説明

車両用表示制御装置および車両用表示システム

【課題】表示装置に対するドライバーや同乗者からの視認性を確保しながらドライバビリティーに優れ、安全運転に寄与する車両用表示制御装置および車両用表示システムを提供する。
【解決手段】本発明にかかる車両用表示制御装置1は、少なくとも車両3の速度情報に応じて車両に搭載される表示装置2に表示される視覚情報量を、制御手段21で制限する。制限手法しては、表示装置2に表示される表示情報を、速度情報に応じて通常表示図5(a)とは異なる簡易表示図5(b)とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された表示装置に表示される表示内容を切り換える車両用表示制御装置と車両用表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には各種情報を表示する液晶パネルを用いた表示装置が搭載されている。この表示装置には、車両の各種情報が表示される場合、カーナビゲーションシステムが搭載されている場合にはその情報が、また、DVDなどの記録媒体再生装置が備えられている場合には、その再生画像が表示されるようになっている。表示装置は、地図や文字、画像などの情報を表示する関係上、その表示性能が要求されていることから、年々画面解像度が高くなってきている。
【0003】
このような背景の中、近年、車両からでもインターネットに接続する環境が整えられてきており、その表示画面としても表示装置が利用されているが、インターネットの画面(以下「web閲覧画面」と記す)を表示する際、表示装置の解像度による表示文字サイズの絶対的な大きさが車内環境での視聴に適当でない場合がある。また、ドライバーの視野は速度が高くなるほど狭くなり、表示画面に表示される文字が小さいと見難いことから、特許文献1では速度に応じて表示画面に表示される文字の大きさを変更することが提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−237039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置の高解像度化(例えば320×240→640×480)に向上した場合、表示面積(画面サイズ)が同じであれば一画面に表示できる領域は広くなるが、一文字当たりの絶対的な大きさが小さくなる。このため、振動のある走行中の車内で小さな文字をドライバーや他の同乗者が見つめ続けることは、生理的な苦痛を引き起こすことに成り兼ねない。
【0006】
読み易い文字サイズに拡大すれば、上記課題が低減すると思われるが,この場合、画像解像度を落として行うと、一画面に表示できる文字数が減り、web閲覧画面などの情報量の多い画面全体のレイアウトが掴み難くなってしまい、ドライバー以外の同乗者からは見難い表示画面となってしまう。特許文献1のように速度に応じて文字サイズを変更することも一案ではあるが、これは目的地などのドライバーにとって有益であり、かつ表示情報が少ない場合には有効であるが、web閲覧画面のような運転には直接関係がなく、文字情報が多い場合には運転中のドライバーによる閲覧が誘発され不安全な状況が発生しかねない。
【0007】
本発明は、表示装置に対するドライバーや同乗者からの視認性を確保しながらドライバビリティーに優れ、安全運転に寄与する車両用表示制御装置および車両用表示システムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明にかかる車両用表示制御装置は、少なくとも車両の速度情報に応じて車両に搭載される表示装置に表示される視覚情報量を制限する制御手段を有することを特徴としている。
【0009】
本発明にかかる車両用表示制御装置において、制御手段は、表示装置に表示される表示情報を、速度情報に応じて通常表示とは異なる簡易表示とすることを特徴としている。
本発明にかかる車両用表示制御装置において、簡易表示は、表示装置の表示部に通常表示時に表示される文字を読めない状態に表示することを特徴としている。
【0010】
本発明にかかる車両用表示制御装置において、制御手段は、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズを前記速度情報が高くなるほど大きくすることを特徴としている。
【0011】
本発明にかかる車両用表示制御装置において、制御手段は、表示装置の表示画面サイズに応じて、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズを変更することを特徴としている。
【0012】
本発明にかかる車両用表示制御装置において、制御手段は、表示装置の表示画面の解像度に応じて、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズを変更することを特徴としている。
【0013】
本発明にかかる車両用表示制御装置において、制御手段は、表示装置の設置場所に応じて、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズを変更することを特徴と している。
【0014】
本発明にかかる車両用表示制御装置において、制御手段は、車両の座席位置に応じて、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズを変更することを特徴としている。
【0015】
本発明にかかる車両用表示システムは、上記何れかに記載の車両用表示制御装置と、車両用表示制御装置により制御された画面が表示される表示装置とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、少なくとも車両の速度情報に応じて車両に搭載される表示装置に表示される視覚情報量が制限される、具体的には通常表示とは異なる簡易表示となるので、運転中のドライバーが表示画面に表示された情報を見ようとする行為が減少し、ドライバビリティーが向上し、安全運転に寄与することができる。また、同乗者が走行中に表示装置に表示された情報量の多い画面を視聴する際においても、画面に表示全体のレイアウトの把握が可能となり、視認性を確保することができる。
【0017】
本発明によれば、簡易表示は、表示装置の表示部に通常表示時に表示される文字を読めない状態に表示するので、特に運転中のドライバーが表示画面に表示された情報を見ようとする行為が減少し、安全運転に寄与することができる。
【0018】
本発明によれば、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズを速度情報が高くなるほど大きくするため、視野が狭くなるほどより大きな文字でも認識できない簡易表示となり、運転中のドライバーが表示画面に表示された情報を見ようとする行為がより減少し、安全運転に寄与することができる。
【0019】
本発明によれば、表示装置の表示画面サイズに応じて、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズを変更するので、表示装置が異なるサイズに変更された場合でも、その画面に対応した簡易表示を行え、運転中のドライバーが表示画面に表示された情報を見ようとする行為が減少し、ドライバビリティーが向上し、安全運転に寄与することができるとともに、同乗者が走行中に表示装置に表示された情報量の多い画面を視聴する際においても、画面に表示全体のレイアウトの把握が可能となり、視認性を確保することができる。
【0020】
本発明によれば、表示装置の表示画面の解像度に応じて、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズを変更するので、表示装置の解像度が変更された場合でも、その画面に対応した簡易表示を行え、運転中のドライバーが表示画面に表示された情報を見ようとする行為が減少し、ドライバビリティーが向上し、安全運転に寄与することができるとともに、同乗者が走行中に表示装置に表示された情報量の多い画面を視聴する際においても、画面に表示全体のレイアウトの把握が可能となり、視認性を確保することができる。
【0021】
本発明によれば、表示装置の設置場所に応じて、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズが変更されるので、表示装置の設置位置に応じた簡易表示を行え、運転中のドライバーが表示画面に表示された情報を見ようとする行為が減少し、ドライバビリティーが向上し、安全運転に寄与することができるとともに、同乗者が走行中に表示装置に表示された情報量の多い画面を視聴する際においても、画面に表示全体のレイアウトの把握が可能となり、視認性を確保することができる。
【0022】
本発明によれば、車両の座席位置に応じて、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズを変更するので、表示装置と座席位置との距離に応じた簡易表示を行え、運転中のドライバーが表示画面に表示された情報を見ようとする行為が減少し、ドライバビリティーが向上し、安全運転に寄与することができるとともに、同乗者が走行中に表示装置に表示された情報量の多い画面を視聴する際においても、画面に表示全体のレイアウトの把握が可能となり、視認性を確保することができる。
【0023】
本発明によれば、車両用表示制御装置により表示装置に表示される画面が、通常画面から車速情報、表示画面サイズ、画面解像度、表示装置の位置、座席位置に応じた簡易表示とされて視覚情報量が制限されるので、運転中のドライバーが表示画面に表示された情報を見ようとする行為が減少し、ドライバビリティーが向上し、安全運転に寄与することができるとともに、同乗者が走行中に表示装置に表示された情報量の多い画面を視聴する際においても、画面に表示全体のレイアウトの把握が可能となり、視認性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1において、符号1は、車両用表示システムを示す。車両用表示システム1は、車両用表示制御装置20と、車両用表示制御装置20により制御された画面が表示される表示装置2とを備えている。
【0025】
表示装置2は、液晶ディスプレイモニターであって、図2に示すように、車両3の運転席と助手席の間に位置するセンタコンソール4の前面に配設されていて、運転席および助手席側から表示部2aを視認可能とされている。表示装置2は、図3に示すように、表示部2aの解像度が変更できるように構成されている。本形態では、320ドット×240ドットと、640ドット×480ドットの解像度に選択/変更可能な表示装置2とされている。
【0026】
次に、画面解像度の相違による表示される文字サイズと表示領域の関係について説明する。図3(a)は24ドット×24ドットで表示される1つの文字を示す。このサイズの文字が図3(b)に示す画面解像度320ドット×240ドットの表示部2aに表示されると13個の文字が表示可能となる。これに対し同一サイズの文字が図3(c)に示す画面解像度640ドット×480ドットの表示部2aに表示されると26個の文字が表示可能となる。すなわち、表示画面内のドット数が増えたので表示できる文字数は多くなるが、表示される文字の絶対的なサイズは小さくなってしまう。
【0027】
図4(a)は画面解像度640ドット×480ドットの表示部2aに表示された表示画面としてのweb画面10を示し、図4(b)は画面解像度320ドット×240ドットの表示部2aに表示された表示画面としてのweb画面10をそれぞれ示す。web画面10とは、インターネットに接続した場合に表示される画面であって、車両3にはインターネットに接続可能な図示しない端末装置が装備されていて、その出力画面として表示装置2を用いている。一般にweb画面10には文字や図形などが表示され、図示しないコントローラで図形上や文字上でクリックすると、ハイパーリンクが張られた別な画面が表示されるように構成されている。
【0028】
このようなweb画面10が例えば、図4(a)に示すように画面解像度640ドット×480ドットで画面全体が表示されるように構成されている場合、文字サイズが小さいからと画面解像度を低下させ文字サイズを大きくしようとすると、図4(b)に示すように、web画面10の一部だけが表示されることになり、画面全体のレイアウトを見られなくなってしまう。
【0029】
このように文字が小さいとドライバーからは見難く、画面を注視しがちになってしまう。また、同乗者からみれば、文字サイズを大きく表示すると、画面全体のレイアウトが把握できず、使い勝手が悪くなる。車両3の走行中は、乗員の視野は速度が高くなるほど狭くなるので、単なる画面解像度変更だけでは、見易さと安全性の両立を確保するのが難しい。
【0030】
そこで、図1に示す車両用表示システム1では、表示装置2の表示部2aに表示される画面を、車両用表示制御装置20を用いて図5(a)、図6(a)に示す通常画面から車速情報、表示画面サイズ、画面解像度、表示装置2の位置に応じて図5(b)、図6(b)に示す簡易表示へと変更可能とし、視覚情報量を変更できるようにした。簡易表示とは、表示装置2の表示部2aに通常表示時に表示される文字を読めない状態に表示した状態を指す。
【0031】
車両用表示制御装置20は、周知のコンピュータからその主要部が構成されている。
車両用表示制御装置20には、車速センサ22、画面サイズ入力手段23、設置位置丹生力手段24、解像度入力手段25、座席位置入力手段26が電気的に接続されている。車速センサ22からは車両3の車速情報、画面サイズ入力手段23から表示装置2の画面サイズ情報、設置位置入力手段24からは車室内での表示装置2の設定位置情報、解像度入力手段25からの画面解像度情報、座席位置入力手段26からは座席の位置情報がそれぞれ入力されるように構成されている。
【0032】
画面サイズ入力手段23を設けたのは、表示装置2はその画面サイズ(例えば5.6から8インチ)というように、その種類に幅があり、当初画面サイズから変更されることを想定してのことである。無論画面サイズが異なれば同一解像度であっても、表示される画像領域が物理的に異なると同時に文字サイズも異なり、乗員の視認性にも影響を与える点も考慮するためである。
【0033】
設置位置入力手段24を設けたのは、表示装置2の設置位置が、図2に示すように、センタコンソール4に設置される場合や、ダッシュボード5に設置される場合があり、設置場所によって乗員との距離が異なり視認性に影響するためである。
【0034】
座席位置入力手段26を設けたのは、座席の位置によって、表示装置2と乗員との距離が異なり視認性に影響するためである。座席の位置としては、座関位置入力手段26を操作して適宜入力するようにしてもよいが、例えば座席の前後方向へのスライド、背もたれの角度、座面の高さなどをモータなどの駆動源を用いて電動で行う座席の場合には、これらの位置をセンサなどで検出し、その値をメモリに記憶して、用いても良い。
【0035】
解像度入力手段25を設けたのは、図4を用いて説明したように、同一の文字サイズであっても解像度によって、表示部2aに表示される大きさが異なるためである。速度情報を用いる点は、速度と視野の関係を考慮したためである。
【0036】
本形態では、このように車速情報、表示画面サイズ情報、画面解像度情報、表示装置位置情報、座席位置情報に応じて、通常表示から簡易表示とする切替制御や、簡易表示とする切替文字サイズが予め車両用表示制御装置20の制御手段となる画像切換手段21に記憶/設定されている。本形態では、これらパラメータを用いて表示装置2に表示される画面を制御するが、速度の上昇に伴い視野が狭くなるので、安全性を考慮すると、少なくとも速度情報をパラメータとして表示画面を通常表示から簡易表示とする制御形態であっても良い。
【0037】
車両用表示制御装置20による制御形態としては、速度情報をパラメータとする場合、所定速度を基準値として画像切換手段21に予め設定しておき、速度センサ22から入力される情報が、その基準値を超えると、通常表示から簡易表示にするようにしても良い。あるいは、一定速度間隔ごとに切替文字サイズを設定しておき、速度上場に伴い、簡易表示される文字サイズを多くするようにしても良い。つまり表示部2aに表示されるも文字サイズは同一サイズ(同一ドット数)に限定されるものではなく、また、速度上昇に伴い視野が狭くなることを考慮すると、大きな文字サイズであっても読めない状態にした方がドライバーにとって表示部2aを注視しなくなるので好ましい。
【0038】
次に図5、図6を用いて通常表示と簡易表示について説明する。図5は、表示装置2の表示部2aに表示されたホームページのトップ画面(web画面)10を示し、図6は、表示装置2の表示部2aに表示された天気予報のweb画面30を示す。
【0039】
図5において、符号101,102,103は文字情報で構成された領域で、符号104は、図形、写真などで構成された図形情報と文字情報で構成された領域を示す。図6において、符号301は切替対象とならない文字サイズの文字情報が表示された領域で、符号302,303は画像と文字が表示された領域をそれぞれ示す。符号304,305は画像領域だけの領域を示す
通常表示とは、表紙部2aに、図5(a)、図6(a)に示すように、すべての領域に文字が表示された状態を示す。簡易表示とは、図5(b)、図6(b)に示すように領域101,102、103,104及び領域302,303の各文字部分が「・」で表示された状態を示す。図6の領域301が文字領域であるにも係らず図6(b)の簡易表示でも表示されているのは、文字サイズが大きく表示しても視認性に問題がないためである。
【0040】
次に、図7から図9を用いて車両用表示制御装置20による制御フローを説明する。図7は初期設定処理を示す。ステップR1で画面サイズを画面サイズ入力手段23から入力し、ステップR2で解像度入力手段25を用いて画面解像度を入力し、ステップR3で表示装置2の設定位置を設置位置入力手段24で入力し、ステップR4で座席の位置を座席位置入力手段26で入力する。これら各情報は、画像切換手段21の図示しないメモリに記憶され、ステップR5において、これに入力された情報のうち、画面サイズ情報と画面解像度情報、設置位置情報、座席位置情報とから表示部2aで文字サイズを切り替えられる際の閾値となる簡易表示切替文字サイズL1を演算し、演算結果をメモリに記憶して、この初期設定が終了する。
【0041】
演算車両用表示制御装置20は、初期設定が終了すると、図8に示す画面切替選択処理を実行する。この処理では、ステップS1において、簡易表示切替文字サイズL1の演算が終了しているか否かが判断される。ここで、上述のステップR4において演算が終了している場合には、演算終了フラグがセットされられるので、ステップS1ではこのフラグの有無を判断する。フラグがある場合には文字サイズ演算が済んでいるものとしてステップS2に進み、フラグがない場合には簡易表示切替文字サイズL1の演算が済んでいないものとしてステップS4に進んで通常表示を設定する。
【0042】
ステップS2では、速度センサ22からの速度情報と予め設定された基準値(切替速度情報)とが比較され、車両3の速度が切替速度以上であるとステップS3に進んで簡易表示を設定し、車両3の速度が切替速度に満たない場合はステップS4に進んで通常表示を設定する。
【0043】
演算車両用表示制御装置20は、簡易表示が設定されると、図9に示す簡易表示処理を実行する。この処理では、ステップT1において、図7のステップR1〜R4で入力された画面サイズ、画面解像度、設置位置、座席位置の各情報から、簡易表示とする簡易表示切替文字サイズL1を導出して設定する。本形態では、これらパラメータに応じた簡易表示切替文字サイズL1が予め記憶されているので、この情報から適宜選択する。パラメータに対応する簡易表示切替文字サイズL1を予め記憶するとメモリの容量が必要となるので、これら4つのパラメータを用いて簡易表示切替文字サイズL1を算出するようにしても良い。
【0044】
ステップT2では、ステップT1で導出されて設定された簡易表示切替文字サイズL1と文字サイズ情報Lとを比較し、表示部2aに表示される表示文字サイズLが簡易表示切替文字サイズL1以下の場合には、ステップT3に進んで表示部2aに表示される各領域(図5、図6に示す各領域)の文字情報のうち、対象となる表示文字サイズの文字フォントを「・」に切替え、ステップT4に進む。
【0045】
ステップT4では、切替対象となった文字サイズ情報L以下の文字フォントが全て「・」に置き換わったか否かの全文字チェックの完了が確認され、チェック完了の場合には「・」に書き換えて簡易表示化された画面を表示部2aに表示する。ステップT2において、表示文字のサイズLが簡易表示切替文字サイズL1以下でない場合には、「・」とする簡易表示化を行わず、ステップT4に進んで全文字に対する置き換えのチェックの完了が確認されたのち、ステップT5で表示部2aに画面表示する。
【0046】
つまり、表示部2aに表示される表示のサイズLが簡易表示切替文字サイズL1以下の場合には、図5(b)の領域101,102、103,104、図6(b)の領域302,303の文字情報が判読不能となるように「・」表示とされ、表示部2aに表示される表示文字サイズLが簡易表示切替文字サイズL1以下でなければ、図6(b)に示す領域301の文字情報のように判読可能な文字情報として表示される。なお、図5、図6の画像情報および画像領域304,305は、「・」に置き換えられることなく通常表示される。また、簡易表示された文字情報であって、表示部に表示される文字の形態が「・」で表示されるだけでハイパーリンクなどの機能は有効とされているので、乗員がコントローラでハイパーリンク機能が設定された領域でクリックすることで、リンクされた画面を表示することはできる。
【0047】
このように、車両3の速度情報に応じて車両に搭載された表示装置2に表示される表示画面10,30が、図5(a)、図6(a)に示す通常表示とは異なり情報量が制限された図5(b)、図6(b)に示す簡易表示となるので、運転中のドライバーが表示部2aに表示された情報を見ようとする行為が減少し、ドライバビリティーが向上し、安全運転に寄与することができる。また、同乗者が走行中に表示部2aに表示された情報量の多い画面を視聴する際においても、画面に表示全体のレイアウトの把握が可能となり、視認性を確保することができる。また、簡易表示された画面においては、通常表示時に表示される文字が読めない状態で表示するので、特に運転中のドライバーが表示部2aに表示された情報を見ようとする行為が減少し、安全運転に寄与することができる。
【0048】
通常表示から簡易表示とする簡易表示切替文字サイズL1を速度情報が高くなるほど大きくすることで、視野が狭くなるほどより大きな文字サイズでも判読できない「・」として表示されるので、運転中のドライバーが表示部2aに表示された情報を見ようとする行為がより減少し、安全運転に寄与することができる。
【0049】
表示装置2の表示画面サイズ、画像解像度に応じて、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズL1を変更することで、表示装置1が異なるサイズに変更された場合や画面解像度が変更された場合でも、その画面に対応した簡易表示を行えるので、運転中にドライバーが表示部2aに表示された情報を見ようとする行為が減少し、ドライバビリティーが向上し、安全運転に寄与することができるとともに、同乗者が走行中に表示部2aに表示された情報量の多い画面を視聴する際においても、画面に表示全体のレイアウトの把握が可能となり、視認性を確保することができる。
【0050】
表示装置2の設置場所や座席の位置など、表示装置2と乗員との距離に応じて、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズが変更されるので、乗員との距離に応じた簡易表示を行え、運転中のドライバーが表示部2aに表示された情報を見ようとする行為が減少し、ドライバビリティーが向上し、安全運転に寄与することができるとともに、同乗者が走行中に表示部2aに表示された情報量の多い画面を視聴する際においても、画面に表示全体のレイアウトの把握が可能となり、視認性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態である車両用表示システムの概略構成図である。
【図2】図1に示す車両用表示システムが適用された車両内部と、表示装置の設置位置の一形態を示す拡大図である。
【図3】表示装置の画面解像度と表示される文字の大きさの関係を示す図である。
【図4】表示装置の画面解像度と表示される画像領域の関係を示す図である。
【図5】表示装置の表示部に表示される通常表示の画面と簡易表示の画面の一例を示す図である。
【図6】表示装置の表示部に表示される通常表示の画面と簡易表示の画面の別な例を示す図である。
【図7】本発明で実施される制御の初期設定の内容を示すフローチャートである。
【図8】通常表示と簡易表示の切替処理に関するフローチャートである。
【図9】簡易表示が選択された場合の簡易表示処理に関するフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1 車両用表示システム
2 表示装置
3 車両
20 車両用表示制御装置
21 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも車両の速度情報に応じて車両に搭載される表示装置に表示される視覚情報量を制限する制御手段を有することを特徴とする車両用表示制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用表示制御装置において、
前記制御手段は、前記速度情報に応じて、前記表示装置に表示される表示情報を、通常表示とは異なる簡易表示とすることを特徴とする車両用表示制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両用表示制御装置において、
前記簡易表示は、前記表示装置の表示部に通常表示時に表示される文字を読めない状態に表示することを特徴とする車両用表示制御装置。
【請求項4】
請求項3記載の車両用表示制御装置において、
前記制御手段は、前記速度情報が高くなるほど、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズを大きくすることを特徴とする車両用表示制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れかに記載の車両用表示制御装置において、
前記制御手段は、前記表示装置の表示画面サイズに応じて、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズを変更することを特徴とする車両用表示制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし4の何れかに記載の車両用表示制御装置において、
前記制御手段は、前記表示装置の表示画面の解像度に応じて、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズを変更することを特徴とする車両用表示制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし4の何れかに記載の車両用表示制御装置において、
前記制御手段は、前記表示装置の設置場所に応じて、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズを変更することを特徴とする車両用表示制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし4の何れかに記載の車両用表示制御装置において、
前記制御手段は、車両の座席位置に応じて、通常表示から簡易表示とする切替対象文字サイズを変更することを特徴とする車両用表示制御装置。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れかに記載の車両用表示制御装置と、前記車両用表示制御装置により制御された画面が表示される表示装置とを備えた車両用表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−210462(P2007−210462A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32772(P2006−32772)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】