説明

車両用カメラシステム

【課題】自動車等の車両に取り付けられたカメラ装置を用いて灯体の状態の検出を行う。
【解決手段】灯体210を備えた車両に搭載される車両用カメラシステムにおいて、撮像素子111を用いて車両周囲環境を撮影するカメラ装置110と、前記灯体から照射された光を前記撮像素子の撮像面の一部に入射させる導光手段120とを備え、前記撮像素子は、車両周囲環境の映像信号及び前記灯体の状態を表す情報信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯体を備えた車両に搭載されるカメラシステムに関し、特に車両に取り付けられたカメラ装置を利用して灯体の状態の検出を行う車両用カメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両の灯体内に光センサを設け、この光センサを用いて灯体の状態(光量等)を検出すること(灯体の状態を表す情報の取得)が知られている(例えば特許文献1)。また、自動車等の車両にカメラ装置(後部監視カメラ、前側方死角監視カメラ、前方死角監視カメラ、夜間前方監視カメラ等)を取り付け、このカメラ装置を用いて車両周囲環境を撮影することも知られている(例えば特許文献2)。
【0003】
本出願の発明者は、自動車等の車両に取り付けられたカメラ装置に着目し、このカメラ装置を利用すれば、光センサを車両に設けることなく、灯体の状態を検出すること(灯体の状態を表す情報の取得)ができるとの着想を得た。
【特許文献1】特開2006−341762号公報
【特許文献2】特開2006−327352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、自動車等の車両に取り付けられたカメラ装置を利用して灯体の状態の検出を行うための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、灯体を備えた車両に搭載される車両用カメラシステムにおいて、撮像素子を用いて車両周囲環境を撮影するカメラ装置と、前記灯体から照射された光を前記撮像素子の撮像面の一部に入射させる導光手段と、を備え、前記撮像素子は、車両周囲環境の映像信号及び前記灯体の状態を表す情報信号を出力することを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、導光手段により、灯体から照射された光を、車両周囲環境を撮影するカメラ装置の撮像素子の撮像面の一部に入射させるので、撮像素子は、車両周囲環境の映像信号だけでなく、灯体の状態を表す情報信号も出力する。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、従来のように光センサを車両に設けることなく、自動車等の車両に取り付けられたカメラ装置を利用して灯体の状態を検出すること(灯体の状態を表す情報の取得)が可能となる。また、従来のように光センサを車両に設けることなく、自動車等の車両に取り付けられたカメラ装置を利用して灯体の状態を検出するので、比較的安価に灯体の状態を検出すること(灯体の状態を表す情報の取得)が可能となる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記灯体の状態を表す情報信号に基づいて前記灯体の明るさ又は明るさの分布を認識する認識手段をさらに備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、灯体の状態を表す情報信号に基づいて灯体の明るさ又は明るさの分布を自動認識するので、その認識結果に基づいて各種処理(認識結果の報知等)を行うことが可能となる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記認識手段の認識結果に応じたメッセージを報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、認識手段の認識結果に応じたメッセージを報知するので、利用者等は、灯体の状態を極めて容易に把握することが可能となる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、前記認識手段の認識結果に基づいて前記灯体を制御する灯体制御手段をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、認識手段の認識結果に基づいて灯体を制御するので、灯体を最適の状態に維持することが可能となる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の発明において、前記導光手段は反射板、又は、光ファイバーであることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、導光手段として反射板を用いることにより、灯体から照射された光を、この反射板により反射させて撮像素子の撮像面の一部に入射させることが可能となる。
【0015】
また、導光手段として光ファイバーを用いることにより、灯体から照射された光を、この光ファイバーを介して撮像素子の撮像面の一部に入射させることが可能となる。また、灯体と撮像素子との間が比較的長距離であっても(例えば撮像素子を灯体外部(例えば車内)に配置した場合)、灯体と撮像素子とを光ファイバーで接続することにより、灯体から照射された光を、この光ファイバーを介して撮像素子の撮像面の一部に入射させることが可能となる。また、灯体が複数存在する場合であっても、これら複数の灯体と一つの撮像素子とを複数の光ファイバーで接続することにより、複数の灯体から照射された光を、複数の光ファイバーを介して一つの撮像素子の撮像面の一部に入射させることが可能となる。すなわち、複数の灯体の状態を、一つのカメラ装置を利用して検出することが可能となる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の発明において、前記撮像素子から出力される信号に基づく映像を表示する画像表示装置をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、撮像素子から出力される信号に基づく映像(車両周囲環境の映像又は灯体の状態を表す映像)を表示するので、利用者等は、この映像を視認することで、灯体の状態(灯体の劣化、灯体の破損等)を把握することが可能となる。これにより、整備不良を事前に防止し得る(安全性の向上)。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の発明において、前記灯体の光源を点灯させるスイッチと、前記スイッチにより前記灯体の光源を点灯させた場合にのみ前記カメラ装置を作動させる制御手段をさらに備えることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、スイッチにより灯体の光源を点灯させた場合にのみカメラ装置を作動させるので、カメラ装置の撮像素子に灯体の光源以外の太陽光等が入射することによる誤検出を防止することが可能となる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれかに記載の発明において、移動自在に配置された反射板をさらに備え、前記カメラ装置は、前記移動自在に配置された反射板を介して車両周囲環境を撮影することを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、カメラ装置は移動自在に配置された反射板を介して車両周囲環境を撮影するので、この反射板を移動させることにより、撮影範囲を容易に調整することが可能となる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれかに記載の発明において、前記灯体と前記撮像素子との間に配置された減光フィルターをさらに備え、前記灯体から照射された光を、前記減光フィルターを介して前記撮像素子の撮像面の一部に入射させることを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、灯体から照射された光を、減光フィルターにより減光した上で撮像素子の撮像面の一部に入射させるので、灯体から照射された光が強くても、ハレーションの発生を防止することが可能となる。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記反射板は減光ミラーであることを特徴とする。
【0025】
請求項10に記載の発明によれば、灯体から照射された光を、減光ミラーにより減光した上で撮像素子の撮像面の一部に入射させるので、灯体から照射された光が強くても、ハレーションの発生を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、自動車等の車両に取り付けられたカメラ装置を利用して灯体の状態の検出を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態であるカメラシステムについて図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1実施形態であるカメラシステムが搭載された車両の斜視図である。図2は、主に第1実施形態であるカメラシステムのシステム構成を説明するための図である。
【0029】
図1に示すように、本実施形態のカメラシステム100は、灯体210(例えば、前照灯、テールランプ、ウインカー。図1では、前照灯を例示。)を備えた自動車等の車両200に搭載される。図2に示すように、カメラシステム100は、監視カメラ110、導光部材120、及び、画像表示装置130等を備えている。
【0030】
監視カメラ110は、撮像素子111を用いて車両周囲環境を撮影するカメラ装置であり、本実施形態では、灯体210内に設けられている。監視カメラ110は、一般的なデジタルカメラと同様、撮影レンズ(図示せず)やCCDあるいはCMOS等の撮像素子111等を備えている。撮像素子111は二次元的に配列された複数の光電変換素子(一般にフォトダイオードが用いられる)を備えており、これらの複数の光電変換素子が撮像面111aを形成している。
【0031】
撮影レンズ等を介して撮像素子111の撮像面111aに入射した光はその撮像面111aを形成する光電変換素子により入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。そして、光電変換素子に蓄積された信号電荷は、タイミングジェネレータ(図示せず)等から加えられるタイミング信号に従って読み出され、電気信号(車両周囲環境の映像信号)として撮像素子111から順次出力される。
【0032】
導光部材120は、灯体210の一部を構成する光源211から照射され(図2ではさらにリフレクター212で反射され)た光の一部(法規上問題ない光の一部)を撮像素子111の撮像面111aの一部に入射させるための部材であり、例えば、灯体210内に配置した反射板120(反射ミラー)である。この反射板120により、灯体210から照射された光を反射させて撮像素子111の撮像面111aの一部111b(図2では撮像面111aの右端領域を例示)に入射させることが可能となる。
【0033】
撮影レンズ等を介して撮像素子111の撮像面111aの一部111bに入射した光はその撮像面111aの一部111bを形成する光電変換素子により入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。そして、光電変換素子に蓄積された信号電荷は、タイミングジェネレータ(図示せず)等から加えられるタイミング信号に従って読み出され、電気信号(灯体210の状態を表す情報信号)として撮像素子111から順次出力される。
【0034】
画像表示装置130は、撮像素子111を用いて撮影された車両周囲環境の映像や灯体210の状態を表す情報を表示するための表示装置であり、例えば、車両200に搭載された液晶あるいはCRT等のディスプレイである。
【0035】
図3から図6は、画像表示装置130に表示される車両周囲環境の映像及び灯体210の状態を表す情報の表示例である。
【0036】
図3から図6に示すように、画像表示装置130の表示面131には、撮像素子111を用いて撮影された車両周囲環境の映像131a及び灯体210の状態を表す情報131b(灯体210の状態を表す情報信号に基づく映像)が表示される。
【0037】
例えば、図3に示すように、灯体210の状態を表す情報131bとして、下部が明るく、上部が暗く、下部から上部に向かうにつれて徐々に暗くなる映像131bが表示されたとする。この映像131bは灯体210の現在の明るさ及び明るさの分布を表しているので、利用者等は、この映像131bを視認することで、灯体210の現在の状態(灯体210の劣化、灯体210の破損等)を把握することが可能となる。これにより、整備不良を事前に防止し得る(安全性の向上)。
【0038】
例えば、図4に示すように、灯体210の状態を表す情報131bとして、下部が明るく、上部が暗く、下部から上部に向かうにつれて徐々に暗くなる映像131bが表示されたとする。
【0039】
図4と図3を比較すると、図4では明るい部分がより上部まで延びている。この場合、利用者等は、この映像131bを視認することで、灯体210の状態として「灯体210の光源211の配光が図3よりも上向きであること」を把握することが可能である。あるいは、車両200がAFS(Adaptive Front-Lighting System)付きである場合、そのAFS駆動による位置ずれ等が原因で、灯体210の光源211の配光が図3よりも上向きになったと理解することが可能である。
【0040】
また、例えば、図5に示すように、灯体210の状態を表す情報131bとして、下部が比較的暗く、上部が完全に暗く、下部から上部に向かうにつれて徐々に暗くなる映像131bが表示されたとする。
【0041】
この場合、利用者等は、この映像131bを視認することで、灯体210の状態として「灯体210の光源211が劣化していること(光源211劣化の可能性)」を把握することが可能である。
【0042】
また、例えば、図6に示すように、灯体210の状態を表す情報131bとして、下部が完全に暗く、上部も完全に暗く、下部と上部の間も完全に暗い映像131bが表示されたとする。
【0043】
この場合、利用者等は、この映像131bを視認することで、灯体210の状態として「灯体210の光源211が破損していること(光源211破損の可能性)」を把握することが可能である。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のカメラシステム100によれば、導光手段120により、灯体210から照射された光を、車両周囲環境を撮影するカメラ装置110の撮像素子111の撮像面111aの一部111bに入射させるので、撮像素子111は、車両周囲環境の映像信号だけでなく、灯体210の状態を表す情報信号も出力する。すなわち、本実施形態のカメラシステム100によれば、従来のように光センサを車両200に設けることなく、自動車等の車両200に取り付けられたカメラ装置110を利用して灯体210の状態を検出すること(灯体210の状態を表す情報の取得)が可能となる。また、従来のように光センサを車両200に設けることなく、自動車等の車両に取り付けられたカメラ装置110を利用して灯体210の状態を検出するので、比較的安価に灯体210の状態を検出すること(灯体210の状態を表す情報の取得)が可能となる。
【0045】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態であるカメラシステムについて図面を参照しながら説明する。
【0046】
図14に示すように、本実施形態のカメラシステムは、第1実施形態と異なり、灯体210の状態を認識する認識回路140を備えている。本実施形態では、この認識回路140により灯体210の状態を認識し、その認識の結果に応じたメッセージを報知する。あるいは、その認識の結果に応じて灯体210を制御する。なお、認識回路140はカメラ装置110内に組み込んでもよい。他の構成については、第1実施形態と同様であるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
図14に示すように、認識回路140には撮像素子111が接続されている。認識回路140は、撮像素子111から出力された電気信号(車両周囲環境の映像信号及び灯体210の状態を表す情報信号)のうち、灯体210の状態を表す情報信号に基づいて灯体210の光源211の明るさ等を認識する。例えば、認識回路140は、灯体210の状態を表す情報信号に基づく映像(例えば図3から図6に示した映像131b)を形成する複数の画素のうち、予め定められた閾値よりも低い輝度値の画素が一定数以上存在する場合(例えば図5の場合)、明るさが暗いと認識する。この場合、光源211が劣化している可能性が高いので、その旨の報知を行う。例えば、画像表示装置130に表示される車両周囲環境の映像に重畳させて「ヘッドランプが劣化しています」等のメッセージを表示、あるいは、音声出力する。このように、認識回路140の認識結果に応じたメッセージを報知するので、利用者等は、灯体210の状態を極めて容易に把握することが可能となる。
【0048】
また、認識回路140は、灯体210の状態を表す情報信号に基づく映像(例えば図3から図6に示した映像131b)を形成する複数の画素の輝度値が全て0(又は予め定められた輝度値以下)の場合(例えば図6の場合)、明るさが無いと認識する。この場合、光源211が破損している可能性が高いので、その旨の報知を行う。例えば、画像表示装置130に表示される車両周囲環境の映像に重畳させて「ヘッドランプが破損しています」等のメッセージを表示、あるいは、音声出力する。
【0049】
また、認識回路140は、撮像素子111から出力された電気信号のうち灯体210の状態を表す情報信号に基づいて灯体210の光源211の明るさの分布のずれを認識する。
【0050】
例えば、認識回路140は、予め内部メモリ等に格納された灯体210の状態を表す情報信号に基づく基本映像(例えば図3を基本映像とする)の輝度値の分布と灯体210の状態を表す情報信号に基づく映像(現在の映像)の輝度値の分布とを比較し、輝度値の分布のずれを検出する。認識回路140は、一定以上の輝度値の分布のずれを検出した場合、灯体210の光源211の向きがずれていると認識する。そして、その旨の報知を行う。例えば、画像表示装置130に表示される車両周囲環境の映像に重畳させて「ヘッドランプの向きがずれています」等のメッセージを表示、あるいは音声出力する。あるいは、その旨の報知を行うとともに(あるいはその旨の報知を行う代わりに)、輝度値の分布が適正分布となるように灯体210の光源211の向きを補正する(AFS等の光源駆動機構が設けられている場合)。このように、認識回路140の認識結果に基づいて灯体210を制御する(光源211の向き等を適正方向に補正する)ので、灯体210を最適の状態に維持することが可能となる。
【0051】
なお、認識回路140から出力される車両周囲環境の映像信号140aは、利用目的に応じて別の制御回路に転送、あるいは、画像表示装置130に出力することが可能である。車両周囲環境の映像信号140aのみを画像表示装置130に出力してもよいし、車両周囲環境の映像信号140a及び灯体210の状態を表す情報信号140bの両方を画像表示装置130に出力してもよい。
【0052】
以上説明したように、本実施形態のカメラシステム100によれば、灯体210の状態を表す情報信号に基づいて灯体210の明るさ又は明るさの分布を認識するので、その認識結果に基づいて各種処理(認識結果の報知等)を行うことが可能となる。
【0053】
次に上記各実施形態の変形例について説明する。
【0054】
上記各実施形態では、光源211から照射された光の一部を、撮影レンズ等を介して監視カメラ110に入射させるように説明した(図2参照)が、本発明はこれに限定されない。
【0055】
例えば、図7に示すように、撮影レンズ(図示せず)とは別の灯体光用レンズ112を監視カメラ110に設け、光源211から照射された光の一部を、この灯体光用レンズ112を介して監視カメラ110に入射させてもよい。
【0056】
また、上記各実施形態では、反射板120により、灯体210から照射された光の一部を反射させて撮像素子111に入射させるように説明した(図2、図7参照)が、本発明はこれに限定されない。
【0057】
例えば、導光手段として反射板120の代わりに光ファイバーを用いてもよい。この光ファイバーによっても、灯体210から照射された光を、この光ファイバーを介して撮像素子111の撮像面111aの一部111bに入射させることが可能となる。また、灯体210と撮像素子111との間が比較的長距離であっても(例えば撮像素子111を灯体210外部(例えば車内)に配置した場合)、図8に示すように、灯体210と撮像素子111とを光ファイバー121で接続することにより、灯体210から照射された光を、この光ファイバー121を介して撮像素子111の撮像面111aの一部111bに入射させることが可能となる。また、図8に示すように、灯体210が複数存在する場合であっても、これら複数の灯体210と一つの撮像素子111とを複数の光ファイバー121で接続することにより、複数の灯体210から照射された光を、複数の光ファイバー121を介して一つの撮像素子111の撮像面111aの一部111bに入射させることが可能となる。すなわち、複数の灯体210の状態を、一つのカメラ装置110を利用して検出することが可能となる。
【0058】
また、上記各実施形態では、反射板120による反射光以外の光が灯体光用レンズ112に入射する可能性がある(図7参照)が、これを防止するために、図9に示すように、反射板120と監視カメラ110との間にカバー113を設けてもよい。
【0059】
また、上記各実施形態では、反射板120により、灯体210から照射された光の一部を反射させて撮像素子111に入射させるように説明した(図2参照)が、本発明はこれに限定されない。
【0060】
例えば、図10に示すように、監視カメラ110を図2とは逆向きに配置することにより、灯体210から照射された光の一部を、直接、撮像素子111に入射させるようにしてもよい。この場合、カメラ装置110は、移動自在(例えば図10中矢印方向)に配置された反射板114(反射ミラー)を介して車両周囲環境を撮影する。この反射板114を移動させることにより、カメラ装置110の撮影範囲を容易に調整することが可能となる。
【0061】
あるいは、図11に示すように、監視カメラ110を図8とは逆向きに配置することにより、灯体210から照射された光の一部を、直接、撮像素子111に入射させるようにしてもよい。この場合も、図10と同様、カメラ装置110は、移動自在(例えば図11中矢印方向)に配置された反射板114(反射ミラー)を介して車両周囲環境を撮影する。この反射板114を移動させることにより、カメラ装置110の撮影範囲を容易に調整することが可能となる。
【0062】
また、灯体210から照射された光が強く、ハレーションが発生する可能性がある場合には、図12、図13に示すように、灯体210と撮像素子111との間に減光フィルター115(図12では一つの減光フィルター、図13では二つの減光フィルターを例示)を配置し、灯体210から照射された光を、この減光フィルター115を介して撮像素子に入射させてもよい。
【0063】
このようにすれば、灯体210から照射された光を、減光フィルター115により減光した上で撮像素子111の撮像面111aの一部111bに入射させるので、灯体210から照射された光が強くても、ハレーションの発生を防止することが可能となる。なお、減光フィルターとしては、例えば、NDフィルター、偏光フィルターを用いることが可能である。あるいは、図13に示した灯体光用レンズ112にバンドパスフィルター等を取り付けることも考えられる。なお、減光フィルター115として偏光フィルターを用いる場合、二枚のフィルターを重ね合わせ、一方を他方に対して回転させることで、輝度を調整することが可能である。
【0064】
あるいは、灯体210から照射された光が強く、ハレーションが発生する可能性がある場合には、図2に示した反射板120として減光ミラーを用い、灯体から照射された光を、この減光ミラーで反射させて撮像素子111に入射させてもよい。
【0065】
このようにすれば、灯体210から照射された光を、減光ミラーにより減光した上で撮像素子111の撮像面111aの一部111bに入射させるので、灯体210から照射された光が強くても、ハレーションの発生を防止することが可能となる。なお、減光ミラーとしては、例えば、ハーフミラー、グレーティングミラー、ダイクロイックミラーを用いることが可能である。あるいは、反射板120に吸収フィルターを取り付けることも考えられる。
【0066】
また、上記各実施形態では、監視カメラ110を作動させるタイミングについては特に言及しなかったが、例えば、灯体210の光源211を点灯させるスイッチ(例えばヘッドライトのオンオフスイッチ)と、このスイッチにより灯体210の光源211を点灯させた場合(光源211が点灯したことを表す点灯信号がカメラ装置110に入力された場合等)にのみカメラ装置110を作動させる(電源供給する等)制御手段(図示せず)を設け、スイッチにより灯体210の光源211を点灯させたタイミングでカメラ装置110を作動させるようにしてもよい。
【0067】
このようにすれば、スイッチにより灯体210の光源211を点灯させた場合にのみカメラ装置110を作動させるので、カメラ装置110の撮像素子111に灯体210の光源211以外の太陽光等が入射することによる誤検出を防止することが可能となる。
【0068】
また、上記各実施形態では、灯体210が前照灯である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、灯体210は、テールランプ、ウインカー等、他の灯体であってもよい。
【0069】
また、上記各実施形態では、灯体210がリフレクタータイプである例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、灯体210は、プロジェクタータイプであってもよい。
【0070】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態であるカメラシステムが搭載された車両の斜視図である。
【図2】主にカメラシステム(第1実施形態)のシステム構成を説明するための図である。
【図3】車両周囲環境の映像及び灯体の状態を表す情報の表示例である。
【図4】車両周囲環境の映像及び灯体の状態を表す情報の表示例である。
【図5】車両周囲環境の映像及び灯体の状態を表す情報の表示例である。
【図6】車両周囲環境の映像及び灯体の状態を表す情報の表示例である。
【図7】主にカメラシステム(変形例)のシステム構成を説明するための図である。
【図8】主にカメラシステム(変形例)のシステム構成を説明するための図である。
【図9】主にカメラシステム(変形例)のシステム構成を説明するための図である。
【図10】主にカメラシステム(変形例)のシステム構成を説明するための図である。
【図11】主にカメラシステム(変形例)のシステム構成を説明するための図である。
【図12】主にカメラシステム(変形例)のシステム構成を説明するための図である。
【図13】主にカメラシステム(変形例)のシステム構成を説明するための図である。
【図14】主にカメラシステム(第2実施形態)のシステム構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0072】
100…カメラシステム、110…監視カメラ、111…撮像素子、111a…撮像面、111b…一部、112…灯体光用レンズ、113…カバー、114…反射板、115…減光フィルター、120…導光部材、121…光ファイバー、130…画像表示装置、131…表示面、131a…領域、131b…領域、140…認識回路、140a…映像信号、140b…情報信号、200…車両、210…灯体、211…光源、212…リフレクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯体を備えた車両に搭載される車両用カメラシステムにおいて、
撮像素子を用いて車両周囲環境を撮影するカメラ装置と、
前記灯体から照射された光を前記撮像素子の撮像面の一部に入射させる導光手段と、
を備え、
前記撮像素子は、車両周囲環境の映像信号及び前記灯体の状態を表す情報信号を出力することを特徴とする車両用カメラシステム。
【請求項2】
前記灯体の状態を表す情報信号に基づいて前記灯体の明るさ又は明るさの分布を認識する認識手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用カメラシステム。
【請求項3】
前記認識手段の認識結果に応じたメッセージを報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用カメラシステム。
【請求項4】
前記認識手段の認識結果に基づいて前記灯体を制御する灯体制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両用カメラシステム。
【請求項5】
前記導光手段は反射板、又は、光ファイバーであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用カメラシステム。
【請求項6】
前記撮像素子から出力される信号に基づく映像を表示する画像表示装置をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車両用カメラシステム。
【請求項7】
前記灯体の光源を点灯させるスイッチと、
前記スイッチにより前記灯体の光源を点灯させた場合にのみ前記カメラ装置を作動させる制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車両用カメラシステム。
【請求項8】
移動自在に配置された反射板をさらに備え、
前記カメラ装置は、前記移動自在に配置された反射板を介して車両周囲環境を撮影することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の車両用カメラシステム。
【請求項9】
前記灯体と前記撮像素子との間に配置された減光フィルターをさらに備え、
前記灯体から照射された光を、前記減光フィルターを介して前記撮像素子の撮像面の一部に入射させることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の車両用カメラシステム。
【請求項10】
前記反射板は減光ミラーであることを特徴とする請求項2に記載の車両用カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−273257(P2008−273257A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115944(P2007−115944)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】