説明

車体構造

【課題】シートを設けるクロスメンバーの剛性を確保でき、かつ、作業性を高めることができる車体構造を提供する。
【解決手段】車体構造10は、クロスメンバー31に外右第1シート取付孔51が設けられ、外右第1シート取付孔の近傍に外側右バルクヘッド34が設けられ、外側右バルクヘッドに外右第1シート取付孔まで張り出されたシート取付片81が設けられ、シート取付片に外右第1シート取付孔と同軸上に第2シート取付孔91が設けられ、シート取付片の第2シート取付孔と同軸上にシートナット93が設けられ、シートボルト94が外右第1シート取付孔および第2シート取付孔を経てシートナットにねじ結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体幅方向を向いてクロスメンバーが設けられ、このクロスメンバーにシートが設けられた車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体構造のなかには、クロスメンバーに取付孔を形成し、この取付孔に対して同軸上にナットを配置し、このナットをクロスメンバーの内部壁面に溶接で取り付け、ナットにボルトをねじ結合することによりボルト・ナットでシートを取り付けるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−268810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、クロスメンバーの内部壁面にナットを溶接で取り付けるためには、ナットまで溶接装置を導く作業用の開口部をクロスメンバーに形成する必要がある。
クロスメンバーに作業用の開口部を形成すると、クロスメンバーの剛性を確保することが難しい。
さらに、作業用の開口部を通して溶接装置をナットまで導くために、溶接装置の移動が作業用の開口部に規制され、作業性に影響を受けることが考えられる。
【0004】
本発明は、シートを設けるクロスメンバーの剛性を確保でき、かつ、作業性を高めることができる車体構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、フロアパネル上に車体幅方向を向いて断面略逆U字状のクロスメンバーが設けられ、前記クロスメンバーの内部に補強用のバルクヘッドが設けられ、前記クロスメンバーにシートが設けられた車体構造において、前記クロスメンバーのうち、前記シートを取り付ける部位に第1取付孔が設けられ、前記第1取付孔の近傍に前記バルクヘッドが設けられ、前記バルクヘッドに前記第1取付孔まで張り出されたシート取付片が設けられ、前記シート取付片に前記第1取付孔と同軸上に第2取付孔が形成され、前記シート取付片のうち、前記第2取付孔と同軸上で、かつ前記クロスメンバーと反対側の面にナットが設けられ、前記シートを前記クロスメンバーに取り付けるボルトが、第1取付孔および第2取付孔を経て前記ナットにねじ結合されたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、前記バルクヘッドは、前記クロスメンバーの内部に設けられた隔壁部と、前記隔壁部の外周から前記クロスメンバーに沿って張り出され、前記クロスメンバーに接合可能な接合片と、を有し、前記接合片から前記シート取付片が前記クロスメンバーに沿って張り出されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明では、バルクヘッドにシート取付片を設け、このシート取付片にナットを設けた。このナットにボルトをねじ結合するようにした。このボルトは、シートをクロスメンバーに取り付ける部材である。
これにより、ナットにボルトをねじ結合することで、シートをクロスメンバーに取り付けることができる。
【0008】
また、バルクヘッドのシート取付片にナットを設けたので、バルクヘッドをクロスメンバーに取り付けることで、クロスメンバー内部にナットを備えることができる。
よって、クロスメンバーの内部にナットを直接溶接する必要がないので、ナットを溶接する溶接装置をクロスメンバー内に導く必要がない。
これにより、クロスメンバー内に溶接装置を導く作業用の開口部をクロスメンバーから除去できるので、クロスメンバーの剛性を確保することができる。
【0009】
さらに、溶接装置でナットを溶接する際に、作業用の開口部を通して溶接装置をナットまで導く必要がない。
これにより、溶接装置の移動が作業用の開口部で規制される虞がなく、ナットを溶接する際の作業性を高めることができる。
【0010】
請求項2に係る発明では、バルクヘッドに隔壁部を備え、隔壁部の外周からクロスメンバーに沿って接合片を張り出し、接合片をクロスメンバーに接合可能とした。
そして、接合片からシート取付片をクロスメンバーに沿って張り出した。
よって、隔壁部からシート取付片を比較的離した場合でも、シート取付片の近傍に備えた接合片をクロスメンバーに接合して、シート取付片をクロスメンバーに沿わせた状態に確実に保持できる。
【0011】
これにより、バルクヘッドの隔壁部からシート取付片を比較的離して配置することが可能になる。
したがって、隔壁部をクロスメンバーの剛性を確保する位置に配置し、かつ、シート取付片をシート取付位置に配置することが可能になり、設計の自由度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は運転者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
【0013】
図1は本発明に係る車体構造を示す側面図、図2は本発明に係る車体構造からシートを外した状態を示す斜視図である。
車体構造10は、左右の側部に車体前後方向に向いて設けられた左右のサイドシル12,13と、左右のサイドシル12,13間に設けられたフロアパネル15と、フロアパネル15に沿って設けられたクロスメンバーユニット16と、右サイドシル(サイドシル)13にクロスメンバーユニット16を連結するガセット18と、クロスメンバーユニット16に取り付けられた左右のシート(シート)21,22とを備えている。
【0014】
右サイドシル13は、アウタパネル24の上下の辺がインナパネル25の上下の辺にそれぞれスポット溶接で接合され、断面略ロ字状の閉断面に形成されている。
インナパネル25にフロアパネル15の右側部(側部)15bが接合(支持)されている。
右サイドシル13の前端部にフロントピラー26が立設され、右サイドシル13の中央部にセンタピラー27が立設されている。
【0015】
左サイドシル12は、右サイドシル13と左右対称の部材であり、アウタパネル28の上下の辺がインナパネル29の上下の辺にそれぞれスポット溶接で接合され、断面略ロ字状の閉断面に形成されている。
左サイドシル12は、右サイドシル13と同様に、インナパネル29にフロアパネル15の左側部15aが接合(支持)されている。
左サイドシル12には、クロスメンバーユニット16の左端部(具体的には、クロスメンバー31の左端部(シートを取り付ける部位))31aが設けられている。
【0016】
図3は本発明に係る車体構造のクロスメンバーユニットを示す分解斜視図である。
クロスメンバーユニット16は、フロアパネル15に沿って設けられたクロスメンバー31と、クロスメンバー31の右端部(シートを取り付ける部位)31bに設けられた外側右バルクヘッド(バルクヘッド)34と、クロスメンバー31の中央右寄り部(シートを取り付ける部位)31cに設けられた内側右バルクヘッド(バルクヘッド)35と、クロスメンバー31の左端部31aに設けられた外側左バルクヘッド(バルクヘッド)36と、クロスメンバー31の中央左寄り部(シートを取り付ける部位)31dに設けられた内側左バルクヘッド(バルクヘッド)37とを備えている。
【0017】
クロスメンバー31は、図2に示すように、左右のサイドシル12,13に対して略直交する方向に向けて設けられている。
このクロスメンバー31は、上面壁部41、前壁部42および後壁部43で断面略逆U字状(すなわち、断面下向きコ字状)に形成された部材である。
上面壁部41は、フロアパネル15に対して略平行に配置された平坦な上面である。
前後の壁部42,43は、各上辺間の間隔に対して各下辺間の間隔が大きくなるように略ハ字状に形成されている。
【0018】
前壁部42は、上面壁部41の前辺からフロアパネル15に向けて傾斜状に張り出された傾斜面である。
この前壁部42は、右端部42aにガセット18を取り付ける前第1ガセット取付孔45が形成され、前第1ガセット取付孔45の上方に外右第1シート取付孔(第1取付孔)51が形成されている。
【0019】
前壁部42の下辺には、前折曲部56が車体前方に向けてフロアパネル15(図2参照)に沿って設けられている。
前折曲部56は、右端部56aにフロアパネル前取付孔57(図4も参照)が形成されている。フロアパネル前取付孔57はボルト58を差込可能な孔である。
この前折曲部56は、右端部56aがボルト58でフロアパネル15(図2参照)に取り付けられ、その他の部位がスポット溶接でフロアパネル15に接合されている。
【0020】
後壁部43は、上面壁部41の後辺からフロアパネル15に向けて傾斜状に張り出された傾斜面である。
この後壁部43は、右端部43aにガセット18を取り付ける後第1ガセット取付孔46が形成されている。
【0021】
後壁部43の下辺には、後折曲部61が車体後方に向けてフロアパネル15沿って設けられている。
後折曲部61は、右端部61aにフロアパネル後取付孔62が形成されている。フロアパネル後取付孔62はボルト58を差込可能な孔である。
この後折曲部61は、右端部61aがボルト58でフロアパネル15(図2参照)に取り付けられ、その他の部位がスポット溶接でフロアパネル15に接合されている。
【0022】
前折曲部56がボルト58やスポット溶接でフロアパネル15に接合され、後折曲部61がボルト58やスポット溶接でフロアパネル15に接合されることで、クロスメンバー31がフロアパネル15に取り付けられている。
このクロスメンバー31を断面略逆U字状に形成することで、クロスメンバー31の内部に空間64が形成されている。
クロスメンバーの空間64に、外側右バルクヘッド34、内側右バルクヘッド35、外側左バルクヘッド36および内側左バルクヘッド37が設けられている。
【0023】
図4は本発明に係る車体構造のクロスメンバーおよび外側右バルクヘッドの関係を示す分解斜視図、図5は図4の外側右バルクヘッドを車体後方から見た状態を示す斜視図である。
外側右バルクヘッド34は、クロスメンバー31の右端部31bに設けられた補強用の部材である。
【0024】
この外側右バルクヘッド34は、クロスメンバー31の右端部開口(端部開口)66を塞ぐ隔壁部71と、隔壁部71の外周に設けられた折曲部72と、折曲部72からクロスメンバー31に沿って張り出された接合片(具体的には、上接合片73、前上接合片74、前下接合片75、後上接合片76および後下接合片77)と、前上接合片74からクロスメンバー31に沿って張り出されたシート取付片81と、折曲部72からクロスメンバー31に沿って張り出された前後のガセット取付片(ガセット取付片)82,83とを備えている。
【0025】
隔壁部71は、クロスメンバー31の上面壁部41に沿った上辺71aと、クロスメンバー31の前壁部42に沿った前辺71bと、クロスメンバー31の後壁部43に沿った後辺71cと、フロアパネル15(図2参照)に沿った下辺71dとで略矩形状に形成されている。
【0026】
この隔壁部71は、上辺71a近傍の上部71eに当接部85が形成され、略中央部に開口部86が形成されている。
当接部85は、上辺71aに沿って直線状に形成されるとともに、図7、図9に示すように、ガセット18に向けて突出された部位である。
【0027】
隔壁部71の外周(上辺71a、前辺71bおよび後辺71c)には折曲部72が設けられている。
折曲部72は、上折曲部位72a、前折曲部位72bおよび後折曲部位72cで略逆U字状に形成された部位である。
【0028】
上折曲部位72aは、隔壁部71の上辺71aからクロスメンバー31の上面壁部41に沿って車体中心88(図2参照)側に折り曲げられた部位である。
前折曲部位72bは、隔壁部71の前辺71bからクロスメンバー31の前壁部42に沿って車体中心88側に折り曲げられた部位である。
後折曲部位72cは、隔壁部71の後辺71cからクロスメンバー31の後壁部43に沿って車体中心88側に折り曲げられた部位である。
【0029】
折曲部72からクロスメンバー31に沿って上接合片73、前上接合片74、前下接合片75、後上接合片76および後下接合片77が張り出されている。
具体的には、上接合片73は、上折曲部位72aからクロスメンバー31の上面壁部41(具体的には、上面壁部41の内面)に沿って張り出された突片である。
この上接合片73は上面壁部41にスポット溶接で接合されている(図6参照)。
【0030】
前上接合片74は、前折曲部位72bの上端部からクロスメンバー31の前壁部42に沿って上面壁部41と略平行に張り出された突片である。
この前上接合片74は、クロスメンバー31の前壁部42(具体的には、前壁部42の内面)にスポット溶接で接合されている(図6参照)。
【0031】
前下接合片75は、前折曲部位72bの下端部からクロスメンバー31の前壁部42に沿って前上接合片74と略平行に張り出された突片である。
この前下接合片75は、クロスメンバー31の前壁部42(具体的には、前壁部42の内面)にスポット溶接で接合されている(図6参照)。
【0032】
後上接合片76は、後折曲部位72cの上端部からクロスメンバー31の後壁部43に沿って上面壁部41と略平行に張り出された突片である。
この後上接合片76は、前上接合片74と同様に、クロスメンバー31の後壁部43(具体的には、後壁部43の内面)にスポット溶接で接合されている。
【0033】
後下接合片77は、後折曲部位72cの下端部からクロスメンバー31の後壁部43に沿って後上接合片76と略平行に張り出された突片である。
この後下接合片77は、前下接合片75と同様に、クロスメンバー31の後壁部43(具体的には、後壁部43の内面)にスポット溶接で接合されている。
【0034】
このように、上接合片73、前上接合片74、前下接合片75、後上接合片76および後下接合片77がクロスメンバー31にスポット溶接で接合されることで、外側右バルクヘッド34がクロスメンバー31に取り付けられている。
【0035】
前上接合片74からクロスメンバー31に沿ってシート取付片81が張り出されている。
シート取付片81は、前上接合片74の先端部74aからクロスメンバー31の前壁部42に沿って前上接合片74と平行に張り出された突片である。
このシート取付片81は、クロスメンバー31の外右第1シート取付孔51と同軸上に第2シート取付孔(第2取付孔)91が形成されている。
シート取付片81には、第2シート取付孔91と同軸上で、かつクロスメンバー31の前壁部42と反対側の面81aにシートナット(ナット)93が設けられている(溶接されている)。
【0036】
シート取付片81にシートナット93を設けたので、外側右バルクヘッド34をクロスメンバー31に取り付けることで、クロスメンバー31の内部にシートナット93を備えることができる。
【0037】
よって、クロスメンバー31の内部にシートナット93を直接溶接する必要がないので、シートナット93を溶接する溶接装置(図示せず)をクロスメンバー31内に導く必要がない。
これにより、クロスメンバー31内に溶接装置を導く作業用の開口部(図示せず)をクロスメンバー31から除去できるので、クロスメンバー31の剛性を確保することができる。
【0038】
さらに、溶接装置でシートナット93を溶接する際に、作業用の開口部を通して溶接装置をシートナット93まで導く必要がない。
これにより、溶接装置の移動が作業用の開口部で規制される虞がなく、シートナット93を溶接する際の作業性を高めることができる。
【0039】
このシートナット93にシートボルト(ボルト)94がねじ結合され、右シート22の外取付ブラケット95がクロスメンバー31の右端部31bに取り付けられている。
具体的には、外取付ブラケット95の取付孔95a、クロスメンバー31の外右第1シート取付孔51および第2シート取付孔91にシートボルト94が順次差し込まれる。
第2シート取付孔91から突出されたねじ部94aがシートナット93にねじ結合され、外取付ブラケット95がクロスメンバー31の右端部31bに取り付けられている。
【0040】
シートナット93およびシートボルト94でシート締結手段92が構成されている。
すなわち、シートナット93にシートボルト94をねじ結合することで、シート取付片81がシート締結手段92に連結されている。
【0041】
ここで、外側右バルクヘッド34は、隔壁部71の外周からクロスメンバー31に沿って前上接合片74を張り出し、前上接合片74をクロスメンバー31に接合可能とした。
そして、前上接合片74からシート取付片81をクロスメンバー31に沿って張り出した。
【0042】
よって、隔壁部71からシート取付片81を比較的離した場合でも、シート取付片81の近傍に備えた前上接合片74をクロスメンバー31に接合して、シート取付片81をクロスメンバー31に沿わせた状態に確実に保持できる。
【0043】
これにより、外側右バルクヘッド34の隔壁部71からシート取付片81を比較的離して配置することが可能になる。
したがって、隔壁部71をクロスメンバー31の剛性を確保する位置に配置し、かつ、シート取付片81を右シート22の取付位置に配置することが可能になり、設計の自由度を高めることができる。
【0044】
加えて、外側右バルクヘッド34の隔壁部71からシート取付片81を比較的離して配置することで、シートナット93を、後述する前後のガセットナット98,102から離すことが可能になる。
これにより、図7に示すガセット18に干渉させることなく、右シート22をクロスメンバー31に取り付けることができる。
【0045】
また、折曲部72からクロスメンバー31に沿って前後のガセット取付片82,83が張り出されている。
前ガセット取付片82は、前折曲部位72bの略中央部からクロスメンバー31の前壁部42に沿って張り出された突片である。
この前ガセット取付片82は、クロスメンバー31の前第1ガセット取付孔45と同軸上に前第2ガセット取付孔97が形成されている。
前ガセット取付片82には、前第2ガセット取付孔97と同軸上で、かつクロスメンバー31の前壁部42と反対側の面に前ガセットナット98が設けられている(溶接されている)。
【0046】
後ガセット取付片83は、後折曲部位72cの略中央部からクロスメンバー31の後壁部43に沿って張り出された突片である。
この後ガセット取付片83は、クロスメンバー31の後第1ガセット取付孔46と同軸上に後第2ガセット取付孔101が形成されている。
後ガセット取付片83には、後第2ガセット取付孔101と同軸上で、かつクロスメンバー31の後壁部43と反対側の面に後ガセットナット102が設けられている(溶接されている)。
【0047】
このように、前後のガセット取付片82,83に前後のガセットナット98,102を設けたので、シートナット93と同様に、外側右バルクヘッド34をクロスメンバー31に取り付けることで、クロスメンバー31の内部に前後のガセットナット98,102を備えることができる。
【0048】
よって、前後のガセットナット98,102を溶接する溶接装置(図示せず)をクロスメンバー31内に導く必要がない。
これにより、クロスメンバー31内に溶接装置を導く作業用の開口部(図示せず)をクロスメンバー31から除去できるので、クロスメンバー31の剛性を確保することができる。
【0049】
さらに、溶接装置で前後のガセットナット98,102を溶接する際に、作業用の開口部を通して溶接装置を前後のガセットナット98,102まで導く必要がない。
これにより、溶接装置の移動が作業用の開口部で規制される虞がなく、前後のガセットナット98,102を溶接する際の作業性を高めることができる。
【0050】
前後のガセットナット98,102は、ガセット18(図7参照)をクロスメンバー31の右端部31bに取り付けるためのナットである。
【0051】
図6(a)は本発明に係る内側右バルクヘッドを示す斜視図、図6(b)は(a)の内側右バルクヘッドからシートナットを分解した状態を示す斜視図である。
内側右バルクヘッド35は、外側右バルクヘッド34に類似した補強用の部材で、クロスメンバー31の中央右寄り部31c(図3参照)に設けられている。
【0052】
この内側右バルクヘッド35は、クロスメンバー31の中央右寄り部31cで空間64を仕切る隔壁部131と、隔壁部131の外周に設けられた折曲部132と、折曲部132からクロスメンバー31に沿って張り出された接合片(具体的には、上接合片133、前上接合片134、前下接合片135、後上接合片136および後下接合片137)と、折曲部132からクロスメンバー31に沿って張り出されたシート取付片138とを備えている。
【0053】
隔壁部131は、隔壁部71と同様に、上辺、前辺、後辺および下辺で略矩形状に形成されている。この隔壁部131は、略中央部に開口部139が形成されている。
隔壁部131の外周(上辺、前辺および後辺)には折曲部132が設けられている。
折曲部132は、上折曲部位132a、前折曲部位132bおよび後折曲部位132cで略逆U字状に形成された部位である。
【0054】
上折曲部位132aは、隔壁部131の上辺からクロスメンバー31の上面壁部41に沿って車体中心88(図3参照)側に折り曲げられた部位である。
前折曲部位132bは、隔壁部131の前辺からクロスメンバー31の前壁部42に沿って車体中心88(図3参照)側に折り曲げられた部位である。
後折曲部位132cは、隔壁部131の後辺からクロスメンバー31の後壁部43に沿って車体中心88(図3参照)側に折り曲げられた部位である。
【0055】
折曲部132からクロスメンバー31に沿って上接合片133、前上接合片134、前下接合片135、後上接合片136および後下接合片137が張り出されている。
図3に示すように、上接合片133は上面壁部41にスポット溶接で接合されている。
また、前上接合片134および前下接合片135は、クロスメンバー31の前壁部42にスポット溶接でそれぞれ接合されている。
さらに、後上接合片76および後下接合片77は、クロスメンバー31の後壁部43にスポット溶接でそれぞれ接合されている。
【0056】
折曲部132からクロスメンバー31の前壁部42(図3参照)に沿ってシート取付片138が張り出されている。
シート取付片138は、前上接合片134の上方に設けられ、前上接合片134と一体に張り出された突片である。
【0057】
このシート取付片138は、クロスメンバー31の内右第1シート取付孔(第1取付孔)52と同軸上に第2シート取付孔(第2取付孔)141が形成されている。
シート取付片138には、第2シート取付孔141と同軸上で、かつクロスメンバー31の前壁部42(図3参照)と反対側の面138aにシートナット93が設けられている(溶接されている)。
【0058】
図3に戻って、シートナット93は、クロスメンバー31の内右第1シート取付孔52に同軸上に配置されている。
この内右第1シート取付孔52に、図2に示す右シート22の内取付ブラケット147の取付孔147aが同軸上に配置されている。
【0059】
シート取付片138にシートナット93を設けたので、内側右バルクヘッド35をクロスメンバー31に取り付けることで、クロスメンバー31の内部にシートナット93を備えることができる。
【0060】
よって、クロスメンバー31の内部にシートナット93を直接溶接する必要がないので、シートナット93を溶接する溶接装置(図示せず)をクロスメンバー31内に導く必要がない。
これにより、クロスメンバー31内に溶接装置を導く作業用の開口部(図示せず)をクロスメンバー31から除去できるので、クロスメンバー31の剛性を確保することができる。
【0061】
さらに、溶接装置でシートナット93を溶接する際に、作業用の開口部を通して溶接装置をシートナット93まで導く必要がない。
これにより、溶接装置の移動が作業用の開口部で規制される虞がなく、シートナット93を溶接する際の作業性を高めることができる。
【0062】
取付孔147aおよび内右第1シート取付孔52にシートボルト94(図2参照)が差し込まれ、シートナット93にねじ結合されている。
シートボルト94およびシートナット93で、内取付ブラケット147がクロスメンバー31の中央右寄り部31cに取り付けられている。
【0063】
図2に示す右シート22の外取付ブラケット95をクロスメンバー31の右端部31bに取り付け、かつ、右シート22の内取付ブラケット147をクロスメンバー31の中央右寄り部31cに取り付けることで、クロスメンバー31の右半部に右シート22が取り付けられている。
【0064】
外側左バルクヘッド36は、内側右バルクヘッド35に類似した補強用の部材で、クロスメンバー31の左端部31aに接合片154…がスポット溶接で接合されている。
この外側左バルクヘッド36は、隔壁部151の外周に折曲部152が設けられ、折曲部152に接合片154…およびシート取付片158が設けられ、シート取付片158にシートナット93が設けられている。
【0065】
シートナット93は、クロスメンバー31の外左第1シート取付孔(第1取付孔)53に同軸上に配置されている。
この外左第1シート取付孔53に、図2に示す左シート21の外取付ブラケット148の取付孔148aが同軸上に配置されている。
【0066】
シート取付片158にシートナット93を設けたので、外側左バルクヘッド36をクロスメンバー31に取り付けることで、クロスメンバー31の内部にシートナット93を備えることができる。
【0067】
よって、内側右バルクヘッド35と同様に、作業用の開口部をクロスメンバー31から除去できるので、クロスメンバー31の剛性を確保することができる。
さらに、溶接装置でシートナット93を溶接する際に、溶接装置の移動が作業用の開口部で規制される虞がなく、シートナット93を溶接する際の作業性を高めることができる。
【0068】
この取付孔148aおよび外左第1シート取付孔53にシートボルト94(図2参照)が差し込まれ、シートナット93にねじ結合されている。
シートボルト94およびシートナット93で、外左第1シート取付孔53がクロスメンバー31の左端部31aに取り付けられている。
【0069】
内側左バルクヘッド37は、外側左バルクヘッド36に類似した補強用の部材で、クロスメンバー31の中央左寄り部31dに接合片164…がスポット溶接で接合されている。
この内側左バルクヘッド37は、隔壁部161の外周に折曲部162が設けられ、折曲部162に接合片164…およびシート取付片168が設けられ、シート取付片168にシートナット93が設けられている。
【0070】
シートナット93は、クロスメンバー31の内左第1シート取付孔(第1取付孔)54に同軸上に配置されている。
この内左第1シート取付孔54に、図2に示す左シート21の内取付ブラケット149の取付孔149aが同軸上に配置されている。
【0071】
シート取付片168にシートナット93を設けたので、内側左バルクヘッド37をクロスメンバー31に取り付けることで、クロスメンバー31の内部にシートナット93を備えることができる。
【0072】
よって、内側右バルクヘッド35と同様に、作業用の開口部をクロスメンバー31から除去できるので、クロスメンバー31の剛性を確保することができる。
さらに、溶接装置でシートナット93を溶接する際に、溶接装置の移動が作業用の開口部で規制される虞がなく、シートナット93を溶接する際の作業性を高めることができる。
【0073】
この取付孔149aおよび内左第1シート取付孔54にシートボルト94(図2参照)が差し込まれ、シートナット93にねじ結合されている。
シートボルト94およびシートナット93で、内取付ブラケット149がクロスメンバー31の中央左寄り部31dに取り付けられている。
【0074】
図2に示す左シート21の外取付ブラケット148をクロスメンバー31の左端部31aに取り付け、かつ、左シート21の内取付ブラケット149をクロスメンバー31の中央左寄り部31dに取り付けることで、クロスメンバー31の左半部に左シート21が取り付けられている。
【0075】
図7は本発明に係る車体構造からガセットを分解した状態を示す斜視図である。
クロスメンバー31の右端部31bがガセット18で右サイドシル13に連結されている。
ガセット18は、右サイドシル13から外側右バルクヘッド34まで延出されたガセット本体105と、外端部18aに設けられた前後の取付部106,107と、内端部18bに設けられた前後のアーム部108,109とを備えている。
【0076】
ガセット本体105は、右サイドシル13から外側右バルクヘッド34に向けて上り勾配に延出されたガセット傾斜部111と、ガセット傾斜部111の内端部18bから隔壁部71に沿って略鉛直に立ち上げられたガセット立上部112とを備えている。
ガセット立上部112は、当接部85に対向するように配置されている。
【0077】
ガセット立上部112の上端部(すなわち、ガセット18の内端部)18bからガセット傾斜部111の外端部(すなわち、ガセット18の外端部)18aまで剛性ビード114が外側右バルクヘッド34の隔壁部71やフロアパネル15に向けて膨出されている。
【0078】
剛性ビード114は、ガセット立上部112から当接部85に向けて膨出された立上ビード部(当接部に当接する部位)115と、ガセット傾斜部111から下方(すなわち、フロアパネル15)に向けて膨出された傾斜ビード部116とを備えている。
立上ビード部115および傾斜ビード部116は連続的に一体形成されている。
【0079】
立上ビード部115は、当接部85に対向して配置され、後述するようにガセット18が回動することで当接部85に当接可能な部位である。
この立上ビード部115は、ビード幅Wが下端部から上端部に向かうにつれて徐々に大きくなるように、下端部のビード幅W1、上端部のビード幅W2に形成されている。
【0080】
前取付部106は、ガセット18の外端部18aにおいて、ガセット本体105の外前辺105aから車体前方向に張り出された張出片である。
前取付部106には、右サイドシル13に取り付けるための前取付孔106aが形成されている。
【0081】
後取付部107は、ガセット18の外端部18aにおいて、ガセット本体105の外後辺105bから車体後方向に張り出された張出片である。
後取付部107には、右サイドシル13に取り付けるための後取付孔107aが形成されている。
【0082】
前取付孔106aにボルト121が差し込まれ、前取付孔106aから突出したねじ部121aが右サイドシル13の前取付孔13aに差し込まれ、ナット122にねじ結合されている。
このナット122は、前取付孔13aに同軸に配置された状態で右サイドシル13(インナパネル25の上面壁部25a)に溶接されている。
【0083】
また、後取付孔107aにボルト121が差し込まれ、後取付孔107aから突出したねじ部121aが右サイドシル13の後取付孔13bに差し込まれ、ナット122にねじ結合されている。
このナット122は、後取付孔13bに同軸に配置された状態で右サイドシル13(インナパネル25の上面壁部25a)に溶接されている。
【0084】
このように、前後のボルト121を前後のナット122にそれぞれねじ結合することで、前後の取付部106,107(すなわち、ガセット18の外端部18a)が、右サイドシル13(具体的には、インナパネル25の上面壁部25a)に取り付けられている。
【0085】
前アーム部108は、ガセット18の内端部18bにおいて、ガセット本体105の内前辺105cからクロスメンバー31の前壁部42に向けて張り出され、前壁部42の外面に沿って配置された突片である。
前アーム部108には、前第3ガセット取付孔124が形成されている。
前第3ガセット取付孔124は、クロスメンバー31の前第1ガセット取付孔45に対して同軸上に配置可能な孔である。
【0086】
後アーム部109は、ガセット18の内端部18bにおいて、ガセット本体105の内後辺105dからクロスメンバー31の後壁部43に向けて張り出され、後壁部43の外面に沿って配置された突片である。
後アーム部109には、後第3ガセット取付孔125が形成されている。
後第3ガセット取付孔125は、クロスメンバー31の後第1ガセット取付孔46(図4参照)に対して同軸上に配置可能な孔である。
【0087】
前第3ガセット取付孔124にガセットボルト127が差し込まれ、前第3ガセット取付孔124から突出したねじ部127aが、前第1ガセット取付孔45および前第2ガセット取付孔97を経て前ガセットナット98にねじ結合されている。
【0088】
また、後第3ガセット取付孔125にガセットボルト127が差し込まれ、後第3ガセット取付孔125から突出したねじ部127aが後第1ガセット取付孔46(図4参照)および後第2ガセット取付孔101を経て後ガセットナット102(図5参照)にねじ結合されている。
【0089】
前後のガセットボルト127はそれぞれ同軸上に配置されている。
よって、前後のアーム部108,109が、クロスメンバー31の前後の壁部42,43を挟み込んだ状態で前後のガセットボルト127に回動自在に支持されている。
【0090】
ここで、前側のガセットボルト127、前側のガセットナット98、後側のガセットボルト127および後側のガセットナット102(図5参照)でガセット締結手段(締結手段)126が構成されている。
すなわち、ガセット18は、内端部18bがクロスメンバー31の右端部31bにガセット締結手段126で回動自在に連結されている。
【0091】
ここで、クロスメンバー31の右端部31bに外側右バルクヘッド34が設けられ、外側右バルクヘッド34に当接部85が設けられている。さらに、この当接部85がガセット18の立上ビード部115に対向するように配置されている。
【0092】
また、右サイドシル13の中央部にセンタピラー27が立設されている。このセンタピラーに衝撃荷重が作用した場合、右サイドシル13を反時計回り方向に回転させようとする荷重が作用する。
【0093】
そして、右サイドシル13に作用した荷重がガセット18の外端部18aに伝わる。すなわち、ガセット18を前後のガセットボルト127を軸にして反時計回り方向に回動させようとする荷重がガセット18に作用する。
ガセット18が前後のガセットボルト127を軸にして反時計回り方向に僅かに回動することで、ガセット18の立上ビード部115が当接部85に当接する。
【0094】
立上ビード部115が当接部85に当接することで、ガセット18の回動が阻止される。
ガセット18の回動を阻止することで、右サイドシル13がガセット18で支えられる。
これにより、右サイドシル13に作用した衝撃荷重Fは、ガセット18を経てクロスメンバー31に伝えられ、クロスメンバー31で良好に支えられる。
【0095】
つぎに、車体構造10のクロスメンバー31に右シート22を取り付ける例を図8〜図9に基づいて説明する。
図8(a),(b)は本発明に係るクロスメンバーに外側右バルクヘッドを取り付ける例について説明する図である。
(a)において、外側右バルクヘッド34の前第2ガセット取付孔97に対して前ガセットナット98を同軸上に位置合わせし、前ガセット取付片82に前ガセットナット98を溶接する。
【0096】
また、図5に示す後第2ガセット取付孔101に対して後ガセットナット102を同軸上に位置合わせして、後ガセット取付片83に後ガセットナット102とを溶接する。
さらに、第2シート取付孔91に対してシートナット93を同軸上に位置合わせして、シート取付片81にシートナット93とを溶接する。
【0097】
(b)において、外側右バルクヘッド34をクロスメンバー31の右端部開口66に配置する。
前第2ガセット取付孔97をクロスメンバー31の前第1ガセット取付孔45に対して同軸上に位置合わせする。
【0098】
また、後第2ガセット取付孔101(図5参照)をクロスメンバー31の後第1ガセット取付孔46に対して同軸上に位置合わせする。
さらに、第2シート取付孔91をクロスメンバー31の外右第1シート取付孔51に対して同軸上に位置合わせする。
【0099】
つぎに、外側右バルクヘッド34の上接合片73をクロスメンバー31の上面壁部41にスポット溶接で接合する。
また、前上接合片74および前下接合片75をクロスメンバー31の前壁部42にスポット溶接でそれぞれ接合する。
さらに、後上接合片76および後下接合片77をクロスメンバー31の後壁部43にスポット溶接でそれぞれ接合する。
【0100】
これにより、外側右バルクヘッド34をクロスメンバー31の右端部31bに溶接する。この状態で、外側右バルクヘッド34の隔壁部71でクロスメンバー31の右端部開口66を塞ぐ。
【0101】
ここで、前ガセット取付片82に前ガセットナット98を設けたので、クロスメンバー31の内部(すなわち、前壁部42の内面)に前ガセットナット98を備えることができる。
同様に、後ガセット取付片83に後ガセットナット102を設けたので、クロスメンバー31の内部(すなわち、後壁部43の内面)に後ガセットナット102を備えることができる。
さらに、シート取付片81にシートナット93を設けたので、クロスメンバー31の内部(すなわち、前壁部42の内面)にシートナット93を備えることができる。
【0102】
図9(a),(b)は本発明に係るクロスメンバーに右シートを取り付ける例について説明する図である。
(a)において、クロスメンバー31の上面壁部41に右シート22の外取付ブラケット95を載せる。外取付ブラケット95の取付孔95aをクロスメンバー31の外右第1シート取付孔51に対して同軸上に位置合わせする。
つぎに、取付孔95a、外右第1シート取付孔51および第2シート取付孔91にシートボルト94を順次差し込む。
【0103】
(b)において、第2シート取付孔91から突出したねじ部94aをシートナット93((a)参照)にねじ結合する。
これにより、外取付ブラケット95をクロスメンバー31の右端部31bに取り付ける。
【0104】
外取付ブラケット95をクロスメンバー31の右端部31bに取り付けた後、図8〜図9に示す工程と同様に、図2に示す内取付ブラケット147をクロスメンバー31の中央右寄り部31cに取り付ける。
これにより、クロスメンバー31の右半部に右シート22を取り付けることができる。
【0105】
また、図2に示す右シート22と同様に、左シート21をクロスメンバー31の左半部に取り付けることができる。
【0106】
ここで、前後のガセットナット98,102(後ガセットナット102は図5参照)には、ガセット18が前後のガセットボルト127,127(図7参照)で取り付けられる。
【0107】
以上説明したように、前後のガセット取付片82,83に前後のガセットナット98,102を設け、かつ、シート取付片81にシートナット93を設けたので、前後のガセットナット98,102およびシートナット93をクロスメンバー31の内部に直接溶接する必要がない。
【0108】
よって、クロスメンバー31の内部に各ナット98,102,93を溶接する溶接装置(図示せず)をクロスメンバー31内に導く必要がない。
これにより、クロスメンバー31内に溶接装置を導く作業用の開口部(図示せず)をクロスメンバー31から除去できるので、クロスメンバー31の剛性を確保することができる。
【0109】
さらに、溶接装置で各ナット98,102,93を溶接する際に、作業用の開口部を通して溶接装置を各ナット98,102,93まで導く必要がない。
これにより、溶接装置の移動が作業用の開口部で規制される虞がなく、各ナット98,102,93を溶接する際の作業性を高めることができる。
【0110】
なお、前記実施の形態では、外側右バルクヘッド34のシート取付片81をクロスメンバー31の前壁部42に沿って張り出した例について発明したが、これに限らないで、シート取付片81をクロスメンバー31の後壁部43に沿って張り出すことも可能である。
また、一対のシート取付片81をクロスメンバー31の前後の壁部42,43に沿ってそれぞれ張り出すことも可能である。
【0111】
また、前記実施の形態で示したクロスメンバー31、外側右バルクヘッド34、内側右バルクヘッド35、外側左バルクヘッド36や内側左バルクヘッド37の形状などは例示した形状に限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、車体幅方向を向いてクロスメンバーが設けられ、このクロスメンバーにシートが設けられた車体構造を備えた自動車への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明に係る車体構造を示す側面図である。
【図2】本発明に係る車体構造からシートを外した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る車体構造のクロスメンバーユニットを示す分解斜視図である。
【図4】本発明に係る車体構造のクロスメンバーおよび外側右バルクヘッドの関係を示す分解斜視図である。
【図5】図5は図4の外側右バルクヘッドを車体後方から見た状態を示す斜視図である。
【図6】(a)は本発明に係る内側右バルクヘッドを示す斜視図、(b)は(a)の内側右バルクヘッドからシートナットを分解した状態を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る車体構造からガセットを分解した状態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係るクロスメンバーに外側右バルクヘッドを取り付ける例について説明する図である。
【図9】本発明に係るクロスメンバーに右シートを取り付ける例について説明する図である。
【符号の説明】
【0114】
10…車体構造、15…フロアパネル、21…左シート(シート)、22…右シート(シート)、31…クロスメンバー、31a…クロスメンバーの左端部(シートを取り付ける部位)、31b…クロスメンバーの右端部(シートを取り付ける部位)、31c…クロスメンバーの中央右寄り部(シートを取り付ける部位)、31d…クロスメンバーの中央左寄り部(シートを取り付ける部位)、34…外側右バルクヘッド(バルクヘッド)、35…内側右バルクヘッド(バルクヘッド)、36…外側左バルクヘッド(バルクヘッド)、37…内側左バルクヘッド(バルクヘッド)、51…外右第1シート取付孔(第1取付孔)、52…内右第1シート取付孔(第1取付孔)、53…外左第1シート取付孔(第1取付孔)、54…内左第1シート取付孔(第1取付孔)、71,131,151,161…隔壁部、73,133…上接合片(接合片)、74,134…前上接合片(接合片)、75,135…前下接合片(接合片)、76,136…後上接合片(接合片)、77…後下接合片(接合片)、81,138,158,168…シート取付片、81a,138a…シート取付片のうちロスメンバーと反対側の面、91,141…第2シート取付孔(第2取付孔)、93…シートナット(ナット)、94…シートボルト(ボルト)、95a,147a,148a,149a…取付孔、154,164…接合片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネル上に車体幅方向を向いて断面略逆U字状のクロスメンバーが設けられ、前記クロスメンバーの内部に補強用のバルクヘッドが設けられ、前記クロスメンバーにシートが設けられた車体構造において、
前記クロスメンバーのうち、前記シートを取り付ける部位に第1取付孔が設けられ、
前記第1取付孔の近傍に前記バルクヘッドが設けられ、
前記バルクヘッドに前記第1取付孔まで張り出されたシート取付片が設けられ、
前記シート取付片に前記第1取付孔と同軸上に第2取付孔が形成され、
前記シート取付片のうち、前記第2取付孔と同軸上で、かつ前記クロスメンバーと反対側の面にナットが設けられ、
前記シートを前記クロスメンバーに取り付けるボルトが、第1取付孔および第2取付孔を経て前記ナットにねじ結合されたことを特徴とする車体構造。
【請求項2】
前記バルクヘッドは、
前記クロスメンバーの内部に設けられた隔壁部と、
前記隔壁部の外周から前記クロスメンバーに沿って張り出され、前記クロスメンバーに接合可能な接合片と、
を有し、
前記接合片から前記シート取付片が前記クロスメンバーに沿って張り出されたことを特徴とする請求項1記載の車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−36812(P2010−36812A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204596(P2008−204596)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】