説明

車体下部構造

【課題】生産性の向上と前面衝突時の衝突性能の維持とを両立させることができる車体下部構造を得る。
【解決手段】各々断面ハット形状とされたフロントサイドメンバリヤ34の断面内に同リインフォース36を被嵌させると共に、フロントフロアパネル32上においてフロントサイドメンバリヤ34と平面視で重なる位置にフロアアッパメンバ42が配設されている。フロアアッパメンバ42の後端部42Dを第1クロスメンバ26の前方側に配置したので、フロアアッパメンバ42のシールだけ行えばよく、第1クロスメンバ26のシールを廃止することができる。従って、生産性向上が達成される。さらに、同リインフォース36の後端部36Dを平面視で第1クロスメンバ26と重なる位置まで延設させたので、前面衝突時のフロントサイドメンバリヤ34の曲げ耐力も確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールに起因した生産性と前面衝突時の衝突性能を考慮した車体下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、フロアパネルの上面に車両前後方向に延在する断面ハット形状のフロアサイドメンバを接合し、このフロアサイドメンバを跨ぐようにして車両幅方向に沿って延在する断面ハット形状のクロスメンバを接合する構成が開示されている。
【特許文献1】特開平9−24863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記先行技術による場合、車室内を車室外からシールするためには、フロアサイドメンバの結合面であるフランジの全周をシールする必要があるだけでなく、フロアサイドメンバを跨いで接合されるクロスメンバのフランジの全周をもシールする必要が生じ、生産性が低下するという課題がある。
【0004】
この課題を解決するための方策の一つとして、フロアサイドメンバをクロスメンバと交差する手前でカットすることで、クロスメンバのシールを排除することが考えられる。しかし、その場合には、前面衝突時にフロアサイドメンバに作用する上下曲げ入力に対して、フロアサイドメンバの終端となる後端部(即ち、クロスメンバの手前)が弱化部となり、変形の起点となる可能性がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、生産性の向上と前面衝突時の衝突性能の維持とを両立させることができる車体下部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明に係る車体下部構造は、断面ハット形状に形成されて車体フロア下面に接合されると共に車両前後方向に沿って延在するフロントサイドメンバと、断面ハット形状に形成されて車体フロア上面に接合されると共に平面視でフロントサイドメンバと交差するように車両幅方向に沿って延在するクロスメンバと、フロントサイドメンバの断面内に配置されると共に車両前後方向に沿って延在する補強部材と、断面ハット形状に形成されて車体フロア上面において平面視でフロントサイドメンバと重なる位置に接合されると共に車両前後方向に延在する補強メンバと、を有する車体下部構造であって、前記補強メンバはクロスメンバの前方位置にて終端とされていると共に、前記補強部材の後端部を平面視で前記クロスメンバと重なる位置まで或いはそれ以上車両後方側へ延設させた、ことを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の車体下部構造において、前記補強部材は断面ハット形状とされて前記フロントサイドメンバの断面内側に被嵌されると共に、稜線を挟むようにフランジ部と側壁部とにフロントサイドメンバとの結合点が設定されている、ことを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の本発明は、請求項2記載の車体下部構造において、前記補強部材の底壁部は、フロントサイドメンバの底壁部から離間されており結合されていない、ことを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の本発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車体下部構造において、前記補強部材のフランジ部には、その長手方向に沿って複数箇所に切欠部が形成されており、当該切欠部が形成された位置では補強メンバのフランジ部、車体フロア、フロントサイドメンバのフランジ部の三者が結合されており、切欠部が形成されていない位置では補強部材のフランジ部とフロントサイドメンバのフランジ部との二者が結合されている、ことを特徴としている。
【0010】
請求項1記載の本発明によれば、車体フロア上面においてフロントサイドメンバと重なる位置に接合され車両前後方向に沿って延在する補強メンバの終端位置をクロスメンバの前方位置に設定したので、補強メンバとクロスメンバとが分離された配置関係になる。従って、補強メンバの周縁部のみのシールだけでよく、クロスメンバの周縁部のシールを無くすことができる。このため、生産性が向上される。
【0011】
その一方で、単に補強メンバの終端をクロスメンバの前方位置に設定したのみでは、前面衝突時に補強メンバの終端が剛性急変部となってしまい、曲げ耐力が低下する。しかし、本発明では、フロントサイドメンバの断面内に配置される補強部材の後端部を平面視でクロスメンバと重なる位置まで或いはそれ以上車両後方側へ延設させたので、クロスメンバの前方に剛性急変部が形成されることはない。従って、フロントサイドメンバは前面衝突時の衝突荷重を充分に伝達することができ、衝突性能も確保される。
【0012】
請求項2記載の本発明によれば、補強部材の断面形状がハット形状とされており、フロントサイドメンバの断面内に被嵌された状態で、稜線を挟むようにフランジ部と側壁部とにフロントサイドメンバとの結合点を設定したので、稜線を効果的に補強することができる。この稜線が座屈するかしないかで前面衝突時のフロントサイドメンバの曲げ耐力も変わるので、例えば、フランジと底壁部とにフロントサイドメンバとの結合点を設定したものに比べて、衝突性能が向上される。
【0013】
請求項3記載の本発明によれば、補強部材の底壁部をフロントサイドメンバの底壁部から離間させ結合しない構成としたので、補強部材のフロントサイドメンバに対する位置合わせが容易になる。つまり、補強部材の底壁部をフロントサイドメンバの底壁部に接触させる構造を採ると、フランジ部と側壁部とに結合点を設定しても、底壁部同士が干渉するので、位置合わせが容易でなくなるが、本発明のように補強部材の底壁部をフロントサイドメンバの底壁部から離間させておけば、生産性は良好に保たれる。
【0014】
請求項4記載の本発明によれば、補強部材のフランジ部には、その長手方向に沿って複数箇所に切欠部が形成されており、当該切欠部が形成された位置では補強メンバのフランジ部、車体フロア、フロントサイドメンバのフランジ部の三者が結合され、切欠部が形成されていない位置では補強部材のフランジ部とフロントサイドメンバのフランジ部との二者が結合される構成としたので、スポット溶接で接合した場合の溶接に対する信頼性(品質)を確保することができる。つまり、板の重なりとしては、上から補強メンバのフランジ部、車体フロア、補強部材のフランジ部、フロントサイドメンバのフランジの合計四枚が存在する。板厚にもよるが、一般には溶接に対する信頼性を確保した上で四枚の板を同時にスポット溶接するのは困難であるが、切欠部を形成することで三枚重ねのスポット溶接部分と、二枚重ねのスポット溶接部分とに分けてスポット溶接を行うことができるので、スポット溶接の信頼性を良好に保ちつつかつ四部材の結合が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る車体下部構造は、生産性の向上と前面衝突時の衝突性能の維持とを両立させることができるという優れた効果を有する。
【0016】
請求項2記載の本発明に係る車体下部構造は、前面衝突時の衝突性能を効果的に向上させることができるという優れた効果を有する。
【0017】
請求項3記載の本発明に係る車体下部構造は、生産性を向上させることができるという優れた効果を有する。
【0018】
請求項4記載の本発明に係る車体下部構造は、スポット溶接で全体として四部材の結合が可能になるため生産性の向上を図ることができ、かつ品質確保が容易になるので前面衝突時の衝突性能の信頼性を高めることができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(全体構成)
【0020】
以下、図1〜図4を用いて、本発明に係る車体下部構造の実施形態について説明する。 なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
【0021】
図4には、本実施形態に係る車体下部構造の骨格が平面図で示されている。この図に示されるように、車体下部骨格10は、フロントフロア部12と、リヤアンダボディー部14とを備えている。フロントフロア部12には車両前後方向に沿って合計6本の車体骨格部材が配置されており、前面衝突時の前後方向入力荷重に対して6本の車体骨格部材で荷重を伝達する(入力荷重を6本の車体骨格部材を使って車両後方側へ流す)ようになっている。
【0022】
具体的には、フロントフロア部12の両サイドには、車両前後方向に沿って延在する左右一対のフロアサイドメンバ(ロッカインナパネル)16が配設されている。さらに、フロントフロア部12におけるフロアサイドメンバ16の内側には、車両前後方向に沿って延在しかつ途中から後部にかけて車両幅方向外側へ斜めに延びる(湾曲する)左右一対のフロントサイドメンバ18が配置されている。さらに、フロントフロア部12におけるフロントサイドメンバ18の内側には、車両後方側から車両前方側へ向かうにつれて裾広がりにラウンドする左右一対のトンネルアンダリインフォース20が配設されている。
【0023】
トンネルアンダリインフォース20の前端部は、フロントサイドメンバ18の途中部位(フロントフロア部12の領域内へ入り始めた部位)の内側の側面に溶接されている。また、トンネルアンダリインフォース20の後端部は、フロアサイドメンバ16の後端部間に車両幅方向に沿って配置された第3クロスメンバ22(フロントフロアクロスメンバNo.3)の前面に溶接されている。さらに、フロントサイドメンバ18の後端部は、左右のフロアサイドメンバ16の長手方向中間部間に車両幅方向に沿って二分割されて配置された第2クロスメンバ24(フロントフロアクロスメンバNo.2)の前面に溶接されている。なお、第2クロスメンバ24の外側の端部はフロアサイドメンバ16の長手方向中間部の内側の側面に溶接されており、内側の端部はトンネルアンダリインフォース20の外側の側面に溶接されている。さらに、左右一対の第2クロスメンバ24の前方側には、これと平行に配置された左右一対の第1クロスメンバ(フロントフロアクロスメンバNo.1)26が配置されており、フロントサイドメンバ18のラウンドする後部と平面視で交差するようになっている。また、左右一対のフロントサイドメンバ18の前端部間には、車両幅方向に沿って延在するクロスメンバ27が配設されている。
【0024】
一方、リヤアンダボディー部14側にも、左右一対のリヤアンダサイドメンバ28が車両前後方向に沿って延在されている。これらのリヤアンダサイドメンバ28の前端部は、車両幅方向外側へ裾広がり状にラウンドされてフロアサイドメンバ16の後端部の内側の側面に溶接されている。また、リヤアンダサイドメンバ28間には、複数のリヤクロスメンバ30が車両幅方向を長手方向として配置されている。
【0025】
(要部構成)
【0026】
次に、本実施形態の要部及びその周辺構造について説明する。
【0027】
図1には、本実施形態の要部に係るフロントサイドメンバ18の後部を構成するフロントサイドメンバリヤ34と第1クロスメンバ(フロントフロアクロスメンバNo.1)26との結合部(図4のA線矢視部)の構造が拡大して示されている。また、図2には、同結合部を車両後方側から見た拡大斜視図が示されている。
【0028】
これらの図に示されるように、フロントサイドメンバリヤ34は断面ハット形状とされており、底壁部34Aと、左右一対の側壁部34Bと、左右一対のフランジ部34Cとを備えている。
【0029】
このフロントサイドメンバリヤ34の断面内方には、同じく断面ハット形状とされた補強部材としてのフロントサイドメンバリヤリインフォース36が被嵌されている。フロントサイドメンバリヤリインフォース36も、フロントサイドメンバリヤ34と同様に、底壁部36A、左右一対の側壁部36B、左右一対のフランジ部36Cを備えている。但し、図3に示される如く、フロントサイドメンバリヤリインフォース36の側壁部36Bの高さは、フロントサイドメンバリヤ34の側壁部34Bの高さよりも低く設定されている。このため、前者の底壁部36Aは後者の底壁部34Aから離間した位置に配置されており(浮いた状態で配置されており)、両者の間には所定の隙間38が形成されている。さらに、図1に示されるように、フロントサイドメンバリヤリインフォース36のフランジ部36Cは、平面視で波形に形成されている。つまり、フランジ部36Cには、その長手方向に沿って所定の間隔で切欠部40が形成されている。
【0030】
上記構成のフロントサイドメンバリヤリインフォース36はフロントサイドメンバリヤ34の断面内方に被嵌された状態で、双方のフランジ部36C、34Cが二枚重ねの状態でスポット溶接により結合されてフロントフロアパネル32への結合前に予めサブアッセンブリ化されている。
【0031】
一方、フロントフロアパネル32において平面視でフロントサイドメンバリヤ34と重なる位置には、補強メンバとしてのフロアアッパメンバ42が車両前後方向に沿って配設されている。フロアアッパメンバ42は断面形状がハット形状とされており、頂壁部42A、左右一対の側壁部42B、左右一対のフランジ部42Cを備えている。フランジ部42Cは平面視でフロントサイドメンバリヤ34のフランジ部34Cと重合する位置に配置されており、フロントサイドメンバリヤリインフォース36のフランジ部36Cの切欠部40が形成された位置では、フロアアッパメンバ42のフランジ部42C、フロントフロアパネル32、フロントサイドメンバリヤ34のフランジ部34Cと三枚重ねの状態でスポット溶接(図1の丸付き×印参照)により結合されている。また、フロントサイドメンバリヤリインフォース36のフランジ部36Cの切欠部40が形成されていない位置では、フロアアッパメンバ42のフランジ部42Cとフロントフロアパネル32とが二枚重ねの状態でスポット溶接(図1の×印参照)により結合されている。
【0032】
さらに、上述したフロアアッパメンバ42の後端部42D(即ち、終端)は、第1クロスメンバ26のフランジ部26Aよりも前方側に位置されている。つまり、フロアアッパメンバ42と第1クロスメンバ26とは平面視で重ならないように配置されている。
【0033】
その一方で、フロントサイドメンバリヤリインフォース36の後端部36Dは、平面視で第1クロスメンバ26のと重なる位置まで延設されている。
【0034】
また、図3に示されるように、フロントサイドメンバリヤリインフォース36の側壁部36Bとフランジ部36Cとの屈曲部である稜線44を挟むように、側壁部36Bとフランジ部36Cの二箇所でフロントサイドメンバリヤ34の側壁部34Bとフランジ部34Cにスポット溶接による内側結合点46及び外側結合点48がそれぞれ設定されている。
【0035】
(本実施形態の作用並びに効果)
【0036】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0037】
まず、本実施形態に係る車体下部構造によれば、フロントフロアパネル32の上面においてフロントサイドメンバリヤ34と平面視で重なる位置に接合されて車両前後方向に沿って延在するフロアアッパメンバ42の後端部42Dの位置を第1クロスメンバ26の前方位置(平面視で重ならない位置)に設定したので、フロアアッパメンバ42と第1クロスメンバ26とが実質的に分離された関係になる。従って、フロアアッパメンバ42の周縁部(フランジ部42C)のみのシールだけ行えばよく、第1クロスメンバ26の周縁部(フランジ部26A)のシールを無くすことができる。このため、生産性が向上される(なお、同時にコスト削減も図られる。)。
【0038】
その一方で、単にフロアアッパメンバ42の後端部42Dを第1クロスメンバ26の前方位置に設定したのみでは、前面衝突時にフロアアッパメンバ42の終端が剛性急変部となってしまい、曲げ耐力が低下する。しかし、本実施形態に係る車体下部構造では、フロントサイドメンバリヤ34の断面内に配置されるフロントサイドメンバリヤリインフォース36の後端部36Dを平面視で第1クロスメンバ26と重なる位置まで車両後方側へ延設させたので、第1クロスメンバ26の前方に剛性急変部が形成されることはない。従って、フロントサイドメンバリヤ34は前面衝突時の衝突荷重を充分に伝達することができ、衝突性能も確保される。
【0039】
その結果、本実施形態に係る車体下部構造によれば、生産性の向上と前面衝突時の衝突性能の維持とを両立させることができる。
【0040】
また、フロントサイドメンバリヤリインフォース36の断面形状がハット形状とされており、フロントサイドメンバリヤ34の断面内に被嵌された状態で、フロントサイドメンバリヤリインフォース36の稜線44を挟むようにフランジ部36Cと側壁部36Bとにフロントサイドメンバリヤ34との内側結合点46及び外側結合点48を設定したので、稜線44を効果的に補強することができる。この稜線44が座屈するかしないかで前面衝突時のフロントサイドメンバリヤ34の曲げ耐力も変わるので、例えば、フランジ部36Cと底壁部36Aとにフロントサイドメンバリヤ34との結合点を設定したものに比べて、衝突性能が向上される。その結果、本実施形態によれば、前面衝突時の衝突性能を効果的に向上させることができる。
【0041】
さらに、フロントサイドメンバリヤリインフォース36の底壁部36Aをフロントサイドメンバリヤ34の底壁部34Aから離間させて結合しない構成としたので、フロントサイドメンバリヤリインフォース36のフロントサイドメンバリヤ34に対する位置合わせが容易になる。つまり、フロントサイドメンバリヤリインフォース36の底壁部36Aをフロントサイドメンバリヤ34の底壁部34Aに接触させる構造を採ると、フランジ部36Cと側壁部36Bとに結合点を設定しても、底壁部36A、34A同士が干渉するので、位置合わせが容易でなくなるが、本実施形態のようにフロントサイドメンバリヤリインフォース36の底壁部36Aをフロントサイドメンバリヤ34の底壁部34Aから離間させておけば、生産性は良好に保たれる。また、フロントサイドメンバリヤリインフォース36の底を浅くした分だけ、車体重量も削減できる。
【0042】
加えて、フロントサイドメンバリヤリインフォース36のフランジ部36Cには、その長手方向に沿って複数箇所に切欠部40が形成されており、当該切欠部40が形成された位置ではフロアアッパメンバ42のフランジ部42C、フロントフロアパネル32、フロントサイドメンバリヤ34のフランジ部34Cの三者が結合され、切欠部40が形成されていない位置ではフロントサイドメンバリヤリインフォース36のフランジ部36Cとフロントサイドメンバリヤ34のフランジ部34Cとの二者が結合される構成としたので、スポット溶接で接合した場合の品質を確保することができる。つまり、板の重なりとしては、上からフロアアッパメンバ42のフランジ部42C、フロントフロアパネル32、フロントサイドメンバリヤリインフォース36のフランジ部36C、フロントサイドメンバリヤ34のフランジ部34Cの合計四枚が存在する。このため、スポット溶接が困難になるが、切欠部40を形成することで三枚重ねのスポット溶接若しくは二枚重ねのスポット溶接になるので、スポット溶接に対する信頼性(品質)を良好に保ちつつかつ全体として四部材の結合が可能となる。その結果、本実施形態によれば、スポット溶接で全体として四部材の結合が可能になるため生産性の向上を図ることができ、かつ品質確保が容易になるので前面衝突時の衝突性能の信頼性を高めることができる。
【0043】
なお、上述した本実施形態では、フロントサイドメンバリヤリインフォース36の後端部36Dを平面視で第1クロスメンバ26と重なる位置まで延設させたが、これに限らず、第1クロスメンバ26の配設位置を越えて更に所定長さ車両後方側へ延設させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態に係る車体下部構造の要部を拡大して示す図4のA線矢視部の拡大斜視図ある。
【図2】図1に示される車体下部構造の要部を車両後方側から見て示す要部拡大斜視図である。
【図3】図1の3−3線に沿う縦断面図である。
【図4】車体下部骨格の全体構造を示す平面図である。
【符号の説明】
【0045】
10 車体下部骨格
12 フロントフロア部
16 フロアサイドメンバ
18 フロントサイドメンバ
26 第1クロスメンバ
32 フロントフロアパネル(車体フロア)
34 フロントサイドメンバリヤ
34A 底壁部
34C フランジ部
36 フロントサイドメンバリヤリインフォース(補強部材)
36A 底壁部
36B 側壁部
36C フランジ部
36D 後端部
40 切欠部
42 フロアアッパメンバ(補強メンバ)
42C フランジ部
42D 後端部
44 稜線
46 内側結合点
48 外側結合点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面ハット形状に形成されて車体フロア下面に接合されると共に車両前後方向に沿って延在するフロントサイドメンバと、
断面ハット形状に形成されて車体フロア上面に接合されると共に平面視でフロントサイドメンバと交差するように車両幅方向に沿って延在するクロスメンバと、
フロントサイドメンバの断面内に配置されると共に車両前後方向に沿って延在する補強部材と、
断面ハット形状に形成されて車体フロア上面において平面視でフロントサイドメンバと重なる位置に接合されると共に車両前後方向に延在する補強メンバと、
を有する車体下部構造であって、
前記補強メンバはクロスメンバの前方位置にて終端とされていると共に、前記補強部材の後端部を平面視で前記クロスメンバと重なる位置まで或いはそれ以上車両後方側へ延設させた、
ことを特徴とする車体下部構造。
【請求項2】
前記補強部材は断面ハット形状とされて前記フロントサイドメンバの断面内側に被嵌されると共に、稜線を挟むようにフランジ部と側壁部とにフロントサイドメンバとの結合点が設定されている、
ことを特徴とする請求項1記載の車体下部構造。
【請求項3】
前記補強部材の底壁部は、フロントサイドメンバの底壁部から離間されており結合されていない、
ことを特徴とする請求項2記載の車体下部構造。
【請求項4】
前記補強部材のフランジ部には、その長手方向に沿って複数箇所に切欠部が形成されており、当該切欠部が形成された位置では補強メンバのフランジ部、車体フロア、フロントサイドメンバのフランジ部の三者が結合されており、切欠部が形成されていない位置では補強部材のフランジ部とフロントサイドメンバのフランジ部との二者が結合されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車体下部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−131148(P2007−131148A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325985(P2005−325985)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】