車両骨格構造
【課題】車両骨格構造において、骨格部材の捩じり強度を向上させる。
【解決手段】センターピラー20の中間部分に車両幅方向外側から内側へ向かう入力が側突等により作用すると、センターピラー20に結合されるロッカー10は捩じり入力を受け、ロッカー10の各外面に圧縮応力が作用して波打つ様に変形する方向となるが、圧縮応力の作用方向に沿って延びるビード28を各外面に設けて補強することで、外面の変形が抑制され、ロッカー10の断面崩れが抑制される。その結果、センターピラー20のロッカー10の捩じれ方向への変形が抑えられ、ロッカー10に結合されるセンターピラー20の車室内側へ凸となる変形が抑えられる。これにより、側突時のセンターピラー20の車室内側への進入量を抑えることができる。
【解決手段】センターピラー20の中間部分に車両幅方向外側から内側へ向かう入力が側突等により作用すると、センターピラー20に結合されるロッカー10は捩じり入力を受け、ロッカー10の各外面に圧縮応力が作用して波打つ様に変形する方向となるが、圧縮応力の作用方向に沿って延びるビード28を各外面に設けて補強することで、外面の変形が抑制され、ロッカー10の断面崩れが抑制される。その結果、センターピラー20のロッカー10の捩じれ方向への変形が抑えられ、ロッカー10に結合されるセンターピラー20の車室内側へ凸となる変形が抑えられる。これにより、側突時のセンターピラー20の車室内側への進入量を抑えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両骨格構造に係り、特に、捩じり入力による骨格部材の断面崩れを抑制することで、捩じり強度を効率的に向上させることを可能とする車両骨格構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の車体側面への衝突時(側面衝突時)の衝撃荷重によるロッカーの断面変形を抑えるために、ロッカー断面内に補強部材を設けることが提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−199132
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、側面衝突に対し、上記の様な補強部材を設けた場合でも、センターピラーからの曲げ入力や引張入力によるロッカーの捩じりによって発生する剪断応力により断面崩れが起こると、ロッカーを構成している部材の本来の耐力が低下してしまうことが懸念される。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、側面衝突等の入力による骨格部材の断面崩れを抑制し、骨格部材の捩じり強度を向上可能な車両骨格構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、中空かつ長尺状に形成された一方の骨格部材と、前記一方の骨格部材の長手軸方向中間部に一端が結合され、前記一方の骨格部材の長手軸方向とは交差する方向に延びる他方の骨格部材と、を備え、前記一方の骨格部材が前記他方の骨格部材から捩じり入力を受ける車両骨格構造であって、前記一方の骨格部材には、前記一方の骨格部材の長手軸方向に対して傾斜する方向でかつ圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられている。
【0007】
次に、請求項1に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
中空かつ長尺状に形成された一方の骨格部材と、一方の骨格部材の長手軸方向中間部に一端が結合され、一方の骨格部材の長手軸方向とは交差する方向に延びる他方の骨格部材と、を備えた車両骨格構造において、他方の骨格部材が外力を受け、一方の骨格部材が他方の骨格部材から捩じり入力を受けると、一方の骨格部材には、外面に沿って剪断力が発生すると共にこの剪断力によって圧縮応力も発生する。
【0008】
なお、剪断が発生している面においては、剪断方向とは傾斜する方向に圧縮応力が発生することは一般的に知られている事項である。
ここで、一方の骨格部材は中空であるため、一方の骨格部材の外面に大きな圧縮応力が作用してこの圧縮応力に耐え切れなくなると、外面が波打ち変形(一種の座屈)し、断面崩れを起こすことに繋がる。
【0009】
一方の骨格部材が断面崩れを起こすと、一方の骨格部材が他方の骨格部材を支えきれなくなり、他方の骨格部材の一方の骨格部材の捩じれ方向への変形が助長されることに繋がる。
【0010】
請求項1の車両骨格部材では、一方の骨格部材に圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられているため、補強部は一方の骨格部材に圧縮応力が作用した際の外面の変形を抑制して一方の骨格部材の断面崩れを抑制し、一方の骨格部材の捩じり強度が向上する。その結果、他方の骨格部材の一方の骨格部材の捩じれ方向への変形が抑えられる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、一方の骨格部材と、前記一方の骨格部材の長手軸方向中間部に一端が結合され、前記一方の骨格部材の長手軸方向とは交差する方向に延びる中空かつ長尺状に形成された他方の骨格部材と、を備え、前記他方の骨格部材が前記一方の骨格部材から捩じり入力を受ける車両骨格構造であって、前記他方の骨格部材には、前記他方の骨格部材の長手軸方向に対して傾斜する方向でかつ圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられている。
【0012】
次に、請求項2に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
一方の骨格部材と、一方の骨格部材の長手軸方向中間部に一端が結合され、一方の骨格部材の長手軸方向とは交差する方向に延びる中空かつ長尺状に形成された他方の骨格部材と、を備えた車両骨格構造において、一方の骨格部材からの入力により他方の骨格部材が捩じり入力を受けると、他方の骨格部材には、外面に沿って剪断力が発生すると共にこの剪断力によって圧縮応力も発生する。
【0013】
ここで、他方の骨格部材は中空であるため、他方の骨格部材の外面に大きな圧縮応力が作用し、この圧縮応力に耐え切れなくなると、外面が波打ち変形(一種の座屈)し、断面崩れを起こすことに繋がる。
【0014】
他方の骨格部材が断面崩れを起こすと、他方の骨格部材が一方の骨格部材を支えきれなくなり、一方の骨格部材の他方の骨格部材の捩じれ方向への変形が助長されることに繋がる。
【0015】
請求項2の車両骨格部材では、他方の骨格部材に、圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられているため、補強部が他方の骨格部材に圧縮応力が作用した際の外面の変形を抑制して他方の骨格部材の断面崩れを抑制し、他方の骨格部材の捩じり強度が向上する。その結果、一方の骨格部材の他方の骨格部材の捩じれ方向への変形が抑えられる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両骨格構造において、前記一方の骨格部材は、少なくとも2つの稜線を有すると共に稜線間に平面部分を有し、前記平面部分に前記補強部が設けられている。
【0017】
次に、請求項3に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
請求項3に記載の車両骨格構造では、一方の骨格部材において、稜線間の平面部分に圧縮応力が作用した際の平面部分の変形を補強部で抑制できる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の車両骨格構造において、前記他方の骨格部材は、少なくとも2つの稜線を有すると共に稜線間に平面部分を有し、前記平面部分に前記補強部が設けられている
【0019】
次に、請求項4に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
請求項4に記載の車両骨格構造では、他方の骨格部材において、稜線間の平面部分に圧縮応力が作用した際の平面部分の変形を補強部で抑制できる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項3に記載の車両骨格構造において、前記一方の骨格部材が車両のロッカーであり、前記他方の骨格部材が前記車両のセンターピラーである。
【0021】
次に、請求項5に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
例えば、側突等により、センターピラーに車両幅方向外側から内側へ向かう入力が作用すると、センターピラーに結合されるロッカーは捩じり入力を受けることになり、ロッカーには外面に沿って剪断力が発生し、その剪断力によって圧縮応力が発生することになる。
【0022】
請求項5に記載の車両骨格構造では、ロッカーに圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられているため、ロッカーに圧縮応力が作用した際の外面の変形を抑制してロッカーの断面崩れを補強部が抑制し、その結果、センターピラーのロッカーの捩じれ方向への変形が抑えられる。
【0023】
例えば、側突時に、センターピラーは車室内側へ変形しようとするが、補強部によってロッカーの断面崩れが抑えられるので、ロッカーに結合されるセンターピラーの車室内側への変形が抑えられる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の車両骨格構造において、前記ロッカーの車両幅方向外側面に設けられる前記センターピラーに最も近い前記補強部は、前記センターピラー側の端部が、前記センターピラーと前記ロッカーとの結合部分の下側に配置されている。
【0025】
次に、請求項6に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
ロッカーとセンターピラーとが接合された車両骨格構造において、センターピラーに最も近い補強部のセンターピラー側の端部を、センターピラーとロッカーとの結合部分の下側に配置することで、圧縮応力により最も変形し易い部分を、補強部でもって効率的に補強することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明は、請求項1または請求項3に記載の車両骨格構造において、前記一方の骨格部材が車両のルーフサイドレールであり、前記他方の骨格部材が前記車両のセンターピラーである。
【0027】
次に、請求項7に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
例えば、側突等により、センターピラーに車両幅方向外側から内側へ向かう入力が作用すると、センターピラーに結合されるルーフサイドレールは捩じり入力を受けることになり、ルーフサイドレールには外面に沿って剪断力が発生し、その剪断力によって圧縮応力が発生することになる。
【0028】
請求項7に記載の車両骨格構造では、ルーフサイドレールに圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられているため、ルーフサイドレールに圧縮応力が作用した際の外面の変形を補強部が抑制してルーフサイドレールの断面崩れが抑制され、その結果、センターピラーのルーフサイドレールの捩じれ方向への変形が抑えられる。
【0029】
例えば、側突時に、センターピラーは車室内側へ変形しようとするが、補強部によってルーフサイドレールの断面崩れが抑えられるので、ルーフサイドレールに結合されるセンターピラーの車室内側への変形が抑えられる。
【0030】
請求項8に記載の発明は、請求項2または請求項4に記載の車両骨格構造において、前記一方の骨格部材が車両のロッカーであり、前記他方の骨格部材が前記車両のフロアクロスメンバである。
【0031】
次に、請求項8に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
例えば、前突等により、ロッカーに車両前方から車両後方へ向かう入力が作用すると、ロッカーに結合されるフロアクロスメンバが、ロッカーから捩じり入力を受ける場合がある。
【0032】
フロアクロスメンバがロッカーから捩じり入力を受けると、フロアクロスメンバには外面に沿って剪断力が発生し、その剪断力によって圧縮応力が発生することになる。
【0033】
請求項8に記載の車両骨格構造では、フロアクロスメンバに圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられているため、フロアクロスメンバに圧縮応力が作用した際の外面の変形を補強部が抑制してフロアクロスメンバの断面崩れが抑制され、その結果、ロッカーのフロアクロスメンバの捩じれ方向への変形が抑えられる。
【0034】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の車両骨格構造において、前記補強部がビードである。
【0035】
次に、請求項9に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
請求項9に記載の車両骨格構造では、ビードが圧縮応力による変形を抑える。
骨格部材が鋼板のプレス成形品である場合、プレス用の金型に予めビードを形成するための凹凸を形成しておくことで、骨格部材に補強部としてのビードを容易、かつ効率的に形成することができる。
【0036】
請求項10に記載の発明は、請求項1,3,5,6,7の何れか1項に記載の車両骨格構造において、前記補強部は、前記一方の骨格部材と前記他方の骨格部材との接合部分を境にして前記一方の骨格部材の長手方向両側に放射方向に形成されている。
【0037】
次に、請求項10に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
一方の骨格部材の長手方向中間部分に他方の骨格部材が接合されている車両骨格構造において、一方の骨格部材が他方の骨格部材から捩じり変形を受けると、一方の骨格部材には、接合部の両側に放射方向に圧縮応力が発生する。
請求項10に記載の車両骨格構造では、一方の骨格部材と他方の骨格部材との接合部分を境にして一方の骨格部材の長手方向両側に放射方向に形成された補強部が、接合部の両側にて一方の骨格部材の捩じれ変形を抑える。
【0038】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の車両骨格構造において、前記補強部は骨格部材長手軸方向に対して45°±10°で傾斜している。
【0039】
次に、請求項11に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
捩じれ変形する骨格部材には、長手軸方向に直交する方向の剪断が発生するので、剪断力の作用している面においては、骨格部材の長手軸方向に対して45°方向に圧縮応力が発生するので、補強部の傾斜角度は骨格部材長手軸方向に対して45°±10°の範囲内に設定することが好ましい。なお、45°±10°から外れると、当然ながら、補強部は圧縮応力による骨格部材の変形を抑える能力が低下する。
【0040】
請求項12に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の車両骨格構造において、前記補強部は前記稜線に連結されている。
【0041】
次に、請求項12に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
例えば、骨格部材の断面形状が矩形等で、稜線、即ち、断面形状で見て角部を有する場合、角部分は他の部分(平面部分)よりも剛性が高い。したがって、補強部の端部を剛性の高い角部に接続することで、補強部の端部を角部に接続しない場合に比較して圧縮応力に対する補強効果を高めることが出来る。
【発明の効果】
【0042】
以上説明したように請求項1記載の車両骨格構造によれば、一方の骨格部材に圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられているため、一方の骨格部材の捩じり強度を効果的に向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0043】
請求項2に記載の車両骨格構造によれば、他方の骨格部材に圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられているため、他方の骨格部材の捩じり強度を効果的に向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0044】
請求項3に記載の車両骨格構造によれば、一方の骨格部材において、平面部分に圧縮応力が作用した際の平面部分の変形を効果的に抑制することができる。
【0045】
請求項4に記載の車両骨格構造によれば、他方の骨格部材において、平面部分に圧縮応力が作用した際の平面部分の変形を効果的に抑制することができる。
【0046】
請求項5に記載の車両骨格構造によれば、側突時のロッカーの断面崩れを抑制することで、センターピラーの車室内側への変形が抑制され、衝突性能の向上を図ることができる。
【0047】
請求項6に記載の車両骨格構造によれば、ロッカーのセンターピラー付近で圧縮応力によって最も変形しやすい部位を補強部で効果的に補強することができ、圧縮応力による断面崩れを効果的に抑制することができる。
【0048】
請求項7に記載の車両骨格構造によれば、側突時のルーフサイドレールの断面崩れを抑制することで、センターピラーの車室内側への変形が抑制され、衝突性能の向上を図ることができる。
【0049】
請求項8に記載の骨格部構造によれば、ロッカーからの入力によるフロアクロスメンバの断面崩れを効果的に抑制することができる。
【0050】
請求項9に記載の骨格部構造によれば、ビードによって骨格部材の補強が行われ、骨格部材の断面崩れが抑制される。また、ビードは骨格部材にプレス成形で簡単に形成できる。
【0051】
請求項10に記載の骨格部構造によれば、一方の骨格部材と他方の骨格部材との接合部分を境にして一方の骨格部材の長手方向両側に放射方向に補強部が形成されているので、接合部の両側にて一方の骨格部材の捩じれ変形を効果的に抑えることができる。
【0052】
請求項11に記載の骨格部構造によれば、補強部の延びる方向が圧縮応力の方向に略一致し、圧縮応力による骨格部材の変形を効果的に抑制することができる。
【0053】
請求項12に記載の骨格部構造によれば、骨格部材の剛性の高い部位である稜線に補強部を連結することで、補強効果を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施形態におけるロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す斜視図である。
【図2】ロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す車両外側から見た正面図である。
【図3】ロッカーの下面部分、及び車室側の側面部分を示す斜視図である。
【図4】(A)は変形前のロッカー及びセンターピラーの斜視図であり、(B)は側突により変形したロッカー及びセンターピラーの斜視図である。
【図5】その他の実施形態に係るロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す斜視図である。
【図6】リブで補強されたその他の実施形態に係るロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す斜視図である。
【図7】その他の実施形態に係るロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す車両外側から見た正面図である。
【図8】その他の実施形態に係る合成樹脂で形成されたロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す斜視図である。
【図9】ビードの傾斜角度が異なるその他の実施形態に係るロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す車両外側から見た正面図である。
【図10】丸パイプで形成されたロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す斜視図である。
【図11】ルーフサイドレールとセンターピラーとの結合部分周辺を示す斜視図である。
【図12】ロッカーとフロントフロアクロスメンバとの結合部分周辺を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
[第1の実施形態]
以下、図1〜図5を用いて、本発明の車両骨格構造の適用されたボディー構造の第1の実施形態を説明する。なお、図中、矢印Frは車両前側方向、矢印INは車両幅方向内側方向、矢印UPは車両上方向を示している。
【0056】
図1に示されるように、車体11の側部の下端部には、車両前後方向を長手軸方向として配置されるロッカー10が配設されている。
本実施形態のロッカー10は、構成要素的には、車室外側に配置される鋼板のプレス成形品からなるロッカーウタパネル12と、このロッカーウタパネル12の車室内側に配置されてロッカーウタパネル12とで略方形閉断面を形成するロッカーインナパネル16と、によって構成されている。
【0057】
ロッカーウタパネル12は、断面視で車両幅方向に略平行に配置される上面部12A及び下面部12Bと、これの上面部12A及び下面部12Bの外端同士を繋ぐ側面部12Cと、上面部12A及び下面部12Bの内端から互いに離反する方向へ屈曲された上端フランジ部12D及び下端フランジ部12Eと、を含む断面略ハット形状に形成されている。
【0058】
同様に、ロッカーインナパネル16も、上面部16A及び下面部16Bと、側面部16Cと、上端フランジ部16D及び下端フランジ部16Eと、を含む断面略ハット形状に形成されている。
【0059】
そして、これらの各上端フランジ部12D、16D同士及び下端フランジ部12E、16E同士がそれぞれ2枚重ねに重合された状態で、各々スポット溶接されることにより、ロッカーウタパネル12、及びロッカーインナパネル16の2者が一体化されてロッカー10を構成している。
【0060】
上述したロッカー10の長手軸方向中間部にはセンターピラー20の下端部が接続されている。
センターピラー20は、センターピラー20の車幅方向外側部を構成するセンターピラーアウタ22と、センターピラー20の車幅方向内側部を構成するセンターピラーインナ24とで閉断面構造とされている。
【0061】
センターピラーアウタ22の長手軸方向直角断面形状は、開口部を車幅方向内側に向けたハット状とされており、開口部の前後両端縁部には、接合フランジ22A、22Bが形成されている。
【0062】
一方、センターピラーインナ24の長手軸方向直角断面形状は、開口部を車幅方向外側に向けたハット状とされており、開口部の前後両端縁部には、接合フランジ24A、24Bが形成されている。
【0063】
なお、センターピラーアウタ22の接合フランジ22A、22Bが、それぞれセンターピラーインナ24の接合フランジ24A、24Bに溶接等によって接合されている。
【0064】
センターピラーアウタ22の車両幅方向外側面の下端部分22Cは、ロッカーウタパネル12の側面部12Cに重ね合わされて複数箇所でスポット溶接(図中、「×」は、打点を示す)26されている。また、センターピラーアウタ22の車両前側面の下端部分22D、及び車両後側面の下端部分22Eは、各々ロッカーウタパネル12の上面部12Aに複数箇所でスポット溶接26されている。
【0065】
図1〜3に示すように、ロッカーウタパネル12の上面部12A、下面部12B、及び側面部12Cと、ロッカーインナパネル16の上面部16A、下面部16B、及び側面部16Cには、各々補強部としてのビード28が形成されている。
【0066】
先ず、ロッカーウタパネル12の上面部12Aに形成されるビード28は、ロッカー長手軸方向に対して45°(図中θ)で傾斜して延びており、車両幅方向外側端がセンターピラー20に近接して配置され、車両幅方向内側端がセンターピラー20から離れる方向に配置される方向に傾斜している。また、本実施形態では、上面部12Aに形成されるビード28は、車両幅方向外側端がロッカー角部(稜線)に接続され、車両幅方向内側端がフランジ部分に接続されている。
【0067】
ロッカーウタパネル12の側面部12Cに形成されるビード28は、ロッカー長手軸方向に対して45°(図中θ)で傾斜して延びており、下端がセンターピラー20の軸線に対して近接して配置され、上端がセンターピラー20の軸線から離れる方向に配置される方向に傾斜している。
【0068】
図2に示すように、側面部12Cに形成されるセンターピラー20に最も近いビード28の下端は、本実施形態では、センターピラーアウタ22の車両幅方向外側面とロッカーウタパネル12の側面部12Cとのセンターピラー幅方向(ロッカー長手軸方向)最外側のスポット溶接26の直下に位置している。
【0069】
図1〜3に示すように、本実施形態では、側面部12Cに形成されるビード28は、上端及び下端が共にロッカー角部(稜線)に接続されている。
ロッカーウタパネル12の下面部12Bに形成されるビード28は、ロッカー長手軸方向に対して45°(図中θ)で傾斜して延びており、上面部12Aに形成されるビード28とは反対方向に傾斜している。また、本実施形態では、下面部12Bに形成されるビード28は、車両幅方向外側端がロッカー角部(稜線)に接続され、車両幅方向内側端がフランジ部分に接続されている。
【0070】
なお、本実施形態では、ロッカーウタパネル12の上面部12Aに形成されるビード28、側面部12Cに形成されるビード28、及び下面部12Bに形成されるビード28は、各々位相をずらして配置しているが、各面のビード28が各々連続するように接続しても良い。
【0071】
一方、ロッカーインナパネル16の上面部16Aに形成されるビード28は、ロッカー長手軸方向に対して45°(図中θ)で傾斜して延びており、ロッカーウタパネル12の上面部12Aに形成されたビード28の延長線上に配置されている。また、本実施形態では、上面部16Aに形成されるビード28は、車両幅方向外側端がフランジ部分に接続され、車両幅方向内側端がロッカー角部(稜線)に接続されている。
【0072】
ロッカーインナパネル16の側面部16Cに形成されるビード28は、ロッカー長手軸方向に対して45°で傾斜して延びており、ロッカーインナパネル16の側面部16Cに形成されるビード28とは反対方向に傾斜している。また、本実施形態では、側面部16Cに形成されるビード28は、上端及び下端が共にロッカー角部(稜線)に接続されている。
【0073】
ロッカーインナパネル16の下面部16Bに形成されるビード28は、ロッカー長手軸方向に対して45°(図中θ)で傾斜して延びており、上面部16Aに形成されるビード28とは反対方向に傾斜している。また、本実施形態では、下面部16Bに形成されるビード28は、車両幅方向外側端がフランジ部分に接続され、車両幅方向内側端がロッカー角部(稜線)に接続されている。
【0074】
なお、本実施形態では、ロッカーインナパネル16の上面部16Aに形成されるビード28、側面部16Cに形成されるビード28、及び下面部16Bに形成されるビード28は、各々位相をずらして配置しているが、各々を連続させて連結しても良い。
【0075】
これら各ビード28の長手軸方向は、側突時、センターピラー20に車両幅方向内側へ向か衝撃が入力してロッカー10が捩じれ入力を受けた際に、ロッカー10のビード28の形成されている面に発生する圧縮応力の方向に一致させている。
【0076】
なお、本実施形態のビード28は、プレス成形によってロッカー内側に向けて凸に形成されているものであるが、場合によってはロッカー外側に向けて凸に形成されたものでも良い。また、ビード28の長手軸方向直角断面形状は、本実施形態では略V字形状であるが、U字形状、半円弧形状、台形等、従来公知の他の断面形状であっても良い。
【0077】
(作用)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
先ず、従来構造では、図4(A)に示すように、センターピラー20の中間部分に車両幅方向外側から内側へ向かう入力(図4の矢印A)が側突等により作用すると、センターピラー20に結合されるロッカー10は捩じり入力を受け、図4(B)に示すように変形する。
【0078】
これにより、ロッカー10の外面には、センターピラー20の側方において、図5に模式的に記載するように剪断力Cがロッカー長手軸方向に対して直行する方向に発生し、その剪断力Cによって、ロッカー長手軸方向に対して45°方向に圧縮応力Dが発生する。
【0079】
本実施形態の車両骨格構造では、ロッカー10の各面に、圧縮応力Dの作用方向に沿って延びるビード28を設けて圧縮応力Dに対抗する補強を行っているため、圧縮応力Dが作用した際の外面の変形が抑制され、ロッカー10の断面崩れが抑制される。
【0080】
その結果、センターピラー20のロッカー10の捩じれ方向への変形が抑えられ、ロッカー10に結合されるセンターピラー20の車室内側へ凸となる変形が抑えられる。これにより、側突時のセンターピラー20の車室内側への進入量が抑えられる。
【0081】
本実施形態では、ロッカー10を成形する際に同時にビード28を形成するという簡単な構成でもって、ロッカー10の厚みを増やす、補強部材を別途付け加える、強度の強い材料を用いる等をせずにロッカー10の断面崩れを抑制できるので、車両の重量増加、コストアップを招かない。
【0082】
なお、本実施形態では、各ビード28をロッカー長手軸方向に対して45°で傾斜させたが、傾斜角度は45°に限定されるものではなく、45°±10°の範囲内であれば十分に圧縮変形を抑えることは可能である。
【0083】
ビード28の延びる方向は、圧縮応力Dの方向に一致させることが基本であり、これにより、最も効率的に圧縮応力Dによる変形を抑えることができる。
本実施形態では、各ビード28をロッカー長手軸方向に対して45°で傾斜させたが、部位によってはロッカー長手軸方向に対する圧縮応力Dの方向が45°でない場合も想定される。したがって、試作品で実験を行う、コンピュータシミュレーションを行う等して、圧縮応力Dの方向を見極めてからビード28の延びる方向を決定することが好ましい。
【0084】
また、本実施形態の様に、断面形状が矩形とされたロッカー10においては、角部(稜線)の剛性が他の部分(平面部分)よりも高い。本実施形態では、各ビード28の端部を剛性の高い角部(稜線)に接続しているので、ビード28の端部を角部(稜線)に接続しない場合に比較して圧縮応力Dに対する補強効果を高めることが出来る。
【0085】
[第2の実施形態]
以下、図6を用いて、本発明の車両骨格構造の適用されたボディー構造の第2の実施形態を説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符合を付し、その説明は省略する。
【0086】
図6に示されるように、センターピラー20の上端部は、車体側部の上端部に車両前後方向に沿って配置されるルーフサイドレール30のルーフサイドアウタパネル31の下端側に接続されている。
【0087】
ルーフサイドアウタパネル31には、ルーフサイドアウタパネル31の長手軸方向に対して45°(図中θ)で傾斜して延びるビード28がルーフサイドレール30の両側に複数形成されている。
各ビード28は、上端がセンターピラー20に近接する方向、下端がセンターピラー20から離れる方向に配置される方向に傾斜している。
【0088】
本実施形態においても、これら各ビード28の長手軸方向は、側突時、センターピラー20に車両幅方向内側へ向か衝撃が入力してルーフサイドレール30が捩じれ入力を受けた際に、ルーフサイドレール30のビード28の形成されている面に発生する圧縮応力の方向に一致させている。
【0089】
側突等により、センターピラー20の中間部分に車両幅方向外側から内側へ向かう入力(図の矢印A)が作用すると、センターピラー20に結合されるルーフサイドレール30は捩じり入力を受ける。
【0090】
これにより、ルーフサイドレール30の外面には剪断力が発生し、その剪断力によって圧縮応力Dが発生する。本実施形態では、ルーフサイドレール30に圧縮応力Dの作用方向に沿って延びるビード28を設けて圧縮応力Dに対抗する補強を行っているため、圧縮応力Dが作用した際の外面の変形が抑制され、ルーフサイドレール30の断面崩れが抑制される。
【0091】
その結果、センターピラー20のルーフサイドレール30の捩じれ方向への変形が抑えられ、ルーフサイドレール30に結合されるセンターピラー20の車室内側へ凸となる変形が抑えられる。これにより、側突時のセンターピラー20の車室内側への進入量が抑えられる。
なお、ロッカー10とルーフサイドレール30の両方にビード28を設けることで、側突時のセンターピラー20の車室内側への進入量がより一層抑えられる。
【0092】
[第3の実施形態]
以下、図7を用いて、本発明の車両骨格構造の適用されたボディー構造の第3の実施形態を説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符合を付し、その説明は省略する。
【0093】
上述したロッカーインナパネル16には、車両幅方向を長手軸方向として配置されるフロントフロアクロスメンバ32の長手軸方向の端部がスポット溶接26により固着されている。
フロントフロアクロスメンバ32は、前面部32A、上面部32B、後面部32C、及びフランジ32Dを備え、車両下方側が開放された断面略ハット形状に形成されている。
【0094】
本実施形態の車両骨格構造では、前突時(前突入力E)、図示しないフロントタイヤが車両後方側へ移動した際に、ロッカー10は車両前方側が上方へ移動する方向の力を受け、その結果、フロントフロアクロスメンバ32にはフロントフロアクロスメンバ32の軸心(図中Y軸)回りの捩じりモーメントMが発生するものである。
【0095】
この捩じりモーメントMの発生により、フロントフロアクロスメンバ32には剪断力が発生し、この剪断力によってフロントフロアクロスメンバ32の長手軸方向に対して傾斜する方向の圧縮応力Dが発生する。
【0096】
本実施形態では、フロントフロアクロスメンバ32が捩じり入力を受けた際の圧縮応力Dに対抗するために、フロントフロアクロスメンバ32の前面部32A、上面部32B、及び後面部32Cに、圧縮応力Dの作用方向に沿って延びるビード28をフロントフロアクロスメンバ32の各面に形成しているため、前突時のフロントフロアクロスメンバ32の断面崩れが抑えられ、フロントフロアクロスメンバ32に結合されるロッカー10の移動量が抑えられ、衝突性能向上を図ることができる。
【0097】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、補強部としてビード28を採用したが、本発明はこれに限らず、同等の補強機能を有する構成であればすべて適用可能である。例えば、図8に示すように、ロッカー10の平面部分の内面(または外面)に、ビード28の代わりとして断面山形に屈曲させた別部品としてのリブ34を溶接等で接合しても良い。この例では、既存のロッカー10に対して、リブ34を追加するのみで簡単にロッカー10の補強ができる。
また、ビード28をロッカー10の角部(稜線)に接続すると、ロッカー長手軸方向にのびる角部が分断されてしまうが、リブ34で補強する場合には、ロッカー長手軸方向にのびる角部が分断されることは無く、ロッカー10の軸方向の強度(座屈、曲げ)を確保することができる。
【0098】
第1の実施形態では、ビード28の端部がロッカー10の角部(稜線)に連結されていたが、図9に示すように、ビード28の端部をロッカー10の角部に接続させない構成としても良い。ビード28の端部をロッカー10の角部に接続させないことで、角部(稜線)は、分断されることなく連続して延びる形状となり、ロッカー10の長手軸方向からの入力に対するロッカー10の剛性を高く維持することができ、座屈に対して強くなる。
【0099】
第1の実施形態では、ロッカー10、及びセンターピラー20の断面形状が略矩形であったが、矩形以外の形状、例えば、図10に示すように、ビード28を形成する部材の断面形状は円形等であっても良い。ビード28を形成する部材の断面形状が円形の場合、ビード28は、圧縮応力Dの方向に沿って螺旋状に形成しても良い。
【0100】
上記実施形態では、全てのビード28が同一角度で傾斜していたが、図11に示すように、ビード毎に傾斜角度を変えても良い。
【0101】
大きな圧縮応力が作用する部位には、小さな圧縮応力が作用する部位に比較して単位面積当たりのビード28の本数を多く配置しても良い。
【0102】
上記実施形態では、ロッカー10、及びセンターピラー20が鋼板である場合を説明したが、車両骨格部材がアルミニューム合金等の非鉄金属で形成されていても良く、炭素繊維等の繊維で強化された合成樹脂で形成されていても良い。
【0103】
例えば、ロッカー10、及びセンターピラー20が炭素繊維強化樹脂で形成されている場合には、上記実施形態の様にビードを形成しても良いが、ビードを形成する代わりに、図12に模式的に示すように、圧縮応力Dの方向に沿って繊維36を配置しても良い。
【0104】
上記実施形態では、ロッカー10、ルーフサイドレール30、及びフロントフロアクロスメンバ32をビード28で補強した例を説明したが、捩じれ入力によって発生する圧縮応力に沿って配置されるビード28は、これら以外の車両骨格部材にも適用可能である。
【符号の説明】
【0105】
10 ロッカー(骨格部材)
11 車体(車両骨格構造)
20 センターピラー(骨格部材)
28 ビード(補強部)
30 ルーフサイドレール(骨格部材)
31 ルーフサイドアウタパネル(骨格部材)
32 フロントフロアクロスメンバ(骨格部材、フロアクロスメンバ)
34 リブ(補強部)
36 繊維(補強部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両骨格構造に係り、特に、捩じり入力による骨格部材の断面崩れを抑制することで、捩じり強度を効率的に向上させることを可能とする車両骨格構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の車体側面への衝突時(側面衝突時)の衝撃荷重によるロッカーの断面変形を抑えるために、ロッカー断面内に補強部材を設けることが提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−199132
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、側面衝突に対し、上記の様な補強部材を設けた場合でも、センターピラーからの曲げ入力や引張入力によるロッカーの捩じりによって発生する剪断応力により断面崩れが起こると、ロッカーを構成している部材の本来の耐力が低下してしまうことが懸念される。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、側面衝突等の入力による骨格部材の断面崩れを抑制し、骨格部材の捩じり強度を向上可能な車両骨格構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、中空かつ長尺状に形成された一方の骨格部材と、前記一方の骨格部材の長手軸方向中間部に一端が結合され、前記一方の骨格部材の長手軸方向とは交差する方向に延びる他方の骨格部材と、を備え、前記一方の骨格部材が前記他方の骨格部材から捩じり入力を受ける車両骨格構造であって、前記一方の骨格部材には、前記一方の骨格部材の長手軸方向に対して傾斜する方向でかつ圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられている。
【0007】
次に、請求項1に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
中空かつ長尺状に形成された一方の骨格部材と、一方の骨格部材の長手軸方向中間部に一端が結合され、一方の骨格部材の長手軸方向とは交差する方向に延びる他方の骨格部材と、を備えた車両骨格構造において、他方の骨格部材が外力を受け、一方の骨格部材が他方の骨格部材から捩じり入力を受けると、一方の骨格部材には、外面に沿って剪断力が発生すると共にこの剪断力によって圧縮応力も発生する。
【0008】
なお、剪断が発生している面においては、剪断方向とは傾斜する方向に圧縮応力が発生することは一般的に知られている事項である。
ここで、一方の骨格部材は中空であるため、一方の骨格部材の外面に大きな圧縮応力が作用してこの圧縮応力に耐え切れなくなると、外面が波打ち変形(一種の座屈)し、断面崩れを起こすことに繋がる。
【0009】
一方の骨格部材が断面崩れを起こすと、一方の骨格部材が他方の骨格部材を支えきれなくなり、他方の骨格部材の一方の骨格部材の捩じれ方向への変形が助長されることに繋がる。
【0010】
請求項1の車両骨格部材では、一方の骨格部材に圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられているため、補強部は一方の骨格部材に圧縮応力が作用した際の外面の変形を抑制して一方の骨格部材の断面崩れを抑制し、一方の骨格部材の捩じり強度が向上する。その結果、他方の骨格部材の一方の骨格部材の捩じれ方向への変形が抑えられる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、一方の骨格部材と、前記一方の骨格部材の長手軸方向中間部に一端が結合され、前記一方の骨格部材の長手軸方向とは交差する方向に延びる中空かつ長尺状に形成された他方の骨格部材と、を備え、前記他方の骨格部材が前記一方の骨格部材から捩じり入力を受ける車両骨格構造であって、前記他方の骨格部材には、前記他方の骨格部材の長手軸方向に対して傾斜する方向でかつ圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられている。
【0012】
次に、請求項2に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
一方の骨格部材と、一方の骨格部材の長手軸方向中間部に一端が結合され、一方の骨格部材の長手軸方向とは交差する方向に延びる中空かつ長尺状に形成された他方の骨格部材と、を備えた車両骨格構造において、一方の骨格部材からの入力により他方の骨格部材が捩じり入力を受けると、他方の骨格部材には、外面に沿って剪断力が発生すると共にこの剪断力によって圧縮応力も発生する。
【0013】
ここで、他方の骨格部材は中空であるため、他方の骨格部材の外面に大きな圧縮応力が作用し、この圧縮応力に耐え切れなくなると、外面が波打ち変形(一種の座屈)し、断面崩れを起こすことに繋がる。
【0014】
他方の骨格部材が断面崩れを起こすと、他方の骨格部材が一方の骨格部材を支えきれなくなり、一方の骨格部材の他方の骨格部材の捩じれ方向への変形が助長されることに繋がる。
【0015】
請求項2の車両骨格部材では、他方の骨格部材に、圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられているため、補強部が他方の骨格部材に圧縮応力が作用した際の外面の変形を抑制して他方の骨格部材の断面崩れを抑制し、他方の骨格部材の捩じり強度が向上する。その結果、一方の骨格部材の他方の骨格部材の捩じれ方向への変形が抑えられる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両骨格構造において、前記一方の骨格部材は、少なくとも2つの稜線を有すると共に稜線間に平面部分を有し、前記平面部分に前記補強部が設けられている。
【0017】
次に、請求項3に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
請求項3に記載の車両骨格構造では、一方の骨格部材において、稜線間の平面部分に圧縮応力が作用した際の平面部分の変形を補強部で抑制できる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の車両骨格構造において、前記他方の骨格部材は、少なくとも2つの稜線を有すると共に稜線間に平面部分を有し、前記平面部分に前記補強部が設けられている
【0019】
次に、請求項4に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
請求項4に記載の車両骨格構造では、他方の骨格部材において、稜線間の平面部分に圧縮応力が作用した際の平面部分の変形を補強部で抑制できる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項3に記載の車両骨格構造において、前記一方の骨格部材が車両のロッカーであり、前記他方の骨格部材が前記車両のセンターピラーである。
【0021】
次に、請求項5に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
例えば、側突等により、センターピラーに車両幅方向外側から内側へ向かう入力が作用すると、センターピラーに結合されるロッカーは捩じり入力を受けることになり、ロッカーには外面に沿って剪断力が発生し、その剪断力によって圧縮応力が発生することになる。
【0022】
請求項5に記載の車両骨格構造では、ロッカーに圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられているため、ロッカーに圧縮応力が作用した際の外面の変形を抑制してロッカーの断面崩れを補強部が抑制し、その結果、センターピラーのロッカーの捩じれ方向への変形が抑えられる。
【0023】
例えば、側突時に、センターピラーは車室内側へ変形しようとするが、補強部によってロッカーの断面崩れが抑えられるので、ロッカーに結合されるセンターピラーの車室内側への変形が抑えられる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の車両骨格構造において、前記ロッカーの車両幅方向外側面に設けられる前記センターピラーに最も近い前記補強部は、前記センターピラー側の端部が、前記センターピラーと前記ロッカーとの結合部分の下側に配置されている。
【0025】
次に、請求項6に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
ロッカーとセンターピラーとが接合された車両骨格構造において、センターピラーに最も近い補強部のセンターピラー側の端部を、センターピラーとロッカーとの結合部分の下側に配置することで、圧縮応力により最も変形し易い部分を、補強部でもって効率的に補強することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明は、請求項1または請求項3に記載の車両骨格構造において、前記一方の骨格部材が車両のルーフサイドレールであり、前記他方の骨格部材が前記車両のセンターピラーである。
【0027】
次に、請求項7に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
例えば、側突等により、センターピラーに車両幅方向外側から内側へ向かう入力が作用すると、センターピラーに結合されるルーフサイドレールは捩じり入力を受けることになり、ルーフサイドレールには外面に沿って剪断力が発生し、その剪断力によって圧縮応力が発生することになる。
【0028】
請求項7に記載の車両骨格構造では、ルーフサイドレールに圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられているため、ルーフサイドレールに圧縮応力が作用した際の外面の変形を補強部が抑制してルーフサイドレールの断面崩れが抑制され、その結果、センターピラーのルーフサイドレールの捩じれ方向への変形が抑えられる。
【0029】
例えば、側突時に、センターピラーは車室内側へ変形しようとするが、補強部によってルーフサイドレールの断面崩れが抑えられるので、ルーフサイドレールに結合されるセンターピラーの車室内側への変形が抑えられる。
【0030】
請求項8に記載の発明は、請求項2または請求項4に記載の車両骨格構造において、前記一方の骨格部材が車両のロッカーであり、前記他方の骨格部材が前記車両のフロアクロスメンバである。
【0031】
次に、請求項8に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
例えば、前突等により、ロッカーに車両前方から車両後方へ向かう入力が作用すると、ロッカーに結合されるフロアクロスメンバが、ロッカーから捩じり入力を受ける場合がある。
【0032】
フロアクロスメンバがロッカーから捩じり入力を受けると、フロアクロスメンバには外面に沿って剪断力が発生し、その剪断力によって圧縮応力が発生することになる。
【0033】
請求項8に記載の車両骨格構造では、フロアクロスメンバに圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられているため、フロアクロスメンバに圧縮応力が作用した際の外面の変形を補強部が抑制してフロアクロスメンバの断面崩れが抑制され、その結果、ロッカーのフロアクロスメンバの捩じれ方向への変形が抑えられる。
【0034】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の車両骨格構造において、前記補強部がビードである。
【0035】
次に、請求項9に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
請求項9に記載の車両骨格構造では、ビードが圧縮応力による変形を抑える。
骨格部材が鋼板のプレス成形品である場合、プレス用の金型に予めビードを形成するための凹凸を形成しておくことで、骨格部材に補強部としてのビードを容易、かつ効率的に形成することができる。
【0036】
請求項10に記載の発明は、請求項1,3,5,6,7の何れか1項に記載の車両骨格構造において、前記補強部は、前記一方の骨格部材と前記他方の骨格部材との接合部分を境にして前記一方の骨格部材の長手方向両側に放射方向に形成されている。
【0037】
次に、請求項10に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
一方の骨格部材の長手方向中間部分に他方の骨格部材が接合されている車両骨格構造において、一方の骨格部材が他方の骨格部材から捩じり変形を受けると、一方の骨格部材には、接合部の両側に放射方向に圧縮応力が発生する。
請求項10に記載の車両骨格構造では、一方の骨格部材と他方の骨格部材との接合部分を境にして一方の骨格部材の長手方向両側に放射方向に形成された補強部が、接合部の両側にて一方の骨格部材の捩じれ変形を抑える。
【0038】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の車両骨格構造において、前記補強部は骨格部材長手軸方向に対して45°±10°で傾斜している。
【0039】
次に、請求項11に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
捩じれ変形する骨格部材には、長手軸方向に直交する方向の剪断が発生するので、剪断力の作用している面においては、骨格部材の長手軸方向に対して45°方向に圧縮応力が発生するので、補強部の傾斜角度は骨格部材長手軸方向に対して45°±10°の範囲内に設定することが好ましい。なお、45°±10°から外れると、当然ながら、補強部は圧縮応力による骨格部材の変形を抑える能力が低下する。
【0040】
請求項12に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の車両骨格構造において、前記補強部は前記稜線に連結されている。
【0041】
次に、請求項12に記載の車両骨格構造の作用を説明する。
例えば、骨格部材の断面形状が矩形等で、稜線、即ち、断面形状で見て角部を有する場合、角部分は他の部分(平面部分)よりも剛性が高い。したがって、補強部の端部を剛性の高い角部に接続することで、補強部の端部を角部に接続しない場合に比較して圧縮応力に対する補強効果を高めることが出来る。
【発明の効果】
【0042】
以上説明したように請求項1記載の車両骨格構造によれば、一方の骨格部材に圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられているため、一方の骨格部材の捩じり強度を効果的に向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0043】
請求項2に記載の車両骨格構造によれば、他方の骨格部材に圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられているため、他方の骨格部材の捩じり強度を効果的に向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0044】
請求項3に記載の車両骨格構造によれば、一方の骨格部材において、平面部分に圧縮応力が作用した際の平面部分の変形を効果的に抑制することができる。
【0045】
請求項4に記載の車両骨格構造によれば、他方の骨格部材において、平面部分に圧縮応力が作用した際の平面部分の変形を効果的に抑制することができる。
【0046】
請求項5に記載の車両骨格構造によれば、側突時のロッカーの断面崩れを抑制することで、センターピラーの車室内側への変形が抑制され、衝突性能の向上を図ることができる。
【0047】
請求項6に記載の車両骨格構造によれば、ロッカーのセンターピラー付近で圧縮応力によって最も変形しやすい部位を補強部で効果的に補強することができ、圧縮応力による断面崩れを効果的に抑制することができる。
【0048】
請求項7に記載の車両骨格構造によれば、側突時のルーフサイドレールの断面崩れを抑制することで、センターピラーの車室内側への変形が抑制され、衝突性能の向上を図ることができる。
【0049】
請求項8に記載の骨格部構造によれば、ロッカーからの入力によるフロアクロスメンバの断面崩れを効果的に抑制することができる。
【0050】
請求項9に記載の骨格部構造によれば、ビードによって骨格部材の補強が行われ、骨格部材の断面崩れが抑制される。また、ビードは骨格部材にプレス成形で簡単に形成できる。
【0051】
請求項10に記載の骨格部構造によれば、一方の骨格部材と他方の骨格部材との接合部分を境にして一方の骨格部材の長手方向両側に放射方向に補強部が形成されているので、接合部の両側にて一方の骨格部材の捩じれ変形を効果的に抑えることができる。
【0052】
請求項11に記載の骨格部構造によれば、補強部の延びる方向が圧縮応力の方向に略一致し、圧縮応力による骨格部材の変形を効果的に抑制することができる。
【0053】
請求項12に記載の骨格部構造によれば、骨格部材の剛性の高い部位である稜線に補強部を連結することで、補強効果を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施形態におけるロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す斜視図である。
【図2】ロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す車両外側から見た正面図である。
【図3】ロッカーの下面部分、及び車室側の側面部分を示す斜視図である。
【図4】(A)は変形前のロッカー及びセンターピラーの斜視図であり、(B)は側突により変形したロッカー及びセンターピラーの斜視図である。
【図5】その他の実施形態に係るロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す斜視図である。
【図6】リブで補強されたその他の実施形態に係るロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す斜視図である。
【図7】その他の実施形態に係るロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す車両外側から見た正面図である。
【図8】その他の実施形態に係る合成樹脂で形成されたロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す斜視図である。
【図9】ビードの傾斜角度が異なるその他の実施形態に係るロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す車両外側から見た正面図である。
【図10】丸パイプで形成されたロッカーとセンターピラーの結合部分周辺を示す斜視図である。
【図11】ルーフサイドレールとセンターピラーとの結合部分周辺を示す斜視図である。
【図12】ロッカーとフロントフロアクロスメンバとの結合部分周辺を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
[第1の実施形態]
以下、図1〜図5を用いて、本発明の車両骨格構造の適用されたボディー構造の第1の実施形態を説明する。なお、図中、矢印Frは車両前側方向、矢印INは車両幅方向内側方向、矢印UPは車両上方向を示している。
【0056】
図1に示されるように、車体11の側部の下端部には、車両前後方向を長手軸方向として配置されるロッカー10が配設されている。
本実施形態のロッカー10は、構成要素的には、車室外側に配置される鋼板のプレス成形品からなるロッカーウタパネル12と、このロッカーウタパネル12の車室内側に配置されてロッカーウタパネル12とで略方形閉断面を形成するロッカーインナパネル16と、によって構成されている。
【0057】
ロッカーウタパネル12は、断面視で車両幅方向に略平行に配置される上面部12A及び下面部12Bと、これの上面部12A及び下面部12Bの外端同士を繋ぐ側面部12Cと、上面部12A及び下面部12Bの内端から互いに離反する方向へ屈曲された上端フランジ部12D及び下端フランジ部12Eと、を含む断面略ハット形状に形成されている。
【0058】
同様に、ロッカーインナパネル16も、上面部16A及び下面部16Bと、側面部16Cと、上端フランジ部16D及び下端フランジ部16Eと、を含む断面略ハット形状に形成されている。
【0059】
そして、これらの各上端フランジ部12D、16D同士及び下端フランジ部12E、16E同士がそれぞれ2枚重ねに重合された状態で、各々スポット溶接されることにより、ロッカーウタパネル12、及びロッカーインナパネル16の2者が一体化されてロッカー10を構成している。
【0060】
上述したロッカー10の長手軸方向中間部にはセンターピラー20の下端部が接続されている。
センターピラー20は、センターピラー20の車幅方向外側部を構成するセンターピラーアウタ22と、センターピラー20の車幅方向内側部を構成するセンターピラーインナ24とで閉断面構造とされている。
【0061】
センターピラーアウタ22の長手軸方向直角断面形状は、開口部を車幅方向内側に向けたハット状とされており、開口部の前後両端縁部には、接合フランジ22A、22Bが形成されている。
【0062】
一方、センターピラーインナ24の長手軸方向直角断面形状は、開口部を車幅方向外側に向けたハット状とされており、開口部の前後両端縁部には、接合フランジ24A、24Bが形成されている。
【0063】
なお、センターピラーアウタ22の接合フランジ22A、22Bが、それぞれセンターピラーインナ24の接合フランジ24A、24Bに溶接等によって接合されている。
【0064】
センターピラーアウタ22の車両幅方向外側面の下端部分22Cは、ロッカーウタパネル12の側面部12Cに重ね合わされて複数箇所でスポット溶接(図中、「×」は、打点を示す)26されている。また、センターピラーアウタ22の車両前側面の下端部分22D、及び車両後側面の下端部分22Eは、各々ロッカーウタパネル12の上面部12Aに複数箇所でスポット溶接26されている。
【0065】
図1〜3に示すように、ロッカーウタパネル12の上面部12A、下面部12B、及び側面部12Cと、ロッカーインナパネル16の上面部16A、下面部16B、及び側面部16Cには、各々補強部としてのビード28が形成されている。
【0066】
先ず、ロッカーウタパネル12の上面部12Aに形成されるビード28は、ロッカー長手軸方向に対して45°(図中θ)で傾斜して延びており、車両幅方向外側端がセンターピラー20に近接して配置され、車両幅方向内側端がセンターピラー20から離れる方向に配置される方向に傾斜している。また、本実施形態では、上面部12Aに形成されるビード28は、車両幅方向外側端がロッカー角部(稜線)に接続され、車両幅方向内側端がフランジ部分に接続されている。
【0067】
ロッカーウタパネル12の側面部12Cに形成されるビード28は、ロッカー長手軸方向に対して45°(図中θ)で傾斜して延びており、下端がセンターピラー20の軸線に対して近接して配置され、上端がセンターピラー20の軸線から離れる方向に配置される方向に傾斜している。
【0068】
図2に示すように、側面部12Cに形成されるセンターピラー20に最も近いビード28の下端は、本実施形態では、センターピラーアウタ22の車両幅方向外側面とロッカーウタパネル12の側面部12Cとのセンターピラー幅方向(ロッカー長手軸方向)最外側のスポット溶接26の直下に位置している。
【0069】
図1〜3に示すように、本実施形態では、側面部12Cに形成されるビード28は、上端及び下端が共にロッカー角部(稜線)に接続されている。
ロッカーウタパネル12の下面部12Bに形成されるビード28は、ロッカー長手軸方向に対して45°(図中θ)で傾斜して延びており、上面部12Aに形成されるビード28とは反対方向に傾斜している。また、本実施形態では、下面部12Bに形成されるビード28は、車両幅方向外側端がロッカー角部(稜線)に接続され、車両幅方向内側端がフランジ部分に接続されている。
【0070】
なお、本実施形態では、ロッカーウタパネル12の上面部12Aに形成されるビード28、側面部12Cに形成されるビード28、及び下面部12Bに形成されるビード28は、各々位相をずらして配置しているが、各面のビード28が各々連続するように接続しても良い。
【0071】
一方、ロッカーインナパネル16の上面部16Aに形成されるビード28は、ロッカー長手軸方向に対して45°(図中θ)で傾斜して延びており、ロッカーウタパネル12の上面部12Aに形成されたビード28の延長線上に配置されている。また、本実施形態では、上面部16Aに形成されるビード28は、車両幅方向外側端がフランジ部分に接続され、車両幅方向内側端がロッカー角部(稜線)に接続されている。
【0072】
ロッカーインナパネル16の側面部16Cに形成されるビード28は、ロッカー長手軸方向に対して45°で傾斜して延びており、ロッカーインナパネル16の側面部16Cに形成されるビード28とは反対方向に傾斜している。また、本実施形態では、側面部16Cに形成されるビード28は、上端及び下端が共にロッカー角部(稜線)に接続されている。
【0073】
ロッカーインナパネル16の下面部16Bに形成されるビード28は、ロッカー長手軸方向に対して45°(図中θ)で傾斜して延びており、上面部16Aに形成されるビード28とは反対方向に傾斜している。また、本実施形態では、下面部16Bに形成されるビード28は、車両幅方向外側端がフランジ部分に接続され、車両幅方向内側端がロッカー角部(稜線)に接続されている。
【0074】
なお、本実施形態では、ロッカーインナパネル16の上面部16Aに形成されるビード28、側面部16Cに形成されるビード28、及び下面部16Bに形成されるビード28は、各々位相をずらして配置しているが、各々を連続させて連結しても良い。
【0075】
これら各ビード28の長手軸方向は、側突時、センターピラー20に車両幅方向内側へ向か衝撃が入力してロッカー10が捩じれ入力を受けた際に、ロッカー10のビード28の形成されている面に発生する圧縮応力の方向に一致させている。
【0076】
なお、本実施形態のビード28は、プレス成形によってロッカー内側に向けて凸に形成されているものであるが、場合によってはロッカー外側に向けて凸に形成されたものでも良い。また、ビード28の長手軸方向直角断面形状は、本実施形態では略V字形状であるが、U字形状、半円弧形状、台形等、従来公知の他の断面形状であっても良い。
【0077】
(作用)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
先ず、従来構造では、図4(A)に示すように、センターピラー20の中間部分に車両幅方向外側から内側へ向かう入力(図4の矢印A)が側突等により作用すると、センターピラー20に結合されるロッカー10は捩じり入力を受け、図4(B)に示すように変形する。
【0078】
これにより、ロッカー10の外面には、センターピラー20の側方において、図5に模式的に記載するように剪断力Cがロッカー長手軸方向に対して直行する方向に発生し、その剪断力Cによって、ロッカー長手軸方向に対して45°方向に圧縮応力Dが発生する。
【0079】
本実施形態の車両骨格構造では、ロッカー10の各面に、圧縮応力Dの作用方向に沿って延びるビード28を設けて圧縮応力Dに対抗する補強を行っているため、圧縮応力Dが作用した際の外面の変形が抑制され、ロッカー10の断面崩れが抑制される。
【0080】
その結果、センターピラー20のロッカー10の捩じれ方向への変形が抑えられ、ロッカー10に結合されるセンターピラー20の車室内側へ凸となる変形が抑えられる。これにより、側突時のセンターピラー20の車室内側への進入量が抑えられる。
【0081】
本実施形態では、ロッカー10を成形する際に同時にビード28を形成するという簡単な構成でもって、ロッカー10の厚みを増やす、補強部材を別途付け加える、強度の強い材料を用いる等をせずにロッカー10の断面崩れを抑制できるので、車両の重量増加、コストアップを招かない。
【0082】
なお、本実施形態では、各ビード28をロッカー長手軸方向に対して45°で傾斜させたが、傾斜角度は45°に限定されるものではなく、45°±10°の範囲内であれば十分に圧縮変形を抑えることは可能である。
【0083】
ビード28の延びる方向は、圧縮応力Dの方向に一致させることが基本であり、これにより、最も効率的に圧縮応力Dによる変形を抑えることができる。
本実施形態では、各ビード28をロッカー長手軸方向に対して45°で傾斜させたが、部位によってはロッカー長手軸方向に対する圧縮応力Dの方向が45°でない場合も想定される。したがって、試作品で実験を行う、コンピュータシミュレーションを行う等して、圧縮応力Dの方向を見極めてからビード28の延びる方向を決定することが好ましい。
【0084】
また、本実施形態の様に、断面形状が矩形とされたロッカー10においては、角部(稜線)の剛性が他の部分(平面部分)よりも高い。本実施形態では、各ビード28の端部を剛性の高い角部(稜線)に接続しているので、ビード28の端部を角部(稜線)に接続しない場合に比較して圧縮応力Dに対する補強効果を高めることが出来る。
【0085】
[第2の実施形態]
以下、図6を用いて、本発明の車両骨格構造の適用されたボディー構造の第2の実施形態を説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符合を付し、その説明は省略する。
【0086】
図6に示されるように、センターピラー20の上端部は、車体側部の上端部に車両前後方向に沿って配置されるルーフサイドレール30のルーフサイドアウタパネル31の下端側に接続されている。
【0087】
ルーフサイドアウタパネル31には、ルーフサイドアウタパネル31の長手軸方向に対して45°(図中θ)で傾斜して延びるビード28がルーフサイドレール30の両側に複数形成されている。
各ビード28は、上端がセンターピラー20に近接する方向、下端がセンターピラー20から離れる方向に配置される方向に傾斜している。
【0088】
本実施形態においても、これら各ビード28の長手軸方向は、側突時、センターピラー20に車両幅方向内側へ向か衝撃が入力してルーフサイドレール30が捩じれ入力を受けた際に、ルーフサイドレール30のビード28の形成されている面に発生する圧縮応力の方向に一致させている。
【0089】
側突等により、センターピラー20の中間部分に車両幅方向外側から内側へ向かう入力(図の矢印A)が作用すると、センターピラー20に結合されるルーフサイドレール30は捩じり入力を受ける。
【0090】
これにより、ルーフサイドレール30の外面には剪断力が発生し、その剪断力によって圧縮応力Dが発生する。本実施形態では、ルーフサイドレール30に圧縮応力Dの作用方向に沿って延びるビード28を設けて圧縮応力Dに対抗する補強を行っているため、圧縮応力Dが作用した際の外面の変形が抑制され、ルーフサイドレール30の断面崩れが抑制される。
【0091】
その結果、センターピラー20のルーフサイドレール30の捩じれ方向への変形が抑えられ、ルーフサイドレール30に結合されるセンターピラー20の車室内側へ凸となる変形が抑えられる。これにより、側突時のセンターピラー20の車室内側への進入量が抑えられる。
なお、ロッカー10とルーフサイドレール30の両方にビード28を設けることで、側突時のセンターピラー20の車室内側への進入量がより一層抑えられる。
【0092】
[第3の実施形態]
以下、図7を用いて、本発明の車両骨格構造の適用されたボディー構造の第3の実施形態を説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符合を付し、その説明は省略する。
【0093】
上述したロッカーインナパネル16には、車両幅方向を長手軸方向として配置されるフロントフロアクロスメンバ32の長手軸方向の端部がスポット溶接26により固着されている。
フロントフロアクロスメンバ32は、前面部32A、上面部32B、後面部32C、及びフランジ32Dを備え、車両下方側が開放された断面略ハット形状に形成されている。
【0094】
本実施形態の車両骨格構造では、前突時(前突入力E)、図示しないフロントタイヤが車両後方側へ移動した際に、ロッカー10は車両前方側が上方へ移動する方向の力を受け、その結果、フロントフロアクロスメンバ32にはフロントフロアクロスメンバ32の軸心(図中Y軸)回りの捩じりモーメントMが発生するものである。
【0095】
この捩じりモーメントMの発生により、フロントフロアクロスメンバ32には剪断力が発生し、この剪断力によってフロントフロアクロスメンバ32の長手軸方向に対して傾斜する方向の圧縮応力Dが発生する。
【0096】
本実施形態では、フロントフロアクロスメンバ32が捩じり入力を受けた際の圧縮応力Dに対抗するために、フロントフロアクロスメンバ32の前面部32A、上面部32B、及び後面部32Cに、圧縮応力Dの作用方向に沿って延びるビード28をフロントフロアクロスメンバ32の各面に形成しているため、前突時のフロントフロアクロスメンバ32の断面崩れが抑えられ、フロントフロアクロスメンバ32に結合されるロッカー10の移動量が抑えられ、衝突性能向上を図ることができる。
【0097】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、補強部としてビード28を採用したが、本発明はこれに限らず、同等の補強機能を有する構成であればすべて適用可能である。例えば、図8に示すように、ロッカー10の平面部分の内面(または外面)に、ビード28の代わりとして断面山形に屈曲させた別部品としてのリブ34を溶接等で接合しても良い。この例では、既存のロッカー10に対して、リブ34を追加するのみで簡単にロッカー10の補強ができる。
また、ビード28をロッカー10の角部(稜線)に接続すると、ロッカー長手軸方向にのびる角部が分断されてしまうが、リブ34で補強する場合には、ロッカー長手軸方向にのびる角部が分断されることは無く、ロッカー10の軸方向の強度(座屈、曲げ)を確保することができる。
【0098】
第1の実施形態では、ビード28の端部がロッカー10の角部(稜線)に連結されていたが、図9に示すように、ビード28の端部をロッカー10の角部に接続させない構成としても良い。ビード28の端部をロッカー10の角部に接続させないことで、角部(稜線)は、分断されることなく連続して延びる形状となり、ロッカー10の長手軸方向からの入力に対するロッカー10の剛性を高く維持することができ、座屈に対して強くなる。
【0099】
第1の実施形態では、ロッカー10、及びセンターピラー20の断面形状が略矩形であったが、矩形以外の形状、例えば、図10に示すように、ビード28を形成する部材の断面形状は円形等であっても良い。ビード28を形成する部材の断面形状が円形の場合、ビード28は、圧縮応力Dの方向に沿って螺旋状に形成しても良い。
【0100】
上記実施形態では、全てのビード28が同一角度で傾斜していたが、図11に示すように、ビード毎に傾斜角度を変えても良い。
【0101】
大きな圧縮応力が作用する部位には、小さな圧縮応力が作用する部位に比較して単位面積当たりのビード28の本数を多く配置しても良い。
【0102】
上記実施形態では、ロッカー10、及びセンターピラー20が鋼板である場合を説明したが、車両骨格部材がアルミニューム合金等の非鉄金属で形成されていても良く、炭素繊維等の繊維で強化された合成樹脂で形成されていても良い。
【0103】
例えば、ロッカー10、及びセンターピラー20が炭素繊維強化樹脂で形成されている場合には、上記実施形態の様にビードを形成しても良いが、ビードを形成する代わりに、図12に模式的に示すように、圧縮応力Dの方向に沿って繊維36を配置しても良い。
【0104】
上記実施形態では、ロッカー10、ルーフサイドレール30、及びフロントフロアクロスメンバ32をビード28で補強した例を説明したが、捩じれ入力によって発生する圧縮応力に沿って配置されるビード28は、これら以外の車両骨格部材にも適用可能である。
【符号の説明】
【0105】
10 ロッカー(骨格部材)
11 車体(車両骨格構造)
20 センターピラー(骨格部材)
28 ビード(補強部)
30 ルーフサイドレール(骨格部材)
31 ルーフサイドアウタパネル(骨格部材)
32 フロントフロアクロスメンバ(骨格部材、フロアクロスメンバ)
34 リブ(補強部)
36 繊維(補強部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空かつ長尺状に形成された一方の骨格部材と、前記一方の骨格部材の長手軸方向中間部に一端が結合され、前記一方の骨格部材の長手軸方向とは交差する方向に延びる他方の骨格部材と、を備え、前記一方の骨格部材が前記他方の骨格部材から捩じり入力を受ける車両骨格構造であって、
前記一方の骨格部材には、前記一方の骨格部材の長手軸方向に対して傾斜する方向でかつ圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられている、車両骨格構造。
【請求項2】
一方の骨格部材と、前記一方の骨格部材の長手軸方向中間部に一端が結合され、前記一方の骨格部材の長手軸方向とは交差する方向に延びる中空かつ長尺状に形成された他方の骨格部材と、を備え、前記他方の骨格部材が前記一方の骨格部材から捩じり入力を受ける車両骨格構造であって、
前記他方の骨格部材には、前記他方の骨格部材の長手軸方向に対して傾斜する方向でかつ圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられている、車両骨格構造。
【請求項3】
前記一方の骨格部材は、少なくとも2つの稜線を有すると共に稜線間に平面部分を有し、前記平面部分に前記補強部が設けられている、請求項1に記載の車両骨格構造。
【請求項4】
前記他方の骨格部材は、少なくとも2つの稜線を有すると共に稜線間に平面部分を有し、前記平面部分に前記補強部が設けられている、請求項2に記載の車両骨格構造。
【請求項5】
前記一方の骨格部材が車両のロッカーであり、前記他方の骨格部材が前記車両のセンターピラーである、請求項1または請求項3に記載の車両骨格構造。
【請求項6】
前記ロッカーの車両幅方向外側面に設けられる前記センターピラーに最も近い前記補強部は、前記センターピラー側の端部が、前記センターピラーと前記ロッカーとの結合部分の下側に配置されている、請求項5に記載の車両骨格構造。
【請求項7】
前記一方の骨格部材が車両のルーフサイドレールであり、前記他方の骨格部材が前記車両のセンターピラーである、請求項1または請求項3に記載の車両骨格構造。
【請求項8】
前記一方の骨格部材が車両のロッカーであり、前記他方の骨格部材が前記車両のフロアクロスメンバである、請求項2または請求項4に記載の車両骨格構造。
【請求項9】
前記補強部がビードである、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の車両骨格構造。
【請求項10】
前記補強部は、前記一方の骨格部材と前記他方の骨格部材との接合部分を境にして前記一方の骨格部材の長手方向両側に放射方向に形成されている、請求項1,3,5,6,7の何れか1項に記載の車両骨格構造。
【請求項11】
前記補強部は骨格部材長手軸方向に対して45°±10°で傾斜している、請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の車両骨格構造。
【請求項12】
前記補強部は前記稜線に接続されている、請求項3または請求項4に記載の車両骨格構造。
【請求項1】
中空かつ長尺状に形成された一方の骨格部材と、前記一方の骨格部材の長手軸方向中間部に一端が結合され、前記一方の骨格部材の長手軸方向とは交差する方向に延びる他方の骨格部材と、を備え、前記一方の骨格部材が前記他方の骨格部材から捩じり入力を受ける車両骨格構造であって、
前記一方の骨格部材には、前記一方の骨格部材の長手軸方向に対して傾斜する方向でかつ圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられている、車両骨格構造。
【請求項2】
一方の骨格部材と、前記一方の骨格部材の長手軸方向中間部に一端が結合され、前記一方の骨格部材の長手軸方向とは交差する方向に延びる中空かつ長尺状に形成された他方の骨格部材と、を備え、前記他方の骨格部材が前記一方の骨格部材から捩じり入力を受ける車両骨格構造であって、
前記他方の骨格部材には、前記他方の骨格部材の長手軸方向に対して傾斜する方向でかつ圧縮応力の作用方向に沿って延びる補強部が設けられている、車両骨格構造。
【請求項3】
前記一方の骨格部材は、少なくとも2つの稜線を有すると共に稜線間に平面部分を有し、前記平面部分に前記補強部が設けられている、請求項1に記載の車両骨格構造。
【請求項4】
前記他方の骨格部材は、少なくとも2つの稜線を有すると共に稜線間に平面部分を有し、前記平面部分に前記補強部が設けられている、請求項2に記載の車両骨格構造。
【請求項5】
前記一方の骨格部材が車両のロッカーであり、前記他方の骨格部材が前記車両のセンターピラーである、請求項1または請求項3に記載の車両骨格構造。
【請求項6】
前記ロッカーの車両幅方向外側面に設けられる前記センターピラーに最も近い前記補強部は、前記センターピラー側の端部が、前記センターピラーと前記ロッカーとの結合部分の下側に配置されている、請求項5に記載の車両骨格構造。
【請求項7】
前記一方の骨格部材が車両のルーフサイドレールであり、前記他方の骨格部材が前記車両のセンターピラーである、請求項1または請求項3に記載の車両骨格構造。
【請求項8】
前記一方の骨格部材が車両のロッカーであり、前記他方の骨格部材が前記車両のフロアクロスメンバである、請求項2または請求項4に記載の車両骨格構造。
【請求項9】
前記補強部がビードである、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の車両骨格構造。
【請求項10】
前記補強部は、前記一方の骨格部材と前記他方の骨格部材との接合部分を境にして前記一方の骨格部材の長手方向両側に放射方向に形成されている、請求項1,3,5,6,7の何れか1項に記載の車両骨格構造。
【請求項11】
前記補強部は骨格部材長手軸方向に対して45°±10°で傾斜している、請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の車両骨格構造。
【請求項12】
前記補強部は前記稜線に接続されている、請求項3または請求項4に記載の車両骨格構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−143762(P2011−143762A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4335(P2010−4335)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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