説明

車両用レバースイッチ

【課題】主に自動車のステアリングホイール近傍に装着される車両用レバースイッチに関し、第一のノブと第二のノブの結合が強固で、これらの間に隙間が生じ難いものを提供することを目的とする。
【解決手段】本体部6から外方へ突出し、突出方向に略平行に分割形成された第一のノブ11と第二のノブ12が係止されて結合したレバー体15において、第一のノブ11及び第二のノブ12の内方に、互いに対向して延出する略帯状の凸部11Gと、これに圧入嵌合する略帯状の凹部12Gを各々設けて、凸部11Gを凹部12Gに圧入嵌合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車のステアリングホイール近傍に装着され、フロントやリアのワイパーや、ターンシグナルランプ等の操作に用いられる車両用レバースイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車のステアリングホイール近傍に車両用レバースイッチを装着し、このレバーを操作することによって、例えばワイパーの動作切換えや、ターンシグナルランプの点滅等を行うものが増えている。
【0003】
このような従来の車両用レバースイッチについて、図4〜図6を用いて説明する。
【0004】
図4は従来の車両用レバースイッチの部分断面斜視図、図5は同分解斜視図であり、同図において、1は上面が略半円筒状で後部に駆動部1Aが突出形成された第一のノブ、2は下面が略半円筒状の第二のノブ、3は略円柱状の駆動軸で、駆動軸3が第一のノブ1の下面と第二のノブ2の上面の間に回転可能に保持されると共に、第一のノブ1の下面と第二のノブ2の上面が当接している。
【0005】
そして、図6の要部斜視図に示すように、2Aは第二のノブ2上面から上方へ突出し内側に係止突起が形成された複数の係止部で、これらに対向して設けられた第一のノブ1下面の孔状の係合部1Bに各々係止することにより、第一のノブ1と第二のノブ2が結合している。
【0006】
また、4は後部開口で略円筒状の回転操作部で、駆動軸3の前端に固着されると共に、結合した第一及び第二のノブ1、2の前端部に回転可能に装着されて、駆動軸3を挟んで結合した第一及び第二のノブ1、2と回転操作部4によってレバー体5が形成されている。
【0007】
さらに、6は略箱状で前側に開口部6Aが設けられた本体部で、この本体部6内にレバー体5の駆動部1Aが、節度手段(図示せず)によって所定角度毎に節度を伴いながら左右方向へ揺動可能に取付けられると共に、開口部6Aから第一のノブ1と第二のノブ2が突出して、本体部6にレバー体5が装着されている。
【0008】
なお、レバー体5の第一のノブ1と第二のノブ2は係止部2Aと係合部1Bの係止のみで結合しているため、例えば、レバー体5での取扱いやレバー体5を本体部6に装着する際に、レバー体5を落下した場合や、レバー体5に比較的大きな捩れが加わった場合などには、係止部2Aと係合部1Bとの係止が外れて、第一のノブ1と第二のノブ2がばらけたり、これらの間にガタやズレが生じて隙間が生じる可能性があった。
【0009】
そして、7Aは本体部6内に配設された配線基板(図示せず)上面に形成された固定接点、7Bはレバー体5の駆動部1Aの左右方向の揺動動作に連動して摺動する摺動部材(図示せず)に固着された可動接片で、固定接点7Aと可動接片7Bによってスイッチ接点7が本体部6内に設けられている。
【0010】
また、8Aは同じく配線基板上面に形成された固定接点、8Bは駆動軸3の回転動作に連動した摺動部材(図示せず)に固着された可動接片で、固定接点8Aと可動接片8Bによってスイッチ接点8が本体部6内に設けられている。
【0011】
さらに、レバー体5の左右方向への揺動操作に伴って、駆動部1A等を介してスイッチ接点7の所定の電気的接離が、回転操作部4の回転操作に伴って、駆動部3A等を介してスイッチ接点8の所定の電気的接離が各々行われるようにして、車両用レバースイッチが構成されている。
【0012】
そして、このように構成された車両用レバースイッチが、ステアリングホイールの下方にレバー体5が突出するようにして、自動車内の運転席前方に装着されると共に、配線基板に接続されたリード線(図示せず)等が、車両の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0013】
以上の構成において、レバー体5を左右方向に揺動操作すると、これに応じてスイッチ接点7の電気的接離が行われ、例えば、フロントワイパーの動作が停止状態から所定時間の間隔で動作する間欠動作や、通常動作、あるいは高速動作や単動動作などの所定の動作状態に切換わる。
【0014】
また、回転操作部4を回転操作すると、これに応じてスイッチ接点8の電気的接離が行われ、例えば、リアワイパーの動作が停止状態から間欠動作や通常動作に切換わるものであった。
【0015】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−140773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記従来の車両用レバースイッチにおいては、例えば、レバー体5での取扱いやレバー体5を本体部6に装着する際に、レバー体5を落下した場合や、レバー体5に比較的大きな捩れなどが加わった場合には、第一のノブ1の係合部1Bと第二のノブ2の係止部2Aとの係止が外れて、第一のノブ1と第二のノブ2がばらけたり、これらの間に隙間が生じて異物が侵入する可能性があるという課題があった。
【0018】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、レバー体に対する落下による衝撃や外部からの比較的大きな捩れなどによっても第一のノブ1と第二のノブ2が外れ難く、これらの結合が強固で隙間の生じ難い車両用レバースイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0020】
本発明の請求項1に記載の発明は、本体部から外方へ突出し、突出方向に略平行に分割形成された第一のノブと第二のノブが係止されて結合したレバー体において、第一のノブ及び第二のノブの内方に、互いに対向して延出する略帯状の凸部と、これに圧入嵌合する略帯状の凹部を各々設けたものであり、略帯状の凸部が略帯状の凹部に圧入嵌合して第一のノブと第二のノブを結合させることによって、落下の衝撃や捩れなどによって、第一のノブと第二のノブとの間にガタやズレが生じないため、これらの係止が外れ難く、第一のノブと第二のノブの結合が強固でこれらの間に隙間の生じ難いものにすることができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、簡易な構成で、第一のノブと第二のノブの結合が強固で、これらの間に隙間が生じ難い車両用レバースイッチを実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態による車両用レバースイッチの部分断面斜視図
【図2】同分解斜視図
【図3】同要部斜視図
【図4】従来の車両用レバースイッチの部分断面斜視図
【図5】同分解斜視図
【図6】同要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図3を用いて説明する。
【0024】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0025】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による車両用レバースイッチの部分断面斜視図、図2は同分解斜視図であり、同図において、11は上面が略半円筒状で後部に駆動部11Aが突出形成されたポリアミド(以降、PAと記載する)等の絶縁樹脂製の第一のノブ、12は下面が略半円筒状でPA等の絶縁樹脂製の第二のノブ、13は略円柱状でPA等の絶縁樹脂製の駆動軸で、駆動軸13がその前後部を第一のノブ11の下面と第二のノブ12の上面の間に回転可能に保持されている。
【0026】
そして、図3の要部斜視図に示すように、駆動軸13前部の溝部13Bが第一のノブ11の略半円状に切欠いた規制リブ11Hに嵌り、駆動軸13の長手方向の位置規制がなされて、長手方向への移動やガタが小さいものとしている。
【0027】
また、第一のノブ11の下面には、駆動軸13の長手方向の上方に複数の中リブ11Bが形成されると共に、中リブ11Bの両側には長手方向に沿って中壁部11Cが延伸形成されている。
【0028】
さらに、中壁部11Cの外側には外周部11Dとの間に複数の外リブ11Eが形成され、各中壁部11Cの長手方向の所定の位置に一対の孔状の係合部11Fが複数配設されると共に、略コ字状に外方へ突出した一対の略帯状の凸部11Gが長手方向に係合部11Fと交互に複数配設されている。
【0029】
そして、第二のノブ12の上面には、駆動軸13の長手方向の下方に複数の中リブ12Bが形成され、中リブ12Bの両側に長手方向に沿って中壁部12Cが延伸すると共に、中壁部12Cの外側には外周部12Dとの間に複数の外リブ12Eが形成されている。
【0030】
また、各中壁部12Cの長手方向の所定の位置に、先端の内側に係止突起が形成された一対の係止部12Aが、外周部12D上端より上方へ突出して複数配設されると共に、略コ字状に外方へ窪んだ一対の略帯状の凹部12Gが上方へ延出して、長手方向に係止部12Aと交互に複数配設されている。
【0031】
なお、凹部12G内側の駆動軸13に面する内面やその両側面には上下方向に延びる略線状の突起部12Hが各々形成されている。
【0032】
さらに、第二のノブ12の係止部12Aが対向する係合部11Fに各々係止すると共に、凹部12Gに凸部11Gが圧入嵌合して、第一のノブ11の下面と第二のノブ12の上面が当接した状態で、第一のノブ11と第二のノブ12が結合している。
【0033】
なお、凹部12Gに凸部11Gが嵌合する際には、凹部12G内側の内面とその両側面の突起部12Hが対応する凸部11Gの外面とその両側面に圧接して変形しながら、凹部12Gに凸部11Gが圧入嵌合する。
【0034】
つまり、凹部12Gの内面と両側面の3面の内周が、凸部11Gの外面と両側面の外周に上下方向の所定の長さで圧入嵌合しているため、凹部12Gに対し凸部11Gの間にガタやズレが生じることがなく、上下方向にも抜け難くなっている。
【0035】
そして、14は後部開口の略円筒状でPA等の絶縁樹脂製の回転操作部で、駆動軸13の前端に固着されると共に、結合した第一及び第二のノブ11、12の前端に回転可能に装着されて、駆動軸13を挟んだ第一及び第二のノブ11、12と回転操作部14によってレバー体15が形成されている。
【0036】
また、6は略箱状で前側に開口部6Aが設けられた本体部で、駆動部11Aの軸部11Jが対向する本体部6内側の軸支部(図示せず)に軸支され、駆動部11Aの後端部と本体部6内側との間に設けられた節度手段(図示せず)によって所定角度毎に節度を伴いながら揺動可能に取付けられると共に、開口部6Aから回転操作部14や第一及び第二のノブ11、12の前部が外方へ突出して、本体部6にレバー体15が装着されている。
【0037】
なお、レバー体15を組立てた状態で、例えば保管や搬送などの取扱いの際や、本体部6への装着の際に、落下による衝撃や比較的大きな捩り等の力が加わった場合には、第一及び第二のノブ11、12は係止部12Aが係合部11Fに係合してこれらが係止され、略帯状の凸部11Gが略帯状の凹部12Gに上下方向の所定長さを圧入嵌合しているため、第一及び第二のノブ11、12の間にガタやズレが生じることがなく、第一及び第二のノブ11、12が外れ難く、これらの間に隙間が生じ難いものとなっている。
【0038】
さらに、このような凸部11Gと凹部12Gからなる圧入嵌合部が、レバー体15の駆動軸13の長手方向に前部と後部の2箇所に一対ずつ配設されているため、前後方向と左右方向の両方向に対してガタやズレを抑制し、第一及び第二のノブ11、12の結合をより強固なものとしている。
【0039】
そして、7Aは本体部6内に配設された配線基板(図示せず)上面に形成された固定接点、7Bはレバー体5の駆動部11Aの動作に連動した摺動部材(図示せず)に固着された可動接片で、固定接点7Aと可動接片7Bによってスイッチ接点7が本体部6内に設けられている。
【0040】
また、8Aは同じく配線基板上面に形成された固定接点、8Bは駆動軸13の回転動作に連動した摺動部材(図示せず)に固着された可動接片で、固定接点8Aと可動接片8Bによってスイッチ接点8が本体部6内に設けられている。
【0041】
さらに、レバー体15の左右方向への揺動操作に伴い、駆動部11A等を介してスイッチ接点7の所定の電気的接離が、回転操作部14の回転操作に伴い駆動部13A等を介して、スイッチ接点8の電気的接離が各々行われるようにして、車両用レバースイッチが構成されている。
【0042】
そして、このように構成された車両用レバースイッチが、ステアリングホイールの下方にレバー体15が突出するようにして、自動車内の運転席前方に装着されると共に、配線基板に接続されたリード線(図示せず)等が、車両の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0043】
以上の構成において、レバー体15を左右方向に揺動操作すると、これに応じてスイッチ接点7の電気的接離が行われ、例えば、フロントワイパーの動作が停止状態から所定時間の間隔で動作する間欠動作や、通常動作、あるいは高速動作や単動動作などの所定の動作状態に切換わる。
【0044】
また、回転操作部14を回転操作すると、これに応じてスイッチ接点8の電気的接離が行われ、例えば、リアワイパーの動作が停止状態から間欠動作や通常動作に切換わるようになっている。
【0045】
このように本実施の形態によれば、本体部6から外方へ突出し、突出方向に略平行に分割形成された第一のノブ11と第二のノブ12が係止されて結合したレバー体15において、第一のノブ11及び第二のノブ12の内方に、互いに対向して延出する略帯状の凸部11Gと、これに圧入嵌合する略帯状の凹部12Gを各々設けて、凸部11Gを凹部12Gに圧入勘合させて第一のノブ11と第二のノブ12を結合させることによって、落下の衝撃や捩れなどによって、第一のノブ11と第二のノブ12との間にガタやズレが生じないため、これらの係止が外れ難く、簡易な構成で、第一のノブ11と第二のノブ12の結合が強固でこれらの間に隙間の生じ難い車両用レバースイッチを実現することができる。
【0046】
以上の説明では、上方の第一のノブ11に凸部11Gを下方の第二のノブ12に凹部12Gを各々設けたものとして説明したが、第一のノブ11に凹部を第二のノブに凸部を設けてこれらを圧入嵌合させても、本発明の実施は可能である。
【0047】
また、以上の説明では、第一及び第二のノブ11、12に略帯状の凸部11Gや凹部12Gからなる圧入嵌合部を、駆動軸13の前部と後部に駆動軸13を挟んで各々一対の計4箇所に設けたものとして説明したが、例えば駆動軸13の前部の左側、中間部の右側及び後部の左側に設けるなど、駆動軸3の長手方向に左右の交互に複数設けたものとしてもよい。
【0048】
さらに、例えば、長手方向の中間部に一対の圧入嵌合部を設け、前部及び後部には第一のノブから延出した左右の凸部の内側を、対向する第二のノブの左右の凹部の外側に当接させて、第一及び第二のノブの左右方向のズレや捩れを防ぐ構成とするなど、レバー体の形状や大きさに応じて、適宜、圧入嵌合部を配設してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明による車両用レバースイッチは、簡易な構成で、第一のノブと第二のノブの結合が強固で、これらの間に隙間が生じ難いものにでき、自動車のステアリングホイール近傍に装着される車両用レバースイッチ等に有用である。
【符号の説明】
【0050】
6 本体部
6A 開口部
7、8 スイッチ接点
7A、8A 固定接点
7B、8B 可動接片
11 第一のノブ
11A、13A 駆動部
11B、12B 中リブ
11C、12C 中壁部
11D、12D 外周部
11E、12E 外リブ
11F 係合部
11G 凸部
11H 規制リブ
11J 軸部
12 第二のノブ
12A 係止部
12G 凹部
12H 突起部
13 駆動軸
13B 溝部
15 レバー体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱状の本体部と、この本体部に揺動可能に保持されて外方へ突出すると共に、突出方向に略平行に分割形成された第一のノブと第二のノブが係止されて結合したレバー体と、前記本体部内に配設され、前記レバー体の揺動操作に伴い電気的接離が行われるスイッチ接点からなり、前記第一のノブ及び第二のノブの内方に、互いに対向して延出する略帯状の凸部と、これに圧入嵌合する略帯状の凹部を各々設けた車両用レバースイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−69315(P2012−69315A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211772(P2010−211772)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】