車両用走行路面検出装置
【課題】簡易な処理により路面を正確に検出することが出来る車両用走行路面検出装置を提供する。
【解決手段】本発明による車両用走行路面検出装置は、走行路面を撮像した路面画像から所定の広い路面領域における路面傾斜を検出する車両用走行路面検出装置であって、走行路面を撮像する第1撮像手段と、この第1撮像手段により撮像された路面画像と少なくとも1部が重複する路面画像が得られるように走行路面を撮像する第2撮像手段と、撮像された路面から、所定の領域にあるテクスチャを検出し、このテクスチャの少なくとも上下に離間した2点の位置を検出する位置検出手段と、2点の位置から、テクスチャが存在する所定の広い領域の路面の勾配を推定する路面勾配推定手段と、を有する。
【解決手段】本発明による車両用走行路面検出装置は、走行路面を撮像した路面画像から所定の広い路面領域における路面傾斜を検出する車両用走行路面検出装置であって、走行路面を撮像する第1撮像手段と、この第1撮像手段により撮像された路面画像と少なくとも1部が重複する路面画像が得られるように走行路面を撮像する第2撮像手段と、撮像された路面から、所定の領域にあるテクスチャを検出し、このテクスチャの少なくとも上下に離間した2点の位置を検出する位置検出手段と、2点の位置から、テクスチャが存在する所定の広い領域の路面の勾配を推定する路面勾配推定手段と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用走行路面検出装置に係り、特に、走行路面を撮像した路面画像から所定の広い路面領域における路面傾斜を検出する車両用走行路面検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、ステレオカメラにより得られる基準の画像を他方のカメラ視点に画像変換し、その変換画像を他方のカメラ画像とにより走行路面の平面パラメータを算出する平面検出装置が知られている。
また、特許文献2に示すように、前方の道路の勾配角を検出することが出来る前方道路の勾配検出方法が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−053754号公報
【特許文献2】特開平09−325026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような装置或いは方法では、演算処理の負担が非常に大きく、特に、複数の傾斜変化がある路面については処理しきれない場合があった。また、単純な、例えば2つの平面同士の勾配変化を求めることが出来るものの、様々な傾斜変化がある場合に正確に路面までの距離や傾斜を検出することが出来ないものである。さらに、例えば白線上の一点を捉えてその一点の位置変化を時間的に追って路面を検出するのでは、処理時間が多くかかってしまうものであった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、簡易な処理により路面を正確に検出することが出来る車両用走行路面検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明による車両用走行路面検出装置は、走行路面を撮像した路面画像から所定の広い路面領域における路面傾斜を検出する車両用走行路面検出装置であって、走行路面を撮像する第1撮像手段と、この第1撮像手段により撮像された路面画像と少なくとも1部が重複する路面画像が得られるように走行路面を撮像する第2撮像手段と、撮像された路面から、所定の領域にある複数のテクスチャを検出し、この複数のテクスチャのそれぞれ少なくとも上下に離間した2点の位置を検出する位置検出手段と、複数のテクスチャのそれぞれの2点の位置から、複数のテクスチャが存在する所定の広い領域の路面の勾配を推定する路面勾配推定手段と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、撮像された路面から、所定の領域にあるテクスチャを検出し、このテクスチャの少なくとも上下に離間した2点の位置を検出し、この2点の位置から、テクスチャが存在する所定の広い領域の路面の勾配を推定するので、検出遅れが少なく、少ない処理負担で路面勾配を検出することが出来る。
【0007】
また、本発明において、好ましくは、2点の位置は、車両からの距離及び車両からの高さで表されるので、より簡易に路面勾配を検出することが出来る。
また、本発明において、好ましくは、テクスチャは白線であるので、より簡易に路面勾配を検出することが出来る。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、テクスチャは複数存在し、路面勾配推定手段は、各々のテクスチャ毎にそのテクスチャの2点の位置を結んで得られる勾配直線を検出すると共にそのような各々のテクスチャの勾配直線の交点を折り点として複数の勾配直線を互いに連結して得られる直線から路面の勾配を推定する。
このように構成された本発明においては、処理負担が少ない一方、より精度良く路面勾配を検出することが出来る。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、さらに、撮像される路面画像から路面を複数の平面に分割する路面分割手段を有し、テクスチャは、分割された複数の平面毎に一つ検出されると共にその2点の位置からその分割された路面の勾配を推定し、路面勾配推定手段は、それぞれの分割された平面において得られる路面の勾配から所定の広い領域の路面の勾配を推定する。
このように構成された本発明においては、処理負担が少ない一方、より精度良く路面勾配を検出することが出来る。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、さらに、撮像された路面の車両から所定距離離れた特定の領域を特定領域として設定する特定領域設定手段と、この特定領域において、この特定領域に存在するテクスチャの2点の位置を結んでこの特定領域の勾配を推定する特定領域勾配推定手段と、特定領域と、所定時間後におけるこの特定領域より手前の過去に設定された少なくとも1つの特定領域と、を所定時間における車両の移動量に応じて結合して走行路面として設定する走行路面設定手段と、を有する。
【0011】
s このように構成された本発明においては、撮像された路面の車両から所定距離離れた特定の領域を特定領域として設定し、この特定領域に存在するテクスチャの2点の位置を結んでこの特定領域の勾配を推定し、特定領域と、所定時間後におけるこの特定領域より手前の過去に設定された少なくとも1つの特定領域と、を所定時間における車両の移動量に応じて結合して走行路面として設定する。従って、例えば、数十m先のような特定領域の画像処理のみで、特定領域から車両直前までの路面の勾配を検出することが出来、処理負担を軽減することが出来る。また、特定領域と、所定時間後におけるこの特定領域より手前の過去に設定された少なくとも1つの特定領域とを所定時間における車両の移動量に応じて結合して走行路面として設定するので、路面勾配の検出も正確なものとなる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、車両の移動量は、撮像された画像中の所定の静止物の位置関係を基準に決定される。
このように構成された本発明においては、車両の移動量を、静止物を利用した高精度な位置補正により決定することが出来るので、より精度良く路面勾配を検出することが出来る。
【発明の効果】
【0013】
本発明による車両用走行路面検出装置によれば、簡易な処理により路面を正確に検出することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、本発明の第1乃至第3実施形態による車両用走行路面検出装置が適用される車両及び路面の車両からの距離及び高さを検出する路面状態検出方法を説明する。図1は、本発明の第1乃至第3実施形態による車両用走行路面検出装置が適用される車両の概念図であり、図2は、ECUの対応点検出部による対応点探索に用いられるArea-based matching手法の説明図であり、図3は、ECUの対応点検出部により対応点として検出された画素を、該対応点の前方距離情報に応じた濃度で表示して視覚化した距離画像であり(a)、左側カメラ画像に対して、ECUの輝度判定領域設定部により設定される輝度判定領域及び乾湿判定領域設定部により設定される乾湿判定領域を示す図(b)である。図4は、ECUの対応点検出部により検出された対応点を、縦軸が各対応点の画像面上のy座標とされ且つ横軸が各対応点の有する前方距離情報に対応した車両前方距離とされる座標系にプロットした分布図であり、図5は、ECUの路面判定部にて求められる対応点の分布を示す分布図であって、図4の下限ラインに対して所定距離隔てたPL線を含む紙面に垂直な平面内に位置する対応点の密度を、予め設定された車両前方距離範囲毎に車幅方向の各位置範囲において算出してその大きさに応じた濃度で表示した分布図である。
【0015】
先ず、図1に示すように、車両1は、フロントウィンドウ2の上方に設置されたステレオカメラ4と、ECU処理装置6とを有する。このステレオカメラ4によりステレオ画像が得られる。
【0016】
次に、路面状態検出方法について説明する。本実施形態による路面状態検出方法によれば、後述する白線の所定の2点の距離と高さの検出は通常のステレオ視で行い、例えば、左右カメラの画像中の高さ方向位置から高さを求め、左右カメラの対応点を探索し、これらの対応点の視差から三角測量の原理より距離を求める。
【0017】
より詳細には、左右のカメラ画像GL,GR間で互いに対応付けられる対応点を、公知の方法であるArea-based matching手法に基づいて行う。Area-based matching手法とは、一方の画像のある点の対応点を、他方の画像から探す際にその点の回りの局所的な輝度値(濃度)パターンを手がかりに探索しようとするものである。具体的には、対応点検出は、図2に示すように、左側カメラ画像GLの一の画素回りに3×3ピクセルのウィンドを設定すると共にウィンドに囲まれた画像をテンプレート画像GTとして、右側カメラ画像GRのエピポーラ(epipolar line)線EL上に設定した探索範囲GS内でマッチングを行う。本実施形態では、このマッチング処理は、左側カメラ画像GLの全画素に対してそれぞれ実行され、このマッチングに使用するアルゴリズムとしては、SADアルゴリズム(Sum of Absolute Difference)を採用している。すなわち、対応点検出により、左側カメラ画像GLに設定されたテンプレート画像GTと、マッチングを行う右側カメラ画像GR内の画像との間で対応する画素間の輝度差の合計値(SAD値)を次式(1)により算出して、この合計値が所定値以下である場合には対応点が検出されたものとして、その画像面上での座標を記憶する。そうして、この各対応点の座標情報を基に領域内に含まれる対応点の数を算出する。尚、マッチングに使用するアルゴリズムは、SADアルゴリズムに限ったものではなく、例えば、SSD(Sum of Squared Difference)アルゴリズムや、NCC(Normalized Cross Correlation)アルゴリズムを使用するようにしてもよい。
【0018】
【数1】
ML:左側画像の画素の輝度値
MR:右側画像の画素の輝度値
【0019】
次に、算出された輝度分布を基に左側カメラ画像GLの領域内に写し出された被撮像物が走行路面か否かを判定する。具体的には、路面判定処理は、例えば以下のようにして行われる。まず、検出された対応点の、左右のカメラ画像GL,GR間での位置ずれ量(視差)を基に三角測量の原理によって距離情報を求める処理を行なって、各対応点の3次元の分布、つまり各対応点の車幅方向の位置情報及び車両からの前方距離情報を表す距離画像データ(図3(a)及び図4参照)を生成する。そして、この距離画像データを基に、車幅方向中央位置(左側カメラ画像GLのx方向の中央の画素列に対応する位置)に含まれる対応点を、横軸を車両前方距離とし且つ縦軸を画像面上のy座標とするグラフにプロットしてその分布図(図5参照)を作成する。そうして、作成した対応点分布図を基に、走行路面の地表面に対応する下限ラインULを求める。尚、図4では、被撮像物が車両前方を走行する先行車両である場合の対応点分布を示していて、先行車両に相当する部分がピーク部Vとして現れている。そして更に、特定した下限ラインと所定距離(画像面上での距離)を隔てた平行ラインPLを求めた上で、該平行ラインPLを含む平面内(紙面に垂直な平面内)に位置する対応点の密度分布を求める。
【0020】
具体的には、この対応点密度を予め設定した車両前方距離範囲D1乃至D4毎(車両前方距離毎)に車幅方向の各位置(左側カメラ画像の各x座標)にて算出する。そして、算出した対応点密度が図5に示すように車幅方向に一様になっている場合(例えば、各車両前方距離範囲D1乃至D4における対応点密度の車幅方向の変化率が全て所定値以下になっている場合)には、被撮像物が走行路面であると判定する一方、対応点密度が車幅方向に一様でない場合には、被撮像物が走行路面ではない(例えば先行車両や障害物等である)と判定する。
【0021】
次に、図6乃至図8により、本発明の第1実施形態による車両用走行路面検出装置の処理の概念を説明する。
図6は、車両と車両の進行方向の路面上のテクスチャを示す概念図であり、図7は、車両から見える路面、テクスチャ及び各テクスチャに設定された2点の位置を示す概念図であり、図8は、本発明の第1実施形態の路面検出装置により得られた各テクスチャによる路面の直線及び交点を示す図である。
【0022】
本発明の第1実施形態は、従来のように路面全体の自車両からの距離や面の傾きを求めるのではなく、路面上の白線などの複数のテクスチャ内の2点を検出し、その2点を結び且つ前後に延長することで、勾配直線及び交点を求め、それらを路面と推定することで路面の勾配を検出するものである。
【0023】
先ず、図6に示すように、車両1の進行方向の路面上には、テクスチャとして白線が描かれている。このような路面をステレオカメラ4により撮像して、図7に示すような画像が得られる。図7において、各白線について、P11及びP12、P21及びP22など、最も手前側及び最も遠方側の2点を検出する。このような2点を結び且つ前後に延長することで、図8に示すように、勾配直線L1、L2・・・が得られる。そして、それらの各勾配直線の交点として、S1、S2・・・が得られる。そのようなテクスチャの勾配直線(L1、L2・・・)の交点(S1、S2・・・)を折り点として複数の勾配直線(L1、L2・・・)を互いに連結して得られる直線から路面の勾配が推定される。
【0024】
次に、図9により、ECUによる処理内容をブロック図により説明する。図9は、本発明の第1実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すブロック図である。
図9に示すように、ECU6は、ステレオカメラ4により撮像された路面画像を、画像記憶部(右)20及び画像記憶部(左)22で記憶する。路面領域判定部24では、これらの記憶された路面画像の情報を基に路面領域を判定する。この路面領域判定部24では、予め設定された進行方向に対する路面の領域を路面領域として判定するか、或いは、白線や路肩を検出して路面領域として判定する。
【0025】
次に、白線検出部26において、ステレオカメラ4で得られた画像から路面上の白線を検出する。次に、対応点探索部28では、白線検出部26で検出された白線のそれぞれについて、最も手前側の端部と最も遠方の端部の2点(画像上では、上端部と下端部)を対応点として探索する。
次に、距離高さ算出部30では、上述した図3乃至図6による路面状態検出方法により、対応点探索部28により探索された2点Pi1、Pi2の距離及び高さ(Pi1:距離di1、高さhi1)、(Pi2:距離di2、高さhi2)を算出する。
【0026】
次に、白線勾配算出部32により、対応点探索部28により探索された2点を結んだ直線(L1、L2・・・)を求め、この直線により各白線の勾配を算出する。次に、白線連結処理部34において、白線勾配算出部32により求められた直線を上下(前後)に延ばし、それらの直線の交点(S1、S2・・・)を求めると共に直線同士を連結する。
次に、走行路面勾配検出部36により、白線勾配算出部32及び白線連結処理部34により得られた直線のつながりにより、走行路面の勾配を検出する(図8参照)。
そして、この検出された路面勾配の情報を利用して、安全システム8、変速システム(AT)9、エンジンシステム(ENG)10の制御が行われる。
【0027】
次に、図10及び図11により、本発明の第1実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容であるフローチャートについて説明する。図10は、本発明の第1実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すフローチャートであり、図11は、本発明の第1実施形態の白線による路面傾斜算出内容を示すフローチャートである。Sは、各ステップを示す。
【0028】
図10に示すように、S1では、各種パラメータのイニシャライズ処置が行われる。ここでは、i=0とされる。次に、S2において、ステレオカメラ4により撮像されたデータが画像記憶部20、22に記憶される。次に、S3において、路面領域判定部24により、走行路面となる対象領域が抽出される。次に、S4において、白線検出部26により白線が検出される。この白線検出処理では、軌道変化(輝度の微分)が所定値以上のときに白線と判定する。次にS5において、白線勾配算出部32により白線による路面傾斜が算出され、S6において、白線連結処理部34により各傾斜直線(L1、L2・・・)が連結される。
【0029】
図11に示すように、白線勾配算出部32による白線による路面傾斜の算出では、S10において、対応点探索部28により、各白線内の上下(前後)に離間する2点Pi1、Pi2の対応点を探索する。次に、S11において、距離高さ算出部30において、上述した図3乃至図6による路面状態検出方法により、対応点探索部28により探索された2点Pi1、Pi2の距離及び高さ(Pi1:距離di1、高さhi1)、(Pi2:距離di2、高さhi2)を算出する。ここでは、ステレオカメラ4の左右の画像の対応点を検出し、それらの対応点の視差角より、距離di、高さhiを算出する。
【0030】
次に、S12において、白線勾配算出部32により、対応点探索部28により探索された2点を結んだ直線(L1、L2・・・)を求め、この直線により各白線の勾配を算出する。
【0031】
次に、図12乃至図14により、本発明の第2実施形態による車両用走行路面検出装置の処理の概念を説明する。
図12は、車両と車両の進行方向の路面上のテクスチャと路面の各分割領域を示す概念図であり、図13は、車両から見える路面、テクスチャ、各テクスチャに設定された2点の位置及び路面の各分割領域を示す図であり、図14は、本発明の第2実施形態の路面検出装置により得られた各分割領域における路面の直線及び交点を示す図である。
【0032】
本発明の第2実施形態は、従来のように路面全体の自車両からの距離や面の傾きを求めるのではなく、路面を車両進行方向に複数に分割した領域を設定し、それらの設定された各領域毎に、路面上の白線などの複数のテクスチャから2点を検出し、その2点を結び且つ前後に延長することで、勾配直線及び交点を求め、それらを路面と推定することで路面の勾配を検出するものである。
【0033】
先ず、図12に示すように、車両1の進行方向の路面上には、テクスチャとして白線が描かれている。このような路面をステレオカメラ4により撮像して、図13に示すような画像が得られる。また、図12及び図13に示すように、路面は、A1〜A4と複数の領域に分割されている。
【0034】
図13において、各分割領域A1〜A4毎に、1つの白線が特定され、その特定された白線について、P11及びP12、P21及びP22など、最も手前側及び最も遠方側の2点を検出する。このような2点を結び且つ前後に延長することで、図8に示すように、各分割領域A1〜A4毎に勾配直線L1、L2・・・が得られる。そして、それらの各勾配直線の交点として、S1、S2・・・が得られる。そのようなテクスチャの勾配直線(L1、L2・・・)の交点(S1、S2・・・)を折り点として複数の勾配直線(L1、L2・・・)を互いに連結して得られる直線から路面の勾配が推定される。
【0035】
次に、図15により、ECUによる処理内容をブロック図により説明する。図15は、本発明の第2実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すブロック図である。
図15に示すように、ECU6は、ステレオカメラ4により撮像された路面画像を、画像記憶部(右)120及び画像記憶部(左)122で記憶する。路面領域判定部124では、これらの記憶された路面画像の情報を基に路面領域を判定する。この路面領域判定部124では、予め設定された進行方向に対する路面の領域を路面領域として判定するか、或いは、白線や路肩を検出して路面領域として判定する。
【0036】
次に、路面分割処理部126により、路面が複数に分割される。この路面分割処理部126においては、予め所定の基準で分割の仕方を定めた路面分割データ128のデータを基に、路面領域判定部124で判定された路面を分割する。例えば、図12のように分割する。
次に、白線検出部130において、路面分割処理部126により分割された領域A1〜A4毎に、ステレオカメラ4で得られた画像から路面上の白線を1つづつ検出する。次に、対応点探索部132では、白線検出部130で検出された白線のそれぞれについて、最も手前側の端部と最も遠方の端部の2点(画像上では、上端部と下端部)を対応点として探索する。
【0037】
次に、距離高さ算出部134では、上述した図3乃至図6による路面状態検出方法により、対応点探索部132により探索された2点Pi1、Pi2の距離及び高さ(Pi1:距離di1、高さhi1)、(Pi2:距離di2、高さhi2)を算出する。
次に、白線勾配算出部136により、対応点探索部132により探索された2点を結んだ直線(L1、L2・・・)を求め、この直線により各白線の勾配を算出する。次に、白線連結処理部138において、白線勾配算出部32により求められた直線を延ばし、それらの直線の交点(S1、S2・・・)を求めると共に直線同士を連結する。
【0038】
次に、走行路面勾配検出部140により、白線勾配算出部136及び白線連結処理部138により得られた直線のつながりにより、走行路面の勾配を検出する(図14参照)。
そして、この検出された路面勾配の情報を利用して、安全システム8、変速システム(AT)9、エンジンシステム(ENG)10の制御が行われる。
【0039】
次に、図16により、本発明の第2実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容であるフローチャートについて説明する。図16は、本発明の第2実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すフローチャートである。Sは、各ステップを示す。
【0040】
図16に示すように、S21では、各種パラメータのイニシャライズ処置が行われる。ここでは、i=0とされる。次に、S22において、ステレオカメラ4により撮像されたデータが画像記憶部120、122に記憶される。次に、S23において、路面領域判定部124により、走行路面となる対象領域が抽出される。次に、S24において、路面分割処理部126により、路面を複数に分割する。ここでは、予め所定の基準で分割の仕方を定めた路面分割データ128のデータを基に、路面領域判定部124で判定された路面を分割する。例えば、図12のように分割する。次に、S25において、白線検出部130により白線が検出される。この白線検出処理では、軌道変化(輝度の微分)が所定値以上のときに白線と判定する。次にS26において、白線勾配算出部136により白線による路面傾斜が算出され、S27において、白線連結処理部138により各傾斜直線(L1、L2・・・)が連結される。
【0041】
S26に示す白線による路面勾配算出では、対応点探索部132により、各白線内の上下(前後)に離間する2点Pi1、Pi2の対応点を探索する。次に、距離高さ算出部134において、上述した図3乃至図6による路面状態検出方法により、対応点探索部132により探索された2点Pi1、Pi2の距離及び高さ(Pi1:距離di1、高さhi1)、(Pi2:距離di2、高さhi2)を算出する。ここでは、ステレオカメラ4の左右の画像の対応点を検出し、それらの対応点の視差角より、距離di、高さhiを算出する。次に、白線勾配算出部136により、対応点探索部132により探索された2点を結んだ直線(L1、L2・・・)を求め、この直線により各白線の勾配を算出する。
【0042】
次に、図17乃至図20により、本発明の第2実施形態による車両用走行路面検出装置の処理の概念を説明する。図17は、車両の進行方向の前方に設定した画像処理を行う特定領域及びテクスチャを示す概念図であり、図18は、車両から見える路面、テクスチャ、各テクスチャに設定された2点の位置及び路面の特定領域を示す図であり、図19は、それぞれ所定時間前において勾配が決定された特定領域の位置(a、c、e)と、それらの過去の特定領域の位置が現在の位置に補正された位置(b、d、f)と、現在における特定領域の位置(g)とを示す概念図であり、図20は、本発明の第3実施形態の路面検出装置により得られた特定領域及び過去の特定領域で算出された勾配を結合して得られる路面の直線及び交点を示す図である。
【0043】
本発明の第3実施形態は、従来のように路面全体の自車両からの距離や面の傾きを求めるのではなく、例えば数十m先に所定の特定領域を設定してその特定領域の距離及び傾きを求め、車両が進行することにより路面が刻々と変化するとき、その特定領域の距離及び傾きの情報を時系列的に結合して、特定平面を含む特定平面より手前の路面の勾配を検出するものである。
【0044】
先ず、図17に示すように、本発明の実施形態では、車両の進行方向前方の数十m先における所定の領域の路面を、特定領域(特定平面)として決定し、上述した図3乃至図6による路面状態検出方法により、この特定領域の車両からの距離d及び高さhを算出する。
【0045】
図18において、数十m先に存在する特定領域において、1つの白線が特定され、その特定された白線について、P11及びP12という、白線の最も手前側及び最も遠方側の2点を検出する。このような2点を結び且つ前後に延長することで、その特定領域における勾配が検出される。
【0046】
次に、図19(h)に示すように、現在の路面状態A、B、C、Dにおける各路面勾配をどのように決定するかを説明する。
先ず、図19(a)に示すように、3ΔT秒前には、静止物b及び特定領域Aが存在する。そして、現在では、図19(b)に示すように、3ΔT秒後の現在では、静止物bの移動量をもとに、過去(図19(a))に特定した特定領域Aが所定距離だけ車両側に近づいていることが特定される。
【0047】
同様に、図19(c)に示すように、2ΔT秒前には、静止物b及び特定領域Bが存在する。そして、現在では、図19(d)に示すように、2ΔT秒後の現在では、静止物bの移動量をもとに、過去(図19(c))に特定した特定領域Bが所定距離だけ車両側に近づいていることが特定される。
【0048】
同様に、図19(e)に示すように、ΔT秒前には、静止物b及び特定領域Cが存在する。そして、現在では、図19(f)に示すように、ΔT秒後の現在では、静止物bの移動量をもとに、過去(図19(e))に特定した特定領域cが所定距離だけ車両側に近づいていることが特定される。
そして、現在では、図19(g)に示すように、特定領域Dが存在する。
【0049】
これらのことから、図19(h)に示すように、3ΔT秒前に勾配が決定された領域A、2ΔT秒前に勾配が決定された領域B、ΔT秒前に勾配が決定された領域C、及び、現在の領域Dが、結合された状態として得られる。それぞれの領域A〜Dの勾配は、それぞれ、3ΔT秒前、2ΔT秒前、ΔT秒前及び現在で特定されているので、車両の進行方向の広い領域の道路状態(勾配など)を把握することが出来るのである。例えば、図20に示すように、3ΔT秒前に特定されたP11及びP12、2ΔT秒前に特定されたP21及びP22、ΔT秒前に特定されたP31及びP32、現在、特定領域として特定されたP41及びP42により、それぞれ、直線L1、L2、L3、L4が決定され、それらの直線と、交点S1、S2、S3とにより、路面勾配が求められる。
【0050】
次に、図21乃至図23により、ECUによる処理内容をブロック図により説明する。図21は、本発明の第3実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すブロック図であり、図22は、オプティカルフロー処理の内容を示す概念図であり、図23は、位置補正の処理内容を示すフローチャートである。
図21に示すように、ECU6は、ステレオカメラ4により撮像された路面画像を、ΔT毎に、画像記憶部(右)220及び画像記憶部(左)222で記憶する。路面領域判定部224では、これらの記憶された路面画像の情報を基に路面領域を判定する。この判定部224では、予め設定された進行方向に対する路面の領域を路面領域として判定するか、或いは、白線や路肩を検出して路面領域として判定する。
【0051】
次に、画像処理領域(特定領域、特定平面)設定部226では、路面の車両からの距離d及び高さhを検出する特定領域を数十m前方側に設定する。次に、白線検出部228において、画像処理領域設定部226で設定された特定領域で、ステレオカメラ4で得られた画像から路面上の白線を1つ検出する。次に、対応点探索部230では、白線検出部228で検出された白線について、最も手前側の端部と最も遠方の端部の2点(画像上では、上端部と下端部)を対応点として探索する。
【0052】
次に、距離高さ算出部232では、上述した図3乃至図6による路面状態検出方法により、対応点探索部230により探索された2点Pi1、Pi2の距離及び高さ(Pi1:距離di1、高さhi1)、(Pi2:距離di2、高さhi2)を算出する。
白線勾配及び静止物位置算出部234では、距離高さ算出部232で算出された2点Pi1、Pi2の距離及び高さ(Pi1:距離di1、高さhi1)、(Pi2:距離di2、高さhi2)から、白線の勾配及び静止物bとの相対距離を算出する。この白線勾配及び静止物位置算出部234で算出された特定領域の勾配及び車両と静止物bとの相対距離は、特定領域勾配記憶部236に、ΔT毎に記憶される。
【0053】
一方、特定領域の移動量(例えば、図19(b)、(d)、(f)参照)を正確に算出するために、静止物検出部(オプティカルフロー処理部)240及び位置補正部242での処理を行う。
具体的には、静止物検出部(オプティカルフロー処理部)240では、図22に示すように、Tにおける画像と、T+ΔTにおける画像とをマッチング処理し、静止物bの移動ベクトルを算出する。
【0054】
そして、位置補正部242では、図23に示すように、先ず、S31において静止物bの位置変化(オプティカルフローにより得られる移動ベクトル)により自車両の移動量を算出し、次に、S32において、自車両の移動量により、前フレーム画像(例えば、図19(a))が、今フレーム画像(例えば、図19(b))で表される領域を算出する。次に、S33において、マッチング処理により前フレーム画像と今フレーム画像との位置を特定する。
【0055】
次に、各白線の連結処理部244では、図20に示すような、各直線L1、L2、L3、L4を各交点S1、S2、S3で結ぶ連結処理を行う。
次に、走行路面勾配検出部246では、白線勾配及び静止物位置算出部234から得られる現在の特定平面の勾配(例えば、図19(g))の情報と、特定領域勾配記憶部236に記憶された過去の特定平面(例えば、図19(a)、(c)、(e))の情報を位置補正部242により移動量が補正された情報(例えば、図19(b)、(d)、(f))により、図19(h)で示すような、車両前方の広い領域の道路状態(距離d、傾きn)を検出するようになっている。
そして、この検出された路面勾配の情報を利用して、安全システム8、変速システム(AT)9、エンジンシステム(ENG)10の制御が行われる。
【0056】
次に、図24により、本発明の第3実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容であるフローチャートについて説明する。図24は、本発明の第3実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容であるフローチャートである。Sは、各ステップを示す。
図24に示すように、S41では、各種パラメータのイニシャライズ処置が行われる。ここでは、i=0とされる。次に、S42において、ステレオカメラ4により撮像されたデータが画像記憶部220、222に記憶される。次に、S43において、路面領域判定部224により、走行路面となる対象領域が抽出され、さらに、S44において、画像処理領域設定部226で画像処理する特定領域を設定する。この特定領域は、車速に応じて、例えば、高速時には遠方に設定し、低速時には近方に設定するようにしても良い。また、特定領域の広さを遠方時には小さく、近方時には広くするようにしても良い。
【0057】
次に、S45において、静止物検出部(オプティカルフロー処理部)34により、静止物bの抽出及びオプティカルフローによる移動ベクトルの算出が行われる。次に、S46において、白線検出部228により白線が検出され、S47で、白線勾配及び静止物位置算出部234により、特定領域の車両からの距離d及び高さhが検出されると共に、特定領域勾配記憶部236に記憶される。
【0058】
次に、S48において、特定領域勾配記憶部236に記憶された、各時刻Ti−1、Ti−2、T0における特定領域勾配を読み込む。次に、S49において、S48で読み込まれた勾配を、静止物検出部(オプティカルフロー処理部)240及び位置補正部242により処理された静止物bの移動量(自車両との相対距離((xi、yi))で表される)により、補正する。
【0059】
次に、S50において、S48及びS49の処理で得られたデータにより、路面勾配(例えば、図19(h))を算出する。次に、S51において、特定領域の平面Aの時刻Tiでの勾配(位置di、ni)及び静止物bとの相対距離(xi、yi)を、特定領域勾配記憶部32に記憶させる。次に、S52において、i=i+1として次の処理に進む。
【0060】
以上、本発明の第1乃至第3実施形態によれば、走行路面を撮像した路面画像から所定の広い路面領域における路面傾斜を検出するために、走行路面を撮像するステレオカメラ4により撮像された路面から、所定の領域にあるテクスチャを検出し、このテクスチャの少なくとも上下に離間した2点の位置を検出し、2点の位置から、テクスチャが存在する所定の広い領域の路面の勾配を推定する。このように、撮像された路面から、所定の領域にあるテクスチャを検出し、このテクスチャの少なくとも上下に離間した2点の位置を検出し、この2点の位置から、テクスチャが存在する所定の広い領域の路面の勾配を推定するので、検出遅れが少なく、少ない処理負担で路面勾配を検出することが出来る。
【0061】
また、本発明の第1乃至第3実施形態によれば、2点の位置は、車両からの距離及び車両からの高さで表されるので、より簡易に路面勾配を検出することが出来る。さらに、テクスチャは白線であるので、より簡易に路面勾配を検出することが出来る。
【0062】
また、本発明の第1乃至第3実施形態によれば、テクスチャは複数存在し、路面勾配推定手段は、各々のテクスチャ毎にそのテクスチャの2点の位置を結んで得られる勾配直線を検出すると共にそのような各々のテクスチャの勾配直線の交点を折り点として複数の勾配直線を互いに連結して得られる直線から路面の勾配を推定するので、処理負担が少ない一方、より精度良く路面勾配を検出することが出来る。
【0063】
また、本発明の第2実施形態によれば、さらに、撮像される路面画像から路面を複数の平面に分割する路面分割手段を有し、テクスチャは、分割された複数の平面毎に一つ検出されると共にその2点の位置からその分割された路面の勾配を推定し、路面勾配推定手段は、それぞれの分割された平面において得られる路面の勾配から所定の広い領域の路面の勾配を推定するので、処理負担が少ない一方、より精度良く路面勾配を検出することが出来る。
【0064】
また、本発明の第3実施形態によれば、さらに、撮像された路面の車両から所定距離離れた特定の領域を特定領域として設定し、この特定領域において、この特定領域に存在するテクスチャの2点の位置を結んでこの特定領域の勾配を推定し、特定領域と、所定時間後におけるこの特定領域より手前の過去に設定された少なくとも1つの特定領域と、を所定時間における車両の移動量に応じて結合して走行路面として設定するので、撮像された路面の車両から所定距離離れた特定の領域を特定領域として設定し、この特定領域に存在するテクスチャの2点の位置を結んでこの特定領域の勾配を推定し、特定領域と、所定時間後におけるこの特定領域より手前の過去に設定された少なくとも1つの特定領域と、を所定時間における車両の移動量に応じて結合して走行路面として設定する。従って、例えば、数十m先のような特定領域の画像処理のみで、特定領域から車両直前までの路面の勾配を検出することが出来、処理負担を軽減することが出来る。また、特定領域と、所定時間後におけるこの特定領域より手前の過去に設定された少なくとも1つの特定領域とを所定時間における車両の移動量に応じて結合して走行路面として設定するので、路面勾配の検出も正確なものとなる。
【0065】
また、本発明において、好ましくは、車両の移動量は、撮像された画像中の所定の静止物の位置関係を基準に決定されるので、車両の移動量を、静止物を利用した高精度な位置補正により決定することが出来るので、より精度良く路面勾配を検出することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】、本発明の第1乃至第3実施形態による車両用走行路面検出装置が適用される車両の概念図である。
【図2】ECUの対応点検出部による対応点探索に用いられるArea-based matching手法の説明図である。
【図3】ECUの対応点検出部により対応点として検出された画素を、該対応点の前方距離情報に応じた濃度で表示して視覚化した距離画像であり(a)、左側カメラ画像に対して、ECUの輝度判定領域設定部により設定される輝度判定領域及び乾湿判定領域設定部により設定される乾湿判定領域を示す図(b)である。
【図4】ECUの対応点検出部により検出された対応点を、縦軸が各対応点の画像面上のy座標とされ且つ横軸が各対応点の有する前方距離情報に対応した車両前方距離とされる座標系にプロットした分布図である。
【図5】ECUの路面判定部にて求められる対応点の分布を示す分布図であって、図4の下限ラインに対して所定距離隔てたPL線を含む紙面に垂直な平面内に位置する対応点の密度を、予め設定された車両前方距離範囲毎に車幅方向の各位置範囲において算出してその大きさに応じた濃度で表示した分布図である。
【図6】本発明の第1実施形態による車両と車両の進行方向の路面上のテクスチャを示す概念図である。
【図7】本発明の第1実施形態による車両から見える路面、テクスチャ及び各テクスチャに設定された2点の位置を示す概念図である。
【図8】本発明の第1実施形態の路面検出装置により得られた各テクスチャによる路面の直線及び交点を示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すブロック図である。
【図10】本発明の第1実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1実施形態の白線による路面傾斜算出内容を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態による車両と車両の進行方向の路面上のテクスチャと路面の各分割領域を示す概念図である。
【図13】本発明の第2実施形態による車両から見える路面、テクスチャ、各テクスチャに設定された2点の位置及び路面の各分割領域を示す図である。
【図14】本発明の第2実施形態の路面検出装置により得られた各分割領域における路面の直線及び交点を示す図である。
【図15】本発明の第2実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すブロック図である。
【図16】本発明の第2実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第3実施形態における車両の進行方向の前方に設定した画像処理を行う特定領域及びテクスチャを示す概念図である。
【図18】本発明の第3実施形態における車両から見える路面、テクスチャ、各テクスチャに設定された2点の位置及び路面の特定領域を示す図である。
【図19】本発明の第3実施形態におけるそれぞれ所定時間前において勾配が決定された特定領域の位置(a、c、e)と、それらの過去の特定領域の位置が現在の位置に補正された位置(b、d、f)と、現在における特定領域の位置(g)とを示す概念図である。
【図20】本発明の第3実施形態の路面検出装置により得られた特定領域及び過去の特定領域で算出された勾配を結合して得られる路面の直線及び交点を示す図である。
【図21】本発明の第3実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すブロック図である。
【図22】本発明の第3実施形態によるオプティカルフロー処理の内容を示す概念図である。
【図23】本発明の第3実施形態による位置補正の処理内容を示すフローチャートである。
【図24】本発明の第3実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容であるフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1 車両
4 ステレオカメラ
6 ECU
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用走行路面検出装置に係り、特に、走行路面を撮像した路面画像から所定の広い路面領域における路面傾斜を検出する車両用走行路面検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、ステレオカメラにより得られる基準の画像を他方のカメラ視点に画像変換し、その変換画像を他方のカメラ画像とにより走行路面の平面パラメータを算出する平面検出装置が知られている。
また、特許文献2に示すように、前方の道路の勾配角を検出することが出来る前方道路の勾配検出方法が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−053754号公報
【特許文献2】特開平09−325026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような装置或いは方法では、演算処理の負担が非常に大きく、特に、複数の傾斜変化がある路面については処理しきれない場合があった。また、単純な、例えば2つの平面同士の勾配変化を求めることが出来るものの、様々な傾斜変化がある場合に正確に路面までの距離や傾斜を検出することが出来ないものである。さらに、例えば白線上の一点を捉えてその一点の位置変化を時間的に追って路面を検出するのでは、処理時間が多くかかってしまうものであった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、簡易な処理により路面を正確に検出することが出来る車両用走行路面検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明による車両用走行路面検出装置は、走行路面を撮像した路面画像から所定の広い路面領域における路面傾斜を検出する車両用走行路面検出装置であって、走行路面を撮像する第1撮像手段と、この第1撮像手段により撮像された路面画像と少なくとも1部が重複する路面画像が得られるように走行路面を撮像する第2撮像手段と、撮像された路面から、所定の領域にある複数のテクスチャを検出し、この複数のテクスチャのそれぞれ少なくとも上下に離間した2点の位置を検出する位置検出手段と、複数のテクスチャのそれぞれの2点の位置から、複数のテクスチャが存在する所定の広い領域の路面の勾配を推定する路面勾配推定手段と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、撮像された路面から、所定の領域にあるテクスチャを検出し、このテクスチャの少なくとも上下に離間した2点の位置を検出し、この2点の位置から、テクスチャが存在する所定の広い領域の路面の勾配を推定するので、検出遅れが少なく、少ない処理負担で路面勾配を検出することが出来る。
【0007】
また、本発明において、好ましくは、2点の位置は、車両からの距離及び車両からの高さで表されるので、より簡易に路面勾配を検出することが出来る。
また、本発明において、好ましくは、テクスチャは白線であるので、より簡易に路面勾配を検出することが出来る。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、テクスチャは複数存在し、路面勾配推定手段は、各々のテクスチャ毎にそのテクスチャの2点の位置を結んで得られる勾配直線を検出すると共にそのような各々のテクスチャの勾配直線の交点を折り点として複数の勾配直線を互いに連結して得られる直線から路面の勾配を推定する。
このように構成された本発明においては、処理負担が少ない一方、より精度良く路面勾配を検出することが出来る。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、さらに、撮像される路面画像から路面を複数の平面に分割する路面分割手段を有し、テクスチャは、分割された複数の平面毎に一つ検出されると共にその2点の位置からその分割された路面の勾配を推定し、路面勾配推定手段は、それぞれの分割された平面において得られる路面の勾配から所定の広い領域の路面の勾配を推定する。
このように構成された本発明においては、処理負担が少ない一方、より精度良く路面勾配を検出することが出来る。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、さらに、撮像された路面の車両から所定距離離れた特定の領域を特定領域として設定する特定領域設定手段と、この特定領域において、この特定領域に存在するテクスチャの2点の位置を結んでこの特定領域の勾配を推定する特定領域勾配推定手段と、特定領域と、所定時間後におけるこの特定領域より手前の過去に設定された少なくとも1つの特定領域と、を所定時間における車両の移動量に応じて結合して走行路面として設定する走行路面設定手段と、を有する。
【0011】
s このように構成された本発明においては、撮像された路面の車両から所定距離離れた特定の領域を特定領域として設定し、この特定領域に存在するテクスチャの2点の位置を結んでこの特定領域の勾配を推定し、特定領域と、所定時間後におけるこの特定領域より手前の過去に設定された少なくとも1つの特定領域と、を所定時間における車両の移動量に応じて結合して走行路面として設定する。従って、例えば、数十m先のような特定領域の画像処理のみで、特定領域から車両直前までの路面の勾配を検出することが出来、処理負担を軽減することが出来る。また、特定領域と、所定時間後におけるこの特定領域より手前の過去に設定された少なくとも1つの特定領域とを所定時間における車両の移動量に応じて結合して走行路面として設定するので、路面勾配の検出も正確なものとなる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、車両の移動量は、撮像された画像中の所定の静止物の位置関係を基準に決定される。
このように構成された本発明においては、車両の移動量を、静止物を利用した高精度な位置補正により決定することが出来るので、より精度良く路面勾配を検出することが出来る。
【発明の効果】
【0013】
本発明による車両用走行路面検出装置によれば、簡易な処理により路面を正確に検出することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、本発明の第1乃至第3実施形態による車両用走行路面検出装置が適用される車両及び路面の車両からの距離及び高さを検出する路面状態検出方法を説明する。図1は、本発明の第1乃至第3実施形態による車両用走行路面検出装置が適用される車両の概念図であり、図2は、ECUの対応点検出部による対応点探索に用いられるArea-based matching手法の説明図であり、図3は、ECUの対応点検出部により対応点として検出された画素を、該対応点の前方距離情報に応じた濃度で表示して視覚化した距離画像であり(a)、左側カメラ画像に対して、ECUの輝度判定領域設定部により設定される輝度判定領域及び乾湿判定領域設定部により設定される乾湿判定領域を示す図(b)である。図4は、ECUの対応点検出部により検出された対応点を、縦軸が各対応点の画像面上のy座標とされ且つ横軸が各対応点の有する前方距離情報に対応した車両前方距離とされる座標系にプロットした分布図であり、図5は、ECUの路面判定部にて求められる対応点の分布を示す分布図であって、図4の下限ラインに対して所定距離隔てたPL線を含む紙面に垂直な平面内に位置する対応点の密度を、予め設定された車両前方距離範囲毎に車幅方向の各位置範囲において算出してその大きさに応じた濃度で表示した分布図である。
【0015】
先ず、図1に示すように、車両1は、フロントウィンドウ2の上方に設置されたステレオカメラ4と、ECU処理装置6とを有する。このステレオカメラ4によりステレオ画像が得られる。
【0016】
次に、路面状態検出方法について説明する。本実施形態による路面状態検出方法によれば、後述する白線の所定の2点の距離と高さの検出は通常のステレオ視で行い、例えば、左右カメラの画像中の高さ方向位置から高さを求め、左右カメラの対応点を探索し、これらの対応点の視差から三角測量の原理より距離を求める。
【0017】
より詳細には、左右のカメラ画像GL,GR間で互いに対応付けられる対応点を、公知の方法であるArea-based matching手法に基づいて行う。Area-based matching手法とは、一方の画像のある点の対応点を、他方の画像から探す際にその点の回りの局所的な輝度値(濃度)パターンを手がかりに探索しようとするものである。具体的には、対応点検出は、図2に示すように、左側カメラ画像GLの一の画素回りに3×3ピクセルのウィンドを設定すると共にウィンドに囲まれた画像をテンプレート画像GTとして、右側カメラ画像GRのエピポーラ(epipolar line)線EL上に設定した探索範囲GS内でマッチングを行う。本実施形態では、このマッチング処理は、左側カメラ画像GLの全画素に対してそれぞれ実行され、このマッチングに使用するアルゴリズムとしては、SADアルゴリズム(Sum of Absolute Difference)を採用している。すなわち、対応点検出により、左側カメラ画像GLに設定されたテンプレート画像GTと、マッチングを行う右側カメラ画像GR内の画像との間で対応する画素間の輝度差の合計値(SAD値)を次式(1)により算出して、この合計値が所定値以下である場合には対応点が検出されたものとして、その画像面上での座標を記憶する。そうして、この各対応点の座標情報を基に領域内に含まれる対応点の数を算出する。尚、マッチングに使用するアルゴリズムは、SADアルゴリズムに限ったものではなく、例えば、SSD(Sum of Squared Difference)アルゴリズムや、NCC(Normalized Cross Correlation)アルゴリズムを使用するようにしてもよい。
【0018】
【数1】
ML:左側画像の画素の輝度値
MR:右側画像の画素の輝度値
【0019】
次に、算出された輝度分布を基に左側カメラ画像GLの領域内に写し出された被撮像物が走行路面か否かを判定する。具体的には、路面判定処理は、例えば以下のようにして行われる。まず、検出された対応点の、左右のカメラ画像GL,GR間での位置ずれ量(視差)を基に三角測量の原理によって距離情報を求める処理を行なって、各対応点の3次元の分布、つまり各対応点の車幅方向の位置情報及び車両からの前方距離情報を表す距離画像データ(図3(a)及び図4参照)を生成する。そして、この距離画像データを基に、車幅方向中央位置(左側カメラ画像GLのx方向の中央の画素列に対応する位置)に含まれる対応点を、横軸を車両前方距離とし且つ縦軸を画像面上のy座標とするグラフにプロットしてその分布図(図5参照)を作成する。そうして、作成した対応点分布図を基に、走行路面の地表面に対応する下限ラインULを求める。尚、図4では、被撮像物が車両前方を走行する先行車両である場合の対応点分布を示していて、先行車両に相当する部分がピーク部Vとして現れている。そして更に、特定した下限ラインと所定距離(画像面上での距離)を隔てた平行ラインPLを求めた上で、該平行ラインPLを含む平面内(紙面に垂直な平面内)に位置する対応点の密度分布を求める。
【0020】
具体的には、この対応点密度を予め設定した車両前方距離範囲D1乃至D4毎(車両前方距離毎)に車幅方向の各位置(左側カメラ画像の各x座標)にて算出する。そして、算出した対応点密度が図5に示すように車幅方向に一様になっている場合(例えば、各車両前方距離範囲D1乃至D4における対応点密度の車幅方向の変化率が全て所定値以下になっている場合)には、被撮像物が走行路面であると判定する一方、対応点密度が車幅方向に一様でない場合には、被撮像物が走行路面ではない(例えば先行車両や障害物等である)と判定する。
【0021】
次に、図6乃至図8により、本発明の第1実施形態による車両用走行路面検出装置の処理の概念を説明する。
図6は、車両と車両の進行方向の路面上のテクスチャを示す概念図であり、図7は、車両から見える路面、テクスチャ及び各テクスチャに設定された2点の位置を示す概念図であり、図8は、本発明の第1実施形態の路面検出装置により得られた各テクスチャによる路面の直線及び交点を示す図である。
【0022】
本発明の第1実施形態は、従来のように路面全体の自車両からの距離や面の傾きを求めるのではなく、路面上の白線などの複数のテクスチャ内の2点を検出し、その2点を結び且つ前後に延長することで、勾配直線及び交点を求め、それらを路面と推定することで路面の勾配を検出するものである。
【0023】
先ず、図6に示すように、車両1の進行方向の路面上には、テクスチャとして白線が描かれている。このような路面をステレオカメラ4により撮像して、図7に示すような画像が得られる。図7において、各白線について、P11及びP12、P21及びP22など、最も手前側及び最も遠方側の2点を検出する。このような2点を結び且つ前後に延長することで、図8に示すように、勾配直線L1、L2・・・が得られる。そして、それらの各勾配直線の交点として、S1、S2・・・が得られる。そのようなテクスチャの勾配直線(L1、L2・・・)の交点(S1、S2・・・)を折り点として複数の勾配直線(L1、L2・・・)を互いに連結して得られる直線から路面の勾配が推定される。
【0024】
次に、図9により、ECUによる処理内容をブロック図により説明する。図9は、本発明の第1実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すブロック図である。
図9に示すように、ECU6は、ステレオカメラ4により撮像された路面画像を、画像記憶部(右)20及び画像記憶部(左)22で記憶する。路面領域判定部24では、これらの記憶された路面画像の情報を基に路面領域を判定する。この路面領域判定部24では、予め設定された進行方向に対する路面の領域を路面領域として判定するか、或いは、白線や路肩を検出して路面領域として判定する。
【0025】
次に、白線検出部26において、ステレオカメラ4で得られた画像から路面上の白線を検出する。次に、対応点探索部28では、白線検出部26で検出された白線のそれぞれについて、最も手前側の端部と最も遠方の端部の2点(画像上では、上端部と下端部)を対応点として探索する。
次に、距離高さ算出部30では、上述した図3乃至図6による路面状態検出方法により、対応点探索部28により探索された2点Pi1、Pi2の距離及び高さ(Pi1:距離di1、高さhi1)、(Pi2:距離di2、高さhi2)を算出する。
【0026】
次に、白線勾配算出部32により、対応点探索部28により探索された2点を結んだ直線(L1、L2・・・)を求め、この直線により各白線の勾配を算出する。次に、白線連結処理部34において、白線勾配算出部32により求められた直線を上下(前後)に延ばし、それらの直線の交点(S1、S2・・・)を求めると共に直線同士を連結する。
次に、走行路面勾配検出部36により、白線勾配算出部32及び白線連結処理部34により得られた直線のつながりにより、走行路面の勾配を検出する(図8参照)。
そして、この検出された路面勾配の情報を利用して、安全システム8、変速システム(AT)9、エンジンシステム(ENG)10の制御が行われる。
【0027】
次に、図10及び図11により、本発明の第1実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容であるフローチャートについて説明する。図10は、本発明の第1実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すフローチャートであり、図11は、本発明の第1実施形態の白線による路面傾斜算出内容を示すフローチャートである。Sは、各ステップを示す。
【0028】
図10に示すように、S1では、各種パラメータのイニシャライズ処置が行われる。ここでは、i=0とされる。次に、S2において、ステレオカメラ4により撮像されたデータが画像記憶部20、22に記憶される。次に、S3において、路面領域判定部24により、走行路面となる対象領域が抽出される。次に、S4において、白線検出部26により白線が検出される。この白線検出処理では、軌道変化(輝度の微分)が所定値以上のときに白線と判定する。次にS5において、白線勾配算出部32により白線による路面傾斜が算出され、S6において、白線連結処理部34により各傾斜直線(L1、L2・・・)が連結される。
【0029】
図11に示すように、白線勾配算出部32による白線による路面傾斜の算出では、S10において、対応点探索部28により、各白線内の上下(前後)に離間する2点Pi1、Pi2の対応点を探索する。次に、S11において、距離高さ算出部30において、上述した図3乃至図6による路面状態検出方法により、対応点探索部28により探索された2点Pi1、Pi2の距離及び高さ(Pi1:距離di1、高さhi1)、(Pi2:距離di2、高さhi2)を算出する。ここでは、ステレオカメラ4の左右の画像の対応点を検出し、それらの対応点の視差角より、距離di、高さhiを算出する。
【0030】
次に、S12において、白線勾配算出部32により、対応点探索部28により探索された2点を結んだ直線(L1、L2・・・)を求め、この直線により各白線の勾配を算出する。
【0031】
次に、図12乃至図14により、本発明の第2実施形態による車両用走行路面検出装置の処理の概念を説明する。
図12は、車両と車両の進行方向の路面上のテクスチャと路面の各分割領域を示す概念図であり、図13は、車両から見える路面、テクスチャ、各テクスチャに設定された2点の位置及び路面の各分割領域を示す図であり、図14は、本発明の第2実施形態の路面検出装置により得られた各分割領域における路面の直線及び交点を示す図である。
【0032】
本発明の第2実施形態は、従来のように路面全体の自車両からの距離や面の傾きを求めるのではなく、路面を車両進行方向に複数に分割した領域を設定し、それらの設定された各領域毎に、路面上の白線などの複数のテクスチャから2点を検出し、その2点を結び且つ前後に延長することで、勾配直線及び交点を求め、それらを路面と推定することで路面の勾配を検出するものである。
【0033】
先ず、図12に示すように、車両1の進行方向の路面上には、テクスチャとして白線が描かれている。このような路面をステレオカメラ4により撮像して、図13に示すような画像が得られる。また、図12及び図13に示すように、路面は、A1〜A4と複数の領域に分割されている。
【0034】
図13において、各分割領域A1〜A4毎に、1つの白線が特定され、その特定された白線について、P11及びP12、P21及びP22など、最も手前側及び最も遠方側の2点を検出する。このような2点を結び且つ前後に延長することで、図8に示すように、各分割領域A1〜A4毎に勾配直線L1、L2・・・が得られる。そして、それらの各勾配直線の交点として、S1、S2・・・が得られる。そのようなテクスチャの勾配直線(L1、L2・・・)の交点(S1、S2・・・)を折り点として複数の勾配直線(L1、L2・・・)を互いに連結して得られる直線から路面の勾配が推定される。
【0035】
次に、図15により、ECUによる処理内容をブロック図により説明する。図15は、本発明の第2実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すブロック図である。
図15に示すように、ECU6は、ステレオカメラ4により撮像された路面画像を、画像記憶部(右)120及び画像記憶部(左)122で記憶する。路面領域判定部124では、これらの記憶された路面画像の情報を基に路面領域を判定する。この路面領域判定部124では、予め設定された進行方向に対する路面の領域を路面領域として判定するか、或いは、白線や路肩を検出して路面領域として判定する。
【0036】
次に、路面分割処理部126により、路面が複数に分割される。この路面分割処理部126においては、予め所定の基準で分割の仕方を定めた路面分割データ128のデータを基に、路面領域判定部124で判定された路面を分割する。例えば、図12のように分割する。
次に、白線検出部130において、路面分割処理部126により分割された領域A1〜A4毎に、ステレオカメラ4で得られた画像から路面上の白線を1つづつ検出する。次に、対応点探索部132では、白線検出部130で検出された白線のそれぞれについて、最も手前側の端部と最も遠方の端部の2点(画像上では、上端部と下端部)を対応点として探索する。
【0037】
次に、距離高さ算出部134では、上述した図3乃至図6による路面状態検出方法により、対応点探索部132により探索された2点Pi1、Pi2の距離及び高さ(Pi1:距離di1、高さhi1)、(Pi2:距離di2、高さhi2)を算出する。
次に、白線勾配算出部136により、対応点探索部132により探索された2点を結んだ直線(L1、L2・・・)を求め、この直線により各白線の勾配を算出する。次に、白線連結処理部138において、白線勾配算出部32により求められた直線を延ばし、それらの直線の交点(S1、S2・・・)を求めると共に直線同士を連結する。
【0038】
次に、走行路面勾配検出部140により、白線勾配算出部136及び白線連結処理部138により得られた直線のつながりにより、走行路面の勾配を検出する(図14参照)。
そして、この検出された路面勾配の情報を利用して、安全システム8、変速システム(AT)9、エンジンシステム(ENG)10の制御が行われる。
【0039】
次に、図16により、本発明の第2実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容であるフローチャートについて説明する。図16は、本発明の第2実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すフローチャートである。Sは、各ステップを示す。
【0040】
図16に示すように、S21では、各種パラメータのイニシャライズ処置が行われる。ここでは、i=0とされる。次に、S22において、ステレオカメラ4により撮像されたデータが画像記憶部120、122に記憶される。次に、S23において、路面領域判定部124により、走行路面となる対象領域が抽出される。次に、S24において、路面分割処理部126により、路面を複数に分割する。ここでは、予め所定の基準で分割の仕方を定めた路面分割データ128のデータを基に、路面領域判定部124で判定された路面を分割する。例えば、図12のように分割する。次に、S25において、白線検出部130により白線が検出される。この白線検出処理では、軌道変化(輝度の微分)が所定値以上のときに白線と判定する。次にS26において、白線勾配算出部136により白線による路面傾斜が算出され、S27において、白線連結処理部138により各傾斜直線(L1、L2・・・)が連結される。
【0041】
S26に示す白線による路面勾配算出では、対応点探索部132により、各白線内の上下(前後)に離間する2点Pi1、Pi2の対応点を探索する。次に、距離高さ算出部134において、上述した図3乃至図6による路面状態検出方法により、対応点探索部132により探索された2点Pi1、Pi2の距離及び高さ(Pi1:距離di1、高さhi1)、(Pi2:距離di2、高さhi2)を算出する。ここでは、ステレオカメラ4の左右の画像の対応点を検出し、それらの対応点の視差角より、距離di、高さhiを算出する。次に、白線勾配算出部136により、対応点探索部132により探索された2点を結んだ直線(L1、L2・・・)を求め、この直線により各白線の勾配を算出する。
【0042】
次に、図17乃至図20により、本発明の第2実施形態による車両用走行路面検出装置の処理の概念を説明する。図17は、車両の進行方向の前方に設定した画像処理を行う特定領域及びテクスチャを示す概念図であり、図18は、車両から見える路面、テクスチャ、各テクスチャに設定された2点の位置及び路面の特定領域を示す図であり、図19は、それぞれ所定時間前において勾配が決定された特定領域の位置(a、c、e)と、それらの過去の特定領域の位置が現在の位置に補正された位置(b、d、f)と、現在における特定領域の位置(g)とを示す概念図であり、図20は、本発明の第3実施形態の路面検出装置により得られた特定領域及び過去の特定領域で算出された勾配を結合して得られる路面の直線及び交点を示す図である。
【0043】
本発明の第3実施形態は、従来のように路面全体の自車両からの距離や面の傾きを求めるのではなく、例えば数十m先に所定の特定領域を設定してその特定領域の距離及び傾きを求め、車両が進行することにより路面が刻々と変化するとき、その特定領域の距離及び傾きの情報を時系列的に結合して、特定平面を含む特定平面より手前の路面の勾配を検出するものである。
【0044】
先ず、図17に示すように、本発明の実施形態では、車両の進行方向前方の数十m先における所定の領域の路面を、特定領域(特定平面)として決定し、上述した図3乃至図6による路面状態検出方法により、この特定領域の車両からの距離d及び高さhを算出する。
【0045】
図18において、数十m先に存在する特定領域において、1つの白線が特定され、その特定された白線について、P11及びP12という、白線の最も手前側及び最も遠方側の2点を検出する。このような2点を結び且つ前後に延長することで、その特定領域における勾配が検出される。
【0046】
次に、図19(h)に示すように、現在の路面状態A、B、C、Dにおける各路面勾配をどのように決定するかを説明する。
先ず、図19(a)に示すように、3ΔT秒前には、静止物b及び特定領域Aが存在する。そして、現在では、図19(b)に示すように、3ΔT秒後の現在では、静止物bの移動量をもとに、過去(図19(a))に特定した特定領域Aが所定距離だけ車両側に近づいていることが特定される。
【0047】
同様に、図19(c)に示すように、2ΔT秒前には、静止物b及び特定領域Bが存在する。そして、現在では、図19(d)に示すように、2ΔT秒後の現在では、静止物bの移動量をもとに、過去(図19(c))に特定した特定領域Bが所定距離だけ車両側に近づいていることが特定される。
【0048】
同様に、図19(e)に示すように、ΔT秒前には、静止物b及び特定領域Cが存在する。そして、現在では、図19(f)に示すように、ΔT秒後の現在では、静止物bの移動量をもとに、過去(図19(e))に特定した特定領域cが所定距離だけ車両側に近づいていることが特定される。
そして、現在では、図19(g)に示すように、特定領域Dが存在する。
【0049】
これらのことから、図19(h)に示すように、3ΔT秒前に勾配が決定された領域A、2ΔT秒前に勾配が決定された領域B、ΔT秒前に勾配が決定された領域C、及び、現在の領域Dが、結合された状態として得られる。それぞれの領域A〜Dの勾配は、それぞれ、3ΔT秒前、2ΔT秒前、ΔT秒前及び現在で特定されているので、車両の進行方向の広い領域の道路状態(勾配など)を把握することが出来るのである。例えば、図20に示すように、3ΔT秒前に特定されたP11及びP12、2ΔT秒前に特定されたP21及びP22、ΔT秒前に特定されたP31及びP32、現在、特定領域として特定されたP41及びP42により、それぞれ、直線L1、L2、L3、L4が決定され、それらの直線と、交点S1、S2、S3とにより、路面勾配が求められる。
【0050】
次に、図21乃至図23により、ECUによる処理内容をブロック図により説明する。図21は、本発明の第3実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すブロック図であり、図22は、オプティカルフロー処理の内容を示す概念図であり、図23は、位置補正の処理内容を示すフローチャートである。
図21に示すように、ECU6は、ステレオカメラ4により撮像された路面画像を、ΔT毎に、画像記憶部(右)220及び画像記憶部(左)222で記憶する。路面領域判定部224では、これらの記憶された路面画像の情報を基に路面領域を判定する。この判定部224では、予め設定された進行方向に対する路面の領域を路面領域として判定するか、或いは、白線や路肩を検出して路面領域として判定する。
【0051】
次に、画像処理領域(特定領域、特定平面)設定部226では、路面の車両からの距離d及び高さhを検出する特定領域を数十m前方側に設定する。次に、白線検出部228において、画像処理領域設定部226で設定された特定領域で、ステレオカメラ4で得られた画像から路面上の白線を1つ検出する。次に、対応点探索部230では、白線検出部228で検出された白線について、最も手前側の端部と最も遠方の端部の2点(画像上では、上端部と下端部)を対応点として探索する。
【0052】
次に、距離高さ算出部232では、上述した図3乃至図6による路面状態検出方法により、対応点探索部230により探索された2点Pi1、Pi2の距離及び高さ(Pi1:距離di1、高さhi1)、(Pi2:距離di2、高さhi2)を算出する。
白線勾配及び静止物位置算出部234では、距離高さ算出部232で算出された2点Pi1、Pi2の距離及び高さ(Pi1:距離di1、高さhi1)、(Pi2:距離di2、高さhi2)から、白線の勾配及び静止物bとの相対距離を算出する。この白線勾配及び静止物位置算出部234で算出された特定領域の勾配及び車両と静止物bとの相対距離は、特定領域勾配記憶部236に、ΔT毎に記憶される。
【0053】
一方、特定領域の移動量(例えば、図19(b)、(d)、(f)参照)を正確に算出するために、静止物検出部(オプティカルフロー処理部)240及び位置補正部242での処理を行う。
具体的には、静止物検出部(オプティカルフロー処理部)240では、図22に示すように、Tにおける画像と、T+ΔTにおける画像とをマッチング処理し、静止物bの移動ベクトルを算出する。
【0054】
そして、位置補正部242では、図23に示すように、先ず、S31において静止物bの位置変化(オプティカルフローにより得られる移動ベクトル)により自車両の移動量を算出し、次に、S32において、自車両の移動量により、前フレーム画像(例えば、図19(a))が、今フレーム画像(例えば、図19(b))で表される領域を算出する。次に、S33において、マッチング処理により前フレーム画像と今フレーム画像との位置を特定する。
【0055】
次に、各白線の連結処理部244では、図20に示すような、各直線L1、L2、L3、L4を各交点S1、S2、S3で結ぶ連結処理を行う。
次に、走行路面勾配検出部246では、白線勾配及び静止物位置算出部234から得られる現在の特定平面の勾配(例えば、図19(g))の情報と、特定領域勾配記憶部236に記憶された過去の特定平面(例えば、図19(a)、(c)、(e))の情報を位置補正部242により移動量が補正された情報(例えば、図19(b)、(d)、(f))により、図19(h)で示すような、車両前方の広い領域の道路状態(距離d、傾きn)を検出するようになっている。
そして、この検出された路面勾配の情報を利用して、安全システム8、変速システム(AT)9、エンジンシステム(ENG)10の制御が行われる。
【0056】
次に、図24により、本発明の第3実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容であるフローチャートについて説明する。図24は、本発明の第3実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容であるフローチャートである。Sは、各ステップを示す。
図24に示すように、S41では、各種パラメータのイニシャライズ処置が行われる。ここでは、i=0とされる。次に、S42において、ステレオカメラ4により撮像されたデータが画像記憶部220、222に記憶される。次に、S43において、路面領域判定部224により、走行路面となる対象領域が抽出され、さらに、S44において、画像処理領域設定部226で画像処理する特定領域を設定する。この特定領域は、車速に応じて、例えば、高速時には遠方に設定し、低速時には近方に設定するようにしても良い。また、特定領域の広さを遠方時には小さく、近方時には広くするようにしても良い。
【0057】
次に、S45において、静止物検出部(オプティカルフロー処理部)34により、静止物bの抽出及びオプティカルフローによる移動ベクトルの算出が行われる。次に、S46において、白線検出部228により白線が検出され、S47で、白線勾配及び静止物位置算出部234により、特定領域の車両からの距離d及び高さhが検出されると共に、特定領域勾配記憶部236に記憶される。
【0058】
次に、S48において、特定領域勾配記憶部236に記憶された、各時刻Ti−1、Ti−2、T0における特定領域勾配を読み込む。次に、S49において、S48で読み込まれた勾配を、静止物検出部(オプティカルフロー処理部)240及び位置補正部242により処理された静止物bの移動量(自車両との相対距離((xi、yi))で表される)により、補正する。
【0059】
次に、S50において、S48及びS49の処理で得られたデータにより、路面勾配(例えば、図19(h))を算出する。次に、S51において、特定領域の平面Aの時刻Tiでの勾配(位置di、ni)及び静止物bとの相対距離(xi、yi)を、特定領域勾配記憶部32に記憶させる。次に、S52において、i=i+1として次の処理に進む。
【0060】
以上、本発明の第1乃至第3実施形態によれば、走行路面を撮像した路面画像から所定の広い路面領域における路面傾斜を検出するために、走行路面を撮像するステレオカメラ4により撮像された路面から、所定の領域にあるテクスチャを検出し、このテクスチャの少なくとも上下に離間した2点の位置を検出し、2点の位置から、テクスチャが存在する所定の広い領域の路面の勾配を推定する。このように、撮像された路面から、所定の領域にあるテクスチャを検出し、このテクスチャの少なくとも上下に離間した2点の位置を検出し、この2点の位置から、テクスチャが存在する所定の広い領域の路面の勾配を推定するので、検出遅れが少なく、少ない処理負担で路面勾配を検出することが出来る。
【0061】
また、本発明の第1乃至第3実施形態によれば、2点の位置は、車両からの距離及び車両からの高さで表されるので、より簡易に路面勾配を検出することが出来る。さらに、テクスチャは白線であるので、より簡易に路面勾配を検出することが出来る。
【0062】
また、本発明の第1乃至第3実施形態によれば、テクスチャは複数存在し、路面勾配推定手段は、各々のテクスチャ毎にそのテクスチャの2点の位置を結んで得られる勾配直線を検出すると共にそのような各々のテクスチャの勾配直線の交点を折り点として複数の勾配直線を互いに連結して得られる直線から路面の勾配を推定するので、処理負担が少ない一方、より精度良く路面勾配を検出することが出来る。
【0063】
また、本発明の第2実施形態によれば、さらに、撮像される路面画像から路面を複数の平面に分割する路面分割手段を有し、テクスチャは、分割された複数の平面毎に一つ検出されると共にその2点の位置からその分割された路面の勾配を推定し、路面勾配推定手段は、それぞれの分割された平面において得られる路面の勾配から所定の広い領域の路面の勾配を推定するので、処理負担が少ない一方、より精度良く路面勾配を検出することが出来る。
【0064】
また、本発明の第3実施形態によれば、さらに、撮像された路面の車両から所定距離離れた特定の領域を特定領域として設定し、この特定領域において、この特定領域に存在するテクスチャの2点の位置を結んでこの特定領域の勾配を推定し、特定領域と、所定時間後におけるこの特定領域より手前の過去に設定された少なくとも1つの特定領域と、を所定時間における車両の移動量に応じて結合して走行路面として設定するので、撮像された路面の車両から所定距離離れた特定の領域を特定領域として設定し、この特定領域に存在するテクスチャの2点の位置を結んでこの特定領域の勾配を推定し、特定領域と、所定時間後におけるこの特定領域より手前の過去に設定された少なくとも1つの特定領域と、を所定時間における車両の移動量に応じて結合して走行路面として設定する。従って、例えば、数十m先のような特定領域の画像処理のみで、特定領域から車両直前までの路面の勾配を検出することが出来、処理負担を軽減することが出来る。また、特定領域と、所定時間後におけるこの特定領域より手前の過去に設定された少なくとも1つの特定領域とを所定時間における車両の移動量に応じて結合して走行路面として設定するので、路面勾配の検出も正確なものとなる。
【0065】
また、本発明において、好ましくは、車両の移動量は、撮像された画像中の所定の静止物の位置関係を基準に決定されるので、車両の移動量を、静止物を利用した高精度な位置補正により決定することが出来るので、より精度良く路面勾配を検出することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】、本発明の第1乃至第3実施形態による車両用走行路面検出装置が適用される車両の概念図である。
【図2】ECUの対応点検出部による対応点探索に用いられるArea-based matching手法の説明図である。
【図3】ECUの対応点検出部により対応点として検出された画素を、該対応点の前方距離情報に応じた濃度で表示して視覚化した距離画像であり(a)、左側カメラ画像に対して、ECUの輝度判定領域設定部により設定される輝度判定領域及び乾湿判定領域設定部により設定される乾湿判定領域を示す図(b)である。
【図4】ECUの対応点検出部により検出された対応点を、縦軸が各対応点の画像面上のy座標とされ且つ横軸が各対応点の有する前方距離情報に対応した車両前方距離とされる座標系にプロットした分布図である。
【図5】ECUの路面判定部にて求められる対応点の分布を示す分布図であって、図4の下限ラインに対して所定距離隔てたPL線を含む紙面に垂直な平面内に位置する対応点の密度を、予め設定された車両前方距離範囲毎に車幅方向の各位置範囲において算出してその大きさに応じた濃度で表示した分布図である。
【図6】本発明の第1実施形態による車両と車両の進行方向の路面上のテクスチャを示す概念図である。
【図7】本発明の第1実施形態による車両から見える路面、テクスチャ及び各テクスチャに設定された2点の位置を示す概念図である。
【図8】本発明の第1実施形態の路面検出装置により得られた各テクスチャによる路面の直線及び交点を示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すブロック図である。
【図10】本発明の第1実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1実施形態の白線による路面傾斜算出内容を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態による車両と車両の進行方向の路面上のテクスチャと路面の各分割領域を示す概念図である。
【図13】本発明の第2実施形態による車両から見える路面、テクスチャ、各テクスチャに設定された2点の位置及び路面の各分割領域を示す図である。
【図14】本発明の第2実施形態の路面検出装置により得られた各分割領域における路面の直線及び交点を示す図である。
【図15】本発明の第2実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すブロック図である。
【図16】本発明の第2実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第3実施形態における車両の進行方向の前方に設定した画像処理を行う特定領域及びテクスチャを示す概念図である。
【図18】本発明の第3実施形態における車両から見える路面、テクスチャ、各テクスチャに設定された2点の位置及び路面の特定領域を示す図である。
【図19】本発明の第3実施形態におけるそれぞれ所定時間前において勾配が決定された特定領域の位置(a、c、e)と、それらの過去の特定領域の位置が現在の位置に補正された位置(b、d、f)と、現在における特定領域の位置(g)とを示す概念図である。
【図20】本発明の第3実施形態の路面検出装置により得られた特定領域及び過去の特定領域で算出された勾配を結合して得られる路面の直線及び交点を示す図である。
【図21】本発明の第3実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容を示すブロック図である。
【図22】本発明の第3実施形態によるオプティカルフロー処理の内容を示す概念図である。
【図23】本発明の第3実施形態による位置補正の処理内容を示すフローチャートである。
【図24】本発明の第3実施形態による車両用走行路面検出装置における処理内容であるフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1 車両
4 ステレオカメラ
6 ECU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行路面を撮像した路面画像から所定の広い路面領域における路面傾斜を検出する車両用走行路面検出装置であって、
走行路面を撮像する第1撮像手段と、
この第1撮像手段により撮像された路面画像と少なくとも1部が重複する路面画像が得られるように走行路面を撮像する第2撮像手段と、
撮像された路面から、所定の領域にある複数のテクスチャを検出し、この複数のテクスチャのそれぞれ少なくとも上下に離間した2点の位置を検出する位置検出手段と、
上記複数のテクスチャのそれぞれの2点の位置から、上記複数のテクスチャが存在する所定の広い領域の路面の勾配を推定する路面勾配推定手段と、
を有することを特徴とする車両用走行路面検出装置。
【請求項2】
上記2点の位置は、車両からの距離及び車両からの高さで表される請求項1に記載の車両用走行路面検出装置。
【請求項3】
上記テクスチャは白線である請求項1又は請求項2に記載の車両用走行路面検出装置。
【請求項4】
上記テクスチャは複数存在し、
上記路面勾配推定手段は、各々のテクスチャ毎にそのテクスチャの2点の位置を結んで得られる勾配直線を検出すると共にそのような各々のテクスチャの勾配直線の交点を折り点として複数の勾配直線を互いに連結して得られる直線から路面の勾配を推定する請求項1乃至3に記載の車両用走行路面検出装置。
【請求項5】
さらに、撮像される路面画像から路面を複数の平面に分割する路面分割手段を有し、
上記テクスチャは、上記分割された複数の平面毎に一つ検出されると共にその2点の位置からその分割された路面の勾配を推定し、
上記路面勾配推定手段は、それぞれの分割された平面において得られる路面の勾配から所定の広い領域の路面の勾配を推定する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用走行路面検出装置。
【請求項6】
さらに、撮像された路面の車両から所定距離離れた特定の領域を特定領域として設定する特定領域設定手段と、
この特定領域において、この特定領域に存在するテクスチャの2点の位置を結んでこの特定領域の勾配を推定する特定領域勾配推定手段と、
上記特定領域と、所定時間後におけるこの特定領域より手前の過去に設定された少なくとも1つの特定領域と、を上記所定時間における車両の移動量に応じて結合して走行路面として設定する走行路面設定手段と、
を有する請求項1乃至4に記載の車両用走行路面検出装置。
【請求項7】
上記車両の移動量は、撮像された画像中の所定の静止物の位置関係を基準に決定される請求項6に記載の車両用走行路面検出装置。
【請求項1】
走行路面を撮像した路面画像から所定の広い路面領域における路面傾斜を検出する車両用走行路面検出装置であって、
走行路面を撮像する第1撮像手段と、
この第1撮像手段により撮像された路面画像と少なくとも1部が重複する路面画像が得られるように走行路面を撮像する第2撮像手段と、
撮像された路面から、所定の領域にある複数のテクスチャを検出し、この複数のテクスチャのそれぞれ少なくとも上下に離間した2点の位置を検出する位置検出手段と、
上記複数のテクスチャのそれぞれの2点の位置から、上記複数のテクスチャが存在する所定の広い領域の路面の勾配を推定する路面勾配推定手段と、
を有することを特徴とする車両用走行路面検出装置。
【請求項2】
上記2点の位置は、車両からの距離及び車両からの高さで表される請求項1に記載の車両用走行路面検出装置。
【請求項3】
上記テクスチャは白線である請求項1又は請求項2に記載の車両用走行路面検出装置。
【請求項4】
上記テクスチャは複数存在し、
上記路面勾配推定手段は、各々のテクスチャ毎にそのテクスチャの2点の位置を結んで得られる勾配直線を検出すると共にそのような各々のテクスチャの勾配直線の交点を折り点として複数の勾配直線を互いに連結して得られる直線から路面の勾配を推定する請求項1乃至3に記載の車両用走行路面検出装置。
【請求項5】
さらに、撮像される路面画像から路面を複数の平面に分割する路面分割手段を有し、
上記テクスチャは、上記分割された複数の平面毎に一つ検出されると共にその2点の位置からその分割された路面の勾配を推定し、
上記路面勾配推定手段は、それぞれの分割された平面において得られる路面の勾配から所定の広い領域の路面の勾配を推定する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用走行路面検出装置。
【請求項6】
さらに、撮像された路面の車両から所定距離離れた特定の領域を特定領域として設定する特定領域設定手段と、
この特定領域において、この特定領域に存在するテクスチャの2点の位置を結んでこの特定領域の勾配を推定する特定領域勾配推定手段と、
上記特定領域と、所定時間後におけるこの特定領域より手前の過去に設定された少なくとも1つの特定領域と、を上記所定時間における車両の移動量に応じて結合して走行路面として設定する走行路面設定手段と、
を有する請求項1乃至4に記載の車両用走行路面検出装置。
【請求項7】
上記車両の移動量は、撮像された画像中の所定の静止物の位置関係を基準に決定される請求項6に記載の車両用走行路面検出装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図3】
【公開番号】特開2009−139325(P2009−139325A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318568(P2007−318568)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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