説明

超高分子量ポリエチレンパネルの製造

機械方向を横切る方向で、好ましくは両側から狭くなり、かつ、金型の上部と下部とでその出口近傍に位置する横向きに設置され、もしくはそのいずれかの複数の冷却ゾーンを有するスリット金型を採用した連続ラム押出し法によって、大きな幅の超高分子量ポリエチレンパネルが調製される。パネルは、結晶融解温度より低い温度で金型を出る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラム押し出しによる、好ましくは幅が約60cmを超える超高分子量ポリエチレンのシートの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
多くが精通している従来のポリエチレンポリマー、すなわち、低密度及び高密度のポリエチレンは、並外れた強度特性では知られていない蝋状固形物である。また、それらは相対的に軟らかいため、一般に滑らかな半面、擦り減り易い。一方、超高分子量ポリエチレン(Ultra high molecular weight polyethylene)、「UHMWPE」は、全体としてその貧弱な派生物とは異なって、並外れて強く且つ耐久性のあるポリマーである。
【0003】
超高分子量ポリエチレンは、ポリエチレン鎖が、樹脂粉末として供給され、通常1.5x10〜1x10ダルトンの数平均分子量を有し、並外れて高い分子量を獲得する特殊な重合法で調製される。超高分子量ポリエチレンはまた、ASTM D4020−05;D6712−01及びISO 11542−2で定義されたポリマーを含む。一般に、ホモポリマーの性質であるが、超高分子量ポリエチレンはまた、限定された量の共重合性の他コモノマーを有するコポリマーを含む。コポリマー超高分子量ポリエチレンの場合、前述のASTM及びISO要件が満たされるべきである。これらのポリマーの特徴はその非常に長いポリマー鎖である。しかしながら、この同じ特徴がまた、主な加工上の問題の原因でもある。通常のポリエチレンは溶融押出しされ、非常に高い分子量のポリエチレンでさえ溶融押し出されるが、超高分子量ポリエチレンを溶融押出しする試みは、この領域における多大な研究にもかかわらず、大部分が失敗に終わり、実際、超高分子量ポリエチレンの全生産品は特許文献1によって指摘されたように圧縮成形又はラム押出しによって製造され、このことは、従来の熱可塑性プラスチックに適用可能な加工方法、たとえば、連続押出し、カレンダー加工及び射出形成は一般に超高分子量ポリエチレンには適用できないことを示している。
【0004】
従って、たとえば、特許文献2は、溶融物からの超高分子量ポリエチレンのスクリュー押出しによる滑り部材の製造を開示している。しかしながら、使用する加工には、超高分子量ポリエチレン、低分子量ポリエチレン(「PE」)及び潤滑剤を採用しなければならない。従って、低分子量の種による超高分子量ポリエチレンの稀釈による機械的特性の相当なロスが生じる。押出し機における剪断劣化によって特性のさらなるロスが引き起こされる。
【0005】
特許文献3は、その最終的な断面が押出し機の直径と比べてかなり小さく、非常に低い延伸速度勾配が維持される金型を介した溶融押出しを開示している。しかしながら、これらの要件にもかかわらず、非常に高い分子量のPEと約1.5x10の最低分子量範囲の超高分子量ポリエチレンしか有用ではない。特許文献4は、1x10より大きな分子量を有するPE樹脂で使用可能であると言われる単一スクリュー押出し機用のスクリュー形状物を開示している。しかしながら、そのような溶融押出し法を用いては大きな外形を作製することはできない。
【0006】
超高分子量ポリエチレンを加工することに関連する問題は、約135℃〜150℃の結晶融解温度より上でのポリマーのゲル状の性質に部分的には起因する。通常のポリエチレンはそのような温度では粘性のある、糖蜜状の液体であるが、超高分子量ポリエチレンは極めて高い粘度を有し、押出し機の壁などに対して並外れた摩擦応力を発揮する膨潤したゲルである。超高分子量ポリエチレンに関連する問題は、特許文献5及び特許文献6に非常に明確に記載されている。そこで議論された理由により、ラム押出し及び圧縮成形だけが今のところ、盛んに使用される超高分子量ポリエチレン生産品を製造する方法である。
【0007】
圧縮成形では、超高分子量ポリエチレン粉末は極めて厚い断面の棺状の金型に導入される。次いで金型のキャビティに適合する厚い蓋を粉末の上に置き、非常に高い圧力まで圧縮されながら、組立品全体を結晶融解温度より高く加熱する。次いで金型をゆっくり且つ均一に冷却し、生産品を一般には厚いスラブの形態で金型から取り出す。たとえば、1〜3cmの厚さの薄いストック用に厚いスラブを削り、又は「かんな」をかけて薄いスラブを製造する。削る工程は余分な加工工程を必要とし、末端がカールした生産品を生じ得る。以上のように、圧縮成形は、コストがかかり、労力がかかる超高分子量ポリエチレン生産品の製造方法である。しかしながら、それは、大きな幅のパネル又はシートを作製するのに使用することができる実質的に唯一の方法であるので、未だに多く使用される方法である。
【0008】
薄い寸法の超高分子量ポリエチレンシート製造のための連続加工は、Crown Plastics, Harrison, OH, U.S.A.によって使用されている。この加工では、Lam−N−Hard積層体としてHoover Ball and Bearing Co.によって以前に製造され、非特許文献1の記載による材木積層で使用するために記載されたローラーベルトプレスを使用して超高分子量ポリエチレン粉末を固める。しかしながら、その加工は今までのところ、最大厚さ3〜4mmで相対的に狭い幅を有する薄いシートに限定されている。最近になってやっと、この方法によって幅24インチ(0.6m)のシートが製造されたが、関与する高圧のために、さらに幅の広いシートが製造できるとは考えられない。
【0009】
ラム押出しは、溶融押出しとは大きく異なる独特の加工である。特許文献5、特許文献6、及び特許文献7を参照してラム押出しが説明される。これらの文献で開示されたラム押出し法は25年以上も前のことではあるが、その時以来、ラム押出し加工に漸進的な変化は少ない。
【0010】
全体的な方法は、超高分子量ポリエチレンのロッドを製造するために単一のラム押出し機を断面で模式的に示す図1に関連して記載される。ラム押出し機は、ラム4を受け取る一方の端部に通路3を有する非常に厚い断面のスチール部材2からなる。超高分子量ポリエチレン粉末5は、ホッパー6から通路3に重力に従って流れる。次いで、ラムが左に動き、この時金型通路7である通路で粉末を圧迫する。この手順を2、3分毎に繰り返す。金型通路7は金型を取り囲むヒーター8によって加熱され、樹脂粒子を相対的に高い温度、たとえば、350°F〜500°F(177℃〜260℃)に加熱する。500°F(260℃)を超える温度は、この温度を超えるとポリマーが急速に酸化するので避ける。酸化したポリマーは金型とのさらに大きな摩擦を生じ、酸化のために、生産品は低下した物性を有する。ラムは、数千ポンド/平方インチの圧力を発揮し、超高分子量ポリエチレンの加熱されたゲル状の粒子を固める。超高分子量ポリエチレンのロッド9は不連続な間隔で金型を出るが、この段階でロッドは熱く、結晶融解温度より高く、相対的に半透明である。しかしながら、金型表面から少し離れるとポリマーは結晶化され、不透明な固体になる。
【0011】
ラム押出しを用いて、相対的に大きな直径、たとえば、300mmの丸い外形、及びチュービング、複雑な形状の小さな外形、及び約660mmまでの幅、たとえば、100mmの厚さを有する「板材」を製造してきた。しかしながら、そのような板材は製造時、平坦からかけ離れている。平坦な板材又は薄いストックが必要であれば、板材は削られる。金型との高い摩擦のために、及びその後の関与する非常に高い圧力のために、ラムは、非常に高い強度のスチールで作られたとしても曲がる可能性がある。このことは、特に所々でその断面が全く非対称である部分、高いアスペクト比の実質的に長方形の断面を有する部分で特に当てはまる。たとえば、1cmx30cmの長方形の断面の板材を製造するためのラムは、座屈を示してもよいが、たとえば、10cmx30cmのさらに厚い板材のためのラムは、実際にはこの点では全く問題がない。座屈はラムを破壊し得るだけでなく、曲がったラムは金型壁をこすり、生産品に金属粒子が入り、金型の形状を変える。
【0012】
たとえば、1〜3メートルの幅のような大きな幅、及び特に、削らずにそのまま販売することができる標準の厚さ範囲のシート及びパネルを製造するのにラム押出しを採用することは非常に望ましい。しかしながら、ラム押出し法を用いて必要な生産品標準を満たすそのようなシート及びパネルを調製する試みは、ほとんど役に立たないものであった。過去におけるその他の失敗は、多数の因子に起因する。第1に、超高分子量ポリエチレンの性質が前述のようなので、冷却及び結晶化の際に、相当な容量縮小がある。差別的な冷却又は結晶化は、ポリマーの配向の程度も異なるので内部応力を生成する。小さな外形又は大きくても相対的に対称である生産品では、これらの問題は極少なく、自ら相殺する程度である。しかしながら、大きな幅では、これらの問題は望ましくない「生産品の特徴」、たとえば、厚さのバラツキ、内反り、反り、表面割れ、表面不規則性、「ウオーキング」、端面の波打ちなどとして現れる。生産品の幅が大きくなればなるほど、そのような欠陥の制御は困難になる。
【0013】
さらに、ラム押出し装置自体が深刻な欠点を有する。スリット金型に関連する大きな上部面と下部面の表面積は、内部の大きな圧力と一緒になって制御が非常に難しい力を創出する。高さ1cm、幅1m及び長さ0.5mのスリット金型は、常に高い内部圧力に依存して金型の各半分部で2.1x10N以上の力を受ける。この場合、保持しているボルトは約4.4x10Nの力に耐えなければならない。そのような金型が、たとえば、各側面10cmの強度の高いステンレススチールで構築されたとしても、端面に相反して中央部で顕著にさらに大きい厚さを持つ板材を内部圧力のために、金型は大きく離脱する。この大きさ及び構成の金型も金型の外側に設置される重厚な保持構造によって支持されない限り、破裂するであろう。
【0014】
ロッド、管、四角形のストック又は小さく不規則な外形のような対称性の外形とは異なって、大きな表面積及び高いアスペクト比のシート及びパネルは、金型の外側で結晶融解温度より低く冷却される際、それらを変形させる。冷却と結晶化の速度の差異によって反り、内反り、厚さ及び表面の不規則性などを生じる。また、そのような欠陥は、表面を削ったり、サイズを機械加工したりすることを最低限必要とする。しかしながら、一部の欠陥、たとえば、反り及び内反りは取り除くのが不可能である。
【0015】
上記すべての理由で、商業的に許容できる品質の幅広いシート及びパネルをラム押出しによって製造することは不可能であると考えられている。
【特許文献1】米国特許第5,286,576号明細書
【特許文献2】米国特許第5,422,061号明細書
【特許文献3】米国特許第5,399,308号明細書
【特許文献4】米国特許第5,449,484号明細書
【特許文献5】米国特許第3,883,631号明細書
【特許文献6】米国特許第3,887,319号明細書
【特許文献7】米国特許第4,145,175号明細書
【非特許文献1】ターコフ等(Tarkow, et al.),「木材の表面緻密化」(Surface Densification of Wood), 森林製品ジャーナル(FOREST PRODUCTS JOURNAL), 18(a):104−107
【発明の開示】
【0016】
今や驚くべきことに、スリット金型を介したラム押出しによって、金型の出口近傍の金型の上部面と下部面の双方で複数の横に設置された冷却ゾーンが設けられたスリット金型によって、部分的に結晶性の固体として0.6mを超える幅及び実質的に一定の厚さの超高分子量ポリエチレンの平坦パネルを製造することができることが発見された。さらに驚くべきことに、支持構造に挟まれる金型が提供され、圧力下でない場合非均一な高さのスリットを有する金型が、ラム押出しの圧力下で金型と支持構造のたわみと共同して実質的に平坦な生産品を提供するように変形すると、さらに高い品質でさらに平坦な生産品が得られることが発見された。好ましくは、記載されるように金型は、複数の冷却ゾーンと併せて使用されて安定した且つ頑丈な加工を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
金型からの上流にて本発明によって採用されるラム押出し法は実質的には、参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第3,887,319号、同第3,883,631号及び同第4,145,175号に記載されるものである。
【0018】
本発明は、以下で記載されるように、広い幅及び高いアスペクト比のパネルのラム押出しに関する。用語「パネル」は、実質的に平坦な押出し物を指す。通常、名目上長方形の断面の鋭い角は丸くされてもよく、全体の端部は円形又は楕円形であってもよい。鋭い角を有する完全な長方形の断面は、そのような角での金型における応力点のために一般に望ましくない。本発明の原則的有用性は、一定の厚さの幅の大きいシートを製造することであり、この一定の厚さは、端部の又は端部近傍部分まで延びる。従って、本明細書で使用されるとき、「パネル」の定義によって、パネル全体の幅の少なくとも80%、好ましくはパネル幅の少なくとも90%、最も好ましくはパネル全体の幅の少なくとも95%以上を含むパネルの中央部分にわたって、±0.050インチ(±1.27mm)未満の厚さバラツキの平坦なシートを一般に意味する。従って、パネルの大半よりも有意に厚い又は薄い端部を持つ「ダンベル」又はその他の断面を有するシートを製造することは本発明の精神から逸脱するものではない。これらの部分は、好ましくは製造者、またエンド・ユーザーによって、従来ののこ引き工程又は薄く切る工程によって容易に除くことができる。
【0019】
その大きな幅、及び幅対厚みの高いアスペクト比によるその非対称性のために、実質的に長方形の金型、すなわち、その幅を横切る実質的に平行の表面を有する金型から幅広いパネルを製造することは、非常に問題があって、多数の試みが失敗してきた。結晶融解温度より高い出口温度でラム押出しされる多数のより小さな生産品とは異なって、大きな幅のパネルは、結晶化開始の際、結晶化の間に生じる容量の縮小と創出される内部応力のために予測できない方向で変形する。しかしながら、金型の出口に先立って完全な固化を可能にすることは、金型壁との接触のロスのために一般に実施されない。金型壁が出口に向かって次第に狭くなるのであれば接触を維持することができるが、時には圧力の蓄積が、金型を二分するほど、又は金型若しくはその支持体を破裂させるほどまで高くなりうる。
【0020】
本発明の超高分子量ポリエチレンパネルは、結晶融解温度より低い温度でラム押出し装置のスリット金型を出る結果、部分的に結晶性である。細い寸法のパネル、たとえば、1.5〜2cmの厚さを有するものについては、パネル全体の(たとえば、その厚さ全体を通した)温度は、結晶融解温度未満であってもよく、特にさらに厚いパネルについては、パネルの内部はさらに高い温度であってもよい。従って、パネルの表面、好ましくは深さ約3mmまでの内部が結晶融解温度より低いという条件で、パネル全体がそのように低い温度である必要はない。厚いパネルの内部温度をさらに下げるには、押出し速度を遅くして冷却ゾーンで時間を稼ぐことができ、冷却ゾーンを広げてもよく、又は冷却液の温度を下げることができる。これらの方法は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0021】
本出願人は驚くべきことに、圧力の逸脱を最小限にとどめる一方で、金型の接触をロスしないで固化生産品を提供する手段を発見した。方法は、背圧装置を用い、本明細書と共に同等の日付で提出された「超高分子量ポリエチレンシート生産品のラム押出し方法」と題する同時係属出願の対象である。しかしながら、背圧装置の使用にもかかわらず、本出願人は、安定した方式で方法の稼動を保持させること、すなわち、平坦で、商業化が可能な生産品を低い不合格率で製造することとして定義された方法を安定した方式で保持することが極めて困難であると判断した。
【0022】
本出願人は、そのような方法の頑丈ではない性質は、冷却及び結晶化の間で非晶性パネルの生産品の均一性を損なう同一因子によるものであるが、この場合、不規則性は、金型の外側と相反して金型の内側に示されると考える。本出願人は驚くべきことに、金型スリットの上下で、上部金型と下部金型の双方で、又は一体型の金型で、幅方向に割り当てられる金型の出口面の近傍で、3以上の複数の冷却ゾーンを設置すれば、頑丈な加工を提供することができることを発見した。複数の冷却ゾーンは好ましくは、金型の上半分部若しくは下半分部のいずれか又は両方で中央線に対称に配置される。最も好ましくは、5〜10の冷却ゾーン又はそれ以上を上部と下部の両方で利用し、数が多いほど、パネルの幅を広げるのに有利である。今までのところ、およそ1m〜1.2インチ(3cm)の幅のシートについては、図2に示されるような実質的に等しい大きさの5〜7のゾーンを好ましくは使用する。金型の上半分部と下半分部は同じ数の冷却ゾーンを有する必要はないが、これが好ましい。
【0023】
複数の冷却ゾーンは独立して制御される。所与の設置では、2以上のゾーンが一緒に制御されてもよいと判断してもよいが、各冷却ゾーンは好ましくは独立して制御される。しかしながら、経験上、独立した制御が非常に望ましく、ほとんどの場合必要であることを示されている。好適な設計にて隣接するゾーンと平行して出口を共有してもよいが、各冷却ゾーンは好ましくはそれ自体の入口と出口を有する。全ゾーンの直列接続は機能しないであろう。ゾーンには、気体であっても液体であってもよい冷却流体が供給されるが、高度な熱除去の必要上、液体であることが非常に好ましい。グリコール又はその他の熱転移流体を使用してもよいが、冷却液は水であってもよい。水が好ましく、均一な水温を確保する冷却手段を持つ閉鎖系が望ましい。所与のゾーンの温度は、好適な測定手段によって、好ましくはゾーンの近傍に設置された熱電対によって測定され、流量及び冷却水の温度は従来の工程管理によって調節される。好ましくは、オン/オフのバルブ調節ではなく、比例バルブ調節が採用され、温度調節は好ましくは、冷却水の温度を調整するのではなく、冷却水の流速を変えることによって調整される。十分な冷却を提供することによって温度を調整し、所望の温度より低い温度を提供してもよく、次いで、電気的加熱によって所望の温度に温度を上げてもよい。これは好ましくない。各冷却ゾーンの温度は好ましくは設定点の±3°F(1.7℃)の間、さらに好ましくは±1°F(0.6℃)の間で調節される。
【0024】
個々のゾーンの温度を調整して平坦な生産品を提供する。機械の実施態様の1つでは、金型半分部を横切って設置された冷却ゾーンが機械操作の大半について同一温度であり、金型下半分部の冷却ゾーンは、互いに対して均一な温度であるが、金型上半分部の冷却ゾーンの温度とは異なった温度である。部分的には、機械方向における冷却ゾーンの長さによって、個々のゾーンの温度は、80°F(27℃)〜200°F(93℃)、好ましくは90°F(32℃)〜180°F(82℃)の範囲内である。下の冷却ゾーンは一般に上のものより低い温度で、すなわち、約1°F〜25°F(0.6℃〜14℃)、一般に約3°F〜15°F(1.7℃〜8.3℃)異なって維持される。驚くべきことに、低い温度によって相対的に高さの低いショットマークを持つシートが製造されることが発見された。複数の横の冷却ゾーンも、たとえば、幅0.4mの狭いパネルを押し出すように設計された金型と共に使用することができる。
【0025】
機械から出るパネルを観察する機械操作者は、反り又は表面の不完全部に気付いたら、冷却ゾーンの温度を個々に調整する。たとえば、パネルが一番右側で上方向に反る又はカールするのであれば、上部のゾーンをさらに冷たくするか、又は下部のゾーンをさらに温かくすることによって、又は両方によって反りの位置に相当する上下のゾーンを調整する。一般に、隣接するゾーンに出来るだけ近い所与のゾーンの温度を有して、不均一な冷却を最小限にすることが望ましい。類似の方法で、シート全体が不均一にたわむ、すなわち、「カール」する場合、上部と下部のゾーン間の温度差を調整してたわみを除く。安定した操作を維持するには、操作者の最低限の訓練を必要とするのみである。
【0026】
たとえば、反りやたわみを検出し、自動的に修正する光学比較器など、又は隙間ゲージによってその長さに沿った1以上の位置でパネルを横にスキャンすることによって、ハードウエア及びソフトウエアにおける自動的方法として、方法を容易に実施することもできる。高いアスペクト比のパネルのラム押出しに関連する問題の性質上、多数の因子が(操作環境へのドアの開放でさえ)不安定さ、たとえば、冷却水温度のばらつき、原料バッチの変化などを生じる。冷却ゾーンに関するさらなる情報は実施形態にて提示されるであろう。
【0027】
本発明のパネルは、平坦であるのがよく、すなわち、反りやたわみがなく、好ましくは±0.030インチ(0.76mm)の均一な厚さであるべきである。従って、断面は実質的に長方形である。しかしながら、丸みをつけることが金型での圧力を下げ、関与する高圧でひび割れてもよい応力の点となる鋭い金型の角を排除するので、パネルの辺は少なくとも角で丸くされる。「実質的に長方形」は、一般に、端から見ると、垂直の、曲がった、又は放射状の辺を持ち、平行の又は実質的に平行の表面を持つ平坦なシートを意味する。同様に、長方形の金型スリットは、製造されるパネルの幅に等しい長さを有する2つの面を有し、押出した圧力の下でその面はお互いに平坦かつ平行なものであり、好ましくは丸い又は放射状である側面によって該面が接続されるものである。それは、パネルの平坦さであり、実質的に平坦なパネルを製造する金型面の平坦さであり、本明細書では「実質的に長方形」の定義を満たす。
【0028】
しかしながら、操作圧力下でないとき、実質的に長方形の形状の金型を、幅の広いパネルの押出しにおける金型として採用すると、得られるパネルは、均一な厚さを有さず、多数の表面不規則性を有し、一般に商業的に劣った且つ一般的に許容できない生産品を製造することが分かった。ほとんどの適用で、そのような生産品は、機械加工するか削って平坦な表面を作製しなければならない。この方法は高価なポリマーの浪費であり、さらなる加工工程を加え、さらにコストが増す。
【0029】
実質的な長方形以外である形状、特に金型スリットの上部及び下部の表面の端領域が平坦ではなく、互いに平行であり、支持構造と連動して、金型と同様に応力下で変形する形状で製造された金型を利用し、金型と支持構造は、圧力操作のもとで非長方形の金型の変形が、金型開口部を平坦な生産品が製造されるような開口部に変形するように協働することが有利であることが発見された。さらなる実施態様では、金型と支持構造は、重厚な金型上半分部と下半分部を用いることによって1つに融合される。そのような重厚な金型はそのコストを理由に好まれない。
【0030】
好ましい金型の形状は、金型のほぼ中央部が金型の端領域よりも低いものである。金型が支持構造に対して広がる場合、金型の端領域は最も変形が少ない一方で、中央領域及び中央領域の上下の支持構造はさらに多く変形し、金型の面を実質的に平行の形状にする。本発明の目的で、操作中、0.050インチ(1.27mm)未満の3σの値を持つその幅を超える厚さのバラツキを有するパネルを製造するのであれば、金型は実質的に平行の形状を有する。本出願人は、好ましくは二重テーパーを有する金型、及びパネルが結晶融解温度より低い温度で金型を出るように金型が出口近傍で冷却されるものを採用することによって幅の大きい、高品質のパネルが製造される可能性があることを発見した。
【0031】
本発明の金型の好ましい実施態様の二重テーパーは、概念的には、縦テーパーと横テーパーに分けられてもよい。縦テーパーは、側面から見ると、金型の入口近傍で狭くなり、すなわち、縦方向に狭くなる。横テーパーは、機械方向について横切る方向で金型スリットの高さで狭くなり、すなわち、連続的に製造されるパネルストックの幅を横切って狭くなる。
【0032】
図4を参照して縦テーパーをさらに明瞭に示す。金型40は好ましくは、2つの部分41及び42でステンレススチールから機械加工される。金型スリット43は、金型のホットゾーンで追加の狭いテーパーを金型に提供することができるが、縦テーパーまで機械方向で実質的に一定の高さである。従って、必要な単一の縦テーパーの代わりに、複数の縦テーパー又は次第に傾斜を変化させるテーパーがあってもよく、金型壁が、金型出口面44の前で及び冷却ゾーン近傍の前で実質的に平行になってもよい。領域45は、ラム入口領域であり、実質的に一定の高さを有してラム46を収容する。開口部47は、超高分子量ポリエチレン粉末がキャビティ49に導入されるようにする。ラムは、金型出口面44に向かって進み、ポイント50で停止するので、樹脂粉末を長さL2にわたって圧縮する。縦テーパーは、後から、すなわち、さらに金型出口面44に向かってから開始してもよいが、ポイント50で開始する。小さな外形を製造するのに使用するために従来技術で教示されたものとは異なって、テーパーは、完全に最小であり、内包角θは好ましくは全体で10°未満であり、さらに好ましくは5°未満であり、最も好ましくは1°〜3°の間である。テーパーは金型の中央線51に対して対称であってもよく、テーパーすべてが金型半分部の1つに発現される程度に非対称であってもよい。好ましくは、テーパーは金型半分部の間で均一に分けられ、ほぼ3°未満である。テーパーは長さL1にわたって延びる。この長さは、テーパーの角度及び入口ラム通路の高さと金型の出口スリットの名目上の高さの比によって決定される。名目上0.375インチすなわち約1cmの厚さのパネルストックを製造する金型では、縦テーパーの長さは好ましくは約3インチ(7.5cm)である。このテーパーの長さが長すぎると、又は金型の冷却ゾーンの中に実質的に延びると、超高分子量ポリエチレンの周知の非圧縮性が、通常の内部圧力によるものより大きな程度にまで金型半分部を離そうとする。
【0033】
図5は、本発明の金型の出口面の実施態様の1つを説明する。この実施態様では、スリットは、横方向の中央線58に向かって進むにつれて徐々に狭くなる。2つの部分56及び57に調製された金型55を再び示す。金型スリット58の端部で、高さTは製造されるパネルの名目上の厚さと実質的に同一であるが、一般に金型から出たパネルよりやや大きい。角5aは好ましくは、たとえば59にて面取り、すなわち円弧状に加工されて、応力を解放し、摩擦を最小限にする。金型の中央線において、高さTは、Tより小さい。名目上1.2mの幅のパネルについて、T−Tの差は、金型とその支持構造のゆがみに依存して、およそ0.05mm〜0.5mmであり、さらに好ましくは0.3mmである。超高分子量ポリエチレンに接触する金型表面の形状は、便宜上、少なくとも一部が円錐断面であってもよい。そのような円錐断面の例は、放物線、双曲線、扁球及び幅広楕円、円などである。特に示されない限り、「湾曲」には、無限半径の曲線、すなわち、直線が含まれる。
【0034】
Tが金型出口スリットの端における高さとすると、金型のその他の部分の高さは、Te及びTmによっておおまかに定められてもよく、その際、Teはキャビティ端からの距離Deでの高さであり、Deは9インチ(22.5cm)以下であり、Tmは、キャビティ端からの距離Dmでのキャビティの高さであり、Dm>9インチ(22.5cm)である。名目上1.2m幅の金型についてのTe及びTmの値は、以下の式によって得られる。
Te=Ti−0.00275De及び
Tm=Ti−[0.00275De−(0.00175(Dm−De))]
定数0.00275及び0.00175は、金型の厚さ(キャビティの高さではない)、支持構造の厚さ、金型の幅などに関する。方法の複雑な性質及び金型の複雑さなどのために、たとえば、冷却通路、金型の長さ、金型の移行帯など、明らかに異なる寸法の金型について、De及びDmの異なった定数及び異なった限界値を決定しなければならない。方策が、たとえば、入手し易いソフトウエアである有限要素分析のような手法であってもよい。しかしながら、機械加工を再び始める必要のない連続的な精製によって最終形状に近付くように、試行錯誤によって材料の除去を従来と同様にして金型を機械加工するのが好都合な可能性がある。
【0035】
試行ラム押出しを行って小さな且つ好ましくは不適切なT−Tの値を有する金型を製造し、機械方向を横切る方向で製造されたパネルの厚さの差異を測定することによってT−Tの差異を実験的に決定してもよい。厚さ又は表面不規則性で有意な差異が言及されるのであれば、金型を機械加工してスリットにおけるさらに大きな高さの変異例を作製することができる。金型表面60の最も有利な形状は必ずしも円ではないが、実際、放物線、双曲線、楕円などでもよく、実際に後で議論するように、多数重なって先細ってもよいことが言及されるべきである。
【0036】
金型スリットの形状及びT−Tの値は、必要とされる形状を一緒に定義する幾つかの因子に依存することが、多大な努力の結果発見された。後者の用語は、機械の操作パラメータ、たとえば、樹脂の種類、温度、内部圧力、金型の長さ(機械方向)、金型の幅(横)と併せて、0.050インチ(1.27mm)未満の、さらに好ましくは0.030インチ(0.76mm)未満の、最も好ましくは0.020インチ(0.51mm)未満のパネルの幅を横切る厚さのバラツキを伴うパネル生産品を好ましくは製造する金型スリットの形状を意味する。これらの値は合計厚さのバラツキなので、表面高さのバラツキは一般に、±これらの値の半分、すなわち、好ましくは±0.010インチ(0.25mm)以下である。
【0037】
横のスリットのテーパーを決定するのに最も重要であるパラメータは、内部圧力、パネルの幅、及び好ましく使用される支持構造拘束手段のゆがみである。パネルの幅が大きくなるにつれて、所与の圧力にて2つの金型半分部に作用する力も増す。この圧力は金型半分部を離そうとする傾向があり、以前の機械では、文字通りそのようになっていた。本発明の機械の好ましい実施態様の金型半分部は、厚さ約11〜12cmである。これらの金型半分部がその外側で支持されない場合、厚さ1cm、幅1.2mのパネル製造の際に著しく曲がるので、それらは曲がり、破壊されるであろう。当然、さらに非常に厚い材料で金型半分部を作製することもできる。しかしながら、ステンレススチールは高価であり、たとえ金型半分部が厚さ25cmであったとしても、曲げは深刻であろう。金型として好ましい材料は、好ましくは研磨され、磨耗耐性剤及び好ましくは潤滑コーティングで被覆されたT420ステンレススチールである。変換コーティング、及び好ましくは、硬質クロム又はニッケルのような金属コーティングを使用してもよい。都合がいいのは、Diamonex(R) DLCとしてDiamonex Products, Allentown, PAによって供給されるようなダイヤモンド状炭素(DLC)コーティング又は参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第6,103,305号で開示されているような非晶性ダイヤモンドコーティングが使用される。そのようなダイヤモンドコーティングは摩擦係数の低さで周知である。金型周辺成分は、硬化スチール、たとえば、PHS4140予備硬化スチールから作製することができる。
【0038】
機械方向を横切る方向に沿った金型の変形の程度は、製造されるパネルの幅に依存する。パネルの幅が大きければ大きいほど、金型の内部表面積が大きくなり、金型半分部に作用する力が大きくなる。さらに、機械方向を横切って、金型半分部を結合する固定具から離れた力のモーメントとして、変形が認められてもよい。たとえば、一連のボルト又は類似の器具によってその側面に固定された2つの部分金型では、変形は固定具からよりもさらに大きい。従って、金型は、端部よりも中央部で幾分多く変形する。さらに、固定ボルト上の力は、金型の端部よりも金型の中央領域から非常に大きな寄与を受ける。
【0039】
金型の変形を減らすには、本発明の金型と共に、「窓枠」支持構造が好ましく使用される。「窓枠」は、金型上下の重厚な支持体から成り、これらの支持体は高い係数を有する。好ましくは、支持体は、カーボンスチール、たとえば、Viscount(商標名)−44スチールから作製される。支持体は、金型20の上下で21及び22として図2に示される。これらは、構造の両側面に位置する接続ボルト23と一緒に、圧縮してそれらを保持する、金型半分部20aと20bに対しての「枠」を形成する。好ましい機械では、上部21と下部22の支持体は、厚さ約40cmの大きな厚さであり、機械方向に金型の約3/4の長さである。重厚なボルトを使って全部一緒に引っ張るように、それらは金型半分部より約10〜15cmだけ各側部で幅広である。支持体は重厚(約3トンの各スチール)ではあるが、たわみは依然として認められる。しかしながら、支持体が重厚であればあるほど、たわみは少ない。単一の支持体ではなく、複数の個々の支持体が使用されてもよい。
【0040】
従って、0.6〜1mの相対的に狭いパネルについては、並外れて重い断面の支持体、たとえば、厚さ1mの支持体を用いることによって、又は支持体に逆に丸みをつけて変形に対抗することによって、金型スリットは、最小限の横テーパーを有してもよく、又はテーパーを有さなくてもよい。しかしながら、そのような重厚な支持体は、機械のコストが増すだけでなく、深刻な重量不利益も生じるので、さらに強く、従って重厚な基盤、すなわち、重量を支える床を必要とするので、一般に望ましくない。
【0041】
図6は、幅1.2m未満のパネルに特に有用な代替実施態様である。明瞭さのためにテーパーが誇張される図6では、金型60はやはり2つの部分61及び62からなる。スリット63は、各金型半分部で平坦部分64を有し、非常に低い内包角θで先細るテーパー状部分65を有する。この内包角は0.5°より非常に小さく、好ましくは0.1°前後である。各金型半分部ではたとえば、0.05°のテーパーが十分であってもよい。平坦部分とテーパーとの接合部66は平滑化されるか、又は円弧状であってもよい。テーパー、テーパー部分と平坦部分と間の変わり目、及び平坦部分の長さは、平坦なパネルが製造されるように調整される。
【0042】
図7は、図5と図6の特徴を組み合わせる本発明の好ましい実施態様を説明する。図7では、幅約1.2mで厚さ1cmのパネルのための金型70が、好ましくは0.02〜0.1°の間、さらに好ましくは約0.06°の角θにて約10〜40cm、好ましくは20〜30cm金型の端部から内部へ延びる図6におけるような側面テーパー71を有する。金型面の中央部72は、真直ぐというよりむしろ、長い半径L、たとえば、200m〜1000m、好ましくは250m〜500mの半径を伴って金型の水平の中央線に向かって内部に(「凸」)曲線を描く。金型の中央部は、各面で凸であり、好ましくは1000/2Wの半径を有し、その際、Wは出口スリットのメートルでの幅である。厚さ約40cmの窓枠支持体と結びついて、驚くべきことに、これら相対的に非平面の金型表面は、二重テーパー(側面テーパーに加えた中央の湾曲)と共に、先細った厚さを有する生産品を生じないが、むしろ、高度に均一な厚さ及び優れた表面品質の平坦なパネル生産品を製造することが発見された。
【0043】
さらなる実施態様では、真直ぐで非テーパーの主要区分を有するように、又は逆テーパーを持つ、すなわち、端部よりも中央部で大きな高さを持つものを有するようにスリット金型が機械加工されるが、再び明瞭さのために輪郭が誇張される図9に示されるように、輪郭を描いた窓枠支持体とともに使用される。支持体91、92は、内部に向かってテーパー状をなす表面93、94を有し、金型半分部95、96を担って組立てられると、形状が実質的に長方形ではないが、図5及び図6の形状にさらに類似するようにスリット97を変形させる。従って、組立てられると、金型は実質的に長方形ではない。しかしながら、操作中では、金型内の圧力が金型半分部を離そうと試み、金型に当接する支持構造表面は支持体のおよそ中央を中心として上方に曲がり、スリットは外側にたわみ、網形状に近い、すなわち、実質的に長方形の断面のパネル生産品を生じる形状に変形する。
【0044】
従って、金型の形状に関して、スリットの形状は、装填中、すなわち、ラム押出し法の高い操作圧で生産品パネルの実質的平面の上部及び下部の表面を提供するようにする。この成果は、装填中、所望の形状に変形する曲線を持った金型、曲線を持ち、変形可能な窓枠を伴う曲線を持たない金型、又は、重厚で、実質的に変形不能の窓枠を伴う曲線を持たない金型を提供することによって達成される。幅約1.2mで出口スリットの高さ約1cmの金型について、金型の上下の支持体は、後者の実施態様について、約0.75mの厚さを有する。好ましい金型はまた、前に記載したように縦テーパーも有する。
【0045】
本発明のパネルを製造するのに使用されるラムは、図8で説明され、好ましくはViscount(商標名)−44のような強度の高いスチールで出来た段のあるラムである。図4のキャビティ45に貫入するラム70の端部71は、キャビティの厚さよりやや少ない厚さ、及びおよそLの長さ(図4を参照のこと)を有する。ラムは好ましくは1以上の流体圧シリンダーによって流体圧で操作され、たとえばポリアミドのシールを通って金型に入る。ラムの前述の性質は、従来形状のラム押出しで使用されるラム12に典型的なものである。狭い端部71から流体圧(右側、不図示)に向かって、ラムの厚さは、非常に厚い部分72に対して有意に増大する。このさらに厚い部分は、たわみ、及びその他生じるであろう、曲がる傾向を軽減する。ラム部分72の厚さはたとえば、7cmであるが、「タング」71は1cmであってもよい。ラムのタングは、好ましい実施態様の場合、金型の縦テーパーに相当する因子によって、出口末端の金型の厚さよりもやや厚いにすぎない。金型の出口と同じ厚さを有するラムを採用することもできるが、これは、おそらく、さらに厚い、たとえば4cm、好ましくは10cm以上のパネルを除いて好ましくない。
【0046】
金型は、機械方向に関して少なくとも1つの加熱された区分及び1つの冷却された区分を有する。ラムが入る点又は図4のキャビティ45と加熱ゾーンとの間に冷却ゾーンを設置して粉末の入口での樹脂粉末の焼結を最小限にすることが有利かもしれないが、1つの加熱された区分は、ラムが金型に入る金型の部分の近傍である。加熱ゾーンは好ましくは、縦テーパーの開始前約6インチ(15cm)で始まり、超高分子量ポリエチレンの完全な硬化が生じるように機械方向の長さで継続する。この長さは、加熱ゾーン、「ホットゾーン」で定められた温度に反比例して、及びパネルの厚さによって直接変化する。これらの反比例変数及び直接変数のいずれも必然的に線形ではない。厚いパネルほど、パネルの内部を硬化するのに所与の温度で長い時間を必要とする。ホットゾーンの温度は好ましくは260°F(127℃)〜500°F(260℃)、さらに好ましくは400〜450°F(204〜232℃)、最も好ましくは約420°F(216℃)である。500°F(260℃)より高い温度は樹脂の酸化分解を起こす傾向があり、望ましくない。ホットゾーンは、変化する温度の幾つかのサブゾーンに分けられてもよい。温度は、従来の器具によって、好ましくは自動温度制御装置に接続された熱電対によって感知される。加熱は最も好ましくは、金型に横方向に挿入されたカートリッジ・ヒーターによって達成される。
【0047】
複数のそのような加熱ゾーンは、図3のスリット金型の斜視図に示される。金型半分部30及び31の双方が、機械方向を横切って金型をくり貫いた複数の通路32を有する。これらの通路は、カートリッジ型の抵抗ヒーターを有してもよく、又は熱い油などを加熱流体として使用してもよい。
【0048】
冷却区分は好ましくは、金型の出口近傍に位置し、それぞれ入口と出口を有する複数の冷却通路33からなる。冷却ゾーンのその他の配置、たとえば、機械方向に平行に穿孔され、機械方向を横切って穿孔された1以上の共通出口に連通する複数の入口も可能である。配置自体は重要ではない。しかしながら、配置はどうであれ、冷却ゾーンは、金型スリットを横切って所望のように温度変動を確立できなければならず、たとえば、スリットの中央部を、端部領域又は中間ゾーンよりも高い又は低い温度に維持できなければならない。
【0049】
本発明のラム押出し法を操作して金型内の圧力の蓄積を最小限にすることは非常に有益である。良好な温度制御は、一貫した生産品を製造するのに必要とされる要件であるが、超高分子量ポリエチレンが粘性流体ではなくゲル状でゴム状なので、温度上昇は操作圧力を下げることにおいて大きな効果を有さない。少量の長鎖脂肪酸及び脂肪酸塩、たとえば、ステアリン酸、パルミチン酸、リノレン酸、及びそれらの塩、特にそれらのカルシウム塩及び亜鉛塩の添加は、おそらくゲル粒子の金型壁との摩擦を低下させることによって、内部圧力を下げるのを助けることが発見された。その他の潤滑剤、たとえば、モンタンエステル類、アミド類、ポリエチレンワックス、シリコン油なども好適である。これら好適な潤滑剤は一般に、0.1〜3重量%、さらに好ましくは0.2〜2重量%、最も好ましくは0.5〜1.5重量%の量で使用される。しかしながら、潤滑剤の量を最小限にして機械的特性のロスを回避することが重要である。従って、1.5%以下を採用することが好ましい。
【0050】
驚くべきことに、加工中、樹脂粉末の酸素含量を最小限にすることが操作圧力を大きく下げることが発見されている。通常、ラム押出しでは、樹脂粉末は空気によって空気圧でラム押出し機上部の供給ホッパーに方向づけられる。酸素を含まない気体をホッパーに、好ましくは底部又は底部近くに注入してホッパーから空気を掃引又は散らせば、金型内の圧力は非常に驚くほどの値、150〜200ポンド/平方インチ(1.0〜1.4MPa)に低下することが分かっている。この圧力の低下は、金型半分部に対して作用する力を1mx0.5mの金型における1.5x10ポンド(6800kg)の圧力だけ低下させると言う結果をもたらす可能性がある。ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、窒素などを含む酸素を含まない気体又は低酸素の気体を使用してもよい。
【0051】
加工において採用される超高分子量ポリエチレンは、たとえば、Ticona、Braskem及びDSMによって供給されるような従来の粉末樹脂である。好ましい数平均分子量の範囲は、2x10Da〜10x10Daの間、さらに好ましくは4x10Da〜8x10Daの間である。本発明で使用される好ましい超高分子量ポリエチレンは、ホモポリマー又は少量のみの共重合性コモノマーとの実質的なホモポリマーであり、本明細書の他でも記載されるような組成物は、従来の加工助剤又は特性改変添加剤を含む。後者の成分群の例には、熱安定剤、UV安定剤、核形成剤及び清澄剤、染料及び顔料、電気伝導材、たとえば、金属粉末、炭素粉末、グラファイトなど、充填剤、たとえば、<50m/gのBET表面積を有する非強化充填剤及び≧50m/gの表面積を有するヒュームドシリカのような強化充填剤、積層体強化物質、たとえば、雲母、膨張シェールなど、粉砕された又はさもなければ弱化された繊維の形態での繊維性強化物質、たとえば、グラスファイバー、アラミド繊維、金属繊維、炭素繊維、熱硬化性及び熱可塑性繊維、たとえば、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン(PEK)及びその変異体(PEKK、PEEKなど);タフナーたとえば、粒子状エラストマー;その他の熱可塑性プラスチック、たとえば、非超高分子量ポリエチレン;可塑剤などが挙げられるが、これらに限定されない。そのような添加剤の量は一般に少ない。
【0052】
本発明の詳細な個々の要素を記載してきたが、好ましい実施態様は、0.6mより大きい幅を有し、好ましくは、10:1より大きい、さらに好ましくは20:1より大きい、一層さらに好ましくは40:1より大きい幅:高さのアスペクト比を有するスリット金型、上部と下部を有し、上部と下部のそれぞれが金型の幅を横切って設置される3つ及び好ましくは5つの複数の冷却ゾーンを含有し、各ゾーンセットの複数のゾーンの温度が独立して調整可能である金型を採用するラム押出し加工である。機械方向における冷却ゾーンの長さ及びゾーンの温度は、金型を出る超高分子量ポリエチレンパネルが、その結晶融解温度より低く冷却され、少なくとも部分的に結晶であるようにする。
【0053】
別の好ましい実施態様では、圧力下にないとき、ラム押出しされた生産品の所望の断面の形状ではない出口を有する2つの部分の金型が、高い強度とモジュールを持つ支持構造の内部に収容され、それは、ラム押出し法の操作圧力で金型半分部を支え、外向きへの変形を抑止する。しかしながら、圧力下では、支持構造によって完全には抑止できない変形が、少なくとも幅0.6m及び好ましくは少なくとも前述されたアスペクト比のパネルのラム押出しを可能にする形状を金型出口が担うような方法で、金型及び支持構造を変形し、パネルは0.050インチ(1.27mm)未満の、好ましくは0.030インチ(0.76mm)未満の、さらに好ましくは0.015インチ(0.38mm)未満の厚さのバラツキを有する。金型は、金型を出る超高分子量ポリエチレンパネルが、結晶融解温度より低い、好ましくは137℃より低い、さらに好ましくは250°F(121℃)より低い、さらに好ましくは120℃より低い、一層さらに好ましくは110℃より低い、その上さらに好ましくは40〜100℃の範囲であり、最も好ましくは、75〜85℃の間である温度であるように、各金型半分部で金型出口近傍にて少なくとも1つの冷却ゾーンを有する。
【0054】
一層好ましい実施態様では、前述の実施態様の金型が、ラムが入る金型の高さからの小さな縦テーパー、又は金型出口に向かって機械方向に沿って幾分均一且つさらに狭い高さに「狭まる」ようになっている。また、この好ましい実施態様では、機械方向を横切る金型の形状は、金型スリットの高さがスリット端部よりもスリット中央部で低くなるようにし、支持構造は、各金型半分部に対して耐える実質的に平坦な面を有するように機械加工された重いスチールのスラブからなる。スチールスラブは、糸を通した複数のコネクタによって、最も好ましくはたとえば、Superbolt, Inc. Carnegie, PAから入手可能で、米国特許第6,263,764号;同第6,112,396号;同第6,381,827号;同第6,199,453号;同第5,083,889号;及び同第4,846,614号に記載されたようなマルチジャックボルトテンショナーによって引っ張られる。
【0055】
一層好ましい実施態様では、前述の実施態様の金型が採用され、それには、前に記載された少なくとも3つの複数の冷却ゾーンが各金型半分部にて設けられる。種々の冷却ゾーンの温度は、パネル生産品の安定な押出しを提供するように設定され、反り、内反り、表面の不規則性、及び厚さのバラツキを生じる加工のバラツキに対抗する必要がある場合、個々に調整され、これらの調整は好ましくは機械の操作中に行われる。
【0056】
本発明の方法によって製造される生産品は、その製造が本発明に先立って不可能であった新規の生産品である。既に指摘されたように、ラム押出しの困難さのために、大きな幅で高いアスペクト比の一定の厚さのパネル、すなわち薄いパネルをラム押出しするのは不可能だった。従って、薄いパネルを製造するには、厚い圧縮成形されたパネルを削って薄いシートを製造した。しかしながら、シートは外見と同様に厚さのバラツキという点で不規則な表面を有する。
【0057】
本発明の方法によって製造されるパネルは、平滑で、光沢のある均一な表面を特徴とする。平滑さは、手触りによって容易に評価され、表面の光沢は、目視で又はたとえば、標準的なASTM D2457−03及びD523−89試験法のような光学検査によって、好ましくは60°の角度にて評価される。この試験法を用いて、BYK Gardner U.S.A., Columbia, MDによって供給されるBYK Gardner Color Guide Glass Meterを採用して、平均の光沢測定値は、好ましくは35以上の範囲であり、ほとんどのパネルでは35〜45の範囲である。このことは、平滑ではあるが、同じ試験方法を用いて平均約24の有意に低い光沢を有する削ったパネルと対照的である。
【0058】
均一な表面は、±0.050インチ(1.25mm)未満の、さらに好ましくは0.030インチ(0.76mm)未満の、一層さらに好ましくは0.020インチ(0.50mm)未満の3σの厚さバラツキを有する。表面が平滑で光沢がある一方で、シートの長さ(機械方向)にほぼ垂直で、互いに実質的に平行であるショットマークの有無によって削ったパネルから区別することができる。これらのショットマークは、ラム押出しサイクル間の定常的保圧によって引き起こされると考えられ、ショットマークの輪郭及び高さは、標準的な形状測定法によって測定することができる。ショットマークは、数ミクロン、すなわち、70μm未満の、好ましくは25μm未満の最大高さを有し、重要なことに、薄いパネルストックの既知の使用に支障がない。高さ約5〜10μmを測定するショットマークを伴ったトライアルを行って生産品が製造される。傾斜角でパネルを観察することによってショットマークは容易に見られる。
【0059】
図10a〜10cは、ショットマークの幾つかのパターンを説明する。図10aでは、「理想的な」ショットマークパターンが示され、ショットマークの区切り端101が互いに正確に平行であり、パネル100の機械方向に垂直である。金型の超高分子量ポリエチレンが正確に同じ速度で流れ、同一の背圧などを経験し、これらのパラメータがパネルの長さにわたって変化しなかったならば、この種のパターンが結果として生じる。
【0060】
しかしながら、超高分子量ポリエチレンの流れは一般に金型の端部で幾分遅れ、多くが金型の中央で遅れがあまり見られない。2つの端部における遅れは互いに同じでなくてもよい。結果は、図10bの102で示されるように、ショットマークは通常、パネルの表面(ショットマークは表面及び裏面の双方にある)を横切った幾分「波状」又は「波打った」ものである。機械方向に一般に垂直な配向は、隣接するショットマークに対して一般に平行の配向がそうであるように明瞭である。図10cでは、似たパネルであるが、ショットマークがパネルに沿ったそれぞれの配向を変え、先ず102で図10bと同様であり、部分103にわたって幾分離れ、部分104にわたって再び類似するものが示される。ショットマークは依然として機械方向に実質的に垂直であり、互いに実質的に平行である。
【0061】
従って、本発明は、0.6mより大きい幅を有し、上部面及び下部面の双方において一般に平行のショットマークを特徴とする超高分子量ポリエチレンパネルにも関する。その長さ方向が機械方向に相当するパネルについて、これらのショットマークはパネルの機械方向を横切る。パネルの表面は平滑であり、光沢があり、既に記載されたように厚さ許容誤差を有する。好ましいパネルは、厚さ4mm〜10cmであり、さらに好ましくは2cm未満の厚さである。好ましいパネルは、0.030インチ(0.8mm;3σ)の許容誤差を伴う0.150インチ(3.8mm;3σ)未満の形状平坦度のバラツキ、好ましくは0.024インチ(0.6mm;3σ)の許容誤差を伴う0.100インチ(2.5mm)未満の形状平坦度のバラツキを有する。形を整えないパネルの横向きの反り(曲率)は好ましくは形状平坦度とほぼ同じ値である。押し出されたときのパネルのこれら横向きの反りの許容誤差は、端部の従来のノコ引きで普通に得られるものよりも優れていることが言及されるべきである。従って、本発明のパネルはその端部を「製造されたまま」保持し、ノコギリで切られないことが好ましい。
【0062】
本発明を一般的に記載してきたが、説明のみを目的として本明細書で提供され、特に特定されない限り限定することを意図されない特定の実施形態を参照してさらに理解することができる。
【実施例】
【0063】
第1実施例
本明細書で記載されたような、たとえば、図2、3及び4で説明されたような実質的に2つの半分部で構成されたステンレススチールの金型を有するラム押出し機が提供される。金型は、機械方向で長さ81.25cm、幅172cm及び高さ96.5cmを有する。金型の下半分部は、上半分部に類似するが、超高分子量ポリエチレン粉末が入る通路47を備えず、上半分部の端部と一致するように構成された端部を有する。金型は、ラムの入口から約3°機械方向で縦にテーパー状になり、スリットの形状は一般に約375mの非常に長い半径を持つ円状である。金型のホットゾーンは、440°F±20°F(227℃±11℃)で維持され、金型出口端部には、機械方向に金型の中に3インチ(7.6cm)にわたって延びる5つの冷却ゾーンが各金型半分部で設けられる。
【0064】
金型は、2インチ(5cm)のボルト直径を有する5つのマルチジャックボルトテンショナーによって引っ張られる68インチ(1.7m)x15インチ(0.38m)x22.5インチ(0.58m)の2枚の平坦な表面の炭素スチールビレットからなる支持構造中に収容される。スチールビレットは、図2で説明されるように、出口端部から約1インチの金型の上に設置され、そこから金型のラム入口端部に向かって延びる。
【0065】
Braskem, Sao Paulo, Brazilからの、133℃の融解温度、190μmの平均粒度(D50)及び8x10g/モルの平均分子量を有する超高分子量ポリエチレン樹脂粉末6540は、金型半分部の上部の超高分子量ポリエチレン入口ポート上のホッパーに空気圧によって導入される。窒素の流れを底部近くのホッパーに導入して樹脂粉末から空気を除去する。ラムを引き戻し、ホッパー下の金型のキャビティを樹脂粉末が満たすようにする。次いで、ラムが金型に入り、樹脂粉末を圧縮し、金型の縦に先細った部分にそれを押し、この樹脂が、ゲルにまで加熱されている樹脂粉末の前の部分を金型の出口に向かって押す。ラムがこの部分で約1秒間止まり、次いでサイクルが繰り返される。各サイクルの開始時に、金型が一杯になり、長さ0.5インチ(12.5mm)、厚さ0.375インチ(9.5mm)及び幅4フィート(1.22m)の超高分子量ポリエチレンパネルが金型を出る。冷めた(250°F)パネルと金型の壁との連続した接触を円滑にする布で覆われた背圧装置によってパネルは部分的に動きが制約される。背圧装置は、パネルの幅を横切って背圧が変動するように構築される。パネルを平坦なコンベアに乗せ、操作者は冷却ゾーンの温度を調整してパネルから反りや内反りを除く。安定した、平坦なパネル製造での上部及び下部の冷却ゾーンの温度はそれぞれ、[42℃、56℃、60℃、49℃、43℃]及び[42℃、49℃、53℃、44℃、41℃]である。パネルは、結晶融解温度よりも非常に低い、100℃より低い温度で金型を出る。製造されたパネルは切断され、0.030インチ未満の厚さのバラツキを伴って光沢のある平坦な表面を有する。各ラムストロークの生成に相当する長さの成形「ショットマーク」は、高い入射角度で注意深く観察すれば見ることができるが、正面から見れば実際には視覚的に認識はできない。パネルは、パネルごとに均一であるやや丸い端部を有し、商業的品質のものである。
【0066】
第2実施例
第1実施例と同じ機械及び方法を使用するが、金型は、縦テーパーに加えて、図7に示すような二重側面テーパー及び曲線の上区分を有する非平行の出口面を有する。上部の冷却ゾーンはすべて76.7℃に設定し、下部のゾーンはすべて73.9°Fに設定する。操作中、調整はほとんど必要としない。押し出されたパネルは約79℃で金型を出る。厚さのバラツキ及び端部の一貫性という点で第1実施例よりも高い品質の平坦なパネルが製造される。製造速度は、5.8m/時間(19フィート/時間)又は71.4kg/時間(160lb/時間)である。
【0067】
第1比較例
大きな、厚い断面の棺状の金型を用いて、商業用プレス成形操作を採用する。超高分子量ポリエチレン樹脂粉末を金型のキャビティに導入し、ぴったり合った蓋を金型に挿入する。その金型と類似サイズのその他3つの金型を1000lb/in(6.9MPa)の圧力下に置かれた棚に搭載し、結晶融解温度より高く加熱し、この温度で90分間保持し、次いでゆっくり冷却する。厚いプラークが得られ、別の工程で削ることによって0.375インチ(0.95cm)の厚さのパネルを製造することができる。削る前、製造速度は75lb/時間(33.5kg/時間)である。削った後、端部のカール及び縁のカール及び内部応力を減らすのに高い温度での長時間のアニールを必要とする。
【0068】
本発明の実施態様を説明及び記載してきたが、これらの実施態様が本発明において可能性のある形態のすべてを説明し、記載することは意図されていない。むしろ、本明細書で使用された語句は、限定ではなく記載用の語句であり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更を行ってもよいことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】ラム押出し加工を模式的に説明する図である。
【図2】幅広パネルを製造するのに好適なラム押出し機の実施態様の1つについての金型及び支持構造の斜視図である。
【図3】加熱ゾーン及び冷却ゾーンを示す本発明のスリット金型の実施態様の1つの斜視図である。
【図4】誇張された形態における縦テーパーを示し、側面からの金型の実施態様の1つの断面図である。
【図5】下流方向からの金型の実施態様の1つの図である。
【図6】下流方向からの本発明の金型のさらなる実施態様である。
【図7】下流方向からの本発明の金型のさらなる実施態様である。
【図8】本発明での使用に好適なラムの実施態様の1つを説明する図である。
【図9】本発明での使用に好適なスリット金型及び窓枠拘束のさらなる実施態様を説明する図である。
【図10】(a)〜(c)は、本発明の超高分子量ポリエチレンにおけるショットマークの3つの実施態様を説明する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.6mよりも大きい幅の超高分子量ポリエチレンパネルを調製するためのラム押出し方法であって
ラム押出し操作の圧力下で、実質的に長方形の断面を有するスリット金型を提供して、上部と下部と入口面と出口面とを有し、金型が上部及び下部のそれぞれに少なくとも独立して制御可能な3つの冷却ゾーンを有し、前記冷却ゾーンが金型の出口近傍に位置し、金型の幅を横切って設置され、
ラムからの圧力下で超高分子量ポリエチレン樹脂粒子を付加的に金型へ導入し、
超高分子量ポリエチレン粒子を超高分子量ポリエチレンの結晶融解温度を超える温度に加熱して、実質的に連続して融解した熱可塑性プラスチックを形成し、
金型壁との接触を維持しながら、金型内にある間に超高分子量ポリエチレンを結晶融解温度より低い温度に冷却し、かつ、
金型を出た固化した超高分子量ポリエチレンパネルの生産品を得ること
からなる方法。
【請求項2】
金型の外側及び金型の下流に設置される背圧装置が、金型を出る超高分子量ポリエチレンに対して圧力を与えて、金型の壁と超高分子量ポリエチレンの接触を高める請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金型が、その中に実質的に長方形のキャビティを有し、超高分子量ポリエチレン粉末を受け入れ、それを硬化した超高分子量ポリエチレンパネルに加工し、実質的に長方形のキャビティが、
a)入口キャビティ、
b)入口キャビティの高さが出口スリットの平均高さより大きい出口スリット、
c)入口キャビティと出口スリットの間に設置され、入口キャビティの下流に加熱ゾーンを有し、出口スリットの近傍に冷却ゾーンを有する硬化キャビティ、及び
d)入口キャビティと硬化キャビティの間に暫定的に存在し、任意で加熱される縦テーパー
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
出口スリットの中央での金型の高さが出口スリットの端部での高さより低い請求項3に記載の方法。
【請求項5】
金型の少なくとも一方の半分部における出口スリットの断面形状が、円錐断面、2以上の円錐断面の組み合わせ、又は1以上の円錐断面と1以上の直線断面の組み合わせである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
スリットに向かって見た出口スリットが、金型のそれぞれ左と右の端部の近傍で左と右の部分を含み、前記左と右の部分が出口スリットの中央線に向かって内側に斜めに延びてテーパー状ゾーンを形成し、中央線に最も近いテーパー状ゾーンの端部でのその高さが、出口スリットの端部の高さより低く、中央表面が前記テーパー状ゾーンの間に延び、前記中央表面の曲率が前記テーパー状ゾーンの曲率とは異なることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記テーパー状ゾーンが平坦であり、又は約1000mを超える半径の非常に低い曲率を有し、前記中央表面が約1000m/2Wを超える半径を有し、Wがメートルでの出口スリットの幅であり、中央表面の曲率が前記テーパー状ゾーンの曲率より大きい請求項6に記載の方法。
【請求項8】
0.6mより大きい幅の超高分子量ポリエチレンパネルを製造する方法であって、支持構造に収容されるスリット金型を介して超高分子量ポリエチレンをラム押出し、スリット金型の出口スリットが、製造時実質的に長方形形状を有さず、しかし、支持構造と協働して、ラム押出し圧力のもとで実質的に長方形形状に変形させる金型を含む方法。
【請求項9】
前記支持構造が少なくとも1つの窓枠支持構造を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記スリット金型の出口スリットが、端部での高さより低い中央部での高さを有する請求項8に記載の方法。
【請求項11】
出口スリットの上部及び下部の表面双方の形状が凸表面である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
スリット金型が、それぞれ端部領域と中央部領域とを有する上部面と下部面とを有し、端部領域と中央部領域との形状が異なる請求項10に記載の方法。
【請求項13】
スリット金型の出口スリットの上部面と下部面とが平面平行であり、窓枠支持構造は、±1.27mm以下の厚さのバラツキを有するパネルが押し出されるようにした厚さを有する請求項9に記載の方法。
【請求項14】
スリット金具を出るパネルに対して背圧を与えることをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項15】
0.4mより大きい幅の超高分子量ポリエチレンパネルを押し出す方法であって、超高分子量ポリエチレンの結晶融解温度より高い温度でスリット金型を介して超高分子量ポリエチレンをラム押出し、及び、スリット金型の中にある間に結晶融解温度より低い温度に超高分子量ポリエチレンを冷却し、前記冷却が、スリットの上下及びスリット金型の出口面近傍に設置された独立して制御可能な複数の冷却ゾーンによって達成される方法。
【請求項16】
前記押出しの間に1以上の前記冷却ゾーンの温度を調整して生産品の特徴を維持又は改善することをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
下部の金型半分部における冷却ゾーンの平均温度が上部の金型半分部における冷却ゾーンの平均温度よりも低いことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
幅を横切った位置でパネルの厚さをモニターし、前記位置のいずれかでの厚さが他よりも小さいか否かを判定し、及び、さらに低い厚さの位置に相当する温度ゾーンを調整してその位置での厚さを増やすことを含む請求項15に記載の方法。
【請求項19】
ラム押出しされた超高分子量ポリエチレンパネルであって、0.6m以上の幅、1.27mm未満の3σ値を有する厚さのバラツキ、平滑で光沢のある上部面と下部面とを有し、上部面と下部面との双方が、平均高さ約70μm以下の実質的に平行の複数のショットマークを有するパネル。
【請求項20】
パネルの平均厚さが4mm〜2cmの間である請求項19に記載のパネル。
【請求項21】
1.0m〜3.0mの幅を有する請求項19に記載のパネル。
【請求項22】
ASTM D2457に準拠して測定した場合、35以上、平均60°の鏡面光沢度を有する請求項19に記載のパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【公表番号】特表2009−544485(P2009−544485A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519774(P2009−519774)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000352
【国際公開番号】WO2008/009150
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(506344871)クワドラント エーペーペー アクチェンゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】QUADRANT EPP AG
【Fターム(参考)】