説明

車両用運転支援装置

【課題】撮影カメラの位置、および、頭部装着型表示手段10の位置姿勢を算出することなく、対応する撮影カメラの画像を表示するこができる両運転支援装置を提供することを目的とする。
【解決手段】撮影カメラ30が出力する映像データを無線により車両の車室内へ送信する映像送信部22を有するカメラ映像発信手段20と、カメラ映像発信手段20の映像送信部22から送信された映像データを受信して表示する頭部装着型表示手段10とを備え、頭部装着型表示手段10は、カメラ映像発信手段20の映像送信部22から送信された映像データを受信する映像受信部11と、表示部13とを有し、カメラ映像発信手段20の映像送信部22は車両の運転席の位置を始点とし撮影カメラ30の位置を終点とする略直線上の位置に設置するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設置された車両周辺を撮影するカメラからの映像を運転者に伝達する車両用運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用運転支援装置としては、車両の外部に複数の車両外部を撮影する撮影カメラと、この撮影した映像を送信する画像処理部と、この車両外部を撮影するカメラで撮影された画像を表示する運転者が装着する頭部装着型表示手段とを備えるものがある。この頭部装着型表示手段には、頭部装着型表示手段の位置姿勢を検出するための位置センサと、運転者の視線を推定するための顔画像撮影カメラとが設けられている。
【0003】
画像処理部は、位置センサの出力から頭部装着型表示手段の位置姿勢を算出するとともに、顔画像撮影カメラで撮影した画像に基づき運転者の視線の方向を推定し、この推定された方向の車両外部を撮影する撮影カメラで撮影した画像を頭部装着型表示手段に送信する。なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−230296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の車両用運転支援装置は、位置センサの出力から頭部装着型表示手段の位置姿勢を算出し、この位置姿勢と撮影カメラの位置との関係でいずれの撮影カメラの画像を出力するか否かを演算する必要があり、画像処理部の演算が複雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたものであり、撮影カメラの位置、および、頭部装着型表示手段の位置姿勢を算出することなく、対応する撮影カメラの画像を表示することができる車両運転支援装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、映像送信部を車両の運転席の位置を始点とし撮影カメラの位置を終点とする略直線上の位置に設置するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、映像送信部を車両の運転席の位置を始点とし撮影カメラの位置を終点とする略直線上の位置に設置するようにした。これにより、頭部装着型表示手段の受信部が映像送信部に向いた場合に表示部に映像データが表示され、映像送信部の方向は撮影カメラが設置されている方向に対応しているため、撮影カメラの位置、および、頭部装着型表示手段の位置姿勢を算出しなくても対応する撮影カメラの映像を表示するこができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態における車両用運転支援装置のブロック図
【図2】同要部である頭部装着型表示手段を説明する図
【図3】同車両への設置を説明する図
【図4】同要部である映像受信部および映像送信部の指向性について説明する図
【図5】同要部である映像受信部および映像送信部の指向性について説明する図
【図6】同要部である映像送信部の指向性について説明する図
【図7】同要部である頭部装着型表示手段の動作を説明するフロー図
【図8】同要部であるカメラ映像発信手段の動作を説明するフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態における車両用運転支援装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施の形態における車両用運転支援装置のブロック図である。また、図2は車両用運転支援装置の要部である頭部装着型表示手段10を説明する図である。
【0011】
車両用運転支援装置1は、メガネ型の頭部装着型表示手段10と、カメラ映像発信手段20と、撮影カメラ30とを備える。撮影カメラ30は車両の周辺を撮影するものである。撮影カメラ30が撮影した車両の周辺の映像データはカメラ映像発信手段20にて無線で送信される。頭部装着型表示手段10はカメラ映像発信手段20が送信した映像データを受信して表示する。
【0012】
車両の乗員は、頭部装着型表示手段10を頭部に装着する。車両の乗員としては、特に車両の運転者が好適である。運転者以外の乗員は、体勢を容易に変えることができるので車両周辺を確認しやすいが、運転手は運転動作を行う必要性があり体勢を容易に変えることができないため、車両周辺の確認がその他乗員と比べて困難だからである。以下、各部の内部構成を詳述する。
【0013】
まず、頭部装着型表示手段10の構成の詳細を説明する。図2に示すように、頭部装着型表示手段10はメガネ型をしており、車両の乗員(以下、利用者)は頭部にこの装置を着用して使用する。
【0014】
頭部装着型表示手段10はカメラ映像発信手段20から映像データを受信する映像受信部11と、この映像データを表示部13へ表示させる表示制御部12と、レンズ14と、カメラ映像発信手段20を探索する信号を送信する制御信号通信部15とを備える。
【0015】
映像受信部11は、図2に示すように頭部装着型表示手段10の略中央部の左右のレンズ(レンズ14aおよび14b)の接続部にあたる位置に備えられている。映像受信部11は、カメラ映像発信手段20が無線により出力した映像データを受信する。
【0016】
表示制御部12は、カメラ映像発信手段20の探索、カメラ映像発信手段20への映像信号の発信要求、カメラ映像発信手段20から受信した映像データを表示部13へ出力するための制御を行う。
【0017】
表示制御部12は、例えば、CPUと、このCPUを制御するプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)と、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)とから構成される。CPUはROMに格納されるプログラムを読出して実行する。
【0018】
また、表示部13は、表示制御部12が出力した車両周辺を撮影した映像データを、頭部装着型表示手段10の利用者が視認できるように表示を行うものである。また、レンズ14は頭部装着型表示手段10の利用者が、外界を視認できるようにするためのもので、光に対して透過性をもつ素材で構成される。利用者は表示部13の表示により車両周辺の
映像を確認できるとともに、レンズ14を通して直接外界を視認できる。
【0019】
表示部(表示部13aおよび13b)は、左右のレンズ(レンズ14aおよび14b)のそれぞれに張り付けられている。表示部13の映像表示面は、頭部装着型表示手段10の利用者の眼球に向かう方向である。
【0020】
制御信号通信部15は、カメラ映像発信手段20と制御信号を無線にて送受信するものである。制御信号通信部15は、図2に示すように頭部装着型表示手段10の略中央部の左右のレンズ(レンズ14aおよび14b)の接続部にあたる位置に備えられている。
【0021】
制御信号通信部15は表示制御部12により制御される。制御信号通信部15が制御信号を送受信できる範囲は後述するように指向性がある。この指向の方向は利用者が向いている方向である。
【0022】
ここで、制御信号とは、カメラ映像発信手段20を探索するための信号(以下、「探索信号」)、または、カメラ映像発信手段20へ映像データの送信開始を要求する映像開始信号である。
【0023】
この探索信号を送信した後、表示制御部12はカメラ映像発信手段20から送信された返信信号を受信したか否かを判定する。返信信号が受信できたときは、カメラ映像発信手段20が検出できたと判断し、映像開始信号を送信する。
【0024】
以下にカメラ映像発信手段20の構成を詳細に説明する。カメラ映像発信手段20は、映像制御部21、映像送信部22、および、制御信号通信部23を備える。
【0025】
映像制御部21には撮影カメラ30が撮影した車両の周辺の映像データが入力される。映像制御部21はこの映像データを映像送信部22へ送信し、映像送信部22は無線にて映像データを頭部装着型表示手段10へ送信する。
【0026】
制御信号通信部23は、頭部装着型表示手段10と制御信号を無線にて送受信するものである。制御信号通信部23は、頭部装着型表示手段10から探索信号を受信すると、映像制御部21へその旨を通知する。続いて、映像制御部21は制御信号通信部23から返信信号を送信するように制御する。
【0027】
その後、制御信号通信部23が頭部装着型表示手段10から送信された映像開始信号を受信すると、映像制御部21は映像送信部22から映像データを送信するように制御する。
【0028】
映像送信部22の送信できる範囲には後述するように指向性がある。また、制御信号通信部23が制御信号を送受信できる範囲にも後述するように指向性がある。
【0029】
以下に撮影カメラ30の構成を詳細に説明する。撮影カメラ30は、車両の周辺を撮影するためのものである。撮影カメラ30が撮影した映像データは、カメラ映像発信手段20が備える映像制御部21へ送信される。撮影カメラ30は、車両の外部に備えてもよいし、車両に埋め込んで実装することもできる。
【0030】
撮影カメラ30は1つでもよいし、複数備えることもできる。本実施の形態では4つのカメラ(撮影カメラ30a〜30d)を備える場合を例に説明をする。
【0031】
以上のように構成された車両用運転支援装置1について図3を用いての車両へ設置した
際の位置関係を説明する。図3は車両を上から見た図である。
【0032】
カメラ映像発信手段20が備える映像送信部22は、車両の運転席の位置を始点とし撮影カメラ30の位置を終点とする略直線上の位置に設置される。図3では、車両は4台の撮影カメラ(撮影カメラ30a〜30d)を備えており、撮影カメラ30aは車両の右前輪近傍を、撮影カメラ30bは車両の左前輪近傍を、撮影カメラ30cは車両の右後輪近傍を、撮影カメラ30dは車両の左後輪近傍の車両周辺の映像を撮影する。撮影カメラ30は運転者の死角となる部分を撮影するように設置されることが望ましい。
【0033】
車両の車室内には撮影カメラ30a〜30dに対応するカメラ映像発信手段20(カメラ映像発信手段20a〜20d)が設置される。これらカメラ映像発信手段20a〜20dが備える制御信号通信部23および映像送信部22は、通信可能な方向が後述するように運転席側に向かう指向性を有している。
【0034】
例えば、撮影カメラ30aは車両の右前輪近傍に設置され、この撮影カメラ30aが出力する映像データを受信するカメラ映像発信手段20aは、車両の運転席の位置を始点とし撮影カメラ30aの位置を終点とする略直線上の位置に設置される。
【0035】
頭部装着型表示手段10が備える映像受信部11がカメラ映像発信手段20aの通信可能な方向に入ると、頭部装着型表示手段10はカメラ映像発信手段20aから送信される映像データを受信して表示を行う。
【0036】
以下に図4を用いて車両を上からみた際の指向性(水平方向の指向性)について説明する。
【0037】
図4のW1はカメラ映像発信手段20aが備える映像送信部22および制御信号通信部23が通信することのできる指向性の角度である。また、図4のW2は頭部装着型表示手段10が備える映像受信部11および制御信号通信部15が通信することのできる指向性の角度である。W1、W2の角度を超える範囲では通信不可能となる。W1、W2は、例えば、15〜30度程度の値が望ましい。これにより運転者の向いた方向にある撮影カメラ30の映像を受信できる。
【0038】
このとき、W1はW2よりも大きい角度とすることが望ましい。W2は頭部装着型表示手段10の指向性の角度であるが、これが大きくすると利用者が見ていない方向の映像を受信してしまうことがある。一方、カメラ映像発信手段20aの指向性の角度であるW1を大きくすることで、運転などにより利用者の頭の位置がずれても確実に映像を送信することができる。
【0039】
次に、図5を用いて車両を横からみた際の指向性(垂直方向の指向性)について説明する。
【0040】
図5のH1はカメラ映像発信手段20aが備える映像送信部22および制御信号通信部23が通信することのできる指向性の角度である。また、図5のH2は頭部装着型表示手段10が備える映像受信部11および制御信号通信部15が通信することのできる指向性の角度である。H1、H2の角度を超える範囲では通信不可能となる。H1、H2は、例えば、40〜60度程度の値が望ましい。これにより運転者の向いた方向にある撮影カメラ30の映像を受信できる。これにより、カメラ映像発信手段20の設置位置に縦方向の自由度を持たせることができ、運転者の邪魔にならない位置にカメラ映像発信手段20を置くことが可能になる。
【0041】
次に、図6を用いて複数のカメラ映像発信手段20(カメラ映像発信手段20a〜20d)を車両に設置した際の、各装置間の指向性の関係を説明する。W3〜W6はそれぞれカメラ映像発信手段20a〜20dが通信できる指向性の角度である。隣り合う装置間、例えば、カメラ映像発信手段20aと20bとでは、車両の運転席の位置において、互いに指向性の範囲が重複しないようにその角度を制限している。カメラ映像発信手段20cと20dについても同様である。
【0042】
以上のように構成された車両用運転支援装置1について、図7、図8を用いてその処理動作を説明する。図7は頭部装着型表示手段10の動作を説明するフロー図であり、図8はカメラ映像発信手段20動作を説明するフロー図である。
【0043】
最初に、図7を用いて頭部装着型表示手段10の動作を説明する。
【0044】
表示制御部12は、処理を開始すると制御信号通信部15から探索信号を送信するように制御を行う(S01)。S01の次に、表示制御部12は、所定の時間以内に返信信号を受信したか否かを判定する(S02)。
【0045】
所定の時間以内に返信信号が受信できない場合(S02でNO)、表示制御部12は、表示制御部12が備えるタイマをゼロにセットする。S03が終了すると、表示制御部12は、処理をS01に戻す。
【0046】
所定の時間以内に返信信号が受信できた場合(S02でYES)、表示制御部12は、タイマによるカウントを開始する(S04)。
【0047】
S04の次に、表示制御部12は、このタイマの値に基づき、所定時間T以上、返信信号が連続で受信されたか否かを判定する(S05)。
【0048】
返信信号の連続受信が所定時間Tより短い場合(S05でNO)、表示制御部12は処理をS01に戻す。一方、返信信号の連続受信が所定時間T以上である場合(S05でYES)、表示制御部12は制御信号通信部15から映像開始信号を送信するように制御を行う(S06)。
【0049】
例えば、利用者が早い速度で頭部を動かした場合、複数のカメラ映像発信手段20が備える制御信号通信部23の指向性の範囲を通過する場合がある。S05のようにしない場合、表示部13が頻繁に切換ることとなる。このような切換りは、利用者、特に車両の運転者の注意を反らせる原因となる。そのため、S05により、表示制御部12は、所定時間T以上連続で返信信号を受信した場合のみ映像開始信号を送信するようにすることで、表示部13に表示する画像が、複数のカメラで頻繁に切換るのを防止することができる。
【0050】
S06の次に、表示制御部12は、カメラ映像発信手段20から送信される映像データが受信できたか否かを判定する(S07)。映像データが受信できた場合(S07でYES)、表示制御部12は、表示部13に受信した映像データを表示させる(S08)。一方、映像データが受信できない場合(S07でNO)、表示制御部12は処理をS03に進める。
【0051】
表示制御部12は、S08において表示を開始した後、映像データが連続で受信できているか否かを判定する(S09)。映像データが連続で受信できている場合(S09でYES)、表示制御部12は処理をS08に戻し、引き続き表示部13に受信した映像データを表示し続ける。一方、映像データが連続で受信できていない場合(S09でNO)、表示制御部12は処理を終了する。
【0052】
表示制御部12は、処理を終了したあと、再度スタートに処理を戻すことができる。
【0053】
次に、図8を用いてカメラ映像発信手段20の動作を説明する。
【0054】
映像制御部21は、処理を開始すると、制御信号通信部23が探索信号を受信したか否かを判定する(S10)。探索信号が受信されたと判定したとき(S10でYES)、映像制御部21は、返信信号を送信するように制御信号通信部23を制御する(S11)。探索信号が受信されたと判定しないとき(S10でNO)、映像制御部21は処理を再度S10に戻す。
【0055】
S11の次に、映像制御部21は、制御信号通信部23が映像開始信号を受信したか否かを判定する(S12)。映像開始信号が受信されたと判定したとき(S12でYES)、映像制御部21は、撮影カメラ30から出力された映像データを映像送信部22から無線にて送信を開始する(S13)。映像開始信号が受信されたと判定しないとき(S12でNO)、映像制御部21は処理を再度S12に戻す。
【0056】
映像制御部21は、S13にて映像データの送信を開始した後、引き続き探索信号が受信されているかを判定し(S14)、受信され続けていれば(S14でYES)、返信信号を送信し続ける(S16)。
【0057】
S14、S15の実行中も、映像制御部21は映像データを送信し続けるように制御をする。
【0058】
S14において、探索信号の受信が出来ない場合(S14でNO)、映像制御部21は、映像データの送信を停止し(S16)、処理をS10に戻す。
【0059】
以上のように本発明の一実施の形態における車両用運転支援装置は、撮影カメラ30が出力する映像データを無線により車室内へ送信するカメラ映像発信手段20を車両の内部に設置し、このカメラ映像発信手段20は車両の運転席の位置を始点とし撮影カメラ30の位置を終点とする略直線上の位置に設置するようにした。
【0060】
このようにすることにより、頭部装着型表示手段10の映像受信部11が、カメラ映像発信手段20が備える映像送信部22に向いた場合に表示部13に映像データが表示される。頭部装着型表示手段10から見た映像送信部22の方向は撮影カメラ30が設置されている方向に対応しているため、撮影カメラ30の位置、および、頭部装着型表示手段10の位置姿勢を算出しなくても対応する撮影カメラ30の映像を表示することができるという効果を奏するものである。
【0061】
また、撮影カメラ30とカメラ映像発信手段20とを別体としているため、車両への設置が容易になるという効果も奏する。
【0062】
本発明の一実施の形態における車両用運転支援装置は、映像送信部22は送信する方向に指向性を有し、かつ、頭部装着型表示手段10が供える映像受信部11は受信方向に指向性を有するものである。このようにすることにより、頭部装着型表示手段10が向いた方向にある撮影カメラの映像が正確に表示されるという効果を奏する。
【0063】
本発明の一実施の形態における車両用運転支援装置は、撮影カメラ30を複数備えるとともに、この複数の撮影カメラ30のそれぞれに対応する複数のカメラ映像発信手段20を備えている。このようにすることにより、頭部装着型表示手段10の利用者が、車両の
周囲をくまなく確認することができるという効果を奏する。
【0064】
本発明の一実施の形態における車両用運転支援装置は、複数のカメラ映像発信手段20はそれぞれ映像データを送信する方向に指向性を有し、頭部装着型表示手段10の映像受信部11は受信方向に指向性を有し、複数のカメラ映像発信手段20の指向性の範囲は互いに重複しないようにしている。このようにすることにより、複数の撮影カメラ30が車両に設置されている場合でも互いに混信することなく、頭部装着型表示手段10が向いた方向の撮影カメラの映像が正確に表示されるという効果を奏する。
【0065】
本発明の一実施の形態における車両用運転支援装置は、複数のカメラ映像発信手段20はそれぞれ送信する方向に指向性を有し、頭部装着型表示手段10の映像受信部11は受信方向に指向性を有している。また、頭部装着型表示手段10は探索信号を送信し、映像受信部11は頭部装着型表示手段10が送信した探索信号を受信した場合に映像データを送信するようにしている。
【0066】
この探索信号を送信に関し、頭部装着型表示手段10は、探索信号を送信する方向に指向性を持たせることができる。このとき、探索信号を送信する指向性の角度が、映像受信部11が送信する指向性の角度、および、頭部装着型表示手段10の映像受信部11の受信可能な指向性の角度よりも小さいことが望ましい。
【0067】
複数の撮影カメラ30、および、対応する複数のカメラ映像発信手段20を設置すると、それぞれの指向性の範囲を重複させず配置するのが困難になる。そこで、上記のように探索信号に狭い指向性を持たせるとともに映像データの送受信には広い指向性を持たせることで、カメラ映像発信手段20を設置の自由度を高めるとともに、複数のカメラ映像発信手段20から同時に映像データが送信されることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、車両に設置された車両周辺を撮影するカメラからの映像を運転者に伝達する車両用運転支援装置等として有用である。
【符号の説明】
【0069】
1 車両用運転支援装置
10 頭部装着型表示手段
11 映像受信部
12 表示制御部
13 表示部
14 レンズ
15 制御信号通信部
20 カメラ映像発信手段
21 映像制御部
22 映像送信部
23 制御信号通信部
30a〜30d 撮影カメラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部を撮影し映像データを出力する撮影カメラと、
この撮影カメラが出力する映像データを無線により前記車両の車室内へ送信する映像送信部を有するカメラ映像発信手段と、
このカメラ映像発信手段の映像送信部から送信された映像データを受信して表示する頭部装着型表示手段とを備え、
この頭部装着型表示手段は、前記カメラ映像発信手段の映像送信部から送信された映像データを受信する映像受信部と、この映像受信部が受信した映像データを表示する表示部とを有し、
前記カメラ映像発信手段の映像送信部は車両の運転席の位置を始点とし撮影カメラの位置を終点とする略直線上の位置に設置されることを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項2】
前記カメラ映像発信手段の映像送信部は指向性をもち、
前記頭部装着型表示手段の映像受信部は受信方向に指向性をもつことを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援装置。
【請求項3】
前記頭部装着型表示手段は、映像受信部があらかじめ定めた所定の時間以上継続して前記カメラ映像発信手段の映像送信部により送信された映像データを受信したときのみ、表示部に映像データを表示することを特徴とする請求項2に記載の車両用運転支援装置。
【請求項4】
前記撮影カメラを複数備えるとともに、前記カメラ映像発信手段はこの複数の撮影カメラのそれぞれに対応する複数の映像送信部を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援装置。
【請求項5】
前記複数の映像送信部は指向性をもち、前記頭部装着型表示手段の映像受信部は受信方向に指向性をもち、前記複数の映像送信部の指向性の範囲は互いに重複しないことを特徴とする請求項4に記載の車両用運転支援装置。
【請求項6】
前記複数の映像送信部は指向性をもち、かつ、前記頭部装着型表示手段の映像受信部は受信方向に指向性をもつとともに、
前記頭部装着型表示手段は探索信号を送信し、かつ、前記映像送信部は前記頭部装着型表示手段が送信した探索信号を受信した場合に映像データを送信するもので、
前記頭部装着型表示手段が送信する探索信号は指向性をもつとともにこの指向性の角度が、映像送信部が送信する指向性の角度、および頭部装着型表示手段の映像受信部の指向性の角度よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の車両用運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−207396(P2011−207396A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78404(P2010−78404)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】