記超音波を少なくとも送信し、その送信超音波の波長の1/4の厚さに形成される圧電層と、前記圧電層の前記超音波の放射面とは反対側に設けられ、前記圧電層よりも硬い材料から成る共振層が設けられることを特徴とする。
【0013】
上記の構成によれば、前記の有機無機の積層構造などで、少なくとも送信を行う無機の圧電層において、通常は、その圧電層の放射面とは反対側には、後方へ放射されてしまった送信超音波を吸収して熱に変換するバッキング(ダンパー)層が設けられるのに対して、本発明では、前記圧電層よりも硬い材料、たとえばタングステンカーバイトから成り、デマッチドレイヤーと呼ばれる共振層を設けるとともに、前記圧電層を送信超音波の波長λの1/4の厚さに形成して密着させる。
【0014】
したがって、前記送信を行う圧電層をλ/4共振させ、従来のλ/2共振の約2倍の感度を得ることができ。また、送信超音波の吸収のための厚いバッキング層が薄い共振層に代わり、さらに送信用圧電層がλ/2の厚さからλ/4の厚さ、すなわち半分の厚さとなるので、超音波探触子の厚さを約半減することができるとともに、コストを削減することができる。
【0015】
また、本発明の超音波探触子では、前記送信用圧電層は、PZTから成ることを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、前記送信用圧電層としては、電気エネルギーを超音波振動エネルギーに変換する変換効率の高いセラミック圧電材料が好ましく、しかも近年は鉛を含まないものが推奨され、いわゆるPZTが特に好ましい。
【0017】
さらにまた、本発明の超音波探触子では、前記受信用圧電層は、PVDFから成ることを特徴とする。
【0018】
上記の構成によれば、前記受信用圧電層としては、音響インピーダンスが低いPVDFが好ましく、そのPVDFとしては、トリ弗化エチレンを25モル%、弗化ビニリデンを75モル%含有する共重合体が好ましく、有機の圧電層として高い圧電特性が得られ、広帯域でもある。
【0019】
また、本発明の超音波診断装置は、前記の超音波探触子を用いることを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、超音波診断装置のコストを削減することができるとともに、感度を向上することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の超音波探触子およびそれを用いる超音波診断装置は、以上のように、超音波の放射面側にハーモニックイメージングのための高調波帯域の受信が可能な有機の受信用圧電層を、背後側に大パワー送信が可能な無機の送信用圧電層を積層して成る有機無機の超音波探触子において、比較的硬い送信用圧電層に比較的軟らかい有機の受信用圧電層を密着させ、受信用圧電層を受信超音波の波長の1/4の厚さに形成してλ/4共振させるとともに、無機の送信用圧電層の背後側にも前記送信用圧電層よりも硬い材料から成る共振層を設けるとともに、前記送信用圧電層も送信超音波の波長λの1/4の厚さに形成してλ/4共振させる。
【0022】
それゆえ、従来の送信用圧電層と受信用圧電層との間の中間層を無くし、また後方へ放射されてしまった送信超音波を吸収して熱に変換するバッキング(ダンパー)層に代えて、硬い材料から成り、デマッチドレイヤーと呼ばれる共振層を設けるとともに、前記送信用圧電層および受信用圧電層を、λ/2の厚さからλ/4の厚さに薄くすることで、超音波探触子を、低コスト化および薄型化することができる。また、λ/2共振からλ/4共振に代わることで、送信側および受信側で、それぞれ感度(S/N)を約2倍に高めることができる。
【0023】
また、本発明の超音波探触子およびそれを用いる超音波診断装置は、以上のように、少なくとも送信を行う無機の圧電層において、その圧電層の放射面とは反対側に該圧電層よりも硬い材料から成り、デマッチドレイヤーと呼ばれる共振層を設けるとともに、該圧電層を送信超音波の波長λの1/4の厚さに形成して密着させる。
【0024】
それゆえ、前記送信を行う圧電層をλ/4共振させ、従来のλ/2共振の約2倍の感度を得ることができる。また、送信超音波の吸収のための厚いバッキング層が薄い共振層に代わり、さらに送信用圧電層がλ/2の厚さからλ/4の厚さ、すなわち半分の厚さとなるので、超音波探触子の厚さを約半減することができるとともに、コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の一形態に係る超音波診断装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】前記超音波診断装置における診断装置本体の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】従来と本発明の実施の一形態との超音波探触子の構造を対比して模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の実施の他の形態に係る超音波探触子の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の一形態に係る超音波診断装置1の外観構成を示す斜視図である。超音波診断装置1は、図略の生体等の被検体に対して超音波を送信すると共に、その被検体において反射などで生成された超音波を受信する超音波探触子2と、前記超音波探触子2とケーブル3を介して接続され、該ケーブル3を介して電気信号の送信信号を送信することによって超音波探触子2に被検体に対して前記超音波信号を送信させるとともに、超音波探触子2で受信された信号に基づいて、被検体内の内部状態を断層画像として画像化する診断装置本体4とを備えて構成される。
【0027】
図2は、前記診断装置本体4の電気的構成を示すブロック図である。診断装置本体4は、操作入力部11と、送信部12と、受信部13と、相関部14と、画像処理部15と、表示部16と、制御部17と、参照信号記憶部18と、タイミング発生部19とを備えて構成されている。
【0028】
操作入力部11は、複数の入力スイッチを備えた操作パネルやキーボード等から成り、診断開始を指示するコマンドや被検体の個人情報等のデータの入力などが行われる。
【0029】
送信部12は、制御部17の制御に従って、超音波探触子2へケーブル3を介して電気信号の送信信号を供給して超音波探触子2に送信超音波を発生させる回路である。この送信部12は、制御部17からの送信信号に応じて送信ビームを形成する送信ビームフォーマ回路や、その送信ビームフォーマ回路から前記超音波探触子2における各圧電素子を駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成回路等を備えて構成される。
【0030】
受信部13は、制御部17の制御に従って、超音波探触子2からケーブル3を介して電気信号の受信信号を受信する回路であり、この受信信号を相関部14へ出力する。受信部13は、受信信号を所定の増幅率で増幅する増幅器等を備えて構成される。
【0031】
相関部14は、受信部13の出力と予め設定された参照信号との相関処理を行うことで、受信部13の出力から受信超音波を検出するものである。この参照信号は、送信超音波の周波数を基本周波数とした場合における検出すべき3次以上の高調波の次数および被検体の診断部位および診断深度から導かれる近似関数である。
【0032】
参照信号記憶部18は、ROMあるいはEEPROM等の記憶素子を備えて構成され、被検体における複数の各診断部位および診断深度に対応した近似関数を前記参照信号として記憶するものである。そして、上記相関部14は、被検体の診断部位および診断深度に応じて、前記参照信号記憶部18に記憶されている複数の参照信号(近似関数)の中から1つの参照信号を選択して相関処理を行う。前記診断部位および診断深度は、操作入力部11から入力される。
【0033】
タイミング発生部19は、診断装置本体4の各部の動作タイミング信号を生成し、動作タイミングの必要な各部へ出力するものである。
【0034】
画像処理部15は、制御部17の制御に従って、相関部14で相関処理された受信信号に基づいて、被検体内の内部状態の画像(超音波画像)を生成する回路である。
【0035】
表示部16は、制御部17の制御に従って、画像処理部15で生成された被検体の超音波画像を表示する装置である。表示部16は、CRTディスプレイ、LCD、有機ELディスプレイおよびプラズマディスプレイ等の表示装置や、プリンタ等の印刷装置等で実現される。
【0036】
制御部17は、マイクロプロセッサ、記憶素子およびその周辺回路等を備えて構成され、これら操作入力部11、送信部12、受信部13、相関部14、参照信号記憶部18、画像処理部15および表示部16を当該機能に応じてそれぞれ制御することによって超音波診断装置1の全体制御を行う回路である。
【0037】
図3は、前記超音波探触子(超音波プローブ)2の構造を模式的に示す断面図である。この図3では、従来技術との違いがよく分るように、本発明と対比させている。図3(a)が前記特許文献1による超音波探触子2’であり、図3(b)が本発明の実施の一形態による前記超音波探触子2である。
【0038】
これらの超音波探触子2,2’は、基本的に有機無機積層型の超音波探触子であり、先ず大パワー送信が可能なように、無機材料から成る送信用圧電層21,21’を用い、その送信用圧電層21,21’の被検体側には、ハーモニックイメージングのための高調波帯域の受信が可能な有機材料から成る受信用圧電層22,22’が設けられる。そして、前記送信部12からの送信信号は送信用圧電層21,21’に与えられ、受信用圧電層22,22’での受信信号は受信部13に与えられる。一方、前記受信用圧電層22,22’の上(被検体側)には、前記被検体(生体)との音響インピーダンスを整合させるための整合層23,23’およびさらにその上に音響レンズ24,24’などが適宜積層されている。
【0039】
上述のように構成される超音波探触子2,2’において、先ず注目すべきは、従来の超音波探触子2’では、通常は、無機の送信用圧電層21’と有機の受信用圧電層22’との間には、インピーダンス整合のための中間層25が介在されるのに対して、本実施の形態では、比較的硬い無機の送信用圧電層21に対して、比較的軟らかい有機の受信用圧電層22を、受信超音波の波長λの1/4の厚さに形成して、直接密着させていることである。
【0040】
したがって、前記受信用圧電層22をλ/4共振させ、従来のλ/2共振の約2倍の感度(S/N)を得ることができる。また、前記中間層25が無くなり、さらに受信用圧電層22がλ/2の厚さからλ/4の厚さ、すなわち半分の厚さとなるので、超音波探触子2のコストおよび厚さを削減することもできる。
【0041】
次に注目すべきは、従来の超音波探触子2’では、通常は、送信用圧電層21’の受信用圧電層22’とは反対側には、後方へ放射されてしまった送信超音波を吸収して熱に変換するバッキング(ダンパー)層26が設けられるのに対して、本実施の形態では、前記送信用圧電層21よりも硬い材料、たとえばタングステンカーバイトから成り、デマッチドレイヤーと呼ばれる共振層27を設けるとともに、前記送信用圧電層21も送信超音波の波長λの1/4の厚さに形成して密着させることである。
【0042】
したがって、前記送信用圧電層21もλ/4共振させ、従来のλ/2共振の約2倍の感度を得ることができ、前記受信用圧電層22のλ/4共振と合わせて、感度を約4倍に高めることができる。また、送信超音波の吸収のための厚いバッキング層26が薄い共振層27に代わり、さらに送信用圧電層21がλ/2の厚さからλ/4の厚さ、すなわち半分の厚さとなるので、前記中間層25の削減および受信用圧電層22のλ/4分の厚さの削減と合わせて、超音波探触子2の厚さを約半減することができるとともに、コストを削減することができる。
【0043】
また、前記送信用圧電層21としては、電気エネルギーを超音波振動エネルギーに変換する変換効率の高いセラミック圧電材料が好ましく、しかも近年は鉛を含まないものが推奨されるので、本実施の形態では、いわゆるPZTを用いる。
【0044】
さらにまた、前記受信用圧電層22としては、音響インピーダンスが低いPVDFが好ましく、そのPVDFの内、本実施の形態では、トリ弗化エチレンを25モル%、弗化ビニリデンを75モル%含有する共重合体を用いる。これによって、有機の圧電層22として高い圧電特性が得られ、また広帯域化に好適である。
【0045】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の他の形態に係る超音波探触子30の構造を示す斜視図である。上述の超音波探触子2は、有機無機積層型の超音波探触子であるのに対して、注目すべきは、この超音波探触子30では、図4(a)で示すように、無機圧電層31と並列に、有機圧電層321,322が配置されていることである。それらの圧電層31;321,322の被検体側には整合層33および音響レンズ34が積層される。
【0046】
無機圧電層31は、前記のように送信超音波の波長λの1/4の厚さに形成されるとともに、該無機圧電層31よりも硬い材料から成る共振層37に密着させられ、図4(b)で示すように、スロット31aによって、各圧電素子31bに素子分離されている。各圧電素子31bの裏面(共振層37側)には図示しない共通電極が形成され、表面(被検体側)には個別電極31cが形成される。圧電素子31bは、一直線上に、たとえば196個配列され、前記のように送信部12から与えられる送信超音波のタイミングおよびパワーが制御されることで、送信超音波を扇状に走査することができる。そして、この無機圧電層31は送信用に用いられるとともに、基本波の受信用にも共用される。
【0047】
一方、有機圧電層321,322は、該有機圧電層321,322よりも硬い材料から成る共振層371,372上に、共通に厚膜形成され、表面(被検体側)に個別電極32cが形成されることで素子分離されている。有機圧電層321,322の裏面(共振層371,372側)には、図示しない共通電極が形成される。この有機圧電層321,322も、一直線上に、たとえば196個配列され、基本波または高調波の受信に使用される。高調波も、2つの有機圧電層321,322のそれぞれで、受信周波数が異なるようにしてもよい(たとえば、一方の有機圧電層321で3次調波を受信し、他方の有機圧電層322で5次調波を受信)。そして、各有機圧電層321,322の厚さは、最も高感度で受信すべき高調波の前記λ/4に形成される。
【0048】
このように構成することで、無機圧電層31と有機圧電層321,322とが並列に配置される超音波探触子30においても、それぞれでλ/4共振を行わせることができる。
【0049】
また、送信用無機圧電層を321,322の両側とし、中央部の31を受信用圧電層とすることもできる。両側を送信用とする効果は、中央部垂線上で送信波が集まり、垂線上の超音波強度が強くなり、反射高調波の発生に有利なことであり、超音波診断画像の高精細化に寄与でき、有効な配置である。
【符号の説明】
【0050】
1 超音波診断装置
2,30 超音波探触子
3 ケーブル
4 診断装置本体
11 操作入力部
12 送信部
13 受信部
14 相関部
15 画像処理部
16 表示部
17 制御部
18 参照信号記憶部
19 タイミング発生部
21 送信用圧電層
22 受信用圧電層
23,33 整合層
24,34 音響レンズ
27;37;371,372 共振層
31 無機圧電層
31a スロット
31b 圧電素子
31c,32c 個別電極
321,322 有機圧電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に超音波を送信し、前記被検体からの超音波を受信する超音波探触子において、
無機材料から成る送信用圧電層と、
前記送信用圧電層の前記超音波の放射面側に設けられ、受信超音波の波長の1/4の厚さに形成され、有機材料から成る受信用圧電層とを含むことを特徴とする超音波探触子。
【請求項2】
被検体内に超音波を送信し、前記被検体からの超音波を受信する超音波探触子において、
無機材料から成り、前記超音波を少なくとも送信し、その送信超音波の波長の1/4の厚さに形成される圧電層と、
前記圧電層の前記超音波の放射面とは反対側に設けられ、前記圧電層よりも硬い材料から成る共振層が設けられることを特徴とする超音波探触子。
【請求項3】
前記共振層は、タングステンカーバイトから成ることを特徴とする請求項2記載の超音波探触子。
【請求項4】
前記送信用圧電層は、PZTから成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超音波探触子。
【請求項5】
前記受信用圧電層は、PVDFから成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音波探触子。
【請求項6】
前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の超音波探触子を用いることを特徴とする超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−109448(P2011−109448A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262777(P2009−262777)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】