説明

車止め

【課題】 本発明は、低コストで強度と復元力を向上させることができる車止めを提供することを課題とする。
【解決手段】 車両などの接触により弾性的に変形して撓む可撓性を有する車止めであって、下端側11bが地面Gに埋設されて立設される筒状のポール部11を備え、前記ポール部11の内側の下端側11bには、該ポール部11の内側面に密着する筒壁部13が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に歩道と車道との境界などに設置され、車道から歩道への車両などの進入を防止する車止めに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の車止めとして様々なものが、出願人によって既に提案されている。例えば、弾性を有する筒状のポール部及び該ポール部よりも強度を有する弾性の筒状芯柱を備える本体と、該本体を立設させるベース部とからなる車止めAが既に提案されている(特許文献1)。この車止めAは、あらかじめ地中にナットを埋設し、該ナットにベース部の下面に設けたボルトを螺着させ、該ベース部に筒状芯柱を立設させた上で、該筒状芯柱にポール部を被せるという方法で施工される。
【0003】
また、弾性を有する筒状のポール部と該ポール部よりも強度を有する弾性の筒状芯柱とを備える本体からなる車止めBも提案されている(特許文献2)。この車止めBは、筒状芯柱の下端側をコンクリートやモルタルなどを用いて地中に埋設し、該筒状芯柱の地上に突出した部分にポール部を被せる方法で施工される。
【0004】
更に、上記車止めA,Bの他にも、弾性を有する筒状のポール部を備える本体からなる車止めCが提案されており、この車止めCは、ポール部の下端側がコンクリートやモルタルなどを用いて地面に直接埋設されて立設される方法で施工される。
【0005】
これらの車止めA,B,Cは、設置場所や設置方法といった施工事情に鑑みて適宜選択される訳であるが、かかる車止めA,B,Cはいずれも、車両(例えば、自動車や自転車など)や歩行者などが接触した場合に、接触による衝撃を弾性によって緩和する点で共通している。具体的には、車止めA,B,Cは、ポール部が弾性体であるので、車両などが接触すると、その衝撃を吸収するように、地面付近の下端側から弾性的に一旦撓んだ状態となる。そして、当該撓んだ状態は、ポール部の復元力によって元の直立した状態に戻される。
【0006】
ここで、車止めA,Bは、本体がポール部だけでなく筒状芯柱を備えているため、上記のような撓んだ状態から元の状態に復元する際に、ポール部のみならず筒状芯柱による復元力が作用して十分な復元性を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−332596号公報
【特許文献2】特開平9−279535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記車止めCは、本体が筒状芯柱を備えずポール部のみから構成されているため、強度的に弱く、とりわけ車両などが激しく衝突したり繰り返し接触したりした場合に撓んだ状態から元の直立状態に復元しなくなるなど、復元力が乏しいという問題があった。尚、当該車止めCの強度や復元力を向上させるために、ポール部の肉厚を全体的に厚くすることが考えられるが、これでは材料費が嵩んでコスト高になってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、低コストで強度と復元力を向上させることができる車止めを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る車止めは、上記課題を解決するためになされたもので、車両などの接触により弾性的に変形して撓む可撓性を有する車止めであって、下端側が地面に埋設されて立設される筒状のポール部を備え、前記ポール部の内側の下端側には、該ポール部の内側面に密着する筒壁部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
かかる車止めにあっては、ポール部の内側の下端側に、該ポール部の内側面に密着する筒壁部が形成されているため、車止めの下端側の肉厚を増やして強度及び復元力を向上させることができる。即ち、車止めの下端側の肉厚が増えると該下端側の強度が増すので、車両などが接触した際に、前記下端側における挫屈度合いが小さくなって全体が緩やかに撓む。一方、復元する際には、前記撓みに対して、ポール部と筒壁部との復元力によって元の直立状態に円滑に戻る。また、筒壁部がポール部の下端側に形成されるため、材料費などのコストを抑制することができる。
【0012】
また、本発明に係る車止めは、前記ポール部の内側の上端側には、筒状の補強筒が配置されていることが好ましい。
【0013】
かかる車止めにあっては、ポール部の内側の上端側に筒状の補強筒が配置されているため、車止めの上端側の肉厚を増やして強度を向上させることができる。
【0014】
また、本発明に係る車止めは、前記補強筒の下端部の内側には、前記筒壁部の上端部が密着していることが好ましい。
【0015】
かかる車止めにあっては、補強筒の下端部の内側に筒壁部の上端部が密着しているため、補強筒は、ポール部に密着する筒壁部によってポール部に対して固定される。
【0016】
また、本発明に係る車止めは、前記補強筒には、貫通穴が形成され、前記筒壁部は、上端部の一部が前記貫通穴を内側から外側へ通じて前記ポール部の内側面に密着していることが好ましい。
【0017】
かかる車止めにあっては、筒壁部の上端部の一部が補強筒の貫通穴を内側から外側へ通じてポール部の内側面に密着しているため、補強筒が、ポール部に密着する筒壁部に係合した状態でポール部に対して確実に固定される。
【0018】
また、本発明に係る車止めは、前記ポール部は、合成樹脂を押出成型してなり、前記筒壁部は、当該押出成型されたポール部の内側に対して更に合成樹脂を充填して成型されてなることが好ましい。
【0019】
かかる車止めにあっては、筒壁部が、押出成型されたポール部の内側に対して更に合成樹脂を充填して成型されるため、筒壁部を、ポール部の内側面に対して確実に密着させて設けることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明に係る車止めによれば、ポール部の内側の下端側に、該ポール部の内側面に密着する筒壁部が形成されているため、コストを抑制しつつ、車止めの下端側の肉厚を増やすことができる結果、低コストで強度と復元力を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る車止めの概略全体図を示す。
【図2】同実施形態に係る車止めにおける本体の概略断面図を示す。
【図3】同実施形態に係る車止めにおける補強筒の概略外形図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る車止めの一実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。
【0023】
本実施形態に係る車止めは、歩道と車道との境界などに設置されるもので、車道から歩道への車両などの進入を防止するために利用される。
【0024】
この車止めは、図1に示すように、車両などの接触により弾性的に変形して撓む可撓性を有するものであって、下端側が地面Gに埋設されて立設される筒状の本体1と、該本体1の上端部に設けられる蓋体2とからなる。
【0025】
本体1は、図2に示すように、下端側11bが地面Gに埋設されて立設される筒状のポール部11と、該ポール部11の上端側11aの内側に配置される筒状の補強筒12と、前記ポール部11の下端側11bの内側面に密着する筒壁部13と、該筒壁部13の上端に当接する上仕切部14と、前記筒壁部13の下端に当接する下仕切部15とを有する。
【0026】
ポール部11は、軸線が上下に沿う直線状で一定肉厚の円筒形状をなし、復元力を有するように弾性を有する素材(弾性体)、例えば、ウレタン樹脂などのポリウレタン系エラストマーの合成樹脂から押出成型によって形成されている。かかるポール部11は、下端側11bが建設資材Aを介して地中に埋設されることにより地面Gに立てられる。具体的には、ポール部11は、その軸線が上下方向に向いて地面Gに対して直立した状態となるように、下端部が地中に配置され、該地中にコンクリートやモルタルなどを充填して固定される。
【0027】
補強筒12は、図2,3に示すように、軸線が上下に沿う直線状で一定肉厚の円筒形状であり、その上下方向(軸線方向)の長さは、ポール部11の上下方向の長さより短く構成されている。本実施形態では、補強筒12の上下方向の長さは、ポール部11の上下方向の長さの半分より長くなっている。また、補強筒12は、外径がポール部11の内径と略等しく、肉厚がポール部11の肉厚より若干厚い又は略等しくなるように構成されている。
【0028】
補強筒12の下端部には、貫通穴12aが設けられている。具体的には、貫通穴12aは、補強筒12を径方向に貫通する穴であり、周方向に間隔を開けて複数(本実施形態では、90°間隔で四つ)配置されている。
【0029】
また、補強筒12は、剛性のある合成樹脂パイプ、例えばポリエチレンパイプからなる。よって、補強筒12は、ポール部11よりも強度を有し、また一定の復元力(可撓性)をも有する。
【0030】
かかる補強筒12は、自己の軸線とポール部11の軸線とが一致する向きで、ポール部11の上端側11aの内側に設けられている。具体的には、補強筒12は、貫通穴12aが設けられている下端部を下側に、上端部を上側に向けて、ポール部11の上端部から中央付近に亘るように、ポール部11に内挿されている。本実施形態では、補強筒12は、ポール部11の上端から僅かに下方に離間した位置から、ポール部11の中央より下方側にまで亘るように配置されており、ポール部11の内側面との間に隙間が形成されないように該ポール部11に内接している。
【0031】
筒壁部13は、図2に示すように、軸線が上下に沿う直線状の円筒形状であり、その上下方向の長さは、ポール部11の上下方向の長さより短く構成されている。具体的には、筒壁部13は、内径が全長に亘って略一定で、外径が上端側よりも下端側が大きい径をなして構成される。より詳細には、筒壁部13は、小さい外径からなる小筒状部13aと、大きい外径からなる大筒状部13bとを備え、前記小筒状部13aと大筒状部13bとが上下方向に一体的に連接して構成されている。また、小筒状部13aと大筒状部13bとの内径は互いに等しく、従って、筒壁部13は、外側面が両筒状部13a,13bの連接部において外径差による段差が形成される一方で、内側面は段差なく滑らかな面となる。尚、筒壁部13の内径は、補強筒12の内径よりも小さい。また、小筒状部13aの外径は、補強筒12の内径と略等しく、大筒状部13bの外径は、補強筒12の外径及びポール部11の内径と略等しく構成されている。また、小筒状部13aの長さは、大筒状部13bよりも短く形成されている。尚、小筒状部13a及び大筒状部13bの肉厚(つまり、筒壁部13の肉厚)は、ポール部11の肉厚よりも厚く、補強筒12の肉厚よりも厚くなっている。
【0032】
また、筒壁部13の上端部には、径外方向に突設された係合部13cが設けられている。この係合部13cは、貫通穴12aに対応する位置に設けられている。具体的には、係合部13cは、筒壁部13の径外方向に沿う円柱形状の突起であり、周方向に間隔を開けて複数(本実施形態では、90°間隔で四つ)設けられており、貫通穴12aの内部に密着状態(つまり、隙間なく付着した状態)で嵌合するように外径や高さが設定されている。かかる係合部13cは、補強筒12における貫通穴12aの配置に対応して、小筒状部13aの周方向に略等間隔で四つ配置されている。
【0033】
また、筒壁部13は、復元力を有するように弾性を有する素材(弾性体)、例えば、ウレタン樹脂などのポリウレタン系エラストマーの合成樹脂から充填によって形成されている。
【0034】
かかる筒壁部13は、自己の軸線とポール部11及び補強筒12の軸線とが一致するように、ポール部11の下端側11bの内側面に密着して設けられている。具体的には、筒壁部13は、ポール部11の下端部から中央付近に亘るようにポール部11の下端側に配置されており、一部がポール部11の内側面に密着し、他の部分が補強筒12の内側面に密着している。より詳細には、筒壁部13の上端部は、補強筒12の下端部の内側面に密着し、さらに上端部の一部が補強筒12の貫通穴12aを内側から外側へ通じて、ポール部11の内側面に密着して配置されている。本実施形態に係る筒壁部13では、小筒状部13aは、補強筒12の下端部の内側面に密着すると共に、該小筒状部13aにおける係合部13cが補強筒12における貫通穴12aを通じてポール部11の内側面に密着している。また、大筒状部13bは、ポール部11の下端から僅かに上方に離間した下端側11bの内側面に密着して配置されている。
【0035】
上仕切部14は、円柱形状をなし、外径が補強筒12の内径と略等しく(或いは、若干大きく)構成され、剛性あるいは弾性を有する合成樹脂体、例えばポリエチレン発泡体から構成されている。かかる上仕切部14は、その下端面が筒壁部13(小筒状部13a)の上端面に当接し、且つ、補強筒12の内部を上下方向に仕切るように、補強筒12の内部に嵌め込まれている。
【0036】
下仕切部15は、内径及び外径が大筒状部13bの内径及び外径とそれぞれ略等しく、長さがポール部11を地面Gに立設した際に地面G下に配置されるように短く構成される。また、下仕切部15は、上仕切部14と同じ、例えばポリエチレン発泡体などの合成樹脂体である。かかる下仕切部15は、その上端面が筒壁部13(大筒状部13b)の下端面に当接し、下端面がポール部11の下端面と面一になるように、且つ、ポール部11の内部と外部とを連通状態で仕切るように、ポール部11の内部に嵌め込まれている。
【0037】
以上の構成からなる本体1は、合成樹脂を押出成型してポール部11を製造し、該ポール部11に合成樹脂パイプである補強筒12を内挿し、そのポール部11の内側に更に合成樹脂を充填して筒壁部13を成型することで製造される。具体的には、まずウレタン樹脂を押出成型してポール部11を形成する。次に、ポール部11の上端側からポリエチレンパイプである補強筒12を内挿し、該補強筒12の内部に上仕切部14を嵌め込むと共に、ポール部11の下端部に下仕切部15を嵌め込む。そして、ポール部11の軸線を横方向に向けて配置させた後、上仕切部14と下仕切部15とで仕切られた内部空間に、ポール部11の下方(具体的には、下仕切部15の開口部)から、該ポール部11を軸線回りに回転させながら液状のウレタン樹脂を充填して固化させて筒壁部13を形成する。本体1は、このような工程を経て形成される。尚、筒壁部13は、ウレタン樹脂の充填によって形成されるため、ポール部13の内側面に密着(即ち、隙間なく付着)すると共に、補強筒12の内側面にも密着(即ち、隙間なく付着)する。また、筒壁部13は、ウレタン樹脂が補強筒12の貫通穴12aに充填されることによって前記係合部13cが形成され、貫通穴12aの内面に密着(即ち、隙間なく付着)し、且つ、貫通穴12aを外側に通じてポール部11の内側面に密着(即ち、隙間なく付着)する。また、筒壁部13を形成するためのウレタン樹脂の充填に際し、該ウレタン樹脂は、上仕切部14及び下仕切部15によって堰き止められるため、該上仕切部14よりもポール部11の上端側11aに充填されることはないし、下仕切部15よりもポール部11の下端側11bに充填されることもない。
【0038】
そして、かかる本体1は、下端部が地面Gに埋設されるように、建設資材Aを介して立設される。具体的には、大筒状部13bのおよそ半分程度が地中に埋まるように埋設される。従って、筒壁部13(特に、大筒状部13b)は、地中から地上に亘るように配置され、筒壁部13及び補強筒12の連結部分(小筒状部13a)と補強筒12とは、全体が地上に配置される。
【0039】
蓋体2は、上方に凸となる半球状の半球部21と、該半球部21の下端から下方に向けて延設される差込部22とで構成されている。半球部21は、上に凸となるように湾曲した碗状の形状であり、下方に向けて開口しており、下端縁の外径がポール部11の外径と略等しくなっている。また、半球部21の下端部の外側面には、周方向に沿って一条の溝が形成され、その溝に反射体23(例えば球形のガラスビーズ)が設けられている。差込部22は、上下方向に伸びる円筒形状で、その上下方向の長さは補強筒12がポール部11の上端から離間した長さに略等しくなっている。差込部22の肉厚はポール部11の肉厚より薄くなっている。差込部22は、その内面と半球部21の内面とが面一となるようにして半球部21の下端から下方に向けて延設されて形成されており、その外径がポール部11の内径とほぼ同じ径となっている。
【0040】
また、蓋体2は、所定の強度を有するように、剛性を有する素材からなる。具体的には、蓋体2は、ポール部11よりも強度を有するような素材からなり、例えば、ポリエチレン樹脂などの合成樹脂から構成されている。このような構成の蓋体2は、差込部22がポール部11に上方から差し込まれてポール部11に接着剤などを介して取り付けられている。
【0041】
以上の車止めにあっては、ポール部11とその下端側11bに設けられた筒壁部13とが弾性を有し、上端側11aに設けられた補強筒12が可撓性を有しているので、車両(自転車や自動車など)や歩行者などが接触すると、地面G付近の下端側から弾性的に一旦撓んだ状態となる。その際、補強筒12と筒壁部13とによって、車止めの下端側から上端側に亘る全体の肉厚が増えて強度が増しているので、前記下端側の挫屈度合いが小さくなって全体が撓む。そして、当該撓んだ状態は、ポール部11及び筒壁部13による復元力が車止めの下端側から中央付近にかけて作用すると共に、ポール部11及び補強筒12による復元力が車止めの上端側から中央付近にかけて作用することによって、元の直立した状態に復元する。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る車止めによれば、ポール部11の内側の下端側11bには、該ポール部11の内側面に密着する筒壁部13が形成されているため、車止めの下端側の肉厚を増やして強度を向上させることができる。より詳細には、車止めの下端側の肉厚が増えると該下端側の強度及び復元力が増すので、車両などが接触した際に、前記下端側における挫屈度合いが小さくなって全体が緩やかに撓む。一方、復元する際には、前記撓みに対して、ポール部11と筒壁部13との復元力によって元の直立状態に円滑に復元する。また、筒壁部13がポール部11の下端側11bにのみ形成されるため、材料費などのコストを抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る車止めでは、ポール部11の内側の上端側11aに筒状の補強筒12が配置されているため、車止めの上端側の肉厚を増やして強度を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態に係る補強筒12は、可撓性を有するポリエチレンから構成されているため、車止めの上端側の撓みに対する復元に際し、ポール部11だけでなく補強筒12からの復元力が作用するため、元の直立状態に円滑に復元する。
【0045】
また、本実施形態に係る車止めでは、補強筒12には、貫通穴12aが形成され、筒壁部13は、上端部の一部が貫通穴12aを内側から外側へ通じてポール部11の内側面に密着しているため、補強筒12が、ポール部11に密着する筒壁部13に係合した状態でポール部11に対して確実に固定される。
【0046】
また、本実施形態に係る車止めでは、ポール部11の上端側11aから中央付近にかけて補強筒12が内接して設けられ、ポール部11の下端側11bから中央付近にかけて筒壁部13が内側面に密着して設けられ、更に、ポール部11の中央付近では、筒壁部13の上端部と補強筒12の下端部とが重なり合って設けられており、従って、ポール部11の下端側11bから上端側11aにかけて、補強筒12と筒壁部13とが内側面に連続して設けられているので、車止めの下端側から上端側までの肉厚を増やして強度を全体的に向上させることができる。その結果、車止めの下端側の挫屈度合いが小さくなって全体が緩やかに撓むので、局部的な負荷を軽減させることができる。
【0047】
また、本実施形態に係る車止めでは、ポール部11は、ウレタン樹脂を押出成型してなり、筒壁部13は、前記押出成型されたポール部11の内側に対して更にウレタン樹脂を充填して成型されてなるため、筒壁部13を、ポール部11の内側面に対して確実に密着させて設けることができる。
【0048】
また、本実施形態に係る車止めでは、蓋体2は、ポール部11よりも強度を有するような素材からなるため、本体1が撓んで、蓋体2が地面Gに接触した場合など、蓋体2を壊れ難くすることができる。
【0049】
また、本実施形態に係る車止めは、補強筒12の内側面に嵌め込まれる上仕切部14と、ポール部11の下端部の内側面に嵌め込まれる下仕切部15とを備えているため、筒壁部13を形成するためのウレタン樹脂をポール部11の下方から充填する際に、該ウレタン樹脂は、上仕切部14と下仕切部15とによって堰き止めることができ、筒壁部13を容易に成型することができる。
【0050】
尚、本発明に係る車止めは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、本実施形態では、車止めが本体1と蓋体2とから構成される場合について説明したが、これに限らず、車止めは、蓋体2を設けないことや、本体1のポール部11又は補強筒12が蓋体2と一体的に連接して構成されることも可能である。
【0052】
また、本体1は、下仕切部15を備えてなる場合について説明したが、これに限らず、本体1は、下仕切部15を備えなくとも好い。この場合、筒壁部13は、ポール部11の下端から僅かに上方に離間して配置されなくとも、ポール部11の下端から配置されることが可能である。
【0053】
また、補強筒12は、上仕切部14を備えてなる場合について説明したが、これに限らず、補強筒12は、上仕切部14を備えなくとも好い。
【0054】
また、補強筒12の肉厚は、ポール部11の肉厚より若干厚い又は略等しく構成される場合について説明したが、これに限らず、ポール部11の肉厚より薄く構成することができる。
【0055】
また、補強筒12は、剛性があり可撓性にも優れた素材からなる場合について説明したが、これに限らず、補強筒12は、復元力をほぼ有さない、例えば金属や硬質の合成樹脂などから構成することも可能であるし、復元力を十分に発揮する弾性体から構成することも可能である。
【0056】
また、本実施形態では、補強筒12の貫通穴12aが周方向に略等間隔で四つ配置される場合について説明したが、これに限らず、周方向に任意の間隔で設けることや軸方向に略等間隔或いは任意の間隔で設けることが可能であり、また、貫通穴12aの数も、四つでなくとも、一つ以上三つ以下又は五つ以上としても好い。また、貫通穴12aは、丸穴に限られず、角穴や長穴など様々な形状としてもよい。尚、筒壁部13の小筒状部13aに形成される係合部13cも、本実施形態に限らず、貫通穴に内嵌する形状であれば、上記貫通穴の構成に対応した、或いは無関係な構成を採用することが可能である。
【0057】
また、筒壁部13の肉厚は、ポール部11の肉厚よりも厚く構成される場合について説明したが、これに限らず、ポール部11の肉厚と略等しく或いは薄く構成しても好い。
【0058】
また、筒壁部13は、復元力を有するように、弾性を有する素材からなる場合について説明したが、これに限らず、筒壁部13は、復元力を有するように、剛性を有する素材であって、且つ、可撓性を有する素材から構成することも可能である。
【0059】
また、ポール部11や筒壁部13は、ウレタン樹脂などポリウレタン系エラストマーの合成樹脂から構成される場合について説明したが、これに限らず、天然ゴムやブタジエンスチレンゴム、ネオプレン、ブタジエンアクリロニトリルゴム、クロロプレン重合体、ブチルゴムなどの合成ゴム類、ポリウレタン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、シリコン樹脂、オレフィン系やウレタン系等エラストマーといった合成樹脂から構成されても好い。
【0060】
また、蓋体2は、ポール部11よりも強度を有するような素材からなる場合について説明したが、これに限らず、蓋体2は、ポール部11よりも強度を有さない或いは同等な強度を有するような素材から構成することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…本体、2…蓋体、11…ポール部、11a…ポール部の上端側、11b…ポール部の下端側、12…補強筒、12a…貫通穴、13…筒壁部、13a…小筒状部、13b…大筒状部、13c…係合部、14…上仕切部、15…下仕切部、21…半球部、22…差込部、23…反射体、A…建設資材、G…地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両などの接触により弾性的に変形して撓む可撓性を有する車止めであって、
下端側が地面に埋設されて立設される筒状のポール部を備え、
前記ポール部の内側の下端側には、該ポール部の内側面に密着する筒壁部が形成されていることを特徴とする車止め。
【請求項2】
前記ポール部の内側の上端側には、筒状の補強筒が配置されていることを特徴とする請求項1記載の車止め。
【請求項3】
前記補強筒の下端部の内側には、前記筒壁部の上端部が密着していることを特徴とする請求項2記載の車止め。
【請求項4】
前記補強筒には、貫通穴が形成され、前記筒壁部は、上端部の一部が前記貫通穴を内側から外側へ通じて前記ポール部の内側面に密着していることを特徴とする請求項2又は3記載の車止め。
【請求項5】
前記ポール部は、合成樹脂を押出成型してなり、前記筒壁部は、当該押出成型されたポール部の内側に対して更に合成樹脂を充填して成型されてなることを特徴とする請求項1乃至4記載の車止め。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−14999(P2013−14999A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150232(P2011−150232)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】