説明

距離計測機能付きランプ装置

【課題】 照明用のLEDを用いて距離計測機能を実現する際に、LEDの寿命を維持しつつ、他のLEDによる送信信号と混同することなく正確に目標とする物標までの距離を計測する。
【解決手段】 距離計測機能付きランプ装置においては、複数個のLEDからなる複数のLED群11,11,・・・,11を時系列で発光制御して送信信号に時系列パターン情報を付加し、信号抽出・距離算出部42によって送信された時系列パターン情報と合致する反射信号を抽出し、抽出した反射信号を受信するまでの時間差に基づいて、物標までの距離を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の各種車両に搭載されるランプ装置に距離計測機能を付加した距離計測機能付きランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、前後に位置する走行車両の車間距離を計測する機能を搭載した車両が知られている。このような距離計測に用いられるレーダ装置としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
具体的には、特許文献1には、レーザ光を投射すると共に反射したレーザ光を受信して、信号の投射時から反射光の受信時までの時間を測定することにより、目標車両までの距離を知るようにした車間距離測定レーダが開示されている。特に、この車間距離測定レーダは、レーザ光を投射する発光部及び反射光を受光する受光部を前照灯ケース内に収容すると共に、レーザ光が透過する前照灯レンズの一部表面及び裏面に表裏両面を平行とした平面部を形成したものである。すなわち、この車間距離測定レーダは、ヘッドランプバルブを内装するヘッドランプケース内に、レーザ発光部とレーザ受光部とを組み込み、さらに前照灯レンズの一部表面及び裏面に表裏両面が平行である平面部を形成したものである。
【0004】
これにより、この車間距離測定レーダにおいては、平面部を透過するレーザ光が拡散されなくしたので、結果として、レーザ光の透過率を低下させることなく所定の目標物に照射することができ、測定精度の高い車間距離測定を実現することができるとしている。
【特許文献1】特開平5−11050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、ヘッドランプ等に複数個の発光ダイオード(Light Emitting Diode;以下、LEDという。)を用いたものが開発されている。このLEDを用いたヘッドランプは、従来のヘッドランプバルブとは異なり、発光のオン/オフ応答性が良好であり、レーダ装置に使用するような数百マイクロ秒オーダの短パルスの発光制御を行うことができる。
【0006】
しかしながら、かかるLEDを使用してレーダ装置と同様の機能を実現しようとすると、使用する光が主に可視光であるので、同様の機能を搭載した他車両から送信された送信信号と自車両の送信信号とを混同してしまう事態を招来し、物標が存在するものと誤検出するといった不具合が発生するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題に鑑みて提案されたものであり、照明用のLEDを用いて距離計測機能を実現する際に、他のLEDからの送信信号と混同することなく正確に目標とする物標までの距離を計測することができる距離計測機能付きランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車両に搭載されるランプ装置に距離計測機能を付加した距離計測機能付きランプ装置であって、複数個の発光ダイオードからなる発光ダイオード群を複数有する車両用ランプと、発光ダイオード群をそれぞれ独立してパルス発光させる駆動制御手段と、発光ダイオードで発光されたパルス光からなる送信信号が物標によって反射されたパルス光からなる反射信号を受光する受光手段と、駆動制御手段によって各発光ダイオード群をパルス発光させて送信信号を送信してから、受光手段によって反射信号を受光するまでの時間差に基づいて、物標までの距離を算出する距離算出手段とを備える。
【0009】
この距離計測機能付きランプ装置において、駆動制御手段は、複数の発光ダイオード群を所定の時系列パターンで発光させて複数のパルス光からなる時系列パターン情報を含む送信信号を送信させ、距離算出手段は、反射信号に含まれる時系列パターン情報と合致する反射信号を抽出し、抽出した反射信号を受信するまでの時間差に基づいて、物標までの距離を算出することにより、上述の課題を解決する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る距離計測機能付きランプ装置によれば、独自の時系列パターン情報を含む送信信号を送信して反射した反射信号を使用して物標までの距離を算出することができるので、他の発光ダイオードによる送信信号と混同することなく正確に目標とする物標までの距離を計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
本発明は、いわゆる発光ダイオード(Light Emitting Diode;以下、LEDという。)を用いた自動車等の各種車両に搭載されるランプ装置に距離計測機能を付加した距離計測機能付きランプ装置に適用される。
【0013】
なお、レーダ装置としては、赤外光を用いるレーザレーダや電磁波を用いる電波レーダ等がある。また、レーダ方式としては、短時間幅のパルス信号を送信し、物標によって反射して戻ってきたパルス信号を受信するまでの時間を計測することによって距離を算出するパルス方式や、三角波によって周波数変調や振幅変調を施した連続波を送信し、反射信号の周波数変位や位相変位に基づいて距離を算出するCW(Continuous Wave)方式がある。以下では、説明の便宜上、LEDを用いた光レーダ装置について説明すると共に、パルス方式を採用するものとして説明する。
【0014】
[距離計測機能付きランプ装置の構成]
距離計測機能付きランプ装置は、図1に示すように、レーダ処理部1と、車両用ランプを兼ねた信号送信部2とに大別されて構成される。このレーダ処理部1は、信号受信部3と、信号処理部4とを備える。
【0015】
信号送信部2は、照明用の複数個のLEDからなる複数のLED群11,11,・・・,11(以下、総称する場合には単に「LED群11」と呼ぶ。)と、これらLED群11,11,・・・,11をそれぞれ発光駆動する複数のLED群駆動部12,12,・・・,12(以下、総称する場合には単に「LED群駆動部12」と呼ぶ。)と、各LED群11,11,・・・,11をそれぞれ独立して時系列で発光制御する駆動制御手段であるLED駆動制御部13とを有する。
【0016】
LED群11は、車両用ランプに相当するものである。各LED群11は、任意個数のLEDの集合体として構成され、各LED群駆動部12によって発光駆動する。各LED群駆動部12は、LED駆動制御部13の制御に従って、各LED群11を駆動する。
【0017】
LED駆動制御部13は、LED群11を照明として機能させるか否かを指示するランプON/OFF信号に基づいて、各LED群駆動部12を制御する。すなわち、LED駆動制御部13は、照明として機能させる旨を示すランプON/OFF信号を入力した場合には、連続してLED群11で光照射を行うように、LED群駆動部12を制御する。
【0018】
また、LED駆動制御部13は、LED群11をレーダ装置の発光源として機能させる場合には、レーダ処理部1における信号処理部4から供給されたパルス発光命令に基づいて、各LED群11から短パルス光を送信信号として間欠送信させるように、各LED群駆動部12を制御する。このとき、LED群駆動部12は、各LED群11を数百マイクロ秒オーダの短パルス光を発光させる。
【0019】
また、LED駆動制御部13は、後述するように、パルス発光命令を入力してLED群11をパルス発光させる場合に、送信信号に含ませる所定の時系列パターン及び強度変化情報を一又は複数記憶しており、何れかの所定の時系列パターン及び強度変化情報を選択して、LED群駆動部12を駆動させる。そして、LED駆動制御部13は、選択した所定の時系列パターン及び強度変化情報を含むLED発光時系列情報を先行車両認識ロジック部43に送信する。
【0020】
信号受信部3は、反射物標からの反射パルス光からなる反射信号を受光する光学レンズ31と、この光学レンズ31によって受光された光を電気的な信号に変換する受光手段であるフォトダイオード32と、このフォトダイオード32によって変換された信号を増幅する信号増幅部33とを有する。
【0021】
信号増幅部33は、例えばSTC(Sensitivity Time Control)アンプ等であり、LED群11から送信された短パルス光である送信信号が図示しないランプカバー等によって反射や散乱して信号受信部3に入射した場合であっても、検出値が飽和しないように構成されている。すなわち、信号増幅部33は、LED群11による短パルス光の発光直後の信号増幅率を低下させている。この信号増幅部33によって増幅された信号は、受光情報として信号処理部4に供給される。
【0022】
信号処理部4は、送信トリガ発生部41と、距離検出手段である信号抽出・距離算出部42と、先行車両認識ロジック部43とを有する。この信号処理部4は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等から構成され、CPUによって実行されるプログラム及び当該CPUの周辺回路等によって機能的な各部41,42,43を備えることになる。
【0023】
送信トリガ発生部41は、物標との距離を検出するタイミングを先行車両認識ロジック部43からの指令によって認識すると、LED駆動制御部13にパルス発光命令を出力する。
【0024】
信号抽出・距離算出部42は、LED群11から短パルス光を発光させて送信信号を送信した時刻から、フォトダイオード32で反射信号を受光した時刻までの時間差に基づいて、物標までの距離を算出する。すなわち、信号抽出・距離算出部42は、LED駆動制御部13に短パルス光を送信させるパルス発光命令を出力してから、フォトダイオード32によって反射物標からの反射信号を受光し、受光した信号が信号処理部4に供給されるまでの時間差に基づいて物標までの距離を算出する。
【0025】
この信号抽出・距離算出部42は、送信トリガ発生部41からの信号によって、パルス発光命令をLED駆動制御部13に伝達したことを認識して、LED群11の発光時刻を認識する。また、信号抽出・距離算出部42は、先行車両認識ロジック部43から所定の時系列パターン及び強度変化情報を入力し、当該時系列パターン情報及び強度変化情報と合致する反射信号を抽出し、この抽出した反射信号を受信するまでの時間差に基づいて、反射物標までの距離を算出する。
【0026】
先行車両認識ロジック部43は、物標との距離を検出するタイミングとなると、送信トリガ発生部41及び信号抽出・距離算出部42にその旨を通知する。これにより、LED駆動制御部13によって所定の時系列パターン及び強度変化情報を含む送信信号を送信させ、信号抽出・距離算出部42によって所定の時系列パターン及び強度変化情報を含む受信信号から距離算出を行うことになる。
【0027】
先行車両認識ロジック部43は、信号抽出・距離算出部42によって算出された距離情報に基づいて、所定の車両認識ロジック等を用いて先行車両の同定を行う。なお、この先行車両ロジック部43によって得られた先行車両情報や障害物情報等は、先行車両までの距離が設定された車間距離となるように先行車両に対する追従制御を行うACC(Adaptive Cruise Control)コントローラ等に供給される。
【0028】
[距離計測機能付きランプ装置の動作]
このような距離計測機能付きランプ装置においては、以下のようにして、単一のLED発光によって物標までの距離を計測する処理を行う。
【0029】
距離計測機能付きランプ装置は、物標までの距離を計測するに際して、図2に示すような動作を行う。図2は、各LED群11から送信信号を送信させるために送信トリガ発生部41によって発生されるトリガ信号(図2(a))と、LED群駆動部12によって発生される距離計測用パルス信号(図2(b))と、各LED群11から送信される送信信号(図2(c))と、フォトダイオード32によって受光したときの反射信号(図2(d))との時間関係を示す。
【0030】
距離計測機能付きランプ装置は、送信トリガ発生部41によってパルス幅τの矩形波からなるトリガ信号であるパルス発光命令を発生させ、当該パルス発光命令を発生させたタイミングで、LED群駆動部12により、例えば66ナノ秒といった極めて短時間幅の距離計測用パルス信号を発生させる。そして、このLED群駆動部12によって発生された距離計測用パルス信号に応じて、各LED群11から短パルス光からなる送信信号を送信する。
【0031】
そして、LED群11から短パルス光を発光させたタイミングから、信号送信方向前方に存在する物標によって反射して戻ってきたパルス光からなる反射信号をフォトダイオード32によって受光し、受光した信号が信号増幅部33を介して信号処理部4に供給されるまでの時間差Δtに基づいて、信号抽出・距離算出部42によって物標までの距離を算出する。
【0032】
ここで、送信信号を送信してから反射信号が受光されるまでの時間差をΔtとし、光速をCとすると、距離計測機能付きランプ装置と物標までの距離Dは、次式(1)によって算出される。
【0033】
D=C・Δt/2 ・・・(1)
なお、信号抽出・距離算出部42は、実際には、回路遅延等によって生じる距離計測の誤差を考慮した補正を行い、距離Dを算出する。
【0034】
このような距離計測機能付きランプ装置は、送信トリガ発生部41からのパルス発光命令に基づいて、所定の時系列パターンで各LED群駆動部12で距離計測用パルス信号を供給する。これに応じて、各LED群11は、それぞれ、図3に示すように、所定の時系列パターンで発光する。
【0035】
また、LED駆動制御部13は、LED群駆動部12を制御した時系列パターンの情報を、信号処理部4に出力する。そして、信号抽出・距離算出部42は、送信された時系列パターン情報と合致する反射信号を抽出し、この反射信号を受信するまでの時間差に基づいて、物標までの距離を算出する。
【0036】
ここで、図3及び図4に、LED駆動制御部13からの距離計測用パルス信号に応じてLED群11によって生成される発光パルス信号と、LED群11のそれぞれによって発光される複数のパルス光が合成されてなる時系列パターン情報を形成した送信信号の発光パターンの例を示す。
【0037】
具体的には、LED駆動制御部13は、パルス発光に使用するLED群11として第1LED群11、第2LED群11、第3LED群11、第4LED群11、第5LED群11が存在する場合に、第1LED群11、第2LED群11、第3LED群11、第4LED群11、第5LED群11の順であって(図3(a)〜(e))、第2LED群11と第3LED群11とを連続して発光させる(図3(b)、(c))。これにより、信号送信部2からは、図3(f)に示すように、第1LED群11〜第5LED群11からの複数のパルス光が時系列に合成された発光パターンの送信信号を送信させる。なお、図3には、1つのLED群が発光している時間帯には他のLED群からは送信信号を送信しない例について示している。
【0038】
また、LED駆動制御部13は、図4に示すように、1つのLED群11が発光している時間帯と同じ時間帯で他のLED群11も発光させることによって、時系列パターン情報を形成した送信信号に、強度変化情報を付加する。具体的には、第1LED群11、第2LED群11、第3LED群11及び第4LED群11、第5LED群11、第6LED群11の順であって(図4(a)〜(f))、第2LED群11と第3LED群11とを同じ時間帯で発光させる(図4(b)、(c))。これにより、信号送信部2からは、図4(g)に示すように、第1LED群11〜第5LED群11からの複数のパルス光が時系列に合成された発光パターン及び強度の送信信号を送信させる。なお、図4においては、同時に発光しているLED群11が2つである場合を示しているが、3つ以上のLED群11を同時に発光させて強度変化情報を多様化させた送信信号を送信するようにしてもよい。
【0039】
このように、距離計測機能付きランプ装置においては、時系列パターン情報を形成して送信信号をさせるようにLED群11を制御し、この送信された時系列パターン情報及び強度変化情報と合致する反射信号を信号抽出・距離算出部42で抽出することにより、例えば他車のLED群による送信信号と混同することなく区別する。
【0040】
また、LED駆動制御部13は、図5に示すように、時系列パターン情報及び/又は強度変化情報を1回の計測又は所定回数の計測毎に変化させることにより、他車両に搭載されたレーダ装置の送信信号を受信して物標が存在するものと誤検出する状況に陥った場合であっても、送信信号を変化させるタイミングで誤検出の判定を行うことができ、誤警報等を適切に防止することができる。
【0041】
なお、距離計測機能付きランプ装置は、前照灯(ヘッドランプ)の他、車両の前後左右に設けられた方向指示器や車両後部に設けられたブレーキランプ、さらには車両の後退時に点灯させるバックランプにも適用することができ、車両の全周囲を観測領域とすることができる。このとき、距離計測機能付きランプ装置においては、車両に対する車両用ランプの搭載位置毎に、異なる時系列パターン情報又は強度変化情報を付加した送信信号を送信させることにより、他の搭載位置に設けた車両用ランプから送信された送信信号との干渉を引き起こすことを回避することができる。
【0042】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明を適用した距離計測機能付きランプ装置によれば、車両用ランプを構成する複数個のLEDからなる複数のLED群11を所定の時系列パターンで発光制御して送信信号に時系列パターン情報を付加し、当該時系列パターン情報と合致する反射信号を抽出し、抽出した反射信号を受信するまでの時間差に基づいて、物標までの距離を算出することにより、他のLEDによる送信信号と混同することなく正確に目標とする物標までの距離を計測することができる。
【0043】
また、距離計測機能付きランプ装置によれば、単一のLED素子によって送信信号に時系列パターン情報を付加するレーダ装置とは異なり、各LED群11が1回の計測時間帯で所定の時間幅の発光しかする必要がないので、各LEDの劣化を最小限に抑制することができ、寿命を長くすることができる。
【0044】
更に、この距離計測機能付きランプ装置によれば、1つのLED群11が発光している時間帯と同じ時間帯で他のLED群11も発光させ、送信信号に強度変化情報を付加することにより、観測領域に複数の物標が存在し、反射信号が多く観測される状況であっても、強度変化情報及び時系列パターン情報と合致する反射信号を精度よく抽出することができ、より正確に反射信号を区別することができる。
【0045】
更にまた、この距離計測機能付きランプ装置によれば、1回の計測又は所定回数の計測毎に、時系列パターン情報又は強度変化情報を変化させることにより、自車両の送信信号と他車両の送信信号とが類似し、物標からの反射信号であるのか他車両からの送信信号であるのかを混同するような状況であっても、時系列パターン情報又は強度変化情報を変化させるタイミングで誤検出の判定を行うことができ、誤警報等を適切に防止することができる。
【0046】
更にまた、この距離計測機能付きランプ装置によれば、自車両に複数の車両用ランプが搭載される場合に、車両用ランプの搭載位置毎に、異なる時系列パターン情報又は強度変化情報を付加した送信信号を送信させることにより、他の搭載位置に設けた車両用ランプから送信された送信信号との干渉を引き起こすことがなく、極めて正確に距離計測を行うことが可能となる。
【0047】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0048】
すなわち、上述した距離計測機能付きランプ装置では、パルス方式によって物標との距離を求めるようにしたが、CW方式によって物標との距離を求めても上述した効果を発揮できるのは勿論である。
【0049】
また、この距離計測機能付きランプ装置においては、車両用ランプを、前照灯、方向指示器、ブレーキランプ、及び/又は車両の後退時に点灯させるバックランプに設けることにより、自車両の全周囲を観測領域とすることができ、前方観測に加え、後退時に用いられるバックソナーの役割や側面衝突時におけるサイドエアバッグの事前展開等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を適用した距離計測機能付きランプ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した距離計測機能付きランプ装置において、LED群から送信信号を送信させるためのトリガ信号、距離計測用パルス信号、LED群から送信される送信信号、フォトダイオードによって受光したときの反射信号との時間関係を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明を適用した距離計測機能付きランプ装置において、短パルス光を合成して時系列パターン情報を形成した送信信号を送信する場合の各LED群の発光パターンの例を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明を適用した距離計測機能付きランプ装置において、短パルス光を合成して時系列パターン情報及び強度変化情報を形成した送信信号を送信する場合の各LED群の発光パターンの例を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明を適用した距離計測機能付きランプ装置において、短パルス光を合成して時系列パターン情報及び強度変化情報を形成した送信信号を送信する場合の各LED群の発光パターンの他の例であって、時系列パターン情報及び強度変化情報を変化させた場合を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 レーダ処理部
2 信号送信部
3 信号受信部
4 信号処理部
111,112,・・・,11n LED群
121,122,・・・,12n LED群駆動部
13 LED駆動制御部
31 光学レンズ
32 フォトダイオード
33 信号増幅部
41 送信トリガ発生部
42 信号抽出・距離算出部
43 先行車両認識ロジック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるランプ装置に距離計測機能を付加した距離計測機能付きランプ装置において、
複数個の発光ダイオードからなる発光ダイオード群を複数有する車両用ランプと、
前記発光ダイオード群をそれぞれ独立してパルス発光させる駆動制御手段と、
前記発光ダイオードで発光されたパルス光からなる送信信号が前記物標によって反射されたパルス光からなる反射信号を受光する受光手段と、
前記駆動制御手段によって前記各発光ダイオード群をパルス発光させて送信信号を送信してから、前記受光手段によって前記反射信号を受光するまでの時間差に基づいて、前記物標までの距離を算出する距離算出手段とを備え、
前記駆動制御手段は、前記複数の発光ダイオード群を所定の時系列パターンで発光させて複数のパルス光からなる時系列パターン情報を含む送信信号を送信させ、前記距離算出手段は、前記反射信号に含まれる時系列パターン情報と合致する反射信号を抽出し、抽出した反射信号を受信するまでの時間差に基づいて、前記物標までの距離を算出することを特徴とする距離計測機能付きランプ装置。
【請求項2】
前記駆動制御手段は、複数の発光ダイオード群を同じ時間帯で発光させて、前記時系列パターン情報に強度変化情報を付加した送信信号を送信させることを特徴とする請求項1に記載の距離計測機能付きランプ装置。
【請求項3】
前記駆動制御手段は、1回の計測毎又は所定回数の計測毎に、前記時系列パターン情報又は前記強度変化情報を変化させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の距離計測機能付きランプ装置。
【請求項4】
前記車両は、複数の前記車両用ランプを備え、
前記駆動制御手段は、前記車両用ランプの搭載位置毎に、異なる前記時系列パターン情報又は前記強度変化情報を含む送信信号を送信させることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の距離計測機能付きランプ装置。
【請求項5】
前記車両用ランプは、前照灯、方向指示器、ブレーキランプ、又は前記車両の後退時に点灯させるバックランプであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の距離計測機能付きランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−21720(P2006−21720A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203553(P2004−203553)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】