説明

路面混入式標示線

【課題】道路標示線において、耐久性が長く、又、雨天時での表面の滑りを抑制する事を課題とする。
【解決手段】アスファルト舗装工事施工直後の路面がまだ保温状態で軟性を維持している時、標示線を敷設する位置に白砂を散布する。その後、速やかにタンパーやローラーにて転圧し、白砂が舗装面に入り込む様に加圧する。これらの工程により舗装面に白砂が加圧混入され標示線として視認する事ができ、従来の溶融性塗料による表面の滑りに対しても回避する事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面に標示する車線境界線、車道中央線等の道路標示に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車線境界線、車道中央線、横断歩道、駐車場区画線等(以下標示線という)の道路標示は、一般に溶融性塗料を用い塗布する方法で施工されている。その中で (例えば、特許文献1参照。)の様に溶融性塗料にガラスビーズを混入させ光の反射を利用し夜間や降水時等において視認性を高めるものや、(例えば、特許文献2参照。)の様に表面に凹凸を設け滑り止めの効果をもつものも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−156614号公報
【特許文献2】特許第3091996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら溶融性塗料を塗布する方法では、施工された標示線は経年による剥離及び亀裂等の損傷も多く、降雪地域では除雪作業による損傷、凍結による剥離もみられ標示線の原形を維持するのは困難となっている。又、交通量の頻度により塗料が磨耗し視認性において極度に劣るものでもある。その為毎年のように標示線の施工が必要となる。又、表面が塗料による為、降雨時には非常に滑りやすく、車輌はもとより歩行者や自転車にとって危険な状況となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は従来の溶融性塗料を塗布する方法とは異なり、硬度をもつ白色の物質、例えば白色の自然石を粉砕し、粒状又は粉状に近い微細な粒子のもの(以下白砂という)を利用する。
【0006】
施工方法はアスファルト舗装工事施工直後の路面がまだ保温状態で軟性を維持している時、標示線を敷設する位置に白砂を散布する。その後に速やかにタンパーやローラーにて転圧し、白砂が舗装面に入り込む様に加圧する。これらの工程により、舗装面に白砂が加圧混入され標示線として視認する事が可能となる。
【発明の効果】
【0007】
よって白砂を利用して施工された標示線は、表面が塗装面とは異なり粗面となる為、雨天時でも滑りにくくなり、車輌や歩行者にも安全といえる。又、標示線に囲まれた舗装面上に、雨天時水が溜まり危険でもあったがそれについても回避する事ができる。又、剥離や亀裂においても何等影響されるものではなく、当然交通量が多い場合での磨耗に対しても、舗装面の磨耗と同様に磨耗するものの視認性を維持する事が可能となる。
【0008】
更に白砂を水等で溶解し液状にした後、路面に加圧混入する事で、ペイントと同様に路面に文字や模様を描く事も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】敷設状況図
【図2】敷設部拡大図
【図3】敷設部拡大平面図
【図4】A―a断面図
【図5】B−b断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
形態としてはまず白砂の粒度に関して説明すると、舗装面が密粒アスファルトコンクリートの場合と、最近多く見られる防音性や透水性を備えた粗粒アスファルトコンクリートの両方に対しても、加圧混入の侵入厚を確保する為の粗い粒子、例えば粗粒アスファルトコンクリートの骨材と同等のものと、視認性を高める為の細かい粒子との混合の白砂を利用するのが適切と思われる。
【0011】
次に施工方法に関して説明すると、アスファルト舗装工事が終了した直後、路面が保温状態で軟性を維持した状態での施工が望ましい。しかし、路面が冷えきった場合や、既設の道路面に施工する場合は、標示線の施工箇所をバーナー等で加熱しながら白砂を敷設し直後に転圧をする方法が適切と思われる。又、舗装面の軟性が不可欠ではあるものの、真夏の炎天下の様に路面が高温化している場合、ある程度の軟性が得られる為バーナーによる加熱がなくとも施工可能と思われる。
【0012】
次に白砂の敷設方法について説明すると、散布による敷設方法として車輌を利用する場合、図1に示す様に車輌1に散布筒3を設ける。その散布筒の先端には吐出された白砂が均等に散布される為の白砂受け4を設ける。そこで散布筒より一定量の白砂を吐出する様設定し、その吐出量より演算された車速によって車輌を運行しながら散布作業を行う。当然ながら車速に応じて吐出量を適量に変化させる事が可能であれば最良の方法と言えるが機械的には高度なものとなる。
【0013】
そこで吐出された白砂を線状に敷設する為の敷設型枠5を敷設型枠支持部7によって車輌に取り付ける。尚、敷設型枠5は路面に密着させて施工するのが望ましい。しかし密着させて施工する際、路面の高低差や車輌の傾きに影響され、敷設型枠支持部7に負荷がかかる為該支持部には付勢手段等の処置が必要となる。又、敷設型枠の前後における両面には風防板6を白砂敷設に影響なき様、路面より適宜上部に取り付ける。又、風防板6を利用し、例えば路面より5ミリメートル高く設定する事により、散布された白砂の厚みを敷き均す事も可能である。
【0014】
もう一つの敷設方法として、白砂に水、又は接着剤、或いはその他の白砂を乳液状にする為の液物等を混入させ、従来の標示線の施工方法と同様の塗布によって敷設し、直後転圧する方法が考えられる。ただし乳液状で施工する場合塗布面の路面温度が低下する事を考慮し、路面温度の高い時期での施工や、乳液状の原料を加熱し施工する事も考えられる。
【0015】
最後に白砂の色について説明すると、白砂の原料となる例えば自然石の色を白色のものを利用すれば車線境界線や、車道路側線、横断歩道等すなわち現在白色として利用されている道路標示に対応する事ができる。又、白砂の色を例えば自然石の黄色を利用すれば追い越し禁止区域の道路中央線に応用できるものである。又、自然石の色が明瞭でない場合は着色剤を添加したり柔軟に対応する事ができる。当然ながら色彩等限定されるものではなく様々な対応が可能である。
【0016】
又、原料においては自然石のみならず、人工石、砂、陶磁器、ガラス、樹脂等施工可能な強度と施工可能な耐熱性を備えたものであれば容易に利用する事ができる。
【符号の説明】
【0017】
1 敷設用車輌
2 路面
3 散布筒
4 白砂受け
5 敷設型枠
6 風防板
7 敷設型枠支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白又は単色の自然石を粉砕し、その粒子をアスファルト舗装工事施工直後、道路標示線と同様の形状に散布し、その後速やかにローラー等で転圧し、路面に加圧混入する事で道路標示線として利用する事を特徴とする路面混入式標示線。
【請求項2】
自然石の代用として、人工石、砂、陶磁器、ガラス、樹脂等の施工可能な強度及び耐熱性を備えた原料を利用する事を特徴とする請求項1の路面混入式標示線。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−275723(P2010−275723A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127132(P2009−127132)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(308007402)
【Fターム(参考)】