説明

車両のルーフ構造

【課題】補強部材とルーフサイドレールとの間に設けられる荷重伝達部材の形状設定により、側面衝突時に車両ルーフの補強部材に生じる曲げ応力を調整できるようにして、異なる車種間で補強部材を共用化できるようにすることを目的とする。
【解決手段】ルーフサイドレール10と、車両ルーフ26に設けられ、両側のルーフサイドレール10間において車幅方向に延設され、両端部に荷重受け部12Aが設けられたセンタフレーム12(補強部材)と、ルーフサイドレール10とセンタフレーム12とを連結するように結合され、該センタフレーム12との結合部40より車両下方において荷重受け部12Aと車幅方向に近接対向する荷重伝達端42が設けられた荷重伝達部材14とを有している。側面衝突時にセンタフレーム12に生じる曲げ応力を、荷重伝達部材14における結合部40を基準とした荷重伝達端42の高さ設定により調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両ルーフに設けた開口部の側縁に沿ってガイドレールを配し、開口部後方に位置しかつ車幅方向に延在するフレーム(補強部材)をガイドレールに固定させている車両用ルーフ装置において、フレームを複数枚のプレートを重ねて構成し、最上層のプレートとガイドレールとをカシメにより締結し、開口部の側部に固定されたブラケットにプレートをボルト止めした構造が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−327250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来例では、ガイドレールとフレームとのカシメ結合を可能にする点に重点が置かれており、側面衝突時に車両ルーフのフレームに生じる曲げ応力については十分に考慮されていない。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、補強部材とルーフサイドレールとの間に設けられる荷重伝達部材の形状設定により、側面衝突時に車両ルーフの補強部材に生じる曲げ応力を調整できるようにして、異なる車種間で補強部材を共用化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、車両上部の車幅方向両側において車両前後方向に夫々延設されたルーフサイドレールと、車両ルーフに設けられ、両側の前記ルーフサイドレール間において車幅方向に延設され、両端部に荷重受け部が設けられた補強部材と、前記ルーフサイドレールと前記補強部材とを連結するように該ルーフサイドレール及び該補強部材に結合され、該補強部材との結合部より車両下方において前記荷重受け部と車幅方向に近接対向する荷重伝達端が設けられ、側面衝突時に前記補強部材に生じる曲げ応力を、前記結合部を基準とした前記荷重伝達端の高さ設定により調整可能な荷重伝達部材と、を有することを特徴としている。
【0006】
請求項1に記載の車両のルーフ構造では、車両前後方向に延設されたルーフサイドレールと、該ルーフサイドレール間において車幅方向に延設された補強部材とが、荷重伝達部材により連結されており、側面衝突時に車両側部に入力された側突荷重は、ルーフサイドレールから補強部材に、荷重伝達部材を介して伝達される。この際、荷重伝達部材から補強部材への側突荷重の伝達は、2つの経路を介して行われる。第1の経路は、荷重伝達部材と補強部材との結合部を通じた経路である。第2の経路は、荷重伝達部材の荷重伝達端が補強部材の荷重受け部に当接することで形成される経路である。
【0007】
荷重伝達部材の荷重伝達端は、該荷重伝達部材と補強部材との結合部より車両下方において補強部材の荷重受け部と近接対向しているので、荷重伝達端から荷重受け部に側突荷重が伝達されることで、補強部材には結合部付近を中心とした曲げモーメントが入力されることとなる。これにより補強部材には曲げ応力が生じるが、荷重伝達部材では、この曲げ応力を、結合部を基準とした荷重伝達端の高さ設定により、車種に応じて調整することができる。このため、異なる車種間で補強部材を共用化することができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両のルーフ構造において、前記補強部材は、車両ルーフに形成されたルーフ開口部を跨ぐように配置されるセンタフレームであることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の車両のルーフ構造では、補強部材が、車両ルーフに形成されたルーフ開口部を跨ぐように配置されるセンタフレームであり、側面衝突時に該センタフレームに生じる曲げ応力を、荷重伝達部材の形状設定により調整することができる。このため、異なる車種間でサンルーフ等のセンタフレームを共用化することができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両のルーフ構造において、前記荷重伝達部材のうち、前記補強部材との前記結合部に対応する部位、及び前記荷重伝達端に対応する部位は、補強板が接合された二重構造とされていることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の車両のルーフ構造では、荷重伝達部材のうち、補強部材との結合部に対応する部位、及び荷重伝達端に対応する部位が、補強板が接合された二重構造とされているので、荷重伝達部材から補強部材への側突荷重の伝達時に、該荷重伝達部材の変形を抑制することができる。このため、荷重伝達部材から補強部材へ、側突荷重を効率的に伝達することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車両のルーフ構造によれば、補強部材とルーフサイドレールとの間に設けられる荷重伝達部材の形状設定により、側面衝突時に車両ルーフの補強部材に生じる曲げ応力を調整できるようにして、異なる車種間で補強部材を共用化できるようにすることができる、という優れた効果が得られる。
【0013】
請求項2に記載の車両のルーフ構造によれば、異なる車種間でサンルーフ等のセンタフレームを共用化することができる、という優れた効果が得られる。
【0014】
請求項3に記載の車両のルーフ構造によれば、荷重伝達部材から補強部材へ、側突荷重を効率的に伝達することができる、という優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1において、本実施の形態に係る車両のルーフ構造Sは、ルーフサイドレール10と、補強部材の一例たるセンタフレーム12と、荷重伝達部材14とを有している。
【0016】
図2において、ルーフサイドレール10は、車両上部の車幅方向両側において車両前後方向に夫々延設され、例えばルーフサイドレールアウタ16とルーフサイドレールインナ18とを接合して構成された車両20の骨格部材である。このルーフサイドレールアウタ16とルーフサイドレールインナ18とは、例えば車両上側の第1接合部21及び車両下側の第2接合部22において接合されて、閉断面に構成されている。
【0017】
ルーフサイドレール10は、例えばセンタピラー(図示せず)に連なるアウタパネル24により覆われ、該アウタパネル24は、第1接合部21において車両ルーフ26及びルーフサイドレール10に接合されている。なお、第1接合部21は、車両ルーフ26とアウタパネル24との境界において車両前後方向に延びる、いわゆるモヒカン溝部28に位置している。
【0018】
図1において、センタフレーム12は、車両ルーフ26に設けられ、両側のルーフサイドレール10間において車幅方向に延設され、両端部に荷重受け部12A(図2)が設けられた補強部材であり、車両ルーフ26に形成されたルーフ開口部30を跨ぐように配置されている。即ち、本実施形態における車両ルーフ26には、例えばサンルーフが設けられている。
【0019】
図2,図3において、センタフレーム12は、例えば2枚の鋼板を車両上下方向に重ね合わせて接合することで構成されている。このセンタフレーム12の一般部12Bは、例えば断面逆ハット形に成形されている。この一般部12Bの両端部には、車両上側に折り曲げられ、縦壁状に形成された荷重受け部12Aが設けられている。更にこの荷重受け部12Aの上端には、車幅方向外側に略水平に折り曲げ形成された上段フランジ12C及び下段フランジ12Dが設けられている。下段フランジ12Dは、前後の上段フランジ12Cの間に設けられている。即ち、上段フランジ12C及び下段フランジ12Dは、全体として例えば断面逆ハット形に成形されている。
【0020】
前後の上段フランジ12Cの下面には、夫々荷重伝達部材14が結合されており、前後の上段フランジ12Cは、例えばボルト32及びナット(図示せず)を用いて、荷重伝達部材14と夫々締結固定されている。図2に示されるように、センタフレーム12の一般部12Bの車両上側には、サンルーフのガイドレール34が、例えばかしめにより固定されている。このガイドレール34は、車幅方向の両側において夫々車両前後方向に延びている。
【0021】
図2,図3において、荷重伝達部材14は、ルーフサイドレール10とセンタフレーム12とを連結するように該ルーフサイドレール10及び該センタフレーム12に結合され、該センタフレーム12との結合部40より車両下方において荷重受け部12Aと車幅方向に近接対向する荷重伝達端42が設けられ、側面衝突時にセンタフレーム12に生じる曲げ応力を、結合部40を基準とした荷重伝達端42の高さ設定により調整可能に構成されている。この荷重伝達部材14は、例えば鋼板をプレス成形して構成されている。
【0022】
図4において、荷重伝達部材14は、車両前後方向に離間した一対の結合部40を有している。この結合部40は、例えば平面状に構成され、ボルト32(図3)を通すための貫通孔14Bが夫々設けられている。図3に示されるように、荷重伝達部材14は、結合部40において、センタフレーム12における前後の上段フランジ12Cの下面に、ボルト32及びナット(図示せず)を用いて、夫々結合されている。
【0023】
前後の結合部40の車幅方向外側の端縁には、車幅方向外側に斜め下方へ延びる傾斜面14Cが夫々設けられている。この傾斜面14Cには、ボルト(図示せず)を通すための貫通孔14Dが夫々設けられている。図2に示されるように、荷重伝達部材14は、この傾斜面14Cにおいて、ルーフサイドレール10のルーフサイドレールインナ18に締結固定されている。また図6,図7(A)において、前後の結合部40の車幅方向内側の端縁には、車両下方側へ延びる側壁部14Mが夫々設けられている。
【0024】
図4において、車両前側の結合部40の前縁、及び車両後側の結合部40の後縁には、車両下方側へ延びる側壁部14Eが夫々設けられている。一方、図4,図6に示されるように、車両前側の結合部40の後縁には、車両後方側かつ車両下方側へ延びる傾斜面14Fが設けられている。同様に、車両後側の結合部40の前縁にも、車両前方側かつ車両下方側へ延びる傾斜面14Fが設けられている。前後の傾斜面14Fの下縁同士は、車両前後方向へ延びる底面部14Gにより連結されている。図4,図5に示されるように、荷重伝達端42は、この底面部14Gの車幅方向内側の端縁である。
【0025】
図4において、車両前側の側壁部14Eは、車両前側の傾斜面14Cの前縁に連なり、車両後側の側壁部14Eは、車両後側の傾斜面14Cの後縁に連なっている。車両前側の傾斜面14Cの後縁、及び車両後側の傾斜面14Cの前縁には、車両下方側へ延びる側壁部14Hが夫々設けられている。側壁部14E,14Hの下縁には、車両前後方向に張り出すフランジ部14Jが夫々設けられている。即ち、荷重伝達部材14における結合部40から傾斜面14Cにかけての領域は、断面ハット形に構成されている。
【0026】
図3に示されるように、荷重伝達部材14の車両下方には、カーテンシールドエアバッグ36がルーフサイドレール10(図2)の長手方向に沿って配設されるようになっている。フランジ部14Jの一部には、カーテンシールドエアバッグ36を避けるように、車両前後方向から見て例えば円弧状の凹部14Kが形成されている。前後の結合部40の間には、凹部14Kに対応する半円筒部14Lが設けられている。この半円筒部14Lの車幅方向内側の端縁は、底面部14Gに連なっている。
【0027】
図4,図5において、荷重伝達部材14のうち、センタフレーム12との結合部40に対応する部位、及び荷重伝達端42に対応する部位は、補強板38が接合された二重構造とされている。この補強板38は、例えば鋼板をプレス成形して構成されており、荷重伝達部材14の結合部40に対応して車両前後方向に離間した一対の上段部38Aを有している。この上段部38Aは、例えば平面状に構成され、ボルト32(図3)を通すための貫通孔38Bが夫々設けられている。また上段部38Aには、延長部38Cが車幅方向外側に突出形成されている。
【0028】
更に車両前側の上段部38Aの前縁及び車幅方向内側の端縁には、車両下方側へ延び例えば車両平面視で断面L字形の側壁部38D,38Eが設けられている。同様に、車両後側の上段部38Aの後縁及び車幅方向内側の端縁にも、車両下方側へ延び例えば車両平面視で断面L字形の側壁部38D,38Eが設けられている。
【0029】
車両前側の上段部38Aの後縁には、車両後方側かつ車両下方側へ延びる傾斜面38Fが設けられている。同様に、車両後側の上段部38Aの前縁にも、車両前方側かつ車両下方側へ延びる傾斜面38Fが設けられている。前後の傾斜面38Fの下縁同士は、車両前後方向へ延びる下段部38Gにより連結されている。この下段部38Gの車幅方向内側の端縁38Hも、センタフレーム12(図2)への荷重伝達端となっている。
【0030】
補強板38は、例えばスポット溶接により荷重伝達部材14の下面に接合されている。具体的には、図7(A)に示されるように、補強板38のうち、延長部38Cが荷重伝達部材14における結合部40の下面に、例えばスポット溶接により接合され、また側壁部38Dが、荷重伝達部材14における側壁部14Mの内面(車幅方向外側面)に、例えばスポット溶接により接合されている。図6に示されるように、側壁部38Eは、荷重伝達部材14における側壁部14Eの内面(車両前後方向内側面)に近接又は当接している。
【0031】
荷重伝達部材14の底面部14Gと、補強板38の下段部38Gは、例えばその中央部において、スポット溶接により接合されている。この状態において、図6,図7(B)に示されるように、荷重伝達部材14の底面部14Gと、補強板38の下段部38Gとは、その間に隙間Aを有する閉断面構造となっている。図6に示されるように、隙間Aは、荷重伝達部材14の傾斜面14Fと、補強板38の傾斜面38Fとの間にも設けられている。この隙間Aが形成されるように補強板38を設けることで、荷重伝達部材14の剛性を高めつつ、センタフレーム12への荷重伝達端となる領域を、車両上下方向に広く確保できるようになっている。
【0032】
荷重伝達部材14では、側面衝突時にセンタフレーム12に生じる曲げ応力を、センタフレーム12と荷重伝達部材14との結合部40を基準とした荷重伝達端42の高さ設定により調整することができるようになっている。この高さ設定とは、結合部40を基準とした底面部14Gの深さ設定に相当する。図7(B)に示される深さZ1と、図8に示される深さZ2とを比較すると、Z1>Z2である。図7(B)に示されるように、深さZ1を比較的大きく設定することで、側面衝突時にセンタフレーム12に生じる曲げ応力を大きくすることができ、また図8に示されるように、深さZ2を比較的小さく設定することで、側面衝突時にセンタフレーム12に生じる曲げ応力を小さくすることができるようになっている。
【0033】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図9において、本実施形態に係る車両のルーフ構造Sでは、側面衝突により車両側部に側突荷重Fが入力されると、該側突荷重Fが、ルーフサイドレール10からセンタフレーム12に、荷重伝達部材14を介して伝達される。この際、荷重伝達部材14からセンタフレーム12への側突荷重Fの伝達は、2つの経路を介して行われる。第1の経路は、荷重伝達部材14とセンタフレーム12との結合部40を通じた経路である。第2の経路は、荷重伝達部材14や補強板38の端縁38Hがセンタフレーム12の荷重受け部12Aに当接することで形成される経路である。
【0034】
第1の経路では、ルーフサイドレール10のルーフサイドレールインナ18と、荷重伝達部材14の傾斜面14Cとの結合位置が、結合部40よりも車両下方に位置しているので、ルーフサイドレール10から荷重伝達部材14に側突荷重Fが伝達されることで、センタフレーム12には結合部40を介した曲げモーメントM1が入力されることとなる。また第2の経路では、荷重伝達部材14や補強板38の端縁38Hが、該荷重伝達部材14とセンタフレーム12との結合部40より車両下方においてセンタフレーム12の荷重受け部12Aと近接対向しているので、荷重伝達端42から荷重受け部12Aに側突荷重Fが伝達されることで、センタフレーム12には結合部40付近を中心とした曲げモーメントM2が入力されることとなる。
【0035】
このとき、本実施形態に係る車両のルーフ構造Sでは、荷重伝達部材14のうち、センタフレーム12との結合部40に対応する部位、及び荷重伝達端42に対応する部位が、補強板38が接合された二重構造とされているので、荷重伝達部材14からセンタフレーム12への側突荷重Fの伝達時に、該荷重伝達部材14の変形を抑制することができる。特に、図6に示されるように、荷重伝達部材14の底面部14Gと、補強板38の下段部38Gとが、その間に隙間Aを有する閉断面構造となっているので、荷重伝達部材14の剛性を高めつつ、センタフレーム12への荷重伝達端となる領域を、車両上下方向に広く確保することができる。このため、荷重伝達部材14からセンタフレーム12へ、側突荷重Fを効率的に伝達することができる。
【0036】
第1の経路及び第2の経路を介して側突荷重Fが伝達されることで、センタフレーム12に曲げ応力が生じるが、本実施形態では、この曲げ応力を、荷重伝達部材14の結合部40を基準とした荷重伝達端42の高さ設定により、車種に応じて調整することができる。即ち、図9における曲げモーメントM2の大きさは、結合部40から荷重伝達端42までの距離に比例するので、図7(B)に示されるように、深さZ1を比較的大きく設定することで、側面衝突時にセンタフレーム12に生じる曲げ応力を大きくすることができ、また図8に示されるように、深さZ2を比較的小さく設定することで、側面衝突時にセンタフレーム12に生じる曲げ応力を小さくすることができる。
【0037】
図10には、側面衝突発生から所定時間経過後における、深さZ1,Z2の場合についてのセンタフレーム12の変形量が夫々模式的に示されている。図中、実線で示されているのが、深さZ1の場合であり、二点鎖線で示されているのが、深さZ2の場合である。センタフレーム12に生じる曲げ応力が比較的小さい深さZ2の場合(二点鎖線)の方が、深さZ1の場合(実線)よりも変形量が少なくなっていることがわかる。
【0038】
本実施形態では、このように側面衝突時にセンタフレーム12に生じる応力を、荷重伝達部材14の形状設定により調整することができるので、異なる車種間でサンルーフ等のセンタフレーム12を共用化することができる。このため、車両20の製造コストを抑制することができる。
【0039】
なお、上記実施形態では、補強部材としてセンタフレーム12を挙げたが、補強部材はこれに限られるものではなく、ルーフ開口部30を有しない車両ルーフに一般に用いられるルーフリインフォースメント(図示せず)であってもよい。また荷重伝達部材14の一部が補強板38により二重構造とされるものとしたが、これに限られず、補強板38を用いない構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】車両ルーフのルーフ開口部にセンタフレームを有する車両を示す斜視図である。
【図2】車両のルーフ構造を示す、図1における2−2矢視拡大断面図である。
【図3】センタフレーム及び荷重伝達部材の結合状態を示す拡大斜視図である。
【図4】荷重伝達部材を示す分解斜視図である。
【図5】荷重伝達部材を示す平面図である。
【図6】車両中央側からの側面視において、荷重伝達部材を示す正面図である。
【図7】(A)荷重伝達部材を示す、図6における7A−7A矢視断端面図である。(B)荷重伝達部材を示す、図6における7B−7B矢視断端面図である。
【図8】荷重伝達端の高さ位置が比較的高く設定された荷重伝達部材を示す、図6における8−8矢視断面図である。
【図9】図2に対応する断面位置において、側面衝突時に、ルーフサイドレールから荷重伝達部材を介してセンタフレームに側突荷重が伝達され、センタフレームが車両上方に凸となる方向に曲げ変形している状態を示す断面図である。
【図10】側面衝突発生から所定時間経過後における、センタフレームの変形状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0041】
10 ルーフサイドレール
12 センタフレーム(補強部材)
12A 荷重受け部
14 荷重伝達部材
26 車両ルーフ
30 ルーフ開口部
38 補強板
40 結合部
42 荷重伝達端
S 車両のルーフ構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両上部の車幅方向両側において車両前後方向に夫々延設されたルーフサイドレールと、
車両ルーフに設けられ、両側の前記ルーフサイドレール間において車幅方向に延設され、両端部に荷重受け部が設けられた補強部材と、
前記ルーフサイドレールと前記補強部材とを連結するように該ルーフサイドレール及び該補強部材に結合され、該補強部材との結合部より車両下方において前記荷重受け部と車幅方向に近接対向する荷重伝達端が設けられ、側面衝突時に前記補強部材に生じる曲げ応力を、前記結合部を基準とした前記荷重伝達端の高さ設定により調整可能な荷重伝達部材と、
を有することを特徴とする車両のルーフ構造。
【請求項2】
前記補強部材は、車両ルーフに形成されたルーフ開口部を跨ぐように配置されるセンタフレームであることを特徴とする請求項1に記載の車両のルーフ構造。
【請求項3】
前記荷重伝達部材のうち、前記補強部材との前記結合部に対応する部位、及び前記荷重伝達端に対応する部位は、補強板が接合された二重構造とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両のルーフ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−262662(P2009−262662A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112322(P2008−112322)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】