説明

車両用情報報知装置

【課題】 本発明は、道路勾配の相違に応じた適切なタイミングでの情報報知が可能な車両用情報報知装置の提供を目的とする。
【解決手段】 本発明による車両用情報報知装置は、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、地図情報に基づいて、車両が停止すべき地点である停止予定地点を検出する停止予定地点検出手段と、停止予定地点に関連した走行支援のための情報を乗員に報知する情報報知手段と、前記情報報知手段が情報報知を行う報知地点を決定する報知地点決定手段とを備え、前記報知地点決定手段は、少なくとも停止予定地点の位置情報と、現在の車両位置から停止予定地点までの区間内の道路勾配を表すことが可能な道路情報とに基づいて、前記報知地点の決定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一時停止地点等の停止予定地点に対する安全な走行を支援するため、運転者に情報報知を行う車両用情報報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置の地図データ及び車載カメラによる撮像データに基づいて、一時停止線のある一時停止位置を検出し、該一時停止位置に対する停止意思がドライバにないと判断される場合には、車両の現在位置から一時停止線までの距離や車速に応じて決定されたタイミングで、ドライバに一時停止を促す注意喚起のための情報を報知する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−86363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、実際の道路環境では平坦な道路から急な勾配路まで道路勾配は多様であり、その道路勾配の大きさ如何によって車両の前後加速度に影響する重力加速度の成分の大きさが異なってくる。このため、例えば一時停止位置の手前が下り勾配であると、一時停止位置で停止するのに必要な減速度(現在の車速が同一として必要な減速度)が平坦路に比べて大きくなるので、かかる一時停止位置の手前では、平坦路に比べて早いタイミングで注意喚起が必要となる。
【0004】
この点、上述の従来技術では、車両の現在位置から一時停止線までの減速区間の長さに基づいて情報報知タイミング(=情報報知地点)が決定されているが、当該減速区間における道路勾配が考慮されていないため、当該減速区間が平坦路であろうと下り勾配路であろうと、車速が同一である限り同一のタイミングで情報報知がなされてしまうという、不都合がある。
【0005】
そこで、本発明は、道路勾配の相違に応じた適切なタイミングでの情報報知が可能な車両用情報報知装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一局面によれば、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
地図情報に基づいて、車両が停止すべき地点である停止予定地点を検出する停止予定地点検出手段と、
停止予定地点に関連した走行支援のための情報を乗員に報知する情報報知手段と、
前記情報報知手段が情報報知を行う報知地点を決定する報知地点決定手段とを備え、
前記報知地点決定手段は、少なくとも停止予定地点の位置情報と、現在の車両位置から停止予定地点までの区間内の道路勾配を表すことが可能な道路情報とに基づいて、前記報知地点の決定を行うことを特徴とする、車両用情報報知装置が提供される。
【0007】
本局面において、前記報知地点決定手段は、停止予定地点を第一地点とし、停止予定地点より手前(車両に近い側という意味で手前、以下同じ)にある地点を第二地点とする2地点の高度情報を前記道路情報として用いて、前記報知地点の決定を行うものであってよい。
【0008】
また、本局面による車両用情報報知装置は、車速情報と、現在の車両位置から停止予定地点までの区間長とに基づいて、現在の車両位置から停止予定地点に到達するのに要する時間を算出する到達予測時間算出手段を備えてよく、この場合、前記報知地点決定手段は、算出された到達予測時間が基準時間を下回った時点の車両位置を、前記報知地点と決定し、前記基準時間は、前記道路情報に基づいて補正されるものであってよい。
【0009】
また、前記報知地点決定手段は、前記道路情報に基づいて停止予定地点手前に上り勾配があると判断される場合に、前記基準時間が短くなる方向に前記補正を行い、前記道路情報に基づいて停止予定地点手前に下り勾配があると判断される場合に、前記基準時間が長くなる方向に前記補正を行うものであってよい。
【0010】
また、前記第二地点は、車速情報に基づいて、前記基準時間のとりうる最大値よりも大きな所定時間に車速を掛け算して得られる距離だけ、停止予定地点よりも手前に設定されてよい。前記報知地点決定手段は、停止予定地点の位置に対して所定の相対位置関係となる報知基準地点を前記第二地点とする前記高度情報に基づいて、該報知基準地点を補正して前記報知地点を決定してもよい。前記停止予定地点検出手段は、ナビゲーション機能による目的地までの経路案内がなされているときは、案内経路に関連した停止予定地点に検出対象を限定してよい。本局面による車両用情報報知装置は、車両の走行状態及び/又は運転者の運転態様に基づいて、前記報知地点決定手段により決定された報知地点における前記情報報知手段による情報報知の要否を判断する報知要否判断手段を備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、道路勾配の相違に応じた適切なタイミングでの情報報知が可能な車両用情報報知装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0013】
図1は、本発明による車両用情報報知装置の一実施例における主要構成を示すブロック図である。車両用情報報知装置10は、ナビゲーション装置関連の制御を統括する電子制御ユニット30(以下、「ナビゲーションECU30」と称する)を中心に構成されている。ナビゲーションECU30は、CPUを中心として構成されており、ROM、RAM、I/O等を備えている。
【0014】
ナビゲーションECU30には、CAN(controller area network)などの適切なバスを介して、車両内の各種の電子部品(車速センサ、アクセル開度センサ、ブレーキ踏力センサのような各種センサや各種ECU)が接続される。
【0015】
また、ナビゲーションECU30には、DVD、CD−ROM等の記録媒体上に地図データを保有する地図データベース32や、地図表示や経路案内表示を映像により出力する液晶ディスプレイ等の表示装置36、スピーカ34aやマイク34bを含む音声入出力装置34、ユーザインターフェースとなるタッチパネル等の操作部38等が接続されている。
【0016】
ナビゲーションECU30は、自車位置検出手段35を備えている。自車位置検出手段35は、GPS(Global Positioning System)受信機、ビーコン受信機及びFM多重受信機や、車速センサやジャイロセンサ等の各種センサを含む。自車位置検出手段35は、GPS受信機によりGPSアンテナを介してGPS衛星が出力するGPS信号を受信する。自車位置検出手段35は、GPS信号を所定形式の信号に変換してナビゲーションECU30に供給する。ナビゲーションECU30は、GPS信号や各種センサから供給された信号に基づいて、現在の車両位置及び車両方位を演算する。
【0017】
地図データベース32には、地図データが格納されている。地図データには、通常的なものと同様、道路分岐点(交差点)に対応するノードの座標・高度情報、高速道路の合流点/分岐点に各々対応する各ノードの座標情報、隣接するノードを接続するリンク情報、各リンクに対応する道路の幅員情報、各リンクに対応する国道・県道・高速道路等の道路種別、各リンクの通行規制情報及び各リンク間の通行規制情報等の各種情報が含まれている。
【0018】
図2は、本実施例のナビゲーションECU30の機能を示すブロック図である。本実施例のナビゲーションECU30は、走行予定道路上の停止予定地点を検出する停止予定地点検出部40と、現在の車両位置から停止予定地点までの区間(以下、「減速可能区間」という)内の道路勾配を評価する勾配評価部41と、停止予定地点における走行支援のための情報報知制御を行う情報報知制御部42とを含む。停止予定地点とは、進行方向前方において車両が停止することになる地点又は停止すべき地点を指し、典型的には交差点である。従って、以下では最も典型的な例として、停止予定地点を交差点とした場合について説明していく。
【0019】
情報報知制御部42は、車速と減速可能区間の長さの双方を考慮できるパラメータTTCを用いて、情報報知タイミングを決定する。パラメータTTCは、現在の車両位置から停止予定地点までの区間(=減速可能区間)の長さL[m]を、車速V[m/s]により割り算した時間、即ち現時点から交差点に到達するまでの予測時間(以下、「到達予測時間」という)として、定義される(即ち、到達予測時間TTC=L/V)。具体的には、後にも詳説するが、情報報知制御部42は、車両の移動に伴って時々刻々と変化する到達予測時間TTC(=L/V)が基準時間αとなったときを、情報報知を実行すべき時点(地点)、即ち情報報知タイミング(情報報知地点)と決定する。
【0020】
図3は、本実施例のナビゲーションECU30により実現される特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。尚、以下、前提として、ナビゲーションECU30には、ナビゲーションECU20の自車位置検出手段32により検出される自車位置情報及び車速センサからの自車速情報が、所定周期毎に供給されており、ナビゲーションECU30は、常時、最新の車両位置及び車速を算出・把握しているものとする。
【0021】
先ず、ステップ100では、停止予定地点検出部40が、地図データベース32の地図データの交差点情報に基づいて、車両進行方向前方の交差点位置を検出する。例えば、停止予定地点検出部40は、自車位置検出手段35からの自車位置情報に基づいて、地図データベース32の地図データ内から、自車位置より前方の所定エリア内の交差点情報を取り出し、自車位置に対して最も近い交差点の位置を検出する。
【0022】
ステップ110では、勾配評価部41が、地図データベース32の地図データの所定道路情報に基づいて、減速可能区間内の道路勾配を評価する。所定道路情報とは、減速可能区間内の道路勾配を表すことが可能な情報であり、端的には、道路勾配を表す勾配情報である。但し、地図データベース32の地図データに、かかる勾配情報が収録されていない場合、道路勾配評価は、地図データベース32の地図データに含まれる高度情報(各ノードの座標情報)に基づいて、実現されてよい。また、勾配情報は、実走行時の駆動力(トルク)や車速データ等に基づいて逆算的に導出可能であるので、過去に走行した道路に対しては、事後的に生成される勾配情報が、地図データベース32内に追加的に格納され、次回以降の走行の際に利用されてもよい。尚、かかる観点から、地図データベース32は、追記可能な記憶装置(典型的には、ハードディスク)であることが好ましい。
【0023】
以下、典型的な例として地図データベース32の地図データに勾配情報が収録されていない場合、即ち、高度情報を用いて道路勾配評価を行う場合について説明していく。この場合、勾配評価部41は、交差点位置の高度情報と、当該交差点位置より手前にある第二地点の高度情報とを用いて、両地点の高度差H[m]を導出する(図5参照)。ここで、第二地点は、最も簡易的には、地図データベース32内に収録されている交差点ノードよりも手前のノードが用いられてよい。この際、交差点ノードよりも手前所定距離内に複数のノードが存在するときには、交差点ノードに最も近いノードが用いられてよく、或いは、他の適切なノードが用いられてよい。
【0024】
本例では、後者の例として、第二地点は、所定時間βに車速V[m/s]を掛け算して得られる距離(β×V)だけ、交差点位置よりも手前(自車側)の位置とされる。第二地点の高度情報は、第二地点に対応するノード(高度情報を持つノード)が地図データベース32内に存在しない場合、当該第二地点が属する道路リンクの両端のノードの高度情報に基づいて、導出される。車速Vは、簡易的に現在の車速V0が維持されるものと仮定してもよく、或いは、現在までの車速の履歴に基づいて推定可能な以後の加減速態様が加味されてもよい。所定時間βについては後に説明する。
【0025】
このようにして両地点の高度差H、即ち交差点位置の高度から第二地点の高度を引き算して得られる値Hが勾配評価部41で導出されると、続くステップ120として、情報報知制御部42は、高度差Hに応じた基準時間αを決定する。基準時間αは、上述の如く情報報知タイミング(地点)を決定するために用いられる基準値である。
【0026】
本ステップ120において、情報報知制御部42は、両地点の高度差Hが正に大きいとき(上り勾配であるとき)は、平坦路の場合(高度差H≒0の場合)に比べて情報報知タイミングを遅らせる(基準時間αを小さくする)。他方、情報報知制御部42は、両地点の高度差Hが負に大きいとき(下り勾配であるとき)は、平坦路の場合(高度差H≒0の場合)に比べて情報報知タイミングを早める(基準時間αを大きくする)。
【0027】
図4には、高度差H(横軸)と基準時間α(縦軸)との関係が示される。尚、高度差Hの正負は、交差点位置の高度が第二地点の高度よりも大きい場合を“正”とする。図4から分かるように、本実施例では、基準時間αは、平坦路の場合の基準時間α0を基準値として、高度差Hが正に大きくなるにつれて小さい基準時間αが決定され、高度差Hが負に大きくなるにつれて大きい基準時間αが決定される。図4に示すような関係は、情報報知制御部42が常時アクセス可能なメモリに例えばマップ形式で保持される。
【0028】
尚、上述の第二地点を求めるための所定時間βは、情報報知タイミングが到来する前に勾配状態に応じた基準時間αの決定が実現されるように、この基準時間αの取りうる範囲(補正可能な範囲)よりも大きな値に設定される。即ち、所定時間βは、基準時間αの最大値以上の値に設定される。
【0029】
図3に戻る。このようにして基準時間αが決定されると、以後、ステップ130において、情報報知制御部42は、到達予測時間TTCが基準時間αとなる時点(=情報報知タイミング)を決定するため、車速V[m/s]と減速可能区間の長さL[m]とに基づいて、リアルタイムに到達予測時間TTC(=L/V)を算出する。この算出では、車速Vは、簡易的に現在の車速V0が維持されるものと仮定してもよく、或いは、現在までの車速の履歴に基づいて推定可能な以後の加減速態様が加味されてもよい。
【0030】
そして、情報報知制御部42は、ステップ140において、到達予測時間TTCが基準時間αとなったとき、当該時点での情報報知の必要性を判断する。これは、例え到達予測時間TTCが基準時間αとなったときでも、例えばドライバに一時停止の意図が検出される場合等、一時停止を促すための情報報知が不要な場合があるためである。このため、情報報知制御部42は、車両の走行状態(車速の履歴、減速度等)及び/又は運転者の運転態様(例えばアクセル開度センサ等の出力信号に基づくアクセルペダル操作の有無や、マスタシリンダ圧センサやブレーキ踏力センサ等の出力信号に基づくブレーキペダルの操作の有無)に基づいて、ドライバに一時停止の意思があると判断した場合、今回の情報報知タイミングでは情報報知が不要であると判断する。この場合、上記ステップ110で検出された交差点に対する処理が終了される。
【0031】
一方、本ステップ140においてドライバに一時停止の意思がないと判断した場合、情報報知制御部42は、情報報知を実行に移す(ステップ150)。例えば、情報報知制御部42は、「一時停止があります」なる旨の音声メッセージがスピーカ34aを介して出力されるように要求してよい。尚、本発明は、特にこの情報報知態様に限定されるものではなく、一時停止の注意喚起ができる情報報知であれば、音響的であれ視覚的であれ如何なる態様の情報報知であっても適用可能である。
【0032】
ところで、一般的に、ブレーキ操作等による車両に発生させることができる減速度は、道路勾配の大きさ、即ち、車両の前後加速度に影響する重力加速度の成分の大きさに依存して異なる。このため、例えば交差点の手前に下り勾配であると、平坦路に比べて交差点手前で停止するのに必要な減速度(車速が同一として必要な減速度)が大きくなり、従って、かかる交差点手前では、平坦路に比べて早いタイミングで注意喚起が必要となる。また、逆に、交差点の手前に上り勾配があると、平坦路に比べて交差点手前で停止するのに必要な減速度(車速が同一として必要な減速度)が小さくてよく、注意喚起は平坦路に比べて遅いタイミングである方が、注意喚起を必要最小限にする観点から好ましい。
【0033】
この点、本実施例によれば、情報報知タイミングが交差点手前の勾配状態に応じて適切に決定される。即ち、図5に示すように、交差点手前に下り勾配であるときは、図5(B)に示すように平坦路の場合に比べて早いタイミングで注意喚起が行われ(L2>L1)、交差点手前に上り勾配であるときは、図5(C)に示すように平坦路の場合に比べて遅いタイミングで行われるので(L3<L1)、交差点手前の勾配状態に応じた適正な情報報知タイミングの決定が実現されている。このため、本実施例によれば、ドライバに一時停止を促すべき停止予定地点の手前の道路勾配状態に影響を受けることなく、適正なタイミングでの情報報知が可能である。
【0034】
尚、本実施例において、上記ステップ130ないし150の処理は、上記ステップ150経由後においても、車両が交差点手前所定領域に到達するまでは所定周期毎に繰り返し実行されてよい。この場合、上記ステップ150の注意喚起に応答した運転者の運転動作(減速操作)や介入減速制御により生じうる車両の走行状態の変化を反映させつつ、必要に応じて再度の情報報知を行うことができる。
【0035】
以下、上述の実施例に対する代替・変形例について説明する。
【0036】
変形例1では、一時停止の必要性のある交差点をより的確に判断する観点から、上記ステップ100において、停止予定地点検出部40は、自車の走行予定道路に一時停止線のある交差点に限定して、交差点を検出する。この際、自車の走行予定道路とそれに交差する交差道路のいずれに一時停止線があるかが地図データから直接的に判定できない場合、自車の走行予定道路と交差道路との優先関係や道路種別の対比結果に基づいて、一時停止点が存在するか否かを推定してもよい。かかる推定方法の詳細は、例えば特開2004−86363号公報に開示されており、かかる方法が採用されてよい。また、CCDカメラ12などのような撮像手段を搭載する車両においては、過去に走行した一時停止交差点で実際に取得された正確な道路情報が、地図データベース32内に追加的に格納され、次回以降の走行の際に利用されてもよい。
【0037】
同様の観点から、停止予定地点検出部40は、ナビゲーション機能によりルート案内が実行されている間は、案内ルート内の交差点に限定して、交差点を検出する。尚、案内ルートは、公知の如く、ユーザにより入力される目的地に応じてルート設定部44(図2参照)により設定される。
【0038】
変形例2は、情報報知タイミングの決定態様に関する変形例である。本変形例2では、情報報知制御部42は、予め設定された報知基準地点に対して、交差点手前の勾配状態に応じた補正を行うことで、最終的な情報報知タイミング(報知地点)を決定する。この場合、例えば、報知基準地点は、例えば交差点位置から所定距離L0手前の地点として予め設定される。情報報知制御部42は、同様に、交差点手前が上り勾配であるときは、報知基準地点を車両から遠い側に補正し、他方、交差点手前が下り勾配であるときは、報知基準地点を手前側に補正することで、最終的な情報報知タイミング(報知地点)を決定する。この場合、高度差Hを導出する際に用いる第二地点は、報知基準地点(交差点位置から所定距離L0手前の地点)であってよい。かかる変形例では、非常に簡易な構成で上述の実施例の効果を得ることができる。
【0039】
変形例3は、CCDカメラ12を介して得られる画像処理結果を情報報知タイミングの決定に用いるものである。この場合、図1に示すように、ナビゲーションECU30には、車両周辺情報を画像処理により取得する画像処理装置16が接続される。画像処理装置16には、CCD(ステレオ)カメラ12が接続される。CCDカメラ12は、車両前方の風景を撮像するように搭載され、例えば車室内のルームミラー付近に固定される。画像処理装置16は、CCDカメラ12が撮像した画像データを受信及び処理することにより、一時停止線の存在を検出すると共に、自車両の位置から当該一時停止線までの距離を例えば三角測量の原理を用いて算出する。画像処理装置16は、一時停止線の存在を検出すると、当該一時停止線までの算出距離をナビゲーションECU30に供給する。かかる算出距離は、上述の実施例における各種算出値(例えば減速可能区間長L)を導出するために用いられてよい。かかる変形例によれば、より高精度に自車の走行予定道路上に一時停止線があることを判断できると共に、より高精度に情報報知タイミングの決定を行うことができる。尚、画像処理装置16により取得される車両周辺情報は、地図データベース32の地図データと協働的に又は代替的に利用されてよい。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0041】
例えば、上述の実施例では、簡易な構成による本発明の具現化を意図して、交差点手前の2点間の高度差Hを算出して交差点手前の勾配状態を検出している。かかる構成は、当該2点間の位置エネルギ的な差異を補償するものであるので、当該2点間に勾配変化点があったとしても、全体として見たときの必要減速度を的確に評価できている。但し、交差点の直前での勾配状態を重視して、勾配変化点と交差点の2点の高度差を用いる構成であってもよい。また、現在の車両位置と交差点の2点の高度差を用いてもよい。この場合、車両の現在位置の変化に伴って、2地点間の高度差Hが複数の車両位置で算出されてもよい。このように、交差点手前の勾配状態の評価方法は多種多様であり、本発明は、如何なる情報を用いる如何なる態様の評価方法に対しても適用可能である。
【0042】
また、上述した実施例では、交差点について言及されているが、本発明は、特にこれに限定されることはなく、一時停止線のある踏み切り地点にも適用可能である。
【0043】
また、上述した実施例では、交差点における一時停止を促す情報報知タイミングについて言及されているが、交差点手前で制動装置(ブレーキアクチュエータ)による介入制動を行う構成に対しては、当該介入制動の実施タイミングに適用することもできる。
【0044】
また、上述した実施例では、到達予測時間TTCが基準時間αとなったとき周期のルーチンにて情報報知の要否を判定しているが、ノイズ等の影響を除外するため、複数の連続した周期で到達予測時間TTCが基準時間αを下回ったときに情報報知の要否を判断することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による車両用情報報知装置の一実施例における主要構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例のナビゲーションECU30の要部機能を示すブロック図である。
【図3】本実施例のナビゲーションECU30により実現される特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】高度差H(横軸)と基準時間α(縦軸)との関係を示す図である。
【図5】高度差Hの相違に応じた情報報知タイミングの相違を示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
12 CCDカメラ
16 画像処理装置
30 ナビゲーションECU
32 地図データベース
34 音声入出力装置
34a スピーカ
34b マイク
35 自車位置検出手段
36 表示装置
38 操作部
40 停止予定地点検出部
41 勾配評価部
42 情報報知制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
地図情報に基づいて、車両が停止すべき地点である停止予定地点を検出する停止予定地点検出手段と、
停止予定地点に関連した走行支援のための情報を乗員に報知する情報報知手段と、
前記情報報知手段が情報報知を行う報知地点を決定する報知地点決定手段とを備え、
前記報知地点決定手段は、少なくとも停止予定地点の位置情報と、現在の車両位置から停止予定地点までの区間内の道路勾配を表すことが可能な道路情報とに基づいて、前記報知地点の決定を行うことを特徴とする、車両用情報報知装置。
【請求項2】
前記報知地点決定手段は、停止予定地点を第一地点とし、停止予定地点より手前にある地点を第二地点とする2地点の高度情報を前記道路情報として用いて、前記報知地点の決定を行う、請求項1に記載の車両用情報報知装置。
【請求項3】
車速情報と、現在の車両位置から停止予定地点までの区間長とに基づいて、現在の車両位置から停止予定地点に到達するのに要する時間を算出する到達予測時間算出手段を備え、
前記報知地点決定手段は、算出された到達予測時間が基準時間を下回った時点の車両位置を、前記報知地点と決定し、
前記基準時間は、前記道路情報に基づいて補正される、請求項1又は2に記載の車両用情報報知装置。
【請求項4】
前記報知地点決定手段は、前記道路情報に基づいて停止予定地点手前に上り勾配があると判断される場合に、前記基準時間が短くなる方向に前記補正を行い、前記道路情報に基づいて停止予定地点手前に下り勾配があると判断される場合に、前記基準時間が長くなる方向に前記補正を行う、請求項3に記載の車両用情報報知装置。
【請求項5】
請求項2に従属する請求項3に記載の車両用情報報知装置において、
前記第二地点は、車速情報に基づいて、前記基準時間のとりうる最大値よりも大きな所定時間に車速を掛け算して得られる距離だけ、停止予定地点よりも手前に設定される、車両用情報報知装置。
【請求項6】
前記報知地点決定手段は、停止予定地点の位置に対して所定の相対位置関係となる報知基準地点を前記第二地点とする前記高度情報に基づいて、該報知基準地点を補正して前記報知地点を決定する、請求項2に記載の車両用情報報知装置。
【請求項7】
前記停止予定地点検出手段は、ナビゲーション機能による目的地までの経路案内がなされているときは、案内経路に関連した停止予定地点に検出対象を限定する、請求項2に記載の車両用情報報知装置。
【請求項8】
車両の走行状態及び/又は運転者の運転態様に基づいて、前記報知地点決定手段により決定された報知地点における前記情報報知手段による情報報知の要否を判断する報知要否判断手段を備える、請求項1〜7の何れかに記載の車両用情報報知装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−226824(P2006−226824A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−40780(P2005−40780)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】