説明

超音波洗浄装置および同装置を用いた食器洗い機および超音波洗浄方法

【課題】異なる性状の汚れに対して超音波洗浄効果を最大化する。
【解決手段】洗浄槽1内の水を振動させて被洗浄物を洗浄する超音波振動子2と、洗浄水から溶存気体を除去する脱気手段3と、前記超音波振動子2と前記脱気手段3を制御する制御手段7とを設け、前記制御手段7により洗浄水の溶存気体飽和度を連続的または段階的に変化させながら超音波洗浄を行うようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波洗浄装置および同装置を用いた食器洗い機および超音波洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工業用洗浄分野で精密洗浄を要さない一般的な洗浄に用いられている超音波洗浄装置は、被洗浄物を浸漬した洗浄槽内で20−50kHz程度の周波数を用いて振動を発生させる。超音波振動によって引き起こされるキャビテーション(空洞)現象や乳化現象、超音波振動子からの直進流の発生、加速度振動による振り落とし効果によって汚れを剥離すると理解されている。中でも、キャビテーション現象は強固に付着した汚れを剥離する効果に優れるため、最も重要な作用と考えられる。
【0003】
キャビテーション現象とは、水中にある微細気泡が超音波振動による低圧が作用された際に大きな気泡に成長し、その気泡が高圧時に収縮して崩壊する際に大きな応力を発揮するという現象である。キャビテーションを起こすためには超音波振動の音圧に閾値が存在し、その閾値を越える音圧を与えることが洗浄効果を発揮するための必要条件である。一定出力の振動子に対して洗浄水が多すぎると水中で音波が拡散して音圧が小さくなってしまうため、通常は1.5〜3Lの洗浄水に対して100〜150W程度の消費電力の振動子を要する。
【0004】
低周波超音波洗浄を応用する場合、できるだけ小さな出力の振動子を効率よく用いて洗浄効果を発揮することがコスト上の理由から重要である。一般に水道水は空気で飽和されているために超音波振動によって大きな気泡が生じやすく、大きな気泡は気泡崩壊に伴う応力を吸収して弱めてしまう(クッション効果)ことが知られている。そのため、洗浄水を予め脱気してから超音波洗浄に供するとクッション効果を防ぐことによって洗浄効果を高めることができ、工業用洗浄分野ではよく用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
脱気方法として、脱気膜モジュールを用いて洗浄中に脱気をし続ける技術(例えば、特許文献2参照)や、洗浄槽を真空状態にして超音波洗浄を行う技術が用いられる(例えば、特許文献3参照)。洗浄水を予め脱気することで、振動子に気泡が付着して振動子が過熱する危険を減らす効果もあるが、単に気泡の付着を防ぐレベルの脱気よりも強く脱気して、溶存気体濃度を下げるほど洗浄効果が強まることが知られている(例えば、特許文献4参照)。脱気の程度は便宜上、溶存酸素濃度で測定されることが多いが、特に溶存酸素濃度を1ppm以下まで下げることが効果的とされる。
【特許文献1】特許第2984445号公報
【特許文献2】特開平11−47060号公報
【特許文献3】特開2003−93983号公報
【特許文献4】実開平6−34783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者が調べたところ、被洗浄物に付着する汚れの種類によっては、洗浄水の溶存酸素濃度が2ppm以下(概ね酸素飽和度20%)まで脱気して超音波洗浄に供したところ脱気しない洗浄水よりもむしろ洗浄結果が悪化する場合があった。最も良好な洗浄結果が得られる溶存酸素濃度は汚れの種類によって異なり、また同じ種類の汚れでも乾燥、固化の程度などによって異なった(表1)。
【0007】
【表1】

【0008】
最適な気体飽和度が汚れの特性によって異なる原因は十分には解明されていないが、次のようなメカニズムが推測されている。溶存気体と水中の微細気泡とは平衡関係にあるため、水道水を脱気するとキャビテーションの核(初生状態)となる微細気泡の数が減る。超音波照射前の微細気泡の数が少ないとキャビテーションの発生個数ひいては気泡崩壊の個数も減少するが、少ない微細気泡に応力が集中するため強い気泡崩壊圧が発生する。厚い汚れや乾燥固化した汚れを剥離するためには強い崩壊圧が必要であるため、気体飽和度の低い水はそのような汚れの洗浄に適する。
【0009】
一方、水道水あるいは微細気泡を添加された水は、気泡崩壊の個数が多いが、超音波振動が分散されてかつクッション効果があるために比較的弱い崩壊圧しか発生しない。薄い汚れや柔らかい汚れを剥離するには弱い崩壊圧で十分であり、多くの点から面的に気泡崩壊圧が作用するほうが剥離には有利と考えられる。そのため、気体飽和度が高い洗浄水や微細気泡を添加された洗浄水が適する。
【0010】
一般的な工業用洗浄の場合は、汚れの種類や性状が比較的均一である場合が多いが、複数の種類や性状を持つ汚れを洗浄する場合は、最適な気体飽和度が単一ではないことが予見される。したがって、このような場合、単に洗浄水を特定の気体飽和度まで脱気するだけでは、すべての汚れに対して十分な洗浄効果を発揮することができない。また、気体飽和度の異なる洗浄水を含んだ複数の超音波洗浄槽を用いるとすると、装置全体のスペースが大きくなってしまったり、使用水量が多くなってしまったりするという問題を生じる。
【0011】
既存の超音波洗浄機の場合、気体飽和度の高い洗浄水に対して長時間超音波振動を加え続けたり加熱と組み合わせたりすることによって徐々に脱気したり、既に脱気しておいた洗浄水に気体を溶解させたりすることは可能である。しかし、数10Lから数1000Lもの洗浄水の気体飽和度を洗浄用の超音波振動だけで顕著に変化させるには、少なくとも30分以上は振動を続ける必要があり、一般的な工業用洗浄の工程時間に比べて長すぎるという問題がある。
【0012】
本発明は、単一の超音波洗浄槽を用いて異なる性状の汚れに対して超音波洗浄効果を最大化することによって、限られた洗浄スペースと限られた出力の振動子を最大限活用することのできる超音波洗浄装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記従来の課題を解決するために、本発明の超音波洗浄装置は、洗浄水の溶存気体飽和度を連続的または段階的に変化させつつ超音波洗浄するようにしたものである。また、本発明の超音波洗浄装置は、洗浄槽に溶存気体飽和度の異なる洗浄水を入れ替えて複数回超音波洗浄するようにしたものである。
【0014】
洗浄水の気体飽和度を連続的に変化させることによって発生するキャビテーションによる洗浄作用の汚れとのマッチングを変化させて、幅広い種類と性状の食器汚れに対して洗浄効果を最適化したものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の超音波洗浄装置は、様々な性状の汚れがついた被洗浄物に対して低周波超音波洗浄の洗浄効果を最大化することができ、限られた洗浄スペースと装置出力とを有効利用して、洗浄性能を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1の発明は、被洗浄物を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽に洗浄水を導入する給水管と、前記給水管の開閉を行う給水弁と、前記洗浄槽内の洗浄水を排水する排水管と、前記排水管の開閉を行う排水弁と、前記洗浄槽内の水を振動させて前記被洗浄物を洗浄する超音波振動子と、洗浄水から溶存気体を除去する脱気手段と、前記超音波振動子と前記脱気手段と前記給水弁と前記排水弁との作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、洗浄水の溶存気体飽和度を連続的または段階的に変化させつつ超音波洗浄するようにしたものである。溶存気体と水中の気泡とは平衡関係にあるため、気体飽和度が低下すると水中に存在する気泡数が減少する。洗浄水の溶存気体濃度を連続的に変化させることによって、キャビテーション現象に伴う気泡崩壊応力の発生個数と強度が順次変化する。その結果、さまざまな種類と状態の汚れに対して、適切な強度と発生頻度の気泡崩壊応力を順次与えて十分な洗浄作用を発揮する。既存の超音波洗浄機の場合は洗浄水の気体飽和度がほぼ一定のまま洗浄をおこなうため、特定の性状の汚れにしか最適なキャビテーション洗浄効果が発揮されないため、数分から数十分間超音波振動を続けなければ十分な洗浄効果が得られない。それに対して、最適な溶存気体飽和度において超音波キャビテーションをおこなった場合は、数秒から数10秒間で十分な洗浄効果が得られる。したがって、溶存気体濃度を変化させながら超音波洗浄をおこなうと、特定の気体飽和度が数十秒持続するだけで十分な洗浄結果が期待でき、全体の洗浄時間を短縮することができる。
【0017】
第2の発明は、被洗浄物を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽に洗浄水を導入する給水管と、前記給水管の開閉を行う給水弁と、前記洗浄槽から洗浄水を排水する排水管と、前記排水管の開閉を行う排水弁と、前記洗浄槽内の水を振動させて前記被洗浄物を洗浄する超音波振動子と、洗浄水から溶存気体を除去する脱気手段と、前記超音波振動子と前記脱気手段と前記給水弁と前記排水弁との作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記洗浄槽に溶存気体飽和度の異なる洗浄水を入れ替えて複数回超音波洗浄するようにしたものである。気体飽和度の異なる数種類の洗浄水を洗浄槽に入れ替えることによって、同一の洗浄水の気体飽和度を変化させる方法に比べて、すすぎ効果を期待できるため洗浄効果の向上が期待できる。
【0018】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の制御手段は、溶存気体飽和度の高い洗浄水を洗浄槽に導入して超音波洗浄を開始し、その後溶存気体飽和度を低下させながら超音波洗浄するようにしたものである。供給された洗浄水は通常空気で飽和されていることが多く、その洗浄水を直に洗浄槽に導入して洗浄を開始するので脱気のあいだ待機する必要が無いために洗浄時間の短縮を計れる。先に気体飽和度の高い水で薄手の汚れや柔らかい汚れを剥離している間に厚手の汚れにも洗浄水が浸透するため、その後気体飽和度の低い水で洗浄する際に洗浄効果が高まる。
【0019】
第4の発明は、特に、第3の発明において、所定の水位以上の洗浄水を排出するオーバーフロー管と、脱気手段によって脱気された洗浄水を洗浄槽内に導入する脱気水導入管と、前記脱気水導入管の開閉を行う脱気水導入弁とを備え、制御手段は、溶存気体飽和度の高い洗浄水で超音波洗浄している間に前記脱気水導入弁を制御して脱気水を導入し洗浄水の溶存気体飽和度を低下させるようにしたものである。溶存気体飽和度の低い洗浄水を徐々に加えることで、洗浄槽中の洗浄水の飽和度を連続的に低下させることができる。また、被洗浄物から剥離した汚れによって汚染された洗浄槽中の洗浄水を連続的に清浄な脱気洗浄水で置き換えることによって汚れの再付着の発生を抑制する効果がある。
【0020】
第5の発明は、特に、第1または第2の発明の制御手段は、溶存気体飽和度の低い洗浄水を超音波洗浄に導入して超音波洗浄を開始し、その後溶存気体飽和度を上昇させながら超音波洗浄するようにしたものである。冬季などに冷たい水道水を室温の食器洗い機に導入した場合、水温の急激な上昇によって洗浄水に気泡が大量に混じる可能性がある。この場合、生じた気泡が振動子の表面に付着して、超音波が洗浄水に十分に伝播されず振動子が過熱して破壊する恐れがある。このような危険を防ぐためには、最初に洗浄水から脱気しておくことが最も好ましい。また、気体飽和度の低い洗浄水で攪拌しながら洗浄をおこなっていると、洗浄水は洗浄槽中の空気に触れて自然に気体飽和度が高まるため、気体溶存のために特別な構成を必要とせず脱気手段だけの比較的単純な構成で実施することも可能である。
【0021】
第6の発明は、特に、第5の発明において、給水管は未脱気の洗浄水を洗浄槽内に導入する分岐弁を備え、所定の水位以上の洗浄水を排出するためのオーバーフロー管を備え、制御手段は、溶存気体飽和度の低い洗浄水で超音波洗浄している間に未脱気の洗浄水を導入して溶存気体飽和度を上昇させるように制御するものである。溶存気体飽和度の高い洗浄水を徐々に加えることで、洗浄槽中の洗浄水の飽和度を連続的に上昇させることができる。また、被洗浄物から剥離した汚れによって汚染された洗浄槽中の洗浄水を徐々に清浄な洗浄水で置き換えることによって汚れの再付着の発生を抑制する効果がある。
【0022】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明の脱気手段は、洗浄水を加熱するヒーターで構成し、前記ヒーターを加熱する加熱貯水部を備え、制御手段は、前記洗浄水を所定温度に加熱して脱気するようにしたものである。洗浄水を加熱することによって飽和溶存気体濃度が減少するため、過飽和となった溶存気体は気泡として水面に浮上し除去される。また、加温された洗浄水は汚れの粘性を減少させたり、汚れの中に浸透しやすくなったりするため、全体として比較的投入エネルギーで効率的に洗浄力を高めることができる。
【0023】
第8の発明は、特に、第7の発明において、ヒーターによって加熱脱気された洗浄水を冷却する冷却手段を備えたものである。加熱は効果的な脱気方法であるが、一般に50〜60℃を超える水系の洗浄液は飽和蒸気圧が高いために水蒸気の気泡を生じやすく、脱気の効果が打ち消される恐れがある。そこで、脱気の完了した加熱洗浄水を60℃以下まで冷却することによって、キャビテーションを強化する効果を確実にする。
【0024】
第9の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明の脱気手段は、洗浄槽の内部を減圧する減圧手段と、前記洗浄槽内で洗浄水を微細化して噴霧する微細化手段とを有し、制御手段は、減圧下で洗浄水を微細化して脱気するようにしたものである。減圧した洗浄槽内に洗浄水をスプレーするなどして微細化することによって効率の高い脱気が可能である。
【0025】
第10の発明は、特に、第9の発明において、洗浄槽内に設けられた減圧に耐えられる減圧室と、給水管の一部に前記減圧室に洗浄水を導入する分岐弁とを備え、制御手段は、前記減圧室の内部で洗浄水を微細化して脱気するようにしたものである。洗浄槽の一部に減圧室を設け、減圧室の内部でのみキャビテーション強化による超音波洗浄をおこなう構成である。汚れの強く付着した被洗浄物が限られている場合に、減圧室内に収納して強い洗浄をおこなうことができる。
【0026】
第11の発明は、特に、第9または第10の発明の制御手段は、洗浄槽または減圧室を減圧中に超音波振動子を作動させて脱気を促進するようにしたものである。溶存気体飽和度の非常に低い洗浄水を得ようとすると、減圧室中で洗浄水をスプレーして微細化しながら導入する脱気方法は、スプレー速度を遅くする必要があり脱気にやや時間がかかる。そこで前記の方法によって脱気された水を減圧下で超音波振動させるとさらに脱気が進行するため、短時間で低い溶存気体飽和度の洗浄水を得ることが可能になる。
【0027】
第12の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明の脱気手段は、減圧手段と脱気膜モジュールから成るものである。この方法の場合、脱気膜モジュールを減圧すれば、洗浄水を連続的に脱気することができる。したがって、脱気する洗浄水を貯めておくための専用のスペースが不要であり、装置全体を小さく構成することが可能になる。
【0028】
第13の発明は、特に、第12の発明において、超音波振動子から発せられる廃熱を洗浄水に吸収させる熱交換手段を備え、超音波振動子によって加温された洗浄水を脱気膜モジュールに供給するようにしたものである。高出力の超音波振動子は作動中に発熱するため冷却が必要な場合がある。また、脱気膜モジュールは多数の中空糸で構成され、中空糸内部から外部の減圧部分に溶存気体が拡散することによって脱気される。中空糸内部でも中心と外側との間に溶存気体の濃度勾配(中心がより高濃度)ができて、脱気の効率を低下させる。洗浄液を所定の温度まで加温することによって中空糸内での拡散を促進して濃度勾配を抑制できるため、脱気を効率化できる。一方、洗浄水の温度が45℃を超えるとモジュールの耐久性を損ねるため洗浄水の加温は適度である必要がある。その点で、超音波振動子からの廃熱利用は適度な加温が期待できる。このことによって、脱気時間を短縮したり脱気膜モジュールを小型化したりすることが可能になる。
【0029】
第14の発明は、第1〜第13の発明のいずれか1つの超音波洗浄装置を備えた食器洗い機である。多種多様な汚れが付着した食器を超音波洗浄する場合、洗浄水の溶存気体飽和度を連続的に変化させることによって、それぞれの汚れに対して適切な強度と発生頻度の気泡崩壊力を順次与えて十分な洗浄作用を発揮することができる。その結果、洗剤の使用量を削減したり、洗浄時間を短縮したり、洗浄に必要な超音波出力を小さくしたり、そのために食器洗い機の機体を小さく構成したりすることが可能になる。
【0030】
第15の発明は、洗浄水の溶存気体飽和度を連続的または段階的に変化させつつ超音波洗浄するようにした超音波洗浄方法である。多種多様な汚れが付着した被洗浄物を超音波洗浄する場合、洗浄水の溶存気体飽和度を連続的に変化させることによって、それぞれの汚れに対して適切な強度と発生頻度の気泡崩壊力を順次与えて十分な洗浄作用を発揮することができる。その結果、洗剤の使用量を削減したり、洗浄時間を短縮したり、洗浄に必要な超音波出力を減らしたりすることが可能になる。
【0031】
第16の発明は、洗浄槽に溶存気体飽和度の異なる洗浄水を入れ替えて複数回超音波洗浄するようにした超音波洗浄方法である。多種多様な汚れが付着した被洗浄物を超音波洗浄する場合、洗浄水の溶存気体飽和度を連続的に変化させることによって、それぞれの汚れに対して適切な強度と発生頻度の気泡崩壊力を順次与えて十分な洗浄作用を発揮することができる。その結果、洗剤の使用量を削減したり、洗浄時間を短縮したり、洗浄に必要な超音波出力を減らしたりすることが可能になる。
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0033】
(実施の形態1)
図1は、本発明の超音波洗浄装置を用いた第1の実施の形態における食器洗い機の構成図である。食器洗い機は、被洗浄物である食器を収納する洗浄槽1、洗浄槽1内の洗浄水を振動させる超音波振動子2、洗浄水から脱気をおこなう脱気膜モジュール3、脱気膜モジュール3を駆動する減圧ポンプ4、洗浄水の導入のON/OFFおよび導入方向を切り替える給水バルブ(給水弁)5、洗浄水の排水のON/OFFおよび排水方向を切り替える排水バルブ(排水弁)6、超音波振動子2を駆動させ給水バルブおよび排水バルブの開閉と切替方向を制御する制御手段7、洗浄槽内の水が所定の水位以上に溜まった際にオーバーフローさせるオーバーフロー管8、洗浄水の排水をおこなう排水管9、洗浄水の導入を行う導入管10から構成される。
【0034】
本発明の超音波洗浄装置を用いた食器洗い機は、洗浄水の溶存気体飽和度の変化について複数の作動方式を取ることができるので、まず溶存気体飽和度の変化についてその概要を図2で説明する。洗浄方法は、大きく分けて超音波洗浄工程中に洗浄水の溶存気体飽和度の変化方向を上昇させる上昇式(a)と、低下させる下降式(b)とがある。
【0035】
一般に導入された直後の洗浄水の溶存気体飽和度はほぼ100%程度であるため、下降式では洗浄水が導入されてすぐに超音波洗浄を開始することができて、上昇式に比べて全体での洗浄時間を短くできるという特長がある。また、下降式では、はじめに気体飽和度の高い洗浄水で洗浄している間に、固化していた汚れは軟化し厚い汚れは徐々に薄くなって後半の気体飽和度の低い水での洗浄に対する負担が減ることが期待できるので、脱気の程度を緩和することが可能で脱気手段の設計が容易になる。例えば、本実施の形態の場合、脱気膜モジュールの膜面積を小さく構成することが可能になる。
【0036】
上昇式の場合でも低下式の場合でも、気体飽和度を変化させる方法には、同一の洗浄水の飽和度を変化させる方法(連続式:イ)、元の洗浄水に異なる飽和度の洗浄水を連続的に供給して置換してゆく方法(連続置換式:ロ)、元の洗浄水を排水してから異なる飽和度の洗浄水を導入する方法(入替式:ハ)とがある。
【0037】
連続式は、洗浄水の使用量が最も少なくてすむという特長がある。連続置換式では、連続式よりも節水性能で劣るものの、汚れを排出しながら洗浄をおこなうため汚れの再付着が抑えられてすすぎ水の使用量が少なくて済む。入替式では通常3段階程度の溶存気体飽和度で洗浄をおこなう必要があり、入替のたびに洗浄水を捨てることになるので洗浄水の使用量が最も多くなる。
【0038】
本実施の方式に比較的適した連続置換下降式(b−ロ)と連続置換上昇式(a−ロ)について作動を以下に説明するが、入替上昇式(a−ハ)や入替下降式(b−ハ)も可能である。
【0039】
連続置換下降式(b−ロ)における作動を図1で説明する。すすぎ工程以前の超音波洗浄工程をフローチャートにより図3に示した。給水管10から供給された気体飽和度の高い洗浄水は矢印ロ方向に導入されて洗浄槽1を満たす。超音波振動子2が作動して超音波キャビテーション洗浄が開始される。その2〜3分後に給水バブル5が矢印イ方向に切り替って給水が再開され、脱気膜モジュールによって脱気された洗浄水が洗浄槽1に供給される。オーバーフロー管8から汚れを含んだ気体飽和度の高い洗浄水が排出される。こうして新たに導入された飽和度の低い洗浄水は約10分かけて洗浄槽1の洗浄水を完全に置換し、連続的に気体飽和度を低下させる。
【0040】
したがって、その間さまざまな特性の食器汚れに対してそれぞれ最適な条件で超音波キャビテーション洗浄が行われる。また、徐々に排水することで剥離した汚れを徐々に排出することができるので汚れの再付着の可能性を下げる。その後、排水管9からすべての洗浄水が矢印ニ方向に排水され、最後にすすぎのために矢印ロ方向からの給水と矢印ニ方向からの排水が1〜2回繰り返されて、食器洗浄を終了する。
【0041】
次に、連続置換上昇式(a−ロ)における作動を説明する。給水管10から導入された洗浄水は脱気膜モジュール3に導入され脱気される。脱気された洗浄水が矢印イの方向に導入され洗浄槽1を満たすと、超音波振動子2が作動して気体飽和度の低い洗浄水によるキャビテーション洗浄が開始される。2〜3分後、給水バルブの方向が矢印ロ方向に切り替り、気体飽和度の高い洗浄水が洗浄槽1に所定の速度で導入される。新たに導入されたのと同量の汚れた洗浄水がオーバーフロー管8から矢印ハ方向に排水される。超音波洗浄の終了後、排水管9からすべての洗浄水が矢印ニ方向に排水される。最後に、すすぎのために矢印ロ方向からの給水と矢印ニ方向からの排水が1〜2回繰り返されて、洗浄を終了する。連続置換上昇式(a−ロ)や連続置換下降式(b−ロ)の場合、溶存気体飽和度が40〜100%の範囲で変化させるのが適切である。
【0042】
また、入替下降式(b−ハ)の動作について、すすぎ工程以前の超音波洗浄工程をフローチャートにより図4に示した。給水管10から導入された洗浄水は脱気膜モジュール3に比較的遅い流量で導入されて気体飽和度が最も低くなるように脱気される。脱気された洗浄水が矢印イの方向に導入され洗浄槽1を満たすと、超音波振動子2が作動して気体飽和度の低い洗浄水によるキャビテーション洗浄が開始される。超音波洗浄が5分程度継続した後、超音波振動子2は停止し、排水バルブ6の切替によって排水管9から全ての洗浄水が排水される。再度、給水管10から洗浄水が脱気膜モジュール3に導入されるが、その際の流量は前回よりも大きくなり、気体飽和度が中程度に脱気される。その洗浄水を用いて約5分間の超音波洗浄と排水がおこなわれる。三度目に洗浄水が導入される際は、脱気膜モジュール3に接続した減圧ポンプ4は作動されず脱気はおこなわれない。脱気のおこなわれない洗浄水で超音波洗浄と排水がおこなわれた後、すすぎと排水が1回おこなわれて洗浄を終了する。
【0043】
この例では、3段階の溶存気体飽和度でそれぞれ超音波洗浄をおこなっているが、飽和度が40〜100%の範囲で4段階程度入れ替えて超音波洗浄するのが適当である。
【0044】
このように洗浄水の気体飽和度を連続的に変えながら洗浄を行うことによって、あらゆる食器汚れに対して超音波キャビテーションによる洗浄力を最大化することができて、従来の食器洗い機では落とすことが困難だった卵黄汚れ、焦げ、口紅、ご飯粒などを確実に落とすことができる。
【0045】
同様な脱気装置および同様な作動方式をとりながら、洗浄槽1や全体の大きさを大きくすることによって、業務用の食器洗い機や産業用の洗浄装置とすることも可能である。例えば、多様なプラスチック製品をリサイクルしたり再利用したりする場合、使用済みプラスチック製品は多様な特性の汚れを含むので、本発明による洗浄装置を用いれば複数種の洗浄剤や溶剤を用いることなく洗浄をおこなうことができる。
【0046】
(実施の形態2)
図5は、本発明の第2の実施の形態における食器洗い機の構成図を示す。食器洗い機は、食器を収納し気密性でかつ減圧に耐えられるように設けられた洗浄槽1、洗浄槽1内の洗浄水を振動させる超音波振動子2、洗浄槽1内を減圧する減圧ポンプ4、洗浄水の導入のON/OFFおよび導入方向を切り替える給水バルブ5、洗浄水の排水のON/OFFおよび排水方向を切り替える排水バルブ6、超音波振動子2を駆動させ給水バルブおよび排水バルブの開閉と切替方向を制御する制御手段7、洗浄槽内の水が所定の水位以上に溜まった際にオーバーフローさせるオーバーフロー管8、洗浄水の排水をおこなう排水管9、洗浄水の導入を行う導入管10、洗浄水を微細化するための微細化ノズル11から構成される。
【0047】
本実施の方式に比較的適した連続置換上昇式(a−ロ)について作動を以下に説明するが、入替上昇式(a−ハ)や連続上昇式(a−イ)、入替下降式(b−ハ)も可能である。
【0048】
連続置換上昇式(a−ロ)における作動を図4で説明する。減圧ポンプ4が作動して洗浄槽1内が所定圧まで減圧されると、給水弁5が閉じた状態から矢印ヘ方向に開く。その結果、洗浄水が微細化ノズル11から微細化されて洗浄槽1内に導入される。導入された溶存気体飽和度の低い洗浄水が洗浄槽1を所定の深さまで満たすと、超音波振動子2が作動して超音波キャビテーション洗浄が開始される。その2〜3分後に給水バブル5が矢印ロ方向に切り替って給水が再開され、気体飽和度の高い洗浄水が洗浄槽1に供給される。オーバーフロー管8から汚れを含んだ気体飽和度の低い洗浄水が排出される。
【0049】
こうして新たに導入された飽和度の高い洗浄水は約10分かけて洗浄槽1の洗浄水を完全に置換し、連続的に気体飽和度を上昇させる。したがって、その間さまざまな特性の食器汚れに対してそれぞれ最適な条件で超音波キャビテーション洗浄が行われる。また、徐々に排水することで剥離した汚れを徐々に排出することができるので汚れの再付着の可能性を下げる。その後、排水管9からすべての洗浄水が矢印ニ方向に排水され、最後にすすぎのために矢印ロ方向からの給水と矢印ニ方向からの排水が1〜2回繰り返されて、食器洗浄を終了する。実施の形態1に比べて脱気に時間がかかるという欠点はあるが、比較的簡便な構成で作動できるという特長がある。
【0050】
(実施の形態3)
図6は、本発明の第3の実施の形態における食器洗い機の構成図を示す。食器洗い機は、被洗浄物である食器を収納する洗浄槽1、洗浄槽1内の洗浄水を振動させる超音波振動子2、洗浄水を加熱することによって脱気するヒーター12とヒーター12を収納する加熱室13、洗浄水の導入のON/OFFおよび導入方向を切り替える給水バルブ5、洗浄水の排水のON/OFFおよび排水方向を切り替える排水バルブ6、超音波振動子2を駆動させ給水バルブおよび排水バルブの開閉と切替方向、およびヒーター12の作動を制御する制御手段7、洗浄槽1内の水が所定の水位以上に溜まった際にオーバーフローさせるオーバーフロー管8、洗浄水の排水をおこなう排水管9、洗浄水の導入を行う導入管10から構成される。
【0051】
本実施の形態に比較的適した方式は連続置換上昇式(a−ロ)であるが、入替上昇式(a−ハ)や入替下降式(b−ハ)も可能である。連続置換上昇式(a−ロ)における作動を図6で説明する。給水管10から供給された気体飽和度の高い洗浄水は矢印イ方向に導入されて加熱室12に入る。ヒーター12の表面および加熱室13の内表面はシリコーンポリマーなど疎水性の材料で被覆されていて、加熱された洗浄水中の溶存気体はそれらの表面上で気泡を形成する。加熱室12内の水温は90〜100℃になるように制御され、水流がヒーター12の表面および加熱室の内側壁面に当たるように設けることで、気泡の排出とそれによる脱気が促進される。
【0052】
洗浄槽1に導入された溶存気体濃度の低い洗浄水はオーバーフロー管8の高さの半分まで導入され、食器および洗浄槽1に熱を奪われて80℃程度まで温度が下がる。その後、給水バルブ5が矢印ロ方向に切り替わって気体飽和度の高い洗浄水が洗浄槽1に導入される。新たに導入された洗浄水は高温の脱気洗浄水に接するため急速に脱気される。
【0053】
オーバーフロー管8の高さまで供給されると、全体として気体飽和度が約70%、水温約50℃の洗浄水となり、超音波振動子2が作動して超音波キャビテーション洗浄が開始される。その2〜3分後に給水バブル5が矢印ロ方向のまま給水が再開され、気体飽和度の高い洗浄水が洗浄槽1に供給される。オーバーフロー管8から汚れを含んだ気体飽和度の低い洗浄水が排出される。
【0054】
こうして新たに導入された飽和度の高い洗浄水は約10分かけて洗浄槽1の洗浄水を完全に置換し、連続的に気体飽和度を上昇させる。したがって、その間さまざまな特性の食器汚れに対してそれぞれ最適な条件で超音波キャビテーション洗浄が行われる。また、本実施の形態では水温の高い洗浄水を用いるために、油脂類を軟化したり厚みのある汚れに浸透したりするという効果がある。また、徐々に排水することで剥離した汚れを徐々に排出することができるので汚れの再付着の可能性を下げる。その後、排水管9からすべての洗浄水が矢印ニ方向に排水され、最後にすすぎのために矢印ロ方向からの給水と矢印ニ方向からの排水が1〜2回繰り返されて、食器洗浄を終了する。
【0055】
(実施の形態4)
図7は、本発明の第4の実施の形態における食器洗い機の構成図を示す。食器洗い機は、洗浄槽1、超音波振動子2、超音波振動子に接して設けられ超音波振動子の作動による発熱を冷却する冷却管14、洗浄水から脱気するための脱気膜モジュール3と減圧ポンプ4、洗浄水の導入方向を切替える給水バルブ5、洗浄水の排水方向を切替える排水バルブ6、超音波振動子2を駆動させ給水バルブおよび排水バルブの開閉と切替方向を制御する制御手段7、洗浄槽内の水が所定の水位以上に溜まった際にオーバーフローさせるオーバーフロー管8、洗浄水の排水をおこなう排水管9、洗浄水の導入を行う導入管10から構成される。
【0056】
本実施の方式に比較的適するのは連続置換下降式(b−ロ)と連続置換上昇式(a−ロ)であるが、作動は実施の形態1と同じであるので説明を省略する。超音波振動子を駆動させて洗浄中に、洗浄水を冷却管14に通して洗浄水を加温してから脱気膜モジュール3に通して脱気する。このことによって脱気の効率を高められるため脱気膜モジュールを小型に設けることが可能になり、かつ超音波振動子を高出力で作動させても熱破壊の恐れがなくなった。
【0057】
(実施の形態5)
図8は、本発明の第5の実施の形態における食器洗い機の構成図を示す。食器洗い機は、洗浄槽1、超音波振動子2、超音波振動子2を収めて洗浄水を食器に向けて噴射するように設けられた超音波洗浄ノズル15、洗浄水から脱気するための脱気膜モジュール3と減圧ポンプ4、洗浄水の導入のON/OFFおよび導入方向を切り替える給水バルブ5、洗浄水の排水のON/OFFおよび排水方向を切り替える排水バルブ6、超音波振動子2を駆動させ給水バルブおよび排水バルブの開閉と切替方向を制御する制御手段7、洗浄水の排水をおこなう排水管9、洗浄水の導入を行う導入管10、洗浄水を加圧して超音波洗浄ノズル15に送るための加圧ポンプ16、噴射された洗浄水が貯留される貯水槽17から構成される。
【0058】
本実施の方式に比較的適するのは連続上昇式(a−イ)である。連続上昇式(a−イ)について作動を図8で説明する。給水管10から導入された洗浄水は、減圧された脱気膜モジュール3によって脱気された後、貯水槽17および加圧ポンプ16を満たす。加圧ポンプ16が作動して、洗浄水は超音波洗浄ノズル15に向けて加圧されて食器に向けて噴射される。洗浄水は超音波振動子2による振動を伝播して食器の表面上でキャビテーションを発生させて洗浄作用を発揮する。噴射された水は貯水槽17に集まり、再度加圧ポンプ16によって加圧されて洗浄に循環使用される。噴射された洗浄水は洗浄槽1中の気体を徐々に溶解して、気体飽和度が連続的に上昇する。このようにしてさまざまな特性の汚れに対して最適な洗浄作用を発揮する。
【0059】
実施の形態1〜4に比べて本実施の形態では、大きな貯水部を有さないために軽量小型に設計可能であるという利点がある。また、消費する洗浄水の総使用量をより少なく抑えることができることや、そのために超音波振動子の個数や出力をより少なくすることが可能であり、小型に構成するために適している。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように本発明に係る超音波洗浄装置は、様々な性状の汚れがついた被洗浄物に対して低周波超音波洗浄の洗浄効果を最大化すること可能となるので、限られた洗浄スペースと装置出力とを有効利用した洗浄装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態1における超音波洗浄装置を用いた食器洗い機の構成図
【図2】本発明の超音波洗浄方法の方式を示す説明図
【図3】本発明の超音波洗浄方法の連続置換下降式のフローチャート
【図4】本発明の超音波洗浄方法の入替下降式のフローチャート
【図5】本発明の実施の形態2における超音波洗浄装置を用いた食器洗い機の構成図
【図6】本発明の実施の形態3における超音波洗浄装置を用いた食器洗い機の構成図
【図7】本発明の実施の形態4における超音波洗浄装置を用いた食器洗い機の構成図
【図8】本発明の実施の形態5における超音波洗浄装置を用いた食器洗い機の構成図
【符号の説明】
【0062】
1 洗浄槽
2 超音波振動子
3 脱気膜モジュール(脱気手段)
5 給水バルブ(給水弁)
6 排水バルブ(排水弁)
7 制御手段
9 排水管
10 給水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽に洗浄水を導入する給水管と、前記給水管の開閉を行う給水弁と、前記洗浄槽内の洗浄水を排水する排水管と、前記排水管の開閉を行う排水弁と、前記洗浄槽内の水を振動させて前記被洗浄物を洗浄する超音波振動子と、洗浄水から溶存気体を除去する脱気手段と、前記超音波振動子と前記脱気手段と前記給水弁と前記排水弁との作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、洗浄水の溶存気体飽和度を連続的または段階的に変化させつつ超音波洗浄するようにした超音波洗浄装置。
【請求項2】
被洗浄物を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽に洗浄水を導入する給水管と、前記給水管の開閉を行う給水弁と、前記洗浄槽から洗浄水を排水する排水管と、前記排水管の開閉を行う排水弁と、前記洗浄槽内の水を振動させて前記被洗浄物を洗浄する超音波振動子と、洗浄水から溶存気体を除去する脱気手段と、前記超音波振動子と前記脱気手段と前記給水弁と前記排水弁との作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記洗浄槽に溶存気体飽和度の異なる洗浄水を入れ替えて複数回超音波洗浄するようにした超音波洗浄装置。
【請求項3】
制御手段は、溶存気体飽和度の高い洗浄水を洗浄槽に導入して超音波洗浄を開始し、その後溶存気体飽和度を低下させながら超音波洗浄するように制御する請求項1または2記載の超音波洗浄装置。
【請求項4】
所定の水位以上の洗浄水を排出するオーバーフロー管と、脱気手段によって脱気された洗浄水を洗浄槽内に導入する脱気水導入管と、前記脱気水導入管の開閉を行う脱気水導入弁とを備え、制御手段は、溶存気体飽和度の高い洗浄水で超音波洗浄している間に前記脱気水導入弁を制御して脱気水を導入し洗浄水の溶存気体飽和度を低下させるようにした請求項3記載の超音波洗浄装置。
【請求項5】
制御手段は、溶存気体飽和度の低い洗浄水を超音波洗浄に導入して超音波洗浄を開始し、その後溶存気体飽和度を上昇させながら超音波洗浄するようにした請求項1または2記載の超音波洗浄装置。
【請求項6】
給水管は未脱気の洗浄水を洗浄槽内に導入する分岐弁を備え、所定の水位以上の洗浄水を排出するためのオーバーフロー管を備え、制御手段は、溶存気体飽和度の低い洗浄水で超音波洗浄している間に未脱気の洗浄水を導入して溶存気体飽和度を上昇させるように制御する請求項5記載の超音波洗浄装置。
【請求項7】
脱気手段は、洗浄水を加熱するヒーターで構成し、前記ヒーターを加熱する加熱貯水部を備え、制御手段は、前記洗浄水を所定温度に加熱して脱気するようにした請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置。
【請求項8】
ヒーターによって加熱脱気された洗浄水を冷却する冷却手段を備えた請求項7記載の超音波洗浄装置。
【請求項9】
脱気手段は、洗浄槽の内部を減圧する減圧手段と、前記洗浄槽内で洗浄水を微細化して噴霧する微細化手段とを有し、制御手段は、減圧下で洗浄水を微細化して脱気するようにした請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置。
【請求項10】
洗浄槽内に設けられた減圧に耐えられる減圧室と、給水管の一部に前記減圧室に洗浄水を導入する分岐弁とを備え、制御手段は、前記減圧室の内部で洗浄水を微細化して脱気するようにした請求項9記載の超音波洗浄装置。
【請求項11】
制御手段は、洗浄槽または減圧室を減圧中に超音波振動子を作動させて脱気を促進するようにした請求項9または10記載の超音波洗浄装置。
【請求項12】
脱気手段は、減圧手段と脱気膜モジュールから成る請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置。
【請求項13】
超音波振動子から発せられる廃熱を洗浄水に吸収させる熱交換手段を備え、超音波振動子によって加温された洗浄水を脱気膜モジュールに供給するようにした請求項12記載の超音波洗浄装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置を備えた食器洗い機。
【請求項15】
洗浄水の溶存気体飽和度を連続的または段階的に変化させつつ超音波洗浄するようにした超音波洗浄方法。
【請求項16】
洗浄槽に溶存気体飽和度の異なる洗浄水を入れ替えて複数回超音波洗浄するようにした超音波洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−228863(P2008−228863A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70151(P2007−70151)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】