説明

車両測位システム、車庫システム、および車両測位方法

【課題】車両の位置を測位する際に、高い使用周波数(例えば、5.8GHz帯)で動作するETC車載器を利用できるともに、低い周波数(例えば、2MHz)により安定して車両の駐車位置を測位できる、車両測位システムを提供する。
【解決手段】3箇所に設置された受信局101、102、103により、ETC車載器3から発信される電波を受信して車両2の位置を測位する。ETC車載器3では、キャリア波(例えば、5800MHz)を変調し、測位に供する2つの周波数スペクトル(例えば、5799MHzと5801MHz)を含む信号を生成して無線により送信する。各受信局は、ETC車載器3から受信した電波の信号から2つの周波数スペクトルの差の周波数成分(例えば、2MHz)の位相差を測定し、この位相差の信号を基に、ETC車載器3を搭載した車両2の位置を測位する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ETC(Electronic Toll Collection)車載器を利用した車両測位システム、該車両測位システムを用いた車庫システム、および車両測位方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、高速有料道路においてETCシステムを利用した自動料金収受サービスが積極的に導入されている。このETCシステムでは、車両にETC車載器を搭載し、このETC車載器と有料道路の料金所出口ブースに設置された車線制御装置との間で双方向無線通信を行い、自動で料金決済を行う。このため、車両が料金所ゲートをそのまま通過することができ、料金所出口ブースおける渋滞を緩和することができる。また、ETC車載器と車線制御装置との間の双方向無線通信は、専用狭域無線通信であるDSRC(Dedicated Short Range Communication)により行われる。
【0003】
このDSRC(狭域通信)は、マイクロ波帯の電波を使用し、路上の限られた範囲のみにて通信を行う通信システムである。路上に設置され路上局と移動する車輌側に設けられたETC車載器との間で無線通信を行い、各種のデータ授受を行うことによって、料金収受や道路情報提供などのサービスを行い、運転者、および道路や駐車場などの管理者に利益をもたらす。
【0004】
また、ETC車載器の利用車番号(車載器ID)が民間に開放されることになり、今後は、民間駐車場でのサービスや工場での車両入出門管理など、ETC車載器を応用したサービスの増加が見込まれている。
【0005】
このようなETC車載器を応用したサービスの例として、例えば、車両に搭載されたETC車載器を利用してゲートを開放するサービスの提供が望まれている。また、駐車場内に入場した車両を追跡し、車両が駐車場内のどこの位置(駐車枡)に駐車したかを管理できる車両の測位システムなど、ETC車載器を積極的に活用した、さらに高度なサービスの提供が望まれている。
【0006】
ところで、電波の発信源の位置を特定する測位システムを実現しようとする場合には、発信源に対して3つの受信位置を設けて、その発信源の位置を特定する、双曲線航法による位置算出方法が従来から知られている。
【0007】
図14は、双曲線航法による位置算出方法を説明するための図である。図14において、×印の点が電波の発信位置、黒丸「●」が電波の受信位置として、受信位置Aおよび受信位置Bへの電波の到達時間の差(または位相差)が同じとなる位置は、その軌跡が、受信位置Aおよび受信位置Bを焦点とする双曲線上に居ることになる。更に受信位置Aおよび受信位置Cに対し同様に得られた到達時間の差(または位相差)で軌跡線を描くことができる。これらで得られた2本の線上に居ると軌跡線の交点Pが電波の発射位置であるということになる。これら原理は、双曲線航法と呼ばれ。×が電波の発射位置の場合、あるいは×が受信位置の場合(この時は図の●印の3点は電波の発信位置)において、いずれの場合も同様に成立する。
【0008】
従って、この双曲線航法による位置算出方法を、ETC車載器を搭載した車両の車両測位システムにも当然に適用できることになる。この場合、発信源となるETC車載器に対して、3つの受信アンテナを設け、ETC車載器から発信されるマイクロ波の電波を3つのアンテナで受信し、ETC車載器から受信した電波の位相差を求める。これにより、ETC車載器と各アンテナ間の距離を求めることができ、ETC車載器を搭載した車両の位置を特定できることになる。
【0009】
しかしながら、ETC車載器から出力される電波の周波数は、通常5.8GHz帯のマイクロ波であるため、以下に説明するような問題が生じる。
【0010】
例えば、図15に示すように、電波の発信源での位相をゼロ(基準)とおくと、伝播パス長さL(m)隔てた受信位置における受信電波の位相は、
「(L/λ)×360度」となる。
λは、使用電波の波長であり、受信位置では発信源の基準位相からの位相遅れを計測することで発信源から受信位置までの距離計測ができる。しかし、計測対象の最大距離が使用周波数の波長に比べて大きい場合には、受信位置における位相遅れが360度を越えるため、位相回転(360度の通過回数)の計数が必要となり、受信側での処理がこの分複雑となり、かつ、位相回転の計数欠落は永久的な距離誤差となるため、安定した信号の連続した受信が必須となる。例えば、5.8GHzを使用周波数とした場合、波長は5cmであるから、発信源が移動体だとすると、5cmの移動で受信位置において360度到達位相が変化する。このため、相回転の1回を見逃すだけで5cmの恒久誤差となる。
【0011】
したがって、5.8GHz帯を使用周波数としたETC車載器を発信源とした車両測位システムを実現するに際しては、位相回転の計数により受信側での処理が複雑となり、かつ、位相回転の計数欠落は永久的な距離誤差となるため、安定した信号の連続した受信が必須となるという問題があった。
【0012】
なお、従来技術の陸上交通援助方法及び装置がある(特許文献1を参照)。しかしながら、特許文献1の従来技術においては、車両にレーダシステムを搭載すると共に、他の車両に応答器を設備し(または歩行者等に応答器を所持させ)、応答器の信号を基に、相手の位置を検出することを目的としている。したがって、上述したようなETC車載器を使用して車両の位置を測位しようとするものではなく、ギガ周波数帯を使用するETC車載器に対して、そのまま応用することができない。
【特許文献1】特開平3−17800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、ETC車載器を利用した車両の測位システムが望まれていたが、5.8GHz帯を使用周波数とするETC車載器を発信源とした車両測位システムを実現するに場合に、使用周波数が高いため、電波の位相回転の計数により受信側での処理が複雑となり、かつ、位相回転の計数欠落は永久的な距離誤差となるため、安定した信号の連続した受信が必須となるという問題があった。
【0014】
本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、本発明の第1の目的は、車両の位置を測位する際に、高い使用周波数(例えば、5.8GHz帯)で動作するETC車載器を利用できるともに、低い周波数(例えば、2MHz)により安定して車両の駐車位置を測位できる、車両測位システム、および車両測位方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明の第2の目的は、駐車場の入口において、ETC車載器によりゲートを自動で開くことができ、さらに、駐車場所において車両の駐車位置を測位する際に、高い使用周波数(例えば、5.8GHz帯)で動作するETC車載器を利用できるともに、低い周波数(例えば、2MHz)により安定して車両の駐車位置を測位できる、車庫システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の車両測位システムは、ETC車載器から発信される電波を少なくとも3箇所の異なる場所に設置された受信局により受信し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する車両測位システムであって、前記ETC車載器は、ETC車載器の通信周波数帯のキャリア波を振幅変調し、測位に供する2つの周波数スペクトルを含む信号を生成して無線により送信する測位信号送信手段を、備え、前記各受信局は、前記ETC車載器から前記2つの周波数スペクトルの信号を含む電波を受信し、受信した電波の信号から前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定する位相差測定手段を、を備え、前記各受信局の位相差測定手段により測定された位相差の信号を基に、前記ETC車載器と前記各受信局との間の距離を算出し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位すること、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の車両測位システムでは、3箇所の異なる場所に設置された受信局により、車両に搭載されたETC車載器から発信される電波を受信して車両の位置を測位する。この場合に、ETC車載器では、通信周波数帯のキャリア波(例えば、5800MHz)を変調し、測位に供する2つの周波数スペクトル(例えば、5799MHzと5801MHz)を含む信号を生成して無線により送信する。各受信局は、ETC車載器から2つの周波数スペクトルの信号を含む電波を受信し、受信した電波の信号から2つの周波数スペクトルの差の周波数成分(例えば、2MHz)の位相差を測定し、この位相差の信号を基に、ETC車載器と各受信局との間の距離を算出し、ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する。
これにより、高い使用周波数(例えば、5.8GHz帯)で動作するETC車載器を利用して車両の測位を行なうことができるともに、周波数が高い電波の位相回転を計数することなく、低い周波数(例えば、2MHz)により安定して車両の位置を測位できる。また、ETC車載器からの信号を定期的に受信して、測位を行なうことができる。
【0017】
また、本発明の車両測位システムは、前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の波長の長さが、前記受信局における前記ETC車載器の位置検出範囲に略相当するか、または前記位置検出範囲以上であるように構成されたこと、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の車両測位システムでは、測位に供する2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の波長の長さが、受信局におけるETC車載器の位置検出範囲に略相当するか、または、それ以上であるようにする。
これにより、車両の位置検出範囲(例えば、100mなど)に合わせて2つの周波数スペクトルを選定することができると共に、周波数が高い電波の位相回転を計数することなく、低い周波数の信号(2つの周波数スペクトルの差の周波数の信号)により安定して車両の位置を測位できる。
【0018】
また、本発明の車両測位システムは、前記ETC車載器は、ETC車載器の通信周波数帯のキャリア波を振幅変調するための振幅信号であって、前記測位に供する2つの周波数スペクトルの成分を含む変調波を生成するための基準となる周波数の振幅信号を生成する振幅信号生成部と、前記キャリア波を前記振幅信号により振幅変調し、前記2つの周波数スペクトルを含む変調信号を生成する振幅変調部と、前記振幅変調部により生成された変調波を増幅して無線により送信する送信回路部と、を備え、前記各受信局は、前記ETC車載器から前記2つの周波数スペクトルの信号を含む電波を受信する受信部と、前記受信部によりETC車載器から受信した電波の信号から前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定する位相差測定部と、を備え、前記位相差測定部により測定された位相差の信号を基に、前記ETC車載器と前記各受信局との間の距離を算出し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する位置演算部と、を備えることを特徴とする。
上記構成からなる本発明の車両測位システムでは、ETC車載器において、キャリア波(例えば、5800MHz)を振幅信号(例えば、1MHz)により振幅変調し、測位に供する2つの周波数スペクトル(例えば、5799MHzおよび5801MHz)を含む変調信号を生成し、この変調波を増幅して無線により受信局に送信する。各受信局では、ETC車載器から2つの周波数スペクトルの信号を含む電波を受信し、受信した電波の信号から2つの周波数スペクトルの差の周波数成分(例えば、2MHz)の位相差を測定する。そして、この位相差の信号を基に、ETC車載器と各受信局との間の距離を算出し、ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する。
これにより、高い使用周波数(例えば、5.8GHz帯)で動作するETC車載器を利用して車両の測位を行なうことができるともに、周波数が高い電波の位相回転を計数することなく、低い周波数(例えば、2MHz)により安定して車両の位置を測位できる。
【0019】
また、本発明の車両測位システムは、前記各受信局の位相差測定部に対し、位相基準を固定するための1つの基準位相を発振器により提供し、前記各受信局の位相差測定部においては前記基準位相を基に前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定するように構成されたこと、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の車両測位システムでは、各受信局の位相差測定部に対して1つの基準位相を提供し、位相差測定部では、この基準位相を基に2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定する。
これにより、各受信局の位相差測定部に共通の基準位相を与えることができる。このため、各受信局により測定される位相差の信号に整合性を持たせることができる。
【0020】
また、本発明の車庫システムは、予め登録されたETC車載器を搭載した車両を識別して入口のゲートの開閉を行なうと共に、前記ETC車載器から発信される電波を駐車場内の少なくとも3箇所の異なる場所に設置された受信局により受信し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する車庫システムであって、前記ETC車載器は、ETC車載器の通信周波数帯のキャリア波を振幅変調し、測位に供する2つの周波数スペクトルを含む信号を生成して電波により送信する測位信号送信手段を、備え、前記各受信局は、前記ETC車載器から前記2つの周波数スペクトルの信号を含む電波を受信し、受信した電波の信号から前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定する位相差測定手段を、を備えると共に、前記車庫システム内の車庫制御装置には、予め契約した許可車両のETC車載器の車載器IDをデータベースに登録する車載器ID登録手段と、前記ゲートに接近した車両に搭載されたETC車載器の車載器IDを読み取る入口側車載器ID読取手段と、前記入口側車載器ID読取手段により読み取った車載器IDが前記データベースに登録された許可車両の車載器IDであるかどうかを判定する入口側車載器ID判定手段と、前記入口側車載器ID判定手段により許可車両の車載器IDであると判定された場合に、前記入口のゲートを開放するゲート開放手段と、前記各受信局の位相差測定手段により測定された位相差の信号を基に、前記ETC車載器と前記各受信局との間の距離を算出し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する位置演算手段と、前記位置演算手段により測位された車両の位置が所定の時間継続して変化しない場合に、当該車両が駐車したと判定する車両駐車判定手段と、を備えることを特徴とする。
上記構成からなる本発明の車庫システムでは、駐車場の入口において車両に搭載されたETC車載器の車載器IDを読み取り、この車載器IDがデータベースに登録された車載器IDであるかどうかを判定する。車載器IDがデータベースに登録され車載器IDであると判定された場合は、入口のゲートを開放する。また、車両の駐車場所において、3箇所の異なる場所に設置された受信局により、車両に搭載されたETC車載器から発信される電波を受信して車両の位置を測位する。この場合に、ETC車載器では、通信周波数帯のキャリア波(例えば、5800MHz)を変調し、測位に供する2つの周波数スペクトル(例えば、5799MHzと5801MHz)を含む信号を生成して無線により送信する。各受信局は、ETC車載器から電波を受信し、受信した電波の信号から2つの周波数スペクトルの差の周波数成分(例えば、2MHz)の位相差を測定する。そして、各受信局で測定された位相差の信号を基に、ETC車載器と各受信局との間の距離を算出し、ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する。
これにより、駐車場の入口において、ETC車載器によりゲートを自動で開くことができる。さらに、駐車場所において車両の駐車位置を測位する際に、高い使用周波数(例えば、5.8GHz帯)で動作するETC車載器を利用できるともに、低い周波数(例えば、2MHz)により安定して車両の駐車位置を測位できる。また、ETC車載器からの信号を定期的に受信して、測位を行なうことができる。
【0021】
また、本発明の車庫システムは、前記2つの周波数スペクトル成分の差の周波数成分の波長の長さが、前記受信局における前記ETC車載器の位置検出範囲に略相当するか、または前記位置検出範囲以上であるように構成されたこと、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の車庫システムでは、測位に供する2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の波長の長さが、受信局におけるETC車載器の位置検出範囲に略相当するか、または、それ以上であるようにする。
これにより、車両の位置検出範囲(例えば、100mなど)に合わせて2つの周波数スペクトルを選定することができると共に、周波数が高い電波の位相回転を計数することなく、低い周波数の信号(2つの周波数スペクトルの差の周波数の信号)により安定して車両の位置を測位できる。
【0022】
また、本発明の車庫システムは、前記ETC車載器は、ETC車載器の通信周波数帯のキャリア波を振幅変調するための振幅信号であって、前記測位に供する2つの周波数スペクトルの成分を含む変調波を生成するための振幅信号を生成する振幅信号生成部と、前記キャリア波を前記振幅信号により振幅変調し、前記2つの周波数スペクトルを含む変調信号を生成する振幅変調部と、前記振幅変調部により生成された変調波を増幅して無線により送信する送信回路部と、を備え、前記各受信局は、前記ETC車載器から前記2つの周波数スペクトルの信号を含む電波を受信する受信部と、前記受信部によりETC車載器から受信した電波の信号から前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定する位相差測定部と、を備え、前記位相差測定部により測定された位相差の信号を基に、前記ETC車載器と前記各受信局との間の距離を算出し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位すること、特徴とする。
上記構成からなる本発明の車庫システムでは、ETC車載器において、キャリア波(例えば、5800MHz)を振幅信号(例えば、1MHz)により振幅変調し、測位に供する2つの周波数スペクトル(例えば、5799MHzおよび5801MHz)を含む変調信号を生成し、この変調波を増幅して無線により受信局に送信する。各受信局では、ETC車載器から2つの周波数スペクトルの信号を含む電波を受信し、受信した電波の信号から2つの周波数スペクトルの差の周波数成分(例えば、2MHz)の位相差を測定する。そして、この位相差の信号を基に、ETC車載器と各受信局との間の距離を算出し、ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する。
これにより、高い使用周波数(例えば、5.8GHz帯)で動作するETC車載器を利用して車両の測位を行なうことができるともに、周波数が高い電波の位相回転を計数することなく、低い周波数(例えば、2MHz)により安定して車両の位置を測位できる
【0023】
また、本発明の車庫システムは、前記各受信局の位相差測定部に対し、位相基準を固定するための1つの基準位相を発振器により提供し、前記各受信局の位相差測定部においては前記基準位相を基に前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定するように構成されたこと、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の車庫システムでは、各受信局の位相差測定部に対して1つの基準位相を提供し、位相差測定部では、この基準位相を基に2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定する。
これにより、各受信局の位相差測定部に共通の基準位相を与えることができる。このため、各受信局により測定される位相差の信号に整合性を持たせることができる。
【0024】
また、本発明の車庫システムは、前記測位に供する2つの周波数スペクトル成分として、測位管理番号N(1、2、・・・n)に対応させた複数の周波数対(f1、f2)、(f3、f4)、・・・・、(f2n−1、f2n)を使用し、前記車庫制御装置は、前記ゲートを通過し測位対象となる車両の車載器IDに対して前記測位管理番号Nを割り当て、該測位管理番号Nを当該車両のETC車載器に送信する測位管理番号送信部と、前記ETC車載器から送信される電波に含まれる2つの周波数スペクトル成分の周波数から前記測位管理番号を検出し、該測位管理番号を基に当該車両の車載器IDを判定する測位対象ID判定部と、を備え、前記ETC車載器は、前記測位管理番号送信部から送信された測位管理番号Nを基に、前記複数の周波数対(f1、f2)、(f3、f4)、・・・・、(f2n−1、f2n)から指定された周波数対を選択し、該指定された周波数対を周波数スペクトル成分として含むように前記キャリア波を変調するように構成されたこと、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の車庫システムでは、測位に供する2つの周波数スペクトルとして、測位管理番号N(1、0、・・・n)に対応させた複数の周波数対(f1、f2)、(f3、f4)、・・・・、(f2n−1、f2n)を用意する。そして車庫制御装置は、測位対象となる車両の車載器IDに対して測位管理番号Nを割り当て、該測位管理番号NをETC車載器に送信する。ETC車載器は、受信した測位管理番号Nを基に、複数の周波数対から指定された周波数対を選択し、この周波数対を周波数スペクトル成分として含む電波を受信局に向けて送信する。車庫制御装置では、ETC車載器から受信した電波に含まれる周波数スペクトル成分の周波数を基に測位管理番号を検出し、この測位管理番号を基に当該ETC車載器の車載器IDを判定する。
これにより、ETC車載器では、割り当てられた測位管理番号Nに対応した2つの周波数スペクトル成分を含む電波を放射することができる。このため、複数の車両のETC車載器に異なる測位管理番号Nを付与し、複数の車両の位置を同時に測位することができる。
【0025】
また、本発明の車庫システムは、前記測位管理番号N(1、2、・・・n)に対応する周波数対は、前記キャリア波の周波数をfcとし、前記キャリア波を振幅変調する振幅信号の基準となる周波数をΔfとした場合に、前記周波数対の周波数の高い側の周波数が、fc+N×Δf、となり、前記周波数対の周波数の低い側の周波数が、fc−N×Δf、となるように構成され、前記ETC車載器は、前記振幅信号の基準となる周波数をΔfを、前記測位管理番号Nで指定された値に応じて逓倍(N×Δf)する逓倍部を備え、前記逓倍部により逓倍された周波数(N×Δf)の振幅信号により前記キャリア波を振幅変調するように構成されたこと、を特徴とする。
上記構成からなる本発明の車庫システムでは、測位管理番号N(1、0、・・・n)に対応する周波数対は、キャリア波の周波数をfcとし、振幅信号の周波数をΔfとした場合に、(fc+N×Δf、fc−N×Δf)にする。そして、ETC車載器では、測位管理番号Nを基に、基準となる振幅信号の周波数Δfを逓倍(N×Δf)し、逓倍された周波数(N×Δf)の振幅信号によりキャリア波を振幅変調する。
これにより、ETC車載器では、測位管理番号Nに対応した2つの周波数スペクトル成分(fc+N×Δf、fc−N×Δf)を含む電波を放射することができる。このため、複数の車両のETC車載器に異なる測位管理番号Nを付与し、複数の車両の位置を同時に測位することができる。
【0026】
また、本発明の車両測位方法は、ETC車載器から発信される電波を少なくとも3箇所の異なる場所に設置された受信局により受信し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する車両測位システムにおける車両測位方法であって、前記ETC車載器により、ETC車載器の通信周波数帯のキャリア波を振幅変調し、測位に供する2つの周波数スペクトルを含む信号を生成して無線により送信する測位信号送信手順が、行われ、前記各受信局により、前記ETC車載器から前記2つの周波数スペクトルの信号を含む電波を受信し、受信した電波の信号から前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定する位相差測定手順が、行われ、前記各受信局の位相差測定手順により測定された位相差の信号を基に、前記ETC車載器と前記各受信局との間の距離を算出し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する手順が、行われることを特徴とする。
上記手順を含む本発明の車両測位方法では、3箇所の異なる場所に設置された受信局により、車両に搭載されたETC車載器から発信される電波を受信して車両の位置を測位する。この場合に、ETC車載器では、通信周波数帯のキャリア波(例えば、5800MHz)を変調し、測位に供する2つの周波数スペクトル(例えば、5799MHzと5801MHz)を含む信号を生成して無線により送信する。各受信局は、ETC車載器から2つの周波数スペクトルの信号を含む電波を受信し、受信した電波の信号から2つの周波数スペクトルの差の周波数成分(例えば、2MHz)の位相差を測定し、この位相差の信号を基に、ETC車載器と各受信局との間の距離を算出し、ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する。
これにより、高い使用周波数(例えば、5.8GHz帯)で動作するETC車載器を利用して車両の測位を行なうことができるともに、周波数が高い電波の位相回転を計数することなく、低い周波数(例えば、2MHz)により安定して車両の位置を測位できる。また、ETC車載器からの信号を定期的に受信して、測位を行なうことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の車両測位システムによれば、高い使用周波数(例えば、5.8GHz帯)で動作するETC車載器を利用して車両の測位を行なうことができるともに、周波数が高い電波の位相回転を計数することなく、低い周波数(例えば、2MHz)により安定して車両の位置を測位できる。
【0028】
また、本発明の車庫システムによれば、駐車場の入口において、ETC車載器によりゲートを自動で開くことができ、さらに、駐車場所において車両の駐車位置を測位する際に、高い使用周波数(例えば、5.8GHz帯)で動作するETC車載器を使用できるともに、低い周波数(例えば、2MHz)により安定して車両の駐車位置を測位できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0030】
[第1の実施の形態]
最初に、本発明の車両測位システムにおける基本概念について、図1を参照して説明する。
図1(A)は、図15を再度示した図であり、先に説明したように、電波の発信源での位相をゼロ(基準)とおくと、伝播パス長さL(m)隔てた受信位置における受信電波の位相は、
「(L/λ)×360度」となる。
λは、使用電波の波長であり、受信位置では発信源の基準位相からの位相遅れを計測することで発信源から受信位置までの距離計測ができる。しかし、計測対象の最大距離が使用周波数の波長に比べて大きい場合には、受信位置における位相遅れが360度を越えるため、位相回転(360度の通過回数)の計数が必要となり、受信側での処理がこの分複雑となり、かつ、位相回転の計数欠落は永久的な距離誤差となるため、安定した信号の連続した受信が必須となる。例えば、5.8GHzを使用周波数とした場合、波長は5cmであるから、発信源が移動体だとすると、5cmの移動で受信位置において360度到達位相が変化し、相回転の1回の変化を見逃すだけで5cmの恒久誤差となる。
【0031】
したがって、5.8GHz帯を使用周波数としたETC車載器を発信源とした車両測位システムを実現するに際しては、位相回転の計数により受信側での処理が複雑となり、かつ、位相回転の計数欠落は永久的な距離誤差となるため、安定した信号の連続した受信が必須となるという問題があった。
【0032】
そこで、本発明では、図1(B)に示すように、f1、f2の如く周波数差を持つ2つの周波数スペクトル成分を含む電波を発信源として持たせ、受信位置ではf1、f2の位相差を計測対象にする。これにより、あたかも図1(C)に示すような、「f2−f1」の周波数を計測に用いたのと等価な動作を得ることで出来る。このような任意の周波数差を持つ2つのスペクトルは、例えば、fcなる搬送波を(f2−f1)/2の周波数を持つ信号波で振幅変調することで側帯波として得られる。
【0033】
例えば、図1(B)において、fc=5800MHzの搬送波を1MHzの信号波で振幅変調すれば、f1=5799MHzとf2=5801MHzの2つの周波数スペクトル成分が得られる。受信側では、f1とf2の2つの信号の位相差を計測することにより、2MHz(f2−f1)の電波を用いた位相による距離計測と等価になり、2MHzの波長相当のL==150mまで位相は360度を超えず計測が可能となる。
【0034】
このように本発明の車両測位システムによれば、所望の計測対象距離に適合した2つの周波数スペクトルの差の周波数成分(f2−f1)を、使用電波の周波数fcによらず任意に選ぶことが可能となる。
【0035】
また、図2は、本発明の車両測位システムにおける、アンテナとETC車載器との位置関係の例を示す図である。図2に示す例は、3つのアンテナ(1)11、アンテナ(2)12、およびアンテナ(3)13により車両2のETC車載器3からの電波を受信し、車両2の測位を行なう例である。
【0036】
この場合、ETC車載器3を搭載した車両2の位置を測位できる範囲は、ETC車載器3から発信される電波を3つのアンテナ(1)、(2)、(3)で同時に受信できる範囲Aになる。車両2がこの範囲A内にある場合に車両2の位置を追跡して測位することができる。
【0037】
また、図3は、本発明の第1の実施の形態に係わる車両測位システム1の構成を示す図であり、ETC車載器と受信局の構成例を示している。なお、ETC車載器3の構成は、本発明に直接関係する無線系部分のみを示しており、ETCカードのリーダ等は省略して示している。
【0038】
ETC車載器3には、5800MHz(5.8GHz)のキャリア波を発生するキャリア波発信源31と、振幅信号生成部34とが信号発生源として設けられている。この振幅信号生成部34から周波数Δfの振幅信号が生成される。振幅変調部32では、キャリア波発信源31から出力されるキャリア波を、振幅信号生成部34から出力される振幅信号により振幅変調する。例えば、振幅信号の周波数Δfを1MHzとすれば、側帯波として、f1(5799MHz)とf2(5801)MHzの信号を含む変調波が得られる。この変調波を送受信回路部33により増幅して、ETCアンテナ35から電波として放射する。
【0039】
ETCアンテナ35から放射された電波は、受信局のアンテナ(1)11、アンテナ(2)12、およびアンテナ(3)13により受信される。受信局(1)101は、アンテナ(1)11で受信した電波から、2つの周波数スペクトルf1、f2の差の周波数成分(f1−f2)の位相差を検出し、測位信号(1)を位置演算部51に向けて出力する。受信局(2)102は、アンテナ(2)12で受信した電波から、2つの周波数スペクトルf1、f2の差の周波数成分(f1−f2)の位相差を検出し、測位信号(2)を位置演算部51に向けて出力する。また、受信局(3)103は、アンテナ(3)13で受信した電波から、2つの周波数スペクトルf1、f2の差の周波数成分(f1−f2)の位相差を検出し、測位信号(3)を位置演算部51に向けて出力する。
【0040】
なお、受信局(1)101、受信局(2)102、および受信局(3)103に対して、位相基準を固定するため1つの基準位相の信号が共通キャリア源(発信器)104から提供される。各受信局(1)、(2)、(3)は、この基準位相を基にして、測位信号を生成する。
【0041】
位置演算部51では、各受信局(1)、(2)、(3)から受信した測位信号(1)、(2)、(3)を基に、ETC車載器3の位置(車両の位置)を測位するとともに、その位置を追跡する。なお、測位には、前述した双曲線航法が使用できる。
【0042】
また、図4は、受信局の詳細な構成を示す図である。
図4に示す受信局101は、ETC車載器3の使用周波数を5800MHzとし、側波帯周波数を5799MHzおよび5801MHzとした例を示しており、受信局内部の周波数もこれに合わせた例として示している。
【0043】
図4に示す受信局101において、復調部は周知の3段のヘテロダイン変換(周波数変換)を持つトリプルスーパ受信機で構成されたている。ただし、位相基準を固定するため、混合器へのローカル発振の注入成分を1つの共通キャリア(復調用キャリア源)から逓倍または分周して生成する点に特徴がある。
【0044】
以下、図4を参照してその構成と、動作について説明する。
アンテナ(1)11で受信した信号は、第1混合器111に入力される。第1混合器111の他方の入力には、逓倍器112から出力される5632MHzの中間周波数が入力される。なお、逓倍器112では、復調用キャリア源122から出力される基準キャリア波(64MHz)を、88倍して5632MHzの中間周波数の信号を生成する。
【0045】
第1混合器111から出力された中間周波数の信号は、第1中間周波数増幅器113により増幅され、第2混合器114に出力される。第2混合器114の他方の入力には、逓倍器115から出力される192MHzの中間周波数が入力される。なお、逓倍器115では、復調用キャリア源122から出力される基準キャリア波(64MHz)を、3倍して192MHzの中間周波数の信号を生成する。
【0046】
第2混合器114から出力された中間周波数の信号は、第2中間周波数増幅器116により増幅され、第3混合器117に出力される。第3混合器117の他方の入力には、分周器118から出力される16MHzの中間周波数が入力される。なお、分周器118では、復調用キャリア源122から出力される基準キャリア波(64MHz)を、4分周して16MHzの中間周波数の信号を生成する。
【0047】
第3混合器117から出力された信号は、中心周波数9MHzのバンドパスフィルタ119と、中心周波数7MHzのバンドパスフィルタ120と、に入力される。これにより、中心周波数9MHzのバンドパスフィルタ119により上側帯波が検出され、中心周波数7MHzのバンドパスフィルタ120により下側帯波が検出される。それぞれのバンドパスフィルタ119、120により検出された側帯波の信号は位相差電圧変換回路121に入力される。
【0048】
位相差電圧変換回路121が、バンドパスフィルタ119、120から入力される側帯波の信号から、その位相を検出し測位信号を出力する。
【0049】
上記構成により、高い使用周波数(例えば、5.8GHz帯)で動作するETC車載器を利用して車両の測位を行なうことができるともに、周波数が高い電波の位相回転を計数することなく、低い周波数(例えば、2MHz)により安定して車両の位置を測位できる。また、ETC車載器からの信号を定期的に受信して、測位を行なうことができる。
【0050】
なお、前述の測位信号送信手段は、ETC車載器3内のキャリア波発信源31、振幅変調部32、送受信回路部33、および振幅信号生成部34が相当する。また、前述の位相差測定手段は、図4に示す受信局101内の各処理部が相当する。また、前述の受信局の受信部と位相差測定部は、図4に示す受信局101内の各処理部が相当する。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態として、本発明の車両測位システムを駐車場の車庫システムに応用した例について説明する。なお、以下の説明で使用される用語において、「駐車場所」とは、駐車場内において車両(道路を走行する自動車)が安全に駐車することができる駐車領域を意味する。また、「駐車」とは車両が継続的に停止すること、または、運転者が、車両を離れてすぐには運転できない状態にあることを意味する。
【0052】
図5に示すように、本発明の車庫システムは、車庫制御装置40を中心にして、入口201側に設備された機器と、駐車場所202に設備された機器とで構成される。
【0053】
入口201側には、車両2に搭載されたETC車載器3AとDSRC通信(狭域通信)を行うためのゲート側アンテナ81が設備される。このゲート側アンテナ81は入口の照明ポール等に設備される。
【0054】
車両2はゲート4の前で一旦停止し、ゲート側アンテナ81を使用した狭域通信により、ETC車載器3Aと車庫制御装置40との間で通信が行なわれる。この狭域通信により、車庫制御装置40はETC車載器3Aから車載器IDを読み取る。
【0055】
また、入口201側には、ゲート4を開閉するための門駆動メカ82が設備されている。この門駆動メカ82は、アクチュエータ(モータや油圧機構等)と、このアクチュエータにより駆動されるゲート開閉機構とで構成されている。
【0056】
駐車場所202には、車両2のETC車載器3AとDSRC通信を行い、ETC車載器3Aの位置を計測するためのアンテナ(1)11と、アンテナ(2)12と、アンテナ(3)13とが設備される。これらの、アンテナ(1)、(2)、(3)は照明ポール等に設備される。
【0057】
そして、アンテナ(1)11に受信局(1)101が接続され、受信局(1)101で測定された測位信号は、車庫制御装置40に向けて出力される。また、アンテナ(2)12には受信局(2)102が接続され、受信局(2)102で測定された測位信号は、車庫制御装置40に向けて出力される。また、アンテナ(3)13には受信局(3)103が接続され、受信局(3)103で測定された測位信号は、車庫制御装置40に向けて出力される。
【0058】
なお、アンテナ(1)11、アンテナ(2)12、アンテナ(3)13、受信局(1)101、受信局(2)102、および受信局(3)103は、図1乃至図4で説明した第1の実施の形態におけるものと同様であり、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0059】
上記構成により、入口201およびその近辺においては、車両2に搭載されたETC車載器3Aと車庫制御装置40とが、ゲート側アンテナ81を使用した狭域通信を行なう。この狭域通信により、車庫制御装置40はETC車載器3Aから車載器IDを読み取る。そして、読み取った車載器IDが、IDテーブル(図8のIDテーブルを参照)に登録された車載器IDである場合に、ゲート4の開放を行なう。
【0060】
また、駐車場所202においては、アンテナ(1)11、アンテナ(2)12、およびアンテナ(3)13により、ETC車載器3Aから発信される電波を受信し、受信局(1)101、受信局(2)102、および受信局(3)103により計測した測位信号を車庫制御装置40に送信する。
【0061】
車庫制御装置40では、受信局(1)101、受信局(2)102、受信局(3)103により計測された測位信号を基に、当該ETC車載器3Aを搭載した車両2の位置を測位する。車庫制御装置40では、車両2の位置を測位すると共に、車両2が駐車したと判定した場合には、その位置を車載器IDを指標としてIDテーブルに登録する。
【0062】
なお、図5に示す例では、入口のゲート側アンテナ81を設けると共に、駐車場所202にアンテナ(1)、(2)、(3)を設ける例を示しているが、駐車場所の面積の広狭に応じて、例えば、アンテナ(1)11を入口のゲート側アンテナ81と共用することもできる。また、駐車場所202にはアンテナ(1)、(2)、(3)の3つだけでなく、4つ以上のアンテナを設備することもできる。
【0063】
また、図6は、本発明の第2の実施の形態におけるETC車載器3Aの構成例を示す図である。なお、ETC車載器3Aの構成は、本発明に直接関係する部分のみを示しており、ETCカードのリーダ等は省略して示している。
【0064】
図6に示すETC車載器3Aが、図3に示すETC車載器3と構成上異なるのは、図6に示すETC車載器3Aに、図6に示す車載器ID送信部36と、逓倍部37と、測位管理番号受信部38を新たに追加した点であり、他の構成は図3に示すETC車載器3と同様である。このため、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0065】
この、ETC車載器3A内の車載器ID送信部36は、車両2がゲート4の前に到着した際に、車庫制御装置40側から呼びかけに応じて、当該車両2の車載器IDを車庫制御装置40側に送信するための処理部である。
【0066】
測位管理番号受信部38は、車両2がゲート4を通過する際に、車庫制御装置40側から測位管理番号を受信するための処理部である。この測位管理番号は、図9に示す測位管理テーブル73に登録された番号であり、空いている測位管理番号(現在、測位に使用されていない周波数対に対応する番号)が、ゲート4を通過する車両2のETC車載器3Aに送信される。なお、測位管理テーブル73の詳細については後述する。
【0067】
逓倍部37では、測位管理番号受信部38により受信された測位管理番号を基に、振幅信号生成部34で生成された振幅信号の周波数を逓倍する。例えば、測位管理番号が‘2’であれば、周波数が2逓倍された振幅信号(2×Δf)の信号が生成され、振幅変調部32に向けて出力される。
【0068】
このように、測位対象となる車両2のETC車載器3Aに対し、空いている測位管理番号を割り当てられ、ETC車載器3Aにおいては、測位管理番号に応じて逓倍された周波数の振幅信号が生成される。これにより、ETC車載器3Aからは、測位管理番号に対応して、異なる周波数スペクトル成分を持つ電波が発信されるようになり、複数の車両の測位を同時に行なうことができる。
【0069】
図7は、本発明の車庫システム1Aにおける車庫制御装置40の構成例を示す図であり、本発明の直接関係する部分を示したものである。
【0070】
図7において、車庫制御装置40内の制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されるコンピュータシステムにより構成されており、車庫制御装置40内の各処理部を統括して制御することにより、車庫システムの機能を実現するための処理部である。
【0071】
車載器ID登録部42は、この車庫システムを利用する車両である許可車両を識別するための車載器IDを、データベース71のIDテーブル72に登録するための処理部である。
【0072】
このIDテーブル72は、図8(A)に示すように車載器IDを登録したテーブルである。このIDテーブル72には、この車庫システムと契約した車両、すなわち許可車両の車載器IDが登録されている。また、許可車両が駐車している場合は、その駐車位置が、図8(B)に示す駐車場所の駐車枡番号により記録されている。なお、図8(A)のIDテーブル中に例示した車載器IDは、一例として示したものであり、実際の車載器IDは、英数字を含むより多桁の車載器IDで構成されることがある。
【0073】
入口側車載器ID読取部43は、ゲート側アンテナ81を介して、車両2のETC車載器3Aと狭域通信を行い、ETC車載器3Aから車載器IDを読み取るための処理部である。
【0074】
入口側車載器ID判定部44は、データベース71中のIDテーブル72を参照し、入口側車載器ID読取部43により読み取った車両2の車載器IDがIDテーブル72に登録された車載器IDであるかどうかを判定するための処理部である。この入口側車載器ID判定部44により、車両2の車載器IDがIDテーブル72に登録された車載器IDと判定された場合に、当該車両2に対してゲート4が開放される。
【0075】
測位管理番号管理部45は、データベース71中の測位管理テーブル73の管理を行なうために処理部である。この測位管理番号管理部45は、新たな測位対象の車両が生じた場合に、測位管理テーブル73中の空き測位管理番号へ、当該車両の車載器IDを割り当てる。また、車両が駐車し測位管理番号が使用されなくなった場合に、当該測位管理番号の開放の処理を行なう。
【0076】
この測位管理テーブルの例を図9に示す。図9に示す測位管理テーブル73では、4つの「測位管理番号」が用意され、各測位管理番号に一意に対応して、「測定に使用する周波数」がf1、f2などと周波数対で登録されている。また、測位管理番号に対応して、「現在実行のステータス」と、「測位対象車載器ID」が登録されている。このように、4つの測位管理番号を使用することにより、最大4台までの車両2の位置を追跡できることになる。なお、測位管理番号は、5以上であってもよい。
【0077】
また、「測位実行ステータス」として、‘N’または‘A’が登録される。
‘N’は、測位対象なしを示す、この周波数対は空きであり利用可能であることを示している。また、‘A’は、測位に使用中を示し、この周波数対は車載器ID******のETC車載器3Aに使用していることを示している。なお、測位対象なしの場合の車載器IDの番号は、「ID=000000」となる。
【0078】
図7に戻り、測位管理番号送信部46は、ゲート4を通過し新たに測位対象となる車両2のETC車載器3Aに対し、測位管理番号管理部45により割り当てられた測位管理番号を送信する処理を行なう。
【0079】
車両駐車判定部47は、ETC車載器3Aを搭載した車両の位置が所定の時間継続して変化しない場合に、車両2が駐車したと判定するための処理部である。この場合に、車両駐車判定部47は、車両2の移動軌跡を検出し、駐車場所202内のどの駐車枡に駐車したかを判定するようにもできる。また、車両駐車判定部47により車両2が駐車したと判定された場合は、駐車位置登録部48により、車両2の駐車した駐車枡位置の番号をデータベース71中のIDテーブル72に登録する。
【0080】
なお、ETC車載器3Aが車両のエンジン停止、または車両のキーオフにより通信を停止するように構成されている場合は、車両2の位置が所定の時間継続して変化せず、かつ、ETC車載器3Aが所定の時間継続して無応答になったときに、当該車両のエンジン停止、またはキーオフが行なわれたと判定し、駐車したと判定するようにもできる。また、これに応じて、入口のゲート4を閉じるようにすることもできる。
【0081】
また、測位制御部50中の位置演算部51は、受信局(1)101、受信局(2)102、および受信局(3)103で測定された2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差の信号を基に、ETC車載器3Aと各受信局(1)、(2)、(3)との間の距離を算出し、ETC車載器3Aを搭載した車両2の位置を測位する処理を行なう。
【0082】
測位対象ID判定部52は、ETC車載器3Aから送信される2つの周波数スペクトル成分の周波数を基に、当該車両の車載器IDを判定する処理を行なう。
【0083】
門駆動機構制御部61は、入口側車載器ID判定部44において車載器IDがデータベース71のIDテーブル72に登録された車載器IDであると判定された場合に、門駆動メカ82にゲート開放の指令信号を送信し、ゲート4を開放するための制御部である。
【0084】
なお、門駆動機構制御部61は、車両駐車判定部47において車両2が駐車したと判定された場合に、門駆動メカ82にゲート閉鎖の指令信号を送信し、ゲート4を閉鎖するように構成することもできる。
【0085】
上記構成により、ETC車載器3Aを利用して駐車場のゲート4の開放を行なうことができると共に、車両2が駐車場所に移動して駐車した場合に、その位置を測位し、データベース71に登録することができる。これにより、車両2の駐車位置を測位して管理することができる。
【0086】
なお、前述の車載器ID登録手段は、車載器ID登録部42が相当し、前述の入口側車載器ID読取手段は、入口側車載器ID読取部43およびゲート側アンテナ81が相当する。また、入口側車載器ID判定手段は入口側車載器ID判定部44が相当し、前述のゲート開放手段は、門駆動機構制御部61および門駆動メカ82が相当する。
【0087】
また、図10は、複数の測位対象のETC車載器が発する電波のスペクトルを示す図である。すなわち、図9に示す測位管理テーブル73中の測位管理番号に対応して、4つの周波数対(f1、f2)、(f3、f4)、(f5、f6)、(f7、f8)が使用される。この場合に、キャリア波の周波数fcに対して、周波数対(f1、f2)は、fcに対してΔfの周波数差を持つ信号である。周波数対(f3、f4)は、fcに対して2×Δfの周波数差を持つ信号であり、周波数対(f5、f6)は、fcに対して3×Δfの周波数差を持つ信号である。同様にして、周波数対(f7、f8)は、fcに対して4×Δfの周波数差を持つ信号である。
【0088】
また、図11は、測位管理番号に対応する周波数関係を示す図である。図11(A)に示す、測位管理番号(N=01、02、03、04)に対応して、それぞれの測位管理番号で使用される周波数対(f1、f2)、(f3、f4)、(f5、f6)、(f7、f8)が設定されている。この場合、図11(B)に示すように、測位管理番号(N=01、02、03、04)に対応する周波数スペクトルが発生し、受信側では測位管理番号に対し、対象とするスペクトルについて、各アンテナにおける位相差を計測する。
【0089】
また、図12は、測位対象におけるスペクトルの生成過程を示す図である。図12(A)に示すように、逓倍部37では、測位管理番号に対応する逓倍数により、振幅信号の周波数Δfを逓倍し、振幅変調部32によりキャリア波fcを振幅変調して出力する。
【0090】
例えば、図12(B)に示すように、測位管理番号が‘01’の場合は、キャリア波が周波数Δf(1×Δf)の信号により変調された側帯波f1、f2を有する周波数スペクトルとなる。
【0091】
また、図13は、本発明の車庫システムにおける処理の流れを示すフローチャートであり、前述した車庫システムにおける処理をフローチャートで示したものである。
【0092】
図13に示すフローチャートにおいて、ステップS1からステップS3までの処理は、駐車場の入口における測位対象の捕獲と測位開始までの処理の流れを示している。また、ステップS4からステップS7までの処理は、車両2の位置の追跡と駐車位置の判定の処理の流れを示している。
【0093】
最初に、車庫制御装置40は、入口201に設置されたゲート側アンテナ81により、車両2に搭載されたETC車載器3Aとの通信を行うべくDSRCによる通信を常時試行している。
【0094】
そして、ETC車載器3Aを搭載した車両2が入口201に接近し、当該車両2との通信が開始されると、ETC車載器3Aから車載器IDを受信する。そして、この車載器IDがデータベース71のIDテーブル72に登録された車両、すなわち許可車両であるかどうかを判定する。許可車両である場合は、門駆動機構制御部21により、門駆動メカ82に対して門開駆動の制御指令を出力し、ゲート4を開く(ステップS1)。
【0095】
また、この際に、データベース71中の測位管理テーブル73を参照して、空いている測位管理番号を、当該車両に対する測位管理番号として指示する(ステップS2)。ETC車載器3Aは、指示された測位管理番号に応じた周波数(測位管理番号×Δf)の信号により、キャリア波fcを振幅変調し、測位用の2つの周波数スペクトルを含む電波の発信を開始する(ステップS3)。
【0096】
車両2はゲート4を追加すると、駐車場所内の測位用のアンテナ(1)、(2)、(3)によりETC車載器3Aからの電波を一定周期で受信し、車両2の位置を追跡する(ステップS4)。
【0097】
そして、ETC車載器3Aからの信号により、当該車両2の位置の移動停止か、または、車両2の位置移動停止後のETC車載器3Aからの応答信号が所定時間、継続してなくなったこと(車両2のエンジンストップやキーオフによりETC車載器が停止したこと)を検出する。すなわち、車両2の位置移動停止か、または、位置移動停止後のETC車載器3Aからの停波を検出する(ステップS5)。
【0098】
そして、車両2の移動停止位置である最終位置により、当該車両2が駐車している駐車枡を判定する(ステップS6)。なお、車両2の移動の軌跡を参照して移動停止位置を判定するようにしてもよい。これにより、駐車枡の判定を確実にすることができる。
【0099】
その後、当該車両2に付与していた測位管理番号を空きとして、測位管理テーブル73に登録する(ステップS7)。
【0100】
上記処理手順により、予め登録された車両に対してETC車載器を利用してゲートを開くことができ、さらに、ETC車載器を利用して、車両が駐車場所のどの駐車枡に駐車したかを検出でき、駐車場所の管理が行なえる。
【0101】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の車両測位システム、および車庫システムは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の車両測位システムにおける基本概念について説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わる車両測位システムについて説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係わるETC車載器と受信局の構成例を示す図である。
【図4】受信局の詳細な構成を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係わる車庫システムの全体構成を示す図である。
【図6】第2の実施の形態におけるETC車載器の構成例を示す図である。
【図7】本発明の車庫システムにおける車庫制御装置の構成例を示す図である。
【図8】データベース中のIDテーブルの例を示す図である。
【図9】測位管理テーブルの例を示す図である。
【図10】複数の測位対象のETC車載器が発する電波のスペクトルを示す図である。
【図11】測位管理番号に対応する周波数関係を示す図である。
【図12】測位対象におけるスペクトルの生成過程を示す図である。
【図13】車庫システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】双曲線航法による位置算出方法を説明するための図である。
【図15】ETC車載器を使用する場合の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0103】
1・・・車両測位システム、1A・・・車庫システム、2・・・車両、3、3A・・・ETC車載器、4・・・ゲート、11・・・アンテナ(1)、12・・・アンテナ(2)、13・・・アンテナ(3)、31・・・キャリア波発信源、32・・・振幅変調部、33・・・送受信回路部、34・・・振幅信号生成部、35・・・ETCアンテナ、36・・・車載器ID送信部、37・・・逓倍部、38・・・測位管理番号受信部、40・・・車庫制御装置、41・・・制御部、42・・・車載器ID登録部、43・・・入口側車載器ID読取部、44・・・入口側車載器ID判定部、45・・・測位管理番号管理部、46・・・測位管理番号送信部、47・・・車両駐車判定部、48・・・駐車位置登録部、50・・・測位制御部、51・・・位置演算部、52・・・測位対象ID判定部、61・・・門駆動機構制御部、71・・・データベース、72・・・IDテーブル、73・・・測位管理テーブル、81・・・ゲート側アンテナ、82・・・門駆動メカ、101・・・受信局(1)、102・・・受信局(2)、103・・・受信局(3)、104・・・共通キャリア源、111・・・第1混合器、112、115・・・逓倍器、113・・・第1中間周波数増幅器、114・・・第2混合器、116・・・第2中間周波数増幅器、117・・・第3混合器、118・・・分周器、119、120・・・バンドパスフィルタ、121・・・位相差電圧変換回路、122・・・復調用キャリア源、201・・・入口、202・・・駐車場所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ETC車載器から発信される電波を少なくとも3箇所の異なる場所に設置された受信局により受信し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する車両測位システムであって、
前記ETC車載器は、
ETC車載器の通信周波数帯のキャリア波を振幅変調し、測位に供する2つの周波数スペクトルを含む信号を生成して無線により送信する測位信号送信手段を、
備え、
前記各受信局は、
前記ETC車載器から前記2つの周波数スペクトルの信号を含む電波を受信し、受信した電波の信号から前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定する位相差測定手段を、
を備え、
前記各受信局の位相差測定手段により測定された位相差の信号を基に、前記ETC車載器と前記各受信局との間の距離を算出し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位すること、
を特徴とする車両測位システム。
【請求項2】
前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の波長の長さが、前記受信局における前記ETC車載器の位置検出範囲に略相当するか、または前記位置検出範囲以上であるように構成されたこと、
を特徴とする請求項1に記載の車両測位システム。
【請求項3】
前記ETC車載器は、
ETC車載器の通信周波数帯のキャリア波を振幅変調するための振幅信号であって、前記測位に供する2つの周波数スペクトルの成分を含む変調波を生成するための基準となる周波数の振幅信号を生成する振幅信号生成部と、
前記キャリア波を前記振幅信号により振幅変調し、前記2つの周波数スペクトルを含む変調信号を生成する振幅変調部と、
前記振幅変調部により生成された変調波を増幅して無線により送信する送信回路部と、
を備え、
前記各受信局は、
前記ETC車載器から前記2つの周波数スペクトルの信号を含む電波を受信する受信部と、
前記受信部によりETC車載器から受信した電波の信号から前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定する位相差測定部と、
を備え、
前記位相差測定部により測定された位相差の信号を基に、前記ETC車載器と前記各受信局との間の距離を算出し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する位置演算部と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両測位システム。
【請求項4】
前記各受信局の位相差測定部に対し、位相基準を固定するための1つの基準位相を発振器により提供し、前記各受信局の位相差測定部においては前記基準位相を基に前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定するように構成されたこと、
を特徴とする請求項3に記載の車両測位システム。
【請求項5】
予め登録されたETC車載器を搭載した車両を識別して入口のゲートの開閉を行なうと共に、前記ETC車載器から発信される電波を駐車場内の少なくとも3箇所の異なる場所に設置された受信局により受信し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する車庫システムであって、
前記ETC車載器は、
ETC車載器の通信周波数帯のキャリア波を振幅変調し、測位に供する2つの周波数スペクトルを含む信号を生成して電波により送信する測位信号送信手段を、
備え、
前記各受信局は、
前記ETC車載器から前記2つの周波数スペクトルの信号を含む電波を受信し、受信した電波の信号から前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定する位相差測定手段を、
を備えると共に、
前記車庫システム内の車庫制御装置には、
予め契約した許可車両のETC車載器の車載器IDをデータベースに登録する車載器ID登録手段と、
前記ゲートに接近した車両に搭載されたETC車載器の車載器IDを読み取る入口側車載器ID読取手段と、
前記入口側車載器ID読取手段により読み取った車載器IDが前記データベースに登録された許可車両の車載器IDであるかどうかを判定する入口側車載器ID判定手段と、
前記入口側車載器ID判定手段により許可車両の車載器IDであると判定された場合に、前記入口のゲートを開放するゲート開放手段と、
前記各受信局の位相差測定手段により測定された位相差の信号を基に、前記ETC車載器と前記各受信局との間の距離を算出し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する位置演算手段と、
前記位置演算手段により測位された車両の位置が所定の時間継続して変化しない場合に、当該車両が駐車したと判定する車両駐車判定手段と、
を備えることを特徴とする車庫システム。
【請求項6】
前記2つの周波数スペクトル成分の差の周波数成分の波長の長さが、前記受信局における前記ETC車載器の位置検出範囲に略相当するか、または前記位置検出範囲以上であるように構成されたこと、
を特徴とする請求項5に記載の車庫システム。
【請求項7】
前記ETC車載器は、
ETC車載器の通信周波数帯のキャリア波を振幅変調するための振幅信号であって、前記測位に供する2つの周波数スペクトルの成分を含む変調波を生成するための振幅信号を生成する振幅信号生成部と、
前記キャリア波を前記振幅信号により振幅変調し、前記2つの周波数スペクトルを含む変調信号を生成する振幅変調部と、
前記振幅変調部により生成された変調波を増幅して無線により送信する送信回路部と、
を備え、
前記各受信局は、
前記ETC車載器から前記2つの周波数スペクトルの信号を含む電波を受信する受信部と、
前記受信部によりETC車載器から受信した電波の信号から前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定する位相差測定部と、
を備え、
前記位相差測定部により測定された位相差の信号を基に、前記ETC車載器と前記各受信局との間の距離を算出し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位すること、
を特徴とする請求項5または請求項6に記載の車庫システム。
【請求項8】
前記各受信局の位相差測定部に対し、位相基準を固定するための1つの基準位相を発振器により提供し、前記各受信局の位相差測定部においては前記基準位相を基に前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定するように構成されたこと、
を特徴とする請求項7に記載の車庫システム。
【請求項9】
前記測位に供する2つの周波数スペクトル成分として、測位管理番号N(1、2、・・・n)に対応させた複数の周波数対(f1、f2)、(f3、f4)、・・・・、(f2n−1、f2n)を使用し、
前記車庫制御装置は、
前記ゲートを通過し測位対象となる車両の車載器IDに対して前記測位管理番号Nを割り当て、該測位管理番号Nを当該車両のETC車載器に送信する測位管理番号送信部と、
前記ETC車載器から送信される電波に含まれる2つの周波数スペクトル成分の周波数から前記測位管理番号を検出し、該測位管理番号を基に当該車両の車載器IDを判定する測位対象ID判定部と、
を備え、
前記ETC車載器は、前記測位管理番号送信部から送信された測位管理番号Nを基に、前記複数の周波数対(f1、f2)、(f3、f4)、・・・・、(f2n−1、f2n)から指定された周波数対を選択し、該指定された周波数対を周波数スペクトル成分として含むように前記キャリア波を変調するように構成されたこと、
を特徴とする請求項5から請求項8のいずれかに記載の車庫システム。
【請求項10】
前記測位管理番号N(1、2、・・・n)に対応する周波数対は、前記キャリア波の周波数をfcとし、前記キャリア波を振幅変調する振幅信号の基準となる周波数をΔfとした場合に、
前記周波数対の周波数の高い側の周波数が、
fc+N×Δf、となり、
前記周波数対の周波数の低い側の周波数が、
fc−N×Δf、となる、
ように構成され、
前記ETC車載器は、
前記振幅信号の基準となる周波数をΔfを、前記測位管理番号Nで指定された値に応じて逓倍(N×Δf)する逓倍部を備え、
前記逓倍部により逓倍された周波数(N×Δf)の振幅信号により前記キャリア波を振幅変調するように構成されたこと、
を特徴とする請求項9に記載の車庫システム。
【請求項11】
ETC車載器から発信される電波を少なくとも3箇所の異なる場所に設置された受信局により受信し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する車両測位システムにおける車両測位方法であって、
前記ETC車載器により、
ETC車載器の通信周波数帯のキャリア波を振幅変調し、測位に供する2つの周波数スペクトルを含む信号を生成して無線により送信する測位信号送信手順が、
行われ、
前記各受信局により、
前記ETC車載器から前記2つの周波数スペクトルの信号を含む電波を受信し、受信した電波の信号から前記2つの周波数スペクトルの差の周波数成分の位相差を測定する位相差測定手順が、
行われ、
前記各受信局の位相差測定手順により測定された位相差の信号を基に、前記ETC車載器と前記各受信局との間の距離を算出し、前記ETC車載器を搭載した車両の位置を測位する手順が、
行われることを特徴とする車両測位方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−244026(P2009−244026A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89658(P2008−89658)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(505413255)阪神高速道路株式会社 (46)
【出願人】(507240680)株式会社COH (5)
【Fターム(参考)】