説明

車両用照明装置

【課題】 LEDランプを有した車両用照明装置において、低コストで着雪を抑制可能とすること。
【解決手段】 LEDランプ1aにより発光するヘッドランプ1と、発光に伴い発熱するフォグランプ2と、を備えた車両用照明装置であって、フォグランプ2を、発光により、ヘッドランプ1からのLEDランプ光が通過して発光するレンズ部分であるLEDランプ発光範囲5aを暖めるように設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(以下、LEDという)ランプを光源とする車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のヘッドランプやリヤコンビネーションランプなどの車両用照明装置において、光源としてLEDランプを用いることが知られている。
【0003】
このLEDランプは、省エネルギ性に優れているが、発熱量が少ないため、車両用照明装置の前面を覆うランプカバーに雪が付着した場合に、その雪が融けにくいという問題がある。
【0004】
そこで、LEDランプを有した車両用照明装置において、このような着雪を抑制するために、LEDランプの基板の廃熱をランプカバーに伝達する熱交換器を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−296212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、装置内に、熱線などの熱交換器を追加する必要があるため、その分、コストがかかるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、LEDランプを有した車両用照明装置において、低コストで着雪を抑制可能とすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述事情に鑑みなされたもので、発熱に伴い発光する第2の発光部が、発光することで前記アウタレンズのランプ光が通過し発光するレンズ部分であるLEDランプ発光範囲を暖めるように設けられていることを最も主要な特徴とする車両用照明装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、第2の発光部の発光時に、その発光によりLEDランプ発光範囲が暖められ、この範囲への着雪が抑制される。
【0009】
このように、車両用照明装置に設けられた第2の発光部の発光により着雪を抑制するため、両発光部とは別個の熱交換器などを付加するのに比べて、安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
この実施の形態の車両用照明装置は、LEDランプ(1a)により発光する第1の発光部(1)と、この第1の発光部(1)を囲うように支持するハウジング(4)と、このハウジング(4)の車外側を覆うアウタレンズ(5)と、前記第1の発光部(1)の近傍に設けられ、発熱に伴い発光する第2の発光部(2)と、を備えた車両用照明装置であって、前記第2の発光部(2)が、発光することで前記アウタレンズ(5)のランプ光が通過し発光するレンズ部分であるLEDランプ発光範囲(5a)を暖めるように設けられていることを特徴とする車両用照明装置である。
【実施例1】
【0012】
図1〜図4に示す本発明の最良の実施の形態の実施例1の車両用照明装置Aについて説明する。
【0013】
まず、その構成について説明する。
【0014】
この実施例1の車両用照明装置Aは、自動車M(図3、図4参照)の前端部に設けられて車両前方を照明する前照灯に適用したもので、図1および図2に示すように、第1の発光部としてのヘッドランプ1と、第2の発光部としてのフォグランプ2と、ヘッドランプ1およびフォグランプ2を車体3に支持するハウジング4と、このハウジング4の車外側を覆うアウタレンズ5と、を備えている。
【0015】
なお、実施例1の車両用照明装置Aは、車両の左右に設けられているが、図1および図2では、車両の左側に設けられたもののみを示している。また、両図において、矢印OUTが車幅方向で車両外方向を、矢印INが車幅方向で車両中央方向を、矢印UPが車両上方向を示している。
【0016】
ヘッドランプ1は、ハウジング4の車両外方向寄りに配置されたもので、4個のLED(発光ダイオード)1a,1a,1a,1aを備えている。なお、LED1aは、図2に示すように、左右に2個並設したものが上下2段に配置されている。
【0017】
また、図1の点線の矢印H,Hがヘッドランプ1から照射された光(直射および反射を含む)の通過範囲を示している。アウタレンズ5において、このヘッドランプ1から照射された光(通過範囲H,H内の光)が投影された範囲がLEDランプ発光範囲5aである。このLEDランプ発光範囲5aがヘッドランプ1のレンズ機能を果たし、ヘッドランプ1の光は、図3および図4に示す、ヘッドランプ照射範囲1Aに照射される。
【0018】
フォグランプ2は、図2に示すように、ハウジング4においてヘッドランプ1の車両中央方向寄りの位置に隣設されたもので、ハロゲンバルブや白熱バルブなどフィラメントに通電して発生する熱エネルギで発光するバルブ2aと、このバルブ2aの光を反射させる放物面状のリフレクタ2bと、を備えている。
【0019】
そして、フォグランプ2は、アウタレンズ5を通過した光の照射範囲であるフォグランプ照射範囲2Aが、図3および図4に示すように、ヘッドランプ照射範囲1Aの手前側および左右側方の範囲を照らすように設定されている。
【0020】
さらに、フォグランプ2は、バルブ2aの設置方向およびリフレクタ2bの形状に基づいて、フォグランプ主光軸(バルブ2aを焦点としてリフレクタ放物面に反射した光が照射する方向のバルブ中心を通る直線)20が、LEDランプ発光範囲5a内を通過するように設定されている。特に、本実施例1では、フォグランプ主光軸20が、4個のLED1aのうちで車両中央側の下段に配置されたものの光軸中心の延長線1bとアウタレンズ5との交点を通るように設定されている。
【0021】
加えて、本実施例1では、バルブ2aの設置方向およびリフレクタ2bの形状に基づいて、フォグランプ2から照射される光の通過範囲がLEDランプ発光範囲5aの50%以上を占めるように設定されている。
【0022】
次に、実施例1の作用について説明する。
【0023】
本実施例1の車両用照明装置Aでは、フォグランプ2を点灯させると、フォグランプ2から照射された光は、アウタレンズ5においてLEDランプ発光範囲5aを通過する。フォグランプ2は、図示を省略したフィラメントへの通電による発熱で点灯するバルブ2aを備えているため、その輻射熱によりLEDランプ発光範囲5aが暖められる。
【0024】
したがって、降雪時には、フォグランプ2を点灯させてLEDランプ発光範囲5aを暖めることにより、このLEDランプ発光範囲5aへの着雪を抑制して、ヘッドランプ1の照射性能を確保することができる。
【0025】
特に、本実施例1では、フォグランプ2から照射される光の通過範囲がLEDランプ発光範囲5aの50%以上を占めているため、特に、この50%以上の範囲において、着雪が抑制される。
【0026】
さらに、本実施例1では、フォグランプ主光軸20が、車両中央寄りに配置されたLED1aの光軸中心の延長線1bとアウタレンズ5との交点に配置されているため、この部位に強く輻射熱が与えられ、さらに高い着雪抑制性能が得られ、この部位の車両後方に位置するLED1aの照射性能を特に確保することができる。
【0027】
なお、降雪時には、前方視界性が悪化することから、運転者はフォグランプ2を点灯操作する機会が多く、このように降雪に伴うフォグランプ2の点灯で、ヘッドランプ1部分への着雪抑制が図られる。すなわち、特に着雪抑制を意識した操作を行わなくても、着雪抑制を図ることができ、使い勝手に優れる。
【0028】
また、LED1aは、その車両後方側に設けられた基板1cに電流制御用の抵抗が設けられているため、通電時にはLED1aの車両後方である後部空間1dで発熱する。このため、降雪時など雰囲気温度が低い場合には、LED1aの車両前方の前部空間1eと後部空間1dとで温度差が生じ、アウタレンズ5に曇りが生じるおそれがある。この問題に対し、本実施例1では、上述したようにフォグランプ2の点灯により、LEDランプ発光範囲5aのみならず、前部空間1eも暖められる。そのため、前部空間1eと後部空間1dとの温度差が小さくなり、アウタレンズ5における曇りの発生を抑制することができる。
【0029】
以上説明したように、実施例1の車両用照明装置では、ヘッドランプ1の着雪抑制およびアウタレンズ5の曇り抑制を、ヘッドランプ1に隣設したフォグランプ2の点灯熱により行うようにしたため、発熱部材や熱交換器などの新たな部品の追加が不要であり低コスト化を図ることができる。
【0030】
さらに、上述のように追加部品が不要であり、かつ、上記着雪抑制および曇り抑制がアウタレンズ5の造形に基づかないことから、アウタレンズ5に造形上の制約を与えることが無く、高い設計自由度が得られる。
【実施例2】
【0031】
次に、図5および図6に示すこの発明の実施の形態の実施例2の車両用照明装置Bについて説明する。なお、実施例2の車両用照明装置Bを説明するにあたり、前記実施例1と同一ないし均等な部分については、同一符号を付して、実施例1と相違する部分を中心として説明する。
【0032】
この実施の形態の実施例2の車両用照明装置Bは、第2の発光部としてクリアランスランプ6を用いた例である。
【0033】
この実施例2の車両用照明装置Bは、図6に示すように、ヘッドランプ1、フォグランプ2に加えて、クリアランスランプ6が設けられている。
【0034】
このクリアランスランプ6は、図6に示すように、ヘッドランプ1の車両上方において車両中央寄りに隣設され、かつ、図5に示すように、ヘッドランプ1よりも車両前方に配置されている。なお、図5において矢印FRが車両前方を示している。
【0035】
また、クリアランスランプ6は、図示を省略したフィラメントに通電して発生する熱エネルギで発光するバルブ6aと、このバルブ6aの光を反射させる放物面状のリフレクタ6bと、を備えている。
【0036】
さらに、本実施例2では、図5に示すように、リフレクタ6bの設置位置が、ヘッドランプ1よりも車両前方に配置され、LEDランプ発光範囲5aに対して、ヘッドランプ1よりも近くに配置されている。
【0037】
また、本実施例2では、実施例1と同様、クリアランスランプ6は、バルブ6aの設置方向およびリフレクタ6bの形状に基づいて、クリアランスランプ主光軸(バルブ6aを焦点としてリフレクタ放物面に反射した光が照射する方向のバルブ中心を通る直線)60が、LEDランプ発光範囲5a内を通過し、かつ、LED1aのうちで車両中央側かつ車両上方側に配置されたものの光軸中心の延長線1bとアウタレンズ5との交点を通るように設定されている。
【0038】
さらに、本実施例2にあっても、クリアランスランプ6から照射される光の通過範囲がLEDランプ発光範囲5aの50%以上を占めるように設定されている。
【0039】
次に、実施例2の作用について説明する。
【0040】
クリアランスランプ6を点灯させると、クリアランスランプ6がLEDランプ発光範囲5aに近く、しかも、その主光軸60がLEDランプ発光範囲5aを通過することから、発熱量がフォグランプ2により小さなクラランスランプ6でも、LEDランプ発光範囲5aを暖めることができる。
【0041】
したがって、降雪時には、クリアランスランプ6を点灯させることで、LEDランプ発光範囲5aへの着雪を防止して、ヘッドランプの照射性能を確保することができる。また、実施例1と同様に、LED1aの前後の温度差を小さくして、アウタレンズ5における曇りの発生を抑制することが可能になる。
【0042】
さらに、ヘッドランプ1およびクリアランスランプ6の点灯を操作するスイッチは、一般に、ヘッドランプ1の点灯時には、クリアランスランプ6も点灯されるようにスイッチ構成が成されている。
【0043】
したがって、ヘッドランプ1の点灯時には、常に、クリアランスランプ6の点灯熱による着雪抑制が成され、運転者は、着雪抑制の意図を持って、クリアランスランプ6を点灯させる必要が無く、使い勝手に優れる。
【0044】
さらに、実施例1と同様に、上述の効果を、ヘッドランプ1に隣設したクリアランスランプ6の点灯熱により行うようにしたため、発熱部材や熱交換器を新たに追加することなく達成でき、低コスト化を図ることができ、さらに、上述のように追加部品がないことから、アウタレンズ5などに造形上の制約を与えることが無く、高い設計自由度が得られる。
【0045】
なお、クリアランスランプ6の発光について、図5に示すように、水平線hに対し上向きの上側光度規制線s1の明るさ(例えば125cd)を、水平線hに対し下向きの下側光度規制線s2の明るさ(例えば250cd)の半分以下に抑える法規制がある。そこで、本実施例2のようにクリアランスランプ主光軸60を車両下方に向けることで、クリアランスランプ6の光量を必要な点灯熱が得られる大光量に設定しても、この法規制を満足することができる。
【実施例3】
【0046】
次に、図7および図8に基づいてこの発明の実施の形態の実施例3の車両用照明装置を説明する。
【0047】
この実施の形態の実施例3の車両用照明装置は、実施例1で示したバルブまたは実施例2で示したバルブの点灯を降雪時に自動的に行うようにした例である。
【0048】
図7に示すコントロールユニット7には、入力側に降雪検出手段71と、点灯操作スイッチ72と、が接続され、出力側に両バルブ2a,6aのいずれかであるバルブ73の点灯および消灯を切り換えるドライバやリレースイッチなどで構成された点灯出力部74が接続されている。
【0049】
なお、降雪検出手段71は、例えば、外気温センサが検出する外気温情報(例えば、摂氏3度以下のような降雪があり得る温度以下)と、雨滴センサあるいはカメラの画像情報によりウインドシールドへの水の付着や雨滴や雪の車体への衝突や、車両前方映像による降雨および降雪の検出と、を組み合わせて判断することができる。
【0050】
また、点灯操作スイッチ72は、図外の運転席近傍に設けられ、手動によりバルブ73を点灯および消灯させる操作を行うスイッチである。
【0051】
また、点灯出力部74は、車載のバッテリbatとバルブ73とを結ぶ回路の途中に介在されている。
【0052】
そして、コントロールユニット7は、降雪時にバルブ73を自動的に点灯させてLEDランプ発光範囲5aへの着雪を防止する自動点灯制御を実行するもので、図8は、この自動点灯制御の流れを示すフローチャートである。
【0053】
自動点灯制御は、ステップS1のエンジン始動により開始され、次のステップS2では、降雪の検出の有無を判定し、降雪検出時にはステップS3に進み、降雪非検出時にはステップS9に進む。
【0054】
ステップS3では、点灯操作スイッチ72がON操作されているか否か判断し、ON操作されている場合にはステップS10に進み、ON操作が成されていない場合はステップS4に進む。
【0055】
ステップS4では、コントロールユニット7に内蔵されたタイマのカウンタをリセットし、次のステップS5において、タイマのカウントを加算し、続くステップS6において、バルブ73を点灯させる。なお、このバルブ73の点灯は、点灯出力部74を点灯側に切り換えることで行う。
【0056】
次のステップS7では、タイマのカウンタがあらかじめ設定されたリミッタ値Lに達したか否か判定し、リミッタ値Lに達したらステップS8に進んでバルブ73を消灯する。一方、ステップS7において、リミッタ値Lに達しない場合は、ステップS5に戻し、リミッタ値Lに達するまでS5〜S7を繰り返す。
【0057】
また、ステップS9では、点灯操作スイッチ72がON操作されているか否か判断し、ON操作されている場合にはステップS10に進んで、バルブ73を点灯させ、一方、点灯操作スイッチ72のON操作が成されていない場合には、バルブ73を消灯させる。このバルブ73の消灯は、点灯出力部74を消灯側に切り換えることにより行う。
【0058】
なお、上述のステップS7において判断するリミッタ値Lは、バルブ73の点灯によりLEDランプ発光範囲5aの着雪を十分に溶融させることのできる時間の長さに設定されている。
【0059】
次に、実施例3の作用について説明する。
【0060】
降雪時には、点灯操作スイッチ72がON操作されていない場合、ステップS2→S3→S4→S5→S6の流れとなって、バルブ73(このバルブ73は、実施例1,2で示したバルブ2a,6aのいずれかである)が自動的に点灯される。また、この点灯後、タイマのカウンタがリミッタ値Lに達するまでは、ステップS6→S7→S5→S6の流れを繰り返し、バルブ73の点灯状態が維持される。これにより、LEDランプ発光範囲5aが暖められ、着雪が防止される。
【0061】
また、タイマのカウンタがリミッタ値Lに達したら、ステップS7→S8の流れとなって、いったんバルブ73が消灯される。その後も、降雪が続き、かつ、手動によりバルブ73の点灯操作が成されない場合には、上述の処理が再び実行されてカウンタがリミッタ値Lに達するまでバルブ73が点灯される。以上のバルブ73の点灯が繰り返される。
【0062】
また、以上の作動が繰り返されている途中で、手動により点灯操作スイッチ72の点灯操作が成された場合には、ステップS2→S3→S10の流れとなって、バルブ73が点灯される。
【0063】
一方、非降雪時には、ステップS2→S9の流れとなり、点灯操作スイッチ72のON操作が成されているか否かに基づいて、ON操作されている場合はステップS9→S10によりバルブ73が点灯され、ON操作されていない場合はステップS9→S11によりバルブ73は消灯される。
【0064】
以上説明したように、実施例3の車両用照明装置にあっては、運転者などが手動によりバルブ73を点灯操作しない場合でも、降雪時には、自動的にバルブ73が点灯し、この点灯熱によりLEDランプ発光範囲5aの着雪が防止される。よって、操作性に優れる。
【0065】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態および実施例1ないし実施例3を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態および実施例1ないし実施例3に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0066】
すなわち、第2の発光部としては、実施例1ないし実施例3で示したフォグランプ2およびクリアランスランプ6に限定されるものではない。第2の発光部としては、発光に伴い発熱するものであれば、例えば、デイタイムランニングランプと呼ばれる昼間時に常時点灯するランプや、パッシングランプや、イルミネーションランプや、ナイトビジョン用赤外線ランプなどを用いることもできる。
【0067】
また、実施例1ないし実施例3では、第2の発光部として、フォグランプ2とクリアランスランプ6とを示し、いずれかがLEDランプ発光範囲5aを照らして暖めるようにした。しかしながら、第2の発光部として、両ランプ2,6、あるいは上述の他のランプを複数設け、これら複数の第2の発光部が、同時にLEDランプ発光範囲5aを照らすようにしてもよい。あるいは、外気温に応じ、所定の低温までは第2の発光部のうちの1つの発光部が発光し、それよりも低温では、複数の第2の発光部が発光してLEDランプ発光範囲5aを暖めるようにしてもよい。
【0068】
また、実施例1ないし実施例3では、第2の発光部(2,6)が、その発光によりLEDランプ発光範囲5aを暖めるよう設けるにあたり、第2の発光部の主光軸20,60を、LEDランプ発光範囲5aを通過するように向けた例を示したが、これに限定されない。すなわち、第2の発光部(2,6)が、その照射光でLEDランプ発光範囲5aを暖めることができれば、例えば、主光軸20,60が、LEDランプ発光範囲5aの外を通過していてもよい。この場合、主光軸20,60は、LEDランプ発光範囲5aの車両前方を通過してもよいし、逆に、車両後方を通過してもよい。
【0069】
さらに、第2の発光部(2,6)が、LEDランプ発光範囲5aを暖めることができるならば、その照射光がLEDランプ発光範囲5aを通過しない構成としてもよい。例えば、第2の発光部をアウタレンズ5のLEDランプ発光範囲5aの近傍位置でアウタレンズ5に近接あるいは当接させて、その点灯熱がアウタレンズ5を伝わってLEDランプ発光範囲5aを暖めるようにしてもよい。
【0070】
また、実施例1ないし実施例3では、主光軸20,60を、LEDランプ発光範囲5aを通過させるにあたり、バルブ2a,6aの中心線を主光軸20,60に一致させた例を示したが、バルブ2a,6aの中心線を主光軸20,60とは異なる方向に向け、リフレクタ2b,6bの形状に基づいて主光軸20,60の方向付けを行ってもよい。
【0071】
また、実施例1では、フォグランプ主光軸20が、4個のLED1aのうちで車両中央側の下段に配置されたものの光軸中心の延長線1bとアウタレンズ5との交点を通るように設定した。しかし、これに限定されるものではなく、フォグランプ主光軸20が、平面視でこの交点付近を通るように設定し、一方、側面視では、上下のLEDランプ1a,1aの光軸中心の中間を通過するように設定してもよい。
【0072】
また、実施例1ないし実施例3では、第1の発光部としてヘッドランプ1を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、車両後部に設けられて、ブレーキランプ・クリアランスランプ、バックランプなどが一括して配置されたリヤコンビネーションランプに適用することもできる。一例として、第1の発光部がブレーキランプとし、第2の発光部をクリアランスランプとし、このクリアランスランプでブレーキランプのLEDランプによる発光範囲を照らして暖めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態の実施例1の車両用照明装置Aを示す断面図であり、図2のS1−S1線で切った状態を示す。
【図2】本発明の実施の形態の実施例1の車両用照明装置Aを示す正面図である。
【図3】本発明の実施の形態の実施例1の車両用照明装置Aのヘッドランプとフォグランプとの照射範囲を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態の実施例1の車両用照明装置Aのヘッドランプとフォグランプとの照射範囲を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態の実施例2の車両用照明装置Bを示す断面図であり、図6のS5−S5線で切った状態を示す。
【図6】本発明の実施の形態の実施例2の車両用照明装置Bを示す正面図である。
【図7】本発明の実施の形態の実施例3の車両用照明装置の要部を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態の実施例3の車両用照明装置における自動点灯制御の制御流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1 ヘッドランプ(第1の発光部)
1a LEDランプ
2 フォグランプ(第2の発光部)
2a バルブ
2b リフレクタ
5 アウタレンズ
5a LEDランプ発光範囲
6 クリアランスランプ(第2の発光部)
6a バルブ
6b リフレクタ
7 コントロールユニット(制御手段)
20 フォグランプ主光軸
60 クリアランスランプ主光軸
71 降雪検出手段
72 点灯操作スイッチ
A 実施例1の車両用照明装置
B 実施例2の車両用照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDランプにより発光する第1の発光部と、
この第1の発光部を囲うように支持するハウジングと、
このハウジングの車外側を覆うアウタレンズと、
前記第1の発光部の近傍に設けられ、発熱に伴い発光する第2の発光部と、
を備えた車両用照明装置であって、
前記第2の発光部が、発光することで前記アウタレンズのランプ光が通過し発光するレンズ部分であるLEDランプ発光範囲を暖めるように設けられていることを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記第2の発光部は、照射光が前記LEDランプ発光範囲を通るように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記第1の発光部と第2の発光部とが、共通のアウタレンズを有し、
前記第2の発光部は、第1の発光部に隣設され、かつ、通電に伴う発熱により発光するバルブランプを備え、
前記第2の発光部のバルブランプにより生じる主光軸が、前記アウタレンズにおけるLEDランプ発光範囲を通過するように向けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記主光軸が、前記LEDランプの光軸中心と前記アウタレンズとの交点近傍を通過するよう配置されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記LEDランプ発光範囲に対し、前記第2の発光部が第1の発光部よりも前記アウタレンズの近くに配置されていることを特徴とする請求3または請求項4に記載の車両用照明装置。
【請求項6】
降雪を判断する降雪判断手段と、
手動操作により前記第2の発光部の点灯および消灯を切り換える点灯操作スイッチと、
前記第2の発光部の点灯および消灯を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、降雪判断時に、前記点灯操作スイッチが点灯操作されていない場合に、前記第2の発光手段を自動的に点灯させる自動点灯制御を実行することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−26767(P2007−26767A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−204461(P2005−204461)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】