説明

車両用空気調和装置

【課題】車両の走行可能距離の低下を防止するとともに、車室内の空気調和を継続することのできる車両用空気調和装置を提供する。
【解決手段】環境条件に基づいて、暖房運転、除湿暖房運転、冷房運転、除湿冷房運転を切換える通常モードと、環境条件に基づいて、暖房運転、除湿暖房運転、冷房運転、除湿冷房運転を切換えるとともに、曇り判定手段によって窓ガラスに曇りが発生すると判定した場合のみ除湿暖房運転を行う第1省エネモードと、環境条件に基づいて、暖房運転、冷房運転、除湿冷房運転を切換える第2省エネモードとを備え、操作部49によって通常モード、第1省エネモード及び第2省エネモードを切り換え可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電気自動車に適用可能な車両用空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用空気調和装置では、車両の動力源としてのエンジンによって駆動する圧縮機と、車室外に設けられた放熱器と、車室内に設けられた吸熱器と、を備え、圧縮機が吐出した冷媒を放熱器において放熱させるとともに、吸熱器において吸熱させ、吸熱器において冷媒と熱交換した空気を車室内に供給することで冷房運転を行っている。また、従来の車両用空気調和装置では、車室内にヒータコアを備え、エンジンの冷却に用いた冷却水の排熱をヒータコアにおいて放熱させ、ヒータコアにおいて冷却水と熱交換した空気を車室内に向かって吹出すことで暖房運転を行っている。さらに、従来の車両用空気調和装置では、車室内に供給する空気を吸熱器において要求される絶対湿度まで冷却して除湿し、吸熱器において冷却して除湿された空気をヒータコアにおいて所望の温度まで加熱した後に車室内に向かって吹出す除湿暖房運転を行っている。
【0003】
前記車両用空気調和装置では、暖房運転及び除湿暖房運転において空気を加熱する熱源としてエンジンの排熱を利用している。車両の動力源が電動モータである電気自動車は、エンジンのように空気を十分に加熱可能な排熱が発生しないため、前記車両用空気調和装置を適用することができない。
【0004】
そこで、電気自動車に適用することができる車両用空気調和装置として、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、車室内側に設けられ、冷媒を放熱させる放熱器と、車室内側に設けられ、冷媒を吸熱させる吸熱器と、車室外側に設けられ、冷媒を放熱または吸熱させる室外熱交換器と、を備え、圧縮機が吐出した冷媒を放熱器において放熱させ、放熱器において放熱した冷媒を室外熱交換器において吸熱させる暖房運転と、圧縮機が吐出した冷媒を放熱器において放熱させ、放熱器において放熱した冷媒を吸熱器及び室外熱交換器の少なくとも吸熱器において吸熱させる除湿暖房運転と、圧縮機が吐出した冷媒を室外熱交換器において放熱させ、吸熱器において吸熱させる冷房運転と、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器及び室外熱交換器において放熱させ、吸熱器において吸熱させる除湿冷房運転と、を切換え可能としたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−278451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記電気自動車では、車両用空気調和装置の運転によって車両走行用の電力が消費される。このため、車両用空気調和装置で特に電力の消費量が大きい除湿暖房運転の時間が継続する場合には、車両用空気調和装置の運転によって消費される電力量の割合が大きくなるため、車両の走行可能距離が短くなるおそれがある。
【0007】
本発明の目的とするところは、車両の走行可能距離の低下を防止するとともに、車室内の空気調和を継続することのできる車両用空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、車室内側に設けられ、冷媒を放熱させる放熱器と、車室内側に設けられ、冷媒を吸熱させる吸熱器と、車室外側に設けられ、冷媒を放熱または吸熱させる室外熱交換器と、を備え、圧縮機が吐出した冷媒を室外熱交換器において放熱させ、室外熱交換器において放熱させた冷媒を膨張手段によって減圧させた後に吸熱器において吸熱させる冷房運転と、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器および室外熱交換器において放熱させ、放熱器および室外熱交換器において放熱させた冷媒を膨張手段によって減圧させた後に吸熱器において吸熱させる除湿冷房運転と、圧縮機が吐出した冷媒を放熱器において放熱させ、放熱器において放熱させた冷媒を膨張手段によって減圧させた後に室外熱交換器において吸熱させる暖房運転と、圧縮機が吐出した冷媒を放熱器において放熱させ、放熱器において放熱させた冷媒を膨張手段によって減圧させた後に吸熱器及び室外熱交換器の少なくとも吸熱器において吸熱させる除湿暖房運転と、を切換え可能な車両用空気調和装置において、車室外の温度、車室内の温度、車室内の湿度、日射量の少なくとも1つの環境条件を検出可能な環境条件検出手段と、車室を構成する窓ガラスの曇りの発生の有無を判定可能な曇り判定手段と、環境条件検出手段によって検出される環境条件に基づいて、暖房運転、除湿暖房運転、冷房運転、除湿冷房運転を切換える第1切換えモードと、環境条件検出手段によって検出される環境条件に基づいて、暖房運転、除湿暖房運転、冷房運転、除湿冷房運転を切換えるとともに、曇り判定手段によって窓ガラスに曇りが発生すると判定した場合のみ除湿暖房運転を行う第2切換えモードと、環境条件検出手段によって検出される環境条件に基づいて、暖房運転、冷房運転、除湿冷房運転を切換える第3切換えモードと、第1切換えモード、第2切換えモード及び第3切換えモードを切り換え可能なモード切換え手段と、を備えている。
【0009】
これにより、消費電力量の異なる第1切換えモード、第2切換えモード及び第3切換えモードが切り換え可能となることから、搭乗者によって第1切換えモード、第2切換えモードまたは第3切換えモードが任意に選択可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の搭乗者によって第1切換えモード、第2切換えモードまたは第3切換えモードが任意に選択可能となるので、第1切換えモードと比較して消費電力量が小さい第2切換えモードまたは第3切換えモードを選択することによって、車両の走行可能距離の低下を防止するとともに、車室内の空気調和を継続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図2】制御系を示すブロック図
【図3】冷房運転及び除湿冷房運転を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図4】暖房運転を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図5】第1除湿暖房運転を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図6】第2除湿暖房運転を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図7】除霜運転を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図8】通常モードにおける運転切換え制御処理を示すフローチャートである。
【図9】第1省エネモードにおける運転切換え制御処理を示すフローチャートである。
【図10】第2省エネモードにおける運転切換え制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図10は、本発明の一実施形態を示すものである。
【0013】
本発明の車両用空気調和装置は、図1に示すように、車室内に設けられた空調ユニット10と、車室内および車室外に亘って構成された冷媒回路20と、を備えている。
【0014】
空調ユニット10は、車室内に供給する空気を流通させるための空気流通路11を有している。空気流通路11の一端側には、車室外の空気を空気流通路11に流入させるための外気吸入口11aと、車室内の空気を空気流通路11に流入させるための内気吸入口11bと、が設けられている。また、空気流通路11の他端側には、空気流通路11を流通する空気を車室内の搭乗者の足元に向かって吹き出させるフット吹出口11cと、空気流通路11を流通する空気を車室内の搭乗者の上半身に向かって吹き出させるベント吹出口11dと、空気流通路11を流通する空気を車両のフロントガラスの車室内側の面に向かって吹き出させるデフ吹出口11eと、が設けられている。
【0015】
空気流通路11内の一端側には、空気を空気流通路11の一端側から他端側に向かって流通させるためのシロッコファン等の室内送風機12が設けられている。この室内送風機12は電動モータ12aによって駆動される。
【0016】
空気流通路11の一端側には、外気吸入口11a及び内気吸入口11bの一方を開放して他方を閉鎖することが可能な吸入口切換えダンパ13が設けられている。この吸入口切換えダンパ13は電動モータ13aによって駆動される。吸入口切換えダンパ13によって内気吸入口11bが閉鎖されて外気吸入口11aが開放されると、外気吸入口11aから空気が空気流通路11に流入する外気供給モードとなる。また、吸入口切換えダンパ13によって外気吸入口11aが閉鎖されて内気吸入口11bが開放されると、内気吸入口11bから空気が空気流通路11に流入する内気循環モードとなる。さらに、吸入口切換えダンパ13が外気吸入口11aと内気吸入口11bとの間に位置し、外気吸入口11aと内気吸入口11bがそれぞれ開放されると、吸入口切換えダンパ13による外気吸入口11a及び内気吸入口11bのそれぞれの開口率に応じた割合で、外気吸入口11aと内気吸入口11bとから空気が空気流通路11に流入する内外気吸入モードとなる。
【0017】
空気流通路11の他端側のフット吹出口11c、ベント吹出口11d及びデフ吹出口11eのそれぞれには、各吹出口11c,11d,11eを開閉するための吹出口切換えダンパ13b,13c,13dが設けられている。この吹出口切換えダンパ13b,13c,13dは、図示しないリンク機構によって連動するように構成され、電動モータ13eによってそれぞれ開閉される。ここで、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによってフット吹出口11cが開放されてベント吹出口11dが閉鎖され、デフ吹出口11eが僅かに開放されると、空気流通路11を流通する空気の大部分がフット吹出口11cから吹き出されると共に残りの空気がデフ吹出口11eから吹き出されるフットモードとなる。また、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによってフット吹出口11c及びデフ吹出口11eが閉鎖されてベント吹出口11dが開放されると、空気流通路11を流通する空気の全てがベント吹出口11dから吹き出されるベントモードとなる。さらに、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによってフット吹出口11c及びベント吹出口11dが開放されてデフ吹出口11eが閉鎖されると、空気流通路11を流通する空気がフット吹出口11c及びベント吹出口11dから吹き出されるバイレベルモードとなる。また、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによってフット吹出口11c及びベント吹出口11dが閉鎖されてデフ吹出口11eが開放されると、空気流通路11を流通する空気がデフ吹出口11eから吹き出されるデフモードとなる。また、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによってベント吹出口11dが閉鎖されてフット吹出口11c及びデフ吹出口11eが開放されると、空気流通路11を流通する空気がフット吹出口11c及びデフ吹出口11eから吹き出されるデフフットモードとなる。尚、バイレベルモードにおいては、フット吹出口11cから吹き出される空気の温度がベント吹出口11dから吹き出される空気の温度よりも高温となる温度差が生じるように、空気流通路11、フット吹出口11c、ベント吹出口11d、後述する吸熱器及び放熱器の互いの位置関係や構造となっている。
【0018】
室内送風機12の空気流通方向下流側の空気流通路11には、空気流通路11を流通する空気を冷却及び除湿するための吸熱器14が設けられている。また、吸熱器14の空気流通方向下流側の空気流通路11には、空気流通路11を流通する空気を加熱するための放熱器15が設けられている。吸熱器14及び放熱器15は、それぞれ内部を流通する冷媒と空気流通路11を流通する空気とを熱交換させるためのフィンとチューブ等からなる熱交換器である。
【0019】
吸熱器14と放熱器15との間の空気流通路11には、空気流通路11を流通する空気の放熱器15において加熱される割合を調整するためのエアミックスダンパ16が設けられている。エアミックスダンパ16は電動モータ16aによって駆動される。エアミックスダンパ16は、空気流通路11の放熱器15の上流側に位置することによって、放熱器15において熱交換する空気の割合が減少し、空気流通路11の放熱器15以外の部分側に移動させることによって、放熱器15において熱交換する空気の割合が増加する。エアミックスダンパ16は、空気流通路11の放熱器15の上流側を閉鎖して放熱器15以外の部分を開放した状態で開度が0%となり、空気流通路11の放熱器15の上流側を開放し、放熱器15以外の部分を閉鎖した状態で開度が100%となる。
【0020】
冷媒回路20は、前記吸熱器14、前記放熱器15、冷媒を圧縮するための圧縮機21、冷媒と車室外の空気とを熱交換するための室外熱交換器22、放熱器15から流出する、または室外熱交換器22を流通した冷媒と吸熱器14から流出する冷媒とを熱交換させるための内部熱交換器23、冷媒の流路を切換えるための電動の三方弁24、第1〜第4電磁弁25a〜25d及び第1〜第2逆止弁26a〜26b、流通する冷媒を減圧するための第1及び第2膨張弁27a,27b、余剰となる冷媒を貯留するためのレシーバタンク28、気体の冷媒と液体の冷媒を分離して液冷媒が圧縮機21に吸入されることを防止するためのアキュムレータ29を有し、これらは銅管やアルミニウム管によって接続されている。圧縮機21及び室外熱交換器22は、車室外に配置されている。また、圧縮機21は電動モータ21aによって駆動される。室外熱交換器22には、車両の停止時に車室外の空気と冷媒とを熱交換させるための室外送風機30が設けられている。室外送風機30は、電動モータ30aによって駆動される。第1膨張弁27aは、弁開度を調整可能な電子膨張弁である。
【0021】
具体的には、圧縮機21の冷媒吐出側に放熱器15の冷媒流入側が接続されることによって、冷媒流通路20aが設けられている。また、放熱器15の冷媒流出側には、室外熱交換器22の冷媒流入側が接続されることによって、冷媒流通路20bが設けられている。冷媒流通路20bには、三方弁24が設けられ、三方弁24の一方の冷媒流出側と他方の冷媒流出側が互いに並列に室外熱交換器22の冷媒流入側に接続され、それぞれ冷媒流通路20c,20dが設けられている。冷媒流通路20dには、冷媒流通方向の上流側から順に、レシーバタンク28、第1膨張弁27a、第1逆止弁26aが設けられている。室外熱交換器22の冷媒流出側には、圧縮機21の冷媒吸入側と、冷媒流通路20dの三方弁24とレシーバタンク28との間と、が互いに並列に接続されることによって、それぞれ冷媒流通路20e,20fが設けられている。冷媒流通路20eには、冷媒流通方向の上流側から順に、第1電磁弁25a、アキュムレータ29が設けられている。また、冷媒流通路20fには、冷媒流通方向の上流側から順に、第2電磁弁25b、第2逆止弁26bが設けられている。また、冷媒流通路20dのレシーバタンク28と第1膨張弁27aとの間には、内部熱交換器23の高圧冷媒流入側が接続され、冷媒流通路20gが設けられている。冷媒流通路20gには、第3電磁弁25cが設けられている。内部熱交換器23の高圧冷媒流出側には、吸熱器14の冷媒流入側が接続されることによって、冷媒流通路20hが設けられている。冷媒流通路20hには、第2膨張弁27bが設けられている。吸熱器14の冷媒流出側には、内部熱交換器23の低圧冷媒流入側が接続されることによって、冷媒流通路20iが設けられている。内部熱交換器23の低圧冷媒流出側には、冷媒流通路20eの第1電磁弁25aとアキュムレータ29との間が接続されることによって、冷媒流通路20jが設けられている。冷媒流通路20aには、室外熱交換器22の冷媒流入側が接続されることによって、冷媒流通路20kが設けられている。冷媒流通路20kには、第4電磁弁25dが設けられている。
【0022】
さらに、車両用空気調和装置は、車室内の温度及び湿度を設定された温度及び設定された湿度とする制御を行うためのコントローラ40を備えている。
【0023】
コントローラ40は、CPU、ROM,RAMを有している。コントローラ40は、入力側に接続された装置からの入力信号を受信すると、CPUが、入力信号に基づいてROMに記憶されたプログラムを読み出すとともに、入力信号によって検出された状態をRAMに記憶したり、出力側に接続された装置に出力信号を送信したりする。
【0024】
コントローラ40の出力側には、図2に示すように、室内送風機12駆動用の電動モータ12a、吸入口切換えダンパ13駆動用の電動モータ13a、吹出口切換えダンパ13b,13c,13d駆動用の電動モータ13e、エアミックスダンパ16駆動用の電動モータ16a、圧縮機21駆動用の電動モータ21a、三方弁24、第1〜第4電磁弁25a〜25d、第1膨張弁27a、室外送風機30駆動用の電動モータ30aが接続されている。
【0025】
コントローラ40の入力側には、図2に示すように、車室外の温度Tamを検出するための外気温度センサ41、車室内の温度Trを検出するための内気温度センサ42、空気流通路11に流入する空気の温度Tiを検出するための吸気温度センサ43、吸熱器14において冷却された後の空気の温度Teを検出するための冷却空気温度センサ44、放熱器15において加熱された後の空気の温度Tcを検出するための加熱空気温度センサ45、車室内の湿度Thを検出するための内気湿度センサ46、日射量Tsを検出するための例えばフォトセンサ式の日射センサ47、車両の移動速度Vを検出するための速度センサ48、目標設定温度Tsetや運転の切換えに関するモードを設定するための操作部49が接続されている。
【0026】
以上のように構成された車両用空気調和装置では、冷房運転、除湿冷房運転、暖房運転、第1除湿暖房運転、第2除湿暖房運転、除霜運転が行われる。以下、それぞれの運転について説明する。
【0027】
冷房運転及び除湿冷房運転において、冷媒回路20では、三方弁24の流路を冷媒流通路20c側に設定し、第2及び第3電磁弁25b,25cを開放するとともに、第1及び第4電磁弁25a,25dを閉鎖し、圧縮機21を運転する。
これにより、圧縮機21から吐出された冷媒は、図3に示すように、冷媒流通路20a、放熱器15、冷媒流通路20b,20c、室外熱交換器22、冷媒流通路20f,20g、内部熱交換器23の高圧側、冷媒流通路20h、吸熱器14、冷媒流通路20i、内部熱交換器23の低圧側、冷媒流通路20j,20eの順に流通して圧縮機21に吸入される。冷媒回路20を流通する冷媒は、室外熱交換器22において放熱し、吸熱器14において吸熱するとともに、除湿冷房運転としてエアミックスダンパ16が開放されている場合には放熱器15において放熱する。
【0028】
このとき、冷房運転中の空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、吸熱器14において冷媒と熱交換して冷却され、車室内の温度を目標設定温度Tsetとするために吹出口11c,11d,11eから吹き出すべき空気の温度である目標吹出温度TAOとなって車室内に吹き出される。
目標吹出温度TAOは、車室外の温度Tam、車室内の温度Tr、日射量Ts等の環境条件を、外気温度センサ41、内気温度センサ42、日射センサ47等によって検出し、検出された環境条件と目標設定温度Tsetに基づいて算出されるものである。
【0029】
また、除湿冷房運転中の空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、吸熱器14において吸熱する冷媒と熱交換して冷却されることによって除湿される。吸熱器14において除湿された空気は、放熱器15おいて放熱する冷媒と熱交換して加熱され、目標吹出温度TAOの空気となって車室内に吹き出される。
【0030】
暖房運転において、冷媒回路20では、三方弁24の流路を冷媒流通路20d側に設定し、第1電磁弁25aを開放するとともに、第2〜第4電磁弁25b〜25dを閉鎖し、圧縮機21を運転する。
これにより、圧縮機21から吐出された冷媒は、図4に示すように、冷媒流通路20a、放熱器15、冷媒流通路20b、20d、室外熱交換器22、冷媒流通路22eの順に流通して圧縮機21に吸入される。冷媒回路20を流通する冷媒は、放熱器15において放熱し、室外熱交換器22において吸熱する。
【0031】
このとき、空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、吸熱器14において冷媒と熱交換することなく、放熱器15において冷媒と熱交換して加熱され、目標吹出温度TAOの空気となって車室内に吹き出される。
【0032】
第1除湿暖房運転において、冷媒回路20では、三方弁24の流路を冷媒流通路20d側に設定し、第1及び第3電磁弁25a,25cを開放するとともに、第2及び第4電磁弁25b,25dを閉鎖し、圧縮機21を運転する。
これにより、圧縮機21から吐出された冷媒は、図5に示すように、冷媒流通路20a、放熱器15、冷媒流通路20b,20dを順に流通する。冷媒流通路20dを流通する冷媒の一部は、室外熱交換器22、冷媒流通路20eの順に流通して圧縮機21に吸入される。また、冷媒流通路20dを流通するその他の冷媒は、冷媒流通路20g、内部熱交換器23の高圧側、冷媒流通路20h、吸熱器14、冷媒流通路20i、内部熱交換器23の低圧側、冷媒流通路20j,20eの順に流通して圧縮機21に吸入される。冷媒回路20を流通する冷媒は、放熱器15において放熱し、吸熱器14及び室外熱交換器22において吸熱する。
【0033】
このとき、空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、吸熱器14において冷媒と熱交換して冷却されることにより除湿される。吸熱器14において除湿された空気は、一部の空気が放熱器15において冷媒と熱交換することによって加熱され、目標吹出温度TAOの空気となって車室内に吹き出される。
【0034】
第2除湿暖房運転において、冷媒回路20では、三方弁24の流路を冷媒流通路20d側に設定し、第3電磁弁25cを開放するとともに、第1、第2及び第4電磁弁25a,25b,25dを閉鎖し、圧縮機21を運転する。
これにより、圧縮機21から吐出された冷媒は、図6に示すように、冷媒流通路20a、放熱器15、冷媒流通路20b,20d,20g、内部熱交換器23の高圧側、冷媒流通路20h、吸熱器14、冷媒流通路20i、内部熱交換器23の低圧側、冷媒流通路20j,20eの順に流通して圧縮機21に吸入される。冷媒回路20を流通する冷媒は、放熱器15において放熱し、吸熱器14において吸熱する。
【0035】
このとき、空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、前記第1除湿暖房運転と同様に、吸熱器14において冷媒と熱交換して冷却されることにより除湿される。吸熱器14において除湿された空気は、一部の空気が放熱器15において冷媒と熱交換することによって加熱され、目標吹出温度TAOとなって車室内に吹き出される。
【0036】
除霜運転において、冷媒回路20では、三方弁24の流路を冷媒流通路20d側に設定し、第1及び第4電磁弁25a,25dを開放するとともに、第2及び第3電磁弁25b,25cを閉鎖し、圧縮機21を運転する。
これにより、圧縮機21から吐出された冷媒の一部は、図7に示すように、冷媒流通路20a、放熱器15、冷媒流通路20b,20dを順に流通して室外熱交換器22に流入する。また、圧縮機21から吐出されたその他の冷媒は、冷媒流路20a,20kを流通して室外熱交換器22に流入する。室外熱交換器22から流出した冷媒は、冷媒流通路20eを流通して圧縮機21に吸入される。冷媒回路20を流通する冷媒は、放熱器15において放熱するとともに、室外熱交換器22において放熱と同時に吸熱する。
【0037】
このとき、空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、吸熱器14において冷媒と熱交換することなく、放熱器15において放熱する冷媒と熱交換することによって加熱され、車室内に吹き出される。
【0038】
コントローラ40は、オートエアコンスイッチがオンの状態に設定されている場合に、冷房運転、除湿冷房運転、暖房運転、第1除湿暖房運転、第2除湿暖房運転、除霜運転を車室外の温度Tam、車室内の温度Tr、車室内の湿度Th、日射量Ts等の環境条件に基づいて切換える運転切換え制御処理を行う。
【0039】
運転切換え制御処理は、空気調和装置によって消費される電力量に応じて3段階に設定可能であり、通常モード、第1省エネモード、第2省エネモードの3つのモードが搭乗者の操作部49の操作によって選択される。第1省エネモードは、窓ガラスの曇りの有無を判定し、窓ガラスに曇りが発生すると判定した場合に第1除湿暖房運転または第2除湿暖房運転を行うモードであり、通常モードと比較して消費電力量が小さい。また、第2省エネモードは、第1除湿暖房運転及び第2除湿暖房運転を行わないモードであり、通常モード及び第1省エネモードと比較して消費電力量が小さい。
【0040】
まず、通常モードにおける運転切換え制御処理を図8のフローチャートを用いて説明する。
【0041】
(ステップS1)
ステップS1においてCPUは、外気温度Tamが所定温度T1(例えば、5℃)未満か否かを判定する。外気温度Tamが所定温度T1未満と判定した場合にはステップS2に処理を移し、外気温度Tamが所定温度T1以上と判定した場合にはステップS3に処理を移す。
【0042】
(ステップS2)
ステップS1において外気温度Tamが所定温度T1未満と判定した場合に、ステップS2においてCPUは、暖房運転を行う決定をして運転切換え制御処理を終了する。
【0043】
(ステップS3)
ステップS1において外気温度Tamが所定温度T1以上と判定した場合に、ステップS3においてCPUは、目標吹出温度TAOが所定温度T2(例えば、25℃)以上か否かを判定する。目標吹出温度TAOが所定温度T2以上と判定した場合にはステップS4に処理を移し、目標吹出温度TAOが所定温度T2未満と判定した場合にはステップS6に処理を移す。
【0044】
(ステップS4)
ステップS3において目標吹出温度TAOが所定温度T2以上と判定した場合に、ステップS4においてCPUは、外気温度Tamが所定温度T3(例えば、15℃、T2>T3)未満か否かを判定する。外気温度Tamが所定温度T3未満と判定した場合にはステップS5に処理を移し、外気温度Tamが所定温度T3以上と判定した場合にはステップS8に処理を移す。
【0045】
(ステップS5)
ステップS4において外気温度Tamが所定温度T3未満と判断した場合に、ステップS5においてCPUは、第1除湿暖房運転を行う決定をして運転切換え制御処理を終了する。
【0046】
(ステップS6)
ステップS3において目標吹出温度TAOが所定温度T2未満と判定した場合に、ステップS6においてCPUは、目標吹出温度TAOが外気温度Tamより高いか否かを判定する。目標吹出温度TAOが外気温度Tamより高いと判定した場合にはステップS7に処理を移し、目標吹出温度TAOが外気温度Tam以下と判定した場合にはステップS9に処理を移す。
【0047】
(ステップS7)
ステップS6において目標吹出温度TAOが外気温度Tamより高いと判定した場合に、ステップS7においてCPUは、外気温度Tamが所定温度T4(例えば、20〜25℃)未満か否かを判定する。外気温度Tamが所定温度T4未満と判定した場合にはステップS8に処理を移し、外気温度Tamが所定温度T4以上と判定した場合にはステップS9に処理を移す。
【0048】
(ステップS8)
ステップS4において外気温度Tamが所定温度T3以上と判定した場合、または、ステップS7において外気温度Tamが所定温度T4未満と判定した場合に、ステップS8においてCPUは、第2除湿暖房運転を行う決定をして運転切換え制御処理を終了する。
【0049】
(ステップS9)
ステップS6において目標吹出温度TAOが外気温度Tam以下と判定した場合、または、ステップS7において外気温度Tamが所定温度T4以上と判定した場合に、ステップS9においてCPUは、冷房運転または除湿冷房運転を行う決定をして運転切換え制御処理を終了する。
【0050】
次に、第1省エネモードにおける運転切換え制御処理を図9のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
(ステップS11)
ステップS11においてCPUは、外気温度Tamが所定温度T1(例えば、5℃)未満か否かを判定する。外気温度Tamが所定温度T1未満と判定した場合にはステップS12に処理を移し、外気温度Tamが所定温度T1以上と判定した場合にはステップS13に処理を移す。
【0052】
(ステップS12)
ステップS11において外気温度Tamが所定温度T1未満と判定した場合、または、後述するステップS15及びステップS19における窓ガラスの曇りの有無の判定によって曇りがないと判定された場合に、ステップS12においてCPUは、暖房運転を行う決定をして運転切換え制御処理を終了する。
【0053】
(ステップS13)
ステップS11において外気温度Tamが所定温度T1以上と判定した場合に、ステップS13においてCPUは、目標吹出温度TAOが所定温度T2(例えば、25℃)以上か否かを判定する。目標吹出温度TAOが所定温度T2以上と判定した場合にはステップS14に処理を移し、目標吹出温度TAOが所定温度T2未満と判定した場合にはステップS17に処理を移す。
【0054】
(ステップS14)
ステップS13において目標吹出温度TAOが所定温度T2以上と判定した場合に、ステップS14においてCPUは、外気温度Tamが所定温度T3(例えば、15℃、T2>T3)未満か否かを判定する。外気温度Tamが所定温度T3未満と判定した場合にはステップS15に処理を移し、外気温度Tamが所定温度T3以上と判定した場合にはステップS19に処理を移す。
【0055】
(ステップS15)
ステップS14において外気温度Tamが所定温度T3未満と判定した場合に、ステップS15においてCPUは、窓ガラスの曇りの有無の判定を行う。窓ガラスに曇りが発生すると判定した場合にはステップS16に処理を移し、窓ガラスに曇りが発生しないと判定した場合にはステップS12に処理を移す。
ここで、窓ガラスの曇りの有無の判定は、車室外の温度Tam、車室内の温度Tr、日射量Ts及び車両の移動速度Vから算出された窓ガラス表面の推定温度と、車室内の温度Trと車室内の湿度Thとから算出された露点温度とに基づいて行われる。具体的には、窓ガラス表面の推定温度が車室内の空気の露点温度以下の場合に窓ガラスに曇りが発生すると判定する。また、窓ガラスの表面の推定温度が車室内の空気の露点温度よりも高い場合に窓ガラスに曇りが発生しないと判定する。
【0056】
(ステップS16)
ステップS15において窓ガラスに曇りが発生すると判定した場合に、ステップS16においてCPUは、第1除湿暖房運転を行う決定をして運転切換え制御処理を終了する。
【0057】
(ステップS17)
ステップS13において目標吹出温度TAOが所定温度T2未満と判定した場合に、ステップS17においてCPUは、目標吹出温度TAOが外気温度Tamより高いか否かを判定する。目標吹出温度TAOが外気温度Tamより高いと判定した場合にはステップS18に処理を移し、目標吹出温度TAOが外気温度Tam以下と判定した場合にはステップS21に処理を移す。
【0058】
(ステップS18)
ステップS17において目標吹出温度TAOが外気温度Tamより高いと判定した場合に、ステップS18においてCPUは、外気温度Tamが所定温度T4(例えば、20〜25℃)未満か否かを判定する。外気温度Tamが所定温度T4未満と判定した場合にはステップS19に処理を移し、外気温度Tamが所定温度T4以上と判定した場合にはステップS21に処理を移す。
【0059】
(ステップS19)
ステップS14において外気温度Tamが所定温度T3以上と判定した場合、または、ステップS18において外気温度Tamが所定温度T4未満と判定した場合に、ステップS19においてCPUは、窓ガラスの曇りの有無を判定する。窓ガラスに曇りが発生すると判定した場合にはステップS20に処理を移し、窓ガラスに曇りが発生しないと判定した場合にはステップS12に処理を移す。
【0060】
(ステップS20)
ステップS19において窓ガラスに曇りが発生すると判定した場合に、ステップS20においてCPUは、第2除湿暖房運転を行う決定をして運転切換え制御処理を終了する。
【0061】
(ステップS21)
ステップS17において目標吹出温度TAOが外気温度Tam以下と判定した場合、または、ステップS18において外気温度Tamが所定温度T4以上と判定した場合に、ステップS21においてCPUは、冷房運転または除湿冷房運転を行う決定をして運転切換え制御処理を終了する。
【0062】
さらに、第2省エネモードにおける運転切換え制御処理を図10のフローチャートを用いて説明する。
【0063】
(ステップS31)
ステップS31においてCPUは、目標吹出温度TAOが外気温度Tamより高いか否かを判定する。目標吹出温度TAOが外気温度Tamより高いと判定した場合にはステップS32に処理を移し、目標吹出温度TAOが外気温度Tam以下と判定した場合にはステップS33に処理を移す。
【0064】
(ステップS32)
ステップS31において目標吹出温度TAOが外気温度Tamより高いと判定した場合に、ステップS32においてCPUは、暖房運転を行う決定をして運転切換え制御処理を終了する。
【0065】
(ステップS33)
ステップS31において目標吹出温度TAOが外気温度Tam以下と判定した場合に、ステップS33においてCPUは、冷房運転または除湿冷房運転を行う決定をして運転切換え制御処理を終了する。
【0066】
次に、吹出口11c,11d,11eから目標吹出温度TAOの空気を吹き出すために、圧縮機21を駆動する電動モータ21a及びエアミックスダンパ16を駆動する電動モータ16aの制御方法を説明する。
【0067】
まず、目標吹出温度TAOは、車室外の温度Tam、車室内の温度Tr、日射量Ts等の環境条件を、外気温度センサ31、内気温度センサ32、日射センサ34等によって検出し、検出された環境条件と目標設定温度Tsetに基づいて算出される。
【0068】
冷房運転及び除湿冷房運転において、通常モード及び第2省エネモードの場合には、吸熱器14において冷却された後の空気の温度Teが、所定の目標温度Tetとなるように、冷却空気温度センサ44が検出する温度に基づいて電動モータ21aの回転数を制御する。
【0069】
また、冷房運転及び除湿冷房運転において、第1省エネモードの場合には、吸熱器14において冷却された後の空気の温度Teが、車室内の窓ガラスに曇りを生じないようにするために必要な絶対湿度となる空気の露点温度である目標温度Tetとなるように、冷却空気温度センサ44の検出温度に基づいて電動モータ21aの回転数を制御する。ここで、目標温度Tetは、外気温度センサ41及び内気温度センサ42によって検出される車室外の温度Tam及び車室内の温度Trに基づいて算出される。
【0070】
冷房運転及び除湿冷房運転において、放熱器15を流通する冷媒の温度は、車室外の温度Tamに従って変化するため、放熱器15において加熱された後の空気の推定温度Tctは、車室外の温度Tamに基づいて推定される。
【0071】
冷房運転及び除湿冷房運転において、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dはベントモードに設定される。また、エアミックスダンパ16は、目標吹出温度TAO、推定温度Tct及び目標温度Tetから求められる開度SW(SW=(TAO−Tet)/(Tct−Tet))となるように制御される。
【0072】
暖房運転において、吸熱器14には冷媒が流通しないため、吸熱器14において冷却された後の空気の目標温度Tetを設定しない。暖房運転において、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dがフットモードに設定されている場合には、放熱器15において加熱された後の空気の温度Tcが、目標吹出温度TAOに所定温度αを加えた目標加熱温度Tctとなるように、加熱空気温度センサ45の検出温度に基づいて電動モータ21aの回転数を制御する。ここで、所定値αは、空気流通路11を流通することによって失われる熱量に相当する温度となる。この場合、エアミックスダンパ16の開度は100%に設定される。
【0073】
また、暖房運転において、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dがバイレベルモードに設定されている場合には、放熱器15において加熱された後の空気の温度Tcが、目標吹出温度TAOに所定値β(α<β)を加えた目標加熱温度Tctとなるように、加熱空気温度センサ45の検出温度に基づいて電動モータ21aの回転数を制御する。ここで、バイレベルモードの場合には、フット吹出口11cから吹き出される空気の温度とベント吹出口11dから吹き出される空気の温度との間に所定の温度差を生じさせているために、空気流通路11を流通する空気の一部が放熱器15において熱交換しない。このため、所定値βは、空気流通路11を流通する空気全体の平均温度を目標吹出温度TAOとするために必要な熱量に相当する温度となる。
【0074】
前述したように、エアミックスダンパ16の開度SWは、目標吹出温度TAO、吸熱器14において冷却された後の空気の温度Te及び放熱器15において加熱された後の空気の温度Tcから求められる(SW=(TAO−Te)/(Tc−Te))。暖房運転において、吸熱器14には冷媒が流通しないため、温度Teは、車室外の空気温度Tam及び車室内の温度Trの一方の温度、または、車室外の空気と車室内の空気が混合された空気の温度となる。この開度SWを固定値(0.5〜0.7)とした場合、エアミックスダンパ16の開度SW、目標吹出温度TAO及び温度Teから温度Tc(Tc=(TAO−Te)/SW+Te)が求められる。
したがって、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dがバイレベルモードに設定されている場合において、放熱器15の目標加熱温度Tctは、次式のように求められる。
Tct=TAO+β=(TAO−Te)/SW+Te
【0075】
この場合、エアミックスダンパ16の開度SWは、例えば50%〜70%の範囲内で開度が制御される。
【0076】
第1除湿暖房運転において、通常モードの場合には、吸熱器14において冷却された後の空気の温度Teが、所定の目標温度Tetとなるように、冷却空気温度センサ44の検出温度に基づいて第1膨張弁27aの開度を制御する。また、第1省エネモードの場合には、吸熱器14において冷却された後の空気の温度Teが、車室内の窓ガラスに曇りを生じないようにするために必要な絶対湿度となる空気の露点温度である目標温度Tetとなるように、冷却空気温度センサ44の検出温度に基づいて第1膨張弁27aの開度を制御する。
【0077】
また、第1除湿暖房運転において、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dがフットモード、ベントモード、デフモード、デフフットモードに設定されている場合には、放熱器15において加熱された後の空気の温度Tcが、前記暖房運転のフットモードの場合と同様に、目標吹出温度TAOに所定値αを加えた目標加熱温度Tctとなるように、加熱空気温度センサ45の検出温度に基づいて電動モータ21aの回転数を制御する。この場合、エアミックスダンパ16の開度SWは100%に設定される。
【0078】
さらに、第1除湿暖房運転において、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dがバイレベルモードに設定されている場合には、放熱器15において加熱された後の空気の温度Tcが、前記暖房運転のバイレベルモードの場合と同様に、目標吹出温度TAOに所定値β(α<β)を加えた目標加熱温度Tctとなるように、加熱空気温度センサ45の検出温度に基づいて電動モータ21aの回転数を制御する。
【0079】
この場合、エアミックスダンパ16の開度SWは、暖房運転のバイレベルモードと同様に、例えば50%〜70%の範囲内で開度が制御される。
【0080】
第2除湿暖房運転においては、吸熱器14において冷却された後の空気の温度Teが、所定の目標温度Tetとなるように、電動モータ21aの回転数を制御する。
【0081】
また、第2除湿暖房運転においては、各吹出口11c,11d,11eから吹出される空気が目標吹出温度TAOとなるように、エアミックスダンパ16の開度SWを制御する。
【0082】
また、コントローラ40は、運転切換え制御処理によって切り換えられる各運転において、目標吹出温度TAOに応じてフットモード、ベントモード、バイレベルモードの切り替えを行う。具体的には、目標吹出温度TAOが例えば40℃以上など、高温となる場合にフットモードに設定する。また、コントローラ40は、目標吹出温度TAOが例えば25℃未満など、低温となる場合にベントモードに設定する。さらに、コントローラ40は、目標吹出温度TAOが、フットモードが設定される目標吹出温度TAOとベントモードが設定される目標吹出温度TAOとの間の温度の場合にバイレベルモードを設定する。
【0083】
このように、本実施形態の車両用空気調和装置によれば、環境条件に基づいて、暖房運転、除湿暖房運転、冷房運転、除湿冷房運転を切換える通常モードと、環境条件に基づいて、暖房運転、除湿暖房運転、冷房運転、除湿冷房運転を切換えるとともに、曇り判定手段によって窓ガラスに曇りが発生すると判定した場合のみ除湿暖房運転を行う第1省エネモードと、環境条件に基づいて、暖房運転、冷房運転、除湿冷房運転を切換える第2省エネモードとを備え、操作部49によって通常モード、第1省エネモード及び第2省エネモードを切り換え可能としている。これにより、車両の搭乗者によって通常モード、第1省エネモードまたは第2省エネモードが任意に選択可能となるので、通常モードと比較して消費電力量が小さい第1省エネモードまたは第2省エネモードを選択することによって、車両の走行可能距離の低下を防止するとともに、車室内の空気調和を継続することが可能となる。
【0084】
また、通常モードでは、外気温度Tamが所定温度T1未満の場合に暖房運転を行い、外気温度Tamが所定温度T1以上で、目標吹出温度TAOが所定温度T2以上であり、外気温度Tamが所定温度T3未満の場合に第1除湿暖房運転を行い、外気温度Tamが所定温度T1以上で、目標吹出温度TAOが所定温度T2以上であり、外気温度Tamが所定温度T3以上の場合に第2除湿暖房運転を行い、外気温度Tamが所定温度T1以上で、目標吹出温度TAOが、所定温度T2未満且つ外気温度Tamより高く、外気温度Tamが所定温度T4未満の場合に第2除湿暖房運転を行い、外気温度Tamが所定温度T1以上で、目標吹出温度TAOが、所定温度T2未満且つ外気温度Tamより高く、外気温度Tamが所定温度T4以上の場合に、冷房運転または除湿冷房運転を行い、外気温度Tamが所定温度T1以上で、目標吹出温度TAOが、所定温度T2未満且つ外気温度Tam以下の場合に冷房運転または除湿冷房運転を行うようにしている。これにより、暖房運転、第1除湿暖房運転、第2除湿暖房運転、冷房運転または除湿暖房運転の切換えを確実に行うことができるので、車室内を搭乗者にとって最適な温度及び湿度に保持することが可能となる。
【0085】
また、第1省エネモードでは、外気温度Tamが所定温度T1未満の場合に暖房運転を行い、外気温度Tamが所定温度T1以上で、目標吹出温度TAOが所定温度T2以上であり、外気温度Tamが所定温度T3未満で、窓ガラスの曇りが発生しないと判定した場合に暖房運転を行い、外気温度Tamが所定温度T1以上で、目標吹出温度TAOが所定温度T2以上であり、外気温度Tamが所定温度T3未満で、窓ガラスの曇りが発生すると判定した場合に第1除湿暖房運転を行い、外気温度Tamが所定温度T1以上で、目標吹出温度TAOが所定温度T2以上であり、外気温度Tamが所定温度T3以上で、窓ガラスの曇りが発生しないと判定した場合に暖房運転を行い、外気温度Tamが所定温度T1以上で、目標吹出温度TAOが所定温度T2以上であり、外気温度Tamが所定温度T3以上で、窓ガラスの曇りが発生すると判定した場合に第2除湿暖房運転を行い、外気温度Tamが所定温度T1以上で、目標吹出温度TAOが、所定温度T2未満且つ外気温度Tamより高く、外気温度Tamが所定温度T4未満で、窓ガラスの曇りが発生しないと判定した場合に暖房運転を行い、外気温度Tamが所定温度T1以上で、目標吹出温度TAOが、所定温度T2未満且つ外気温度Tamより高く、外気温度Tamが所定温度T4未満で、窓ガラスの曇りが発生すると判定した場合に第2除湿暖房運転を行い、外気温度Tamが所定温度T1以上で、目標吹出温度TAOが、所定温度T2未満且つ外気温度Tamより高く、外気温度Tamが所定温度T4以上の場合に、冷房運転または除湿冷房運転を行い、外気温度Tamが所定温度T1以上で、目標吹出温度TAOが、所定温度T2未満且つ外気温度Tam以下の場合に冷房運転または除湿冷房運転を行うようにしている。これにより、通常モードにおいて第1除湿暖房運転や第2除湿暖房運転に切り替えられる条件においても、窓ガラスの曇りが発生しないと判定した場合には、第1除湿暖房運転や第2除湿暖房運転を行うことなく暖房運転を行うので、通常モードと比較して消費電力量を低減することが可能となる。
【0086】
また、第2省エネモードは、目標吹出温度TAOが外気温度Tamより高い場合に暖房運転を行い、目標吹出温度TAOが外気温度Tam以下の場合に冷房運転または除湿冷房運転を行うようにしている。これにより、通常モードや第1省エネモードにおいて第1除湿暖房運転や第2除湿暖房運転に切り換えられる条件においても、第1除湿暖房運転や第2除湿暖房運転を行わないので、通常モード及び第1省エネモードと比較して消費電力量を低減することが可能となる。
【0087】
また、暖房運転時のフットモードにおいて、放熱器15において熱交換された後の空気の温度Tcが目標加熱温度Tctとなるように電動モータ21aの回転数を制御するとともに、放熱器15において冷媒と熱交換する空気の割合が最大となるようにエアミックスダンパ16の開度を制御し、暖房運転時のバイレベルモードにおいて、放熱器15において熱交換された後の空気の温度Tcが目標加熱温度Tctとなるように電動モータ21aの回転数を制御するとともに、50%〜70%の開度の範囲内で、且つ、目標加熱温度Tct、空気流通路に流入する空気の温度Te、及び、目標吹出温度TAOから算出される開度となるようにエアミックスダンパ16を制御するようにしている。これにより、吹出口切換えダンパ13b,13c,13のモードによって電動モータ21aの回転数及びエアミックスダンパ16の開度が制御されるので、車室内に吹出す空気を確実に目標吹出温度TAOとすることが可能となる。
【0088】
また、暖房運転時のフットモードにおける目標加熱温度Tctを、目標吹出温度TAOに対して、車室内に吹出される空気が空気流通路11を流通する際の熱損失に相当する熱量を加えた温度とし、暖房運転時のバイレベルモードにおける目標加熱温度Tctを、目標吹出温度TAO、空気流通路11に流入する空気の温度、及び、エアミックスダンパ16の開度に基づいて算出される温度としている。これにより、吹出口切換えダンパ13b,13c,13のモードによって目標加熱温度Tctを設定しているので、車室内に吹出す空気を確実に目標吹出温度TAOとすることが可能となる。
【0089】
また、第1除湿暖房運転時において、吸熱器14において熱交換された後の空気の温度Teが除湿冷却後に目標温度Tetとなるように室外熱交換器22の冷媒流入側に設けられた第1膨張弁27aの開度を制御し、第1除湿暖房運転のフットモード、ベントモード、デフモード及びデフフットモードにおいて、放熱器15において熱交換された後の空気の温度Tcが除湿後に目標加熱温度Tctとなるように電動モータ21aの回転数を制御するとともに、放熱器15において冷媒と熱交換する空気の割合が最大となるようにエアミックスダンパ16の開度を制御し、第1除湿暖房運転のバイレベルモードにおいて、放熱器15において熱交換された後の空気の温度Tcが除湿後に目標加熱温度Tctとなるように電動モータ21aの回転数を制御するとともに、50%〜70%の開度の範囲内で、且つ、目標吹出温度TAO、除湿冷却後の空気の目標温度Tet、及び、除湿後の目標加熱温度Tctから算出される開度となるようにエアミックスダンパ16の開度を制御している。これにより、吹出口切換えダンパ13b,13c,13のモードによって電動モータ21aの回転数及びエアミックスダンパ16の開度が制御されるので、車室内に吹出す空気を確実に目標吹出温度TAOとすることが可能となる。
【0090】
また、第1除湿暖房運転時の除湿冷却後の目標温度Tetを、第1切換えモードにおいて、所定の除湿冷却後の目標温度Tetとし、第2切換えモードにおいて、車室内の湿度Thを所定の湿度以下とするために、車室内の温度Tr、車室内の湿度Th、目標吹出温度TAOから算出される除湿冷却後の目標温度Tetとし、第1除湿暖房運転のフットモード、ベントモード、デフモード及びデフフットモードにおける除湿後の目標加熱温度Tctを、目標吹出温度TAOに対して、車室内に吹出される空気が空気流通路11を流通する際の熱損失に相当する熱量を加えた温度とし、除湿暖房運転のバイレベルモードにおける除湿後の目標加熱温度Tctを、目標吹出温度TAO、除湿冷却後の目標温度Tet、及び、エアミックスダンパ16の開度に基づいて算出される温度としている。これにより、吹出口切換えダンパ13b,13c,13のモードによって除湿冷却後の目標温度Tet及び除湿後の目標加熱温度Tctを設定しているので、車室内に吹出す空気を確実に目標吹出温度TAOとすることが可能となる。
【0091】
また、冷房運転及び除湿冷房運転時において、吸熱器14において熱交換された後の空気の温度Teが冷却後の目標温度Tetとなるように電動モータ21aの回転数を制御するとともに、放熱器15において熱交換された後の空気の温度Tcを推定温度Tctとして推定し、目標吹出温度TAO、冷却後の目標温度Tet、及び、推定温度Tctから算出される開度となるようにエアミックスダンパ16の開度を制御している。これにより、吹出口切換えダンパ13b,13c,13のモードによって電動モータ21aの回転数及びエアミックスダンパ16の開度が制御されるので、車室内に吹出す空気を確実に目標吹出温度TAOとすることが可能となる。
【0092】
また、前記冷却後の目標温度Tetを、第1切換えモード及び第3切換えモードにおいて、所定の冷却後の目標温度Tetとし、第2切換えモードにおいて、車室内の湿度Thを所定の湿度以下とするために、車室内の温度Tr、車室内の湿度Th、目標吹出温度TAOから算出される冷却後の目標温度Tetとしている。これにより、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dのモードによって冷却後の目標温度Tet及び推定温度Tctを設定しているので、車室内に吹出す空気を確実に目標吹出温度TAOとすることが可能となる。
【0093】
尚、前記実施形態では、空気流通路11を流通する空気が放熱器15において冷媒と熱交換する熱量を暖房、第1及び第2除湿暖房及び除湿冷房の熱源としたものを示したが、熱量が不足する場合には補助の熱源を設けるようにしてもよい。例えば、放熱器15とは別に、熱源として空気流通路1内に空気流通路11を流通する空気を直接加熱可能な電気ヒータを備えるようにしてもよい。また、空気流通路11の内外に亘って温水回路を構成し、温水回路内を流通する温水を空気流通路11外において加熱して、空気流通路11において放熱させるようにしてもよい。
【0094】
また、前記実施形態では、冷媒回路20において、冷媒流路20c,20dを切換えるために三方弁24を用いたものを示したが、三方弁24の代わりに2台の電磁弁の開閉によって冷媒流路20c,20dを切換えるようにしてもよい。
【0095】
また、前記実施形態では、運転切換え制御処理を、車室外の温度Tam、環境条件に基づいて算出される目標吹出し温度TAOおよび窓ガラスの曇りの有無の判定に基づいて行っている。環境条件としては、車室外の温度Tam、車室内の温度Tr、車室内の湿度Th、日射量Tsの少なくとも1つの条件が用いられるものである。
【0096】
また、前記実施形態では、第1除湿暖房運転時の除湿冷却後の目標温度Tetを、第2切換えモードにおいて、車室内の温度Tr、車室内の湿度Th、目標吹出温度TAOから算出される除湿冷却後の目標温度Tetとしている。第1除湿暖房運転時の除湿冷却後の目標温度Tetは、第2切換えモードにおいて、車室外の温度Tam、車室内の温度Tr、車室内の湿度Th、日射量Ts、車両の移動速度V、目標吹出温度TAOの少なくとも1つの条件に基づいて算出されるものである。
【0097】
また、前記実施形態では、冷房運転及び除湿冷房運転時の冷却後の目標温度Tetを、第2切換えモードにおいて、車室内の温度Tr、車室内の湿度Th、目標吹出温度TAOから算出される冷却後の目標温度Tetとしている。冷房運転および除湿冷房運転時の冷却後の目標温度Tetは、第2切換えモードにおいて、車室外の温度Tam、車室内の温度Tr、車室内の湿度Th、日射量Ts、車両の移動速度V、目標吹出温度TAOの少なくとも1つの条件に基づいて算出されるものである。
【符号の説明】
【0098】
10…空調ユニット、14…吸熱器、15…放熱器、20…冷媒回路、21…圧縮機、22…室外熱交換器、24…三方弁、25a〜25d…第1〜第4電磁弁、26a〜26c…第1〜第3逆止弁、27a…第1膨張弁、27b…第2膨張弁、40…コントローラ、41…外気温度センサ、42…内気温度センサ、43…吸気温度センサ、44…冷却空気温度センサ、45…加熱空気温度センサ、46…内気湿度センサ、47…日射センサ、48…速度センサ、49…操作部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
車室内側に設けられ、冷媒を放熱させる放熱器と、
車室内側に設けられ、冷媒を吸熱させる吸熱器と、
車室外側に設けられ、冷媒を放熱または吸熱させる室外熱交換器と、を備え、
圧縮機が吐出した冷媒を室外熱交換器において放熱させ、室外熱交換器において放熱させた冷媒を膨張手段によって減圧させた後に吸熱器において吸熱させる冷房運転と、
圧縮機から吐出された冷媒を放熱器および室外熱交換器において放熱させ、放熱器および室外熱交換器において放熱させた冷媒を膨張手段によって減圧させた後に吸熱器において吸熱させる除湿冷房運転と、
圧縮機が吐出した冷媒を放熱器において放熱させ、放熱器において放熱させた冷媒を膨張手段によって減圧させた後に室外熱交換器において吸熱させる暖房運転と、
圧縮機が吐出した冷媒を放熱器において放熱させ、放熱器において放熱させた冷媒を膨張手段によって減圧させた後に吸熱器及び室外熱交換器の少なくとも吸熱器において吸熱させる除湿暖房運転と、を切換え可能な車両用空気調和装置において、
車室外の温度、車室内の温度、車室内の湿度、日射量の少なくとも1つの環境条件を検出可能な環境条件検出手段と、
車室を構成する窓ガラスの曇りの発生の有無を判定可能な曇り判定手段と、
環境条件検出手段によって検出される環境条件に基づいて、暖房運転、除湿暖房運転、冷房運転、除湿冷房運転を切換える第1切換えモードと、
環境条件検出手段によって検出される環境条件に基づいて、暖房運転、除湿暖房運転、冷房運転、除湿冷房運転を切換えるとともに、曇り判定手段によって窓ガラスに曇りが発生すると判定した場合のみ除湿暖房運転を行う第2切換えモードと、
環境条件検出手段によって検出される環境条件に基づいて、暖房運転、冷房運転、除湿冷房運転を切換える第3切換えモードと、
第1切換えモード、第2切換えモード及び第3切換えモードを切り換え可能なモード切換え手段と、を備えた
ことを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項2】
前記除湿暖房運転は、放熱器において放熱させた冷媒を膨張手段によって減圧させた後に吸熱器及び室外熱交換器において吸熱させる第1除湿暖房運転と、放熱器において放熱させた冷媒を膨張手段によって減圧させた後に吸熱器において吸熱させる第2除湿暖房運転と、を有し、
前記環境条件検出手段は、車室外の温度を検出する外気温検出手段であり、
前記第1モードは、
外気温度検出手段によって検出された温度が第1所定温度未満の場合に暖房運転を行い、
車室外の温度が第1所定温度以上で、車室内の温度を設定温度とするために必要な車室内に向かって吹出す空気の温度である目標吹出温度が第2所定温度以上であり、車室外の温度が第3所定温度未満の場合に第1除湿暖房運転を行い、
車室外の温度が第1所定温度以上で、目標吹出温度が第2所定温度以上であり、車室外の温度が第3所定温度以上の場合に第2除湿暖房運転を行い、
車室外の温度が第1所定温度以上で、目標吹出温度が、第2所定温度未満且つ車室外の温度より高く、車室外の温度が第4所定温度未満の場合に第2除湿暖房運転を行い、
車室外の温度が第1所定温度以上で、目標吹出温度が、第2所定温度未満且つ車室外の温度より高く、車室外の温度が第4所定温度以上の場合に、冷房運転または除湿冷房運転を行い、
車室外の温度が第1所定温度以上で、目標吹出温度が、第2所定温度未満且つ車室外の温度以下の場合に冷房運転または除湿冷房運転を行う
ことを特徴とする請求項1記載の車両用空気調和装置。
【請求項3】
前記第2モードは、
外気温度検出手段によって検出された温度が第1所定温度未満の場合に暖房運転を行い、
車室外の温度が第1所定温度以上で、目標吹出温度が第2所定温度以上であり、車室外の温度が第3所定温度未満で、曇り判定手段によって窓ガラスの曇りが発生しないと判定した場合に暖房運転を行い、
車室外の温度が第1所定温度以上で、目標吹出温度が第2所定温度以上であり、車室外の温度が第3所定温度未満で、曇り判定手段によって窓ガラスの曇りが発生すると判定した場合に第1除湿暖房運転を行い、
車室外の温度が第1所定温度以上で、目標吹出温度が第2所定温度以上であり、車室外の温度が第3所定温度以上で、曇り判定手段によって窓ガラスの曇りが発生しないと判定した場合に暖房運転を行い、
車室外の温度が第1所定温度以上で、目標吹出温度が第2所定温度以上であり、車室外の温度が第3所定温度以上で、曇り判定手段によって窓ガラスの曇りが発生すると判定した場合に第2除湿暖房運転を行い、
車室外の温度が第1所定温度以上で、目標吹出温度が、第2所定温度未満且つ車室外の温度より高く、車室外の温度が第4所定温度未満で、曇り判定手段によって窓ガラスの曇りが発生しないと判定した場合に暖房運転を行い、
車室外の温度が第1所定温度以上で、目標吹出温度が、第2所定温度未満且つ車室外の温度より高く、車室外の温度が第4所定温度未満で、曇り判定手段によって窓ガラスの曇りが発生すると判定した場合に第2除湿暖房運転を行い、
車室外の温度が第1所定温度以上で、目標吹出温度が、第2所定温度未満且つ車室外の温度より高く、車室外の温度が第4所定温度以上の場合に、冷房運転または除湿冷房運転を行い、
車室外の温度が第1所定温度以上で、目標吹出温度が、第2所定温度未満且つ車室外の温度以下の場合に冷房運転または除湿冷房運転を行う
ことを特徴とする請求項2記載の車両用空気調和装置。
【請求項4】
前記第3モードは、
目標吹出温度が車室外の温度より高い場合に暖房運転を行い、
目標吹出温度が車室外の温度以下の場合に冷房運転または除湿冷房運転を行う
ことを特徴とする請求項2または3記載の車両用空気調和装置。
【請求項5】
放熱器及び吸熱器が配置された空気流通路を有し、空気流通路を流通する空気を車室内に吹き出させるための複数の吹出口が設けられた空調ユニットと、
空気流通路を流通する空気を、車室内の搭乗者の頭部側に向かって吹き出させるベントモードと、車室内の搭乗者の足元側に向かって吹き出させるフットモードと、車室内の搭乗者の頭部側及び足元側のそれぞれに向かって吹き出させるバイレベルモードと、が切換え可能な吹出口切換え手段と、
開度を変更することによって、空気流通路を流通する空気の放熱器において冷媒と熱交換する割合を変更可能なエアミックスダンパと、を備え、
暖房運転時のフットモードにおいて、放熱器において熱交換された後の空気の温度が加熱目標温度となるように圧縮機を駆動する電動モータの回転数を制御するとともに、放熱器において冷媒と熱交換する空気の割合が最大となるようにエアミックスダンパの開度を制御し、
暖房運転時のバイレベルモードにおいて、放熱器において熱交換された後の空気の温度が加熱目標温度となるように圧縮機を駆動する電動モータの回転数を制御するとともに、所定範囲内の開度で、且つ、目標吹出温度、空気流通路に流入する空気の温度、及び、加熱目標温度から算出される開度となるようにエアミックスダンパの開度を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の車両用空気調和装置。
【請求項6】
前記暖房運転時のフットモードにおける加熱目標温度を、目標吹出温度に対して、車室内に吹出される空気が空気流通路を流通する際の熱損失に相当する熱量を加えた温度とし、
前記暖房運転時のバイレベルモードにおける加熱目標温度を、目標吹出温度、空気流通路に流入する空気の温度、及び、エアミックスダンパの開度に基づいて算出される温度とした
ことを特徴とする請求項5記載の車両用空気調和装置。
【請求項7】
吹出口切換え手段は、空気流通路を流通する空気を、車室内の窓ガラスに向かって吹出させるデフモードと、車室内の窓ガラス及び搭乗者の足元側のそれぞれに向かって吹出させるデフフットモードと、を有し、
除湿暖房運転時において、吸熱器において熱交換された後の空気の温度が除湿冷却目標温度となるように吸熱器または室外熱交換器の冷媒流入側に設けられた冷媒を減圧する冷媒減圧手段を制御し、
除湿暖房運転のフットモード、ベントモード、デフモード及びデフフットモードにおいて、放熱器において熱交換された後の空気の温度が除湿後加熱目標温度となるように圧縮機を駆動する電動モータの回転数を制御するとともに、放熱器において冷媒と熱交換する空気の割合が最大となるようにエアミックスダンパの開度を制御し、
除湿暖房運転のバイレベルモードにおいて、放熱器において熱交換された後の空気の温度が除湿後加熱目標温度となるように圧縮機を駆動する電動モータの回転数を制御するとともに、所定範囲内の開度で、且つ、目標吹出温度、除湿冷却目標温度、及び、除湿後加熱目標温度から算出される開度となるようにエアミックスダンパの開度を制御する
ことを特徴とする請求項5または6記載の車両用空気調和装置。
【請求項8】
前記除湿暖房運転時の除湿冷却目標温度を、第1切換えモードにおいて、所定の除湿冷却目標温度とし、第2切換えモードにおいて、車室内の湿度を所定の湿度以下とするために、車室外の温度、車室内の温度、車室内の湿度、日射量、車両の移動速度、目標吹出温度のうち少なくとも1つの条件から算出される除湿冷却目標温度とし、
前記除湿暖房運転のフットモード、ベントモード、デフモード及びデフフットモードにおける除湿後加熱目標温度を、目標吹出温度に対して、車室内に吹出される空気が空気流通路を流通する際の熱損失に相当する熱量を加えた温度とし、
前記除湿暖房運転のバイレベルモードにおける除湿後加熱目標温度を、目標吹出温度、除湿冷却目標温度、及び、エアミックスダンパの開度に基づいて算出される温度とした
ことを特徴とする請求項7記載の車両用空気調和装置。
【請求項9】
冷房運転及び除湿冷房運転時において、吸熱器において熱交換された後の空気の温度が冷却目標温度となるように圧縮機を駆動する電動モータの回転数を制御するとともに、放熱器において熱交換された後の空気の温度を推定加熱温度として推定し、目標吹出温度、冷却目標温度、及び、推定加熱温度から算出される開度となるようにエアミックスダンパの開度を制御する
ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項記載の車両用空気調和装置。
【請求項10】
前記冷却目標温度を、第1切換えモード及び第3切換えモードにおいて、所定の冷却目標温度とし、第2切換えモードにおいて、車室内の湿度を所定の湿度以下とするために、車室外の温度、車室内の温度、車室内の湿度、日射量、車両の移動速度、目標吹出温度のうち少なくとも1つの条件から算出される冷却目標温度とした
ことを特徴とする請求項9記載の車両用空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−176659(P2012−176659A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40132(P2011−40132)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】