超音波接合方法及びその装置
【課題】一度に接合できる電線の本数が限定されることなく、複数の電線の芯線同士を確実に接合できる超音波接合方法及びその装置を提供する。
【解決手段】超音波接合装置1は超音波振動されるチップ9とこのチップ9との間に複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出した芯線を挟むアンビル10とを備えている。超音波接合装置1は複数の電線間の中心を通る軸芯周りにチップ9及びアンビル10と複数の電線とを相対的に回転させる回転機構7を備えている。
【解決手段】超音波接合装置1は超音波振動されるチップ9とこのチップ9との間に複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出した芯線を挟むアンビル10とを備えている。超音波接合装置1は複数の電線間の中心を通る軸芯周りにチップ9及びアンビル10と複数の電線とを相対的に回転させる回転機構7を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波接合方法及びその装置に係り、特に、複数の電線それぞれの一部の被覆部を剥がして露出された芯線同士を超音波接合する超音波接合方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した従来の超音波接合方法としては、例えば、撚り線を構成する複数の芯線同士を接合する特許文献1の超音波接合方法を適用したものが提案されている。
【0003】
特許文献1に示された超音波接合方法は、まず複数の電線それぞれの被覆部の一部を剥がして芯線を露出させ、これらの露出した芯線を一対の押さえ型間に挿入してチップとアンビルとの間に挟み、チップをアンビルに向かって加圧しながら当該チップを超音波振動させて、芯線同士を超音波接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−95293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の超音波接合方法では、前述した電線が増加すると、前記チップと前記アンビルとが相対する方向(前記チップと前記アンビルとが複数の電線の芯線を挟む方向)に沿って並ぶ芯線は、前述したチップの加圧力により、互いに確実に接合されるが、前記チップと前記アンビルとが相対する方向に対して直交する方向に沿って並ぶ芯線同士は、前述したチップの加圧力が作用しないために、接合が不完全な状態になることが多い。
【0006】
このために、前述した押さえ型間の間隔を、電線の芯線の外径の2倍よりも狭い間隔として、複数の電線の芯線が前記チップと前記アンビルとが相対する方向に対して直交する方向に沿って並ばないようにすることが提案されている。この場合、電線が増加すると、前記チップと前記アンビルとが相対する方向に沿って、多くの電線の芯線が並ぶこととなって、チップの振動がアンビル側に伝わりにくくなり、一部の電線の芯線同士の接合状況が不完全になる場合があった。このために、一度に接合できる電線の本数が限られてしまう傾向にあった。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、一度に接合できる電線の本数が限定されることなく、複数の電線の芯線同士を確実に接合できる超音波接合方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の超音波接合方法は、複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出した芯線を超音波振動されるチップとアンビルとの間に挟んで、前記複数の電線の芯線同士を接合する電線の接合方法において、一方向に沿って前記チップと前記アンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与した後、前記一方向に対して交差する他の方向に沿って前記チップと前記アンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与して、前記複数の電線の芯線同士を接合することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の本発明の超音波接合装置は、超音波振動されるチップと、このチップとの間に複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出した芯線を挟むアンビルと、を備えた超音波接合装置において、前記複数の電線間の中心を通る軸芯周りに、前記チップ及びアンビルと、前記複数の電線とを相対的に回転させる回転機構を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の本発明の超音波接合装置は、請求項2記載の超音波接合装置において、前記回転機構は、前記複数の電線を回転させることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の本発明の超音波接合装置は、請求項3記載の超音波接合装置において、前記回転機構は、前記チップ及びアンビルを回転させることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の本発明の超音波接合装置は、超音波振動されるチップと、このチップとの間に複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出した芯線を挟むアンビルと、を備えた第1接合装置と、超音波振動される第2チップと、この第2チップとの間に複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出しかつ前記第1接合装置のチップとアンビルとの間に挟まれた芯線を挟む第2アンビルと、を備え、前記第2チップと前記第2アンビルとが前記複数の電線の芯線を挟む方向が、前記第1接合装置の前記チップと前記アンビルとが前記複数の電線の芯線を挟む方向と交差する第2接合装置とを備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項1記載の本発明によれば、一方向に沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与した後に、一方向に対して交差する他の方向に沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与するので、前述した一方向と他の方向との双方に沿って並ぶ複数の電線の芯線同士を確実に接合することができる。
【0014】
請求項2記載の本発明によれば、複数の電線の芯線を中心として、チップ及びアンビルと複数の電線とを相対的に回転させる回転機構を備えているので、一方向に沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与した後に、一方向に対して交差する他の方向に沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与することができる。このために、前述した一方向と他の方向との双方に沿って並ぶ複数の電線の芯線同士を確実に接合することができる。
【0015】
請求項3記載の本発明によれば、回転機構が複数の電線を回転させるので、チップ及びアンビルを回転させる場合と比較して当該回転機構の小型化を図ることができる。
【0016】
請求項4記載の本発明によれば、回転機構がチップ及びアンビルを回転させるので、一方向と他の方向との双方に沿って、複数の電線の芯線に超音波振動を付与することができる。
【0017】
請求項5記載の本発明によれば、チップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟む方向が互いに交差する第1接合装置及び第2接合装置を備えているので、これらの接合装置により順に超音波振動を前述した複数の電線の芯線に付与することで、互いに異なる二方向に沿って、複数の電線の芯線に超音波振動を付与することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように請求項1記載の本発明は、一方向と他の方向との双方に沿って並ぶ複数の電線の芯線同士を確実に接合することができるので、一方向のみに電線を並べる必要が無く、一度に多数の本数の電線の芯線同士を接合できる。よって、一度に接合できる電線の本数が限定されることなく、複数の電線の芯線同士を確実に接合することができる。
【0019】
請求項2記載の本発明は、一方向と他の方向との双方に沿って並ぶ複数の電線の芯線同士を確実に接合することができるので、一方向のみに電線を並べる必要が無く、一度に多数の本数の電線の芯線同士を接合できる。よって、一度に接合できる電線の本数が限定されることなく、複数の電線の芯線同士を確実に接合することができる。
【0020】
請求項3記載の本発明は、チップ及びアンビルを回転させる場合と比較して当該回転機構の小型化を図ることができ、低コスト化を図ることができる。
【0021】
請求項4記載の本発明は、一方向と他の方向との双方に沿って複数の電線の芯線に超音波振動を付与することができるので、一方向と他の方向との双方に沿って並ぶ複数の電線の芯線同士を確実に接合することができ、一方向のみに電線を並べる必要が無いので、一度に多数の本数の電線の芯線同士を接合できる。よって、一度に接合できる電線の本数が限定されることなく、複数の電線の芯線同士を確実に接合することができる。
【0022】
請求項5記載の本発明は、互いに異なる二方向に沿って、複数の電線の芯線に超音波振動を付与することができるので、一方向と他の方向との双方に沿って並ぶ複数の電線の芯線同士を確実に接合することができ、一方向のみに電線を並べる必要が無いので、一度に多数の本数の電線の芯線同士を接合できる。よって、一度に接合できる電線の本数が限定されることなく、複数の電線の芯線同士を確実に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる超音波接合装置により接合される電線の斜視図である。
【図2】図1に示された電線の芯線が複数接合された状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる超音波接合装置を模式的に示す説明図である。
【図4】図3に示された超音波接合装置が矢印Tに沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与している状態を模式的に示す説明図である。
【図5】図4に示された超音波接合装置のチップとアンビルとが離れ一対の押さえ型が互いに離れた状態を模式的に示す説明図である。
【図6】図5に示された超音波接合装置の回転機構が複数の電線を90度回転した状態を模式的に示す説明図である。
【図7】図6に示された超音波接合装置が矢印Yに沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与している状態を模式的に示す説明図である。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかる超音波接合装置を模式的に示す説明図である。
【図9】図9に示された超音波接合装置が矢印Tに沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与している状態を模式的に示す説明図である。
【図10】図9に示された超音波接合装置のチップとアンビルとが離れ一対の押さえ型が互いに離れた状態を模式的に示す説明図である。
【図11】図10に示された超音波接合装置の回転機構がチップ及びアンビルと一対の押さえ型を90度回転した状態を模式的に示す説明図である。
【図12】図11に示された超音波接合装置が矢印Yに沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与している状態を模式的に示す説明図である。
【図13】本発明の第3の実施形態にかかる超音波接合装置を模式的に示す説明図である。
【図14】図13に示された超音波接合装置が矢印Tに沿ってチップとアンビルとの間と第2チップと第2アンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与している状態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の第1の実施形態にかかる超音波接合装置を、図1乃至図7に基づいて説明する。
【0025】
まず、本発明の超音波接合方法に用いられる図3に示す超音波接合装置1は、図1に示す電線2の一部の被覆部3が除去された露出した芯線4同士を接合する装置である。電線2は、勿論、導電性の芯線4と、この芯線4を被覆した絶縁性の被覆部3とを備えた所謂被覆電線である。芯線4は、勿論、金属からなる素線が複数束ねられて構成されている。図示例では、電線2は、一部としてのその端末に位置する被覆部3が除去されて、端末に位置する芯線4の一部が露出している。図3に示す超音波接合装置1は、図2に示すように、複数の電線2の端末で露出した芯線4同士を縦横に同数又は略同数並べた状態で、これら複数の電線2の芯線4同士を接合する装置である。
【0026】
超音波接合装置1は、図3に示すように、装置本体5と、電線保持治具6と、回転機構7と、駆動源としての圧電振動子8と、チップ9(工具ホーンともいう)と、このチップ9に相対するアンビル10と、一対の押さえ型11と、加圧手段としての一対の油圧シリンダ12と、一対の変位センサ13と、制御手段としての制御回路14とを備えている。
【0027】
装置本体5は、工場のフロア上などに設置される。電線保持治具6は、前述した複数の電線2を縦横に重ねて保持する幅広のスリット15が設けられている。スリット15は、内側に前述した電線2を複数縦横に重ねて挿入されて、当該複数の電線2を保持する。また、電線保持治具6は、複数の電線2間の中心を通りかつこれら電線2の長手方向に沿う軸芯P(図3には点で示す)を中心として回転自在に装置本体5に支持されている。また、電線保持治具6は、その外縁が、前述した軸芯Pを中心とした円形に形成されている。
【0028】
回転機構7は、電線保持治具6の外縁に設けられた歯16と、電線保持治具6を回転させるためのモータ17とを備えている。モータ17は、その本体が装置本体5に固定され、出力軸に前述した歯16と噛み合う歯車18が取り付けられている。モータ17は、その出力軸を回転することで、電線保持治具6を軸芯Pを中心として回転させる。回転機構7は、モータ17が電線保持治具6を回転させることで、この電線保持治具6と、チップ9及びアンビル10とを前述した軸芯Pを中心として相対的に回転させる。
【0029】
圧電振動子8は、図示しない電源などにより印加されて、例えば周波数が10kHzから80kHzで振動(超音波振動)する。チップ9は、圧電振動子8に取り付けられている。このため、圧電振動子8は、チップ9を振動(超音波振動)させる。なお、超音波振動とは、圧電振動子8に電圧を印加して、この圧電振動子8が振動などして、電気的なエネルギーを機械的な振動に変換して得られる振動をいう。
【0030】
アンビル10は、図3では、鉛直方向に沿って、チップ9と相対して設けられている。また、チップ9とアンビル10とは、それぞれが鉛直方向に沿ってスライド自在に装置本体5に支持されており、互いに接離自在となっている。又、チップ9とアンビル10の互いに相対する面は、これらが互いに相対する方向に対して直交する方向に沿って平坦に形成されている。チップ9とアンビル10は、互いの間に、接合対象物としての電線保持治具6に保持された複数の電線2の前述した端末で露出した芯線4を挟むことができる。このため、チップ9とアンビル10とは、図示例では鉛直方向に沿って互いの間に複数の電線2の芯線4を挟む。
【0031】
押さえ型11は、一対設けられている。一対の押さえ型11は、図示例では、水平方向に間隔をあけて相対して設けられている。一対の押さえ型11は、それぞれが水平方向に沿ってスライド自在に装置本体5に支持されており、互いに接離自在となっている。又、一対の押さえ型11の互いに相対する面は、これらが互いに相対する方向に対して直交する方向に沿って平坦に形成されている。一対の押さえ型11は、互いの間に、接合対象物としての電線保持治具6に保持されかつチップ9とアンビル10との間に挟まれた複数の電線2の前述した端末で露出した芯線4を挟むことができる。このため、一対の押さえ型11は、図示例では水平方向に沿って互いの間に複数の電線2の芯線4を挟む。
【0032】
油圧シリンダ12は、それぞれ、装置本体5に取り付けられたシリンダ本体19と、このシリンダ本体19から伸縮自在に設けられた伸縮ロッド20とを備えている。一方の油圧シリンダ12は、伸縮ロッド20が鉛直方向と平行に配置されて、当該伸縮ロッド20がアンビル10に取り付けられている。油圧シリンダ12は、伸縮ロッド20が伸張することで、アンビル10をチップ9に近づく方向に加圧する。また、チップ9は、図示しない固定部材によりその位置が規制された状態となることができる。
【0033】
他方の油圧シリンダ12は、伸縮ロッド20が水平方向と平行に配置されて、当該伸縮ロッド20が一方の押さえ型11に取り付けられている。油圧シリンダ12は、伸縮ロッド20が伸張することで、一方の押さえ型11を他方の押さえ型11に近づく方向に加圧する。また、他方の押さえ型11は、図示しない固定部材によりその位置が規制された状態となることができる。
【0034】
一対の変位センサ13は、それぞれ、可動鉄心21と、装置本体5に固定されかつ可動鉄心21に巻かれたコイル22と、このコイル22に生じる可動鉄心21の移動に応じた誘導電圧からアンビル10及び押さえ型11の移動量を検出する検出回路23とを備えている。
【0035】
一方の変位センサ13は、可動鉄心21が鉛直方向と平行に配置されて、当該可動鉄心21がアンビル10に取り付けられている。変位センサ13は、可動鉄心21がコイル22に対して移動し、検出回路23がこの可動鉄心21の移動量を検出することで、アンビル10とチップ9との相対的な変位を測定する。
【0036】
他方の変位センサ13は、可動鉄心21が水平方向と平行に配置されて、当該可動鉄心21が一方の押さえ型11に取り付けられている。変位センサ13は、可動鉄心21がコイル22に対して移動し、検出回路23がこの可動鉄心21の移動量を検出することで、一対の押さえ型11の相対的な変位を測定する。なお、本発明では、変位センサ13としては、上述した接触式変位センサだけでなく非接触式などの従来公知の種々の変位センサを用いても良い。
【0037】
制御回路14は、圧電振動子8、油圧シリンダ12、変位センサ13及びモータ17と接続して、これらの動作を制御することで、超音波接合装置1全体の制御をつかさどる。
【0038】
前述した構成の超音波接合装置1は、以下に示すように、複数の電線2の芯線4同士を接合する。まず、チップ9とアンビル10とを互いに遠ざけ、一対の押さえ型11を互いに遠ざけておき、電線保持治具6に複数の電線2を縦横に同数又は略同数重ねて保持する。そして、前記複数の電線2の端末で露出した芯線4を一対の押さえ型11間でかつチップ9とアンビル10との間に位置付けて、一対の押さえ型11同士及びチップ9とアンビル10とを互いに近づける。
【0039】
そして、固定部材によりチップ9及び他方の押さえ型11の移動を規制して、図4に示すように、この状態で、油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を振動させて、チップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟み、かつ一対の押さえ型11間に複数の電線2の芯線4を挟む。こうして、油圧シリンダ12でこれらのチップ9とアンビル10とを互いに近づける方向に加圧した状態で、圧電振動子8を振動させてこの振動をチップ9を介して芯線4に付与する。
【0040】
こうして、まず、図4中に一方向としての矢印Tで示す電線2の芯線4同士が縦に重なる方向に沿って、チップ9とアンビル10との間に当該芯線4を挟んで、超音波振動を付与する。すると、金属で構成された芯線4同士が矢印Tに沿って互いに重なり合って接触しているので、これら矢印Tに沿って互いに重なる芯線4は、溶融しない状態で固相のまま互いに徐々に金属結合する。こうして、芯線4は、いわゆる超音波接合(超音波溶接ともいう)によって互いに接合される。
【0041】
そして、制御回路14は、予め定められた加圧力で油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させ、予め定められた時間圧電振動子8を振動させ、かつ変位センサ13が予め定められた変位量、アンビル10などが移動したことを検出すると、圧電振動子8の振動を停止させ、固定部材の移動の規制を解除して、図5に示すように、チップ9とアンビル10とを互いに遠ざけ、一対の押さえ型11を互いに遠ざける。そして、モータ17を駆動して、図6に示すように、電線保持治具6を軸芯Pを中心として90度回転させる。
【0042】
そして、一対の押さえ型11同士及びチップ9とアンビル10とを互いに近づけ、固定部材によりチップ9及び他方の押さえ型11の移動を規制して、図7に示すように、この状態で、油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させて、チップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟み、かつ一対の押さえ型11間に複数の電線2の芯線4を挟む。こうして、油圧シリンダ12でこれらのチップ9とアンビル10とを互いに近づける方向に加圧した状態で、圧電振動子8を振動させてこの振動をチップ9を介して芯線4に付与する。
【0043】
こうして、前述した矢印Tに対して交差(図示例では直交)する他の方向としての図7中に矢印Yで示す電線2の芯線4同士が横に重なる方向に沿って、チップ9とアンビル10との間に当該芯線4を挟んで、超音波振動を付与する。すると、金属で構成された芯線4同士が矢印Yに沿って互いに重なり合って接触しているので、これら矢印Yに沿って互いに重なる芯線4は、溶融しない状態で固相のまま互いに徐々に金属結合する。
【0044】
こうして、芯線4は、いわゆる超音波接合(超音波溶接ともいう)によって互いに接合される。こうして、超音波接合装置1は、一方向としての矢印Tに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与した後、矢印Tに対して交差(図示例では直交)する他の方向としての矢印Yに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与して、前記複数の電線2の芯線4同士を接合する。
【0045】
そして、制御回路14は、予め定められた加圧力で油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させ、予め定められた時間圧電振動子8を振動させ、かつ変位センサ13が予め定められた変位量、アンビル10などが移動したことを検出すると、圧電振動子8の振動を停止させ、固定部材の移動の規制を解除して、チップ9とアンビル10とを互いに遠ざけ、一対の押さえ型11を互いに遠ざける。そして、モータ17を駆動して、図2に示す初期位置まで電線保持治具6を軸芯Pを中心として90度回転させる。こうして、芯線4同士の接合が完了した複数の電線2を電線保持治具6から取り外し、前述した構成を繰り返して、次の複数の電線2の芯線4同士を接合する。
【0046】
本実施形態によれば、矢印Tに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与した後に、矢印Tに対して交差する矢印Yに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与するので、前述した矢印T,Y双方に沿って並ぶ複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。このために、一方向のみに電線2を並べる必要が無く、一度に多数の本数の電線2の芯線4同士を接合できる。よって、一度に接合できる電線2の本数が限定されることなく、複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。
【0047】
また、回転機構7を備えているので、矢印Tに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与した後に、矢印Tに対して交差する矢印Yに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与することができる。このために、前述した矢印T,Y双方に沿って並ぶ複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。
【0048】
また、回転機構7が複数の電線2を回転させるので、チップ9及びアンビル10を回転させる場合と比較して当該回転機構7の小型化を図ることができる。よって、装置の小型化と低コスト化を図ることができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施形態にかかる超音波接合装置を、図8乃至図12に基づいて説明する。なお、本実施形態において、前述した第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
本実施形態では、電線保持治具6が装置本体5に固定され、回転機構7が、図8に示すように、前述したモータ17の駆動力により前述した軸芯P(図8中に点で示す)周りに回転される回転テーブル24(図8中に二点鎖線で示す)を備えている。回転テーブル24は、油圧シリンダ12のシリンダ本体19及び変位センサ13のコイル22が取り付けられており、チップ9とアンビル10とを互いに接離自在に支持しているとともに、一対の押さえ型11を互いに接離自在に支持している。更に、回転機構7の歯16は、回転テーブル24の外縁に設けられている。
【0051】
本実施形態では、回転機構7は、モータ17の駆動力により軸芯Pを中心として回転テーブル24を回転させる。回転機構7は、モータ17が回転テーブル24を回転させることで、この電線保持治具6と、チップ9及びアンビル10とを前述した軸芯Pを中心として相対的に回転させる。
【0052】
本実施形態の超音波接合装置1は、以下に示すように、複数の電線2の芯線4同士を接合する。まず、チップ9とアンビル10とを互いに遠ざけ、一対の押さえ型11を互いに遠ざけておき、電線保持治具6に複数の電線2を縦横に重ねて保持する。そして、前記複数の電線2の端末で露出した芯線4を一対の押さえ型11間でかつチップ9とアンビル10との間に位置付けて、一対の押さえ型11同士及びチップ9とアンビル10とを互いに近づける。
【0053】
そして、固定部材によりチップ9及び他方の押さえ型11の移動を規制して、図9に示すように、この状態で、油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させて、チップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟み、かつ一対の押さえ型11間に複数の電線2の芯線4を挟む。こうして、油圧シリンダ12でこれらのチップ9とアンビル10とを互いに近づける方向に加圧した状態で、圧電振動子8を振動させてこの振動をチップ9を介して芯線4に付与する。
【0054】
こうして、まず、図9中に一方向としての矢印Tで示す電線2の芯線4同士が縦に重なる方向に沿って、チップ9とアンビル10との間に当該芯線4を挟んで、超音波振動を付与する。すると、金属で構成された芯線4同士が矢印Tに沿って互いに重なり合って接触しているので、これら矢印Tに沿って互いに重なる芯線4は、溶融しない状態で固相のまま互いに徐々に金属結合する。こうして、芯線4は、いわゆる超音波接合(超音波溶接ともいう)によって互いに接合される。
【0055】
そして、制御回路14は、予め定められた加圧力で油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させ、予め定められた時間圧電振動子8を振動させ、かつ変位センサ13が予め定められた変位量、アンビル10などが移動したことを検出すると、圧電振動子8の振動を停止させ、固定部材の移動の規制を解除して、図10に示すように、チップ9とアンビル10とを互いに遠ざけ、一対の押さえ型11を互いに遠ざける。そして、モータ17を駆動して、図11に示すように、回転テーブル24即ちチップ9及びアンビル10と一対の押さえ型11を軸芯Pを中心として90度回転させる。
【0056】
そして、一対の押さえ型11同士及びチップ9とアンビル10とを互いに近づけ、固定部材によりチップ9及び他方の押さえ型11の移動を規制して、図12に示すように、この状態で、油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させて、チップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟み、かつ一対の押さえ型11間に複数の電線2の芯線4を挟む。
【0057】
こうして、油圧シリンダ12でこれらのチップ9とアンビル10とを互いに近づける方向に加圧した状態で、圧電振動子8を振動させてこの振動をチップ9を介して芯線4に付与する。こうして、前述した矢印Tに対して交差(図示例では直交)する他の方向としての図12中に矢印Yで示す電線2の芯線4同士が横に重なる方向に沿って、チップ9とアンビル10との間に当該芯線4を挟んで、超音波振動を付与する。すると、金属で構成された芯線4同士が矢印Yに沿って互いに重なり合って接触しているので、これらの矢印Yに沿って互いに重なる芯線4同士は、溶融しない状態で固相のまま互いに徐々に金属結合する。
【0058】
こうして、芯線4は、いわゆる超音波接合(超音波溶接ともいう)によって互いに接合される。こうして、超音波接合装置1は、一方向としての矢印Tに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与した後、矢印Tに対して交差(図示例では直交)する他の方向としての矢印Yに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与して、前記複数の電線2の芯線4同士を接合する。
【0059】
そして、制御回路14は、予め定められた加圧力で油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させ、予め定められた時間圧電振動子8を振動させ、かつ変位センサ13が予め定められた変位量、アンビル10などが移動したことを検出すると、圧電振動子8の振動を停止させ、固定部材の移動の規制を解除して、チップ9とアンビル10とを互いに遠ざけ、一対の押さえ型11を互いに遠ざける。そして、モータ17を駆動して、図8に示す初期位置まで回転テーブル24を軸芯Pを中心として90度回転させる。こうして、芯線4同士の接合が完了した複数の電線2を電線保持治具6から取り外し、前述した構成を繰り返して、次の複数の電線2の芯線4同士を接合する。
【0060】
本実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様に、矢印Tに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与した後に、矢印Tに対して交差する矢印Yに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与するので、前述した矢印T,Y双方に沿って並ぶ複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。このために、一方向のみに電線2を並べる必要が無く、一度に多数の本数の電線2の芯線4同士を接合できる。よって、一度に接合できる電線2の本数が限定されることなく、複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、回転機構7がチップ9及びアンビル10を回転させるので、矢印T,Yの双方に沿って、複数の電線2の芯線4に超音波振動を付与することができる。よって、矢印T,Yの双方に沿って並ぶ複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。
【0062】
次に、本発明の第3の実施形態にかかる超音波接合装置を、図13及び図14に基づいて説明する。なお、本実施形態において、前述した第1の実施形態及び第2の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
本実施形態では、超音波接合装置1は、電線保持治具6が装置本体5に固定され、回転機構7を設けずに、前述したチップ9とアンビル10とで構成される第1接合装置25と、互いに相対した第2チップ26と第2アンビル27とで構成される第2接合装置28とを備えている。第2チップ26と第2アンビル27とは、水平方向に沿って互いに間隔をあけて配置されかつ互いに接離自在に設けられている。なお、第2チップ26と第2アンビル27との構成は、チップ9とアンビル10の構成と等しいので説明を省略する。なお、第1接合装置25のチップ9とアンビル10とが複数の電線2の芯線4を挟む方向と、第2接合装置28の第2チップ26と第2アンビル27とが複数の電線2の芯線4を挟む方向とは、互いに交差(図示例では、直交)する。
【0064】
本実施形態の超音波接合装置1は、以下に示すように、複数の電線2の芯線4同士を接合する。まず、チップ9,26とアンビル10,27とを互いに遠ざけておき、電線保持治具6に複数の電線2を縦横に重ねて保持する。そして、前記複数の電線2の端末で露出した芯線4をチップ9,26とアンビル10,27との間に位置付けて、チップ9,26とアンビル10,27とを互いに近づける。
【0065】
そして、固定部材によりチップ9,26の移動を規制して、油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させて、チップ9,26とアンビル10,27との間に複数の電線2の芯線4を挟む。こうして、油圧シリンダ12でこれらのチップ9,26とアンビル10,27とを互いに近づける方向に加圧した状態で、第1接合装置25の圧電振動子8を振動させてこの振動をチップ9を介して芯線4に付与する。
【0066】
こうして、まず、矢印Tで示す電線2の芯線4同士が縦に重なる方向に沿って、チップ9とアンビル10との間に当該芯線4を挟んで、超音波振動を付与する。すると、金属で構成された芯線4同士が矢印Tに沿って互いに重なり合って接触しているので、これら矢印Tに沿って互いに重なる芯線4は、溶融しない状態で固相のまま互いに徐々に金属結合する。こうして、芯線4は、いわゆる超音波接合(超音波溶接ともいう)によって互いに接合される。
【0067】
そして、制御回路14は、予め定められた加圧力で油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させ、予め定められた時間圧電振動子8を振動させ、かつ変位センサ13が予め定められた変位量、アンビル10などが移動したことを検出すると、第1接合装置25の圧電振動子8の振動を停止させて、油圧シリンダ12でこれらのチップ9,26とアンビル10,27とを互いに近づける方向に加圧した状態で、第2接合装置28の圧電振動子8を振動させてこの振動をチップ9を介して芯線4に付与する。
【0068】
こうして、前述した矢印Tに対して交差(図示例では直交)する矢印Yで示す電線2の芯線4同士が横に重なる方向に沿って、第2チップ26と第2アンビル27との間に当該芯線4を挟んで、超音波振動を付与する。すると、金属で構成された芯線4同士が矢印Yに沿って互いに重なり合って接触しているので、これらの矢印Yに沿って互いに重なる芯線4同士は、溶融しない状態で固相のまま互いに徐々に金属結合する。
【0069】
こうして、芯線4は、いわゆる超音波接合(超音波溶接ともいう)によって互いに接合される。こうして、超音波接合装置1は、制御回路14が第1接合装置25に一方向としての矢印Tに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与させた後、第2接合装置28に矢印Tに対して交差(図示例では直交)する他の方向としての矢印Yに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与させて、前記複数の電線2の芯線4同士を接合する。
【0070】
そして、制御回路14は、予め定められた加圧力で油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させ、予め定められた時間圧電振動子8を振動させ、かつ変位センサ13が予め定められた変位量、第2アンビル27などが移動したことを検出すると、第2接合装置28の圧電振動子8の振動を停止させ、固定部材の移動の規制を解除して、第2チップ26と第2アンビル27とを互いに遠ざける。こうして、芯線4同士の接合が完了した複数の電線2を電線保持治具6から取り外し、前述した構成を繰り返して、次の複数の電線2の芯線4同士を接合する。
【0071】
本実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様に、矢印Tに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与した後に、矢印Tに対して交差する矢印Yに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与するので、前述した矢印T,Y双方に沿って並ぶ複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。このために、一方向のみに電線2を並べる必要が無く、一度に多数の本数の電線2の芯線4同士を接合できる。よって、一度に接合できる電線2の本数が限定されることなく、複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、チップ9,25とアンビル10,28との間に複数の電線2の芯線4を挟む方向が互いに直交する第1接合装置25及び第2接合装置28を備えているので、これらの接合装置25,28により順に超音波振動を前述した複数の電線2の芯線4に付与することで、互いに交差する矢印T,Yに沿って、複数の電線2の芯線4に超音波振動を付与することができる。このために、矢印T,Yの双方に沿って並ぶ複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができ。
【0073】
また、前述した実施形態では、矢印T,Yを互いに直交させてきた。しかしながら、本発明では、矢印T,Yを互いに交差させればよい。
【0074】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 超音波接合装置
2 電線
3 被覆部
4 芯線
7 回転機構
9 チップ
10 アンビル
25 第1接合装置
26 第2チップ
27 第2アンビル
28 第2接合装置
T 一方向
Y 他の方向
P 軸芯
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波接合方法及びその装置に係り、特に、複数の電線それぞれの一部の被覆部を剥がして露出された芯線同士を超音波接合する超音波接合方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した従来の超音波接合方法としては、例えば、撚り線を構成する複数の芯線同士を接合する特許文献1の超音波接合方法を適用したものが提案されている。
【0003】
特許文献1に示された超音波接合方法は、まず複数の電線それぞれの被覆部の一部を剥がして芯線を露出させ、これらの露出した芯線を一対の押さえ型間に挿入してチップとアンビルとの間に挟み、チップをアンビルに向かって加圧しながら当該チップを超音波振動させて、芯線同士を超音波接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−95293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の超音波接合方法では、前述した電線が増加すると、前記チップと前記アンビルとが相対する方向(前記チップと前記アンビルとが複数の電線の芯線を挟む方向)に沿って並ぶ芯線は、前述したチップの加圧力により、互いに確実に接合されるが、前記チップと前記アンビルとが相対する方向に対して直交する方向に沿って並ぶ芯線同士は、前述したチップの加圧力が作用しないために、接合が不完全な状態になることが多い。
【0006】
このために、前述した押さえ型間の間隔を、電線の芯線の外径の2倍よりも狭い間隔として、複数の電線の芯線が前記チップと前記アンビルとが相対する方向に対して直交する方向に沿って並ばないようにすることが提案されている。この場合、電線が増加すると、前記チップと前記アンビルとが相対する方向に沿って、多くの電線の芯線が並ぶこととなって、チップの振動がアンビル側に伝わりにくくなり、一部の電線の芯線同士の接合状況が不完全になる場合があった。このために、一度に接合できる電線の本数が限られてしまう傾向にあった。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、一度に接合できる電線の本数が限定されることなく、複数の電線の芯線同士を確実に接合できる超音波接合方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の超音波接合方法は、複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出した芯線を超音波振動されるチップとアンビルとの間に挟んで、前記複数の電線の芯線同士を接合する電線の接合方法において、一方向に沿って前記チップと前記アンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与した後、前記一方向に対して交差する他の方向に沿って前記チップと前記アンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与して、前記複数の電線の芯線同士を接合することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の本発明の超音波接合装置は、超音波振動されるチップと、このチップとの間に複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出した芯線を挟むアンビルと、を備えた超音波接合装置において、前記複数の電線間の中心を通る軸芯周りに、前記チップ及びアンビルと、前記複数の電線とを相対的に回転させる回転機構を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の本発明の超音波接合装置は、請求項2記載の超音波接合装置において、前記回転機構は、前記複数の電線を回転させることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の本発明の超音波接合装置は、請求項3記載の超音波接合装置において、前記回転機構は、前記チップ及びアンビルを回転させることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の本発明の超音波接合装置は、超音波振動されるチップと、このチップとの間に複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出した芯線を挟むアンビルと、を備えた第1接合装置と、超音波振動される第2チップと、この第2チップとの間に複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出しかつ前記第1接合装置のチップとアンビルとの間に挟まれた芯線を挟む第2アンビルと、を備え、前記第2チップと前記第2アンビルとが前記複数の電線の芯線を挟む方向が、前記第1接合装置の前記チップと前記アンビルとが前記複数の電線の芯線を挟む方向と交差する第2接合装置とを備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項1記載の本発明によれば、一方向に沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与した後に、一方向に対して交差する他の方向に沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与するので、前述した一方向と他の方向との双方に沿って並ぶ複数の電線の芯線同士を確実に接合することができる。
【0014】
請求項2記載の本発明によれば、複数の電線の芯線を中心として、チップ及びアンビルと複数の電線とを相対的に回転させる回転機構を備えているので、一方向に沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与した後に、一方向に対して交差する他の方向に沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与することができる。このために、前述した一方向と他の方向との双方に沿って並ぶ複数の電線の芯線同士を確実に接合することができる。
【0015】
請求項3記載の本発明によれば、回転機構が複数の電線を回転させるので、チップ及びアンビルを回転させる場合と比較して当該回転機構の小型化を図ることができる。
【0016】
請求項4記載の本発明によれば、回転機構がチップ及びアンビルを回転させるので、一方向と他の方向との双方に沿って、複数の電線の芯線に超音波振動を付与することができる。
【0017】
請求項5記載の本発明によれば、チップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟む方向が互いに交差する第1接合装置及び第2接合装置を備えているので、これらの接合装置により順に超音波振動を前述した複数の電線の芯線に付与することで、互いに異なる二方向に沿って、複数の電線の芯線に超音波振動を付与することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように請求項1記載の本発明は、一方向と他の方向との双方に沿って並ぶ複数の電線の芯線同士を確実に接合することができるので、一方向のみに電線を並べる必要が無く、一度に多数の本数の電線の芯線同士を接合できる。よって、一度に接合できる電線の本数が限定されることなく、複数の電線の芯線同士を確実に接合することができる。
【0019】
請求項2記載の本発明は、一方向と他の方向との双方に沿って並ぶ複数の電線の芯線同士を確実に接合することができるので、一方向のみに電線を並べる必要が無く、一度に多数の本数の電線の芯線同士を接合できる。よって、一度に接合できる電線の本数が限定されることなく、複数の電線の芯線同士を確実に接合することができる。
【0020】
請求項3記載の本発明は、チップ及びアンビルを回転させる場合と比較して当該回転機構の小型化を図ることができ、低コスト化を図ることができる。
【0021】
請求項4記載の本発明は、一方向と他の方向との双方に沿って複数の電線の芯線に超音波振動を付与することができるので、一方向と他の方向との双方に沿って並ぶ複数の電線の芯線同士を確実に接合することができ、一方向のみに電線を並べる必要が無いので、一度に多数の本数の電線の芯線同士を接合できる。よって、一度に接合できる電線の本数が限定されることなく、複数の電線の芯線同士を確実に接合することができる。
【0022】
請求項5記載の本発明は、互いに異なる二方向に沿って、複数の電線の芯線に超音波振動を付与することができるので、一方向と他の方向との双方に沿って並ぶ複数の電線の芯線同士を確実に接合することができ、一方向のみに電線を並べる必要が無いので、一度に多数の本数の電線の芯線同士を接合できる。よって、一度に接合できる電線の本数が限定されることなく、複数の電線の芯線同士を確実に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる超音波接合装置により接合される電線の斜視図である。
【図2】図1に示された電線の芯線が複数接合された状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる超音波接合装置を模式的に示す説明図である。
【図4】図3に示された超音波接合装置が矢印Tに沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与している状態を模式的に示す説明図である。
【図5】図4に示された超音波接合装置のチップとアンビルとが離れ一対の押さえ型が互いに離れた状態を模式的に示す説明図である。
【図6】図5に示された超音波接合装置の回転機構が複数の電線を90度回転した状態を模式的に示す説明図である。
【図7】図6に示された超音波接合装置が矢印Yに沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与している状態を模式的に示す説明図である。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかる超音波接合装置を模式的に示す説明図である。
【図9】図9に示された超音波接合装置が矢印Tに沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与している状態を模式的に示す説明図である。
【図10】図9に示された超音波接合装置のチップとアンビルとが離れ一対の押さえ型が互いに離れた状態を模式的に示す説明図である。
【図11】図10に示された超音波接合装置の回転機構がチップ及びアンビルと一対の押さえ型を90度回転した状態を模式的に示す説明図である。
【図12】図11に示された超音波接合装置が矢印Yに沿ってチップとアンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与している状態を模式的に示す説明図である。
【図13】本発明の第3の実施形態にかかる超音波接合装置を模式的に示す説明図である。
【図14】図13に示された超音波接合装置が矢印Tに沿ってチップとアンビルとの間と第2チップと第2アンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与している状態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の第1の実施形態にかかる超音波接合装置を、図1乃至図7に基づいて説明する。
【0025】
まず、本発明の超音波接合方法に用いられる図3に示す超音波接合装置1は、図1に示す電線2の一部の被覆部3が除去された露出した芯線4同士を接合する装置である。電線2は、勿論、導電性の芯線4と、この芯線4を被覆した絶縁性の被覆部3とを備えた所謂被覆電線である。芯線4は、勿論、金属からなる素線が複数束ねられて構成されている。図示例では、電線2は、一部としてのその端末に位置する被覆部3が除去されて、端末に位置する芯線4の一部が露出している。図3に示す超音波接合装置1は、図2に示すように、複数の電線2の端末で露出した芯線4同士を縦横に同数又は略同数並べた状態で、これら複数の電線2の芯線4同士を接合する装置である。
【0026】
超音波接合装置1は、図3に示すように、装置本体5と、電線保持治具6と、回転機構7と、駆動源としての圧電振動子8と、チップ9(工具ホーンともいう)と、このチップ9に相対するアンビル10と、一対の押さえ型11と、加圧手段としての一対の油圧シリンダ12と、一対の変位センサ13と、制御手段としての制御回路14とを備えている。
【0027】
装置本体5は、工場のフロア上などに設置される。電線保持治具6は、前述した複数の電線2を縦横に重ねて保持する幅広のスリット15が設けられている。スリット15は、内側に前述した電線2を複数縦横に重ねて挿入されて、当該複数の電線2を保持する。また、電線保持治具6は、複数の電線2間の中心を通りかつこれら電線2の長手方向に沿う軸芯P(図3には点で示す)を中心として回転自在に装置本体5に支持されている。また、電線保持治具6は、その外縁が、前述した軸芯Pを中心とした円形に形成されている。
【0028】
回転機構7は、電線保持治具6の外縁に設けられた歯16と、電線保持治具6を回転させるためのモータ17とを備えている。モータ17は、その本体が装置本体5に固定され、出力軸に前述した歯16と噛み合う歯車18が取り付けられている。モータ17は、その出力軸を回転することで、電線保持治具6を軸芯Pを中心として回転させる。回転機構7は、モータ17が電線保持治具6を回転させることで、この電線保持治具6と、チップ9及びアンビル10とを前述した軸芯Pを中心として相対的に回転させる。
【0029】
圧電振動子8は、図示しない電源などにより印加されて、例えば周波数が10kHzから80kHzで振動(超音波振動)する。チップ9は、圧電振動子8に取り付けられている。このため、圧電振動子8は、チップ9を振動(超音波振動)させる。なお、超音波振動とは、圧電振動子8に電圧を印加して、この圧電振動子8が振動などして、電気的なエネルギーを機械的な振動に変換して得られる振動をいう。
【0030】
アンビル10は、図3では、鉛直方向に沿って、チップ9と相対して設けられている。また、チップ9とアンビル10とは、それぞれが鉛直方向に沿ってスライド自在に装置本体5に支持されており、互いに接離自在となっている。又、チップ9とアンビル10の互いに相対する面は、これらが互いに相対する方向に対して直交する方向に沿って平坦に形成されている。チップ9とアンビル10は、互いの間に、接合対象物としての電線保持治具6に保持された複数の電線2の前述した端末で露出した芯線4を挟むことができる。このため、チップ9とアンビル10とは、図示例では鉛直方向に沿って互いの間に複数の電線2の芯線4を挟む。
【0031】
押さえ型11は、一対設けられている。一対の押さえ型11は、図示例では、水平方向に間隔をあけて相対して設けられている。一対の押さえ型11は、それぞれが水平方向に沿ってスライド自在に装置本体5に支持されており、互いに接離自在となっている。又、一対の押さえ型11の互いに相対する面は、これらが互いに相対する方向に対して直交する方向に沿って平坦に形成されている。一対の押さえ型11は、互いの間に、接合対象物としての電線保持治具6に保持されかつチップ9とアンビル10との間に挟まれた複数の電線2の前述した端末で露出した芯線4を挟むことができる。このため、一対の押さえ型11は、図示例では水平方向に沿って互いの間に複数の電線2の芯線4を挟む。
【0032】
油圧シリンダ12は、それぞれ、装置本体5に取り付けられたシリンダ本体19と、このシリンダ本体19から伸縮自在に設けられた伸縮ロッド20とを備えている。一方の油圧シリンダ12は、伸縮ロッド20が鉛直方向と平行に配置されて、当該伸縮ロッド20がアンビル10に取り付けられている。油圧シリンダ12は、伸縮ロッド20が伸張することで、アンビル10をチップ9に近づく方向に加圧する。また、チップ9は、図示しない固定部材によりその位置が規制された状態となることができる。
【0033】
他方の油圧シリンダ12は、伸縮ロッド20が水平方向と平行に配置されて、当該伸縮ロッド20が一方の押さえ型11に取り付けられている。油圧シリンダ12は、伸縮ロッド20が伸張することで、一方の押さえ型11を他方の押さえ型11に近づく方向に加圧する。また、他方の押さえ型11は、図示しない固定部材によりその位置が規制された状態となることができる。
【0034】
一対の変位センサ13は、それぞれ、可動鉄心21と、装置本体5に固定されかつ可動鉄心21に巻かれたコイル22と、このコイル22に生じる可動鉄心21の移動に応じた誘導電圧からアンビル10及び押さえ型11の移動量を検出する検出回路23とを備えている。
【0035】
一方の変位センサ13は、可動鉄心21が鉛直方向と平行に配置されて、当該可動鉄心21がアンビル10に取り付けられている。変位センサ13は、可動鉄心21がコイル22に対して移動し、検出回路23がこの可動鉄心21の移動量を検出することで、アンビル10とチップ9との相対的な変位を測定する。
【0036】
他方の変位センサ13は、可動鉄心21が水平方向と平行に配置されて、当該可動鉄心21が一方の押さえ型11に取り付けられている。変位センサ13は、可動鉄心21がコイル22に対して移動し、検出回路23がこの可動鉄心21の移動量を検出することで、一対の押さえ型11の相対的な変位を測定する。なお、本発明では、変位センサ13としては、上述した接触式変位センサだけでなく非接触式などの従来公知の種々の変位センサを用いても良い。
【0037】
制御回路14は、圧電振動子8、油圧シリンダ12、変位センサ13及びモータ17と接続して、これらの動作を制御することで、超音波接合装置1全体の制御をつかさどる。
【0038】
前述した構成の超音波接合装置1は、以下に示すように、複数の電線2の芯線4同士を接合する。まず、チップ9とアンビル10とを互いに遠ざけ、一対の押さえ型11を互いに遠ざけておき、電線保持治具6に複数の電線2を縦横に同数又は略同数重ねて保持する。そして、前記複数の電線2の端末で露出した芯線4を一対の押さえ型11間でかつチップ9とアンビル10との間に位置付けて、一対の押さえ型11同士及びチップ9とアンビル10とを互いに近づける。
【0039】
そして、固定部材によりチップ9及び他方の押さえ型11の移動を規制して、図4に示すように、この状態で、油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を振動させて、チップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟み、かつ一対の押さえ型11間に複数の電線2の芯線4を挟む。こうして、油圧シリンダ12でこれらのチップ9とアンビル10とを互いに近づける方向に加圧した状態で、圧電振動子8を振動させてこの振動をチップ9を介して芯線4に付与する。
【0040】
こうして、まず、図4中に一方向としての矢印Tで示す電線2の芯線4同士が縦に重なる方向に沿って、チップ9とアンビル10との間に当該芯線4を挟んで、超音波振動を付与する。すると、金属で構成された芯線4同士が矢印Tに沿って互いに重なり合って接触しているので、これら矢印Tに沿って互いに重なる芯線4は、溶融しない状態で固相のまま互いに徐々に金属結合する。こうして、芯線4は、いわゆる超音波接合(超音波溶接ともいう)によって互いに接合される。
【0041】
そして、制御回路14は、予め定められた加圧力で油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させ、予め定められた時間圧電振動子8を振動させ、かつ変位センサ13が予め定められた変位量、アンビル10などが移動したことを検出すると、圧電振動子8の振動を停止させ、固定部材の移動の規制を解除して、図5に示すように、チップ9とアンビル10とを互いに遠ざけ、一対の押さえ型11を互いに遠ざける。そして、モータ17を駆動して、図6に示すように、電線保持治具6を軸芯Pを中心として90度回転させる。
【0042】
そして、一対の押さえ型11同士及びチップ9とアンビル10とを互いに近づけ、固定部材によりチップ9及び他方の押さえ型11の移動を規制して、図7に示すように、この状態で、油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させて、チップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟み、かつ一対の押さえ型11間に複数の電線2の芯線4を挟む。こうして、油圧シリンダ12でこれらのチップ9とアンビル10とを互いに近づける方向に加圧した状態で、圧電振動子8を振動させてこの振動をチップ9を介して芯線4に付与する。
【0043】
こうして、前述した矢印Tに対して交差(図示例では直交)する他の方向としての図7中に矢印Yで示す電線2の芯線4同士が横に重なる方向に沿って、チップ9とアンビル10との間に当該芯線4を挟んで、超音波振動を付与する。すると、金属で構成された芯線4同士が矢印Yに沿って互いに重なり合って接触しているので、これら矢印Yに沿って互いに重なる芯線4は、溶融しない状態で固相のまま互いに徐々に金属結合する。
【0044】
こうして、芯線4は、いわゆる超音波接合(超音波溶接ともいう)によって互いに接合される。こうして、超音波接合装置1は、一方向としての矢印Tに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与した後、矢印Tに対して交差(図示例では直交)する他の方向としての矢印Yに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与して、前記複数の電線2の芯線4同士を接合する。
【0045】
そして、制御回路14は、予め定められた加圧力で油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させ、予め定められた時間圧電振動子8を振動させ、かつ変位センサ13が予め定められた変位量、アンビル10などが移動したことを検出すると、圧電振動子8の振動を停止させ、固定部材の移動の規制を解除して、チップ9とアンビル10とを互いに遠ざけ、一対の押さえ型11を互いに遠ざける。そして、モータ17を駆動して、図2に示す初期位置まで電線保持治具6を軸芯Pを中心として90度回転させる。こうして、芯線4同士の接合が完了した複数の電線2を電線保持治具6から取り外し、前述した構成を繰り返して、次の複数の電線2の芯線4同士を接合する。
【0046】
本実施形態によれば、矢印Tに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与した後に、矢印Tに対して交差する矢印Yに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与するので、前述した矢印T,Y双方に沿って並ぶ複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。このために、一方向のみに電線2を並べる必要が無く、一度に多数の本数の電線2の芯線4同士を接合できる。よって、一度に接合できる電線2の本数が限定されることなく、複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。
【0047】
また、回転機構7を備えているので、矢印Tに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与した後に、矢印Tに対して交差する矢印Yに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与することができる。このために、前述した矢印T,Y双方に沿って並ぶ複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。
【0048】
また、回転機構7が複数の電線2を回転させるので、チップ9及びアンビル10を回転させる場合と比較して当該回転機構7の小型化を図ることができる。よって、装置の小型化と低コスト化を図ることができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施形態にかかる超音波接合装置を、図8乃至図12に基づいて説明する。なお、本実施形態において、前述した第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
本実施形態では、電線保持治具6が装置本体5に固定され、回転機構7が、図8に示すように、前述したモータ17の駆動力により前述した軸芯P(図8中に点で示す)周りに回転される回転テーブル24(図8中に二点鎖線で示す)を備えている。回転テーブル24は、油圧シリンダ12のシリンダ本体19及び変位センサ13のコイル22が取り付けられており、チップ9とアンビル10とを互いに接離自在に支持しているとともに、一対の押さえ型11を互いに接離自在に支持している。更に、回転機構7の歯16は、回転テーブル24の外縁に設けられている。
【0051】
本実施形態では、回転機構7は、モータ17の駆動力により軸芯Pを中心として回転テーブル24を回転させる。回転機構7は、モータ17が回転テーブル24を回転させることで、この電線保持治具6と、チップ9及びアンビル10とを前述した軸芯Pを中心として相対的に回転させる。
【0052】
本実施形態の超音波接合装置1は、以下に示すように、複数の電線2の芯線4同士を接合する。まず、チップ9とアンビル10とを互いに遠ざけ、一対の押さえ型11を互いに遠ざけておき、電線保持治具6に複数の電線2を縦横に重ねて保持する。そして、前記複数の電線2の端末で露出した芯線4を一対の押さえ型11間でかつチップ9とアンビル10との間に位置付けて、一対の押さえ型11同士及びチップ9とアンビル10とを互いに近づける。
【0053】
そして、固定部材によりチップ9及び他方の押さえ型11の移動を規制して、図9に示すように、この状態で、油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させて、チップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟み、かつ一対の押さえ型11間に複数の電線2の芯線4を挟む。こうして、油圧シリンダ12でこれらのチップ9とアンビル10とを互いに近づける方向に加圧した状態で、圧電振動子8を振動させてこの振動をチップ9を介して芯線4に付与する。
【0054】
こうして、まず、図9中に一方向としての矢印Tで示す電線2の芯線4同士が縦に重なる方向に沿って、チップ9とアンビル10との間に当該芯線4を挟んで、超音波振動を付与する。すると、金属で構成された芯線4同士が矢印Tに沿って互いに重なり合って接触しているので、これら矢印Tに沿って互いに重なる芯線4は、溶融しない状態で固相のまま互いに徐々に金属結合する。こうして、芯線4は、いわゆる超音波接合(超音波溶接ともいう)によって互いに接合される。
【0055】
そして、制御回路14は、予め定められた加圧力で油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させ、予め定められた時間圧電振動子8を振動させ、かつ変位センサ13が予め定められた変位量、アンビル10などが移動したことを検出すると、圧電振動子8の振動を停止させ、固定部材の移動の規制を解除して、図10に示すように、チップ9とアンビル10とを互いに遠ざけ、一対の押さえ型11を互いに遠ざける。そして、モータ17を駆動して、図11に示すように、回転テーブル24即ちチップ9及びアンビル10と一対の押さえ型11を軸芯Pを中心として90度回転させる。
【0056】
そして、一対の押さえ型11同士及びチップ9とアンビル10とを互いに近づけ、固定部材によりチップ9及び他方の押さえ型11の移動を規制して、図12に示すように、この状態で、油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させて、チップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟み、かつ一対の押さえ型11間に複数の電線2の芯線4を挟む。
【0057】
こうして、油圧シリンダ12でこれらのチップ9とアンビル10とを互いに近づける方向に加圧した状態で、圧電振動子8を振動させてこの振動をチップ9を介して芯線4に付与する。こうして、前述した矢印Tに対して交差(図示例では直交)する他の方向としての図12中に矢印Yで示す電線2の芯線4同士が横に重なる方向に沿って、チップ9とアンビル10との間に当該芯線4を挟んで、超音波振動を付与する。すると、金属で構成された芯線4同士が矢印Yに沿って互いに重なり合って接触しているので、これらの矢印Yに沿って互いに重なる芯線4同士は、溶融しない状態で固相のまま互いに徐々に金属結合する。
【0058】
こうして、芯線4は、いわゆる超音波接合(超音波溶接ともいう)によって互いに接合される。こうして、超音波接合装置1は、一方向としての矢印Tに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与した後、矢印Tに対して交差(図示例では直交)する他の方向としての矢印Yに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与して、前記複数の電線2の芯線4同士を接合する。
【0059】
そして、制御回路14は、予め定められた加圧力で油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させ、予め定められた時間圧電振動子8を振動させ、かつ変位センサ13が予め定められた変位量、アンビル10などが移動したことを検出すると、圧電振動子8の振動を停止させ、固定部材の移動の規制を解除して、チップ9とアンビル10とを互いに遠ざけ、一対の押さえ型11を互いに遠ざける。そして、モータ17を駆動して、図8に示す初期位置まで回転テーブル24を軸芯Pを中心として90度回転させる。こうして、芯線4同士の接合が完了した複数の電線2を電線保持治具6から取り外し、前述した構成を繰り返して、次の複数の電線2の芯線4同士を接合する。
【0060】
本実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様に、矢印Tに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与した後に、矢印Tに対して交差する矢印Yに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与するので、前述した矢印T,Y双方に沿って並ぶ複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。このために、一方向のみに電線2を並べる必要が無く、一度に多数の本数の電線2の芯線4同士を接合できる。よって、一度に接合できる電線2の本数が限定されることなく、複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、回転機構7がチップ9及びアンビル10を回転させるので、矢印T,Yの双方に沿って、複数の電線2の芯線4に超音波振動を付与することができる。よって、矢印T,Yの双方に沿って並ぶ複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。
【0062】
次に、本発明の第3の実施形態にかかる超音波接合装置を、図13及び図14に基づいて説明する。なお、本実施形態において、前述した第1の実施形態及び第2の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
本実施形態では、超音波接合装置1は、電線保持治具6が装置本体5に固定され、回転機構7を設けずに、前述したチップ9とアンビル10とで構成される第1接合装置25と、互いに相対した第2チップ26と第2アンビル27とで構成される第2接合装置28とを備えている。第2チップ26と第2アンビル27とは、水平方向に沿って互いに間隔をあけて配置されかつ互いに接離自在に設けられている。なお、第2チップ26と第2アンビル27との構成は、チップ9とアンビル10の構成と等しいので説明を省略する。なお、第1接合装置25のチップ9とアンビル10とが複数の電線2の芯線4を挟む方向と、第2接合装置28の第2チップ26と第2アンビル27とが複数の電線2の芯線4を挟む方向とは、互いに交差(図示例では、直交)する。
【0064】
本実施形態の超音波接合装置1は、以下に示すように、複数の電線2の芯線4同士を接合する。まず、チップ9,26とアンビル10,27とを互いに遠ざけておき、電線保持治具6に複数の電線2を縦横に重ねて保持する。そして、前記複数の電線2の端末で露出した芯線4をチップ9,26とアンビル10,27との間に位置付けて、チップ9,26とアンビル10,27とを互いに近づける。
【0065】
そして、固定部材によりチップ9,26の移動を規制して、油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させて、チップ9,26とアンビル10,27との間に複数の電線2の芯線4を挟む。こうして、油圧シリンダ12でこれらのチップ9,26とアンビル10,27とを互いに近づける方向に加圧した状態で、第1接合装置25の圧電振動子8を振動させてこの振動をチップ9を介して芯線4に付与する。
【0066】
こうして、まず、矢印Tで示す電線2の芯線4同士が縦に重なる方向に沿って、チップ9とアンビル10との間に当該芯線4を挟んで、超音波振動を付与する。すると、金属で構成された芯線4同士が矢印Tに沿って互いに重なり合って接触しているので、これら矢印Tに沿って互いに重なる芯線4は、溶融しない状態で固相のまま互いに徐々に金属結合する。こうして、芯線4は、いわゆる超音波接合(超音波溶接ともいう)によって互いに接合される。
【0067】
そして、制御回路14は、予め定められた加圧力で油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させ、予め定められた時間圧電振動子8を振動させ、かつ変位センサ13が予め定められた変位量、アンビル10などが移動したことを検出すると、第1接合装置25の圧電振動子8の振動を停止させて、油圧シリンダ12でこれらのチップ9,26とアンビル10,27とを互いに近づける方向に加圧した状態で、第2接合装置28の圧電振動子8を振動させてこの振動をチップ9を介して芯線4に付与する。
【0068】
こうして、前述した矢印Tに対して交差(図示例では直交)する矢印Yで示す電線2の芯線4同士が横に重なる方向に沿って、第2チップ26と第2アンビル27との間に当該芯線4を挟んで、超音波振動を付与する。すると、金属で構成された芯線4同士が矢印Yに沿って互いに重なり合って接触しているので、これらの矢印Yに沿って互いに重なる芯線4同士は、溶融しない状態で固相のまま互いに徐々に金属結合する。
【0069】
こうして、芯線4は、いわゆる超音波接合(超音波溶接ともいう)によって互いに接合される。こうして、超音波接合装置1は、制御回路14が第1接合装置25に一方向としての矢印Tに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与させた後、第2接合装置28に矢印Tに対して交差(図示例では直交)する他の方向としての矢印Yに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与させて、前記複数の電線2の芯線4同士を接合する。
【0070】
そして、制御回路14は、予め定められた加圧力で油圧シリンダ12の伸縮ロッド20を伸張させ、予め定められた時間圧電振動子8を振動させ、かつ変位センサ13が予め定められた変位量、第2アンビル27などが移動したことを検出すると、第2接合装置28の圧電振動子8の振動を停止させ、固定部材の移動の規制を解除して、第2チップ26と第2アンビル27とを互いに遠ざける。こうして、芯線4同士の接合が完了した複数の電線2を電線保持治具6から取り外し、前述した構成を繰り返して、次の複数の電線2の芯線4同士を接合する。
【0071】
本実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様に、矢印Tに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与した後に、矢印Tに対して交差する矢印Yに沿ってチップ9とアンビル10との間に複数の電線2の芯線4を挟んで超音波振動を付与するので、前述した矢印T,Y双方に沿って並ぶ複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。このために、一方向のみに電線2を並べる必要が無く、一度に多数の本数の電線2の芯線4同士を接合できる。よって、一度に接合できる電線2の本数が限定されることなく、複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、チップ9,25とアンビル10,28との間に複数の電線2の芯線4を挟む方向が互いに直交する第1接合装置25及び第2接合装置28を備えているので、これらの接合装置25,28により順に超音波振動を前述した複数の電線2の芯線4に付与することで、互いに交差する矢印T,Yに沿って、複数の電線2の芯線4に超音波振動を付与することができる。このために、矢印T,Yの双方に沿って並ぶ複数の電線2の芯線4同士を確実に接合することができ。
【0073】
また、前述した実施形態では、矢印T,Yを互いに直交させてきた。しかしながら、本発明では、矢印T,Yを互いに交差させればよい。
【0074】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 超音波接合装置
2 電線
3 被覆部
4 芯線
7 回転機構
9 チップ
10 アンビル
25 第1接合装置
26 第2チップ
27 第2アンビル
28 第2接合装置
T 一方向
Y 他の方向
P 軸芯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出した芯線を超音波振動されるチップとアンビルとの間に挟んで、前記複数の電線の芯線同士を接合する電線の接合方法において、
一方向に沿って前記チップと前記アンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与した後、前記一方向に対して交差する他の方向に沿って前記チップと前記アンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与して、前記複数の電線の芯線同士を接合することを特徴とする電線の接合方法。
【請求項2】
超音波振動されるチップと、このチップとの間に複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出した芯線を挟むアンビルと、を備えた超音波接合装置において、
前記複数の電線間の中心を通る軸芯周りに、前記チップ及びアンビルと、前記複数の電線とを相対的に回転させる回転機構を備えたことを特徴とする超音波接合装置。
【請求項3】
前記回転機構は、前記複数の電線を回転させることを特徴とする請求項2記載の超音波接合装置。
【請求項4】
前記回転機構は、前記チップ及びアンビルを回転させることを特徴とする請求項2記載の超音波接合装置。
【請求項5】
超音波振動されるチップと、このチップとの間に複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出した芯線を挟むアンビルと、を備えた第1接合装置と、
超音波振動される第2チップと、この第2チップとの間に複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出しかつ前記第1接合装置のチップとアンビルとの間に挟まれた芯線を挟む第2アンビルと、を備え、前記第2チップと前記第2アンビルとが前記複数の電線の芯線を挟む方向が、前記第1接合装置の前記チップと前記アンビルとが前記複数の電線の芯線を挟む方向と交差する第2接合装置とを備えたことを特徴とする超音波接合装置。
【請求項1】
複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出した芯線を超音波振動されるチップとアンビルとの間に挟んで、前記複数の電線の芯線同士を接合する電線の接合方法において、
一方向に沿って前記チップと前記アンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与した後、前記一方向に対して交差する他の方向に沿って前記チップと前記アンビルとの間に複数の電線の芯線を挟んで超音波振動を付与して、前記複数の電線の芯線同士を接合することを特徴とする電線の接合方法。
【請求項2】
超音波振動されるチップと、このチップとの間に複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出した芯線を挟むアンビルと、を備えた超音波接合装置において、
前記複数の電線間の中心を通る軸芯周りに、前記チップ及びアンビルと、前記複数の電線とを相対的に回転させる回転機構を備えたことを特徴とする超音波接合装置。
【請求項3】
前記回転機構は、前記複数の電線を回転させることを特徴とする請求項2記載の超音波接合装置。
【請求項4】
前記回転機構は、前記チップ及びアンビルを回転させることを特徴とする請求項2記載の超音波接合装置。
【請求項5】
超音波振動されるチップと、このチップとの間に複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出した芯線を挟むアンビルと、を備えた第1接合装置と、
超音波振動される第2チップと、この第2チップとの間に複数の電線それぞれの一部の被覆部が除去されて露出しかつ前記第1接合装置のチップとアンビルとの間に挟まれた芯線を挟む第2アンビルと、を備え、前記第2チップと前記第2アンビルとが前記複数の電線の芯線を挟む方向が、前記第1接合装置の前記チップと前記アンビルとが前記複数の電線の芯線を挟む方向と交差する第2接合装置とを備えたことを特徴とする超音波接合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−218796(P2010−218796A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62436(P2009−62436)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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