車体後部構造
【課題】相手車両のバンパビームが車体後部に乗り上げることを防ぐことができる車体後部構造を提供する。
【解決手段】車体後部構造10は、車体後部11において車体前後方向に向けて延出されたリヤフレーム12と、リヤフレーム12の後端部12aから上方に向けて立設された鉛直補強部材16と、鉛直補強部材16の前傾上半部42が連結され、トランクルーム25の開口側部を形成するリヤピラー13とを備えている。そして、車体後部11に車体後方から作用した衝突荷重F1を鉛直補強部材16に作用させてリヤフレーム12に伝える。
【解決手段】車体後部構造10は、車体後部11において車体前後方向に向けて延出されたリヤフレーム12と、リヤフレーム12の後端部12aから上方に向けて立設された鉛直補強部材16と、鉛直補強部材16の前傾上半部42が連結され、トランクルーム25の開口側部を形成するリヤピラー13とを備えている。そして、車体後部11に車体後方から作用した衝突荷重F1を鉛直補強部材16に作用させてリヤフレーム12に伝える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リヤフレームが車体前後方向に向けて延出され、リヤフレームの上方にリヤピラーが設けられた車体後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体構造のなかには、車体前後方向にリヤフレームが延出され、リヤフレームの上方にアッパフレームがアーチ状に設けられ、アッパフレームの後端部がリヤフレームの後端部に連結されたものが知られている。
アーチ状のアッパフレームを設けることで、相手車両(具体的には、バンパビームが高い位置に配置された相手車両)が車体後方から衝突した場合に、相手車両のバンパビームをアッパフレームで支えることが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1361140号明細書(EP1361140A2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、相手車両のバンパビームがアーチ状のアッパフレームに衝突した場合、アッパフレームが折れ曲がることが考えられる。
アッパフレームが折れ曲げられた場合、折れ曲げられたアッパフレーム(すなわち、車体後部)に相手車両のバンパビームが乗り上げる虞がある。
【0005】
本発明は、相手車両のバンパビームが車体後部に乗り上げることを防ぐことができる車体後部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、車体後部において車体前後方向に向けて延出されたリヤフレームと、前記リヤフレームの後端部から上方に向けて立設された鉛直補強部材と、前記鉛直補強部材の上部が連結され、トランクルームの開口側部を形成するリヤピラーと、を備え、車体後方から車体後部に作用した衝突荷重を前記鉛直補強部材に作用させ、作用させた衝突荷重を前記リヤフレームに伝えることを特徴とする。
【0007】
請求項2は、前記鉛直補強部材の車体後側にビーム折部が車体後方に突出するように設けられたことを特徴とする。
【0008】
請求項3は、前記リヤフレームの後端部に設けられてトランクルームの後仕切壁を形成するリヤパネルが設けられ、前記リヤパネルを補強するために前記リヤパネルおよび前記鉛直補強部材間にリヤパネルスチフナが設けられ、前記リヤパネルおよび前記リヤパネルスチフナで形成された閉断面部の内部に前記ビーム折部が設けられたことを特徴とする。
【0009】
請求項4は、前記リヤフレームの後端部にバンパビームエクステンションを介してバンパビームが設けられ、前記バンパビームおよび前記バンパビームエクステンションの変形で軽衝突時の衝突荷重を吸収可能とし、前記軽衝突時の前記バンパビームおよび前記バンパビームエクステンションの変形に影響のない位置で、かつ前記バンパビームエクステンションの上方に前記ビーム折部が設けられたことを特徴とする。
【0010】
請求項5は、前記リヤパネルおよび前記リヤパネルスチフナで形成された閉断面部の内部に前記鉛直補強部材の上部が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、リヤフレームの後端から上方に向けて鉛直補強部材を立設させた。そして、車体後方から車体後部に作用した衝突荷重を鉛直補強部材に作用させ、作用した衝突荷重をリヤフレームに伝えるようにした。
よって、相手車両(バンパビームが車体後部構造のリヤバンパビームより高い位置に配置された車両)のフロントバンパビームが衝突した場合、衝突荷重を鉛直補強部材に作用させ、作用した衝突荷重をリヤフレームに伝えるようにした。
【0012】
これにより、鉛直補強部材に作用した衝突荷重をリヤフレームで効率よく支えることができる。
このように、鉛直補強部材に作用した衝突荷重をリヤフレームに伝えることで、衝突荷重で鉛直補強部材が変形することを防ぎ、相手車両のバンパビームが車体後部に乗り上げることを阻止できる。
【0013】
ここで、相手車両のバンパビームは、車体前方に向けて突出するように湾曲状に形成され、中央部が最も車体前方に突出(膨出)した形状になる。
よって、バンパビームの中央部が車体後部構造に衝突して、衝突荷重が車体後部構造の局部に集中荷重として作用する。このため、集中荷重を車体後部構造の局部で支えることが難しく、相手車両が車体後部構造に局所的に侵入することが考えられる。
特に、相手車両のバンパビームが車体後部構造に対してオフセット衝突(すなわち、車幅方向にずれた状態で衝突)した場合、この傾向が顕著である。
【0014】
そこで、リヤフレームの後端から上方に向けて鉛直補強部材を立設させた。よって、相手車両のバンパビームが車体後部構造に対してオフセット衝突した場合に、相手車両のバンパビームを鉛直補強部材で折り曲げることができる。
バンパビームを折り曲げることで、湾曲状のバンパビームを略平坦状にすることができる。
【0015】
よって、相手車両のバンパビームが車体後部構造に衝突した場合に、衝突荷重を車体後部構造に分布荷重として(すなわち、荷重を分散させて)作用させることができる。
このように、衝突荷重を車体後部構造に分散させて作用させることで、車体後部構造に相手車両が侵入することを抑えることができる。
【0016】
請求項2に係る発明では、鉛直補強部材の車体後側にビーム折部を設けた。
よって、相手車両のバンパビームが車体後部構造に対してオフセット衝突した場合に、湾曲状のバンパビームをビーム折部で効率よく略平坦状に折り曲げることができる。
これにより、衝突荷重を車体後部構造に一層良好に分散させて作用させることが可能になり、車体後部構造に相手車両が侵入することを一層良好に抑えることができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、リヤパネルおよびリヤパネルスチフナで形成された閉断面部の内部にビーム折部を設けた。
これにより、閉断面部の内部空間を有効に利用してビーム折部を設けることができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、軽衝突時のバンパビームおよびバンパビームエクステンションの変形に影響のない位置で、かつバンパビームエクステンションの上方にビーム折部を設けた。
これにより、バンパビームエクステンションの上方の空間を有効に利用してビーム折部を設けることができる。
【0019】
請求項5に係る発明では、リヤパネルおよびリヤパネルスチフナで形成された閉断面部の内部に鉛直補強部材の上部を設けた。よって、鉛直補強部材の上部を車体後方に設けることができる。
これにより、鉛直補強部材の上部を前記リヤピラーに向けて前傾させることができるので、鉛直補強部材の剛性(特に、車体後方から作用した荷重に対して剛性)を高めることができる。
したがって、鉛直補強部材に作用した衝突荷重をリヤフレームに一層効率よく伝えることができる。
【0020】
加えて、閉断面部の内部に鉛直補強部材の上部を設けることで、トランクルーム側に鉛直補強部材の上部を設ける必要がない。
このように、トランクルーム側に鉛直補強部材の上部を設ける必要がないので、トランクルームの空間を大きく確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る車体後部構造(実施例1)を車体前方から見た状態を示す斜視図である。
【図2】実施例1に係る車体後部構造の要部を示す斜視図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】実施例1に係る車体後部構造の要部を示す分解斜視図である。
【図5】実施例1に係る車体後部構造に相手車両が衝突した例を説明する図である。
【図6】実施例1に係る車体後部構造に相手車両がオフセット衝突する前の状態を説明する図である。
【図7】実施例1に係る車体後部構造に相手車両がオフセット衝突した後の状態を説明する図である。
【図8】本発明に係る車体後部構造(実施例2)を車体前方から見た状態を示す斜視図である。
【図9】実施例2に係る車体後部構造を車体後方から見た状態を示す斜視図である。
【図10】図8の10−10線断面図である。
【図11】実施例2に係る車体後部構造に相手車両が衝突した例を説明する図である。
【図12】実施例2に係る車体後部構造に相手車両がオフセット衝突する前の状態を説明する図である。
【図13】実施例2に係る車体後部構造に相手車両がオフセット衝突した後の状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は運転者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
【実施例1】
【0023】
実施例1に係る車体後部構造10について説明する。
図1〜図2に示すように、車体後部構造10は、車体後部11において車体前後方向に向けて延出されたリヤフレーム12と、リヤフレーム12の上方に設けられたリヤピラー13と、リヤフレーム12の後端部12aおよびリヤピラー13の後端部13aに設けられたリヤパネル14と、リヤパネル14を補強するリヤパネルスチフナ15と、リヤパネルスチフナ15に設けられるとともにリヤフレーム12の後端部12aに立設された鉛直補強部材16とを備えている。
【0024】
さらに、車体後部構造10は、図3に示すように、リヤフレーム12の後端部12aにリヤパネル14を介して設けられたバンパビームエクステンション21と、左右のバンパビームエクステンション21(左バンパビームエクステンション21のみを図示する)の後端部21aに架け渡されたリヤバンパビーム(バンパビーム)22とを備えている。
リヤバンパビーム22およびバンパビームエクステンション21は、軽衝突時に好適に変形して衝突荷重を良好に吸収することができる。
【0025】
リヤフレーム12は、リヤホイールアーチ24(図2参照)の内壁に沿って車体前後方向に延出され、車体後部構造10の骨格を形成する部材である。
【0026】
リヤピラー13は、リヤフレーム12の上方に設けられ、後端部13aがリヤフレーム12の後端部12aに向けて傾斜状に折り曲げられ、トランクルーム25の開口側部を形成する骨材である。
リヤピラー13の後端部13aは、傾斜状に折り曲げられることで車体前方に向けて前傾された状態に形成されている。
【0027】
リヤパネル14は、リヤフレーム12の後端部12aに下辺部14aが設けられ、リヤピラー13の後端部13aに上辺部14bが設けられてトランクルーム25の後仕切壁を形成する部材である。
【0028】
リヤパネルスチフナ15は、リヤパネル14および鉛直補強部材16(具体的には、後述する前鉛直補強部材31)間に配置され、図2に示すようにリヤパネル14に車体前方側(トランクルーム25側)から設けられている。
リヤパネル14にリヤパネルスチフナ15を設けることで、リヤパネルスチフナ15でリヤパネル14を補強することができる。
このリヤパネルスチフナ15は、トランクルーム25に対向するスチフナ壁部28を備えている。
【0029】
スチフナ壁部28は、スチフナ下半部28aが鉛直に立ち上げられ、スチフナ上半部28bがリヤピラー13の後端部13aまで前傾されている。
スチフナ上半部28bの上端部28cがリヤピラー13の後端部13aに接合されている。
【0030】
鉛直補強部材16は、リヤパネルスチフナ15に設けられるとともにリヤフレーム12の後端部12aに立設されている。
この鉛直補強部材16は、リヤパネルスチフナ15の内面15b(トランクルーム25側の面)に設けられた前鉛直補強部材31と、リヤパネルスチフナ15の外面15a(リヤパネル14およびリヤパネルスチフナ15で形成された閉断面部34内の面)に設けられた後鉛直補強部材32とを備えている。
【0031】
図4に示すように、前鉛直補強部材31は、リヤパネルスチフナ15の内面15b(具体的には、スチフナ下半部28aの内面)からリヤフレーム12の後端部12aに向けて下り勾配で延ばされた傾斜前壁部36と、傾斜前壁部36の内辺から車体後方に向けて折り曲げられた内側壁部37と、傾斜前壁部36の外辺から車体後方に向けて折り曲げられた外側壁部38(図3参照)とを備えている。
この前鉛直補強部材31は、傾斜前壁部36、内側壁部37および外側壁部38で断面略コ字状に形成されている。
【0032】
傾斜前壁部36は、リヤパネルスチフナ15の内面15bに上辺部36aが接合され、リヤフレーム12の後端部12aに下辺部36bが接合されることで、車体前方に向けて下り勾配で延出されている。
ここで、図3に示すように、傾斜前壁部36、スチフナ下半部28aおよびリヤフレーム12の後端部12aで略直角三角形が形成されている。
【0033】
図4に示すように、内側壁部37は、略三角形状に形成され、鉛直辺部37aがリヤパネルスチフナ15の内面15bに接合され、水平辺部37bがリヤフレーム12の内フランジ12bに接合されている。
【0034】
外側壁部38は、内側壁部37と左右対称の部位であり、略三角形状に形成され(図3も参照)、鉛直辺部38aがリヤパネルスチフナ15の内面15bに接合され、水平辺部(図示せず)がリヤフレーム12の外フランジ12cに接合されている。
【0035】
前鉛直補強部材31をリヤパネルスチフナ15に設けるとともにリヤフレーム12の後端部12aに立設することで、車体後部11に車体後方から作用した衝突荷重をリヤフレーム12に伝えることができる。
【0036】
後鉛直補強部材32は、リヤパネル14およびリヤパネルスチフナ15で形成された閉断面部34の内部空間(内部)35(すなわち、前鉛直補強部材31の車体後側)に配置され、車体後方に突出(膨出)するように形成された箱形(船底形)の部材である。
後鉛直補強部材32は、鉛直に設けられた鉛直下半部41と、前傾された前傾上半部(鉛直補強部材の上部)42とを備えている。
【0037】
後鉛直補強部材32を内部空間35に設けることで、後鉛直補強部材32を車体後方に設けることができる。よって、前傾上半部42をリヤピラー13に向けて前傾させることができる。
また、後鉛直補強部材32を内部空間35に設けることで、閉断面部34の内部空間35を有効に利用して後鉛直補強部材32を設けることができる。
【0038】
また、後鉛直補強部材32は、略矩形状に形成された底壁部44と、底壁部44の内辺から車体前方に向けて折り曲げられた内壁部45と、底壁部44の外辺から車体前方に向けて折り曲げられた外壁部46と、底壁部44の上辺から車体前方に向けて折り曲げられた上壁部47と、底壁部44の下辺から車体前方に向けて折り曲げられた下壁部48とを備えている。
【0039】
さらに、後鉛直補強部材32は、内壁部45の辺縁から車体中心側に向けて折り曲げられた内接合部45aと、外壁部46の辺縁から車体外側に向けて折り曲げられた外接合部46aと、上壁部47の辺縁から上側に向けて折り曲げられた上接合部47aと、下壁部48の辺縁から下側に向けて折り曲げられた下接合部48aとを備えている。
【0040】
内接合部45aは、スチフナ下半部28aに沿って下半部が鉛直状に設けられ、スチフナ上半部28bに沿って上半部が前傾状に設けられている。
また、外接合部46aは、スチフナ下半部28aに沿って下半部が鉛直状に設けられ、スチフナ上半部28bに沿って上半部が前傾状に設けられている。
【0041】
内接合部45aの下半部、外接合部46aの下半部および下接合部48aがスチフナ下半部28aにそれぞれ接合されている。
また、内接合部45aの上半部、外接合部46aの上半部および上接合部47aがスチフナ上半部28bにそれぞれ接合されている。
【0042】
すなわち、後鉛直補強部材32は、鉛直下半部41がスチフナ下半部28aの後面に接合され、前傾上半部42がスチフナ上半部28bの後面に接合されている。
この状態で、後鉛直補強部材32は、リヤパネル14およびリヤパネルスチフナ15間の内部空間35に設けられている。
【0043】
さらに、後鉛直補強部材32は、前傾上半部42が前鉛直補強部材31の上端部31aから上方に突出され、スチフナ上半部28bを介してリヤピラー13の後端部13aに接合(連結)されている。
【0044】
前述したように、前傾上半部42をリヤピラー13に向けて前傾させることにより、後鉛直補強部材32の剛性(特に、車体後方から作用した荷重に対して剛性)を高めることができる。
これにより、後鉛直補強部材32(すなわち、鉛直補強部材16)に作用した衝突荷重をリヤフレーム12に効率よく伝えることができる。
【0045】
さらに、後鉛直補強部材32は、相手車両55のフロントバンパビーム56(図6参照)を折り曲げるビーム折部としての役割を果たす。
よって、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部構造10に対してオフセット衝突(すなわち、車幅方向にずれた状態で衝突)した場合に、湾曲状のフロントバンパビーム56を後鉛直補強部材32で効率よく略平坦状に折り曲げることができる。
【0046】
加えて、閉断面部34の内部空間35に後鉛直補強部材32を設けることで、トランクルーム25(図3参照)側に後鉛直補強部材32を設ける必要がない。
このように、トランクルーム25側に後鉛直補強部材32を設ける必要がないので、トランクルーム25の空間を大きく確保することができる。
【0047】
つぎに、車体後部構造10の車体後部11に相手車両55が衝突する例を図5〜図7に基づいて説明する。
まず、リヤフレーム12で衝突荷重を支える例を図5に基づいて説明する。
図5(a)に示すように、リヤフレーム12の後端部12aから上方に向けて鉛直補強部材16(すなわち、前鉛直補強部材31および後鉛直補強部材32)を立設させた。
【0048】
ここで、相手車両55のフロントバンパビーム56は車体後部構造10のリヤバンパビーム22より高い位置に配置されている。
すなわち、相手車両55のフロントバンパビーム56は、鉛直補強部材16に対向する位置に配置されている。
相手車両55のフロントバンパビーム56が鉛直補強部材16に矢印Aの如く衝突する。
【0049】
図5(b)に示すように、衝突荷重F1が鉛直補強部材16に作用し、作用した衝突荷重F1を鉛直補強部材16(特に、前鉛直補強部材31)を経てリヤフレーム12に荷重F2として伝えることができる。
【0050】
これにより、鉛直補強部材16に作用した衝突荷重F1をリヤフレーム12で効率よく支えることができる。
このように、鉛直補強部材16に作用した衝突荷重F1をリヤフレーム12に荷重F2として伝えることで、衝突荷重F1で鉛直補強部材16が変形することを防ぐことができる。
したがって、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部構造10の車体後部11に乗り上げることを阻止できる。
【0051】
つぎに、車体後部構造10の車体後部11に相手車両のフロントバンパビーム56がオフセット衝突する例を図6〜図7に基づいて説明する。
図6(a)に示すように、リヤフレーム12の後端部12aから上方に向けて鉛直補強部材16(すなわち、前鉛直補強部材31および後鉛直補強部材32)を立設させた。
【0052】
ここで、相手車両55のフロントバンパビーム56は車体後部構造10のリヤバンパビーム22より高い位置に配置されている。
すなわち、相手車両55のフロントバンパビーム56は、鉛直補強部材16に対向する位置に配置されている。
【0053】
図6(b)に示すように、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部11に対して左側にずれた状態で矢印Bの如くオフセット衝突する。
湾曲状のフロントバンパビーム56の略中央部56aが鉛直補強部材16に衝突する。
【0054】
図7(a)に示すように、湾曲状のフロントバンパビーム56の略中央部56aが鉛直補強部材16に衝突することで、フロントバンパビーム56の略中央部56aを鉛直補強部材16(特に、後鉛直補強部材32)で折り曲げることができる。
【0055】
湾曲状のフロントバンパビーム56の略中央部56aを折り曲げることで、湾曲状のフロントバンパビーム56を略平坦状(直線状)にすることができる。
よって、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部構造10に衝突した場合に、衝突荷重F3を車体後部11に分布荷重として良好に分散させて作用させることができる。
【0056】
図7(b)に示すように、衝突荷重F3を車体後部11に良好に分散させて作用させることで、車体後部11に相手車両55が侵入することを一層良好に抑えることができる。
【実施例2】
【0057】
実施例2に係る車体後部構造60について説明する。
図8〜図9に示すように、車体後部構造60は、鉛直補強部材61、上ビーム折部(ビーム折部)62および下ビーム折部(ビーム折部)63を備えたもので、その他の構成は実施例1の車体後部構造10と同様である。
【0058】
鉛直補強部材61は、図8に示すように、リヤパネルスチフナ15の内面15b(具体的には、スチフナ上半部28bの内面)からリヤフレーム12の後端部12aに向けて延ばされた前壁部65と、前壁部65の内辺から車体後方に向けて折り曲げられた内側壁部66と、前壁部65の外辺から車体後方に向けて折り曲げられた外側壁部67と、前壁部65の上辺から車体後方に向けて折り曲げられた一対の上壁部68とを備えている。
この鉛直補強部材61は、前壁部65、内側壁部66および外側壁部67で断面略コ字状に形成されている。
【0059】
前壁部65は、上半部65aが鉛直状に形成され、下半部65bが車体前方に向けて下り勾配に形成されている。
下半部65bの下接合部65cは、リヤフレーム12の後端部12aに接合されている。
【0060】
内側壁部66は、リヤパネルスチフナ15の内面15bやリヤフレーム12の内フランジ12bに内接合部66aが接合されている。
外側壁部67は、リヤパネルスチフナ15の内面15bやリヤフレーム12の外フランジ12cに外接合部67aが接合されている。
一対の上壁部68は、リヤパネルスチフナ15の内面15bに上接合部68aが接合されている。
【0061】
鉛直補強部材61をリヤパネルスチフナ15に設けるとともにリヤフレーム12の後端部12aに立設することで、車体後部11に車体後方から作用した衝突荷重をリヤフレーム12に伝えることができる。
【0062】
図9、図10に示すように、上ビーム折部62は、実施例1に備えた後鉛直補強部材32の類似部材で、リヤパネル14およびリヤパネルスチフナ15で形成された閉断面部34の内部空間35(すなわち、鉛直補強部材61の車体後側)に配置され、車体後方に突出(膨出)するように形成された箱形の部材である。
【0063】
上ビーム折部62は、鉛直に設けられた鉛直下半部71と、前傾された前傾上半部(上ビーム折部62の上部)72とを備えている。
上ビーム折部62を内部空間35に設けることで、上ビーム折部62を車体後方に設けることができる。よって、前傾上半部72をリヤピラー13に向けて前傾させることができる。
また、上ビーム折部62を内部空間35に設けることで、閉断面部34の内部空間35を有効に利用して上ビーム折部62を設けることができる。
【0064】
この上ビーム折部62は、実施例1の後鉛直補強部材32と同様に、鉛直下半部71がスチフナ下半部28aの後面に接合され、前傾上半部72がスチフナ上半部28bの後面に接合されている。
この状態で、上ビーム折部62は、リヤパネル14およびリヤパネルスチフナ15間の内部空間35に設けられている。
【0065】
さらに、上ビーム折部62は、前傾上半部72が鉛直補強部材61の上端部に対して略同じ高さに設けられ、スチフナ上半部28bを介してリヤピラー13の後端部13aに接合(連結)されている。
【0066】
前述したように、上ビーム折部62をリヤピラー13に向けて前傾させることで、上ビーム折部62の剛性(特に、車体後方から作用した荷重に対して剛性)を高めることができる。
これにより、上ビーム折部62に作用した衝突荷重をリヤフレーム12に効率よく伝えることができる。
【0067】
さらに、上ビーム折部62は、相手車両55のフロントバンパビーム56(図11参照)を折り曲げる部材としての役割を果たす。
よって、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部構造60に対してオフセット衝突した場合に、湾曲状のフロントバンパビーム56を上ビーム折部62で効率よく略平坦状に折り曲げることができる。
【0068】
加えて、閉断面部34の内部空間35に上ビーム折部62を設けることで、トランクルーム25(図10参照)側に上ビーム折部62を設ける必要がない。
このように、トランクルーム25側に上ビーム折部62を設ける必要がないので、トランクルーム25の空間を大きく確保することができる。
【0069】
下ビーム折部63は、上ビーム折部62に比べて小形に形成され、リヤパネル14およびリヤパネルスチフナ15で形成された閉断面部34の下方空間74(すなわち、鉛直補強部材61の車体後側)に配置され、車体後方に突出(膨出)するように形成された箱形の部材である。
【0070】
この下ビーム折部63は、リヤパネル14のうち下辺部14aの後面に接合部64が接合されている。
リヤパネル14は、下辺部14aが車体前方に向けて段差状に形成されている。リヤパネル14の段差部76で、かつ、バンパビームエクステンション21の上方に下ビーム折部63が設けられている。
【0071】
よって、下ビーム折部63を、車体後部11に後方から軽衝突された場合に、リヤバンパビーム22およびバンパビームエクステンション21の変形に影響のない位置に配置することができる。
これにより、バンパビームエクステンション21の上方の空間を有効に利用して下ビーム折部63を設けることができる。
【0072】
この、下ビーム折部63は、相手車両55のフロントバンパビーム56(図11参照)を折り曲げる部材としての役割を果たす。
よって、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部構造60に対してオフセット衝突した場合に、湾曲状のフロントバンパビーム56を下ビーム折部63で効率よく略平坦状に折り曲げることができる。
【0073】
つぎに、車体後部構造60の車体後部11に相手車両55が衝突する例を図11〜図13に基づいて説明する。
まず、リヤフレーム12で衝突荷重を支える例を図11に基づいて説明する。
図11(a)に示すように、リヤフレーム12の後端部12aから上方に向けて鉛直補強部材61を立設させ、鉛直補強部材61の車体後方に上下のビーム折部62,63を設けた。
【0074】
ここで、相手車両55のフロントバンパビーム56は車体後部構造60のリヤバンパビーム22より高い位置に配置されている。
すなわち、相手車両55のフロントバンパビーム56は、鉛直補強部材61や上下のビーム折部62,63に対向する位置に配置されている。
相手車両55のフロントバンパビーム56が上下のビーム折部62,63に矢印Cの如く衝突する。
【0075】
図11(b)に示すように、衝突荷重F4が上下のビーム折部62,63を経て鉛直補強部材61に作用する。そして、作用した衝突荷重F4を鉛直補強部材61を経てリヤフレーム12に荷重F5として伝えることができる。
【0076】
これにより、鉛直補強部材61に作用した衝突荷重F4をリヤフレーム12で効率よく支えることができる。
このように、鉛直補強部材61に作用した衝突荷重F4をリヤフレーム12に荷重F5として伝えることで、衝突荷重F4で鉛直補強部材61が変形することを防ぐことができる。
したがって、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部構造60の車体後部11に乗り上げることを阻止できる。
【0077】
つぎに、車体後部構造60の車体後部11に相手車両のフロントバンパビーム56がオフセット衝突する例を図12〜図13に基づいて説明する。
図12(a)に示すように、リヤフレーム12の後端部12aから上方に向けて鉛直補強部材61を立設させ、鉛直補強部材61の車体後方に上下のビーム折部62,63を設けた。
【0078】
ここで、相手車両55のフロントバンパビーム56は車体後部構造60のリヤバンパビーム22より高い位置に配置されている。
すなわち、相手車両55のフロントバンパビーム56は、鉛直補強部材61や上下のビーム折部62,63に対向する位置に配置されている。
【0079】
図12(b)に示すように、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部11に対して左側にずれた状態で矢印Dの如くオフセット衝突する。
湾曲状のフロントバンパビーム56の略中央部56aが上下のビーム折部62,63に衝突する。
【0080】
図13(a)に示すように、湾曲状のフロントバンパビーム56の略中央部56aが上下のビーム折部62,63に衝突することで、フロントバンパビーム56の略中央部56aを上下のビーム折部62,63で折り曲げることができる。
【0081】
湾曲状のフロントバンパビーム56の略中央部56aを折り曲げることで、湾曲状のフロントバンパビーム56を略平坦状(直線状)にすることができる。
よって、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部構造60に衝突した場合に、衝突荷重F6を車体後部11に分布荷重として良好に分散させて作用させることができる。
【0082】
図13(b)に示すように、衝突荷重F6を車体後部11に良好に分散させて作用させることで、車体後部11に相手車両55が侵入することを一層良好に抑えることができる。
【0083】
なお、本発明に係る車体後部構造10は、前述した実施例1,2に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例2では、フロントバンパビーム56の略中央部56aを上下のビーム折部62,63で折り曲げる例について説明したが、これに限らないで、上ビーム折部62および下ビーム折部63のいずれか一方のビーム折部でフロントバンパビーム56の略中央部56aを折り曲げることも可能である。
【0084】
また、前記実施例1,2で示したリヤフレーム12、リヤピラー13、リヤパネル14、リヤパネルスチフナ15、鉛直補強部材16,61、バンパビームエクステンション21、リヤバンパビーム22、トランクルーム25、閉断面部34、内部空間35、前傾上半部42、上ビーム折部62および下ビーム折部63などの形状は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、リヤフレームが車体前後方向に向けて延出され、リヤフレームの上方にリヤピラーが設けられた車体後部構造を備えた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0086】
10…車体後部構造、11…車体後部、12…リヤフレーム、12a…リヤフレームの後端部、13…リヤピラー、14…リヤパネル、15…リヤパネルスチフナ、16,61…鉛直補強部材、21…バンパビームエクステンション、22…リヤバンパビーム(バンパビーム)、25…トランクルーム、34…閉断面部、35…内部空間(内部)、42…前傾上半部(鉛直補強部材の上部)、62…上ビーム折部(ビーム折部)、63…下ビーム折部(ビーム折部)、F1,F3,F4,F6…衝突荷重。
【技術分野】
【0001】
本発明は、リヤフレームが車体前後方向に向けて延出され、リヤフレームの上方にリヤピラーが設けられた車体後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体構造のなかには、車体前後方向にリヤフレームが延出され、リヤフレームの上方にアッパフレームがアーチ状に設けられ、アッパフレームの後端部がリヤフレームの後端部に連結されたものが知られている。
アーチ状のアッパフレームを設けることで、相手車両(具体的には、バンパビームが高い位置に配置された相手車両)が車体後方から衝突した場合に、相手車両のバンパビームをアッパフレームで支えることが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1361140号明細書(EP1361140A2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、相手車両のバンパビームがアーチ状のアッパフレームに衝突した場合、アッパフレームが折れ曲がることが考えられる。
アッパフレームが折れ曲げられた場合、折れ曲げられたアッパフレーム(すなわち、車体後部)に相手車両のバンパビームが乗り上げる虞がある。
【0005】
本発明は、相手車両のバンパビームが車体後部に乗り上げることを防ぐことができる車体後部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、車体後部において車体前後方向に向けて延出されたリヤフレームと、前記リヤフレームの後端部から上方に向けて立設された鉛直補強部材と、前記鉛直補強部材の上部が連結され、トランクルームの開口側部を形成するリヤピラーと、を備え、車体後方から車体後部に作用した衝突荷重を前記鉛直補強部材に作用させ、作用させた衝突荷重を前記リヤフレームに伝えることを特徴とする。
【0007】
請求項2は、前記鉛直補強部材の車体後側にビーム折部が車体後方に突出するように設けられたことを特徴とする。
【0008】
請求項3は、前記リヤフレームの後端部に設けられてトランクルームの後仕切壁を形成するリヤパネルが設けられ、前記リヤパネルを補強するために前記リヤパネルおよび前記鉛直補強部材間にリヤパネルスチフナが設けられ、前記リヤパネルおよび前記リヤパネルスチフナで形成された閉断面部の内部に前記ビーム折部が設けられたことを特徴とする。
【0009】
請求項4は、前記リヤフレームの後端部にバンパビームエクステンションを介してバンパビームが設けられ、前記バンパビームおよび前記バンパビームエクステンションの変形で軽衝突時の衝突荷重を吸収可能とし、前記軽衝突時の前記バンパビームおよび前記バンパビームエクステンションの変形に影響のない位置で、かつ前記バンパビームエクステンションの上方に前記ビーム折部が設けられたことを特徴とする。
【0010】
請求項5は、前記リヤパネルおよび前記リヤパネルスチフナで形成された閉断面部の内部に前記鉛直補強部材の上部が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、リヤフレームの後端から上方に向けて鉛直補強部材を立設させた。そして、車体後方から車体後部に作用した衝突荷重を鉛直補強部材に作用させ、作用した衝突荷重をリヤフレームに伝えるようにした。
よって、相手車両(バンパビームが車体後部構造のリヤバンパビームより高い位置に配置された車両)のフロントバンパビームが衝突した場合、衝突荷重を鉛直補強部材に作用させ、作用した衝突荷重をリヤフレームに伝えるようにした。
【0012】
これにより、鉛直補強部材に作用した衝突荷重をリヤフレームで効率よく支えることができる。
このように、鉛直補強部材に作用した衝突荷重をリヤフレームに伝えることで、衝突荷重で鉛直補強部材が変形することを防ぎ、相手車両のバンパビームが車体後部に乗り上げることを阻止できる。
【0013】
ここで、相手車両のバンパビームは、車体前方に向けて突出するように湾曲状に形成され、中央部が最も車体前方に突出(膨出)した形状になる。
よって、バンパビームの中央部が車体後部構造に衝突して、衝突荷重が車体後部構造の局部に集中荷重として作用する。このため、集中荷重を車体後部構造の局部で支えることが難しく、相手車両が車体後部構造に局所的に侵入することが考えられる。
特に、相手車両のバンパビームが車体後部構造に対してオフセット衝突(すなわち、車幅方向にずれた状態で衝突)した場合、この傾向が顕著である。
【0014】
そこで、リヤフレームの後端から上方に向けて鉛直補強部材を立設させた。よって、相手車両のバンパビームが車体後部構造に対してオフセット衝突した場合に、相手車両のバンパビームを鉛直補強部材で折り曲げることができる。
バンパビームを折り曲げることで、湾曲状のバンパビームを略平坦状にすることができる。
【0015】
よって、相手車両のバンパビームが車体後部構造に衝突した場合に、衝突荷重を車体後部構造に分布荷重として(すなわち、荷重を分散させて)作用させることができる。
このように、衝突荷重を車体後部構造に分散させて作用させることで、車体後部構造に相手車両が侵入することを抑えることができる。
【0016】
請求項2に係る発明では、鉛直補強部材の車体後側にビーム折部を設けた。
よって、相手車両のバンパビームが車体後部構造に対してオフセット衝突した場合に、湾曲状のバンパビームをビーム折部で効率よく略平坦状に折り曲げることができる。
これにより、衝突荷重を車体後部構造に一層良好に分散させて作用させることが可能になり、車体後部構造に相手車両が侵入することを一層良好に抑えることができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、リヤパネルおよびリヤパネルスチフナで形成された閉断面部の内部にビーム折部を設けた。
これにより、閉断面部の内部空間を有効に利用してビーム折部を設けることができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、軽衝突時のバンパビームおよびバンパビームエクステンションの変形に影響のない位置で、かつバンパビームエクステンションの上方にビーム折部を設けた。
これにより、バンパビームエクステンションの上方の空間を有効に利用してビーム折部を設けることができる。
【0019】
請求項5に係る発明では、リヤパネルおよびリヤパネルスチフナで形成された閉断面部の内部に鉛直補強部材の上部を設けた。よって、鉛直補強部材の上部を車体後方に設けることができる。
これにより、鉛直補強部材の上部を前記リヤピラーに向けて前傾させることができるので、鉛直補強部材の剛性(特に、車体後方から作用した荷重に対して剛性)を高めることができる。
したがって、鉛直補強部材に作用した衝突荷重をリヤフレームに一層効率よく伝えることができる。
【0020】
加えて、閉断面部の内部に鉛直補強部材の上部を設けることで、トランクルーム側に鉛直補強部材の上部を設ける必要がない。
このように、トランクルーム側に鉛直補強部材の上部を設ける必要がないので、トランクルームの空間を大きく確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る車体後部構造(実施例1)を車体前方から見た状態を示す斜視図である。
【図2】実施例1に係る車体後部構造の要部を示す斜視図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】実施例1に係る車体後部構造の要部を示す分解斜視図である。
【図5】実施例1に係る車体後部構造に相手車両が衝突した例を説明する図である。
【図6】実施例1に係る車体後部構造に相手車両がオフセット衝突する前の状態を説明する図である。
【図7】実施例1に係る車体後部構造に相手車両がオフセット衝突した後の状態を説明する図である。
【図8】本発明に係る車体後部構造(実施例2)を車体前方から見た状態を示す斜視図である。
【図9】実施例2に係る車体後部構造を車体後方から見た状態を示す斜視図である。
【図10】図8の10−10線断面図である。
【図11】実施例2に係る車体後部構造に相手車両が衝突した例を説明する図である。
【図12】実施例2に係る車体後部構造に相手車両がオフセット衝突する前の状態を説明する図である。
【図13】実施例2に係る車体後部構造に相手車両がオフセット衝突した後の状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は運転者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
【実施例1】
【0023】
実施例1に係る車体後部構造10について説明する。
図1〜図2に示すように、車体後部構造10は、車体後部11において車体前後方向に向けて延出されたリヤフレーム12と、リヤフレーム12の上方に設けられたリヤピラー13と、リヤフレーム12の後端部12aおよびリヤピラー13の後端部13aに設けられたリヤパネル14と、リヤパネル14を補強するリヤパネルスチフナ15と、リヤパネルスチフナ15に設けられるとともにリヤフレーム12の後端部12aに立設された鉛直補強部材16とを備えている。
【0024】
さらに、車体後部構造10は、図3に示すように、リヤフレーム12の後端部12aにリヤパネル14を介して設けられたバンパビームエクステンション21と、左右のバンパビームエクステンション21(左バンパビームエクステンション21のみを図示する)の後端部21aに架け渡されたリヤバンパビーム(バンパビーム)22とを備えている。
リヤバンパビーム22およびバンパビームエクステンション21は、軽衝突時に好適に変形して衝突荷重を良好に吸収することができる。
【0025】
リヤフレーム12は、リヤホイールアーチ24(図2参照)の内壁に沿って車体前後方向に延出され、車体後部構造10の骨格を形成する部材である。
【0026】
リヤピラー13は、リヤフレーム12の上方に設けられ、後端部13aがリヤフレーム12の後端部12aに向けて傾斜状に折り曲げられ、トランクルーム25の開口側部を形成する骨材である。
リヤピラー13の後端部13aは、傾斜状に折り曲げられることで車体前方に向けて前傾された状態に形成されている。
【0027】
リヤパネル14は、リヤフレーム12の後端部12aに下辺部14aが設けられ、リヤピラー13の後端部13aに上辺部14bが設けられてトランクルーム25の後仕切壁を形成する部材である。
【0028】
リヤパネルスチフナ15は、リヤパネル14および鉛直補強部材16(具体的には、後述する前鉛直補強部材31)間に配置され、図2に示すようにリヤパネル14に車体前方側(トランクルーム25側)から設けられている。
リヤパネル14にリヤパネルスチフナ15を設けることで、リヤパネルスチフナ15でリヤパネル14を補強することができる。
このリヤパネルスチフナ15は、トランクルーム25に対向するスチフナ壁部28を備えている。
【0029】
スチフナ壁部28は、スチフナ下半部28aが鉛直に立ち上げられ、スチフナ上半部28bがリヤピラー13の後端部13aまで前傾されている。
スチフナ上半部28bの上端部28cがリヤピラー13の後端部13aに接合されている。
【0030】
鉛直補強部材16は、リヤパネルスチフナ15に設けられるとともにリヤフレーム12の後端部12aに立設されている。
この鉛直補強部材16は、リヤパネルスチフナ15の内面15b(トランクルーム25側の面)に設けられた前鉛直補強部材31と、リヤパネルスチフナ15の外面15a(リヤパネル14およびリヤパネルスチフナ15で形成された閉断面部34内の面)に設けられた後鉛直補強部材32とを備えている。
【0031】
図4に示すように、前鉛直補強部材31は、リヤパネルスチフナ15の内面15b(具体的には、スチフナ下半部28aの内面)からリヤフレーム12の後端部12aに向けて下り勾配で延ばされた傾斜前壁部36と、傾斜前壁部36の内辺から車体後方に向けて折り曲げられた内側壁部37と、傾斜前壁部36の外辺から車体後方に向けて折り曲げられた外側壁部38(図3参照)とを備えている。
この前鉛直補強部材31は、傾斜前壁部36、内側壁部37および外側壁部38で断面略コ字状に形成されている。
【0032】
傾斜前壁部36は、リヤパネルスチフナ15の内面15bに上辺部36aが接合され、リヤフレーム12の後端部12aに下辺部36bが接合されることで、車体前方に向けて下り勾配で延出されている。
ここで、図3に示すように、傾斜前壁部36、スチフナ下半部28aおよびリヤフレーム12の後端部12aで略直角三角形が形成されている。
【0033】
図4に示すように、内側壁部37は、略三角形状に形成され、鉛直辺部37aがリヤパネルスチフナ15の内面15bに接合され、水平辺部37bがリヤフレーム12の内フランジ12bに接合されている。
【0034】
外側壁部38は、内側壁部37と左右対称の部位であり、略三角形状に形成され(図3も参照)、鉛直辺部38aがリヤパネルスチフナ15の内面15bに接合され、水平辺部(図示せず)がリヤフレーム12の外フランジ12cに接合されている。
【0035】
前鉛直補強部材31をリヤパネルスチフナ15に設けるとともにリヤフレーム12の後端部12aに立設することで、車体後部11に車体後方から作用した衝突荷重をリヤフレーム12に伝えることができる。
【0036】
後鉛直補強部材32は、リヤパネル14およびリヤパネルスチフナ15で形成された閉断面部34の内部空間(内部)35(すなわち、前鉛直補強部材31の車体後側)に配置され、車体後方に突出(膨出)するように形成された箱形(船底形)の部材である。
後鉛直補強部材32は、鉛直に設けられた鉛直下半部41と、前傾された前傾上半部(鉛直補強部材の上部)42とを備えている。
【0037】
後鉛直補強部材32を内部空間35に設けることで、後鉛直補強部材32を車体後方に設けることができる。よって、前傾上半部42をリヤピラー13に向けて前傾させることができる。
また、後鉛直補強部材32を内部空間35に設けることで、閉断面部34の内部空間35を有効に利用して後鉛直補強部材32を設けることができる。
【0038】
また、後鉛直補強部材32は、略矩形状に形成された底壁部44と、底壁部44の内辺から車体前方に向けて折り曲げられた内壁部45と、底壁部44の外辺から車体前方に向けて折り曲げられた外壁部46と、底壁部44の上辺から車体前方に向けて折り曲げられた上壁部47と、底壁部44の下辺から車体前方に向けて折り曲げられた下壁部48とを備えている。
【0039】
さらに、後鉛直補強部材32は、内壁部45の辺縁から車体中心側に向けて折り曲げられた内接合部45aと、外壁部46の辺縁から車体外側に向けて折り曲げられた外接合部46aと、上壁部47の辺縁から上側に向けて折り曲げられた上接合部47aと、下壁部48の辺縁から下側に向けて折り曲げられた下接合部48aとを備えている。
【0040】
内接合部45aは、スチフナ下半部28aに沿って下半部が鉛直状に設けられ、スチフナ上半部28bに沿って上半部が前傾状に設けられている。
また、外接合部46aは、スチフナ下半部28aに沿って下半部が鉛直状に設けられ、スチフナ上半部28bに沿って上半部が前傾状に設けられている。
【0041】
内接合部45aの下半部、外接合部46aの下半部および下接合部48aがスチフナ下半部28aにそれぞれ接合されている。
また、内接合部45aの上半部、外接合部46aの上半部および上接合部47aがスチフナ上半部28bにそれぞれ接合されている。
【0042】
すなわち、後鉛直補強部材32は、鉛直下半部41がスチフナ下半部28aの後面に接合され、前傾上半部42がスチフナ上半部28bの後面に接合されている。
この状態で、後鉛直補強部材32は、リヤパネル14およびリヤパネルスチフナ15間の内部空間35に設けられている。
【0043】
さらに、後鉛直補強部材32は、前傾上半部42が前鉛直補強部材31の上端部31aから上方に突出され、スチフナ上半部28bを介してリヤピラー13の後端部13aに接合(連結)されている。
【0044】
前述したように、前傾上半部42をリヤピラー13に向けて前傾させることにより、後鉛直補強部材32の剛性(特に、車体後方から作用した荷重に対して剛性)を高めることができる。
これにより、後鉛直補強部材32(すなわち、鉛直補強部材16)に作用した衝突荷重をリヤフレーム12に効率よく伝えることができる。
【0045】
さらに、後鉛直補強部材32は、相手車両55のフロントバンパビーム56(図6参照)を折り曲げるビーム折部としての役割を果たす。
よって、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部構造10に対してオフセット衝突(すなわち、車幅方向にずれた状態で衝突)した場合に、湾曲状のフロントバンパビーム56を後鉛直補強部材32で効率よく略平坦状に折り曲げることができる。
【0046】
加えて、閉断面部34の内部空間35に後鉛直補強部材32を設けることで、トランクルーム25(図3参照)側に後鉛直補強部材32を設ける必要がない。
このように、トランクルーム25側に後鉛直補強部材32を設ける必要がないので、トランクルーム25の空間を大きく確保することができる。
【0047】
つぎに、車体後部構造10の車体後部11に相手車両55が衝突する例を図5〜図7に基づいて説明する。
まず、リヤフレーム12で衝突荷重を支える例を図5に基づいて説明する。
図5(a)に示すように、リヤフレーム12の後端部12aから上方に向けて鉛直補強部材16(すなわち、前鉛直補強部材31および後鉛直補強部材32)を立設させた。
【0048】
ここで、相手車両55のフロントバンパビーム56は車体後部構造10のリヤバンパビーム22より高い位置に配置されている。
すなわち、相手車両55のフロントバンパビーム56は、鉛直補強部材16に対向する位置に配置されている。
相手車両55のフロントバンパビーム56が鉛直補強部材16に矢印Aの如く衝突する。
【0049】
図5(b)に示すように、衝突荷重F1が鉛直補強部材16に作用し、作用した衝突荷重F1を鉛直補強部材16(特に、前鉛直補強部材31)を経てリヤフレーム12に荷重F2として伝えることができる。
【0050】
これにより、鉛直補強部材16に作用した衝突荷重F1をリヤフレーム12で効率よく支えることができる。
このように、鉛直補強部材16に作用した衝突荷重F1をリヤフレーム12に荷重F2として伝えることで、衝突荷重F1で鉛直補強部材16が変形することを防ぐことができる。
したがって、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部構造10の車体後部11に乗り上げることを阻止できる。
【0051】
つぎに、車体後部構造10の車体後部11に相手車両のフロントバンパビーム56がオフセット衝突する例を図6〜図7に基づいて説明する。
図6(a)に示すように、リヤフレーム12の後端部12aから上方に向けて鉛直補強部材16(すなわち、前鉛直補強部材31および後鉛直補強部材32)を立設させた。
【0052】
ここで、相手車両55のフロントバンパビーム56は車体後部構造10のリヤバンパビーム22より高い位置に配置されている。
すなわち、相手車両55のフロントバンパビーム56は、鉛直補強部材16に対向する位置に配置されている。
【0053】
図6(b)に示すように、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部11に対して左側にずれた状態で矢印Bの如くオフセット衝突する。
湾曲状のフロントバンパビーム56の略中央部56aが鉛直補強部材16に衝突する。
【0054】
図7(a)に示すように、湾曲状のフロントバンパビーム56の略中央部56aが鉛直補強部材16に衝突することで、フロントバンパビーム56の略中央部56aを鉛直補強部材16(特に、後鉛直補強部材32)で折り曲げることができる。
【0055】
湾曲状のフロントバンパビーム56の略中央部56aを折り曲げることで、湾曲状のフロントバンパビーム56を略平坦状(直線状)にすることができる。
よって、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部構造10に衝突した場合に、衝突荷重F3を車体後部11に分布荷重として良好に分散させて作用させることができる。
【0056】
図7(b)に示すように、衝突荷重F3を車体後部11に良好に分散させて作用させることで、車体後部11に相手車両55が侵入することを一層良好に抑えることができる。
【実施例2】
【0057】
実施例2に係る車体後部構造60について説明する。
図8〜図9に示すように、車体後部構造60は、鉛直補強部材61、上ビーム折部(ビーム折部)62および下ビーム折部(ビーム折部)63を備えたもので、その他の構成は実施例1の車体後部構造10と同様である。
【0058】
鉛直補強部材61は、図8に示すように、リヤパネルスチフナ15の内面15b(具体的には、スチフナ上半部28bの内面)からリヤフレーム12の後端部12aに向けて延ばされた前壁部65と、前壁部65の内辺から車体後方に向けて折り曲げられた内側壁部66と、前壁部65の外辺から車体後方に向けて折り曲げられた外側壁部67と、前壁部65の上辺から車体後方に向けて折り曲げられた一対の上壁部68とを備えている。
この鉛直補強部材61は、前壁部65、内側壁部66および外側壁部67で断面略コ字状に形成されている。
【0059】
前壁部65は、上半部65aが鉛直状に形成され、下半部65bが車体前方に向けて下り勾配に形成されている。
下半部65bの下接合部65cは、リヤフレーム12の後端部12aに接合されている。
【0060】
内側壁部66は、リヤパネルスチフナ15の内面15bやリヤフレーム12の内フランジ12bに内接合部66aが接合されている。
外側壁部67は、リヤパネルスチフナ15の内面15bやリヤフレーム12の外フランジ12cに外接合部67aが接合されている。
一対の上壁部68は、リヤパネルスチフナ15の内面15bに上接合部68aが接合されている。
【0061】
鉛直補強部材61をリヤパネルスチフナ15に設けるとともにリヤフレーム12の後端部12aに立設することで、車体後部11に車体後方から作用した衝突荷重をリヤフレーム12に伝えることができる。
【0062】
図9、図10に示すように、上ビーム折部62は、実施例1に備えた後鉛直補強部材32の類似部材で、リヤパネル14およびリヤパネルスチフナ15で形成された閉断面部34の内部空間35(すなわち、鉛直補強部材61の車体後側)に配置され、車体後方に突出(膨出)するように形成された箱形の部材である。
【0063】
上ビーム折部62は、鉛直に設けられた鉛直下半部71と、前傾された前傾上半部(上ビーム折部62の上部)72とを備えている。
上ビーム折部62を内部空間35に設けることで、上ビーム折部62を車体後方に設けることができる。よって、前傾上半部72をリヤピラー13に向けて前傾させることができる。
また、上ビーム折部62を内部空間35に設けることで、閉断面部34の内部空間35を有効に利用して上ビーム折部62を設けることができる。
【0064】
この上ビーム折部62は、実施例1の後鉛直補強部材32と同様に、鉛直下半部71がスチフナ下半部28aの後面に接合され、前傾上半部72がスチフナ上半部28bの後面に接合されている。
この状態で、上ビーム折部62は、リヤパネル14およびリヤパネルスチフナ15間の内部空間35に設けられている。
【0065】
さらに、上ビーム折部62は、前傾上半部72が鉛直補強部材61の上端部に対して略同じ高さに設けられ、スチフナ上半部28bを介してリヤピラー13の後端部13aに接合(連結)されている。
【0066】
前述したように、上ビーム折部62をリヤピラー13に向けて前傾させることで、上ビーム折部62の剛性(特に、車体後方から作用した荷重に対して剛性)を高めることができる。
これにより、上ビーム折部62に作用した衝突荷重をリヤフレーム12に効率よく伝えることができる。
【0067】
さらに、上ビーム折部62は、相手車両55のフロントバンパビーム56(図11参照)を折り曲げる部材としての役割を果たす。
よって、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部構造60に対してオフセット衝突した場合に、湾曲状のフロントバンパビーム56を上ビーム折部62で効率よく略平坦状に折り曲げることができる。
【0068】
加えて、閉断面部34の内部空間35に上ビーム折部62を設けることで、トランクルーム25(図10参照)側に上ビーム折部62を設ける必要がない。
このように、トランクルーム25側に上ビーム折部62を設ける必要がないので、トランクルーム25の空間を大きく確保することができる。
【0069】
下ビーム折部63は、上ビーム折部62に比べて小形に形成され、リヤパネル14およびリヤパネルスチフナ15で形成された閉断面部34の下方空間74(すなわち、鉛直補強部材61の車体後側)に配置され、車体後方に突出(膨出)するように形成された箱形の部材である。
【0070】
この下ビーム折部63は、リヤパネル14のうち下辺部14aの後面に接合部64が接合されている。
リヤパネル14は、下辺部14aが車体前方に向けて段差状に形成されている。リヤパネル14の段差部76で、かつ、バンパビームエクステンション21の上方に下ビーム折部63が設けられている。
【0071】
よって、下ビーム折部63を、車体後部11に後方から軽衝突された場合に、リヤバンパビーム22およびバンパビームエクステンション21の変形に影響のない位置に配置することができる。
これにより、バンパビームエクステンション21の上方の空間を有効に利用して下ビーム折部63を設けることができる。
【0072】
この、下ビーム折部63は、相手車両55のフロントバンパビーム56(図11参照)を折り曲げる部材としての役割を果たす。
よって、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部構造60に対してオフセット衝突した場合に、湾曲状のフロントバンパビーム56を下ビーム折部63で効率よく略平坦状に折り曲げることができる。
【0073】
つぎに、車体後部構造60の車体後部11に相手車両55が衝突する例を図11〜図13に基づいて説明する。
まず、リヤフレーム12で衝突荷重を支える例を図11に基づいて説明する。
図11(a)に示すように、リヤフレーム12の後端部12aから上方に向けて鉛直補強部材61を立設させ、鉛直補強部材61の車体後方に上下のビーム折部62,63を設けた。
【0074】
ここで、相手車両55のフロントバンパビーム56は車体後部構造60のリヤバンパビーム22より高い位置に配置されている。
すなわち、相手車両55のフロントバンパビーム56は、鉛直補強部材61や上下のビーム折部62,63に対向する位置に配置されている。
相手車両55のフロントバンパビーム56が上下のビーム折部62,63に矢印Cの如く衝突する。
【0075】
図11(b)に示すように、衝突荷重F4が上下のビーム折部62,63を経て鉛直補強部材61に作用する。そして、作用した衝突荷重F4を鉛直補強部材61を経てリヤフレーム12に荷重F5として伝えることができる。
【0076】
これにより、鉛直補強部材61に作用した衝突荷重F4をリヤフレーム12で効率よく支えることができる。
このように、鉛直補強部材61に作用した衝突荷重F4をリヤフレーム12に荷重F5として伝えることで、衝突荷重F4で鉛直補強部材61が変形することを防ぐことができる。
したがって、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部構造60の車体後部11に乗り上げることを阻止できる。
【0077】
つぎに、車体後部構造60の車体後部11に相手車両のフロントバンパビーム56がオフセット衝突する例を図12〜図13に基づいて説明する。
図12(a)に示すように、リヤフレーム12の後端部12aから上方に向けて鉛直補強部材61を立設させ、鉛直補強部材61の車体後方に上下のビーム折部62,63を設けた。
【0078】
ここで、相手車両55のフロントバンパビーム56は車体後部構造60のリヤバンパビーム22より高い位置に配置されている。
すなわち、相手車両55のフロントバンパビーム56は、鉛直補強部材61や上下のビーム折部62,63に対向する位置に配置されている。
【0079】
図12(b)に示すように、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部11に対して左側にずれた状態で矢印Dの如くオフセット衝突する。
湾曲状のフロントバンパビーム56の略中央部56aが上下のビーム折部62,63に衝突する。
【0080】
図13(a)に示すように、湾曲状のフロントバンパビーム56の略中央部56aが上下のビーム折部62,63に衝突することで、フロントバンパビーム56の略中央部56aを上下のビーム折部62,63で折り曲げることができる。
【0081】
湾曲状のフロントバンパビーム56の略中央部56aを折り曲げることで、湾曲状のフロントバンパビーム56を略平坦状(直線状)にすることができる。
よって、相手車両55のフロントバンパビーム56が車体後部構造60に衝突した場合に、衝突荷重F6を車体後部11に分布荷重として良好に分散させて作用させることができる。
【0082】
図13(b)に示すように、衝突荷重F6を車体後部11に良好に分散させて作用させることで、車体後部11に相手車両55が侵入することを一層良好に抑えることができる。
【0083】
なお、本発明に係る車体後部構造10は、前述した実施例1,2に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例2では、フロントバンパビーム56の略中央部56aを上下のビーム折部62,63で折り曲げる例について説明したが、これに限らないで、上ビーム折部62および下ビーム折部63のいずれか一方のビーム折部でフロントバンパビーム56の略中央部56aを折り曲げることも可能である。
【0084】
また、前記実施例1,2で示したリヤフレーム12、リヤピラー13、リヤパネル14、リヤパネルスチフナ15、鉛直補強部材16,61、バンパビームエクステンション21、リヤバンパビーム22、トランクルーム25、閉断面部34、内部空間35、前傾上半部42、上ビーム折部62および下ビーム折部63などの形状は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、リヤフレームが車体前後方向に向けて延出され、リヤフレームの上方にリヤピラーが設けられた車体後部構造を備えた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0086】
10…車体後部構造、11…車体後部、12…リヤフレーム、12a…リヤフレームの後端部、13…リヤピラー、14…リヤパネル、15…リヤパネルスチフナ、16,61…鉛直補強部材、21…バンパビームエクステンション、22…リヤバンパビーム(バンパビーム)、25…トランクルーム、34…閉断面部、35…内部空間(内部)、42…前傾上半部(鉛直補強部材の上部)、62…上ビーム折部(ビーム折部)、63…下ビーム折部(ビーム折部)、F1,F3,F4,F6…衝突荷重。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部において車体前後方向に向けて延出されたリヤフレームと、
前記リヤフレームの後端部から上方に向けて立設された鉛直補強部材と、
前記鉛直補強部材の上部が連結され、トランクルームの開口側部を形成するリヤピラーと、
を備え、
車体後方から車体後部に作用した衝突荷重を前記鉛直補強部材に作用させ、作用させた衝突荷重を前記リヤフレームに伝えることを特徴とする車体後部構造。
【請求項2】
前記鉛直補強部材の車体後側にビーム折部が車体後方に突出するように設けられたことを特徴とする請求項1記載の車体後部構造。
【請求項3】
前記リヤフレームの後端部に設けられてトランクルームの後仕切壁を形成するリヤパネルが設けられ、
前記リヤパネルを補強するために前記リヤパネルおよび前記鉛直補強部材間にリヤパネルスチフナが設けられ、
前記リヤパネルおよび前記リヤパネルスチフナで形成された閉断面部の内部に前記ビーム折部が設けられたことを特徴とする請求項2記載の車体後部構造。
【請求項4】
前記リヤフレームの後端部にバンパビームエクステンションを介してバンパビームが設けられ、
前記バンパビームおよび前記バンパビームエクステンションの変形で軽衝突時の衝突荷重を吸収可能とし、
前記軽衝突時の前記バンパビームおよび前記バンパビームエクステンションの変形に影響のない位置で、かつ前記バンパビームエクステンションの上方に前記ビーム折部が設けられたことを特徴とする請求項2または請求項3記載の車体後部構造。
【請求項5】
前記リヤパネルおよび前記リヤパネルスチフナで形成された閉断面部の内部に前記鉛直補強部材の上部が設けられたことを特徴とする請求項2記載の車体後部構造。
【請求項1】
車体後部において車体前後方向に向けて延出されたリヤフレームと、
前記リヤフレームの後端部から上方に向けて立設された鉛直補強部材と、
前記鉛直補強部材の上部が連結され、トランクルームの開口側部を形成するリヤピラーと、
を備え、
車体後方から車体後部に作用した衝突荷重を前記鉛直補強部材に作用させ、作用させた衝突荷重を前記リヤフレームに伝えることを特徴とする車体後部構造。
【請求項2】
前記鉛直補強部材の車体後側にビーム折部が車体後方に突出するように設けられたことを特徴とする請求項1記載の車体後部構造。
【請求項3】
前記リヤフレームの後端部に設けられてトランクルームの後仕切壁を形成するリヤパネルが設けられ、
前記リヤパネルを補強するために前記リヤパネルおよび前記鉛直補強部材間にリヤパネルスチフナが設けられ、
前記リヤパネルおよび前記リヤパネルスチフナで形成された閉断面部の内部に前記ビーム折部が設けられたことを特徴とする請求項2記載の車体後部構造。
【請求項4】
前記リヤフレームの後端部にバンパビームエクステンションを介してバンパビームが設けられ、
前記バンパビームおよび前記バンパビームエクステンションの変形で軽衝突時の衝突荷重を吸収可能とし、
前記軽衝突時の前記バンパビームおよび前記バンパビームエクステンションの変形に影響のない位置で、かつ前記バンパビームエクステンションの上方に前記ビーム折部が設けられたことを特徴とする請求項2または請求項3記載の車体後部構造。
【請求項5】
前記リヤパネルおよび前記リヤパネルスチフナで形成された閉断面部の内部に前記鉛直補強部材の上部が設けられたことを特徴とする請求項2記載の車体後部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−195296(P2010−195296A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44349(P2009−44349)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]