説明

車両の下部車体構造

【課題】 車体の一部にしかダウンフォースを発生できない点を解決することで、車体全体に渡ってより強いダウンフォースを得ること可能にするとともに、車両の走行抵抗の増大を招く点を解決することで、車両の走行抵抗の低減を図ることを可能にする。
【解決手段】 車体下部(床下)28に設けることで所定回転方向に渦流を発生させる渦流発生手段31〜34,41〜44と、渦流発生手段3〜34,41〜44に設けることで渦流発生手段31〜34,41〜44により発生する渦流を誘導する渦流誘導手段31a〜34a,41a〜44aと、を備えた車両の下部車体構造であって、渦流発生手段31〜34,41〜44で発生させた渦流を渦流誘導手段31a〜34a,41a〜44aで車体前方側から車体後方側へと誘導し、車体11前後方向に所定回転方向の渦流束39,49を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体を路面に押付けるためのダウンフォースを発生させることができる車両の下部車体構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の下部車体構造として、車体下部に空気の流れを整える整流板や整流部材を配置してダウンフォースを発生させる試みがなされている。
実用のダウンフォースを発生させる方法としては、車両にフロントスポイラ、サイドスポイラやリヤスポイラを取付けるようにすれば実用上十分であった。
【0003】
例えば、車両の下部車体構造として、車両のフロント下部に渦流を発生させる渦流発生部材を設けたものや、車両の下部に且つ車両の重心近傍に空気の流れを整える整流部材を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実公平1−15577号公報(第3頁、第3−4図)
【特許文献2】特開2004−306935公報(第8頁、図1−2)
【0004】
図6(a),(b)は従来の基本構成を説明する図であり、(a)に示すように、車両の下部車体構造200は、車両のフロント下部201に渦流を発生させる渦流発生部材202,202を略V字に設けたものであり、(b)に示すように、走行時では矢印A,Aのように前方の空気が渦流発生部材202,202の斜面203,203を乗り越える際に、渦流発生部材202,202の外側及び内側の圧力差で渦流B,Bを発生する。渦流B,Bの発生により渦流発生部材202,202の後方に負圧域が形成され、(a)に示すように、矢印Cの如く車体204にダウンフォースを生じさせるものである。
【0005】
図7(a),(b)は従来の他の基本構成を説明する図であり、(a)に示すように、車両の下部車体構造210は、車両の床下211に且つ車両の重心213を左右に挟んで下方に垂下させた整流部材212,212を設け、これらの整流部材212,212の後方且つ車体214の中央付近に、(b)に示すように、負圧領域215を設けて車体214にダウンフォースを発生させるものである。
【0006】
しかし、図6に示すの車両の下部車体構造200では、渦流発生部材202,202をフロント下部201に設けただけのものであり、ダウンフォースを発生させて揚力低減効果の作用範囲が車両の前部に限定されるということがあった。また、渦流発生部材202,202を略V字に設けたものであり、ダウンフォースを発生させるために車体幅方向に空気流が膨らみ、車両の走行抵抗が増大するという問題があった。
【0007】
また、図7に示す車両の下部車体構造210では、整流部材212,212の後方且つ車体214の中央付近に負圧領域215を設けるものなので、空気流に乱れを生じさせる懸念があり、十分な整流作用を得られないこともある。このため、車両の走行抵抗の増大を招くという欠点があった。
【0008】
すなわち、車体全体に渡ってより強いダウンフォースを得ることができるとともに、車両の走行抵抗の低減を図ることができる車両の下部車体構造が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、車体の一部にしかダウンフォースを発生できない点を解決し、車体全体に渡ってより強いダウンフォースを得ることができる車両の下部車体構造を提供するとともに、車両の走行抵抗の増大を招く点を解決し、車両の走行抵抗の低減を図ることができる車両の下部車体構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、車体下部に設けることで所定回転方向に渦流を発生させる渦流発生手段と、この渦流発生手段に設けることで渦流発生手段により発生する渦流を誘導する渦流誘導手段と、を備えた車両の下部車体構造であって、渦流発生手段で発生させた渦流を渦流誘導手段で車体前方側から車体後方側へと誘導し、所定回転方向の渦流束を形成することを特徴とする。
【0011】
例えば、車体全体に渡ってより強いダウンフォースを得ることができるとすれば、走行安定性をより増すことができるので好都合であり、この際、車両の走行抵抗の低減を図ることができるとすれば、走行安定性の向上と燃費性能の向上とが両立でき、より好ましい。
そこで、渦流発生手段で発生する渦流を渦流誘導手段で車体前方側から車体後方側へと誘導して、所定回転方向の渦流束を形成させ、車体全体により強いダウンフォースを得るようにした。
【0012】
請求項2に係る発明は、渦流発生手段が、車体下部の左右に配置した左右少なくとも一対の突起であり、渦流誘導手段が、突起に設けた折れ曲がり部からなることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、左右の突起を、車体の前後方向に複数列配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、車体下部に設けることで所定回転方向に渦流を発生させる渦流発生手段と、この渦流発生手段に設けることで渦流発生手段により発生する渦流を誘導する渦流誘導手段と、を備え、渦流発生手段で発生させた渦流を渦流誘導手段で車体前方側から車体後方側へと誘導し、所定回転方向の渦流束を形成したので、車体全体に渡ってより強いダウンフォースを得ることができる。この結果、走行安定性をより増すことができるという利点がある。
【0015】
請求項2に係る発明では、渦流発生手段が、車体下部の左右に配置した左右少なくとも一対の突起であり、渦流誘導手段が、突起に設けた折れ曲がり部から構成したので、渦流を発生させて車体前方側から車体後方側へと渦流を誘導する仕組みを簡素に構成することができる。この結果、ダウンフォースを発生させ走行安定性の向上を図ることのできる車両の車体下部構造を比較的低コストで実現することができるという利点がある。
また、折れ曲がり部の位置を適宜設定することにより渦流の形成方法を制御することができ、車両の形態に応じてその効果を容易に調整することが可能である。
【0016】
請求項3に係る発明では、左右の突起を、車体の前後方向に複数列配置したので、車体全体に渡って渦流を発生させることができる。この結果、車体全体に渡ってダウンフォースを発生させることができるという利点がある。
また、突起の前後方向の位置の調整により車体前後方向に作用するダウンフォースの前後配分を容易に調整することが可能である。また、左右の突起の折れ曲がり部同士の距離を調整することで、車幅方向に広がる空気流の制御をすることができ、車両の走行抵抗の低減を図ることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る下部車体構造を採用した車両の斜視図であり、10は車両、11は車体、12はフロントバンパ、13はラジエータグリル、14フロントフェンダ、15,15は前照灯、16,16フロントピラー、17はフロントガラス、18は前ドア、19は後ドア、21はルーフ、22は前輪、23は後輪、24,24はドアミラー、25はトランクリッド、26はリヤバンパ、27はボンネット、28は車体下部としての床下である。
【0018】
本発明に係る車両の下部車体構造30は、床下28の両側に、渦流を発生させる複数の左の渦流発生手段31〜34及び右の渦流発生手段41〜44を設け、これらの渦流発生手段31〜34,41〜44で所定回転方向の渦流束を形成し、これらの渦流束で車体11にダウンフォースを作用させ、車体11に作用する揚力の低減を図るものである。
【0019】
揚力低減の原理について説明すると、後述する図4に示すように、渦流発生手段31〜34,41〜44の進行方向前面側から後面へと通過する際に、空気流が渦流となって車体11後方へと導かれる。このとき、渦流発生手段31〜34,41〜44が左右一対に平面視略ハ字状に形成されているため、車体11後方側から見て、車体11左側に反時計回りの渦流束39と、車体11右側に時計回りの渦流束49が一対となって形成される。これらの渦流束39,49は、渦流誘導手段31a〜34a,41a〜44aにより連続的に形成されながら車体後方に誘導され、これら一対の渦流発生手段31〜34,41〜44で発生する渦流によって車体11下部に負圧域が形成されるとともに、渦流束39,49によって生じる流体力が車体11に作用して車両10にダウンフォースを作用させることができる。くわえて、渦流束39,49の作用により車体11下部の空気流を改善することで、車両10に発生する(加わる)抗力も低減される。
【0020】
図2は本発明に係る下部車体構造を採用した車両の底面図であり、Frは前、Rrは後、Lは左側、Rは右側を示す。
車両の下部車体構造30は、床下28の左側に配列することで所定回転方向に渦流を発生させる渦流発生手段(突起)31〜34と、これらの渦流発生手段(突起)31〜34にそれぞれに設けることで、渦流発生手段31〜34により発生する渦流を誘導する渦流誘導手段(折れ曲がり部)31a〜34aと、床下28の右側に配列することで所定回転方向に渦流を発生させる渦流発生手段(突起)41〜44と、これらの渦流発生手段(突起)41〜44にそれぞれに設けることで、渦流発生手段31〜34により発生する渦流を誘導する渦流誘導手段(折れ曲がり部)41a〜44aと、からなる。
【0021】
左右の渦流発生手段(突起)31,41は、車体中心に関して対称形状であって、左右に平面視で略ハの字に配置するとともに、互いに車体11の前後方向位置を同一にして配置したものである。
【0022】
また、左右の渦流発生手段(突起)32,42、左右の渦流発生手段(突起)33,43、左右の渦流発生手段(突起)34,44同士も、車体中心に関して対称形状であって、左右に平面視で略ハの字に配置するとともに、互いに車体11の前後方向位置を同一にして配置したものである。
【0023】
渦流誘導手段(折れ曲がり部)31a,41aは、互いに車体11の前後方向位置を同一にして配置したものである。また、渦流誘導手段(折れ曲がり部)32a,42a、渦流誘導手段(折れ曲がり部)33a,43a、渦流誘導手段(折れ曲がり部)34a,44a同士も、互いに車体11の前後方向位置を同一にして配置したものである。
【0024】
渦流誘導手段(折れ曲がり部)31a,41aの車幅方向の距離をL1、渦流誘導手段(折れ曲がり部)32a,42aの車幅方向の距離をL2、渦流誘導手段(折れ曲がり部)33a,43aの車幅方向の距離をL3、渦流誘導手段(折れ曲がり部)34a,44aの車幅方向の距離をL4、とするときに、渦流誘導手段(折れ曲がり部)31a〜34a,41a〜44aを、L1<L2<L3<L4の関係に設定した。
【0025】
図3は本発明に係る車両の下部車体構造の渦流発生手段の斜視図であり、右の渦流発生手段(突起)41の立体形状を示す。
右の渦流発生手段(突起)41は、矩形の側面形状を有するとともに、平面視で略へ字状に形成するとともにへ字状の折れ曲がり部(頂部)41aを車体後方に向けて配置するものである。図中、45は前壁面、46は後壁面、47は前面壁45の下端と後壁面46の下端とを接続するように形成した下壁面を示す。
【0026】
前壁面45から後壁面46へ空気流が流れる場合に前壁面45では圧力が上昇し、後壁面46では圧力が減少して圧力差を生じ、この圧力差によって渦流を発生することができる。
【0027】
また、渦流発生手段(突起)41に、ヘ形状の折れ曲がり部(頂部)41aを形成することで、頂部41aを通過する空気流と、頂部41aの左右それぞれの壁面を通過する空気流とに流速差が生ずる。この結果、渦流束は特定の方向に形成されやすくなり、図4(a)に示すように、局所的に発生する渦流が合流し、左右一対の長い渦流束39,49を形成することができる。
【0028】
なお、図2に示す左の渦流発生手段(突起)31〜34は、右の渦流発生手段(突起)41に車体中心に関して略対称に形成したものである。また、図2に示す右の渦流発生手段(突起)42〜44は、右の渦流発生手段(突起)41に略同一形状である。
【0029】
図4(a),(b)は本発明に係る車両の下部車体構造の渦流の発生状況を示す説明図である。
(a)において、車両の下部車体構造30は、車体下部(床下)28に設けることで所定回転方向に渦流を発生させる渦流発生手段31〜34,41〜44と、渦流発生手段31〜34,41〜44に設けることで渦流発生手段31〜34,41〜44により発生する渦流を誘導する渦流誘導手段31a〜34a,41a〜44aと、を備えた車両の下部車体構造であって、渦流発生手段31〜34,41〜44で発生させた渦流を渦流誘導手段31a〜34a,41a〜44aで車体前方側から車体後方側へと誘導し、車体11前後方向に所定回転方向の渦流束39,49を形成するものと言える。
【0030】
例えば、車体全体に渡ってより強いダウンフォースを得ることができるとすれば、走行安定性をより増すことができるので好都合であり、この際、車両の走行抵抗の低減を図ることができるとすれば、走行安定性の向上と燃費性能の向上とが両立でき、より好ましい。
そこで、渦流発生手段31〜34,41〜44で渦流を生成するとともに、生成する渦流を渦流誘導手段31a〜34a,41a〜44aで車体11前方側から車体11後方側へと誘導して、所定回転方向の渦流束39,49を形成させ、車体11全体に渡ってより強いダウンフォースを得るようにした。
【0031】
すなわち、車体下部(床下)28に設けることで所定回転方向に渦流を発生させる渦流発生手段31〜34,41〜44と、渦流発生手段31〜34,41〜44に設けることで渦流発生手段31〜34,41〜44により発生する渦流を誘導する渦流誘導手段31a〜34a,41a〜44aと、を備え、渦流発生手段31〜34,41〜44で発生させた渦流を渦流誘導手段31a〜34a,41a〜44aで車体11前方側から車体11後方側へと誘導して所定回転方向の渦流束39,49を形成させることで、車体11全体に渡ってより強いダウンフォースを得ることができる。この結果、走行安定性をより増すことができる。
【0032】
車両の下部車体構造30は、渦流発生手段31,41が、車体11下部の左右に平面視で略ハの字に配置した左右の突起とするものであり、渦流誘導手段31a,41aが、突起31,41を平面視で略へ字状に形成するとともにへ字状の頂部を車体11後方に向けて配置した折れ曲がり部とするものであるとも言える。
【0033】
渦流発生手段31,41が、車体11下部の左右に平面視で略ハの字に配置した左右の突起であり、渦流誘導手段31a,41aが、突起31,41を平面視で略へ字状に形成するとともにへ字状の頂部を車体11後方に向けて配置した折れ曲がり部とすることで、渦流を発生させて車体11前方側から車体11後方側へと渦流を誘導する仕組みを簡素に構成することができる。この結果、ダウンフォースを発生させ走行安定性の向上を図ることのできる車両の車体下部構造30を比較的低コストで実現することができる。
また、折れ曲がり部31a,41aの位置を適宜設定することにより渦流束39,49の形成方法を制御することができ、車両10(図1参照)の形態に応じてその効果を容易に調整することが可能である。また、左右の突起31〜34,41〜44の折れ曲がり部31a〜34a,41a〜44a同士の距離を調整することで、車幅方向に広がる空気流の制御をすることができ、車両10の走行抵抗の低減を図ることができる。
【0034】
車両の下部車体構造30は、左右の突起31〜34,41〜44を、車体11の前後方向に複数列配置したものとも言える。
左右の突起31〜34,41〜44を、車体11の前後方向に複数列配置することで、車体11全体に渡って渦流を発生させることができる。この結果、車体11全体に渡って均等にダウンフォースを発生させることができる。
また、突起31〜34,41〜44の前後方向の位置の調整により車体前後方向に作用するダウンフォースの前後配分を容易に調整することが可能である。
【0035】
さらに、車両の下部車体構造30は、左右の突起31〜34,41〜44の折れ曲がり部31a〜34a,41a〜44a同士の距離L1〜L4を、車体11後方に向かうに連れて幅広に設定することで、左右の突起31〜34,41〜44で発生させる渦流を車体11前方よりも車体11後方に向けて増大させるようにしたものとも言える。
【0036】
左右の突起31〜34,41〜44の折れ曲がり部31a〜34a,41a〜44a同士の距離L1〜L4を、車体11後方に向かうに連れて幅広に設定することで、左右の突起31〜34,41〜44で発生させる渦流を車体11前方よりも車体11後方に向けて増大させることができる。この結果、車幅方向に広がる空気流の絞込みをすることができ、車両の走行抵抗の低減を図ることができる。
【0037】
(b)において、右の渦流発生手段(突起)41における渦流発生のメカニズムを示す。例えば、矢印a1〜a4の如く空気流が流れる場合に、渦流発生手段41の前面壁45と後面壁46では圧力差が生じ、空気流が渦流発生手段(突起)41を超えるときに渦流を発生させることができる。
【0038】
図5(a),(b)は本発明に係る車両の下部車体構造の空気流を説明する比較説明図であり、(a)は比較例の車両の下部車体構造100を示し、(b)は実施例の車両の下部車体構造30を示す。
(a)において、車両の下部車体構造100は、車両下部(床下)102に、渦流を発生させる渦流発生手段や渦流を誘導する渦流誘導手段などのない下部車体構造であり、
空気流が矢印b1,b1若しくは矢印b2,b2の如く車体101の両側に膨らみ、車両(車体101)の走行抵抗の増加を招く。
【0039】
(b)において、車両の下部車体構造30は、車体下部(床下)28に設けることで所定回転方向に渦流を発生させる渦流発生手段31〜34,41〜44と、渦流発生手段31〜34,41〜44に設けることで渦流発生手段31〜34,41〜44により発生する渦流を誘導する渦流誘導手段31a〜34a,41a〜44aと、を備え、渦流発生手段31〜34,41〜44で発生させた渦流を渦流誘導手段31a〜34a,41a〜44aで車体11前方側から車体11後方側へと誘導するようにしたので、渦流束39,49で車体11の両側の空気流c1,c2を車体11側に引込むことができる。この結果、車体11の走行抵抗の低減を図ることができる。
【0040】
尚、本発明に係る車両の下部車体構造は、図2に示すように、床下28の左側に4個の渦流発生手段(突起)31〜34を配列し、床下28の右側に4個の渦流発生手段(突起)41〜44を配列したが、これに限るものではなく、床下28の左右にそれぞれ2個ずつ、3個ずつ、若しくは5個ずつ以上の渦流発生手段を設けたものであってもよい。
【0041】
本発明に係る車両の下部車体構造は、図3に示すように、矩形断面の渦流発生手段(突起)41を形成したが、これに限るものではなく、下壁面47は曲面であってもよく、車体中心から車体幅方向に向けた傾斜した勾配面であってもよい。
【0042】
本発明に係る車両の下部車体構造は、図3に示すように、渦流誘導手段は、突起31に設けた折れ曲がり部31aであったが、これに限るものではなく、前壁面45、後壁面46及び下壁面47はそれぞれ曲面であってもよく、車体前後方向及び/又は車体幅方向に所定の傾斜を適宜与えてもよい。
さらに、渦流発生手段は別体であっても車体下部の一部を用いて一体形成するものであってもよい。
【0043】
本発明に係る車両の下部車体構造は、図3に示すように、渦流発生手段31,41が、車体11下部の左右に平面視で略ハの字に配置した左右の突起であったが、これに限るものではなく、車体下部に配置した左右少なくとも一対の突起であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る車両の下部車体構造は、スポーツカーや高級セダンなどの車両に採用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る下部車体構造を採用した車両の斜視図である。
【図2】本発明に係る下部車体構造を採用した車両の底面図である。
【図3】本発明に係る車両の下部車体構造の渦流発生手段の斜視図である。
【図4】本発明に係る車両の下部車体構造の渦流の発生状況を示す説明図である。
【図5】本発明に係る車両の下部車体構造の空気流を説明する比較説明図である。
【図6】従来の基本構成を説明する図である。
【図7】従来の他の基本構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0046】
10…車両、11…車体、28…車体下部(床下)、30…車両の下部車体構造、31〜34,41〜44…渦流発生手段(突起)、31a〜34a,41a〜44a…渦流誘導手段(折れ曲がり部)、39,49…渦流束。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体下部に設けることで所定回転方向に渦流を発生させる渦流発生手段と、この渦流発生手段に設けることで前記渦流発生手段により発生する渦流を誘導する渦流誘導手段と、を備えた車両の下部車体構造であって、
前記渦流発生手段で発生させた渦流を前記渦流誘導手段で車体前方側から車体後方側へと誘導し、所定回転方向の渦流束を形成することを特徴とする車両の下部車体構造。
【請求項2】
前記渦流発生手段は、前記車体下部の左右に配置した左右少なくとも一対の突起であり、前記渦流誘導手段は、前記突起に設けた折れ曲がり部からなることを特徴とする請求項1記載の車両の下部構造。
【請求項3】
前記左右の突起を、前記車体の前後方向に複数列配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両の下部構造。
造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−62681(P2007−62681A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254812(P2005−254812)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】