説明

車両用舵角比可変操舵装置

【課題】ステアリングに連結される入力軸と車輪側に連結される出力軸とを有する舵角比可変ユニットにおいて、装置全体のコンパクト化及び低コスト化を図る。
【解決手段】入力軸3にボールネジ部3aを介して連結され、該入力軸3の回転により直線移動を生じる入力側移動部材20と、出力軸4にボールネジ部4aを介して連結され、直線移動により出力軸4を回転させる出力側移動部材21と、入力側移動部材20から出力側移動部材21への直線移動伝達を行うリンク機構30とを備え、入力側移動部材20の直線移動量と出力側移動部材21の直線移動量とが非線形となるようにリンク機構30による直線移動伝達を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のステアリングと車輪との間の操舵力伝達経路に設けられ、ステアリングの操舵角に応じて、該操舵角に対する車輪舵角の比である舵角比を変化させる車両用舵角比可変操舵装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の車両用舵角比可変操舵装置として、ステアリング側に連結される入力軸と、車輪側に連結される出力軸とを備え、ステアリングの操舵角に応じて、入力軸及び出力軸間の入力/出力回転比(出力軸の回転量に対する入力軸の回転量の比)を変化させることで舵角比を変化させるようにしたものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1に示す車両用舵角比可変操舵装置では、入力軸と出力軸とが非同軸に配設されていて、入力軸に対してセレーションを介してその軸心方向に移動可能に外挿された進退部材と、該進退部材と出力軸とを互いに連結する2本の直列リンク部材と、進退部材の軸心方向の位置を調整するためのモータとが設けられている。進退部材の外周面には、外輪にナット部材が一体固定されたベアリングが外嵌されており、該ナット部材に螺合するネジ棒をモータで駆動することで、進退部材の軸心方向位置を調整可能になっている。そして、該車両用舵角比可変操舵装置は、ステアリングの操舵角に応じて、進退部材を軸心方向に移動させることで、上記両リンク部材の連結部と上記入力軸及び出力軸との距離を変更して入力/出力回転比を変化させ、延いては舵角比を変化させるように構成されている。
【0004】
また、例えば特許文献2に示す車両用舵角比可変操舵装置では、入力軸に連結されて該入力軸回りに回転する入力側回転円板と、出力軸に連結されて該出力軸回りに回転する出力側回転円板と、該入力側及び出力側回転円板を互いに連動可能に連結するリンク状の揺動部材とが設けられている。揺動部材の一端部は出力側回転円板にその中心軸から所定量だけ偏心してボールジョイントを介して回動可能に固定されている一方、揺動部材の他端部は、入力側回転円板の中心から径方向外側に延びる経路に沿ってスライド可能なボールナットにボールジョイントを介して回動可能に連結されている。該揺動部材他端部の径方向位置(偏心量)は、モータを含む偏心量変更手段により調整可能になっており、上記車両用舵角比可変操舵装置は、ステアリングの操舵角に応じて、上記偏心量を変更することで入力/出力回転比を変化させ、延いては舵角比を変化させるように構成されている。
【特許文献1】特開2000−309280号公報
【特許文献2】特開2000−264228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1及び2に示す車両用舵角比可変操舵装置では、入力/出力回転比を可変とするためのモータが必要であるため、コスト増加や装置全体の大型化を招くという問題がある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両のステアリングと車輪との操舵力伝達経路に設けられる車両用舵角比可変操舵装置に対して、その構成に工夫を凝らすことで、装置全体のコンパクト化及び低コスト化を図ろうとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、入力軸に連結され、該入力軸の回転により直線移動を生じる入力側移動部材と、出力軸に連結され、直線移動することにより該出力軸を回転させる出力側移動部材と、入力側移動部材の直線移動量と出力側移動部材の直線移動量との関係を非線形とするように、入力側移動部材から出力側移動部材への直線移動伝達を行う機械的直線移動伝達手段とを備えるようにした。
【0008】
具体的には、請求項1の発明では、車両のステアリングから車輪までの操舵力伝達経路に設けられる車両用舵角比可変操舵装置を対象とする。
【0009】
そして、上記車両のステアリング側に連結されて該ステアリングの操舵に連動して回転する入力軸と、上記車両の車輪側に連結されて回転によりステアリング操舵力を車輪側に伝達する出力軸と、上記入力軸に対して、回転−直線移動変換を行う第一変換機構を介して連結され、該入力軸の回転により直線移動を生じる入力側移動部材と、上記出力軸に対して、直線−回転移動変換を行う第二変換機構を介して連結され、直線移動により該出力軸を回転させる出力側移動部材と、上記入力側移動部材及び上記出力側移動部材間に設けられ、該入力側移動部材の直線移動を該出力側移動部材に伝達して直線移動を生じさせる機械的直線移動伝達手段とを備え、上記機械的直線移動伝達手段は、上記入力側移動部材の直線移動量と上記出力側移動部材の直線移動量との関係を非線形とするように構成されているものとする。
【0010】
上記の構成により、モータ等を用いずに機械的な構成のみで、ステアリングの操舵角に応じて、ステアリングの操舵角に対する車輪舵角の比である舵角比を確実に変化させることができる。
【0011】
すなわち、ステアリングが車両の乗員により操舵されると、これに連動して入力軸が回転し、該回転が上記第一変換機構を介して直線移動に変換されて入力側移動部材に伝達され、入力側移動部材が直線移動することとなる。この入力側移動部材の直線移動は、機械的直線移動伝達手段により出力側移動部材に伝達され、この結果、出力側移動部材が直線移動することとなる。そうして、出力側移動部材が直線移動することにより、上記第二変換機構を介して該直線移動が回転移動に変換されて出力軸に伝達され、出力軸が回転することとなる。
【0012】
ここで、本発明では、機械的直線移動伝達手段による、入力側移動部材から出力側移動部材への直線移動伝達は、入力側移動部材の直線移動量と出力側移動部材の直線移動量との関係が非線形となるように行われる。このため、入力側移動部材の直線移動量に対応する入力軸の回転量と、出力側移動部材の直線移動量に対応する出力軸の回転量との関係も非線形となる(非線形特性を有することとなる)。従って、入力軸の回転量(つまりステアリングの操舵角)に応じて、出力軸の回転量に対する入力軸の回転量の比である入力/出力回転比を変化させることができ、延いては舵角比を変化させることができる。
【0013】
従って、モータ等の電気的制御機器を使用することなく、機械的な構成のみで、ステアリングの操舵角に応じて舵角比を変化させることができるので、装置全体のコンパクト化及び低コスト化を図ることができる。
【0014】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記機械的直線移動伝達手段はリンク機構からなり、上記リンク機構は、上記入力側移動部材に連結される入力部と、上記出力側移動部材に連結される出力部とを有していて、該出力部の移動のうち該入力部の移動方向に対して平行な方向の成分の移動量と該入力部の移動量との関係を非線形とするように構成されているものとする。
【0015】
この構成によれば、出力部の移動のうち、入力部の直線移動方向に対して平行な方向の成分の移動量が、該入力部の移動量との関係で非線形特性を有することとなる。このため、入力側移動部材と出力側移動部材とを、それぞれの直線移動方向が同方向になるように配設することで、入力部に連結される入力側移動部材の直線移動量と、出力部に連結される出力側移動部材の直線移動量との関係を非線形にすることができる。よって該両移動部材の直線移動方向を同方向としてリンク機構の複雑化を防止しつつ、該両移動部材の直線移動量の関係を非線形にすることができる。
【0016】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、上記リンク機構は、一端部が上記入力側移動部材に回動可能に連結された第一リンク部材と、一端部が上記第一リンク部材の他端部に回動可能に連結されるとともに、他端部が上記出力側移動部材に対して回動可能に且つ該出力側移動部材の直線移動方向に対して横切る方向にスライド移動可能に連結された第二リンク部材と、上記第一及び第二リンク部材をそれぞれの中間部にて、該各リンク部材の延設方向のスライド移動を許容しながら回動可能に支持する支持ピンとを備えており、上記入力部は、上記第一リンク部材の上記一端部とされ、上記出力部は、上記第二リンク部材の上記他端部とされているものとする。
【0017】
この構成によれば、車両の乗員がステアリングを操舵することで入力軸が回転して入力側移動部材が直線移動すると、第一リンク部材の一端部(入力部)が入力側移動部材と共に直線移動し、この結果、第一リンク部材は支点ピンを支点としてその延設方向にスライドしながら回動し、これに連動して、第二リンク部材も支点ピン回りにスライドしつつ回動することとなる。これにより、入力側移動部材の直線移動と各リンク部材の支持ピン回りの回動移動とが合成されて、第二リンク部材の他端部(出力部)には非線形な移動が生じることとなる。ここで、第二リンク部材の他端部は、出力側移動部材に対してその直線移動方向を横切る方向(直線移動方向と平行でない方向)にスライド移動可能に連結されており、このため、第二リンク部材の他端部の非線形な移動を、出力側移動部材の直線移動として確実に出力させることができる。
【0018】
そうして、上記リンク機構によって、入力側移動部材の直線移動量と出力側移動部材の直線移動量との関係を非線形とすることができ、従って、請求項1の発明と同様の作用効果をより一層確実に得ることが可能となる。
【0019】
請求項4の発明では、請求項1の発明において、上記機械的直線移動伝達手段はカム機構からなり、上記カム機構は、上記入力側移動部材の直線移動を受けて回転移動を生じる入力側部と、上記入力側部の回転移動をカム面を介して直線移動に変換して上記第二変換機構に出力する出力側部とを備えており、上記カム面は、上記入力側部にて生じる回転移動量と、上記出力側部から出力される直線移動量との関係を非線形とするように形成されているものとする。
【0020】
この構成によれば、入力側移動部材が直線移動することにより、該直線移動が上記入力側部にて回転移動に変換され、該回転移動は、上記出力側部のカム面を介して直線移動に変換されて第二変換機構に出力され、第二変換機構にてこの直線移動が回転に変換されて出力軸が回転することとなる。ここで、出力側部のカム面は、入力側部にて生じる回転移動量(つまり入力側移動部材の直線移動量)と、該出力側部から出力される直線移動量との関係を非線形とするように形成されており、このため、入力軸の回転量と出力軸の回転量との関係も非線形となる。よって、請求項1の発明と同様の作用効果を確実に得ることが可能となる。
【0021】
請求項5の発明では、請求項4記載の発明において、上記入力側部は、上記入力側移動部材に連結され、その直線移動に連動して該直線移動方向に垂直な垂直軸回りに回動する回動部材と、上記回動部材に回転一体に取付けられた押圧ピンとで構成され、上記出力側部は、上記出力側移動部材に固定され且つ上記カム面を有する固定部材で構成されており、上記カム機構は、上記入力側移動部材の直線移動に連動して上記回動部材が上記垂直軸回りに回動することにより、上記押圧ピンが該回動部材と共に回動して上記固定部材のカム面を摺動しながら押圧することで、該固定部材が上記出力側移動部材と共に直線移動するように構成されているものとする。
【0022】
この構成によれば、車両の乗員がステアリングを操舵することにより入力軸が回転して入力側移動部材が直線移動すると、これに連動して回動部材が上記垂直軸回りに回動し、該回動部材に回転一体に取付けられた押圧ピンが該垂直軸回りに回動する。この結果、固定部材のカム面が押圧ピンにより押圧され、この押圧力によって出力側移動部材が固定部材と共に直線移動することとなる。このように、入力側移動部材から出力側移動部材への直線移動伝達をカム機構を介して行うことで、上述の非線形特性を容易に実現することができて、請求項1と同様の作用効果をより一層確実に得ることができる。
【0023】
請求項6の発明では、請求項1乃至5のいずれかの発明において、上記機械的直線移動伝達手段は、上記ステアリングの操舵角が大きくなるにしたがって、上記出力軸の回転量に対する上記入力軸の回転量の比を小さくするように構成されているものとする。
【0024】
この構成によれば、ステアリングの操舵角が大きくなるにしたがって、入力軸及び出力軸間の入力/出力回転比が小さくなる。
【0025】
従って、車両の高速走行時等のように、ステアリングの操舵角が小さくなる状況においては、入力軸及び出力軸間の入力/出力回転比を大きくして、ステアリングの舵角変化に対する車両の進路変更特性を鈍らせることで、車両の直進安定性を向上させることができる一方、車庫入れ時等のように、大きなステアリング操舵角が必要とされる状況では、入力/出力回転比を小さくしてステアリングの舵角変化に対する車両の進路変更特性を敏感にすることで、少ないステアリング操作量で車両の進路を確実に変更させることができて、操舵時の取り回し性を向上させることができる。
【0026】
請求項7の発明では、請求項1乃至6のいずれかの発明において、上記第一及び第二変換機構は共にボールネジ機構からなるものとする。
【0027】
この構成によれば、第一変換機構による回転−直線移動変換、及び第二変換機構による直線−回転移動変換を容易に行うことができる。
【0028】
また、ボールネジを使用しない通常のネジ機構を採用した場合に比べて、第一変換機構による回転−直線移動変換の変換効率に対して、第二変換機構による直線−回転移動変換の変換効率が低下するのを防止することができる。
【0029】
請求項8の発明では、請求項7の発明において、上記第二変換機構を構成するボールネジ機構のリードは、上記第一変換機構を構成するボールネジ機構のリードよりも小さいものとする。
【0030】
この構成によれば、入力側移動部材の直線移動に起因して発生する出力側移動部材の直線移動を、その非線形特性が打ち消されぬように拡大して出力軸の回転に変換することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明の車両用舵角比可変操舵装置によると、入力軸に連結され、該入力軸の回転により直線移動を生じる入力側移動部材と、出力軸に連結され、直線移動することにより該出力軸を回転させる出力側移動部材と、入力側移動部材の直線移動量と出力側移動部材の直線移動量との関係を非線形とするように、入力側移動部材から出力側移動部材への直線移動伝達を行う機械的直線移動伝達手段とを備えるようにしたことで、装置全体のコンパクト化及びその低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る車両用舵角比可変操舵装置としての舵角比可変ユニット1を備えたステアリング装置100を示す。2は車両の乗員により回転操舵されるステアリングホイール(以下、単にステアリングという)であり、このステアリング2の回転運動は、舵角比可変ユニット1の入力軸3から出力軸4に伝達され、さらに該出力軸4から連接シャフト5を経てステアリングギヤボックス7のギヤ入力シャフト6に伝達されて、該ギヤボックス7にて車幅方向の直線運動に変換された後に、ギヤボックス7の車幅方向両側に車幅方向に延びるように配設されたタイロッド8を介して車輪9(操舵輪である前輪)に伝達される。詳しくは、上記ステアリングギヤボックス7は全体として車幅方向に長く、その内部には、図示しないが車幅方向に延びるラックとこれに噛み合うピニオンとが配設されていて、そのピニオンの回転中心部が上記ギヤ入力シャフト6に連結されている。一方、ラックの車幅方向両端部はそれぞれタイロッド8の車両内側の端部にナックルアーム10を介して連結されており、ピニオンの回転によりラック及びタイロッド8が車幅方向に移動し、これにより車輪9が転舵される。尚、舵角比可変ユニット1の出力軸4及び連接シャフト5同士、並びに連接シャフト5及びギヤ入力シャフト6同士は、自在継手11を介して連結されている。
【0034】
上記舵角比可変ユニット1は、ステアリング2から車輪9までの操舵力伝達経路(本実施形態では、ステアリング2に直接結合されるステアリングシャフトに相当する部分)に設けられていて、ステアリング2の操舵角に応じて、出力軸4の回転量に対する入力軸3の回転量の比(入力/出力回転比)を変化させることで、ステアリング2の操舵角に対する車輪舵角の比である舵角比を変化させるものである。
【0035】
具体的には、舵角比可変ユニット1は、図2に示すように、ステアリング2側に連結され(本実施形態では、ステアリング2に直結され)且つ該ステアリング2の操舵(回転操作)に連動して回転する上記入力軸3と、車輪9側(本実施形態では、連接シャフト5)に連結された上記出力軸4と、入力軸3の下端部にボールネジ機構23(ボールネジ部3a及び雌ねじ部20f)を介して連結され、該シャフト3の回転によりその軸心(図2のZ軸)方向に直進移動する入力側移動部材20と、出力軸4の上端部にボールネジ機構24(ボールネジ部4a及び雌ねじ部21f)を介して連結され、該出力軸4の軸心方向(入力軸3の軸心に一致するZ軸方向)に直線移動することで出力軸4をその軸心回りに回転させる出力側移動部材21と、該両移動部材20,21間に設けられ、入力側移動部材20の直線移動を出力側移動部材21に伝達して直線移動を生じさせる機械的直線移動伝達手段としてのリンク機構30と、両移動部材20,21及びリンク機構30を内部に収容する収容ボックス22とを備えている。
【0036】
尚、以下の説明では、舵角比可変ユニット1の入力軸3の側を入力側(図2の左側)と定義し、出力軸4の側(図2の右側)を出力側と定義して説明を行う。
【0037】
上記収容ボックス22は、入力側移動部材20及び出力側移動部材21を直線移動可能に収容するボックス本体部22aと、リンク機構30を支持するべく該ボックス本体部22aの軸方向中間部から径方向内側に突出する支持部22b,22cと、ボックス本体部22aの入力側開口を入力軸3が挿通可能に閉塞する入力側蓋部22dと、ボックス本体部22aの出力側開口を出力軸4が挿通可能に閉塞する出力側蓋部22eとで構成されている。
【0038】
収容ボックス22の入力側蓋部22dには、入力側挿通孔22gが形成されており、入力軸3は、その出力側端部(下端部)のボールネジ部3aが収容ボックス22内に位置するように入力側挿通孔22gに挿通された状態で配設されている。
【0039】
同様に、収容ボックス22の出力側蓋部22eには、出力側挿通孔22hが形成されており、出力軸4は、その入力側端部(上端部)のボールネジ部4aが収容ボックス22内に位置するように出力側挿通孔22hに挿通された状態で配設されている。
【0040】
入力側移動部材20は、入力軸3のボールネジ部3aに螺合するボールネジナットからなるものであって、ボックス本体部22aの入力側部の内周面20rに摺動可能に嵌装されたナット本体20aと、該ナット本体20aの出力側端面20cの中心部から出力側に向かって延びてリンク機構30(図2参照)に結合される延出結合部20bとを有している。
【0041】
入力側移動部材20のナット本体20aの入力側部には、入力軸3のボールネジ部3aに螺合する雌ねじ部20fが形成されており、該ナット本体20aは、入力軸3の回転をボールネジ部3aと該雌ねじ部20fとの螺合により(ボールネジ機構23を介して)該入力軸方向(Z軸方向)の直線移動に変換して、該ナット本体20aを含む入力側移動部材20を直線移動させる。具体的には、ナット本体20aは、本実施形態では、入力軸3のU方向(Z軸方向の入力側から見て反時計回り方向)の回転により出力側に直線移動する一方、R方向(Z軸方向の入力側から見て時計回り方向)の回動により入力側に直線移動するように構成されている。
【0042】
同様に、出力側移動部材21は、出力軸4のボールネジ部4aに螺合するボールネジナットからなるものであって、ボックス本体部22aの出力側部の内周面に摺動可能に嵌装されたナット本体21aと、該ナット本体21aの入力側端面21cから入力側に突出してリンク機構30に結合される2つの突出結合部21bとを有している。
【0043】
出力側移動部材21のナット本体21aの出力側部には、出力軸4のボールネジ部4aに螺合する雌ねじ部21fが形成されており、該ナット本体21aは、出力軸4の軸心方向(Z軸方向)に直線移動することで、該直線移動をボールネジ部4aと雌ねじ部21fとの螺合により(ボールネジ機構24を介して)回転移動に変換して出力軸4に伝達する。具体的には、ナット本体21aは、入力側に直線移動することで出力軸4をR方向に回転さる一方、出力側に直線移動することで出力軸4をU方向に回転させるように構成されている。
【0044】
また、本実施形態においては、出力軸4のボールネジ部4a(出力側移動部材21の雌ねじ部21f)の方が、入力軸3のボールネジ部3a(入力側移動部材20の雌ねじ部20f)に比べてリードが小さく設定されている。
【0045】
上記リンク機構30は、一端部が入力側移動部材20の延出結合部20bの出力側端部に連結ピン40を介して回動可能に連結された第一リンク部材31と、一端部が第一リンク部材31の他端部に、Z軸と垂直な連結ピン41を介して回動可能に連結された第二リンク部材32とからなるリンク部35を有していて、該リンク部35を連結ピン40の軸心方向から見てZ軸に対して対称に略同一平面上に配設して構成されている。ここで、第二リンク部材32は、ステアリング操舵角が0の状態(図2の状態)で、その出力側端部が入力側端部に比べてZ軸に近づくように該Z軸に対して傾斜して配設されている。
【0046】
また、リンク機構30は、該両リンク部材31,32の他に、第二リンク部材32の出力側端部(各リンク部35の出力側端部)を出力側移動部材21に連結するための第三リンク部材33を有している。
【0047】
上記各リンク部材31乃至33の延設方向の中間部にはその延設方向に延びるガイド孔31a乃至33aが形成されている。
【0048】
そして、第一リンク部材31は、その中間部のガイド孔31aに支持ピン42をスライド可能に挿通するとともに収容ボックス22の入力側支持部22bに固定して支持されている。同様にして、第二リンク部材32は、収容ボックス22の出力側支持部22cに支持ピン43を介して支持されている。そうして、第一及び第二リンク部材31,32は、支持ピン42,43により該各リンク部材31,32の延設方向のスライド移動を許容しながら回動可能に支持されている。
【0049】
上記第三リンク部材33は、入力側移動部材20の直線移動方向(Z軸方向)に対して直交するように配設されていて、その両端部が上記出力側移動部材21の2つの突出結合部21bに結合固定されている。
【0050】
そして、第二リンク部材32の出力側端部は、第三リンク部材33のガイド孔33aにスライド可能に挿通した連結ピン44を介して該第三リンク部材33(出力側移動部材21)に対して回動可能に且つスライド移動可能に連結されている。尚、各ピン40乃至44は、互いに平行にZ軸に対して垂直に配設されている。
【0051】
以上のように構成された舵角比可変ユニット1を備えたステアリング装置100のステアリング2をその中立位置(ステアリング2の操舵角が0で、車両が直進する状態に対応する位置)から乗員視で反時計回り方向に操舵した場合には、該ステアリング2に直結された入力軸3がU方向に回動し、これに伴って、該入力軸3のボールネジ部3aに螺合する入力側移動部材20(ナット本体20a)が初期位置(ステアリング2の舵角0に対応する位置であって図2及び図3に示す位置)から出力側に向かって直線移動する。ここで、この入力側移動部材20の直線移動量Xは、入力軸3の回転量とそのボールネジ部3aのリードとから決まる量である。
【0052】
そして、入力側移動部材20が出力側に直線移動すると、第一リンク部材31が支持ピン42対してQ方向(図3参照)にスライドしながらV方向に回動し、これに連動して、第二リンク部材32が支持ピン43に対してK方向にスライドしながらR方向に回動する。この結果、第二リンク部材32の出力側端部に連結された連結ピン44は、第三リンク部材33のガイド孔33aにガイドされてM方向にスライドしつつ、第二リンク部材32のスライド移動と回動移動とを合成した曲線状の移動経路t1(図2の一点鎖線で示す経路)に沿って移動することとなる。この連結ピン44の移動は、第三リンク部材33を介して出力側移動部材21に伝達されて、該出力側移動部材21には、連結ピン44の移動経路t1をその直線移動方向(図2のZ軸方向)に投影した非線形な(つまり直線的な比例特性を有しない)直線移動が生じることとなる。
【0053】
同様にして、ステアリング2をその中立位置から乗員視で時計回り方向に操舵した場合には、入力軸3がR方向に回動して、入力側移動部材20が初期位置から入力側に直線移動し、この結果、第一リンク部材31が支持ピン42対してP方向にスライドしながらW方向に回動し、第二リンク部材32が支持ピン43に対してJ方向にスライドしながらS方向に回動する。そうして、第二リンク部材32の出力側端部の連結ピン44は、第三リンク部材33のガイド孔33aにガイドされてL方向にスライドしつつ、第二リンク部材32のスライド移動と回動移動とを合成した曲線状の移動経路t2(図2の鎖線で示す経路)に沿って移動することとなり、出力側移動部材21には、該移動経路t2をその直線移動方向に投影した非線形な直線移動が生じることとなる。
【0054】
すなわち、入力側移動部材20の上記初期位置からの直線移動量Xに対する出力側移動部材21の直線移動量Yは非線形特性を有することとなる(入力側移動部材20の直線移動量Xと出力側移動部材21の直線移動量との関係が非線形となる)。換言すると、該出力側移動部材21の直線移動量Yは、該入力側移動部材20の直線移動量Xの非線形関数として表される。
【0055】
上述の非線形特性は、本実施形態においては、入力側移動部材20の上記初期位置からの直線移動量Xが大きいほど、つまりステアリング2の操舵角が大きいほど、該直線移動量Xの変化に対する出力側移動部材21の直線移動量Yの変化率が大きくなるような特性とされている(図4参照)。つまり、この非線形特性は、ステアリング2の操舵角が増加するにしたがって、出力側移動部材21の直線移動量Yに対する入力側移動部材20の直線移動量Xの比が小さくなる特性、換言すると出力軸4の回転量に対する入力軸3の回転量の比である入力/出力回転比が小さくなる特性とされている(図5参照)。
【0056】
上記出力側移動部材21に発生した直線移動は、ボールネジ機構24を介して出力軸4の回転に変換され、この回転が、上述の如く上記連結シャフト(図1参照)を介してステアリングギヤボックス7へと入力される。
【0057】
以上の如く上記実施形態1では、リンク機構30は、一端部が入力側移動部材20に回動可能に連結された第一リンク部材31と、一端部が第一リンク部材31の他端部に回動可能に連結されるとともに、他端部が出力側移動部材21に対して第三リンク部材33を介して回動可能に且つZ軸方向に直交する方向にスライド移動可能に連結された第二リンク部材32と、上記第一及び第二リンク部材31,32をそれぞれの中間部にて、該各リンク部材の延設方向のスライド移動を許容しながら回動可能に支持する支持ピン42,43とを備えていて(図2参照)、ステアリング2が乗員により操舵されて入力側移動部材20が直線移動したときには、上述の如く、第一及び第二リンク部材31,32を介して、入力側移動部材20の直線移動を出力側移動部材21に伝達するように構成されている。ここで、リンク機構30は、入力側移動部材20の上記初期位置からの直線移動量Xに対する出力側移動部材21の直線移動量Yが非線形特性を有するように直線移動伝達を行うようになっている(図4参照)。
【0058】
従って、入力側移動部材20の直線移動量Xに対応する入力軸3の回転量に対する、出力側移動部材21の直線移動量Yに対応する出力軸4の回転量が非線形特性を有することとなる。よって、入力軸3の回転量(ステアリング操舵角)に応じて、入力軸3及び出力軸4間の入力/出力回転比を変化させて舵角比を変化させることができる。
【0059】
よって、モータ等の電気的制御機器を使用せずに、リンク機構30を介した機械的な構成のみで、ステアリング操舵角に応じて舵角比を変化させることができて、装置全体の小型化及び低コスト化を図ることが可能となる。また、モータを制御するためのコントロールユニット等を設ける必要もなく、車載制御ユニットの処理負担を低減することができる。
【0060】
また、上記実施形態1では、上記リンク機構30は、ステアリング2の操舵角が増加するにしたがって、入力軸3及び出力軸4間の入力/出力回転比を低下させるように構成されている(図5参照)。
【0061】
従って、車両の高速走行時等のように、ステアリング2の操舵角が小さくなる状況においては、入力/出力回転比を大きくして(舵角比を小さくして)ステアリング2の舵角変化に対する車両の進路変更特性を鈍らせることで、車両の直進安定性を向上させることができる一方、車庫入れ時等のように、大きな操舵角が必要とされる状況では、入力/出力回転比を小さくして(舵角比を大きくして)ステアリング2の舵角変化に対する車両の進路変更特性を敏感にすることで、少ないステアリング操作で確実に車両の進路を変更させることができて、操舵時の取り回し性を向上させることができる。
【0062】
また、上記実施形態1では、上記出力軸4のボールネジ部4a(ボールネジ機構24)のリードは、上記入力軸3のボールネジ部3a(ボールネジ機構23)のリードよりも小さくなっている。これにより、例えば、両ボールネジ部3a,4aのリードを等しくした場合に比べて、入力側移動部材20の直線移動量が同じでも(出力側移動部材21の直線移動量が同じでも)出力軸4をより多く回転させることができる。従って、入力側移動部材20の直線移動により生じる出力側移動部材21の直線移動を、その非線形性を打ち消すことなく拡大して出力軸4の回転に変換することができる。
【0063】
(実施形態2)
図6は、本発明の実施形態2を示し、入力側移動部材20から出力側移動部材21への直線移動伝達機構(機械的直線移動伝達手段)を上記実施形態1とは異ならせたものである。尚、図2と実質的に同じ構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明を適宜省略する。
【0064】
すなわち、本実施形態では、直線移動伝達機構はカム機構50で構成されている。該カム機構50は、上記入力側移動部材20に対してその直線移動方向(Z軸方向)に垂直に回動可能に支持された回転シャフト51と、該回転シャフト51の先端部に該シャフト51と同軸に回転一体に取付けられたピニオンギヤ52と、収容ボックス22に固定されて該ピニオンギヤ52に噛合するラックバー53と、回転シャフト51の軸方向の中間部(入力側移動部材20とピニオンギヤ52との間)に該シャフト51と回転一体に取付けられた回転アーム54と、該回転アーム54の両端部にそれぞれ取付固定された押圧ピン55a,55bと、該回転アーム54の回動時に押圧ピン55a,55bに押圧されるカム面56a,56b(図7参照)を含むカム溝57a,57bを有し且つ出力側移動部材21に連結固定される固定部材58とを備えている。
【0065】
上記固定部材58は、収容ボックス22に形成されたガイド溝22kに摺動可能に係合するガイド部58aを有していて、入力側移動部材20の直線移動をガイド部58aでサポートしながら、該入力側移動部材20と共に直線移動可能に構成されている。
【0066】
固定部材58のカム溝57a,57bは、図7に示すように、装置側面から見て、Z軸方向に垂直な略矩形状に形成されており、各カム溝57a,57bのカム面56a,56bは、本実施形態では、Z軸方向に垂直な平坦面とされている。
【0067】
回転アーム54は、ステアリング2の舵角が0の状態(図6及び図7に示す状態)では、Z軸方向に略平行に延びるように配設され、この状態で、回転アーム54の入力側に取付固定された入力側押圧ピン55aは、入力側のカム溝57aのカム面56aに当接し、出力側に取付固定された出力側押圧ピン55bは、出力側のカム溝57bのカム面56aに当接している。
【0068】
以上のように構成された舵角比可変ユニット1を備えたステアリング装置100のステアリング2をその中立位置から乗員視で反時計回り方向に操舵した場合には、該ステアリング2に直結された入力軸3がU方向に回転し、これに伴って、該入力軸3のボールネジ部3aに螺合する入力側移動部材20(ナット本体20a)が初期位置(ステアリング2の舵角0に対応する位置)から出力側に向かって直線移動する。
【0069】
そうすると、ピニオンギヤ52がラックバー53と噛合しながら回転シャフト51と一体でG方向に回転し、これに伴って、回転アーム54も回転シャフト51と共にG方向に回転する。この結果、回転アーム54に取付けられた出力側押圧ピン55bが、回転シャフト51回りの円軌道を描きつつ固定部材58のカム面56bを摺動しながら押圧することとなり、これによって、固定部材58が出力側移動部材21と共に入力側に直線移動する。
【0070】
同様にして、ステアリング2をその中立位置から乗員視で時計回り方向に操舵した場合には、入力軸3がR方向に回転して、入力側移動部材20が入力側に向かって直線移動し、回転アーム54が、回転シャフト51及びピニオンギヤ52と共にH方向に回転する。この結果、回転アーム54に取付けられた入力側押圧ピン55aが、固定部材58のカム面56aを押圧しながら出力軸4回りに回動し、出力側移動部材21が固定部材58と共に出力側に直線移動する。そして、出力側移動部材21に発生した直線移動は、ボールネジ機構24を介して出力軸4の回転に変換され、この回転が上記連結シャフト(図1参照)を介してギヤボックス7へと入力される。
【0071】
このように、上記実施形態2では、反時計回り方向に操舵した場合と時計回り方向に操舵した場合とで、力の伝達経路が異なるように構成され、これにより、操舵方向反転時の入力側移動部材20の直線移動方向の反転を連続的、且つ滑らかなものとしている。
【0072】
また、上記実施形態2では、押圧ピン55a,55bは、上述の如く、ステアリング2の操舵に連動して回転シャフト51回りに円軌道を描きながら(図7の一点鎖線で示す経路t3に沿って)移動するようになっている。このため、ステアリング操舵角が0付近にあるとき(図7の状態にあるとき)には、ステアリング2を操舵しても押圧ピン55a,55bの移動方向(円軌道経路t3の接線方向)はZ軸に対して垂直な方向を向くため、該押圧ピン55,55bのZ軸方向の移動成分は略0となる一方、ステアリング2の操舵角が大きくなるにしたがって、押圧ピン55a,55bの移動方向(円軌道経路t3の接線方向)はZ軸方向に近づくため、押圧ピン55a,55bのZ軸方向成分の移動量も大きくなる。ここで、カム面56a,56bは、上述の如く、Z軸方向に垂直な平坦面とされているので、押圧ピン55a,55bのZ軸方向の移動量はダイレクトに固定部材58を介して出力側移動部材21(ボールネジ機構24)へと出力される。従って、ステアリング2の操舵角が大きいほど、同じ操舵量で移動する出力側移動部材21の移動量が大きくなって出力軸4の回転量も増加することとなる。従って、ステアリング2の操舵角が大きいほど、出力軸4の回転量に対する入力軸3の回転量の比である入力/出力回転比が小さくなる特性を得ることができて、上記実施形態1と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【0073】
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記各実施形態では、上記非線形特性は、ステアリング2の操舵角が増加するにしたがって、出力軸4の回転量に対する入力軸3の回転量の比である入力/出力回転比が小さくなる特性とされているが、これに限ったものではなく、例えば、ステアリング2の操舵角が増加するにしたがって、入力/出力回転比が大きくなる特性であってもよい。こうすることで、高速走行時(直進時)のようにステアリング操舵角が小さい状況では、ステアリング2の操舵感を重たくして直進時における乗員の安心感を増すことができる一方、車庫入れ時等のように、大きな操舵角が必要とされる状況では、ステアリング2を軽い力で操作(操舵)することができる。
【0074】
また、上記各実施形態では、上記舵角比可変ユニット1は、ステアリング2と連接シャフト5との間に設けられているが、これに限ったものではなく、例えば、ステアリング2に直結されるステアリングシャフトとギヤ入力シャフト6との間に配設する(連接シャフト5に代えて配設する)ようにしてもよい。
【0075】
また、上記各実施形態では、ラック&ピニオン式のステアリング装置100を採用するようにしているが、これに限ったものではなく、例えばボール&ナット式のステアリング装置100を採用するようにしてもよい。
【0076】
更に、上記実施形態1では、入力側移動部材20及び入力軸3間の回転−直線変換機構、並びに、出力側移動部材21及び出力軸4間の直線−回転変換機構としてボールネジ機構23,24を採用するようにしているが、これに限ったものではなく、例えばボールを使用しない通常のネジ機構を採用するようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態1では、上記リンク機構30は、2つのリンク部35で構成されているが、これに限ったものではなく、1つのみで構成してもよいし、3つ以上で構成してもよい。
【0078】
また、上記実施形態2では、カム面56a,56bの形状を、Z軸方向に垂直な平坦面としているが、これに限ったものではなく、例えば、入力側に傾斜する平坦面としてもよいし、平坦面に限らず球面や曲面としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、車両用舵角比可変操舵装置に有用であり、特にステアリングに連結される入力軸と車輪側に連結される出力軸とを有する車両用舵角比可変操舵装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用舵角比可変操舵装置を備えたステアリング装置を車両前方斜め左側から見た斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る車両用舵角比可変操舵装置を示す、横断面図である。
【図3】リンク機構の構成を示す拡大図である。
【図4】入力側移動部材の直線移動量に対する出力側移動部材の直線移動量を示すグラフである。
【図5】入力軸及び出力軸間の入力/出力回転比を示すグラフである。
【図6】実施形態2を示す図2相当図である。
【図7】図6のVI−VI方向矢視図である。
【符号の説明】
【0081】
1 舵角比可変ユニット(車両用舵角比可変操舵装置)
2 ステアリング
3 入力軸
3a ボールネジ部(第一変換機構)
4 出力軸
4a ボールネジ部(第二変換機構)
9 車輪
20 入力側移動部材
20f 雌ねじ部(第一変換機構)
21 出力側移動部材
21f 雌ねじ部(第二変換機構)
23 ボールネジ機構
24 ボールネジ機構
30 リンク機構(機械的直線移動伝達手段)
31 第一リンク部材
32 第二リンク部材
33 第三リンク部材
42 支持ピン
50 カム機構
51 回転シャフト(入力側部)
52 ピニオンギヤ(入力側部)
53 ラックバー(入力側部)
54 回転アーム(回動部材、入力側部)
55a 入力側押圧ピン(押圧ピン、入力側部)
55b 出力側押圧ピン(押圧ピン、出力側部)
56a カム面
56b カム面
58 固定部材(出力側部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングから車輪までの操舵力伝達経路に設けられる車両用舵角比可変操舵装置であって、
上記車両のステアリング側に連結されて該ステアリングの操舵に連動して回転する入力軸と、
上記車両の車輪側に連結されて回転によりステアリング操舵力を車輪側に伝達する出力軸と、
上記入力軸に対して、回転−直線移動変換を行う第一変換機構を介して連結され、該入力軸の回転により直線移動を生じる入力側移動部材と、
上記出力軸に対して、直線−回転移動変換を行う第二変換機構を介して連結され、直線移動により該出力軸を回転させる出力側移動部材と、
上記入力側移動部材及び上記出力側移動部材間に設けられ、該入力側移動部材の直線移動を該出力側移動部材に伝達して直線移動を生じさせる機械的直線移動伝達手段とを備え、
上記機械的直線移動伝達手段は、上記入力側移動部材の直線移動量と上記出力側移動部材の直線移動量との関係を非線形とするように構成されていることを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用舵角比可変操舵装置において、
上記機械的直線移動伝達手段はリンク機構からなり、
上記リンク機構は、上記入力側移動部材に連結される入力部と、上記出力側移動部材に連結される出力部とを有していて、該出力部の移動のうち該入力部の移動方向に対して平行な方向の成分の移動量と該入力部の移動量との関係を非線形とするように構成されていることを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両用舵角比可変操舵装置において、
上記リンク機構は、
一端部が上記入力側移動部材に回動可能に連結された第一リンク部材と、
一端部が上記第一リンク部材の他端部に回動可能に連結されるとともに、他端部が上記出力側移動部材に対して回動可能に且つ該出力側移動部材の直線移動方向に対して横切る方向にスライド移動可能に連結された第二リンク部材と、
上記第一及び第二リンク部材をそれぞれの中間部にて、該各リンク部材の延設方向のスライド移動を許容しながら回動可能に支持する支持ピンと、
を備えており、
上記入力部は、上記第一リンク部材の上記一端部とされ、
上記出力部は、上記第二リンク部材の上記他端部とされていることを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。
【請求項4】
請求項1記載の車両用舵角比可変操舵装置において、
上記機械的直線移動伝達手段はカム機構からなり、
上記カム機構は、
上記入力側移動部材の直線移動を受けて回転移動を生じる入力側部と、
上記入力側部の回転移動をカム面を介して直線移動に変換して上記第二変換機構に出力する出力側部と、
を備えており、
上記カム面は、上記入力側部にて生じる回転移動量と、上記出力側部から出力される直線移動量との関係を非線形とするように形成されていることを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。
【請求項5】
請求項4記載の車両用舵角比可変操舵装置において、
上記入力側部は、
上記入力側移動部材に連結され、その直線移動に連動して該直線移動方向に垂直な垂直軸回りに回動する回動部材と、
上記回動部材に回転一体に取付けられた押圧ピンと、
で構成され、
上記出力側部は、上記出力側移動部材に固定され且つ上記カム面を有する固定部材で構成されており、
上記カム機構は、上記入力側移動部材の直線移動に連動して上記回動部材が上記垂直軸回りに回動することにより、上記押圧ピンが該回動部材と共に回動して上記固定部材のカム面を摺動しながら押圧することで、該固定部材が上記出力側移動部材と共に直線移動するように構成されていることを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両用舵角比可変操舵装置において、
上記機械的直線移動伝達手段は、上記ステアリングの操舵角が大きくなるにしたがって、上記出力軸の回転量に対する上記入力軸の回転量の比を小さくするように構成されていることを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の車両用舵角比可変操舵装置において、
上記第一及び第二変換機構は共にボールネジ機構からなることを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。
【請求項8】
請求項7記載の車両用舵角比可変操舵装置において、
上記第二変換機構を構成するボールネジ機構のリードは、上記第一変換機構を構成するボールネジ機構のリードよりも小さいことを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−208611(P2009−208611A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53493(P2008−53493)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】