説明

車両の車室前部構造

【課題】車両の前方衝突時に、乗員の足先がペダル装置の前端を乗り越えてダッシュパネルと干渉することを防止できる車両の車室前部構造を提供することを目的とする。
【解決手段】車室内の底面を形成するフロアパネル2から上方に立ち上がったダッシュパネル4と、フロアパネル2上に配設された運転席5と、ダッシュパネル4の車両後方に配設されたアクセルペダル5とを備え、該アクセルペダル8が、運転席5の車両前方において、フロアパネル2により車両前後方向に回動可能に支持されており、運転席5の車両前方には、車幅方向に亘ってインストルメントパネル6が配設され、アクセルペダル8の前端には、少なくとも該アクセルペダル8が最大踏み込み位置にあり、且つ運転席5に着座した乗員Xの足Xaが車両前方に移動した時、該足Xaをインストルメントパネル6の下部に案内するガイド部82dを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダッシュパネルの車両後方に配設されたペダル装置が、運転席の車両前方において、フロアパネルにより車両前後方向に回動可能に支持された車両の車室前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペダル装置としては、車室内の底面を形成するフロアパネルにより車両前後方向に回動可能に支持されたいわゆるオルガン式のものが知られている(下記特許文献1参照)。このオルガン式のペダル装置は、上方の支軸により吊り下げ状態で支持されるいわゆる吊り下げ式のものに比べ、乗員の身長差や足のサイズの違い等によって操作性に大きな差が生じないという点で優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−63510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、オルガン式のペダル装置を採用した場合、例えば、ペダル装置の踏み込み操作中に車両が前方衝突した時、踏面部上を滑って車両前方に移動した乗員の足先がペダル装置の前端(上端)を乗り越える虞があり、これによって、前記足先が、ペダル装置の車両前方に位置する車体パネルとしてのダッシュパネルと干渉する懸念があった。
【0005】
ところで、前記特許文献1では、ペダル装置を構成する第1、第2のプレート部材の間にエアバッグ装置を挟持したものが開示されており、車両が前方衝突した時には、上述したエアバッグが展開することによって、ペダル装置を踏み込んだ乗員の足裏に入力される衝撃力を吸収緩和することができるようになっている。
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に開示された従来技術では、あくまでも、車両の前方衝突時にペダル装置から入力される衝撃力を吸収緩和するものであり、乗員の足先がペダル装置の前端を乗り越えてダッシュパネルと干渉することを防止するものではない。
【0007】
この発明は、車両の前方衝突時に、乗員の足先がペダル装置の前端を乗り越えてダッシュパネルと干渉することを防止できる車両の車室前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の車両の車室前部構造は、車室内の底面を形成するフロアパネルと、該フロアパネルから上方に立ち上がったダッシュパネルと、前記フロアパネル上に配設された運転席と、前記ダッシュパネルの車両後方に配設されたペダル装置とを備え、該ペダル装置が、前記運転席の車両前方において、前記フロアパネルにより車両前後方向に回動可能に支持された車両の車室前部構造であって、前記運転席の車両前方には、車幅方向に亘ってインストルメントパネルが配設され、前記ペダル装置の前端には、少なくとも該ペダル装置が最大踏み込み位置にあり、且つ前記運転席に着座した乗員の足が車両前方に移動した時、該乗員の足を前記インストルメントパネルの下部に案内するガイド部を備えたものである。
【0009】
この構成によれば、少なくともペダル装置が最大踏み込み位置にあり、且つ車両の前方衝突によって運転席の乗員の足が車両前方に移動した時、この足をガイド部によってインストルメントパネルの下部へと案内するように構成したことで、乗員の足先がペダル装置の前端を乗り越えてダッシュパネルと干渉することを防止できる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、前記ガイド部は、前記乗員の足が当接する踏面部の車両前方に配設されたものである。
【0011】
この構成によれば、車両が前方衝突する前の通常運転時に、乗員の足が不用意にガイド部と当接することを防止できる。この場合、乗員は、通常運転時にガイド部の形状を足で感じることがないため、違和感なくペダル装置を踏み込み操作することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、前記インストルメントパネルの下部前端に、下方に垂下する垂下部を備え、該垂下部は、前記ガイド部に向かって延びるように配設されたものである。
【0013】
この構成によれば、ガイド部からインストルメントパネルの下部までの距離を短く設定することができ、換言すれば、車両前方に移動する乗員の足がインストルメントパネルの下部と当接するまでの移動距離を短くすることができる。この場合、インストルメントパネルの下部と当接した時の足への負担を軽減することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0014】
具体的には、車両前方への移動が加速される前の早い段階で足をインストルメントパネルの下部に当接させることができるため、足先に加わる衝撃を低減することができる。
【0015】
さらに、前記距離を短くすることにより、乗員の足を可及的に短い時間で拘束することができる。このため、足の曲げ角度が大きく変化する前の早い段階で足を拘束することができ、インストルメントパネルの下部と当接した時の足への負担を軽減することができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、前記インストルメントパネルの下部に、下方からの入力荷重を吸収する衝撃吸収部材が配設されたものである。
【0017】
この構成によれば、乗員の足がインストルメントパネルの下部と当接した時の衝撃を衝撃吸収部材によって確実に吸収することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、前記衝撃吸収部材が、前記ペダル装置の回動範囲と対応する範囲に配設されたものである。
【0019】
この構成によれば、ペダル装置の回動角度に関わらず、前記衝撃を確実に吸収することができる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、前記ガイド部の前端が、前記インストルメントパネルの下部により、車両前後方向にスライド可能に支持されたものである。
【0021】
この構成によれば、ペダル装置とインストルメントパネルとの間の隙間をガイド部によって完全に塞ぐことができる。このため、乗員の足先がペダル装置の前端を乗り越えてダッシュパネルと干渉することをより確実に防止できる。
【0022】
この発明の一実施態様においては、前記ガイド部の前端が、後端よりも幅広に設定されたものである。
【0023】
この構成によれば、例えば、車両の前方衝突に伴って乗員の足が車幅方向にずれて斜め前方に移動した時であっても、幅広に設定したガイド部の前端により、足を確実にインストルメントパネルの下部に案内することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、少なくともペダル装置が最大踏み込み位置にあり、且つ車両の前方衝突によって運転席の乗員の足が車両前方に移動した時、この足をガイド部によってインストルメントパネルの下部へと案内するように構成したことで、乗員の足先がペダル装置の前端を乗り越えてダッシュパネルと干渉することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る車室前部構造を示す側断面図。
【図2】車室前部構造を車室内側から見た状態で示す断面図。
【図3】アクセルペダルの構造を示す側断面図。
【図4】インストルメントパネル内部の構造、及びガイド部前端の支持構造を示す側断面図。
【図5】アクセルペダルの踏み込み操作中に車両が前方衝突した場合を説明するための説明図。
【図6】本発明の他の実施形態に係る車室前部構造を車室内側から見た状態で示す断面図。
【図7】本発明のさらに他の実施形態に係る車室前部構造を示す図であり、特に、アクセルペダルの構造を示す側断面図。
【図8】アクセルペダルの踏み込み操作中に車両が前方衝突した場合を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係る車室前部構造を示す側断面図であり、図2は、車室前部構造を車室内側から見た状態で示す断面図である。また、図3は、アクセルペダルの構造を示す側断面図であり、図4は、インストルメントパネル内部の構造、及びガイド部前端の支持構造を示す側断面図である。なお、図中において矢印(F)は車体前方、矢印(R)は車体後方を示す。
【0027】
図1に示す車両には、車室1の底面を形成するフロアパネル2が備えられており、このフロアパネル2の上面が、フロアマット3により覆われている。そして、フロアパネル2の前端からは、車体パネルとしてのダッシュパネル4が上方に立ち上がるように配設されており、このダッシュパネル4により、エンジンルームERと車室1とが区画されている。
【0028】
また、車室1の前部には、図1中二点鎖線で示す乗員Xが着座するための運転席5がフロアパネル2上に配設されるとともに、運転席5の車両前方には、車幅方向に亘ってインストルメントパネル6が配設されている。そして、このインストルメントパネル6から乗員X側に向かって突出するようにステアリングホイール7が配設されるとともに、インストルメントパネル6の下側の空間には、アクセルペダル8やブレーキペダル9(図2参照)といった各種ペダル装置が配設されている。なお、図1では、便宜上ブレーキペダル9の図示を省略している。
【0029】
アクセルペダル8及びブレーキペダル9は、ダッシュパネル4の車両後方に配設されるとともに、乗員Xによる踏み込み操作を可能にすべく運転席5の車両前方に位置している。そして、アクセルペダル8は、図3に示すように、フロアパネル2により車両前後方向に回動可能に支持される一方、ブレーキペダル9は、図2に示すように、クロスカービーム10に取付けられたペダルブラケット11の支軸11aにより、吊り下げ状態で車両前後方向に回動可能に支持されている。
【0030】
ここで、クロスカービーム10は、図2、図4に示すように、インストルメントパネル6の内部で車幅方向に延びる筒状の部材であり、インストルメントパネル6は、このクロスカービーム10に支持されている。なお、図2、図4に示す部材12は、運転席5に着座した乗員Xの膝の位置に合わせてクロスカービーム10に取付けられたニープロテクタである。
【0031】
次に、アクセルペダル8の構造について詳細に説明する。アクセルペダル8は、図1〜図4に示すように、フロアパネル2の前端に固定されたベース部材81と、このベース部材81により支持されるとともに、乗員の踏み込み操作に応じて後端ヒンジ部82aを支点に回動する踏面板82とを備えたいわゆるオルガン式のペダル装置である。
【0032】
踏面板82は、合成樹脂製の板状成形体等からなり、その下端部に薄肉の後端ヒンジ部82aと、ベース部材81の後部上面に係止される係止部82b(図3参照)とを有するとともに、中間部には、乗員Xが自身の足Xaを当接させて所定の踏み込み操作を行うための踏面部82cを有している。
【0033】
そして、踏面部82cのさらに車両前方には、インストルメントパネル6の下部に向かって湾曲するガイド部82dを有しており、このガイド部82dの前端の車幅方向両側には、図2〜図4に示すように、車幅方向外側に向かって突出するピン83、83が取付けられている。
【0034】
踏面板82は、図3に示すように、その下端部に位置する係止部82bがベース部材81に係止された状態で、後端ヒンジ部82aを支点として車両前後方向に回動可能とされている。
【0035】
なお、本実施形態では、薄肉の後端ヒンジ部82aによって支点を形成しているが、必ずしもこれに限定されない。例えば、後端ヒンジ部82aと対応する位置に棒状のヒンジ軸を配設し、ベース部81と踏面板82とをヒンジ軸を介して連結するような構成でもよい。
【0036】
一方、ベース部材81は、図2、図3に示すように、下方のフロアパネル2に向かって凹む第1、第2取付け部81a、81bが形成されるとともに、後端部には、図3に示すように、踏面板82の係止部82bが係合される係合溝を有する係合部81cが形成されている。そして、第1取付け部81aでは、その底部にボルト13の挿通孔が形成されるとともに、第2取付け部81bでは、その底部下面に、下方のフロアパネル2に向かってクリップ係止部81dが突設されている。
【0037】
また、フロアパネル2の前端には、図3に示すように、第1、第2取付け部81a、81bが固定されるハット型の第1、第2被取付け部14、15が配設されるとともに、フロアマット3には、ベース部81の位置に対応して、これを所定位置に設置するための設置孔が形成されている。
【0038】
そして、第1被取付け部14の上壁下面に予め固着されたウェルドナット16に第1取付け部81aのボルト13が螺着されるとともに、第2被取付け部15に形成された係止孔に第2取付け部81bのクリップ係止部81dが挿入されることにより、ベース部材81がフロアパネル2に取付けられている。これにより、アクセルペダル8(踏面板82)は、運転席5の車両前方において、フロパネル2により車両前後方向に回動可能に支持されている。
【0039】
ところで、インストルメントパネル6は、図2、図4に示すパネル本体61やアンダーカバー62等、ダッシュパネル4よりも軟質な合成樹脂製の板状成形体により構成されている。
【0040】
このうち、アンダーカバー62は、インストルメントパネル6の内部空間を下方から覆う部材であり、その前端には、アクセルペダル8に向かって下方に垂下する垂下部62aを有している。そして、この垂下部62aの下面部には、車幅方向に凹む左右一対の凹溝62b、62bが形成されており、アクセルペダル8のガイド部82dに取付けられたピン83がこの凹溝62bに嵌合している。これにより、本実施形態では、ガイド部82dがインストルメントパネル6の下部に支持されている。
【0041】
また、アンダーカバー62の凹溝62bは、図4に示すように、踏面板82(アクセルペダル8)を踏み込み操作した時のピン83の移動軌跡に沿って略円弧状に形成されている。このため、乗員Xが踏み込み操作を行った時には、ピン83が凹溝62bに沿って車両前後方向にスライドしつつ、踏面板82が、後端ヒンジ部82aを支点にして図4中実線で示す非操作位置から二点鎖線で示す最大踏み込み位置まで回動するようになっている。
【0042】
また、インストルメントパネル6の内部空間には、図2、図4に示すように、踏面板82の回動範囲に対応して、ウレタンや合成ゴム等からなる衝撃吸収部材17が配設されている。衝撃吸収部材17は、アンダーカバー62と、衝撃吸収部材17の上方に配設されたストッパブラケット18との間に位置しており、アンダーカバー62に形成された断面凸状の取付け座62cと、ストッパブラケット18とをボルト19、ナット20で連結することにより、衝撃吸収部材17は所定位置に固定されている。
【0043】
次に、図5を参照しながら、アクセルペダル8の踏み込み操作中に車両が前方衝突した場合について説明する。この場合、アクセルペダル8の踏面板82は、踏み込み操作によって車両前方に傾斜した状態となっており、特に、図5に示すように踏面板82を最大踏み込み位置まで踏み込んだ時には、踏面部82bの向きがより水平方向に近い状態になる。このため、踏面板82を大きく踏み込む程、乗員Xの足Xaは、車両前方のダッシュパネル4に向かって移動し易くなる。
【0044】
そこで、本実施形態では、踏面板82が最大踏み込み位置にある時、ガイド部82dによって足Xaを矢印αで示すように前方且つ上方に移動させ、最終的に、足先を図中二点鎖線で示すようにインストルメントパネル6の下部の垂下部62aに案内するようになっている。
【0045】
このように、本実施形態では、少なくとも踏面板82(アクセルペダル8)が図5に示す最大踏み込み位置にあり、且つ車両の前方衝突によって乗員Xの足Xaが車両前方に移動した時、この足Xaをガイド部82dによってインストルメントパネル6の下部へと案内するように構成したことで、乗員Xの足先が踏面板82の前端を乗り越えてダッシュパネル4と干渉することを防止できる。
【0046】
また、ガイド部82dを踏面部82cの車両前方に配設することにより、車両が前方衝突する前の通常運転時に、足Xaが不用意にガイド部82dに当接することを防止できる。この場合、乗員Xは、通常運転時にガイド部82dの湾曲形状を足Xaで感じることがないため、乗員Xは、違和感なく踏面板82を踏み込み操作することができる。
【0047】
また、インストルメントパネル6の下部前端に、ガイド部82dに向かって延びる垂下部62aを配設したことで、ガイド部82dからインストルメントパネル6の下部までの距離を短く設定することができ、換言すれば、車両前方に移動する足Xaがインストルメントパネル6の下部と当接するまでの移動距離を短くすることができる。この場合、インストルメントパネル6と当接した時の足Xaへの負担を軽減することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0048】
具体的には、車両前方への移動が加速される前の早い段階で足Xaをインストルメントパネル6の下部に当接させることができるため、足先に加わる衝撃を低減することができる。
【0049】
さらに、前記距離を短くすることにより、足Xaを可及的に短い時間で拘束することができる。このため、足Xaの曲げ角度が大きく変化する前の早い段階で足Xaを拘束することができ、インストルメントパネル6の下部と当接した時の足Xaへの負担を軽減することができる。
【0050】
また、インストルメントパネル6の下部に衝撃吸収部材17を配設したことで、下方からの荷重を衝撃吸収部材17で吸収することができる。このため、足Xaがインストルメントパネル6の下部と当接した時の衝撃を衝撃吸収部材17によって確実に吸収することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0051】
また、衝撃吸収部材17を踏面板82の回動範囲と対応する範囲に配設したことで、踏面板82の回動角度に関わらず、前記衝撃を確実に吸収することができる。
【0052】
また、ガイド部82dの前端を、インストルメントパネル6の下部に形成した凹溝62bによって車両前後方向にスライド可能に支持したことで、踏面板82とインストルメントパネル6との間の隙間をガイド部82dによって完全に塞ぐことができる。このため、乗員Xの足先が踏面板82の前端を乗り越えてダッシュパネル4と干渉することをより確実に防止できる。
【0053】
図6は、本発明に係る車室前部構造の他の実施形態を示す。図6に示す実施形態では、アクセルペダル8の踏面板82において、ガイド部182dの前端を後端よりも幅広に設定している。なお、図6において、図1〜図5に示す先の実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0054】
図6に示す本実施形態の場合、例えば、車両の前方衝突に伴って乗員Xの足Xa(図1等参照)が車幅方向にずれて斜め前方に移動した時であっても、幅広に設定したガイド部182dの前端により、足Xaを確実にインストルメントパネル6の下部に案内することができる。
【0055】
ところで、本実施形態では、図1〜図5に示す最初の実施形態と同様、ガイド部182dの前端において、その車幅方向両側にピン83、83が取付けられており、これら各ピン83、83が、インストルメントパネル6の下部(垂下部62a)に形成した凹溝162b、162bと嵌合している。そして、インストルメントパネル6では、幅広に設定されたガイド部182dの前端に対応して、凹溝162b、162bが、最初の実施形態の凹溝62b、62b(図2等参照)よりも互いに離間して形成されている。
【0056】
また、図6に示すように、アクセルペダル8の側方にブレーキペダル9等他のペダルを配設した場合には、ペダル8、9の踏み間違いを防止するという観点から、両ペダル8、9の間には所定の間隔を形成するのが好ましい。そこで、本実施形態では、ブレーキペダル9の踏面部より上方に位置するガイド部182dの前端のみを幅広に設定し、ブレーキペダル9の踏面部と略同じ高さ位置にある踏面部82cについては、図1〜図5に示す最初の実施形態と同じ幅に設定している。
【0057】
なお、その他の作用効果は、上述した先の実施形態と同様である。
【0058】
図7、図8は、本発明に係る車室前部構造のさらに他の実施形態を示す。図7、図8に示す実施形態では、アクセルペダル8の踏面板82において、ガイド部282dの前端が、インストルメントパネル6の下部によって支持されない構成となっている。なお、図7、図8において、図1〜図5に示す先の実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、少なくとも踏面板82(アクセルペダル8)が図8に示す最大踏み込み位置にあり、且つ車両の前方衝突によって足Xaが車両前方に移動した時、ガイド部282dによって足Xaを矢印βで示すように前方且つ上方に移動させ、足先を図中二点鎖線で示すようにインストルメントパネル6の下部の垂下部62aに案内するようになっている。このため、上述した各実施形態と同様、乗員Xの足先が踏面板82の前端を乗り越えてダッシュパネル4と干渉することを防止できる。
【0060】
また、本実施形態では、上述したようにガイド部282dの前端をインストルメントパネル6の下部で支持しない構成としているため、図8に示すように、凹溝62b、162bに対応するものをインストルメントパネル6の下部に形成する必要がない。このため、アンダーカバー62(垂下部62a)の下面をシンプルな形状とすることができる。
【0061】
なお、その他の作用効果は、上述した先の実施形態と同様である。
【0062】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の、ペダル装置は、アクセルペダル8に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、車室の前部に配設されるオルガン式のペダル装置であれば、ブレーキペダルやクラッチペダルにガイド部を備えてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…車室
2…フロアパネル
4…ダッシュパネル
5…運転席
6…インストルメントパネル
8…アクセルペダル
17…衝撃吸収部材
62a…垂下部
82c…踏面部
82d、182d、282d…ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の底面を形成するフロアパネルと、
該フロアパネルから上方に立ち上がったダッシュパネルと、
前記フロアパネル上に配設された運転席と、
前記ダッシュパネルの車両後方に配設されたペダル装置とを備え、
該ペダル装置が、前記運転席の車両前方において、前記フロアパネルにより車両前後方向に回動可能に支持された車両の車室前部構造であって、
前記運転席の車両前方には、車幅方向に亘ってインストルメントパネルが配設され、
前記ペダル装置の前端には、少なくとも該ペダル装置が最大踏み込み位置にあり、且つ前記運転席に着座した乗員の足が車両前方に移動した時、該乗員の足を前記インストルメントパネルの下部に案内するガイド部を備えた
車両の車室前部構造。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記乗員の足が当接する踏面部の車両前方に配設された
請求項1記載の車両の車室前部構造。
【請求項3】
前記インストルメントパネルの下部前端には、下方に垂下する垂下部を備え、
該垂下部は、前記ガイド部に向かって延びるように配設された
請求項1または2記載の車両の車室前部構造。
【請求項4】
前記インストルメントパネルの下部には、下方からの入力荷重を吸収する衝撃吸収部材が配設された
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両の車室前部構造。
【請求項5】
前記衝撃吸収部材は、前記ペダル装置の回動範囲と対応する範囲に配設された
請求項4記載の車両の車室前部構造。
【請求項6】
前記ガイド部の前端は、前記インストルメントパネルの下部により、車両前後方向にスライド可能に支持された
請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両の車室前部構造。
【請求項7】
前記ガイド部の前端は、後端よりも幅広に設定された
請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両の車室前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−218647(P2012−218647A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88472(P2011−88472)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】