説明

車両速度計算装置及び車両速度計算方法及び車両速度計算プログラム

【課題】レーダの観測データから車両の速度を高精度で求める。
【解決手段】車両速度計算装置100において、車両検出部103は、合成開口レーダ(SAR)によって、道路が敷設された地域を観測し、その結果として得られたレーダ画像201から、道路の近傍に存在する車両を検出する。ドップラシフト量推定部104は、道路301の位置と車両検出部103が検出した車両のレーダ画像201における位置との間の距離に基づいてドップラシフト量を推定する。速度計算部105は、ドップラシフト量推定部104が推定したドップラシフト量を車両検出部103が検出した車両の速度へ換算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両速度計算装置及び車両速度計算方法及び車両速度計算プログラムに関するものである。本発明は、特に、合成開口レーダ(SAR)画像と道路地図による車両監視技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、海上を観測したSAR画像に対して、画像の輝度が一定の閾値以上のものを船舶として検出し、船舶とその航跡(wake)のずれ量からドップラシフトを算出して船舶の速度を算出するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−4398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の速度を算出するために従来技術を利用した場合、単に輝度の閾値で車両を検出することになるため、車両以外の物体を車両として検出したり、車両とその車両が実際には走行していない道路とのずれ量からドップラシフトを算出したりする可能性があった。
【0005】
本発明は、例えば、レーダの観測データから車両の速度を高精度で求めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様に係る車両速度計算装置は、
飛行体に搭載されたレーダにより、道路が敷設された地表面を観測して得られた観測データを予め記憶する記憶装置と、データ処理を行う処理装置とを具備し、
前記記憶装置に記憶された観測データから、前記道路の近傍に存在する車両を前記処理装置により検出する車両検出部と、
前記道路の位置と前記車両検出部が検出した車両の前記観測データにおける位置との間の距離を前記処理装置により計算し、計算した距離に基づいてドップラシフト量を推定するドップラシフト量推定部と、
前記ドップラシフト量推定部が推定したドップラシフト量を前記車両検出部が検出した車両の速度へ前記処理装置により換算する速度計算部とを備えることを特徴とする。
【0007】
前記記憶装置は、前記観測データとして、前記レーダにより前記地表面を異なる時刻に観測して得られた複数の観測データを予め記憶し、
前記車両速度計算装置は、さらに、
前記記憶装置に記憶された複数の観測データの差分を前記処理装置により抽出し、抽出した差分を示す差分データを前記記憶装置に記憶する差分抽出部を備え、
前記車両検出部は、前記差分抽出部が前記記憶装置に記憶した差分データから、前記道路の近傍に存在する車両を検出することを特徴とする。
【0008】
前記車両速度計算装置は、さらに、
前記記憶装置に記憶された複数の観測データを前記処理装置によりオルソ補正する観測データ補正部を備え、
前記差分抽出部は、前記差分として、前記観測データ補正部がオルソ補正した複数の観測データの差分を抽出することを特徴とする。
【0009】
前記車両検出部は、前記道路の近傍に存在する車両として、前記道路の位置から、所定の速度の車両について生じるドップラシフト量に対応する距離以内の車両を検出することを特徴とする。
【0010】
前記記憶装置は、さらに、前記飛行体の速度Vと前記飛行体の高度Rと前記レーダのオフナディア角θとを予め記憶し、
前記ドップラシフト量推定部は、さらに、前記車両検出部が検出した車両の前記観測データにおける位置から前記飛行体の進行方向と平行に引いた直線と前記道路とがなす角度αを前記処理装置により計算し、
前記速度計算部は、前記記憶装置に記憶された速度Vと高度Rとオフナディア角θと前記ドップラシフト量推定部が計算した角度αとを用いて前記ドップラシフト量推定部が推定したドップラシフト量Xを前記車両検出部が検出した車両の速度VTへ換算することを特徴とする。
【0011】
前記速度計算部は、VT=−(X×V)/R/sinθ/sinαを計算して、前記車両検出部が検出した車両の速度VTを求めることを特徴とする。
【0012】
前記車両検出部は、前記記憶装置に記憶された観測データから、前記道路の近傍に存在する車両を複数検出し、
前記速度計算部は、前記車両検出部が検出した車両ごとに速度を求め、前記車両検出部が検出した車両の数とそれぞれの速度とを示す速度データを前記記憶装置に記憶し、
前記車両速度計算装置は、さらに、
前記速度計算部が前記記憶装置に記憶した速度データを前記処理装置により分析する速度データ分析部を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の一の態様に係る車両速度計算方法は、
記憶装置が、飛行体に搭載されたレーダにより、道路が敷設された地表面を観測して得られた観測データを記憶し、
処理装置が、前記記憶装置に記憶された観測データから、前記道路の近傍に存在する車両を検出し、
前記処理装置が、前記道路の位置と前記検出した車両の前記観測データにおける位置との間の距離を計算し、
前記処理装置が、前記計算した距離に基づいてドップラシフト量を推定し、
前記処理装置が、前記推定したドップラシフト量を前記検出した車両の速度へ換算することを特徴とする。
【0014】
本発明の一の態様に係る車両速度計算プログラムは、
飛行体に搭載されたレーダにより、道路が敷設された地表面を観測して得られた観測データを予め記憶する記憶装置と、データ処理を行う処理装置とを具備するコンピュータにより実行される車両速度計算プログラムであって、
前記記憶装置に記憶された観測データから、前記道路の近傍に存在する車両を前記処理装置により検出する車両検出処理と、
前記道路の位置と前記車両検出処理が検出した車両の前記観測データにおける位置との間の距離を前記処理装置により計算し、計算した距離に基づいてドップラシフト量を推定するドップラシフト量推定処理と、
前記ドップラシフト量推定処理が推定したドップラシフト量を前記車両検出処理が検出した車両の速度へ前記処理装置により換算する速度計算処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0015】
前記記憶装置は、前記観測データとして、前記レーダにより前記地表面を異なる時刻に観測して得られた複数の観測データを予め記憶し、
前記車両速度計算プログラムは、さらに、
前記記憶装置に記憶された複数の観測データの差分を前記処理装置により抽出し、抽出した差分を示す差分データを前記記憶装置に記憶する差分抽出処理をコンピュータに実行させ、
前記車両検出処理は、前記差分抽出処理が前記記憶装置に記憶した差分データから、前記道路の近傍に存在する車両を検出することを特徴とする。
【0016】
前記車両速度計算プログラムは、さらに、
前記記憶装置に記憶された複数の観測データを前記処理装置によりオルソ補正する観測データ補正処理をコンピュータに実行させ、
前記差分抽出処理は、前記差分として、前記観測データ補正処理がオルソ補正した複数の観測データの差分を抽出することを特徴とする。
【0017】
前記車両検出処理は、前記道路の近傍に存在する車両として、前記道路の位置から、所定の速度の車両について生じるドップラシフト量に対応する距離以内の車両を検出することを特徴とする。
【0018】
前記記憶装置は、さらに、前記飛行体の速度Vと前記飛行体の高度Rと前記レーダのオフナディア角θとを予め記憶し、
前記ドップラシフト量推定処理は、さらに、前記車両検出処理が検出した車両の前記観測データにおける位置から前記飛行体の進行方向と平行に引いた直線と前記道路とがなす角度αを前記処理装置により計算し、
前記速度計算処理は、前記記憶装置に記憶された速度Vと高度Rとオフナディア角θと前記ドップラシフト量推定処理が計算した角度αとを用いて前記ドップラシフト量推定処理が推定したドップラシフト量Xを前記車両検出処理が検出した車両の速度VTへ換算することを特徴とする。
【0019】
前記速度計算処理は、VT=−(X×V)/R/sinθ/sinαを計算して、前記車両検出処理が検出した車両の速度VTを求めることを特徴とする。
【0020】
前記車両検出処理は、前記記憶装置に記憶された観測データから、前記道路の近傍に存在する車両を複数検出し、
前記速度計算処理は、前記車両検出処理が検出した車両ごとに速度を求め、前記車両検出処理が検出した車両の数とそれぞれの速度とを示す速度データを前記記憶装置に記憶し、
前記車両速度計算プログラムは、さらに、
前記速度計算処理が前記記憶装置に記憶した速度データを前記処理装置により分析する速度データ分析処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一の態様によれば、車両速度計算装置において、車両検出部が、レーダの観測データから、道路の近傍に存在する車両を検出し、ドップラシフト量推定部が、前記道路の位置と前記車両検出部が検出した車両の前記観測データにおける位置との間の距離に基づいてドップラシフト量を推定し、速度計算部が、前記ドップラシフト量推定部が推定したドップラシフト量を前記車両検出部が検出した車両の速度へ換算することにより、レーダの観測データから車両の速度を高精度で求めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態1に係る車両速度計算装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係るレーダ画像の一例を示す図である。
【図3】実施の形態1に係るレーダ画像の一例を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る車両速度計算装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図5】実施の形態1に係る車両速度計算装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態1に係る差分抽出処理の内容を示す図である。
【図7】実施の形態1に係るドップラシフト量推定処理の内容を示す図である。
【図8】実施の形態2に係る速度計算処理の内容を示す図である。
【図9】実施の形態2に係る速度計算処理の内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0024】
実施の形態1.
図1は、車両速度計算装置100の構成を示すブロック図である。
【0025】
図1において、車両速度計算装置100は、観測データ補正部101、差分抽出部102、車両検出部103、ドップラシフト量推定部104、速度計算部105、速度データ分析部106を備える。また、車両速度計算装置100は、処理装置151、記憶装置152、入力装置153、出力装置154等のハードウェアを備える。
【0026】
車両速度計算装置100の各部の動作については後述する。
【0027】
処理装置151は、データ処理を行う。処理装置151は、車両速度計算装置100の各部でデータや情報の演算、加工、読み取り、書き込み等を行うために利用される。
【0028】
記憶装置152は、レーダ画像201、地図データ202等のデータを記憶する。記憶装置152は、車両速度計算装置100の各部でデータや情報を記憶するために利用される。
【0029】
レーダ画像201は、飛行体(人工衛星、航空機等)に搭載されたレーダにより、地表面を観測して得られる観測データの一例である。本実施の形態では、レーダの一例である合成開口レーダ(SAR)によって、道路が敷設された地域を観測し、その結果としてレーダ画像201を得るものとする。合成開口レーダが上空から地表面に向けて電波を発射すると、その電波は地面あるいは地上の自然物や人工物等で反射して散乱波となる。この散乱波の散乱強度を測定し、その結果を画像化することによりレーダ画像201を得ることができる。通常、レーダ画像201では、画素ごとに、対応する地上の位置における散乱強度が輝度で表されている。
【0030】
地図データ202は、合成開口レーダにより観測される地域の地図を記録したものであり、当該地域に敷設されている道路の位置等を示すデータである。
【0031】
入力装置153は、データの入力を受け付ける。入力装置153は、車両速度計算装置100の各部でデータや情報の入力をユーザ等から受け付けるために利用される。
【0032】
出力装置154は、データを出力する。出力装置154は、車両速度計算装置100の各部でユーザ等に対してデータや情報を出力するために利用される。
【0033】
図2及び図3は、レーダ画像201の一例を示す図である。
【0034】
合成開口レーダにより車両等の移動物体を観測すると、物体が本来あるべき位置から離れた場所に映像化される。これをドップラシフトという。離れ具合(即ち、ドップラシフト量)は物体の速度に比例する。図2及び図3の例では、実際の車両は道路301上を走行しているが、レーダ画像201上の移動車両は道路301からドップラシフト量の分ずれて表示されている。図2の例では、車両が、飛行体300の進行方向(即ち、合成開口レーダの進行方向)に対して垂直方向、かつ、合成開口レーダに近づく方向に移動しているため、合成開口レーダの進行方向にずれて画像化されている。一方、図3の例では、車両が、合成開口レーダから遠ざかる方向に移動しているため、合成開口レーダの進行方向と逆方向にずれて画像化されている。
【0035】
道路301と車両との距離を計測すれば車両の速度が分かるが、道路及び車両を1枚のレーダ画像201から自動的に認識するのは困難である。そこで、本実施の形態では、2枚のレーダ画像201と地図データ202を用いて、車両の抽出及び速度計測を自動的に行うようにする。
【0036】
そのために、本実施の形態では、記憶装置152は、レーダ画像201を複数記憶しており、それぞれのレーダ画像201は、合成開口レーダにより同じ地域を異なる時刻に観測して得られたものであるとする。具体的には、記憶装置152は、道路を走行する車両が多いか又は少なくとも一定数あると推測される時刻(例えば、日中)に観測して得られたレーダ画像201と、道路を走行する車両が少ないか又はほとんどないと推測される時刻(例えば、夜間)に観測して得られたレーダ画像201とを予め記憶しているものとする。
【0037】
図4は、車両速度計算装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0038】
図4において、車両速度計算装置100は、コンピュータであり、LCD901(Liquid・Crystal・Display)、キーボード902(K/B)、マウス903、FDD904(Flexible・Disk・Drive)、CDD905(Compact・Disc・Drive)、プリンタ906といったハードウェアデバイスを備えている。これらのハードウェアデバイスはケーブルや信号線で接続されている。LCD901の代わりに、CRT(Cathode・Ray・Tube)、あるいは、その他の表示装置が用いられてもよい。マウス903の代わりに、タッチパネル、タッチパッド、トラックボール、ペンタブレット、あるいは、その他のポインティングデバイスが用いられてもよい。
【0039】
車両速度計算装置100は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit)を備えている。CPU911は、処理装置151の一例である。CPU911は、バス912を介してROM913(Read・Only・Memory)、RAM914(Random・Access・Memory)、通信ボード915、LCD901、キーボード902、マウス903、FDD904、CDD905、プリンタ906、HDD920(Hard・Disk・Drive)と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。HDD920の代わりに、フラッシュメモリ、光ディスク装置、メモリカードリーダライタ又はその他の記憶媒体が用いられてもよい。
【0040】
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、HDD920は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置152の一例である。通信ボード915、キーボード902、マウス903、FDD904、CDD905は、入力装置153の一例である。また、通信ボード915、LCD901、プリンタ906は、出力装置154の一例である。
【0041】
通信ボード915は、LAN(Local・Area・Network)等に接続されている。通信ボード915は、LANに限らず、IP−VPN(Internet・Protocol・Virtual・Private・Network)、広域LAN、ATM(Asynchronous・Transfer・Mode)ネットワークといったWAN(Wide・Area・Network)、あるいは、インターネットに接続されていても構わない。LAN、WAN、インターネットは、ネットワークの一例である。
【0042】
HDD920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。プログラム群923には、本実施の形態の説明において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが含まれている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。ファイル群924には、本実施の形態の説明において、「〜データ」、「〜情報」、「〜ID(識別子)」、「〜フラグ」、「〜結果」として説明するデータや情報や信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」や「〜テーブル」の各項目として含まれている。「〜ファイル」や「〜データベース」や「〜テーブル」は、RAM914やHDD920等の記憶媒体に記憶される。RAM914やHDD920等の記憶媒体に記憶されたデータや情報や信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出、検索、参照、比較、演算、計算、制御、出力、印刷、表示といったCPU911の処理(動作)に用いられる。抽出、検索、参照、比較、演算、計算、制御、出力、印刷、表示といったCPU911の処理中、データや情報や信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
【0043】
本実施の形態の説明において用いるブロック図やフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示す。データや信号は、RAM914等のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク(FD)、CDD905のコンパクトディスク(CD)、HDD920の磁気ディスク、光ディスク、DVD(Digital・Versatile・Disc)、あるいは、その他の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912、信号線、ケーブル、あるいは、その他の伝送媒体により伝送される。
【0044】
本実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜工程」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。即ち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。あるいは、「〜部」として説明するものは、ソフトウェアのみ、あるいは、素子、デバイス、基板、配線といったハードウェアのみで実現されていても構わない。あるいは、「〜部」として説明するものは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、あるいは、ソフトウェアとハードウェアとファームウェアとの組み合わせで実現されていても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、フレキシブルディスク、コンパクトディスク、磁気ディスク、光ディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。即ち、プログラムは、本実施の形態の説明で述べる「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、プログラムは、本実施の形態の説明で述べる「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0045】
図5は、本実施の形態に係る車両速度計算装置100の動作(本実施の形態に係る車両速度計算方法、本実施の形態に係る車両速度計算プログラムの処理手順)を示すフローチャートである。
【0046】
図5のステップS101において、観測データ補正部101は、記憶装置152に記憶された複数のレーダ画像201を処理装置151によりオルソ補正する(観測対象地域の標高データ等を用いて、それぞれのレーダ画像201でのフォアショートニングによる歪みを補正する)。前述したように、レーダ画像201のうち、1枚は車両監視を実施したい瞬間(日中等、交通量の多い時間帯)における画像であり、もう1枚は平日夜間等、交通量の少ない時間帯に観測された画像である。ここでは、前者をSARデータ203a、後者をSARデータ203bとする。観測データ補正部101は、SARデータ203a,bをオルソ補正して、SARオルソ画像204a,bを処理装置151により生成する。そして、観測データ補正部101は、これらのSARオルソ画像204a,bをレーダ画像201として記憶装置152に記憶する。なお、ここでは、SARデータ203a,bもSARオルソ画像204a,bも画像化されたデータとして説明しているが、SARデータ203a,bが画像化されたデータでなくとも、オルソ補正された2枚のレーダ画像201としてSARオルソ画像204a,bを得ることは可能である。また、前述したように、レーダ画像201は観測データの一例であるから、画像化されていない観測データを用いてステップS102以降の処理が実施されても構わない。
【0047】
このように、本実施の形態では、異なる2つの時期のSAR観測画像をオルソ補正することにより、後述する両者の差分抽出、及び、道路地図との比較を実現している。
【0048】
ステップS102において、差分抽出部102は、記憶装置152に記憶された複数のレーダ画像201の差分を処理装置151により抽出する。ここでは、図6に示すように、差分抽出部102は、ステップS101で観測データ補正部101が記憶装置152に記憶したSARオルソ画像204a,b間の差分を処理装置151により抽出する。そして、差分抽出部102は、抽出した差分を示す差分データ205を記憶装置152に記憶する。
【0049】
ステップS103において、車両検出部103は、記憶装置152に記憶されたレーダ画像201から、特定の道路の近傍に存在する車両を処理装置151により検出する。ここでは、車両検出部103は、ステップS102で差分抽出部102が記憶装置152に記憶した差分データ205から、地図データ202の地図に記載された道路301の近傍に存在する車両を処理装置151により検出する。差分データ205は、オルソ補正された2枚のレーダ画像201の差を求めたものである。即ち、差分データ205は、オルソ補正された差分画像である。そのため、差分データ205と地図データ202は重ね合わせることができる。車両検出部103は、差分データ205と地図データ202を重ね合わせた画像にて、車両程度の大きさ(例えば、長手方向の長さが2m〜20m)であり、かつ、道路301に近い輝点(一定以上の輝度をもった画素あるいは画素群)を車両と判定する。このとき、車両検出部103は、道路301の位置から、一定の距離以内の輝点を、道路301に近い輝点とみなす。あるいは、車両検出部103は、道路301を所定の速度(例えば、150km/hour等の一定の速度、地図で示された道路301の制限速度、制限速度+10km/hour等の一定の超過速度)より速い速度で走行する車両はないと仮定し、道路301の位置から、当該速度で走行する車両について生じるドップラシフト量に対応する距離以内の輝点を、道路301に近い輝点とみなす(即ち、所定の速度以下で走行する車両のみを検出対象とする)。
【0050】
このように、本実施の形態では、地図上の道路301の傍にある数m〜数十m程度の大きさの輝点を車両とみなすことで、車両の検出精度を向上させている。
【0051】
ステップS104において、ドップラシフト量推定部104は、特定の道路の位置と車両検出部103が検出した車両のレーダ画像201における位置との間の距離を処理装置151により計算し、計算した距離に基づいてドップラシフト量を推定する。ここでは、ドップラシフト量推定部104は、図7に示すように、地図データ202における道路301の位置とステップS103で車両検出部103が検出した車両の位置との間の距離をドップラシフト量とみなす。速度計算部105は、ドップラシフト量推定部104が推定したドップラシフト量を車両検出部103が検出した車両の速度へ処理装置151により自動的に換算する。
【0052】
このように、レーダ画像201では、移動物体が、その速度に比例して本来あるべき位置とずれた位置に映像化される特性があるので、本実施の形態では、前述した判定方法により抽出した輝点(車両)と道路301との距離を計測し、これを速度に換算することで車両の移動速度を計測することができる。
【0053】
ステップS103において、車両検出部103が道路301の近傍に存在する車両を複数検出した場合、検出された車両ごとに、ステップS104の処理が実施される。ステップS104において、速度計算部105は、ステップS103で車両検出部103が検出した車両ごとに速度を処理装置151により求め、車両検出部103が検出した車両の数とそれぞれの速度とを示す速度データ206を記憶装置152に記憶する。速度データ206は、それぞれの車両の速度とともに、それぞれの車両の進行方向等を示すものであってもよい。
【0054】
ステップS105において、速度データ分析部106は、速度計算部105が記憶装置152に記憶した速度データ206を処理装置151により分析する。例えば、速度データ分析部106は、全ての車両の速度を合計し、合計値を車両の数で割ることにより、車両の平均速度を処理装置151により算出する。算出された平均速度のデータは、道路計画や道路整備等、交通量制御のための施策を決定する際に利用することができる。また、例えば、速度データ分析部106は、上記と同様の計算方法で、車両の進行方向ごとに車両の平均速度を処理装置151により算出してもよい。算出された平均速度のデータは、上り方向及び下り方向に分けて、交通量制御のための施策を決定する際に利用することができる。
【0055】
実施の形態2.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0056】
本実施の形態に係る車両速度計算装置100の構成は、図1に示した実施の形態1のものと同様である。
【0057】
レーダ画像201には、通常、観測時の飛行体300の速度V及び高度R、合成開口レーダのオフナディア角θ等の属性データが付加される。本実施の形態では、記憶装置152は、レーダ画像201とともに、速度V、高度R、オフナディア角θ等の属性データを記憶しているものとする。
【0058】
以下、本実施の形態に係る車両速度計算装置100の動作について、図5を用いて説明する。
【0059】
本実施の形態において、図5のステップS101〜S103及びS105の処理は、実施の形態1のものと同様である。
【0060】
ステップS104において、ドップラシフト量推定部104は、実施の形態1と同様に、地図データ202における道路301の位置とステップS103で車両検出部103が検出した車両の位置との間の距離をドップラシフト量(ドップラシフト量Xとする)とみなす。本実施の形態では、ドップラシフト量推定部104は、さらに、ステップS103で車両検出部103が検出した車両の位置から合成開口レーダの進行方向と平行に引いた直線と道路301とがなす角度αを処理装置151により計算する。速度計算部105は、記憶装置152に記憶された速度Vと高度Rとオフナディア角θとドップラシフト量推定部104が計算した角度αとを用いて、ドップラシフト量推定部104が推定したドップラシフト量Xを車両検出部103が検出した車両の速度VTへ換算する。
【0061】
以下、速度計算部105による速度VTの計算処理の詳細について、図8及び図9を用いて説明する。
【0062】
図8において、前述したように、合成開口レーダを搭載した飛行体300の速度をVとする。また、車両は合成開口レーダから距離Rだけ離れたところにあり、地表面上を速度VTで走行しているとする。VTは合成開口レーダから遠ざかる方向を正とするベクトルである。このとき、ベクトルVTを合成開口レーダのビーム照射方向(即ち、レンジ方向)に投影した速度VRを求める。
【0063】
まず、アジマス方向に投影した成分をVAとする。VAは、合成開口レーダの進行方向と同じ方向を正、逆方向を負とするベクトルである。
VA=VT×cosα
ここで、前述したように、αは合成開口レーダの進行方向と車両の移動方向とのなす角である。
【0064】
次に、VAと直交し、かつ、地表面に平行な方向をクロストラック方向と呼ぶことにして、クロストラック方向に投影した速度VCを求める。
VC=VT×sinα
【0065】
最後にVCをレンジ方向に投影した成分をVRとする。VRは、合成開口レーダから遠ざかる方向を正、合成開口レーダに近づく方向を負とするベクトルである。
VR=VC×sinθ=VT×sinα×sinθ
ここで、前述したように、θはオフナディア角である。
【0066】
なお、ここでは参考のためにVAも求めているが、速度VTの計算には用いないため、VAの計算は省略してもよい。
【0067】
レーダ画像201にて、車両は、VRに比例して合成開口レーダの進行方向(アジマス方向)と逆方向にずれて映る。前述したように、これがドップラシフトである。
【0068】
図9において、前述したように、ドップラシフトによるレーダ画像201上の車両のずれ(即ち、ドップラシフト量)をXとする(単位は、例えばメートルとし、距離で表す)。車両が合成開口レーダから遠ざかる場合、その車両は合成開口レーダの進行方向に対して逆方向にずれて画像化される。逆に、車両が合成開口レーダに近づく場合、その車両は合成開口レーダの進行方向と同じ方向にずれて画像化される。そのため、Xは、合成開口レーダの進行方向(即ち、アジマス方向)を正、逆方向を負として定義する。
X=−(R/V)×VR
【0069】
例えば、合成開口レーダを、衛星だいち(ALOS:Advanced・Land・Observing・Satellite)搭載のPALSAR(Phased・Array・type・L−band・Synthetic・Aperture・Radar)とした場合、R≒1000km、V≒7km/sec、θ≒45度なので、仮に車両がVT=40km/hour(≒11m/sec)で衛星進行方向に直交する方向かつ離れる方向(VA=0、VC=40km/hour)へ移動しているとすると、
VR=VC×sin(45度)≒7.8m/sec
X≒−(1000km/(7km/sec))×7.8m/sec≒−1.1km
となる。即ち、車両は1.1kmもずれた位置に画像化される。同様に、VT=100km/hour(≒27.7m/sec)ならば、X≒−2.8kmとなる。レーダ画像201の1画素は約10mなので、この場合、車両は280画素もずれた位置に画像化されることになる。
【0070】
以下、レーダ画像201上の車両のドップラシフトから、車両の速度を求める手順について説明する。
【0071】
前提として、ドップラシフト量推定部104により、以下の処理が行われている。
(1)道路301に対して、車両が何画素離れているかを読み取る。ここではm画素とする。
(2)ドップラシフト量(距離)Xを求める。
X=+m×Δ(合成開口レーダの進行方向と同じ方向に離れている場合)
X=−m×Δ(合成開口レーダの進行方向と逆方向に離れている場合)
ここで、Δは1画素あたりの距離である。
【0072】
その上で、速度計算部105により、以下の処理が行われる。
(3)X=−(R/V)×VRより、VRを求める。
VR=−(X×V)/R
なお、ここでは、飛行体300の高度をRとみなしているが、より正確な計算を行うためには、飛行体300から車両までの距離をRとする必要がある。この場合、Rはレーダ画像201上で車両が合成開口レーダに近い側(図9では、左)から何画素であるかが分かれば算出できる(前述したように、通常配布されているレーダ画像201には、そのレーダ画像201から合成開口レーダまでの距離を計算するための付加情報が格納されている)。あるいは、飛行体300の高度と、オフナディア角が分かれば、幾何学的に計算できる(前述したように、オフナディア角も通常はレーダ画像201の付加情報として与えられる)。合成開口レーダの進行速度Vもレーダ画像201の付加情報として得られるので既知とする。
(4)VRとオフナディア角θより、クロストラック速度VCを算出する。
VC=VR/sinθ
(5)道路301と合成開口レーダの進行方向のなす角αを求める(道路301がベクター情報として与えられていれば、そのままレーダ画像201における道路301の向きからαが求められるし、道路301がラスターデータとして与えられていれば、道路301の線を検出するためにエッジ検出やハフ変換といった技術を用いた上で同様の方法によりαが求められる)。
(6)VCとαからVTを求める。
VT=VC/sinα=VR/sinθ/sinα
なお、VR=0(即ち、VC=0であり、車両が静止しているか、合成開口レーダと平行に移動している)でないものとする。
【0073】
このように、本実施の形態では、速度計算部105は、VT=−(X×V)/R/sinθ/sinαを計算して、車両検出部103が検出した車両の速度VTを処理装置151により求める。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらのうち、2つ以上の実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態を部分的に実施しても構わない。あるいは、これらのうち、2つ以上の実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【符号の説明】
【0075】
100 車両速度計算装置、101 観測データ補正部、102 差分抽出部、103 車両検出部、104 ドップラシフト量推定部、105 速度計算部、106 速度データ分析部、151 処理装置、152 記憶装置、153 入力装置、154 出力装置、201 レーダ画像、202 地図データ、203a,b SARデータ、204a,b SARオルソ画像、205 差分データ、206 速度データ、300 飛行体、301 道路、901 LCD、902 キーボード、903 マウス、904 FDD、905 CDD、906 プリンタ、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 HDD、921 オペレーティングシステム、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体に搭載されたレーダにより、道路が敷設された地表面を観測して得られた観測データを予め記憶する記憶装置と、データ処理を行う処理装置とを具備し、
前記記憶装置に記憶された観測データから、前記道路の近傍に存在する車両を前記処理装置により検出する車両検出部と、
前記道路の位置と前記車両検出部が検出した車両の前記観測データにおける位置との間の距離を前記処理装置により計算し、計算した距離に基づいてドップラシフト量を推定するドップラシフト量推定部と、
前記ドップラシフト量推定部が推定したドップラシフト量を前記車両検出部が検出した車両の速度へ前記処理装置により換算する速度計算部とを備えることを特徴とする車両速度計算装置。
【請求項2】
前記記憶装置は、前記観測データとして、前記レーダにより前記地表面を異なる時刻に観測して得られた複数の観測データを予め記憶し、
前記車両速度計算装置は、さらに、
前記記憶装置に記憶された複数の観測データの差分を前記処理装置により抽出し、抽出した差分を示す差分データを前記記憶装置に記憶する差分抽出部を備え、
前記車両検出部は、前記差分抽出部が前記記憶装置に記憶した差分データから、前記道路の近傍に存在する車両を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両速度計算装置。
【請求項3】
前記車両速度計算装置は、さらに、
前記記憶装置に記憶された複数の観測データを前記処理装置によりオルソ補正する観測データ補正部を備え、
前記差分抽出部は、前記差分として、前記観測データ補正部がオルソ補正した複数の観測データの差分を抽出することを特徴とする請求項2に記載の車両速度計算装置。
【請求項4】
前記車両検出部は、前記道路の近傍に存在する車両として、前記道路の位置から、所定の速度の車両について生じるドップラシフト量に対応する距離以内の車両を検出することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の車両速度計算装置。
【請求項5】
前記記憶装置は、さらに、前記飛行体の速度Vと前記飛行体の高度Rと前記レーダのオフナディア角θとを予め記憶し、
前記ドップラシフト量推定部は、さらに、前記車両検出部が検出した車両の前記観測データにおける位置から前記飛行体の進行方向と平行に引いた直線と前記道路とがなす角度αを前記処理装置により計算し、
前記速度計算部は、前記記憶装置に記憶された速度Vと高度Rとオフナディア角θと前記ドップラシフト量推定部が計算した角度αとを用いて前記ドップラシフト量推定部が推定したドップラシフト量Xを前記車両検出部が検出した車両の速度VTへ換算することを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の車両速度計算装置。
【請求項6】
前記速度計算部は、VT=−(X×V)/R/sinθ/sinαを計算して、前記車両検出部が検出した車両の速度VTを求めることを特徴とする請求項5に記載の車両速度計算装置。
【請求項7】
前記車両検出部は、前記記憶装置に記憶された観測データから、前記道路の近傍に存在する車両を複数検出し、
前記速度計算部は、前記車両検出部が検出した車両ごとに速度を求め、前記車両検出部が検出した車両の数とそれぞれの速度とを示す速度データを前記記憶装置に記憶し、
前記車両速度計算装置は、さらに、
前記速度計算部が前記記憶装置に記憶した速度データを前記処理装置により分析する速度データ分析部を備えることを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の車両速度計算装置。
【請求項8】
記憶装置が、飛行体に搭載されたレーダにより、道路が敷設された地表面を観測して得られた観測データを記憶し、
処理装置が、前記記憶装置に記憶された観測データから、前記道路の近傍に存在する車両を検出し、
前記処理装置が、前記道路の位置と前記検出した車両の前記観測データにおける位置との間の距離を計算し、
前記処理装置が、前記計算した距離に基づいてドップラシフト量を推定し、
前記処理装置が、前記推定したドップラシフト量を前記検出した車両の速度へ換算することを特徴とする車両速度計算方法。
【請求項9】
飛行体に搭載されたレーダにより、道路が敷設された地表面を観測して得られた観測データを予め記憶する記憶装置と、データ処理を行う処理装置とを具備するコンピュータにより実行される車両速度計算プログラムであって、
前記記憶装置に記憶された観測データから、前記道路の近傍に存在する車両を前記処理装置により検出する車両検出処理と、
前記道路の位置と前記車両検出処理が検出した車両の前記観測データにおける位置との間の距離を前記処理装置により計算し、計算した距離に基づいてドップラシフト量を推定するドップラシフト量推定処理と、
前記ドップラシフト量推定処理が推定したドップラシフト量を前記車両検出処理が検出した車両の速度へ前記処理装置により換算する速度計算処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする車両速度計算プログラム。
【請求項10】
前記記憶装置は、前記観測データとして、前記レーダにより前記地表面を異なる時刻に観測して得られた複数の観測データを予め記憶し、
前記車両速度計算プログラムは、さらに、
前記記憶装置に記憶された複数の観測データの差分を前記処理装置により抽出し、抽出した差分を示す差分データを前記記憶装置に記憶する差分抽出処理をコンピュータに実行させ、
前記車両検出処理は、前記差分抽出処理が前記記憶装置に記憶した差分データから、前記道路の近傍に存在する車両を検出することを特徴とする請求項9に記載の車両速度計算プログラム。
【請求項11】
前記車両速度計算プログラムは、さらに、
前記記憶装置に記憶された複数の観測データを前記処理装置によりオルソ補正する観測データ補正処理をコンピュータに実行させ、
前記差分抽出処理は、前記差分として、前記観測データ補正処理がオルソ補正した複数の観測データの差分を抽出することを特徴とする請求項10に記載の車両速度計算プログラム。
【請求項12】
前記車両検出処理は、前記道路の近傍に存在する車両として、前記道路の位置から、所定の速度の車両について生じるドップラシフト量に対応する距離以内の車両を検出することを特徴とする請求項9から11までのいずれかに記載の車両速度計算プログラム。
【請求項13】
前記記憶装置は、さらに、前記飛行体の速度Vと前記飛行体の高度Rと前記レーダのオフナディア角θとを予め記憶し、
前記ドップラシフト量推定処理は、さらに、前記車両検出処理が検出した車両の前記観測データにおける位置から前記飛行体の進行方向と平行に引いた直線と前記道路とがなす角度αを前記処理装置により計算し、
前記速度計算処理は、前記記憶装置に記憶された速度Vと高度Rとオフナディア角θと前記ドップラシフト量推定処理が計算した角度αとを用いて前記ドップラシフト量推定処理が推定したドップラシフト量Xを前記車両検出処理が検出した車両の速度VTへ換算することを特徴とする請求項9から12までのいずれかに記載の車両速度計算プログラム。
【請求項14】
前記速度計算処理は、VT=−(X×V)/R/sinθ/sinαを計算して、前記車両検出処理が検出した車両の速度VTを求めることを特徴とする請求項13に記載の車両速度計算プログラム。
【請求項15】
前記車両検出処理は、前記記憶装置に記憶された観測データから、前記道路の近傍に存在する車両を複数検出し、
前記速度計算処理は、前記車両検出処理が検出した車両ごとに速度を求め、前記車両検出処理が検出した車両の数とそれぞれの速度とを示す速度データを前記記憶装置に記憶し、
前記車両速度計算プログラムは、さらに、
前記速度計算処理が前記記憶装置に記憶した速度データを前記処理装置により分析する速度データ分析処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項9から14までのいずれかに記載の車両速度計算プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−230373(P2010−230373A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76199(P2009−76199)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(591102095)三菱スペース・ソフトウエア株式会社 (148)
【Fターム(参考)】