車体側部構造
【課題】 車体側部構造において、車室内側への変形量を低減する。
【解決手段】 側面衝突時にドア3に作用した荷重が、ガードバー6の各分枝6a〜6cから、ヒンジ機構4、ドアロック機構5、および係合機構8を介してそれらが設けられる車体開口部骨格部材2(2A〜2C)に分散して伝達されるとともに、その荷重から係合機構8およびモーメント伝達部材によってサイドシル2Cにねじりモーメントが生じるようにした。
【解決手段】 側面衝突時にドア3に作用した荷重が、ガードバー6の各分枝6a〜6cから、ヒンジ機構4、ドアロック機構5、および係合機構8を介してそれらが設けられる車体開口部骨格部材2(2A〜2C)に分散して伝達されるとともに、その荷重から係合機構8およびモーメント伝達部材によってサイドシル2Cにねじりモーメントが生じるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車体側部構造として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。かかる従来の車体側部構造では、ドア内に、前後方向に伸びる上下一対のガードバーと、それらを接続する上下方向に伸びる補強材とを設けることで、衝突時のドア下側の車室内側への入力に基づいてドアウエスト部分が相対的に外側に変形するようにし、これにより、車室内側への変形量の低減を図っている。
【特許文献1】特開2002−2282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の車体側部構造では、車室内側への変形量の増大を、強度部材を追加配置することによって抑制しているが、ドアの重量を増加させることなく、強度部材の支持剛性を向上したり、車体反力を強化したりするのは難しいという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、車体側部構造において、ドア内部の強度部材と車体開口部骨格部材との連結をより強固にするとともに、強度部材の反力を向上し、さらに衝突荷重の伝達維持性能を向上させることにより、側面衝突時におけるドアの車室内側への変形量をより一層低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にあっては、車体開口部の周辺部を構成する車体開口部骨格部材と、前記車体開口部骨格部材にヒンジ機構を介して開閉自在に取り付けられるとともに、その他方側のドアロック機構によって閉状態で車体開口部骨格部材にロックされるドアと、前記ドアの端辺間に架設された多分岐構成のガードバーと、ドア閉時に、前記ガードバーの分枝の末端部と車体開口部骨格部材とを係合する係合機構と、前記車体開口部骨格部材の内部に設けられ、前記係合機構に接続されるモーメント伝達部材と、を備え、側面衝突時にドアに作用した荷重が、前記ガードバーの各分枝から、ヒンジ機構、ドアロック機構、および係合機構を介してそれらが設けられる車体開口部骨格部材に分散して伝達されるとともに、その荷重から前記係合機構およびモーメント伝達部材によって車体開口部骨格部材にモーメントが生じるようにしたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、側面衝突時にドアに入力された荷重を、多分岐構成のガードバーによって多方向に分散させて車体開口部骨格部材に伝達するのに加えて、係合機構およびモーメント伝達機構によって、当該荷重から車体開口部骨格部材のモーメントが生じるようにしたので、車室内側への変形量をより一層低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
(第1実施形態)図1〜図7,図16は、本発明の第1実施形態にかかる車体側部構造を示しており、図1は、車体側部構造の分解斜視図、図2は、車体側部構造の側面図、図3は、ガードバーの荷重の経時変化を示す模式図、図4および図5は、係合機構近傍の断面図(図2のA−A断面図)、図6は、ガードバーの斜視図、図7は、係合機構の拡大図、図16は、係合機構の斜視図である。なお、図1,図2中のFRは車両の前方を示し、また、図1,図4,図5中のINは車室内方向を示す。
【0009】
本実施形態にかかる車体側部構造1は、車体開口部を構成する車体骨格部材としての車体開口部骨格部材2(フロントピラー2A、センターピラー2B、サイドシル2C等)と、その車体開口部骨格部材2に開閉自在に取り付けられるドア3と、車体開口部骨格部材2に交叉する方向に伸びる車体骨格部材(クロスメンバ20)と、を含む。
【0010】
ドア3は、ヒンジ機構4を介して車体開口部骨格部材2(フロントピラー2A)に開閉自在に取り付けられる一方、ドアロック5aとストライカ5bとからなるドアロック機構5によって、閉状態で固定できるようにしてある。本実施形態では、ヒンジ機構4は、ドア3の車両前方側の端辺に設けられており、ドアロック機構5のドアロック5aはドア3の車両後方側の端辺に設けられる一方、ストライカ5bはセンターピラー2Bの前記ドアロック5aに対応する位置に設けられている。
【0011】
そして、このドア3には、側方からの衝突に対抗すべく、ガードバー6が取り付けられている。本実施形態では、このガードバー6を、複数(この例では三つ)の分枝6a〜6cを有する多分岐構成とし、ドア3の複数の端辺間にブラケット7を用いて架設している。具体的には、ガードバー6の前後方向(長手方向)の略中央部に分岐点Bを設定し、この分岐点Bから、前方、後方、下方にそれぞれ分枝6a〜6cを延伸し、各分枝6a〜6cの末端をブラケット7によってドア3の各端辺に固定している。ここで、各分枝6a〜6cは、全て同様の部材(例えば同一の厚みおよび外径の鉄鋼あるいはアルミニウム合金の管等)によって構成し、分岐点Bにおいて各分枝6a〜6cを連続一体的に接続するとともに、それらのうち分枝6a,6bについては、車両前後方向にほぼ一直線状に伸びるように構成している。さらに、図6に示すように、ガードバー6(分枝6a〜6c)は、例えばハイドロフォーミング等によって管状部材として構成し、その中空部分には、発泡材等の充填材16を充填してある。
【0012】
このようにガードバー6を多分岐構成としたことで、図2に示すように、側方衝突時にドア3に対して車室内方向に入力された荷重が、各分枝6a〜6cに分散されるようになる。
【0013】
また、この車体側部構造1は、ドア3を閉じたときに分枝6cの末端部9と車体開口部骨格部材2としてのサイドシル2Cとを係合する係合機構8を備えている。具体的には、分岐点Bから下方に伸びる分枝6cの末端部9に、車室内側を開放したフック状のドア側部材8aを固定する一方、サイドシル2Cの上面には、車室外側を開放したフック状の車体側部材8bを設け、これらの係合により、ドア3の端辺が閉位置より車室内側に移動するのを規制している。また、本実施形態では、図6に示すように、分枝6cの先端側を車室内側に向けて折り曲げて末端部9を形成し、その末端部9の下面をブラケット7cに溶接して固定してある。そして、図1および図16に示すように、これらブラケット7cおよびドア側部材8aは、ドア下端部材を貫通するボルト12を用いて、当該ドア下端部材の上下に固定してある。一方、車体側部材8bは、サイドシル2Cの上面に、ビス13によって固定してある。これらドア側部材8aおよび車体側部材8bともに、固定用のボルト12、ビス13はU字状のフック部分の両側を貫通しており、これにより、当該フック部分が拡開するのを防止している。
【0014】
また、この車体側部構造1には、図7に示すように、衝突時に係合機構8のドア側部材8aと車体側部材8bとの当接面が滑ってそれらの係合が解除されるのを抑制する滑り止め機構17を設けている。側面衝突時には、係合機構8には、図7に直線状の矢印で示す荷重と、同図に曲線状の矢印で示すドア側部材8aおよび車体側部材8bとの変形によるモーメントと、が作用する。図7の(b)に示すような変形が進むと、ドア側部材8aと車体側部材8bとが離間する方向に滑り、荷重伝達機能が低下することが想定される。そこで、本実施形態では、滑り止め機構17として、衝突時(図7の(b))に相互に当接する面に、相互に噛み合うことによってドア側部材8aと車体側部材8bとが離間するのを防止する鋸歯部17a,17bを設けている。なお、図7の(a)に示すように、通常使用時にはドア3の開閉の障害となることがないよう、ドア側部材8aと車体側部材8bとは、鋸歯部17a,17bの設けられた面同士が離間し、当接しないようにしてある。
【0015】
また、この車体側部構造1には、図4に示すように、サイドシル2Cの内部の空間に、車室外側に膨出した状態で上下に架設されて車両前後方向に伸びるサイドシルレインフォース10を設け、さらにこのサイドシルレインフォース10とサイドシル2Cの車室内側の壁との間の空間に、中空の箱状部材11を収容している。この箱状部材11は、車両前後方向の両端(図示せず)で閉塞される一方、サイドシル2Cの上側の壁、車室内側の壁、およびサイドシルレインフォース10に当接させて固定してある。
【0016】
さらに、この車体側部構造1では、係合機構8によって分枝6cとサイドシル2Cとが係合される位置(図2のA−A断面位置)で、当該サイドシル2Cとこれに交叉するクロスメンバ20とが接続されている。具体的には、クロスメンバ20の端部と箱状部材11の車室内側の壁面とが、サイドシル2Cの車室内側の壁を挟んでボルト14およびナット15によって締結されている。
【0017】
このような構成により、分枝6cに伝達された荷重が、係合機構8等を介して、車体開口部骨格部材2およびクロスメンバ20に伝達される。すなわち、図5に示すように、側方からの衝突時に、ドア3に車室内側への入力荷重Wが加わると、分枝6cの末端側には、分岐点B側に向かう引張力Fgと、モーメントMgが生じる。そして、この引張力FgおよびモーメントMgにより、係合機構8では引張力FtおよびモーメントMtが生じ、さらにサイドシル2C、サイドシルレインフォース10、および箱状部材11にねじりモーメントMmが生じ、さらに、クロスメンバ20には曲げモーメントMcが生じる。ここで、モーメントMg,Mt,Mm,Mcは、いずれも、図5において反時計回り方向のモーメントである。
【0018】
ここで、分枝6cの末端部9は、車室内側の先端部9aより車室外側の根元部9bが上となる姿勢に傾動する。この末端部9は、サイドシル2Cに沿うドア3の端辺の幅方向に所定の長さを有する剛性の高い部分として構成されており、さらに、この末端部9に、ブラケット7cを介して係合機構8のドア側部材8aが固定されている。よって、分枝6cに生じたモーメントMgが、当該末端部9の傾動として、係合機構8に効率よく伝達され、モーメントMtが生じる。本実施形態では、この末端部9が、本発明の傾動部に相当する。
【0019】
また、箱状部材11は、ドア側部材8aに接続され、係合機構8から入力される力やモーメントをサイドシル2C(車体開口部骨格部材2)やクロスメンバ20に伝達する機能を持つ。箱状部材11は、それ自体、比較的剛性(特にサイドシル2Cの軸周りのねじり剛性)が高く、この箱状部材11をサイドシル2C内に設けることによって、サイドシル2Cのねじり剛性も向上することになるため、ドア3から伝達された力またはモーメントから、効率よくサイドシル2Cのねじりモーメントが生じることになる。本実施形態では、この箱状部材11が、本発明のモーメント伝達部材に相当する。
【0020】
以上のような構成を備える本実施形態の車体側部構造1によれば、側面衝突時にドアに作用した荷重が、ガードバー6の各分枝6a〜6cから、ヒンジ機構4、ドアロック機構5、および係合機構8を介してそれらが設けられる車体開口部骨格部材2(フロントピラー2Aや、センターピラー2B、サイドシル2C)に分散して伝達されるとともに、その荷重から係合機構8およびモーメント伝達部材11によってサイドシル2CにはねじりモーメントMmが、またクロスメンバ20には曲げモーメントMcが生じるようにしたので、側面衝突時の衝撃荷重が極めて効率よく分散され、ドア3の車室内側への変形量を低減することができる。なお、かかる構成により、衝突負荷を受けられる領域の面積が拡大され、ドア3の変位量の衝突位置によるばらつきが小さくなるという効果も得られる。
【0021】
ここで、本実施形態では、ガードバー6の各分枝6a〜6cを、ヒンジ機構4、ドアロック機構5、および係合機構8の設けられるドア3の各端辺に接続するとともに、ガードバー6の各分枝6a〜6cの分岐点Bを、その長手方向の略中央部に設定したので、剛性の高い多点で支持することによる耐荷重性能向上の効果に加えて、ガードバー6の曲げや座屈等に対する剛性向上の効果により、ガードバー6による荷重維持性能を向上することができる。
【0022】
また、その分岐点Bで各分枝6a〜6cを連続一体的に接続するようにしたので、各分枝6a〜6cに荷重を一様に分散させることができ、局所的に応力が高くなって変形したり座屈したりするのを抑制することができる。
【0023】
さらに、ガードバー6を管状に構成し、その中空部分に充填材を充填するようにしたので、ガードバー6の軽量化と剛性向上との両立を図ることができる。
【0024】
このようにガードバー6の剛性を向上することで、ドア3の車室内側への変形量をより一層低減することができる。
【0025】
さらに、末端部9を、車室内外方向に伸ばし、衝突時に分枝6cに生じた曲げまたは引っ張りによってドア3の外開き方向に傾動させるようにしたので、これが無い場合に比べて、ドア下端部の剛性が向上して荷重の伝達効率が向上する上、係合機構8のドア側部材8aを固定するドア下端部の傾動量を増大することができ、その分、サイドシル2C側により効率良くモーメントを伝達することができるという効果が得られる。なお、かかる構成によれば、末端部9の下面とドア3の底面とを当該末端部9の長手方向に沿った所定区間に亘って締結することができるので、ドア3によってガードバー6をより強固に支持することができるという効果も得られる。
【0026】
そして、衝突時にドア側部材8aと車体側部材8bとの当接面の滑りによって係合が解除されるのを抑制する滑り止め機構17を設けたので、係合機構8の係合が外れることなく、より確実に荷重を伝達することができるという効果が得られる。
【0027】
さらに、モーメント伝達部材(箱状部材11)を設けたので、サイドシル2Cのねじり剛性が向上して、その断面変形が抑制され、その結果、ガードバー6から係合機構8を介して受けた力およびモーメントから、効率よくサイドシル2Cのねじりモーメントを生成することができる。
【0028】
そして、係合機構8によって分枝6cとサイドシル2Cとが係合される位置(図2のA−A断面位置)で、サイドシル2Cとクロスメンバ20とを接続したので、クロスメンバ20に曲げモーメントを生じさせることができる。このとき、サイドシル2Cとクロスメンバ20との接続位置にモーメント伝達部材を設け、さらに、このモーメント伝達部材とクロスメンバ20とを直接的に固定することで、クロスメンバ20により一層効率よく曲げモーメントを伝達することができる。このようにクロスメンバ20に曲げモーメントを生じさせることは、より広範囲でエネルギを吸収させることに相当し、こうすることで、ドア3の車室内側への変位量をより一層低減することができるようになる。
【0029】
図3は、本実施形態のガードバー6における荷重の経時変化を、分枝6cの無い一直線状のガードバーの場合と比較して示すグラフである。このグラフから、本実施形態(図3の実線)によれば、分枝6cが無いもの(図3の破線)に比べて、荷重のピークの立ち上がりが早くなるとともにピーク値も高くなり、さらには荷重の持続時間も長くなっており、衝突時のエネルギの吸収量が増大していることがわかる。この効果は、ガードバー6を多分岐構成としたことに加え、前後方向の中央部に分岐点Bを設ける、当該分岐点Bで各分枝6a〜6cを連続一体的に構成する、中空部分を充填材で充填するなど、ガードバー6自体の剛性を高め、断面変形や折れ(曲がり)変形が抑制されたことによって得られる。さらには、ヒンジ機構4や、ドアロック機構5、係合機構8等によって、ガードバー6と車体開口部骨格部材2とを、複数点でより強固に締結(係合)し、衝突エネルギを吸収する範囲を拡大させたことで、その効果がより一層高くなっている。
【0030】
(第2実施形態) 図8は、本発明の第2実施形態にかかる車体側部構造の一部の分解斜視図である。なお、本実施形態にかかる車体側部構造は、上記第1実施形態にかかる車体側部構造と同様の構成要素を有している。よって、以下の説明では、これら同様の構成要素については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0031】
本実施形態では、外側部材22aと内側部材22bとによって、外側に膨出する形状のサイドシルレインフォース21が狭持されており、そのサイドシルレインフォース21と内側部材22bとの間の空隙に、その断面を閉塞するように、箱状部材23が収容してある。そして、外側部材22a、サイドシルレインフォース21、および箱状部材23は、それらの各上面に設けた貫通穴22c、21a、およびねじ穴23aが互いに重なり合うように配置され、係合機構8の車体側部材8bをサイドシル22Cの上面に固定するボルト(図示せず)によって、当該車体側部材8bとともに共締めされる。なお、ボルトに替えてリベット等を用いて締結してもよい。また、このとき、サイドシルレインフォース21と箱状部材23とは、溶接によって強固に接合しておくのが好適である。
【0032】
一方、箱状部材23、内側部材22b、およびクロスメンバ20は、箱状部材23に設けたねじ穴23b、内側部材22bに設けた貫通穴22d、およびクロスメンバ20の端部フランジ20aに設けた貫通穴20b(図8の例ではそのうちの一部)が互いに重なり合うように配置され、ボルト(図示せず)によって共締めされる。
【0033】
かかる構成によれば、モーメント伝達部材としての箱状部材23によって、サイドシルレインフォース21とサイドシル22Cの内側部材22bとの間の空隙の断面が閉塞される分、サイドシル22Cのねじり剛性がより一層向上する。また、箱状部材23は、係合機構8の車体側部材8b、サイドシル22C、およびクロスメンバ20に、直接的に締結される。したがって、本実施形態によれば、係合機構8から箱状部材23を介して、サイドシル22Cに対してはねじりモーメントが、またクロスメンバ20Aに対しては曲げモーメントが、より一層効率良く伝達されるという効果が得られる。
【0034】
(第3実施形態) 図9および図10は、本発明の第3実施形態を示しており、図9は、車体側部構造の一部の分解斜視図、図10は、その側面図である。なお、本実施形態にかかる車体側部構造も、上記第1実施形態にかかる車体側部構造と同様の構成要素を有しているため、これら同様の構成要素については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0035】
本実施形態でも、上記第2実施形態と同様に、サイドシル24C内に、外側に膨出する形状のサイドシルレインフォース25が設けられており、そのサイドシルレインフォース25とサイドシル24Cの内側部材との間の空隙に、その断面を閉塞するように、箱状部材26が挿入してある。ただし、本実施形態では、サイドシル24Cの内側の側面24aには、開口24bが設けられており、モーメント伝達部材としての箱状部材26は、その開口24bからサイドシル24C内に挿入される。また、本実施形態でも、サイドシル24C、サイドシルレインフォース25および箱状部材26は、各上面に設けた貫通穴(サイドシル24C上面の貫通穴24c、サイドシルレインフォース25の上面に設けた図示しない貫通穴)やねじ穴26cが互いに重なり合うように配置され、係合機構8の車体側部材8bをサイドシル24Cの上面に固定するボルト45によって、当該車体側部材8bとともに共締めされる。
【0036】
一方、箱状部材26には、開口24bからサイドシル24C外に露出する突出部26aが設けられており、この突出部26aとクロスメンバ20Bとが、エクステンションブラケット27によって締結されている。具体的には、鍔部26bから略矩形状に突出する突出部26aの上面および両側面には、ねじ穴26dが設けられる一方、下側が開放されたコの字状の断面を有するエクステンションブラケット27には、当該ねじ穴26dに対応する位置に貫通穴27aが設けられており、これらがボルト46(図10)によって締結される。また、クロスメンバ20Bのサイドシル24C側の端部の上面および両側面には、貫通穴20bが設けられる一方、エクステンションブラケット27には、当該貫通穴20bに対応する位置に貫通穴27bが設けられており、これらがボルト47およびナット(図示せず)によって締結される。すなわち、この例では、エクステンションブラケット27が突出部26aとクロスメンバ20Bとの間に架設される状態で、箱状部材26とクロスメンバ20Bとが接続される。ここで、エクステンションブラケット27は、コの字の開放側が下方を向く姿勢で装着されており、当該装着姿勢では、下方を凸とする曲げに対する剛性が高い。
【0037】
したがって、以上のような構成の本実施形態によっても、上記第2実施形態と同様に、サイドシル24Cには、係合機構8から箱状部材26を介して、ねじりモーメントが効率良く伝達され、またクロスメンバ20Bには、さらにエクステンションブラケット27を介して、曲げモーメントが効率良く伝達されるという効果が得られる。
【0038】
また、本実施形態では、図10に示すように、クロスメンバ20Bのサイドシル24C側の端部と、サイドシル24Cとの間には、箱状部材26の挿入作業を行うのに十分な隙間が確保されるため、サイドシル24Cおよびクロスメンバ20Bを所定の位置に配置した後でも、箱状部材26を取り付けることができる。すなわち、箱状部材26の組み付け順序の自由度が増大する分、かかる構成は、製造の手間や製造コストを低減することができるという利点がある。また、車体組立時に箱状部材26を装着しなかった場合にも、後で必要に応じて付加的に装着することができるようになるという利点がある。なお、サイドシル24Cの車室内側の面の開口24bの周囲にはシール材44を配置し、これにより、箱状部材26の鍔部26bとの間で水密を確保するのが好適である。
【0039】
(第4実施形態) 図11〜図14は、本発明の第4実施形態を示しており、図11は、ドアの要部の分解斜視図、図12は、車体側の要部の分解斜視図、図13は、車体側部構造の要部の断面図、図14は、係合機構に含まれる可動部材の拡大図である。
【0040】
本実施形態では、サイドシルレインフォース39とサイドシル33(車体骨格部材)の車室内側壁面との間の空間に箱状部材34を収容するとともに、係合機構として、この箱状部材34内に、アクチュエータ(図示せず)によって駆動されて他方側に進出して当該他方側と係合する可動部材35を設けている。かかる構成によっても、衝突時においてドア3Cに生じた力およびモーメントを、この係合機構を介して車体骨格部材側に伝達することができる。なお、箱状部材34をサイドシル33内に収容している点や、エクステンションブラケット27によって箱状部材34とクロスメンバ20Cとを締結している点については、上記第3実施形態と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0041】
そして、本実施形態では、可動部材35を車体骨格部材としてのサイドシル33内に設ける一方、ガードバー28の分枝28cの末端を管状に構成し、進出した可動部材35を当該管内に挿入することで、係合するようにしている。こうすることで、サイドシル33に設けた可動部材35を、力およびモーメントを伝達するガードバーの分枝28cに直接的に係合することができる分、一層効率よく荷重を伝達することができる。そして、このような直接的な係合が確立される分、係合部分の剛性が向上し、ガードバー28による反力の立ち上がりがより一層早くなるという効果が得られる。さらに、ドア3C側に可動部材35を係合するための構成を別個に設けた場合に比べて、コスト的にも有利になる。
【0042】
さらに、本実施形態では、可動部材35の突出口36を被覆する被覆部材37を設ける一方、ドア3C側の可動部材35の挿入口31も被覆部材32(例えばシールパッチ等)で覆い、可動部材35が、これら被覆部材37,32を突き抜けて、ドア3C側に進出するようにしている。こうすることで、突出口36や挿入口31、可動部材35等が露出していて外観上視認できる場合に比べ、美観を向上することができる。なお、本実施形態では、車体側の被覆部材37として、サイドシル33上面に装着したキッキングプレートを用いることで、違和感を与えず、しかも被覆部材を別途設けた場合に比べてコストの上昇を抑えている。そして、このキッキングプレート37に、突出口36の周縁に沿った環状の脆弱部37aを設け、当該脆弱部37aの内側部分37bが外れて開口するようにし、アクチュエータによる可動部材35の駆動力を抑えながら、より確実に可動部材35が突出できるようにしている。なお、突出口36の周囲には環状のガスケット38を設け、これにより、水密を確保している。
【0043】
また、アクチュエータは、加速度センサ等、車体衝突を検出するセンサ(図示せず)によって、車体衝突時にのみ駆動するのが好適である。こうすれば、ドア3Cの開閉のたびに可動部材35を駆動する場合に比べ、消費電力を低減することができるという効果がある。
【0044】
さらに、本実施形態では、図14に示すように、他方側に進出した可動部材35の退出を抑制する抜け止め機構40を設けている。具体的には、可動部材35の先端部分に、弾性部材(例えばスプリング等)40bによって外側に付勢されて可動部材35の表面から突没自在な爪40aを設け、可動部材35が分枝28c内に進出するときには挿入口31の周縁や立設部分30によって押された爪40aが一旦内側に没入し、可動部材35が分枝28cの管内の奥まで進出すると、当該爪40aが再び外側に突出するようにしてある。ここで、爪40aは、その根元側に設けられた突起部40cと可動部材35に設けられた顎部40dとが係合することによって、図14(b)に図示する状態以上には突出(拡開)しないようにしてある。このような構成により、一旦、可動部材35が分枝28c内に進出して爪40aが外側に突出した後は、ドア3Cにサイドシル33から離間させる力が作用しても、突起部40cと顎部40dとの係合によって拡開状態でロックされた爪40aが車体側の部材(例えばブラケット29の立設部分30)と係合するため、可動部材35は分枝28c内から抜け出ることができず、ドア3Cとサイドシル33との係合状態が維持されることとなる。ここで、本実施形態では、ドア3C側のブラケット29の挿入口31の周囲に、立設部分30を設け、図14の(b)に示すように、爪40aと係合した立設部分30が内側に倒れるようにしたので、可動部材35をより一層抜けにくくなっている。以上のような構成により、可動部材35とガードバー28との係合がより確実なものとなり、ドア3C側からサイドシル33側により確実に力およびモーメントを伝達することができるようになる。
【0045】
(第5実施形態) 図19および図20は、本発明の第5実施形態を示しており、図19は、通常時における車体側部構造の係合機構を含む要部の断面を示す斜視図、図20は、衝突時における車体側部構造の係合機構を含む要部の断面を示す斜視図である。
【0046】
本実施形態では、係合機構49が設けられる分枝48cの末端部に、係合機構49のドア側部材49aを設けるとともに、該ドア側部材49aから車室内方向に伸びるアーム部材50を設けている。
【0047】
一方、サイドシル2Cの上面には、係合機構49の車体側部材49bを含みアーム部材50の下方に隣接するキャッチャ51を設けている。このキャッチャ51は、例えばボルト等により、サイドシル2Cの上壁、サイドシルレインフォース10、およびモーメント伝達部材としての箱状部材11の上側で、これらに一体的に締結される。また、このキャッチャ51には、アーム部材50に対して車室内方向となる位置で略上方に向けて凸設されて、当該アーム部材50の車室内側への侵入を抑制する侵入抑制部52が設けられている。
【0048】
かかる構成において、側方からの衝突時に、ドアに車室内側への入力荷重Wが加わると、分枝48cの末端側には、図20に示すように、分岐点B側に向かう引張力Fgと、係合機構49の係合部分を中心とするモーメントMgが生じる。すると、ドア側から車体側に、係合機構49による上方への引張力Ft1、アーム部材50から侵入抑制部52に車室内側に作用する(ただし僅かに下方への成分を有する)押圧力Ft2、ならびにこれら荷重に伴うモーメントMt1が伝達される。そして、これら荷重およびモーメントは、サイドシル2C、サイドシルレインフォース10、および箱状部材11にねじりモーメントMmを生じさせ、さらに、クロスメンバ20に曲げモーメントMcを生じさせる。ここで、モーメントMg,Mt1,Mm,Mcは、いずれも、図20において反時計回り方向のモーメントである。
【0049】
すなわち、本実施形態では、係合機構49に対して車室内側となる位置にアーム部材50を設けるとともに、サイドシル2Cや箱状部材11の上方で当該アーム部材50に隣接するキャッチャ51を設け、側面衝突時に係合機構49の係合部分を中心として分枝48cの末端部に生じるモーメントを、これらアーム部材50およびキャッチャ51を介してより効率良く車体側に伝達できるようになる。
【0050】
なお、本実施形態においても、係合機構49(または分枝48cとキャッチャ51とが当接する部分)に抜け止め機構を設け、力およびモーメントがより確実に伝達されるようにしてもよい。
【0051】
(第6実施形態) 図21および図22は、本発明の第6実施形態を示しており、図21は、通常時における車体側部構造の係合機構を含む要部の断面図、図22は、衝突時における車体側部構造の係合機構を含む要部の断面図である。
【0052】
本実施形態では、車体開口部骨格部材としてのサイドシル56の側部で、ドアと車体とを係合するようにしている。すなわち、本実施形態にかかる係合機構54は、サイドシル56の側面に形成した凹部54bと、分枝53cの末端部に設けられて該凹部54bと係合する突起部54aとを備える。なお、凹部54bの強度を確保するため、図21に示すように、サイドシル56の側壁とともにサイドシルレインフォース57も迂曲させて凹部54bを形成するのが好適である。
【0053】
さらに、本実施形態では、分枝53cの末端部に、突起部54a側からサイドシル56の上面に沿って車室内方向に伸びるアーム部材55を設け、このアーム部材55の下面がサイドシル56の上面に隣接し、かつアーム部材55の車室内側の端部が、サイドシル56の上側の接合フランジ部58に隣接するようにしてある。
【0054】
かかる構成において、側方からの衝突時に、ドアに車室内側への入力荷重Wが加わると、分枝53cの末端側には、図22に示すように、分岐点B側に向かう引張力Fgと、係合機構54の係合部分を中心とするモーメントMgが生じる。すると、ドア側から車体側に、係合機構54による上方への引張力Ft3、アーム部材55から侵入抑制部としての接合フランジ部58に車室内側に作用する(ただし僅かに下方への成分を有する)押圧力押圧力Ft4、ならびにこれら荷重に伴うモーメントMt2が伝達される。そして、これら荷重およびモーメントは、サイドシル56、サイドシルレインフォース57、および箱状部材11にねじりモーメントMmを生じさせ、さらに、クロスメンバ20に曲げモーメントMcを生じさせる。ここで、モーメントMg,Mt2,Mm,Mcは、いずれも、図22において反時計回り方向のモーメントである。
【0055】
すなわち、本実施形態では、係合機構54に対して車室内側となる位置にアーム部材55を設けるとともに、接合フランジ部58などのサイドシル56の上部にアーム部材55を隣接させ、側面衝突時に係合機構54の係合部分を中心として分枝53cの末端部に生じるモーメントを、これらアーム部材50およびサイドシル56の上部を介してより効率良く車体側に伝達できるようになる。
【0056】
なお、本実施形態においても、係合機構54(または分枝53cとサイドシル56とが当接する部分)に抜け止め機構を設け、力およびモーメントがより確実に伝達されるようにしてもよい。
【0057】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に種々の改変を施すことができる。例えば、上記実施形態では、本発明をヒンジ機構によって水平方向に回動するドアに適用した例について説明したが、本発明は、上下方向に回動するドアや、スライド式のドアに対しても同様に適用することができる。
【0058】
また、図15に示す実施形態では、ガードバー6の分岐点Bの周囲を補強する補強部材18を設けている。こうすれば、ガードバー6の剛性を更に向上することができる。なお、かかる構成は、補強部材18を筒状の分枝部を複数有する多分岐形状とし、該筒状の分枝部に管状あるいは棒状の分枝を挿入して溶接することで、容易に構成することができる。
【0059】
また、図17や図18に示す実施形態のように、上記第1実施形態で用いた係合機構8(図16)とは異なる形状のフック部材42a,42b,43a,43bを有する係合機構42,43を用いてもよい。図17のフック部材42bは、その中央部分を表面側に突出させてポケット状に形成しており、かかる構成によれば、開口部分42cが拡開しにくいという利点がある。
【0060】
また、上記実施形態では、3つの分枝を設けた場合を例示したが、これに限定されるものではなく、4つ以上の分枝を設けるようにしてもよいし、2本以上の分枝の各末端に係合機構を設けてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、傾動部として、分枝の末端部を折り曲げた末端部を形成した場合を例示したが、これに限られるものではなく、例えば、分枝の末端にL字型あるいはT字型の別部材を固定したり、あるいは傾動部と分枝との間に曲がりを抑制するリブ等を設けたりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる車体側部構造の分解斜視図。
【図2】本発明の実施形態にかかる車体側部構造の側面図。
【図3】本発明の実施形態にかかる車体側部構造のガードバーの荷重の経時変化を示す模式図。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる車体側部構造の係合機構を含む要部の断面図(図2のA−A断面図;通常時)。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる車体側部構造の係合機構を含む要部の断面図(図2のA−A断面図;衝突による変形時)。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる車体側部構造のガードバーの斜視図。
【図7】本発明の第1実施形態にかかる車体側部構造の係合機構の拡大図。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる車体側部構造の要部の分解斜視図。
【図9】本発明の第3実施形態にかかる車体側部構造の要部の分解斜視図。
【図10】本発明の第3実施形態にかかる車体側部構造の要部の断面図。
【図11】本発明の第4実施形態にかかる車体側部構造におけるドアの要部の分解斜視図。
【図12】本発明の第4実施形態にかかる車体側部構造における車体側の要部の分解斜視図。
【図13】本発明の第4実施形態にかかる車体側部構造の要部の断面図。
【図14】本発明の第4実施形態にかかる車体側部構造の係合機構の可動部材を含む要部の拡大図。
【図15】本発明の別の実施形態にかかる車体側部構造のガードバーの斜視図。
【図16】本発明の第1実施形態にかかる車体側部構造の係合機構の斜視図。
【図17】本発明の別の実施形態にかかる車体側部構造の係合機構の斜視図。
【図18】本発明の別の実施形態にかかる車体側部構造の係合機構の斜視図。
【図19】本発明の第5実施形態にかかる車体側部構造の係合機構を含む要部の断面の斜視図(通常時)。
【図20】本発明の第5実施形態にかかる車体側部構造の係合機構を含む要部の断面の斜視図(衝突による変形時)。
【図21】本発明の第6実施形態にかかる車体側部構造の係合機構を含む要部の断面図(通常時)。
【図22】本発明の第6実施形態にかかる車体側部構造の係合機構を含む要部の断面図(衝突による変形時)。
【符号の説明】
【0063】
1 車体側部構造
2 車体開口部骨格部材
2C,22C,24C,33,56 サイドシル(車体開口部骨格部材、車体骨格部材)
20,20A,20B クロスメンバ(車体骨格部材)
3,3C ドア
4 ヒンジ機構
5 ドアロック機構
6,28 ガードバー
6c,28c,48c,53c 分枝
8,42,43,49,54 係合機構
8a,42a,43a ドア側部材
8b,42b,43b 車体側部材
9 末端部(傾動部)
11,23,26,34 箱状部材(モーメント伝達部材)
16 充填材
17 滑り止め機構
24b 開口
26a 突起部(露出部)
35 可動部材
37 キッキングプレート(被覆部材)
40 抜け止め機構
51 キャッチャ(車体側の部材)
50,55 アーム部材
54a 突起部
54b 凹部
B 分岐点
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車体側部構造として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。かかる従来の車体側部構造では、ドア内に、前後方向に伸びる上下一対のガードバーと、それらを接続する上下方向に伸びる補強材とを設けることで、衝突時のドア下側の車室内側への入力に基づいてドアウエスト部分が相対的に外側に変形するようにし、これにより、車室内側への変形量の低減を図っている。
【特許文献1】特開2002−2282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の車体側部構造では、車室内側への変形量の増大を、強度部材を追加配置することによって抑制しているが、ドアの重量を増加させることなく、強度部材の支持剛性を向上したり、車体反力を強化したりするのは難しいという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、車体側部構造において、ドア内部の強度部材と車体開口部骨格部材との連結をより強固にするとともに、強度部材の反力を向上し、さらに衝突荷重の伝達維持性能を向上させることにより、側面衝突時におけるドアの車室内側への変形量をより一層低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にあっては、車体開口部の周辺部を構成する車体開口部骨格部材と、前記車体開口部骨格部材にヒンジ機構を介して開閉自在に取り付けられるとともに、その他方側のドアロック機構によって閉状態で車体開口部骨格部材にロックされるドアと、前記ドアの端辺間に架設された多分岐構成のガードバーと、ドア閉時に、前記ガードバーの分枝の末端部と車体開口部骨格部材とを係合する係合機構と、前記車体開口部骨格部材の内部に設けられ、前記係合機構に接続されるモーメント伝達部材と、を備え、側面衝突時にドアに作用した荷重が、前記ガードバーの各分枝から、ヒンジ機構、ドアロック機構、および係合機構を介してそれらが設けられる車体開口部骨格部材に分散して伝達されるとともに、その荷重から前記係合機構およびモーメント伝達部材によって車体開口部骨格部材にモーメントが生じるようにしたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、側面衝突時にドアに入力された荷重を、多分岐構成のガードバーによって多方向に分散させて車体開口部骨格部材に伝達するのに加えて、係合機構およびモーメント伝達機構によって、当該荷重から車体開口部骨格部材のモーメントが生じるようにしたので、車室内側への変形量をより一層低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
(第1実施形態)図1〜図7,図16は、本発明の第1実施形態にかかる車体側部構造を示しており、図1は、車体側部構造の分解斜視図、図2は、車体側部構造の側面図、図3は、ガードバーの荷重の経時変化を示す模式図、図4および図5は、係合機構近傍の断面図(図2のA−A断面図)、図6は、ガードバーの斜視図、図7は、係合機構の拡大図、図16は、係合機構の斜視図である。なお、図1,図2中のFRは車両の前方を示し、また、図1,図4,図5中のINは車室内方向を示す。
【0009】
本実施形態にかかる車体側部構造1は、車体開口部を構成する車体骨格部材としての車体開口部骨格部材2(フロントピラー2A、センターピラー2B、サイドシル2C等)と、その車体開口部骨格部材2に開閉自在に取り付けられるドア3と、車体開口部骨格部材2に交叉する方向に伸びる車体骨格部材(クロスメンバ20)と、を含む。
【0010】
ドア3は、ヒンジ機構4を介して車体開口部骨格部材2(フロントピラー2A)に開閉自在に取り付けられる一方、ドアロック5aとストライカ5bとからなるドアロック機構5によって、閉状態で固定できるようにしてある。本実施形態では、ヒンジ機構4は、ドア3の車両前方側の端辺に設けられており、ドアロック機構5のドアロック5aはドア3の車両後方側の端辺に設けられる一方、ストライカ5bはセンターピラー2Bの前記ドアロック5aに対応する位置に設けられている。
【0011】
そして、このドア3には、側方からの衝突に対抗すべく、ガードバー6が取り付けられている。本実施形態では、このガードバー6を、複数(この例では三つ)の分枝6a〜6cを有する多分岐構成とし、ドア3の複数の端辺間にブラケット7を用いて架設している。具体的には、ガードバー6の前後方向(長手方向)の略中央部に分岐点Bを設定し、この分岐点Bから、前方、後方、下方にそれぞれ分枝6a〜6cを延伸し、各分枝6a〜6cの末端をブラケット7によってドア3の各端辺に固定している。ここで、各分枝6a〜6cは、全て同様の部材(例えば同一の厚みおよび外径の鉄鋼あるいはアルミニウム合金の管等)によって構成し、分岐点Bにおいて各分枝6a〜6cを連続一体的に接続するとともに、それらのうち分枝6a,6bについては、車両前後方向にほぼ一直線状に伸びるように構成している。さらに、図6に示すように、ガードバー6(分枝6a〜6c)は、例えばハイドロフォーミング等によって管状部材として構成し、その中空部分には、発泡材等の充填材16を充填してある。
【0012】
このようにガードバー6を多分岐構成としたことで、図2に示すように、側方衝突時にドア3に対して車室内方向に入力された荷重が、各分枝6a〜6cに分散されるようになる。
【0013】
また、この車体側部構造1は、ドア3を閉じたときに分枝6cの末端部9と車体開口部骨格部材2としてのサイドシル2Cとを係合する係合機構8を備えている。具体的には、分岐点Bから下方に伸びる分枝6cの末端部9に、車室内側を開放したフック状のドア側部材8aを固定する一方、サイドシル2Cの上面には、車室外側を開放したフック状の車体側部材8bを設け、これらの係合により、ドア3の端辺が閉位置より車室内側に移動するのを規制している。また、本実施形態では、図6に示すように、分枝6cの先端側を車室内側に向けて折り曲げて末端部9を形成し、その末端部9の下面をブラケット7cに溶接して固定してある。そして、図1および図16に示すように、これらブラケット7cおよびドア側部材8aは、ドア下端部材を貫通するボルト12を用いて、当該ドア下端部材の上下に固定してある。一方、車体側部材8bは、サイドシル2Cの上面に、ビス13によって固定してある。これらドア側部材8aおよび車体側部材8bともに、固定用のボルト12、ビス13はU字状のフック部分の両側を貫通しており、これにより、当該フック部分が拡開するのを防止している。
【0014】
また、この車体側部構造1には、図7に示すように、衝突時に係合機構8のドア側部材8aと車体側部材8bとの当接面が滑ってそれらの係合が解除されるのを抑制する滑り止め機構17を設けている。側面衝突時には、係合機構8には、図7に直線状の矢印で示す荷重と、同図に曲線状の矢印で示すドア側部材8aおよび車体側部材8bとの変形によるモーメントと、が作用する。図7の(b)に示すような変形が進むと、ドア側部材8aと車体側部材8bとが離間する方向に滑り、荷重伝達機能が低下することが想定される。そこで、本実施形態では、滑り止め機構17として、衝突時(図7の(b))に相互に当接する面に、相互に噛み合うことによってドア側部材8aと車体側部材8bとが離間するのを防止する鋸歯部17a,17bを設けている。なお、図7の(a)に示すように、通常使用時にはドア3の開閉の障害となることがないよう、ドア側部材8aと車体側部材8bとは、鋸歯部17a,17bの設けられた面同士が離間し、当接しないようにしてある。
【0015】
また、この車体側部構造1には、図4に示すように、サイドシル2Cの内部の空間に、車室外側に膨出した状態で上下に架設されて車両前後方向に伸びるサイドシルレインフォース10を設け、さらにこのサイドシルレインフォース10とサイドシル2Cの車室内側の壁との間の空間に、中空の箱状部材11を収容している。この箱状部材11は、車両前後方向の両端(図示せず)で閉塞される一方、サイドシル2Cの上側の壁、車室内側の壁、およびサイドシルレインフォース10に当接させて固定してある。
【0016】
さらに、この車体側部構造1では、係合機構8によって分枝6cとサイドシル2Cとが係合される位置(図2のA−A断面位置)で、当該サイドシル2Cとこれに交叉するクロスメンバ20とが接続されている。具体的には、クロスメンバ20の端部と箱状部材11の車室内側の壁面とが、サイドシル2Cの車室内側の壁を挟んでボルト14およびナット15によって締結されている。
【0017】
このような構成により、分枝6cに伝達された荷重が、係合機構8等を介して、車体開口部骨格部材2およびクロスメンバ20に伝達される。すなわち、図5に示すように、側方からの衝突時に、ドア3に車室内側への入力荷重Wが加わると、分枝6cの末端側には、分岐点B側に向かう引張力Fgと、モーメントMgが生じる。そして、この引張力FgおよびモーメントMgにより、係合機構8では引張力FtおよびモーメントMtが生じ、さらにサイドシル2C、サイドシルレインフォース10、および箱状部材11にねじりモーメントMmが生じ、さらに、クロスメンバ20には曲げモーメントMcが生じる。ここで、モーメントMg,Mt,Mm,Mcは、いずれも、図5において反時計回り方向のモーメントである。
【0018】
ここで、分枝6cの末端部9は、車室内側の先端部9aより車室外側の根元部9bが上となる姿勢に傾動する。この末端部9は、サイドシル2Cに沿うドア3の端辺の幅方向に所定の長さを有する剛性の高い部分として構成されており、さらに、この末端部9に、ブラケット7cを介して係合機構8のドア側部材8aが固定されている。よって、分枝6cに生じたモーメントMgが、当該末端部9の傾動として、係合機構8に効率よく伝達され、モーメントMtが生じる。本実施形態では、この末端部9が、本発明の傾動部に相当する。
【0019】
また、箱状部材11は、ドア側部材8aに接続され、係合機構8から入力される力やモーメントをサイドシル2C(車体開口部骨格部材2)やクロスメンバ20に伝達する機能を持つ。箱状部材11は、それ自体、比較的剛性(特にサイドシル2Cの軸周りのねじり剛性)が高く、この箱状部材11をサイドシル2C内に設けることによって、サイドシル2Cのねじり剛性も向上することになるため、ドア3から伝達された力またはモーメントから、効率よくサイドシル2Cのねじりモーメントが生じることになる。本実施形態では、この箱状部材11が、本発明のモーメント伝達部材に相当する。
【0020】
以上のような構成を備える本実施形態の車体側部構造1によれば、側面衝突時にドアに作用した荷重が、ガードバー6の各分枝6a〜6cから、ヒンジ機構4、ドアロック機構5、および係合機構8を介してそれらが設けられる車体開口部骨格部材2(フロントピラー2Aや、センターピラー2B、サイドシル2C)に分散して伝達されるとともに、その荷重から係合機構8およびモーメント伝達部材11によってサイドシル2CにはねじりモーメントMmが、またクロスメンバ20には曲げモーメントMcが生じるようにしたので、側面衝突時の衝撃荷重が極めて効率よく分散され、ドア3の車室内側への変形量を低減することができる。なお、かかる構成により、衝突負荷を受けられる領域の面積が拡大され、ドア3の変位量の衝突位置によるばらつきが小さくなるという効果も得られる。
【0021】
ここで、本実施形態では、ガードバー6の各分枝6a〜6cを、ヒンジ機構4、ドアロック機構5、および係合機構8の設けられるドア3の各端辺に接続するとともに、ガードバー6の各分枝6a〜6cの分岐点Bを、その長手方向の略中央部に設定したので、剛性の高い多点で支持することによる耐荷重性能向上の効果に加えて、ガードバー6の曲げや座屈等に対する剛性向上の効果により、ガードバー6による荷重維持性能を向上することができる。
【0022】
また、その分岐点Bで各分枝6a〜6cを連続一体的に接続するようにしたので、各分枝6a〜6cに荷重を一様に分散させることができ、局所的に応力が高くなって変形したり座屈したりするのを抑制することができる。
【0023】
さらに、ガードバー6を管状に構成し、その中空部分に充填材を充填するようにしたので、ガードバー6の軽量化と剛性向上との両立を図ることができる。
【0024】
このようにガードバー6の剛性を向上することで、ドア3の車室内側への変形量をより一層低減することができる。
【0025】
さらに、末端部9を、車室内外方向に伸ばし、衝突時に分枝6cに生じた曲げまたは引っ張りによってドア3の外開き方向に傾動させるようにしたので、これが無い場合に比べて、ドア下端部の剛性が向上して荷重の伝達効率が向上する上、係合機構8のドア側部材8aを固定するドア下端部の傾動量を増大することができ、その分、サイドシル2C側により効率良くモーメントを伝達することができるという効果が得られる。なお、かかる構成によれば、末端部9の下面とドア3の底面とを当該末端部9の長手方向に沿った所定区間に亘って締結することができるので、ドア3によってガードバー6をより強固に支持することができるという効果も得られる。
【0026】
そして、衝突時にドア側部材8aと車体側部材8bとの当接面の滑りによって係合が解除されるのを抑制する滑り止め機構17を設けたので、係合機構8の係合が外れることなく、より確実に荷重を伝達することができるという効果が得られる。
【0027】
さらに、モーメント伝達部材(箱状部材11)を設けたので、サイドシル2Cのねじり剛性が向上して、その断面変形が抑制され、その結果、ガードバー6から係合機構8を介して受けた力およびモーメントから、効率よくサイドシル2Cのねじりモーメントを生成することができる。
【0028】
そして、係合機構8によって分枝6cとサイドシル2Cとが係合される位置(図2のA−A断面位置)で、サイドシル2Cとクロスメンバ20とを接続したので、クロスメンバ20に曲げモーメントを生じさせることができる。このとき、サイドシル2Cとクロスメンバ20との接続位置にモーメント伝達部材を設け、さらに、このモーメント伝達部材とクロスメンバ20とを直接的に固定することで、クロスメンバ20により一層効率よく曲げモーメントを伝達することができる。このようにクロスメンバ20に曲げモーメントを生じさせることは、より広範囲でエネルギを吸収させることに相当し、こうすることで、ドア3の車室内側への変位量をより一層低減することができるようになる。
【0029】
図3は、本実施形態のガードバー6における荷重の経時変化を、分枝6cの無い一直線状のガードバーの場合と比較して示すグラフである。このグラフから、本実施形態(図3の実線)によれば、分枝6cが無いもの(図3の破線)に比べて、荷重のピークの立ち上がりが早くなるとともにピーク値も高くなり、さらには荷重の持続時間も長くなっており、衝突時のエネルギの吸収量が増大していることがわかる。この効果は、ガードバー6を多分岐構成としたことに加え、前後方向の中央部に分岐点Bを設ける、当該分岐点Bで各分枝6a〜6cを連続一体的に構成する、中空部分を充填材で充填するなど、ガードバー6自体の剛性を高め、断面変形や折れ(曲がり)変形が抑制されたことによって得られる。さらには、ヒンジ機構4や、ドアロック機構5、係合機構8等によって、ガードバー6と車体開口部骨格部材2とを、複数点でより強固に締結(係合)し、衝突エネルギを吸収する範囲を拡大させたことで、その効果がより一層高くなっている。
【0030】
(第2実施形態) 図8は、本発明の第2実施形態にかかる車体側部構造の一部の分解斜視図である。なお、本実施形態にかかる車体側部構造は、上記第1実施形態にかかる車体側部構造と同様の構成要素を有している。よって、以下の説明では、これら同様の構成要素については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0031】
本実施形態では、外側部材22aと内側部材22bとによって、外側に膨出する形状のサイドシルレインフォース21が狭持されており、そのサイドシルレインフォース21と内側部材22bとの間の空隙に、その断面を閉塞するように、箱状部材23が収容してある。そして、外側部材22a、サイドシルレインフォース21、および箱状部材23は、それらの各上面に設けた貫通穴22c、21a、およびねじ穴23aが互いに重なり合うように配置され、係合機構8の車体側部材8bをサイドシル22Cの上面に固定するボルト(図示せず)によって、当該車体側部材8bとともに共締めされる。なお、ボルトに替えてリベット等を用いて締結してもよい。また、このとき、サイドシルレインフォース21と箱状部材23とは、溶接によって強固に接合しておくのが好適である。
【0032】
一方、箱状部材23、内側部材22b、およびクロスメンバ20は、箱状部材23に設けたねじ穴23b、内側部材22bに設けた貫通穴22d、およびクロスメンバ20の端部フランジ20aに設けた貫通穴20b(図8の例ではそのうちの一部)が互いに重なり合うように配置され、ボルト(図示せず)によって共締めされる。
【0033】
かかる構成によれば、モーメント伝達部材としての箱状部材23によって、サイドシルレインフォース21とサイドシル22Cの内側部材22bとの間の空隙の断面が閉塞される分、サイドシル22Cのねじり剛性がより一層向上する。また、箱状部材23は、係合機構8の車体側部材8b、サイドシル22C、およびクロスメンバ20に、直接的に締結される。したがって、本実施形態によれば、係合機構8から箱状部材23を介して、サイドシル22Cに対してはねじりモーメントが、またクロスメンバ20Aに対しては曲げモーメントが、より一層効率良く伝達されるという効果が得られる。
【0034】
(第3実施形態) 図9および図10は、本発明の第3実施形態を示しており、図9は、車体側部構造の一部の分解斜視図、図10は、その側面図である。なお、本実施形態にかかる車体側部構造も、上記第1実施形態にかかる車体側部構造と同様の構成要素を有しているため、これら同様の構成要素については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0035】
本実施形態でも、上記第2実施形態と同様に、サイドシル24C内に、外側に膨出する形状のサイドシルレインフォース25が設けられており、そのサイドシルレインフォース25とサイドシル24Cの内側部材との間の空隙に、その断面を閉塞するように、箱状部材26が挿入してある。ただし、本実施形態では、サイドシル24Cの内側の側面24aには、開口24bが設けられており、モーメント伝達部材としての箱状部材26は、その開口24bからサイドシル24C内に挿入される。また、本実施形態でも、サイドシル24C、サイドシルレインフォース25および箱状部材26は、各上面に設けた貫通穴(サイドシル24C上面の貫通穴24c、サイドシルレインフォース25の上面に設けた図示しない貫通穴)やねじ穴26cが互いに重なり合うように配置され、係合機構8の車体側部材8bをサイドシル24Cの上面に固定するボルト45によって、当該車体側部材8bとともに共締めされる。
【0036】
一方、箱状部材26には、開口24bからサイドシル24C外に露出する突出部26aが設けられており、この突出部26aとクロスメンバ20Bとが、エクステンションブラケット27によって締結されている。具体的には、鍔部26bから略矩形状に突出する突出部26aの上面および両側面には、ねじ穴26dが設けられる一方、下側が開放されたコの字状の断面を有するエクステンションブラケット27には、当該ねじ穴26dに対応する位置に貫通穴27aが設けられており、これらがボルト46(図10)によって締結される。また、クロスメンバ20Bのサイドシル24C側の端部の上面および両側面には、貫通穴20bが設けられる一方、エクステンションブラケット27には、当該貫通穴20bに対応する位置に貫通穴27bが設けられており、これらがボルト47およびナット(図示せず)によって締結される。すなわち、この例では、エクステンションブラケット27が突出部26aとクロスメンバ20Bとの間に架設される状態で、箱状部材26とクロスメンバ20Bとが接続される。ここで、エクステンションブラケット27は、コの字の開放側が下方を向く姿勢で装着されており、当該装着姿勢では、下方を凸とする曲げに対する剛性が高い。
【0037】
したがって、以上のような構成の本実施形態によっても、上記第2実施形態と同様に、サイドシル24Cには、係合機構8から箱状部材26を介して、ねじりモーメントが効率良く伝達され、またクロスメンバ20Bには、さらにエクステンションブラケット27を介して、曲げモーメントが効率良く伝達されるという効果が得られる。
【0038】
また、本実施形態では、図10に示すように、クロスメンバ20Bのサイドシル24C側の端部と、サイドシル24Cとの間には、箱状部材26の挿入作業を行うのに十分な隙間が確保されるため、サイドシル24Cおよびクロスメンバ20Bを所定の位置に配置した後でも、箱状部材26を取り付けることができる。すなわち、箱状部材26の組み付け順序の自由度が増大する分、かかる構成は、製造の手間や製造コストを低減することができるという利点がある。また、車体組立時に箱状部材26を装着しなかった場合にも、後で必要に応じて付加的に装着することができるようになるという利点がある。なお、サイドシル24Cの車室内側の面の開口24bの周囲にはシール材44を配置し、これにより、箱状部材26の鍔部26bとの間で水密を確保するのが好適である。
【0039】
(第4実施形態) 図11〜図14は、本発明の第4実施形態を示しており、図11は、ドアの要部の分解斜視図、図12は、車体側の要部の分解斜視図、図13は、車体側部構造の要部の断面図、図14は、係合機構に含まれる可動部材の拡大図である。
【0040】
本実施形態では、サイドシルレインフォース39とサイドシル33(車体骨格部材)の車室内側壁面との間の空間に箱状部材34を収容するとともに、係合機構として、この箱状部材34内に、アクチュエータ(図示せず)によって駆動されて他方側に進出して当該他方側と係合する可動部材35を設けている。かかる構成によっても、衝突時においてドア3Cに生じた力およびモーメントを、この係合機構を介して車体骨格部材側に伝達することができる。なお、箱状部材34をサイドシル33内に収容している点や、エクステンションブラケット27によって箱状部材34とクロスメンバ20Cとを締結している点については、上記第3実施形態と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0041】
そして、本実施形態では、可動部材35を車体骨格部材としてのサイドシル33内に設ける一方、ガードバー28の分枝28cの末端を管状に構成し、進出した可動部材35を当該管内に挿入することで、係合するようにしている。こうすることで、サイドシル33に設けた可動部材35を、力およびモーメントを伝達するガードバーの分枝28cに直接的に係合することができる分、一層効率よく荷重を伝達することができる。そして、このような直接的な係合が確立される分、係合部分の剛性が向上し、ガードバー28による反力の立ち上がりがより一層早くなるという効果が得られる。さらに、ドア3C側に可動部材35を係合するための構成を別個に設けた場合に比べて、コスト的にも有利になる。
【0042】
さらに、本実施形態では、可動部材35の突出口36を被覆する被覆部材37を設ける一方、ドア3C側の可動部材35の挿入口31も被覆部材32(例えばシールパッチ等)で覆い、可動部材35が、これら被覆部材37,32を突き抜けて、ドア3C側に進出するようにしている。こうすることで、突出口36や挿入口31、可動部材35等が露出していて外観上視認できる場合に比べ、美観を向上することができる。なお、本実施形態では、車体側の被覆部材37として、サイドシル33上面に装着したキッキングプレートを用いることで、違和感を与えず、しかも被覆部材を別途設けた場合に比べてコストの上昇を抑えている。そして、このキッキングプレート37に、突出口36の周縁に沿った環状の脆弱部37aを設け、当該脆弱部37aの内側部分37bが外れて開口するようにし、アクチュエータによる可動部材35の駆動力を抑えながら、より確実に可動部材35が突出できるようにしている。なお、突出口36の周囲には環状のガスケット38を設け、これにより、水密を確保している。
【0043】
また、アクチュエータは、加速度センサ等、車体衝突を検出するセンサ(図示せず)によって、車体衝突時にのみ駆動するのが好適である。こうすれば、ドア3Cの開閉のたびに可動部材35を駆動する場合に比べ、消費電力を低減することができるという効果がある。
【0044】
さらに、本実施形態では、図14に示すように、他方側に進出した可動部材35の退出を抑制する抜け止め機構40を設けている。具体的には、可動部材35の先端部分に、弾性部材(例えばスプリング等)40bによって外側に付勢されて可動部材35の表面から突没自在な爪40aを設け、可動部材35が分枝28c内に進出するときには挿入口31の周縁や立設部分30によって押された爪40aが一旦内側に没入し、可動部材35が分枝28cの管内の奥まで進出すると、当該爪40aが再び外側に突出するようにしてある。ここで、爪40aは、その根元側に設けられた突起部40cと可動部材35に設けられた顎部40dとが係合することによって、図14(b)に図示する状態以上には突出(拡開)しないようにしてある。このような構成により、一旦、可動部材35が分枝28c内に進出して爪40aが外側に突出した後は、ドア3Cにサイドシル33から離間させる力が作用しても、突起部40cと顎部40dとの係合によって拡開状態でロックされた爪40aが車体側の部材(例えばブラケット29の立設部分30)と係合するため、可動部材35は分枝28c内から抜け出ることができず、ドア3Cとサイドシル33との係合状態が維持されることとなる。ここで、本実施形態では、ドア3C側のブラケット29の挿入口31の周囲に、立設部分30を設け、図14の(b)に示すように、爪40aと係合した立設部分30が内側に倒れるようにしたので、可動部材35をより一層抜けにくくなっている。以上のような構成により、可動部材35とガードバー28との係合がより確実なものとなり、ドア3C側からサイドシル33側により確実に力およびモーメントを伝達することができるようになる。
【0045】
(第5実施形態) 図19および図20は、本発明の第5実施形態を示しており、図19は、通常時における車体側部構造の係合機構を含む要部の断面を示す斜視図、図20は、衝突時における車体側部構造の係合機構を含む要部の断面を示す斜視図である。
【0046】
本実施形態では、係合機構49が設けられる分枝48cの末端部に、係合機構49のドア側部材49aを設けるとともに、該ドア側部材49aから車室内方向に伸びるアーム部材50を設けている。
【0047】
一方、サイドシル2Cの上面には、係合機構49の車体側部材49bを含みアーム部材50の下方に隣接するキャッチャ51を設けている。このキャッチャ51は、例えばボルト等により、サイドシル2Cの上壁、サイドシルレインフォース10、およびモーメント伝達部材としての箱状部材11の上側で、これらに一体的に締結される。また、このキャッチャ51には、アーム部材50に対して車室内方向となる位置で略上方に向けて凸設されて、当該アーム部材50の車室内側への侵入を抑制する侵入抑制部52が設けられている。
【0048】
かかる構成において、側方からの衝突時に、ドアに車室内側への入力荷重Wが加わると、分枝48cの末端側には、図20に示すように、分岐点B側に向かう引張力Fgと、係合機構49の係合部分を中心とするモーメントMgが生じる。すると、ドア側から車体側に、係合機構49による上方への引張力Ft1、アーム部材50から侵入抑制部52に車室内側に作用する(ただし僅かに下方への成分を有する)押圧力Ft2、ならびにこれら荷重に伴うモーメントMt1が伝達される。そして、これら荷重およびモーメントは、サイドシル2C、サイドシルレインフォース10、および箱状部材11にねじりモーメントMmを生じさせ、さらに、クロスメンバ20に曲げモーメントMcを生じさせる。ここで、モーメントMg,Mt1,Mm,Mcは、いずれも、図20において反時計回り方向のモーメントである。
【0049】
すなわち、本実施形態では、係合機構49に対して車室内側となる位置にアーム部材50を設けるとともに、サイドシル2Cや箱状部材11の上方で当該アーム部材50に隣接するキャッチャ51を設け、側面衝突時に係合機構49の係合部分を中心として分枝48cの末端部に生じるモーメントを、これらアーム部材50およびキャッチャ51を介してより効率良く車体側に伝達できるようになる。
【0050】
なお、本実施形態においても、係合機構49(または分枝48cとキャッチャ51とが当接する部分)に抜け止め機構を設け、力およびモーメントがより確実に伝達されるようにしてもよい。
【0051】
(第6実施形態) 図21および図22は、本発明の第6実施形態を示しており、図21は、通常時における車体側部構造の係合機構を含む要部の断面図、図22は、衝突時における車体側部構造の係合機構を含む要部の断面図である。
【0052】
本実施形態では、車体開口部骨格部材としてのサイドシル56の側部で、ドアと車体とを係合するようにしている。すなわち、本実施形態にかかる係合機構54は、サイドシル56の側面に形成した凹部54bと、分枝53cの末端部に設けられて該凹部54bと係合する突起部54aとを備える。なお、凹部54bの強度を確保するため、図21に示すように、サイドシル56の側壁とともにサイドシルレインフォース57も迂曲させて凹部54bを形成するのが好適である。
【0053】
さらに、本実施形態では、分枝53cの末端部に、突起部54a側からサイドシル56の上面に沿って車室内方向に伸びるアーム部材55を設け、このアーム部材55の下面がサイドシル56の上面に隣接し、かつアーム部材55の車室内側の端部が、サイドシル56の上側の接合フランジ部58に隣接するようにしてある。
【0054】
かかる構成において、側方からの衝突時に、ドアに車室内側への入力荷重Wが加わると、分枝53cの末端側には、図22に示すように、分岐点B側に向かう引張力Fgと、係合機構54の係合部分を中心とするモーメントMgが生じる。すると、ドア側から車体側に、係合機構54による上方への引張力Ft3、アーム部材55から侵入抑制部としての接合フランジ部58に車室内側に作用する(ただし僅かに下方への成分を有する)押圧力押圧力Ft4、ならびにこれら荷重に伴うモーメントMt2が伝達される。そして、これら荷重およびモーメントは、サイドシル56、サイドシルレインフォース57、および箱状部材11にねじりモーメントMmを生じさせ、さらに、クロスメンバ20に曲げモーメントMcを生じさせる。ここで、モーメントMg,Mt2,Mm,Mcは、いずれも、図22において反時計回り方向のモーメントである。
【0055】
すなわち、本実施形態では、係合機構54に対して車室内側となる位置にアーム部材55を設けるとともに、接合フランジ部58などのサイドシル56の上部にアーム部材55を隣接させ、側面衝突時に係合機構54の係合部分を中心として分枝53cの末端部に生じるモーメントを、これらアーム部材50およびサイドシル56の上部を介してより効率良く車体側に伝達できるようになる。
【0056】
なお、本実施形態においても、係合機構54(または分枝53cとサイドシル56とが当接する部分)に抜け止め機構を設け、力およびモーメントがより確実に伝達されるようにしてもよい。
【0057】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に種々の改変を施すことができる。例えば、上記実施形態では、本発明をヒンジ機構によって水平方向に回動するドアに適用した例について説明したが、本発明は、上下方向に回動するドアや、スライド式のドアに対しても同様に適用することができる。
【0058】
また、図15に示す実施形態では、ガードバー6の分岐点Bの周囲を補強する補強部材18を設けている。こうすれば、ガードバー6の剛性を更に向上することができる。なお、かかる構成は、補強部材18を筒状の分枝部を複数有する多分岐形状とし、該筒状の分枝部に管状あるいは棒状の分枝を挿入して溶接することで、容易に構成することができる。
【0059】
また、図17や図18に示す実施形態のように、上記第1実施形態で用いた係合機構8(図16)とは異なる形状のフック部材42a,42b,43a,43bを有する係合機構42,43を用いてもよい。図17のフック部材42bは、その中央部分を表面側に突出させてポケット状に形成しており、かかる構成によれば、開口部分42cが拡開しにくいという利点がある。
【0060】
また、上記実施形態では、3つの分枝を設けた場合を例示したが、これに限定されるものではなく、4つ以上の分枝を設けるようにしてもよいし、2本以上の分枝の各末端に係合機構を設けてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、傾動部として、分枝の末端部を折り曲げた末端部を形成した場合を例示したが、これに限られるものではなく、例えば、分枝の末端にL字型あるいはT字型の別部材を固定したり、あるいは傾動部と分枝との間に曲がりを抑制するリブ等を設けたりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる車体側部構造の分解斜視図。
【図2】本発明の実施形態にかかる車体側部構造の側面図。
【図3】本発明の実施形態にかかる車体側部構造のガードバーの荷重の経時変化を示す模式図。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる車体側部構造の係合機構を含む要部の断面図(図2のA−A断面図;通常時)。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる車体側部構造の係合機構を含む要部の断面図(図2のA−A断面図;衝突による変形時)。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる車体側部構造のガードバーの斜視図。
【図7】本発明の第1実施形態にかかる車体側部構造の係合機構の拡大図。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる車体側部構造の要部の分解斜視図。
【図9】本発明の第3実施形態にかかる車体側部構造の要部の分解斜視図。
【図10】本発明の第3実施形態にかかる車体側部構造の要部の断面図。
【図11】本発明の第4実施形態にかかる車体側部構造におけるドアの要部の分解斜視図。
【図12】本発明の第4実施形態にかかる車体側部構造における車体側の要部の分解斜視図。
【図13】本発明の第4実施形態にかかる車体側部構造の要部の断面図。
【図14】本発明の第4実施形態にかかる車体側部構造の係合機構の可動部材を含む要部の拡大図。
【図15】本発明の別の実施形態にかかる車体側部構造のガードバーの斜視図。
【図16】本発明の第1実施形態にかかる車体側部構造の係合機構の斜視図。
【図17】本発明の別の実施形態にかかる車体側部構造の係合機構の斜視図。
【図18】本発明の別の実施形態にかかる車体側部構造の係合機構の斜視図。
【図19】本発明の第5実施形態にかかる車体側部構造の係合機構を含む要部の断面の斜視図(通常時)。
【図20】本発明の第5実施形態にかかる車体側部構造の係合機構を含む要部の断面の斜視図(衝突による変形時)。
【図21】本発明の第6実施形態にかかる車体側部構造の係合機構を含む要部の断面図(通常時)。
【図22】本発明の第6実施形態にかかる車体側部構造の係合機構を含む要部の断面図(衝突による変形時)。
【符号の説明】
【0063】
1 車体側部構造
2 車体開口部骨格部材
2C,22C,24C,33,56 サイドシル(車体開口部骨格部材、車体骨格部材)
20,20A,20B クロスメンバ(車体骨格部材)
3,3C ドア
4 ヒンジ機構
5 ドアロック機構
6,28 ガードバー
6c,28c,48c,53c 分枝
8,42,43,49,54 係合機構
8a,42a,43a ドア側部材
8b,42b,43b 車体側部材
9 末端部(傾動部)
11,23,26,34 箱状部材(モーメント伝達部材)
16 充填材
17 滑り止め機構
24b 開口
26a 突起部(露出部)
35 可動部材
37 キッキングプレート(被覆部材)
40 抜け止め機構
51 キャッチャ(車体側の部材)
50,55 アーム部材
54a 突起部
54b 凹部
B 分岐点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体開口部の周辺部を構成する車体開口部骨格部材と、
前記車体開口部骨格部材にヒンジ機構を介して開閉自在に取り付けられるとともに、その他方側のドアロック機構によって閉状態で車体開口部骨格部材にロックされるドアと、
前記ドアの端辺間に架設された多分岐構成のガードバーと、
ドア閉時に、前記ガードバーの分枝の末端部と車体開口部骨格部材とを係合する係合機構と、
前記車体開口部骨格部材の内部に設けられ、前記係合機構に接続されるモーメント伝達部材と、
を備え、
側面衝突時にドアに作用した荷重が、前記ガードバーの各分枝から、ヒンジ機構、ドアロック機構、および係合機構を介してそれらが設けられる車体開口部骨格部材に分散して伝達されるとともに、その荷重から前記係合機構およびモーメント伝達部材によって車体開口部骨格部材にモーメントが生じるようにしたことを特徴とする車体側部構造。
【請求項2】
前記ガードバーの各分枝を、ヒンジ機構、ドアロック機構、および係合機構の設けられるドアの各端辺に接続するとともに、ガードバーの長手方向の略中央部に分岐点を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車体側部構造。
【請求項3】
前記分岐点で各分枝を連続一体的に接続したことを特徴とする請求項1または2に記載の車体側部構造。
【請求項4】
前記ガードバーは、管状部材の中空部分を充填材で充填してなることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【請求項5】
前記係合機構が設けられる分枝の末端部に、車室内外方向に伸び、衝突時に当該分枝に生じた曲げまたは引っ張りによって傾動する傾動部を設け、この傾動部がドアに固定される部分に係合機構のドア側部材を取り付けたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【請求項6】
前記係合機構のドア側部材と車体側部材との当接面の滑りによってそれらの係合が外れるのを抑制する滑り止め機構を設けたことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【請求項7】
車体開口部骨格部材の、前記係合機構の車体側部材が設けられる部分を中空構造とし、
前記モーメント伝達部材を、その中空部分を埋める閉断面部材として構成したことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【請求項8】
車体開口部骨格部材の、前記係合機構の車体側部材が設けられる部分を中空構造とし、
前記車体開口部骨格部材の中空部分の側面に開口を設け、
前記モーメント伝達部材を、前記開口から車体開口部骨格部材の内側に挿入して取り付けたことを特徴とする請求項7に記載の車体側部構造。
【請求項9】
前記モーメント伝達部材に、前記開口の外側に露出する露出部を設け、
前記車体開口部骨格部材に交叉する方向に伸びる他の車体骨格部材と前記露出部とを接続したことを特徴とする請求項8に記載の車体側部構造。
【請求項10】
前記係合機構は、ドアまたは車体開口部骨格部材のうちいずれか一方に、アクチュエータによって駆動されて他方側に進出して係合する可動部材を備えることを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【請求項11】
前記可動部材を車体開口部骨格部材に設ける一方、係合機構の設けられる分枝の末端を管状に構成し、前記進出した可動部材を当該管内に挿入して係合するようにしたことを特徴とする請求項10に記載の車体側部構造。
【請求項12】
他方側に進出した前記可動部材の退出を抑制する抜け止め機構を設けたことを特徴とする請求項10または11に記載の車体側部構造。
【請求項13】
前記可動部材の突出口を被覆する被覆部材を設け、
前記可動部材が前記被覆部材を突き抜けて他方側に進出するようにしたことを特徴とする請求項10〜12のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【請求項14】
開閉自在なドアが閉じた時に、ドア内に設けたガードバーの末端部と車体開口部の車体骨格部材とを係合させ、その係合により、衝突によって生じたガードバーの末端部における引張力または曲げモーメントから、前記車体開口部の車体骨格部材にモーメントが生じるようにしたことを特徴とする車体側部構造。
【請求項15】
前記ガードバーの末端部と前記車体開口部の車体骨格部材との係合位置で、当該車体開口部の車体骨格部材とそれに交叉するもう一つの車体骨格部材とを接続し、衝突によって生じたガードバーの末端部における引張力または曲げモーメントから、当該交叉する車体骨格部材に曲げモーメントが生じるようにしたことを特徴とする請求項14に記載の車体側部構造。
【請求項16】
前記ガードバーの末端部に、衝突によって生じたガードバーの曲げまたは引っ張りによって傾動する傾動部を設け、その傾動によって車体開口部の車体骨格部材にドアの外開き方向のモーメントが伝達されるようにしたことを特徴とする請求項14または15に記載の車体側部構造。
【請求項17】
前記係合機構が設けられる分枝の末端部に、係合機構のドア側部材から車室内方向に伸びて前記モーメント伝達部材の略上方で車体側の部材に隣接配置されるアーム部材を設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【請求項18】
前記係合機構として、車体開口部骨格部材の側面に設けた凹部と、前記分枝の末端部に設けられ当該凹部と係合する突起部と、を設け、
さらに、前記係合機構が設けられる分枝の末端部に、前記突起部側から車室内方向に伸びて前記モーメント伝達部材の略上方で車体側の部材に隣接配置されるアーム部材を設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【請求項1】
車体開口部の周辺部を構成する車体開口部骨格部材と、
前記車体開口部骨格部材にヒンジ機構を介して開閉自在に取り付けられるとともに、その他方側のドアロック機構によって閉状態で車体開口部骨格部材にロックされるドアと、
前記ドアの端辺間に架設された多分岐構成のガードバーと、
ドア閉時に、前記ガードバーの分枝の末端部と車体開口部骨格部材とを係合する係合機構と、
前記車体開口部骨格部材の内部に設けられ、前記係合機構に接続されるモーメント伝達部材と、
を備え、
側面衝突時にドアに作用した荷重が、前記ガードバーの各分枝から、ヒンジ機構、ドアロック機構、および係合機構を介してそれらが設けられる車体開口部骨格部材に分散して伝達されるとともに、その荷重から前記係合機構およびモーメント伝達部材によって車体開口部骨格部材にモーメントが生じるようにしたことを特徴とする車体側部構造。
【請求項2】
前記ガードバーの各分枝を、ヒンジ機構、ドアロック機構、および係合機構の設けられるドアの各端辺に接続するとともに、ガードバーの長手方向の略中央部に分岐点を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車体側部構造。
【請求項3】
前記分岐点で各分枝を連続一体的に接続したことを特徴とする請求項1または2に記載の車体側部構造。
【請求項4】
前記ガードバーは、管状部材の中空部分を充填材で充填してなることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【請求項5】
前記係合機構が設けられる分枝の末端部に、車室内外方向に伸び、衝突時に当該分枝に生じた曲げまたは引っ張りによって傾動する傾動部を設け、この傾動部がドアに固定される部分に係合機構のドア側部材を取り付けたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【請求項6】
前記係合機構のドア側部材と車体側部材との当接面の滑りによってそれらの係合が外れるのを抑制する滑り止め機構を設けたことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【請求項7】
車体開口部骨格部材の、前記係合機構の車体側部材が設けられる部分を中空構造とし、
前記モーメント伝達部材を、その中空部分を埋める閉断面部材として構成したことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【請求項8】
車体開口部骨格部材の、前記係合機構の車体側部材が設けられる部分を中空構造とし、
前記車体開口部骨格部材の中空部分の側面に開口を設け、
前記モーメント伝達部材を、前記開口から車体開口部骨格部材の内側に挿入して取り付けたことを特徴とする請求項7に記載の車体側部構造。
【請求項9】
前記モーメント伝達部材に、前記開口の外側に露出する露出部を設け、
前記車体開口部骨格部材に交叉する方向に伸びる他の車体骨格部材と前記露出部とを接続したことを特徴とする請求項8に記載の車体側部構造。
【請求項10】
前記係合機構は、ドアまたは車体開口部骨格部材のうちいずれか一方に、アクチュエータによって駆動されて他方側に進出して係合する可動部材を備えることを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【請求項11】
前記可動部材を車体開口部骨格部材に設ける一方、係合機構の設けられる分枝の末端を管状に構成し、前記進出した可動部材を当該管内に挿入して係合するようにしたことを特徴とする請求項10に記載の車体側部構造。
【請求項12】
他方側に進出した前記可動部材の退出を抑制する抜け止め機構を設けたことを特徴とする請求項10または11に記載の車体側部構造。
【請求項13】
前記可動部材の突出口を被覆する被覆部材を設け、
前記可動部材が前記被覆部材を突き抜けて他方側に進出するようにしたことを特徴とする請求項10〜12のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【請求項14】
開閉自在なドアが閉じた時に、ドア内に設けたガードバーの末端部と車体開口部の車体骨格部材とを係合させ、その係合により、衝突によって生じたガードバーの末端部における引張力または曲げモーメントから、前記車体開口部の車体骨格部材にモーメントが生じるようにしたことを特徴とする車体側部構造。
【請求項15】
前記ガードバーの末端部と前記車体開口部の車体骨格部材との係合位置で、当該車体開口部の車体骨格部材とそれに交叉するもう一つの車体骨格部材とを接続し、衝突によって生じたガードバーの末端部における引張力または曲げモーメントから、当該交叉する車体骨格部材に曲げモーメントが生じるようにしたことを特徴とする請求項14に記載の車体側部構造。
【請求項16】
前記ガードバーの末端部に、衝突によって生じたガードバーの曲げまたは引っ張りによって傾動する傾動部を設け、その傾動によって車体開口部の車体骨格部材にドアの外開き方向のモーメントが伝達されるようにしたことを特徴とする請求項14または15に記載の車体側部構造。
【請求項17】
前記係合機構が設けられる分枝の末端部に、係合機構のドア側部材から車室内方向に伸びて前記モーメント伝達部材の略上方で車体側の部材に隣接配置されるアーム部材を設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【請求項18】
前記係合機構として、車体開口部骨格部材の側面に設けた凹部と、前記分枝の末端部に設けられ当該凹部と係合する突起部と、を設け、
さらに、前記係合機構が設けられる分枝の末端部に、前記突起部側から車室内方向に伸びて前記モーメント伝達部材の略上方で車体側の部材に隣接配置されるアーム部材を設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の車体側部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【公開番号】特開2006−21744(P2006−21744A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−313833(P2004−313833)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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