説明

車両用不整脈監視装置

【課題】車両運転中においても確実に不整脈の有無を判定できる車両用不整脈監視装置を提供すること。
【解決手段】ノイズに対して頑健な波形部分とノイズに対して頑健でない波形部分とを有する心電波形に基づいて不整脈の有無を判定する車両用不整脈監視装置100は、車両が停車しているか否かを判定する車両状態判定手段5と、運転者が車両を操舵するために把持するステアリングに配設された電極から心電波形を取得する心電波形取得手段10と、前記心電波形取得手段10が取得した心電波形に基づいて不整脈の有無を判定する信号処理演算手段11とを備え、信号処理演算手段11は、車両状態判定手段5が停車していないと判定した場合に、心電波形取得手段10が取得した心電波形のうちノイズに対して頑健な波形部分に基づいて不整脈の有無を判定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用不整脈監視装置に関し、より詳細には、車両運転中においても確実に不整脈の有無を判定できる車両用不整脈監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会が進行する中、心疾患に起因する交通事故を防止するために運転者の心臓状態を監視する装置の重要性が高まってきている。不整脈を発生させる危険のある者が運転中に心停止を起こし意識を喪失した場合等に、その者が運転していた車両が更なる重大な事故を引き起こす場合があるからである。
【0003】
心臓状態を監視する装置としては心電位を測定する心電図計があり、特に、ホルター心電図計は携帯型で体の表面に電極を貼り付けて長時間に渡って心電波形を記録することができる。これらホルター心電図計は、体表面に電極を貼り付けるだけの非侵襲測定が可能であり、運転者の心臓状態を測定するのに適した装置といえる。
【0004】
しかし、これらホルター心電図計は、所定時間に渡って記録した心電波形を医師等が分析することによって初めて心臓の異常を確認することができるのであって、心臓に異常が発生する予兆を検出して必要な措置を自動的に実行するようには構成されていない。
【0005】
一方、体内埋め込み型の装置としては、心電波形のSTセグメントを監視することにより、急性心筋梗塞(AMI(Acute Myocardial Infarction))の予兆を検出して警報を発する心臓救済装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この心臓救済装置は、所定の心電波形を検出すると装着者および外部の医療機関等に信号を発し、該装置を装着する者の心臓状態を通知する。
【特許文献1】特開2004−261580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の心臓救済装置は、心電波形のSTセグメントを監視する必要があり、運転中に生じる筋電ノイズ等により正確なSTセグメントの測定が困難な場合には適用できない。
【0007】
係る問題を解決するため、本発明は、車両運転中においても確実に不整脈の有無を判定できる車両用不整脈監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、第1の発明に係る車両用不整脈監視装置は、ノイズに対して頑健な波形部分とノイズに対して頑健でない波形部分とを有する心電波形に基づいて不整脈の有無を判定する車両用不整脈監視装置であって、車両が停車しているか否かを判定する車両状態判定手段と、運転者が車両を操舵するために把持するステアリングに配設された電極から心電波形を取得する心電波形取得手段と、前記心電波形取得手段が取得した心電波形に基づいて不整脈の有無を判定する信号処理演算手段とを備え、前記信号処理演算手段は、前記車両状態判定手段が停車していないと判定した場合に、前記心電波形取得手段が取得した心電波形のうち前記ノイズに対して頑健な波形部分に基づいて不整脈の有無を判定することを特徴とする。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明に係る車両用不整脈監視装置において、前記ノイズに対して頑健な波形部分は、前記心電波形取得手段が取得した心電波形のうちのR波部分であることを特徴とする。
【0010】
また、第3の発明は、第1の発明に係る車両用不整脈監視装置において、車両を停車させるよう前記運転者を支援する車両停車支援手段を備え、前記車両停車支援手段は、前記車両状態判定手段が停車していないと判定し、かつ、前記信号処理演算手段が不整脈を有すると判定した場合に、前記車両を停車させるよう前記運転者を支援することを特徴とする。
【0011】
また、第4の発明は、第1の発明に係る車両用不整脈監視装置において、前記信号処理演算手段は、前記車両状態判定手段が停車していると判定した場合に、停車中において前記心電波形取得手段が取得した心電波形のうち前記ノイズに対して頑健な波形部分以外を含む心電波形に基づいて不整脈の有無を判定することを特徴とする。
【0012】
また、第5の発明は、第1乃至第4の何れかの発明に係る車両用不整脈監視装置において、基準心電波形を有するテンプレートを記憶するテンプレート記憶手段と、前記テンプレート記憶手段が記憶する1のテンプレートの基準心電波形の形状と、前記心電波形取得手段が取得した心電波形の形状とが類似するか否かを判定する心電波形比較手段と、前記心電波形に基づいて前記1のテンプレートの基準心電波形を更新するテンプレート更新手段と、を備え、前記テンプレート更新手段は、前記心電波形比較手段が類似すると判定した場合に、前記心電波形に基づいて前記1のテンプレートの基準心電波形を更新し、前記心電波形比較手段が何れのテンプレートの基準心電波形にも類似しないと判定した場合に、新規テンプレートを生成して前記心電波形を前記新規テンプレートの基準心電波形とすることを特徴とする。
【0013】
また、第6の発明は、第5の発明に係る車両用不整脈監視装置において、前記信号処理演算手段は、テンプレートの数が1つである場合に、R波間隔に関する情報に基づいて心房細動であるか否かを判定することを特徴とする。
【0014】
また、第7の発明は、第5の発明に係る車両用不整脈監視装置において、前記信号処理演算手段は、テンプレートの数が2以上である場合に、2以上のテンプレートのうちの2つにおける基準心電波形の相違に基づいて、心室性期外収縮であるか否かを判定することを特徴とする。
【0015】
また、第8の発明は、第5の発明に係る車両用不整脈監視装置において、前記1のテンプレートの基準心電波形を更新した前記心電波形の数をカウントする更新カウント手段と、
前記テンプレート記憶手段により記憶されたテンプレートを削除するテンプレート削除手段と、を備え、前記テンプレート削除手段は、削除候補テンプレートの基準心電波形が最後に更新されてから所定時間経過するか、或いは、前記更新カウント手段がカウントした前記心電波形の数が所定数に満たない場合に、前記削除候補テンプレートを削除することを特徴とする。
【0016】
また、第9の発明は、第5の発明に係る車両用不整脈監視装置において、前記テンプレート記憶手段により記憶された2つのテンプレートを1つのテンプレートに併合するテンプレート併合手段を備え、前記テンプレート併合手段は、第1の併合候補テンプレートの基準心電波形と、第2の併合候補テンプレートの基準心電波形とが類似する場合に、前記第1の併合候補テンプレートの基準心電波形に基づいて前記第2の併合候補テンプレートの基準心電波形を更新して前記第1の併合候補テンプレートを前記第2の併合候補テンプレートに併合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上述の手段により、本発明は、車両運転中においても確実に不整脈の有無を判定できる車両用不整脈監視装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、いくつかの実施例に分けて、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0019】
図1は、実施例1に係る車両用不整脈監視装置の機能ブロック図を示す。車両用不整脈監視装置100は、心電センサ1、脈波センサ2、心電アンプ3、脈波アンプ4、車両状態判定手段5、通信装置6、車両停車支援手段7、表示装置8および制御部9から構成される。
【0020】
心電センサ1は、心電波形を取得するための心電波形取得手段であり、心電位を測定するための電極(図示せず。)が車両を操舵するためのステアリング(図示せず。)の表面に配置され、心電センサ1の本体がステアリングの内部に埋め込まれる。電極をステアリング表面に配置するのは、運転者の左右の手のそれぞれに確実に電極を接触させるようにするためである。また、心電センサ1は、採取した心電波形に関する信号を心電アンプ3に送信する。なお、心電センサ1本体はステアリングコラム内部やダッシュボード内部に配置されてもよい。
【0021】
心電センサ1が採取する心電波形は、車両が停車中の場合や一定速度で直進走行している場合等、運転者が安静状態にある場合には、運転者の体動も比較的小さく、運転者の手とステアリング表面の電極との接触圧も一定になり易いので心電波形が比較的安定する傾向にある。しかし、心電センサ1が採取する心電波形は、運転者の体動による筋電位等の影響を受け易く、車両が加速中、減速中またはカーブ走行中の場合等には、運転者の体動も比較的大きく、運転者の手とステアリング表面の電極との接触圧が変化し易いので心電波形は乱れ易い傾向にある。また、心電センサ1は、運転者がステアリングを操作する際、片手をステアリングから離したりすると、その間、心電波形を採取できなくなる。
【0022】
脈波センサ2は、光電素子を用いて指の血流量から血圧や脈拍数を算出するための装置であり、心電センサ1と同様、運転者の指の腹の部分に測定端子部(図示せず。)を確実に接触させるよう該測定端子部がステアリング表面に配置され、脈波センサ2の本体がステアリングの内部に埋め込まれる。また、脈波センサ2は、運転者の手首に巻きつけるように装着され圧電素子を用いて脈拍や血圧を測定するようにしてもよい。また、脈波センサ2は、採取した脈拍および血圧に関する信号を脈波アンプ4に送信する。
【0023】
心電アンプ3および脈波アンプ4は、それぞれ心電センサ1および脈波センサ2から受信した信号を増幅するための装置である。また、心電アンプ3および脈波アンプ4は、増幅した信号を制御部9に送信する。
【0024】
車両状態判定手段5は、車両の走行状態を判定するための装置であり、図示しない、車速センサ、操舵角センサ、スロットル開度センサ、ブレーキセンサ等からの信号を受信して、車両が停車中であるか、一定速度で走行中であるか、加速若しくは減速中であるか、または、カーブ若しくは曲がり角等を通過中であるか等を判定する。また、車両状態判定手段5は、判定結果を制御部9に送信する。
【0025】
通信装置6は、外部との通信を行うための装置であり、制御部9からの指示を受けて医療機関や救急等の予め登録された連絡先に警報を発したり、車両の位置情報を伝達したりするために使用される。
【0026】
車両停車支援手段7は、車両を安全に停車させるよう運転者の車両操作を支援する装置であり、制御部9からの指示を受けて車両を停車させるよう自動的にブレーキを作動させて車両を徐々に減速させるようにしたりする。自動的にブレーキを作動させる場合には、周囲の車両に注意を促すために、ハザードランプを点滅させてもよい。
【0027】
表示装置8は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ等の車載用表示装置であり、制御部9からの指示を受けて、車両停車支援手段7と協働し、或いは単独で、車両を停車させるよう警告メッセージを画面に表示させたり、付属のスピーカから音声メッセージを発したり、或いは、LED(Light Emitting Diode)等の警告ランプを点滅させたりする。
【0028】
制御部9は、心電波形取得手段10、信号処理演算手段11、テンプレート記憶手段12、心電波形比較手段13、テンプレート更新手段14、更新カウント手段15、テンプレート削除手段16およびテンプレート併合手段17を有し、心電アンプ3、脈波アンプ4および車両状態判定手段5からの信号を受信して運転者の心臓状態を判定し、判定結果に基づいて通信装置6、車両停車支援手段7および表示装置8を制御する。
【0029】
心電波形取得手段10は、心電センサ1により取得され心電アンプ3により増幅された心電波形を取得する。
【0030】
信号処理演算手段11は、心電波形取得手段10が取得した心電波形に基づいて不整脈の有無を判定する。また、信号処理演算手段11は、脈波波形に基づいて不整脈の有無を判定する。なお、信号処理演算手段11が判断の基礎とする心電波形には、後述の、テンプレート更新手段14またはテンプレート併合手段17により更新または生成されたテンプレートのそれぞれが有する基準心電波形が含まれる。
【0031】
また、信号処理演算手段11は、車両状態判定手段5による判定結果に応じて、運転者の心臓状態の判定に使用する心電波形の波形部分を変更する。例えば、車両状態判定手段5により車両が走行中であると判定された場合には、信号処理演算手段11は、心電波形のうちR波ピーク(R波の波高)の間隔等に基づいて運転者の心臓状態を大局的に判定する。一方、車両状態判定手段5により車両が停車中であると判定された場合には、信号処理演算手段11は、心電波形のうちR波ピークを含む心電波形全体に基づいて運転者の心臓状態をより厳密に判定する。
【0032】
ここで、心電図波形は、主に、心房の電気的興奮を反映するP波と、心室の電気的興奮を反映するQ、RおよびS波(以下、「QRS群」という。)と、興奮した心室の心筋細胞が再分極する過程を反映するT波とから構成され、R波の波高(電位差)が最も大きく、筋電位等のノイズに対して最も頑健であるといえる。次に波高が大きいのがT波であり、P波が最も小さい波高を有する。
【0033】
車両走行中において、信号処理演算手段11がR波ピークの間隔等に基づき運転者の心臓状態を大局的に判定するのは、R波ピークが心電波形のうち波高が最も大きい部分であり、筋電位等のノイズに対して頑健であるためである。また、車両停車中において、信号処理演算手段11がR波ピークを含む心電波形全体に基づき運転者の心臓状態をより厳密に判定するのは、車両停車中は運転者が安静状態になり易く筋電位等のノイズを少なくすることができるので、R波よりも波高の小さいT波およびP波を含めた心電波形全体に基づく判定が可能となるからである。
【0034】
テンプレート記憶手段12は、基準心電波形を有するテンプレートを図示しないRAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置に記憶する。基準心電波形は、予め記憶された標準的な心電波形であってもよく、運転者から最初に取得される心電波形であってもよい。なお、テンプレートは、当初1つだけ用意されるが、複数の異なる運転者に対応するために複数用意されてもよい。
【0035】
ここで、「基準心電波形」とは、その属するテンプレートを代表する心電波形であり、P、Q、R、SおよびT波を含む部分を1単位として、P、Q、R、SおよびT波それぞれの波高等の測定値或いはその平均値で示される波形を意味し、各テンプレートは基準心電波形の他、それぞれの波高の最大値、最小値、標準偏差等の情報を併有する。また、各テンプレートは、測定値から二次的に計算される、それぞれの波幅、PQ時間、QT時間、RR間隔(RRI(R−R Interval))、平均高さ(平均信号強度)、心拍数等の情報も併有する。また、各テンプレートは、心電波形の微分波形を基準心電波形として使用してもよい。
【0036】
心電波形取得手段10は、心電センサ1により取得され心電アンプ3により増幅された心電波形から、例えば、R波ピーク±300ミリ秒の範囲を切り出し、その範囲を1単位として心電波形比較手段13に出力する。
【0037】
心電波形比較手段13は、心電波形取得手段10から受信した心電波形と、テンプレート記憶手段12が記憶する1のテンプレートが有する基準心電波形とを比較して両者が類似するか否かを判定する。心電波形比較手段13は、例えば、受信した心電波形と1のテンプレートの基準心電波形との間の相関係数を算出し、相関係数が所定値(例えば、0.75)以上ならば類似と判定する。また、心電波形の比較は、P、Q、R、SおよびT波の波高等の情報を併用してもよい。また、類似すると判定されたテンプレート(基準心電波形)が複数ある場合には、相関係数が最大となるテンプレートの基準心電波形に類似すると判定する。
【0038】
テンプレート更新手段14は、心電波形取得手段10から受信した心電波形に基づいて、心電波形比較手段13により類似すると判定された基準心電波形のP、Q、R、SおよびT波それぞれの波高および波幅、PQ時間、QT時間、RRI等の平均値および標準偏差等を更新する。
【0039】
なお、更新は、基準心電波形の平均値等を構成した心電波形の数を考慮する。例えば、基準心電波形が先行する19波形の心電波形の平均値等で構成される場合、受信した心電波形は20分の1(5%)の影響度を有する。或いは、平均値等を構成した心電波形の数によらず、既に記憶されている基準心電波形の影響度を80%、受信した心電波形の影響度を20%として更新を行ってもよい。
【0040】
また、テンプレート更新手段14は、心電波形取得手段10から受信した心電波形が何れのテンプレートの基準心電波形とも類似しないと心電波形比較手段13により判定された場合、テンプレートを新たに生成し、心電波形取得手段10から受信した心電波形をそのテンプレートの基準心電波形とする。なお、テンプレート更新手段14は、電源投入時等、テンプレート記憶手段12により記憶されたテンプレートが1つもない場合にも、テンプレートを新たに生成し、最初に受信した心電波形を基準心電波形にするようにしてもよい。また、テンプレート更新手段14は、テンプレートを新たに作成する場合であっても、心電波形取得手段10から受信した心電波形をそのテンプレートの基準心電波形とせず、受信した心電波形と、予め記憶された所定の心電波形とから基準心電波形を生成するようにしてもよい。
【0041】
このように、車両用不整脈監視装置100は、既存のテンプレートの基準心電波形に類似する心電波形を既存のテンプレートを更新するために利用するので、類似する基準心電波形を有するテンプレートが無制限に生成されるのを防止することができる。
【0042】
更新カウント手段15は、テンプレート更新手段14が各テンプレートの基準心電波形を更新するために用いた心電波形の数をテンプレート毎にカウントする。
【0043】
テンプレート削除手段16は、筋電位等のノイズの影響を受けた心電波形が、類似のテンプレートが存在しないとして作成されたテンプレートの基準心電波形となった場合に、そのテンプレートを所定の条件に基づいて削除する。
【0044】
例えば、テンプレート削除手段16は、削除候補となるテンプレートが最後に更新されてから経過した時間を参照し、その経過時間が所定の時間(例えば、20秒)を超過した場合に、その削除候補となるテンプレートを削除する。或いは、テンプレート削除手段16は、削除候補となるテンプレートの更新に用いられた心電波形の数を更新カウント手段15より取得し、所定の期間における更新に利用された心電波形の数が所定数(例えば、10個)に満たない場合に、その削除候補となるテンプレートを削除する。
【0045】
このように、車両用不整脈監視装置100は、ノイズの影響を受けた心電波形により生成されたテンプレートを検出して削除することにより、ノイズの影響を受けた心電波形が不整脈であると誤判定されるのを防止することができる。
【0046】
テンプレート併合手段17は、心電波形比較手段13により1のテンプレートに類似しないと判定された心電波形が他のテンプレートを更新した場合に、本来ならば当該1のテンプレートに属すべき当該他のテンプレートを当該1のテンプレートに併合する。
【0047】
このような状況は、心電波形比較手段13による比較が厳格すぎる場合に発生しうる。例えば、通常の環境条件(ノイズ条件)であれば1のテンプレートに属していただろう心電波形であっても、ノイズを発生させ易い環境条件で取得された場合には、一部の心電波形は、当該1のテンプレートに類似しないとして他のテンプレートを更新してしまう場合がある。
【0048】
係る場合に、制御部9は、現在の環境条件がノイズの多い環境条件であることを車両状態判定手段5等からの情報により判定し、テンプレート併合手段17をして、1のテンプレートと他のテンプレートとを併合させるようにする。この際、制御部9は、心電波形取得手段10から受信した心電波形と基準心電波形との類比判断のために心電波形比較手段13が用いる相関関数の閾値を通常より低い値(例えば、通常の0.75に対して0.7とする。)に設定させるようにしてもよい。
【0049】
テンプレート併合手段17による併合は、1のテンプレートが有する基準心電波形のP、Q、R、SおよびT波それぞれの波高および波幅、PQ時間、QT時間、RRI等の平均値および標準偏差等と、他のテンプレートの基準心電波形のP、Q、R、SおよびT波それぞれの波高および波幅、PQ時間、QT時間、RRI等の平均値および標準偏差等とを併合することにより実行される。なお、併合の際には、それぞれのテンプレートを形成した心電波形の数を考慮する。例えば、1のテンプレートを形成した心電波形の数が20波形で、他のテンプレートを形成した心電波形の数が80波形である場合、併合により生成される基準心電波形は、1のテンプレートの基準心電波形の影響を20%、他のテンプレートの基準心電波形の影響を80%、それぞれ受けたものとなる。
【0050】
テンプレート併合手段17は、1のテンプレートの基準心電波形と、他のテンプレートの基準心電波形との間の相関係数を算出し、相関係数が所定値(例えば、0.7)以上であれば、他のテンプレートを1のテンプレートに併合する。なお、ここで使用される相関係数の閾値には、心電波形取得手段10から受信した心電波形と基準心電波形との類比判断のために心電波形比較手段13が使用した閾値より低い値が設定されるようにしてもよい。
【0051】
或いは、テンプレート併合手段17は、基準心電波形の平均高さに基づいて併合するか否かの判定を行ってもよい。ここで、「平均高さ」とは、P、Q、R、SおよびT波を含む心電波形1単位の高さ(基準電位との電位差)の平均値をいう。なお、基準電位より低い負の電位は負の値として取り扱ってもよく、その絶対値を加算するようにしてもよい。
【0052】
テンプレート併合手段17は、1のテンプレートの基準心電波形の平均高さH1と、他のテンプレートの基準心電波形の平均高さH2とから、例えば、abs(H1−H2)/(H1+H2)<0.1のような判定式を用い、判定式が満たされる場合に2つのテンプレートを併合するようにしてもよい。なお、abs(H1−H2)は、平均高さの差の絶対値を意味する。
【0053】
このように、車両用不整脈監視装置100は、本来ならば、1のテンプレートに属すべき心電波形が他のテンプレートに属するものと判定された場合であっても、事後的にこれら2つのテンプレートを併合することにより、テンプレート記憶手段12が記憶する情報量や、心電波形比較手段13が比較対象とするテンプレート数を低減することができる。
【0054】
次に、車両用不整脈監視装置100が不整脈の有無を判定する方法について説明する。
【0055】
図2は、車両走行中に不整脈の有無を判定する処理の流れを示すフローチャートであり、図3は、車両停車中に不整脈の有無を判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【0056】
先ず、車両走行中に不整脈の有無を判定する処理について説明する。なお、車両用不整脈監視装置100は、車両が走行しているか否かを車両状態判定手段5により判定する。
【0057】
最初に、制御部9は、心電波形取得手段10をして心電センサ1により取得され心電アンプ3により増幅された心電波形を取得させる(ステップS1)。その後、信号処理演算手段11は、心電波形取得手段10が取得した心電波形から、R波ピークのみを検出する(ステップS2)。信号処理演算手段11は、所定期間継続してR波ピークの検出を行い、一分間当たりの心拍数を算出する。また、信号処理演算手段11は、RRIから心拍数のゆらぎを監視し、この心拍数のゆらぎを周波数解析し低周波成分(LF)および高周波成分(HF)を算出する。そして、信号処理演算手段11は、算出した心拍数およびLF/HF比に基づいて不整脈の有無を判定する(ステップS3)。
【0058】
信号処理演算手段11は、心拍数が先行する5分間の平均心拍数より25%以上上昇するか、心拍数が100拍/分以上若しくは40拍/分以下となるか、または、LF/HF比が先行する30分間乃至40分間のLF/HF比に比べ50%以上上昇するかの何れかの条件が満たされた場合に(ステップS3のYES)、不整脈のおそれがあると判定し、車両停車支援手段7を実行させたり(ステップS4)、表示装置8に警告画面を表示させたりして、車両を停車させるようにする。
【0059】
信号処理演算手段11は、上述の条件を満たさない場合には(ステップS3のNO)、車両停車支援手段7を実行させることなくR波の監視を継続する。
【0060】
次に、車両停車中に不整脈の有無を判定する処理について説明する。上述のように車両停車支援手段7により車両が停車させられると、制御部9は、心電波形取得手段10をして心電センサ1により取得され心電アンプ3により増幅された心電波形を取得させ、同時に、脈波センサ2により取得され脈波アンプ4により増幅された脈波波形を取得する(ステップS11)。
【0061】
次に、信号処理演算手段11は、心電波形取得手段10が取得した心電波形からST波波高を検出し、脈波波形から血圧を推定する(ステップS12)。そして、信号処理演算手段11は、検出したST波波高または推定した血圧に基づいて不整脈の有無を判定する(ステップS13)。
【0062】
信号処理演算手段11は、ST波の波高が基準電位+0.02mV以上若しくは基準電位−0.02mV以下となるか、または、血圧が25%以上上昇若しくは25%以上下降するかの条件が満たされた場合に(ステップS13のYES)、不整脈が発生したと判定し、通信装置6を介して家族、掛かり付けの医師、ヘルプネット等の予め登録された連絡先に自動的に通報したり、或いは、車外に緊急事態を知らせるようホーンを鳴らしたり、ライトを点滅させたりする(ステップS14)。
【0063】
信号処理演算手段11は、上述の条件を満たさない場合には(ステップS13のNO)、通信装置6を介して通報を行うことなくST波および血圧の測定を継続する。なお、信号処理演算手段11は、車両停車支援手段7の支援により車両を停車させた後、所定期間(例えば、10分間)が経過するまで車両を再発進できないようにしてもよい。
【0064】
次に、車両用不整脈監視装置100が心電波形のテンプレートを用いて不整脈の有無を判断する方法について説明する。なお、テンプレートによる判定は、車両走行中に取得される心電波形のQRS群に基づいて行われてもよく、車両停車中に取得される心電波形全体に基づいて行われてもよい。
【0065】
図4は、車両用不整脈監視装置100が心電波形のテンプレートを更新する処理の流れを示すフローチャートである。
【0066】
最初に、心電波形取得手段10は、心電センサ1により取得され心電アンプ3により増幅された心電波形を取得し(ステップS21)、その心電波形からR波ピーク±300ミリ秒の範囲を切り出す(ステップS22)。この範囲は、心電波形のうちのQRS群を含む範囲であり、筋電位等のノイズに対し頑健な波形部分を含むものである。
【0067】
次に、制御部9は、テンプレート記憶手段12を参照し、既存のテンプレートが存在するか否かを判定する(ステップS23)。制御部9が既存のテンプレートが存在しないことを確認すると(ステップS23のNO)、テンプレート更新手段14は、新たにテンプレートを生成し、心電波形取得手段10が切り出した心電波形を新たに生成したテンプレートの基準心電波形とする(ステップS28)。一方、制御部9が既存のテンプレートの存在を確認すると(ステップS23のYES)、心電波形比較手段13は、心電波形取得手段10が切り出した心電波形と既存のテンプレートが有する基準心電波形との類似度を算出する(ステップS24)。なお、類似度は、例えば、心電波形取得手段10が切り出した心電波形と既存のテンプレートが有する基準心電波形との相関係数である。
【0068】
次に、制御部9は、テンプレート記憶手段12を参照し、他の既存のテンプレートが存在するか否かを判定する(ステップS25)。制御部9が他の既存のテンプレートの存在を確認すると(ステップS25のYES)、ステップS24における類似度算出の処理を繰り返す。一方、制御部9が他の既存のテンプレートが存在しないことを確認すると、心電波形比較手段13は、算出した類似度のそれぞれが所定の値(例えば、相関係数0.75)以上であるか否かを判定する(ステップS26)。
【0069】
算出した類似度の何れもが所定の値未満であると心電波形比較手段13が判定した場合には(ステップS26のNO)、テンプレート更新手段14は、新たにテンプレートを生成し、心電波形取得手段10が切り出した心電波形を新たに生成したテンプレートの基準心電波形とする(ステップS28)。一方、1のテンプレートの類似度が所定の値以上の場合には(ステップS26のYES)、テンプレート更新手段14は、心電波形取得手段10が切り出した心電波形に基づいて1のテンプレートを更新する(ステップS27)。なお、類似度が所定の値以上となるテンプレートが複数存在する場合には、テンプレート更新手段14は、心電波形取得手段10が切り出した心電波形に基づいて最大の類似度を有するテンプレートを更新する(ステップS27)。
【0070】
上述の方法により更新されたテンプレートと、以下に示す心臓疾患の各特徴とに基づき、車両用不整脈監視装置100は、不整脈の有無を判定する。
【0071】
通常、健常者の心電波形または心房細動(P波に関連する。)、洞不整脈若しくは心房性期外収縮(以下、「心房細動等」という。)の症状を持つ者の心電波形は、QRS群の心電波形に影響を及ぼさないので、生成されるテンプレートの数は1つとなる。しかし、心房細動等の症状を持つ者のRRIは、一定とならない場合が多いため、テンプレートのRRIに関する情報から、健常者との区別が可能である。
【0072】
また、心室性期外収縮または脚ブロック(以下、「心室性期外収縮」という。)の症状を持つ者の心電波形は、心室性期外収縮等が発生した際のQRS群の形状が大きく変化するため、心室性期外収縮等が発生していない通常のQRS群によるテンプレートと、心室性期外収縮等が発生した際のQRS群によるテンプレートとの2つ以上のテンプレートが生成される。さらに、心室性期外収縮等の症状を持つ者の心電波形は、波高平均高さおよび平均RRI等が心室性期外収縮等発生時とそうでない場合とで大きく異なるという特徴を有する。
【0073】
ここで、「心房細動」とは、心房が1分間に450〜600回の頻度で不規則に興奮し、その興奮波が房室結節へ無秩序に伝わるために心室興奮が不規則になる不整脈をいい、「期外収縮」とは、正常な拍動が起こる前に、異常部位からの電気刺激により心房が活性化するために余分な拍動が生じる不整脈をいい、このうち、心房由来のものを「心房性期外収縮」、心室由来のものを「心室性期外収縮」という。また、「洞不整脈」とは、RRIの変動幅(最長と最短の差)が0.12から0.16秒以上ある場合をいい、「脚ブロック」とは、電気刺激を心室へ伝導する脚を通過する電気刺激を部分的、或いは完全に遮断する伝導障害をいう。
【0074】
図5は、車両用不整脈監視装置100がテンプレートの情報に基づいて不整脈の有無を判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【0075】
最初に、信号処理演算手段11は、テンプレート記憶手段12を参照して既存のテンプレート数を取得する(ステップS31)。信号処理演算手段11は、既存のテンプレート数が2以上であることを確認すると(ステップS31のNO)、心室性期外収縮若しくは脚ブロックのおそれがあると判定する(ステップS35)。一方、信号処理演算手段11は、既存のテンプレート数が1つであることを確認すると(ステップS31のYES)、テンプレートが有するRRIに関する情報を参照し、所定の計算値(例えば、RRIの標準偏差をRRIの平均値で除した値である。)に基づいて不整脈の有無を判定する(ステップS32)。
【0076】
信号処理演算手段11は、例えば、RRIの標準偏差をRRIの平均値で除した値が0.2未満であると判定した場合に(ステップS32のYES)、不整脈は存在しないとの判定を行う(ステップS33)。一方、RRIの標準偏差をRRIの平均値で除した値が0.2以上であると判定した場合には(ステップS32のNO)、信号処理演算手段11は、心房細動、洞不整脈または心房性期外収縮のおそれがあるとの判定を行う(ステップS34)。なお、この計算値は、RRIの平均値、標準偏差または変動係数CV(Coefficient of Variation)等のRRIに関する情報を用いたものに限定されることはなく、平均高さに関する情報を用いる等、上述の各心臓疾患の症状を区別できるものであればよい。
【0077】
このように、車両用不整脈監視装置100は、心電センサ1の電極をステアリング表面に配設するために、心電波形が監視されているのを運転者に意識させることなく不整脈の有無を監視することができる。
【0078】
また、車両用不整脈監視装置100は、車両走行中にR波ピークを監視することにより不整脈の発生を大まかに判定して車両の停車を促した後、安静状態においてより詳細な心電波形の測定を行い、不整脈の有無をより正確に行うことができるので、車両走行中に突然運転者が心停止等を引き起こすことにより、更なる事故を発生させることを防止することができる。
【0079】
また、車両用不整脈監視装置100は、テンプレートを用いることにより、不整脈のより詳細な状態を検出することができ、通信装置6を介して医師等により有用な情報を伝達することができる。
【0080】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0081】
例えば、制御部9を構成する各手段10乃至17は、コンピュータ読取可能な媒体に記憶されるプログラムであり、HDD等に記憶され、RAM等に展開されて各手段を制御部9のコンピュータに実行させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係る車両用不整脈監視装置の機能ブロック図である。
【図2】車両走行中に不整脈の有無を判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】車両停車中に不整脈の有無を判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】心電波形のテンプレートを更新する処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】テンプレートの情報に基づいて不整脈の有無を判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
1 心電センサ
2 脈波センサ
3 心電アンプ
4 脈波アンプ
5 車両状態判定手段
6 通信装置
7 車両停車支援手段
8 表示装置
9 制御部
10 心電波形取得手段
11 信号処理演算手段
12 テンプレート記憶手段
13 心電波形比較手段
14 テンプレート更新手段
15 更新カウント手段
16 テンプレート削除手段
17 テンプレート併合手段
100 車両用不整脈監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノイズに対して頑健な波形部分とノイズに対して頑健でない波形部分とを有する心電波形に基づいて不整脈の有無を判定する車両用不整脈監視装置であって、
車両が停車しているか否かを判定する車両状態判定手段と、
運転者が車両を操舵するために把持するステアリングに配設される電極から心電波形を取得する心電波形取得手段と、
前記心電波形取得手段が取得した心電波形に基づいて不整脈の有無を判定する信号処理演算手段と、を備え、
前記信号処理演算手段は、前記車両状態判定手段が停車していないと判定した場合に、前記心電波形取得手段が取得した心電波形のうち前記ノイズに対して頑健な波形部分に基づいて不整脈の有無を判定する、
ことを特徴とする車両用不整脈監視装置。
【請求項2】
前記ノイズに対して頑健な波形部分は、前記心電波形取得手段が取得した心電波形のうちのR波部分であることを特徴とする請求項1に記載の車両用不整脈監視装置。
【請求項3】
車両を停車させるよう前記運転者を支援する車両停車支援手段を備え、
前記車両停車支援手段は、前記車両状態判定手段が停車していないと判定し、かつ、前記信号処理演算手段が不整脈を有すると判定した場合に、前記車両を停車させるよう前記運転者を支援する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用不整脈監視装置。
【請求項4】
前記信号処理演算手段は、前記車両状態判定手段が停車していると判定した場合に、停車中において前記心電波形取得手段が取得した心電波形のうち前記ノイズに対して頑健な波形部分以外を含む心電波形に基づいて不整脈の有無を判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用不整脈監視装置。
【請求項5】
基準心電波形を有するテンプレートを記憶するテンプレート記憶手段と、
前記テンプレート記憶手段が記憶する1のテンプレートの基準心電波形の形状と、前記心電波形取得手段が取得した心電波形の形状とが類似するか否かを判定する心電波形比較手段と、
前記心電波形に基づいて前記1のテンプレートの基準心電波形を更新するテンプレート更新手段と、を備え、
前記テンプレート更新手段は、前記心電波形比較手段が類似すると判定した場合に、前記心電波形に基づいて前記1のテンプレートの基準心電波形を更新し、前記心電波形比較手段が何れのテンプレートの基準心電波形にも類似しないと判定した場合に、新規テンプレートを生成して前記心電波形を前記新規テンプレートの基準心電波形とする、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の車両用不整脈監視装置。
【請求項6】
前記信号処理演算手段は、テンプレートの数が1つである場合に、R波間隔に関する情報に基づいて心房細動であるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用不整脈監視装置。
【請求項7】
前記信号処理演算手段は、テンプレートの数が2以上である場合に、2以上のテンプレートのうちの2つにおける基準心電波形の相違に基づいて、心室性期外収縮であるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用不整脈監視装置。
【請求項8】
前記1のテンプレートの基準心電波形を更新した前記心電波形の数をカウントする更新カウント手段と、
前記テンプレート記憶手段により記憶されたテンプレートを削除するテンプレート削除手段と、を備え、
前記テンプレート削除手段は、削除候補テンプレートの基準心電波形が最後に更新されてから所定時間経過するか、或いは、前記更新カウント手段がカウントした前記心電波形の数が所定数に満たない場合に、前記削除候補テンプレートを削除する、
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用不整脈監視装置。
【請求項9】
前記テンプレート記憶手段により記憶された2つのテンプレートを1つのテンプレートに併合するテンプレート併合手段を備え、
前記テンプレート併合手段は、第1の併合候補テンプレートの基準心電波形と、第2の併合候補テンプレートの基準心電波形とが類似する場合に、前記第1の併合候補テンプレートの基準心電波形に基づいて前記第2の併合候補テンプレートの基準心電波形を更新して前記第1の併合候補テンプレートを前記第2の併合候補テンプレートに併合する、
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用不整脈監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−301101(P2007−301101A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−131855(P2006−131855)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(803000034)学校法人日本医科大学 (37)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】