車両用窓ガラス開閉装置
【課題】 子供の窓ガラスの開閉操作が制限されている状況下において、大人だけは制限を受けることなく開閉することが可能な車両用窓ガラス開閉装置を提供する。
【解決手段】 車両用窓ガラス開閉装置であって、車両に設けられた窓ガラス7を開閉する開閉操作部11に対し開閉操作がなされた場合に、該開閉操作部11の接触操作面に対し操作のために接触した指の接触領域60から、操作した指6Fの大きさを特定するとともに、特定された指6Fの大きさに基づいて、当該開閉操作部11に対応する座席8に着座する乗員6が子供62であるか大人61であるかを判定する。子供62であると判定された場合には、当該開閉操作を無効化する一方で、大人61であると判定された場合には、当該開閉操作を有効化する。
【解決手段】 車両用窓ガラス開閉装置であって、車両に設けられた窓ガラス7を開閉する開閉操作部11に対し開閉操作がなされた場合に、該開閉操作部11の接触操作面に対し操作のために接触した指の接触領域60から、操作した指6Fの大きさを特定するとともに、特定された指6Fの大きさに基づいて、当該開閉操作部11に対応する座席8に着座する乗員6が子供62であるか大人61であるかを判定する。子供62であると判定された場合には、当該開閉操作を無効化する一方で、大人61であると判定された場合には、当該開閉操作を有効化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の窓ガラスの開閉に制限が設けられた車両用窓ガラス開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両の窓ガラスは、安全を考慮した開閉がなされるよう作られている。例えば特許文献1では、窓ガラス開閉時の挟みこみの防止に係る技術が開示されている。また、近年の一般車両においては、安全面の観点から子供が勝手に窓ガラスを開閉することを防止するべくドライバー席の操作部にて全窓ガラスの開閉を一括して禁止する機能(ウィンドウロックスイッチ)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−317329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一括して開閉が禁止された窓ガラスは、ドライバー席にて禁止解除されなければ当然開閉することができないため、例えば後席に同乗する大人が安全な状況下で操作したいと思っても開閉できないという課題がある。
【0005】
本発明の課題は、子供の窓ガラスの開閉が制限されている状況下において、大人だけは制限を受けることなく開閉することが可能な車両用窓ガラス開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両用窓ガラス開閉装置は、
車両に設けられた複数の窓ガラスのうち車両の各座席に対応するものを開閉するための開閉操作がなされる窓ガラス開閉操作部と、
車両の座席に着座する乗員が子供であるか大人であるかを、例えば予め定められた判定基準に従い判定する大人/子供判定手段と、
前記座席に着座する乗員が子供であると判定された場合には、当該座席に対応する窓ガラスへの開閉操作を無効化する一方で、大人であると判定された場合には、当該座席に対応する窓ガラスの開閉操作を有効化する窓ガラス開閉制限手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の大人/子供判定手段は、前記窓ガラス開閉操作部に設けられた接触操作面に対し操作のために接触した指の接触領域を特定する接触領域特定手段と、特定された指の接触領域に基づいて、操作した指の大きさを特定する指の大きさ特定手段とを有し、特定された指の大きさに基づいて、当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員が子供であるか大人であるかを判定するものとすることができる。開閉操作部の操作は接触操作の形でなされるから、その時の指の接触領域から指の大きさを特定することは容易である。また、特定された指の大きさから大人と子供を判別することも容易であるから、簡単な構成で大人と子供の判別が可能となる。
【0008】
本発明の指の大きさ特定手段は、接触領域特定手段により特定された前記指の接触領域に基づいて当該指の指幅を算出し、算出された指幅を前記指の大きさとして特定する指幅特定手段を有し、このときの大人/子供判定手段は、特定された指幅が予め定められた指幅閾値を上回る場合に、当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員を大人と判定し、上回らない場合を子供と判定するものとできる。開閉操作部の操作は接触操作の形でなされるから、その時接触した指の指幅(指の太さ)は、指の接触領域から容易に特定できる。特定された指幅から大人と子供を判別することも容易であるから、簡単な構成で大人と子供の判別が可能となる。
【0009】
本発明の接触領域特定手段は、前記窓ガラス開閉操作部に設けられた接触操作面に対し操作のために接触した指の接触領域の指紋模様を検出する指紋検出手段とすることができる。このとき、指の大きさ特定手段は、検出された指紋模様に基づいて、指の大きさを特定又は推定するものとできる。開閉操作部の操作は接触操作の形でなされるから、その時接触した指の指紋は容易に取得できる。特定された指紋の模様には、指幅や、指紋の間隔等、大人と子供を判別する方法が様々含まれているから、そのうちのいずれかを採用して、大人と子供を容易に判別可能とできる。
【0010】
本発明の指の大きさ特定手段は、前記指紋検出手段により検出された指紋模様から該指紋模様の中心点を特定し、さらに、当該中心点と指幅方向における前記指の接触領域の一方の端位置との間の長さを算出して、算出された長さに基づいて、当該指の指幅を推定する指幅推定手段を有し、推定された指幅を前記指の大きさとして特定するものとできる。指の接触面全体の指紋が検出されなかった場合でも、指紋の中心点さえ特定されていれば指幅を推定可能となるので、大人と子供の判別の誤判定を減じることができる。
【0011】
本発明の指の大きさ特定手段は、前記接触領域特定手段により特定された前記指の接触領域が、前記窓ガラス開閉操作部の接触操作面に対し操作のために接触した当該指の接触領域の全てを特定しているのか特定されていない部分があるのかを判定し、特定されていない部分があると判定された場合には、前記指幅推定手段により前記窓ガラス開閉操作部を接触操作する指の指幅を推定する一方、全て検出されていると判定された場合には、特定された前記指の接触領域に基づいて当該指の指幅を算出する、あるいは、指紋検出手段により検出された指紋模様に基づいて当該指の指幅を推定又は特定して、得られた指幅を指の大きさとして特定するものとできる。この構成によると、接触操作面への指の接触状況が悪い時には、指紋模様を用いたやや手間のかかる処理にて指の大きさを推定する一方で、指の接触状況に問題が無い場合には、よりシンプルな形で指の大きさを推定することができる。
【0012】
本発明の大人/子供判定手段は、前記指紋検出手段により指紋が検出されなかった場合には、前記窓ガラス開閉操作部に設けられた接触操作面への接触操作を誤操作と判定し、このとき窓ガラス開閉制限手段は、誤操作と判定された当該座席に対応する窓ガラスの開閉操作を無効化するものとできる。大人と子供の判別に利用される指紋検出手段を、意図しない何か別の物の接触の有無にも兼用させることができる。これにより、意図しない何かの接触にて窓ガラス開閉操作部が操作されて窓が開閉してしまうことを防ぐことができる。
【0013】
本発明の指の大きさ特定手段は、前記窓ガラス開閉操作部に設けられた接触操作面に対し操作のために接触した指の接触領域の面積を特定する接触面積特定手段を有して構成することができる。このときの大人/子供判定手段は、特定された接触面積が予め定められた面積閾値を上回る場合に、当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員を大人と判定し、上回らない場合を子供と判定するものとできる。
【0014】
本発明の大人/子供判定手段は、座席上の乗員を撮影する乗員撮影手段を有し、その撮影画像に映る乗員の画像の寸法に基づいて、当該座席上の乗員が大人であるか子供であるかを判定するものとできる。この構成によると、大人と子供の判別基準が、乗員画像における乗員の何がしかの部位(例えば頭部の幅や肩幅、座高等)の寸法を根拠にして判別できるので、予め定められた閾値との比較のみで大人か子供かを容易に判別することができる。
【0015】
本発明の大人/子供判定手段は、座席の座部上の重量物を検出する座部上重量物検出手段と、当該座席に着座するユーザーの足元床面上の重量物を検出する足元床面上重量物検出手段とを有し、前記座部上重量物検出手段により前記重量物が検出されていることを前提にして、前記足元床面上重量物検出手段が前記重量物を検出している場合には当該座席に着座する乗員を大人と判定し、前記足元床面上重量物検出手段が前記重量物を検出していない場合には当該座席に着座する乗員を子供と判定するものとできる。座席に座った時に座席の床面に足が付かない乗員は子供である可能性が高い。また、幼い子供はチャイルドシートに乗るため足が付かない可能性が極めて高い。このため、足元床面に重量物があるか否かに基づいて、大人か子供かを容易に判定することができる。
【0016】
本発明の大人/子供判定手段は、座席の座部上の重量物を検出する座部上重量物検出手段と、当該座席の背もたれの上に位置するヘッドレスト上の重量物を検出するヘッドレスト上重量物検出手段とを有し、前記座部上重量物検出手段により前記重量物が検出されていることを前提にして、前記ヘッドレスト上重量物検出手段が前記重量物を検出している場合には当該座席に着座する乗員を大人と判定し、前記ヘッドレスト上重量物検出手段が前記重量物を検出していない場合には当該座席に着座する乗員を子供と判定するものとできる。座席に座った時にヘッドレストまで頭がとどかない乗員は子供である可能性が高い。このため、座席のヘッドレストに重量物があるか否かに基づいて、大人か子供かを容易に判定することができる。
【0017】
本発明においては、
対応する前記窓ガラス開閉操作部への開閉操作に基づいて、対応する窓ガラスを開閉駆動する窓ガラス開閉駆動部と、
前記窓ガラス開閉駆動部の駆動制御を行う窓ガラス開閉制御部と、
前記窓ガラス開閉制御部の制御モードとして、前記窓ガラス開閉操作部により開閉可能な全ての窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部に対し開閉駆動を許可するフリーモードと、前記窓ガラス開閉操作部により開閉可能な全ての窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部に対し開閉駆動を禁止する一括ロックモードと、前記窓ガラス開閉操作部により開閉可能な窓ガラスのうち対応する座席上の乗員が前記大人/子供判定手段により大人であると判定された窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部には開閉駆動を許可する一方で、対応する座席上の乗員が前記大人/子供判定手段により子供であると判定された窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部には開閉駆動を禁止する個別ロックモードと、を有し、車両に設けられた予め定められたモード切替操作部への操作に基づいて、前記制御モードを切り替えて設定する制御モード設定手段と、
を備えて構成することができる。この場合、窓ガラス開閉制御部は、前記制御モード設定手段により設定された前記制御モードに従い前記窓ガラス開閉駆動部の駆動制御を行うものであり、前記制御モードとして前記個別ロックモードが設定された場合に、前記窓ガラス開閉制限手段として機能するように構成できる。これにより、モード切替操作部の操作により、3種のモードを状況に応じて使い分けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の車両用窓ガラス開閉装置の一実施形態を示すブロック図。
【図2】座席毎に設けられる検出部及び操作部の一例を示すブロック図。
【図3】窓ガラス開閉操作部の閉操作を説明する模式図。
【図4】窓ガラス開閉操作部の開操作を説明する模式図。
【図5】指の大きさの特定方法を説明する説明図。
【図6】窓ガラスの開閉モード設定処理の流れを示すフローチャートの一例。
【図7】窓ガラス開閉制限処理の流れを示すフローチャートの一例。
【図8】大人子供判定処理の流れを示すフローチャートの第一例。
【図9】本発明の車両用窓ガラス開閉装置の作用効果を説明する説明図。
【図10】大人子供判定処理の流れを示すフローチャートの第二例。
【図11】大人子供判定処理の流れを示すフローチャートの第三例。
【図12】大人子供判定処理の流れを示すフローチャートの第四例。
【図13】大人子供判定処理の流れを示すフローチャートの第五例。
【図14】本発明の車両用窓ガラス開閉装置の図2とは異なる実施形態を示すブロック図。
【図15】大人子供判定の一方法を説明する説明図。
【図16】大人子供判定処理の流れを示すフローチャートの第六例。
【図17】大人子供判定処理の流れを示すフローチャートの第七例。
【図18】本発明の車両用窓ガラス開閉装置の図2及び図14とは異なる実施形態を示すブロック図。
【図19】大人子供判定の一方法を説明する説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の車両用窓ガラス開閉装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の車両用窓ガラス開閉装置の構成を示すブロック図である。図1の車両用窓ガラス開閉装置1は、車両100に設けられた複数ある各座席8(8A〜8D)に対応して設けられた窓ガラス7(7A〜7D)の開閉を制御する窓ガラス開閉制御部10を備えて構成される。
【0021】
窓ガラス開閉制御部10は、CPUやメモリ(ROM、RAM等)を有してなる周知のマイコン構成を有するものであり、車両100に設けられた複数の窓ガラス7(7A〜7D)のうち当該車両100の各座席8(8A〜8D)に対応するものを個別に開閉するための窓ガラス開閉操作部11(11A〜11D)と、車両100の座席8(8A〜8D)に着座する乗員が子供であるか大人であるかを判定するための判定条件となる情報(大人/子供判定情報)を取得する大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)と、窓ガラスを開閉駆動するために車両バッテリ(図示なし)に電気的に接続される窓ガラス開閉駆動部(モータ)13(13A〜13D)と、運転席8Aから操作可能な位置に設けられる窓ガラス開閉モード設定部(モード切替操作部)14と、が接続する。
【0022】
窓ガラス開閉操作部11(11A〜11D)は、本実施形態においては図2に示すように、対応するスイッチノブ110と開操作検出部11aと閉操作検出部11bとを有して構成される。具体的には、図3に示すように、対応するスイッチノブ110を中立位置(図中の実線位置)から第一側に位置する予め定められた開操作位置(図中の破線位置)まで操作することにより開操作検出部11aが当該操作(開操作)を検出し、他方、図4に示すように、対応するスイッチノブを中立位置(図中の実線位置)から、第一側とは逆の第二側に位置する予め定められた閉操作位置(図中の破線位置)まで操作することにより閉操作検出部11bが当該操作(閉操作)を検出し、それぞれが自身の検出結果を窓ガラス開閉制御部10に出力する。窓ガラス開閉制御部10は、それら検出部11a,11bから検出結果の入力を受けることで、それぞれの操作の有無を特定する。
【0023】
大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)は、本実施形態においては図2に示すように、対応するスイッチノブ110を操作する指6Fの大きさを特定可能な情報を大人/子供判定情報として取得する指6Fの大きさ情報取得部(指の大きさ情報取得手段)とされている。取得した大人/子供判定情報は、ガラス開閉制御部10に出力され、窓ガラス開閉制御部10では、入力された大人/子供判定情報に基づいて、当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員が子供であるか大人であるかが判定される(指の大きさ特定手段)。
【0024】
特に本実施形態における大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)は、窓ガラス開閉操作部11に設けられた接触操作面に対し操作のために接触した指6Fの接触領域60を特定可能となる接触領域情報を取得するものであり、窓ガラス開閉制御部10では、この接触領域情報に基づいて当該接触領域60を特定し(接触領域特定手段)、特定された接触領域60に基づいて当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員が子供であるか大人であるかが判定される。具体的にいえば、窓ガラス開閉制御部10は、特定された指6Fの接触領域60に基づいて当該指6Fの指幅を算出し、算出された指幅を指6Fの大きさとして特定する(指幅特定手段)。
【0025】
本実施形態においては、スイッチノブ110の閉操作として、当該スイッチノブ110の主表面(閉操作面)11aを指6Fの先(指先)で押圧する押圧操作が想定されており、その時の指6Fの先の押圧面領域(接触領域)60を特定可能な接触領域情報を閉操作面用の指の大きさ検出部12bが取得する。同様に、本実施形態においては、スイッチノブ110の開操作として、当該スイッチノブ110の先端面11b及び主裏面11c(双方ともが閉操作面)に接触する形で当該スイッチノブ110を指6Fの先(指先)で引っ掛けて引き上げる引上げ操作が想定されており、その時の指6Fの先の接触面(接触領域)60を特定可能な接触領域情報を開操作面用の指の大きさ検出部12aが取得する。
【0026】
なお、本実施形態における大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)は、窓ガラス開閉操作部11に設けられた接触操作面11a,11b,11cに対し操作のために接触した指6Fを撮影するカメラ(撮影手段)であり、窓ガラス開閉制御部10は、その撮影画像を解析することにより接触領域60を特定する。カメラ12(12A〜12D)は、窓ガラス開閉操作部11に設けられた接触操作面11a,11b,11cに対し操作のために接触した指を接触面よりも奥側(スイッチノブ内部側)から撮影するよう配置されている。また、スイッチノブ110の閉操作面11aと、スイッチノブ110の閉操作面11b,11c(双方ともが閉操作面)とのそれぞれに設けられている。図5の(c)は、その撮影画像を示している。例えば撮影画像上で輝度が所定レベル以上となる領域を接触領域60と特定する。その上で、窓ガラス開閉制御部10は、該撮影画像上で特定された接触領域60から指幅方向を特定して、当該接触領域60の指幅方向における長さ(指幅)dを該撮影画像上から特定し、これを指6Fの大きさとして特定する。この指幅dに対しては、大人と子供を区別するための閾値(指幅閾値)が予め定められており、窓ガラス開閉制御部10は、特定された指幅dが当該閾値を上回る大人の指61Fの幅であると判定する場合には、当該窓ガラス開閉制御部10に対応する座席8の乗員6を大人61と判定し、特定された指幅dが当該閾値を上回らない子供の指62Fの幅であると判定する場合には、当該窓ガラス開閉制御部10に対応する座席8の乗員6を子供62と判定する。
【0027】
ただし、図5(a)に示すように、スイッチノブ110の主表面(閉操作面)11aの中心部のみが指の大きさ検出部12bにより接触領域情報を検出できる検出領域12b1とされ、スイッチノブ110の先端面11b及び主裏面11cの中心部のみが指の大きさ検出部12aにより接触領域情報を検出できる検出領域12a1とされており、これらから外れる接触領域60は検出されない。
【0028】
窓ガラス開閉モード設定部14は、運転席8Aの窓ガラス開閉操作部11Aの周辺に設けられている。窓ガラス開閉制御部10の制御モードとして、窓ガラス開閉操作部11により開閉可能な全ての窓ガラス7の窓ガラス開閉駆動部13に対し開閉駆動を許可するフリーモードと、窓ガラス開閉操作部11により開閉可能な窓ガラス7のうち対応する座席8上の乗員6が大人61であると判定された窓ガラス7の窓ガラス開閉駆動部13には開閉駆動を許可する一方で、対応する座席8上の乗員6が子供62であると判定された窓ガラス7の窓ガラス開閉駆動部13には開閉駆動を禁止する個別ロックモードと、を有しており、窓ガラス開閉制御部10は、車両に設けられた予め定められた窓ガラス開閉モード設定部(モード切替操作部)14への操作に基づいて、上記制御モードを切り替えて設定可能である(制御モード設定手段)。この2モードの切り替えのみでもよいが、本実施形態においてはさらに、制御モードとして、窓ガラス開閉操作部11により開閉可能な全ての窓ガラス7の窓ガラス開閉駆動部13に対し開閉駆動を禁止する一括ロックモードも、窓ガラス開閉モード設定部14の操作に基づいて設定可能である。本実施形態においては、窓ガラス開閉モード設定部14として、図2に示すように、ON時に一括ロックモードを設定してOFF時に一括ロックモードを解除する一括ロックモード設定操作部14aと、ON時に個別ロックモードを設定してOFF時に個別ロックモードを解除する個別ロックモード設定操作部14bとを備える。双方がONの時には一括ロックモードが優先して設定される一方、双方がOFFの場合にフリーモードが設定される。
【0029】
以下、窓ガラス開閉制御部10の制御モード(窓ガラス開閉モード)の設定処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。当該処理は、窓ガラス開閉制御部10のメモリ内の所定プログラム2をCPUが実施する形で実行される。
【0030】
S1にて、窓ガラス開閉制御部10が、一括ロックモード設定操作部14aへの操作の有無を判定する。ONの操作がなされていれば、S2にて窓ガラス開閉制御部10が一括ロックモードを設定する。OFFの操作がなされていればS3に進む。
【0031】
S3では、窓ガラス開閉制御部10が、個別ロックモード設定操作部14bへの操作の有無を判定する。ONの操作がなされていれば、S4にて窓ガラス開閉制御部10が個別ロックモードを設定する。OFFの操作がなされていればS5にて窓ガラス開閉制御部10がフリーモードを設定する。
【0032】
なお、当該処理は所定周期にて繰り返し実施されるものとする。窓ガラス開閉制御部10は、設定されている制御モードに従い、窓ガラス開閉操作部11への操作に基づいて窓ガラス開閉駆動部13の駆動処理を実施する。制御モードにより制限される窓ガラスの開閉制限処理は、図7のフローチャートに示すとおりである。
【0033】
S100では、窓ガラス開閉制御部10が、窓ガラス開閉操作部11(11A〜11D)への操作の有無を判定する。当該操作がなければそのまま本処理を終了するが、当該操作があった場合には、窓ガラス開閉制御部10は、S101にて現在設定中の制御モードを読み出す。
【0034】
続くS102にて、S101で読み出した制御モードに基づいて窓ガラス開閉制御部10が、現在設定中の制御モードが個別ロックモードであるか否かを判定する。個別ロックモードではないと判定した場合にはS108に進む。S108では、S101で読み出した制御モードに基づいて窓ガラス開閉制御部10が、現在設定中の制御モードが一括ロックモードであるか否かを判定する。一括ロックモードであればS109に進み、窓ガラス開閉制御部10は全ての窓ガラス開閉駆動部13の駆動を禁止して、窓ガラス開閉操作部11(11A〜11D)の開閉操作を全て無効化する。他方、一括ロックモードでなければS110に進み、窓ガラス開閉制御部10は全ての窓ガラス開閉駆動部13の駆動を許可して、窓ガラス開閉操作部11(11A〜11D)の開閉操作を全て有効化し、S100でなされた開閉操作に応じた窓ガラス開閉駆動部13の開閉駆動制御を実施する。
【0035】
他方、S102にて、窓ガラス開閉制御部10が、現在設定中の制御モードが個別ロックモードであると特定した場合にはS103に進む。S103では、窓ガラス開閉制御部10が、S101にて操作がなされた窓ガラス開閉操作部11(11A〜11D)に対応する座席上の乗員が大人であるか子供であるかを特定する。ここでは、図8に示す大人子供判定処理をこの段階で実行するか、あるいは既に実行された図8に示す大人子供判定処理の判定結果を読み出す形で、当該座席上の乗員が大人であるか子供であるかを特定する。
【0036】
まずは、窓ガラス開閉制御部10が、図7のS100にてなされた操作を行った指6Fの接触領域60を特定する(S11)。ここでは、操作を行った指6Fは、大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)をなすカメラが窓ガラス開閉制御部10への接触操作がなされるに伴い撮影した撮影画像に基づいて接触領域60を特定する。その上で、窓ガラス開閉制御部10は、該撮影画像上で特定された接触領域60から指幅方向を特定して(S12)、当該接触領域60の指幅方向における長さ(指幅)dを該撮影画像上から算出し(S13)、これを指6Fの大きさとして特定する。さらに、算出された指幅dが予め定められた閾値(指幅閾値)を上回るか否かを判定し(S14)、上回る場合を大人(S15)、上回らない場合を子供(S16)と判定し、その判定結果を記憶して本処理を終了する。
【0037】
ただし、S11〜S13の処理においては、大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)が取得する情報如何では、接触領域60を特定できなかったり、指幅方向が特定できなかったり、指幅が算出できなかったりといったように、所定期間処理を継続しても求める情報を得られない場合がある。こうした場合、窓ガラス開閉制御部10は、当該処理を強制終了して、判定不能という判定結果を記憶する。
【0038】
図7に戻る。S103に続くS104では、窓ガラス開閉制御部10が、S101にて操作がなされた窓ガラス開閉操作部11(11A〜11D)に対応する座席上の乗員が大人であるか子供であるかを、S103において特定できたか否かを判定する。特定できなかった場合はS107進み、窓ガラス開閉制御部10は、S100にて窓ガラス開閉操作部11になされたと判断された操作を無効化するべく、対応する窓ガラス開閉駆動部13の駆動を禁止する。他方、特定できた場合にはS105に進む。
【0039】
S105では、S103の判定結果が、乗員を大人であると特定するものであればS106に進み、窓ガラス開閉制御部10は、S100にて窓ガラス開閉操作部11になされたと判断された操作を有効化するべく、対応する窓ガラス開閉駆動部13の駆動を許可し、その駆動制御を開始する。他方、S103の判定結果が、乗員を子供であると特定するものであればS107に進み、窓ガラス開閉制御部10は、S100にて窓ガラス開閉操作部11になされたと判断された操作を無効化するべく、対応する窓ガラス開閉駆動部13の駆動を禁止する。
【0040】
S106〜S110の処理終了により本処理は終了となるが、本処理は所定周期で繰り返し実施される。この処理では、個別ロックモード時においては基本的には各窓ガラス開閉操作部11は開閉禁止とされており、操作者が大人であると判定された時に限り、開閉を許可するようになっている。従来は一括操作モードとフリーモードしか設定できなかったため、操作を制限したい時には、図9(a)に示すように、全席(場合によっては運転席が除かれる)を一括して操作禁止とせざるをえず、窓ガラス開閉操作部11を安全に開閉できる大人が乗車している時でもその操作は許可されなかったが、本発明によれば、図9(b)に示すように、個別ロックモードが設定できるから、当該モードを設定することで、窓ガラス開閉操作部11を安全に開閉できる大人であればその操作が許可され、子供であればその操作が禁止されるようになる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0042】
例えば、図8に示す大人子供判定処理は、他の処理とすることもできる。
【0043】
図10に示す大人子供判定処理は、窓ガラス開閉操作部11にてなされた操作(S100にて検出)を行った指6Fの接触領域60を、大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)をなす指紋センサ(周知)の検出結果に基づいて取得する。即ち、指紋センサが窓ガラス開閉制御部10への接触操作がなされるに伴い取得した指紋模様に基づいてその外縁を特定し、これにより接触領域60を特定する(S21)。S22以降は、図8の処理と同様である。
【0044】
図11に示す大人子供判定処理は、窓ガラス開閉操作部11にてなされた操作(S100にて検出)を行った指6Fの接触領域60を、大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)をなす指紋センサ(周知)が検出する指紋模様又はカメラによる撮影画像に基づいて取得して、取得した情報に基づいて接触領域60を特定する(S31)。そして、特定された接触領域60の面積を算出し(S32)、算出された面積が予め定められた閾値(面積閾値)を上回るか否かを判定し(S33)、上回る場合を大人(S34)、上回らない場合を子供(S34)と判定する。
【0045】
図12に示す大人子供判定処理は、窓ガラス開閉操作部11にてなされた操作(S100にて検出)を行った指6Fの接触領域60を、大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)をなす指紋センサ(周知)の検出結果に基づいて取得する構成が前提となる。S41では、S21と同様、指紋センサが窓ガラス開閉制御部10への接触操作がなされるに伴いその指の接触面の指紋模様を取得する。S42では、取得した指紋模様に欠けている部分が無いかを判定する。即ち、大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)をなす指紋センサ12は、既に述べたように、スイッチノブ110の主表面(閉操作面)11aの中心部のみが指の大きさ検出部12bにより接触領域情報を検出できる検出領域12b1とされ、スイッチノブ110の先端面11b及び主裏面11cの中心部のみが指の大きさ検出部12aにより接触領域情報を検出できる検出領域12a1とされているから、これらから外れる接触領域60に接触した指の接触面の指紋模様を取得することはできない。S42では、その検出領域12b1、12a1からはずれたし門模様の有無を判定する。これは、取得した指紋模様の端部に検出領域12b1、12a1の外縁線が現れているかに基づいて判定する。
【0046】
S42にて、取得した指紋模様に欠けている部分がないと判定された場合には、S43〜S48の処理を実施する。これらの処理は図10の処理と同様である。ただし、図11の処理とすることもできる。
【0047】
S42にて、取得した指紋模様に欠けている部分があると判定された場合には、上記実施形態では判定不能という判定結果となるケースであるが、ここでは、S41で取得した指紋模様に基づいて欠けている残部に係る情報を推定する形で指の大きさを推定する。具体的にはS49にて、取得した指紋模様の中心点を特定し、S50にて、当該中心点と、指の指紋模様に基づいて特定可能となる指幅方向における一方の端縁位置(欠けている部分ではない)との間の距離を算出して、算出された距離に基づいて指幅を推定する(S51)。推定後は、推定された指幅が予め定められた閾値を上回るか否かを判定し(S52)、上回る場合を大人(S53)、上回らない場合を子供(S54)と判定する。
【0048】
図13に示す大人子供判定処理は、S61にて、座席8に着座した乗員6を撮影可能となる撮影範囲にて固定設置されたカメラ(撮影手段)22(22A〜22D:図14)による撮影を実施し、S62にて、その撮影画像(例えば図15の符号220)からパターンマッチング等の周知の方法により乗員の画像を特定する。さらに、S63では、特定された乗員の画像から、予め定められた人間の部位を特定してその長さ(寸法)を算出する。例えば、乗員の画像から頭に相当する部分を特定してその長さd1を算出する、あるいは乗員の画像から方に相当する部分を特定してその幅(肩幅)d2を算出する、あるいは、乗員の画像から頭部の最も高い位置を特定してその高さ(座高でもよい)d3を算出する。そして、算出された値を予め定められた閾値を上回るか否かを判定し(S64)、上回る場合を大人(S65)、上回らない場合を子供(S66)と判定する。この実施形態では、カメラ22(22A〜22D)が座席8(8A〜8D)に対応して設けられており、それぞれ大人/子供判定情報取得部として機能している。座席8毎にカメラ22があってもよいし、隣接する座席8を一括して撮影するように設けられてもよい。
【0049】
図16に示す大人子供判定処理は、図18に示すように、座席8に設けられた重量物を検出する座席上重量物検出部32(32A〜32D)を、大人/子供判定情報取得部として有する。座席上重量物検出部32(32A〜32D)は、座席8の各部位上の重量物を検出するよう各部位に設けられており、ここでは、図19に示されている、座席8の座部81上の重量物により座部81に印加される圧力を検出する圧力センサ(座部上重量物検出手段)321と、座席に着座した乗員の足が載置される足元床面83上の重量物により該足元床面83に印加される圧力を検出する圧力センサ(足元床面上重量物検出手段)323と、を有して構成される。
【0050】
処理としては、図16に示すように、まずはS71にて、座席8の座部81上に重量物があるか否かを判定する。これは、重量物により座部81上に印加される圧力を検出する圧力センサ321の検出値が予め定められた閾値を上回った場合に重量物があると判定する。座部81上に重量物があると判定された場合にはS72からS73に進む。他方、重量物が無いと判定された場合にはS72にて本処理終了となる。即ち、すでに述べた場合と同様の判定不能という判定結果となる。S73では、座席8の足元床面83上に重量物があるか否かを判定する。これは、重量物により足元床面83上に印加される圧力を検出する圧力センサ323の検出値が予め定められた閾値を上回った場合に重量物があると判定する。足元床面83上に重量物があると判定された場合にはS74からS75に進み、座席8上の乗員を大人と判定する。他方、足元床面83上に重量物がないと判定された場合にはS74からS76に進み、座席8上の乗員を子供と判定する。
【0051】
図17に示す大人子供判定処理も、図18に示すように、座席8に設けられた重量物を検出する座席上重量物検出部32(32A〜32D)を、大人/子供判定情報取得部として有する。座席上重量物検出部32(32A〜32D)は、ここでは、図19に示されている、座席8の座部81上の重量物により座部81に印加される圧力を検出する圧力センサ(座部上重量物検出手段)321と、座席に着座した乗員の頭が載置されるヘッドレスト部84(背もたれ部82の上部に位置する)上の重量物により該ヘッドレスト84に印加される圧力を検出する圧力センサ(足元床面上重量物検出手段)324と、を有して構成される。
【0052】
処理としては、図17に示すように、まずはS81にて、座席8の座部81上に重量物があるか否かを判定する。これは、重量物により座部81上に印加される圧力を検出する圧力センサ321の検出値が予め定められた閾値を上回った場合に重量物があると判定する。座部81上に重量物があると判定された場合にはS82からS83に進む。他方、重量物が無いと判定された場合にはS82にて本処理終了となる。即ち、すでに述べた場合と同様の判定不能という判定結果となる。S83では、座席8のヘッドレスト部b84上に重量物があるか否かを判定する。これは、重量物によりヘッドレスト部84上に印加される圧力を検出する圧力センサ324の検出値が予め定められた閾値を上回った場合に重量物があると判定する。ヘッドレスト部84上に重量物があると判定された場合にはS84からS85に進み、座席8上の乗員6を大人61と判定する。他方、ヘッドレスト部84上に重量物がないと判定された場合にはS84からS86に進み、座席8上の乗員6を子供62と判定する。
【0053】
なお、上記したいずれの大人子供判定処理も処理の主体は窓ガラス開閉制御部10である。複数種の大人子供判定処理を実施し、それらの判定結果の組み合わせから、大人と子供の判定をしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
100 車両
1 車両用窓ガラス開閉装置
10 窓ガラス開閉制御部
11(11A〜11D) 窓ガラス開閉操作部
12(12A〜12D) 大人/子供判定情報取得部
13(13A〜13D) 窓ガラス開閉駆動部(モータ)
14 窓ガラス開閉モード設定部(モード切替操作部)
7(7A〜7D) 窓ガラス
8(8A〜8D) 座席
6F 指
60 接触領域
110 スイッチノブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の窓ガラスの開閉に制限が設けられた車両用窓ガラス開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両の窓ガラスは、安全を考慮した開閉がなされるよう作られている。例えば特許文献1では、窓ガラス開閉時の挟みこみの防止に係る技術が開示されている。また、近年の一般車両においては、安全面の観点から子供が勝手に窓ガラスを開閉することを防止するべくドライバー席の操作部にて全窓ガラスの開閉を一括して禁止する機能(ウィンドウロックスイッチ)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−317329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一括して開閉が禁止された窓ガラスは、ドライバー席にて禁止解除されなければ当然開閉することができないため、例えば後席に同乗する大人が安全な状況下で操作したいと思っても開閉できないという課題がある。
【0005】
本発明の課題は、子供の窓ガラスの開閉が制限されている状況下において、大人だけは制限を受けることなく開閉することが可能な車両用窓ガラス開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両用窓ガラス開閉装置は、
車両に設けられた複数の窓ガラスのうち車両の各座席に対応するものを開閉するための開閉操作がなされる窓ガラス開閉操作部と、
車両の座席に着座する乗員が子供であるか大人であるかを、例えば予め定められた判定基準に従い判定する大人/子供判定手段と、
前記座席に着座する乗員が子供であると判定された場合には、当該座席に対応する窓ガラスへの開閉操作を無効化する一方で、大人であると判定された場合には、当該座席に対応する窓ガラスの開閉操作を有効化する窓ガラス開閉制限手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の大人/子供判定手段は、前記窓ガラス開閉操作部に設けられた接触操作面に対し操作のために接触した指の接触領域を特定する接触領域特定手段と、特定された指の接触領域に基づいて、操作した指の大きさを特定する指の大きさ特定手段とを有し、特定された指の大きさに基づいて、当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員が子供であるか大人であるかを判定するものとすることができる。開閉操作部の操作は接触操作の形でなされるから、その時の指の接触領域から指の大きさを特定することは容易である。また、特定された指の大きさから大人と子供を判別することも容易であるから、簡単な構成で大人と子供の判別が可能となる。
【0008】
本発明の指の大きさ特定手段は、接触領域特定手段により特定された前記指の接触領域に基づいて当該指の指幅を算出し、算出された指幅を前記指の大きさとして特定する指幅特定手段を有し、このときの大人/子供判定手段は、特定された指幅が予め定められた指幅閾値を上回る場合に、当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員を大人と判定し、上回らない場合を子供と判定するものとできる。開閉操作部の操作は接触操作の形でなされるから、その時接触した指の指幅(指の太さ)は、指の接触領域から容易に特定できる。特定された指幅から大人と子供を判別することも容易であるから、簡単な構成で大人と子供の判別が可能となる。
【0009】
本発明の接触領域特定手段は、前記窓ガラス開閉操作部に設けられた接触操作面に対し操作のために接触した指の接触領域の指紋模様を検出する指紋検出手段とすることができる。このとき、指の大きさ特定手段は、検出された指紋模様に基づいて、指の大きさを特定又は推定するものとできる。開閉操作部の操作は接触操作の形でなされるから、その時接触した指の指紋は容易に取得できる。特定された指紋の模様には、指幅や、指紋の間隔等、大人と子供を判別する方法が様々含まれているから、そのうちのいずれかを採用して、大人と子供を容易に判別可能とできる。
【0010】
本発明の指の大きさ特定手段は、前記指紋検出手段により検出された指紋模様から該指紋模様の中心点を特定し、さらに、当該中心点と指幅方向における前記指の接触領域の一方の端位置との間の長さを算出して、算出された長さに基づいて、当該指の指幅を推定する指幅推定手段を有し、推定された指幅を前記指の大きさとして特定するものとできる。指の接触面全体の指紋が検出されなかった場合でも、指紋の中心点さえ特定されていれば指幅を推定可能となるので、大人と子供の判別の誤判定を減じることができる。
【0011】
本発明の指の大きさ特定手段は、前記接触領域特定手段により特定された前記指の接触領域が、前記窓ガラス開閉操作部の接触操作面に対し操作のために接触した当該指の接触領域の全てを特定しているのか特定されていない部分があるのかを判定し、特定されていない部分があると判定された場合には、前記指幅推定手段により前記窓ガラス開閉操作部を接触操作する指の指幅を推定する一方、全て検出されていると判定された場合には、特定された前記指の接触領域に基づいて当該指の指幅を算出する、あるいは、指紋検出手段により検出された指紋模様に基づいて当該指の指幅を推定又は特定して、得られた指幅を指の大きさとして特定するものとできる。この構成によると、接触操作面への指の接触状況が悪い時には、指紋模様を用いたやや手間のかかる処理にて指の大きさを推定する一方で、指の接触状況に問題が無い場合には、よりシンプルな形で指の大きさを推定することができる。
【0012】
本発明の大人/子供判定手段は、前記指紋検出手段により指紋が検出されなかった場合には、前記窓ガラス開閉操作部に設けられた接触操作面への接触操作を誤操作と判定し、このとき窓ガラス開閉制限手段は、誤操作と判定された当該座席に対応する窓ガラスの開閉操作を無効化するものとできる。大人と子供の判別に利用される指紋検出手段を、意図しない何か別の物の接触の有無にも兼用させることができる。これにより、意図しない何かの接触にて窓ガラス開閉操作部が操作されて窓が開閉してしまうことを防ぐことができる。
【0013】
本発明の指の大きさ特定手段は、前記窓ガラス開閉操作部に設けられた接触操作面に対し操作のために接触した指の接触領域の面積を特定する接触面積特定手段を有して構成することができる。このときの大人/子供判定手段は、特定された接触面積が予め定められた面積閾値を上回る場合に、当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員を大人と判定し、上回らない場合を子供と判定するものとできる。
【0014】
本発明の大人/子供判定手段は、座席上の乗員を撮影する乗員撮影手段を有し、その撮影画像に映る乗員の画像の寸法に基づいて、当該座席上の乗員が大人であるか子供であるかを判定するものとできる。この構成によると、大人と子供の判別基準が、乗員画像における乗員の何がしかの部位(例えば頭部の幅や肩幅、座高等)の寸法を根拠にして判別できるので、予め定められた閾値との比較のみで大人か子供かを容易に判別することができる。
【0015】
本発明の大人/子供判定手段は、座席の座部上の重量物を検出する座部上重量物検出手段と、当該座席に着座するユーザーの足元床面上の重量物を検出する足元床面上重量物検出手段とを有し、前記座部上重量物検出手段により前記重量物が検出されていることを前提にして、前記足元床面上重量物検出手段が前記重量物を検出している場合には当該座席に着座する乗員を大人と判定し、前記足元床面上重量物検出手段が前記重量物を検出していない場合には当該座席に着座する乗員を子供と判定するものとできる。座席に座った時に座席の床面に足が付かない乗員は子供である可能性が高い。また、幼い子供はチャイルドシートに乗るため足が付かない可能性が極めて高い。このため、足元床面に重量物があるか否かに基づいて、大人か子供かを容易に判定することができる。
【0016】
本発明の大人/子供判定手段は、座席の座部上の重量物を検出する座部上重量物検出手段と、当該座席の背もたれの上に位置するヘッドレスト上の重量物を検出するヘッドレスト上重量物検出手段とを有し、前記座部上重量物検出手段により前記重量物が検出されていることを前提にして、前記ヘッドレスト上重量物検出手段が前記重量物を検出している場合には当該座席に着座する乗員を大人と判定し、前記ヘッドレスト上重量物検出手段が前記重量物を検出していない場合には当該座席に着座する乗員を子供と判定するものとできる。座席に座った時にヘッドレストまで頭がとどかない乗員は子供である可能性が高い。このため、座席のヘッドレストに重量物があるか否かに基づいて、大人か子供かを容易に判定することができる。
【0017】
本発明においては、
対応する前記窓ガラス開閉操作部への開閉操作に基づいて、対応する窓ガラスを開閉駆動する窓ガラス開閉駆動部と、
前記窓ガラス開閉駆動部の駆動制御を行う窓ガラス開閉制御部と、
前記窓ガラス開閉制御部の制御モードとして、前記窓ガラス開閉操作部により開閉可能な全ての窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部に対し開閉駆動を許可するフリーモードと、前記窓ガラス開閉操作部により開閉可能な全ての窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部に対し開閉駆動を禁止する一括ロックモードと、前記窓ガラス開閉操作部により開閉可能な窓ガラスのうち対応する座席上の乗員が前記大人/子供判定手段により大人であると判定された窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部には開閉駆動を許可する一方で、対応する座席上の乗員が前記大人/子供判定手段により子供であると判定された窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部には開閉駆動を禁止する個別ロックモードと、を有し、車両に設けられた予め定められたモード切替操作部への操作に基づいて、前記制御モードを切り替えて設定する制御モード設定手段と、
を備えて構成することができる。この場合、窓ガラス開閉制御部は、前記制御モード設定手段により設定された前記制御モードに従い前記窓ガラス開閉駆動部の駆動制御を行うものであり、前記制御モードとして前記個別ロックモードが設定された場合に、前記窓ガラス開閉制限手段として機能するように構成できる。これにより、モード切替操作部の操作により、3種のモードを状況に応じて使い分けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の車両用窓ガラス開閉装置の一実施形態を示すブロック図。
【図2】座席毎に設けられる検出部及び操作部の一例を示すブロック図。
【図3】窓ガラス開閉操作部の閉操作を説明する模式図。
【図4】窓ガラス開閉操作部の開操作を説明する模式図。
【図5】指の大きさの特定方法を説明する説明図。
【図6】窓ガラスの開閉モード設定処理の流れを示すフローチャートの一例。
【図7】窓ガラス開閉制限処理の流れを示すフローチャートの一例。
【図8】大人子供判定処理の流れを示すフローチャートの第一例。
【図9】本発明の車両用窓ガラス開閉装置の作用効果を説明する説明図。
【図10】大人子供判定処理の流れを示すフローチャートの第二例。
【図11】大人子供判定処理の流れを示すフローチャートの第三例。
【図12】大人子供判定処理の流れを示すフローチャートの第四例。
【図13】大人子供判定処理の流れを示すフローチャートの第五例。
【図14】本発明の車両用窓ガラス開閉装置の図2とは異なる実施形態を示すブロック図。
【図15】大人子供判定の一方法を説明する説明図。
【図16】大人子供判定処理の流れを示すフローチャートの第六例。
【図17】大人子供判定処理の流れを示すフローチャートの第七例。
【図18】本発明の車両用窓ガラス開閉装置の図2及び図14とは異なる実施形態を示すブロック図。
【図19】大人子供判定の一方法を説明する説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の車両用窓ガラス開閉装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の車両用窓ガラス開閉装置の構成を示すブロック図である。図1の車両用窓ガラス開閉装置1は、車両100に設けられた複数ある各座席8(8A〜8D)に対応して設けられた窓ガラス7(7A〜7D)の開閉を制御する窓ガラス開閉制御部10を備えて構成される。
【0021】
窓ガラス開閉制御部10は、CPUやメモリ(ROM、RAM等)を有してなる周知のマイコン構成を有するものであり、車両100に設けられた複数の窓ガラス7(7A〜7D)のうち当該車両100の各座席8(8A〜8D)に対応するものを個別に開閉するための窓ガラス開閉操作部11(11A〜11D)と、車両100の座席8(8A〜8D)に着座する乗員が子供であるか大人であるかを判定するための判定条件となる情報(大人/子供判定情報)を取得する大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)と、窓ガラスを開閉駆動するために車両バッテリ(図示なし)に電気的に接続される窓ガラス開閉駆動部(モータ)13(13A〜13D)と、運転席8Aから操作可能な位置に設けられる窓ガラス開閉モード設定部(モード切替操作部)14と、が接続する。
【0022】
窓ガラス開閉操作部11(11A〜11D)は、本実施形態においては図2に示すように、対応するスイッチノブ110と開操作検出部11aと閉操作検出部11bとを有して構成される。具体的には、図3に示すように、対応するスイッチノブ110を中立位置(図中の実線位置)から第一側に位置する予め定められた開操作位置(図中の破線位置)まで操作することにより開操作検出部11aが当該操作(開操作)を検出し、他方、図4に示すように、対応するスイッチノブを中立位置(図中の実線位置)から、第一側とは逆の第二側に位置する予め定められた閉操作位置(図中の破線位置)まで操作することにより閉操作検出部11bが当該操作(閉操作)を検出し、それぞれが自身の検出結果を窓ガラス開閉制御部10に出力する。窓ガラス開閉制御部10は、それら検出部11a,11bから検出結果の入力を受けることで、それぞれの操作の有無を特定する。
【0023】
大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)は、本実施形態においては図2に示すように、対応するスイッチノブ110を操作する指6Fの大きさを特定可能な情報を大人/子供判定情報として取得する指6Fの大きさ情報取得部(指の大きさ情報取得手段)とされている。取得した大人/子供判定情報は、ガラス開閉制御部10に出力され、窓ガラス開閉制御部10では、入力された大人/子供判定情報に基づいて、当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員が子供であるか大人であるかが判定される(指の大きさ特定手段)。
【0024】
特に本実施形態における大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)は、窓ガラス開閉操作部11に設けられた接触操作面に対し操作のために接触した指6Fの接触領域60を特定可能となる接触領域情報を取得するものであり、窓ガラス開閉制御部10では、この接触領域情報に基づいて当該接触領域60を特定し(接触領域特定手段)、特定された接触領域60に基づいて当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員が子供であるか大人であるかが判定される。具体的にいえば、窓ガラス開閉制御部10は、特定された指6Fの接触領域60に基づいて当該指6Fの指幅を算出し、算出された指幅を指6Fの大きさとして特定する(指幅特定手段)。
【0025】
本実施形態においては、スイッチノブ110の閉操作として、当該スイッチノブ110の主表面(閉操作面)11aを指6Fの先(指先)で押圧する押圧操作が想定されており、その時の指6Fの先の押圧面領域(接触領域)60を特定可能な接触領域情報を閉操作面用の指の大きさ検出部12bが取得する。同様に、本実施形態においては、スイッチノブ110の開操作として、当該スイッチノブ110の先端面11b及び主裏面11c(双方ともが閉操作面)に接触する形で当該スイッチノブ110を指6Fの先(指先)で引っ掛けて引き上げる引上げ操作が想定されており、その時の指6Fの先の接触面(接触領域)60を特定可能な接触領域情報を開操作面用の指の大きさ検出部12aが取得する。
【0026】
なお、本実施形態における大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)は、窓ガラス開閉操作部11に設けられた接触操作面11a,11b,11cに対し操作のために接触した指6Fを撮影するカメラ(撮影手段)であり、窓ガラス開閉制御部10は、その撮影画像を解析することにより接触領域60を特定する。カメラ12(12A〜12D)は、窓ガラス開閉操作部11に設けられた接触操作面11a,11b,11cに対し操作のために接触した指を接触面よりも奥側(スイッチノブ内部側)から撮影するよう配置されている。また、スイッチノブ110の閉操作面11aと、スイッチノブ110の閉操作面11b,11c(双方ともが閉操作面)とのそれぞれに設けられている。図5の(c)は、その撮影画像を示している。例えば撮影画像上で輝度が所定レベル以上となる領域を接触領域60と特定する。その上で、窓ガラス開閉制御部10は、該撮影画像上で特定された接触領域60から指幅方向を特定して、当該接触領域60の指幅方向における長さ(指幅)dを該撮影画像上から特定し、これを指6Fの大きさとして特定する。この指幅dに対しては、大人と子供を区別するための閾値(指幅閾値)が予め定められており、窓ガラス開閉制御部10は、特定された指幅dが当該閾値を上回る大人の指61Fの幅であると判定する場合には、当該窓ガラス開閉制御部10に対応する座席8の乗員6を大人61と判定し、特定された指幅dが当該閾値を上回らない子供の指62Fの幅であると判定する場合には、当該窓ガラス開閉制御部10に対応する座席8の乗員6を子供62と判定する。
【0027】
ただし、図5(a)に示すように、スイッチノブ110の主表面(閉操作面)11aの中心部のみが指の大きさ検出部12bにより接触領域情報を検出できる検出領域12b1とされ、スイッチノブ110の先端面11b及び主裏面11cの中心部のみが指の大きさ検出部12aにより接触領域情報を検出できる検出領域12a1とされており、これらから外れる接触領域60は検出されない。
【0028】
窓ガラス開閉モード設定部14は、運転席8Aの窓ガラス開閉操作部11Aの周辺に設けられている。窓ガラス開閉制御部10の制御モードとして、窓ガラス開閉操作部11により開閉可能な全ての窓ガラス7の窓ガラス開閉駆動部13に対し開閉駆動を許可するフリーモードと、窓ガラス開閉操作部11により開閉可能な窓ガラス7のうち対応する座席8上の乗員6が大人61であると判定された窓ガラス7の窓ガラス開閉駆動部13には開閉駆動を許可する一方で、対応する座席8上の乗員6が子供62であると判定された窓ガラス7の窓ガラス開閉駆動部13には開閉駆動を禁止する個別ロックモードと、を有しており、窓ガラス開閉制御部10は、車両に設けられた予め定められた窓ガラス開閉モード設定部(モード切替操作部)14への操作に基づいて、上記制御モードを切り替えて設定可能である(制御モード設定手段)。この2モードの切り替えのみでもよいが、本実施形態においてはさらに、制御モードとして、窓ガラス開閉操作部11により開閉可能な全ての窓ガラス7の窓ガラス開閉駆動部13に対し開閉駆動を禁止する一括ロックモードも、窓ガラス開閉モード設定部14の操作に基づいて設定可能である。本実施形態においては、窓ガラス開閉モード設定部14として、図2に示すように、ON時に一括ロックモードを設定してOFF時に一括ロックモードを解除する一括ロックモード設定操作部14aと、ON時に個別ロックモードを設定してOFF時に個別ロックモードを解除する個別ロックモード設定操作部14bとを備える。双方がONの時には一括ロックモードが優先して設定される一方、双方がOFFの場合にフリーモードが設定される。
【0029】
以下、窓ガラス開閉制御部10の制御モード(窓ガラス開閉モード)の設定処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。当該処理は、窓ガラス開閉制御部10のメモリ内の所定プログラム2をCPUが実施する形で実行される。
【0030】
S1にて、窓ガラス開閉制御部10が、一括ロックモード設定操作部14aへの操作の有無を判定する。ONの操作がなされていれば、S2にて窓ガラス開閉制御部10が一括ロックモードを設定する。OFFの操作がなされていればS3に進む。
【0031】
S3では、窓ガラス開閉制御部10が、個別ロックモード設定操作部14bへの操作の有無を判定する。ONの操作がなされていれば、S4にて窓ガラス開閉制御部10が個別ロックモードを設定する。OFFの操作がなされていればS5にて窓ガラス開閉制御部10がフリーモードを設定する。
【0032】
なお、当該処理は所定周期にて繰り返し実施されるものとする。窓ガラス開閉制御部10は、設定されている制御モードに従い、窓ガラス開閉操作部11への操作に基づいて窓ガラス開閉駆動部13の駆動処理を実施する。制御モードにより制限される窓ガラスの開閉制限処理は、図7のフローチャートに示すとおりである。
【0033】
S100では、窓ガラス開閉制御部10が、窓ガラス開閉操作部11(11A〜11D)への操作の有無を判定する。当該操作がなければそのまま本処理を終了するが、当該操作があった場合には、窓ガラス開閉制御部10は、S101にて現在設定中の制御モードを読み出す。
【0034】
続くS102にて、S101で読み出した制御モードに基づいて窓ガラス開閉制御部10が、現在設定中の制御モードが個別ロックモードであるか否かを判定する。個別ロックモードではないと判定した場合にはS108に進む。S108では、S101で読み出した制御モードに基づいて窓ガラス開閉制御部10が、現在設定中の制御モードが一括ロックモードであるか否かを判定する。一括ロックモードであればS109に進み、窓ガラス開閉制御部10は全ての窓ガラス開閉駆動部13の駆動を禁止して、窓ガラス開閉操作部11(11A〜11D)の開閉操作を全て無効化する。他方、一括ロックモードでなければS110に進み、窓ガラス開閉制御部10は全ての窓ガラス開閉駆動部13の駆動を許可して、窓ガラス開閉操作部11(11A〜11D)の開閉操作を全て有効化し、S100でなされた開閉操作に応じた窓ガラス開閉駆動部13の開閉駆動制御を実施する。
【0035】
他方、S102にて、窓ガラス開閉制御部10が、現在設定中の制御モードが個別ロックモードであると特定した場合にはS103に進む。S103では、窓ガラス開閉制御部10が、S101にて操作がなされた窓ガラス開閉操作部11(11A〜11D)に対応する座席上の乗員が大人であるか子供であるかを特定する。ここでは、図8に示す大人子供判定処理をこの段階で実行するか、あるいは既に実行された図8に示す大人子供判定処理の判定結果を読み出す形で、当該座席上の乗員が大人であるか子供であるかを特定する。
【0036】
まずは、窓ガラス開閉制御部10が、図7のS100にてなされた操作を行った指6Fの接触領域60を特定する(S11)。ここでは、操作を行った指6Fは、大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)をなすカメラが窓ガラス開閉制御部10への接触操作がなされるに伴い撮影した撮影画像に基づいて接触領域60を特定する。その上で、窓ガラス開閉制御部10は、該撮影画像上で特定された接触領域60から指幅方向を特定して(S12)、当該接触領域60の指幅方向における長さ(指幅)dを該撮影画像上から算出し(S13)、これを指6Fの大きさとして特定する。さらに、算出された指幅dが予め定められた閾値(指幅閾値)を上回るか否かを判定し(S14)、上回る場合を大人(S15)、上回らない場合を子供(S16)と判定し、その判定結果を記憶して本処理を終了する。
【0037】
ただし、S11〜S13の処理においては、大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)が取得する情報如何では、接触領域60を特定できなかったり、指幅方向が特定できなかったり、指幅が算出できなかったりといったように、所定期間処理を継続しても求める情報を得られない場合がある。こうした場合、窓ガラス開閉制御部10は、当該処理を強制終了して、判定不能という判定結果を記憶する。
【0038】
図7に戻る。S103に続くS104では、窓ガラス開閉制御部10が、S101にて操作がなされた窓ガラス開閉操作部11(11A〜11D)に対応する座席上の乗員が大人であるか子供であるかを、S103において特定できたか否かを判定する。特定できなかった場合はS107進み、窓ガラス開閉制御部10は、S100にて窓ガラス開閉操作部11になされたと判断された操作を無効化するべく、対応する窓ガラス開閉駆動部13の駆動を禁止する。他方、特定できた場合にはS105に進む。
【0039】
S105では、S103の判定結果が、乗員を大人であると特定するものであればS106に進み、窓ガラス開閉制御部10は、S100にて窓ガラス開閉操作部11になされたと判断された操作を有効化するべく、対応する窓ガラス開閉駆動部13の駆動を許可し、その駆動制御を開始する。他方、S103の判定結果が、乗員を子供であると特定するものであればS107に進み、窓ガラス開閉制御部10は、S100にて窓ガラス開閉操作部11になされたと判断された操作を無効化するべく、対応する窓ガラス開閉駆動部13の駆動を禁止する。
【0040】
S106〜S110の処理終了により本処理は終了となるが、本処理は所定周期で繰り返し実施される。この処理では、個別ロックモード時においては基本的には各窓ガラス開閉操作部11は開閉禁止とされており、操作者が大人であると判定された時に限り、開閉を許可するようになっている。従来は一括操作モードとフリーモードしか設定できなかったため、操作を制限したい時には、図9(a)に示すように、全席(場合によっては運転席が除かれる)を一括して操作禁止とせざるをえず、窓ガラス開閉操作部11を安全に開閉できる大人が乗車している時でもその操作は許可されなかったが、本発明によれば、図9(b)に示すように、個別ロックモードが設定できるから、当該モードを設定することで、窓ガラス開閉操作部11を安全に開閉できる大人であればその操作が許可され、子供であればその操作が禁止されるようになる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0042】
例えば、図8に示す大人子供判定処理は、他の処理とすることもできる。
【0043】
図10に示す大人子供判定処理は、窓ガラス開閉操作部11にてなされた操作(S100にて検出)を行った指6Fの接触領域60を、大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)をなす指紋センサ(周知)の検出結果に基づいて取得する。即ち、指紋センサが窓ガラス開閉制御部10への接触操作がなされるに伴い取得した指紋模様に基づいてその外縁を特定し、これにより接触領域60を特定する(S21)。S22以降は、図8の処理と同様である。
【0044】
図11に示す大人子供判定処理は、窓ガラス開閉操作部11にてなされた操作(S100にて検出)を行った指6Fの接触領域60を、大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)をなす指紋センサ(周知)が検出する指紋模様又はカメラによる撮影画像に基づいて取得して、取得した情報に基づいて接触領域60を特定する(S31)。そして、特定された接触領域60の面積を算出し(S32)、算出された面積が予め定められた閾値(面積閾値)を上回るか否かを判定し(S33)、上回る場合を大人(S34)、上回らない場合を子供(S34)と判定する。
【0045】
図12に示す大人子供判定処理は、窓ガラス開閉操作部11にてなされた操作(S100にて検出)を行った指6Fの接触領域60を、大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)をなす指紋センサ(周知)の検出結果に基づいて取得する構成が前提となる。S41では、S21と同様、指紋センサが窓ガラス開閉制御部10への接触操作がなされるに伴いその指の接触面の指紋模様を取得する。S42では、取得した指紋模様に欠けている部分が無いかを判定する。即ち、大人/子供判定情報取得部12(12A〜12D)をなす指紋センサ12は、既に述べたように、スイッチノブ110の主表面(閉操作面)11aの中心部のみが指の大きさ検出部12bにより接触領域情報を検出できる検出領域12b1とされ、スイッチノブ110の先端面11b及び主裏面11cの中心部のみが指の大きさ検出部12aにより接触領域情報を検出できる検出領域12a1とされているから、これらから外れる接触領域60に接触した指の接触面の指紋模様を取得することはできない。S42では、その検出領域12b1、12a1からはずれたし門模様の有無を判定する。これは、取得した指紋模様の端部に検出領域12b1、12a1の外縁線が現れているかに基づいて判定する。
【0046】
S42にて、取得した指紋模様に欠けている部分がないと判定された場合には、S43〜S48の処理を実施する。これらの処理は図10の処理と同様である。ただし、図11の処理とすることもできる。
【0047】
S42にて、取得した指紋模様に欠けている部分があると判定された場合には、上記実施形態では判定不能という判定結果となるケースであるが、ここでは、S41で取得した指紋模様に基づいて欠けている残部に係る情報を推定する形で指の大きさを推定する。具体的にはS49にて、取得した指紋模様の中心点を特定し、S50にて、当該中心点と、指の指紋模様に基づいて特定可能となる指幅方向における一方の端縁位置(欠けている部分ではない)との間の距離を算出して、算出された距離に基づいて指幅を推定する(S51)。推定後は、推定された指幅が予め定められた閾値を上回るか否かを判定し(S52)、上回る場合を大人(S53)、上回らない場合を子供(S54)と判定する。
【0048】
図13に示す大人子供判定処理は、S61にて、座席8に着座した乗員6を撮影可能となる撮影範囲にて固定設置されたカメラ(撮影手段)22(22A〜22D:図14)による撮影を実施し、S62にて、その撮影画像(例えば図15の符号220)からパターンマッチング等の周知の方法により乗員の画像を特定する。さらに、S63では、特定された乗員の画像から、予め定められた人間の部位を特定してその長さ(寸法)を算出する。例えば、乗員の画像から頭に相当する部分を特定してその長さd1を算出する、あるいは乗員の画像から方に相当する部分を特定してその幅(肩幅)d2を算出する、あるいは、乗員の画像から頭部の最も高い位置を特定してその高さ(座高でもよい)d3を算出する。そして、算出された値を予め定められた閾値を上回るか否かを判定し(S64)、上回る場合を大人(S65)、上回らない場合を子供(S66)と判定する。この実施形態では、カメラ22(22A〜22D)が座席8(8A〜8D)に対応して設けられており、それぞれ大人/子供判定情報取得部として機能している。座席8毎にカメラ22があってもよいし、隣接する座席8を一括して撮影するように設けられてもよい。
【0049】
図16に示す大人子供判定処理は、図18に示すように、座席8に設けられた重量物を検出する座席上重量物検出部32(32A〜32D)を、大人/子供判定情報取得部として有する。座席上重量物検出部32(32A〜32D)は、座席8の各部位上の重量物を検出するよう各部位に設けられており、ここでは、図19に示されている、座席8の座部81上の重量物により座部81に印加される圧力を検出する圧力センサ(座部上重量物検出手段)321と、座席に着座した乗員の足が載置される足元床面83上の重量物により該足元床面83に印加される圧力を検出する圧力センサ(足元床面上重量物検出手段)323と、を有して構成される。
【0050】
処理としては、図16に示すように、まずはS71にて、座席8の座部81上に重量物があるか否かを判定する。これは、重量物により座部81上に印加される圧力を検出する圧力センサ321の検出値が予め定められた閾値を上回った場合に重量物があると判定する。座部81上に重量物があると判定された場合にはS72からS73に進む。他方、重量物が無いと判定された場合にはS72にて本処理終了となる。即ち、すでに述べた場合と同様の判定不能という判定結果となる。S73では、座席8の足元床面83上に重量物があるか否かを判定する。これは、重量物により足元床面83上に印加される圧力を検出する圧力センサ323の検出値が予め定められた閾値を上回った場合に重量物があると判定する。足元床面83上に重量物があると判定された場合にはS74からS75に進み、座席8上の乗員を大人と判定する。他方、足元床面83上に重量物がないと判定された場合にはS74からS76に進み、座席8上の乗員を子供と判定する。
【0051】
図17に示す大人子供判定処理も、図18に示すように、座席8に設けられた重量物を検出する座席上重量物検出部32(32A〜32D)を、大人/子供判定情報取得部として有する。座席上重量物検出部32(32A〜32D)は、ここでは、図19に示されている、座席8の座部81上の重量物により座部81に印加される圧力を検出する圧力センサ(座部上重量物検出手段)321と、座席に着座した乗員の頭が載置されるヘッドレスト部84(背もたれ部82の上部に位置する)上の重量物により該ヘッドレスト84に印加される圧力を検出する圧力センサ(足元床面上重量物検出手段)324と、を有して構成される。
【0052】
処理としては、図17に示すように、まずはS81にて、座席8の座部81上に重量物があるか否かを判定する。これは、重量物により座部81上に印加される圧力を検出する圧力センサ321の検出値が予め定められた閾値を上回った場合に重量物があると判定する。座部81上に重量物があると判定された場合にはS82からS83に進む。他方、重量物が無いと判定された場合にはS82にて本処理終了となる。即ち、すでに述べた場合と同様の判定不能という判定結果となる。S83では、座席8のヘッドレスト部b84上に重量物があるか否かを判定する。これは、重量物によりヘッドレスト部84上に印加される圧力を検出する圧力センサ324の検出値が予め定められた閾値を上回った場合に重量物があると判定する。ヘッドレスト部84上に重量物があると判定された場合にはS84からS85に進み、座席8上の乗員6を大人61と判定する。他方、ヘッドレスト部84上に重量物がないと判定された場合にはS84からS86に進み、座席8上の乗員6を子供62と判定する。
【0053】
なお、上記したいずれの大人子供判定処理も処理の主体は窓ガラス開閉制御部10である。複数種の大人子供判定処理を実施し、それらの判定結果の組み合わせから、大人と子供の判定をしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
100 車両
1 車両用窓ガラス開閉装置
10 窓ガラス開閉制御部
11(11A〜11D) 窓ガラス開閉操作部
12(12A〜12D) 大人/子供判定情報取得部
13(13A〜13D) 窓ガラス開閉駆動部(モータ)
14 窓ガラス開閉モード設定部(モード切替操作部)
7(7A〜7D) 窓ガラス
8(8A〜8D) 座席
6F 指
60 接触領域
110 スイッチノブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた複数の窓ガラスのうち車両の各座席に対応するものを個別に開閉するための窓ガラス開閉操作部と、
車両の座席に着座する乗員が子供であるか大人であるかを判定する大人/子供判定手段と、
前記座席に着座する乗員が子供であると判定された場合には、当該座席に対応する窓ガラスへの開閉操作を無効化する一方で、大人であると判定された場合には、当該座席に対応する窓ガラスの開閉操作を有効化する窓ガラス開閉制限手段と、
を備えることを特徴とする車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項2】
前記大人/子供判定手段は、前記窓ガラス開閉操作部に設けられた接触操作面に対し操作のために接触した指の接触領域を特定する接触領域特定手段と、特定された指の接触領域に基づいて、操作した指の大きさを特定する指の大きさ特定手段とを有し、特定された指の大きさに基づいて、当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員が子供であるか大人であるかを判定するものである請求項1記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項3】
前記指の大きさ特定手段は、前記接触領域特定手段により特定された前記指の接触領域に基づいて当該指の指幅を算出し、算出された指幅を前記指の大きさとして特定する指幅特定手段を有し、
前記大人/子供判定手段は、特定された指幅が予め定められた指幅閾値を上回る場合に、当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員を大人と判定し、上回らない場合を子供と判定するものである請求項2記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項4】
前記接触領域特定手段は、前記窓ガラス開閉操作部に設けられた接触操作面に対し操作のために接触した指の接触領域の指紋模様を検出する指紋検出手段であり、
前記指の大きさ特定手段は、検出された指紋模様に基づいて、指の大きさを特定又は推定するものであるものである請求項2又は請求項3に記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項5】
前記指の大きさ特定手段は、前記指紋検出手段により検出された指紋模様から該指紋模様の中心点を特定し、さらに、当該中心点と指幅方向における前記指の接触領域の一方の端位置との間の長さを算出して、算出された長さに基づいて、当該指の指幅を推定する指幅推定手段を有し、推定された指幅を前記指の大きさとして特定するものである請求項4記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項6】
前記指の大きさ特定手段は、前記接触領域特定手段により特定された前記指の接触領域が、前記窓ガラス開閉操作部の接触操作面に対し操作のために接触した当該指の接触領域の全てを特定しているのか特定されていない部分があるのかを判定し、特定されていない部分があると判定された場合には、前記指幅推定手段により前記窓ガラス開閉操作部を接触操作する指の指幅を推定する一方、全て検出されていると判定された場合には、特定された前記指の接触領域に基づいて当該指の指幅を算出する、あるいは、指紋検出手段により検出された指紋模様に基づいて当該指の指幅を推定又は特定して、当該指の指幅を前記指の大きさとして特定するものである請求項4記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項7】
前記大人/子供判定手段は、前記指紋検出手段により指紋が検出されなかった場合には、前記窓ガラス開閉操作部に設けられた接触操作面への接触操作を誤操作と判定し、
前記窓ガラス開閉制限手段は、誤操作と判定された当該座席に対応する窓ガラスの開閉操作を無効化する請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項8】
前記指の大きさ特定手段は、前記接触領域特定手段により特定された前記指の接触領域に基づいて当該指の接触領域の面積を特定する接触面積特定手段を有し、
前記大人/子供判定手段は、特定された接触面積が予め定められた面積閾値を上回る場合に、当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員を大人と判定し、上回らない場合を子供と判定するものである請求項2記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項9】
前記大人/子供判定手段は、座席上の乗員を撮影する乗員撮影手段を有し、その撮影画像に映る乗員の画像の寸法に基づいて、当該座席上の乗員が大人であるか子供であるかを判定する請求項1記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項10】
前記大人/子供判定手段は、座席の座部上の重量物を検出する座部上重量物検出手段と、当該座席に着座するユーザーの足元床面上の重量物を検出する足元床面上重量物検出手段とを有し、前記座部上重量物検出手段により前記重量物が検出されていることを前提にして、前記足元床面上重量物検出手段が前記重量物を検出している場合には当該座席に着座する乗員を大人と判定し、前記足元床面上重量物検出手段が前記重量物を検出していない場合には当該座席に着座する乗員を子供と判定するものである請求項1記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項11】
前記大人/子供判定手段は、座席の座部上の重量物を検出する座部上重量物検出手段と、当該座席の背もたれの上に位置するヘッドレスト上の重量物を検出するヘッドレスト上重量物検出手段とを有し、前記座部上重量物検出手段により前記重量物が検出されていることを前提にして、前記ヘッドレスト上重量物検出手段が前記重量物を検出している場合には当該座席に着座する乗員を大人と判定し、前記ヘッドレスト上重量物検出手段が前記重量物を検出していない場合には当該座席に着座する乗員を子供と判定するものである請求項1記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項12】
対応する前記窓ガラス開閉操作部への開閉操作に基づいて、対応する窓ガラスを開閉駆動する窓ガラス開閉駆動部と、
前記窓ガラス開閉駆動部の駆動制御を行う窓ガラス開閉制御部と、
前記窓ガラス開閉制御部の制御モードとして、前記窓ガラス開閉操作部により開閉可能な全ての窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部に対し開閉駆動を許可するフリーモードと、前記窓ガラス開閉操作部により開閉可能な全ての窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部に対し開閉駆動を禁止する一括ロックモードと、前記窓ガラス開閉操作部により開閉可能な窓ガラスのうち対応する座席上の乗員が前記大人/子供判定手段により大人であると判定された窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部には開閉駆動を許可する一方で、対応する座席上の乗員が前記大人/子供判定手段により子供であると判定された窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部には開閉駆動を禁止する個別ロックモードと、を有し、車両に設けられた予め定められたモード切替操作部への操作に基づいて、前記制御モードを切り替えて設定する制御モード設定手段と、を備え、
前記窓ガラス開閉制御部は、前記制御モード設定手段により設定された前記制御モードに従い前記窓ガラス開閉駆動部の駆動制御を行うものであり、前記制御モードとして前記個別ロックモードが設定された場合に、前記窓ガラス開閉制限手段として機能する請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項1】
車両に設けられた複数の窓ガラスのうち車両の各座席に対応するものを個別に開閉するための窓ガラス開閉操作部と、
車両の座席に着座する乗員が子供であるか大人であるかを判定する大人/子供判定手段と、
前記座席に着座する乗員が子供であると判定された場合には、当該座席に対応する窓ガラスへの開閉操作を無効化する一方で、大人であると判定された場合には、当該座席に対応する窓ガラスの開閉操作を有効化する窓ガラス開閉制限手段と、
を備えることを特徴とする車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項2】
前記大人/子供判定手段は、前記窓ガラス開閉操作部に設けられた接触操作面に対し操作のために接触した指の接触領域を特定する接触領域特定手段と、特定された指の接触領域に基づいて、操作した指の大きさを特定する指の大きさ特定手段とを有し、特定された指の大きさに基づいて、当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員が子供であるか大人であるかを判定するものである請求項1記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項3】
前記指の大きさ特定手段は、前記接触領域特定手段により特定された前記指の接触領域に基づいて当該指の指幅を算出し、算出された指幅を前記指の大きさとして特定する指幅特定手段を有し、
前記大人/子供判定手段は、特定された指幅が予め定められた指幅閾値を上回る場合に、当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員を大人と判定し、上回らない場合を子供と判定するものである請求項2記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項4】
前記接触領域特定手段は、前記窓ガラス開閉操作部に設けられた接触操作面に対し操作のために接触した指の接触領域の指紋模様を検出する指紋検出手段であり、
前記指の大きさ特定手段は、検出された指紋模様に基づいて、指の大きさを特定又は推定するものであるものである請求項2又は請求項3に記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項5】
前記指の大きさ特定手段は、前記指紋検出手段により検出された指紋模様から該指紋模様の中心点を特定し、さらに、当該中心点と指幅方向における前記指の接触領域の一方の端位置との間の長さを算出して、算出された長さに基づいて、当該指の指幅を推定する指幅推定手段を有し、推定された指幅を前記指の大きさとして特定するものである請求項4記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項6】
前記指の大きさ特定手段は、前記接触領域特定手段により特定された前記指の接触領域が、前記窓ガラス開閉操作部の接触操作面に対し操作のために接触した当該指の接触領域の全てを特定しているのか特定されていない部分があるのかを判定し、特定されていない部分があると判定された場合には、前記指幅推定手段により前記窓ガラス開閉操作部を接触操作する指の指幅を推定する一方、全て検出されていると判定された場合には、特定された前記指の接触領域に基づいて当該指の指幅を算出する、あるいは、指紋検出手段により検出された指紋模様に基づいて当該指の指幅を推定又は特定して、当該指の指幅を前記指の大きさとして特定するものである請求項4記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項7】
前記大人/子供判定手段は、前記指紋検出手段により指紋が検出されなかった場合には、前記窓ガラス開閉操作部に設けられた接触操作面への接触操作を誤操作と判定し、
前記窓ガラス開閉制限手段は、誤操作と判定された当該座席に対応する窓ガラスの開閉操作を無効化する請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項8】
前記指の大きさ特定手段は、前記接触領域特定手段により特定された前記指の接触領域に基づいて当該指の接触領域の面積を特定する接触面積特定手段を有し、
前記大人/子供判定手段は、特定された接触面積が予め定められた面積閾値を上回る場合に、当該窓ガラス開閉操作部に対応する座席に着座する乗員を大人と判定し、上回らない場合を子供と判定するものである請求項2記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項9】
前記大人/子供判定手段は、座席上の乗員を撮影する乗員撮影手段を有し、その撮影画像に映る乗員の画像の寸法に基づいて、当該座席上の乗員が大人であるか子供であるかを判定する請求項1記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項10】
前記大人/子供判定手段は、座席の座部上の重量物を検出する座部上重量物検出手段と、当該座席に着座するユーザーの足元床面上の重量物を検出する足元床面上重量物検出手段とを有し、前記座部上重量物検出手段により前記重量物が検出されていることを前提にして、前記足元床面上重量物検出手段が前記重量物を検出している場合には当該座席に着座する乗員を大人と判定し、前記足元床面上重量物検出手段が前記重量物を検出していない場合には当該座席に着座する乗員を子供と判定するものである請求項1記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項11】
前記大人/子供判定手段は、座席の座部上の重量物を検出する座部上重量物検出手段と、当該座席の背もたれの上に位置するヘッドレスト上の重量物を検出するヘッドレスト上重量物検出手段とを有し、前記座部上重量物検出手段により前記重量物が検出されていることを前提にして、前記ヘッドレスト上重量物検出手段が前記重量物を検出している場合には当該座席に着座する乗員を大人と判定し、前記ヘッドレスト上重量物検出手段が前記重量物を検出していない場合には当該座席に着座する乗員を子供と判定するものである請求項1記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【請求項12】
対応する前記窓ガラス開閉操作部への開閉操作に基づいて、対応する窓ガラスを開閉駆動する窓ガラス開閉駆動部と、
前記窓ガラス開閉駆動部の駆動制御を行う窓ガラス開閉制御部と、
前記窓ガラス開閉制御部の制御モードとして、前記窓ガラス開閉操作部により開閉可能な全ての窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部に対し開閉駆動を許可するフリーモードと、前記窓ガラス開閉操作部により開閉可能な全ての窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部に対し開閉駆動を禁止する一括ロックモードと、前記窓ガラス開閉操作部により開閉可能な窓ガラスのうち対応する座席上の乗員が前記大人/子供判定手段により大人であると判定された窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部には開閉駆動を許可する一方で、対応する座席上の乗員が前記大人/子供判定手段により子供であると判定された窓ガラスの前記窓ガラス開閉駆動部には開閉駆動を禁止する個別ロックモードと、を有し、車両に設けられた予め定められたモード切替操作部への操作に基づいて、前記制御モードを切り替えて設定する制御モード設定手段と、を備え、
前記窓ガラス開閉制御部は、前記制御モード設定手段により設定された前記制御モードに従い前記窓ガラス開閉駆動部の駆動制御を行うものであり、前記制御モードとして前記個別ロックモードが設定された場合に、前記窓ガラス開閉制限手段として機能する請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の車両用窓ガラス開閉装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−229659(P2010−229659A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76424(P2009−76424)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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