超音波検知装置
【課題】振動子や駆動回路の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる超音波検知装置を提供すること。
【解決手段】超音波を送受信する振動子50と、振動子50を駆動する駆動回路40と、駆動回路40による振動子50の駆動を制御するものであり、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加するとともに、振動子50の残響を抑制するための制振パルスを送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路40に対して印加する制御回路10と、予め測定された振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に基づいて残響時間が所定値となるように設定された制振パルスのパルス幅twと制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間tdとからなる制振パルス条件が記憶された記憶部20とを備える。
【解決手段】超音波を送受信する振動子50と、振動子50を駆動する駆動回路40と、駆動回路40による振動子50の駆動を制御するものであり、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加するとともに、振動子50の残響を抑制するための制振パルスを送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路40に対して印加する制御回路10と、予め測定された振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に基づいて残響時間が所定値となるように設定された制振パルスのパルス幅twと制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間tdとからなる制振パルス条件が記憶された記憶部20とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、超音波を送信して、物体(例えば、障害物)から反射された反射波を受信することにより、物体の有無や物体からの距離を検知する超音波検知装置が知られている。
【0003】
このような超音波検知装置の一例として、特許文献1に開示された超音波送信器の駆動装置があった。この超音波送信器の駆動装置は、電圧信号から成る駆動信号を振動子に供給することで超音波を発生させるものである。そして、例えば、振動子に供給する電圧信号を制御する制御手段を備え、制御手段は、電圧が周期的に変化する駆動信号を振動子に供給した直後に駆動信号と逆位相の制御信号を振動子に供給し、振動子の残響を抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−85867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、超音波送信器の駆動装置においては、超音波を発生させるために振動子に対して駆動信号を供給した直後に、この駆動信号と逆位相の制御信号を振動子に供給している。しかしながら、振動子に対して駆動信号を供給した直後は、残響エネルギーが大きい。よって、振動子に対して駆動信号を供給した直後に(すなわち遅延時間無しで)、駆動信号と逆位相の制御信号を振動子に供給する場合、大きな電圧の制御信号を供給する必要があり効率が悪い。
【0006】
また、振動子は、一般に、等価直列インダクタ、等価直列コンデンサ、等価直列抵抗から成る直列共振回路と、等価並列コンデンサとの並列回路からなる等価回路で表される。また、駆動回路(ドライバ回路)には、振動子(等価並列コンデンサ)に並列に接続されたコンデンサや、トランスなどが用いられることがある。なお、これらの素子の素子定数は、使用する振動子の特性に合わせて残響時間が最小になるように選定している。
【0007】
ところで、超音波検知装置は、超音波の送信時に、等価直列インダクタや駆動回路のトランスに誘導エネルギーが蓄えられ、等価直列コンデンサや等価並列コンデンサや駆動回路のコンデンサに静電エネルギーが蓄えられる。そして、これらの誘導エネルギーや静電エネルギーは、送信終了後において等価直列抵抗などによって振動減衰する。超音波検知装置における残響は、この誘導エネルギーや静電エネルギーが等価直列抵抗によって振動減衰することによって生じる。よって、超音波検知装置における残響時間は、振動子や駆動回路における素子定数によって異なる。
【0008】
従って、超音波送信器の駆動装置は、振動子、駆動回路における素子定数が特定の値の場合は残響を抑制することができるが、素子定数が特定の値と異なる場合は残響を抑制することができない可能性がある。換言すると、超音波送信器の駆動装置は、特定の振動子と駆動回路の組み合わせの場合は残響を抑制することができるが、組み合わせが異なる場合は残響を抑制することができない可能性がある。このように、超音波送信器の駆動装置は、振動子、駆動回路の素子定数がばらついていた場合は残響を抑制することができない可能性がある。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、振動子や駆動回路の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる超音波検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1に記載の超音波検知装置は、
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
振動子を駆動する駆動回路と、
駆動回路による振動子の駆動を制御するものであり、振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路に対して印加する駆動手段と、振動子の残響を抑制するための制振パルスを送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
予め測定された振動子及び駆動回路に固有の素子定数に基づいて残響時間が所定値となるように設定された、制振パルスのパルス幅と、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とからなる制振パルス条件が記憶された第1記憶部と、を備え、
制振手段は、第1記憶部に記憶された制振パルス条件(パルス幅と遅延時間)に基づいて制振パルスを駆動回路に対して印加することを特徴とするものである。
【0011】
このように、予め測定された振動子及び駆動回路に固有の素子定数に基づいて設定された制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路に対して印加するので、振動子や駆動回路の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子及び駆動回路の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子と駆動回路の組み合わせが特定の振動子と駆動回路の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0012】
また、振動子や駆動回路の素子定数は、温度によって変動するものである。よって、超音波検知装置の周辺温度が変化すると残響時間も変化する。
【0013】
そこで、請求項2に示すように、
周辺温度を示す温度情報を取得する温度情報取得手段と、
予め測定された振動子及び駆動回路に固有の素子定数が記憶された第2記憶部と、
周辺温度と素子定数と遅延時間とパルス幅の複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けて記憶された第3記憶部と、を備え、
制御回路は、第2記憶部に記憶された素子定数と温度情報取得手段が取得した温度情報とに応じて、第3記憶部から所定の残響時間となる制振パルス条件を選択する選択手段を含み、
制振手段は、選択手段にて選択された制振パルス条件が第1記憶部に記憶された制振パルス条件と異なる場合は、選択手段にて選択された制振パルス条件に変更して制振パルスを駆動回路に対して印加するようにしてもよい。
【0014】
このようにすることで、超音波検知装置の周辺温度が変化した場合であっても、その温度において所定の残響時間となる制振パルス条件を選択することができる。つまり、周辺温度に応じて、残響時間を短縮できる制振パルス条件を選択することができる。そして、この制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路に対して印加するので、超音波検知装置の周辺温度が変化した場合であっても残響時間が長くなることを抑制できる。つまり、周辺温度に関係なく残響時間が長くなることを抑制できる。
【0015】
なお、第3記憶部に記憶されている複数の残響時間は、振動子の周辺温度と素子定数と遅延時間とパルス幅の複数の組み合わせで予め測定されたものである。よって、この残響時間の精度は、測定した組み合わせの数に依存する。
【0016】
従って、選択手段にて選択された制振パルス条件に関連付けられて第3記憶部に記憶されている残響時間と、この制振パルス条件を用いて制振パルスを印加した際に生じる実際の残響時間とは異なる可能性がある。
【0017】
そこで、請求項3に示すように、
振動子の残響時間を計測する残響計測手段を備え、
制御回路は、
第3記憶部から所定の時間的範囲内の残響時間と関連付けられた各制振パルス条件を抽出し、抽出した制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた制振パルスを駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
試し打ち手段にて駆動回路に対して印加した制振パルス毎に残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
制振手段は、検索手段にて検索された制振パルス条件が第1記憶部に記憶された制振パルス条件及び選択手段が選択した制振パルス条件と異なる場合は検索手段にて検索された制振パルス条件に変更して制振パルスを駆動回路に対して印加するようにしてもよい。
【0018】
このようにすることによって、実際の残響時間に基づいて検索された最も残響時間が短くなる制振パルス条件で、制振パルスを駆動回路に対して印加することができる。また、所定の時間的範囲内の複数の残響時間に関連付けられた各制振パルス条件に基づいて試し打ちを行うので、ある程度範囲を絞って試し打ちを行うことができる。よって、比較的短時間で最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索できるとともに、確実に残響時間を短くできるので好ましい。
【0019】
同様に、請求項4に示すように、
振動子の残響時間を計測する残響計測手段と、
周辺温度と素子定数と遅延時間とパルス幅の複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けて記憶された第3記憶部と、を備え、
制御回路は、
第3記憶部から所定の時間的範囲内の残響時間と関連付けられた各制振パルス条件を抽出し、抽出した制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた制振パルスを駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
試し打ち手段にて駆動回路に対して印加した制振パルス毎に残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
制振手段は、検索手段にて検索された制振パルス条件が第1記憶部に記憶された制振パルス条件と異なる場合は検索手段にて検索された制振パルス条件に変更して制振パルスを駆動回路に対して印加するようにしてもよい。このようにすることによって、請求項3と同様の効果を奏することができる。
【0020】
上記目的を達成するために請求項5に記載の超音波検知装置は、
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
振動子を駆動する駆動回路と、
駆動回路による振動子の駆動を制御するものであり、振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路に対して印加する駆動手段と、振動子の残響を抑制するための制振パルスを送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
振動子の残響時間を計測する残響計測手段と、
振動子及び駆動回路に固有の素子定数に対応した制振パルスのパルス幅と、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とを含む制振パルス条件が複数記憶された第4記憶部と、を備え、
第4記憶部に記憶された各制振パルス条件におけるパルス幅と遅延時間とは、予め測定された残響時間が所定範囲となる値であり、
制御回路は、
第4記憶部に記憶された制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた制振パルスを前記駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
試し打ち手段にて駆動回路に対して印加した制振パルス毎に残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
制振手段は、検索手段にて検索された制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路に対して印加することを特徴とする。
【0021】
このように、振動子及び駆動回路に固有の素子定数に対応した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路に対して印加するので、振動子や駆動回路の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子及び駆動回路の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子と駆動回路の組み合わせが特定の振動子と駆動回路の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0022】
また、このようにすることによって、実際の残響時間に基づいて検索された最も残響時間が短くなる制振パルス条件で、制振パルスを駆動回路に対して印加することができる。さらに、予め測定された残響時間が所定範囲となる各制振パルス条件(パルス幅、遅延時間)に基づいて試し打ちを行うので、ある程度範囲を絞って試し打ちを行うことができる。よって、比較的短時間で最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索できるとともに、確実に残響時間を短くできるので好ましい。
【0023】
上記目的を達成するために請求項6に記載の超音波検知装置は、
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
振動子を駆動する駆動回路と、
駆動回路による振動子の駆動を制御するものであり、振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路に対して印加する駆動手段と、振動子の残響を抑制するための制振パルスを送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
周辺温度を示す温度情報を取得する温度情報取得手段と、
振動子及び駆動回路に固有の素子定数に対応した制振パルスのパルス幅と、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とを含む制振パルス条件が複数記憶された第5記憶部と、を備え、
第5記憶部に記憶された各制振パルス条件は、予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となる前記パルス幅と遅延時間とを含むものであり、各周辺温度に関連付けられて記憶されており、
制御回路は、第5記憶部から、温度情報取得手段が取得した温度情報に対応した制振パルス条件を選択する選択手段を含み、
制振手段は、選択手段にて選択された制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路に対して印加することを特徴とする。
【0024】
このように、振動子及び駆動回路に固有の素子定数に対応した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路に対して印加するので、振動子や駆動回路の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子及び駆動回路の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子と駆動回路の組み合わせが特定の振動子と駆動回路の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0025】
また、超音波検知装置の周辺温度が変化した場合であっても、その温度において所定の残響時間となる制振パルス条件を選択することができる。つまり、周辺温度に応じて、残響時間を短縮できる制振パルス条件を選択することができる。そして、この制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路に対して印加するので、超音波検知装置の周辺温度が変化した場合であっても残響時間が長くなることを抑制できる。つまり、周辺温度に関係なく残響時間が長くなることを抑制できる。
【0026】
上記目的を達成するために請求項7に記載の超音波検知装置は、
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
振動子を駆動する駆動回路と、
駆動回路による振動子の駆動を制御するものであり、振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路に対して印加する駆動手段と、振動子の残響を抑制するための制振パルスを送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
周辺温度を示す温度情報を取得する温度情報取得手段と、
振動子の残響時間を計測する残響計測手段と、
振動子及び駆動回路に固有の素子定数に対応した制振パルスのパルス幅と、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とを含む制振パルス条件が複数記憶された第6記憶部と、を備え、
第6記憶部には、制振パルス条件として、予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となるパルス幅と遅延時間とを含むものであり、各周辺温度に対して、各周辺温度において残響時間が所定範囲となる複数の制振パルス条件が関連付けられて記憶されており、
制御回路は、
第6記憶部に記憶された複数の制振パルス条件のうち、温度情報取得手段が取得した各温度情報に対応する複数の制振パルス条件において、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた制振パルスを駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
試し打ち手段にて駆動回路に対して印加した制振パルス毎に残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
制振手段は、検索手段にて検索された制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路に対して印加することを特徴とする。
【0027】
このように、振動子及び駆動回路に固有の素子定数に対応した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路に対して印加するので、振動子や駆動回路の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子及び駆動回路の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子と駆動回路の組み合わせが特定の振動子と駆動回路の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0028】
また、このようにすることによって、実際の残響時間に基づいて検索された最も残響時間が短くなる制振パルス条件で、制振パルスを駆動回路に対して印加することができる。また、実際の周辺温度において、予め測定された残響時間が所定範囲となる各制振パルス条件(パルス幅、遅延時間)に基づいて試し打ちを行うので、ある程度範囲を絞って試し打ちを行うことができる。よって、比較的短時間で最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索できるとともに、確実に残響時間を短くできるので好ましい。
【0029】
さらに、超音波検知装置の周辺温度が変化した場合であっても、その温度において所定の残響時間となる制振パルス条件を選択することができる。つまり、周辺温度に応じて、残響時間を短縮できる制振パルス条件を選択することができる。そして、この制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路に対して印加するので、超音波検知装置の周辺温度が変化した場合であっても残響時間が長くなることを抑制できる。つまり、周辺温度に関係なく残響時間が長くなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態における超音波検知装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の第1実施形態における超音波検知装置の制振パルスを印加して無い場合の各点の波形図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の第1実施形態における超音波検知装置の制振パルスを印加した場合の各点の波形図である。
【図4】本発明の第1実施形態における超音波検知装置の素子定数が典型的(Typical)な場合の遅延時間と残響時間との特性を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施形態における超音波検知装置の素子定数が最大(Max)な場合の遅延時間と残響時間との特性を示すグラフである。
【図6】本発明の第1実施形態における超音波検知装置の素子定数が最小(Min)な場合の遅延時間と残響時間との特性を示すグラフである。
【図7】図5におけるグラフの制振効果が大きい部分の拡大図である。
【図8】図6におけるグラフの制振効果が大きい部分の拡大図である。
【図9】図5におけるグラフの制振効果が大きい部分の等高線グラフである。
【図10】図6におけるグラフの制振効果が大きい部分の等高線グラフである。
【図11】図5におけるグラフの部分的な等高線グラフである。
【図12】図6におけるグラフの部分的な等高線グラフである。
【図13】本発明の第1実施形態における超音波検知装置の制振パルスを印加しない場合の素子定数毎の残響時間と温度との特性を示すグラフである。
【図14】本発明の変形例における素子定数ばらつきと制振パルス対比表のイメージ図である。
【図15】本発明の第2実施形態におけるtd−twマップのイメージ図である。
【図16】本発明の第3実施形態におけるtd−twマップのイメージ図である。
【図17】本発明の第4実施形態におけるtd−twマップのイメージ図である。
【図18】変形例における超音波検知装置の送信パルスと制振パルスの波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図1に示す超音波検知装置100は、車両に搭載されるものであり、主に制御回路10、記憶部20、駆動信号発生回路30、駆動回路40、振動子50、アナログ回路60などを含んでいる。なお、本発明の請求項における制御回路は、この制御回路10と駆動信号発生回路30とを含んでなるものである。
【0033】
超音波検知装置100は、例えば車両のリヤバンパーに複数設置されるものである。この超音波検知装置100は、振動子50から超音波(詳しくはバースト波)を送信して、物体(例えば、障害物)から反射された反射波を振動子50で受信することにより、物体の有無や物体からの距離を検知する検知動作を実行するものである。なお、このように、超音波検知装置100は、振動子50を送受信兼用として用いた検知装置である。
【0034】
また、超音波検知装置100は、車両に搭載されたECU(electronic control unit)200と電気的に接続されている。このECU200は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等(いずれも図示せず)よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行するものである。例えばECU200は、超音波検知装置100にて検知された物体の有無や物体からの距離に関する信号を取得したり、超音波検知装置100に対してダイアグの実行を指示したりする。なお、超音波検知装置100におけるダイアグは、例えば、振動子50から超音波を送信(送波)した際に、残響が生じるか否かを判定したりする。
【0035】
また、ECU200は、振動子50の周辺温度に相当する車両の周辺温度を示す温度情報を超音波検知装置100(制御回路10)に出力する。つまり、超音波検知装置100(制御回路10)は、ECU200から振動子50の周辺温度を示す温度情報を取得する(温度情報取得手段)。なお、振動子50の周辺に温度センサを設けるようにしてもよい。つまり、制御回路10は、周辺温度を示す温度情報として、この温度センサの検出結果を取得するようにしてもよい(温度情報取得手段)。
【0036】
ECU200と超音波検知装置100とは、ECU200のI/O210と超音波検知装置100のI/O81とで電気的に接続されている。これによって、超音波検知装置100は、I/O回路70を介して制御回路10とECU200との間で信号のやりとり(送受信)が可能となっている。また、ECU200のVCC220と超音波検知装置100のVCC82、ECU200のGND230と超音波検知装置100のGND83とで電気的に接続されている。これによって、超音波検知装置100は、ECU200から電源が供給されている。
【0037】
ここで、超音波検知装置100の構成に関して詳しく説明する。制御回路10は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等(いずれも図示せず)よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行するものである。例えば、制御回路10は、駆動信号発生回路30を介して、駆動回路40による振動子50の駆動を制御する。つまり、制御回路10は、駆動信号発生回路30に設けられたトランジスタ31を用いて駆動信号であるパルス信号(送信パルス、制振パルス)を発生させて、このパルス信号を駆動回路40に対して印加する。
【0038】
具体的には、制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する処理を実行する(駆動手段)。さらに、振動子50の残響を抑制(すなわち、残響時間を短縮)するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路40に対して印加する処理を実行する(制振手段)。換言すると、制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する機能と、振動子50の残響を抑制するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する機能とを有するものである。なお、制御回路10は、記憶部20に記憶された制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加する。この制振パルスは、所定のパルス幅twをなすものであり、送信パルスの印加後、所定の遅延時間tdが経過したときに駆動回路40に対して印加されるものである。
【0039】
なお、制御回路10は、振動子50から送信(送波)された超音波の情報と物体からの反射波の情報とに基づいて、物体までの距離を求めるとともに障害物の位置を特定する。また、詳しい説明は省略するが、制御回路10は、特定した物体の距離や位置の情報に応じた処理を実行するようにしてもよい。例えば、車両の近傍に物体が存在すると判定した場合に、表示器(図示省略)に警告表示を行わせたり、ブザー(図示省略)を鳴らすことによって警告を行わせたりなどする。
【0040】
本実施形態における記憶部20には、予め測定された駆動回路40に固有の素子定数及び予め測定された振動子50に固有の素子定数が記憶されている(第2記憶部)。以下、予め測定された駆動回路40に固有の素子定数と予め測定された振動子50に固有の素子定数とを、単に駆動回路40と振動子50の固有の素子定数とも称する。ただし、本発明は、この固有の素子定数を記憶しておかなくても目的は達成できるものである。この固有の素子定数を記憶しない例に関しては、他の実施形態において後ほど説明する。なお、この記憶部20は、例えば、EEPROMなどを採用することができる。
【0041】
また、本実施形態における記憶部20には、駆動回路40及び振動子50の素子定数と振動子50の周辺温度と遅延時間tdとパルス幅twの複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けて記憶されている(第3記憶部)。よって、記憶部20には、予め測定された駆動回路40に固有の素子定数及び予め測定された振動子50に固有の素子定数に基づいて設定された、制振パルスのパルス幅twと、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間tdとからなる制振パルス条件も記憶されている(第1記憶部)。この予め測定された駆動回路40に固有の素子定数及び予め測定された振動子50に固有の素子定数に基づいて設定された制振パルス条件(パルス幅twと遅延時間td)は、常温時において、残響時間が所定値(つまり、所定値(許容値)以下又は最短)となるように設定されたものである。なお、予め測定された駆動回路40に固有の素子定数及び予め測定された振動子50に固有の素子定数に基づいて設定された制振パルス条件は、制振パルス条件の初期値と言い換えることができる。
【0042】
この予め測定された駆動回路40に固有の素子定数とは、この超音波検知装置100に搭載された駆動回路40に固有の素子定数である。従って、異なる超音波検知装置100に搭載された駆動回路40同士では、この素子定数が異なる可能性がある。同様に、予め測定された振動子50に固有の素子定数とは、この超音波検知装置100に搭載された振動子50に固有の素子定数である。従って、異なる超音波検知装置100に搭載された振動子50同士では、この素子定数が異なる可能性がある。
【0043】
なお、この振動子50の周辺温度と素子定数と遅延時間tdとパルス幅twの複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けられたデータは、td(遅延時間)−tw(パルス幅)マップと称する。よって、記憶部20には、td−twマップが記憶されていると言い換えることができる。このtd−twマップに関しては、後ほど詳しく説明する。
【0044】
駆動回路40は、トランジスタ41、コンデンサC2、トランスL2などを含む。トランジスタ41のベース端子は、駆動信号発生回路30のトランジスタ31のコレクタ端子に電気的に接続されている。また、トランジスタ41のコレクタ端子はトランスL2の一次側に電気的に接続され、エミッタ端子は電源(VCC)側に接続されている。
【0045】
振動子50は、図示しない筐体に装着されるものであって、振動することにより超音波を発生させるとともに、障害物から反射されてくる反射波を受信するものである。この振動子50としては、PZTやチタン酸バリウムなどの圧電セラミックスを焼結体とした圧電振動子等を採用することができる。
【0046】
なお、振動子50が送信した送信信号(振動子電圧)及び振動子50で取得した受信信号(振動子電圧)はアナログ回路60に出力される。アナログ回路60は、送信信号及び受信信号を増幅する増幅回路61、比較電圧を発生する比較電圧発生回路62、増幅回路61で増幅された送信信号及び受信信号と比較電圧発生回路62で発生された比較電圧とを比較する比較回路63などを備える。そして、この比較回路63による比較結果、増幅回路61で増幅された送信信号が制御回路10に対して出力される。
【0047】
また振動子50は、図1に示すように等価回路として表すことが可能である。つまり、図1に示すように、振動子50は、等価直列インダクタとしての働きを担う成分である等価直列インダクタL1と、等価直列コンデンサとしての働きを担う成分である等価直列コンデンサC1と、等価直列抵抗としての働きを担う成分である等価直列抵抗R1とからなる1組の直列共振回路と、等価並列コンデンサとしての働きを担う成分である等価並列コンデンサC0として表すことができる。また、駆動回路40におけるコンデンサC2及びトランスL2は、等価並列コンデンサC0に並列接続されている。
【0048】
通常、等価直列インダクタL1、等価直列コンデンサC1、等価直列抵抗R1、等価並列コンデンサC0、コンデンサC2、トランスL2の素子定数は、常温で残響時間が最低になる様に決定されている。しかしながら、これらの素子定数は、公差内でばらつき(つまり製造時にばらつく。以下、常温ばらつきとも称する)が生じるとともに、周囲温度により変動するものである。素子定数がばらつくと、図13に示すように、常温でも残響時間が長くなり、常温よりも温度が下がったり(低温)、常温よりも温度が上がったり(高温)すると、更に残響時間が長くなる場合がある。例えば、超音波検知装置の残響規格が1.6ms以下とすると、図13の例の場合、素子定数のばらつきが−β〜Typ〜+αの間は、制振パルスを印加しなくともよいことが分かる。しかしながら、素子定数のばらつきがMin〜−βの間のもの、及び+α〜Maxのものは、何らかの手段によって残響を1.6ms以下に低減する必要がある。
【0049】
特に、等価並列コンデンサC0の素子定数は、常温ばらつき、温度変動が大きい。よって、従来、常温で残響時間が一定値以下になるように、製造時に、例えばトランスL2を調整したり、素子定数の交差を絞ったりすることが行われていた。しかしながら、常温での残響時間が一定値以下になるようにしても、振動子50及び駆動回路40の温度変動によって、低温や高温では残響が増加する(残響時間が長くなる)可能性がある。なお、障害物検知装置分野では一般的に、超音波の送信の開始から振動子50の振幅が一定値に減衰するまでの時間を残響時間という。従って、本発明においても同様に残響時間を定義している。
【0050】
そこで、本実施形態における超音波検知装置100は、上述のように記憶部20に記憶された制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加することによって残響時間を短縮させるものである。
【0051】
ここで、td−twマップに関して詳しく説明する。td−twマップは、上述のように、駆動回路40及び振動子50の素子定数と振動子50の周辺温度と遅延時間tdとパルス幅twの複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けられたものである。つまり、ある素子定数、ある周辺温度、ある遅延時間tdにおいて、パルス幅twを所定の間隔で変化させた際の残響時間を測定し、このときの素子定数、周辺温度、遅延時間td、パルス幅tw、残響時間を関連付けて記憶する。そして、このような測定と記憶を、素子定数、周辺温度、遅延時間tdのそれぞれを変化させて行うことによって、td−twマップを作成する。なお、td−twマップは、駆動回路40及び振動子50の素子定数と振動子50の周辺温度と遅延時間tdとパルス幅twの複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けられたものであれば、どのような形態でも採用することができる。
【0052】
td−twマップの一例を説明する。まず、素子定数がTyp、Max、Minである場合の3グラフを図4〜図6に示す。つまり、図4〜図6の各グラフは、各素子定数において、パルス幅twをパラメータとした、遅延時間tdと残響時間との特性を示すグラフである。なお、素子定数Maxは、初期ばらつき及び温度変動を含んだ最大値である。つまり、初期ばらつきが最大値であり、かつ、超音波検知装置100の動作を保証する温度範囲の最大温度での素子定数である。同様に、素子定数Minは、初期ばらつき及び温度変動を含んだ最小値である。つまり、初期ばらつきが最小値であり、かつ、超音波検知装置100の動作を保証する温度範囲の最小温度での素子定数である。一方、素子定数Typは、常温での典型的な値である。
【0053】
図4〜図6の各グラフは、パルス幅twを0.1μsステップで、1μs〜8μsで変化させたものであり、71パラメータの線グラフを重ねて表示してある。遅延時間tdは、0.1μsステップで0〜180若しくは210μsまで記録してある。なお、図4〜図6の各グラフにおける水平線は、非制振時の残響時間を示す。また、図4〜図6の各グラフは、共に縦軸は送信パルス周期15μsステップで表現している。なお、0〜7.5、15〜22.5、30〜37.5.45〜52.5・・・μs領域が逆相に相当する。
【0054】
また、この3つのグラフから、送信パルスを印加した直後(遅延時間ゼロ)は、制振パルスを印加しても残響時間を短縮できる効果(制振効果)が小さいことがわかる。また、この3つのグラフから、制振効果が大きい遅延時間tdは周期的に出現し、素子定数Typ及びMaxの場合正相印加で制振効果がある。すなわち、制振効果が大きい遅延時間tdは逆相とは限らないことも分かる。
【0055】
そして、図7は、図5におけるグラフの制振効果が大きい遅延時間td、パルス幅twの部分を拡大したグラフである。同様に、図8は、図6におけるグラフの制振効果が大きい遅延時間td、パルス幅twの部分を拡大したグラフである。このようなデータを予め測定しておき、素子定数及び周辺温度の組み合わせ毎に、制振効果が大きい部分の遅延時間td、パルス幅tw、及び残響時間を関連付けてtd−twマップとすることができる。
【0056】
また、図9は、図5におけるグラフの制振効果が大きい部分の等高線グラフである。同様に、図10は、図6におけるグラフの制振効果が大きい部分の等高線グラフである。このように、上述のようなデータを予め測定しておき、素子定数及び周辺温度の組み合わせ毎に、制振効果が大きい部分を等高線グラフ化することで、td−twマップを作成しやすくすることができる。
【0057】
例えば、td−twマップは、図14に示すような素子定数の組み合わせと、組み合わせ毎における残響時間が最低となる制振パルス条件(遅延時間td、パルス幅tw)と、この制振パルス条件での残響時間とを関連付けたものを、複数の周辺温度で作成したものを採用することができる。つまり、この図14に示す表に対して、各制振パルス条件(遅延時間td、パルス幅tw)に残響時間を加えた表を、周辺温度毎(つまり、所定の温度範囲毎)に作成したものを、td−twマップとすることができる。なお、ここで参考までに用いた図14は、後ほど説明する変形例における「素子定数ばらつきと制振パルス対比表」である。また、この図14においては、各制振パルス条件における残響時間、等価直列抵抗R1の素子定数は省略している。
【0058】
ここで、本実施形態における超音波検知装置100の処理動作における特徴的な部分に関して説明する。
【0059】
制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、ECU200から指示された所定の周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加する。つまり、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する(駆動手段)。なお、制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、記憶部20に記憶された所定の周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加するようにしてもよい。
【0060】
また、駆動回路40は、超音波検知装置に入力される電源電圧(VCC)の供給を受けて駆動し、制御回路10(駆動信号発生回路30)からのパルス信号により、所定の周波数の駆動周波数で振動子50を駆動(振動)させて超音波を送信させる。なお、ECU200は、車速が所定値(例えば10km/h)よりも遅くなると制御回路10に対して検知動作の開始を指示する。よって、制御回路10は、車速が所定値よりも遅い(例えば10km/h以下の)ときに検知動作を行うものである。言い換えると、制御回路10は、車速が所定値(例えば10km/h)よりも速いときには検知動作を行わないものである。
【0061】
さらに、制御回路10は、記憶部20に記憶された制振パルス条件の初期値に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加する。つまり、振動子50の残響を抑制するための制振パルスを送信パルスの印加後から所定時間遅延させて、駆動信号発生回路30を介して駆動回路40に対して印加する(制振手段)。上述のように、この制振パルス条件の初期値とは、予め測定された振動子及び駆動回路に固有の素子定数に基づいて残響時間が所定値(つまり、所定値(許容値)以下又は最短)となるように設定されたパルス幅twと、同じく予め測定された振動子及び駆動回路に固有の素子定数に基づいて残響時間が所定値(つまり、所定値(許容値)以下又は最短)となるように設定された遅延時間tdとからなるものである。つまり、超音波検知装置100は、製造時において、制振パルス条件として初期値が設定される。
【0062】
ここで、制振パルスを印加した場合と、印加してない場合とでの残響時間の違いを説明する。図2(a)〜(d)は、本発明の実施形態における超音波検知装置の制振パルスを印加して無い場合のブロック図での各点の波形図である。一方、図3(a)〜(d)は、本発明の実施形態における超音波検知装置の制振パルスを印加した場合のブロック図での各点の波形図である。具体的には、図2(a)〜(d)、及び図3(a)〜(d)は、超音波検知装置100の各点をオシロスコープで観察した波形図である。各図において「1」で示されたところはグランドレベルを示し、「T」で示された点はトリガ(送信パルスの印加開始点)を示している。
【0063】
図2(a)及び図3(a)は、図1におけるa点の波形図(駆動電圧)である。つまり、送信パルス及び制振パルスの波形図である。よって、駆動電圧は、送信パルスの部分と、制振パルスの部分とに分けられている。この図3(a)に示すように、制振パルスは、パルス幅twとして、送信パルスの印加終了後、遅延時間tdの後に印加されるものである。
【0064】
図2(b)及び図3(b)は、物体(障害物)がない場合の図1におけるb点の波形図(振動子電圧)である。図2(c)及び図3(c)は、物体(障害物)がない場合の図1におけるc点の波形図(増幅電圧)である。なお、本実施形態においては、この増幅電圧の1Vクロス時間を残響時間としている。つまり、超音波の送信の開始から振動子50の増幅振幅(包絡線)が1Vに減衰するまでの時間を残響時間としている。
【0065】
また、図2(d)及び図3(d)は、物体(障害物)が有る場合の図1におけるc点の波形図(増幅電圧)である。この図2(d)及び図3(d)における右側の山が物体による反射波を増幅した波形である。振動子50を送受信兼用として用いた場合、残響時間が長くなると、残響と物体による反射波とが重畳してしまい、正確に反射波(物体)を検出できなくなる。
【0066】
しかしながら、本実施形態における超音波検知装置100は、図2(c)及び図3(c)から明らかなように、パルス幅twとして、送信パルスの印加終了後、遅延時間tdの後に制振パルスを印加することによって、残響時間を短縮することができる。
【0067】
このように、予め測定された振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に基づいて残響時間が所定値(つまり、所定値(許容値)以下又は最短)となるように設定された制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、振動子50及び駆動回路40の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子50及び駆動回路40の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子50及び駆動回路40の組み合わせが特定の振動子と駆動回路の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0068】
また、車両に搭載された超音波検知装置100は、車両が存在する環境に応じて周辺温度が変化する。つまり、振動子50の周辺温度も変化する。更に、上述のように、振動子50や駆動回路40の素子定数は、温度によって変動するものである。よって、超音波検知装置100の周辺温度が変化すると残響時間も変化する。
【0069】
そこで、制御回路10は、記憶部20に記憶された駆動回路40と振動子50の固有の素子定数と、ECU200から取得した温度情報(すなわち、現在の振動子50の周辺温度)とに応じて、記憶部20に記憶されたtd−twマップから所定の残響時間となる制振パルス条件を選択する(選択手段)。そして、制御回路10は、温度情報に基づいて選択した制振パルス条件が初期値の制振パルス条件と異なる場合は、温度情報に基づいて選択した制振パルス条件に変更して制振パルスを駆動回路40に対して印加するようにしてもよい。つまり、基本的には、初期値の制振パルス条件を採用するが、振動子50(車両)の周辺温度が変化して、現在の周辺温度に応じた制振パルス条件が初期値と異なる場合は、現在の周辺温度に応じた制振パルス条件を採用する。
【0070】
このようにすることで、超音波検知装置100の周辺温度が変化した場合であっても、その温度において所定の残響時間(つまり、所定値(許容値)以下又は最短の残響時間)となる制振パルス条件を選択することができる。つまり、周辺温度に応じて、残響時間を短縮できる制振パルス条件を選択することができる。そして、この制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、超音波検知装置100の周辺温度が変化した場合であっても残響時間が長くなることを抑制できる。つまり、周辺温度に関係なく残響時間が長くなることを抑制できる。
【0071】
なお、記憶部20に記憶されたtd−twマップにおける複数の残響時間は、振動子50と駆動回路40の素子定数と、振動子の周辺温度と、遅延時間tdと、パルス幅twの複数の組み合わせで予め測定されたものである。よって、この残響時間の精度は、測定した組み合わせの数に依存する。従って、td−twマップにおける制振パルス条件に関連付けられた残響時間と、この制振パルス条件を用いて制振パルスを印加した際に生じる実際の残響時間とは異なる可能性がある。
【0072】
そこで、制御回路10は、アナログ回路60の増幅回路61で増幅された送信信号(制振パルスを印加した際の送信信号)に基づいて、振動子50の残響時間を計測する(残響計測手段)。また、制御回路10は、td−twマップからから所定の時間的範囲内の残響時間と関連付けられた各制振パルス条件を抽出し、抽出した制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた制振パルスを駆動回路に対して印加する(試し打ち手段)。すなわち、制御回路10は、所定の時間的範囲内の残響時間と関連付けられた各制振パルス条件に基づいて、送信パルスと制振パルスの試し打ちを行う。なお、所定の時間的範囲内の残響時間とは、所定値(許容値)以下となる時間的範囲内の残挟時間、又は、最短の残響時間を中心とした所定の時間的範囲内の残響時間である。また、ここで送信パルスを印加するのは、物体を検知するための超音波を送信させるためではなく、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索するためである。
【0073】
さらに、制御回路10は、駆動回路40に対して印加した制振パルス毎に残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する(検索手段)。そして、制御回路10は、このように検索された制振パルス条件が初期値の制振パルス条件及び周辺温度に応じて選択した制振パルス条件と異なる場合は、検索された制振パルス条件に変更して制振パルスを駆動回路40に対して印加するようにしてもよい。
【0074】
なお、図5に示すように、素子定数Maxの場合、非制振時の残響1.911msが、パルス幅tw=6.6μs、遅延時間td=205.6μs時に1.098msとなり、0.813msの低減効果がある。素子定数がMaxより多少変動しても、例えば、遅延時間tdを0.1μsステップで205.3〜205.9μsの7通り、パルス幅twを0.1μsステップで6.3〜6.9μsの7通りの組み合わせ、すなわち49種類の制振パルスを試し打ちしすれば、残響時間が最短となる遅延時間tdとパルス幅twが得られることが分かる。
【0075】
また、図6に示すように、素子定数Minの場合、非制振時の残響時間1.907msが、パルス幅tw=4.4μs、遅延時間td=153μs時に1.183msとなり、0.714msの低減効果がある。素子定数がMinより多少変動しても遅延時間tdを0.1μsステップで152.8〜153.3μsの6通り、パルス幅twを0.1μsステップで4.1〜4.7μsの7通りの組み合わせ、すなわち42種類の制振パルスを試し打ちしすれば、残響時間が最短となる遅延時間td、パルス幅twを得られることが分かる。
【0076】
つまり、図5,図6に示すグラフからも明らかなように、残響時間が最短になるのは、極一部の遅延時間td、パルス幅twである。また、残響時間が1.6ms以下になるのも、限られた遅延時間td、パルス幅twである。よって、図7,図8に示すように、制振効果が大きな部分でtd−twマップを作成することによって、データ量を減らすことができる。よって、このような振効果が大きな部分で作成したtd−twマップを用いることによって、最適な遅延時間td、パルス幅twを見つけるために行う試し打ちの回数を抑制することができる。
【0077】
同様に、図9,10においては、白色は残響時間nが1.6ms以下、薄い灰色は残響時間が1.6〜1.8ms、濃い灰色は残響時間が1.8〜2msの遅延時間td、パルス幅twを示す。なお、後ほど説明する図11においては、黒色は、残響時間が2ms以上の遅延時間td、パルス幅twを示す。素子定数Max、Minの場合、パルス幅tw=6.6μs、遅延時間td=205.6μs近辺、及びパルス幅tw=4.4μs、遅延時間td=153μs近辺が、制振効果が大きいことがよく分かる。また、そのパルス幅tw範囲、遅延時間td範囲もよく分かる。よって、この白色範囲の遅延時間td、パルス幅twを試し打ちすることで、試し打ちの回数が絞られ、速やかに残響時間が最短になる遅延時間td、パルス幅twを見つけることができる。
【0078】
つまり、図11,図12に示す等高線グラフからも明らかなように、残響時間が最短になるのは、極一部の遅延時間td、パルス幅twである。また、残響時間が1.6ms以下になるのも、限られた遅延時間td、パルス幅twである。よって、図9,図10に示すように、制振効果が大きな部分でtd−twマップを作成することによって、データ量を減らすことができる。よって、このような振効果が大きな部分で作成したtd−twマップを用いることによって、最適な遅延時間td、パルス幅twを見つけるために行う試し打ちの回数を抑制することができる。
【0079】
このようにすることによって、実際の残響時間に基づいて検索された最も残響時間が短くなる制振パルス条件で、制振パルスを駆動回路に対して印加することができる。また、所定の時間的範囲内の複数の残響時間に関連付けられた各制振パルス条件に基づいて試し打ちを行うので、ある程度範囲を絞って試し打ちを行うことができる。よって、比較的短時間で最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索できるとともに、確実に残響時間を短くできるので好ましい。
【0080】
なお、この試し打ちは、超音波検知装置100による検知動作に支障を与えない検知動作前、検知動作休止中などに行うようにすると好ましい。超音波検知装置100は、電源がオンになった後の所定期間(例えば1s程度の間)にダイアグを実行する。よって、制御回路10は、電源がオンになった後の所定期間は検知動作を行わないものである。また、上述のように、制御回路10は、車速が所定値(例えば10km/h)よりも早いときには検知動作を行わないものである。よって、制御回路10は、このような電源がオンになった後の所定期間(例えば1s程度の間)、又は、車速が所定値(例えば10km/h)よりも速いときに試し打ちを行うと好ましい。
【0081】
また、この試し打ちは、検知動作に支障を与えなければ検知動作中に実行することができる。つまり、試し打ちは、物体を検知するための送信パルスの印加タイミング、及び残響時間を短縮するための制振パルスの印加タイミングと異なるタイミングであれば実行することができる。
【0082】
このようにすることによって、検知動作に支障を与えることなく最適な制振パルス条件を検索することができる。
【0083】
また、本実施形態における超音波検知装置100は、遅延時間td、パルス幅twをかえるだけなので、制振のためにハードウェアを追加する必要がなく、非常に簡単な構成で遅延時間を短くすることができる。さらに、駆動電圧と同じ電圧で制振できるので、制振のために印加電圧値を変化させたりする必要がないため回路構成を簡単にできる。
【0084】
また、本実施形態においては、初期値の制振パルス条件に基づいて制振パルスを印加し、初期値と異なる制振パルス条件が周辺温度に応じて選択されたら制振パルス条件を変更する。更に、初期値及び選択された制振パルス条件と異なる制振パルス条件が実際の残響時間に応じて検出されたら制振パルス条件を変更する例を採用して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
例えば、本発明は、予め測定された駆動回路40に固有の素子定数及び予め測定された振動子50に固有の素子定数に基づいて設定された制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加するもの(変形例1)であれば目的を達成できる。つまり、周辺温度や実際の残響時間に応じて制振パルス条件を変更しなくても目的を達成できる。
【0086】
具体的には、素子定数に対応した遅延時間td、パルス幅twを一組だけ記憶部20に記憶しておく(第1記憶部)。この場合、図14に示すような「素子定数ばらつきと制振パルス対比表」を予め作成しておく。この対比表においては、等価並列コンデンサC0、等価直列コンデンサC1、等価直列インダクタL1、コンデンサC2、トランスL2の素子定数のばらつきをランク分けしてある。ここでは、最も素子定数が変動する等価並列コンデンサC0は、C01−1からC01−5の5ランクに分けている。その他の等価直列コンデンサC1、等価直列インダクタL1、コンデンサC2、トランスL2は、それぞれ3ランクに分けてある(例えば、L1−1〜L1−1など)。この対比表は、素子定数のばらつきの組み合わせ毎に、制振パルス条件(遅延時間td、パルス幅tw)を種々組み合わせ、図7や図9のグラフを作り、そのグラフから残響時間が最低となる組み合わせを表にしたものである。つまり、上述の図4〜図12などに基づいて作成することができる。なお、図14においては、ばらつきの小さい素子組み合わせでは、制振パルスを印加する必要がないので、“−”としてある。また、等価直列抵抗R1の素子定数に関しては省略してある。
【0087】
そして、記憶部20には、製造時などに、この対比表から一組の遅延時間td、パルス幅twだけを選択して記憶する。一例としては、等価並列コンデンサC0の素子定数がC0−1、等価直列コンデンサC1の素子定数がC1−3、等価直列インダクタL1の素子定数がL1−1、コンデンサC2の素子定数がC2−1、トランスL2の素子定数がL2−3の場合、パルス幅としてtw157、遅延時間としてtd157を選択して、記憶部20に記憶する。
【0088】
このように、予め測定された振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に基づいて設定された制振パルス条件(遅延時間td、パルス幅tw)に基づいて制振パルスを駆動回路に対して印加するので、振動子50や駆動回路40の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子50及び駆動回路40の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子50と駆動回路40の組み合わせが特定の振動子と駆動回路の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、駆動信号を供給した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、駆動信号を供給した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0089】
なお、この場合(変形例1の場合)、超音波検知装置100は、上述の周辺温度を示す温度情報を取得する必要はない。換言すると、超音波検知装置100は、温度情報取得手段を有していなくてもよい。また、超音波検知装置100は、試し打ち手段に関しても有していなくてもよい。また、記憶部20に、予め測定された駆動回路40に固有の素子定数及び予め測定された振動子50に固有の素子定数が記憶されていなくてもよい。つまり、第2記憶部を有していなくてもよい。さらに、記憶部20に、駆動回路40及び振動子50の素子定数と振動子50の周辺温度と遅延時間tdとパルス幅twの複数の組み合わせ、及び各組み合わせで予め測定された複数の残響時間に関しても記憶されていなくてもよい。つまり、第3記憶部を有していなくてもよい。
【0090】
また、実際の残響時間に応じて制振パルス条件を変更しなくても目的を達成できる(変形例2)。つまり、初期値と異なる制振パルス条件が周辺温度に応じて選択されたら制振パルス条件を変更するものであっても目的を達成できる。
【0091】
このようにすることで、超音波検知装置100の周辺温度が変化した場合であっても、その温度において所定の残響時間となる制振パルス条件を選択することができる。つまり、周辺温度に応じて、残響時間を短縮できる制振パルス条件を選択することができる。そして、この制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、超音波検知装置100の周辺温度が変化した場合であっても残響時間が長くなることを抑制できる。つまり、周辺温度に関係なく残響時間が長くなることを抑制できる。
【0092】
さらに、周辺温度に応じて制振パルス条件を変更しなくても目的を達成できる(変形例3)。つまり、初期値と異なる制振パルス条件が実際の残響時間に応じて検索されたら制振パルス条件を変更するものであっても目的を達成できる。
【0093】
このようにすることで、実際の残響時間に基づいて検索された最も残響時間が短くなる制振パルス条件で、制振パルスを駆動回路に対して印加することができる。また、所定の時間的範囲内の複数の残響時間に関連付けられた各制振パルス条件に基づいて試し打ちを行うので、ある程度範囲を絞って試し打ちを行うことができる。よって、比較的短時間で最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索できるとともに、確実に残響時間を短くできるので好ましい。
【0094】
(第2実施形態)
上述の実施形態においては、記憶部20に素子定数を記憶する例を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。つまり、本実施形態に示すように、超音波検知装置100における記憶部20には、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数は記憶されていなくてよもよい。なお、本実施形態における超音波検知装置100の構成は、上述の実施形態と略同様である。よって、同様な箇所に関しては詳しい説明は省略して、異なる点を重点的に説明する。本実施形態と上述の実施形態との違いは、制御回路10が周辺温度を示す温度情報を取得しない点(すなわち、温度情報取得手段を有していない点)、及び、記憶部20の記憶内容である。
【0095】
本実施形態における記憶部20には、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応した制振パルスのパルス幅twと、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間tdとを含む制振パルス条件が複数記憶されている(第4記憶部)。また、この各制振パルス条件におけるパルス幅twと遅延時間tdとは、予め測定された残響時間が所定範囲(つまり、所定値、又は所定値(許容値)以下)となる値である。
【0096】
具体的には、図15に示すようなtd−twマップが記憶部20に記憶されている。この図15に示すtd−twマップは、例えば、上述の図4〜図12などに基づいて作成されるものであり、予め測定された残響時間が所定範囲となる複数の制振パルス条件(パルス幅tw、遅延時間td)を含むものである。且つ、記憶部20に記憶されるtd−twマップは、記憶部20と同じ超音波検知装置100に搭載された振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応するものである。つまり、記憶部20には、固有の素子定数を有する振動子50及び駆動回路40を用いて予め測定された残響時間が所定値(又は、所定値(許容値)以下)となる複数の制振パルス条件(パルス幅tw、遅延時間td)が記憶されている。よって、搭載されている振動子50及び駆動回路40の素子定数が異なる超音波検知装置100間では、記憶部20に記憶されているtd−twマップも異なる。
【0097】
ここで、本実施形態における超音波検知装置100の処理動作における特徴的な部分に関して説明する。
【0098】
制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する処理を実行する(駆動手段)。さらに、振動子50の残響を抑制(すなわち、残響時間を短縮)するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路40に対して印加する処理を実行する(制振手段)。換言すると、制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する機能と、振動子50の残響を抑制するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する機能とを有するものである。なお、制御回路10は、記憶部20に記憶された複数の制振パルス条件に基づいて試し打ちを行って検索した制振パルス条件を用いて、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを駆動回路40に対して印加する(制振手段)。この制振パルスは、所定のパルス幅twをなすものであり、送信パルスの印加後、所定の遅延時間tdが経過したときに駆動回路40に対して印加されるものである。
【0099】
つまり、制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、ECU200から指示された周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加する。つまり、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する(駆動手段)。なお、制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、記憶部20に記憶された所定の周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加するようにしてもよい。
【0100】
また、駆動回路40は、超音波検知装置に入力される電源電圧(VCC)の供給を受けて駆動し、制御回路10(駆動信号発生回路30)からのパルス信号により、所定の周波数の駆動周波数で振動子50を駆動(振動)させて超音波を送信させる。
【0101】
また、制御回路10は、記憶部20に記憶されたtd−twマップに応じて制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた制振パルスを駆動回路に対して印加する(試し打ち手段)。さらに、制御回路10は、アナログ回路60の増幅回路61で増幅された送信信号(制振パルスを印加した際の送信信号)に基づいて、振動子50の残響時間を計測する(残響計測手段)。
【0102】
そして、制御回路10は、駆動回路40に対して印加した制振パルス毎に残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する(検索手段)。さらに、制御回路10は、このように検索した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加する。つまり、制御回路10は、送信パルスの印加後に、検索した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加する。
【0103】
このように、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、振動子50や駆動回路40の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子50及び駆動回路40の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子50と駆動回路40の組み合わせが特定の振動子50と駆動回路40の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0104】
また、このようにすることによって、実際の残響時間に基づいて検索された最も残響時間が短くなる制振パルス条件で、制振パルスを駆動回路40に対して印加することができる。さらに、予め測定された残響時間が所定範囲となる各制振パルス条件(パルス幅tw、遅延時間td)に基づいて試し打ちを行うので、ある程度範囲を絞って試し打ちを行うことができる。よって、比較的短時間で最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索できるとともに、確実に残響時間を短くできるので好ましい。さらに、本実施形態における超音波検知装置100は、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数を記憶部20に記憶しておく必要はない。
【0105】
(第3実施形態)
上述の実施形態においては、記憶部20に素子定数を記憶する例を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。つまり、本実施形態に示すように、超音波検知装置100における記憶部20には、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数は記憶されていなくてよもよい。なお、本実施形態における超音波検知装置100の構成は、上述の実施形態と略同様である。よって、同様な箇所に関しては詳しい説明は省略して、異なる点を重点的に説明する。本実施形態と上述の実施形態との違いは、制御回路10が試し打ちを行わない(すなわち、試し打ち手段を有していない点)、及び、記憶部20の記憶内容である。
【0106】
本実施形態における記憶部20には、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応した制振パルスのパルス幅twと、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間tdとを含む制振パルス条件が複数記憶されている(第5記憶部)。また、この複数の制振パルス条件は、予め周辺温度毎(つまり、所定の温度範囲毎)に測定された残響時間が、所定範囲(つまり、所定値、又は所定値(許容値)以下)となるパルス幅twと遅延時間tdとを含むものであり、各周辺温度に関連付けられて記憶されている。
【0107】
具体的には、図16に示すようなtd−twマップが記憶部20に記憶されている。ここでは、図16に示すように、所定の温度範囲として、5℃を採用している。そして、図16に示すように、本実施形態におけるtd−twマップ(一例)は、周辺温度が−25℃から85℃の範囲において、22個の制振パルス条件を含んでいる。
【0108】
この図16に示すtd−twマップは、例えば、上述の図4〜図12などに基づいて作成されるものであり、予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となる一つの制振パルス条件(一組のパルス幅tw、遅延時間td)が、その周辺温度に関連付けられている。且つ、記憶部20に記憶されるtd−twマップは、記憶部20と同じ超音波検知装置100に搭載された振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応するものである。つまり、記憶部20には、固有の素子定数を有する振動子50及び駆動回路40を用いて予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となる制振パルス条件(パルス幅tw、遅延時間td)が、周辺温度毎に記憶されている。よって、搭載されている振動子50及び駆動回路40の素子定数が異なる超音波検知装置100間では、記憶部20に記憶されているtd−twマップも異なる。
【0109】
なお、ある周辺温度(温度範囲)において残響時間が所定範囲となる制振パルス条件(パルス幅tw、遅延時間td)が複数ある場合は、最も残響時間が最小となる制振パルス条件(パルス幅tw、遅延時間td)を採用する。よって、本実施形態におけるtd−twマップには、各周辺温度において一つの制振パルス条件(一組のパルス幅tw、遅延時間td)が関連付けられている。
【0110】
ここで、本実施形態における超音波検知装置100の処理動作における特徴的な部分に関して説明する。
【0111】
制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する処理を実行する(駆動手段)。さらに、振動子50の残響を抑制(すなわち、残響時間を短縮)するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路40に対して印加する処理を実行する(制振手段)。換言すると、制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する機能と、振動子50の残響を抑制するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する機能とを有するものである。なお、制御回路10は、記憶部20に記憶された複数の制振パルス条件に基づいて試し打ちを行って検索した制振パルス条件を用いて、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを駆動回路40に対して印加する(制振手段)。この制振パルスは、所定のパルス幅twをなすものであり、送信パルスの印加後、所定の遅延時間tdが経過したときに駆動回路40に対して印加されるものである。
【0112】
つまり、制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、ECU200から指示された周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加する。つまり、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する(駆動手段)。なお、制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、記憶部20に記憶された所定の周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加するようにしてもよい。
【0113】
また、駆動回路40は、超音波検知装置に入力される電源電圧(VCC)の供給を受けて駆動し、制御回路10(駆動信号発生回路30)からのパルス信号により、所定の周波数の駆動周波数で振動子50を駆動(振動)させて超音波を送信させる。
【0114】
また、制御回路10は、ECU200から取得した温度情報(すなわち、現在の振動子50の周辺温度)に応じて、記憶部20に記憶されたtd−twマップから制振パルス条件を選択する(選択手段)。つまり、現在の振動子50の周辺温度に関連付けられた制振パルス条件を選択する。
【0115】
そして、制御回路10は、このように選択した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加する。つまり、制御回路10は、送信パルスの印加後に、選択した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加する。
【0116】
このように、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、振動子50や駆動回路40の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子50及び駆動回路40の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子50と駆動回路40の組み合わせが特定の振動子50と駆動回路40の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0117】
また、超音波検知装置100(振動子50)の周辺温度が変化した場合であっても、その温度において所定の残響時間となる制振パルス条件を選択することができる。つまり、周辺温度に応じて、残響時間を短縮できる制振パルス条件を選択することができる。そして、この制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、超音波検知装置100(振動子50)の周辺温度が変化した場合であっても残響時間が長くなることを抑制できる。つまり、周辺温度に関係なく残響時間が長くなることを抑制できる。
【0118】
さらに、本実施形態における超音波検知装置100は、上述の実施形態1,2などよりも、最適な制振パルス条件(すなわち、現在の超音波検知装置100の周辺環境において残響時間が最小となる制振パルス条件)を探し出す時間を短縮することができる。また、上述の実施形態1,2などよりも、記憶部20に記憶しておく制振パルス条件(すなわち、記憶部20のデータ量)を少なくすることができる。また、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数を記憶部20に記憶しておく必要はない。
【0119】
(第4実施形態)
上述の実施形態においては、記憶部20に素子定数を記憶する例を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。つまり、本実施形態に示すように、超音波検知装置100における記憶部20には、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数は記憶されていなくてよもよい。なお、本実施形態における超音波検知装置100の構成は、上述の実施形態と同様である。よって、同様な箇所に関しては詳しい説明は省略して、異なる点を重点的に説明する。本実施形態と上述の実施形態との違いは、記憶部20の記憶内容である。
【0120】
本実施形態における記憶部20には、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応した制振パルスのパルス幅twと、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間tdとを含む制振パルス条件が複数記憶されている(第6記憶部)。また、この制振パルス条件としては、予め周辺温度毎(つまり、所定の温度範囲毎)に測定された残響時間が、所定範囲(つまり、所定値、又は所定値(許容値)以下)となるパルス幅twと遅延時間tdとを含むものである。さらに、各周辺温度において残響時間が所定範囲となる複数の制振パルス条件が、各周辺温度に関連付けられている。
【0121】
具体的には、図17に示すようなtd−twマップが記憶部20に記憶されている。ここでは、図17に示すように、所定の温度範囲として、5℃を採用している。そして、周辺温度が−25℃から85℃の範囲において22個の温度範囲に区分けされている。また、各温度範囲に対して、7個の制振パルス条件(パルス幅tw、遅延時間td)が関連付けられている。よって、本実施形態におけるtd−twマップ(一例)は、合計で154個の制振パルス条件を含んでいる。
【0122】
この図17に示すtd−twマップは、例えば、上述の図4〜図12などに基づいて作成されるものであり、予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となる複数の制振パルス条件(複数組のパルス幅tw、遅延時間td)が、その周辺温度に関連付けられている。且つ、記憶部20に記憶されるtd−twマップは、記憶部20と同じ超音波検知装置100に搭載された振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応するものである。つまり、記憶部20には、固有の素子定数を有する振動子50及び駆動回路40を用いて予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となる複数の制振パルス条件(複数組のパルス幅tw、遅延時間td)が、周辺温度毎に記憶されている。よって、搭載されている振動子50及び駆動回路40の素子定数が異なる超音波検知装置100間では、記憶部20に記憶されているtd−twマップも異なる。
【0123】
ここで、本実施形態における超音波検知装置100の処理動作における特徴的な部分に関して説明する。
【0124】
制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する処理を実行する(駆動手段)。さらに、振動子50の残響を抑制(すなわち、残響時間を短縮)するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路40に対して印加する処理を実行する(制振手段)。換言すると、制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する機能と、振動子50の残響を抑制するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する機能とを有するものである。なお、制御回路10は、記憶部20に記憶された複数の制振パルス条件に基づいて試し打ちを行って検索した制振パルス条件を用いて、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを駆動回路40に対して印加する(制振手段)。この制振パルスは、所定のパルス幅twをなすものであり、送信パルスの印加後、所定の遅延時間tdが経過したときに駆動回路40に対して印加されるものである。
【0125】
つまり、制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、ECU200から指示された周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加する。つまり、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する(駆動手段)。なお、制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、記憶部20に記憶された所定の周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加するようにしてもよい。
【0126】
また、駆動回路40は、超音波検知装置に入力される電源電圧(VCC)の供給を受けて駆動し、制御回路10(駆動信号発生回路30)からのパルス信号により、所定の周波数の駆動周波数で振動子50を駆動(振動)させて超音波を送信させる。
【0127】
また、制御回路10は、ECU200から取得した温度情報(すなわち、現在の振動子50の周辺温度)に応じて、記憶部20に記憶されたtd−twマップから複数の制振パルス条件を選択する(選択手段)。つまり、現在の振動子50の周辺温度に関連付けられた複数の制振パルス条件を選択する。
【0128】
そして、制御回路10は、記憶部20に記憶されたtd−twマップから選択した制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた制振パルスを駆動回路に対して印加する(試し打ち手段)。また、制御回路10は、アナログ回路60の増幅回路61で増幅された送信信号(制振パルスを印加した際の送信信号)に基づいて、振動子50の残響時間を計測する(残響計測手段)。
【0129】
そして、制御回路10は、駆動回路40に対して印加した制振パルス毎に残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する(検索手段)。さらに、制御回路10は、このように検索した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加する。つまり、制御回路10は、送信パルスの印加後に、検索した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加する。
【0130】
このように、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、振動子50や駆動回路40の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子50及び駆動回路40の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子50と駆動回路40の組み合わせが特定の振動子50と駆動回路40の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0131】
また、このようにすることによって、実際の残響時間に基づいて検索された最も残響時間が短くなる制振パルス条件で、制振パルスを駆動回路40に対して印加することができる。また、実際の周辺温度において、予め測定された残響時間が所定範囲となる各制振パルス条件(パルス幅、遅延時間)に基づいて試し打ちを行うので、ある程度範囲を絞って試し打ちを行うことができる。よって、比較的短時間で最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索できるとともに、確実に残響時間を短くできるので好ましい。
【0132】
さらに、超音波検知装置100(振動子50)の周辺温度が変化した場合であっても、その温度において所定の残響時間となる制振パルス条件を選択することができる。つまり、周辺温度に応じて、残響時間を短縮できる制振パルス条件を選択することができる。そして、この制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、超音波検知装置100(振動子50)の周辺温度が変化した場合であっても残響時間が長くなることを抑制できる。つまり、周辺温度に関係なく残響時間が長くなることを抑制できる。
【0133】
さらに、本実施形態における超音波検知装置100は、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数を記憶部20に記憶しておく必要はない。
【0134】
(その他の変形例)
上述の実施形態においては、図3(a)に示すように送信パルスの印加終了後に、制振パルスを1回だけ印加する例を採用して説明したが本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、図18に示すように、送信パルスの印加終了後に、制振パルスを複数回印加するようにしてもよい。つまり、送信パルスの印加終了後、遅延時間td1経過後にパルス幅tw1の第1制振パルスを印加する。さらに、第1制振パルスの印加終了後、遅延時間td2経過後にパルス幅tw2の第2制振パルスを印加する。そして、第n制振パルス(n回目の制振パルス)は、パルス幅twnとして、前回の制振パルス(第n−1制振パルス)の印加終了後、遅延時間tdn後に印加される(nは自然数)。
【0135】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0136】
10 制御回路、20 記憶部、30 駆動信号発生回路、40 駆動回路、C2 コンデンサ、L2 トランス、50 振動子、L1 等価直列インダクタ、C1 等価直列コンデンサ、R1 等価直列抵抗、C0 等価並列コンデンサ、60 アナログ回路、100 超音波検知装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、超音波を送信して、物体(例えば、障害物)から反射された反射波を受信することにより、物体の有無や物体からの距離を検知する超音波検知装置が知られている。
【0003】
このような超音波検知装置の一例として、特許文献1に開示された超音波送信器の駆動装置があった。この超音波送信器の駆動装置は、電圧信号から成る駆動信号を振動子に供給することで超音波を発生させるものである。そして、例えば、振動子に供給する電圧信号を制御する制御手段を備え、制御手段は、電圧が周期的に変化する駆動信号を振動子に供給した直後に駆動信号と逆位相の制御信号を振動子に供給し、振動子の残響を抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−85867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、超音波送信器の駆動装置においては、超音波を発生させるために振動子に対して駆動信号を供給した直後に、この駆動信号と逆位相の制御信号を振動子に供給している。しかしながら、振動子に対して駆動信号を供給した直後は、残響エネルギーが大きい。よって、振動子に対して駆動信号を供給した直後に(すなわち遅延時間無しで)、駆動信号と逆位相の制御信号を振動子に供給する場合、大きな電圧の制御信号を供給する必要があり効率が悪い。
【0006】
また、振動子は、一般に、等価直列インダクタ、等価直列コンデンサ、等価直列抵抗から成る直列共振回路と、等価並列コンデンサとの並列回路からなる等価回路で表される。また、駆動回路(ドライバ回路)には、振動子(等価並列コンデンサ)に並列に接続されたコンデンサや、トランスなどが用いられることがある。なお、これらの素子の素子定数は、使用する振動子の特性に合わせて残響時間が最小になるように選定している。
【0007】
ところで、超音波検知装置は、超音波の送信時に、等価直列インダクタや駆動回路のトランスに誘導エネルギーが蓄えられ、等価直列コンデンサや等価並列コンデンサや駆動回路のコンデンサに静電エネルギーが蓄えられる。そして、これらの誘導エネルギーや静電エネルギーは、送信終了後において等価直列抵抗などによって振動減衰する。超音波検知装置における残響は、この誘導エネルギーや静電エネルギーが等価直列抵抗によって振動減衰することによって生じる。よって、超音波検知装置における残響時間は、振動子や駆動回路における素子定数によって異なる。
【0008】
従って、超音波送信器の駆動装置は、振動子、駆動回路における素子定数が特定の値の場合は残響を抑制することができるが、素子定数が特定の値と異なる場合は残響を抑制することができない可能性がある。換言すると、超音波送信器の駆動装置は、特定の振動子と駆動回路の組み合わせの場合は残響を抑制することができるが、組み合わせが異なる場合は残響を抑制することができない可能性がある。このように、超音波送信器の駆動装置は、振動子、駆動回路の素子定数がばらついていた場合は残響を抑制することができない可能性がある。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、振動子や駆動回路の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる超音波検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1に記載の超音波検知装置は、
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
振動子を駆動する駆動回路と、
駆動回路による振動子の駆動を制御するものであり、振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路に対して印加する駆動手段と、振動子の残響を抑制するための制振パルスを送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
予め測定された振動子及び駆動回路に固有の素子定数に基づいて残響時間が所定値となるように設定された、制振パルスのパルス幅と、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とからなる制振パルス条件が記憶された第1記憶部と、を備え、
制振手段は、第1記憶部に記憶された制振パルス条件(パルス幅と遅延時間)に基づいて制振パルスを駆動回路に対して印加することを特徴とするものである。
【0011】
このように、予め測定された振動子及び駆動回路に固有の素子定数に基づいて設定された制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路に対して印加するので、振動子や駆動回路の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子及び駆動回路の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子と駆動回路の組み合わせが特定の振動子と駆動回路の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0012】
また、振動子や駆動回路の素子定数は、温度によって変動するものである。よって、超音波検知装置の周辺温度が変化すると残響時間も変化する。
【0013】
そこで、請求項2に示すように、
周辺温度を示す温度情報を取得する温度情報取得手段と、
予め測定された振動子及び駆動回路に固有の素子定数が記憶された第2記憶部と、
周辺温度と素子定数と遅延時間とパルス幅の複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けて記憶された第3記憶部と、を備え、
制御回路は、第2記憶部に記憶された素子定数と温度情報取得手段が取得した温度情報とに応じて、第3記憶部から所定の残響時間となる制振パルス条件を選択する選択手段を含み、
制振手段は、選択手段にて選択された制振パルス条件が第1記憶部に記憶された制振パルス条件と異なる場合は、選択手段にて選択された制振パルス条件に変更して制振パルスを駆動回路に対して印加するようにしてもよい。
【0014】
このようにすることで、超音波検知装置の周辺温度が変化した場合であっても、その温度において所定の残響時間となる制振パルス条件を選択することができる。つまり、周辺温度に応じて、残響時間を短縮できる制振パルス条件を選択することができる。そして、この制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路に対して印加するので、超音波検知装置の周辺温度が変化した場合であっても残響時間が長くなることを抑制できる。つまり、周辺温度に関係なく残響時間が長くなることを抑制できる。
【0015】
なお、第3記憶部に記憶されている複数の残響時間は、振動子の周辺温度と素子定数と遅延時間とパルス幅の複数の組み合わせで予め測定されたものである。よって、この残響時間の精度は、測定した組み合わせの数に依存する。
【0016】
従って、選択手段にて選択された制振パルス条件に関連付けられて第3記憶部に記憶されている残響時間と、この制振パルス条件を用いて制振パルスを印加した際に生じる実際の残響時間とは異なる可能性がある。
【0017】
そこで、請求項3に示すように、
振動子の残響時間を計測する残響計測手段を備え、
制御回路は、
第3記憶部から所定の時間的範囲内の残響時間と関連付けられた各制振パルス条件を抽出し、抽出した制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた制振パルスを駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
試し打ち手段にて駆動回路に対して印加した制振パルス毎に残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
制振手段は、検索手段にて検索された制振パルス条件が第1記憶部に記憶された制振パルス条件及び選択手段が選択した制振パルス条件と異なる場合は検索手段にて検索された制振パルス条件に変更して制振パルスを駆動回路に対して印加するようにしてもよい。
【0018】
このようにすることによって、実際の残響時間に基づいて検索された最も残響時間が短くなる制振パルス条件で、制振パルスを駆動回路に対して印加することができる。また、所定の時間的範囲内の複数の残響時間に関連付けられた各制振パルス条件に基づいて試し打ちを行うので、ある程度範囲を絞って試し打ちを行うことができる。よって、比較的短時間で最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索できるとともに、確実に残響時間を短くできるので好ましい。
【0019】
同様に、請求項4に示すように、
振動子の残響時間を計測する残響計測手段と、
周辺温度と素子定数と遅延時間とパルス幅の複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けて記憶された第3記憶部と、を備え、
制御回路は、
第3記憶部から所定の時間的範囲内の残響時間と関連付けられた各制振パルス条件を抽出し、抽出した制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた制振パルスを駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
試し打ち手段にて駆動回路に対して印加した制振パルス毎に残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
制振手段は、検索手段にて検索された制振パルス条件が第1記憶部に記憶された制振パルス条件と異なる場合は検索手段にて検索された制振パルス条件に変更して制振パルスを駆動回路に対して印加するようにしてもよい。このようにすることによって、請求項3と同様の効果を奏することができる。
【0020】
上記目的を達成するために請求項5に記載の超音波検知装置は、
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
振動子を駆動する駆動回路と、
駆動回路による振動子の駆動を制御するものであり、振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路に対して印加する駆動手段と、振動子の残響を抑制するための制振パルスを送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
振動子の残響時間を計測する残響計測手段と、
振動子及び駆動回路に固有の素子定数に対応した制振パルスのパルス幅と、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とを含む制振パルス条件が複数記憶された第4記憶部と、を備え、
第4記憶部に記憶された各制振パルス条件におけるパルス幅と遅延時間とは、予め測定された残響時間が所定範囲となる値であり、
制御回路は、
第4記憶部に記憶された制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた制振パルスを前記駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
試し打ち手段にて駆動回路に対して印加した制振パルス毎に残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
制振手段は、検索手段にて検索された制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路に対して印加することを特徴とする。
【0021】
このように、振動子及び駆動回路に固有の素子定数に対応した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路に対して印加するので、振動子や駆動回路の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子及び駆動回路の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子と駆動回路の組み合わせが特定の振動子と駆動回路の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0022】
また、このようにすることによって、実際の残響時間に基づいて検索された最も残響時間が短くなる制振パルス条件で、制振パルスを駆動回路に対して印加することができる。さらに、予め測定された残響時間が所定範囲となる各制振パルス条件(パルス幅、遅延時間)に基づいて試し打ちを行うので、ある程度範囲を絞って試し打ちを行うことができる。よって、比較的短時間で最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索できるとともに、確実に残響時間を短くできるので好ましい。
【0023】
上記目的を達成するために請求項6に記載の超音波検知装置は、
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
振動子を駆動する駆動回路と、
駆動回路による振動子の駆動を制御するものであり、振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路に対して印加する駆動手段と、振動子の残響を抑制するための制振パルスを送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
周辺温度を示す温度情報を取得する温度情報取得手段と、
振動子及び駆動回路に固有の素子定数に対応した制振パルスのパルス幅と、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とを含む制振パルス条件が複数記憶された第5記憶部と、を備え、
第5記憶部に記憶された各制振パルス条件は、予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となる前記パルス幅と遅延時間とを含むものであり、各周辺温度に関連付けられて記憶されており、
制御回路は、第5記憶部から、温度情報取得手段が取得した温度情報に対応した制振パルス条件を選択する選択手段を含み、
制振手段は、選択手段にて選択された制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路に対して印加することを特徴とする。
【0024】
このように、振動子及び駆動回路に固有の素子定数に対応した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路に対して印加するので、振動子や駆動回路の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子及び駆動回路の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子と駆動回路の組み合わせが特定の振動子と駆動回路の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0025】
また、超音波検知装置の周辺温度が変化した場合であっても、その温度において所定の残響時間となる制振パルス条件を選択することができる。つまり、周辺温度に応じて、残響時間を短縮できる制振パルス条件を選択することができる。そして、この制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路に対して印加するので、超音波検知装置の周辺温度が変化した場合であっても残響時間が長くなることを抑制できる。つまり、周辺温度に関係なく残響時間が長くなることを抑制できる。
【0026】
上記目的を達成するために請求項7に記載の超音波検知装置は、
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
振動子を駆動する駆動回路と、
駆動回路による振動子の駆動を制御するものであり、振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路に対して印加する駆動手段と、振動子の残響を抑制するための制振パルスを送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
周辺温度を示す温度情報を取得する温度情報取得手段と、
振動子の残響時間を計測する残響計測手段と、
振動子及び駆動回路に固有の素子定数に対応した制振パルスのパルス幅と、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とを含む制振パルス条件が複数記憶された第6記憶部と、を備え、
第6記憶部には、制振パルス条件として、予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となるパルス幅と遅延時間とを含むものであり、各周辺温度に対して、各周辺温度において残響時間が所定範囲となる複数の制振パルス条件が関連付けられて記憶されており、
制御回路は、
第6記憶部に記憶された複数の制振パルス条件のうち、温度情報取得手段が取得した各温度情報に対応する複数の制振パルス条件において、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた制振パルスを駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
試し打ち手段にて駆動回路に対して印加した制振パルス毎に残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
制振手段は、検索手段にて検索された制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路に対して印加することを特徴とする。
【0027】
このように、振動子及び駆動回路に固有の素子定数に対応した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路に対して印加するので、振動子や駆動回路の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子及び駆動回路の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子と駆動回路の組み合わせが特定の振動子と駆動回路の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0028】
また、このようにすることによって、実際の残響時間に基づいて検索された最も残響時間が短くなる制振パルス条件で、制振パルスを駆動回路に対して印加することができる。また、実際の周辺温度において、予め測定された残響時間が所定範囲となる各制振パルス条件(パルス幅、遅延時間)に基づいて試し打ちを行うので、ある程度範囲を絞って試し打ちを行うことができる。よって、比較的短時間で最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索できるとともに、確実に残響時間を短くできるので好ましい。
【0029】
さらに、超音波検知装置の周辺温度が変化した場合であっても、その温度において所定の残響時間となる制振パルス条件を選択することができる。つまり、周辺温度に応じて、残響時間を短縮できる制振パルス条件を選択することができる。そして、この制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路に対して印加するので、超音波検知装置の周辺温度が変化した場合であっても残響時間が長くなることを抑制できる。つまり、周辺温度に関係なく残響時間が長くなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態における超音波検知装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の第1実施形態における超音波検知装置の制振パルスを印加して無い場合の各点の波形図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の第1実施形態における超音波検知装置の制振パルスを印加した場合の各点の波形図である。
【図4】本発明の第1実施形態における超音波検知装置の素子定数が典型的(Typical)な場合の遅延時間と残響時間との特性を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施形態における超音波検知装置の素子定数が最大(Max)な場合の遅延時間と残響時間との特性を示すグラフである。
【図6】本発明の第1実施形態における超音波検知装置の素子定数が最小(Min)な場合の遅延時間と残響時間との特性を示すグラフである。
【図7】図5におけるグラフの制振効果が大きい部分の拡大図である。
【図8】図6におけるグラフの制振効果が大きい部分の拡大図である。
【図9】図5におけるグラフの制振効果が大きい部分の等高線グラフである。
【図10】図6におけるグラフの制振効果が大きい部分の等高線グラフである。
【図11】図5におけるグラフの部分的な等高線グラフである。
【図12】図6におけるグラフの部分的な等高線グラフである。
【図13】本発明の第1実施形態における超音波検知装置の制振パルスを印加しない場合の素子定数毎の残響時間と温度との特性を示すグラフである。
【図14】本発明の変形例における素子定数ばらつきと制振パルス対比表のイメージ図である。
【図15】本発明の第2実施形態におけるtd−twマップのイメージ図である。
【図16】本発明の第3実施形態におけるtd−twマップのイメージ図である。
【図17】本発明の第4実施形態におけるtd−twマップのイメージ図である。
【図18】変形例における超音波検知装置の送信パルスと制振パルスの波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図1に示す超音波検知装置100は、車両に搭載されるものであり、主に制御回路10、記憶部20、駆動信号発生回路30、駆動回路40、振動子50、アナログ回路60などを含んでいる。なお、本発明の請求項における制御回路は、この制御回路10と駆動信号発生回路30とを含んでなるものである。
【0033】
超音波検知装置100は、例えば車両のリヤバンパーに複数設置されるものである。この超音波検知装置100は、振動子50から超音波(詳しくはバースト波)を送信して、物体(例えば、障害物)から反射された反射波を振動子50で受信することにより、物体の有無や物体からの距離を検知する検知動作を実行するものである。なお、このように、超音波検知装置100は、振動子50を送受信兼用として用いた検知装置である。
【0034】
また、超音波検知装置100は、車両に搭載されたECU(electronic control unit)200と電気的に接続されている。このECU200は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等(いずれも図示せず)よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行するものである。例えばECU200は、超音波検知装置100にて検知された物体の有無や物体からの距離に関する信号を取得したり、超音波検知装置100に対してダイアグの実行を指示したりする。なお、超音波検知装置100におけるダイアグは、例えば、振動子50から超音波を送信(送波)した際に、残響が生じるか否かを判定したりする。
【0035】
また、ECU200は、振動子50の周辺温度に相当する車両の周辺温度を示す温度情報を超音波検知装置100(制御回路10)に出力する。つまり、超音波検知装置100(制御回路10)は、ECU200から振動子50の周辺温度を示す温度情報を取得する(温度情報取得手段)。なお、振動子50の周辺に温度センサを設けるようにしてもよい。つまり、制御回路10は、周辺温度を示す温度情報として、この温度センサの検出結果を取得するようにしてもよい(温度情報取得手段)。
【0036】
ECU200と超音波検知装置100とは、ECU200のI/O210と超音波検知装置100のI/O81とで電気的に接続されている。これによって、超音波検知装置100は、I/O回路70を介して制御回路10とECU200との間で信号のやりとり(送受信)が可能となっている。また、ECU200のVCC220と超音波検知装置100のVCC82、ECU200のGND230と超音波検知装置100のGND83とで電気的に接続されている。これによって、超音波検知装置100は、ECU200から電源が供給されている。
【0037】
ここで、超音波検知装置100の構成に関して詳しく説明する。制御回路10は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等(いずれも図示せず)よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行するものである。例えば、制御回路10は、駆動信号発生回路30を介して、駆動回路40による振動子50の駆動を制御する。つまり、制御回路10は、駆動信号発生回路30に設けられたトランジスタ31を用いて駆動信号であるパルス信号(送信パルス、制振パルス)を発生させて、このパルス信号を駆動回路40に対して印加する。
【0038】
具体的には、制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する処理を実行する(駆動手段)。さらに、振動子50の残響を抑制(すなわち、残響時間を短縮)するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路40に対して印加する処理を実行する(制振手段)。換言すると、制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する機能と、振動子50の残響を抑制するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する機能とを有するものである。なお、制御回路10は、記憶部20に記憶された制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加する。この制振パルスは、所定のパルス幅twをなすものであり、送信パルスの印加後、所定の遅延時間tdが経過したときに駆動回路40に対して印加されるものである。
【0039】
なお、制御回路10は、振動子50から送信(送波)された超音波の情報と物体からの反射波の情報とに基づいて、物体までの距離を求めるとともに障害物の位置を特定する。また、詳しい説明は省略するが、制御回路10は、特定した物体の距離や位置の情報に応じた処理を実行するようにしてもよい。例えば、車両の近傍に物体が存在すると判定した場合に、表示器(図示省略)に警告表示を行わせたり、ブザー(図示省略)を鳴らすことによって警告を行わせたりなどする。
【0040】
本実施形態における記憶部20には、予め測定された駆動回路40に固有の素子定数及び予め測定された振動子50に固有の素子定数が記憶されている(第2記憶部)。以下、予め測定された駆動回路40に固有の素子定数と予め測定された振動子50に固有の素子定数とを、単に駆動回路40と振動子50の固有の素子定数とも称する。ただし、本発明は、この固有の素子定数を記憶しておかなくても目的は達成できるものである。この固有の素子定数を記憶しない例に関しては、他の実施形態において後ほど説明する。なお、この記憶部20は、例えば、EEPROMなどを採用することができる。
【0041】
また、本実施形態における記憶部20には、駆動回路40及び振動子50の素子定数と振動子50の周辺温度と遅延時間tdとパルス幅twの複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けて記憶されている(第3記憶部)。よって、記憶部20には、予め測定された駆動回路40に固有の素子定数及び予め測定された振動子50に固有の素子定数に基づいて設定された、制振パルスのパルス幅twと、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間tdとからなる制振パルス条件も記憶されている(第1記憶部)。この予め測定された駆動回路40に固有の素子定数及び予め測定された振動子50に固有の素子定数に基づいて設定された制振パルス条件(パルス幅twと遅延時間td)は、常温時において、残響時間が所定値(つまり、所定値(許容値)以下又は最短)となるように設定されたものである。なお、予め測定された駆動回路40に固有の素子定数及び予め測定された振動子50に固有の素子定数に基づいて設定された制振パルス条件は、制振パルス条件の初期値と言い換えることができる。
【0042】
この予め測定された駆動回路40に固有の素子定数とは、この超音波検知装置100に搭載された駆動回路40に固有の素子定数である。従って、異なる超音波検知装置100に搭載された駆動回路40同士では、この素子定数が異なる可能性がある。同様に、予め測定された振動子50に固有の素子定数とは、この超音波検知装置100に搭載された振動子50に固有の素子定数である。従って、異なる超音波検知装置100に搭載された振動子50同士では、この素子定数が異なる可能性がある。
【0043】
なお、この振動子50の周辺温度と素子定数と遅延時間tdとパルス幅twの複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けられたデータは、td(遅延時間)−tw(パルス幅)マップと称する。よって、記憶部20には、td−twマップが記憶されていると言い換えることができる。このtd−twマップに関しては、後ほど詳しく説明する。
【0044】
駆動回路40は、トランジスタ41、コンデンサC2、トランスL2などを含む。トランジスタ41のベース端子は、駆動信号発生回路30のトランジスタ31のコレクタ端子に電気的に接続されている。また、トランジスタ41のコレクタ端子はトランスL2の一次側に電気的に接続され、エミッタ端子は電源(VCC)側に接続されている。
【0045】
振動子50は、図示しない筐体に装着されるものであって、振動することにより超音波を発生させるとともに、障害物から反射されてくる反射波を受信するものである。この振動子50としては、PZTやチタン酸バリウムなどの圧電セラミックスを焼結体とした圧電振動子等を採用することができる。
【0046】
なお、振動子50が送信した送信信号(振動子電圧)及び振動子50で取得した受信信号(振動子電圧)はアナログ回路60に出力される。アナログ回路60は、送信信号及び受信信号を増幅する増幅回路61、比較電圧を発生する比較電圧発生回路62、増幅回路61で増幅された送信信号及び受信信号と比較電圧発生回路62で発生された比較電圧とを比較する比較回路63などを備える。そして、この比較回路63による比較結果、増幅回路61で増幅された送信信号が制御回路10に対して出力される。
【0047】
また振動子50は、図1に示すように等価回路として表すことが可能である。つまり、図1に示すように、振動子50は、等価直列インダクタとしての働きを担う成分である等価直列インダクタL1と、等価直列コンデンサとしての働きを担う成分である等価直列コンデンサC1と、等価直列抵抗としての働きを担う成分である等価直列抵抗R1とからなる1組の直列共振回路と、等価並列コンデンサとしての働きを担う成分である等価並列コンデンサC0として表すことができる。また、駆動回路40におけるコンデンサC2及びトランスL2は、等価並列コンデンサC0に並列接続されている。
【0048】
通常、等価直列インダクタL1、等価直列コンデンサC1、等価直列抵抗R1、等価並列コンデンサC0、コンデンサC2、トランスL2の素子定数は、常温で残響時間が最低になる様に決定されている。しかしながら、これらの素子定数は、公差内でばらつき(つまり製造時にばらつく。以下、常温ばらつきとも称する)が生じるとともに、周囲温度により変動するものである。素子定数がばらつくと、図13に示すように、常温でも残響時間が長くなり、常温よりも温度が下がったり(低温)、常温よりも温度が上がったり(高温)すると、更に残響時間が長くなる場合がある。例えば、超音波検知装置の残響規格が1.6ms以下とすると、図13の例の場合、素子定数のばらつきが−β〜Typ〜+αの間は、制振パルスを印加しなくともよいことが分かる。しかしながら、素子定数のばらつきがMin〜−βの間のもの、及び+α〜Maxのものは、何らかの手段によって残響を1.6ms以下に低減する必要がある。
【0049】
特に、等価並列コンデンサC0の素子定数は、常温ばらつき、温度変動が大きい。よって、従来、常温で残響時間が一定値以下になるように、製造時に、例えばトランスL2を調整したり、素子定数の交差を絞ったりすることが行われていた。しかしながら、常温での残響時間が一定値以下になるようにしても、振動子50及び駆動回路40の温度変動によって、低温や高温では残響が増加する(残響時間が長くなる)可能性がある。なお、障害物検知装置分野では一般的に、超音波の送信の開始から振動子50の振幅が一定値に減衰するまでの時間を残響時間という。従って、本発明においても同様に残響時間を定義している。
【0050】
そこで、本実施形態における超音波検知装置100は、上述のように記憶部20に記憶された制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加することによって残響時間を短縮させるものである。
【0051】
ここで、td−twマップに関して詳しく説明する。td−twマップは、上述のように、駆動回路40及び振動子50の素子定数と振動子50の周辺温度と遅延時間tdとパルス幅twの複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けられたものである。つまり、ある素子定数、ある周辺温度、ある遅延時間tdにおいて、パルス幅twを所定の間隔で変化させた際の残響時間を測定し、このときの素子定数、周辺温度、遅延時間td、パルス幅tw、残響時間を関連付けて記憶する。そして、このような測定と記憶を、素子定数、周辺温度、遅延時間tdのそれぞれを変化させて行うことによって、td−twマップを作成する。なお、td−twマップは、駆動回路40及び振動子50の素子定数と振動子50の周辺温度と遅延時間tdとパルス幅twの複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けられたものであれば、どのような形態でも採用することができる。
【0052】
td−twマップの一例を説明する。まず、素子定数がTyp、Max、Minである場合の3グラフを図4〜図6に示す。つまり、図4〜図6の各グラフは、各素子定数において、パルス幅twをパラメータとした、遅延時間tdと残響時間との特性を示すグラフである。なお、素子定数Maxは、初期ばらつき及び温度変動を含んだ最大値である。つまり、初期ばらつきが最大値であり、かつ、超音波検知装置100の動作を保証する温度範囲の最大温度での素子定数である。同様に、素子定数Minは、初期ばらつき及び温度変動を含んだ最小値である。つまり、初期ばらつきが最小値であり、かつ、超音波検知装置100の動作を保証する温度範囲の最小温度での素子定数である。一方、素子定数Typは、常温での典型的な値である。
【0053】
図4〜図6の各グラフは、パルス幅twを0.1μsステップで、1μs〜8μsで変化させたものであり、71パラメータの線グラフを重ねて表示してある。遅延時間tdは、0.1μsステップで0〜180若しくは210μsまで記録してある。なお、図4〜図6の各グラフにおける水平線は、非制振時の残響時間を示す。また、図4〜図6の各グラフは、共に縦軸は送信パルス周期15μsステップで表現している。なお、0〜7.5、15〜22.5、30〜37.5.45〜52.5・・・μs領域が逆相に相当する。
【0054】
また、この3つのグラフから、送信パルスを印加した直後(遅延時間ゼロ)は、制振パルスを印加しても残響時間を短縮できる効果(制振効果)が小さいことがわかる。また、この3つのグラフから、制振効果が大きい遅延時間tdは周期的に出現し、素子定数Typ及びMaxの場合正相印加で制振効果がある。すなわち、制振効果が大きい遅延時間tdは逆相とは限らないことも分かる。
【0055】
そして、図7は、図5におけるグラフの制振効果が大きい遅延時間td、パルス幅twの部分を拡大したグラフである。同様に、図8は、図6におけるグラフの制振効果が大きい遅延時間td、パルス幅twの部分を拡大したグラフである。このようなデータを予め測定しておき、素子定数及び周辺温度の組み合わせ毎に、制振効果が大きい部分の遅延時間td、パルス幅tw、及び残響時間を関連付けてtd−twマップとすることができる。
【0056】
また、図9は、図5におけるグラフの制振効果が大きい部分の等高線グラフである。同様に、図10は、図6におけるグラフの制振効果が大きい部分の等高線グラフである。このように、上述のようなデータを予め測定しておき、素子定数及び周辺温度の組み合わせ毎に、制振効果が大きい部分を等高線グラフ化することで、td−twマップを作成しやすくすることができる。
【0057】
例えば、td−twマップは、図14に示すような素子定数の組み合わせと、組み合わせ毎における残響時間が最低となる制振パルス条件(遅延時間td、パルス幅tw)と、この制振パルス条件での残響時間とを関連付けたものを、複数の周辺温度で作成したものを採用することができる。つまり、この図14に示す表に対して、各制振パルス条件(遅延時間td、パルス幅tw)に残響時間を加えた表を、周辺温度毎(つまり、所定の温度範囲毎)に作成したものを、td−twマップとすることができる。なお、ここで参考までに用いた図14は、後ほど説明する変形例における「素子定数ばらつきと制振パルス対比表」である。また、この図14においては、各制振パルス条件における残響時間、等価直列抵抗R1の素子定数は省略している。
【0058】
ここで、本実施形態における超音波検知装置100の処理動作における特徴的な部分に関して説明する。
【0059】
制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、ECU200から指示された所定の周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加する。つまり、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する(駆動手段)。なお、制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、記憶部20に記憶された所定の周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加するようにしてもよい。
【0060】
また、駆動回路40は、超音波検知装置に入力される電源電圧(VCC)の供給を受けて駆動し、制御回路10(駆動信号発生回路30)からのパルス信号により、所定の周波数の駆動周波数で振動子50を駆動(振動)させて超音波を送信させる。なお、ECU200は、車速が所定値(例えば10km/h)よりも遅くなると制御回路10に対して検知動作の開始を指示する。よって、制御回路10は、車速が所定値よりも遅い(例えば10km/h以下の)ときに検知動作を行うものである。言い換えると、制御回路10は、車速が所定値(例えば10km/h)よりも速いときには検知動作を行わないものである。
【0061】
さらに、制御回路10は、記憶部20に記憶された制振パルス条件の初期値に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加する。つまり、振動子50の残響を抑制するための制振パルスを送信パルスの印加後から所定時間遅延させて、駆動信号発生回路30を介して駆動回路40に対して印加する(制振手段)。上述のように、この制振パルス条件の初期値とは、予め測定された振動子及び駆動回路に固有の素子定数に基づいて残響時間が所定値(つまり、所定値(許容値)以下又は最短)となるように設定されたパルス幅twと、同じく予め測定された振動子及び駆動回路に固有の素子定数に基づいて残響時間が所定値(つまり、所定値(許容値)以下又は最短)となるように設定された遅延時間tdとからなるものである。つまり、超音波検知装置100は、製造時において、制振パルス条件として初期値が設定される。
【0062】
ここで、制振パルスを印加した場合と、印加してない場合とでの残響時間の違いを説明する。図2(a)〜(d)は、本発明の実施形態における超音波検知装置の制振パルスを印加して無い場合のブロック図での各点の波形図である。一方、図3(a)〜(d)は、本発明の実施形態における超音波検知装置の制振パルスを印加した場合のブロック図での各点の波形図である。具体的には、図2(a)〜(d)、及び図3(a)〜(d)は、超音波検知装置100の各点をオシロスコープで観察した波形図である。各図において「1」で示されたところはグランドレベルを示し、「T」で示された点はトリガ(送信パルスの印加開始点)を示している。
【0063】
図2(a)及び図3(a)は、図1におけるa点の波形図(駆動電圧)である。つまり、送信パルス及び制振パルスの波形図である。よって、駆動電圧は、送信パルスの部分と、制振パルスの部分とに分けられている。この図3(a)に示すように、制振パルスは、パルス幅twとして、送信パルスの印加終了後、遅延時間tdの後に印加されるものである。
【0064】
図2(b)及び図3(b)は、物体(障害物)がない場合の図1におけるb点の波形図(振動子電圧)である。図2(c)及び図3(c)は、物体(障害物)がない場合の図1におけるc点の波形図(増幅電圧)である。なお、本実施形態においては、この増幅電圧の1Vクロス時間を残響時間としている。つまり、超音波の送信の開始から振動子50の増幅振幅(包絡線)が1Vに減衰するまでの時間を残響時間としている。
【0065】
また、図2(d)及び図3(d)は、物体(障害物)が有る場合の図1におけるc点の波形図(増幅電圧)である。この図2(d)及び図3(d)における右側の山が物体による反射波を増幅した波形である。振動子50を送受信兼用として用いた場合、残響時間が長くなると、残響と物体による反射波とが重畳してしまい、正確に反射波(物体)を検出できなくなる。
【0066】
しかしながら、本実施形態における超音波検知装置100は、図2(c)及び図3(c)から明らかなように、パルス幅twとして、送信パルスの印加終了後、遅延時間tdの後に制振パルスを印加することによって、残響時間を短縮することができる。
【0067】
このように、予め測定された振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に基づいて残響時間が所定値(つまり、所定値(許容値)以下又は最短)となるように設定された制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、振動子50及び駆動回路40の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子50及び駆動回路40の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子50及び駆動回路40の組み合わせが特定の振動子と駆動回路の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0068】
また、車両に搭載された超音波検知装置100は、車両が存在する環境に応じて周辺温度が変化する。つまり、振動子50の周辺温度も変化する。更に、上述のように、振動子50や駆動回路40の素子定数は、温度によって変動するものである。よって、超音波検知装置100の周辺温度が変化すると残響時間も変化する。
【0069】
そこで、制御回路10は、記憶部20に記憶された駆動回路40と振動子50の固有の素子定数と、ECU200から取得した温度情報(すなわち、現在の振動子50の周辺温度)とに応じて、記憶部20に記憶されたtd−twマップから所定の残響時間となる制振パルス条件を選択する(選択手段)。そして、制御回路10は、温度情報に基づいて選択した制振パルス条件が初期値の制振パルス条件と異なる場合は、温度情報に基づいて選択した制振パルス条件に変更して制振パルスを駆動回路40に対して印加するようにしてもよい。つまり、基本的には、初期値の制振パルス条件を採用するが、振動子50(車両)の周辺温度が変化して、現在の周辺温度に応じた制振パルス条件が初期値と異なる場合は、現在の周辺温度に応じた制振パルス条件を採用する。
【0070】
このようにすることで、超音波検知装置100の周辺温度が変化した場合であっても、その温度において所定の残響時間(つまり、所定値(許容値)以下又は最短の残響時間)となる制振パルス条件を選択することができる。つまり、周辺温度に応じて、残響時間を短縮できる制振パルス条件を選択することができる。そして、この制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、超音波検知装置100の周辺温度が変化した場合であっても残響時間が長くなることを抑制できる。つまり、周辺温度に関係なく残響時間が長くなることを抑制できる。
【0071】
なお、記憶部20に記憶されたtd−twマップにおける複数の残響時間は、振動子50と駆動回路40の素子定数と、振動子の周辺温度と、遅延時間tdと、パルス幅twの複数の組み合わせで予め測定されたものである。よって、この残響時間の精度は、測定した組み合わせの数に依存する。従って、td−twマップにおける制振パルス条件に関連付けられた残響時間と、この制振パルス条件を用いて制振パルスを印加した際に生じる実際の残響時間とは異なる可能性がある。
【0072】
そこで、制御回路10は、アナログ回路60の増幅回路61で増幅された送信信号(制振パルスを印加した際の送信信号)に基づいて、振動子50の残響時間を計測する(残響計測手段)。また、制御回路10は、td−twマップからから所定の時間的範囲内の残響時間と関連付けられた各制振パルス条件を抽出し、抽出した制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた制振パルスを駆動回路に対して印加する(試し打ち手段)。すなわち、制御回路10は、所定の時間的範囲内の残響時間と関連付けられた各制振パルス条件に基づいて、送信パルスと制振パルスの試し打ちを行う。なお、所定の時間的範囲内の残響時間とは、所定値(許容値)以下となる時間的範囲内の残挟時間、又は、最短の残響時間を中心とした所定の時間的範囲内の残響時間である。また、ここで送信パルスを印加するのは、物体を検知するための超音波を送信させるためではなく、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索するためである。
【0073】
さらに、制御回路10は、駆動回路40に対して印加した制振パルス毎に残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する(検索手段)。そして、制御回路10は、このように検索された制振パルス条件が初期値の制振パルス条件及び周辺温度に応じて選択した制振パルス条件と異なる場合は、検索された制振パルス条件に変更して制振パルスを駆動回路40に対して印加するようにしてもよい。
【0074】
なお、図5に示すように、素子定数Maxの場合、非制振時の残響1.911msが、パルス幅tw=6.6μs、遅延時間td=205.6μs時に1.098msとなり、0.813msの低減効果がある。素子定数がMaxより多少変動しても、例えば、遅延時間tdを0.1μsステップで205.3〜205.9μsの7通り、パルス幅twを0.1μsステップで6.3〜6.9μsの7通りの組み合わせ、すなわち49種類の制振パルスを試し打ちしすれば、残響時間が最短となる遅延時間tdとパルス幅twが得られることが分かる。
【0075】
また、図6に示すように、素子定数Minの場合、非制振時の残響時間1.907msが、パルス幅tw=4.4μs、遅延時間td=153μs時に1.183msとなり、0.714msの低減効果がある。素子定数がMinより多少変動しても遅延時間tdを0.1μsステップで152.8〜153.3μsの6通り、パルス幅twを0.1μsステップで4.1〜4.7μsの7通りの組み合わせ、すなわち42種類の制振パルスを試し打ちしすれば、残響時間が最短となる遅延時間td、パルス幅twを得られることが分かる。
【0076】
つまり、図5,図6に示すグラフからも明らかなように、残響時間が最短になるのは、極一部の遅延時間td、パルス幅twである。また、残響時間が1.6ms以下になるのも、限られた遅延時間td、パルス幅twである。よって、図7,図8に示すように、制振効果が大きな部分でtd−twマップを作成することによって、データ量を減らすことができる。よって、このような振効果が大きな部分で作成したtd−twマップを用いることによって、最適な遅延時間td、パルス幅twを見つけるために行う試し打ちの回数を抑制することができる。
【0077】
同様に、図9,10においては、白色は残響時間nが1.6ms以下、薄い灰色は残響時間が1.6〜1.8ms、濃い灰色は残響時間が1.8〜2msの遅延時間td、パルス幅twを示す。なお、後ほど説明する図11においては、黒色は、残響時間が2ms以上の遅延時間td、パルス幅twを示す。素子定数Max、Minの場合、パルス幅tw=6.6μs、遅延時間td=205.6μs近辺、及びパルス幅tw=4.4μs、遅延時間td=153μs近辺が、制振効果が大きいことがよく分かる。また、そのパルス幅tw範囲、遅延時間td範囲もよく分かる。よって、この白色範囲の遅延時間td、パルス幅twを試し打ちすることで、試し打ちの回数が絞られ、速やかに残響時間が最短になる遅延時間td、パルス幅twを見つけることができる。
【0078】
つまり、図11,図12に示す等高線グラフからも明らかなように、残響時間が最短になるのは、極一部の遅延時間td、パルス幅twである。また、残響時間が1.6ms以下になるのも、限られた遅延時間td、パルス幅twである。よって、図9,図10に示すように、制振効果が大きな部分でtd−twマップを作成することによって、データ量を減らすことができる。よって、このような振効果が大きな部分で作成したtd−twマップを用いることによって、最適な遅延時間td、パルス幅twを見つけるために行う試し打ちの回数を抑制することができる。
【0079】
このようにすることによって、実際の残響時間に基づいて検索された最も残響時間が短くなる制振パルス条件で、制振パルスを駆動回路に対して印加することができる。また、所定の時間的範囲内の複数の残響時間に関連付けられた各制振パルス条件に基づいて試し打ちを行うので、ある程度範囲を絞って試し打ちを行うことができる。よって、比較的短時間で最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索できるとともに、確実に残響時間を短くできるので好ましい。
【0080】
なお、この試し打ちは、超音波検知装置100による検知動作に支障を与えない検知動作前、検知動作休止中などに行うようにすると好ましい。超音波検知装置100は、電源がオンになった後の所定期間(例えば1s程度の間)にダイアグを実行する。よって、制御回路10は、電源がオンになった後の所定期間は検知動作を行わないものである。また、上述のように、制御回路10は、車速が所定値(例えば10km/h)よりも早いときには検知動作を行わないものである。よって、制御回路10は、このような電源がオンになった後の所定期間(例えば1s程度の間)、又は、車速が所定値(例えば10km/h)よりも速いときに試し打ちを行うと好ましい。
【0081】
また、この試し打ちは、検知動作に支障を与えなければ検知動作中に実行することができる。つまり、試し打ちは、物体を検知するための送信パルスの印加タイミング、及び残響時間を短縮するための制振パルスの印加タイミングと異なるタイミングであれば実行することができる。
【0082】
このようにすることによって、検知動作に支障を与えることなく最適な制振パルス条件を検索することができる。
【0083】
また、本実施形態における超音波検知装置100は、遅延時間td、パルス幅twをかえるだけなので、制振のためにハードウェアを追加する必要がなく、非常に簡単な構成で遅延時間を短くすることができる。さらに、駆動電圧と同じ電圧で制振できるので、制振のために印加電圧値を変化させたりする必要がないため回路構成を簡単にできる。
【0084】
また、本実施形態においては、初期値の制振パルス条件に基づいて制振パルスを印加し、初期値と異なる制振パルス条件が周辺温度に応じて選択されたら制振パルス条件を変更する。更に、初期値及び選択された制振パルス条件と異なる制振パルス条件が実際の残響時間に応じて検出されたら制振パルス条件を変更する例を採用して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
例えば、本発明は、予め測定された駆動回路40に固有の素子定数及び予め測定された振動子50に固有の素子定数に基づいて設定された制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加するもの(変形例1)であれば目的を達成できる。つまり、周辺温度や実際の残響時間に応じて制振パルス条件を変更しなくても目的を達成できる。
【0086】
具体的には、素子定数に対応した遅延時間td、パルス幅twを一組だけ記憶部20に記憶しておく(第1記憶部)。この場合、図14に示すような「素子定数ばらつきと制振パルス対比表」を予め作成しておく。この対比表においては、等価並列コンデンサC0、等価直列コンデンサC1、等価直列インダクタL1、コンデンサC2、トランスL2の素子定数のばらつきをランク分けしてある。ここでは、最も素子定数が変動する等価並列コンデンサC0は、C01−1からC01−5の5ランクに分けている。その他の等価直列コンデンサC1、等価直列インダクタL1、コンデンサC2、トランスL2は、それぞれ3ランクに分けてある(例えば、L1−1〜L1−1など)。この対比表は、素子定数のばらつきの組み合わせ毎に、制振パルス条件(遅延時間td、パルス幅tw)を種々組み合わせ、図7や図9のグラフを作り、そのグラフから残響時間が最低となる組み合わせを表にしたものである。つまり、上述の図4〜図12などに基づいて作成することができる。なお、図14においては、ばらつきの小さい素子組み合わせでは、制振パルスを印加する必要がないので、“−”としてある。また、等価直列抵抗R1の素子定数に関しては省略してある。
【0087】
そして、記憶部20には、製造時などに、この対比表から一組の遅延時間td、パルス幅twだけを選択して記憶する。一例としては、等価並列コンデンサC0の素子定数がC0−1、等価直列コンデンサC1の素子定数がC1−3、等価直列インダクタL1の素子定数がL1−1、コンデンサC2の素子定数がC2−1、トランスL2の素子定数がL2−3の場合、パルス幅としてtw157、遅延時間としてtd157を選択して、記憶部20に記憶する。
【0088】
このように、予め測定された振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に基づいて設定された制振パルス条件(遅延時間td、パルス幅tw)に基づいて制振パルスを駆動回路に対して印加するので、振動子50や駆動回路40の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子50及び駆動回路40の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子50と駆動回路40の組み合わせが特定の振動子と駆動回路の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、駆動信号を供給した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、駆動信号を供給した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0089】
なお、この場合(変形例1の場合)、超音波検知装置100は、上述の周辺温度を示す温度情報を取得する必要はない。換言すると、超音波検知装置100は、温度情報取得手段を有していなくてもよい。また、超音波検知装置100は、試し打ち手段に関しても有していなくてもよい。また、記憶部20に、予め測定された駆動回路40に固有の素子定数及び予め測定された振動子50に固有の素子定数が記憶されていなくてもよい。つまり、第2記憶部を有していなくてもよい。さらに、記憶部20に、駆動回路40及び振動子50の素子定数と振動子50の周辺温度と遅延時間tdとパルス幅twの複数の組み合わせ、及び各組み合わせで予め測定された複数の残響時間に関しても記憶されていなくてもよい。つまり、第3記憶部を有していなくてもよい。
【0090】
また、実際の残響時間に応じて制振パルス条件を変更しなくても目的を達成できる(変形例2)。つまり、初期値と異なる制振パルス条件が周辺温度に応じて選択されたら制振パルス条件を変更するものであっても目的を達成できる。
【0091】
このようにすることで、超音波検知装置100の周辺温度が変化した場合であっても、その温度において所定の残響時間となる制振パルス条件を選択することができる。つまり、周辺温度に応じて、残響時間を短縮できる制振パルス条件を選択することができる。そして、この制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、超音波検知装置100の周辺温度が変化した場合であっても残響時間が長くなることを抑制できる。つまり、周辺温度に関係なく残響時間が長くなることを抑制できる。
【0092】
さらに、周辺温度に応じて制振パルス条件を変更しなくても目的を達成できる(変形例3)。つまり、初期値と異なる制振パルス条件が実際の残響時間に応じて検索されたら制振パルス条件を変更するものであっても目的を達成できる。
【0093】
このようにすることで、実際の残響時間に基づいて検索された最も残響時間が短くなる制振パルス条件で、制振パルスを駆動回路に対して印加することができる。また、所定の時間的範囲内の複数の残響時間に関連付けられた各制振パルス条件に基づいて試し打ちを行うので、ある程度範囲を絞って試し打ちを行うことができる。よって、比較的短時間で最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索できるとともに、確実に残響時間を短くできるので好ましい。
【0094】
(第2実施形態)
上述の実施形態においては、記憶部20に素子定数を記憶する例を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。つまり、本実施形態に示すように、超音波検知装置100における記憶部20には、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数は記憶されていなくてよもよい。なお、本実施形態における超音波検知装置100の構成は、上述の実施形態と略同様である。よって、同様な箇所に関しては詳しい説明は省略して、異なる点を重点的に説明する。本実施形態と上述の実施形態との違いは、制御回路10が周辺温度を示す温度情報を取得しない点(すなわち、温度情報取得手段を有していない点)、及び、記憶部20の記憶内容である。
【0095】
本実施形態における記憶部20には、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応した制振パルスのパルス幅twと、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間tdとを含む制振パルス条件が複数記憶されている(第4記憶部)。また、この各制振パルス条件におけるパルス幅twと遅延時間tdとは、予め測定された残響時間が所定範囲(つまり、所定値、又は所定値(許容値)以下)となる値である。
【0096】
具体的には、図15に示すようなtd−twマップが記憶部20に記憶されている。この図15に示すtd−twマップは、例えば、上述の図4〜図12などに基づいて作成されるものであり、予め測定された残響時間が所定範囲となる複数の制振パルス条件(パルス幅tw、遅延時間td)を含むものである。且つ、記憶部20に記憶されるtd−twマップは、記憶部20と同じ超音波検知装置100に搭載された振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応するものである。つまり、記憶部20には、固有の素子定数を有する振動子50及び駆動回路40を用いて予め測定された残響時間が所定値(又は、所定値(許容値)以下)となる複数の制振パルス条件(パルス幅tw、遅延時間td)が記憶されている。よって、搭載されている振動子50及び駆動回路40の素子定数が異なる超音波検知装置100間では、記憶部20に記憶されているtd−twマップも異なる。
【0097】
ここで、本実施形態における超音波検知装置100の処理動作における特徴的な部分に関して説明する。
【0098】
制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する処理を実行する(駆動手段)。さらに、振動子50の残響を抑制(すなわち、残響時間を短縮)するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路40に対して印加する処理を実行する(制振手段)。換言すると、制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する機能と、振動子50の残響を抑制するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する機能とを有するものである。なお、制御回路10は、記憶部20に記憶された複数の制振パルス条件に基づいて試し打ちを行って検索した制振パルス条件を用いて、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを駆動回路40に対して印加する(制振手段)。この制振パルスは、所定のパルス幅twをなすものであり、送信パルスの印加後、所定の遅延時間tdが経過したときに駆動回路40に対して印加されるものである。
【0099】
つまり、制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、ECU200から指示された周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加する。つまり、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する(駆動手段)。なお、制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、記憶部20に記憶された所定の周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加するようにしてもよい。
【0100】
また、駆動回路40は、超音波検知装置に入力される電源電圧(VCC)の供給を受けて駆動し、制御回路10(駆動信号発生回路30)からのパルス信号により、所定の周波数の駆動周波数で振動子50を駆動(振動)させて超音波を送信させる。
【0101】
また、制御回路10は、記憶部20に記憶されたtd−twマップに応じて制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた制振パルスを駆動回路に対して印加する(試し打ち手段)。さらに、制御回路10は、アナログ回路60の増幅回路61で増幅された送信信号(制振パルスを印加した際の送信信号)に基づいて、振動子50の残響時間を計測する(残響計測手段)。
【0102】
そして、制御回路10は、駆動回路40に対して印加した制振パルス毎に残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する(検索手段)。さらに、制御回路10は、このように検索した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加する。つまり、制御回路10は、送信パルスの印加後に、検索した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加する。
【0103】
このように、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、振動子50や駆動回路40の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子50及び駆動回路40の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子50と駆動回路40の組み合わせが特定の振動子50と駆動回路40の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0104】
また、このようにすることによって、実際の残響時間に基づいて検索された最も残響時間が短くなる制振パルス条件で、制振パルスを駆動回路40に対して印加することができる。さらに、予め測定された残響時間が所定範囲となる各制振パルス条件(パルス幅tw、遅延時間td)に基づいて試し打ちを行うので、ある程度範囲を絞って試し打ちを行うことができる。よって、比較的短時間で最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索できるとともに、確実に残響時間を短くできるので好ましい。さらに、本実施形態における超音波検知装置100は、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数を記憶部20に記憶しておく必要はない。
【0105】
(第3実施形態)
上述の実施形態においては、記憶部20に素子定数を記憶する例を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。つまり、本実施形態に示すように、超音波検知装置100における記憶部20には、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数は記憶されていなくてよもよい。なお、本実施形態における超音波検知装置100の構成は、上述の実施形態と略同様である。よって、同様な箇所に関しては詳しい説明は省略して、異なる点を重点的に説明する。本実施形態と上述の実施形態との違いは、制御回路10が試し打ちを行わない(すなわち、試し打ち手段を有していない点)、及び、記憶部20の記憶内容である。
【0106】
本実施形態における記憶部20には、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応した制振パルスのパルス幅twと、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間tdとを含む制振パルス条件が複数記憶されている(第5記憶部)。また、この複数の制振パルス条件は、予め周辺温度毎(つまり、所定の温度範囲毎)に測定された残響時間が、所定範囲(つまり、所定値、又は所定値(許容値)以下)となるパルス幅twと遅延時間tdとを含むものであり、各周辺温度に関連付けられて記憶されている。
【0107】
具体的には、図16に示すようなtd−twマップが記憶部20に記憶されている。ここでは、図16に示すように、所定の温度範囲として、5℃を採用している。そして、図16に示すように、本実施形態におけるtd−twマップ(一例)は、周辺温度が−25℃から85℃の範囲において、22個の制振パルス条件を含んでいる。
【0108】
この図16に示すtd−twマップは、例えば、上述の図4〜図12などに基づいて作成されるものであり、予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となる一つの制振パルス条件(一組のパルス幅tw、遅延時間td)が、その周辺温度に関連付けられている。且つ、記憶部20に記憶されるtd−twマップは、記憶部20と同じ超音波検知装置100に搭載された振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応するものである。つまり、記憶部20には、固有の素子定数を有する振動子50及び駆動回路40を用いて予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となる制振パルス条件(パルス幅tw、遅延時間td)が、周辺温度毎に記憶されている。よって、搭載されている振動子50及び駆動回路40の素子定数が異なる超音波検知装置100間では、記憶部20に記憶されているtd−twマップも異なる。
【0109】
なお、ある周辺温度(温度範囲)において残響時間が所定範囲となる制振パルス条件(パルス幅tw、遅延時間td)が複数ある場合は、最も残響時間が最小となる制振パルス条件(パルス幅tw、遅延時間td)を採用する。よって、本実施形態におけるtd−twマップには、各周辺温度において一つの制振パルス条件(一組のパルス幅tw、遅延時間td)が関連付けられている。
【0110】
ここで、本実施形態における超音波検知装置100の処理動作における特徴的な部分に関して説明する。
【0111】
制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する処理を実行する(駆動手段)。さらに、振動子50の残響を抑制(すなわち、残響時間を短縮)するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路40に対して印加する処理を実行する(制振手段)。換言すると、制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する機能と、振動子50の残響を抑制するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する機能とを有するものである。なお、制御回路10は、記憶部20に記憶された複数の制振パルス条件に基づいて試し打ちを行って検索した制振パルス条件を用いて、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを駆動回路40に対して印加する(制振手段)。この制振パルスは、所定のパルス幅twをなすものであり、送信パルスの印加後、所定の遅延時間tdが経過したときに駆動回路40に対して印加されるものである。
【0112】
つまり、制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、ECU200から指示された周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加する。つまり、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する(駆動手段)。なお、制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、記憶部20に記憶された所定の周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加するようにしてもよい。
【0113】
また、駆動回路40は、超音波検知装置に入力される電源電圧(VCC)の供給を受けて駆動し、制御回路10(駆動信号発生回路30)からのパルス信号により、所定の周波数の駆動周波数で振動子50を駆動(振動)させて超音波を送信させる。
【0114】
また、制御回路10は、ECU200から取得した温度情報(すなわち、現在の振動子50の周辺温度)に応じて、記憶部20に記憶されたtd−twマップから制振パルス条件を選択する(選択手段)。つまり、現在の振動子50の周辺温度に関連付けられた制振パルス条件を選択する。
【0115】
そして、制御回路10は、このように選択した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加する。つまり、制御回路10は、送信パルスの印加後に、選択した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加する。
【0116】
このように、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、振動子50や駆動回路40の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子50及び駆動回路40の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子50と駆動回路40の組み合わせが特定の振動子50と駆動回路40の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0117】
また、超音波検知装置100(振動子50)の周辺温度が変化した場合であっても、その温度において所定の残響時間となる制振パルス条件を選択することができる。つまり、周辺温度に応じて、残響時間を短縮できる制振パルス条件を選択することができる。そして、この制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、超音波検知装置100(振動子50)の周辺温度が変化した場合であっても残響時間が長くなることを抑制できる。つまり、周辺温度に関係なく残響時間が長くなることを抑制できる。
【0118】
さらに、本実施形態における超音波検知装置100は、上述の実施形態1,2などよりも、最適な制振パルス条件(すなわち、現在の超音波検知装置100の周辺環境において残響時間が最小となる制振パルス条件)を探し出す時間を短縮することができる。また、上述の実施形態1,2などよりも、記憶部20に記憶しておく制振パルス条件(すなわち、記憶部20のデータ量)を少なくすることができる。また、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数を記憶部20に記憶しておく必要はない。
【0119】
(第4実施形態)
上述の実施形態においては、記憶部20に素子定数を記憶する例を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。つまり、本実施形態に示すように、超音波検知装置100における記憶部20には、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数は記憶されていなくてよもよい。なお、本実施形態における超音波検知装置100の構成は、上述の実施形態と同様である。よって、同様な箇所に関しては詳しい説明は省略して、異なる点を重点的に説明する。本実施形態と上述の実施形態との違いは、記憶部20の記憶内容である。
【0120】
本実施形態における記憶部20には、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応した制振パルスのパルス幅twと、制振パルスの印加タイミングとしての送信パルスの印加終了時点からの遅延時間tdとを含む制振パルス条件が複数記憶されている(第6記憶部)。また、この制振パルス条件としては、予め周辺温度毎(つまり、所定の温度範囲毎)に測定された残響時間が、所定範囲(つまり、所定値、又は所定値(許容値)以下)となるパルス幅twと遅延時間tdとを含むものである。さらに、各周辺温度において残響時間が所定範囲となる複数の制振パルス条件が、各周辺温度に関連付けられている。
【0121】
具体的には、図17に示すようなtd−twマップが記憶部20に記憶されている。ここでは、図17に示すように、所定の温度範囲として、5℃を採用している。そして、周辺温度が−25℃から85℃の範囲において22個の温度範囲に区分けされている。また、各温度範囲に対して、7個の制振パルス条件(パルス幅tw、遅延時間td)が関連付けられている。よって、本実施形態におけるtd−twマップ(一例)は、合計で154個の制振パルス条件を含んでいる。
【0122】
この図17に示すtd−twマップは、例えば、上述の図4〜図12などに基づいて作成されるものであり、予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となる複数の制振パルス条件(複数組のパルス幅tw、遅延時間td)が、その周辺温度に関連付けられている。且つ、記憶部20に記憶されるtd−twマップは、記憶部20と同じ超音波検知装置100に搭載された振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応するものである。つまり、記憶部20には、固有の素子定数を有する振動子50及び駆動回路40を用いて予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となる複数の制振パルス条件(複数組のパルス幅tw、遅延時間td)が、周辺温度毎に記憶されている。よって、搭載されている振動子50及び駆動回路40の素子定数が異なる超音波検知装置100間では、記憶部20に記憶されているtd−twマップも異なる。
【0123】
ここで、本実施形態における超音波検知装置100の処理動作における特徴的な部分に関して説明する。
【0124】
制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する処理を実行する(駆動手段)。さらに、振動子50の残響を抑制(すなわち、残響時間を短縮)するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路40に対して印加する処理を実行する(制振手段)。換言すると、制御回路10は、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する機能と、振動子50の残響を抑制するための制振パルスを、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて駆動回路に対して印加する機能とを有するものである。なお、制御回路10は、記憶部20に記憶された複数の制振パルス条件に基づいて試し打ちを行って検索した制振パルス条件を用いて、送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを駆動回路40に対して印加する(制振手段)。この制振パルスは、所定のパルス幅twをなすものであり、送信パルスの印加後、所定の遅延時間tdが経過したときに駆動回路40に対して印加されるものである。
【0125】
つまり、制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、ECU200から指示された周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加する。つまり、振動子50から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを駆動回路40に対して印加する(駆動手段)。なお、制御回路10は、ECU200から指示された送信のタイミングで、記憶部20に記憶された所定の周波数のパルス信号(送信パルス)を、駆動信号発生回路30を介して駆動回路15に印加するようにしてもよい。
【0126】
また、駆動回路40は、超音波検知装置に入力される電源電圧(VCC)の供給を受けて駆動し、制御回路10(駆動信号発生回路30)からのパルス信号により、所定の周波数の駆動周波数で振動子50を駆動(振動)させて超音波を送信させる。
【0127】
また、制御回路10は、ECU200から取得した温度情報(すなわち、現在の振動子50の周辺温度)に応じて、記憶部20に記憶されたtd−twマップから複数の制振パルス条件を選択する(選択手段)。つまり、現在の振動子50の周辺温度に関連付けられた複数の制振パルス条件を選択する。
【0128】
そして、制御回路10は、記憶部20に記憶されたtd−twマップから選択した制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた制振パルスを駆動回路に対して印加する(試し打ち手段)。また、制御回路10は、アナログ回路60の増幅回路61で増幅された送信信号(制振パルスを印加した際の送信信号)に基づいて、振動子50の残響時間を計測する(残響計測手段)。
【0129】
そして、制御回路10は、駆動回路40に対して印加した制振パルス毎に残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する(検索手段)。さらに、制御回路10は、このように検索した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加する。つまり、制御回路10は、送信パルスの印加後に、検索した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加する。
【0130】
このように、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数に対応した制振パルス条件に基づいて、制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、振動子50や駆動回路40の素子定数がばらついていた場合であっても、残響時間を短くすることができる。つまり、振動子50及び駆動回路40の素子定数が特定の値と異なる場合や、振動子50と駆動回路40の組み合わせが特定の振動子50と駆動回路40の組み合わせと異なる場合であっても、残響時間を短くすることができる。また、残響エネルギーは、送信パルスを印加した直後よりも、送信パルスの印加後から所定時間遅延したときの方が小さくなっている。よって、このように送信パルスの印加後から所定時間遅延させて制振パルスを印加することで、送信パルスを印加した直後に制振パルスを印加する場合よりも小さい電圧の制振パルスで残響時間を短くできるので効率がよい。
【0131】
また、このようにすることによって、実際の残響時間に基づいて検索された最も残響時間が短くなる制振パルス条件で、制振パルスを駆動回路40に対して印加することができる。また、実際の周辺温度において、予め測定された残響時間が所定範囲となる各制振パルス条件(パルス幅、遅延時間)に基づいて試し打ちを行うので、ある程度範囲を絞って試し打ちを行うことができる。よって、比較的短時間で最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索できるとともに、確実に残響時間を短くできるので好ましい。
【0132】
さらに、超音波検知装置100(振動子50)の周辺温度が変化した場合であっても、その温度において所定の残響時間となる制振パルス条件を選択することができる。つまり、周辺温度に応じて、残響時間を短縮できる制振パルス条件を選択することができる。そして、この制振パルス条件に基づいて制振パルスを駆動回路40に対して印加するので、超音波検知装置100(振動子50)の周辺温度が変化した場合であっても残響時間が長くなることを抑制できる。つまり、周辺温度に関係なく残響時間が長くなることを抑制できる。
【0133】
さらに、本実施形態における超音波検知装置100は、振動子50及び駆動回路40に固有の素子定数を記憶部20に記憶しておく必要はない。
【0134】
(その他の変形例)
上述の実施形態においては、図3(a)に示すように送信パルスの印加終了後に、制振パルスを1回だけ印加する例を採用して説明したが本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、図18に示すように、送信パルスの印加終了後に、制振パルスを複数回印加するようにしてもよい。つまり、送信パルスの印加終了後、遅延時間td1経過後にパルス幅tw1の第1制振パルスを印加する。さらに、第1制振パルスの印加終了後、遅延時間td2経過後にパルス幅tw2の第2制振パルスを印加する。そして、第n制振パルス(n回目の制振パルス)は、パルス幅twnとして、前回の制振パルス(第n−1制振パルス)の印加終了後、遅延時間tdn後に印加される(nは自然数)。
【0135】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0136】
10 制御回路、20 記憶部、30 駆動信号発生回路、40 駆動回路、C2 コンデンサ、L2 トランス、50 振動子、L1 等価直列インダクタ、C1 等価直列コンデンサ、R1 等価直列抵抗、C0 等価並列コンデンサ、60 アナログ回路、100 超音波検知装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
前記振動子を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路による前記振動子の駆動を制御するものであり、前記振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを前記駆動回路に対して印加する駆動手段と、前記振動子の残響を抑制するための制振パルスを前記送信パルスの印加後から所定時間遅延させて前記駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
予め測定された前記振動子及び前記駆動回路に固有の素子定数に基づいて残響時間が所定値となるように設定された、前記制振パルスのパルス幅と、前記制振パルスの印加タイミングとしての前記送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とからなる制振パルス条件が記憶された第1記憶部と、を備え、
前記制振手段は、前記第1記憶部に記憶された前記制振パルス条件に基づいて前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加することを特徴とする超音波検知装置。
【請求項2】
周辺温度を示す温度情報を取得する温度情報取得手段と、
予め測定された前記振動子及び前記駆動回路に固有の素子定数が記憶された第2記憶部と、
周辺温度と素子定数と遅延時間とパルス幅の複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けて記憶された第3記憶部と、を備え、
前記制御回路は、前記第2記憶部に記憶された素子定数と前記温度情報取得手段が取得した温度情報とに応じて、前記第3記憶部から所定の残響時間となる制振パルス条件を選択する選択手段を含み、
前記制振手段は、前記選択手段にて選択された前記制振パルス条件が前記第1記憶部に記憶された前記制振パルス条件と異なる場合は、前記選択手段にて選択された前記制振パルス条件に変更して前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加することを特徴とする請求項1に記載の超音波検知装置。
【請求項3】
前記振動子の残響時間を計測する残響計測手段を備え、
前記制御回路は、
前記第3記憶部から所定の時間的範囲内の残響時間と関連付けられた各制振パルス条件を抽出し、抽出した制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
前記試し打ち手段にて前記駆動回路に対して印加した前記制振パルス毎に前記残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
前記制振手段は、前記検索手段にて検索された前記制振パルス条件が前記第1記憶部に記憶された前記制振パルス条件及び前記選択手段が選択した前記制振パルス条件と異なる場合は前記検索手段にて検索された前記制振パルス条件に変更して前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加することを特徴とする請求項2に記載の超音波検知装置。
【請求項4】
前記振動子の残響時間を計測する残響計測手段と、
周辺温度と素子定数と遅延時間とパルス幅の複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けて記憶された第3記憶部と、を備え、
前記制御回路は、
前記第3記憶部から所定の時間的範囲内の残響時間と関連付けられた各制振パルス条件を抽出し、抽出した制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
前記試し打ち手段にて前記駆動回路に対して印加した前記制振パルス毎に前記残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
前記制振手段は、前記検索手段にて検索された前記制振パルス条件が前記第1記憶部に記憶された前記制振パルス条件と異なる場合は前記検索手段にて検索された前記制振パルス条件に変更して前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加することを特徴とする請求項1に記載の超音波検知装置。
【請求項5】
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
前記振動子を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路による前記振動子の駆動を制御するものであり、前記振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを前記駆動回路に対して印加する駆動手段と、前記振動子の残響を抑制するための制振パルスを前記送信パルスの印加後から所定時間遅延させて前記駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
前記振動子の残響時間を計測する残響計測手段と、
前記振動子及び前記駆動回路に固有の素子定数に対応した前記制振パルスのパルス幅と、前記制振パルスの印加タイミングとしての前記送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とを含む制振パルス条件が複数記憶された第4記憶部と、を備え、
前記第4記憶部に記憶された各制振パルス条件における前記パルス幅と前記遅延時間とは、予め測定された残響時間が所定範囲となる値であり、
前記制御回路は、
前記第4記憶部に記憶された前記制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
前記試し打ち手段にて前記駆動回路に対して印加した前記制振パルス毎に前記残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
前記制振手段は、前記検索手段にて検索された前記制振パルス条件に基づいて、前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加することを特徴とする超音波検知装置。
【請求項6】
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
前記振動子を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路による前記振動子の駆動を制御するものであり、前記振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを前記駆動回路に対して印加する駆動手段と、前記振動子の残響を抑制するための制振パルスを前記送信パルスの印加後から所定時間遅延させて前記駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
周辺温度を示す温度情報を取得する温度情報取得手段と、
前記振動子及び前記駆動回路に固有の素子定数に対応した前記制振パルスのパルス幅と、前記制振パルスの印加タイミングとしての前記送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とを含む制振パルス条件が複数記憶された第5記憶部と、を備え、
前記第5記憶部に記憶された各制振パルス条件は、予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となる前記パルス幅と前記遅延時間とを含むものであり、当該各周辺温度に関連付けられて記憶されており、
前記制御回路は、前記第5記憶部から、前記温度情報取得手段が取得した温度情報に対応した制振パルス条件を選択する選択手段を含み、
前記制振手段は、前記選択手段にて選択された前記制振パルス条件に基づいて、前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加することを特徴とする超音波検知装置。
【請求項7】
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
前記振動子を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路による前記振動子の駆動を制御するものであり、前記振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを前記駆動回路に対して印加する駆動手段と、前記振動子の残響を抑制するための制振パルスを前記送信パルスの印加後から所定時間遅延させて前記駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
周辺温度を示す温度情報を取得する温度情報取得手段と、
前記振動子の残響時間を計測する残響計測手段と、
前記振動子及び前記駆動回路に固有の素子定数に対応した前記制振パルスのパルス幅と、前記制振パルスの印加タイミングとしての前記送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とを含む制振パルス条件が複数記憶された第6記憶部と、を備え、
前記第6記憶部には、前記制振パルス条件として、予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となる前記パルス幅と前記遅延時間とを含むものであり、各周辺温度に対して、各周辺温度において残響時間が所定範囲となる複数の前記制振パルス条件が関連付けられて記憶されており、
前記制御回路は、
前記第6記憶部に記憶された複数の前記制振パルス条件のうち、前記温度情報取得手段が取得した各温度情報に対応する複数の前記制振パルス条件において、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
前記試し打ち手段にて前記駆動回路に対して印加した前記制振パルス毎に前記残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
前記制振手段は、前記検索手段にて検索された前記制振パルス条件に基づいて、前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加することを特徴とする超音波検知装置。
【請求項1】
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
前記振動子を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路による前記振動子の駆動を制御するものであり、前記振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを前記駆動回路に対して印加する駆動手段と、前記振動子の残響を抑制するための制振パルスを前記送信パルスの印加後から所定時間遅延させて前記駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
予め測定された前記振動子及び前記駆動回路に固有の素子定数に基づいて残響時間が所定値となるように設定された、前記制振パルスのパルス幅と、前記制振パルスの印加タイミングとしての前記送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とからなる制振パルス条件が記憶された第1記憶部と、を備え、
前記制振手段は、前記第1記憶部に記憶された前記制振パルス条件に基づいて前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加することを特徴とする超音波検知装置。
【請求項2】
周辺温度を示す温度情報を取得する温度情報取得手段と、
予め測定された前記振動子及び前記駆動回路に固有の素子定数が記憶された第2記憶部と、
周辺温度と素子定数と遅延時間とパルス幅の複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けて記憶された第3記憶部と、を備え、
前記制御回路は、前記第2記憶部に記憶された素子定数と前記温度情報取得手段が取得した温度情報とに応じて、前記第3記憶部から所定の残響時間となる制振パルス条件を選択する選択手段を含み、
前記制振手段は、前記選択手段にて選択された前記制振パルス条件が前記第1記憶部に記憶された前記制振パルス条件と異なる場合は、前記選択手段にて選択された前記制振パルス条件に変更して前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加することを特徴とする請求項1に記載の超音波検知装置。
【請求項3】
前記振動子の残響時間を計測する残響計測手段を備え、
前記制御回路は、
前記第3記憶部から所定の時間的範囲内の残響時間と関連付けられた各制振パルス条件を抽出し、抽出した制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
前記試し打ち手段にて前記駆動回路に対して印加した前記制振パルス毎に前記残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
前記制振手段は、前記検索手段にて検索された前記制振パルス条件が前記第1記憶部に記憶された前記制振パルス条件及び前記選択手段が選択した前記制振パルス条件と異なる場合は前記検索手段にて検索された前記制振パルス条件に変更して前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加することを特徴とする請求項2に記載の超音波検知装置。
【請求項4】
前記振動子の残響時間を計測する残響計測手段と、
周辺温度と素子定数と遅延時間とパルス幅の複数の組み合わせと、各組み合わせで予め測定された複数の残響時間とが関連付けて記憶された第3記憶部と、を備え、
前記制御回路は、
前記第3記憶部から所定の時間的範囲内の残響時間と関連付けられた各制振パルス条件を抽出し、抽出した制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
前記試し打ち手段にて前記駆動回路に対して印加した前記制振パルス毎に前記残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
前記制振手段は、前記検索手段にて検索された前記制振パルス条件が前記第1記憶部に記憶された前記制振パルス条件と異なる場合は前記検索手段にて検索された前記制振パルス条件に変更して前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加することを特徴とする請求項1に記載の超音波検知装置。
【請求項5】
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
前記振動子を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路による前記振動子の駆動を制御するものであり、前記振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを前記駆動回路に対して印加する駆動手段と、前記振動子の残響を抑制するための制振パルスを前記送信パルスの印加後から所定時間遅延させて前記駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
前記振動子の残響時間を計測する残響計測手段と、
前記振動子及び前記駆動回路に固有の素子定数に対応した前記制振パルスのパルス幅と、前記制振パルスの印加タイミングとしての前記送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とを含む制振パルス条件が複数記憶された第4記憶部と、を備え、
前記第4記憶部に記憶された各制振パルス条件における前記パルス幅と前記遅延時間とは、予め測定された残響時間が所定範囲となる値であり、
前記制御回路は、
前記第4記憶部に記憶された前記制振パルス条件毎に、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
前記試し打ち手段にて前記駆動回路に対して印加した前記制振パルス毎に前記残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
前記制振手段は、前記検索手段にて検索された前記制振パルス条件に基づいて、前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加することを特徴とする超音波検知装置。
【請求項6】
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
前記振動子を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路による前記振動子の駆動を制御するものであり、前記振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを前記駆動回路に対して印加する駆動手段と、前記振動子の残響を抑制するための制振パルスを前記送信パルスの印加後から所定時間遅延させて前記駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
周辺温度を示す温度情報を取得する温度情報取得手段と、
前記振動子及び前記駆動回路に固有の素子定数に対応した前記制振パルスのパルス幅と、前記制振パルスの印加タイミングとしての前記送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とを含む制振パルス条件が複数記憶された第5記憶部と、を備え、
前記第5記憶部に記憶された各制振パルス条件は、予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となる前記パルス幅と前記遅延時間とを含むものであり、当該各周辺温度に関連付けられて記憶されており、
前記制御回路は、前記第5記憶部から、前記温度情報取得手段が取得した温度情報に対応した制振パルス条件を選択する選択手段を含み、
前記制振手段は、前記選択手段にて選択された前記制振パルス条件に基づいて、前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加することを特徴とする超音波検知装置。
【請求項7】
超音波を送信して、物体から反射された反射波を受信することにより物体を検知する検知動作を実行する超音波検知装置であって、
超音波を送信する振動子と、
前記振動子を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路による前記振動子の駆動を制御するものであり、前記振動子から検知用の超音波を送信させるための送信パルスを前記駆動回路に対して印加する駆動手段と、前記振動子の残響を抑制するための制振パルスを前記送信パルスの印加後から所定時間遅延させて前記駆動回路に対して印加する制振手段とを含む制御回路と、
周辺温度を示す温度情報を取得する温度情報取得手段と、
前記振動子の残響時間を計測する残響計測手段と、
前記振動子及び前記駆動回路に固有の素子定数に対応した前記制振パルスのパルス幅と、前記制振パルスの印加タイミングとしての前記送信パルスの印加終了時点からの遅延時間とを含む制振パルス条件が複数記憶された第6記憶部と、を備え、
前記第6記憶部には、前記制振パルス条件として、予め周辺温度毎に測定された残響時間が所定範囲となる前記パルス幅と前記遅延時間とを含むものであり、各周辺温度に対して、各周辺温度において残響時間が所定範囲となる複数の前記制振パルス条件が関連付けられて記憶されており、
前記制御回路は、
前記第6記憶部に記憶された複数の前記制振パルス条件のうち、前記温度情報取得手段が取得した各温度情報に対応する複数の前記制振パルス条件において、送信パルスと各制振パルス条件に基づいた前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加する試し打ち手段と、
前記試し打ち手段にて前記駆動回路に対して印加した前記制振パルス毎に前記残響計測手段にて残響時間を計測することによって、最も残響時間が短くなる制振パルス条件を検索する検索手段と、を含み、
前記制振手段は、前記検索手段にて検索された前記制振パルス条件に基づいて、前記制振パルスを前記駆動回路に対して印加することを特徴とする超音波検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−181149(P2012−181149A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45343(P2011−45343)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]