車両用安全装置
【課題】車体に衝突する衝突体がフロントピラーに接触することを抑制することができる車両用安全装置を得る。
【解決手段】車両用安全装置10は、ヘッドランプ24と、車体に対するヘッドランプ24の姿勢を変化させる得るヘッドランプ駆動機構25と、ヘッドランプ駆動機構25を制御するECUとを備えている。ECUは、自動車11の前部への衝突体の衝突が検知又は予測された場合に、ヘッドランプ24との接触によって衝突体の移動方向をフロントピラーに向かう方向に対し異ならせるのに適した衝突体案内姿勢を該ヘッドランプ24がとるように、ヘッドランプ駆動機構25を制御する。
【解決手段】車両用安全装置10は、ヘッドランプ24と、車体に対するヘッドランプ24の姿勢を変化させる得るヘッドランプ駆動機構25と、ヘッドランプ駆動機構25を制御するECUとを備えている。ECUは、自動車11の前部への衝突体の衝突が検知又は予測された場合に、ヘッドランプ24との接触によって衝突体の移動方向をフロントピラーに向かう方向に対し異ならせるのに適した衝突体案内姿勢を該ヘッドランプ24がとるように、ヘッドランプ駆動機構25を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に衝突する衝突体がフロントピラーに接触することを抑制するための車両用安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衝突体がエンジンフードに当たることにより発生する衝撃力を良好に吸収するために、エンジンフードをリフトアップした姿勢で衝撃力を受けるようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、エンジンフード(ボンネット)とヘッドランプ(ヘッドライト)との間に、衝撃吸収ストロークを確保するための大きな隙間を設定する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−203249号公報
【特許文献2】特許第3762904号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の如き従来の技術では、衝突体が車体前部における高剛性部位であるフロントピラーに衝突することに対する対策について考慮されていなかった。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、車体に衝突する衝突体がフロントピラーに接触することを抑制することができる車両用安全装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明に係る車両用安全装置は、ヘッドランプと、車体に対する前記ヘッドランプの姿勢を変化させる得るヘッドランプ駆動機構と、衝突体の衝突が検知又は予測された場合に、前記ヘッドランプとの接触によって前記衝突体の移動方向をフロントピラーに向かう方向に対し異ならせるのに適した衝突体案内姿勢を該ヘッドランプがとるように、前記ヘッドランプ駆動機構を制御する制御手段と、を備えている。
【0006】
請求項1記載の車両用安全装置では、衝突体の衝突を検知又は予測した制御手段は、ヘッドランプ駆動手段を作動して、ヘッドランプの姿勢を衝突体案内姿勢に変化させる。このため、衝突体がヘッドランプ側に向かっていた場合、該衝突体は衝突体案内姿勢をとるヘッドランプとの接触によって、フロンピラーに向かう移動方向とは異なる方向に案内される。これにより、衝突体とフロントピラーとの接触が避けられる(確率が高くなる)。特に、ヘッドランプは車体前部における前端近傍に位置するので、衝突体を衝突の初期からフロントピラーに向かう移動方向と異なる方向に案内することができ、衝突体とフロントピラーとの接触が効果的に避けられる。
【0007】
このように、請求項1記載の車両用安全装置では、車体に衝突する衝突体がフロントピラーに接触することを抑制することができる。
【0008】
請求項2記載の発明に係る車両用安全装置は、請求項1記載の車両用安全装置において、前記衝突体案内姿勢は、前記ヘッドランプによって前記衝突体が車幅方向に案内されるように設定されている。
【0009】
請求項2記載の車両用安全装置では、車体に対し前後方向にフロントピラーに近接する衝突体を、衝突体案内姿勢をとるヘッドランプにて車幅方向に案内することで、該衝突体をフロントピラーに向かう方向と異なる方向に移動させる。これにより、衝突体に作用する荷重を低く抑えながら、衝突体がフロントピラーに接触することを抑制することができる。
【0010】
請求項3記載の発明に係る車両用安全装置は、請求項1又は請求項2記載の車両用安全装置において、前記ヘッドランプは、前記ヘッドランプ駆動機構によって、前記ヘッドランプが車体外板の外側に突出する突出姿勢と、前記ヘッドランプが前記車体外板の内側に格納される格納姿勢とをとり得る構成とされ、前記衝突体案内姿勢は、前記ヘッドランプの車幅方向中央部に、車両前後方向に沿って前記フロントピラー側に向かうように稜線が形成される姿勢とされている。
【0011】
請求項3記載の車両用安全装置では、ヘッドランプは、例えば、通常は格納姿勢をとり、前方を照射する際にはヘッドランプ駆動機構により突出姿勢をとる。そして、衝突体の衝突が検知又は予測されると、ヘッドランプ駆動機構が作動又は現位置で保持されて、ヘッドランプの姿勢は衝突体案内姿勢に移行又は維持される。
【0012】
この衝突体案内姿勢(単一の突出姿勢そのもの又は複数の突出姿勢の一態様)をとるヘッドランプの車幅方向中央部には、車両前後方向に沿ってフロントピラー側に向かう稜線が形成されるので、衝突体は、ヘッドランプの稜線に対する車幅方向内側に接触すると車幅方向内側に案内され、稜線に対する車幅方向外側に接触すると車幅方向の外側に案内される。これにより、車幅方向の内外何れ側からフロントピラーに向かう場合でも、該移動方向を異ならせてフロントピラーに接触することを抑制することができる。
【0013】
請求項4記載の発明に係る車両用安全装置は、請求項1又は請求項2記載の車両用安全装置において、前記ヘッドランプは、前記ヘッドランプ駆動機構によって、前記ヘッドランプが車体外板の外側に突出され車両前方を照射するための照射姿勢と、前記ヘッドランプが前記車体外板の内側に格納される格納姿勢と、前記ヘッドランプが前記照射姿勢とは異なる態様で車体外板の外側に突出され前記衝突体の移動方向をフロントピラーに向かう方向に対し異ならせるのに適した衝突体案内姿勢とをとり得る。
【0014】
請求項4記載の車両用安全装置では、ヘッドランプは、例えば、通常は格納姿勢をとり、前方を照射する際にはヘッドランプ駆動機構により照射姿勢をとる。そして、衝突体の衝突が検知又は予測されると、ヘッドランプ駆動機構が作動されて、ヘッドランプの姿勢は衝突体案内姿勢に移行される。この衝突体案内姿勢をとるヘッドランプによって、衝突体の移動方向がフロントピラーに向かう方向と異なる方向に案内される。ここで、この衝突体案内姿勢は、照射姿勢とは異なる態様で車体外板上に突出した姿勢であるので、照射姿勢が衝突体案内姿勢を兼ねる場合と比較して、該衝突体案内姿勢の設定自由度が高い。
【0015】
請求項5記載の発明に係る車両用安全装置は、請求項1又は請求項2記載の車両用安全装置において、前記衝突体案内姿勢は、前記ヘッドランプにおける常に車体外側に露出されている照射面によって前記衝突体の移動方向をフロントピラーに向かう方向に対し異ならせるように設定されている。
【0016】
請求項5記載の車両用安全装置では、ヘッドランプにおける常に車体外側に露出されている照射面の姿勢(位置、角度等)を変化させることで、衝突体の移動方向がフロントピラーに向かう方向と異なる方向に案内される。このようなヘッドランプの照射面は、車体のほぼ最前部に配置されるので、衝突体を衝突のごく初期からフロントピラーに向かう移動方向と異なる方向に案内することができ、衝突体とフロントピラーとの接触が一層効果的に避けられる。
【0017】
請求項6記載の発明に係る車両用安全装置は、請求項1〜請求項5の何れか1項記載の車両用安全装置において、前記衝突体案内姿勢は、地上に位置する前記衝突体における該衝突体の重心よりも上側の部分を前記ヘッドランプが案内するように設定されている。
【0018】
請求項6記載の車両用安全装置では、地上の衝突体における重心よりも上側部分がヘッドランプにて案内されるので、衝突体の移動方向がフロントピラーに向かう移動方向から効果的に異ならされる。このため、衝突体とフロントピラーとの接触が一層効果的に避けられる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明に係る車両用安全装置は、車体に衝突する衝突体がフロントピラーに接触することを抑制することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の第1の実施形態に係る車両用安全装置10について、図1〜図6に基づいて説明する。
【0021】
図1(A)には、車両用安全装置10が適用された車両としての自動車11の概略構成が正面図にて示されており、図1(B)には、自動車11の前部が側面図にて示されている。これらの図に示される如く、自動車11の前端部には、車幅方向に延在すると共に前輪12を収容したホイールハウス14の前側まで回り込んだフロントバンパ16が設けけられている。また、フロントバンパ16の上方、側方には車体外板としてのフロントフェンダ18が設けられており、上記したホイールハウス14はフロントフェンダの側壁部18Aに形成されている。
【0022】
また、フロントフェンダ18の後端部における車幅方向両端には、それぞれフロントピラーアッパ20が連続している。左右のフロントピラーアッパ20間には、ウインドシールドガラス22が固定されている。フロントピラーアッパ20は、図示しないフロントピラーロアとで乗員乗降用のドア開口部の前縁を成す車体骨格としてのフロントピラーを構成している。
【0023】
さらに、自動車11では、フロントフェンダ18における上壁部18Bには、左右一対のヘッドランプ24が設けられている。各ヘッドランプ24は、給電されると自動車11の前方に光を照射する構成とされている。なお、各ヘッドランプ24が配置された左右の上壁部18B間には、例えばエンジンルームを覆うエンジンフード等が配置されるが、図1(A)では、図示を省略している。
【0024】
そして、自動車11では、左右のヘッドランプ24は、それぞれフロントフェンダ18内に収容された格納姿勢(図1(A)の紙面左側のヘッドランプ24参照)と、レンズ等で構成された照射面24Aを上壁部18Bよりも車両上下方向の上側に突出させた照射姿勢(図1(A)の紙面右側のヘッドランプ24、図1(B)参照)とをとり得る構成とされている。すなわち、各ヘッドランプ24は、自動車11の前方を照射する際には、格納姿勢から照射姿勢に移行される構成とされている。
【0025】
この実施形態では、格納姿勢をとるヘッドランプ24は、その照射面24Aがフロントフェンダ18の上壁部18Bと連続的な曲面を成すように構成されている。そして、車両用安全装置10では、照射姿勢をとるヘッドランプ24の照射面24Aは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図1(B)参照)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方、及び車幅方向の内側を向く斜面(曲面)になっている。
【0026】
図2に示される如く、フロントフェンダ18の内側には、ヘッドランプ24を駆動するためのヘッドランプ駆動機構25が設けられている。この実施形態では、ヘッドランプ駆動機構25を格納姿勢と照射姿勢との間で往復変位させ得る低速アクチュエータ26と、低速アクチュエータ26よりも短時間でヘッドランプ24を格納姿勢から照射姿勢に変位させ得る高速アクチュエータ28とを含んで構成されている。これら低速アクチュエータ26、高速アクチュエータ28は、制御手段(制御回路)としてのECU30にて制御されるようになっている。
【0027】
ECU30は、車外の照度(明るさ)に応じた信号を出力する照度センサ32、自動車11の乗員により操作される照明スイッチ34、自動車11の前面への衝突体の衝突を検出するための衝突センサ36のそれぞれに電気的に接続されている。ECU30は、これら照度センサ32、照明スイッチ34、衝突センサ36からの信号に基づいて、低速アクチュエータ26、高速アクチュエータ28の作動を制御する構成とされている。衝突センサ36としては、例えば、衝突体と自動車11との距離(の時間変化)に応じた信号を出力するミリ波レーダや撮像した画像データを出力するさCCD等の撮像手段を用いることができる。
【0028】
詳細は後述するが、ECU30は、衝突センサ36からの信号に基づいて車体前部への衝突体の衝突を予測した場合には、ヘッドランプ24を照射姿勢に移行又は維持するようになっている。ここで、図4に示される如く、ヘッドランプ24は、路面Rからの車両縁部に沿った距離WAD(Wrap Around Distance)が所定距離以上に設定されている。この所定距離は、地上に位置する衝突体の重心高さH(想定される最大の重心高さ)よりも大となるように決められている。この重心高さは、衝突体の静的な重心高さではなく、路面R上を運動中の動的な重心高さ(静的な重心高さHの105〜110%程度)として設定されるようになっている。この実施形態では、上記した距離WAD≒1200mm程度に設定されている。
【0029】
また、ECU30は、ヘッドランプ24の点灯、消灯に伴う該ヘッドランプ24の格納姿勢、照射姿勢の移動制御を行うように構成されている。この実施形態では、ヘッドランプ24の点灯、消灯についてもECU30(車両用安全装置10)が制御するようになっている。
【0030】
次に、第1の実施形態の作用を、図3に示されるフローチャートを参照しつつ、ECU30による制御と共に説明する。
【0031】
上記構成の車両用安全装置10では、例えば、自動車11のメインスイッチ(イグニッションスイッチ等)がON操作されると、ECU30、照度センサ32、衝突センサ36が起動されると共に低速アクチュエータ26、高速アクチュエータ28が作動可能状態とされる。ECU30は、図3に示されるフローチャートに示される制御を行う。
【0032】
すなわち、ECU30は、ステップS10で、衝突センサ36からの信号に基づいて自動車11の前部に対する衝突体の衝突が予測されるか否かを判断する。自動車11の前部に対する衝突体の衝突が予測されないと判断した場合、ECU30は、ステップS12に進み、照度センサ32からの信号に基づいて外部の照度(明るさ)が十分であるか否かを判断する。照度が十分であると判断した場合、ECU30は、ステップS14に進み、照明スイッチ34がON操作されているか否かを判断する。
【0033】
ECU30は、ステップS12で、照度が十分ではない、すなわち周囲環境が暗いと判断した場合、又は、ステップS14で照明スイッチ34がON操作されている、すなわち自動車11の乗員の点灯意思があると判断した場合、ステップS16に進む。ステップS16でECU30は、左右のヘッドランプ24がそれぞれ格納姿勢から照射姿勢に変位されるように、低速アクチュエータ26を制御する(作動させる)。また、ECU30は、左右のヘッドランプ24をそれぞれ点灯させる。これにより、自動車11の前方が左右のヘッドランプ24にて照射される。この後、ECU30は、ステップS10に戻る。
【0034】
一方、ステップS14で照明スイッチ34がON操作されていない(OFF状態である)と判断したECU30は、ステップS18に進み、各ヘッドランプ24が照射姿勢をとっているか否かを判断する。各ヘッドランプ24が照射姿勢をとらない、すなわち格納姿勢をとっていると判断した場合、ECU30は、ステップS10に戻る。ステップS18で各ヘッドランプ24が照射姿勢をとっていると判断した場合、ECU30は、ステップS20に進み、ヘッドランプ24がそれぞれ照射姿勢から格納姿勢に変位されるように、低速アクチュエータ26を制御する(作動させる)。また、ECU30は、各ヘッドランプ24をそれぞれ消灯させる。この後、ECU30は、ステップS10に戻る。
【0035】
そして、ステップS10で自動車11の前部に対する衝突体の衝突が予測されると判断した場合、ECU30は、ステップS22に進み、各ヘッドランプ24が照射姿勢をとっているか否かを判断する。各ヘッドランプ24が照射姿勢をとっていると判断した場合、ECU30は、制御を終了する。一方、ステップS22で各ヘッドランプ24が照射姿勢をとらない、すなわち格納姿勢をとっていると判断した場合、ECU30は、ステップS24に進み、高速アクチュエータ28を作動させる。これにより、各ヘッドランプ24が照射姿勢すなわち衝突体案内姿勢をとる。
【0036】
この状態から衝突体が自動車11の前部に衝突し、該衝突体がフロントピラーアッパ20側に近接する方向に移動される場合、該衝突体は、衝突体案内姿勢(照射姿勢)をとるヘッドランプ24における車幅方向内側を向く照射面24Aに接触するため、衝突体は車幅方向内側に案内される。すなわち、衝突体のフロントピラーアッパ20へ向かう移動方向が、車幅方向内向きの成分を有する移動方向に変化される(移動方向が異ならされる)。
【0037】
これにより、車両用安全装置10では、衝突体が自動車11の車体における比較的剛性の高いフロントピラーアッパ20に衝突されることが抑制される。また、車両用安全装置10では、車両前後方向に移動しつつフロントピラーアッパ20に近接する衝突体をヘッドランプ24の照射面24Aが車幅方向内側に案内するため、衝突体に作用する荷重を低く抑えながら、衝突体がフロントピラーに接触することを抑制することができる。
【0038】
そして、車両用安全装置10では、自動車11の前端近傍に配置され、自動車11に前方から衝突する衝突体に対し衝突の早期に接触し得るヘッドランプ24にて該衝突体を案内するため、衝突体がフロントピラーに接触することを一層効果的に抑制することができる。
【0039】
特に、地上の衝突体が倒れ込むように照射面24Aに接触する場合において、該照射面24Aは衝突体の重心よりも上側部分に接触して該衝突体を案内するため、衝突体におけるフロントピラーアッパ20に近い部分(直立状態での上部)を効果的にフロントピラーアッパ20から遠ざける方向(本実施形態では、車幅方向の内側)に移動させることができる。したがって、衝突体に作用する加速度を低く抑えることができる。
【0040】
この点について図5を参照しつつ補足する。図5には、照射面24A(フロントフェンダ18上の凸部)の車両前後方向における位置(WAD)を異ならせた場合の衝突実験結果が線図にて例示されている。この図から照射面24Aの位置に応じて衝突体に作用する加速度のピークが異なることが解る。図5に示す3つの線図のうち、一点鎖線、破線にて示す線図は、照射面24Aが衝突体の重心よりも上側に接触する位置(WAD>衝突体の重心高さH)に配置された場合の実験例であり、照射面24Aが衝突体の重心よりも下側に接触する位置(WAD<衝突体の重心高さH)に配置された場合の結果(図5の実線参照)と比較して、衝突体に作用する加速度が小さいことが解る。この図から、特定の寸法形状の衝突体について、照射面24Aは衝突体の重心よりも上側部分に接触して該衝突体を案内する構成とすることで、衝突体のフロントピラーアッパ20との接触が良好に回避され、該衝突体に作用する加速度が低減されることが確かめられた。なお、図5の実験例では、衝突体の重心高さH≒980mmとされている。
【0041】
このように、第1の実施形態に係る車両用安全装置10では、衝突体がフロントピラーアッパ20に接触することが抑制されるので、該衝突体に作用する荷重(加速度)を低減することができる。
【0042】
なお、上記した第1の実施形態では、ステップS24で各ヘッドランプ24の高速アクチュエータ28を作動させる例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、衝突体の衝突側のヘッドランプ24に対応する高速アクチュエータ28のみを駆動するようにしても良い。
【0043】
また、上記した第1の実施形態では、ヘッドランプ駆動機構25が低速アクチュエータ26と高速アクチュエータ28とを共に有する例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ヘッドランプ24を照射姿勢と格納し生徒の間で可逆的に駆動可能な高速アクチュエータ28を設けた構成では、低速アクチュエータ26を有しない構成とすることも可能である。この構成では、例えば、衝突体の衝突を予測してヘッドランプ24が照射姿勢に変位された後に該ヘッドランプ24を格納姿勢に復帰させることができるため、例えば、衝突確率が低い場合にも(第1の実施形態よりも早いタイミングで)ヘッドランプ24を照射姿勢に移行させ、衝突体の衝突に備えておく制御を行うことも可能である。
【0044】
(他の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態を説明する。なお、上記第1の実施形態又は前出の構成と基本的に同一に部品、部分については、上記第1の実施形態又は前出の構成と同一の符号を付して説明を書略し、図示を省略する場合がある。
【0045】
(第2の実施形態)
図6(A)には、本発明の第2の実施形態に係る車両用安全装置40が適用された自動車11の概略構成が正面図にて示されており、図6(B)には、自動車11の前部が側面図にて示されている。これらの図に示される如く、車両用安全装置40は、左右一対のヘッドランプ24に代えて左右一対のヘッドランプ42を備える点で、第1の実施形態に係る車両用安全装置10とは異なる。
【0046】
各ヘッドランプ42は、給電されると自動車11の前方に光を照射する構成とされている。これらヘッドランプ42は、ヘッドランプ駆動機構25(図示省略)によって格納姿勢と照射姿勢とをとり得る構成とされている。この実施形態では、格納姿勢をとるヘッドランプ42は、その照射面42Aがフロントフェンダ18の上壁部18Bと連続的な曲面を成すように構成されている(図6(A)の紙面左側のヘッドランプ42参照)。
【0047】
そして、車両用安全装置40では、図6(B)に示される如く照射姿勢をとるヘッドランプ42の照射面42Aは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図示省略)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方を向く斜面(曲面)になっている(図6(A)の紙面右側のヘッドランプ42参照)。具体的には、照射姿勢をとるヘッドランプ42の照射面42Aは、その車幅方向内側部分が車幅方向内側を向く内向き斜面42Bとされる共に、その車幅方向外側部分が照射姿勢をとる場合に車幅方向外側を向く外向き斜面42Cとされるようになっている。
【0048】
したがって、ヘッドランプ42では、内向き斜面42Bと外向き斜面42Cとの境界を成す稜線RLは、自動車11の前端からフロントピラーアッパ20(の下端)に向けて車両前後方向に略沿って延在する構成とされている。以上により、車両用安全装置40では、ヘッドランプ42の内向き斜面42Bによって衝突体を車幅方向外側に案内し、ヘッドランプ42の外向き斜面42Cによって衝突体を車幅方向内側に案内する構成とされている。車両用安全装置40の他の構成は、図示しない部分、ECU30による制御も含め、車両用安全装置10の対応する構成と同じである。
【0049】
したがって、第2の実施形態に係る車両用安全装置40によっても、基本的に第1の実施形態に係る車両用安全装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、車両用安全装置40では、衝突体が内向き斜面42Bに接触した場合には、該接触体を車幅方向内側(エンジンフード側)に案内し、衝突体が外向き斜面42Cに接触した場合には、該接触体を車幅方向外側に案内する。このため、自動車11の前部における車幅方向外端部の近傍に衝突体が衝突した場合においても、該衝突体のフロントピラーアッパ20との接触を効果的に抑制することができる。
【0050】
(第3の実施形態)
図7(A)には、本発明の第3の実施形態に係る車両用安全装置50が適用された自動車11の概略構成が正面図にて示されており、図7(B)には、自動車11の前部が側面図にて示されている。これらの図に示される如く、車両用安全装置50は、左右一対のヘッドランプ24に代えて左右一対のヘッドランプ52を備える点で、第1の実施形態に係る車両用安全装置10とは異なる。
【0051】
各ヘッドランプ52は、給電されると自動車11の前方に光を照射する構成とされている。これらヘッドランプ52は、ヘッドランプ駆動機構25(図示省略)によって格納姿勢と照射姿勢とをとり得る構成とされている。この実施形態では、格納姿勢をとるヘッドランプ52は、その照射面52Aがフロントフェンダ18内に格納されるようになっている。この格納姿勢では、ヘッドランプ52のカバー部52Bがフロントフェンダ18の上壁部18Bと連続的な曲面を成すように構成されている(図7(A)の紙面左側のヘッドランプ52参照)。
【0052】
そして、車両用安全装置50では、図7(B)に示される如く照射姿勢をとるヘッドランプ52の照射面52Aは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図示省略)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方、及び車幅方向の内側を向く斜面(曲面)になっている(図7(A)の紙面右側のヘッドランプ52参照)。車両用安全装置50の他の構成は、図示しない部分、ECU30による制御も含め、車両用安全装置10の対応する構成と同じである。
【0053】
したがって、第3の実施形態に係る車両用安全装置50によっても、基本的に第1の実施形態に係る車両用安全装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。
【0054】
(第4の実施形態)
図8(A)には、本発明の第4の実施形態に係る車両用安全装置60が適用された自動車11の概略構成が正面図にて示されており、図8(B)には、自動車11の前部が側面図にて示されている。これらの図に示される如く、車両用安全装置60は、左右一対のヘッドランプ24に代えて左右一対のヘッドランプ62を備える点で、第1の実施形態に係る車両用安全装置10とは異なる。
【0055】
各ヘッドランプ62は、給電されると自動車11の前方に光を照射する構成とされている。これらヘッドランプ62は、ヘッドランプ駆動機構25(図示省略)によって格納姿勢と照射姿勢とをとり得る構成とされている。この実施形態では、格納姿勢をとるヘッドランプ62は、その照射面62Aがフロントフェンダ18内に格納されるようになっている。この格納姿勢では、ヘッドランプ62のカバー部62Bがフロントフェンダ18の上壁部18Bと連続的な曲面を成すように構成されている(図8(A)の紙面左側のヘッドランプ62参照)。
【0056】
そして、車両用安全装置60では、図8(B)に示される如く照射姿勢をとるヘッドランプ62の照射面62Aは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図示省略)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方、及び車幅方向の外側を向く斜面(曲面)になっている(図8(A)の紙面右側のヘッドランプ62参照)。車両用安全装置60の他の構成は、図示しない部分、ECU30による制御も含め、車両用安全装置10の対応する構成と同じである。
【0057】
したがって、第4の実施形態に係る車両用安全装置60によっても、ヘッドランプ62の照射面62Aによる衝突体の案内方向が車幅方向外側である点を除いて、基本的に第1の実施形態に係る車両用安全装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。
【0058】
(第5の実施形態)
図9(A)には、本発明の第5の実施形態に係る車両用安全装置70が適用された自動車11の概略構成が正面図にて示されており、図9(B)には、自動車11の前部が側面図にて示されている。これらの図に示される如く、車両用安全装置70は、左右一対のヘッドランプ24に代えて左右一対のヘッドランプ72を備える点で、第1の実施形態に係る車両用安全装置10とは異なる。
【0059】
各ヘッドランプ72は、給電されると自動車11の前方に光を照射する構成とされている。これらヘッドランプ72は、ヘッドランプ駆動機構25(図示省略)によって格納姿勢と照射姿勢とをとり得る構成とされている。この実施形態では、格納姿勢をとるヘッドランプ72は、その照射面72Aがフロントフェンダ18内に格納されるようになっている。この格納姿勢では、ヘッドランプ72のカバー部72Bがフロントフェンダ18の上壁部18Bと連続的な曲面を成すように構成されている(図9(A)の紙面左側のヘッドランプ72参照)。
【0060】
そして、車両用安全装置70では、図9(B)に示される如く照射姿勢をとるヘッドランプ72の照射面72Aは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図示省略)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方、及び車幅方向の内側を向く斜面(曲面)になっている(図9(A)の紙面右側のヘッドランプ72参照)。一方、ヘッドランプ72のカバー部72Bは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図示省略)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方、及び車幅方向の外側を向く斜面(曲面)になっている。
【0061】
また、車両用安全装置70では、照射姿勢をとるヘッドランプ72における照射面72Aとカバー部72Bとの境界を成す稜線RLは、自動車11の前端からフロントピラーアッパ20(の下端)に向けて車両前後方向に略沿って延在する構成とされている。これにより、車両用安全装置70では、ヘッドランプ72の照射面72Aによって衝突体を車幅方向内側に案内し、ヘッドランプ72のカバー部72Bによって衝突体を車幅方向外側に案内する構成とされている。車両用安全装置70の他の構成は、図示しない部分、ECU30による制御も含め、車両用安全装置10の対応する構成と同じである。
【0062】
したがって、第5の実施形態に係る車両用安全装置70によっても、基本的に第1の実施形態に係る車両用安全装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、車両用安全装置70では、衝突体がヘッドランプ72の照射面72Aに接触した場合には、該接触体を車幅方向内側(エンジンフード側)に案内し、衝突体がヘッドランプ72のカバー部72Bに接触した場合には、該接触体を車幅方向外側に案内する。このため、自動車11の前部における車幅方向外端部の近傍に衝突体が衝突した場合においても、該衝突体のフロントピラーアッパ20との接触を効果的に抑制することができる。
【0063】
(第6の実施形態)
図10(A)には、本発明の第6の実施形態に係る車両用安全装置80が適用された自動車11の概略構成が正面図にて示されており、図10(B)には、自動車11の前部が側面図にて示されている。これらの図に示される如く、車両用安全装置80は、左右一対のヘッドランプ24に代えて左右一対のヘッドランプ82を備える点で、第1の実施形態に係る車両用安全装置10とは異なる。
【0064】
各ヘッドランプ82は、給電されると自動車11の前方に光を照射する構成とされている。これらヘッドランプ82は、ヘッドランプ駆動機構25(図示省略)によって格納姿勢と照射姿勢とをとり得る構成とされている。この実施形態では、格納姿勢をとるヘッドランプ82は、その照射面82Aがフロントフェンダ18内に格納されるようになっている。この格納姿勢では、ヘッドランプ82のカバー部82Bがフロントフェンダ18の上壁部18Bと連続的な曲面を成すように構成されている(図10(A)の紙面左側のヘッドランプ82参照)。
【0065】
そして、車両用安全装置80では、図10(B)に示される如く照射姿勢をとるヘッドランプ82の照射面82Aは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図示省略)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方、及び車幅方向の外側を向く斜面(曲面)になっている(図10(A)の紙面右側のヘッドランプ82参照)。一方、ヘッドランプ82のカバー部82Bは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図示省略)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方、及び車幅方向の内側を向く斜面(曲面)になっている。
【0066】
また、車両用安全装置80では、照射姿勢をとるヘッドランプ82における照射面82Aとカバー部82Bとの境界を成す稜線RLは、自動車11の前端からフロントピラーアッパ20(の下端)に向けて車両前後方向に略沿って延在する構成とされている。これにより、車両用安全装置80では、ヘッドランプ82の照射面82Aによって衝突体を車幅方向外側に案内し、ヘッドランプ82のカバー部82Bによって衝突体を車幅方向内側に案内する構成とされている。車両用安全装置80の他の構成は、図示しない部分、ECU30による制御も含め、車両用安全装置10の対応する構成と同じである。
【0067】
したがって、第6の実施形態に係る車両用安全装置80によっても、基本的に第1の実施形態に係る車両用安全装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、車両用安全装置80では、衝突体がヘッドランプ82のカバー部82Bに接触した場合には、該接触体を車幅方向内側(エンジンフード側)に案内し、衝突体がヘッドランプ82の照射面82Aに接触した場合には、該接触体を車幅方向外側に案内する。このため、自動車11の前部における車幅方向外端部の近傍に衝突体が衝突した場合においても、該衝突体のフロントピラーアッパ20との接触を効果的に抑制することができる。
【0068】
(第7の実施形態)
図11(A)には、本発明の第7の実施形態に係る車両用安全装置90が適用された自動車11の概略構成が正面図にて示されており、図11(B)には、自動車11の前部が側面図にて示されている。これらの図に示される如く、車両用安全装置40は、左右一対のヘッドランプ24に代えて左右一対のヘッドランプ42を備える点で、第1の実施形態に係る車両用安全装置10とは異なる。
【0069】
各ヘッドランプ92は、給電されると自動車11の前方に光を照射する構成とされている。これらヘッドランプ2は、低速アクチュエータ26(ヘッドランプ駆動機構25)によって、格納姿勢と照射姿勢とをとり得る構成とされている。照射姿勢は、照射面92Aを略前方に向ける姿勢とされている。また、格納姿勢では、ヘッドランプ92のカバー部92Bがフロントフェンダ18の上壁部18Bと連続的な曲面を成すように構成されている(図11(A)の紙面左側のヘッドランプ92参照)。
【0070】
そして、図12(A)及び図12(B)に示される如く、各ヘッドランプ92は、照射姿勢とは異なる衝突体案内姿勢をとり得る構成とされている。この衝突体案内姿勢では、照射面92Aとフロントフェンダ18の上壁部18Bとの間において、各ヘッドランプ92に入ったに設けられた衝突体ガイド部94が該上壁部18B上に突出するようになっている。衝突体ガイド部94は、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図12(B)参照)が鋭角とされている。
【0071】
さらに、図12(A)に示される如く、照射姿勢をとるヘッドランプ92の衝突体ガイド部94における車幅方向内側部分は、自動車11の前方、上方、及び車幅方向内側を向く内向き斜面(曲面)94Aとされている。一方、照射姿勢をとるヘッドランプ92の衝突体ガイド部94における車幅方向外側部分は、自動車11の前方、上方、及び車幅方向外側を向く外向き斜面(曲面)94Bとされている。
【0072】
以上説明した各ヘッドランプ92は、高速アクチュエータ28が作動された場合に、格納姿勢及び照射姿勢の何れからでも衝突体準備姿勢に移行されるようになっている。高速アクチュエータ28は、図3のフローチャートにおけるステップS10で衝突体の衝突を予測した場合に、ステップS22を経ることなく作動されるようになっている。換言すれば、車両用安全装置90を構成する図示しないECUには、ステップS22に相当するステップは設定されていない。車両用安全装置90の他の構成は、図示しない部分、ECU30による他の制御も含め、車両用安全装置10の対応する構成と同じである。
【0073】
したがって、第7の実施形態に係る車両用安全装置90によっても、基本的に第1の実施形態に係る車両用安全装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、車両用安全装置90では、衝突体が内向き斜面94Aに接触した場合には、該接触体を車幅方向内側(エンジンフード側)に案内し、衝突体が外向き斜面94Bに接触した場合には、該接触体を車幅方向外側に案内する。このため、自動車11の前部における車幅方向外端部の近傍に衝突体が衝突した場合においても、該衝突体のフロントピラーアッパ20との接触を効果的に抑制することができる。さらに、車両用安全装置90では、通常(各ヘッドランプ92の格納姿勢、照射姿勢共に)はフロントフェンダ18内に格納されている衝突体ガイド部94によって衝突体を案内する構成であるため、該衝突体ガイド部94の形状の設定自由度が高い(制約が少ない)。このため、衝突体を効果的に案内する形状を得ることが容易である。
【0074】
(第8の実施形態)
図15には、本発明の第8の実施形態に係る車両用安全装置100が適用された自動車11の前部が斜視図にて示されている。この図に示される如く、車両用安全装置100は、格納姿勢と照射姿勢とが切り替えられるヘッドランプ24に代えて、通常(自動車11の前部への衝突体の衝突が予測されない場合)は常に照射姿勢に保持されるヘッドランプ102を備える点で、第1の実施形態に係る車両用安全装置10とは異なる。
【0075】
各ヘッドランプ102は、図13に例示される如く、ヘッドランプ駆動機構104によって、車両前後方向の位置、車両上下方向の角度、車幅方向の角度が変更可能とされている。具体的には、ヘッドランプ駆動機構104は、ヘッドランプ102のランプハウジング106を車両前後方向に往復動(矢印A参照)させ得るリニアアクチュエータ108と、リニアアクチュエータ108を支持するホルダ110と、ホルダ110を車幅方向に沿った軸線周りに往復回動(矢印B参照)させ得るモータアクチュエータ112と、モータアクチュエータ112を支持するホルダ114と、ホルダ114を車両上下方向に沿った軸線周りに往復回動(矢印C参照)させ得るモータアクチュエータ116とを主要構成要素として構成されている。
【0076】
また、図示は省略するが、車両用安全装置100は、ヘッドランプ駆動機構104によって調整されたヘッドランプ102の姿勢(車両前後方向の位置、車両上下方向の角度、車幅方向の角度)を保持するためのロック機構を備えている。ロック機構は、例えばヘッドランプ102のランプハウジング106に対し係脱(進退)可能な複数のロックピン等を有して構成されており、ヘッドランプ駆動機構104によるヘッドランプ102の姿勢調整の際にはランプハウジング106との係合(固定)が解除され、該姿勢の調整後にランプハウジング106に係合されるようになっている。これにより、ヘッドランプ102は、調整された姿勢で衝突体との接触の際に調整された姿勢を維持することができる構成とされている。
【0077】
さらに、車両用安全装置100は、ヘッドランプ駆動機構104のリニアアクチュエータ108、モータアクチュエータ112、116の作動を制御するための制御手段としてのECU118を備えている。ECU118は、リニアアクチュエータ108、モータアクチュエータ112、116、照度センサ32、照明スイッチ34、衝突センサ36のそれぞれと電気的に接続されている。また、このECU118は、図示しない各種センサ(車速センサ、タイヤロックセンサ、ヨーレートセンサ等)から車両の挙動に関する情報が入力されるようになっている。
【0078】
そして、ECU118は、上記した各種センサからの情報に基づいて、ヘッドランプ102の照射面102Aが自動車11の前部に衝突される衝突体がフロントピラーアッパ20に向かおうとする衝突挙動を変更するのに適した姿勢をとるように、リニアアクチュエータ108、モータアクチュエータ112、116の作動を制御するようになっている。
【0079】
以下、第8の実施形態の作用を、図14に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0080】
上記構成の車両用安全装置100では、例えば、自動車11のメインスイッチ(イグニッションスイッチ等)がON操作されると、ECU118、照度センサ32、衝突センサ36、及び上記した各種センサが起動されると共にリニアアクチュエータ108、モータアクチュエータ112、116が作動可能状態とされる。ECU118は、ステップS30で、衝突センサ36からの信号に基づいて自動車11の前部に対する衝突体の衝突が予測されるか否かを判断する。自動車11の前部に対する衝突体の衝突が予測されないと判断した場合、図示は省略するが、第1の実施形態におけるECU30の場合と同様に、ヘッドランプ102の点灯、消灯に関する制御(ヘッドランプ102の姿勢変化は伴わない制御)を行い、ステップS30に戻る。
【0081】
一方、ステップS30で自動車11の前部に対する衝突体の衝突が予測されると判断した場合、ECU118は、ステップS32に進み、衝突センサ36からの信号に基づき、衝突体の衝突挙動を検知(推定)する。衝突挙動としては、例えば衝突体との衝突速度、車幅方向の衝突位置、衝突体の寸法形状(体格、重心位置等)が挙げられる。次いで、ECU118は、ステップS34に進み、上記した各種センサからに信号に基づいて衝突の際の自動車11の挙動を検知(推定)する。
【0082】
さらに、ECU118は、ステップS36に進み、上記の衝突挙動、自動車11の共同に応じた調整後にとるべきヘッドランプ102の姿勢を演算により求める。なお、このステップでは、例えば予めECU118に記憶されたマップ等から最適な姿勢を選択するようにしても良い。
【0083】
そして、ECU118は、ステップS38に進み、ステップS36で得た姿勢すなわち衝突形態に応じた衝突体案内姿勢をヘッドランプ102の照射面102Aがとるように、ヘッドランプ駆動機構104のリニアアクチュエータ108、モータアクチュエータ112、116を作動させる。ECU118は、必要に応じて、一方又は双方のヘッドランプ102の姿勢を調整する(左右のヘッドランプ102の照射面102Aで衝突体案内姿勢が異なる場合もある)。ヘッドランプ102の照射面102AがステップS36で求めた衝突体案内姿勢に一致されると、ECU118は、ステップS40に進み、ロック機構を作動させてヘッドランプ102を衝突体案内姿勢にロックさせる。
【0084】
この状態から衝突体が自動車11の前部における左右何れかのヘッドランプ102の照射面102Aに接触することで、該衝突体のフロントピラーアッパ20に向かう衝突形態が変化され、該衝突体のフロントピラーアッパ20への接触が抑制される。ECU118によるヘッドランプ駆動機構104の制御例としては、例えば、衝突体が自動車11の前部における車幅方向中央側に衝突する場合には、左右のヘッドランプ102の照射面102Aを、それぞれ車両上下方向の上側、車幅方向内側、及び車両前後方向の前側を共に向くように、矢印B方向の上側に回動させると共に矢印A方向前側に突出させ、かつ矢印C方向の車両内向きに回動させる。これにより、衝突体は、車幅方向中央部に案内されてフロントピラーアッパ20との接触が抑制される。また例えば、衝突体が自動車11の前部における車幅方向の端部側に衝突する場合には、衝突側のヘッドランプ102の照射面102Aを、車両上下方向の上側、車幅方向外側、及び車両前後方向の前側を共に向くように、矢印B方向の上側に回動させると共に矢印A方向に突出させ、かつ矢印C方向の車両外向きに回動させる。これにより、衝突体は、その下部から先に路面Rに接触するように車幅方向外側に案内されてフロントピラーアッパ20との接触が抑制される。なお、ECU118によるヘッドランプ駆動機構104の制御は、上記の制御例に限定されないことは言うまでもない。
【0085】
このように、第8の実施形態に係る車両用安全装置100では、衝突体がフロントピラーアッパ20に接触することが抑制されるので、該衝突体に作用する荷重(加速度)を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は正面図、(B)は前部の側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る車両用安全装置の概略全体構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る車両用安全装置を構成するECUの制御フローを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る車両用安全装置を構成するヘッドランプの配置を示す側面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る車両用安全装置を構成するヘッドランプの配置を変化させた場合の衝突体の加速度を示す線図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は正面図、(B)は前部の側面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は正面図、(B)は前部の側面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は正面図、(B)は前部の側面図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は正面図、(B)は前部の側面図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は正面図、(B)は前部の側面図である。
【図11】本発明の第7の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は正面図、(B)は前部の側面図である。
【図12】本発明の第7の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は衝突体案内姿勢での正面図、(B)は衝突体案内姿勢での前部の側面図である。
【図13】本発明の第8の実施形態に係る車両用安全装置の概略全体構成を示す模式図である。
【図14】本発明の第8の実施形態に係る車両用安全装置を構成するECUの制御フローを示すフローチャートである。
【図15】本発明の第8の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車の前部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
10 車両用安全装置
18 フロントフェンダ(車体外板)
20 フロントピラーアッパ(フロントピラー)
24 ヘッドランプ
25 ヘッドランプ駆動機構
30 ECU(制御手段)
40・50・60・70・80・90・100 車両用安全装置
42・52・62・72・82・92・102 ヘッドランプ
104 ヘッドランプ駆動機構
RL 稜線
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に衝突する衝突体がフロントピラーに接触することを抑制するための車両用安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衝突体がエンジンフードに当たることにより発生する衝撃力を良好に吸収するために、エンジンフードをリフトアップした姿勢で衝撃力を受けるようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、エンジンフード(ボンネット)とヘッドランプ(ヘッドライト)との間に、衝撃吸収ストロークを確保するための大きな隙間を設定する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−203249号公報
【特許文献2】特許第3762904号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の如き従来の技術では、衝突体が車体前部における高剛性部位であるフロントピラーに衝突することに対する対策について考慮されていなかった。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、車体に衝突する衝突体がフロントピラーに接触することを抑制することができる車両用安全装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明に係る車両用安全装置は、ヘッドランプと、車体に対する前記ヘッドランプの姿勢を変化させる得るヘッドランプ駆動機構と、衝突体の衝突が検知又は予測された場合に、前記ヘッドランプとの接触によって前記衝突体の移動方向をフロントピラーに向かう方向に対し異ならせるのに適した衝突体案内姿勢を該ヘッドランプがとるように、前記ヘッドランプ駆動機構を制御する制御手段と、を備えている。
【0006】
請求項1記載の車両用安全装置では、衝突体の衝突を検知又は予測した制御手段は、ヘッドランプ駆動手段を作動して、ヘッドランプの姿勢を衝突体案内姿勢に変化させる。このため、衝突体がヘッドランプ側に向かっていた場合、該衝突体は衝突体案内姿勢をとるヘッドランプとの接触によって、フロンピラーに向かう移動方向とは異なる方向に案内される。これにより、衝突体とフロントピラーとの接触が避けられる(確率が高くなる)。特に、ヘッドランプは車体前部における前端近傍に位置するので、衝突体を衝突の初期からフロントピラーに向かう移動方向と異なる方向に案内することができ、衝突体とフロントピラーとの接触が効果的に避けられる。
【0007】
このように、請求項1記載の車両用安全装置では、車体に衝突する衝突体がフロントピラーに接触することを抑制することができる。
【0008】
請求項2記載の発明に係る車両用安全装置は、請求項1記載の車両用安全装置において、前記衝突体案内姿勢は、前記ヘッドランプによって前記衝突体が車幅方向に案内されるように設定されている。
【0009】
請求項2記載の車両用安全装置では、車体に対し前後方向にフロントピラーに近接する衝突体を、衝突体案内姿勢をとるヘッドランプにて車幅方向に案内することで、該衝突体をフロントピラーに向かう方向と異なる方向に移動させる。これにより、衝突体に作用する荷重を低く抑えながら、衝突体がフロントピラーに接触することを抑制することができる。
【0010】
請求項3記載の発明に係る車両用安全装置は、請求項1又は請求項2記載の車両用安全装置において、前記ヘッドランプは、前記ヘッドランプ駆動機構によって、前記ヘッドランプが車体外板の外側に突出する突出姿勢と、前記ヘッドランプが前記車体外板の内側に格納される格納姿勢とをとり得る構成とされ、前記衝突体案内姿勢は、前記ヘッドランプの車幅方向中央部に、車両前後方向に沿って前記フロントピラー側に向かうように稜線が形成される姿勢とされている。
【0011】
請求項3記載の車両用安全装置では、ヘッドランプは、例えば、通常は格納姿勢をとり、前方を照射する際にはヘッドランプ駆動機構により突出姿勢をとる。そして、衝突体の衝突が検知又は予測されると、ヘッドランプ駆動機構が作動又は現位置で保持されて、ヘッドランプの姿勢は衝突体案内姿勢に移行又は維持される。
【0012】
この衝突体案内姿勢(単一の突出姿勢そのもの又は複数の突出姿勢の一態様)をとるヘッドランプの車幅方向中央部には、車両前後方向に沿ってフロントピラー側に向かう稜線が形成されるので、衝突体は、ヘッドランプの稜線に対する車幅方向内側に接触すると車幅方向内側に案内され、稜線に対する車幅方向外側に接触すると車幅方向の外側に案内される。これにより、車幅方向の内外何れ側からフロントピラーに向かう場合でも、該移動方向を異ならせてフロントピラーに接触することを抑制することができる。
【0013】
請求項4記載の発明に係る車両用安全装置は、請求項1又は請求項2記載の車両用安全装置において、前記ヘッドランプは、前記ヘッドランプ駆動機構によって、前記ヘッドランプが車体外板の外側に突出され車両前方を照射するための照射姿勢と、前記ヘッドランプが前記車体外板の内側に格納される格納姿勢と、前記ヘッドランプが前記照射姿勢とは異なる態様で車体外板の外側に突出され前記衝突体の移動方向をフロントピラーに向かう方向に対し異ならせるのに適した衝突体案内姿勢とをとり得る。
【0014】
請求項4記載の車両用安全装置では、ヘッドランプは、例えば、通常は格納姿勢をとり、前方を照射する際にはヘッドランプ駆動機構により照射姿勢をとる。そして、衝突体の衝突が検知又は予測されると、ヘッドランプ駆動機構が作動されて、ヘッドランプの姿勢は衝突体案内姿勢に移行される。この衝突体案内姿勢をとるヘッドランプによって、衝突体の移動方向がフロントピラーに向かう方向と異なる方向に案内される。ここで、この衝突体案内姿勢は、照射姿勢とは異なる態様で車体外板上に突出した姿勢であるので、照射姿勢が衝突体案内姿勢を兼ねる場合と比較して、該衝突体案内姿勢の設定自由度が高い。
【0015】
請求項5記載の発明に係る車両用安全装置は、請求項1又は請求項2記載の車両用安全装置において、前記衝突体案内姿勢は、前記ヘッドランプにおける常に車体外側に露出されている照射面によって前記衝突体の移動方向をフロントピラーに向かう方向に対し異ならせるように設定されている。
【0016】
請求項5記載の車両用安全装置では、ヘッドランプにおける常に車体外側に露出されている照射面の姿勢(位置、角度等)を変化させることで、衝突体の移動方向がフロントピラーに向かう方向と異なる方向に案内される。このようなヘッドランプの照射面は、車体のほぼ最前部に配置されるので、衝突体を衝突のごく初期からフロントピラーに向かう移動方向と異なる方向に案内することができ、衝突体とフロントピラーとの接触が一層効果的に避けられる。
【0017】
請求項6記載の発明に係る車両用安全装置は、請求項1〜請求項5の何れか1項記載の車両用安全装置において、前記衝突体案内姿勢は、地上に位置する前記衝突体における該衝突体の重心よりも上側の部分を前記ヘッドランプが案内するように設定されている。
【0018】
請求項6記載の車両用安全装置では、地上の衝突体における重心よりも上側部分がヘッドランプにて案内されるので、衝突体の移動方向がフロントピラーに向かう移動方向から効果的に異ならされる。このため、衝突体とフロントピラーとの接触が一層効果的に避けられる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明に係る車両用安全装置は、車体に衝突する衝突体がフロントピラーに接触することを抑制することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の第1の実施形態に係る車両用安全装置10について、図1〜図6に基づいて説明する。
【0021】
図1(A)には、車両用安全装置10が適用された車両としての自動車11の概略構成が正面図にて示されており、図1(B)には、自動車11の前部が側面図にて示されている。これらの図に示される如く、自動車11の前端部には、車幅方向に延在すると共に前輪12を収容したホイールハウス14の前側まで回り込んだフロントバンパ16が設けけられている。また、フロントバンパ16の上方、側方には車体外板としてのフロントフェンダ18が設けられており、上記したホイールハウス14はフロントフェンダの側壁部18Aに形成されている。
【0022】
また、フロントフェンダ18の後端部における車幅方向両端には、それぞれフロントピラーアッパ20が連続している。左右のフロントピラーアッパ20間には、ウインドシールドガラス22が固定されている。フロントピラーアッパ20は、図示しないフロントピラーロアとで乗員乗降用のドア開口部の前縁を成す車体骨格としてのフロントピラーを構成している。
【0023】
さらに、自動車11では、フロントフェンダ18における上壁部18Bには、左右一対のヘッドランプ24が設けられている。各ヘッドランプ24は、給電されると自動車11の前方に光を照射する構成とされている。なお、各ヘッドランプ24が配置された左右の上壁部18B間には、例えばエンジンルームを覆うエンジンフード等が配置されるが、図1(A)では、図示を省略している。
【0024】
そして、自動車11では、左右のヘッドランプ24は、それぞれフロントフェンダ18内に収容された格納姿勢(図1(A)の紙面左側のヘッドランプ24参照)と、レンズ等で構成された照射面24Aを上壁部18Bよりも車両上下方向の上側に突出させた照射姿勢(図1(A)の紙面右側のヘッドランプ24、図1(B)参照)とをとり得る構成とされている。すなわち、各ヘッドランプ24は、自動車11の前方を照射する際には、格納姿勢から照射姿勢に移行される構成とされている。
【0025】
この実施形態では、格納姿勢をとるヘッドランプ24は、その照射面24Aがフロントフェンダ18の上壁部18Bと連続的な曲面を成すように構成されている。そして、車両用安全装置10では、照射姿勢をとるヘッドランプ24の照射面24Aは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図1(B)参照)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方、及び車幅方向の内側を向く斜面(曲面)になっている。
【0026】
図2に示される如く、フロントフェンダ18の内側には、ヘッドランプ24を駆動するためのヘッドランプ駆動機構25が設けられている。この実施形態では、ヘッドランプ駆動機構25を格納姿勢と照射姿勢との間で往復変位させ得る低速アクチュエータ26と、低速アクチュエータ26よりも短時間でヘッドランプ24を格納姿勢から照射姿勢に変位させ得る高速アクチュエータ28とを含んで構成されている。これら低速アクチュエータ26、高速アクチュエータ28は、制御手段(制御回路)としてのECU30にて制御されるようになっている。
【0027】
ECU30は、車外の照度(明るさ)に応じた信号を出力する照度センサ32、自動車11の乗員により操作される照明スイッチ34、自動車11の前面への衝突体の衝突を検出するための衝突センサ36のそれぞれに電気的に接続されている。ECU30は、これら照度センサ32、照明スイッチ34、衝突センサ36からの信号に基づいて、低速アクチュエータ26、高速アクチュエータ28の作動を制御する構成とされている。衝突センサ36としては、例えば、衝突体と自動車11との距離(の時間変化)に応じた信号を出力するミリ波レーダや撮像した画像データを出力するさCCD等の撮像手段を用いることができる。
【0028】
詳細は後述するが、ECU30は、衝突センサ36からの信号に基づいて車体前部への衝突体の衝突を予測した場合には、ヘッドランプ24を照射姿勢に移行又は維持するようになっている。ここで、図4に示される如く、ヘッドランプ24は、路面Rからの車両縁部に沿った距離WAD(Wrap Around Distance)が所定距離以上に設定されている。この所定距離は、地上に位置する衝突体の重心高さH(想定される最大の重心高さ)よりも大となるように決められている。この重心高さは、衝突体の静的な重心高さではなく、路面R上を運動中の動的な重心高さ(静的な重心高さHの105〜110%程度)として設定されるようになっている。この実施形態では、上記した距離WAD≒1200mm程度に設定されている。
【0029】
また、ECU30は、ヘッドランプ24の点灯、消灯に伴う該ヘッドランプ24の格納姿勢、照射姿勢の移動制御を行うように構成されている。この実施形態では、ヘッドランプ24の点灯、消灯についてもECU30(車両用安全装置10)が制御するようになっている。
【0030】
次に、第1の実施形態の作用を、図3に示されるフローチャートを参照しつつ、ECU30による制御と共に説明する。
【0031】
上記構成の車両用安全装置10では、例えば、自動車11のメインスイッチ(イグニッションスイッチ等)がON操作されると、ECU30、照度センサ32、衝突センサ36が起動されると共に低速アクチュエータ26、高速アクチュエータ28が作動可能状態とされる。ECU30は、図3に示されるフローチャートに示される制御を行う。
【0032】
すなわち、ECU30は、ステップS10で、衝突センサ36からの信号に基づいて自動車11の前部に対する衝突体の衝突が予測されるか否かを判断する。自動車11の前部に対する衝突体の衝突が予測されないと判断した場合、ECU30は、ステップS12に進み、照度センサ32からの信号に基づいて外部の照度(明るさ)が十分であるか否かを判断する。照度が十分であると判断した場合、ECU30は、ステップS14に進み、照明スイッチ34がON操作されているか否かを判断する。
【0033】
ECU30は、ステップS12で、照度が十分ではない、すなわち周囲環境が暗いと判断した場合、又は、ステップS14で照明スイッチ34がON操作されている、すなわち自動車11の乗員の点灯意思があると判断した場合、ステップS16に進む。ステップS16でECU30は、左右のヘッドランプ24がそれぞれ格納姿勢から照射姿勢に変位されるように、低速アクチュエータ26を制御する(作動させる)。また、ECU30は、左右のヘッドランプ24をそれぞれ点灯させる。これにより、自動車11の前方が左右のヘッドランプ24にて照射される。この後、ECU30は、ステップS10に戻る。
【0034】
一方、ステップS14で照明スイッチ34がON操作されていない(OFF状態である)と判断したECU30は、ステップS18に進み、各ヘッドランプ24が照射姿勢をとっているか否かを判断する。各ヘッドランプ24が照射姿勢をとらない、すなわち格納姿勢をとっていると判断した場合、ECU30は、ステップS10に戻る。ステップS18で各ヘッドランプ24が照射姿勢をとっていると判断した場合、ECU30は、ステップS20に進み、ヘッドランプ24がそれぞれ照射姿勢から格納姿勢に変位されるように、低速アクチュエータ26を制御する(作動させる)。また、ECU30は、各ヘッドランプ24をそれぞれ消灯させる。この後、ECU30は、ステップS10に戻る。
【0035】
そして、ステップS10で自動車11の前部に対する衝突体の衝突が予測されると判断した場合、ECU30は、ステップS22に進み、各ヘッドランプ24が照射姿勢をとっているか否かを判断する。各ヘッドランプ24が照射姿勢をとっていると判断した場合、ECU30は、制御を終了する。一方、ステップS22で各ヘッドランプ24が照射姿勢をとらない、すなわち格納姿勢をとっていると判断した場合、ECU30は、ステップS24に進み、高速アクチュエータ28を作動させる。これにより、各ヘッドランプ24が照射姿勢すなわち衝突体案内姿勢をとる。
【0036】
この状態から衝突体が自動車11の前部に衝突し、該衝突体がフロントピラーアッパ20側に近接する方向に移動される場合、該衝突体は、衝突体案内姿勢(照射姿勢)をとるヘッドランプ24における車幅方向内側を向く照射面24Aに接触するため、衝突体は車幅方向内側に案内される。すなわち、衝突体のフロントピラーアッパ20へ向かう移動方向が、車幅方向内向きの成分を有する移動方向に変化される(移動方向が異ならされる)。
【0037】
これにより、車両用安全装置10では、衝突体が自動車11の車体における比較的剛性の高いフロントピラーアッパ20に衝突されることが抑制される。また、車両用安全装置10では、車両前後方向に移動しつつフロントピラーアッパ20に近接する衝突体をヘッドランプ24の照射面24Aが車幅方向内側に案内するため、衝突体に作用する荷重を低く抑えながら、衝突体がフロントピラーに接触することを抑制することができる。
【0038】
そして、車両用安全装置10では、自動車11の前端近傍に配置され、自動車11に前方から衝突する衝突体に対し衝突の早期に接触し得るヘッドランプ24にて該衝突体を案内するため、衝突体がフロントピラーに接触することを一層効果的に抑制することができる。
【0039】
特に、地上の衝突体が倒れ込むように照射面24Aに接触する場合において、該照射面24Aは衝突体の重心よりも上側部分に接触して該衝突体を案内するため、衝突体におけるフロントピラーアッパ20に近い部分(直立状態での上部)を効果的にフロントピラーアッパ20から遠ざける方向(本実施形態では、車幅方向の内側)に移動させることができる。したがって、衝突体に作用する加速度を低く抑えることができる。
【0040】
この点について図5を参照しつつ補足する。図5には、照射面24A(フロントフェンダ18上の凸部)の車両前後方向における位置(WAD)を異ならせた場合の衝突実験結果が線図にて例示されている。この図から照射面24Aの位置に応じて衝突体に作用する加速度のピークが異なることが解る。図5に示す3つの線図のうち、一点鎖線、破線にて示す線図は、照射面24Aが衝突体の重心よりも上側に接触する位置(WAD>衝突体の重心高さH)に配置された場合の実験例であり、照射面24Aが衝突体の重心よりも下側に接触する位置(WAD<衝突体の重心高さH)に配置された場合の結果(図5の実線参照)と比較して、衝突体に作用する加速度が小さいことが解る。この図から、特定の寸法形状の衝突体について、照射面24Aは衝突体の重心よりも上側部分に接触して該衝突体を案内する構成とすることで、衝突体のフロントピラーアッパ20との接触が良好に回避され、該衝突体に作用する加速度が低減されることが確かめられた。なお、図5の実験例では、衝突体の重心高さH≒980mmとされている。
【0041】
このように、第1の実施形態に係る車両用安全装置10では、衝突体がフロントピラーアッパ20に接触することが抑制されるので、該衝突体に作用する荷重(加速度)を低減することができる。
【0042】
なお、上記した第1の実施形態では、ステップS24で各ヘッドランプ24の高速アクチュエータ28を作動させる例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、衝突体の衝突側のヘッドランプ24に対応する高速アクチュエータ28のみを駆動するようにしても良い。
【0043】
また、上記した第1の実施形態では、ヘッドランプ駆動機構25が低速アクチュエータ26と高速アクチュエータ28とを共に有する例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ヘッドランプ24を照射姿勢と格納し生徒の間で可逆的に駆動可能な高速アクチュエータ28を設けた構成では、低速アクチュエータ26を有しない構成とすることも可能である。この構成では、例えば、衝突体の衝突を予測してヘッドランプ24が照射姿勢に変位された後に該ヘッドランプ24を格納姿勢に復帰させることができるため、例えば、衝突確率が低い場合にも(第1の実施形態よりも早いタイミングで)ヘッドランプ24を照射姿勢に移行させ、衝突体の衝突に備えておく制御を行うことも可能である。
【0044】
(他の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態を説明する。なお、上記第1の実施形態又は前出の構成と基本的に同一に部品、部分については、上記第1の実施形態又は前出の構成と同一の符号を付して説明を書略し、図示を省略する場合がある。
【0045】
(第2の実施形態)
図6(A)には、本発明の第2の実施形態に係る車両用安全装置40が適用された自動車11の概略構成が正面図にて示されており、図6(B)には、自動車11の前部が側面図にて示されている。これらの図に示される如く、車両用安全装置40は、左右一対のヘッドランプ24に代えて左右一対のヘッドランプ42を備える点で、第1の実施形態に係る車両用安全装置10とは異なる。
【0046】
各ヘッドランプ42は、給電されると自動車11の前方に光を照射する構成とされている。これらヘッドランプ42は、ヘッドランプ駆動機構25(図示省略)によって格納姿勢と照射姿勢とをとり得る構成とされている。この実施形態では、格納姿勢をとるヘッドランプ42は、その照射面42Aがフロントフェンダ18の上壁部18Bと連続的な曲面を成すように構成されている(図6(A)の紙面左側のヘッドランプ42参照)。
【0047】
そして、車両用安全装置40では、図6(B)に示される如く照射姿勢をとるヘッドランプ42の照射面42Aは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図示省略)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方を向く斜面(曲面)になっている(図6(A)の紙面右側のヘッドランプ42参照)。具体的には、照射姿勢をとるヘッドランプ42の照射面42Aは、その車幅方向内側部分が車幅方向内側を向く内向き斜面42Bとされる共に、その車幅方向外側部分が照射姿勢をとる場合に車幅方向外側を向く外向き斜面42Cとされるようになっている。
【0048】
したがって、ヘッドランプ42では、内向き斜面42Bと外向き斜面42Cとの境界を成す稜線RLは、自動車11の前端からフロントピラーアッパ20(の下端)に向けて車両前後方向に略沿って延在する構成とされている。以上により、車両用安全装置40では、ヘッドランプ42の内向き斜面42Bによって衝突体を車幅方向外側に案内し、ヘッドランプ42の外向き斜面42Cによって衝突体を車幅方向内側に案内する構成とされている。車両用安全装置40の他の構成は、図示しない部分、ECU30による制御も含め、車両用安全装置10の対応する構成と同じである。
【0049】
したがって、第2の実施形態に係る車両用安全装置40によっても、基本的に第1の実施形態に係る車両用安全装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、車両用安全装置40では、衝突体が内向き斜面42Bに接触した場合には、該接触体を車幅方向内側(エンジンフード側)に案内し、衝突体が外向き斜面42Cに接触した場合には、該接触体を車幅方向外側に案内する。このため、自動車11の前部における車幅方向外端部の近傍に衝突体が衝突した場合においても、該衝突体のフロントピラーアッパ20との接触を効果的に抑制することができる。
【0050】
(第3の実施形態)
図7(A)には、本発明の第3の実施形態に係る車両用安全装置50が適用された自動車11の概略構成が正面図にて示されており、図7(B)には、自動車11の前部が側面図にて示されている。これらの図に示される如く、車両用安全装置50は、左右一対のヘッドランプ24に代えて左右一対のヘッドランプ52を備える点で、第1の実施形態に係る車両用安全装置10とは異なる。
【0051】
各ヘッドランプ52は、給電されると自動車11の前方に光を照射する構成とされている。これらヘッドランプ52は、ヘッドランプ駆動機構25(図示省略)によって格納姿勢と照射姿勢とをとり得る構成とされている。この実施形態では、格納姿勢をとるヘッドランプ52は、その照射面52Aがフロントフェンダ18内に格納されるようになっている。この格納姿勢では、ヘッドランプ52のカバー部52Bがフロントフェンダ18の上壁部18Bと連続的な曲面を成すように構成されている(図7(A)の紙面左側のヘッドランプ52参照)。
【0052】
そして、車両用安全装置50では、図7(B)に示される如く照射姿勢をとるヘッドランプ52の照射面52Aは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図示省略)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方、及び車幅方向の内側を向く斜面(曲面)になっている(図7(A)の紙面右側のヘッドランプ52参照)。車両用安全装置50の他の構成は、図示しない部分、ECU30による制御も含め、車両用安全装置10の対応する構成と同じである。
【0053】
したがって、第3の実施形態に係る車両用安全装置50によっても、基本的に第1の実施形態に係る車両用安全装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。
【0054】
(第4の実施形態)
図8(A)には、本発明の第4の実施形態に係る車両用安全装置60が適用された自動車11の概略構成が正面図にて示されており、図8(B)には、自動車11の前部が側面図にて示されている。これらの図に示される如く、車両用安全装置60は、左右一対のヘッドランプ24に代えて左右一対のヘッドランプ62を備える点で、第1の実施形態に係る車両用安全装置10とは異なる。
【0055】
各ヘッドランプ62は、給電されると自動車11の前方に光を照射する構成とされている。これらヘッドランプ62は、ヘッドランプ駆動機構25(図示省略)によって格納姿勢と照射姿勢とをとり得る構成とされている。この実施形態では、格納姿勢をとるヘッドランプ62は、その照射面62Aがフロントフェンダ18内に格納されるようになっている。この格納姿勢では、ヘッドランプ62のカバー部62Bがフロントフェンダ18の上壁部18Bと連続的な曲面を成すように構成されている(図8(A)の紙面左側のヘッドランプ62参照)。
【0056】
そして、車両用安全装置60では、図8(B)に示される如く照射姿勢をとるヘッドランプ62の照射面62Aは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図示省略)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方、及び車幅方向の外側を向く斜面(曲面)になっている(図8(A)の紙面右側のヘッドランプ62参照)。車両用安全装置60の他の構成は、図示しない部分、ECU30による制御も含め、車両用安全装置10の対応する構成と同じである。
【0057】
したがって、第4の実施形態に係る車両用安全装置60によっても、ヘッドランプ62の照射面62Aによる衝突体の案内方向が車幅方向外側である点を除いて、基本的に第1の実施形態に係る車両用安全装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。
【0058】
(第5の実施形態)
図9(A)には、本発明の第5の実施形態に係る車両用安全装置70が適用された自動車11の概略構成が正面図にて示されており、図9(B)には、自動車11の前部が側面図にて示されている。これらの図に示される如く、車両用安全装置70は、左右一対のヘッドランプ24に代えて左右一対のヘッドランプ72を備える点で、第1の実施形態に係る車両用安全装置10とは異なる。
【0059】
各ヘッドランプ72は、給電されると自動車11の前方に光を照射する構成とされている。これらヘッドランプ72は、ヘッドランプ駆動機構25(図示省略)によって格納姿勢と照射姿勢とをとり得る構成とされている。この実施形態では、格納姿勢をとるヘッドランプ72は、その照射面72Aがフロントフェンダ18内に格納されるようになっている。この格納姿勢では、ヘッドランプ72のカバー部72Bがフロントフェンダ18の上壁部18Bと連続的な曲面を成すように構成されている(図9(A)の紙面左側のヘッドランプ72参照)。
【0060】
そして、車両用安全装置70では、図9(B)に示される如く照射姿勢をとるヘッドランプ72の照射面72Aは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図示省略)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方、及び車幅方向の内側を向く斜面(曲面)になっている(図9(A)の紙面右側のヘッドランプ72参照)。一方、ヘッドランプ72のカバー部72Bは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図示省略)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方、及び車幅方向の外側を向く斜面(曲面)になっている。
【0061】
また、車両用安全装置70では、照射姿勢をとるヘッドランプ72における照射面72Aとカバー部72Bとの境界を成す稜線RLは、自動車11の前端からフロントピラーアッパ20(の下端)に向けて車両前後方向に略沿って延在する構成とされている。これにより、車両用安全装置70では、ヘッドランプ72の照射面72Aによって衝突体を車幅方向内側に案内し、ヘッドランプ72のカバー部72Bによって衝突体を車幅方向外側に案内する構成とされている。車両用安全装置70の他の構成は、図示しない部分、ECU30による制御も含め、車両用安全装置10の対応する構成と同じである。
【0062】
したがって、第5の実施形態に係る車両用安全装置70によっても、基本的に第1の実施形態に係る車両用安全装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、車両用安全装置70では、衝突体がヘッドランプ72の照射面72Aに接触した場合には、該接触体を車幅方向内側(エンジンフード側)に案内し、衝突体がヘッドランプ72のカバー部72Bに接触した場合には、該接触体を車幅方向外側に案内する。このため、自動車11の前部における車幅方向外端部の近傍に衝突体が衝突した場合においても、該衝突体のフロントピラーアッパ20との接触を効果的に抑制することができる。
【0063】
(第6の実施形態)
図10(A)には、本発明の第6の実施形態に係る車両用安全装置80が適用された自動車11の概略構成が正面図にて示されており、図10(B)には、自動車11の前部が側面図にて示されている。これらの図に示される如く、車両用安全装置80は、左右一対のヘッドランプ24に代えて左右一対のヘッドランプ82を備える点で、第1の実施形態に係る車両用安全装置10とは異なる。
【0064】
各ヘッドランプ82は、給電されると自動車11の前方に光を照射する構成とされている。これらヘッドランプ82は、ヘッドランプ駆動機構25(図示省略)によって格納姿勢と照射姿勢とをとり得る構成とされている。この実施形態では、格納姿勢をとるヘッドランプ82は、その照射面82Aがフロントフェンダ18内に格納されるようになっている。この格納姿勢では、ヘッドランプ82のカバー部82Bがフロントフェンダ18の上壁部18Bと連続的な曲面を成すように構成されている(図10(A)の紙面左側のヘッドランプ82参照)。
【0065】
そして、車両用安全装置80では、図10(B)に示される如く照射姿勢をとるヘッドランプ82の照射面82Aは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図示省略)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方、及び車幅方向の外側を向く斜面(曲面)になっている(図10(A)の紙面右側のヘッドランプ82参照)。一方、ヘッドランプ82のカバー部82Bは、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図示省略)が鋭角とされており、かつ全体として自動車11の前方、上方、及び車幅方向の内側を向く斜面(曲面)になっている。
【0066】
また、車両用安全装置80では、照射姿勢をとるヘッドランプ82における照射面82Aとカバー部82Bとの境界を成す稜線RLは、自動車11の前端からフロントピラーアッパ20(の下端)に向けて車両前後方向に略沿って延在する構成とされている。これにより、車両用安全装置80では、ヘッドランプ82の照射面82Aによって衝突体を車幅方向外側に案内し、ヘッドランプ82のカバー部82Bによって衝突体を車幅方向内側に案内する構成とされている。車両用安全装置80の他の構成は、図示しない部分、ECU30による制御も含め、車両用安全装置10の対応する構成と同じである。
【0067】
したがって、第6の実施形態に係る車両用安全装置80によっても、基本的に第1の実施形態に係る車両用安全装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、車両用安全装置80では、衝突体がヘッドランプ82のカバー部82Bに接触した場合には、該接触体を車幅方向内側(エンジンフード側)に案内し、衝突体がヘッドランプ82の照射面82Aに接触した場合には、該接触体を車幅方向外側に案内する。このため、自動車11の前部における車幅方向外端部の近傍に衝突体が衝突した場合においても、該衝突体のフロントピラーアッパ20との接触を効果的に抑制することができる。
【0068】
(第7の実施形態)
図11(A)には、本発明の第7の実施形態に係る車両用安全装置90が適用された自動車11の概略構成が正面図にて示されており、図11(B)には、自動車11の前部が側面図にて示されている。これらの図に示される如く、車両用安全装置40は、左右一対のヘッドランプ24に代えて左右一対のヘッドランプ42を備える点で、第1の実施形態に係る車両用安全装置10とは異なる。
【0069】
各ヘッドランプ92は、給電されると自動車11の前方に光を照射する構成とされている。これらヘッドランプ2は、低速アクチュエータ26(ヘッドランプ駆動機構25)によって、格納姿勢と照射姿勢とをとり得る構成とされている。照射姿勢は、照射面92Aを略前方に向ける姿勢とされている。また、格納姿勢では、ヘッドランプ92のカバー部92Bがフロントフェンダ18の上壁部18Bと連続的な曲面を成すように構成されている(図11(A)の紙面左側のヘッドランプ92参照)。
【0070】
そして、図12(A)及び図12(B)に示される如く、各ヘッドランプ92は、照射姿勢とは異なる衝突体案内姿勢をとり得る構成とされている。この衝突体案内姿勢では、照射面92Aとフロントフェンダ18の上壁部18Bとの間において、各ヘッドランプ92に入ったに設けられた衝突体ガイド部94が該上壁部18B上に突出するようになっている。衝突体ガイド部94は、各部における水平面(路面と略平行な面)に対し成す角θ(図12(B)参照)が鋭角とされている。
【0071】
さらに、図12(A)に示される如く、照射姿勢をとるヘッドランプ92の衝突体ガイド部94における車幅方向内側部分は、自動車11の前方、上方、及び車幅方向内側を向く内向き斜面(曲面)94Aとされている。一方、照射姿勢をとるヘッドランプ92の衝突体ガイド部94における車幅方向外側部分は、自動車11の前方、上方、及び車幅方向外側を向く外向き斜面(曲面)94Bとされている。
【0072】
以上説明した各ヘッドランプ92は、高速アクチュエータ28が作動された場合に、格納姿勢及び照射姿勢の何れからでも衝突体準備姿勢に移行されるようになっている。高速アクチュエータ28は、図3のフローチャートにおけるステップS10で衝突体の衝突を予測した場合に、ステップS22を経ることなく作動されるようになっている。換言すれば、車両用安全装置90を構成する図示しないECUには、ステップS22に相当するステップは設定されていない。車両用安全装置90の他の構成は、図示しない部分、ECU30による他の制御も含め、車両用安全装置10の対応する構成と同じである。
【0073】
したがって、第7の実施形態に係る車両用安全装置90によっても、基本的に第1の実施形態に係る車両用安全装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、車両用安全装置90では、衝突体が内向き斜面94Aに接触した場合には、該接触体を車幅方向内側(エンジンフード側)に案内し、衝突体が外向き斜面94Bに接触した場合には、該接触体を車幅方向外側に案内する。このため、自動車11の前部における車幅方向外端部の近傍に衝突体が衝突した場合においても、該衝突体のフロントピラーアッパ20との接触を効果的に抑制することができる。さらに、車両用安全装置90では、通常(各ヘッドランプ92の格納姿勢、照射姿勢共に)はフロントフェンダ18内に格納されている衝突体ガイド部94によって衝突体を案内する構成であるため、該衝突体ガイド部94の形状の設定自由度が高い(制約が少ない)。このため、衝突体を効果的に案内する形状を得ることが容易である。
【0074】
(第8の実施形態)
図15には、本発明の第8の実施形態に係る車両用安全装置100が適用された自動車11の前部が斜視図にて示されている。この図に示される如く、車両用安全装置100は、格納姿勢と照射姿勢とが切り替えられるヘッドランプ24に代えて、通常(自動車11の前部への衝突体の衝突が予測されない場合)は常に照射姿勢に保持されるヘッドランプ102を備える点で、第1の実施形態に係る車両用安全装置10とは異なる。
【0075】
各ヘッドランプ102は、図13に例示される如く、ヘッドランプ駆動機構104によって、車両前後方向の位置、車両上下方向の角度、車幅方向の角度が変更可能とされている。具体的には、ヘッドランプ駆動機構104は、ヘッドランプ102のランプハウジング106を車両前後方向に往復動(矢印A参照)させ得るリニアアクチュエータ108と、リニアアクチュエータ108を支持するホルダ110と、ホルダ110を車幅方向に沿った軸線周りに往復回動(矢印B参照)させ得るモータアクチュエータ112と、モータアクチュエータ112を支持するホルダ114と、ホルダ114を車両上下方向に沿った軸線周りに往復回動(矢印C参照)させ得るモータアクチュエータ116とを主要構成要素として構成されている。
【0076】
また、図示は省略するが、車両用安全装置100は、ヘッドランプ駆動機構104によって調整されたヘッドランプ102の姿勢(車両前後方向の位置、車両上下方向の角度、車幅方向の角度)を保持するためのロック機構を備えている。ロック機構は、例えばヘッドランプ102のランプハウジング106に対し係脱(進退)可能な複数のロックピン等を有して構成されており、ヘッドランプ駆動機構104によるヘッドランプ102の姿勢調整の際にはランプハウジング106との係合(固定)が解除され、該姿勢の調整後にランプハウジング106に係合されるようになっている。これにより、ヘッドランプ102は、調整された姿勢で衝突体との接触の際に調整された姿勢を維持することができる構成とされている。
【0077】
さらに、車両用安全装置100は、ヘッドランプ駆動機構104のリニアアクチュエータ108、モータアクチュエータ112、116の作動を制御するための制御手段としてのECU118を備えている。ECU118は、リニアアクチュエータ108、モータアクチュエータ112、116、照度センサ32、照明スイッチ34、衝突センサ36のそれぞれと電気的に接続されている。また、このECU118は、図示しない各種センサ(車速センサ、タイヤロックセンサ、ヨーレートセンサ等)から車両の挙動に関する情報が入力されるようになっている。
【0078】
そして、ECU118は、上記した各種センサからの情報に基づいて、ヘッドランプ102の照射面102Aが自動車11の前部に衝突される衝突体がフロントピラーアッパ20に向かおうとする衝突挙動を変更するのに適した姿勢をとるように、リニアアクチュエータ108、モータアクチュエータ112、116の作動を制御するようになっている。
【0079】
以下、第8の実施形態の作用を、図14に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0080】
上記構成の車両用安全装置100では、例えば、自動車11のメインスイッチ(イグニッションスイッチ等)がON操作されると、ECU118、照度センサ32、衝突センサ36、及び上記した各種センサが起動されると共にリニアアクチュエータ108、モータアクチュエータ112、116が作動可能状態とされる。ECU118は、ステップS30で、衝突センサ36からの信号に基づいて自動車11の前部に対する衝突体の衝突が予測されるか否かを判断する。自動車11の前部に対する衝突体の衝突が予測されないと判断した場合、図示は省略するが、第1の実施形態におけるECU30の場合と同様に、ヘッドランプ102の点灯、消灯に関する制御(ヘッドランプ102の姿勢変化は伴わない制御)を行い、ステップS30に戻る。
【0081】
一方、ステップS30で自動車11の前部に対する衝突体の衝突が予測されると判断した場合、ECU118は、ステップS32に進み、衝突センサ36からの信号に基づき、衝突体の衝突挙動を検知(推定)する。衝突挙動としては、例えば衝突体との衝突速度、車幅方向の衝突位置、衝突体の寸法形状(体格、重心位置等)が挙げられる。次いで、ECU118は、ステップS34に進み、上記した各種センサからに信号に基づいて衝突の際の自動車11の挙動を検知(推定)する。
【0082】
さらに、ECU118は、ステップS36に進み、上記の衝突挙動、自動車11の共同に応じた調整後にとるべきヘッドランプ102の姿勢を演算により求める。なお、このステップでは、例えば予めECU118に記憶されたマップ等から最適な姿勢を選択するようにしても良い。
【0083】
そして、ECU118は、ステップS38に進み、ステップS36で得た姿勢すなわち衝突形態に応じた衝突体案内姿勢をヘッドランプ102の照射面102Aがとるように、ヘッドランプ駆動機構104のリニアアクチュエータ108、モータアクチュエータ112、116を作動させる。ECU118は、必要に応じて、一方又は双方のヘッドランプ102の姿勢を調整する(左右のヘッドランプ102の照射面102Aで衝突体案内姿勢が異なる場合もある)。ヘッドランプ102の照射面102AがステップS36で求めた衝突体案内姿勢に一致されると、ECU118は、ステップS40に進み、ロック機構を作動させてヘッドランプ102を衝突体案内姿勢にロックさせる。
【0084】
この状態から衝突体が自動車11の前部における左右何れかのヘッドランプ102の照射面102Aに接触することで、該衝突体のフロントピラーアッパ20に向かう衝突形態が変化され、該衝突体のフロントピラーアッパ20への接触が抑制される。ECU118によるヘッドランプ駆動機構104の制御例としては、例えば、衝突体が自動車11の前部における車幅方向中央側に衝突する場合には、左右のヘッドランプ102の照射面102Aを、それぞれ車両上下方向の上側、車幅方向内側、及び車両前後方向の前側を共に向くように、矢印B方向の上側に回動させると共に矢印A方向前側に突出させ、かつ矢印C方向の車両内向きに回動させる。これにより、衝突体は、車幅方向中央部に案内されてフロントピラーアッパ20との接触が抑制される。また例えば、衝突体が自動車11の前部における車幅方向の端部側に衝突する場合には、衝突側のヘッドランプ102の照射面102Aを、車両上下方向の上側、車幅方向外側、及び車両前後方向の前側を共に向くように、矢印B方向の上側に回動させると共に矢印A方向に突出させ、かつ矢印C方向の車両外向きに回動させる。これにより、衝突体は、その下部から先に路面Rに接触するように車幅方向外側に案内されてフロントピラーアッパ20との接触が抑制される。なお、ECU118によるヘッドランプ駆動機構104の制御は、上記の制御例に限定されないことは言うまでもない。
【0085】
このように、第8の実施形態に係る車両用安全装置100では、衝突体がフロントピラーアッパ20に接触することが抑制されるので、該衝突体に作用する荷重(加速度)を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は正面図、(B)は前部の側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る車両用安全装置の概略全体構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る車両用安全装置を構成するECUの制御フローを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る車両用安全装置を構成するヘッドランプの配置を示す側面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る車両用安全装置を構成するヘッドランプの配置を変化させた場合の衝突体の加速度を示す線図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は正面図、(B)は前部の側面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は正面図、(B)は前部の側面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は正面図、(B)は前部の側面図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は正面図、(B)は前部の側面図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は正面図、(B)は前部の側面図である。
【図11】本発明の第7の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は正面図、(B)は前部の側面図である。
【図12】本発明の第7の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車を示す図であって、(A)は衝突体案内姿勢での正面図、(B)は衝突体案内姿勢での前部の側面図である。
【図13】本発明の第8の実施形態に係る車両用安全装置の概略全体構成を示す模式図である。
【図14】本発明の第8の実施形態に係る車両用安全装置を構成するECUの制御フローを示すフローチャートである。
【図15】本発明の第8の実施形態に係る車両用安全装置が適用された自動車の前部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
10 車両用安全装置
18 フロントフェンダ(車体外板)
20 フロントピラーアッパ(フロントピラー)
24 ヘッドランプ
25 ヘッドランプ駆動機構
30 ECU(制御手段)
40・50・60・70・80・90・100 車両用安全装置
42・52・62・72・82・92・102 ヘッドランプ
104 ヘッドランプ駆動機構
RL 稜線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドランプと、
車体に対する前記ヘッドランプの姿勢を変化させる得るヘッドランプ駆動機構と、
衝突体の衝突が検知又は予測された場合に、前記ヘッドランプとの接触によって前記衝突体の移動方向をフロントピラーに向かう方向に対し異ならせるのに適した衝突体案内姿勢を該ヘッドランプがとるように、前記ヘッドランプ駆動機構を制御する制御手段と、
を備えた車両用安全装置。
【請求項2】
前記衝突体案内姿勢は、前記ヘッドランプによって前記衝突体が車幅方向に案内されるように設定されている請求項1記載の車両用安全装置。
【請求項3】
前記ヘッドランプは、前記ヘッドランプ駆動機構によって、前記ヘッドランプが車体外板の外側に突出する突出姿勢と、前記ヘッドランプが前記車体外板の内側に格納される格納姿勢とをとり得る構成とされ、
前記衝突体案内姿勢は、前記ヘッドランプの車幅方向中央部に、車両前後方向に沿って前記フロントピラー側に向かうように稜線が形成される姿勢とされている請求項1又は請求項2記載の車両用安全装置。
【請求項4】
前記ヘッドランプは、前記ヘッドランプ駆動機構によって、前記ヘッドランプが車体外板の外側に突出され車両前方を照射するための照射姿勢と、前記ヘッドランプが前記車体外板の内側に格納される格納姿勢と、前記ヘッドランプが前記照射姿勢とは異なる態様で車体外板の外側に突出され前記衝突体の移動方向をフロントピラーに向かう方向に対し異ならせるのに適した衝突体案内姿勢とをとり得る請求項1又は請求項2記載の車両用安全装置。
【請求項5】
前記衝突体案内姿勢は、前記ヘッドランプにおける常に車体外側に露出されている照射面によって前記衝突体の移動方向をフロントピラーに向かう方向に対し異ならせるように設定されている請求項1又は請求項2記載の車両用安全装置。
【請求項6】
前記衝突体案内姿勢は、地上に位置する前記衝突体における該衝突体の重心よりも上側の部分を前記ヘッドランプが案内するように設定されている請求項1〜請求項5の何れか1項記載の車両用安全装置。
【請求項1】
ヘッドランプと、
車体に対する前記ヘッドランプの姿勢を変化させる得るヘッドランプ駆動機構と、
衝突体の衝突が検知又は予測された場合に、前記ヘッドランプとの接触によって前記衝突体の移動方向をフロントピラーに向かう方向に対し異ならせるのに適した衝突体案内姿勢を該ヘッドランプがとるように、前記ヘッドランプ駆動機構を制御する制御手段と、
を備えた車両用安全装置。
【請求項2】
前記衝突体案内姿勢は、前記ヘッドランプによって前記衝突体が車幅方向に案内されるように設定されている請求項1記載の車両用安全装置。
【請求項3】
前記ヘッドランプは、前記ヘッドランプ駆動機構によって、前記ヘッドランプが車体外板の外側に突出する突出姿勢と、前記ヘッドランプが前記車体外板の内側に格納される格納姿勢とをとり得る構成とされ、
前記衝突体案内姿勢は、前記ヘッドランプの車幅方向中央部に、車両前後方向に沿って前記フロントピラー側に向かうように稜線が形成される姿勢とされている請求項1又は請求項2記載の車両用安全装置。
【請求項4】
前記ヘッドランプは、前記ヘッドランプ駆動機構によって、前記ヘッドランプが車体外板の外側に突出され車両前方を照射するための照射姿勢と、前記ヘッドランプが前記車体外板の内側に格納される格納姿勢と、前記ヘッドランプが前記照射姿勢とは異なる態様で車体外板の外側に突出され前記衝突体の移動方向をフロントピラーに向かう方向に対し異ならせるのに適した衝突体案内姿勢とをとり得る請求項1又は請求項2記載の車両用安全装置。
【請求項5】
前記衝突体案内姿勢は、前記ヘッドランプにおける常に車体外側に露出されている照射面によって前記衝突体の移動方向をフロントピラーに向かう方向に対し異ならせるように設定されている請求項1又は請求項2記載の車両用安全装置。
【請求項6】
前記衝突体案内姿勢は、地上に位置する前記衝突体における該衝突体の重心よりも上側の部分を前記ヘッドランプが案内するように設定されている請求項1〜請求項5の何れか1項記載の車両用安全装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−161068(P2009−161068A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1439(P2008−1439)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]