説明

車両の荷室構造

【課題】リヤパーセルシェルフを軽量化した構造でありながら、リヤパーセルシェルフを邪魔にならないように格納することができ、リヤパーセルシェルフを格納した状態の荷室の外観を低下させることがない車両の荷室構造を提供する。
【解決手段】車両の荷室1の内側壁を形成する左右一対の内装トリム10L,10R間に、荷室1を上側荷室1Aと下側荷室1Bに仕切るラゲッジフロアボード60を架設し、リヤパーセルシェルフ40を荷室1の上部を覆うように左右一対の内装トリム10L,10R間に架設した第1架設状態と、リヤパーセルシェルフ40を下側荷室1B内で左右一対の内装トリム10L,10R間に架設して格納した第2架設状態とに切換え自在に構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の荷室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の後部荷室を構成する左右一対の内装トリムには、荷室の上部を覆って荷室内を車室外から見えなくするリヤパーセルシェルフを架設してある。そして、荷物の上部がリヤパーセルシェルフと干渉する場合、リヤパーセルシェルフを内装トリムの支持部から取り外して荷物を荷室に積み込んでいる。ところが、リヤパーセルシェルフは比較的大きい部品であるために、支持部から取り外したリヤパーセルシェルフの置き場所に困っていた。そこで、従来、特許文献1に開示されているように、リヤパーセルシェルフを後席のシートバックの背面に車両後方側から重ね合わせて格納する技術が開発されていた。
【特許文献1】特公昭60−33693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、車両のシートバックは前方に倒伏されてその背面に荷物が置かれる場合がある。そのために、上記従来の構造を採用すると、格納状態のリヤパーセルシェルフに荷物が置かれることになり、荷物が置かれることを前提としていないリヤパーセルシェルフを厚肉にしたり、リヤパーセルシェルフに補強部を加えたりして強度・剛性を強くしなければならなかった。その結果、リヤパーセルシェルフの重量化を招いていた。また、シートバックを前方に倒伏させたときのシートバックの背面の見栄えが悪くなるという問題もあり、改善の余地が残されていた。
【0004】
本発明の目的は、リヤパーセルシェルフを軽量化した構造でありながら、リヤパーセルシェルフを邪魔にならないように格納することができ、リヤパーセルシェルフを格納した状態の荷室の外観を低下させることがない車両の荷室構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴は、
車両の荷室の内側壁を形成する左右一対の内装トリム間に、前記荷室を上側荷室と下側荷室に仕切るラゲッジフロアボードを取り外し自在に架設し、リヤパーセルシェルフを前記荷室の上部を覆うように前記左右一対の内装トリム間に架設した第1架設状態と、前記リヤパーセルシェルフを前記下側荷室内で前記左右一対の内装トリム間に架設して格納した第2架設状態とに切換え自在に構成してある点にある。
【0006】
この構成によれば、第1架設状態から第2架設状態に切換えて、リヤパーセルシェルフを下側荷室内で左右一対の内装トリム間に架設して格納する。格納状態のリヤパーセルシェルフはラゲッジフロアボードで覆われているから、リヤパーセルシェルフに荷物が置かれることがなく、リヤパーセルシェルフが割れたり折れたりすることがない。この効果は、後席のシートバックが車両前方側に倒伏してその背面が荷室の床となる場合でも同様に得ることができる。従って、リヤパーセルシェルフの強度・剛性をより強くしなくてもよくなる。これにより、リヤバックパッドの重量化を抑制することができる。また格納状態ではリヤパーセルシェルフがラゲッジフロアボードの下に隠れていて見えないから、リヤパーセルシェルフを格納した状態の荷室の見栄えが悪くなることがない。
【0007】
本発明において、
前記リヤパーセルシェルフの左右両側部に係合部を設け、
前記第1架設状態で前記係合部を係合させる第1被係合部を前記左右一対の内装トリムに設けるとともに、前記第1架設状態で前記リヤパーセルシェルフの左右の側部を下側から受け止め支持する第1シェルフ支持部を前記左右一対の内装トリムに設け、
前記第2架設状態で前記係合部を係合させる第2被係合部を前記左右一対の内装トリムに設けるとともに、前記第2架設状態で前記リヤパーセルシェルフの左右の側部を下側から受け止め支持する第2シェルフ支持部を前記左右一対の内装トリムに設けてあると、次の作用を奏することができる。
【0008】
第1架設状態では、リヤパーセルシェルフの左右両側部に設けた係合部を、左右一対の内装トリムに設けた第1被係合部に各別に係合し、リヤパーセルシェルの左右両側部を、左右一対の内装トリムに設けた第1シェルフ支持部で各別に下側から受け止め支持する。第2架設状態では、リヤパーセルシェルフの左右両側部に設けた係合部を、左右一対の内装トリムに設けた第2被係合部に各別に係合し、リヤパーセルシェルの左右両側部を、左右一対の内装トリムに設けた第2シェルフ支持部で各別に下側から受け止め支持する。これにより、第1架設状態と第2架設状態でリヤパーセルシェルフを左右一対の内装トリムで安定支持できる。
【0009】
本発明において、
前記係合部を下側開放の切欠き溝状に形成し、前記第1被係合部と第2被係合部を前記内装トリムから車両の左右中心側に突出する軸状に形成してあると、リヤパーセルシェルフを上方から下方に降ろすだけで簡単に係合部を第1被係合部や第2被係合部に係合させることができ、係合作業を簡単化することができる。そして、第1被係合部や第2被係合部でリヤパーセルシェルフの車両前後方向の位置を決めることができる。また、リヤパーセルシェルフは一般に樹脂で成形されており、係合部と第1被係合部と第2被係合部を簡単に成形することができて、成形型の構造も簡素化することができる。
【0010】
本発明において、
前記係合部を前記リヤパーセルシェルフの車両前後方向の一端部側に配置し、
前記ラゲッジフロアボードを前記左右一対の内装トリムから取り外した状態で、前記第2架設状態のリヤパーセルシェルフの上方に開放空間を形成して、前記リヤパーセルシェルフを前記第2被係合部の軸芯周りに上方へ揺動操作可能に構成し、
前記リヤパーセルシェルフの前記上方への揺動角度が所定角度になると、前記リヤパーセルシェルフの前記一端部側の左右の側部を下側から受け止めて、前記リヤパーセルシェルフの揺動を阻止するストッパ部を前記左右一対の内装トリムに設けてある構成では、次の作用を奏することができる。
【0011】
ラゲッジフロアボードを左右一対の内装トリムから取り外して第2架設状態のリヤパーセルシェルフの上方に開放空間を形成した状態で、リヤパーセルシェルフを第2被係合部の軸芯周りに所定角度上方へ揺動させると、リヤパーセルシェルフの前記一端部側の左右の側部が、左右一対の内装トリムのストッパ部に下側から受け止められて、リヤパーセルシェルフの前記所定角度を越える揺動が阻止される。
なおも同じ方向にリヤパーセルシェルフを揺動させようとすると、てこの原理により、リヤパーセルシェルフの係合部を第2被係合部から軽い力で外すことができる。つまり、第2被係合部の軸芯からリヤパーセルシェルフの前記一端部側の端縁(車両前後方向のリヤパーセルシェルフの一端縁)までの長さと、前記軸芯からリヤパーセルシェルフの他端部の端縁(車両前後方向のリヤパーセルシェルフの他端縁)までの長さとでは後者の長さが長いので、リヤパーセルシェルフの他端部に加える揺動操作力が小さくて済み、係合部を第2被係合部から軽い力で外すことができる。これにより、リヤパーセルシェルフを第1荷室の上方側に移動させて、第1架設状態に設定することができるようになる。
【0012】
本発明において、
前記第2被係合部を前記第2シェルフ支持部よりも車両後方側に配置してあると、次の作用を奏することができる。
【0013】
乗員等がリヤパーセルシェルフを第2被係合部の軸芯周りに上方に揺動させる際、荷室の後方側から揺動操作するのが一般的であり、その際に、乗員等はリヤパーセルシェルフの車両前方側の端部を車両の後ろ斜め上方側に引いてリヤパーセルシェルフを揺動させることができて、揺動操作しやすくすることができる。
【0014】
本発明において、
前記ラゲッジフロアボードに左右幅方向に沿うヒンジ部を設けて、前記ヒンジ部を介して前記ラゲッジフロアボードを折り畳み自在に構成し、
前記左右一対の内装トリムの車両前方側の端部に、折り畳み状態の前記ラゲッジフロアボードの左右の側部を上下方向に沿う姿勢に保持する保持部を設け、
前記第2架設状態のリヤパーセルシェルフが、前記左右一対の内装トリムの保持部間に位置するように、前記保持部と前記第2被係合部と第2シェルフ支持部とを配置してあると、次の作用を奏することができる。
【0015】
折り畳み状態のラゲッジフロアボードの左右の側部を左右一対の内装トリムの保持部で上下方向に沿う姿勢に保持した状態にすることができ、これにより、上側荷室と下側荷室を上下に連続させて荷室の高さを高くすることができる。そして、第2架設状態のリヤパーセルシェルフが、左右一対の内装トリムの保持部間に位置するように、保持部と第2被係合部と第2シェルフ支持部とを配置してあるから、第2架設状態にしたときは、折り畳み状態のラゲッジフロアボードを保持部で保持しようとしても、リヤパーセルシェルフがラゲッジフロアボードに干渉するために、ラゲッジフロアボードを保持部で保持することができない。つまり第2架設状態にしたときは、ラゲッジフロアボードが左右一対の内装トリム間に架設された状態になり、下側荷室に格納したリヤパーセルシェルフは必ずラゲッジフロアボードで覆われる。その結果、リヤパーセルシェルフに荷物が置かれることがなくなって、リヤパーセルシェルフが割れたり折れたりすることを防止することができる。
【0016】
本発明において、
前記リヤパーセルシェルフを、左右一対の側壁を備えた下向きのトレイ状に形成して、左側の側壁で前記リヤパーセルシェルフの左側の側部を構成するとともに、右側の側壁で前記リヤパーセルシェルフの右側の側部を構成し、
前記第1シェルフ支持部と第2シェルフ支持部を、前記側壁を下側から受け止め支持する棚状に形成してあると、次の作用を奏することができる。
【0017】
リヤパーセルシェルフを、左右一対の側壁を備えた下向きのトレイ状に形成してあるから、リヤパーセルシェルフが薄肉であってもリヤパーセルシェルフの強度を確保することができる。そして、第1シェルフ支持部と第2シェルフ支持部を、リヤパーセルシェルフの左右の側壁を下側から受け止め支持する棚状に形成したことで、第1シェルフ支持部や第2シェルフ支持部によるリヤパーセルシェルの支持状態を安定化することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、
リヤパーセルシェルフを軽量化した構造でありながら、リヤパーセルシェルフを邪魔にならないように格納することができ、リヤパーセルシェルフを格納した状態の荷室の外観を低下させることがない車両の荷室構造を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する(本実施形態では、各部品・各部材の「車両前方側の端部」を「前端部」と称し、「車両後方側の端部」を「後端部」と称している)。図1,図2に自動車の後部荷室1を示してある。この荷室1は、後席のシートバック2と、スペアタイヤ収容部4を備えたフロアパネル3と、荷室1の左右の内側壁を形成する左右一対の内装トリム10L,10Rと、荷室1の後壁を形成するテールエンドトリム30と、左右一対の内装トリム10L,10R間に取り外し自在に水平に架設されたリヤパーセルシェルフ40・ラゲッジフロアボード60等で形成されている。内装トリム10L,10R・テールエンドトリム30・リヤパーセルシェルフ40・ラゲッジフロアボード60はそれぞれ樹脂製である。
【0020】
前記シートバック2は車両前方側Fに倒伏自在であり、倒伏状態でシートクッション5の上面に上から重なって荷室1を車両前方側Fに広げる役割を果たす。前記左右一対の内装トリム10L,10R同士はほぼ対称形状(一部形状が異なる)であり、各内装トリム10L,10Rは、下側の第1クォータトリム12L,12Rと、第1クォータトリム12L,12Rの上端部に下端部がクリップ固定された第2クォータトリム13L,13Rと、第2クォータトリム13L,13Rの上端部に下端部がクリップ固定された第3クォータトリム14L,14Rとから成る。
【0021】
図2,図13,図15,図16に示すように、第1クォータトリム12L,12Rの上端部(すなわち内装トリム10L,10Rの上下方向中間部)に、ラゲッジフロアボード60の左右の側部61を支持するボード支持部58を張出し形成してある。そして、ラゲッジフロアボード60の左右の側部61を左右一対の第1クォータトリム12L,12Rのボード支持部58に支持させて、荷室1をラゲッジフロアボード60で上側荷室1Aと下側荷室1Bに仕切った第1状態(図1,図2参照)と、ラゲッジフロアボード60をフロアパネル3に載置して、上側荷室1Aと下側荷室1Bを上下に連続させた第2状態(図4参照)とに切換え自在に構成してある。フロアパネル3にはカーペットを敷いてある。図2に示すように、第2クォータトリム13L,13Rを左右外方側に膨出させて上側荷室1Aを広くするとともに、上側荷室1Aの左右幅(車幅方向の幅)をラゲッジフロアボード60の左右幅(車幅方向の幅)よりもに幅広にしてある。
【0022】
[リヤパーセルシェルフ40の構造、及び、リヤパーセルシェルフ40の取付け構造]
図1,図2,図8に示すようにリヤパーセルシェルフ40を、ラゲッジフロアボード60よりも左右幅及び車両前後方向の長さが短い下向きのトレイ状(後述の上壁(天板)87の周縁から側壁39,86が下方に延びる下向きのトレイ状)に形成し、リヤパーセルシェルフ40の後端部にバックドアトリムに対するクッション材42を設けてある。リヤパーセルシェルフ40は下広がりの左右一対の側壁39と、同じく下広がりの前後一対の側壁86と、上壁(天板)87とを備え、左側の側壁39でリヤパーセルシェルフ40の左側の側部を構成するとともに、右側の側壁39でリヤパーセルシェルフの右側の側部を構成している。そして、上壁87に下側に凹む左右に長い凹部88を形成してある。凹部88は左右中央部が浅く左右両側が深くなっている。リヤパーセルシェルフ40の前端は左右一直線状に形成され、後端は左右両側が緩やかな凸の円弧状に形成されている。リヤパーセルシェルフ40は荷室1(第1荷室1A)の上部を覆って荷室1内を車室外から見えなくする部品であり、荷物を載せる部品ではない。従って、強度をあまり強くすることなく、薄肉に成形して軽量化を図ってある。リヤパーセルシェルフ40は左右対称である。
【0023】
このリヤパーセルシェルフ40を、荷室1の上部を覆うように左右一対の第3クォータトリム14L,14R間に架設した第1架設状態(図1,図2参照)と、下側荷室1B内で左右一対の第1クォータトリム12L,12R間に架設・格納した第2架設状態(図6参照)とに切換え自在に構成してある。
【0024】
詳述すると、図1,図8,図19,図20に示すように、リヤパーセルシェルフ40の前端部94(車両前後方向の一端部に相当)の左右両側部(左右両側壁39)に下側及び左右開放の切欠き溝状の第1係合部41を設け、第1架設状態で第1係合部41を係合させる第1被係合部50を左右一対の第3クォータトリム14L,14Rに設けるとともに、前記第1架設状態でリヤパーセルシェルフ40の左右の側部(左右の側壁39)を載置・支持(下側から受け止め支持)する第1シェルフ支持部49を左右一対の第3クォータトリム14L,14Rに設けてある。図21の符号70はクッション材である。前記第1係合部41は、リヤパーセルシェルフ40の側壁39に下側開放の切欠き溝を形成し、この側壁39の両壁面に下側開放の切欠き溝を備えた逆U字状のホルダ80を重合して構成してある。
【0025】
そして、第3クォータトリム14L,14Rの下半部に、車両の左右中心側(「車幅方向内側」と称することがある。また、逆方向を「車幅方向外側」と称することがある)に膨出するやや大きな第1膨出部76を設け、第1膨出部76の下半部に、左右中心側にさらに膨出する横断面及び縦断面長方形の第2膨出部77を設けてある。この第2膨出部77の上面部を車両前後方向に延びる水平な棚状に形成して前記第1シェルフ支持部49を構成し、前記上面部の前端部の前上方側(車両前後方向で前上方側)に、車両の左右中心側に突出する丸軸状の凸部を設けて前記第1被係合部50を構成してある。
【0026】
また左右一対の第1クォータトリム12L,12Rに、前記第2架設状態でリヤパーセルシェルフ40の第1係合部41が係合する第2被係合部55を設けるとともに、前記左右一対の第1クォータトリム12L,12Rに、前記第2架設状態でリヤパーセルシェルの左右の側部(左右の側壁39)を載置・支持(下側から受け止め支持)する第2シェルフ支持部56を設けてある。第2被係合部55と第2シェルフ支持部56については[クォータトリムの構造]の欄で詳しく説明する。
【0027】
[ラゲッジフロアボード60の構造]
図9(a),図9(b),図9(c),図10(a),図10(b)に示すように、ラゲッジフロアボード60を左右に長いやや厚肉の板状に形成し、ラゲッジフロアボード60の前端を左右一直線状に形成し、後端85Kをテールエンドトリム30の車両前方側Fの内面31に沿う緩やかな凸の円弧状に形成してある。そして、ラゲッジフロアボード60の前後中央部に左右幅方向に沿う薄肉のヒンジ部62を全幅にわたって設け、前記第1状態でラゲッジフロアボード60の車両後方側の後半部60Bをヒンジ部62を回転中心として上方に揺動開放自在に構成し、ラゲッジフロアボード60をヒンジ部62を介して二つ折りに折り畳み自在に構成してある。また、テールエンドトリム30の前記内面31との間にラゲッジフロアボード60の開閉操作用開口64を形成する左右一対の横長の切欠き63をラゲッジフロアボード60の後端部85に形成してある。ラゲッジフロアボード60の左右の側部61の下面にはシート状のパッド68を貼着してある(図9(b),図10(b)参照)。パッド68はラゲッジフロアボード60の左右の側部61とボード支持部58との当接音を防止する。ラゲッジフロアボード60は左右対称である。
【0028】
図11,図12にも示すように、ラゲッジフロアボード60の後端部85の左右両側部61に左右一対の第2係合部65を各別に設けるとともに、テールエンドトリム30に設けた左右一対のブラケット32に後側被係合部33を設け、前記第1状態のラゲッジフロアボード60の第2係合部65を後側被係合部33に係合させてある。第2係合部65は下側に凸の断面円弧状の凸部から成り、後側被係合部33は上側開放のC字状の薄板材から成る。第2係合部65は後側被係合部33に上側から弾性係合する。この弾性係合状態で、乗員が左右一対の開閉操作用開口64に手を入れてラゲッジフロアボード60の後端部85を持ち上げれば、第2係合部65と後側被係合部33の弾性係合を容易に解除できる。
【0029】
前記ラゲッジフロアボード60の左右の側部61を、ラゲッジフロアボード60の前端部67の第1側部部分61Aと、この第1側部部分61Aの車両前後方向の後端に連続する第2側部部分61Bと、この第2側部部分61Bの車両前後方向の後端に連続する第3側部部分61Cとに区分けして、第1側部部分61Aの下面が第2側部部分61Bの下面よりも上方に位置するように、左右の側部61の下面に段差部66を設けてある。また、ラゲッジフロアボード60の左右の側部61間の前端部67の下面にも、前記段差部66よりも車両前方側Fに位置する左右に長い段差部66を、前記左右の側部61の下面の段差部66と連なる状態に形成してある。そして、車両前方側Fに倒伏させた後席のシートバック2の背面2Hの後端部2Kに、前記第1状態のラゲッジフロアボード60の前端部67を上側から重ねるよう構成してある(図1参照)。つまり、段差部66を形成して薄肉にした前記前端部67をシートバック2の後端部に上から重ねてシートバック2とラゲッジフロアボード60との間に大きな段差が生じなくするとともに、シートバック2とラゲッジフロアボード60の間に車両前後方向で隙間が生じないようにしてある。倒伏状態のシートバック2の背面2Hはラゲッジフロアボード60の上面とほぼ同じ高さに位置する。図9(c)に示すように、パッド68は前記第1側部部分61Aの下面の後半部にも貼着されている。
【0030】
前記薄肉のヒンジ部62はラゲッジフロアボード60の上面側に位置しており、ラゲッジフロアボード60を二つ折りに折り畳んだときに、車両後方側Rの後半部60Bの意匠面である上面と、車両前方側Fの前半部60Aの意匠面である上面とが上下に重なる。前記第1状態で乗員がラゲッジフロアボード60の後端部85を持ち上げて、ラゲッジフロアボード60の後半部60Bをヒンジ部62周りに上方に揺動させるとともに前半部60Aに上側から重ねることで、下側荷室1Bの後半部を開放できて下側荷室1Bに荷物を容易に出し入れすることができる(図3参照)。ラゲッジフロアボード60の車両後方側Rの円弧状の後端85Kは、二つ折り状態ではラゲッジフロアボード60の車両前方側Fの直線状の前端よりも車両前方側Fにはみ出している(図3参照)。従って、二つ折り状態の前記後端に乗員が手を掛けて斜め後ろ上方に持ち上げれば、ラゲッジフロアボード60を展開させて一枚板状に戻すことができる。
【0031】
[第1クォータトリム12L,12Rの構造]
左右一対の第1クォータトリム12L,12R同士はほぼ対称形状であり、右側の第1クォータトリム12Rを例に挙げてその構造について説明する。図13〜図18に示すように、第1クォータトリム12Rを車両の左右方向(車幅方向と称することがある)から見てほぼ台形状に形成し、第1クォータトリム12Rの下端部に形成した車両の左右中心側への第1下側折り曲げ部19をフロアパネル3に載置し、クリップ44を第1下側折り曲げ部19とフロアパネル3のクリップ孔43に挿通させて固定してある(図15参照)。第1下側折り曲げ部19にもカーペットを敷いてある。
【0032】
そして図16,図17に示すように、第1クォータトリム12Rの上端部に断面コの字状の上側折り曲げ部20Aを形成し、この上側折り曲げ部20Aに、第2クォータトリム13Rの断面コの字状の第2下側折り曲げ部73Aを、車幅方向内側及び上側から重合してクリップで固定してある。上側折り曲げ部20Aの上面部20と第2下側折り曲げ部73Aの上面部73は車幅方向で幅広になっている。また図17に示すように、テールエンドトリム30に設けた係合爪71を、第1クォータトリム12Rの上端部に形成した係合孔72に挿入して弾性係合してある。前記幅広の上面部20・73同士を重合・固定したことで、柔軟な素材から成る第2クォータトリム13Rを第1クォータトリム12Rで安定支持することができる。さらに、第1クォータトリム12Rの前端部の上部に立上がり片22を設け、この立上がり片22を第2クォータトリム13Rの下端部にクリップで固定してある。符号43はクリップ孔である。
【0033】
図13に示すように、第1クォータトリム12Rの前端部の下部に、前記第2状態のラゲッジフロアボード60の前端部67を車両前方側Fから受止めて車両前方側Fへの移動を阻止する阻止壁23を車両の左右中心側に向けて突設してある。阻止壁23は上下方向に沿う縦壁であり、下端23Kが第1クォータトリム12Rの第1下側折り曲げ部19に間隔を空けて対向している。この間隔(隙間)は、クリップ取付け用の作業空間やカーペットを敷くための空間になっている。また、車両の仕様(例えば2WD仕様と4WD仕様)によってフロアパネル3に敷くカーペットの厚さが異なることから、阻止壁23の高さ寸法(上下方向の長さ)を長くして、カーペットの厚さの違いによるラゲッジフロアボード60の上下位置の変化に対応可能にしてある。
【0034】
そして、第1クォータトリム12Rの前端部において前記阻止壁23の車両後ろ側上方(車両前後方向で後ろ上方)に、折り畳み状態のラゲッジフロアボード60の左右の側部61を上下方向に沿う姿勢に保持する保持部24を設け、この保持部24を上側及び車両の左右中心側が開放した断面コの字形の縦溝状に形成して、車両前後方向で対向する前側縦壁25と後側縦壁26とで前記折り畳み状態のラゲッジフロアボード60の左右の側部61を保持するように構成してある。さらに、前側縦壁25の上端部25Tを、後側縦壁26の上端部26Tよりも上方に延出してある(図1,図3参照)。前側縦壁25の上端部25Tと後側縦壁26の上端部26Tは第1クォータトリム12Rの上端部に位置している。
【0035】
前側縦壁25の下端部は水平な連結壁29を介して前記阻止壁23の上端部と連結している。上記構造の保持部24に保持された折り畳み状態のラゲッジフロアボード60は、その上端部が、車両前方側Fに倒伏させたシートバック2の背面2Hの後端部2Kの上方に突出する(図5参照)。前側縦壁25の車幅方向外側の側部からは側面視(左右方向視)三角形状の縦壁27が車両前方側Fに突出している。前記連結壁29と前側縦壁25と後述の突出壁36と三角形状の縦壁27で形成される凹部45に、倒伏状態のシートバック2の後端部の左右の側部が入り込む。つまり、倒伏したシートバック2の後端部の左右の側部に対して、車幅方向外側から三角形状の縦壁27が対向し、上方から突出壁36が対向し、車両後方側Rから前側縦壁25が対向し、下方から連結壁29が対向する。
【0036】
また、前側縦壁25の上端部25Tの車幅方向外側の部分から車両前方側Fに突出する突出壁36を設けてある。突出壁36の壁面は上下方向を向いている。この突出壁36はラゲッジフロアボード60の左右の側部61と第2クォータトリム13Rの下端部との間の隙間をなくしている。突出壁36の上面36Aはラゲッジフロアボード60の上面と上下方向でほぼ同じ位置に位置し、突出壁36の車幅方向外側の外側面は第2クォータトリム13Rの第2下側折り曲げ部73Aに近接し、車幅方向内側の内側面はラゲッジフロアボード60の車幅方向外側の側面に近接している。突出壁36の前端は起立状態(着座用姿勢)のシートバック2の背面2Hに近接し、倒伏状態のシートバック2の後端に近接する。図13,図14に示すように、突出壁36の後端と第1クォータトリム12Rの上側折り曲げ部20Aの上面部20の前端との間には、第2クォータトリム13Rの第2下側折り曲げ部の上面部73に形成した下向きの爪46を挿入させるスリット37を形成して、下向きの爪46をスリット37に挿入させてある。
【0037】
図13に示すように、第1クォータトリム12Rの上半部に車両の左右中心側に膨出する側面視四角形状の第3膨出部34を形成し、この第3膨出部34の下半部に、さらに車両の左右中心側に膨出する第4膨出部28を形成してある。両膨出部34,28とも横断面及び縦断面形状が長方形である。そして、第3膨出部34の上面部を車両前後方向に延びる水平な棚状に形成して前記ボード支持部58を構成してある。図2,図15,図16に示すように、ボード支持部58は車体側の支持部59で下側から支持されている。このボード支持部58でラゲッジフロアボード60の第3側部部分61Cを下側から受け止め支持(載置支持)する。第3膨出部34の上面部であるボード支持部58は保持部24の後側縦壁26の上端部26Tから車両後方側Rに延びている。前記後側縦壁26は第3膨出部34と第4膨出部28の車両前方側Fの前壁部を構成しており、後側縦壁26は第4膨出部28の下端部から下方に車両前後方向一定の厚さで延出している。
【0038】
前記前側縦壁25の上端部25Tは、ボード支持部58に支持されたラゲッジフロアボード60の上面よりも低所に位置する。また、前記第1状態で、ラゲッジフロアボード60の第1側部部分61Aを前側縦壁25の上方に配置し、第2側部部分61Bを保持部24の前側縦壁25と後側縦壁26の間の上方に配置するとともに、第3側部部分61Cをボード支持部58に載置して、前記第1状態のラゲッジフロアボード60の第2側部部分61Bを前側縦壁25の上端部25Tで車両前方側Fから受止め可能に構成してある(図1参照)。
【0039】
そして、第4膨出部28の上面部を車両前後方向に延びる水平の棚状に形成して、前記第2シェルフ支持部56を構成してある。この第2シェルフ支持部56が、前記第2架設状態のリヤパーセルシェルフ40の左右の側部(左右の側壁39)を下側から受け止め支持する。また第4膨出部28の上面部の後端部の後ろ上方側(車両前後方向で後ろ上方側)に、車両の左右中心側に突出する丸軸状の凸部を設けて前記第2被係合部55を構成してある。前記第2架設状態で第2被係合部55にリヤパーセルシェルフ40の第1係合部41が上側から係合する(図6参照)。第2架設状態のリヤパーセルシェルフ40は第1架設状態のリヤパーセルシェルフ40とは車両前後方向で逆向きになる。
【0040】
上記のように、前記第2被係合部55を第2シェルフ支持部56(第4膨出部28の上面部)の車両後ろ上方側に配置して、前記第2架設状態のリヤパーセルシェルフ40を、第2被係合部55の軸芯O周りに第2シェルフ支持部56から離間する上方に揺動操作可能に構成してある。そして、リヤパーセルシェルフ40を第2被係合部55の軸芯O周りに所定角度揺動させたときに、リヤパーセルシェルフ40の前端部94(第2架設状態ではこの前端部94が後端部よりも車両後方側Rに位置している)を下側から受け止めて、リヤパーセルシェルフ40の前記所定角度を越える揺動を阻止するストッパ部57を第4膨出部28に設けてある。このストッパ部57は第4膨出部28の車両後方側Rの下端部を車両後方側Rに延出して構成されている。
【0041】
つまり、
前記ラゲッジフロアボード60を左右一対の第1クォータトリム12L,12Rから取り外した状態で、第2架設状態のリヤパーセルシェルフ40の上方に開放空間を形成して、リヤパーセルシェルフ40を第2被係合部55の軸芯O周りに上方へ揺動操作可能に構成してある。さらに、リヤパーセルシェルフ40の前記上方への揺動角度が所定角度になると、リヤパーセルシェルフ40の前端部94側の左右の側部(左右の側壁39)を下側から受け止めて、リヤパーセルシェルフ40の揺動を阻止するストッパ部57を左右一対の第1クォータトリム12L,12Rに設けてある。
【0042】
上記の構造により図22に示すように、乗員がリヤパーセルシェルフ40を第2被係合部55の軸芯O周りに所定角度上方へ揺動させると、リヤパーセルシェルフ40の前端部94側の左右の側部(左右の側壁39)が、左右一対の第1クォータトリム12L,12Rのストッパ部57に下側から受け止められて、リヤパーセルシェルフ40の前記所定角度を越える揺動が阻止される。なおも同じ方向にリヤパーセルシェルフ40を揺動させようとすると、てこの原理によりリヤパーセルシェルフ40の第1係合部41を第2被係合部55から軽い力で上方に外すことができる。これにより、リヤパーセルシェルフ40を第1荷室1Aの上方側に移動させて、第1架設状態に設定することができるようになる。
【0043】
また、前記第2架設状態のリヤパーセルシェルフ40が、左右一対の第1クォータトリム12L,12Rの保持部24間に位置するように、保持部24と第2被係合部55と第2シェルフ支持部56とを配置してある。
【0044】
[第2状態に設定するための構造]
図7,図13に示すように、上側荷室1Aの車両後方側Rの後半部と下側荷室1Bの車両後方側Rの後半部との境界部7である第1クォータトリム12Rの後端部の上部8に、左右一対の第1クォータトリム12L,12Rの対向面同士の間隔がラゲッジフロアボード60の左右幅よりも幅広の幅広部9(境界部分に相当)を設け、幅広部9の前記対向面同士の間の上方から下方にラゲッジフロアボード60を通過させて前記第2状態に設定するよう構成してある。すなわち、ラゲッジフロアボード60の左右幅方向を車両の左右幅方向に合わせた状態で、ラゲッジフロアボード60を幅広部9の対向面同士の間を上から下に通して前記第2状態に設定する。前記幅広部9の左右の側部はボード支持部58の車両後方側Rに位置する。境界部7より下方の下側荷室部分の左右幅はラゲッジフロアボード60の左右幅よりもに幅広になっている。
【0045】
ラゲッジフロアボード60は縦姿勢で前端部67側から幅広部9に挿入される。そして、ヒンジ部62を回転中心にして折れ曲がりながら幅広部9を通過し、前下方に送られ、ヒンジ部62を回転中心にして逆方向に折れ曲がってフロアパネル3に載置する。第1状態でのラゲッジフロアボード60の車両前後左右上下方向の向きは第2状態のラゲッジフロアボード60の車両前後左右上下方向の向きと同じになる。また、第1クォータトリム12Rの第3膨出部34及び第4膨出部28の後端面34Aを、下端側ほど車両前方側Fに位置する傾斜面に形成し、第1クォータトリム12Rの後端部に設けた車両の左右中心側への立上がり壁99の上半部を、下端側ほど車両後方側Rに位置する傾斜壁に形成して、ラゲッジフロアボード60の左右の側部61が第1クォータトリム12Rの各部に干渉しにくくしてある。
【0046】
[ラゲッジフロアボード60の配置の態様]
(1)通常位置(図1参照)
ラゲッジフロアボード60の左右の側部61を左右一対の第1クォータトリム12L,12Rのボード支持部58に支持させて、荷室1をラゲッジフロアボード60で上側荷室1Aと下側荷室1Bに仕切った第1状態である。倒伏状態のシートバック2の背面2Hはラゲッジフロアボード60の上面とほぼ同じ高さに位置する。
乗員は上側荷室1Aと下側荷室1Bに別々に荷物を収納することができる。この状態では、ラゲッジフロアボード60の左右の側部61の下面に貼着したパッド68で前記左右の側部61とボード支持部58との当接音を防止している。例えば、ラゲッジフロアボード60にカーペットを敷設するとともに、カーペットをラゲッジフロアボード60の左右の側部61の下面に回り込ませ、このカーペットで前記当接音を防止してもよい。
ラゲッジフロアボード60の車両前後方向の位置は、ラゲッジフロアボード60の後端部85の第2係合部65が、テールエンドトリム30の後側被係合部33に係合することで決められる。この係合によってラゲッジフロアボード60の後部の浮き上がりも防止される。また、ラゲッジフロアボード60の第2側部部分61Bが、保持部24の前側縦壁25の上端部25Tで車両前方側Fから受止められる。このとき、前側縦壁25の上端部25Tと第2側部部分61Bとの当接音が、第2側部部分61Bの下端部前面(段差部66の前面)及び第1側部部分61Aの下面に貼着したパッド68(図9(c)参照)で防止される。ラゲッジフロアボード60の左右の位置は、ラゲッジフロアボード60の左右の側部61が第2クォータトリム13Rの下端部の第2下側折り曲げ部73Aに当接することで決められる。
テールエンドトリム30の内面とラゲッジフロアボード60の間に形成されている開閉操作用開口64に乗員が手を入れ、ラゲッジフロアボード60の後半部60Bを持ち上げて開放し、この後半部60Bを前半部60Aに上から重ねれば、下側荷室1Bに荷物を容易に出し入れすることができる(図3参照)。また、二つ折り状態のラゲッジフロアボード60の車両後方側Rの円弧状後端85K(前述のように、この円弧状後端85Kは、二つ折り状態では前記前半部60Aの前端よりも車両前方側Fに位置している)に乗員が手を掛けてラゲッジフロアボード60を、ヒンジ部62を回転中心にして車両後方側に揺動させれば、ラゲッジフロアボード60を容易に展開させて元の一枚板状にすることができる。
【0047】
(2)折り畳んで後席側に立てた状態(図5参照)
左右一対の第1クォータトリム12L,12Rの保持部24の前側縦壁25と後側縦壁26との間に折り畳み状態のラゲッジフロアボード60の左右の側部61を上方から挿入して、前側縦壁25と後側縦壁26とに前記左右の側部61を保持させた状態である。保持部24に保持された折り畳み状態のラゲッジフロアボード60は、その上端部が、車両前方側Fに倒伏させたシートバック2の背面2Hの後端部2Kよりも上方に突出する(図5参照)。これにより、シートバック2上に置いた荷物が荷室1の床に落ちるのを防止することができる。
ラゲッジフロアボード60の前後位置は前側縦壁25と後側縦壁26で決められる。前側縦壁25と後側縦壁26は、車両の左右方向でボード支持部58と同じ位置に位置しており、ラゲッジフロアボード60の左右の側部61の下面に貼着したパッド68で前記左右の側部61と前側縦壁25・後側縦壁26との当接音を防止している。例えば、ラゲッジフロアボード60にカーペットを敷設するとともに、カーペットをラゲッジフロアボード60の左右の側部61の下面に回り込ませ、このカーペットで前記当接音を防止してもよい。
ラゲッジフロアボード60の左右の位置は、ラゲッジフロアボード60の左右の側部61が第2クォータトリム13Rの下端部の第2下側折り曲げ部73Aに当接することで決められる。
ラゲッジフロアボード60の上下方向の位置は、折り曲げ状態のラゲッジフロアボード60がフロアパネル3のカーペットに載置することで決められる。このカーペットにより振動による不快な音の発生を防止することができる。
保持部24に保持された折り畳み状態のラゲッジフロアボード60は、倒伏させたシートバック2の背面2Hの後端部2Kの近傍に立てて保持される。近傍とは、折り畳み状態のラゲッジフロアボード60の厚さよりも短い距離のことである。この配置により、保持部24と後端部2Kの間に、ラゲッジフロアボード60が誤って挿入されることがなくなる。また、後端部2Kとラゲッジフロアボード60の間への積載荷物の落下が防止できる。そして、ラゲッジフロアボード60の後方の荷室の床面積を拡大できる。
【0048】
(3)フロアパネル3に載置して荷室を最大に広げた第2状態(図4参照)
ラゲッジフロアボード60の前後左右上下方向は(1)の通常位置と同じであり、(1)の通常位置のラゲッジフロアボード60をその姿勢のまま鉛直方向に下降させてフロアパネル3に載置したような状態になる。前記第1クォータトリム12Rにはボード支持部58を張り出し形成してあるので、上記の鉛直方向への下降は不可能であるが、前述の手段により、ラゲッジフロアボード60の前後左右上下の方向が(1)の通常位置のときと同じになるように、ラゲッジフロアボード60をフロアパネル3に載置することができる。
ラゲッジフロアボード60の車両前後方向の位置は、第1クォータトリム12Rの下端部の阻止壁23とテールエンドトリム30によって決められる。左右方向の位置は、第1クォータトリム12Rの下端部で決められ、上下方向の位置はフロアパネル3によって決められる。
【0049】
[リヤパーセルシェルフ40の配置の態様]
(1)通常位置(第1架設状態(図1参照))
リヤパーセルシェルフ40を、荷室1の上部を覆うように左右一対の第3クォータトリム14L,14R間に架設した状態である。リヤパーセルシェルフ40の第1係合部41を、左右一対の第3クォータトリム14L,14Rの丸軸凸部状の第1被係合部50に上側から係合させ、リヤパーセルシェルフ40の左右の側部(左右の側壁39)を、左右一対の第3クォータトリム14L,14Rに設けた第1シェルフ支持部49で下側から受け止め支持してある。
(2)格納位置(第2架設状態(図2,図6参照))
リヤパーセルシェルフ40と干渉するような高さのある荷物を積む場合にリヤパーセルシェルフ40を格納位置に配置する。リヤパーセルシェルフ40を下側荷室1B内で左右一対の第1クォータトリム12L,12R間に架設した状態である。リヤパーセルシェルフ40の左右の第1係合部41を、左右一対の第1クォータトリム12L,12Rの丸軸凸部状の第2被係合部55に上側から係合させ、リヤパーセルシェルフ40の左右の側部(左右の側壁39)を、左右一対の第1クォータトリム12L,12Rの第2シェルフ支持部56で下側から受け止め支持してある。
上記(1)の通常位置とはリヤパーセルシェルフ40が前後逆向きになる。リヤパーセルシェルフ40は、ラゲッジフロアボード60の真下で下側荷室1Bの上部の車両前方側Fに位置する。これにより、
(A) ラゲッジフロアボード60の下方空間を狭くしないように、かつ、リヤパーセルシェルフ40の後端とテールエンドトリム30との間の空間をできるだけ広く、さらに、リヤパーセルシェルフ40が下側荷室1Bの荷物と干渉しないようにしている。
リヤパーセルシェルフ40の前端部94は左右一直線状であり、ラゲッジフロアボード60の後半部60Bを上方に開放したときに、ラゲッジフロアボード60の左右一直線状のヒンジ部62と同じ形状(左右一直線形状)が現れることから、例えば、リヤパーセルシェルフ40の円弧状の後端部が現れたときのような違和感がなくなる。
上記(1)の通常位置とリヤパーセルシェルフ40の前後方向の向きを同じにすると、次の問題が生じる。
下側荷室1Bの収容空間を広くしようとして、リヤパーセルシェルフ40をできるだけ車両前方側Fに配置すると、前記丸軸凸部状の第2被係合部55が保持部24の前側縦壁25と後側縦壁26の間に位置して、折り畳み状態のラゲッジフロアボード60を前側縦壁25と後側縦壁26の間に保持できなくなる。これに対して、本発明の上記構成によれば、第2架設状態のリヤパーセルシェルフ40を第1架設状態のリヤパーセルシェルフ40とは前後逆向きにすることで、前記丸軸凸部状の第2被係合部55が保持部24の前側縦壁25と後側縦壁26の間に位置することがなくなり、リヤパーセルシェルフ40をできるだけ車両前方側Fに配置することができるようになって、前記(A)の効果を奏することができる。
また、前記第2架設状態のリヤパーセルシェルフ40が、左右一対の保持部24間に位置するように、保持部24(前側縦壁25と後側縦壁26)と第2被係合部55と第2シェルフ支持部56とを配置してあるので、第2架設状態にしたときには、リヤパーセルシェルフ40が邪魔になって折り畳み状態のラゲッジフロアボード60を保持部24で保持することができず、第2架設状態にしたときは、ラゲッジフロアボード60が左右一対の第1クォータトリム12L,12R間に架設された状態になる。その結果、下側荷室1Bに格納したリヤパーセルシェルフ40は必ずラゲッジフロアボード60で覆われ、強度・剛性があまり強くはないリヤパーセルシェルフ40に荷物が置かれることがなくなって、リヤパーセルシェルフ40が割れたり折れたりすることを防止することができる。
【0050】
[別実施形態]
(1) 前記第2架設状態でのリヤパーセルシェルフ40の前後方向の向きを、第1架設状態でのリヤパーセルシェルフ40の前後方向の向きと同じにすることもできる。
(2) 前記パッド68をラゲッジフロアボードの左右の側部61の下面と、ボード支持部58の支持面とに貼着してあってもよく、ボード支持部58の支持面だけに貼着してあってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】車両の後部荷室を示す縦断側面図
【図2】車両の後部荷室を示す縦断後面図
【図3】車両の後部荷室を示す縦断側面図(ラゲッジフロアボードの後半部を開放した状態)
【図4】車両の後部荷室を示す縦断側面図(ラゲッジフロアボードをフロアパネルに載置した第2状態)
【図5】車両の後部荷室を示す縦断側面図(ラゲッジフロアボードを格納した状態)
【図6】車両の後部荷室を示す縦断側面図(リヤパーセルシェルフを下側荷室に格納した状態)
【図7】車両の後部荷室を示す縦断側面図(ラゲッジフロアボードをフロアパネルに載置する際の作用を示す図)
【図8】リヤパーセルシェルフの平面図
【図9】(a)はラゲッジフロアボードの平面図、(b)は(a)のA−A断面図,(c)はラゲッジフロアボードの前端部の左側面図
【図10】(a)は図9(a)のC−C断面図,(b)は図9(a)のD−D断面図
【図11】テールエンドトリムの被係合部を示す斜視図
【図12】ラゲッジフロアボードの係合部とテールエンドトリムの被係合部との係合構造を示す縦断側面図
【図13】右側の第1クォータトリムの斜視図
【図14】図13のJ−J断面図
【図15】図6のB−B断面図
【図16】図6のC−C断面図
【図17】図6のF−F断面図
【図18】図6のG−G断面図
【図19】第2クォータトリムの斜視図
【図20】図1のN−N断面図
【図21】図1のV−V断面図
【図22】リヤパーセルシェルフの取り外し作業を示す縦断側面図
【符号の説明】
【0052】
1 荷室
1A 上側荷室
1B 下側荷室
10R 内装トリム(右側)
10L 内装トリム(左側)
24 保持部
39 側壁(リヤパーセルシェルの左右の側部)
40 リヤパーセルシェルフ
41 係合部(第1係合部)
49 第1シェルフ支持部
50 第1被係合部
55 第2被係合部
56 第2シェルフ支持部
57 ストッパ部
60 ラゲッジフロアボード
61 側部(ラゲッジフロアボードの左右の側部)
62 ヒンジ部
94 リヤパーセルシェルフの車両前後方向の一端部(前端部)
F 車両前方側
R 車両後方側
O 第2被係合部の軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷室の内側壁を形成する左右一対の内装トリム間に、前記荷室を上側荷室と下側荷室に仕切るラゲッジフロアボードを取り外し自在に架設し、リヤパーセルシェルフを前記荷室の上部を覆うように前記左右一対の内装トリム間に架設した第1架設状態と、前記リヤパーセルシェルフを前記下側荷室内で前記左右一対の内装トリム間に架設して格納した第2架設状態とに切換え自在に構成してある車両の荷室構造。
【請求項2】
前記リヤパーセルシェルフの左右両側部に係合部を設け、
前記第1架設状態で前記係合部を係合させる第1被係合部を前記左右一対の内装トリムに設けるとともに、前記第1架設状態で前記リヤパーセルシェルフの左右の側部を下側から受け止め支持する第1シェルフ支持部を前記左右一対の内装トリムに設け、
前記第2架設状態で前記係合部を係合させる第2被係合部を前記左右一対の内装トリムに設けるとともに、前記第2架設状態で前記リヤパーセルシェルフの左右の側部を下側から受け止め支持する第2シェルフ支持部を前記左右一対の内装トリムに設けてある請求項1記載の車両の荷室構造。
【請求項3】
前記係合部を下側開放の切欠き溝状に形成し、前記第1被係合部と第2被係合部を前記内装トリムから車両の左右中心側に突出する軸状に形成してある請求項2記載の車両の荷室構造。
【請求項4】
前記係合部を前記リヤパーセルシェルフの車両前後方向の一端部側に配置し、
前記ラゲッジフロアボードを前記左右一対の内装トリムから取り外した状態で、前記第2架設状態のリヤパーセルシェルフの上方に開放空間を形成して、前記リヤパーセルシェルフを前記第2被係合部の軸芯周りに上方へ揺動操作可能に構成し、
前記リヤパーセルシェルフの前記上方への揺動角度が所定角度になると、前記リヤパーセルシェルフの前記一端部側の左右の側部を下側から受け止めて、前記リヤパーセルシェルフの揺動を阻止するストッパ部を前記左右一対の内装トリムに設けてある請求項3記載の車両の荷室構造。
【請求項5】
前記第2被係合部を前記第2シェルフ支持部よりも車両後方側に配置してある請求項4記載の車両の荷室構造。
【請求項6】
前記ラゲッジフロアボードに左右幅方向に沿うヒンジ部を設けて、前記ヒンジ部を介して前記ラゲッジフロアボードを折り畳み自在に構成し、
前記左右一対の内装トリムの車両前方側の端部に、折り畳み状態の前記ラゲッジフロアボードの左右の側部を上下方向に沿う姿勢に保持する保持部を設け、
前記第2架設状態のリヤパーセルシェルフが、前記左右一対の内装トリムの保持部間に位置するように、前記保持部と前記第2被係合部と第2シェルフ支持部とを配置してある請求項2〜5のいずれか一つに記載の車両の荷室構造。
【請求項7】
前記リヤパーセルシェルフを、左右一対の側壁を備えた下向きのトレイ状に形成して、左側の側壁で前記リヤパーセルシェルフの左側の側部を構成するとともに、右側の側壁で前記リヤパーセルシェルフの右側の側部を構成し、
前記第1シェルフ支持部と第2シェルフ支持部を、前記側壁を下側から受け止め支持する棚状に形成してある請求項2〜6のいずれか一つに記載の車両の荷室構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−273330(P2008−273330A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117596(P2007−117596)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】