説明

車両用表示装置

【課題】 外光によるフロントガラスへの写り込みを防止することが可能な車両用表示装置を提供する。
【解決手段】 窓部11を有するハウジング10と、そのハウジング10内に開口部122を有し、光源14を収納するケース体12を配置し、光源14からの出射光Lを開口部122及び窓部11を介してハウジング10外に出射させると共にフロントガラス4に反射させて、虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置において、
窓部11に第1の半透過着色部材16を設け、開口部122に第2の半透過着色部材18を設け、この第2の半透過着色部材18の窓部11に面する側に拡散処理部19を設けるか、あるいは第2の半透過着色部材18であってその窓部11に面する側に窓部11に対向する拡散処理部18を有する拡散部材17を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される表示装置に関するものであって、特に光源から出射する光をフロントガラスに反射させて運転者に警告を喚起する車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用表示装置としては、例えば特許文献1に記載されているようなものが知られている。この車両用表示装置は、車両に係わる警報情報をフロントガラス117に表示して運転者に注意を促すもので、ユニットケース111内に光源部113と、反射ミラー115とを配置したヘッドアップディスプレイユニットを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−184481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような表示装置は、表示装置内に入射した太陽光が内機部品を照らし、さらにその反射された光によって、内機部品が残像としてフロントガラスに映り込んでしまい、運転者に煩わしさを感じさせてしまうという問題点があった。
【0005】
また、この表示装置をヘッドアップワーニング装置として用いる場合、警告表示は危険を知らせる時にのみ表示されるので、日常的な車両表示情報と違って運転者からの認識度が低く、外光の影響で写り込んだ内機部品の像と、警告表示の像とを誤認してしまう虞も考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は窓部を有するハウジングと、そのハウジング内に開口部を有し、光源を収納するケース体を配置し、前記光源からの出射光を前記開口部及び前記窓部を介してハウジング外に出射させると共にフロントガラスに反射させて、虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置において、
前記窓部に第1の半透過着色部材を設け、前記開口部に第2の半透過着色部材を設け、この第2の半透過着色部材の前記窓部に面する側に拡散処理部を設けるか、あるいは第2の半透過着色部材であってその前記窓部に面する側に前記窓部に対向する拡散処理部を有する拡散部材を設けてなる。
【0007】
また、本発明は第2の半透過着色部材の色調が暗色からなる。
【0008】
また、本発明は、前記拡散処理部は、印刷により表面に凹凸を形成してなる。
【発明の効果】
【0009】
外光による内機部品のフロントガラスへの写り込みを防止することが可能な車両用表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態を示すヘッドアップディスプレイの概略構成図。
【図2】本発明による発光装置の要部断面図。
【図3】同上の拡散部材と半透過着色部材の要部断面拡大図。
【図4】本発明の第1の実施形態を示すブロック図。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す要部断面拡大図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて、本発明の表示装置を車両用ヘッドアップディスプレイ装置に適用した実施形態を説明する。
【0012】
図1は本発明の第1の実施形態を示すヘッドアップディスプレイ装置の概略構成図、図2は本発明による発光装置の断面図、図3は要部断面拡大図、図4は第1の実施形態を示すヘッドアップディスプレイ装置の光源の制御方法を示すブロック図である。図5は第2の実施形態を示す要部断面拡大図である。
【0013】
図1で示すように、ヘッドアップディスプレイ装置は、車両1のダッシュボード2に設けられた発光装置3が投射する表示光Lをフロントガラス4によって車両1の利用者(ドライバー)5側に反射させ、虚像Vを表示するものである。利用者5は、虚像Vを風景と重畳させて視認することができる。
【0014】
本発明における発光装置は、図2に示すように、ハウジング10と、窓部11と、ケース体12と、光源14と、集光レンズ15と、例えば暗色系顔料(色素)を混入したスモーク調の合成樹脂や暗色系(スモーク)半透過性の合成樹脂からなる第1及び第2の半透過着色部材16,18と、拡散部材17とから主に構成されている。
【0015】
ハウジング10は、遮光性の合成樹脂からなり、出射光Lが出射する窓部11が設けられている。窓部11は、本実施形態の場合は、透光性樹脂(例えばアクリル)からなるものであり、湾曲形状になっている。また、窓部11の裏面側(光源14側の面)には、第1の半透過着色部材16が、窓部11と同様の湾曲形状で窓部11を覆うように配置されている。
【0016】
またハウジング10には、アルミニウム等の金属からなり平板形状になっている回路基板13に搭載された発光ダイオードなどの光源14と、その光源14の上部にケース体12に一体形成された保持部121で保持される集光レンズ15とがケース体12に収納されたものが配置されている。
【0017】
ケース体12の開口部122には、図2に示すように、その開口部122を覆うように、後述する拡散部材17と、第2の半透過着色部材18とを重ね合わせて配置している。
【0018】
拡散部材17は、第2の半透過着色部材18の窓部11に面する側に設けられ、窓部11に対向する側にシボ処理部(拡散処理部)19が施されている(図3参照)。一方、第2の半透過着色部材18は、例えば、スモーク材などの暗色からなる。
【0019】
また、シボ処理部19は、高分子の溶液を合成樹脂のベース材上に塗布して乾燥・硬化させるウェットコーティングや、合成樹脂の表面上にドット印刷などでシボ加工を施してもよい。
【0020】
次に、太陽光などの外光のハウジング10内での進み方を説明する。窓部11から入射する外光は、湾曲形状の面によってフロントガラス4側へ反射され、その一部の光が更に第1の半透過着色部材16によって反射され減衰する。窓部11と第1の半透過着色部材16を通過した外光は、ハウジング10内に到達し、その一部の光がケース体12方向に向かう。まずその光は、シボ処理部19によって拡散された後、拡散部材17を通過した光が第2の半透過着色部材18によって反射される。そのため、内機部品が写り込んでしまう原因となっていた外光のフロントガラス4への反射を抑制でき、写り込みを防止できる。
【0021】
次に本実施例における光源の制御方法を説明する。図4に示すように、まず車速センサがある一定の車両情報、例えば一定以上のスピードや燃料の残量が少なくなっているなどの危険情報を感知すると、制御部に危険信号を感知した信号を出力し、制御部は入力された信号に基づき、光源駆動回路に光源を点灯する信号を出力する。光源駆動回路から出力された信号に基づいて、光源が点灯する。
【0022】
次に本実施例における光源からの出射光Lの動きを説明する。図2に示すように、光源駆動回路から出力された信号に基づいて出射する光源14からの出射光Lは、集光レンズ15を通過する際に集光され、第2の半透過着色部材18と拡散部材17を通過し、第1の半透過着色部材16と、さらに湾曲状の窓部11を通過し、フロントガラス4で利用者5側に反射される。出射光Lは、拡散部材17で窓部11方向へ拡散され、それぞれ第1、第2の半透過着色部材16,18を通過するときにその輝度が減衰するが、本発明のヘッドアップディスプレイ装置は警告の喚起を目的としているため、輝度が減衰しても、ぼやけた表示になるだけであって、表示品位を損なうものではない。
【0023】
このように本実施形態では、窓部11を有するハウジング10と、そのハウジング10内に開口部122を有し、光源14を収納するケース15を配置し、光源14からの出射光Lを開口部122及び窓部11を介してハウジング10外に出射させると共にフロントガラス4に反射させて、虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置において、窓部17には、外光の入射を減衰させるための第1の半透過着色部材16を設け、開口部122には、少なくとも窓部11側の表面にシボ処理部19が設けられた拡散部材17と、ベース部材17の背面側に位置する第2の半透過着色部材18とを配置することによって、ハウジング10内に入射する光を抑制し、反射によって内機部品がフロントガラス4に映し出されることを防止することができる車両用表示装置を提供することができる。
【0024】
また本実施形態では、第2の半透過着色部材18の色調が暗色からなることによって、より光の入射を防止することができる。
【0025】
なお、本実施形態では窓部11をアクリルなどの透光性樹脂にて形成したが、窓部11は単なる開口とし、第1の半透過着色部材16だけを設けてもよい。
【0026】
また、拡散部材17は本実施例において窓部11に面する側にのみシボ処理部19が設けられているが、ハウジング10内に入射した外光が拡散されればよく、両面にシボ処理部19が設けられていてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、拡散部材17と第2の半透過着色部材18とを別々の部材にて設けたが、図5に示すように、一部品で設けることもできる。すなわち、開口部11には例えば合成樹脂フィルムからなるベース材20が形成されており。このベース材20の窓部11に面する側は細かな凹凸が形成され、この凹凸に沿って暗色の半透過着色層を施すことによって、開口部11に第2の半透過着色部材18を設け、この第2の半透過着色部材18の窓部11に面する側にシボ処理部を設けたものである。
【0028】
また、図3の構成において、フロントガラス4に映し出される警告表示に意匠を含ませる場合、例えば表示意匠層を、拡散部材17もしくは、第2の半透過着色部材18のいずれかに設けるようにしてもよい。
【0029】
シボ処理部の他の構成は、透明樹脂基板上にスクリーン印刷などによって暗色系の半透過層を形成し、その層上に凹凸面をホットスタンプなどの印刷法により形成することにより得ることができるものであり、この場合、材料自体がスモーク調である第2の半透過着色部材18が不要となりコストを抑えることが可能となる。また凹凸により光の調整も可能となる。
【符号の説明】
【0030】
1 車両
2 ダッシュボード
3 発光装置
4 フロントガラス
5 利用者(運転者)
10 ハウジング
11 窓部
12 ケース体
13 回路基板
14 光源
15 集光レンズ
16 第1の半透過着色部材
17 拡散部材
18 第2の半透過着色部材
19 シボ処理部(拡散処理部)
20 ベース材
121 保持部
122 開口部
L 出射光
V 虚像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓部を有するハウジングと、そのハウジング内に開口部を有し、回路基板に搭載された光源を収納するケース体を配置し、前記光源からの出射光を前記開口部及び前記窓部を介してハウジング外に出射させると共にフロントガラスに反射させて、虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置において、
前記窓部に第1の半透過着色部材を設け、前記開口部に第2の半透過着色部材を設け、この第2の半透過着色部材の前記窓部に面する側に拡散処理部を設けるか、あるいは第2の半透過着色部材であってその前記窓部に面する側に前記窓部に対向する拡散処理部を有する拡散部材を設けてなることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の半透過着色部材の色調が暗色からなることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記拡散処理部は、透明樹脂基板の表面上に印刷によって暗色系の半透過着色層を形成し、その半透過着色層の表面上に印刷により凹凸を形成してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−6059(P2011−6059A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118576(P2010−118576)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】