説明

車両用表示装置およびそれに用いるための照明装置

【課題】自動車、モーターサイクル、電車などの各種車両に搭載するための車両用表示装置、および前記表示装置に使用される照明装置を提供する。
【解決手段】前記照明装置11は、表示板12に対して面状に光を出射する第1の導光体15と、この第1の導光体15に対して光を出射する第2の導光体16と、この第2の導光体に対して光を出射する光源17と、導光体15,16を非接触の状態で支持する非透光性のフレーム18とを備えている。第1の導光体15はその内部に切欠部14を有し、前記第2の導光体16は、前記切欠部14の内側面に沿って非接触で近接する外周面を有する本体部を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、モーターサイクル、電車などの各種車両に搭載するための車両用表示装置、および前記表示装置に使用される照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種車両には、車両用計器類や電子機器から得られたデータを表示するための各種表示装置(メーターパネルやシフトレバーパネル等)が搭載されている。これらの表示装置には、印刷、マスキング等の手法で各種の文字や図形を表示した表示部が備えられ、このような表示部の視認性、特に夜間における視認性を高めるために、表示部を背後から照明することが一般的に行なわれている。
【0003】
このような車載用表示装置では、省スペース化が求められている。例えば、省スペース化を可能とした例として、特開平4−297826号(特許文献1)には、車両用計器に適用される照明装置が開示されている。この照明装置では、導光材料からなる円板状の導光体の前面側に表示板が配設され、この導光体の外周面に沿わせてフレキシブルプリント配線板(FPC板)が配設されている。そして、前記FPC板には、導光体に向かって発光ダイオード(LED)が複数装着されており、前記導光体の外周面には、これらのLEDを導光体内部に挿入するための凹部がそれぞれのLEDに対応して複数設けられている。
【0004】
この照明装置では、導光体の外周部分に発光ダイオードを複数備えたFPC板を配設することにより、導光体の背面部分を部品の取り付けスペースとして有効に利用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−297826号(特許請求の範囲、段落番号[0006]、[0012])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、複数のLEDを光源として、不連続な点状に配置して導光体を照明するため、不連続な光源の配置に起因して輝度ムラが生じてしまう。すなわち、それぞれのLED近傍ではその輝度が極めて高くなる一方で、光源から離れると輝度が低下するため、発明者らのシュミレーションによれば、特許文献1の構成では図6のような輝度ムラが生じると予想される。
【0007】
上記の輝度ムラを低減させるためには、LED光源の数を増加させることが考えられるが、このような増加は本質的な解決にはならず、輝度ムラを完全に解消することはできないだけでなく、さらなるコストアップをももたらしてしまう。
【0008】
従って、本発明の目的は、上記課題を解決するために、輝度ムラを低減することができる照明装置、およびその照明装置を用いた車載用表示装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、省スペース化が可能であるとともに、輝度ムラを低減できる照明装置、およびその照明装置を用いた車載用表示装置を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、光源数を低減して省電力化が可能であるとともに、高品位の発光をすることができる照明装置、およびその照明装置を用いた車載用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意研究を行った結果、光源からの光を、一旦擬似光源となる導光体を通して、発光面を有する導光体に対して出射させると、光源からの距離にかかわらず、発光面の輝度ムラを解消できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、車両に搭載された表示板を背面から照明するための照明装置であって、
前記照明装置は、表示板に対して面状に光を出射する第1の導光体と、この第1の導光体に対して光を出射する第2の導光体と、この第2の導光体に対して光を出射する光源と、第1および第2の導光体を支持している非透光性のフレームとを備えており、
前記第1の導光体はその内部に切欠部を有し、この切欠部は、前記第2の導光体から出射された光を切欠部の内側面から入射させ、
前記第2の導光体は、前記第1の導光体の切欠部の内側面に沿って非接触で近接する外周面を有する本体部を有しており、この本体部は、第1の導光体の発光面に対する水平断面において所定の曲率半径を有する曲線で形成されており、
前記フレームは、第1の導光体および第2の導光体を非接触の状態で支持している照明装置である。
【0012】
この照明装置において、第2の導光体は、本体部と、本体部の少なくとも一方の端部から延長した延出部とを有していてもよく、この延出部より光源からの出射光を入射させてもよい。
【0013】
また、第2の導光体の本体部は、第1の導光体の発光面に対する水平断面において、それぞれ略円弧状の外周面と内周面を有していてもよく、この内周面には、発光面に対して垂直方向に互いに平行な線溝が複数形成されていてもよい。また、前記線溝は、光源から離れるにしたがって、線溝間の間隔が増加してもよいし、および/または、それぞれの線溝の線径が大きくなってもよい。
【0014】
第1の導光体と第2の導光体とは、同材質の導光材料から形成されていてもよい。
また、第1の導光体の切欠部の内側面と、第2の導光体の外周面との間に存在する間隙の幅は、0.1〜0.5mm程度であってもよいし、前記発光面に対する水平断面において、第2の導光体の外周面が有する曲率半径は、10mm以上であってもよい。
【0015】
さらに、本発明は、前記照明装置と、この照明装置の発光面に対して取り付けられた表示板とを備える車両用表示装置についても包含する。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、光源から第2の導光体への入射光が、第2の導光体の内部を伝播しながら、第2の導光体の外周面から徐々に第1の導光体側(間隙の空気層)に漏出するため、第2の導光体が、連続的な輝度を有する擬似光源として第1の導光体に対して作用する。その結果、光源から照射された光自体は不均一な輝度分布を有していても、第2の導光体を介すことによって、出射光の輝度を均一化することができ、第1の導光体からの発光面の輝度を均一化することができる。
【0017】
また、第2の導光体が本体部と延出部とを有し、この延出部から光を入射させる場合、光源からの入射光を第2の導光体の内部に導くための別部材を省略することができるため、省スペース化に貢献することができる。特に、このような構成をとる場合、第2の導光体の背後にある回路基板にLED光源の基板を一体化して、さらなる省スペース化および合理化を達成することが可能となる。
【0018】
第2の導光体が略円弧状の外周面と内周面を有し、且つこの内周面に所定の線溝が複数形成されている場合、第2の導光体へ入射した光を全反射させつつ、線溝によりその反射角度を変更させて第1の導光体に対して光を有効に出射することが可能となる。さらに、線溝の間隔やそれぞれの線径を調整することにより、第1の導光体への入射光の漏出率を均一化して、第1の導光体の発光性をより均一化することができる。
【0019】
さらに、第1の導光体および第2の導光体が、同材質の導光材料から形成される場合、第1の導光体に対する擬似光源としての第2の導光体の機能を高めることが可能であり、第1の導光体と第2の導光体の間での漏出光の不要な屈折や反射を無くすことができる。
【0020】
さらにまた、第1の導光体の切欠部の内側面と、第2の導光体の本体部の外周面とが、所定の幅の間隙を有する場合、第2の導光体から第1の導光体への漏出光の損失を最少限にできるとともに、温度環境の変化にかかわらず、安定した光学特性を発揮することが可能である。
【0021】
そして、第2の導光体の本体部の外周面が所定の曲率半径を有する場合、第2の導光体から第1の導光体への意図しない入射光の漏出を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
この発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明から、より明瞭に理解される。図面は必ずしも一定の縮尺で示されておらず、本発明の原理を示す上で誇張したものになっている。また、添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一部分を示す。
【0023】
【図1】本発明の一実施形態を示す表示装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1の表示装置に備えられている第1および第2の導光体の概略平面図である。
【図3】図2の第1および第2の導光体が近接している状態を説明するための拡大概略平面図である。
【図4】図1の実施形態で用いられている照明装置の光の伝播方向を説明するための概略平面図(a)と、概略正面図(b)である。
【図5】実施例1で用いられた照明装置の評価結果を示す画像データである。
【図6】比較例1で用いられた照明装置の評価結果を示す画像データである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面をもとに本発明の好適の実施形態を説明する。図1は、本発明の表示装置の一実施形態の構成を示す分解斜視図である。図2は、図1の表示装置に用いられる第1および第2の導光体の概略平面図であり、図3は、第1および第2の導光体の近接する状態を説明するための拡大概略平面図である。
【0025】
本発明の一実施形態において、図1に示すように、車載用表示装置10は、照明装置11と、車両に搭載するための表示板12とを備えており、表示板12は、照明装置11の発光面に設けられ、照明装置11は、表示板12を背面から照明している。
そして、照明装置11は、導光板13と、この導光板13に対して光を出射する光源17と、前記導光板13を支持するためのフレーム18とを備えている。
【0026】
図1および図2に示すように、前記導光板13は、発光面13aに対する水平断面において略円弧形の切欠部14を有する板状の第1の導光体15と、前記切欠部14の内側面14aに沿って、非接触で近接している略円弧状の部分(以下、本体部という)を有している第2の導光体16とを備えている。これらの導光体15および16は、フレーム18により、互いに非接触で支持されている。また、フレーム18は、反射性を有する非透光性の材料より形成され、第1の導光体15の外側面15cおよび裏面15bを被覆している。
【0027】
図3に示すように、第2の導光体16の本体部16aは、発光面13aに対する水平断面において略円弧状の外周面16cと内周面16dとをそれぞれ有している。ここで、これらの外周面16cと内周面16dは、発光面13aに対する水平断面において、それぞれの円が、軸心を同一とする略同心円である。
【0028】
なお、図3には図示していないが、延出部16bの端面には光源17が配設されている。また、本体部16aおよび延出部16bを明確に説明するために、形式的にそれぞれを区別しているが、第2の導光体は、本体部16aおよび延出部16bを一体成形により形成することが可能であるため、必ずしもその境目が明確に区別されるものではない。
【0029】
ここで、第2の導光体16の本体部16aでは、その外周面16cが、第1の導光体15の切欠部14の内側面14aに対して接触することなく近接している。すなわち、第1の導光体15と第2の導光体16との間には、所定の幅Wを有する間隙が存在している。
【0030】
また、図4(a)は、光源から、第1および第2の導光体への光の経路を説明するための概略平面図であり、図4(b)は、その概略正面図である。図4に示すように、第2の導光体16は、本体部16aとともに、本体部の一端から延長した延出部16bを有し、この延出部16bは、切欠部14の内側面14aの一方の端部に相対する本体部16aの一端から、導光板13の発光面13a(または第1の導光体15の発光面15a)に対して相反する方向(すなわち、第1の導光体15の裏側)へ向かって略垂直に延出している。
【0031】
図3および図4(a)(b)に示すように、光源17から出射された光は、光源17に隣接する第2の導光体16の入射面(または延出部16bの端面16e)から第2の導光体16の内部へと入射する。そして、入射した光は、まず、延出部16bを入射端面16eから直進方向に入射し、その後、延出部16bの形状に沿って反射しながら本体部16aへと進行する。そして、第2の導光体16の本体部16aへ入射した光は、所定の曲率を有する第2の導光体16の本体部16aの内部を反射しながら進行する。
【0032】
本体部16aの内部を進行する光のうち、第2の導光体16の外周面16cに対する入射角が全反射の臨界角(例えば、PMMAと空気の場合、約42度)を超えた光は、第2の導光体16の外周面16c(すなわち、第2の導光体の発光面)から、徐々に第1の導光体15側に存在する間隙に対して漏出していく。これにより、第2の導光体16から第1の導光体15に向けて出射される出射光は、連続した均一性の高い輝度を有することが可能となる。
【0033】
そして、間隙へ漏出した光は、続いて第1の導光体15の切欠部14の内側面14a(または光入射面)から入射し、第1の導光体15の内部を、切欠部14の内側面14aから第1の導光体の外側面15cに向かって、反射を繰り返しながら放射方向に進行する。
【0034】
その一方で、第1の導光体15の発光面15a(すなわち、導光板13の発光面13a)と相対する側に存在する裏面15bには、この面に入射した光を発光面15aへ出射させるための図示しない微細な光学パターンが形成されている。そのため、光学パターンに一旦入射した光は、第1の導光体15の発光面15aに向かって出射し、発光面15aに対する全反射の臨界角を超えた出射光は、導光板13から面状の光となって出射する。このようにして、照明装置11は、表示板12を照明表示することが可能となる。
【0035】
この実施態様では、第2の導光体16が、第1の導光体15へ光を出射する擬似光源として作用するため、均一性の高い輝度分布を有する照明装置として表示板を面状に照明することができる。さらに、先行技術で見られるような複数の光源間での輝度ムラを低減することが可能となる。
【0036】
以下、各構成要素の詳細について詳述する。本発明の車載用表示装置の構成は、表示板(文字盤パネル)と照明装置を主要な構成要素としてなり、そしてこの照明装置は、第1の導光体および第2の導光体で構成される導光板、フレーム、および光源とを主要な構成要素としてなる。
【0037】
(表示板)
表示板は、車両に対して備え付けられる各種計器や電子機器などの値を表示する部品であればよく、例えば、各種メータ[例えば、スピードメータ、タコメータ、オドメータ、燃料計、水温計など]、また、シフトレバーパネルやオーディオ機器の状態を表示するパネルなどが挙げられる。
【0038】
これらの表示板は、公知または慣用の透光性材料から形成することが可能であり、好適な透光性材料の例としては、透明の熱可塑性樹脂が挙げられる。このような透光性材料は有色透明または無色透明であってもよく、例えば、光源からの光に応じた適当な色(例えば、光に対する同系色など)を有していてもよい。
【0039】
表示板は、例えば、厚さが1〜3mm程度、好ましくは1.5〜2.5mm程度であってもよく、また、表面に対しては、表示する目的に応じて、部分的な印刷、マスキング、開口形成等により、必要な表示意匠(透光部に対する非透光部や半透光部)がデザインされている。
【0040】
(第1の導光体)
第1の導光体は、その内部に切欠部を有し、擬似光源として働く第2の導光体から出射された光を切欠部の内側面から入射できるとともに、表示板側に形成された発光面から光を面状に表示板に対して照射できる限り、用途に応じて適宜その形状を選択することが可能である。
【0041】
例えば、第1の導光体の外形の基本的な形状は、所定の厚みを有する略板状であればよく、その平面形状は、略円形、略扇形、略楕円形、略多角形などのいずれであってもよく、これらの形状は、表示板の形状に応じて一部が変形していてもよい。
【0042】
また、第1の導光体に内部に設けられた切欠部の内側面は、第2の導光体の本体部の外周面と近接しているが、互いに接触していない。そのため、第1の導光体の切欠部の内側面と第2の導光体の外周面との間には、所定の幅Wを有する間隙が形成されている。このような間隙は、車載用として広い温度環境下で使用した際に、それぞれの導光体の膨張による接触を防ぐことが可能であるため有用である。さらに、第2の導光体から第1の導光体への光の利用効率を向上することが可能である。このような間隙の幅は、例えば、0.1〜0.5mm程度であってもよく、好ましくは0.15〜0.4mm程度であってもよい。なお、間隙部分に液状の接着剤等を介在させることは好ましくない。
【0043】
第1の導光体は、略均一な厚みを有していてもよいし、光を発光面に対して良好に出射させる観点から、第1の導光体の裏面(すなわち、発光面と相対する部分)が光の入射面から遠ざかるにつれて発光面に向かって傾斜する形状であってもよい。
【0044】
第1の導光体の厚さ(最も厚い箇所)は、発光体としての損失が低減できるとともに、強度を維持する観点から、例えば、1〜5mm程度であってもよく、好ましくは2〜4mm程度であってもよい。
【0045】
また、発光面への光の出射を促進する観点から、第1の導光体の裏面は、レーザー加工などにより形成した微小なドット群を有していてもよく、ドット群に含まれる各ドットの直径は、例えば、0.01〜0.1mm程度、好ましくは0.02〜0.09mm程度であってもよい。また、ドット群に含まれるドット密度は、0〜30個/mm程度、
5〜25個/mm程度であってもよい。また、これらのドット密度は均一であってもよいが、均一でなくともよく、光の出射の均一化を図る観点から、ドット群の加工密度は切欠部の内側面から導光体の外側面へ向かうにつれて、その密度が連続的にまたは段階的に、高くなっていってもよい。
【0046】
第1の導光体は、透明な有機材料(例えば、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂など)および無機材料(例えば、ガラスなど)のいずれから形成されてもよい。これらのうち、(メタ)アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等が好ましい。これらの成形材料は、単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
また、これらの成形材料には、必要に応じて光散乱粒子を分散させてもよい。このような導光体としては、例えば、メタアクリル樹脂(PMMA)を母材とし、微小な光散乱粒子を分散させた導光体(たとえば特開平7−306411号、特開平8−17209号に開示されているもの)が挙げられる。また、光散乱粒子を含まないポリカーボネート樹脂も本発明に適している。
【0048】
第1の導光体には、必要に応じて、光入射面および発光面以外のいずれかの面において反射層を形成してもよい。反射層の材料は、正反射する材質(例えば、ステンレス、アルミニウム、銅、Ag、各種合金などの金属性物質)から形成してもよく、拡散反射する材質(例えば、白色樹脂、セラミックなど)から形成してもよい。また、このような反射層は、直接第1の導光体に対して、塗布または貼付などにより設けてもよいし、後述するフレームを利用して形成されてもよい。
【0049】
(第2の導光体)
第2の導光体は、光源からの光を第1の導光体へと伝達する擬似光源としての役割を担う。第2の導光体は、第1の導光体の切欠部と近接し、且つ所定の曲率を有する本体部を少なくとも有している。また、第2の導光体は、必要に応じて、本体部から延出する延出部を有していてもよい。
【0050】
本体部の外周面は、光源から出射される光を第1の導光体へと出射させることが可能な範囲で所定の曲率半径を有しており、例えば、外周面の曲率半径は、10mm以上であってもよく、好ましくは13mm以上であってもよい。なお、曲率半径の上限は表示板の大きさに応じて適宜設定可能であるが、例えば、20mm以下であるのが好ましい。
【0051】
第2の導光体の本体部は、前述したように第1の導光体の内側面に近接する外周面を有し、第1の導光体に対する擬似光源として作用できる限り、その形状は特に制限されないが、好ましい形状としては、光源から入射する光を有効に第1の導光体へと出射できる観点から、図1に示すような、所定の幅と厚みを有する円弧状が挙げられる。
【0052】
発光面に対して垂直方向である第2の導光体の厚みは、第1の導光体の厚みや、光源のサイズに応じて適宜設定することができるが、例えば、その厚みは、第1の光源と同じ厚さであるのが好ましく、具体的には、例えば、1〜5mm程度であってもよく、好ましくは2〜4mm程度であってもよい。
【0053】
また、円弧状の外周面から内周面への幅は、例えば、1〜5mm程度であってもよく、好ましくは2〜4mm程度であってもよい。
【0054】
また、内周面には、必要に応じて、入射光の伝播方向に対して垂直な向き(すなわち、
導光板の発光面に対する垂直方向)において、互いに平行な複数の線溝が形成されていてもよい。線溝は、内周面の形状や溝のサイズに応じて、発光面に対する水平断面において、U字形、V字形、円弧形、コ字形など適当な形状を選ぶことができるが、好ましくはU字型、円弧形である。
【0055】
また、溝の線径(幅)は、例えば、0.05〜2mm程度、好ましくは0.1〜1.5mm程度、深さは、例えば、0.05〜1mm程度、好ましくは0.1〜0.8mm程度であってもよい。また、それぞれの線溝間の間隔は、例えば、1〜20°/本程度、2〜10°/本程度であってもよい。
【0056】
このような線溝を設けることにより、第2の導光体に入射した入射光は、基本的には第2の導光体内部を全反射しつつ伝播していきながらも、線溝に到達した光に関しては、全反射の臨界角を超えて第1の導光体の界面へと出射することが可能となるため、入射光の利用効率を高めることが可能となる。
【0057】
これらの線溝は、光源から離れるにしたがって、順に線溝間の間隔が徐々に増加する形態、および/または、線溝の線径が徐々に大きくなる形態であるのが好ましい。このような形態では、第1の導光体への出射率を均一化して、第1の導光体の発光性をより均一化することができる。
【0058】
また、光源から出射される光を入射できる限り、第2の導光体は、本体部のみで形成してもよく、光源から光を入射するための別部材などを配設してもよいが、第2の導光体は、光源からの光を取り入れるために、本体部から延出する延出部を有していてもよい。
【0059】
この場合、延出部の形状は光源を配設する位置に応じて適宜設定することが可能であり、例えば、第1の導光体の裏面に光源が配設される場合、図1に示すように、延出部は、導光板からの発光面とは相反する側に向かって、略90度になだらかに湾曲させてもよい。
【0060】
発光面に対して入光部の角度を略垂直に曲げる利点としては、背面方向に約90度曲がった箇所に配置された計器などの回路基板に、LED(基板)を一体化することができ、独立にLED光源用の基板を新に設ける必要がなくなることにある。
【0061】
第2の導光体の材質も、透明な有機材料(例えば、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂など)および無機材料(例えば、ガラスなど)のいずれから形成されてもよい。またこれらの材料は、単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
好ましくは、第2の導光体は、第1の導光体と同じ材質としてもよい。第1の導光体と第2の導光体を同材質で形成することにより、擬似光源としての第2の導光体の機能を高めることが可能であり、第2の導光体から第1の導光体への出射光に関して、不要な屈折や反射を抑制することができる。
【0063】
また、第2の導光体についても、必要に応じて、光入射面および発光面以外のいずれかの面において反射層を形成してもよい。反射層の材料は、第1の導光体において記載した材料を利用することができる。また、このような反射層は、後述するフレームを利用して形成されてもよい。
【0064】
(フレーム)
フレームの形状は、第1および第2の導光体を非接触の状態で支持できる限り特に限定されず、表示板や第1および第2の導光体の形状に応じて適宜設定することができる。
【0065】
例えば、フレームは、図1に示すように、第1の導光体の発光面と相対する側において、第1の導光体および第2の導光体を非接触で支持するための支持面18aを有しており、好ましくは、第1の導光体の外側面を覆うための第1の壁部18bを有している。より好ましくは、フレームは、第2の導光体の本体部の内周面を覆うための第2の壁部18cを有している。また、支持面は必ずしも第1の導光体の裏面全体を覆う必要はないが、光を有効利用する観点から、第1の導光体の裏面全体を覆うのが好ましい。
【0066】
また、第2の導光体が延出部を有する場合、フレームではこの延出部を支持するための第3の壁部18dを有していてもよい。この第3の壁部は、延出部の厚さ方向において、延出部の両面を取り囲むように形成されていてもよい。
【0067】
フレームは、非透光性の素材からなり、例えば、導光板と接する面においては、反射性部材から形成されていてもよい。好ましい材質例としては、熱可塑性樹脂(ポリプロピレン樹脂等)に白色顔料を混入して、光の反射性を高めたものが挙げられる。
【0068】
(光源)
本発明において、光源としては第2の導光体に対して光を出射して第2の導光体を擬似光源とすることができる程度の出力があれば特に限定されないが、好ましいのは、光源としての指向性が高いLED光源である。
【0069】
LED光源の色は、白色や青色、アンバー色等の任意の色を用いることができる。LEDの出力は、表示装置のサイズや用途によって種々定められるものである。
【0070】
光源の数は、第2の導光体の形状に応じて適宜設定することができ、1個であっても複数(例えば、2個)であってもよいが、電力およびスペースを節約する観点から、1個または2個が好ましい。
【0071】
光源が1個の場合、例えば、図1に示すように、第2の導光体の片端に対して光源を配設してもよい。また、光源が2個の場合は、例えば、第2の導光体の両端に対してそれぞれ光源を配設してもよい。この場合、第2の導光体は、延出部を本体部の両端にそれぞれ設け、双方の延出部から光を入射させてもよい。
【実施例】
【0072】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0073】
(実施例1)
図1〜4に示すように、車載用表示装置(スピードメーターパネル相当)10を作製した。表示装置10は、表示板12と照明装置11を備えており、照明装置11は、フレーム18に取り付けられた第1の導光体15と第2の導光体16と、第2の導光体16に取り付けられた光源17を備えている。
【0074】
第1の導光体15は、発光面15aとそれに相対する裏面15b、内部に有する切欠部14とは相対する外側面15cを有しており、切欠部14は、発光面15aと垂直方向に内側面14aを有している。
【0075】
第2の導光体16は、円弧状の本体部16aと延出部16bを有しており、本体部16aは、外周面16cと内周面16dを有している。また、延出部16bは、光源に対する入光部(または端面)16eを有している。
【0076】
照明装置において、第1の導光体は、母材をPMMA樹脂(密度:1.19、色相:透明、屈折率:1.49)とし、散乱粒子をシリコーン系樹脂粒子、(形状:球、粒子径2500μm、屈折率:1.4345)を0.1重量%の比率で混練し、射出成形により成形した。
【0077】
第1の導光体は、厚さ3.0mmの板状であり、その平面形状は、外径112.0mm、弧度110度の板状の扇形であり、且つその内部には、外径と同心円である切欠部(内径26.4mm、弧度110度)が存在している。ここで、この第1の導光体の切欠部の曲率半径は、13.2mmである。
そして、付加加工として、第1の導光体の裏面に、レーザー加工により、微小ドット(ドット形:半球、サイズ:0.04〜0.08mm、密度20個/mm)を付加している。
【0078】
第2の導光体は、第1の導光体と同じ材質で射出成形により成形し、その外形は、図1に示すように、第1の導光体の切欠部と近接する本体部と、この本体部の一端から一体的に延出する延出部とで構成される。
【0079】
本体部の平面形状は、軸心を同一とする外径26.0mm、内径20.0mmの円弧形であり、それぞれの弧度は110度である。ここで、本体部の外周面が有する曲率半径は、13.0mmである。なお、延出部は、図のように本体部の平面から下方になだらかに湾曲して下方の光源に向けて垂下している。
【0080】
そして、付加加工として、本体部の内周面において、第1の導光体の発光面に対する垂直方向において、複数の平行な線溝[形状:かまぼこ形(幅:1.0mm、高さ0.5mm)密度5°/本]が形成されている。なお、この線溝は、射出成形時において一体的に成形している。
【0081】
また、フレームは、ポリプロピレン(色相:白色)を用いて射出成形により一体成形され、図1に示すように、第1の導光体および第2の導光体を支持するための支持部、外側面を覆うための第1の壁部、第2の導光体の本体部の内周面を覆うための第2の壁部、および延出部の厚さ方向において、延出部の両面を取り囲むための第3の壁部を有している。
【0082】
光源は、シリンダ形状白色チップLED「日亜化学工業株式会社製、型名:NS2W123BT(33ルーメン)」を用い、延出部の端面より光を入射するよう設定した。
【0083】
(比較例1)
実施例の第1の導光体と同じ導光体に対して、光源として、シリンダ形状白色チップLED「日亜化学工業株式会社製、型名:NSSW064(7ルーメン)」を導光体の裏面に等間隔で11個を配置した。そして、導光体の裏面と、外側面および内側面とを覆うようにフレームを配設し、実施例1と同様に輝度測定をおこなった。
【0084】
(評価方法)
上記構成の照明装置に対して、光源からの光を入射し、第1の導光体の輝度について、コニカ・ミノルタ株式会社製、面輝度測定装置、型式CA−2000によって測定し、その擬似画像データを目視により評価した。
【0085】
(評価結果)
実施例1および比較例1の表示装置の評価の結果を、それぞれ図5および図6に示す。
【0086】
図5に示すように、実施例1では、第1の導光体の切欠部の近傍に一部輝度の高い領域があるものの、その他の領域では、輝度は平均して500cd/mであり、全体の範囲は450〜550cd/m(±10%)に収まっているため、均一性が高く、目視によっても、極端な輝度ムラは確認されなかった。
【0087】
これに対して、図6を示すように比較例の評価結果では、LED光源は等間隔で配置されているものの、各光源の近傍では800cd/mもの高い輝度に達する一方で、LED光源から離れると輝度は500cd/m未満になるため、輝度の差は最大60%に達した。このような場所による輝度の違いは、目視によっても輝度ムラとしてはっきり観察された。
【0088】
上記の比較により、比較例は多くのLEDを用いているにもかかわらず、輝度ムラが大きいのに対して、実施例は単一のLED光源によって、パネルを均一に照明できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の照明装置は、光源の数が少なくとも、光源からの光を有効に利用しつつ輝度ムラを低減させて照明することが可能であるため、表示装置は、さまざまな車両(自動車、モーターサイクル、バス、トラックなどの道路用車両;鉄道車両)において有用に用いることができる。
【0090】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
10…車載用表示装置
11…照明装置
12…表示板
13…導光板
14…切欠部
15…第1の導光体
16…第2の導光体
16a…第2の導光体の本体部
16b…第2の導光体の延出部
17…光源
18…フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された表示板を背面から照明するための照明装置であって、
前記照明装置は、表示板に対して面状に光を出射する第1の導光体と、この第1の導光体に対して光を出射する第2の導光体と、この第2の導光体に対して光を出射する光源と、第1および第2の導光体を支持している非透光性のフレームとを備えており、
前記第1の導光体はその内部に切欠部を有し、この切欠部は、前記第2の導光体から出射された光を切欠部の内側面から入射させ、
前記第2の導光体は、前記第1の導光体の切欠部の内側面に沿って非接触で近接する外周面を有する本体部を有しており、この本体部は、第1の導光体の発光面に対する水平断面において所定の曲率半径を有する曲線で形成されており、
前記フレームは、第1の導光体および第2の導光体を非接触の状態で支持している照明装置。
【請求項2】
請求項1において、第2の導光体は、本体部と、本体部の少なくとも一方の端部から延長した延出部とを有しており、この延出部より光源からの出射光を入射させる照明装置。
【請求項3】
請求項1または2において、第2の導光体の本体部は、第1の導光体の発光面に対する水平断面において、それぞれ略円弧状の外周面と内周面を有しており、この内周面には、発光面に対して垂直方向に互いに平行な線溝が複数形成されている照明装置。
【請求項4】
請求項3において、複数の平行な線溝は、光源から離れるにしたがって、線溝間の間隔が増加する、および/または、それぞれの線溝の線径が大きくなる照明装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項において、第1の導光体と第2の導光体とは、同材質の導光材料からなる照明装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項において、第1の導光体の切欠部の内側面と、第2の導光体の本体部の外周面との間隙の幅が、0.1〜0.5mmである照明装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項において、発光面に対する水平断面において、第2の導光体の本体部の外周面が有する曲率半径が、10mm以上である照明装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の照明装置と、この照明装置の発光面に対して取り付けられた表示板とを備える車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−238390(P2011−238390A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107025(P2010−107025)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(390031451)株式会社林技術研究所 (83)
【Fターム(参考)】