説明

車両用灯具

【課題】従来の車両用灯具では、水平方向の奥行き寸法を小さくするというニーズに対応することができない。
【解決手段】投影レンズ6とその投影レンズ6のレンズ焦点FL1との間に平面反射面7を投影レンズ6のレンズ光軸Z1−Z1に対して交差させて配置する。この結果、投影レンズ6と平面反射面7とをほぼ水平方向に配置し、かつ、その投影レンズ6および平面反射面7とメインリフレクタ2およびサブリフレクタ3および半導体型光源4およびシェード5とをほぼ垂直方向に配置することができる。したがって、水平方向の奥行き寸法Wを小さくすることができ、水平方向の奥行き寸法Wを小さくするというニーズに対応することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源としてたとえばLEDなどの半導体型光源を使用するプロジェクタタイプの車両用灯具に関するものである。特に、この発明は、水平方向の奥行き寸法を小さくすることができる車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、この車両用灯具について説明する。従来の車両用灯具は、光源としてのLEDの光をリフレクタで反射させた後、凸レンズを介して前方へ出射させるものである。前記リフレクタは、楕円を基本とする反射面を有する。前記LEDは、前記反射面の第1焦点もしくはその近傍に位置する。前記反射面の第2焦点は、前記凸レンズの焦点もしくはその近傍に位置する。前記反射面の光軸と前記凸レンズの光軸とは、一致もしくはほぼ一致して、ほぼ水平をなす。そして、前記LEDおよび前記リフレクタおよび前記凸レンズは、ほぼ水平方向に配置されている。
【0003】
ところが、従来の車両用灯具は、反射面の光軸と凸レンズの光軸とがほぼ水平をなして、LEDおよびリフレクタおよび凸レンズがほぼ水平方向に配置されているので、水平方向の奥行き寸法が大きくなる。このために、従来の車両用灯具は、水平方向の奥行き寸法を小さくするというニーズに対応することができない。
【0004】
なお、ほぼ平面状の反射面を使用して前後長を短くする(水平方向の奥行き寸法を小さくする)車両用灯具(車両用前照灯)は、従来からある(たとえば、特許文献2)。しかしながら、この従来の車両用灯具は、光源として放電バルブを使用するものであって、LEDなどの半導体型光源を使用するものではない。しかも、この従来の車両用灯具は、投影レンズの光軸が車両前後方向(水平方向)に延び、リフレクタの光軸を投影レンズの光軸に対して交差させ、リフレクタからの反射光をほぼ平面状の反射面で投影レンズ側に反射させるものである。このために、この従来の車両用灯具は、放電バルブおよびリフレクタおよび投影レンズおよびほぼ平面状の反射面が車両前後方向に配置されているので、前記の車両用灯具と同様に、水平方向の奥行き寸法が大きくなり、水平方向の奥行き寸法を小さくするというニーズに対応することができない。
【0005】
【特許文献1】特開2006−107955号公報
【特許文献2】特開2005−228715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用灯具では、水平方向の奥行き寸法を小さくするというニーズに対応することができないという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(請求項1にかかる発明)は、投影レンズとその投影レンズのレンズ焦点との間に平面反射面を投影レンズのレンズ光軸に対して交差させて配置する、ことを特徴とする。
【0008】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、半導体型光源がその半導体型光源の基板を介してヒートシンクに、基板面がほぼ垂直となるように、取り付けられており、そのヒートシンクがほぼ垂直置き(縦置き)に設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、反射面すなわち第1反射面の第2焦点もしくはその近傍と半導体型光源との間に配置されていて、半導体型光源から放射されて第1反射面で反射された反射光の一部をカットオフして残りの反射光でカットオフラインを有する所定の配光パターンを形成するシェードを備え、第1反射面の光軸に沿うほぼ平面をなしてシェードによりカットオフされた反射光を反射させて所定の補助配光パターンに形成する第2反射面を、シェードに設ける、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、投影レンズとその投影レンズのレンズ焦点との間に平面反射面を投影レンズのレンズ光軸に対して交差させて配置するものである。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、投影レンズのレンズ焦点が平面反射面によりその平面反射面に対して対称である位置に擬似レンズ焦点として存在し、その擬似レンズ焦点が楕円を基本とする反射面の第2焦点もしくはその近傍に位置し、また、ほぼ水平な投影レンズのレンズ光軸が平面反射面によりほぼ水平なレンズ光軸に対して直交するほぼ垂直な擬似レンズ光軸として存在し、そのほぼ垂直な擬似レンズ光軸が反射面の光軸に一致もしくはほぼ一致する。これにより、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、投影レンズと平面反射面とをほぼ水平方向に配置し、かつ、その投影レンズおよび平面反射面とリフレクタおよび半導体型光源およびシェードとをほぼ垂直方向に配置することができる。したがって、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、水平方向の奥行き寸法を小さくすることができ、水平方向の奥行き寸法を小さくするというニーズに対応することができる。
【0011】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、半導体型光源がその半導体型光源の基板を介してヒートシンクに、基板面がほぼ垂直となるように、取り付けられており、そのヒートシンクがほぼ垂直置きに設けられている。この結果、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、半導体型光源とヒートシンクとがほぼ水平に配置されるので、半導体型光源において発生した熱をほぼ垂直置きのヒートシンクを介して効率よく発散させることができる。しかも、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、リフレクタおよび半導体型光源およびシェードおよび投影レンズおよび平面反射面とヒートシンクとをほぼ水平に配置することができるので、ヒートシンクの上方を外気に開放させることができる。これにより、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、半導体型光源の熱をさらに効率よく外気に発散させることができる。
【0012】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、反射面すなわち第1反射面の第2焦点もしくはその近傍と半導体型光源との間に配置されているシェードにより、半導体型光源から放射されて第1反射面で反射された反射光の一部をカットオフして残りの反射光でカットオフラインを有する所定の配光パターンを形成することができる。しかも、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、シェードに設けられていて第1反射面の光軸に沿うほぼ平面をなす第2反射面により、シェードでカットオフされた反射光を反射させて所定の補助配光パターンに形成することができるので、半導体型光源からの光を有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、この発明にかかる車両用灯具の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。なお、この明細書中「前、後、上、下」は、車両用灯具を車両に装備した際の車両の「前、後、上、下」である。
【実施例】
【0014】
以下、この実施例にかかる車両用灯具の構成について説明する。この例は、たとえば、自動車用前照灯について説明する。図において、符号1は、この実施例にかかる車両用灯具ある。前記車両用灯具1は、図に示すように、プロジェクタタイプであって、ユニット構造をなす。前記車両用灯具1は、前側のメインリフレクタ2と、後側のサブリフレクタ3と、半導体型光源4と、シェード5と、投影レンズ(凸レンズ、集光レンズ)6と、平面反射面7と、ヒートシンク8と、図示しない自動車用前照灯のランプハウジングおよびランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)と、から構成されている。
【0015】
前記メインリフレクタ2および前記サブリフレクタ3および前記半導体型光源4および前記シェード5および前記投影レンズ6および前記平面反射面7および前記ヒートシンク8は、ランプユニットを構成する。1個もしくは複数個の前記ランプユニットは、自動車用前照灯のランプハウジングおよびランプレンズにより区画されている灯室内に、たとえば光軸調整機構を介して配置されている。
【0016】
前記メインリフレクタ2および前記サブリフレクタ3は、光不透過性の樹脂部材などから構成されており、ケーシングやハウジングやホルダなどの保持部材と兼用である。また、前記メインリフレクタ2および前記サブリフレクタ3は、後記第1反射面9のほぼ垂直な光軸Z2−Z2に沿って垂直に前後に2分割してなるものである。前記メインリフレクタ2と前記サブリフレクタ3とは、図示しない固定手段(たとえば、ボルトナット、スクリュー、加締め、クリップなど)により、一体に固定されている。なお、前記メインリフレクタ2と前記サブリフレクタ3とを一体に形成しても良い。
【0017】
前記メインリフレクタ2は、上側の部分が半円形に開口し、上側の部分から中央部分(前側の部分)を経て下側の部分までが閉塞している。前記メインリフレクタ2の中央部分のうちほぼ下半分から下側の部分までの閉塞部の凹内面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて第1反射面9が設けられている。
【0018】
前記第1反射面9は、楕円または楕円を基本とする反射面、たとえば、回転楕円面または楕円を基本とした自由曲面(NURBS曲面)などの反射面(図1および図2の垂直断面が楕円面をなし、かつ、図示しない水平断面が放物面ないし変形放物面をなす反射面)からなる。このために、前記第1反射面9は、第1焦点F1と第2焦点(水平断面上の焦線、すなわち、前(正面)から見て両端が上側に位置し中央が下側に位置するような湾曲した焦線)F2と、を有する。
【0019】
前記サブリフレクタ3は、上側の部分が半円形に開口し、上側の部分から中央部分(後側の部分)のほぼ上半分までが閉塞し、中央部分のほぼ下半分から下側の部分の途中までに開口部10が開口して設けられている。前記サブリフレクタ3の閉塞部分は、図に示すように、ほぼ垂直な板部からなる。前記サブリフレクタ3の板部の前面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、前記第1反射面9の光軸Z2−Z2に沿うほぼ平面をなす第2反射面11が設けられている。前記第2反射面11は、前記第1反射面9の第2焦点F2もしくはその近傍と前記半導体型光源4との間に設けられている。
【0020】
前記半導体型光源4は、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施例ではLED)を使用する。前記半導体型光源4は、基板12と、前記基板12の一面に固定された微小な矩形形状(正方形形状)の光源チップ(半導体チップ)の発光体(図示せず)と、前記発光体を覆う光透過部材13と、から構成されている。前記半導体型光源4は、前記基板12を介して前記ヒートシンク8に、前記基板12の平面がほぼ垂直となるように、取り付けられている。前記ヒートシンク8は、前記サブリフレクタ3に取り付けられている。この結果、前記半導体型光源4は、前記サブリフレクタ3の開口部10中に配置されている。そして、前記半導体型光源4の前記発光体(発光部)は、前記第1反射面9の前記第1焦点F1もしくはその近傍に位置する。
【0021】
前記シェード5は、前記サブリフレクタ3と一体に設けられている。すなわち、前記シェード5は、前記サブリフレクタ3の板部と兼用するものである。この結果、前記シェード5には、前記第2反射面11が設けられていることとなる。前記シェード5は、前記第1反射面9の第2焦点F2もしくはその近傍と前記半導体型光源4との間に配置されている。また、前記シェード5は、前記半導体型光源4から放射されて前記第1反射面9で反射された反射光L4の一部をカットオフして残りの反射光でカットオフラインを有する所定の配光パターン、たとえば、すれ違い用配光パターンや高速道路用配光パターンなど(図示せず)を形成するものである。
【0022】
前記投影レンズ6は、前記メインリフレクタ2の上側半円形開口の縁部および前記サブリフレクタ3の上側半円形開口の縁部に保持されている。前記投影レンズ6は、非球面レンズの凸レンズである。前記投影レンズ6の前方側(外部側)は、曲率が大きい(曲率半径が小さい)凸非球面をなし、一方、前記投影レンズ6の後方側(前記平面反射面7側)は、曲率が小さい(曲率半径が大きい)凸非球面をなす。このような投影レンズ6を使用することにより、前記投影レンズ6の焦点距離が小さくなるので、その分、この実施例にかかる車両用灯具1の前記投影レンズ6のほぼ水平なレンズ光軸Z1−Z1方向の寸法がコンパクトとなる。なお、前記投影レンズ6の後方側は、平非球面をなすものであってもよい。
【0023】
前記投影レンズ6は、前記投影レンズ6からフロントフォーカス(前側焦点距離)FFの位置に位置する前側焦点(前記平面反射面7側の焦点)であるレンズ焦点FL1と、前記投影レンズ6からバックフォーカス(後側焦点距離)の位置に位置する後側焦点(外部側の焦点)と、前記前側焦点のレンズ焦点FL1と前記後側焦点とを結ぶほぼ水平なレンズ光軸Z1−Z1と、を有する。ほぼ垂直な前記第1反射面9の光軸Z2−Z2とほぼ水平な前記投影レンズ6のレンズ光軸Z1−Z1とは、ほぼ直交する。前記投影レンズ6のレンズ焦点FL1は、物空間側の焦点面であるメリジオナル像面である。なお、前記半導体型光源4の光は、高い熱を持たないので、前記投影レンズ6として樹脂製のレンズを使用することができる。前記投影レンズ6は、この例ではアクリルを使用する。前記投影レンズ6は、前記平面反射面7で反射されたカットオフラインを有する前記所定の配光パターンおよび前記第2反射面11からの反射光で形成される所定の補助配光パターン(図示せず)を前方に投影する。
【0024】
前記シェード5のうち前記第1反射面9の第2焦点F2もしくはその近傍の部分には、前記所定の配光パターンのカットオフライン(図示せず)およびエルボー点(図示せず)を形成するエッジ14が前記第1反射面9の第2焦点F2に沿って設けられている。
【0025】
前記平面反射面7は、平面板部材の表面にアルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されてなるものである。前記平面反射面7は、前記サブリフレクタ3の上側の部分に取り付けられている。前記平面反射面7は、前記投影レンズ6と前記投影レンズ6のレンズ焦点FL1との間に前記レンズ光軸Z1−Z1にほぼ45°で交差して配置されている。前記平面反射面7は、カットオフラインを有する前記所定の配光パターンおよび補助配光パターンを前記投影レンズ6側に反射させるものである。
【0026】
前記投影レンズ6のレンズ焦点FL1は、図1および図2に示すように、前記平面反射面7により、前記平面反射面7に対して対称である位置に擬似レンズ焦点FL2として存在する。前記擬似レンズ焦点FL2は、前記第1反射面9の第2焦点F2もしくはその近傍に位置する。また、ほぼ水平な前記投影レンズ6のレンズ光軸Z1−Z1は、同じく図1および図2に示すように、前記平面反射面7により、ほぼ水平な前記レンズ光軸Z1−Z1に対して直交するほぼ垂直な擬似レンズ光軸Z3−Z3として存在する。ほぼ垂直な前記擬似レンズ光軸Z3−Z3は、前記第1反射面9の光軸Z2−Z2に一致もしくはほぼ一致する。
【0027】
この結果、図1に示すように、外来光の平行光L1が外側から前記投影レンズ6に入射して前記投影レンズ6を透過して前記投影レンズ6から出射すると、前記投影レンズ6のレンズ焦点FL1に集束しようとする。この集束しようとする前記投影レンズ6からの出射光が前記平面反射面7で反射し、その反射光L2が前記擬似レンズ焦点FL2、すなわち、前記第1反射面9の第2焦点F2に集束する。また、図1および図2に示すように、ほぼ水平な前記レンズ光軸Z1−Z1は、前記平面反射面7により、ほぼ直角に折り曲げられたほぼ垂直な擬似レンズ光軸Z3−Z3、すなわち、前記第1反射面9の光軸Z2−Z2となる。
【0028】
前記ヒートシンク8は、平板の背面に複数枚のフィン15を適宜間隔を開けて垂直方向に一体に設けたものである。前記ヒートシンク8の平板の表面には、前記半導体型光源4が前記基板13を介して前記基板13の平面がほぼ垂直なるように取り付けられている。前記ヒートシンク8は、前記サブリフレクタ3に取り付けられている。この結果、前記半導体型光源4の発光体が前記第1反射面9の第1焦点もしくはその近傍に位置する。
【0029】
この実施例にかかる車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0030】
まず、車両用灯具1の半導体型光源4の発光体を点灯発光させる。すると、半導体型光源4の発光体から光L3が放射される。この光L3は、第1反射面9で反射され、この反射光L4が第1反射面9の第2焦点F2および擬似レンズ焦点FL2に集束する。第2焦点F2および擬似レンズ焦点FL2に集束する反射光L4の一部は、シェード5によりカットオフされる。このシェード5によりカットオフされた反射光L4は、シェード5と一体である第2反射面11により反射されて、所定の補助配光パターンに形成される。一方、残りの反射光L4でカットオフラインを有する所定の配光パターンが形成される。
【0031】
所定の補助配光パターンとカットオフラインを有する所定の配光パターンとは、平面反射面7で反射されてあたかも投影レンズ6のレンズ焦点FL1から放射された光として、投影レンズ6を透過して合成され、所定の配光パターン(投影レンズ6から投影される光L5)として自動車(車両)前方に投影されて路面などを照明する。
【0032】
また、半導体型光源4の発光体の点灯発光により、半導体型光源4に熱が発生すると、その熱は、ヒートシンク8に伝達され、かつ、そのヒートシンク8を介して外気(外部)に発散される。
【0033】
この実施例にかかる車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0034】
この実施例にかかる車両用灯具1は、投影レンズ6とその投影レンズ6のレンズ焦点FL1との間に平面反射面7を投影レンズ6のレンズ光軸Z1−Z1に対して交差させて配置するものである。この結果、この実施例にかかる車両用灯具1は、投影レンズ6のレンズ焦点FL1が平面反射面7によりその平面反射面7に対して対称である位置に擬似レンズ焦点FL2として存在し、その擬似レンズ焦点FL2が楕円を基本とする第1反射面9の第2焦点F2もしくはその近傍に位置し、また、ほぼ水平な投影レンズ6のレンズ光軸Z1−Z1が平面反射面7によりほぼ水平なレンズ光軸Z1−Z1に対して直交するほぼ垂直な擬似レンズ光軸Z3−Z3として存在し、そのほぼ垂直な擬似レンズ光軸Z3−Z3が第1反射面9の光軸Z2−Z2に一致もしくはほぼ一致する。これにより、この実施例にかかる車両用灯具1は、投影レンズ6と平面反射面7とをほぼ水平方向に配置し、かつ、その投影レンズ6および平面反射面7とメインリフレクタ2およびサブリフレクタ3および半導体型光源4およびシェード5とをほぼ垂直方向に配置することができる。したがって、この実施例にかかる車両用灯具1は、水平方向の奥行き寸法Wを小さくすることができ、水平方向の奥行き寸法Wを小さくするというニーズに対応することができる。
【0035】
また、この実施例にかかる車両用灯具1は、半導体型光源4がその半導体型光源4の基板12を介してヒートシンク8に、基板12の平面がほぼ垂直となるように、取り付けられており、そのヒートシンク8がほぼ垂直置きに設けられている。この結果、この実施例にかかる車両用灯具1は、半導体型光源4とヒートシンク8とがほぼ水平に配置されるので、半導体型光源4において発生した熱をほぼ垂直置きのヒートシンク8を介して効率よく発散させることができる。しかも、この実施例にかかる車両用灯具1は、メインリフレクタ2およびサブリフレクタ3および半導体型光源4およびシェード5および投影レンズ6および平面反射面7とヒートシンク8とをほぼ水平に配置することができるので、ヒートシンク8の上方を外気に開放させることができる。これにより、この実施例にかかる車両用灯具1は、半導体型光源4の熱を、図1および図2中の実線矢印に示すように、下から上にさらに効率よく外気に発散させることができる。
【0036】
さらに、この実施例にかかる車両用灯具1は、第1反射面11の第2焦点F2もしくはその近傍と半導体型光源4との間に配置されているシェード5により、半導体型光源4から放射されて第1反射面9で反射された反射光L4の一部をカットオフして残りの反射光でカットオフラインを有する所定の配光パターンを形成することができる。しかも、この実施例にかかる車両用灯具1は、シェード5に設けられていて第1反射面9の光軸Z2−Z2に沿うほぼ平面をなす第2反射面11により、シェード5でカットオフされた反射光を反射させて所定の補助配光パターンに形成することができるので、半導体型光源4からの光を有効に利用することができる。
【0037】
なお、前記の実施例においては、車両用灯具として自動車用前照灯について説明するものである。ところが、この発明においては、車両用灯具として自動車用前照灯以外の灯具、たとえば、リヤコンビネーションランプのテールランプやブレーキランプやテール・ブレーキランプやバックアップランプなどであっても良い。
【0038】
また、前記の実施例においては、第1反射面9と第2反射面11とを有する例について説明するものである。ところが、この発明においては、楕円を基本とする反射面(第1反射面)だけでも良い。
【0039】
さらに、前記の実施例においては、カットオフラインを有する所定の配光パターンと補助配光パターンとが照射されるものである。ところが、この発明においては、所定の配光パターンとしては、カットオフラインを有しない配光パターン、たとえば、フォグランプ用配光パターン、濡路用配光パターン、ディタイムランプ用配光パターン、テールランプ用配光パターン、ブレーキランプ用配光パターン、テール・ブレーキランプ用配光パターン、バックアップランプ用配光パターンなどであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明にかかる車両用灯具の実施例を示す作用原理の説明図である。
【図2】同じく、半導体型光源が点灯発光状態を示す縦断面図である。
【図3】同じく、要部の部品を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1 車両用灯具
2 メインリフレクタ
3 サブリフレクタ
4 半導体型光源(LED)
5 シェード
6 投影レンズ
7 平面反射面
8 ヒートシンク
9 第1反射面
10 開口部
11 第2反射面
12 基板
13 光透過部材
14 エッジ
15 フィン
F1 第1反射面の第1焦点
F2 第1反射面の第2焦点
FL1 レンズ焦点
FL2 擬似レンズ焦点
Z1−Z1 レンズ光軸
Z2−Z2 第1反射面の光軸
Z3−Z3 擬似レンズ光軸
FF フロントフォーカス
W 水平方向の奥行き寸法
L1 平行光
L2 平面反射面からの反射光
L3 半導体型光源からの光
L4 第1反射面からの反射光
L5 投影レンズからの投影光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源として半導体型光源を使用するプロジェクタタイプの車両用灯具において、
楕円または楕円を基本とする反射面を有するリフレクタと、
発光部が前記反射面の第1焦点もしくはその近傍に位置するように配置されている前記半導体型光源と、
レンズ光軸がほぼ水平をなす投影レンズと、
前記投影レンズと前記投影レンズのレンズ焦点との間に前記レンズ光軸に交差して配置されており、前記所定の配光パターンを前記投影レンズ側に反射させる平面反射面と、
を備え、
前記レンズ焦点は、前記平面反射面により前記平面反射面に対して対称である位置に擬似レンズ焦点として存在し、前記擬似レンズ焦点は、前記反射面の第2焦点もしくはその近傍に位置し、
ほぼ水平な前記レンズ光軸は、前記平面反射面によりほぼ水平な前記レンズ光軸に対して直交するほぼ垂直な擬似レンズ光軸として存在し、ほぼ垂直な前記擬似レンズ光軸は、前記反射面の光軸に一致もしくはほぼ一致し、
前記投影レンズは、前記平面反射面により反射された前記所定の配光パターンを所定の方向に投影する、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記半導体型光源は、前記半導体型光源の基板を介してヒートシンクに、前記基板面がほぼ垂直となるように、取り付けられており、
前記ヒートシンクは、ほぼ垂直置きに設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記反射面を第1反射面とし、
前記第1反射面の第2焦点もしくはその近傍と前記半導体型光源との間に配置されていて、前記半導体型光源から放射されて前記第1反射面で反射された反射光の一部をカットオフして残りの反射光でカットオフラインを有する所定の配光パターンを形成するシェードを備え、
前記シェードには、前記第1反射面の光軸に沿うほぼ平面をなし、前記シェードによりカットオフされた前記反射光を反射させて所定の補助配光パターンに形成する第2反射面が設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−311141(P2007−311141A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138177(P2006−138177)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】