説明

車両用電源供給回路

【課題】突入電流による回路故障を防止することができると共に、車両のユーザビリティーを向上し、加えて更なる省スペース化を実現することができる車両用電源供給回路を提供する。
【解決手段】車両用電源供給回路は、蓄電池集合体11とモータ制御ユニット20とを接続する第1経路16と、該第1経路に設けられたメインリレー13と、蓄電池集合体11とモータ制御ユニット20とを接続する第2経路17と、該第2経路に設けられたメインリレー14と、メインリレー13に並列に接続された充電用FET15とを備える。ユーザによるキー操作等によりパワースイッチがオンされると、メインリレー13がオンされる所定時間前に、メインリレー14がオンされ、これと同時にFET15に電圧が印加され、FET15のゲート電圧が低い状態、すなわちオン抵抗が高い状態で維持される。その後、メインリレー13がオンされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電源供給回路に関し、特に、高電圧使用車両に搭載されたバッテリー等の電源を駆動源に接続するための電源供給回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド車や電気自動車等の車両においては、バッテリー等の蓄電池から駆動用モータ等の電動機に電力を供給する電源供給回路が設けられており、配電機器、駆動用モータを制御するインバータ等を介して、蓄電池から電動機に電力が供給されている。
【0003】
通常、安全性の観点から、車両の駐車時には蓄電池と電動機に電力を供給する高電圧回路とが電気的に切り離されている。そして、ユーザが車両に乗車してパワースイッチがONされることにより、2つのメインリレー(+)及び(−)が共にオンとなり、高電圧回路に電源が供給される仕組みとなっている。しかし、2つのメインリレー(+)及び(−)が共にオンとなったときには、過大な突入電流が流れてしまい、高電圧回路の故障を招くおそれがあるため、メインリレー(+)がオンされる前に抵抗を介した充電用リレーをオンさせて突入電流を抑制するといった対策を講じている。
【0004】
図6は、従来の電源供給回路の構成を示す図である。
図6の電源供給回路では、ゲート回路59の電源をキースイッチ51の下流に設けている。よって、走行中などの大電流を通電している場合での不用意なキーオフ操作でも、キーオフとほぼ同時にゲート回路59の電源がなくなった後に、インバータ61がオフされ、この後、補助リレー55がオフされ、メインリレー57がオフされる。本構成によれば、インバータ61がオフしてから約100msec後にメインリレー57がオフするため、メインリレー57での大電流の遮断が防止される。
【0005】
図7は、他の従来の電源供給回路の構成を示す図である。
図7の電源供給回路では、電池70の電圧がシステムメインリレー62および高圧ケーブル64を介して昇圧回路66に入力される構成となっている。システムメインリレー62は、スイッチS1、およびそれに並列に接続されたスイッチS2と保護抵抗RPとの直列回路とから構成される。システムメインリレー62aの投入は、過大な突入電流を防止するため、まずスイッチS2を先に投入し、過度状態がある程度収束して電流が十分小さくなった後にスイッチS1を投入するという手順で行われる。一方、システムメインリレー62bの投入は、システムメインリレー62aのスイッチS2の投入と同時に、スイッチS3が投入されることによって行われる。昇圧回路66は入力された電圧を昇圧してインバータ回路68に出力し、インバータ回路68は入力された電圧を交流電圧に変換して電動機80に入力する。電池70とシステムメインリレー62との間の電流経路には電流センサ60が設けられており、その電流測定値は異常検出部91に入力される。異常検出部91は、電流センサ60が測定する電流の値が予め定められた値未満であるときには、電源供給回路に異常があるものと判断し、異常がある旨の情報を異常モード記憶部91に記憶させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−37404号公報
【特許文献2】特開2006−230163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の電源供給回路では、突入電流による高電圧回路の故障を防止することが可能となる一方、メインリレー(+)が故障してしまうと車両が走行不能になり、車両のユーザビリティーに欠けるという問題が生じる。また、メインリレー(+)に並設された充電用リレー及び抵抗はサイズが大きいため、電源供給回路の実装スペースを小さくすることができず、車両に搭載される機器類に対して要求される更なる省スペース化に対応することが困難となっている。
【0008】
本発明の目的は、突入電流による回路故障を防止することができると共に、車両のユーザビリティーを向上し、加えて更なる省スペース化を実現することができる車両用電源供給回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するために、本発明に係る車両用電源供給回路は、蓄電池からの電力を電動機に供給するための電源供給回路であって、前記蓄電池と前記電動機とを接続する第1経路に設けられた第1メインリレーと、前記蓄電池と前記電動機とを接続する第2経路に設けられた第2メインリレーと、前記第1メインリレーに並列に接続された半導体スイッチと、外部からの信号に応じて前記半導体スイッチのゲート電圧を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記第2メインリレーがオンされた状態において、前記第1メインリレーがオンされる前後に、前記半導体スイッチのオン抵抗が高くなるように、ゲート電圧を所定の低電圧に制御することを特徴とする。
【0010】
また、車両用電源供給回路は、前記第1経路と前記第2経路との間の電圧を検知して、該電圧に応じた信号を前記制御部に出力する検知部を更に有し、前記制御部は、前記第1メインリレー及び前記第2メインリレーの双方がオンされている状態において、前記半導体スイッチのゲートへの電圧印加を停止し、前記第1経路と前記第2経路との間の電圧が所定値以下となったときに、前記半導体スイッチのオン抵抗が低くなるように、ゲート電圧を所定の高電圧にする。
【0011】
また、車両用電源供給回路は、前記第1経路と前記第2経路との間の電圧を検知して、該電圧に応じた信号を前記制御部に出力する検知部を更に有し、前記制御部は、前記第1メインリレー及び前記第2メインリレーの双方がオンされている状態において、前記半導体スイッチのオン抵抗が高くなるようにゲート電圧を所定の低電圧に維持し、前記第1経路と前記第2経路との間の電圧が所定値以下となった後に、前記半導体スイッチのオン抵抗が低くなるように、ゲート電圧を所定の高電圧にする。
【0012】
また、本発明に係る車両用電源供給方法は、蓄電池と電動機とを接続する第1経路に設けられた第1メインリレーと、前記蓄電池と前記電動機とを接続する第2経路に設けられた第2メインリレーと、前記第1メインリレーに並列に接続された半導体スイッチとを有し、前記蓄電池からの電力を前記電動機に供給する車両用電源供給装置に適用される車両用電源供給方法であって、前記第1メインリレーがオンされる前後に、前記半導体スイッチのオン抵抗が高くなるように、ゲート電圧を所定の低電圧に制御する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第2メインリレーがオンされている状態において、第1メインリレーがオンされる前後に、半導体スイッチのオン抵抗が高くなるようにゲート電圧が所定の低電圧に制御されるので、第1メインリレー及び第2メインリレーの双方がオンされた時に流れる突入電流を抑制することができ、突入電流による回路の故障を防止することができる。また、第1メインリレーが故障した場合でも、半導体スイッチを介して電力を電動機に供給することができるので、車両を走行可能にすることができ、車両のユーザビリティーを向上することができる。さらに、半導体スイッチを第1メインリレーに並列に接続するので、補助リレー及び抵抗を並列接続する場合に比べて実装スペースを小さくすることができ、更なる省スペース化を実現することができる。
【0014】
また、第1メインリレー及び第2メインリレーの双方がオンされている状態において、半導体スイッチのゲートへの電圧印加を停止し、第1経路と第2経路との間の電圧が所定値以下となったときに、半導体スイッチのオン抵抗が低くなるようにゲート電圧が所定の高電圧に制御されるので、当該半導体スイッチを流れる電流が抑制されることがなく、第1メインリレーの故障時にも電動機に電力を十分に供給することができる。
【0015】
さらに、第1メインリレー及び第2メインリレーの双方がオンされている状態において、半導体スイッチのオン抵抗が高くなるようにゲート電圧が所定の低電圧に維持され、第1経路と第2経路との間の電圧が所定値以下となった後に、半導体スイッチのオン抵抗が低くなるようにゲート電圧が所定の高電圧に制御されるので、第1メインリレーの故障時にも、時間遅れを生じることなく電動機に定常的に電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用電源供給回路の構成を概略的に示す図である。
【図2】半導体スイッチ(FET)におけるゲート電圧とオン抵抗との関係を示す図である。
【図3】図1における車両用電源供給回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】図2に示す動作の変形例を示すタイミングチャートである。
【図5】図2に示す動作の他の変形例を示すタイミングチャートである。
【図6】従来の電源供給回路の構成を示す図である。
【図7】他の従来の電源供給回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る車両用電源供給回路の構成を概略的に示す図である。
図1に示すように、ハイブリッド車や電気自動車等の高電圧使用車両には、蓄電池モジュール10と、該蓄電池モジュールにモータ制御ユニット20を介して接続された駆動用モータ30とを備える電力供給ユニット1が搭載されている。
【0019】
蓄電池モジュール10は、複数のバッテリーが連結して構成される蓄電池集合体11と、該蓄電池集合体とモータ制御ユニット20とを電気的に接続する配電部12aとを有している。また、モータ制御ユニット20は、駆動用モータ30に接続され、蓄電池モジュール10からの直流電圧を交流電圧に変換して駆動用モータ30に電力を供給すると共に、駆動用モータ30の回転エネルギーを回生するインバータ21と、インバータ21の直流回路側の2線間に接続されたコンデンサ22とを有している。
【0020】
そして、本実施形態に係る車両用電源供給回路12は、蓄電池集合体11とモータ制御ユニット20とを接続する第1経路16と、該第1経路に設けられたメインリレー13(第1メインリレー)と、蓄電池集合体11とモータ制御ユニット20とを接続する第2経路17と、該第2経路に設けられたメインリレー14(第2メインリレー)と、メインリレー13に並列に接続された充電用FET(半導体スイッチ)15とを備えている。本実施形態では、メインリレー13(+)、メインリレー14(−)及びFET15が配電部12a内に配設されている。メインリレー13及びメインリレー14は、外部からの入力信号に応じてオン動作或いはオフ動作が行われる。
【0021】
FET15は、例えばn型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)で構成されており、ドレイン側が蓄電池集合体11側に、ソース側がインバータ21側となるように接続されている。FET15におけるゲート電圧とオン抵抗との関係は、例えば図2のように示される。図2において、ドレイン電流値40Aにおいて、オン抵抗を小さくするための電圧値(高電圧値)は約15Vに設定され、本高電圧値に対応するオン抵抗値は約5.5mΩである。また、オン抵抗を大きくするための電圧値(低電圧値)は、例えば約3.5Vに設定され、本低電圧値に対応するオン抵抗値は約16mΩである。また、ゲートへの電圧印加の停止時(或いはGND電圧印加時)には、通常の非導通状態となる。そして、後述する制御部からの入力信号(ゲート電圧)に応じて、FET15の上記抵抗状態が切り替えられることとなる。
【0022】
また、車両用電源供給回路12は、第1経路16と第2経路17との間の電圧Vを検知して電圧Vに応じた電気信号を後述の制御部に出力する電圧センサ(検知部)40と、電圧センサ40からの入力信号に応じてFET15のゲート電圧を高電圧、低電圧、或いは略0Vに制御する制御部18とを備えている。なお、制御部18は、車両の不図示のパワースイッチにも接続されており、ユーザによるパワースイッチのオン動作に応じてFET15のゲート電圧を制御することが可能となっている。
【0023】
図3は、図1における車両用電源供給回路12の動作を示すタイミングチャートである。
図3において、ユーザによるキー操作等によりパワースイッチがオンされると、メインリレー14がオンされ、これと同時にFET15のゲート側にゲート電圧として所定の低電圧が印加されて、オン抵抗が高い状態で維持される。そして、過度状態(突入電流)がある程度収束して電流が十分小さくなった後に、メインリレー13がオン(リレーを閉じる動作)される。このような制御を行うことによって、メインリレー13に並列接続されたFET15のオン抵抗が高い状態で維持されているため、FET15を介して電流が流れ、これにより突入電流が抑制される。すなわち、図3の動作では、メインリレー13,14がオンされる前にFET15のオン抵抗を高い状態に維持することで、回路内に生じる突入電流を抑制している。
【0024】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、メインリレー14がオンされている状態において、メインリレー13がオンされる前後にFET15のオン抵抗が高くなるようにゲート電圧を所定の低電圧に制御するので、メインリレー13及びメインリレー14の双方がオンされた時に流れる突入電流を抑制することができ、突入電流による回路の故障を防止することができる。
【0025】
また、FET15をメインリレー13に並列に接続するので、補助リレー及び抵抗を並列接続する場合に比べて実装スペースを小さくすることができ、更なる省スペース化を実現することができる。
【0026】
図4は、図3に示す動作の変形例を示すタイミングチャートである。本変形例では、図3に示す動作が行われた後、メインリレー13が故障した場合の電源バックアップ動作を説明する。
【0027】
図4において、過度状態(突入電流)がある程度収束して電流が十分小さくなった後、FET15のゲートへの低電圧印加が停止され、ゲート電圧が略0Vとなる。その後、メインリレー13が故障等によりオフ動作(リレーを開く動作)となったとき、第1経路16と第2経路17との間の電圧Vが変動する。制御部18は、電圧センサ40にて測定された電圧Vが所定値以下であるか否かを判定し、当該電圧Vが所定値以下であるときに、FET15に対して、該FETの動作状態を切り替える信号を出力する。
【0028】
そして、制御部18はFET15に所定の高電圧を印加し、FET15のゲート電圧が高い状態、すなわちオン抵抗が低い状態に変更される。このとき、第1経路16ではメインリレー13が故障しているものの、FET15を介して駆動用モータ30へ電流が流れることとなり、またFET15のオン抵抗が低い状態で維持されているため、FET15を流れる電流が抑制されることもない。すなわち、図4の動作では、メインリレー13の故障が検知されたときにFET15のオン抵抗を低い状態に変更することで、メインリレー故障時にも駆動モータ30に十分な電力が供給される。メインリレー13の故障時においては電流を双方向に流すことはできず、蓄電池集合体11を充電することはできないが、蓄電池集合体11の残容量で駆動モータ30を動作させることが可能である。
【0029】
なお、メインリレー13が故障した場合には、本来ならば車両は待避走行の状態となっている。待避走行とは、ECU等が異常を検知した場合に、危険を避けることが可能な最低限の機能で走行することを示す。よって、FET15として、車両の待避走行を可能とするだけの容量を有する小型のFETを選定することも可能である。また、FET15として小型のFETを選定する場合には、FETを接続する回路、すなわちメインリレー13と並列して設けられている部分の電線を細径化することができる。
【0030】
本変形例によれば、メインリレー13及びメインリレー14の双方がオンされている状態において、FET15のゲートへの電圧印加を停止し、第1経路16と第2経路17との間の電圧が所定値以下となったときに、FET15のオン抵抗が低くなるようにゲート電圧を所定の高電圧に制御するので、当該FETを流れる電流が抑制されることがなく、メインリレー13の故障時にも駆動モータ30に電力を十分に供給することができる。
【0031】
尚、本変形例では、図3に示す動作が行われた後にメインリレー13が故障した場合の電源バックアップ動作を説明したが、これに限るものではなく、パワースイッチがオンされる前にメインリレーが故障している場合にも、図4に示す電源バックアップ動作を実行することが可能である。この場合、メインリレー13が既に故障している状態であるため、メインリレー13はオン動作しないこととなる。
【0032】
図5は、図3に示す動作の他の変形例を示すタイミングチャートである。本変形例では、FET15の動作遅れ(メインリレー13が故障してからFET15をオン抵抗が小さい状態で動作させるまでの時間)を補償する動作を説明する。
【0033】
図3に示す動作において、メインリレー13が故障したことを検知した後、電圧センサ40、制御部18、FET15のモニタリング等の各制御特性を考慮すると、メインリレー13が故障してから少なくとも数十ms遅れてFET15がオン動作する。この動作遅れにより、蓄電池集合体11の電力がインバータ21に供給されない時間が生じ、システムが一時停止してしまう可能性がある。
【0034】
そこで、図5に示すように、過度状態(突入電流)がある程度収束して電流が十分小さくなった後も、FET15への低電圧印加を停止せず、FET15のオン抵抗を高い状態に維持する。このとき、FET15のオン抵抗が高いため、第1経路16を流れる大部分の電流はFET15を介さずにメインリレー13を介して流れる。そして、メインリレー13が故障によりオフ動作となったとき、第1経路16と第2経路17との間の電圧Vが変動する。制御部18は、電圧センサ40にて測定された電圧Vが所定値以下であるか否かを判定し、当該電圧Vが所定値以下であるときに、FET15に対して、該FETの動作状態を切り替える信号を出力する。
【0035】
そして、制御部18はFET15に所定の高電圧を印加し、FET15のゲート電圧が高い状態、すなわちオン抵抗が低い状態に変更される。すなわち、図5の動作では、突入電流が終了した後もFET15のオン抵抗を高い状態に維持しておき、メインリレー13の故障が検知されたときにFET15のオン抵抗を低い状態に変更することで、メインリレー故障時にも動作遅れを生じることなく駆動モータ30に定常的に電力が供給される。
【0036】
なお、上述したように、メインリレー13の故障時においては電流を双方向に流すことはできないが、図5に示す補償動作は、主に通常走行から待避走行に切り換わる際に電動機に定常的に電力を供給できる点で有利である。
【0037】
図5の変形例によれば、メインリレー13及びメインリレー14の双方がオンされている状態において、FET15のオン抵抗が高くなるようにゲート電圧を所定の低電圧に維持し、第1経路16と第2経路17との間の電圧Vが所定値以下となったときに、FET15のオン抵抗が低くなるようにゲート電圧を所定の高電圧に制御するので、メインリレー13が故障した場合であっても時間遅れを生じることなく駆動モータ30に定常的に電力を供給することができる。
【0038】
尚、本変形例では、図3に示す動作が行われた後にメインリレー13が故障した場合の補償動作を説明したが、図4と同様に、パワースイッチがオンされる前にメインリレーが既に故障している場合にも、図5に示す補償動作を実行することが可能である。
【0039】
また、本実施形態は、本発明に係る車両用電源供給回路の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における車両用電源供給回路の細部構成に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 電力供給ユニット
10 蓄電池モジュール
11 蓄電池集合体
12 車両用電源供給回路
12a 配電部
13,14 メインリレー
15 FET
16 第1経路
17 第2経路
18 制御部
20 モータ制御ユニット
21 インバータ
22 コンデンサ
30 駆動用モータ
40 電圧センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池からの電力を電動機に供給するための車両用電源供給回路であって、
前記蓄電池と前記電動機とを接続する第1経路に設けられた第1メインリレーと、
前記蓄電池と前記電動機とを接続する第2経路に設けられた第2メインリレーと、
前記第1メインリレーに並列に接続された半導体スイッチと、
外部からの信号に応じて前記半導体スイッチのゲート電圧を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第2メインリレーがオンされている状態において、前記第1メインリレーがオンされる前後に、前記半導体スイッチのオン抵抗が高くなるように、ゲート電圧を所定の低電圧に制御することを特徴とする車両用電源供給回路。
【請求項2】
前記第1経路と前記第2経路との間の電圧を検知して、該電圧に応じた信号を前記制御部に出力する検知部を更に有し、
前記制御部は、
前記第1メインリレー及び前記第2メインリレーの双方がオンされている状態において、前記半導体スイッチのゲートへの電圧印加を停止し、
前記第1経路と前記第2経路との間の電圧が所定値以下となったときに、前記半導体スイッチのオン抵抗が低くなるように、ゲート電圧を所定の高電圧にすることを特徴とする請求項1記載の車両用電源供給回路。
【請求項3】
前記第1経路と前記第2経路との間の電圧を検知して、該電圧に応じた信号を前記制御部に出力する検知部を更に有し、
前記制御部は、
前記第1メインリレー及び前記第2メインリレーの双方がオンされている状態において、前記半導体スイッチのオン抵抗が高くなるように、ゲート電圧を所定の低電圧に維持し、
前記第1経路と前記第2経路との間の電圧が所定値以下となったときに、前記半導体スイッチのオン抵抗が低くなるように、ゲート電圧を所定の高電圧にすることを特徴とする請求項1記載の車両用電源供給回路。
【請求項4】
蓄電池と電動機とを接続する第1経路に設けられた第1メインリレーと、前記蓄電池と前記電動機とを接続する第2経路に設けられた第2メインリレーと、前記第1メインリレーに並列に接続された半導体スイッチとを有し、前記蓄電池からの電力を前記電動機に供給する車両用電源供給装置に適用される車両用電源供給方法であって、
前記第1メインリレー及び前記第2メインリレーの双方がオンされる前後に、前記半導体スイッチのオン抵抗が高くなるように、ゲート電圧を所定の低電圧に制御することを特徴とする車両用電源供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−210110(P2012−210110A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75006(P2011−75006)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】