説明

車両窓を設置するために有用な接着剤

本発明は、ガラスを車両および建築物へ接着させる際に有用な接着剤として有用な組成物に関する。もう一つの実施形態では、本発明は、2またはそれ以上の基材を一緒に接着させる方法であり、そのような基材には、ガラス、建築物および車両が含まれ得る。もう一つの実施形態では、本発明は、本発明の組成物を用いて車両の窓を取り替える方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスを車両および建築物へ接着させる際に有用な接着剤として有用な組成物に関する。もう一つの実施形態では、本発明は、2またはそれ以上の基材を一緒に接着させる方法であり、そのような基材には、ガラス、建築物および車両が含まれ得る。もう一つの実施形態では、本発明は、本発明の組成物を用いて車両の窓を取り替える方法である。
【0002】
発明の背景
接着剤組成物は、ガラス(窓)を建築物および車両に付着(接着)させるために用いられる。全て参照により本明細書に組み込まれる、Rizk、米国特許第4,780,520号;Bhat、米国特許第5,976,305号;Hsiehら、米国特許第6,015,475号およびZhou、米国特許第6,709,539号を参照のこと。自動車工場では、窓はロボット、および、様々な高性能接着剤、例えば非導電性接着剤および高弾性率接着剤の使用を容易にするコンピュータ制御処理を用いて設置される。新しい車両は窓の設置後数日間は相当な距離を運転されることがないので、硬化の速度は重要な問題ではない。逆に、車両の窓を取り替える必要がある場合、それは車両で作業するインストーラーによって、離れた場所で行われる場合が多い。この状況では、車両の所有者は窓が設置された後、できる限り早く車両を運転することを望むため、硬化速度が重要である。車両用の窓を取り替える際に有用な、速いドライブアウェイ時間を促進する接着剤は公知である。Bhat、米国特許第5,976,305号およびZhou、米国特許第6,709,539号を参照のこと。窓を設置するために用いられる様々な高性能接着剤組成物を自動車工場に導入することは、取替え窓のインストーラーに問題を提示する。第一に、様々な性能要件に全て適う接着剤は、市場で入手することができない。第二に、多くの高性能接着剤組成物を、迅速なドライブアウェイ時間を可能にし、垂れまたは糸曳き(string)をもたらさないように処方することは困難である。垂れは、接着剤ビーズの形状を損なうことであり、重力の結果である場合が多い。深刻な場合、この変形は、車両の中への窓の適切な設置および遮水を妨害する可能性がある。接着剤の糸曳き(Stringing)は、計量分配された接着剤のビーズの端部での、接着剤の長い糸曳き(string)の形成であり、接着剤の塗布を困難にし、設置される接着剤ビーズに欠陥をもたらし得る。従って、取り替え窓インストーラーは、インストーラーが接着剤を元の接着剤の特性に一致させることができるように、様々な接着剤を携えている必要がある場合が多い。
【0003】
ガラスを所定の位置に保持するためのさらなる固定を行わずに、接着剤が所定の位置でガラスを保持することを可能にする、優れた初期グリーン強度をもたらす接着剤が開発された。これは、結晶性ポリエステルを接着剤中に包含することによって達成される。これらの接着剤は、接着剤が溶融されて高温で塗布されることを必要とするホットメルト性を有する。参照により本明細書に組み込まれる、Proebster、米国特許第5,747,581号を参照のこと。これらの接着剤に関する問題は、それらの使用には熱および複雑な機器の使用を必要とすることである。提供される初期グリーン強度は、迅速なドライブアウェイ時間を得るには十分ではない。自動車窓取り替え市場ではホットメルト接着剤が急増しているので、多くのインストーラーが、接着剤を窓または窓のフランジに塗布するより前に接着剤を加熱することを主張する。多くの接着剤は、加熱されると垂れまたは糸曳きを示す。
【0004】
非導電性カーボンブラックおよびポリエステルポリオールを接着剤処方物に使用することを含む、非導電性接着剤を提供するためのいくつかのアプローチが公知である。本発明の譲受人に譲渡された特許である、米国特許第7,101,950号、標題「COMPOSITION USEFUL AS AN ADHESIVE FOR INSTALLING VEHICLE WINDOWS」を参照のこと。国際公開第02/053671号には、この目的を達成するために、低または非酸化カーボンブラックとポリカーボネート系ポリオールの使用が開示される。この技術に関する問題は、低導電性カーボンブラックおよびポリカーボネートポリオールが、導電性の標準等級のカーボンブラックよりも著しく高価であることである。本発明の譲受人に譲渡された特許出願である、Zhou、米国特許出願公開第2006/0096694A1号、標題「HIGH MODULUS, NONCONDUCTIVE ADHESIVE USEFUL FOR INSTALLING VEHICLE WINDOWS」には、ポリエステルポリオールおよび標準的なカーボンブラックを含有する、様々な高性能特性を達成する接着剤が開示される。非導電性特性は、カーボンブラックの量を注意深く制限することにより付与される。カーボンブラックの量は、接着剤の流動学的性質に、従って接着剤の垂れおよび糸曳き性に、影響を及ぼす。
【0005】
必要とされているのは、様々な高い性能特性(例えば高弾性率および非導電性)を示すように処方することができ、様々な条件下で塗布された場合に迅速かつ安全なドライブアウェイ時間、すなわち速い強度発現を示し、接着剤を加熱する必要なく塗布することができ、広範囲の環境条件下で塗布することができ、高価な成分を必要とせず、塗布時に垂れまたは糸曳きのない、ガラスを構造物に接着させるための接着剤として有用な組成物である。
【0006】
発明の概要
一実施形態では、本発明は、a)1またはそれ以上のイソシアネート官能性ポリエーテル系プレポリマー;b)1またはそれ以上の低極性可塑剤;c)1またはそれ以上の高極性可塑剤;d)1またはそれ以上のカーボンブラック組成物;およびe)イソシアネート部分とヒドロキシル基との反応のための1またはそれ以上の触媒を含む組成物である。好ましい一実施形態では、1またはそれ以上のイソシアネート官能性ポリエーテル系プレポリマーは、その中に分散した1またはそれ以上の有機系ポリマーを含有する。好ましい実施形態では、1またはそれ以上の導電性カーボンブラック組成物は、その組成物が約15またはそれ未満の誘電率を有するような量で存在する。
【0007】
もう一つの実施形態では、本発明は、2またはそれ以上の基材を、基材同士が接触している範囲の少なくとも一部分に沿って配置される本発明に記載の組成物と一緒に接触させることを含む、2またはそれ以上の基材を一緒に接着させる方法である。
【0008】
なおさらなる実施形態では、本発明は、i)窓を車両から取り外すこと;ii)本発明に記載の組成物を、取替え窓、または、窓を車両に保持するように適合された車両のフランジに塗布すること;iii)車両のフランジおよび取替え窓を、取替え窓と車両のフランジの間に配置された組成物に接触させること;ならびにiv)接着剤を硬化させることを含む、車両の窓を取り替える方法である。
【0009】
本発明の組成物は、複数の基材を一緒に接着させるための接着剤として有用である。様々な基材、例えば、プラスチック、ガラス、木、セラミック、金属、塗装された基材、例えば、耐摩耗性コーティングがその上に配置されたプラスチックなどを、組成物を用いて一緒に接着させることができる。本発明の組成物は、類似する基材および異なる基材を一緒に接着するために使用することができる。本組成物は、ガラスまたは耐摩耗性コーティングがその上に配置されたプラスチックを、その他の基材、例えば車両および建築物へ接着させるために特に有用である。本発明の組成物はまた、モジュール部品、例えば車両のモジュール部品の部分(parts)を一緒に接着させる際においても有用である。ガラスまたは耐摩耗性コーティングがその上に配置されたプラスチックは、車両の被覆された部分および被覆されていない部分と接着することができる。有利には、接着剤はポンプ輸送可能であり(pumpable)、垂れ下がり抵抗性(sag resistant)および耐糸曳き性(string resistant)であり、かつ機能性であり、約20℃〜約80℃の間の温度で部分(parts)を一緒に接着させる。組成物の示す未硬化のサンプルの垂れは、約2mm未満であることが好ましい。これにより、本発明の組成物から調製された接着剤を広範囲の周囲温度で塗布することが可能になる。加熱塗布の機械は、接着剤の塗布に必要ではない。さらに、接着剤は、約0°F(−18℃)〜約115°F(46℃)の温度で接着剤を塗布した後、好ましくは1時間、より好ましくは30分の、迅速なドライブアウェイ時間を促進する迅速な強度発現を示す。特に、そのような条件下で設置したフロントガラスは、米国連邦自動車安全基準(FMVSS)212に適合する。一部の好ましい実施形態では、本発明の組成物は非導電性であり、約15またはそれ未満の誘電率を示す。本発明の組成物は、塗布の2週間後に、好ましくは、約2MPaまたはそれ以上、より好ましくは約2.2MPaまたはそれ以上、好ましくは約3MPaまたはそれ未満の、ASTM D4065に従って25℃にて測定される弾性率を示す。本発明の組成物は、約5.3×105Paまたはそれ以上、好ましくは約0.53MPaまたはそれ以上、最も好ましくは約1.0MPaまたはそれ以上の、貯蔵弾性率、G’を示す。組成物のポンプ圧送性は、以下に記載されるプレスフロー(press flow)粘度試験に従って測定することができる。この試験によれば、組成物は約20〜約50秒、最も好ましくは20〜約40秒のプレスフロー粘度を示す。
【0010】
発明の詳細な説明
本明細書において用いられる1またはそれ以上とは、少なくとも1つ、または1より多くの列挙される成分を、開示される通りに使用できることを意味する。官能価に関して用いられる公称は理論的官能価を意味し、一般にこれは使用する成分の化学量論から計算することができる。一般に、原料の不完全さ、反応体の不完全な転化および副生成物の形成に起因して、実際の官能価は異なる。
【0011】
1またはそれ以上のイソシアネート官能性ポリエーテル系プレポリマーは、組成物に接着性を与えるために十分な量で存在する。そのようなプレポリマーは、硬化時に架橋ポリウレタンの調製を可能にするために十分であるがポリマーが不安定になるほどは高くない平均イソシアネート官能価を有する。この文脈において、安定性とは、プレポリマーまたはプレポリマーから調製される接着剤が、その塗布または使用を妨げるような粘度の増加をそのような期間に示さないという点で、周囲温度にて少なくとも6ヶ月間の保管寿命を有することを意味する。好ましくは、プレポリマーまたはそれから調製される接着剤は、示された期間中約50%を超える粘度の増加を受けない。好ましくは、プレポリマーは、プレポリマーから調製された接着剤の60分後の許容される強度およびプレポリマーの安定性を促進する遊離イソシアネート含量を有する。好ましくは、遊離イソシアネート含量は、プレポリマーの重量に基づいて約0.8重量%またはそれ以上、より好ましくは約0.9重量%またはそれ以上、かつ、好ましくは約2.2重量%またはそれ未満、より好ましくは約2.0またはそれ未満、さらにより好ましくは約1.4重量%またはそれ未満、さらにより好ましくは約1.1重量%またはそれ未満、最も好ましくは約1.0重量%またはそれ未満である。約2.2重量%を超えると、プレポリマーから調製した接着剤は、60分後に意図する使用には低すぎる重ね剪断強度(lap shear strengths)を示し得る。約0.8重量%より低いと、プレポリマー粘度が取り扱うには高すぎず、貼合せ時間(the working time)が短すぎる。
【0012】
プレポリマーは、良好なグリーン強度を有するポンプ輸送可能な接着剤の処方を促進する粘度を示すことが好ましい。好ましくは、プレポリマーの粘度は、約100,000センチポイズ(100Pa s)またはそれ未満、より好ましくは約70,000センチポイズ(70Pa s))またはそれ未満、最も好ましくは約45,000センチポイズ(45Pa s)またはそれ未満であって、約30,000センチポイズ(30Pa s)またはそれ以上である。本明細書において用いられる粘度は、5番スピンドルを用いて決定されるブルックフィールド粘度である。接着剤の粘度は、充填剤で調節することができるが、充填剤は一般に最終の接着剤のグリーン強度を向上させない。約30,000センチポイズ(30Pa s)より低いと、プレポリマーから調製した接着剤は不良なグリーン強度を示し得る。約100,000(100Pa s)より高いと、プレポリマーは不安定で計量分配することが困難となり得る。
【0013】
プレポリマーを調製する際の使用に好ましいポリイソシアネートとしては、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,922,809号の第3欄32行〜第4欄24行に開示されるものが挙げられる。好ましくは、ポリイソシアネートは、芳香族もしくは脂環式ポリイソシアネート、例えばジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートであり、最も好ましくはジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートである。ジオール類およびトリオール類は、一般的にポリオールと称される。本発明において有用なポリオール類は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,922,809号の第4欄60行〜第5欄50行に記載されるポリオール類に相当するジオール類およびトリオール類である。好ましくは、ポリオール類(ジオー類およびトリオール類)は、ポリエーテルポリオール類であり、より好ましくはポリオキシアルキレンオキシドポリオール類である。最も好ましいトリオール類は、グリセリンをプロピレンオキシドと反応させ、それに続いてその生成物をエチレンオキシドと反応させることにより調製される、エチレンオキシドでキャップされたポリオール類である。好ましくは、ポリエーテルは、プレポリマーの極性が低下するように選択される。プレポリマーの極性を決定する際に重要な因子は、プレポリマーを調製するために用いられるポリエーテル中のエチレンオキシド単位の量である。好ましくは、プレポリマー中のエチレンオキシド含量は、約3重量%またはそれ未満、より好ましくは約1.2重量%またはそれ未満、最も好ましくは約0.8重量%またはそれ未満である。本明細書において極性とは、プレポリマー骨格中の極性基の存在の影響をさす。
【0014】
好ましい一実施形態では、プレポリマーは、その中に分散した1またはそれ以上の有機系ポリマーを含有する。好ましくは、有機系ポリマーは、有機系ポリマーの粒子がその中に分散した分散トリオールを包含することによりプレポリマー中に含められる。好ましい分散トリオールは、参照により本明細書に組み込まれる、Zhou、米国特許第6,709,539号の第4欄13行〜第6欄18行に開示される。好ましくは、有機粒子を分散させるために用いるトリオールは、ポリエーテルトリオール、より好ましくはポリオキシアルキレン系トリオールである。好ましくは、そのようなポリオキシアルキレンオキシドトリオールは、ポリオキシプロピレン鎖をポリオキシエチレンエンドキャップとともに含む。好ましくは、使用するトリオールの分子量は、約4,000またはそれ以上、より好ましくは約5,000またはそれ以上、最も好ましくは約6,000またはそれ以上である。好ましくは、そのようなトリオールの分子量は、約8,000またはそれ未満、より好ましくは約7,000またはそれ未満である。
【0015】
好ましくは、分散トリオール中に分散した粒子は、トリオール中に分散した熱可塑性ポリマー、ゴム変性熱可塑性ポリマーまたはポリ尿素を含む。ポリ尿素は、ポリアミンとポリイソシアネートの反応生成物を含むことが好ましい。好ましい熱可塑性ポリマーは、モノビニリデン芳香族モノマー、およびモノビニリデン芳香族モノマーと共役ジエン、アクリレート類、メタクリレート類、不飽和ニトリル類またはそれらの混合物との共重合体に基づくものである。共重合体はブロック共重合体またはランダム共重合体であってもよい。より好ましくは、トリオール中に分散した粒子は、不飽和ニトリル類、共役ジエンおよびモノビニリデン芳香族モノマーの共重合体、不飽和ニトリルとモノビニリデン芳香族モノマーまたはポリ尿素の共重合体を含む。さらにより好ましくは、粒子は、ポリ尿素またはポリスチレン−アクリロニトリル共重合体を含み、ポリスチレン−アクリロニトリル共重合体が最も好ましい。トリオール中に分散した有機ポリマー粒子は、最終的に硬化した接着剤の耐衝撃性およびゴム状弾性を改善するために十分に大きいが、硬化後、接着剤の極限強さを低下させるほど大きくない粒径を有することが好ましい。粒子は、トリオール中に分散していてもよいし、一部のトリオールの骨格にグラフトされてもよい。好ましくは、粒径は、約10ミクロンまたはそれ以上であり、より好ましくは、粒径は約20ミクロンまたはそれ以上である。好ましくは、粒径は約50ミクロンまたはそれ未満であり、より好ましくは、粒径は約40ミクロンまたはそれ未満である。トリオール分散体は、硬化時に接着剤が所望の使用に十分な硬度を有し、硬化した接着剤の伸びにより規定される弾性が過剰でない程度に、十分な量の有機ポリマー粒子を含有する。好ましくは、分散体は、分散体に基づいて約20重量%またはそれ以上の有機ポリマー粒子共重合体、好ましくは約30重量%またはそれ以上、より好ましくは約35重量%またはそれ以上の有機ポリマー粒子共重合体を含有する。好ましくは、分散体は、分散体に基づいて約60重量%またはそれ未満の有機ポリマー粒子、好ましくは約50重量%またはそれ未満、より好ましくは約45重量%またはそれ未満の有機ポリマー粒子を含有する。
【0016】
ポリオールは、プレポリマーの所望の遊離イソシアネート含量に一致する十分なイソシアネート基を残して、イソシアネート類のイソシアネート基の大部分と反応するために十分な量で存在する。好ましくは、ポリオールは、プレポリマーに基づいて約30重量%またはそれ以上、より好ましくは約40重量%またはそれ以上、最も好ましくは約55重量%またはそれ以上の量で存在する。好ましくは、ポリオールは、プレポリマーに基づいて約75重量%またはそれ未満、より好ましくは約65重量%またはそれ未満、最も好ましくは約60重量%またはそれ未満の量で存在する。
【0017】
トリオールおよび分散トリオールに対するジオールの重量比は、所望の硬化速度および接着剤強度を達成するために重要である。重量比が低すぎると、処方物は粘稠すぎて取り扱いができず、得られる接着剤の弾性は衝突条件下で自動車窓枠にガラスを保持するためには不十分である。重量比が高すぎると、接着剤は適切なグリーン強度を有さない。トリオールおよび分散トリオールに対するジオールの重量比は、好ましくは約0.8またはそれ以上、より好ましくは約0.85またはそれ以上、最も好ましくは約0.9またはそれ以上である。トリオールおよび分散トリオールに対するジオールの重量比は、好ましくは約1.2またはそれ未満;より好ましくは約1.0またはそれ未満、最も好ましくは約0.95またはそれ未満である。ポリオールがジオールおよびトリオールの混合物を含む実施形態では、存在するジオールの量は、プレポリマーに基づいて好ましくは約15重量%またはそれ以上、より好ましくは約25重量%またはそれ以上、最も好ましくは約28重量%またはそれ以上であり;かつ、プレポリマーに基づいて約40重量%またはそれ未満、より好ましくは約35重量%またはそれ未満、最も好ましくは約30重量%またはそれ未満である。ポリオールがジオールおよびトリオールの混合物を含む実施形態では、存在するトリオールの量(非分散トリオールおよび分散トリオール)は、プレポリマーに基づいて好ましくは約15重量%またはそれ以上、より好ましくは約25重量%またはそれ以上、最も好ましくは約28重量%またはそれ以上であり;かつ、プレポリマーに基づいて好ましくは約45重量%またはそれ未満、より好ましくは約35重量%またはそれ未満、最も好ましくは約32重量%またはそれ未満である。
【0018】
トリオール中の有機ポリマー粒子の分散体は、プレポリマーの約10重量%またはそれ以上、より好ましくは約12重量%またはそれ以上、かつ、プレポリマーの約18重量%またはそれ未満、より好ましくは約15重量%またはそれ未満の量で、プレポリマー中に存在してもよい。
【0019】
本発明において有用なポリウレタンプレポリマーは、可塑剤をさらに含んでもよい。プレポリマーにおいて有用な可塑剤は、ポリウレタン接着剤用途において有用な、当業者に周知の一般的な可塑剤であり、それらは本明細書の以下において低極性可塑剤と称される。この可塑剤は、プレポリマーを最終の接着剤組成物中に分散させるために十分な量で存在する。可塑剤は、プレポリマーの調製中に、または接着剤組成物の配合中のいずれかに接着剤に加えることができる。好ましくは、可塑剤は、プレポリマー処方物(プレポリマーに可塑剤を加えたもの)の約1重量%またはそれ以上、より好ましくは約20重量%またはそれ以上、最も好ましくは約30重量%またはそれ以上で存在する。好ましくは、可塑剤は、プレポリマー処方物の約45重量%またはそれ未満、より好ましくは約35重量%またはそれ未満で存在する。
【0020】
処方された接着剤の流動性(rheology)を改善させるためには、イソシアネート官能性ポリエーテル系プレポリマーの極性を調節することが望ましい。これは、本明細書に上記のように、プレポリマー中のエチレンオキシド単位の量を調節することによって達成される。極性はまた、ポリマー中の尿素、ウレタンまたは関連する単位の密度を調節することにより調節してもよい。量が多すぎると、ポリマーは極性が強すぎて適切な流動性を有する接着剤を処方することは困難となる。好ましくは、ポリマー中の尿素、ウレタンまたは関連する単位の量は、約8.5重量%またはそれ未満、より好ましくは約7重量%またはそれ未満、最も好ましくは約4.5重量%またはそれ未満である。関連する単位とは、本明細書において、少なくとも1つのカルボニル基と少なくとも1つの窒素もしくは酸素原子を含有する、プレポリマーの骨格に位置する、その他の官能基、例えば、ビウレットおよびウレトジオン部分を指す。
【0021】
プレポリマーは、任意の適した方法により、例えば、上述の判定基準を満たすイソシアネート官能価および遊離イソシアネート含量を有するプレポリマーを形成するために十分な反応条件下で、ポリオール、例えばジオール、トリオールおよび所望により分散トリオール(共重合体ポリオールまたはグラフトされたトリオールなど)などを、化学量論を超過する1またはそれ以上のポリイソシアネートと反応させることにより、調製することができる。プレポリマーを調製するために用いられる好ましい方法では、ポリイソシアネートを1またはそれ以上のジオール、1またはそれ以上のトリオールおよび、所望により1またはそれ以上の分散トリオールと反応させる。プレポリマーの調製に好ましいプロセスは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,922,809号の第9欄4行〜51行に開示される。ポリウレタンプレポリマーは、得られる接着剤が硬化する時に基材が一緒に接着されるような十分な量で接着剤組成物中に存在する。好ましくは、ポリウレタンプレポリマーは、接着剤組成物の約20重量部またはそれ以上、より好ましくは約30重量部またはそれ以上、最も好ましくは約35重量部またはそれ以上の量で存在する。好ましくは、ポリウレタンプレポリマーは、接着剤組成物の約60重量部またはそれ未満、より好ましくは約50重量部またはそれ未満、さらにより好ましくは約45重量部またはそれ未満の量で存在する。
【0022】
組成物は、周囲温度、約23℃にて固体である1またはそれ以上のポリエステル系ポリオールを含有する1またはそれ以上のイソシアネート官能性プレポリマーをさらに含んでもよい。ポリエステル系ポリオールは、周囲温度での重力によって基材が相互に動くのを防ぐために十分なグリーン強度をプレポリマーがもたらすような融点を有する。車両または建築物に窓を設置することに関して、ポリエステル系プレポリマーは窓が設置後に滑り落ちることを防ぐ。好ましくは、ポリエステルポリオール類は、約40℃またはそれ以上、さらにより好ましくは約45℃またはそれ以上、最も好ましくは約50℃またはそれ以上の融点を有する。好ましくは、ポリエステルポリオール類は、約85℃またはそれ未満、さらにより好ましくは約70℃またはそれ未満、最も好ましくは約60℃またはそれ未満の融点を示す。ポリエステル系イソシアネートプレポリマーは、1またはそれ以上のポリエステルポリオール類を用いて調製することができる。プレポリマー中のポリエステルポリオールの量は、本発明の組成物に必要とされるグリーン強度をもたらし、それを周囲温度で固体とするために十分な量である。好ましくは、ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオール系イソシアネートプレポリマー中に、プレポリマーの重量に基づいて、約70重量%またはそれ以上、より好ましくは約80重量%またはそれ以上の量で存在する。好ましくは、ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオール系イソシアネートプレポリマー中に、プレポリマーの重量に基づいて、約95重量%またはそれ未満、より好ましくは約90重量%またはそれ未満の量で存在する。好ましくは、ポリエステルポリオール系イソシアネートプレポリマーは、接着剤組成物中に、必要とされるグリーン強度および組成物の所望の流動性を与えるために十分な量で存在する。好ましくは、ポリエステルポリオール系イソシアネートプレポリマーは、接着剤組成物中に、接着剤組成物の重量に基づいて、約0重量部またはそれ以上、より好ましくは約1重量部またはそれ以上、最も好ましくは約2重量部またはそれ以上の量で存在する。好ましくは、ポリエステルポリオール系イソシアネートプレポリマーは、接着剤組成物中に、約10重量部またはそれ未満、さらにより好ましくは約5重量部またはそれ未満、最も好ましくは約2.5重量部またはそれ未満の量で存在する。ポリエステルポリオールは、周囲温度で結晶性であり、所望の温度範囲で溶融するという、規定される特性要件に適ういずれのポリエステル組成物であってもよい。好ましいポリエステルポリオール類は、直鎖二酸および直鎖ジオールから調製される。より好ましい二酸はアジピン酸である。より好ましいジオール類は、C2-6ジオール類であり、ブタンジオール、ペンタンジオールおよびヘキサンジオールが最も好ましい。ポリエステル系ポリイソシアネートプレポリマーは、本明細書において既に記載されるプロセスおよびイソシアネートを用いて調製することができる。好ましいポリエステルポリオールは、Dynacolの商標名で7360および7330の名称がCreanovaより市販されており、7360がより好ましい。
【0023】
本発明の組成物は、硬化した形態の組成物の弾性率を改善する目的で多官能性イソシアネートをさらに含んでもよい。イソシアネートとの関連で用いられる多官能性とは、3またはそれ以上の官能価を有するイソシアネートを指す。ポリイソシアネートは、約3またはそれ以上の公称官能価を有する任意のモノマー、オリゴマーもしくはポリマーイソシアネートであってもよい。より好ましくは、多官能性イソシアネートは約3.2またはそれ以上の公称官能価を有する。好ましくは、多官能性イソシアネートは約5またはそれ未満、さらにより好ましくは約4.5またはそれ未満、最も好ましくは約4.2またはそれ未満の公称官能価を有する。多官能性イソシアネートは、組成物中で用いられるイソシアネートポリイソシアネートプレポリマーと反応性であり、硬化した組成物の弾性率を改善するいずれのイソシアネートであってもよい。ポリイソシアネート類は、モノマー;三量体イソシアヌレートまたはモノマーイソシアネートのビウレット;オリゴマーまたはポリマー、1またはそれ以上のモノマーイソシアネートの数単位の反応生成物であってもよい。好ましい多官能性イソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、例えばBayerよりDesmodur(登録商標)N3300の商標および名称で入手可能なもの、およびポリマーイソシアネート、例えばポリマーMDI(メチレンジフェニルジイソシアネート)、例えばThe Dow Chemical CompanyによりPAPI(商標)の商標名で市販されているものなど(PAPI(商標)20ポリマーイソシアネートを含む)が挙げられる。多官能性イソシアネートは、本発明の硬化した組成物の弾性率に影響を及ぼすために十分な量で存在する。使用量が多すぎると、組成物の硬化速度は許容されないほど減速する。使用量が少なすぎると、所望の弾性率レベルを達成できない。多官能性イソシアネートは、接着剤組成物の重量に基づいて、約0.5重量部またはそれ以上、より好ましくは約1.0重量部またはそれ以上、最も好ましくは約1.4重量部またはそれ以上の量で存在することが好ましい。多官能性イソシアネートは、接着剤組成物の重量に基づいて、約8重量部またはそれ未満、より好ましくは約5重量部またはそれ未満、最も好ましくは約2重量部またはそれ未満の量で存在することが好ましい。
【0024】
本発明の組成物はまた、組成物に所望の黒色、粘度および垂れ下がり抵抗性を与えるためにカーボンブラックを含む。1またはそれ以上のカーボンブラック組成物を接着剤組成物に用いてもよい。本発明で用いられるカーボンブラックは、特別に処理して非導電性にされていない標準的なカーボンブラックであってもよい。標準的なカーボンブラックは、特別に表面処理または酸化されていないカーボンブラックである。あるいは、1またはそれ以上の非導電性カーボンブラックを独占的に用いるか、または標準的なカーボンブラックと併せて用いてもよい。組成物中のカーボンブラックの量は、所望の色、粘度、垂れ下がり抵抗性をもたらす量であり、非導電性が重要である場合には組成物が本明細書において規定されるレベルまで非導電性である量である。標準的なカーボンブラックは、組成物の重量に基づいて、好ましくは約10重量部またはそれ以上、より好ましくは約12重量部またはそれ以上、最も好ましくは約14重量部またはそれ以上の量で用いられる。標準的なカーボンブラックは、組成物の重量に基づいて、好ましくは約20重量部またはそれ未満、より好ましくは約18重量部またはそれ未満、最も好ましくは約16重量部またはそれ未満の量で存在する。導電性もしくは標準的な非導電性カーボンブラックを含む、存在するカーボンブラックの総量は、組成物の重量に基づいて好ましくは約35重量部またはそれ未満、より好ましくは約30重量部またはそれ未満、最も好ましくは約20重量部またはそれ未満である。標準的なカーボンブラックは、当分野で周知であり、Colombianより入手可能なRAVEN(商標)790、RAVEN(商標)450、RAVEN(商標)500、RAVEN(商標)430、RAVEN(商標)420およびRAVEN(商標)410カーボンブラックならびにCabotより入手可能なCSX(商標)カーボンブラック、ならびにDegussaより入手可能なPRINTEX(商標)30カーボンブラックが挙げられる。非導電性カーボンブラックは、当分野で周知であり、Colombianより入手可能なRAVEN(商標)1040およびRAVEN(商標)1060カーボンブラックが挙げられる。
【0025】
接着剤はまた、イソシアネート部分と水または活性水素含有化合物との反応を触媒する触媒を含む。そのような化合物は、当分野で周知である。触媒は、イソシアネート部分と水または活性水素含有化合物との反応のための、当業者に公知のいずれの触媒であってもよい。好ましい触媒の中には、有機錫化合物、金属アルカノアート、および第三級アミン類がある。触媒のクラスの混合物を用いてもよい。第三級アミンと金属塩の混合物が好ましい。さらにより好ましいものは、第三級アミン類、例えばジモルホリノジエチルエーテル、および金属アルカノアート、例えばビスマスオクトエートである。有用な触媒としては、有機錫化合物、例えばアルキル錫オキシド、アルカン酸第一錫、ジアルキル錫カルボン酸塩および錫メルカプチドが挙げられる。アルカン酸第一錫としては、第一錫オクトエートが挙げられる。アルキル錫オキシドとしては、ジアルキル錫オキシド、例えばジブチル錫オキシドおよびその誘導体が挙げられる。有機錫触媒は、好ましくはジアルキル錫ジカルボキシレートまたはジアルキル錫ジメルカプチドである。総炭素原子数の少ないジアルキル錫ジカルボキシレートは、それらが本発明の組成物中でより活性の高い触媒であるために好ましい。好ましいジアルキルジカルボキシレートとしては、1,1−ジメチル錫ジラウレート、1,1−ジブチル錫ジアセテートおよび1,1−ジメチルジマレアートが挙げられる。好ましい金属アルカノアートとしては、ビスマスオクトエートまたはビスマスネオデカノエートが挙げられる。有機錫もしくは金属アルカノアート触媒は、接着剤の重量に基づいて約60ppmまたはそれ以上、より好ましくは120ppmまたはそれ以上の量で存在する。有機錫触媒は、接着剤の重量に基づいて約1.0%またはそれ未満、より好ましくは0.5重量%またはそれ未満、最も好ましくは0.1重量%またはそれ未満の量で存在する。
【0026】
有用な第三級アミン触媒としては、ジモルホリノジアルキルエーテル、ジ((ジアルキルモルホリノ)アルキル)エーテル、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルピペラジン4−メトキシエチルモルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンおよびそれらの混合物が挙げられる。好ましいジモルホリノジアルキルエーテルは、ジモルホリノジエチルエーテルである。好ましいジ((ジアルキルモルホリノ)アルキル)エーテルは、(ジ−(2−(3,5−ジメチルモルホリノ)エチル)エーテル)である。第三級アミン類は、接着剤の重量に基づいて約0.01重量部またはそれ以上、より好ましくは約0.05重量部またはそれ以上、さらにより好ましくは約0.1重量部またはそれ以上、最も好ましくは約0.2重量部またはそれ以上、かつ、約2.0重量部またはそれ未満、より好ましくは約1.75重量部またはそれ未満、さらにより好ましくは約1.0重量部またはそれ未満、最も好ましくは約0.4重量部またはそれ未満の量で用いられることが好ましい。
【0027】
本発明の組成物は、流動学的性質を所望の稠度に修正するための可塑剤をさらに含む。そのような材料は、水を含まず、イソシアネート基に対して不活性であり、ポリマーに相溶性であるべきである。本発明の組成物は2種類の可塑剤を含む。一つは高極性の可塑剤であり、もう一つは低極性可塑剤である。高極性可塑剤は、芳香族ジエステル類、例えばフタル酸エステルなどの極性よりも高い極性をもつ可塑剤である。低極性可塑剤は、芳香族ジエステル類と同じまたはそれより低い極性を有する可塑剤である。好ましい高極性可塑剤としては、1またはそれ以上のスルホン酸のアルキルエステル類、アルキルアルキルエーテルジエステル、ポリエステル樹脂、ホルマール(formals)、ポリグリコールジエステル、ポリマーポリエステル、トリカルボン酸エステル、ジアルキルエーテルジエステル、ジアルキルエーテル芳香族エステル、芳香族リン酸エステルおよび芳香族スルホンアミド類が挙げられる。より好ましい高極性可塑剤としては、芳香族スルホンアミド類、芳香族リン酸エステル、ジアルキルエーテル芳香族エステルおよびスルホン酸のアルキルエステル類が挙げられる。最も好ましい高極性可塑剤としては、スルホン酸のアルキルエステル類およびトルエン−スルファミドが挙げられる。スルホン酸のアルキルエステル類としては、MESAMOLLの商標でLanxessより入手可能なアルキルスルホン酸フェニルエステルが挙げられる。芳香族リン酸エステルとしては、PHOSFLEX 31 L イソプロピル化トリフェニルリン酸エステル、DISFLAMOLL DPO ジフェニル−2−エチルヘキシルホスフェート、およびDISFLAMOLL TKP リン酸トリクレジルが挙げられる。ジアルキルエーテル芳香族エステルとしては、BENZOFLEX 2−45 ジエチレングリコールジベンゾエートが挙げられる。芳香族スルホンアミドとしては、KETJENFLEX 8 oおよびp、N−エチルトルエンスルホンアミドが挙げられる。好ましい低極性可塑剤は、当分野で周知であり、それには、1またはそれ以上の芳香族ジエステル類、芳香族トリエステル、脂肪族ジエステル、エポキシ化エステル、エポキシ化油、塩素化炭化水素、芳香油、アルキルエーテルモノエステル、ナフテン油、アルキルモノエステル、グリセリド油、パラフィン系油(parraffinic oils)およびシリコーン油が挙げられる。好ましい低極性可塑剤としては、アルキルフタラート、例えばジイソノニルフタラート、ジオクチルフタラートおよびジブチルフタラート、「HB−40」として市販されている部分水素化テルペン、エポキシ可塑剤、クロロパラフィン、アジピン酸エステル、ヒマシ油、トルエンおよびアルキルナフタレンが挙げられる。最も好ましい低極性可塑剤は、アルキルフタラートである。接着剤組成物中の低極性可塑剤の量は、所望の流動学的性質を与え、触媒を系の中に分散させるために十分な量である。本明細書に開示される量には、プレポリマーの調製中、および接着剤の配合中に添加された量が含まれる。好ましくは、低極性可塑剤は、接着剤組成物中に、接着剤組成物の重量に基づいて約5重量部またはそれ以上、より好ましくは約10重量部またはそれ以上、最も好ましくは約18重量部またはそれ以上の量で用いられる。低極性可塑剤は、好ましくは接着剤組成物の総量に基づいて約40重量部またはそれ未満、より好ましくは約30重量部またはそれ未満、最も好ましくは約25重量部またはそれ未満の量で用いられる。接着剤組成物中の高極性可塑剤の量は、所望の流動学的性質および許容される垂れおよび糸曳き性を与える量である。好ましくは、高極性可塑剤は、接着剤組成物中に、接着剤組成物の重量に基づいて約0.2重量部またはそれ以上、より好ましくは約0.5重量部またはそれ以上、最も好ましくは約1重量部またはそれ以上の量で用いられる。高極性可塑剤は、好ましくは接着剤組成物の総量に基づいて約20重量部またはそれ未満、より好ましくは約12重量部またはそれ未満、最も好ましくは約8重量部またはそれ未満の量で用いられる。
【0028】
本発明の接着剤は、接着剤組成物で使用するために従来技術で公知の充填剤および添加剤とともに処方されてもよい。そのような材料の添加により物理的特性、例えば粘度流速などを変更することができる。しかし、ポリウレタンプレポリマーの感湿性基の早期加水分解を防ぐため、充填剤は混合前に十分に乾燥しているべきである。
【0029】
本発明の接着剤の任意選択成分としては、補強充填剤が挙げられる。そのような充填剤は当業者に周知であり、それには、カーボンブラック、二酸化チタン、炭酸カルシウム、表面処理シリカ、酸化チタン、ヒュームドシリカ、タルクなどが挙げられる。好ましい補強充填剤は、本明細書において既に記載されるカーボンブラックを含む。一実施形態では、2つ以上の強化充填剤を使用してもよく、その中の1種類がカーボンブラックである。補強充填剤は、接着剤強度を増大させ、接着剤にチキソトロープ性をもたらすために十分な量で使用される。
【0030】
接着剤組成物中の任意選択材料にはクレーがある。本発明において有用な好ましいクレーとしては、カオリン、表面処理カオリン、焼成カオリン、ケイ酸アルミニウムおよび表面処理無水ケイ酸アルミニウムが挙げられる。クレーは、ポンプ輸送可能な接着剤の処方を促進するどのような形態で使用してもよい。好ましくは、クレーは、微粉砕粉末、噴霧乾燥したビーズまたは微粉砕粒子の形態である。クレーは、接着剤組成物の約10重量部またはそれ以上、より好ましくは約12重量部またはそれ以上、さらにより好ましくは約18重量部またはそれ以上の量で使用されてもよい。好ましくは、クレーは、接着剤組成物の約30重量部またはそれ未満、より好ましくは約28重量部またはそれ未満、最も好ましくは約24重量部またはそれ未満の量で使用される。
【0031】
本発明の組成物は、接着剤組成物を湿気から保護する働きをし、それにより接着剤処方物中のイソシアネートの架橋の進行を阻害し早期の架橋を防止する安定剤をさらに含んでもよい。当業者に公知の湿度硬化型接着剤のための安定剤は、本明細書において好ましく使用することができる。そのような安定剤には、ジエチルマロネート、アルキルフェノールアルキレート、パラトルエンスルホン酸イソシアネート、ベンゾイルクロライドおよびオルトアルキルホルメートが含まれる。そのような安定剤は、好ましくは、接着剤組成物の総重量に基づいて、約0.1重量部またはそれ以上、好ましくは約0.5重量部またはそれ以上、より好ましくは約0.8重量部またはそれ以上の量で用いられる。そのような安定剤は、接着剤組成物の重量に基づいて、約5.0重量部またはそれ未満、より好ましくは約2.0重量部またはそれ未満、最も好ましくは約1.4重量部またはそれ未満の量で用いられる。
【0032】
本発明の組成物は、接着促進剤、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Mahdi、米国特許出願公開第2002/0100550号の0055〜0065段落およびHsieh、米国特許第6,015,475号の第5欄27行〜第6欄41行に開示されるものをさらに含んでもよい。そのような接着促進剤の有用な量は、これらの参照文献に開示され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
組成物は、大気水分を組成物中に吸い込む働きをする親水性材料をさらに含んでもよい。この材料は、大気水分を組成物に吸い込むことにより処方物の硬化速度を高める。好ましくは、親水性材料は液体である。好ましい吸湿性材料には、ピロリジノン、例えばM−Pyrolの商標で入手可能な1メチル−2−ピロリジノンがある。親水性材料は、好ましくは約0.1重量部またはそれ以上、より好ましくは約0.3重量部またはそれ以上、かつ、好ましくは約1.0重量部またはそれ未満、最も好ましくは約0.6重量部またはそれ未満の量で存在する。所望により、接着剤組成物は、チキソトロープをさらに含んでもよい。そのようなチキソトロープは、当業者に周知であり、それには、アルミナ、石灰石、タルク、酸化亜鉛、酸化硫黄、炭酸カルシウム、パーライト、天然スレート粉(slate flour)、塩(NaCl)、シクロデキストリンなどが挙げられる。チキソトロープは、所望の流動学的性質を得るために十分な量で組成物の接着剤に添加されてもよい。好ましくは、チキソトロープは、接着剤組成物の重量に基づいて、約0重量部またはそれ以上、好ましくは約1重量部またはそれ以上の量で存在する。好ましくは、任意選択のチキソトロープは、接着剤組成物の重量に基づいて、約10重量部またはそれ未満、より好ましくは約2重量部またはそれ未満の量で存在する。
【0034】
接着剤組成物に慣用されるその他の成分を本発明の組成物で使用することができる。そのような材料は当業者に周知であり、紫外線安定剤および抗酸化剤などが挙げられ得る。
【0035】
本明細書において、接着剤組成物の成分に関する全ての重量部は、接着剤組成物の100総重量部に基づいている。
【0036】
本発明の接着剤組成物は、当分野で周知の手段を用いて成分を一緒にブレンドすることにより処方されてもよい。一般に、成分は適したミキサーでブレンドされる。そのようなブレンディングは、好ましくは、早期の反応を防ぐために酸素および大気水分の不在下、不活性雰囲気中で行われる。ポリエステル系イソシアネート官能性プレポリマーが使用される実施形態では、接着剤組成物は、ポリエステル系イソシアネート官能性プレポリマーの融点より高く、大きな副反応が起こる温度よりも低い温度でブレンドされる。この実施形態では、用いられる温度は約40℃〜約90℃未満、より好ましくは約50℃〜約70℃である。そのような混合物が容易に混合および取り扱いできるように、イソシアネート含有プレポリマーを調製するための任意の可塑剤を反応混合物に添加することが有利である。あるいは、全ての成分のブレンディングの間に可塑剤を添加してもよい。接着剤組成物は処方されるとすぐに、大気水分および酸素から保護されるように適した容器に包装される。大気水分および酸素に接触するとポリウレタンプレポリマー含有イソシアネート基の早期架橋がもたらされ得る。
【0037】
本発明の接着剤組成物は、本明細書に既に記載されるように様々な基材を一緒に接着するために用いられる。組成物は、多孔性および非多孔性の基材を一緒に接着するために用いられ得る。接着剤組成物は、基材に塗布され、その第1の基材の上の接着剤を、その後第2の基材に接触させる。好ましい実施形態では、接着剤が塗布された表面は、塗布の前に清浄し、下塗りされる。例えば、米国特許第4,525,511号;同第3,707,521号および同第3,779,794号を参照のこと;その関連部分は全て参照により本明細書に組み込まれる。一般に、本発明の接着剤は大気水分の存在下、周囲温度で塗布される。大気水分への暴露は接着剤の硬化をもたらすのに十分である。硬化は、さらなる水の添加によるか、または対流熱、マイクロ波加熱などを用いて熱を加えて接着剤を硬化させることにより加速させることができる。好ましくは、本発明の接着剤は、約6分またはそれ以上、より好ましくは約10分またはそれ以上の貼合せ時間をもたらすように処方される。好ましくは、貼合せ時間は約15分またはそれ未満、より好ましくは約12分またはそれ未満である。
【0038】
接着剤組成物は、ガラスまたは耐摩耗性コーティングで被覆されたプラスチックを、その他の基材、例えば金属またはプラスチックなどに接着させるために用いられることが好ましい。好ましい実施形態では、第1の基材は、ガラス製または耐摩耗性コーティングで被覆されたプラスチック製の窓であり、第2の基材は窓枠である。もう一つの好ましい実施形態では、第1の基材は、ガラス製、または耐摩耗性コーティングで被覆されたプラスチック製の窓であり、第2の基材は自動車の窓枠である。好ましくは、ガラス窓は清浄し、接着剤が接着されるべき範囲にガラスプライマーを塗布する。耐摩耗性コーティングで被覆されたプラスチックは、清浄な任意のプラスチック、例えばポリカーボネート、アクリル、水素化ポリスチレンまたは50%より大きいスチレン含量を有する水素化スチレン共役ジエンブロック共重合体であってもよい。コーティングは、耐摩耗性である任意のコーティング、例えばポリシロキサンコーティングなどを包含し得る。好ましくは、コーティングは、紫外線着色光遮断剤(ultraviolet pigmented light blocking additive)を有する。好ましくは、ガラス製またはプラスチック製の窓は、紫外光が接着剤に達するのを防ぐために、接着剤に接触する領域に配置された不透明なコーティングを有する。
【0039】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、建造物または車両の、最も好ましくは車両の窓を取り替えるために用いられる。第1工程は、以前の窓の取り外しである。これは、古い窓を定位置に保持している接着剤のビーズを切断すること、および次に古い窓を取り外すことにより達成することができる。その後、新しい窓を清浄し、下塗りする。窓のフランジにある古い接着剤は取り除くことができるが、それは必要ではなく、多くの場合、その場所にそのまま残される。窓フランジは、ペイントプライマーで下塗りされることが好ましい。接着剤は、車両に取り付けられる際に窓フランジと接触するように配置される窓の周辺にビーズの形態で塗布する。接着剤をその上に配置した窓を、次に、フランジの中に入れて、接着剤を窓とフランジとの間に配置させる。接着剤ビーズは、窓と窓フランジとの間の結合部を封止する働きをする連続ビーズである。接着剤の連続ビーズは、ビーズが各末端でつながって接触時に窓とフランジとの間に連続的なシールを形成するように配置されるビーズである。その後、接着剤を硬化させる。
【0040】
もう一つの実施形態では、本発明の組成物を用いてモジュール部品を一緒に接着することができる。モジュール部品の例としては、車両モジュール、例えばドア、窓または車体が挙げられる。
【0041】
本明細書に記載される粘度は、参照により本明細書に組み込まれる、Bhat、米国特許第5,922、809号の第12欄38行〜49行に開示される手順に従って決定される。本明細書に記載される分子量は、参照により本明細書に組み込まれる、Bhat、米国特許第5,922,809号の第12欄50行〜64行に開示される手順に従うことによって決定される。ポリウレタンプレポリマーに関して、平均イソシアネート官能価は、参照により本明細書に組み込まれる、Bhat、米国特許第5,922,809号の第12欄段65行〜第13欄26行に開示される手順に従って決定される。
【0042】
本発明の具体例
以下の実施例は、本発明を例証するために提供されるものであり、その範囲を限定するためのものではない。全ての部およびパーセンテージは、特に断りのない限り重量による。
【0043】
ポリエーテルプレポリマー1の調製
ポリエーテルポリウレタンプレポリマーを、エチレンオキシドエンドキャップを有し、重量平均分子量が2000の270gのポリオキシプロピレンと、重量平均分子量が4500の164gのポリオキシプロピレントリオール、および重量平均分子量が3500の125gのスチレンアクリロニトリル分散ポリオキシプロピレントリオールとを混合することにより調製する。混合は、反応器中で混合物を48℃に加熱することにより行われる。87gのジフェニル(dipheyl)メタン−4,4’−ジイソシアネートおよび0.5gの第一錫オクトエートを混合物に添加する。次に、混合物全体を約65℃にて1時間反応させる。323gのジイソノニルフタラート可塑剤を混合物に添加し、混合を約0.5時間継続する。その後、6gのγ−グリシジルプロピルトリメトキシシランおよび14gのトリスノニルフェニルホスファイト(trisnonylphenyphosphite)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノールおよびビス(2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジニル(piperdinyl))セバケートの等量でのブレンド約14gを混合物に添加する。得られるプレポリマーは、約1重量%のイソシアネート(isocyante)含量を有し、32%のフタラート可塑剤を含有し、約25,000〜45,000センチポイズの粘度を示す。このプレポリマーは、2.9のエチレンオキシド含量ならびに約3.9の尿素およびウレタン密度を示す。
【0044】
ポリエーテルプレポリマー2の調製
ポリエーテルポリウレタンプレポリマーを、重量平均分子量が2,000の203gのポリオキシプロピレンジオールと、エチレンオキシドキャップを有し、重量平均分子量が4,500の294gのポリオキシプロピレントリオールとを混合することにより調製する。混合は、反応器中で混合物を48℃に加熱することにより行われる。90gのジフェニル(dipheyl)メタン−4,4’−ジイソシアネートおよび0.5gの第一錫オクトエートを混合物に添加する。次に、混合物全体を約65℃にて1時間反応させる。最後に、405gのジイソノニルフタラート可塑剤を混合物に添加し、混合を1時間継続する。得られるプレポリマーは、約1.5重量%のイソシアネート含量を有し、40%のフタラート可塑剤を含み、約4,000〜約9,000センチポイズの粘度を示す。このプレポリマーは、0.9のエチレンオキシド含量ならびに4の尿素およびウレタン密度を示す。
【0045】
ポリエステルプレポリマー1の調製
ポリエステルポリウレタンプレポリマーを、150gのジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)を反応容器に充填し、48℃に加熱することにより調製する。次に、850gの溶融した線状ポリエステルジオール(DYNACOLL(商標)7360)をゆっくりと添加して30分間反応させ、ここで最大許容温度は87℃である。得られるポリエステルプレポリマーは、49℃の融点を示す。
【0046】
接着剤の配合
全ての接着剤は、下の表1に記載される原材料%を用いる配合手順に従って作製される。異なる処方物の間の唯一の変化は配合温度である。ポリエステルプレポリマーを含まない接着剤は、室温にて配合する;そうでない場合は、ポリエステルポリウレタンプレポリマーの混合容器は55℃に加熱する。
【0047】
ポリエステルポリウレタンプレポリマーを用いる場合は、混合容器は所望の温度に加熱する。適当な量のポリエーテルプレポリマーおよび多官能性イソシアネート(DESMODUR(商標)N3300またはPAPI(商標)2020)を容器に充填し、真空下で15分間脱気する。次に、ポリエステルポリウレタンプレポリマーを添加し、材料を真空下でさらに15分間脱気する。カーボンブラックおよびクレー充填剤を添加し、充填剤がプレポリマーにより十分に湿潤するまで真空下で低速にて5分間混合する。混合速度を増大させ、充填剤を20分間分散させる。最後に、ジモルホリノジエチルエーテルおよびビスマスオクトエート触媒およびN−メチルピロリドン(pyrolidone)を混合容器に添加し、混合物を真空下でさらに10分間混合する。
【0048】
試験手順
プレスフロー粘度:プレスフロー粘度は、20グラムの接着剤を細管を通して押出するために必要な時間(秒)として測定される。細管の幅は0.203インチ(5.1mm)に固定され、加えた圧力は80psi(5.5×105Pa)である。別に記載のない限り、全てのプレスフロー粘度値は23+/−1℃で測定した。
【0049】
糸曳き試験:糸曳き試験は、高速電池式コーキングガンを用いて接着剤を計量分配することにより行われる。およそ6インチの8mm×12mmの二等辺三角形のビーズを計量分配した後、計量分配する先端は、接着剤ビーズに平行な動きで、かつ接着剤ビーズと同じ面で直ちに接着剤ビーズから引き離す。糸曳きは、分離の際に残されたテールの長さ(mm)により測定される。
【0050】
結果
表1には試験した処方物と結果が記載される。試験した接着剤は、室温にて計量分配され得る(一般に、コーキングガンで塗布される材料に関して、20〜50秒のプレスフロー粘度範囲を示す)。
【表1】

1.触媒混合物は、59重量%のジモルホリノジエチルエーテルおよび41%のビスマスオクトエートを含有する。
2.102〜110の油吸収量および82.0〜90.0のヨウ素数を有するカーボンブラック。
両方のプレポリマーはフタル酸エステル可塑剤を含有する。
【0051】
このデータは、低極性プレポリマーおよび極性のある低分子量化合物を添加することによる、接着剤の糸曳きの改善を例証する。
【0052】
プレポリマー3の調製
プレポリマー3は、用いたトリオールが、エチレンオキシドキャップを含まず、分子量が5000であり、ヒドロキシル価が33であるポリプロピレンオキシドであることを除いて、プレポリマー2が調製される方法と同じ方法で調製される。得られるプレポリマーは、3.2重量%のウレタン密度および0%のエチレンオキシドを有する。
【0053】
降伏応力は、何らかの流れが誘導される前に材料に加わる応力の量である。降伏応力試験は、記載される通りに行われる。段階的流れ試験はTA Instruments AR−2000レオメーターを用いて行われる。ビンガムモデルを用いて降伏応力を計算する。高い降伏応力は、優れた垂れ抵抗性を示す。
配置:40mm平行プレート、間隙1000ミクロン
サンプルの予備剪断:10s-1にて60秒
回復時間:60秒
剪断応力:100〜2000Pa
温度:25℃
【0054】
貯蔵弾性率は、剪断応力の対応する変形に対する比である。G’値は、剪断プロセス中にサンプルに蓄えられた変形エネルギーの尺度である。それはサンプルの剛性、すなわち変形抵抗性を表す。高いG’値は優れた垂れ抵抗性を示す。貯蔵弾性率(G’)試験は、TA Instruments AR−2000レオメーターを用いて制御された剪断応力振幅掃引(a controlled shear stress amplitude sweep)である。
配置:25mm平行プレート、間隙1000ミクロン
サンプルの予備剪断:10s-1にて60秒
回復時間:60秒
剪断応力:1〜500Pa
発振周波数:1Hz
温度:25℃
【0055】
いくつかの接着剤配合物が、上記のように調製され、かつ本明細書に記載されるように試験される。処方物および結果を表2にまとめる。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1またはそれ以上のイソシアネート官能性ポリエーテル系プレポリマー;b)1またはそれ以上の低極性可塑剤;c)1またはそれ以上の高極性可塑剤;d)1またはそれ以上のカーボンブラック;およびe)イソシアネート部分とヒドロキシル基の反応のための1またはそれ以上の触媒を含む、組成物。
【請求項2】
前記1またはそれ以上のイソシアネート官能性ポリエーテル系プレポリマーが、約8.5重量%未満の尿素および/またはウレタンおよび/または関連する単位を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記1またはそれ以上のイソシアネート官能性ポリエーテル系プレポリマーが、約3重量%未満のエチレンオキシド単位をプレポリマーの骨格に含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
高極性可塑剤が、1またはそれ以上のスルホン酸のアルキルエステル類、アルキルアルキルエーテルジエステル、ポリエステル樹脂、ホルマール(formals)、ポリグリコールジエステル、ポリマーポリエステル、トリカルボン酸エステル、ジアルキルエーテルジエステル、ジアルキルエーテル芳香族エステル、芳香族リン酸エステル、芳香族リン酸エステルまたは芳香族スルホンアミド類を含む、請求項1から3に記載の組成物。
【請求項5】
前記低極性可塑剤が、1またはそれ以上の芳香族ジエステル、芳香族トリエステル、脂肪族ジエステル、エポキシ化エステル、エポキシ化油、塩素化炭化水素、芳香油、アルキルエーテルモノエステル、ナフテン油、アルキルモノエステル、グリセリド油、パラフィン系油(parraffinic oils)またはシリコーン油を含む、請求項1から4に記載の組成物。
【請求項6】
前記1またはそれ以上の高極性可塑剤が1またはそれ以上のスルホン酸のアルキルエステル類である、請求項1から5に記載の組成物。
【請求項7】
前記1またはそれ以上の低極性可塑剤(plasticers)が、1またはそれ以上の芳香族ジエステル類である、請求項1から6に記載の組成物。
【請求項8】
前記1またはそれ以上の導電性カーボンブラックが、約20重量部またはそれ未満の量で存在する、請求項1から7に記載の組成物。
【請求項9】
前記1またはそれ以上の導電性カーボンブラックが、組成物の誘電率が約15またはそれ未満であるような量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
a)前記1またはそれ以上のイソシアネート官能性ポリエーテル系プレポリマーが、約20〜約60重量部の量で存在し;b)前記1またはそれ以上の低極性可塑剤が、約5〜約40重量部の量で存在し;c)1またはそれ以上の高極性可塑剤が、0.2〜約20重量部の量で存在し;d)1またはそれ以上のカーボンブラックが、約10〜約35重量部の量で存在し;かつ、e)イソシアネート部分とヒドロキシル基との反応のための1またはそれ以上の触媒が、約0.005〜約2重量部の量で存在し;組成物の総重量部が100部である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が、23℃で固体である1またはそれ以上のイソシアネート官能性ポリエステル系プレポリマーをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物が、約3またはそれより大きい公称官能価を有する1またはそれ以上のポリイソシアネートをさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記多官能ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはメチレンジフェニルジイソシアネートに基づくオリゴマーまたはポリマーである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
組成物が、硬化時、ASTM D4065に従って測定される、25℃にて約2.0MPaまたはそれより大きい弾性率;約15またはそれ未満の誘電率;約2mm未満の未硬化サンプルの垂れ、約20〜約50のプレスフロー(press flow)粘度および約5.3×105Paまたはそれより大きい貯蔵弾性率を示す、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
2またはそれ以上の基材を、基材同士が接触している範囲の少なくとも一部分に沿って配置される請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物と一緒に接触させることを含む、
2またはそれ以上の基材を一緒に接着させる方法。
【請求項16】
前記基材の少なくとも一方が窓ガラスである、請求項19に記載の方法。
【請求項17】
前記基材の少なくとも一方が建築物または車両である、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記基材が車両である、請求項22に記載の方法。
【請求項19】
i)窓を車両から取り外すこと;ii)請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物を、取替え窓、または、窓を車両に保持するように適合された車両のフランジに塗布すること;iii)車両のフランジおよび取替え窓を、取替え窓と車両のフランジの間に配置された組成物に接触させること;ならびにiv)接着剤を硬化させること、を含む、車両の窓を取り替える方法。
【請求項20】
前記窓を前記車両に設置してから60分後に、前記車両を安全に運転することのできる、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2010−518198(P2010−518198A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548471(P2009−548471)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/052813
【国際公開番号】WO2008/097852
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】