説明

車体に取り付けられる対象物の制振構造

【課題】 取付対象物の重心と取付対象物を支持する支持部材の重心とが一致しないと取付対象物が振動する。
【解決手段】 車体に取り付けられるブレーキアクチュエータと車体との間の振動の伝達を抑制するために、ブレーキアクチュエータを支持する支持部材30は、それぞれ非線形のばね定数を有する同一のブッシュ34を含むマウント32A、32Bおよび32Cにより弾性支持されるとともに、マウント32A、32Bおよび32Cを介して車体側取付部40に取り付けらる。車体側取付部40は、マウント32A、32Bおよび32Cのうちの少なくともいずれか一つに含まれるブッシュ34の締め代を調整できるように形成されている。車体側取付部40は、ブッシュ34と当接する当接面42A、42Bおよび42Cを有し、当接面42A、42Bおよび42Cのうち少なくともいずれか一つの高さが他の高さと異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に取り付けられる取付対象物と車体との間の振動の伝達を抑制する制振構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両には様々な装置が搭載されているが、それらの中には車体からの振動が伝達されると良好な作動状態が損なわれるおそれのある装置も含まれる。その一例としては、ブレーキアクチュエータが挙げられる。ブレーキアクチュエータ付近にブレーキチューブが設置されている場合、車体からブレーキアクチュエータに伝達された振動は、ブレーキチューブを損傷させる原因となりうる。したがって、ブレーキチューブの損傷を抑制するためにも、ブレーキアクチュエータの振動を抑制する必要があり、特許文献1には、ブレーキアクチュエータを支持するブラケットをゴムマウントで弾性支持して、ブレーキアクチュエータの振動を抑制する技術が開示されている。
【0003】
なお、特許文献2には、ディスク装置において圧電素子で弾性体を圧縮または弛緩させて、ディスク回転周波数に応じて弾性体の剛性を調整する制振技術が開示されている。また、特許文献3には、液圧緩衝器の取付ブッシュにおいて、液圧緩衝器の下端部に固定した取付環の内周寸法を緩衝器の軸方向と軸直角方向とで異ならせ、内周側に圧入したゴムブッシュの剛性を調整する技術が開示されている。
【特許文献1】特許第2975200号公報
【特許文献2】特開2001−256762号公報
【特許文献3】特開平9−164827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、対象となる装置を車体に取り付けるために、その装置を支持するブラケット等の支持部材をマウントで弾性支持する場合、その装置を取り付けるスペースの問題等からその装置の重心と支持体の重心とが一致しないことがある。このように、装置の重心と支持体の重心とが一致しない場合、重心のずれを相殺するようにマウントごとにブッシュの剛性すなわちばね定数を調整しなければならない。そのためにはマウントごとに最適なばね定数を有するブッシュを用意するとともに、各ブッシュをあらかじめ定められた位置に装着しなければならず、取付作業も煩雑となる。
【0005】
本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、部品の共通化を図りつつ簡便に取付対象物の振動を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は車体に取り付けられる取付対象物の制振構造に関する。この取付対象物の制振構造は、車体に取り付けられる取付対象物と車体との間の振動の伝達を抑制する制振構造であって、取付対象物は、支持部材により支持され、この支持部材は、それぞれブッシュを含む複数のマウントにより弾性支持されるとともに、これら複数のマウントを介して車体側取付部に取り付けられ、車体側取付部は、少なくともいずれか一つのマウントに含まれるブッシュの締め代を調整できるように形成されていることを特徴とする。
【0007】
この制振構造では、車体側取付部が各マウントに含まれるブッシュの締め代を調整できるように形成されているので、支持体の重心と取付対象物の重心が一致しない場合でも、重心のずれを相殺するようにブッシュのばね定数を各マウントごとに個別に設定して、それにより、車体に取り付けられる取付対象物と車体との間の振動の伝達を簡便に抑制することができる。また、車体側取付部の形状を工夫することによりマウントに含まれるブッシュごとにばね定数を要求されたものに設定できるので、異なるばね定数を有するブッシュを用意する必要がなくなり、部品の共通化を図ることができる。これにより、部品の誤組付けを回避でき、簡便に取付対象物の振動を抑制できる。
【0008】
車体側取付部は、マウントごとにブッシュと当接する当接面を有し、少なくともいずれか一つの当接面の高さが他の当接面の高さと異なってもよい。これによって、上述の重心のずれを考慮しつつ、車体側取付部の各当接面の高さをあらかじめ実験・解析的に算出・設定しておけば、ブッシュごとに締め代を変えることができるので、簡便にブッシュごとに所望の値のばね定数を設定できる。
【0009】
ブッシュは、非線形のばね定数を有するとよい。このようなブッシュでは、ブッシュを圧縮すれば、そのばね定数を変化させることができる。そして、ブッシュのばね定数が非線形であれば、締め代を変化させるだけでばね定数をブッシュごとに設定できる。
【0010】
取付対象物は、ブレーキアクチュエータであってもよい。これによって、ブレーキアクチュエータの振動を良好に抑制し、例えば、ブレーキチューブの損傷を抑制することができる。
【0011】
本発明の別の態様も車体に取り付けられる取付対象物の制振構造に関する。車体に取り付けられる取付対象物と車体との間の振動の伝達を抑制する制振構造であって、取付対象物は、支持部材により支持され、この支持部材は、それぞれブッシュを含む複数のマウントにより弾性支持されるとともに、これら複数のマウントを介して車体側取付部に取り付けられ、取付対象物の重心と支持部材の重心とが一致するように取付対象物にマスダンパが取り付けられてもよい。
【0012】
この制振構造では、取付対象物にマスダンパを取り付けることにより、このマスダンパが取り付けられた取付対象物の重心と支持体の重心とを概ね一致させる。これにより、取付対象物と支持部材との重心のずれを相殺するために異なるばね定数を有する複数のブッシュを用意する必要がなくなり、車体に取り付けられる取付対象物と車体との間の振動の伝達を簡便に抑制することができる。
【0013】
取付対象物は、ブレーキアクチュエータであってもよい。これによって、ブレーキアクチュエータの振動を良好に抑制し、ブレーキチューブの損傷を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車体に取り付けられる対象物の制振構造によれば、例えば、ブッシュ等の部品の共通化を図りつつ簡便に取付対象物の振動を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
ここでは、本発明に係る制振構造を車両用のブレーキアクチュエータの振動抑制に適用した例を説明する。つまり、以下の本実施の形態における取付対象物は車両用のブレーキアクチュエータとされる。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る制振構造が適用される車両用のブレーキシステム10を示す概略図である。同図に示されるブレーキシステム10は、いわゆる電子制御ブレーキシステム(「ECB」とも表記する)を構成しており、ドライバーによるブレーキペダル12の操作に応じて、車両の4輪のブレーキ圧を独立かつ最適に設定するものである。図1に示すように、ブレーキペダル12は、ドライバーの踏み込み操作に応じて作動流体としてのブレーキオイルを送り出すマスタシリンダ18に接続されている。また、ブレーキペダル12には、その踏み込みストロークを検出するためのストロークセンサ14が設けられている。さらに、マスタシリンダ18には、リザーバタンク16が接続されており、マスタシリンダの一方の出力ポートには開閉弁20を介して、ドライバーによるブレーキペダル12の操作力に応じた反力を創出するストロークシミュレータ22が接続されている。ブレーキアクチュエータ26は、マスタシリンダ18に接続されるとともに、図示されないアキュムレータ、オイルポンプ、増圧弁および減圧弁を有し、各ホイールシリンダ28に対して独立に作動流体としてのブレーキオイルを供給する。なお、ブレーキアクチュエータは、電子制御ユニット24によって制御される。
【0017】
このようなECBでは、一般に、アンチロックブレーキシステムと比較してブレーキアクチュエータ26が作動する頻度が高いので、ブレーキアクチュエータ26の振動を抑制できればブレーキシステム10をより良好に稼働させることが可能となる。このため、本実施形態のブレーキアクチュエータ26は、以下に説明される制振構造を介して車体に取り付けられる。
【0018】
図2は、本実施形態における制振構造の平面図であり、図3は、本実施形態の制振構造を説明するための部分断面図である。図2に示すように、ブレーキアクチュエータ26は支持部材30に固定された状態で車体側取付部40に取り付けられる。ここでは、スペース等の関係から、ブレーキアクチュエータ26の重心260と支持部材(ブラケット)30の重心300とを一致させるようには固定できないものとする。支持部材30は、3個のマウント32A、マウント32Bおよびマウント32Cにより弾性支持される。マウント32A〜32Cはそれぞれ図3に示すようにブッシュ34を含む。これらのブッシュ34は、同一の寸法と同値の非線形のばね定数とを有する。各ブッシュ34は非線形のばね定数を有するので、これらを圧縮または弛緩すれば、それぞれのばね定数を変えることができる。支持部材30は、略三角形の平面形状を有し、各角部には、孔が設けられている。そして、支持部材30に設けられたそれぞれの孔にブッシュ34が嵌め込まれる。なお、マウントの個数はブレーキアクチュエータ26の搭載スペース等に応じて任意に定められる。
【0019】
図3(a)、(b)および(c)を参照しながら、各マウント32A〜32Cを構成する部材について説明する。マウント32A〜マウント32Bは、基本的に同様の構成を有する。同図に示すように、マウント32A、マウント32Bおよびマウント32Cのそれぞれは、ブッシュ34、カラー36、スリーブ37、ボルト38およびナット39を含む。カラー36は、貫通孔を有する筒状部と、この筒状部の一端から外方に延びるつば状の押さえ部を含む。カラー36の筒状部は、上述のブッシュ34の孔に挿通される。また、カラー36の筒状部の孔には、スリーブ37を介してボルト38が挿通される。各マウント32A〜32Cに含まれるカラー36およびスリーブ37はすべて同一のものである。カラー36の筒状部およびスリーブ37の高さは、ブッシュ34の高さと同程度とされる。
【0020】
車体側取付部40は、マウント32A、マウント32Bおよびマウント32Cのブッシュ34と接する環状の当接面42A、当接面42Bおよび当接面42Cを有する。各当接面42A〜42Cは、車体側取付部40において定められた基準面44より高さが大きくなるように形成される。図4に示すように、本実施形態では、当接面42A〜42Cの基準面44からの高さはそれぞれ異なり、当接面42C、当接面42B、当接面42Aの順に高い。つまり、当接面42A、当接面42B、当接面42Cの基準面44からの高さをそれぞれh1、h2、h3とすると、h3>h2>h1という関係が成立する。当接面42A〜42Cの内側には、基準面44と同一の高さの支持面46と、ボルト38を挿通させるためのボルト孔48とが形成されている。
【0021】
次に、図3(a)〜(c)等を参照しながら、ブレーキアクチュエータ26が固定された支持部材30を車体に取り付ける手順について説明する。ブレーキアクチュエータ26の車体への取り付け際して、に支持部材30には、ブレーキアクチュエータ26の固定前または固定後にブッシュ34が嵌め込まれる。そして、支持部材30は、マウント32Aのブッシュ34が当接面42Aと当接し、マウント32Bのブッシュ34が当接面42Bと当接し、マウント32Cのブッシュ34が当接面42Cと当接するように車体側取付部40に載置される。次に、カラー36の筒状部をブッシュ34の孔に、押さえ部がブッシュ34の上面と当接するまで嵌め込む。また、ブッシュ34に嵌め込まれたカラー36の孔にスリーブ37を介してボルト38を挿通させ、ボルト38の先端を車体側取付部40のボルト孔48から突出させる。さらに、ボルト38の先端にナット39を螺合させ、ボルト38とナット39とを所定の締付トルクで締結する。これにより、マウント32Aのブッシュ34は、カラー36の押さえ部と当接面42Aとにより圧縮されて収縮する。同様に、マウント32Bのブッシュ34は、カラー36の押さえ部と当接面42Bとにより圧縮されて収縮し、マウント32Cのブッシュ34は、カラー36の押さえ部と当接面42Cとにより圧縮されて収縮する。各ブッシュ34が収縮すると、やがて各マウント32A〜32Cのカラー36の筒状部とスリーブ37との下端が支持面46と当接し、各ボルト38およびナット39との締結が完了する。
【0022】
このように、すべてのボルト38およびナット39の締結が完了すると、各マウント32A〜32Cのブッシュ34が当接面42A〜42Cの基準面44からの高さに応じた量だけ圧縮される。すなわち、当接面42A〜42Cの高さが変われば、締結による圧縮の前後におけるブッシュの34の高さの差であるブッシュ34の締め代が変化し、それにより各ブッシュ34のばね定数も変化する。そして、当接面42A〜42Cの基準面44からの高さを高くするほど、ブッシュ34の締め代は大きくなり、ブッシュ34のばね定数は大きくなる。
【0023】
本実施形態では、上述のように、当接面42A、当接面42B、当接面42Cの基準面44からの高さは、当接面42C、当接面42B、当接面Aの順で大きくなる。したがって、ブッシュ34のばね定数はマウント32C、マウント32B、マウント32Aの順に大きくなる。このように、本発明に係る制振構造では、締め付けられない状態では同値のばね定数を有するブッシュ34について、ボルト38の締め付けにより、それぞれ異なるばね定数を個別に設定することができる。すなわち、ブレーキアクチュエータ26と支持部材30との重心のずれによる影響を打ち消すように、当接面42A、当接面42Bおよび当接面42Cの基準面44からの高さh1、h2およびh3を実験・解析的にあらかじめ算出しておけば、ボルト38およびナット39の締結により、各ブッシュ34のばね定数を所望の値に設定することができる。
【0024】
したがって、異なるばね定数を有する複数のブッシュ34を用意する必要がなくなり、カラー36、スリーブ37、ボルト38、ナット39等もすべての共通のものを使用できる。さらに、同一のブッシュ34を使用できるため、ブッシュ34を支持部材30のどの角部に取り付けてもよく、従来、複数の異なるブッシュ34を用いた場合に問題となった、いわゆる誤組付けを回避することができる。このように、本発明に係る制振構造によれば、簡便にブレーキアクチュエータ26の振動を抑制することができる。そして、ブレーキアクチュエータ26の振動が抑制されれば、このブレーキアクチュエータ26付近にブレーキチューブが設置される場合であっても、ブレーキチューブの損傷を抑制できる。さらに、ブレーキアクチュエータ26は、モータ、ポンプ、ソレノイドバルブ等を含み、これらの作動によりそれ自体が起震源となって振動するが、本実施形態の制振構造によれば、ブレーキアクチュエータ26の振動が車体側に伝達されることをも抑制することができる。
【0025】
なお、本実施形態では、当接面42A、当接面42Bおよび当接面42Cの基準面44からの高さがすべて異なっていたが、必ずしも当接面42A、当接面42Bおよび当接面42Cの高さのすべてが異なっている必要はない。例えば、車体側取付部40の加工前の実験・解析の結果、マウント32Aとマウント32Bにおけるブッシュ34のばね定数が同値であることが好ましいとされる場合には、当接面42Aと当接面42Bとが同じ高さとなるように車体側取付部40を形成してもよい。
【0026】
(第2の実施の形態)
本実施の形態に係る制振構造も、図1に示すブレーキシステム10に含まれるブレーキアクチュエータ26の振動を抑制するのに適用されうるものである。なお、本実施形態において上述の第1の実施の形態と同一の要素には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0027】
図5は、本実施形態の制振構造の平面図である。ここでは、第1の実施の形態と同様に、スペース等の関係から、ブレーキアクチュエータ26の重心260と支持部材30の重心300とを一致させるようには固定できないものとする。本実施形態においても、ブレーキアクチュエータ26は支持部材30に固定された状態で取り付けられる。この場合も、支持部材30は、3個のマウント32A、マウント32Bおよびマウント32Cにより弾性支持される。ただし、マウントの個数はブレーキアクチュエータ26の搭載スペース等に応じて任意に定められる。
【0028】
そして、本実施形態では、マスダンパ50が、ブレーキアクチュエータ26に取り付けられる。マスダンパ50は、支持部材30の重心300とマスダンパ50が取り付けられたブレーキアクチュエータ26の重心500とが概ね一致するような位置に取り付けられる。このマスダンパ50の取付位置は、あらかじめ実験・解析的に算出される。このようにマスダンパ50を取り付けることにより、図5に示すように、支持部材30の重心300とマスダンパ50が取り付けられたブレーキアクチュエータ26の重心500とが概ね一致すれば、ブレーキアクチュエータ26の振動は抑制される。このように、本実施の形態に係る制振構造によれば、マスダンパ50の取付けのみでブレーキアクチュエータ26の振動を抑制できる。したがって、本実施形態によっても、異なるばね定数を有する複数のブッシュを用意する必要はなく、これらのブッシュをあらかじめ定められた位置に装着する煩雑な作業も省略できるので、簡便にブレーキアクチュエータ26の振動を抑制できる。このように、ブレーキアクチュエータ26の振動が抑制されれば、ブレーキアクチュエータ26付近にブレーキチューブが設置される場合であっても、ブレーキチューブの損傷を抑制できる。また、ブレーキアクチュエータ26は、上述のように、それ自体が起震源となって振動するが、本実施形態の制振構造によっても、ブレーキアクチュエータ26の振動が車体側に伝達されることを抑制することができる。
【0029】
図6は、マスダンパ50の取り付け方の他の例を示す部分断面図である。同図に示すように、例えば、L字形状を有するマスダンパ50を、ブレーキアクチュエータ26にぶら下げるようにして取り付けてもよい。この場合、マウント32A〜32Cにより弾性支持された支持部材30には、マスダンパ50を挿通させるための開口部60が設けられる。このように、マスダンパ50をブレーキアクチュエータ26に取り付けることにより、ブレーキアクチュエータ26の重心軸70と支持部材30の重心軸74とが一致しない場合であっても、マスダンパ50の取り付け後のブレーキアクチュエータ26の重心軸72を支持部材30の重心軸74に概ね一致させることができる。さらに、ブレーキアクチュエータ26の下部にマスダンパ50を取り付けることにより、ブレーキアクチュエータ26の側部にマスダンパ50を取り付ける場合と比較して、マスダンパ50が取り付けられたブレーキアクチュエータ26の重心を低く保つことができる。
【0030】
本実施形態では、マスダンパ50をブレーキアクチュエータ26に取り付けて、ブレーキアクチュエータ26の振動を抑制したが、ブレーキアクチュエータ26にダイナミックダンパを取り付けて、ブレーキアクチュエータ26の振動をダイナミックダンパに吸収させることにより、ブレーキアクチュエータ26の振動を抑制してもよい。
【0031】
なお、ブレーキアクチュエータ26の振動を抑制するためには、支持部材30を弾性支持するマウント32A、マウント32B、マウント32Cにそれぞれ異なるサイズ、硬度、形状等のブッシュを設けて、それぞれのブッシュのばね定数を変えることにより、ブレーキアクチュエータ26の振動を抑制してもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る制振構造が適用される車両用のブレーキシステムを示す概略図である。
【図2】第1の実施の形態における制振構造の平面図である。
【図3】(a)、(b)および(c)は第1の実施の形態における制振構造を説明するための部分断面図である。
【図4】第1の実施の形態における各マウントの当接面の高さを説明するための断面図である。
【図5】第2の実施の形態における制振構造の平面図である。
【図6】第2の実施の形態における制振構造の変形例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0033】
10 ブレーキシステム、 12 ブレーキペダル、 14 ストロークセンサ、 16 リザーバタンク、 18 マスタシリンダ、 20 開閉弁、 22 ストロークシミュレータ、 24 電子制御ユニット、 26 ブレーキアクチュエータ、 28 ホイールシリンダ、 30 支持部材、 32A、32B、32C マウント、 34 ブッシュ、 36 カラー、 37 スリーブ、 38 ボルト、 39 ナット、 40 車体側取付部、 42A、42B、42C 当接面、 44 基準面、 46 支持面、 48 ボルト孔、 50 マスダンパ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り付けられる取付対象物と車体との間の振動の伝達を抑制する制振構造であって、
前記取付対象物は、支持部材により支持され、この支持部材は、それぞれブッシュを含む複数のマウントにより弾性支持されるとともに、これら複数のマウントを介して車体側取付部に取り付けられ、当該車体側取付部は、少なくともいずれか一つの前記マウントに含まれるブッシュの締め代を調整できるように形成されていることを特徴とする制振構造。
【請求項2】
前記車体側取付部は、前記マウントごとに前記ブッシュと当接する当接面を有し、少なくともいずれか一つの当接面の高さが他の当接面の高さと異なっていることを特徴とする請求項1に記載の制振構造。
【請求項3】
前記ブッシュは、非線形のばね定数を有することを特徴とする請求項1または2に記載の制振構造。
【請求項4】
前記取付対象物は、ブレーキアクチュエータであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の制振構造。
【請求項5】
車体に取り付けられる取付対象物と車体との間の振動の伝達を抑制する制振構造であって、
前記取付対象物は、支持部材により支持され、この支持部材は、それぞれブッシュを含む複数のマウントにより弾性支持されるとともに、これら複数のマウントを介して車体側取付部に取り付けられ、前記取付対象物の重心と前記支持部材の重心とが一致するように前記取付対象物にマスダンパが取り付けられることを特徴とする制振構造。
【請求項6】
前記取付対象物は、ブレーキアクチュエータであることを特徴とする請求項5に記載の制振構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−266359(P2006−266359A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−83704(P2005−83704)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】