説明

車線認識装置

【課題】車両が鉛直方向に沿って変位することによって走行路の情報の測定結果が変動しただけで、走行路の情報を測定する処理を中断しない車線認識装置を提供する。
【解決手段】カメラで撮像した画像に基づいて予め定められた時間間隔での車線幅の差分を求め、さらに、前部車高センサ、及び後部車高センサによって測定された高さに基づき自車両のピッチ角の前述の時間間隔での差分を求める。求めたピッチ角の差分に基づき、前述のカメラが当該ピッチ角の差分だけ変位したときに測定される車線幅の変動量を推定し、推定した変動量だけ、予め定められた車線幅に対する許容範囲を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線認識装置に関し、より特定的には、車両などの移動体に搭載される車線認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像装置を用いて車両の前方を撮像した画像に基づいて車両の走行路を認識し、認識結果に基づいて車両の走行方向を制御したり、危険を運転者に知らせる警報などの種々の通知をする装置が実用化されている。このような装置のための技術として、例えば、特許文献1に記載の技術(以下、従来技術と称する)が挙げられる。
【0003】
従来技術では、車両の走行方向の走行路を撮像し、撮像した画像に基づいて走行路の幅、及び走行路上における幅方向の車両の位置などの走行路の情報を測定する。そして、従来技術では、測定結果に基づいて車両が走行路から逸脱する可能性を判断し、逸脱する可能性が高いと判断したときに運転者に対して警報を発する処理(以下、逸脱判断処理と称する)をする。従来技術では、逸脱判断処理をすることにより、車両が走行路から逸脱する可能性が高いと判断したときに、逸脱する可能性が高いことを運転者に通知するために警報を発する。さらに、従来技術における逸脱判断処理では、走行中の走行路の幅が予め定められた許容範囲を超えて狭くなるときは、逸脱する可能性が高いと誤判断して運転者に不要な警報を発することを防ぐために、処理を中断する。つまり、従来技術では、走行路の情報の測定結果に基づいて、逸脱判断処理を中断することがある。
【特許文献1】特開2005−346269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、走行中の車両が路面上のギャップなどの凹凸を乗り越えたときに、車両には、ピッチ角の変位や車高の変位などの鉛直方向に沿った変位が生じる。そして、車両の鉛直方向に沿った変位が生じると、前方を撮像するために車両に搭載されている撮像装置も必然的に動いてしまい、画像がぶれるため、当該撮像装置によって撮像された画像における走行路も動いてしまう。画像における走行路が動くと、当該画像に基づいて測定される走行路の幅、及び走行路上における幅方向の車両の位置などの走行路の情報の測定結果が変動してしまう。
【0005】
このため、上記従来技術では、車両が鉛直方向に沿って変位したとき、実際の走行路の幅に拘わらず、測定結果によって示される走行路の幅が変動して前述の許容範囲を超えて狭くなり、逸脱判断処理を不要に中断してしまうことがある。実際の走行路の幅が前述の許容範囲を超えて狭くなることにより逸脱判断処理を中断することは必要であるが、車両が鉛直方向に沿って変位するだけで逸脱判断処理が中断されることは避けなければならない。しかしながら、上記従来技術では、車両が鉛直方向に沿って変位するだけで逸脱判断処理を中断してしまうことがある。さらに、逸脱判断処理の他の処理、例えば、一般的に知られている車線維持制御処理のために上述したような走行路の情報を測定して生成する処理なども車両が鉛直方向に沿って変位するだけで中断してしまうのは避けなければならない。
【0006】
それ故に、本発明は、車両が鉛直方向に沿って変位することによって走行路の情報の測定結果が変動しただけで、走行路の情報を測定する処理を中断しない車線認識装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下に述べる特徴を有する。
第1の発明は、車両に搭載される車線認識装置であって、車両が走行している走行路を撮像する撮像手段と、撮像手段によって撮像された画像に基づき、車両が走行している車線の車線幅を予め定められた期間毎に測定する第1の測定手段と、予め定められた期間において生じる第1の測定手段によって測定された車線幅の変化量を第1の変化量として検出する第1の検出手段と、第1の変化量に対する予め定められた許容範囲を設定する設定手段と、車両の鉛直方向に沿った位置情報を予め定められた期間毎に測定する第2の測定手段と、予め定められた期間において生じる第2の測定手段によって測定された位置情報の変化量を第2の変化量として検出する第2の検出手段と、撮像手段が第2の変化量だけ変位することによって生じる車線幅の測定結果の変化量を第3の変化量として推定する推定手段と、許容範囲を第3の変化量だけ拡大する調節手段と、第1の変化量が調節手段によって拡大された許容範囲を超えるとき、予め定められた期間が経過したときに測定された車線幅が異常値であることを示す異常値情報を生成する第1の生成手段と、第1の変化量が調節手段によって拡大された許容範囲以内であるとき、予め定められた期間が経過したときに測定された車線幅を示す情報を生成する第2の生成手段とを備える。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に従属する発明であって、設定手段は、予め定められた期間毎に測定される車線幅を基準とする予め定められた大きさの正の制限値と負の制限値とからなる許容範囲を設定し、調節手段は、第3の変化量の符号と一致する制限値のいずれか一方に当該変化量を加算することによって許容範囲を拡大する。
【0009】
第3の発明は、第1の発明に従属する発明であって、画像に基づき走行路の曲率を測定する曲率測定手段をさらに備え、第2の生成手段は、第1の変化量が調節手段によって拡大された許容範囲以内であり、且つ曲率が予め定められたしきい値以下であることを条件として、車線幅を示す情報を生成する。
【0010】
第4の発明は、第1の発明に従属する発明であって、第2の測定手段は、走行路の路面に対する車両のピッチ角を位置情報として検出する。
【0011】
第5の発明は、第1の発明に従属する発明であって、第2の測定手段は、走行路の路面に対する車両の高さを位置情報として検出する。
【0012】
第6の発明は、車両に搭載される車線認識装置において実行される車線認識方法であって、車両が走行している走行路を撮像手段を用いて撮像する撮像ステップと、撮像ステップにおいて撮像された画像に基づき、車両が走行している車線の車線幅を予め定められた期間毎に測定する第1の測定ステップと、第1の測定ステップにおいて測定された車線幅の予め定められた期間において生じる変化量を第1の変化量として検出する第1の検出ステップと、第1の変化量に対する予め定められた許容範囲を設定する設定ステップと、車両の鉛直方向に沿った位置情報を予め定められた期間毎に測定する第2の測定ステップと、第2の測定ステップにおいて測定された位置情報の予め定められた期間において生じる変化量を第2の変化量として検出する第2の検出ステップと、撮像手段が第2の変化量だけ変位することによって生じる車線幅の測定結果の変化量を第3の変化量として推定する推定ステップと、許容範囲を第3の変化量だけ拡大する調節ステップと、第1の変化量が調節ステップにおいて拡大された許容範囲を超えるか否かを判断する判断ステップと、判断ステップにおいて、第1の変化量が調節ステップにおいて拡大された許容範囲を超えると判断されたとき、予め定められた期間が経過したときに測定された車線幅が異常値であることを示す異常値情報を生成する第1の生成ステップと、判断ステップにおいて、第1の変化量が調節ステップにおいて拡大された許容範囲以内であると判断されたとき、予め定められた期間が経過したときに測定された車線幅を示す情報を生成する第2の生成ステップとを備える。
【0013】
第7の発明は、第6の発明に従属する発明であって、設定ステップにおいて、予め定められた期間毎に測定される車線幅を基準とする予め定められた大きさの正の制限値と負の制限値とからなる許容範囲を設定し、調節ステップにおいて、第3の変化量の符号と一致する制限値のいずれか一方に当該変化量を加算することによって許容範囲を拡大する。
【0014】
第8の発明は、第6の発明に従属する発明であって、画像に基づき走行路の曲率を測定する曲率測定ステップをさらに備え、判断ステップにおいて、第1の変化量が調節ステップにおいて拡大された許容範囲以内であると判断されたとき、曲率測定ステップにおいて測定された曲率が予め定められたしきい値以下であるか否かをさらに判断し、判断ステップにおいて、第1の変化量が調節ステップにおいて拡大された許容範囲以内であると判断され、且つ曲率測定ステップにおいて測定された曲率が予め定められたしきい値以下であると判断されたとき、第2の生成ステップにおいて、車線幅を示す情報を生成する。
【0015】
第9の発明は、第6の発明に従属する発明であって、第2の測定ステップにおいて、走行路の路面に対する車両のピッチ角を位置情報として検出する。
【0016】
第10の発明は、第6の発明に従属する発明であって、第2の測定ステップにおいて、走行路の路面に対する車両の高さを位置情報として検出する。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、車両が鉛直方向に沿って変位するのに伴い撮像手段が変位することによって車線幅の測定結果などの走行路の情報の測定結果に変動が生じたとしても、当該測定結果の変動量だけ許容範囲を調節する。そして、測定された車線幅が調節後の許容範囲以内であるときに当該車線幅を示す情報などの走行路の情報を生成する処理をするため、車両が鉛直方向に沿って変位することによって走行路の情報の測定結果が変動しただけで、走行路の情報を生成する処理を中断しない車線認識装置を提供することができる。
【0018】
第2の発明によれば、測定された車線幅を基準とする正の制限値と負の制限値とからなる許容範囲を設定する。そして、車両が鉛直方向に沿って変位するのに伴い撮像手段が変位するときの変位の方向に対応する一方の制限値に前述の変動量を加算するため、他方の制限値を超える車線幅の変動量が生じたときには、車両の鉛直方向に沿った変位以外の原因による異常値が発生したことを判断することができる。
【0019】
第3の発明によれば、曲率が高く車線幅の測定結果の精度が低くなると考えられるときには、車線幅を示す情報を生成しないため、信頼度の低い車線幅を示す情報を生成してしまうことを防ぐことができる。
【0020】
第4の発明によれば、車両がピッチ角方向に変位したときに生じる車線幅の測定結果の変動量に応じて、前述の許容範囲を調節することができる。
【0021】
第5の発明によれば、車両の車高が変位したときに生じる車線幅の測定結果の変動量に応じて、前述の許容範囲を調節することができる。
【0022】
また、本発明の車線認識方法によれば、上述した本発明に係る車線認識装置と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車線認識装置1の概略構成を示すブロック図である。本実施形態に係る車線認識装置1は、カメラ101と、前部車高センサ102aと、後部車高センサ102bと、車線幅測定部103と、制御処理部104とを備える。尚、以下では、本実施形態に係る車線認識装置1を搭載する車両を自車両と称する。
【0024】
カメラ101は、典型的には、CCDカメラやCMOSカメラなどである。図2は、カメラ101の自車両における搭載箇所と、撮像範囲との一例を示す図である。図2(a)は走行中の自車両を鉛直方向に見下ろした図であり、図2(b)は走行中の自車両を、自車両から走行方向を向いたときの右側から見た図である。カメラ101は、図2に示すように自車両の走行方向を逐次撮像し、撮像した画像を示す画像データGdを逐次生成する。カメラ101の撮像範囲は、図2に示すように自車両の走行路の左右の区画線を少なくとも含む。
【0025】
前部車高センサ102a、及び後部車高センサ102bは、典型的には、レーザー光を路面に照射してから、反射したレーザー光を受信するまでの時間などに基づき対象物との相対距離を測定するレーザーセンサである。前部車高センサ102aは、一例として、フロントバンパーの内部に取り付けられ、後部車高センサ102bは、リアバンパーの内部に取り付けられる。
【0026】
前部車高センサ102aは、図3に一例として示すように、自車両の前半部の高さZkを前述の相対距離として測定する。本実施形態では、一例として、走行路の路面からフロントバンパーの底辺までの高さを高さZkとして測定する。また、本実施形態では、後部車高センサ102bは、図3に一例として示すように、自車両の後半部の高さKkを前述の相対距離として測定する。本実施形態では、一例として、走行路の路面からリアバンパーの下方のフロントバンパーの底辺と同じ高さまでの高さを高さKkとして測定する。
【0027】
図3に一例として示すように、前部車高センサ102aの自車両における取り付け位置の高さと、後部車高センサ102bの自車両における取り付け位置の高さとが互いに異なるときは、それぞれの車高センサによって測定される高さの基準を一致させておく必要がある。前部車高センサ102aは測定した高さZkを示す前部高さデータZdを逐次生成し、後部車高センサ102bは測定した高さKkを示す後部高さデータKdを逐次生成する。
【0028】
車線幅測定部103は、典型的には、LSIなどで構成される画像処理装置であり、カメラ101によって逐次生成される画像データGdに基づき自車両の走行路の幅(以下、車線幅と称する)を走行路の情報として予め定められた期間が経過するたびに逐次測定し、測定結果を図示しない記憶部に記憶する。車線幅を測定するとき、車線幅測定部103は、カメラ101によって生成される画像データGdを取得し、取得した画像データGdに対してエッジ検出処理などの画像処理をすることにより、当該画像データGdが示す画像に撮像されている自車両の走行路の左右の区画線を検出する。左右の区画線を検出すると、車線幅測定部103は、検出した左右の区画線の幅を前述の車線幅として測定して、測定した車線幅を図示しない記憶部に記憶する。
【0029】
そして、車線幅測定部103は、車線幅を逐次測定しながら、最新の車線幅(以下、第1の車線幅と称する)を測定したときに、第1の車線幅と、第1の車線幅を測定した時刻に最も近い時刻に測定した車線幅(以下、第2の車線幅と称する)とを図示しない記憶部に記憶されている車線幅の中から特定する。
【0030】
第1の車線幅、及び第2の車線幅をそれぞれ特定すると、車線幅測定部103は、特定した第1の車線幅から第2の車線幅を引くことにより、第2の車線幅に対する第1の車線幅の変動量、すなわち、前述の予め定められた期間において生じる車線幅の測定結果の変動量(以下、差分車線幅Shと称する)を演算して、図示しない記憶部に記憶する。もし、既に演算した差分車線幅Shが図示しない記憶部に記憶されているときは、車線幅測定部103は、既に記憶している差分車線幅Shを新たに演算した差分車線幅Shに更新する。
【0031】
また、車線幅測定部103は、差分車線幅Shを演算して記憶するたびに、図4に示すように、特定した第2の車線幅を基準として、それぞれ予め定められた大きさQの正の制限値Pと、負の制限値Mとを図示しない記憶部に記憶し、予め定められた正の制限値Pと負の制限値Mとからなる許容範囲Khを設定する。もし、既に正の制限値P、及び負の制限値Mがそれぞれ図示しない記憶部に記憶され、許容範囲Khが設定されているとき、車線幅測定部103は、既に記憶されている正の制限値P、及び負の制限値Mをそれぞれ新たな正の制限値P、負の制限値Mに更新し、許容範囲Khを設定し直す。図4に示す斜線部が、車線幅測定部103によって設定された許容範囲Khを示す。
【0032】
許容範囲Khを設定すると、車線幅測定部103は、記憶されている差分車線幅Shが設定した許容範囲Kh以内であるか否かを判断する。すなわち、車線幅測定部103は、許容範囲Khを設定すると、図4に示すように、最新の車線幅が測定された時刻に最も近い時刻に測定された車線幅を基準として、最新の車線幅が許容範囲Kh以内となるか否かを判断する。尚、図4に示す最新の車線幅(第1の車線幅)は一例である。また、前述の大きさQは、図示しない記憶部に予め記憶されることによって予め定められているものとする。
【0033】
車線幅測定部103は、差分車線幅Shが許容範囲Kh以内であると判断したとき、測定した第1の車線幅(最新の車線幅)を示す車線幅データSdを生成する。一方、車線幅測定部103は、差分車線幅Shが許容範囲Khを超えると判断したとき、第1の車線幅(最新の車線幅)を異常値と判断して、異常値が測定されたことを示す異常値情報Ijを生成し、異常値を示す車線幅データSdの生成を中断する。
【0034】
車線幅測定部103は、取得した画像データGdに基づいて車線幅を測定するが、カメラ101によって撮像される画像、及び車線幅測定部103によって取得される画像データGdにはノイズが重畳することがある。ノイズが重畳した画像、或いはノイズが重畳した画像データGdに基づいて車線幅を測定すると、実際の車線幅との誤差が大きくなる。そして、誤差の大きい車線幅を示す車線幅データSdを車線幅測定部103が生成すると、後述するように当該車線幅データSdを用いて運転者の安全を確保するための処理などをする制御処理部104が誤動作をしてしまう可能性が高くなる。
【0035】
自車両が一般的な走行路を走行しているときにも、車線幅の測定結果は時間の経過にしたがって変動し、第1の車線幅と第2の車線幅との間には差が生ずる。しかし、仮に、第1の車線幅がノイズの重畳した画像データGdに基づいて車線幅測定部103によって測定され、第2の車線幅がノイズの重畳していない画像データGdに基づいて車線幅測定部103によって測定されたとすると、当該第1の車線幅と当該第2の車線幅との差分車線幅Shは、第1の車線幅、及び第2の車線幅のいずれもノイズの重畳していない画像データGdに基づいて測定されたときの差分車線幅Shよりも著しく大きくなる。
【0036】
そこで、車線幅測定部103は、上述したように、第1の車線幅を測定したときに、第1の車線幅と第2の車線幅との差を差分車線幅Shとして演算し、演算した差分車線幅Shが予め定められた許容範囲Kh以内となるか否かを判断する。そして、車線幅測定部103は、許容範囲Khを超える異常値であると判断した第1の車線幅を示す車線幅データSdを生成しない。これにより、ノイズが重畳した画像データGdに基づいて車線幅測定部103によって測定された第1の車線幅を制御処理部104が後述するように用いることによって生じる誤動作を防ぐことができる。
【0037】
ところで、自車両は、走行中に走行路面の凹凸などを乗り越えたときに、鉛直方向に沿って変位する(以下、単に鉛直変位すると記載する)。鉛直変位とは、例えば、自車両の走行路面とのピッチ角の変位、及び自車両の走行路面からの高さの変位など自車両の鉛直方向に沿った変位のことである。自車両が鉛直変位すると、自車両に搭載されたカメラ101も必然的に鉛直変位するため、カメラ101によって撮像される画像がぶれる。カメラ101によって撮像される画像がぶれると、車線幅測定部103によって測定される車線幅は変動する。そして、車線幅測定部103によって測定される第1の車線幅が、ノイズの重畳していない画像データGdに基づいて測定されたのにも拘わらず、自車両が鉛直変位することによって変動し、第1の車線幅と第2の車線幅との差分車線幅Shが許容範囲Khを超えると、車線幅測定部103は車線幅データSdの生成を不用意に中断する。
【0038】
そこで、車線幅測定部103によって測定された第1の車線幅が、自車両が鉛直変位することによって変動し、車線幅データSdの生成を不用意に中断することを防ぐために、車線幅測定部103は、自車両が鉛直変位したときには、上述したように差分車線幅Shを演算するたびに設定される許容範囲Khをさらに調節する。許容範囲Khを調節するとき、車線幅測定部103は、前部車高センサ102aによって生成される前部高さデータZd、及び後部車高センサ102bによって生成される後部高さデータKdに基づいて許容範囲Khを調節する処理をする。車線幅測定部103の処理の詳細は後述する。尚、車線幅測定部103が取得した画像データGdに対してする画像処理は、左右の区画線の検出、及び車線幅などを検出できるのであれば、エッジ検出処理などであってもよいし、他の公知の画像処理であってもよい。
【0039】
制御処理部104は、典型的には、マイコンなどの演算処理装置であり、車線幅測定部103によって生成された車線幅データSdを取得し、取得した車線幅データSdによって示される車線幅、図示しない他の測定部によって測定された自車両の位置と走行路の中心線との幅方向の間隔、及び自車両と走行路の左右の区画線との幅方向の間隔などの情報を用いて、例えば、公知の車線維持制御処理、及び車線逸脱判断処理などの運転者の安全を確保するための安全確保処理などをする。
【0040】
車線維持制御処理とは、例えば、制御処理部104が取得した車線幅データSdなどに基づいて、自動的に走行路に沿って走行するように自車両の転舵輪の舵角を制御する処理のことである。また、車線逸脱判断処理とは、例えば、自車両が左右の区画線のいずれか一方に過度に接近することにより走行路、或いは車線を逸脱する可能性が高くなったとき、すなわち、図示しない測定部によって測定された自車両と走行路の左右の区画線との幅方向の間隔のいずれか一方が予め定められた間隔より小さくなったときに制御処理部104が自車両の運転者に対して警報を発する処理のことである。制御処理部104は、車線維持制御などの運転者の安全を確保するための処理だけでなく、その他の処理をしてもよい。また、制御処理部104は、車線幅測定部103によって異常値情報Ijが生成されている期間を通じて前述の安全確保処理を中断する。
【0041】
以上が、図1に示す車線維持装置1の構成の説明である。次に、上述した車線幅測定部103が許容範囲Khを調節する処理を詳細に説明する。そのために、まず、車線幅測定部103が車線幅を測定するときの処理について説明する。図5は、カメラ101によって生成された画像データGdが示す画像の一例を示す図である。
【0042】
車線幅測定部103は、車線幅を測定するとき、まず、図5に示すように、撮像した画像を画像処理することにより、撮像した画像における左右の区画線の内側を通る2つの直線(例えば、図5に示す一点鎖線)を検出する。左右の区画線の内側を通る2つの直線をそれぞれ検出すると、車線幅測定部103は、撮像した画像の下端の画素から予め定められた垂直方向の位置Ssに水平方向に設定された測定線と、検出した2つの直線とのそれぞれの交点(例えば、図5に示す交点Kt1、及び交点Kt2。以下、それぞれを基準交点と称する)を検出する。2つの基準交点を検出すると、車線幅測定部103は、画像における2つの基準交点の水平方向の間隔を車線幅として測定する。尚、車線幅測定部103が、車線幅を測定するときは、2つの基準交点の水平方向の画素の間隔をそのまま車線幅として測定してもよいし、2つの基準交点の水平方向の画素の間隔を実際の車線幅に換算して測定してもよい。
【0043】
次に、車線幅測定部103が、前部車高センサ102aによって生成される前部高さデータZdと、後部車高センサ102bによって生成される後部高さデータKdとを用いて許容範囲Khを調節する処理について説明する。図6は、走行中の自車両の前輪が障害物Ds1を乗り越えることによってピッチ角方向に鉛直変位するところを、自車両から走行方向を向いたときの右側から自車両を見たときの一例を示す右側面図である。以下では、鉛直変位としてピッチ角方向に自車両が変位する場合を一例として説明を続ける。図7(a)は、自車両が平坦な走行路を走行しているときに車線幅測定部103によって測定される車線幅Hs1を一例として示す。また、図7(b)は、自車両の前輪が図6に示す障害物Ds1を乗り越えて自車両がピッチ角方向に変位したときに車線幅測定部103によって測定される車線幅Hs2を一例として示す。
【0044】
尚、本実施形態の以下の説明で述べるピッチ角とは、水平面を基準として、自車両の前部が鉛直方向に沿って上向きになったときに正の値を示し、自車両の前部が鉛直方向に沿って下向きになったときに負の値を示すものとする。すなわち、本実施形態におけるピッチ角とは、自車両の前部が鉛直方向に沿って上向きになるにしたがって増加し、自車両の前部が鉛直方向に沿って下向きになるにしたがって減少するものとする。
【0045】
図6に示すように、自車両の前輪が障害物Ds1を乗り越えるときは、自車両のピッチ角がα°だけ増加する。このため、自車両の前輪が障害物Ds1を乗り越えるときは、図6に示すように、カメラ101の撮像範囲の中心線もピッチ角α°だけ増加する。したがって、自車両の前輪が図6に示す障害物Ds1を乗り越えるときに車線幅測定部103によって測定される車線幅Hs2は、自車両が平坦な走行路を走行しているときに車線幅測定部103によって測定される車線幅Hs1よりも図7(b)に示すように狭くなる。
【0046】
ここで、仮に、図7(b)に示す車線幅Hs2を前述の第1の車線幅とし、図7(a)に示す車線幅Hs1を前述の第2の車線幅とし、前述の差分車線幅Shが許容範囲Khを超える場合を想定して車線幅測定部103の処理の説明を続ける。この場合、自車両の前輪が障害物Ds1を乗り越えるとき、許容範囲Khを調節しない限り、差分車線幅Shが許容範囲Khを超えるため、車線幅測定部103は車線幅データSdの生成を不要に中断することになる。
【0047】
そこで、車線幅測定部103は、前部車高センサ102aによって生成される前部高さデータZdによって示される高さZkと、後部車高センサ102bによって生成される後部高さデータKdによって示される高さKkとを逐次記憶する。そして、車線幅測定部103は、記憶した前部高さデータZdによって示される高さZkと、記憶した後部車高センサ102bによって生成される後部高さデータKdによって示される高さKkとに基づき、自車両のピッチ角を予め定められた期間が経過するたびに逐次演算する。車線幅測定部103は、ピッチ角を演算するとき、まず、高さZkと高さKkとの差を演算する。次に、車線幅測定部103は、前部車高センサ102aと後部車高センサ102bとの自車両の前後方向に沿った間隔と、演算した差との逆正接(アークタンジェント)をピッチ角として演算して図示しない記憶部に記憶する。
【0048】
さらに、車線幅測定部103は、ピッチ角を逐次演算しながら、演算した最新のピッチ角(以下、第1のピッチ角と称する)と、最新のピッチ角を演算した時刻に最も近い時刻に演算したピッチ角(以下、第2のピッチ角と称する)とを図示しない記憶部に記憶されているピッチ角の中から特定する。
【0049】
第1のピッチ角と、第2のピッチ角とをそれぞれ特定すると、車線幅測定部103は、特定した第1のピッチ角から第2のピッチ角を引くことにより、第1のピッチ角の第2のピッチ角に対する変動量、すなわち、予め定められた期間において生じるピッチ角の演算結果の変動量(以下、差分ピッチ角Pkと称する)を演算して図示しない記憶部に記憶する。もし、既に演算した差分ピッチ角Pkが図示しない記憶部に記憶されているときは、車線幅測定部103は、既に記憶している差分ピッチ角Pkを新たに演算した差分ピッチ角Pkに更新する。尚、差分ピッチ角Pkとは、予め定められた期間でのピッチ角の変化量に相当する。
【0050】
差分ピッチ角Pkを演算すると、車線幅測定部103は、演算した差分ピッチ角Pkだけ自車両がピッチ角方向に変位するのに伴ってカメラ101がピッチ角方向に変位することによって、上述したように車線幅の測定結果が変動する分だけ許容範囲Khを調節する。このために、車線幅測定部103は、第2のピッチ角を基準としてカメラ101が演算した差分ピッチ角Pkだけ変位したときの車線幅の測定結果の変動量を、第1のピッチ角と第2のピッチ角とに基づいて推定差分車線幅Sbとして演算して推定する。
【0051】
ここで、本実施形態において、車線幅測定部103が推定差分車線幅Sbを推定する手法について説明する。図8は、車線幅測定部103が推定差分車線幅Sbを演算する手法を説明するための一例を示す図である。図8には、最新のピッチ角(第1のピッチ角)に対応するカメラ101の光軸と、最新のピッチ角を演算した時刻に最も近い時刻に演算したピッチ角(第2のピッチ角)に対応するカメラ101の光軸とが示されている。
【0052】
図8に示すα’は第1のピッチ角であり、αは第2のピッチ角である。また、H’は第1のピッチ角に対応するカメラ101の走行路の路面に対する第1の高さであり、Hは第2のピッチ角に対応するカメラ101の走行路の路面に対する第2の高さである。また、L’はカメラ101の搭載位置から第1のピッチ角に対応するカメラ101の光軸と走行路の路面との交点までの水平方向の距離であり、Lはカメラ101の搭載位置から第2のピッチ角に対応するカメラ101の光軸と走行路の路面との交点までの水平方向の距離である。
【0053】
図8に示すようにカメラ101の光軸が第2のピッチ角αから第1のピッチ角α’まで変化したときに車線幅測定部103は、推定差分車線幅Sb求めるためにまず以下に示す数式(1)、及び数式(2)を用いてL、及びL’を演算する。
【0054】
【数1】

【0055】
【数2】

【0056】
数式(1)、及び数式(2)を演算するときに用いる第1の高さH’、及び第2の高さHについて詳細に説明する。自車両のフレーム、及びボディなどが自車両が走行しているときにおいて剛体であると考えると、前部車高センサ102a、後部車高センサ102b、及びカメラ101の取り付け位置は相対的に変化しない。つまり、前部車高センサ102a、後部車高センサ102b、及びカメラ101の相対的な取り付け位置は、予め定めておくことができる。そして、数式(1)、及び数式(2)における第1の高さH’、及び第2の高さHは、前述の予め定められた相対的な取り付け位置、高さZk、及び高さKkに基づいて車線幅測定部103が、数式(1)、及び数式(2)の演算をする前に予め演算して、図示しない記憶部に逐次記憶するものとする。
【0057】
また、車線幅測定部103は前部高さデータZd、及び後部高さデータKdをそれぞれ取得するたびに、これらのデータによって示される高さZk、及び高さKkに基づいてカメラ101の走行路の路面に対する高さを逐次演算して図示しない記憶部に記憶してもよい。そして、図示しない記憶部に記憶した、カメラ101の走行路の路面に対する高さの内、最新の高さを前述の第1の高さH’とし、最新の高さ(第1の高さH’)を演算した時刻に最も近い時刻に演算した高さを第2の高さHとしてもよい。
【0058】
車線幅測定部103は、L、及びL’を演算すると、演算したL、及びL’を以下に示す数式(3)に代入して推定差分車線幅Sbを演算する。尚、数式(3)のWは第2の車線幅である。
【0059】
【数3】

【0060】
以上が、車線幅測定部103が推定差分車線幅Sbを推定する手法の一例の説明である。尚、差分ピッチ角Pkは、最新のピッチ角と、最新のピッチ角を演算した時刻に最も近い時刻に演算したピッチ角との差であるため、その符号は、自車両、及びカメラ101のピッチ角の変位の方向に対応している。すなわち、差分ピッチ角Pkは第2のピッチ角を基準として第1のピッチ角から第2のピッチ角を引いた差であるため、第2のピッチ角の測定時刻からカメラ101が上を向いたとき(ピッチ角が増加したとき)、差分ピッチ角Pkの符号は正となる。一方、第2のピッチ角の測定時刻からカメラ101が下を向いたとき(ピッチ角が減少したとき)、差分ピッチ角Pkの符号は負となる。
【0061】
また、差分ピッチ角Pkに基づいて車線幅測定部103によって推定される推定差分車線幅Sbの符号も自車両、及びカメラ101のピッチ角方向に沿った鉛直変位の方向に対応している。より具体的には、差分ピッチ角Pkの符号が正であるとき、すなわち、カメラ101が上述したように上を向いたとき、車線幅の測定結果は上述したように狭くなるため、推定差分車線幅Sbの符号は負になる。一方、差分ピッチ角Pkの符号が負であるとき、すなわち、カメラ101が上述したように下を向いたとき、車線幅の測定結果は広くなるため、推定差分車線幅Sbの符号は正になる。
【0062】
推定差分車線幅Sbを推定すると、車線幅測定部103は、推定差分車線幅Sbだけ許容範囲Khを調節するために、上述したようにそれぞれ設定された正の制限値Pと負の制限値Mとの中から推定差分車線幅Sbの符号と一致する符号の制限値を選択する。制限値を選択すると、車線幅測定部103は、選択した制限値と推定差分車線幅Sbとを加算して、許容範囲Khを拡大するように調節する。
【0063】
より具体的には、車線幅測定部103は、推定差分車線幅Sbの符号が正であるとき、すなわち、自車両の前部が鉛直方向に沿って下向きになったとき、正の推定差分車線幅Sbと符号が一致する正の制限値Pを選択する。正の制限値Pを選択すると車線幅測定部103は、図9に示すように、選択した正の制限値Pに、正の推定差分車線幅Sbを加算して更新する。一方、車線幅測定部103は、推定差分車線幅Sbの符号が負であるとき、すなわち、自車両の前部が鉛直方向に沿って上向きになったとき、推定差分車線幅Sbと符号が一致する負の制限値Mを選択する。負の制限値Mを選択すると車線幅測定部103は、図9に示すように、選択した負の制限値Mに、負の推定差分車線幅Sbを加算して更新する。これにより、図9に示すように、許容範囲Khは、自車両、及びカメラ101がピッチ角方向に変位することによって変動すると推定される推定差分車線幅Sbだけ、自車両のピッチ角の変位の方向に応じて拡大されるように調節される。
【0064】
許容範囲Khを調節すると、車線幅測定部103は、差分車線幅Shが調節後の許容範囲Kh以内であるか否かを判断する。車線幅測定部103は、差分車線幅Shが調節後の許容範囲Kh以内であるとき、第1の車線幅を示す車線幅データSdを生成する。一方、車線幅測定部103は、差分車線幅Shが調節後の許容範囲Khを超えるとき、第1の車線幅を異常値であると見なし、前述の異常値情報Ijを生成し、当該第1の車線幅を示す車線幅データSdの生成を中断する。
【0065】
以上が、本実施形態に係る車線幅測定部103の詳細な説明である。車線幅測定部103は、カメラ101のピッチ角の変位の方向に応じて許容範囲Khを調節し、差分車線幅Shが調節後の許容範囲Kh以内であるか否かを判断することにより、自車両のピッチ角の変位によって車線幅の測定結果が変動したときに、車線幅データSdの生成を不要に中断することを防げる。また、制御処理部104は、車線幅測定部103によって異常値情報Ijが生成されているときに安全確保処理を中断するが、車線幅測定部103は異常値が生じたと不要に判断することがなくなるため、制御処理部104が安全確保処理を不要に中断することも防げる。
【0066】
次に、本実施形態に係る車線幅測定部103の処理を図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。尚、図10のフローチャートに示す処理は、車線幅測定部103の使用者によって自車両のイグニッションスイッチがオンにされたとき、或いは予め定められた設定にしたがって自動的に処理を開始したとき(例えば、自車両が走行を開始したときに自動的に車線幅の測定などの車線認識処理を開始するように予め設定されているときなど)を処理の開始時点としている。
【0067】
ステップS101において、車線幅測定部103は、取得した画像データGdを画像処理することにより車線幅を測定し、測定した車線幅を図示しない記憶部に記憶する。尚、図示しない記憶部には、車線幅測定部103が、図10に示す処理を繰り返すことにより、予め定められた期間分の車線幅が記憶されるものとする。車線幅測定部103は、ステップS101の処理を完了すると、ステップS102へ処理を進める。
【0068】
ステップS102において、車線幅測定部103は、差分車線幅Shを演算する。より詳細には、ステップS102において、車線幅測定部103は、ステップS101で図示しない記憶部に記憶した車線幅の中から最新の車線幅、すなわち、前述の第1の車線幅と、最新の車線幅を測定した時刻に最も近い時刻に測定した車線幅、すなわち、前述の第2の車線幅とを特定して読み出す。そして、車線幅測定部103は、読み出した第1の車線幅から第2の車線幅を引いた前述の差分車線幅Shを演算して図示しない記憶部に記憶する。車線幅測定部103は、ステップS102の処理を完了すると、ステップS103へ処理を進める。尚、車線幅測定部103によって図10のフローチャートに示す繰り返し処理を始めてするとき、すなわち、ステップS102において図示しない記憶部に第2の車線幅が記憶されていないときは、第2の車線幅が予め定められた値であるものとして、車線幅測定部103はステップS102の処理をしてもよい。このときの予め定められた値とは、3000mm〜4000mmの値であってもよい。
【0069】
ステップS103において、車線幅測定部103は、ステップS102で読み出した第2の車線幅を基準とする前述の正の制限値Pと負の制限値Mとを図示しない記憶部に記憶し、許容範囲Khを設定する。車線幅測定部103は、ステップS103の処理を完了すると、ステップS104へ処理を進める。
【0070】
ステップS104において、車線幅測定部103は、前部車高センサ102aから前部車高データZdを取得し、後部車高センサ102bから後部車高データKdを取得する。そして、車線幅測定部103は、取得した前部車高データZdと後部車高データKdとがそれぞれ示す自車両の前半部の高さZkと後半部の高さKkとに基づき上述したようにカメラ101の走行路の路面に対する高さを演算し、図示しない記憶部に記憶する。尚、図示しない記憶部には、車線幅測定部103が、図10に示す処理を繰り返すことにより、予め定められた期間を通じて演算された、カメラ101の走行路の路面に対する高さが記憶されるものとする。
【0071】
ステップS105において、車線幅測定部103は、ステップS104において取得した前部車高データZd、及び後部車高データKdによってそれぞれ示される自車両の前半部の高さZkと後半部の高さKkとに基づき上述したようにピッチ角を演算し、図示しない記憶部に記憶する。車線幅測定部103は、ステップS105の処理を完了すると、ステップS106へ処理を進める。尚、図示しない記憶部には、車線幅測定部103が、図10に示す処理を繰り返すことにより、予め定められた期間を通じて演算されたピッチ角がそれぞれ記憶されるものとする。
【0072】
ステップS106において、車線幅測定部103は、差分ピッチ角Pkを演算する。より詳細には、ステップS105において、車線幅測定部103は、ステップS104で記憶したピッチ角の中から最新のピッチ角、すなわち、前述の第1のピッチ角と、最新のピッチ角を測定した時刻に最も近い時刻に測定したピッチ角、すなわち、前述の第2のピッチ角とを特定して図示しない記憶部から読み出す。車線幅測定部103は、読み出した第1のピッチ角から第2のピッチ角を引いた前述の差分ピッチ角Pkを演算して図示しない記憶部に記憶する。車線幅測定部103は、ステップS105の処理を完了すると、ステップS106へ処理を進める。尚、車線幅測定部103によって図10のフローチャートに示す繰り返し処理を始めてするとき、すなわち、ステップS105において図示しない記憶部から第2のピッチ角を読み出せないときは、第2のピッチ角がゼロであるものとして、車線幅測定部103がステップS105の処理をしてもよい。
【0073】
ステップS107において、車線幅測定部103は、ステップS106において演算した差分ピッチ角Pkの絶対値を求め、求めた絶対値が予め定められた差分ピッチ角しきい値θ1未満であるか否かを判断する。車線幅測定部103は、ステップS106において求めた絶対値が差分ピッチ角しきい値θ1未満であると判断したとき、ステップS107へ処理を進める。一方、車線幅測定部103は、ステップS106において求めた絶対値が差分ピッチ角しきい値θ1未満でないと判断したとき、ステップS116へ処理を進める。
【0074】
ステップS108において、車線幅測定部103は、第1の高さH’と第2の高さHとの差分の絶対値を求め、求めた絶対値が予め定められた差分高さしきい値θ2未満であるか否かを判断する。より詳細には、ステップS104で記憶したカメラ101の走行路面に対する高さの中から最新の高さ、すなわち、前述の第1の高さH’と、最新の高さを測定した時刻に最も近い時刻に測定した高さ、すなわち、前述の第2の高さHとを特定して図示しない記憶部から読み出す。車線幅測定部103は、読み出した第1の高さH’から第2の高さHを引いた値を差分高さとして演算し、演算した差分高さの絶対値を求め、求めた絶対値が予め定められた差分高さしきい値θ2未満であるか否かを判断する。車線幅測定部103は、ステップS108において求めた絶対値が差分高さしきい値θ2未満であると判断したとき、ステップS109へ処理を進める。一方、車線幅測定部103は、ステップS108において求めた絶対値が差分高さしきい値θ2未満でないと判断したとき、ステップS116へ処理を進める。
【0075】
ステップS109において、車線幅測定部103は、ステップS105において記憶したピッチ角の中からステップS106の処理と同様に第1のピッチ角と第2のピッチ角とを読み出して、読み出した第1のピッチ角と第2のピッチ角とに基づき上述したように推定差分車線幅Sbを演算して推定する。車線幅測定部103は、ステップS109の処理を完了すると、ステップS110へ処理を進める。
【0076】
ステップS110において、車線幅測定部103は、ステップS109で演算した推定差分車線幅Sbがゼロを超えるか否か、すなわち、正の値か否かを判断する。車線幅測定部103は、ステップS110において、推定差分車線幅Sbが正の値であると判断したとき、ステップS111へ処理を進める。一方、車線幅測定部103は、ステップS110において、推定差分車線幅Sbがゼロを超えないと判断したとき、ステップS112へ処理を進める。
【0077】
ステップS111において、車線幅測定部103は、前述の正の制限値PにステップS110で判断した正の推定車線幅Sbを加算して更新し、許容範囲Khを調整する。車線幅測定部103は、ステップS111の処理を完了すると、ステップS114へ処理を進める。
【0078】
ステップS112において、車線幅測定部103は、ステップS109で演算した推定差分車線幅Sbがゼロ未満であるか否か、すなわち、負の値か否かを判断する。車線幅測定部103は、ステップS112において、推定差分車線幅Sbが負の値であると判断したとき、ステップS113へ処理を進める。一方、車線幅測定部103は、ステップS112において、推定差分車線幅Sbがゼロ未満でないと判断したとき、ステップS114へ処理を進める。
【0079】
ステップS113において、車線幅測定部103は、前述の負の制限値MにステップS112で判断した負の推定差分車線幅Sbを加算して更新し、前述の許容範囲Khを調整する。車線幅測定部103は、ステップS113の処理を完了すると、ステップS114へ処理を進める。
【0080】
ステップS114において、車線幅測定部103は、ステップS102で演算した差分車線幅Shが、図示しない記憶部に記憶されている許容範囲Kh以内であるか否かを判断する。車線幅測定部103は、ステップS114において、差分車線幅Shが許容範囲Kh以内であると判断したとき、ステップS115へ処理を進める。一方、車線幅測定部103は、ステップS114において、差分車線幅Shが図示しない記憶部に記憶されている許容範囲Kh以内でないと判断したとき、ステップS116へ処理を進める。
【0081】
ステップS115において、車線幅測定部103は、ステップS102で特定した第1の車線幅を示す車線幅データSdを生成する。車線幅測定部103は、ステップS115の処理を完了すると、ステップS101へ処理を戻す。
【0082】
ステップS116において、車線幅測定部103は、前述の異常値情報Ijを生成する。車線幅測定部103は、ステップS116の処理を完了すると、ステップS101へ処理を戻す。
【0083】
以上が、本実施形態に係る車線幅測定部103の処理を示すフローチャートの説明である。本実施形態に係る車線幅測定部103によれば、自車両がピッチ角方向に沿って変位するのに伴いカメラ101がピッチ角方向に沿って変位することにより、車線幅の測定結果が変動したときでも、許容範囲Khを調節して車線幅の測定結果が異常値を示すことを防ぐことができると共に車線幅の測定結果を生成する処理を不要に中断することを防げる。さらに、本実施形態に係る車線幅測定部103によれば、後段に接続され、安全確保処理をする制御処理部104が処理を不要に中断することを防ぐこともできる。
【0084】
尚、図10に示すステップS107に示す処理は、過度に差分ピッチ角Pkが大きくなったときに、異常値情報Ijを生成するための処理である。本実施形態では、変動したピッチ角の変動量に応じて許容範囲Khを調節して異常値情報Ijを不要に生成されるのを防ぐが、ピッチ角の変動量が過度に大きいときは、車線幅データSdによって示される車線幅が過度に大きい、或いは小さい値となっており、当該車線幅に基づいて制御処理部104が制御をするのは好ましくない。このため、車線幅測定部103は、ステップS107に示す処理をして、差分ピッチ角Pkの絶対値が過度に大きいときは、車線幅データSdを生成しないようにする。ステップS108の処理も、ステップS107の処理と同様にカメラ101の走行路の路面に対する高さの変動量が過度に大きいときに、車線幅データSdを生成しないようにするための処理である。
【0085】
また、上述の説明では、高さZk、及び高さKkに基づいて演算したカメラ101の走行路の路面に対する高さをそのまま用いるものとしたが、前部車高センサ102a、及び後部車高センサ102bのそれぞれと、車線幅測定部103とが、例えば、前部高さデータZd、及び後部高さデータKdなどを互いに通信することによって生じる遅延時間などに基づいて予め定めた定数を乗じたカメラ101の走行路の路面に対する高さを用いてもよい。
【0086】
また、上述の説明では、演算した推定差分車線幅Sbをそのまま用いるものとしたが、調整後の許容範囲が広くなりすぎないようにするために予め定められた定数を乗じた推定差分車線幅Sbを用いてもよい。推定差分車線幅Sbに乗じる定数としては、調整後の許容範囲が広くなりすぎないようにできるのであればどのような値を用いてもよいが、1未満の定数が一例として挙げられる。
【0087】
上述した第1の実施形態では、車線幅測定部103が、差分ピッチ角Pkに基づいて許容範囲Khを調節するものとした。しかしながら、車線幅測定部103は、さらに、前述の鉛直変位として自車両の走行路に対する高さ(以下、単に車高と記載する)が変位したときに許容範囲Khを調節してもよい。より具体的には、自車両は、例えば、走行路面上のギャップなどを乗り越えるとき、或いは荒れた路面の走行路を走行するときなどにピッチ角方向だけでなく、車高も変位する。そして、自車両の車高が変位したときも、図7(a)、及び図7(b)を参照して説明したように、車線幅の測定結果は変動する。
【0088】
したがって、車線幅測定部103は、ピッチ角だけでなく、自車両の車高を前部高さデータZd、及び後部高さデータKdを取得して予め定めた期間が経過するたびに逐次測定してもよい。車線幅測定部103が自車両の車高を測定するときは、上述した差分ピッチ角Pkと同様に、最新の車高と、最新の車高を測定した時刻に最も近い時刻で測定した車高との差分車高を演算する。差分車高を演算すると、車線幅測定部103は、演算した差分車高だけカメラ101が変位したときの車線幅の測定結果の変動量を推定車高変位として演算し、演算した推定車高変位に応じて第1の実施形態と同様に許容範囲Khを調節する。このようにすることで、車線幅測定部103は、自車両の車高が変動することによって、上述したように第1の車線幅が異常値となり、測定した情報を示すデータの生成を不用意に中断することを防げる。車線幅測定部103が、車高を測定するときは、前部車高データZdで示される前部高さZk、及び後部車高データKdで示される後部高さKkで示される後部高さKkのいずれか一方のみを自車両の車高としてもよいし、両方の高さに基づいて求めたカメラ101の高さを自車両の高さとしてもよい。
【0089】
また、第1の実施形態では、車線認識装置1が車線幅測定部103のみを備える場合を一例として説明した。しかしながら、本発明に係る車線認識装置は、車線幅測定部103のみを備えていてもよいし、その他の測定部をさらに備えていてもよい。より具体的には、本発明に係る車線認識装置は、自車両の走行路の曲率、自車両の走行路に沿った中心線から幅方向に沿った自車両の位置、自車両の走行路の中心線に対する自車両のヨー角、前述の車高などの走行路の情報を測定する測定部をさらに備え、これらの測定部によって生成される情報に基づいて制御処理部104が安全確保処理をしてもよい。
【0090】
そして、本発明に係る車線認識装置が車線幅測定部103以外の測定部を備えるときは、それぞれの測定部によって測定される走行路の情報の測定量に対して前述の許容範囲Khと同様の許容範囲をそれぞれの測定部に設定し、これらの測定部がそれぞれ車線幅測定部103と同様に鉛直変位に基づいて許容範囲を調節してもよい。
【0091】
さらに、本発明に係る車線認識装置が、自車両の走行路の曲率を測定する測定部を備えるときは、測定した曲率が予め定められたしきい値以下であるときだけ、車線幅測定部103が第1の実施形態で説明した許容範囲Khの調節をする処理をしてもよい。自車両の走行路の曲率が大きいと、画像処理による車線幅の測定結果の誤差が大きくなり、車線幅の測定結果の精度が低くなる場合がある。このため、自車両の走行路の曲率が予め定めたしきい値を超えるときは、精度の低い車線幅の測定結果を示す情報が生成される機会を増やさないために、車線幅測定部103が許容範囲Khを調節する処理をするのは、測定した曲率が予め定められたしきい値以下であるときだけにしてもよい。
【0092】
また、本発明に係る車線認識装置1が備える車高センサは、2つであってもよいし、3以上の複数であってもよい。また、本発明に係る車線認識装置1は、第1の実施形態で説明したように車高センサによって得られる高さに基づいてピッチ角を演算して測定してもよいし、ジャイロセンサなどを用いてピッチ角を直接測定してもよい。
【0093】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、上述の説明はあらゆる点において本発明の一例にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明によれば、走行路の情報の生成を不要に中断することのない車線認識装置を提供でき、例えば、走行路の情報に基づいて運転者の安全を確保するための処理をする装置のための車線認識装置などに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】第1の実施形態に係る車線認識装置の概略構成を示すブロック図
【図2】カメラの撮像範囲を説明する図
【図3】車高センサによって測定される高さを示す図
【図4】許容範囲を説明する図
【図5】車線幅を測定する手法を説明する図
【図6】揺動したときの自車両を示す右側面図
【図7】自車両が揺動したときに変動した車線幅を示す図
【図8】車線幅測定部が推定差分車線幅Sbを演算する手法を説明する図
【図9】許容範囲を調節する手法を説明する図
【図10】第1の実施形態に係る車線幅測定部の処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0096】
1 車線認識装置
101 カメラ
102a 前部車高センサ
102b 後部車高センサ
103 車線幅測定部
104 制御処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車線認識装置であって、
前記車両が走行している走行路を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づき、前記車両が走行している車線の車線幅を予め定められた期間毎に測定する第1の測定手段と、
前記予め定められた期間において生じる前記第1の測定手段によって測定された前記車線幅の変化量を第1の変化量として検出する第1の検出手段と、
前記第1の変化量に対する予め定められた許容範囲を設定する設定手段と、
前記車両の鉛直方向に沿った位置情報を前記予め定められた期間毎に測定する第2の測定手段と、
前記予め定められた期間において生じる前記第2の測定手段によって測定された前記位置情報の変化量を第2の変化量として検出する第2の検出手段と、
前記撮像手段が前記第2の変化量だけ変位することによって生じる前記車線幅の測定結果の変化量を第3の変化量として推定する推定手段と、
前記許容範囲を前記第3の変化量だけ拡大する調節手段と、
前記第1の変化量が前記調節手段によって拡大された前記許容範囲を超えるとき、前記予め定められた期間が経過したときに測定された前記車線幅が異常値であることを示す異常値情報を生成する第1の生成手段と、
前記第1の変化量が前記調節手段によって拡大された前記許容範囲以内であるとき、前記予め定められた期間が経過したときに測定された前記車線幅を示す情報を生成する第2の生成手段とを備える、車線認識装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記予め定められた期間毎に測定される前記車線幅を基準とする予め定められた大きさの正の制限値と、負の制限値とからなる前記許容範囲を設定し、
前記調節手段は、前記第3の変化量の符号と一致する前記制限値のいずれか一方に当該変化量を加算することによって前記許容範囲を拡大する、請求項1に記載の車線認識装置。
【請求項3】
前記画像に基づき前記走行路の曲率を測定する曲率測定手段をさらに備え、
前記第2の生成手段は、前記第1の変化量が前記調節手段によって拡大された前記許容範囲以内であり、且つ前記曲率が予め定められたしきい値以下であることを条件として、前記車線幅を示す情報を生成する、請求項1に記載の車線認識装置。
【請求項4】
前記第2の測定手段は、前記走行路の路面に対する前記車両のピッチ角を前記位置情報として検出する、請求項1に記載の車線認識装置。
【請求項5】
前記第2の測定手段は、前記走行路の路面に対する前記車両の高さを前記位置情報として検出する、請求項1に記載の車線認識装置。
【請求項6】
車両に搭載される車線認識装置において実行される車線認識方法であって、
前記車両が走行している走行路を撮像手段を用いて撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップにおいて撮像された画像に基づき、前記車両が走行している車線の車線幅を予め定められた期間毎に測定する第1の測定ステップと、
前記第1の測定ステップにおいて測定された前記車線幅の前記予め定められた期間において生じる変化量を第1の変化量として検出する第1の検出ステップと、
前記第1の変化量に対する予め定められた許容範囲を設定する設定ステップと、
前記車両の鉛直方向に沿った位置情報を前記予め定められた期間毎に測定する第2の測定ステップと、
前記第2の測定ステップにおいて測定された前記位置情報の前記予め定められた期間において生じる変化量を第2の変化量として検出する第2の検出ステップと、
前記撮像手段が前記第2の変化量だけ変位することによって生じる前記車線幅の測定結果の変化量を第3の変化量として推定する推定ステップと、
前記許容範囲を前記第3の変化量だけ拡大する調節ステップと、
前記第1の変化量が前記調節ステップにおいて拡大された前記許容範囲を超えるか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて、前記第1の変化量が前記調節ステップにおいて拡大された前記許容範囲を超えると判断されたとき、前記予め定められた期間が経過したときに測定された前記車線幅が異常値であることを示す異常値情報を生成する第1の生成ステップと、
前記判断ステップにおいて、前記第1の変化量が前記調節ステップにおいて拡大された前記許容範囲以内であると判断されたとき、前記予め定められた期間が経過したときに測定された前記車線幅を示す情報を生成する第2の生成ステップとを備える、車線認識方法。
【請求項7】
前記設定ステップにおいて、前記予め定められた期間毎に測定される前記車線幅を基準とする予め定められた大きさの正の制限値と負の制限値とからなる前記許容範囲を設定し、
前記調節ステップにおいて、前記第3の変化量の符号と一致する前記制限値のいずれか一方に当該変化量を加算することによって前記許容範囲を拡大する、請求項6に記載の車線認識方法。
【請求項8】
前記画像に基づき前記走行路の曲率を測定する曲率測定ステップをさらに備え、
前記判断ステップにおいて、前記第1の変化量が前記調節ステップにおいて拡大された許容範囲以内であると判断されたとき、前記曲率測定ステップにおいて測定された前記曲率が予め定められたしきい値以下であるか否かをさらに判断し、
前記判断ステップにおいて、前記第1の変化量が前記調節ステップにおいて拡大された許容範囲以内であると判断され、且つ前記曲率測定ステップにおいて測定された前記曲率が予め定められたしきい値以下であると判断されたとき、前記第2の生成ステップにおいて、前記車線幅を示す情報を生成する、請求項6に記載の車線認識方法。
【請求項9】
前記第2の測定ステップにおいて、前記走行路の路面に対する前記車両のピッチ角を前記位置情報として検出する、請求項6に記載の車線認識方法。
【請求項10】
前記第2の測定ステップにおいて、前記走行路の路面に対する前記車両の高さを前記位置情報として検出する、請求項6に記載の車線認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−70012(P2010−70012A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238538(P2008−238538)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】