車両の無線通信システム及びタイヤ空気圧監視システム
【課題】構造の簡素化を図りつつも、無線信号が複数の車輪位置にそれぞれ位置する送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することのできるタイヤ空気圧監視システムを提供する。
【解決手段】このタイヤ空気圧監視システムでは、送信アンテナ10a,11aから送信されたリクエスト信号が各車輪W1〜W4の送信機T1〜T4によって受信されると、各送信機T1〜T4からレスポンス信号が送信される。ここでは、送信アンテナ10a,11aを右車輪位置P2,P4よりも左車輪位置P1,P3の近くに配置する。また、送信機T1〜T4では、リクエスト信号の受信信号強度に応じたフレーム数だけ識別コードを含むリクエスト信号を送信する。さらに、監視装置1では、レスポンス信号の受信の有無に基づき同レスポンス信号が各車輪位置P1〜P4のいずれの送信機から送信された信号であるかを判別する。
【解決手段】このタイヤ空気圧監視システムでは、送信アンテナ10a,11aから送信されたリクエスト信号が各車輪W1〜W4の送信機T1〜T4によって受信されると、各送信機T1〜T4からレスポンス信号が送信される。ここでは、送信アンテナ10a,11aを右車輪位置P2,P4よりも左車輪位置P1,P3の近くに配置する。また、送信機T1〜T4では、リクエスト信号の受信信号強度に応じたフレーム数だけ識別コードを含むリクエスト信号を送信する。さらに、監視装置1では、レスポンス信号の受信の有無に基づき同レスポンス信号が各車輪位置P1〜P4のいずれの送信機から送信された信号であるかを判別する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた通信機と車輪に設けられた送信機との間で無線通信を行う車両の無線通信システム、及び同無線通信システムを利用したタイヤ空気圧監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)としては、例えば特許文献1に記載のシステムが知られている。図13に示すように、この特許文献1に記載のタイヤ空気圧監視システムでは、車両の各車輪位置P1〜P4の近傍にイニシエータ30〜33がそれぞれ設けられており、このイニシエータ30〜33の送信アンテナ30a〜33aから各車輪位置P1〜P4に向けてリクエスト信号がそれぞれ送信される。また、各車輪位置P1〜P4に装着された車輪W1〜W4には、リクエスト信号の受信に基づきタイヤの空気圧を検出するとともに検出された空気圧の情報を含むレスポンス信号を送信する送信機T1〜T4がそれぞれ設けられている。すなわち、送信アンテナ30a〜33aのいずれかからリクエスト信号が送信されると、リクエスト信号の送信を行った送信アンテナに対応する送信機からレスポンス信号が送信される。そして、各送信機T1〜T4から送信されたレスポンス信号は、車両に設けられた受信部34を介して受信されて、監視制御部35に入力される。監視制御部35は、例えば送信アンテナ30aからリクエスト信号を送信した直後にレスポンス信号を受信した場合、同レスポンス信号が送信アンテナ30aに対応する車輪位置、すなわち車輪位置P1に位置する送信機から送信された信号であると判別する。そしてこの場合、同レスポンス信号に含まれている空気圧の情報が車輪位置P1のタイヤの空気圧を示すものであると判断する。監視制御部35は、このような判断手法に基づき各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧を監視しつつ、いずれかの車輪のタイヤの空気圧に異常を検出した場合には、その旨の警告表示を車両に設けられた表示部36により行う。
【0003】
このような構成によれば、ユーザは表示部36の警告表示により各車輪位置P1〜P4のいずれにタイヤの空気圧の異常が発生したかを知ることができるため、異常が発生したタイヤに対して迅速且つ適切な対策を施すことができる。このため、車両の安全性を的確に確保することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−266314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、各車輪W1〜W4に対して送信アンテナ30a〜33aをそれぞれ設けることとすれば、レスポンス信号が各車輪位置P1〜P4に位置する送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することができる。ただしこのような構成の場合、車輪の数と同数の送信アンテナが必要となるため、構造の複雑化やコストの増大などを招くおそれがある。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造の簡素化を図りつつも、無線信号が複数の車輪位置にそれぞれ位置する送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することのできる車両の無線通信システム、及び同無線通信システムを利用したタイヤ空気圧監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の第1車輪位置に装着された車輪及び第2車輪位置に装着された車輪にそれぞれ設けられて、リクエスト信号の受信に基づきレスポンス信号を送信するとともに、前記リクエスト信号の受信信号強度に基づき前記レスポンス信号の送信態様を変更する送信機と、前記第1車輪位置よりも第2車輪位置の近くに配置された送信アンテナを有して、該送信アンテナから前記第1車輪位置及び前記第2車輪位置に向けてリクエスト信号を送信するとともに、前記レスポンス信号を受信した際にその受信態様に基づいて同レスポンス信号が前記第1車輪位置に位置する送信機及び前記第2車輪位置に位置する送信機のいずれから送信された信号であるかを判別する通信機とを備えることを要旨とする。
【0008】
同システムによれば、第1車輪位置に位置する送信機よりも、第2車輪位置に位置する送信機の方が、送信アンテナまでの距離が近い。このため、送信アンテナからリクエスト信号が送信されたとすると、第1車輪位置の送信機よりも、第2車輪位置の送信機の方が、リクエスト信号の受信信号強度が強くなる。したがって、第1車輪位置の送信機によるレスポンス信号の送信態様と、第2車輪位置の送信機によるレスポンス信号の送信態様とが互いに異なったものとなる。よって、各送信機から送信されたレスポンス信号が通信機によって受信されると、通信機では、その受信態様の違いから、同レスポンス信号が第1車輪位置の送信機及び第2車輪位置の送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することができる。また、こうした判別を、従来のように第1車輪位置及び第2車輪位置に送信アンテナをそれぞれ配置することなく、一つの送信アンテナを設けるだけで行うことができるため、構造が簡素化されるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両の無線通信システムにおいて、前記レスポンス信号の送信態様の変更が、同レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を変更することで行われることを要旨とする。
【0010】
同システムによれば、通信機からリクエスト信号が送信されたとすると、第1車輪位置の送信機及び第2車輪位置の送信機では、基本的に、リクエスト信号がほぼ同時に受信される。よって、各送信機からほぼ同時にレスポンス信号が送信されるため、それぞれの送信機から送信されたレスポンス信号が互いに混信する。したがって、通信機では、各送信機から送信されたレスポンス信号のうち、フレーム数の多いレスポンス信号しか受信することができない。このため、通信機により受信されたレスポンス信号は、フレーム数の多いレスポンス信号を送信する送信機から送信された信号であると判別することができる。よって、例えばリクエスト信号の受信信号強度の強い送信機がフレーム数の多いレスポンス信号を送信するように予め定めておけば、通信機では、レスポンス信号を受信したとき、同レスポンス信号が第2車輪位置の送信機から送信された信号であると容易に判別することができる。これにより、レスポンス信号が第1車輪位置の送信機及び第2車輪位置の送信機のいずれから送信された信号であるかを容易に判別することができるようになる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両の無線通信システムにおいて、前記リクエスト信号として、その受信信号強度が所定の閾値未満であることを条件に前記レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を第1フレーム数に設定して且つ、その受信信号強度が前記所定の閾値以上であることを条件に前記レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を前記第1フレーム数よりも多い第2フレーム数に設定する指令を含む第1リクエスト信号と、その受信信号強度が前記所定の閾値未満であることを条件に前記レスポンス信号に含まれているフレーム数を前記第2フレーム数に設定して且つ、その受信信号強度が前記所定の閾値以上であることを条件に前記レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を前記第1フレーム数に設定する指令を含む第2リクエスト信号とがそれぞれ用いられることを要旨とする。
【0012】
上述のように、レスポンス信号の送信態様を変更するにあたり、レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を変更することが有効であるが、このような方法を採用すると次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、通信機では、第1車輪位置の送信機及び第2車輪位置の送信機からそれぞれ送信されるレスポンス信号のうち、フレーム数の多いレスポンス信号しか受信することができないため、各送信機から送信される特定のデータのうちのいずれか一方しか取得することができない。この点、上記システムによれば、送信アンテナから第1リクエスト信号が送信された場合には、同信号の受信信号強度の強い送信機、すなわち第2車輪位置の送信機からフレーム数の多いレスポンス信号が送信される。このため、通信機では、第2車輪位置の送信機から送信される特定のデータを取得することができるとともに、同特定のデータが第2車輪位置の送信機から送信された信号であると容易に判別することもできる。一方、送信アンテナから第2リクエスト信号が送信された場合には、同信号の受信信号強度の弱い送信機、すなわち第1車輪位置の送信機からフレーム数の多いレスポンス信号が送信される。このため、通信機では、第1車輪位置の送信機から送信される特定のデータを取得することができるとともに、同特定のデータが第1車輪位置の送信機から送信されたデータであると容易に判別することができる。これにより、各送信機と通信機との間で特定のデータを適切に授受することができるようになる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の車両の無線通信システムにおいて、前記通信機は、前記レスポンス信号が前記第1車輪位置に装着された送信機及び前記第2車輪位置に装着された送信機のいずれから送信されたかの判別を、前記送信アンテナから前記リクエスト信号を送信した時点から一定時間が経過した後に受信されるレスポンス信号に基づいて行うことを要旨とする。
【0014】
上述のように、例えば送信アンテナから第1リクエスト信号が送信されたとき、第1車輪位置の送信機及び第2車輪位置の送信機からほぼ同時にリクエスト信号が送信されれば、通信機では、第2車輪位置の送信機から送信されたレスポンス信号しか受信することができない。このため、通信機では、レスポンス信号に含まれている特定のデータが第2車輪位置の送信機から送信されたデータであると容易に判断することができることも上述の通りである。ただし、第1リクエスト信号に対する各送信機のレスポンスにばらつきなどが生じると、第2車輪位置の送信機からレスポンス信号が送信されるよりも前に第1車輪位置の送信機からレスポンス信号が送信されるような状況も発生し得る。このような状況が生じると、通信機では、第1車輪位置の送信機から送信されたレスポンス信号を受信することが可能であるため、同レスポンス信号に含まれている特定のデータを第2車輪位置の送信機から送信されたデータであると誤って判断するおそれがある。この点、上記システムによれば、仮にこのような状況が生じたとしても、通信機は、リクエスト信号を送信した時点から所定時間が経過するまでの期間、レスポンス信号を受信したとしても、同レスポンス信号が各送信機のいずれから送信された信号であるかの判別を行わない。これにより、上述した誤判断を回避することができるため、各送信機と通信機との間で特定のデータをより適切に授受することができるようになる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3に記載の車両の無線通信システムにおいて、前記通信機は、前記レスポンス信号が前記第1車輪位置に装着された送信機及び前記第2車輪位置に装着された送信機のいずれから送信されたかの判別を、前記特定のデータを複数フレーム含むレスポンス信号に基づいて行うことを要旨とする。
【0016】
第1及び第2リクエスト信号に対する各送信機のレスポンスのばらつきに対しては、同システムも有効である。すなわち、上述のように、例えば送信アンテナから第1リクエスト信号が送信された際に、第2車輪位置の送信機からレスポンス信号が送信されるよりも前に第1車輪位置の送信機からレスポンス信号が送信されたとする。このとき、第1車輪位置の送信機から送信されるレスポンス信号は、第2車輪位置の送信機から送信されるレスポンス信号と混信するため、通信機では、第1車輪位置の送信機から送信されるレスポンス信号に含まれている特定のデータを例えば1フレームしか受信することができない。そして、上記システムによれば、通信機は、特定のデータを1フレームしか含まないレスポンス信号を受信したとき、同レスポンス信号が各送信機のいずれから送信されたかの判別を行わない。これにより、上述した誤判断を回避することができるため、各送信機と通信機との間で特定のデータをより適切に授受することができるようになる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の車両の無線通信システムにおいて、前記レスポンス信号の送信態様の変更が、その送信周期を変更することで行われることを要旨とする。
【0018】
同システムによれば、送信アンテナからリクエスト信号が送信されたとすると、第1車輪位置の送信機及び第2車輪位置の送信機は、レスポンス信号を互いに異なった周期でそれぞれ送信する。このため、通信機により受信されるレスポンス信号の受信回数をカウントするなどすれば、レスポンス信号が第1車輪位置の送信機、及び第2車輪位置の送信機のいずれから送信された信号であるかを容易、且つ的確に判別することができるようになる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、車両の各車輪位置に装着された車輪にそれぞれ設けられてタイヤの空気圧を検出するとともに検出されたタイヤの空気圧の情報及び識別コードを含む検出信号を送信する送信機と、前記各車輪位置及び前記識別コードの関係を示す登録情報を保持する監視装置との間で前記検出信号の授受を行い、前記監視装置は、前記検出信号に含まれている識別コードと前記登録情報に登録された識別コードとの照合を通じて前記検出信号に含まれている空気圧の情報が前記各車輪位置のいずれのタイヤの空気圧を示すものであるかを判断するとともに、その判断結果、及び前記検出信号に含まれている空気圧の情報に基づき前記各車輪位置のタイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記送信機として、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両の無線通信システムの送信機が用いられるとともに、前記監視装置として、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両の無線通信システムの通信機が用いられて且つ、前記レスポンス信号として、前記識別コードを含む信号が用いられ、前記監視装置は、前記レスポンス信号が前記第1車輪位置の送信機及び前記第2車輪位置の送信機のいずれから送信された信号であるかを判別したとき、その判別された車輪位置に関連付けするかたちで前記レスポンス信号に含まれている識別コードを前記登録情報に登録することを要旨とする。
【0020】
同システムによれば、例えば右前輪位置及び左前輪位置に対して1つの送信アンテナを、また、右後輪位置及び左後輪位置に対して1つの送信アンテナをそれぞれ設けることで、全ての車輪位置と送信機の識別コードとを関連付けて登録情報に登録することができる。これにより、従来のように送信アンテナを各車輪位置にそれぞれ設ける必要がないため、タイヤ空気圧監視システムとしての構造の簡素化を図ることができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる車両の無線通信システム及びタイヤ空気圧監視システムによれば、構造の簡素化を図りつつも、無線信号が複数の車輪位置にそれぞれ位置する送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの第1の実施形態についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図2】同第1の実施形態のタイヤ空気圧監視システムについて監視装置のメモリに記憶されている登録情報の内容を模式的に示す図。
【図3】同第1の実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてタイヤローテーションが行われた後の車輪の位置を示すブロック図。
【図4】同第1の実施形態のタイヤ空気圧監視システムによる第1送信アンテナから第1及び第2リクエスト信号を送信する処理の手順を示すフローチャート。
【図5】(a)及び(b)は、第1及び第2リクエスト信号に含まれている指令を示す図。
【図6】(a)〜(d)は、同第1の実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてその動作例を示すタイミングチャート。
【図7】(a)〜(f)は、本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの第2の実施形態についてその動作例を示すタイミングチャート。
【図8】同第2の実施形態のタイヤ空気圧監視システムによる第1送信アンテナから第1及び第2リクエスト信号を送信する処理の手順を示すフローチャート。
【図9】同第2の実施形態の変形例による第1送信アンテナから第1及び第2リクエスト信号を送信する処理の手順を示すフローチャート。
【図10】本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの第3の実施形態による第1送信アンテナから第3リクエスト信号を送信する処理の手順を示すフローチャート。
【図11】第3リクエスト信号に含まれている指令を示す図。
【図12】(a)〜(d)は、同第3の実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてその動作例を示すタイミングチャート。
【図13】従来のタイヤ空気圧監視システムについてそのシステム構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる車両の無線通信システムを利用したタイヤ空気圧監視システムの第1の実施形態について図1〜図6を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムの概要について説明する。なお、図1において、P1は車両の左前輪位置を、P2は車両の右前輪位置を、P3は車両の左後輪位置を、P4は車両の右後輪位置をそれぞれ示している。また、W1は左前輪位置P1に装着された車輪を、W2は右前輪位置P2に装着された車輪を、W3は左後輪位置P3に装着された車輪を、W4は右後輪位置P4に装着された車輪をそれぞれ示している。
【0024】
図1に示すように、このタイヤ空気圧監視システムでは、各車輪W1〜W4のエアバルブの内部に送信機T1〜T4がそれぞれ設けられている。そして、これら送信機T1〜T4と、車両に設けられた通信機としての監視装置1との間で無線通信が行われることで各車輪位置P1〜P4のタイヤの空気圧が監視される。
【0025】
送信機T1は、図1の二点鎖線で囲まれた領域内に示すように、監視装置1から送信される無線信号を受信する受信部20、及び監視装置1に対して無線信号を送信する送信部21を有している。また、送信機T1は、受信部20を介して受信した無線信号の信号強度を検出するRSSI(Received Signal Strength Indication)回路22、及び車輪W1のタイヤの空気圧を検出する空気圧センサ23を有している。そして、RSSI回路22及び空気圧センサ23の出力はセンサ制御部24に取り込まれている。センサ制御部24はマイクロコンピュータを中心に構成されたものであり、送信機T1固有の識別コードID1が記憶された不揮発性のメモリ24aなどを有している。このセンサ制御部24は、例えば空気圧センサ23を通じてタイヤの空気圧を周期的に検出するとともに、検出された空気圧の情報及び識別コードID1を含む検出信号を送信部21から所定の周期で送信する処理などを実行する。
【0026】
なお、送信機T2〜T4も送信機T1と同様の構成をそれぞれ有している。ただし、各送信機T2〜T4に搭載された不揮発性のメモリには、各送信機T2〜T4固有の識別コードがそれぞれ記憶されている。すなわち、送信機T2〜T4は、タイヤの空気圧の情報及び識別コードID2〜ID4を含む無線信号を所定の周期でそれぞれ送信する。なお本実施形態では、識別コードID1〜ID4が特定のデータとなる。
【0027】
監視装置1は、無線信号を前輪位置P1,P2にのみ届くように送信する第1イニシエータ10、無線信号を後輪位置P3,P4にのみ届くように送信する第2イニシエータ11、及び送信機T1〜T4から送信される無線信号を受信する受信部12を有している。なお、第1イニシエータ10の送信アンテナ(第1送信アンテナ)10aは右前輪位置P2よりも左前輪位置P1に近い位置に配置されるとともに、第2イニシエータ11の送信アンテナ(第2送信アンテナ)11aは右後輪位置P4よりも左後輪位置P3に近い位置に配置されている。これにより、第1送信アンテナ10aから無線信号が送信されたとすると、右前輪位置P2に位置する送信機T2よりも、左前輪位置P1に位置する送信機T1の方が、無線信号の受信信号強度が強くなる。また、第2送信アンテナ11aから無線信号が送信されたとすると、右後輪位置P4に位置する送信機T4よりも、左後輪位置P3に位置する送信機T3の方が、無線信号の受信信号強度が強くなる。一方、監視装置1は、各車輪位置P1〜P4のいずれかのタイヤの空気圧に異常が生じたときに当該異常が生じた車輪位置を特定することができる態様にて警告表示を行う表示部13、及び車両のユーザによって操作される登録スイッチ14を有している。そして、このような構成からなる監視装置1の駆動が監視制御部15によって統括的に制御されている。監視制御部15はマイクロコンピュータを中心に構成されたものであり、図2に示す情報、すなわち各車輪位置P1〜P4と送信機T1〜T4の識別コードID1〜ID4との関係を示す登録情報が記憶された不揮発性のメモリ15aなどを有している。この監視制御部15は、例えば送信機T1〜T4から送信された検出信号を受信部12を介して受信すると、同検出信号に含まれている識別コードと、上記登録情報に登録された識別コードとの照合を行い、受信した検出信号が各車輪位置P1〜P4のいずれの送信機から送信された信号であるかを判別する。そしてその判別結果に基づいて検出信号に含まれている空気圧の情報が各車輪位置P1〜P4のいずれのタイヤの空気圧を示すものであるかを判断する。具体的には、例えば検出信号に識別コードID1が含まれていた場合には、同検出信号が左前輪位置P1の送信機から送信された信号であると判別する。そしてこの場合、同検出信号に含まれている空気圧の情報が左前輪位置P1のタイヤの空気圧を示すものであると判断する。監視制御部15はこのような方法に基づいて各車輪位置P1〜P4のタイヤの空気圧の情報を取得するとともに、各車輪位置P1〜P4のいずれかのタイヤの空気圧に異常が検出された場合にはその旨の警告表示を表示部13を通じて行う。
【0028】
一方、このようなタイヤ空気圧監視システムでは、例えばタイヤローテーションなどに伴って車輪W1〜W4の位置が図3に示すように変更された場合、各車輪位置P1〜P4と送信機T1〜T4の識別コードID1〜ID4とが適切に対応するように上記登録情報を更新する必要がある。本実施形態では、上記登録スイッチ14をオン操作すると、登録情報が自動的に更新されるようになっている。以下、図4〜図6を参照してその詳細を説明する。はじめに、図4を参照して、上記登録スイッチ14がオン操作された際に監視制御部15を通じて実行される処理について説明する。
【0029】
同図4に示すように、この処理では、はじめに、第1送信アンテナ10aから第1リクエスト信号が送信される(ステップS1)。第1リクエスト信号は、図5(a)に示すように、以下の(a1)及び(a2)に示す指令を含む信号である。
【0030】
(a1)第1リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth1未満である場合には、識別コードのフレーム数が第1フレーム数F1に設定されたレスポンス信号を送信すること。
【0031】
(a2)第1リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth1以上である場合には、識別コードのフレーム数が第2フレーム数F2に設定されたレスポンス信号を送信すること。なお第2フレーム数F2は第1フレーム数F1よりも大きい数に設定されている。
【0032】
ここで閾値Sth1は次のように設定されている。本実施形態では、右前輪位置P2の送信機においてRSSI回路22を通じて検出される第1リクエスト信号の受信信号強度S10と、左前輪位置P1の送信機においてRSSI回路22を通じて検出される第1リクエスト信号の受信信号強度S11との間には、「S10<S11」なる関係が存在する。そして、閾値Sth1は、これらの受信信号強度S10,S11に対して、「S10<Sth1<S11」なる関係を満たすように予めの実験などを通じて設定されている。
【0033】
また、図4に示すように、ステップS1の処理に続いて、レスポンス信号を受信したか否かが監視される(ステップS2)。ここで、レスポンス信号を受信した場合には(ステップS2:YES)、同レスポンス信号は左前輪位置P1の送信機から送信された信号であると判断されて、同レスポンス信号に含まれている識別コードが左前輪位置P1に対応する識別コードとして登録情報に登録される(ステップS3)。また、続くステップS4の処理として、第1送信アンテナ10aから第2リクエスト信号が送信される。第2リクエスト信号は、図5(b)に示すように、以下の(b1)及び(b2)に示す指令を含む信号である。
【0034】
(b1)第2リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth2未満である場合には、識別コードのフレーム数が第2フレーム数F2に設定されたレスポンス信号を送信すること。
【0035】
(b1)第2リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth2以上である場合には、識別コードのフレーム数が第1フレーム数F1に設定されたレスポンス信号を送信すること。
【0036】
なお、閾値Sth2も先の閾値Sth1と同様に設定されている。すなわち、右前輪位置P2の送信機においてRSSI回路22を通じて検出される第2リクエスト信号の受信信号強度をS20と、左前輪位置P1の送信機においてRSSI回路22を通じて検出される第2リクエスト信号の受信信号強度をS21とするとき、「S20<Sth2<S21」なる関係を満たすように設定されている。
【0037】
そして、続くステップS5の処理として、レスポンス信号を受信したか否かが監視される。ここで、レスポンス信号を受信した場合には(ステップS5:YES)、同レスポンス信号は右前輪位置P2の送信機から送信された信号であると判断されて、同レスポンス信号に含まれている識別コードが右前輪位置P2に対応する識別コードとして登録情報に登録される(ステップS6)。
【0038】
なお、監視制御部15は、図4に示す処理を実行した後、第2送信アンテナ11aから第1リクエスト信号及び第2リクエスト信号を送信して、左後輪位置P3及び右後輪位置P4に対応する識別コードを登録する処理も実行する。なお同処理は図4に例示した処理に準じた処理であるため、便宜上、その詳細な説明は割愛する。
【0039】
一方、センサ制御部24は、第1リクエスト信号あるいは第2リクエスト信号を受信部20を介して受信すると、受信した信号の受信信号強度を上記RSSI回路22を通じて検出する。また、センサ制御部24は、RSSI回路22を通じて検出された受信信号強度、及び第1リクエスト信号あるいは第2リクエスト信号に含まれている指令に基づいて、識別コードを含むレスポンス信号を生成するとともに、生成したレスポンス信号を送信部21から送信する。
【0040】
次に、図6を参照して、本実施形態のタイヤ空気圧監視システムの動作例(作用)について説明する。なお、図6では、先の図3に示すように各車輪位置P1〜P4に車輪W1〜W4が装着されている場合について例示している。また、第1フレーム数F1が「2」に、第2フレーム数F2が「5」に設定されているとする。
【0041】
図6(a)に示すように、例えば時刻t1でユーザが登録スイッチ14をオン操作したとすると、その時点で第1送信アンテナ10aから第1リクエスト信号が送信される。これにより、第1リクエスト信号が左前輪位置P1の送信機T3及び右前輪位置P2の送信機T4によってほぼ同時に受信される。このため、各送信機T3,T4は、第1リクエスト信号の受信が完了する時刻t2の時点からほぼ同時にレスポンス信号の送信を開始する。このとき、送信機T3は、図6(c)に示すように、識別コードID3を第2フレーム数F2だけ含むレスポンス信号を送信する一方、送信機T4は、図6(d)に示すように、識別コードID4を第1フレーム数F1だけ含むレスポンス信号を送信する。ところで、各送信機T3,T4からほぼ同時にレスポンス信号が送信された場合、それぞれの信号は互いに混信する。このため、監視装置1の受信部12では、図6(b)に示すように、フレーム数の多いレスポンス信号、すなわち識別コードID3を含むレスポンス信号しか受信することができない。よって、監視装置1では、識別コードID3を含むレスポンス信号の受信が完了する時刻t3の時点で識別コードID3が左前輪位置P1に対応する識別コードとして登録情報に登録される。
【0042】
その後、時刻t4で第1送信アンテナ10aから第2リクエスト信号が送信されると、同信号が左前輪位置P1の送信機T3及び右前輪位置P2の送信機T4によって再び受信される。このため、各送信機T3,T4は、第2リクエスト信号の受信が完了する時刻t5の時点からほぼ同時にレスポンス信号の送信を開始する。このとき、送信機T3は、図6(c)に示すように、識別コードID3を第1フレーム数F1だけ含むレスポンス信号を送信する一方、送信機T4は、図6(d)に示すように、識別コードID4を第2フレーム数F2だけ含むレスポンス信号を送信する。このため、監視装置1の受信部12では、図6(b)に示すように、フレーム数の多いレスポンス信号、すなわち識別コードID4を含むレスポンス信号しか受信することができない。よって、監視装置1では、識別コードID4を含むレスポンス信号の受信が完了する時刻t6の時点で識別コードID4が右前輪位置P2に対応する識別コードとして登録情報に登録される。
【0043】
またその後、第2送信アンテナ11aから第1及び第2リクエスト信号が順次送信されると、送信機T1の識別コードID1が左後輪位置P3の識別コードとして、また送信機T2の識別コードID2が右後輪位置P4の識別コードとして登録情報にそれぞれ登録される。
【0044】
このように、本実施形態によれば、2つの送信アンテナ10a,11aを設けるだけで、レスポンス信号が各車輪位置P1〜P4の送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することができる。よって、従来のように各車輪位置P1〜P4に対してアンテナをそれぞれ設ける必要がないため、構造の簡素化を図ることができるようになる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)送信機T1〜T4では、第1及び第2リクエスト信号の受信信号強度に基づいてレスポンス信号に含まれている識別コードのフレーム数を変更することとした。一方、監視装置1では、右前輪位置P2よりも左前輪位置P1の近くに第1送信アンテナ10aを配置した上で、同第1送信アンテナ10aから第1及び第2リクエスト信号をそれぞれ送信することとした。また、監視装置1では、右後輪位置P4よりも左後輪位置P3の近くに第2送信アンテナ11aを配置した上で、同第2送信アンテナ11aから第1及び第2リクエスト信号をそれぞれ送信することとした。そして監視装置1では、レスポンス信号の受信の有無に基づいて同レスポンス信号が各車輪位置P1〜P4の送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することとした。これにより、同判別が2つの送信アンテナ10a,11aを設けるだけで可能となるため、構造が簡素化されるようになる。
【0046】
(2)第1リクエスト信号として上記(a1)及び(a2)に示す指令を含む信号を用いるとともに、第2リクエスト信号として上記(b1)及び(b2)に示す指令を含む信号を用いることとした。これにより、各車輪位置P1〜P4に位置する送信機の識別コードを監視装置1が適切に取得することができるようになる。
【0047】
<第2の実施形態>
続いて、本発明にかかる無線通信システムを利用したタイヤ空気圧監視システムの第2の実施形態について図7及び図8を参照して説明する。
【0048】
上述した送信機には、消費電力を低減するために、受信部20を間欠的に駆動させるとともに、受信部20を介して無線信号を受信することを条件にこれを継続的に駆動させるようにしたものがある。ここで、このような送信機が上記送信機T1〜T4として採用されている場合、第1及び第2リクエスト信号に対する送信機T1〜T4のレスポンスにばらつきが生じるおそれがある。その詳細を先の図6に対応する図7を参照して説明する。例えば、図7(d),(f)に示すように送信機T3の受信部20及び送信機T4の受信部20が間欠的に駆動しているときに、図7(a)に示すように、上記(a1)及び(a2)に示す指令情報を複数フレーム(本例では5フレーム)含む第1リクエスト信号が第1送信アンテナ10aから送信されたとする。このとき、図7(f)に示すように、送信機T4では、第1リクエスト信号の送信が開始される時刻t10の時点で受信部20が駆動状態であるため、その時点から受信部20が継続的に駆動してリクエスト信号の受信が開始される。よって、送信機T4では、第1リクエスト信号の1フレーム目を受信することができるため、1フレーム目の受信が完了する時刻t12の時点からレスポンス信号の送信が開始される。一方、送信機T3では、時刻t10から所定時間が経過した時刻t11の時点で受信部20が駆動状態となるため、時刻t11以降、受信部20が継続的に駆動してリクエスト信号の受信が開始される。よって、送信機T3では、第1リクエスト信号の1フレーム目を受信することはできないが2フレーム目を受信することができるため、2フレーム目の受信が完了する時刻t13の時点からレスポンス信号の送信が開始される。したがってこのような場合には、送信機T3からレスポンス信号が送信されるよりも前に送信機T4からレスポンス信号が送信されてしまうため、図7(b)に示すように、同レスポンス信号が監視装置1の受信部12によって受信されてしまう。このため、監視装置1では、同レスポンス信号が左前輪位置P1の送信機から送信された信号であると誤判断して、同レスポンス信号に含まれている識別コードID4を左前輪位置P1の識別コードとして登録するおそれがある。
【0049】
そこで、本実施形態では、送信アンテナ10aから第1リクエスト信号を送信した時点から一定時間が経過した後に受信されるレスポンス信号に基づいて登録情報の更新を行うこととしている。以下、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0050】
まず、先の図4に対応する図8を参照して、登録スイッチ14がオン操作された際に監視制御部15を通じて実行される処理について説明する。
同図8に示すように、この処理では、はじめに、上記(a1)及び(a2)に示す指令情報を複数フレーム含む第1リクエスト信号が第1送信アンテナ10aから送信された後(ステップS7)、内蔵するタイマ(図示略)を通じて一定時間Taが経過したか否かが判断される(ステップS8)。そして、一定時間Taが経過した場合には(ステップS8:YES)、上記ステップS2〜S6の処理が実行される。
【0051】
なお、監視制御部15は、第2送信アンテナ11aから第1リクエスト信号及び第2リクエスト信号を送信する処理として、図8に例示した処理に準じた処理を実行する。
次に、先の図7を参照して、本実施形態のタイヤ空気圧監視システムの動作例(作用)について説明する。
【0052】
図7(b)に示すように、監視装置1は、時刻t10から一定時間Taが経過する時刻t14までの期間、登録情報の更新を行わない。したがって、仮に送信機T4から送信されたレスポンス信号が受信部12を介して受信されたとしても、同レスポンス信号に含まれている識別コードID4が左前輪位置P1の識別コードとして登録されることはない。そして、時刻t14以降、送信機T3から送信されたレスポンス信号が受信部12を介して受信されると、同レスポンス信号に含まれている識別コードID3が左前輪位置P1の識別コードとして適切に登録される。
【0053】
以上説明したように、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、上記第1の実施形態による(1)及び(2)の効果と同等、もしくはそれらに準じた効果が得られるとともに、次のような効果が得られるようになる。
【0054】
(3)送信アンテナ10a,11aから第1リクエスト信号をそれぞれ送信したとき、その時点から一定時間が経過した後に受信されるレスポンス信号に基づいて登録情報を更新することとした。これにより、第1リクエスト信号に対する送信機T1〜T4のレスポンスにばらつきが生じたとしても、各車輪位置P1〜P4に対応する識別コードID1〜ID4を登録情報に適切に登録することができるようになる。
【0055】
(変形例)
図9に、第2の実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムの変形例を示す。
図9に示すように、この変形例では、第1リクエスト信号が第1送信アンテナ10aから送信された後(ステップS7)、識別コードを2フレーム以上含むレスポンス信号を受信したか否かが監視される(ステップS11)。そして、識別コードを複数フレーム含むレスポンス信号を受信した場合には(ステップS11:YES)、上記ステップS3〜S6の処理が実行される。このような構成によれば、先の図7(b)に示すように、仮に送信機T4から送信されたレスポンス信号が受信部12を介して受信されたとしても、監視装置1は、識別コードID4を1フレームしか含まないレスポンス信号を受信するだけであるため、同識別コードID4を左前輪位置P1の識別コードとして登録することはない。そして、時刻t14以降、送信機T3から送信されたレスポンス信号が受信部12を介して受信されると、このレスポンス信号には識別コードID3が2フレーム以上含まれているため、同識別コードID3が左前輪位置P1の識別コードとして登録される。したがって、上記第2の実施形態に準じた効果が得られるようになる。なお、上記ステップS11の処理では、識別コードを2フレーム以上含むことを条件としたが、例えば3フレーム以上含むことを条件とするなど、レスポンス信号に含まれている識別コードのフレーム数を適宜変更してもよい。
【0056】
<第3の実施形態>
続いて、本発明にかかる車両の無線通信システムを利用したタイヤ空気圧監視システムの第3の実施形態について図10〜図12を参照して説明する。本実施形態のタイヤ空気圧監視システムでは、特に、先の図4に例示した処理に代えて図10に示す処理を実行するようにしている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0057】
図10に示すように、この処理では、はじめに、第1送信アンテナ10aから第3リクエスト信号が送信される(ステップS20)。第3リクエスト信号は、図11に示すように、以下の(c1)及び(c2)に示す指令を含む信号である。
【0058】
(c1)第3リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth3未満である場合には、識別コードを含むレスポンス信号を第1周期Tc1で一定時間Tbだけ送信すること。なお、閾値Sth3は先の閾値Sth1と同様に設定されている。
【0059】
(c2)第3リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth3以上である場合には、識別コードを含むレスポンス信号を第2周期Tc2で一定時間Tbだけ送信すること。なお、第2周期Tc2は第1周期Tc1よりも短い時間に設定されている。
【0060】
そして、続くステップS21の処理として、第3リクエスト信号の送信が完了した時点から一定時間Td(>Tb)が経過するまでの期間、レスポンス信号の受信回数が識別コード毎にカウントされる。ここで、受信回数の多いレスポンス信号は左前輪位置P1の送信機から送信された信号であると判断されて、同レスポンス信号に含まれている識別コードが左前輪位置P1に対応する識別コードとして登録情報に登録される(ステップS22)。また、受信回数の少ないレスポンス信号は右前輪位置P2の送信機から送信された信号であると判断されて、同レスポンス信号に含まれている識別コードが右前輪位置P2に対応する識別コードとして登録情報に登録される(ステップS23)。
【0061】
また、監視制御部15は、図10に示す処理を実行した後、第2送信アンテナ11aから第3リクエスト信号を送信して左後輪位置P3及び右後輪位置P4に対応する識別コードを登録する処理も実行する。なお同処理は図10に例示した処理に準じた処理であるため、便宜上、その詳細な説明は割愛する。
【0062】
一方、センサ制御部24は、第3リクエスト信号を受信部20を介して受信すると、同第3リクエスト信号の受信信号強度を上記RSSI回路22を通じて検出する。また、センサ制御部24は、RSSI回路22を通じて検出された受信信号強度、及び第3リクエスト信号に含まれている指令に基づいてレスポンス信号を送信部21から送信する。
【0063】
次に、図12を参照して、本実施形態のタイヤ空気圧監視システムの動作例(作用)について説明する。なお、図12では、先の図3に示したように各車輪位置P1〜P4に車輪W1〜W4が装着されている場合について例示している。
【0064】
図12に示すように、例えば時刻t20で第1送信アンテナ10aから第3リクエスト信号が送信されたとすると、同信号が左前輪位置P1の送信機T3及び右前輪位置P2の送信機T4によって受信される。このとき、送信機T3は、図12(c)に示すように、第3リクエスト信号の受信が完了する時刻t21から一定時間Tbが経過する時刻t22までの期間、識別コードID3を含むレスポンス信号を第2周期Tc2で送信する。また、送信機T4は、図12(d)に示すように、時刻t21から時刻t22までの期間、識別コードID4を含むレスポンス信号を第1周期Tc1で送信する。一方、監視装置1の受信部12では、第3リクエスト信号の送信が完了する時刻t21から一定時間Tdが経過する時刻t23までの期間、識別コードID3を含むレスポンス信号の方が、識別コードID4を含むレスポンス信号よりも多く受信される。よって、監視装置1では、識別コードID3が左前輪位置P1に対応する識別コードとして、また、識別コードID4が右前輪位置P2に対応する識別コードとして登録情報にそれぞれ登録される。
【0065】
その後、第2送信アンテナ11aから第1及び第2リクエスト信号が送信されると、送信機T1の識別コードID1が左後輪位置P3の識別コードとして、また送信機T2の識別コードID2が右後輪位置P4の識別コードとして登録情報にそれぞれ登録される。
【0066】
このように、本実施形態によっても、2つの送信アンテナ10a,11aを設けるだけで、レスポンス信号が各車輪位置P1〜P4の送信機のいずれから送信されたかを判別することができる。このため、従来のようにアンテナを各車輪位置P1〜P4にそれぞれ設ける必要がないため、構造の簡素化を図ることができるようになる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(4)送信機T1〜T4では、第3リクエスト信号の受信信号強度に基づいてレスポンス信号の送信周期を変更することとした。一方、監視装置1では、右前輪位置P2よりも左前輪位置P1の近くに第1送信アンテナ10aを配置した上で、同第1送信アンテナ10aから第3リクエスト信号を送信することとした。また、監視装置1では、右後輪位置P4よりも左後輪位置P3の近くに第2送信アンテナ11aを配置した上で、同第2送信アンテナ11aから第3リクエスト信号を送信することとした。そして監視装置1では、レスポンス信号の受信回数に基づいて同レスポンス信号が各車輪位置P1〜P4の送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することとした。これにより、同判別を2つの送信アンテナ10a,11aを設けるだけで行うことができるため、構造が簡素化されるようになる。
【0068】
<他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第3の実施形態では、車両に2つの送信アンテナ10a,11aを設けることとしたが、これに代えて、例えば送信アンテナを1つだけ設けてもよい。この場合、送信アンテナを、例えば「(左前輪位置P1までの距離)<(右前輪位置P2までの距離)<(左後輪位置P3までの距離)<(右後輪位置P4までの距離)」なる関係を満たすように配置する。また、同送信アンテナから全ての車輪位置P1〜P4に向けて第4リクエスト信号を送信する。第4リクエスト信号は、以下の(d1)〜(d4)に示す指令を含む信号である。なお、閾値Sth4〜Sth6は、「Sth4<Sth5<Sth6」なる関係を満たすとともに、第3〜第6周期Tc3〜Tc6は、「Tc6<Tc5<Tc4<Tc3」なる関係を満たすとする。
【0069】
(d1)第3リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth4未満である場合には、識別コードを含むレスポンス信号を第3周期Tc3で一定時間Tbだけ送信すること。
(d2)第3リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth4以上であって且つ、所定の閾値Sth5未満である場合には、識別コードを含むレスポンス信号を第4周期Tc4で一定時間Tbだけ送信すること。
【0070】
(d3)第3リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth5以上であって且つ、所定の閾値Sth6未満である場合には、識別コードを含むレスポンス信号を第5周期Tc5で一定時間Tbだけ送信すること。
【0071】
(d4)第3リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth6以上である場合には、識別コードを含むレスポンス信号を第6周期Tc6で一定時間Tbだけ送信すること。
なお、閾値Sth4〜Sth6は、各車輪位置P1〜P4のそれぞれの送信機において検出される第3リクエスト信号の受信信号強度をS(P1)〜S(P4)とするとき、「S(P4)<Sth4<S(P3)<Sth5<S(P2)<Sth6<S(P1)」なる関係を満たすように設定する。このような構成によれば、監視装置1では、レスポンス信号の受信回数を識別コード毎にカウントすることで、受信回数の多いレスポンス信号から順に、左前輪位置P1、右前輪位置P2、左後輪位置P3、及び右後輪位置P4のそれぞれの位置の送信機から送信された信号であると判別することができる。これにより、同判別を1つの送信アンテナを設けるだけで行うことができるため、さらに構造が簡素化されるようになる。
【0072】
・上記各実施形態では、リクエスト信号の受信に基づき送信機T1〜T4が送信するレスポンス信号として、送信機の識別コードを含む信号を用いることとしたが、これに代えて、空気圧の情報を含む信号、すなわち上記検出信号を用いることも可能である。この場合、例えば第1の実施形態では、上記第1リクエスト信号及び第2リクエスト信号が送信機T1〜T4によって受信された際に、同送信機T1〜T4が各信号に含まれている指令に基づくフレーム数だけ空気圧の情報を含む検出信号を送信すればよい。なおこの場合、空気圧の情報が特定のデータとなる。このような構成によれば、監視装置1では、検出信号に送信機の識別コードが含まれていなくても、同検出信号が各車輪位置P1〜P4の送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することができる。このため、監視装置1及び送信機T1〜T4に識別コードを記憶させる必要がないため、メモリ15a,24aとして容量の小さいものを採用することができるようになる。
【0073】
・上記各実施形態では、本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムを、4つの車輪を有する車両に適用することとしたが、例えば6つ以上の車輪を有する車両に適用することも可能である。
【0074】
・上記各実施形態では、登録スイッチ14のオン操作に基づいて登録情報の更新を行うこととしたが、これに代えて、例えばイグニッションスイッチのオン操作に基づいて登録情報の更新を行ってもよい。
【0075】
・上記各実施形態では、本発明にかかる車両の無線通信システムを車両のタイヤ空気圧監視システムに適用することとしたが、送信機から送信されたレスポンス信号が各車輪位置に位置する送信機のいずれから送信された信号であるかを判別する適宜の無線通信システムに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
T1〜T4…送信機、W1〜W4…車輪、1…監視装置、10…第1イニシエータ、10a…第1送信アンテナ、11…第2イニシエータ、11a…第2送信アンテナ、12,20,34…受信部、13,36…表示部、14…登録スイッチ、15,35…監視制御部、15a…メモリ、21…送信部、22…RSSI回路、23…空気圧センサ、24…センサ制御部、24a…メモリ、30〜33…イニシエータ、30a〜33a…送信アンテナ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた通信機と車輪に設けられた送信機との間で無線通信を行う車両の無線通信システム、及び同無線通信システムを利用したタイヤ空気圧監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)としては、例えば特許文献1に記載のシステムが知られている。図13に示すように、この特許文献1に記載のタイヤ空気圧監視システムでは、車両の各車輪位置P1〜P4の近傍にイニシエータ30〜33がそれぞれ設けられており、このイニシエータ30〜33の送信アンテナ30a〜33aから各車輪位置P1〜P4に向けてリクエスト信号がそれぞれ送信される。また、各車輪位置P1〜P4に装着された車輪W1〜W4には、リクエスト信号の受信に基づきタイヤの空気圧を検出するとともに検出された空気圧の情報を含むレスポンス信号を送信する送信機T1〜T4がそれぞれ設けられている。すなわち、送信アンテナ30a〜33aのいずれかからリクエスト信号が送信されると、リクエスト信号の送信を行った送信アンテナに対応する送信機からレスポンス信号が送信される。そして、各送信機T1〜T4から送信されたレスポンス信号は、車両に設けられた受信部34を介して受信されて、監視制御部35に入力される。監視制御部35は、例えば送信アンテナ30aからリクエスト信号を送信した直後にレスポンス信号を受信した場合、同レスポンス信号が送信アンテナ30aに対応する車輪位置、すなわち車輪位置P1に位置する送信機から送信された信号であると判別する。そしてこの場合、同レスポンス信号に含まれている空気圧の情報が車輪位置P1のタイヤの空気圧を示すものであると判断する。監視制御部35は、このような判断手法に基づき各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧を監視しつつ、いずれかの車輪のタイヤの空気圧に異常を検出した場合には、その旨の警告表示を車両に設けられた表示部36により行う。
【0003】
このような構成によれば、ユーザは表示部36の警告表示により各車輪位置P1〜P4のいずれにタイヤの空気圧の異常が発生したかを知ることができるため、異常が発生したタイヤに対して迅速且つ適切な対策を施すことができる。このため、車両の安全性を的確に確保することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−266314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、各車輪W1〜W4に対して送信アンテナ30a〜33aをそれぞれ設けることとすれば、レスポンス信号が各車輪位置P1〜P4に位置する送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することができる。ただしこのような構成の場合、車輪の数と同数の送信アンテナが必要となるため、構造の複雑化やコストの増大などを招くおそれがある。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造の簡素化を図りつつも、無線信号が複数の車輪位置にそれぞれ位置する送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することのできる車両の無線通信システム、及び同無線通信システムを利用したタイヤ空気圧監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の第1車輪位置に装着された車輪及び第2車輪位置に装着された車輪にそれぞれ設けられて、リクエスト信号の受信に基づきレスポンス信号を送信するとともに、前記リクエスト信号の受信信号強度に基づき前記レスポンス信号の送信態様を変更する送信機と、前記第1車輪位置よりも第2車輪位置の近くに配置された送信アンテナを有して、該送信アンテナから前記第1車輪位置及び前記第2車輪位置に向けてリクエスト信号を送信するとともに、前記レスポンス信号を受信した際にその受信態様に基づいて同レスポンス信号が前記第1車輪位置に位置する送信機及び前記第2車輪位置に位置する送信機のいずれから送信された信号であるかを判別する通信機とを備えることを要旨とする。
【0008】
同システムによれば、第1車輪位置に位置する送信機よりも、第2車輪位置に位置する送信機の方が、送信アンテナまでの距離が近い。このため、送信アンテナからリクエスト信号が送信されたとすると、第1車輪位置の送信機よりも、第2車輪位置の送信機の方が、リクエスト信号の受信信号強度が強くなる。したがって、第1車輪位置の送信機によるレスポンス信号の送信態様と、第2車輪位置の送信機によるレスポンス信号の送信態様とが互いに異なったものとなる。よって、各送信機から送信されたレスポンス信号が通信機によって受信されると、通信機では、その受信態様の違いから、同レスポンス信号が第1車輪位置の送信機及び第2車輪位置の送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することができる。また、こうした判別を、従来のように第1車輪位置及び第2車輪位置に送信アンテナをそれぞれ配置することなく、一つの送信アンテナを設けるだけで行うことができるため、構造が簡素化されるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両の無線通信システムにおいて、前記レスポンス信号の送信態様の変更が、同レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を変更することで行われることを要旨とする。
【0010】
同システムによれば、通信機からリクエスト信号が送信されたとすると、第1車輪位置の送信機及び第2車輪位置の送信機では、基本的に、リクエスト信号がほぼ同時に受信される。よって、各送信機からほぼ同時にレスポンス信号が送信されるため、それぞれの送信機から送信されたレスポンス信号が互いに混信する。したがって、通信機では、各送信機から送信されたレスポンス信号のうち、フレーム数の多いレスポンス信号しか受信することができない。このため、通信機により受信されたレスポンス信号は、フレーム数の多いレスポンス信号を送信する送信機から送信された信号であると判別することができる。よって、例えばリクエスト信号の受信信号強度の強い送信機がフレーム数の多いレスポンス信号を送信するように予め定めておけば、通信機では、レスポンス信号を受信したとき、同レスポンス信号が第2車輪位置の送信機から送信された信号であると容易に判別することができる。これにより、レスポンス信号が第1車輪位置の送信機及び第2車輪位置の送信機のいずれから送信された信号であるかを容易に判別することができるようになる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両の無線通信システムにおいて、前記リクエスト信号として、その受信信号強度が所定の閾値未満であることを条件に前記レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を第1フレーム数に設定して且つ、その受信信号強度が前記所定の閾値以上であることを条件に前記レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を前記第1フレーム数よりも多い第2フレーム数に設定する指令を含む第1リクエスト信号と、その受信信号強度が前記所定の閾値未満であることを条件に前記レスポンス信号に含まれているフレーム数を前記第2フレーム数に設定して且つ、その受信信号強度が前記所定の閾値以上であることを条件に前記レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を前記第1フレーム数に設定する指令を含む第2リクエスト信号とがそれぞれ用いられることを要旨とする。
【0012】
上述のように、レスポンス信号の送信態様を変更するにあたり、レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を変更することが有効であるが、このような方法を採用すると次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、通信機では、第1車輪位置の送信機及び第2車輪位置の送信機からそれぞれ送信されるレスポンス信号のうち、フレーム数の多いレスポンス信号しか受信することができないため、各送信機から送信される特定のデータのうちのいずれか一方しか取得することができない。この点、上記システムによれば、送信アンテナから第1リクエスト信号が送信された場合には、同信号の受信信号強度の強い送信機、すなわち第2車輪位置の送信機からフレーム数の多いレスポンス信号が送信される。このため、通信機では、第2車輪位置の送信機から送信される特定のデータを取得することができるとともに、同特定のデータが第2車輪位置の送信機から送信された信号であると容易に判別することもできる。一方、送信アンテナから第2リクエスト信号が送信された場合には、同信号の受信信号強度の弱い送信機、すなわち第1車輪位置の送信機からフレーム数の多いレスポンス信号が送信される。このため、通信機では、第1車輪位置の送信機から送信される特定のデータを取得することができるとともに、同特定のデータが第1車輪位置の送信機から送信されたデータであると容易に判別することができる。これにより、各送信機と通信機との間で特定のデータを適切に授受することができるようになる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の車両の無線通信システムにおいて、前記通信機は、前記レスポンス信号が前記第1車輪位置に装着された送信機及び前記第2車輪位置に装着された送信機のいずれから送信されたかの判別を、前記送信アンテナから前記リクエスト信号を送信した時点から一定時間が経過した後に受信されるレスポンス信号に基づいて行うことを要旨とする。
【0014】
上述のように、例えば送信アンテナから第1リクエスト信号が送信されたとき、第1車輪位置の送信機及び第2車輪位置の送信機からほぼ同時にリクエスト信号が送信されれば、通信機では、第2車輪位置の送信機から送信されたレスポンス信号しか受信することができない。このため、通信機では、レスポンス信号に含まれている特定のデータが第2車輪位置の送信機から送信されたデータであると容易に判断することができることも上述の通りである。ただし、第1リクエスト信号に対する各送信機のレスポンスにばらつきなどが生じると、第2車輪位置の送信機からレスポンス信号が送信されるよりも前に第1車輪位置の送信機からレスポンス信号が送信されるような状況も発生し得る。このような状況が生じると、通信機では、第1車輪位置の送信機から送信されたレスポンス信号を受信することが可能であるため、同レスポンス信号に含まれている特定のデータを第2車輪位置の送信機から送信されたデータであると誤って判断するおそれがある。この点、上記システムによれば、仮にこのような状況が生じたとしても、通信機は、リクエスト信号を送信した時点から所定時間が経過するまでの期間、レスポンス信号を受信したとしても、同レスポンス信号が各送信機のいずれから送信された信号であるかの判別を行わない。これにより、上述した誤判断を回避することができるため、各送信機と通信機との間で特定のデータをより適切に授受することができるようになる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3に記載の車両の無線通信システムにおいて、前記通信機は、前記レスポンス信号が前記第1車輪位置に装着された送信機及び前記第2車輪位置に装着された送信機のいずれから送信されたかの判別を、前記特定のデータを複数フレーム含むレスポンス信号に基づいて行うことを要旨とする。
【0016】
第1及び第2リクエスト信号に対する各送信機のレスポンスのばらつきに対しては、同システムも有効である。すなわち、上述のように、例えば送信アンテナから第1リクエスト信号が送信された際に、第2車輪位置の送信機からレスポンス信号が送信されるよりも前に第1車輪位置の送信機からレスポンス信号が送信されたとする。このとき、第1車輪位置の送信機から送信されるレスポンス信号は、第2車輪位置の送信機から送信されるレスポンス信号と混信するため、通信機では、第1車輪位置の送信機から送信されるレスポンス信号に含まれている特定のデータを例えば1フレームしか受信することができない。そして、上記システムによれば、通信機は、特定のデータを1フレームしか含まないレスポンス信号を受信したとき、同レスポンス信号が各送信機のいずれから送信されたかの判別を行わない。これにより、上述した誤判断を回避することができるため、各送信機と通信機との間で特定のデータをより適切に授受することができるようになる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の車両の無線通信システムにおいて、前記レスポンス信号の送信態様の変更が、その送信周期を変更することで行われることを要旨とする。
【0018】
同システムによれば、送信アンテナからリクエスト信号が送信されたとすると、第1車輪位置の送信機及び第2車輪位置の送信機は、レスポンス信号を互いに異なった周期でそれぞれ送信する。このため、通信機により受信されるレスポンス信号の受信回数をカウントするなどすれば、レスポンス信号が第1車輪位置の送信機、及び第2車輪位置の送信機のいずれから送信された信号であるかを容易、且つ的確に判別することができるようになる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、車両の各車輪位置に装着された車輪にそれぞれ設けられてタイヤの空気圧を検出するとともに検出されたタイヤの空気圧の情報及び識別コードを含む検出信号を送信する送信機と、前記各車輪位置及び前記識別コードの関係を示す登録情報を保持する監視装置との間で前記検出信号の授受を行い、前記監視装置は、前記検出信号に含まれている識別コードと前記登録情報に登録された識別コードとの照合を通じて前記検出信号に含まれている空気圧の情報が前記各車輪位置のいずれのタイヤの空気圧を示すものであるかを判断するとともに、その判断結果、及び前記検出信号に含まれている空気圧の情報に基づき前記各車輪位置のタイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記送信機として、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両の無線通信システムの送信機が用いられるとともに、前記監視装置として、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両の無線通信システムの通信機が用いられて且つ、前記レスポンス信号として、前記識別コードを含む信号が用いられ、前記監視装置は、前記レスポンス信号が前記第1車輪位置の送信機及び前記第2車輪位置の送信機のいずれから送信された信号であるかを判別したとき、その判別された車輪位置に関連付けするかたちで前記レスポンス信号に含まれている識別コードを前記登録情報に登録することを要旨とする。
【0020】
同システムによれば、例えば右前輪位置及び左前輪位置に対して1つの送信アンテナを、また、右後輪位置及び左後輪位置に対して1つの送信アンテナをそれぞれ設けることで、全ての車輪位置と送信機の識別コードとを関連付けて登録情報に登録することができる。これにより、従来のように送信アンテナを各車輪位置にそれぞれ設ける必要がないため、タイヤ空気圧監視システムとしての構造の簡素化を図ることができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる車両の無線通信システム及びタイヤ空気圧監視システムによれば、構造の簡素化を図りつつも、無線信号が複数の車輪位置にそれぞれ位置する送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの第1の実施形態についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図2】同第1の実施形態のタイヤ空気圧監視システムについて監視装置のメモリに記憶されている登録情報の内容を模式的に示す図。
【図3】同第1の実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてタイヤローテーションが行われた後の車輪の位置を示すブロック図。
【図4】同第1の実施形態のタイヤ空気圧監視システムによる第1送信アンテナから第1及び第2リクエスト信号を送信する処理の手順を示すフローチャート。
【図5】(a)及び(b)は、第1及び第2リクエスト信号に含まれている指令を示す図。
【図6】(a)〜(d)は、同第1の実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてその動作例を示すタイミングチャート。
【図7】(a)〜(f)は、本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの第2の実施形態についてその動作例を示すタイミングチャート。
【図8】同第2の実施形態のタイヤ空気圧監視システムによる第1送信アンテナから第1及び第2リクエスト信号を送信する処理の手順を示すフローチャート。
【図9】同第2の実施形態の変形例による第1送信アンテナから第1及び第2リクエスト信号を送信する処理の手順を示すフローチャート。
【図10】本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの第3の実施形態による第1送信アンテナから第3リクエスト信号を送信する処理の手順を示すフローチャート。
【図11】第3リクエスト信号に含まれている指令を示す図。
【図12】(a)〜(d)は、同第3の実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてその動作例を示すタイミングチャート。
【図13】従来のタイヤ空気圧監視システムについてそのシステム構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる車両の無線通信システムを利用したタイヤ空気圧監視システムの第1の実施形態について図1〜図6を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムの概要について説明する。なお、図1において、P1は車両の左前輪位置を、P2は車両の右前輪位置を、P3は車両の左後輪位置を、P4は車両の右後輪位置をそれぞれ示している。また、W1は左前輪位置P1に装着された車輪を、W2は右前輪位置P2に装着された車輪を、W3は左後輪位置P3に装着された車輪を、W4は右後輪位置P4に装着された車輪をそれぞれ示している。
【0024】
図1に示すように、このタイヤ空気圧監視システムでは、各車輪W1〜W4のエアバルブの内部に送信機T1〜T4がそれぞれ設けられている。そして、これら送信機T1〜T4と、車両に設けられた通信機としての監視装置1との間で無線通信が行われることで各車輪位置P1〜P4のタイヤの空気圧が監視される。
【0025】
送信機T1は、図1の二点鎖線で囲まれた領域内に示すように、監視装置1から送信される無線信号を受信する受信部20、及び監視装置1に対して無線信号を送信する送信部21を有している。また、送信機T1は、受信部20を介して受信した無線信号の信号強度を検出するRSSI(Received Signal Strength Indication)回路22、及び車輪W1のタイヤの空気圧を検出する空気圧センサ23を有している。そして、RSSI回路22及び空気圧センサ23の出力はセンサ制御部24に取り込まれている。センサ制御部24はマイクロコンピュータを中心に構成されたものであり、送信機T1固有の識別コードID1が記憶された不揮発性のメモリ24aなどを有している。このセンサ制御部24は、例えば空気圧センサ23を通じてタイヤの空気圧を周期的に検出するとともに、検出された空気圧の情報及び識別コードID1を含む検出信号を送信部21から所定の周期で送信する処理などを実行する。
【0026】
なお、送信機T2〜T4も送信機T1と同様の構成をそれぞれ有している。ただし、各送信機T2〜T4に搭載された不揮発性のメモリには、各送信機T2〜T4固有の識別コードがそれぞれ記憶されている。すなわち、送信機T2〜T4は、タイヤの空気圧の情報及び識別コードID2〜ID4を含む無線信号を所定の周期でそれぞれ送信する。なお本実施形態では、識別コードID1〜ID4が特定のデータとなる。
【0027】
監視装置1は、無線信号を前輪位置P1,P2にのみ届くように送信する第1イニシエータ10、無線信号を後輪位置P3,P4にのみ届くように送信する第2イニシエータ11、及び送信機T1〜T4から送信される無線信号を受信する受信部12を有している。なお、第1イニシエータ10の送信アンテナ(第1送信アンテナ)10aは右前輪位置P2よりも左前輪位置P1に近い位置に配置されるとともに、第2イニシエータ11の送信アンテナ(第2送信アンテナ)11aは右後輪位置P4よりも左後輪位置P3に近い位置に配置されている。これにより、第1送信アンテナ10aから無線信号が送信されたとすると、右前輪位置P2に位置する送信機T2よりも、左前輪位置P1に位置する送信機T1の方が、無線信号の受信信号強度が強くなる。また、第2送信アンテナ11aから無線信号が送信されたとすると、右後輪位置P4に位置する送信機T4よりも、左後輪位置P3に位置する送信機T3の方が、無線信号の受信信号強度が強くなる。一方、監視装置1は、各車輪位置P1〜P4のいずれかのタイヤの空気圧に異常が生じたときに当該異常が生じた車輪位置を特定することができる態様にて警告表示を行う表示部13、及び車両のユーザによって操作される登録スイッチ14を有している。そして、このような構成からなる監視装置1の駆動が監視制御部15によって統括的に制御されている。監視制御部15はマイクロコンピュータを中心に構成されたものであり、図2に示す情報、すなわち各車輪位置P1〜P4と送信機T1〜T4の識別コードID1〜ID4との関係を示す登録情報が記憶された不揮発性のメモリ15aなどを有している。この監視制御部15は、例えば送信機T1〜T4から送信された検出信号を受信部12を介して受信すると、同検出信号に含まれている識別コードと、上記登録情報に登録された識別コードとの照合を行い、受信した検出信号が各車輪位置P1〜P4のいずれの送信機から送信された信号であるかを判別する。そしてその判別結果に基づいて検出信号に含まれている空気圧の情報が各車輪位置P1〜P4のいずれのタイヤの空気圧を示すものであるかを判断する。具体的には、例えば検出信号に識別コードID1が含まれていた場合には、同検出信号が左前輪位置P1の送信機から送信された信号であると判別する。そしてこの場合、同検出信号に含まれている空気圧の情報が左前輪位置P1のタイヤの空気圧を示すものであると判断する。監視制御部15はこのような方法に基づいて各車輪位置P1〜P4のタイヤの空気圧の情報を取得するとともに、各車輪位置P1〜P4のいずれかのタイヤの空気圧に異常が検出された場合にはその旨の警告表示を表示部13を通じて行う。
【0028】
一方、このようなタイヤ空気圧監視システムでは、例えばタイヤローテーションなどに伴って車輪W1〜W4の位置が図3に示すように変更された場合、各車輪位置P1〜P4と送信機T1〜T4の識別コードID1〜ID4とが適切に対応するように上記登録情報を更新する必要がある。本実施形態では、上記登録スイッチ14をオン操作すると、登録情報が自動的に更新されるようになっている。以下、図4〜図6を参照してその詳細を説明する。はじめに、図4を参照して、上記登録スイッチ14がオン操作された際に監視制御部15を通じて実行される処理について説明する。
【0029】
同図4に示すように、この処理では、はじめに、第1送信アンテナ10aから第1リクエスト信号が送信される(ステップS1)。第1リクエスト信号は、図5(a)に示すように、以下の(a1)及び(a2)に示す指令を含む信号である。
【0030】
(a1)第1リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth1未満である場合には、識別コードのフレーム数が第1フレーム数F1に設定されたレスポンス信号を送信すること。
【0031】
(a2)第1リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth1以上である場合には、識別コードのフレーム数が第2フレーム数F2に設定されたレスポンス信号を送信すること。なお第2フレーム数F2は第1フレーム数F1よりも大きい数に設定されている。
【0032】
ここで閾値Sth1は次のように設定されている。本実施形態では、右前輪位置P2の送信機においてRSSI回路22を通じて検出される第1リクエスト信号の受信信号強度S10と、左前輪位置P1の送信機においてRSSI回路22を通じて検出される第1リクエスト信号の受信信号強度S11との間には、「S10<S11」なる関係が存在する。そして、閾値Sth1は、これらの受信信号強度S10,S11に対して、「S10<Sth1<S11」なる関係を満たすように予めの実験などを通じて設定されている。
【0033】
また、図4に示すように、ステップS1の処理に続いて、レスポンス信号を受信したか否かが監視される(ステップS2)。ここで、レスポンス信号を受信した場合には(ステップS2:YES)、同レスポンス信号は左前輪位置P1の送信機から送信された信号であると判断されて、同レスポンス信号に含まれている識別コードが左前輪位置P1に対応する識別コードとして登録情報に登録される(ステップS3)。また、続くステップS4の処理として、第1送信アンテナ10aから第2リクエスト信号が送信される。第2リクエスト信号は、図5(b)に示すように、以下の(b1)及び(b2)に示す指令を含む信号である。
【0034】
(b1)第2リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth2未満である場合には、識別コードのフレーム数が第2フレーム数F2に設定されたレスポンス信号を送信すること。
【0035】
(b1)第2リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth2以上である場合には、識別コードのフレーム数が第1フレーム数F1に設定されたレスポンス信号を送信すること。
【0036】
なお、閾値Sth2も先の閾値Sth1と同様に設定されている。すなわち、右前輪位置P2の送信機においてRSSI回路22を通じて検出される第2リクエスト信号の受信信号強度をS20と、左前輪位置P1の送信機においてRSSI回路22を通じて検出される第2リクエスト信号の受信信号強度をS21とするとき、「S20<Sth2<S21」なる関係を満たすように設定されている。
【0037】
そして、続くステップS5の処理として、レスポンス信号を受信したか否かが監視される。ここで、レスポンス信号を受信した場合には(ステップS5:YES)、同レスポンス信号は右前輪位置P2の送信機から送信された信号であると判断されて、同レスポンス信号に含まれている識別コードが右前輪位置P2に対応する識別コードとして登録情報に登録される(ステップS6)。
【0038】
なお、監視制御部15は、図4に示す処理を実行した後、第2送信アンテナ11aから第1リクエスト信号及び第2リクエスト信号を送信して、左後輪位置P3及び右後輪位置P4に対応する識別コードを登録する処理も実行する。なお同処理は図4に例示した処理に準じた処理であるため、便宜上、その詳細な説明は割愛する。
【0039】
一方、センサ制御部24は、第1リクエスト信号あるいは第2リクエスト信号を受信部20を介して受信すると、受信した信号の受信信号強度を上記RSSI回路22を通じて検出する。また、センサ制御部24は、RSSI回路22を通じて検出された受信信号強度、及び第1リクエスト信号あるいは第2リクエスト信号に含まれている指令に基づいて、識別コードを含むレスポンス信号を生成するとともに、生成したレスポンス信号を送信部21から送信する。
【0040】
次に、図6を参照して、本実施形態のタイヤ空気圧監視システムの動作例(作用)について説明する。なお、図6では、先の図3に示すように各車輪位置P1〜P4に車輪W1〜W4が装着されている場合について例示している。また、第1フレーム数F1が「2」に、第2フレーム数F2が「5」に設定されているとする。
【0041】
図6(a)に示すように、例えば時刻t1でユーザが登録スイッチ14をオン操作したとすると、その時点で第1送信アンテナ10aから第1リクエスト信号が送信される。これにより、第1リクエスト信号が左前輪位置P1の送信機T3及び右前輪位置P2の送信機T4によってほぼ同時に受信される。このため、各送信機T3,T4は、第1リクエスト信号の受信が完了する時刻t2の時点からほぼ同時にレスポンス信号の送信を開始する。このとき、送信機T3は、図6(c)に示すように、識別コードID3を第2フレーム数F2だけ含むレスポンス信号を送信する一方、送信機T4は、図6(d)に示すように、識別コードID4を第1フレーム数F1だけ含むレスポンス信号を送信する。ところで、各送信機T3,T4からほぼ同時にレスポンス信号が送信された場合、それぞれの信号は互いに混信する。このため、監視装置1の受信部12では、図6(b)に示すように、フレーム数の多いレスポンス信号、すなわち識別コードID3を含むレスポンス信号しか受信することができない。よって、監視装置1では、識別コードID3を含むレスポンス信号の受信が完了する時刻t3の時点で識別コードID3が左前輪位置P1に対応する識別コードとして登録情報に登録される。
【0042】
その後、時刻t4で第1送信アンテナ10aから第2リクエスト信号が送信されると、同信号が左前輪位置P1の送信機T3及び右前輪位置P2の送信機T4によって再び受信される。このため、各送信機T3,T4は、第2リクエスト信号の受信が完了する時刻t5の時点からほぼ同時にレスポンス信号の送信を開始する。このとき、送信機T3は、図6(c)に示すように、識別コードID3を第1フレーム数F1だけ含むレスポンス信号を送信する一方、送信機T4は、図6(d)に示すように、識別コードID4を第2フレーム数F2だけ含むレスポンス信号を送信する。このため、監視装置1の受信部12では、図6(b)に示すように、フレーム数の多いレスポンス信号、すなわち識別コードID4を含むレスポンス信号しか受信することができない。よって、監視装置1では、識別コードID4を含むレスポンス信号の受信が完了する時刻t6の時点で識別コードID4が右前輪位置P2に対応する識別コードとして登録情報に登録される。
【0043】
またその後、第2送信アンテナ11aから第1及び第2リクエスト信号が順次送信されると、送信機T1の識別コードID1が左後輪位置P3の識別コードとして、また送信機T2の識別コードID2が右後輪位置P4の識別コードとして登録情報にそれぞれ登録される。
【0044】
このように、本実施形態によれば、2つの送信アンテナ10a,11aを設けるだけで、レスポンス信号が各車輪位置P1〜P4の送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することができる。よって、従来のように各車輪位置P1〜P4に対してアンテナをそれぞれ設ける必要がないため、構造の簡素化を図ることができるようになる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)送信機T1〜T4では、第1及び第2リクエスト信号の受信信号強度に基づいてレスポンス信号に含まれている識別コードのフレーム数を変更することとした。一方、監視装置1では、右前輪位置P2よりも左前輪位置P1の近くに第1送信アンテナ10aを配置した上で、同第1送信アンテナ10aから第1及び第2リクエスト信号をそれぞれ送信することとした。また、監視装置1では、右後輪位置P4よりも左後輪位置P3の近くに第2送信アンテナ11aを配置した上で、同第2送信アンテナ11aから第1及び第2リクエスト信号をそれぞれ送信することとした。そして監視装置1では、レスポンス信号の受信の有無に基づいて同レスポンス信号が各車輪位置P1〜P4の送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することとした。これにより、同判別が2つの送信アンテナ10a,11aを設けるだけで可能となるため、構造が簡素化されるようになる。
【0046】
(2)第1リクエスト信号として上記(a1)及び(a2)に示す指令を含む信号を用いるとともに、第2リクエスト信号として上記(b1)及び(b2)に示す指令を含む信号を用いることとした。これにより、各車輪位置P1〜P4に位置する送信機の識別コードを監視装置1が適切に取得することができるようになる。
【0047】
<第2の実施形態>
続いて、本発明にかかる無線通信システムを利用したタイヤ空気圧監視システムの第2の実施形態について図7及び図8を参照して説明する。
【0048】
上述した送信機には、消費電力を低減するために、受信部20を間欠的に駆動させるとともに、受信部20を介して無線信号を受信することを条件にこれを継続的に駆動させるようにしたものがある。ここで、このような送信機が上記送信機T1〜T4として採用されている場合、第1及び第2リクエスト信号に対する送信機T1〜T4のレスポンスにばらつきが生じるおそれがある。その詳細を先の図6に対応する図7を参照して説明する。例えば、図7(d),(f)に示すように送信機T3の受信部20及び送信機T4の受信部20が間欠的に駆動しているときに、図7(a)に示すように、上記(a1)及び(a2)に示す指令情報を複数フレーム(本例では5フレーム)含む第1リクエスト信号が第1送信アンテナ10aから送信されたとする。このとき、図7(f)に示すように、送信機T4では、第1リクエスト信号の送信が開始される時刻t10の時点で受信部20が駆動状態であるため、その時点から受信部20が継続的に駆動してリクエスト信号の受信が開始される。よって、送信機T4では、第1リクエスト信号の1フレーム目を受信することができるため、1フレーム目の受信が完了する時刻t12の時点からレスポンス信号の送信が開始される。一方、送信機T3では、時刻t10から所定時間が経過した時刻t11の時点で受信部20が駆動状態となるため、時刻t11以降、受信部20が継続的に駆動してリクエスト信号の受信が開始される。よって、送信機T3では、第1リクエスト信号の1フレーム目を受信することはできないが2フレーム目を受信することができるため、2フレーム目の受信が完了する時刻t13の時点からレスポンス信号の送信が開始される。したがってこのような場合には、送信機T3からレスポンス信号が送信されるよりも前に送信機T4からレスポンス信号が送信されてしまうため、図7(b)に示すように、同レスポンス信号が監視装置1の受信部12によって受信されてしまう。このため、監視装置1では、同レスポンス信号が左前輪位置P1の送信機から送信された信号であると誤判断して、同レスポンス信号に含まれている識別コードID4を左前輪位置P1の識別コードとして登録するおそれがある。
【0049】
そこで、本実施形態では、送信アンテナ10aから第1リクエスト信号を送信した時点から一定時間が経過した後に受信されるレスポンス信号に基づいて登録情報の更新を行うこととしている。以下、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0050】
まず、先の図4に対応する図8を参照して、登録スイッチ14がオン操作された際に監視制御部15を通じて実行される処理について説明する。
同図8に示すように、この処理では、はじめに、上記(a1)及び(a2)に示す指令情報を複数フレーム含む第1リクエスト信号が第1送信アンテナ10aから送信された後(ステップS7)、内蔵するタイマ(図示略)を通じて一定時間Taが経過したか否かが判断される(ステップS8)。そして、一定時間Taが経過した場合には(ステップS8:YES)、上記ステップS2〜S6の処理が実行される。
【0051】
なお、監視制御部15は、第2送信アンテナ11aから第1リクエスト信号及び第2リクエスト信号を送信する処理として、図8に例示した処理に準じた処理を実行する。
次に、先の図7を参照して、本実施形態のタイヤ空気圧監視システムの動作例(作用)について説明する。
【0052】
図7(b)に示すように、監視装置1は、時刻t10から一定時間Taが経過する時刻t14までの期間、登録情報の更新を行わない。したがって、仮に送信機T4から送信されたレスポンス信号が受信部12を介して受信されたとしても、同レスポンス信号に含まれている識別コードID4が左前輪位置P1の識別コードとして登録されることはない。そして、時刻t14以降、送信機T3から送信されたレスポンス信号が受信部12を介して受信されると、同レスポンス信号に含まれている識別コードID3が左前輪位置P1の識別コードとして適切に登録される。
【0053】
以上説明したように、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、上記第1の実施形態による(1)及び(2)の効果と同等、もしくはそれらに準じた効果が得られるとともに、次のような効果が得られるようになる。
【0054】
(3)送信アンテナ10a,11aから第1リクエスト信号をそれぞれ送信したとき、その時点から一定時間が経過した後に受信されるレスポンス信号に基づいて登録情報を更新することとした。これにより、第1リクエスト信号に対する送信機T1〜T4のレスポンスにばらつきが生じたとしても、各車輪位置P1〜P4に対応する識別コードID1〜ID4を登録情報に適切に登録することができるようになる。
【0055】
(変形例)
図9に、第2の実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムの変形例を示す。
図9に示すように、この変形例では、第1リクエスト信号が第1送信アンテナ10aから送信された後(ステップS7)、識別コードを2フレーム以上含むレスポンス信号を受信したか否かが監視される(ステップS11)。そして、識別コードを複数フレーム含むレスポンス信号を受信した場合には(ステップS11:YES)、上記ステップS3〜S6の処理が実行される。このような構成によれば、先の図7(b)に示すように、仮に送信機T4から送信されたレスポンス信号が受信部12を介して受信されたとしても、監視装置1は、識別コードID4を1フレームしか含まないレスポンス信号を受信するだけであるため、同識別コードID4を左前輪位置P1の識別コードとして登録することはない。そして、時刻t14以降、送信機T3から送信されたレスポンス信号が受信部12を介して受信されると、このレスポンス信号には識別コードID3が2フレーム以上含まれているため、同識別コードID3が左前輪位置P1の識別コードとして登録される。したがって、上記第2の実施形態に準じた効果が得られるようになる。なお、上記ステップS11の処理では、識別コードを2フレーム以上含むことを条件としたが、例えば3フレーム以上含むことを条件とするなど、レスポンス信号に含まれている識別コードのフレーム数を適宜変更してもよい。
【0056】
<第3の実施形態>
続いて、本発明にかかる車両の無線通信システムを利用したタイヤ空気圧監視システムの第3の実施形態について図10〜図12を参照して説明する。本実施形態のタイヤ空気圧監視システムでは、特に、先の図4に例示した処理に代えて図10に示す処理を実行するようにしている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0057】
図10に示すように、この処理では、はじめに、第1送信アンテナ10aから第3リクエスト信号が送信される(ステップS20)。第3リクエスト信号は、図11に示すように、以下の(c1)及び(c2)に示す指令を含む信号である。
【0058】
(c1)第3リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth3未満である場合には、識別コードを含むレスポンス信号を第1周期Tc1で一定時間Tbだけ送信すること。なお、閾値Sth3は先の閾値Sth1と同様に設定されている。
【0059】
(c2)第3リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth3以上である場合には、識別コードを含むレスポンス信号を第2周期Tc2で一定時間Tbだけ送信すること。なお、第2周期Tc2は第1周期Tc1よりも短い時間に設定されている。
【0060】
そして、続くステップS21の処理として、第3リクエスト信号の送信が完了した時点から一定時間Td(>Tb)が経過するまでの期間、レスポンス信号の受信回数が識別コード毎にカウントされる。ここで、受信回数の多いレスポンス信号は左前輪位置P1の送信機から送信された信号であると判断されて、同レスポンス信号に含まれている識別コードが左前輪位置P1に対応する識別コードとして登録情報に登録される(ステップS22)。また、受信回数の少ないレスポンス信号は右前輪位置P2の送信機から送信された信号であると判断されて、同レスポンス信号に含まれている識別コードが右前輪位置P2に対応する識別コードとして登録情報に登録される(ステップS23)。
【0061】
また、監視制御部15は、図10に示す処理を実行した後、第2送信アンテナ11aから第3リクエスト信号を送信して左後輪位置P3及び右後輪位置P4に対応する識別コードを登録する処理も実行する。なお同処理は図10に例示した処理に準じた処理であるため、便宜上、その詳細な説明は割愛する。
【0062】
一方、センサ制御部24は、第3リクエスト信号を受信部20を介して受信すると、同第3リクエスト信号の受信信号強度を上記RSSI回路22を通じて検出する。また、センサ制御部24は、RSSI回路22を通じて検出された受信信号強度、及び第3リクエスト信号に含まれている指令に基づいてレスポンス信号を送信部21から送信する。
【0063】
次に、図12を参照して、本実施形態のタイヤ空気圧監視システムの動作例(作用)について説明する。なお、図12では、先の図3に示したように各車輪位置P1〜P4に車輪W1〜W4が装着されている場合について例示している。
【0064】
図12に示すように、例えば時刻t20で第1送信アンテナ10aから第3リクエスト信号が送信されたとすると、同信号が左前輪位置P1の送信機T3及び右前輪位置P2の送信機T4によって受信される。このとき、送信機T3は、図12(c)に示すように、第3リクエスト信号の受信が完了する時刻t21から一定時間Tbが経過する時刻t22までの期間、識別コードID3を含むレスポンス信号を第2周期Tc2で送信する。また、送信機T4は、図12(d)に示すように、時刻t21から時刻t22までの期間、識別コードID4を含むレスポンス信号を第1周期Tc1で送信する。一方、監視装置1の受信部12では、第3リクエスト信号の送信が完了する時刻t21から一定時間Tdが経過する時刻t23までの期間、識別コードID3を含むレスポンス信号の方が、識別コードID4を含むレスポンス信号よりも多く受信される。よって、監視装置1では、識別コードID3が左前輪位置P1に対応する識別コードとして、また、識別コードID4が右前輪位置P2に対応する識別コードとして登録情報にそれぞれ登録される。
【0065】
その後、第2送信アンテナ11aから第1及び第2リクエスト信号が送信されると、送信機T1の識別コードID1が左後輪位置P3の識別コードとして、また送信機T2の識別コードID2が右後輪位置P4の識別コードとして登録情報にそれぞれ登録される。
【0066】
このように、本実施形態によっても、2つの送信アンテナ10a,11aを設けるだけで、レスポンス信号が各車輪位置P1〜P4の送信機のいずれから送信されたかを判別することができる。このため、従来のようにアンテナを各車輪位置P1〜P4にそれぞれ設ける必要がないため、構造の簡素化を図ることができるようになる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(4)送信機T1〜T4では、第3リクエスト信号の受信信号強度に基づいてレスポンス信号の送信周期を変更することとした。一方、監視装置1では、右前輪位置P2よりも左前輪位置P1の近くに第1送信アンテナ10aを配置した上で、同第1送信アンテナ10aから第3リクエスト信号を送信することとした。また、監視装置1では、右後輪位置P4よりも左後輪位置P3の近くに第2送信アンテナ11aを配置した上で、同第2送信アンテナ11aから第3リクエスト信号を送信することとした。そして監視装置1では、レスポンス信号の受信回数に基づいて同レスポンス信号が各車輪位置P1〜P4の送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することとした。これにより、同判別を2つの送信アンテナ10a,11aを設けるだけで行うことができるため、構造が簡素化されるようになる。
【0068】
<他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第3の実施形態では、車両に2つの送信アンテナ10a,11aを設けることとしたが、これに代えて、例えば送信アンテナを1つだけ設けてもよい。この場合、送信アンテナを、例えば「(左前輪位置P1までの距離)<(右前輪位置P2までの距離)<(左後輪位置P3までの距離)<(右後輪位置P4までの距離)」なる関係を満たすように配置する。また、同送信アンテナから全ての車輪位置P1〜P4に向けて第4リクエスト信号を送信する。第4リクエスト信号は、以下の(d1)〜(d4)に示す指令を含む信号である。なお、閾値Sth4〜Sth6は、「Sth4<Sth5<Sth6」なる関係を満たすとともに、第3〜第6周期Tc3〜Tc6は、「Tc6<Tc5<Tc4<Tc3」なる関係を満たすとする。
【0069】
(d1)第3リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth4未満である場合には、識別コードを含むレスポンス信号を第3周期Tc3で一定時間Tbだけ送信すること。
(d2)第3リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth4以上であって且つ、所定の閾値Sth5未満である場合には、識別コードを含むレスポンス信号を第4周期Tc4で一定時間Tbだけ送信すること。
【0070】
(d3)第3リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth5以上であって且つ、所定の閾値Sth6未満である場合には、識別コードを含むレスポンス信号を第5周期Tc5で一定時間Tbだけ送信すること。
【0071】
(d4)第3リクエスト信号の受信信号強度が所定の閾値Sth6以上である場合には、識別コードを含むレスポンス信号を第6周期Tc6で一定時間Tbだけ送信すること。
なお、閾値Sth4〜Sth6は、各車輪位置P1〜P4のそれぞれの送信機において検出される第3リクエスト信号の受信信号強度をS(P1)〜S(P4)とするとき、「S(P4)<Sth4<S(P3)<Sth5<S(P2)<Sth6<S(P1)」なる関係を満たすように設定する。このような構成によれば、監視装置1では、レスポンス信号の受信回数を識別コード毎にカウントすることで、受信回数の多いレスポンス信号から順に、左前輪位置P1、右前輪位置P2、左後輪位置P3、及び右後輪位置P4のそれぞれの位置の送信機から送信された信号であると判別することができる。これにより、同判別を1つの送信アンテナを設けるだけで行うことができるため、さらに構造が簡素化されるようになる。
【0072】
・上記各実施形態では、リクエスト信号の受信に基づき送信機T1〜T4が送信するレスポンス信号として、送信機の識別コードを含む信号を用いることとしたが、これに代えて、空気圧の情報を含む信号、すなわち上記検出信号を用いることも可能である。この場合、例えば第1の実施形態では、上記第1リクエスト信号及び第2リクエスト信号が送信機T1〜T4によって受信された際に、同送信機T1〜T4が各信号に含まれている指令に基づくフレーム数だけ空気圧の情報を含む検出信号を送信すればよい。なおこの場合、空気圧の情報が特定のデータとなる。このような構成によれば、監視装置1では、検出信号に送信機の識別コードが含まれていなくても、同検出信号が各車輪位置P1〜P4の送信機のいずれから送信された信号であるかを判別することができる。このため、監視装置1及び送信機T1〜T4に識別コードを記憶させる必要がないため、メモリ15a,24aとして容量の小さいものを採用することができるようになる。
【0073】
・上記各実施形態では、本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムを、4つの車輪を有する車両に適用することとしたが、例えば6つ以上の車輪を有する車両に適用することも可能である。
【0074】
・上記各実施形態では、登録スイッチ14のオン操作に基づいて登録情報の更新を行うこととしたが、これに代えて、例えばイグニッションスイッチのオン操作に基づいて登録情報の更新を行ってもよい。
【0075】
・上記各実施形態では、本発明にかかる車両の無線通信システムを車両のタイヤ空気圧監視システムに適用することとしたが、送信機から送信されたレスポンス信号が各車輪位置に位置する送信機のいずれから送信された信号であるかを判別する適宜の無線通信システムに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
T1〜T4…送信機、W1〜W4…車輪、1…監視装置、10…第1イニシエータ、10a…第1送信アンテナ、11…第2イニシエータ、11a…第2送信アンテナ、12,20,34…受信部、13,36…表示部、14…登録スイッチ、15,35…監視制御部、15a…メモリ、21…送信部、22…RSSI回路、23…空気圧センサ、24…センサ制御部、24a…メモリ、30〜33…イニシエータ、30a〜33a…送信アンテナ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の第1車輪位置に装着された車輪及び第2車輪位置に装着された車輪にそれぞれ設けられて、リクエスト信号の受信に基づきレスポンス信号を送信するとともに、前記リクエスト信号の受信信号強度に基づき前記レスポンス信号の送信態様を変更する送信機と、
前記第1車輪位置よりも第2車輪位置の近くに配置された送信アンテナを有して、該送信アンテナから前記第1車輪位置及び前記第2車輪位置に向けてリクエスト信号を送信するとともに、前記レスポンス信号を受信した際にその受信態様に基づいて同レスポンス信号が前記第1車輪位置に位置する送信機及び前記第2車輪位置に位置する送信機のいずれから送信された信号であるかを判別する通信機と、
を備えることを特徴とする車両の無線通信システム。
【請求項2】
前記レスポンス信号の送信態様の変更が、同レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を変更することで行われる
請求項1に記載の車両の無線通信システム。
【請求項3】
前記リクエスト信号として、その受信信号強度が所定の閾値未満であることを条件に前記レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を第1フレーム数に設定して且つ、その受信信号強度が前記所定の閾値以上であることを条件に前記レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を前記第1フレーム数よりも多い第2フレーム数に設定する指令を含む第1リクエスト信号と、その受信信号強度が前記所定の閾値未満であることを条件に前記レスポンス信号に含まれているフレーム数を前記第2フレーム数に設定して且つ、その受信信号強度が前記所定の閾値以上であることを条件に前記レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を前記第1フレーム数に設定する指令を含む第2リクエスト信号とがそれぞれ用いられる
請求項2に記載の車両の無線通信システム。
【請求項4】
前記通信機は、前記レスポンス信号が前記第1車輪位置に装着された送信機及び前記第2車輪位置に装着された送信機のいずれから送信されたかの判別を、前記送信アンテナから前記リクエスト信号を送信した時点から一定時間が経過した後に受信されるレスポンス信号に基づいて行う
請求項2又は3に記載の車両の無線通信システム。
【請求項5】
前記通信機は、前記レスポンス信号が前記第1車輪位置に装着された送信機及び前記第2車輪位置に装着された送信機のいずれから送信されたかの判別を、前記特定のデータを複数フレーム含むレスポンス信号に基づいて行う
請求項2又は3に記載の車両の無線通信システム。
【請求項6】
前記レスポンス信号の送信態様の変更が、その送信周期を変更することで行われる
請求項1に記載の車両の無線通信システム。
【請求項7】
車両の各車輪位置に装着された車輪にそれぞれ設けられてタイヤの空気圧を検出するとともに検出されたタイヤの空気圧の情報及び識別コードを含む検出信号を送信する送信機と、前記各車輪位置及び前記識別コードの関係を示す登録情報を保持する監視装置との間で前記検出信号の授受を行い、前記監視装置は、前記検出信号に含まれている識別コードと前記登録情報に登録された識別コードとの照合を通じて前記検出信号に含まれている空気圧の情報が前記各車輪位置のいずれのタイヤの空気圧を示すものであるかを判断するとともに、その判断結果、及び前記検出信号に含まれている空気圧の情報に基づき前記各車輪位置のタイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記送信機として、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両の無線通信システムの送信機が用いられるとともに、前記監視装置として、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両の無線通信システムの通信機が用いられて且つ、前記レスポンス信号として、前記識別コードを含む信号が用いられ、前記監視装置は、前記レスポンス信号が前記第1車輪位置の送信機及び前記第2車輪位置の送信機のいずれから送信された信号であるかを判別したとき、その判別された車輪位置に関連付けするかたちで前記レスポンス信号に含まれている識別コードを前記登録情報に登録する
ことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
【請求項1】
車両の第1車輪位置に装着された車輪及び第2車輪位置に装着された車輪にそれぞれ設けられて、リクエスト信号の受信に基づきレスポンス信号を送信するとともに、前記リクエスト信号の受信信号強度に基づき前記レスポンス信号の送信態様を変更する送信機と、
前記第1車輪位置よりも第2車輪位置の近くに配置された送信アンテナを有して、該送信アンテナから前記第1車輪位置及び前記第2車輪位置に向けてリクエスト信号を送信するとともに、前記レスポンス信号を受信した際にその受信態様に基づいて同レスポンス信号が前記第1車輪位置に位置する送信機及び前記第2車輪位置に位置する送信機のいずれから送信された信号であるかを判別する通信機と、
を備えることを特徴とする車両の無線通信システム。
【請求項2】
前記レスポンス信号の送信態様の変更が、同レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を変更することで行われる
請求項1に記載の車両の無線通信システム。
【請求項3】
前記リクエスト信号として、その受信信号強度が所定の閾値未満であることを条件に前記レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を第1フレーム数に設定して且つ、その受信信号強度が前記所定の閾値以上であることを条件に前記レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を前記第1フレーム数よりも多い第2フレーム数に設定する指令を含む第1リクエスト信号と、その受信信号強度が前記所定の閾値未満であることを条件に前記レスポンス信号に含まれているフレーム数を前記第2フレーム数に設定して且つ、その受信信号強度が前記所定の閾値以上であることを条件に前記レスポンス信号に含まれている特定のデータのフレーム数を前記第1フレーム数に設定する指令を含む第2リクエスト信号とがそれぞれ用いられる
請求項2に記載の車両の無線通信システム。
【請求項4】
前記通信機は、前記レスポンス信号が前記第1車輪位置に装着された送信機及び前記第2車輪位置に装着された送信機のいずれから送信されたかの判別を、前記送信アンテナから前記リクエスト信号を送信した時点から一定時間が経過した後に受信されるレスポンス信号に基づいて行う
請求項2又は3に記載の車両の無線通信システム。
【請求項5】
前記通信機は、前記レスポンス信号が前記第1車輪位置に装着された送信機及び前記第2車輪位置に装着された送信機のいずれから送信されたかの判別を、前記特定のデータを複数フレーム含むレスポンス信号に基づいて行う
請求項2又は3に記載の車両の無線通信システム。
【請求項6】
前記レスポンス信号の送信態様の変更が、その送信周期を変更することで行われる
請求項1に記載の車両の無線通信システム。
【請求項7】
車両の各車輪位置に装着された車輪にそれぞれ設けられてタイヤの空気圧を検出するとともに検出されたタイヤの空気圧の情報及び識別コードを含む検出信号を送信する送信機と、前記各車輪位置及び前記識別コードの関係を示す登録情報を保持する監視装置との間で前記検出信号の授受を行い、前記監視装置は、前記検出信号に含まれている識別コードと前記登録情報に登録された識別コードとの照合を通じて前記検出信号に含まれている空気圧の情報が前記各車輪位置のいずれのタイヤの空気圧を示すものであるかを判断するとともに、その判断結果、及び前記検出信号に含まれている空気圧の情報に基づき前記各車輪位置のタイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記送信機として、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両の無線通信システムの送信機が用いられるとともに、前記監視装置として、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両の無線通信システムの通信機が用いられて且つ、前記レスポンス信号として、前記識別コードを含む信号が用いられ、前記監視装置は、前記レスポンス信号が前記第1車輪位置の送信機及び前記第2車輪位置の送信機のいずれから送信された信号であるかを判別したとき、その判別された車輪位置に関連付けするかたちで前記レスポンス信号に含まれている識別コードを前記登録情報に登録する
ことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−179973(P2012−179973A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43050(P2011−43050)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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