説明

車車間通信装置

【課題】
自車両の周辺を走行する他車両に対して、好適な場面に好適な車両に対して自車両の走行情報を送信することにより、ドライバに安全運転のために必要な情報を好適に提供することを課題とする。
【解決手段】上記課題を解決する為に、周辺を走行する車両が搭載する無線通信手段と無線によりデータ通信を行う無線通信手段を車両に複数個搭載し、当該車両情報制御手段が取得した走行情報、または当該走行情報を元に作成された送信情報を周辺の車両へ送信する場合の送信頻度を自車両の走行状況に応じて決定し、車両の任意の場所に設置した複数の無線通信手段毎に設定するように動作することにより、好適な方向に、好適な情報量の車両走行情報、または送信情報を送信することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設置した無線通信装置を用いて、車両間での車車間通信を行う技術に係わる。
【背景技術】
【0002】
車両と車両との間で、走行状況等を無線でデータ通信することによりドライバの安全運転支援を行う検討が進められている。これに関するものとして、特許文献1、特許文献2に開示のあるものである。
【0003】
特許文献1では、「移動体及びその周囲の各種状況を状況データとして検出し、その状況データに応じて情報信号の送信頻度を変化させるので、移動体自身の周囲に多数の他の移動体が存在する場合であっても必要な他の移動体に関する情報を効率よく得ることができる」技術について開示のあるものである。
【0004】
また、特許文献2では、車両用通信システムにおいて、「複数の無線通信装置1を限定されたスペースに格納することによる電磁波に起因する受信感度低下が発生したときには、優先順位に従って無線通信装置1の通信出力を低下させることができるので、優先順位の高い無線通信装置1の通信環境を向上させることができる」ようにするものが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−311294号公報
【特許文献2】特開2003−169019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、特許文献2で、車両用通信システムについての開示があるものの、車両が走行する運転状況や、走行場所により、好適な情報の送受信を行うこと等について、更なる改善、改良などが必要となるものである。例えば、高速道路などを一定速度で走行中の場合など、車両情報の必要性が低い場合と、交差点での右左折、渋滞の最後尾への進入時の速度低下、合流車線での合流車検出時等、周囲の車両走行情報、及び自車両走行情報の必要性が高い場合に、車両間で通信する処理を、一様の処理を行うことが好ましくない場合が考えられる。その場合に例えば、本来必要のないデータ、若しくは必要性の低いデータの送信による輻輳の発生や、必要性の高いデータが通信できないという問題の発生が予想される。
【0007】
また上記特許文献2では、道路上に設置される路側無線装置と無線で通信を行う路車間通信と、車両間で無線通信を行う車車間通信の両方に対応し、周囲を走行する車両の大きさに関する情報により通信障害が発生するか否かを判断し、路車間通信を行うか、車車間通信を行うかを切替る通信システムについて提案している。しかし、車両が路側無線装置からデータを受信した場合に、受信内容に応じて他の車両に走行情報を送信する車車間通信の処理を制御して、周囲の車両に好適に車両の走行情報を送信する内容については言及されていない。
【0008】
本発明は、自車両の走行場所、走行状況、または、周辺を走行する他車両に対して、自車両の走行情報を送信することにより、ドライバに安全運転のために必要な情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する為に、先ず、本発明の車車間通信装置は、車両に設置され、周辺を走行する車両が搭載する無線通信手段と無線によりデータ通信を行う無線通信手段を複数個搭載し、複数の無線通信手段に対して個別に通信制御を行う車車間通信制御手段と、無線通信手段が受信したデータを表示する表示手段と、自装置の操作設定を行う入力手段と、走行位置、速度、加速度、エンジンの回転数、トルク、ブレーキ作動状態、アクセル開度状態のいずれかを含む自車両の走行情報を取得し、当該取得した走行情報、または当該走行情報を元に作成された送信情報を周辺車両へ送信するように車車間通信制御手段に要求する車両情報制御手段とで構成され、
車車間通信制御手段は、車両情報制御手段が取得した走行情報、または当該走行情報を元に作成された送信情報を周辺の車両へ送信する場合の送信頻度を自車両の走行状況に応じて決定し、車両の任意の場所に設置した複数の無線通信手段毎に設定するように動作することにより、好適な方向に、好適な情報量の車両走行情報、または送信情報を送信することが可能になる。
【0010】
なお、上記では、車両情報制御手段が車車間通信制御手段に走行情報、または送信情報を周辺車両へ送信するように要求している。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、ナビゲーション機能等を搭載したナビゲーション部内の制御処理を行うナビ制御部に設けられる制御部に、車車間通信制御手段を制御させるようにしてもよい。
【0011】
次に、本発明の車車間通信装置は、上記の車車間通信装置と同じ構成であって、車両情報制御手段が自車両のブレーキ作動、速度の低下、加速度の減少のいずれかの変化を検出すると、車車間通信制御手段は、複数の無線通信手段の中から車両の後方に設置された無線通信手段に対して、自車両の走行情報の送信頻度を多く設定するように動作することにより、後方部車両のドライバに対し前方を走行する自車両がブレーキを駆動して接近していることをより早く的確に通知することが可能になる。
【0012】
次に、本発明の車車間通信装置は、上記の車車間通信装置と同じ構成であって、車両情報制御手段が自車両のアクセル開度、速度の増加、加速度の増加のいずれかの変化を検出すると、車車間通信制御手段は、複数の無線通信手段の中から車両の前方に設置された無線通信手段に対して、自車両の走行情報の送信頻度を多く設定するように動作することにより、前方を走行する車両のドライバに対し後方を走行する自車両がアクセルを駆動して接近していることをより早く的確に通知することが可能になる。
【0013】
次に、本発明の車車間通信装置は、車両に設置され、周辺を走行する車両が搭載する無線通信手段と無線によりデータ通信を行う無線通信手段を複数個搭載し、複数の無線通信手段に対し個別に通信制御を行う車車間通信制御手段と、無線通信手段が受信したデータを表示する表示手段と、自装置の操作設定を行う入力手段と、走行位置、速度、加速度、ブレーキ作動状態、アクセル開度状態のいずれかを含む自車両の走行情報を逐次取得し、周辺車両へ送信するように車車間通信制御手段に要求する車両情報制御手段とで構成され、
車車間通信制御手段は、車両情報制御手段が取得した走行情報、または当該走行情報を元に作成された送信情報を周辺の車両へ送信する場合の送信頻度を自車両の走行場所に応じて決定し、車両の任意の場所に設置した複数の無線通信手段毎に設定するように動作することにより、走行場所に応じて好適な方向に、好適な情報量の車両走行情報、または送信情報を送信することが可能になる。
【0014】
次に、本発明の車車間通信装置は、上記の車車間通信装置と同じ構成であって、車両情報制御手段が自車両の走行場所が交差点付近であることを検知すると、車車間通信制御手段は、複数の無線通信手段の中から車両の後方に設置された無線通信手段に対して、自車両の走行情報の送信頻度を多く設定するように動作することにより、後方車両のドライバに対し前方を走行する自車両の走行情報をより早く的確に通知することが可能になる。
【0015】
次に、本発明の車車間通信装置は、車両に設置され、周辺を走行する車両が搭載する無線通信手段と無線によりデータ通信を行う無線通信手段を複数個搭載し、複数の無線通信手段に対し個別に通信制御を行う車車間通信制御手段と、無線通信手段が受信したデータを表示する表示手段と、自装置の操作設定を行う入力手段と、走行位置、速度、加速度、ブレーキ作動状態、アクセル開度状態のいずれかを含む自車両の走行情報を逐次取得し、周辺車両へ送信するように車車間通信制御手段に要求する車両情報制御手段とで構成され、
車車間通信制御手段は、車両情報制御手段が取得した走行情報、または当該走行情報を元に作成された送信情報を周辺の車両へ送信する場合の複数の無線通信手段の送信出力を自車両の走行状況に応じて決定し、車両の任意の場所に設置した複数の無線通信手段毎に設定するように動作することにより、好適な方向のより広い範囲の車両に安全運転に有効な車両走行情報、または送信情報を送信することが可能になる。
【0016】
次に、本発明の車車間通信装置は、車両に設置され、周辺を走行する車両が搭載する無線通信手段と無線によりデータ通信を行う無線通信手段を複数個搭載し、道路上に設置された路側機装置と無線によりデータ通信を行う路車間無線通信手段と、複数の車車間無線通信手段、及び路車間無線通信手段に対し通信制御を行う路車間車車間通信制御手段と、車車間無線通信手段もしくは路車間無線通信手段が受信したデータを表示する表示手段と、自装置の操作設定を行う入力手段と、走行位置、速度、加速度、ブレーキ作動状態、アクセル開度状態のいずれかを含む自車両の走行情報を逐次取得し、周辺車両へ送信するように路車間車車間通信制御手段に要求する車両情報制御手段とで構成され、
路車間車車間通信制御手段は、車両情報制御手段が取得した走行情報、または当該走行情報を元に作成された送信情報を周辺の車両へ送信する場合の送信頻度を路側機装置から受信したデータの内容に応じて決定し、車両の任意の場所に設置した複数の無線通信手段毎に設定するように動作することにより、走行場所に応じて好適なタイミングで、好適な方向に、好適な情報量の車両走行情報、または送信情報を送信することが可能になる。
【0017】
次に、本発明の車車間通信装置は、上記の車車間通信装置と同じ構成であって、車両情報制御手段が路側機装置から受信したデータが合流車両の存在を通知する情報の場合、路車間車車間通信制御手段は、複数の無線通信手段の中から車両の後方に設置された無線通信手段に対して、自車両の走行情報の送信頻度を多く設定するように動作することにより、後方部車両のドライバに対し前方に位置する自車両の走行情報をより好適に通知することが可能になる。
【0018】
次に、本発明の車車間通信装置は、車両に設置され、周辺を走行する車両が搭載する無線通信手段と無線によりデータ通信を行う無線通信手段を複数個搭載し、自装置の固有情報を記録し、複数の無線通信手段に対し個別に通信制御を行う車車間通信制御手段と、無線通信手段が受信したデータを表示する表示手段と、自装置の操作設定を行う入力手段とで構成され、
複数の無線通信手段は相互に無線通信可能な自車両の各場所に設置されており、車車間通信制御手段は、複数の無線通信手段の中から1つの無線通信手段に対し、自装置の固有情報を送信するよう制御を行い、他の無線通信手段が受信することを確認することにより複数の無線通信手段の正常動作を確認することが可能になる。
【0019】
また、本発明の車車間通信装置は、他の車両と無線によりデータ通信を行う無線通信手段を複数個有し、前記各々の無線通信手段を個別に通信制御する車車間通信制御手段と、前記無線通信手段が受信したデータを表示出力する表示手段と、操作設定の入力を行う入力手段と、自己の車両の異常に関して得られる情報である異常情報を取得する異常情報取得手段と、前記異常情報、または前記異常情報を元に作成された異常送信情報を、前記無線通信手段から送信するように前記車車間通信制御手段を制御する制御手段とを少なくとも具備し、前記複数の無線通信手段の車両での設置された位置によって、前記異常情報、または前記異常送信情報の送信頻度を変えるので、周辺の車両に、自己の車両の異常をより好適に知らせることが可能となる。
【0020】
次に、本発明の車車間通信装置は、前記異常情報として、エンジンの動作状態、駆動力の伝達系の動作状態、冷却系の動作状態、車両の方向を変更する操縦系を含む走行系の動作状態のいずれかの異常状態を示す情報を元に、周辺の車両に、自己の車両の異常をより好適に知らせることが可能となる。
【0021】
次に、本発明の車車間通信装置は、自車両の前記異常情報が変化すると、前記異常情報、または前記異常送信情報の送信頻度を変えるので、周辺の車両に、自己の車両の異常をより好適に知らせることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、従来よりも、より安全性を改善させ、ドライバに車両走行情報等を提供などする機器の提供を可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0024】
本発明の車車間通信装置の第一の実施例を図面によって説明する。
【0025】
図1は、本発明の車車間通信装置の全体構成の一実施例を示した図である。100はドライバに対し目的地までの誘導を行うナビゲーション機能等を搭載したナビゲーション部であり、101はナビゲーション部100内の各部の制御処理を行うナビ制御部、102はスピーカやモニタなど音声・画像情報の表示出力を行う出力部、103はドライバがナビゲーション部100に目的地等の設定などの入力を行う入力部、104は車車間通信部200とデータの送受信を行う無線通信制御部、で構成される。
【0026】
200は他の車両との間で車両の走行状況を示す車両走行情報を無線で通信する車車間通信部であり、201は車両400の前方に設置され自車両の車両走行情報の送信、及び他車両の車両走行情報の受信を行う車車間無線通信部a、202は車車間無線通信部a201の無線データ送受信に使用するアンテナa、203は車両400の後方に設置され自車両の車両走行情報の送信、及び他車両の車両走行情報の受信を行う車車間無線通信部b、204は車車間無線通信部b203の無線データ送受信に使用するアンテナb、205は車車間通信部200内の各部の制御処理を行う車車間通信制御部、で構成される。
【0027】
なお、上記では、無線通信制御部104から車車間通信制御部205に走行情報、または当該走行情報を元に作成された送信情報を周辺車両へ送信するように要求している。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、ナビゲーション機能等を搭載したナビゲーション部内の制御処理を行うナビ制御部に設けられる制御部に、車車間通信制御手段を制御させるようにしてもよい。
【0028】
300はナビゲーション部100と車車間通信部200で構成される車車間通信装置、400は車車間通信装置300を搭載する車両である。
【0029】
ナビ制御部101は、入力部103より入力された入力情報により、指定のあった目的地へドライバを誘導する処理を行う。ドライバが入力部103から目的地の入力を行うと、車両400の現在位置から目的地までの道路情報を検索し、走行する道路の経路情報を出力部102に表示する。
【0030】
走行中は、自車両の走行位置を出力部102に表示した地図上に表示し、またドライバに目的地までのルート案内を行うため音声による走行案内情報を出力部102に出力する。また無線通信制御部104経由で受信した他車両の車両走行情報を解析して出力部102に表示する。
【0031】
出力部102は、ナビ制御部101の制御により、ナビ制御部101が出力する地図情報や道路混雑情報等の各種情報の画像表示を行うディスプレイや、ナビ制御部101が出力するルート案内を行うための音声情報を出力するスピーカ等で構成される。勿論、これらの画像表示を行うデバイス、装置や、音声情報を出力するデバイス、装置に限定されるものではなく、ドライバ、運転者、操作者に対して、情報を提供するその他のデバイス、装置であってもよい。例えば、注意、警告情報を振動によって、通知する振動デバイス、装置などであっても良い。
【0032】
入力部103は、ドライバがナビゲーション部100に対し、車両400の行き先である目的地設定を行うのに必要な各種情報や、所定の処理動作要求を入力するための操作部で、入力操作盤(キーボード、タッチパネル入力等)等で構成される。ドライバが入力部103を通じて入力した各種情報はナビ制御部101に出力される。勿論、これらの入力操作盤として使用されるデバイス、装置や、音声情報を出力するデバイス、装置に限定されるものではなく、ドライバ、運転者、操作者の意思、動作、生体情報の変化に従って、操作、入力されるその他のデバイス、装置であってもよい。例えば、視線、眼球の動きを検出するもの、顔、頭の向き、傾き、角度、回転、動きなどを検出するもの、脈拍、血圧などをも含む生体情報を検出して、入力を可能とするデバイス、装置などであっても良い。
【0033】
無線通信制御部104は、自車両の車両走行情報や周辺を走行する他車両の車両走行情報等のデータやコマンド情報を、車車間通信部200と入出力するためのインターフェース部である。
【0034】
上記自車両とは、車両400を示し、他車両とは車両400の周辺を走行する車両を示す。
【0035】
図2は、ナビ制御部101の内部構成の一実施例を示す図であり、1011は車速を検出するための加速度センサ、1012は車の場所、位置情報を取得するGPS(Global Positioning System)、1013は車の進行方向を検出するジャイロ、1014は現在地や目的地を表示するための地図情報を記録している地図情報記録部、1015は走行状態に関する車両走行情報を取得する車両情報取得部、1016は他車両から受信した走行状態に関する車両走行情報を格納する他車両走行情報格納部、1017はナビゲーション部100を制御する制御部である。
【0036】
加速度センサ1011は、車両400の車速を検出すると共に、検出した車速を示す電気信号を制御部1017へ出力する。
【0037】
GPS1012は、複数個のGPS衛星との間で交信を行うことにより、車両400の現在の位置情報を取得すると共に、取得した車両400の現在の位置情報を制御部1017へ出力する。
【0038】
ジャイロ1013は、車両400の進行方向を検出すると共に、検出した車両400の進行方向情報を、制御部1017に出力する。
【0039】
地図情報記録部1014は、制御部1017の制御下で、車両400の現在位置や、車両400の目的地等を出力部102に表示するための地図情報を記録している。地図情報記録部1014は、制御部1017からの要求に応じて、指定された地図情報を出力する。
【0040】
車両情報取得部1015は制御部1017の要求により、走行速度、エンジンの回転数、トルク、ブレーキ、アクセル状態など車両400の動作状態を取得し出力する。具体的な車両走行情報の例を図6に示す。
【0041】
制御部1017は、入力部103から入力される各種情報や、要求に応じて後述の各処理を実施する。走行中は、加速度センサ1011からの車速検出信号、GPS1012からの車両400の現在位置情報、及びジャイロ1013からの車両400の進行方向情報を取得し、地図情報記録部1014に記録されている地図情報の中から自車両走行場所周辺の地図情報を読出し、出力部102に自車走行位置を表示する。また、エンジンの回転数、トルクは、エンジンの制御系にて処理されている制御信号、または、制御において、検出される検出信号を元に得るようにするものであっても良い。
【0042】
ドライバが入力部103から目的地を入力し、目的地までの走行を誘導するナビゲーション走行の要求設定を行った場合は、現在位置から目的地までの走行経路を算出し、指定されたルートに従って目的地まで音声、画像出力による誘導処理を行う。また、車車間通信部200が他の車両から受信した車両走行情報を解析し、周辺を走行する車両の情報を出力部102に出力する。
【0043】
図3は、車車間無線通信部a201の内部構成の一実施例を示す図である。2011は通信処理部2015からの要求によりデータの送信処理を行う送信部、2012はアンテナa202からデータを受信する受信部、2013は送信処理と受信処理を切り替えるためのスイッチである。
【0044】
2014は車車間無線通信部a201を制御する通信制御部であり、2015はスイッチ2013の切替処理、及び送信部2011、受信部2012、車車間通信制御部205とデータ入出力を行う通信処理部、2016は通信処理部2015が受信部2012から取得した受信データが、自車両から送信されたデータか否かを判別する自車データ検出部、2017は自車データ検出部2016が受信データを自車両から送信されたデータか判別するために使用する自車IDを格納する自車ID記憶部、で構成される。
【0045】
図4は、車車間無線通信部b203の内部構成の一実施例を示す図である。2031は通信処理部2035からの要求によりデータの送信処理を行う送信部、2032はアンテナb204からデータを受信する受信部、2033は送信処理と受信処理を切り替えるためのスイッチである。
【0046】
2034は車車間無線通信部b203を制御する通信制御部であり、2035はスイッチ2033の切替処理、及び送信部2031、受信部2032、車車間通信制御部205とデータ入出力を行う通信処理部、2036は通信処理部2035が受信部2032から取得した受信データが、自車両から送信されたデータか否かを判別する自車データ検出部、2037は自車データ検出部2036が受信データを自車両から送信されたデータか判別するために使用する自車IDを格納する自車ID記憶部、で構成される。車車間無線通信部b203は、車車間無線通信部a201と同機能同部位で構成され、各部位は同等の処理を行うものとする。
【0047】
通信処理部2015は、車車間通信制御部205からデータ送信要求を受けた場合、周囲の無線送信チャネルの使用状況を確認し、使用されていない場合は送信データを送信部2011に設定し、スイッチ2013を送信部2011側に切り替えてデータ送信を行う。使用されている場合は、送信データの衝突を回避するため送信を待機し、未使用になったことを検出後、送信処理を行う。
【0048】
本無線通信のアクセス制御方式は、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式と呼ばれ、無線LANのMAC層におけるアクセス制御方式としてIEEE802.11で標準化されている。送信処理が完了すると、スイッチ2013は受信部2012側に切り替える。
【0049】
また、受信部2012においてデータ受信した場合は、受信データを受信部2012から取得し、取得した受信データが自車両から送信したデータかを判別するために自車データ検出部2016に判別要求を行う。判別結果が自車両の送信データの場合は破棄し、そうでない場合は車車間通信制御部205に送信する。
【0050】
図5は、車車間通信制御部205の内部構成の一実施例を示す図である。2051はナビゲーション部100の無線通信制御部104との間でデータを入出力するナビゲーションインターフェース部、2052は車車間無線通信部a201、車車間無線通信部b203、及びナビゲーション部100とそれぞれデータの入出力制御処理を行う通信制御処理部、2053はナビゲーション部100からの要求があった送信データを一時的に格納する送信データ格納部、2054は車車間無線通信部a201、及び車車間無線通信部b203から受信した受信データを一時的に格納する受信データ格納部、2055は通信制御処理部2052と車車間無線通信部a201、及び車車間無線通信部b203との間でデータの入出力を行う車車間通信インターフェース部、2056は自車両を特定するために予め決められた自車IDを格納しておく自車ID格納部である。
【0051】
図6は車両間において無線通信する車両走行情報の内容の一実施例を示した表である。データ要素としては、自車両を特定する番号である自車ID、特定の車両に対して送信する場合に設定する相手車両ID、自車両の車種を示す車両種別、自車両が走行している場所を示す緯度、経度、高度、自車両の走行速度を示す車速、自車両の走行加速度を示す加速度、自車両の走行方位を示す方向、ブレーキの使用状態を示すブレーキ、アクセルの使用状態を示すアクセル、がある。図6で、ブレーキ、アクセルの内容が、「ON:OFF」となっているが、当該二値の情報に限定されるものではなく、ブレーキ、アクセルの使用状態に応じて、段階的にデータ量を示す情報とするものであっても良い。ナビ制御部101は、これらの車両走行情報を取得すると、図6に示したフォーマットに変換した後、車車間通信部200に送信要求する。
【0052】
図7は車両400が周辺の車両と無線通信を行う場合の通信領域の一実施例を示した車両走行図である。
【0053】
車両A401は車両400の同一車線後方を走行する車両であり、車両B402は車両400の反対車線後方を走行する車両であり、車両C403は車両400の反対車線横側を走行する車両であり、車両D404は車両400の同一車線前方を走行する車両であり、道路500は各車両が走行する道路を示す。
【0054】
共通通信領域600は、車両400に搭載の車車間無線通信部a201と車車間無線通信部b203の両者が共に通信可能な領域を示す。
【0055】
通信領域a601は、車両400に搭載の車車間無線通信部a201が通信可能な領域であって、車車間無線通信部b203が通信不可能な領域を示す。
【0056】
通信領域b602は、車両400に搭載の車車間無線通信部a201が通信不可能であるが、車車間無線通信部b203は通信可能な領域を示す。
【0057】
車両C403は、車両400に搭載の車車間無線通信部a201と車車間無線通信部b203の両者と通信可能である。
【0058】
一方、車両A401は、車両400の車車間無線通信部a201と車車間無線通信部b203の両者に対し通信不可である。
【0059】
また、車両B402は、車両400の車車間無線通信部a201のみと通信可能であり、車両D404は、車両400の車車間無線通信部b203のみと通信可能である。
【0060】
図8は、車両400において車車間通信制御部205が車車間無線通信部a201から送信した車両走行情報を、自車両の車車間無線通信部b203で受信する場合を示すブロック図である。
【0061】
図9は、車車間通信部200の自己診断処理を行う場合の処理内容を示したシーケンス図である。
【0062】
次に、本発明の実施例である車車間通信装置において、車車間通信部200が自己診断処理を行う場合の動作ついて、図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、及び図9を用いて説明する。
【0063】
図9のシーケンス図に示すように車車間通信装置300が起動すると、図5に示す通信制御処理部2052は車両ID格納部2056から車両ID情報を取得し、車車間通信インターフェース部2055を介して車車間無線通信部a201に送信する(S901)。
【0064】
図3に示す車車間無線通信部a201の通信処理部2015はこれを受けて自車IDを自車ID記憶部2017に記憶する(S902)。同様に、図5に示す通信制御処理部2052は、車両IDを、車車間通信インターフェース部2055を介して図1に示す車車間無線通信部b203に送信する(S903)。
【0065】
図4に示す車車間無線通信部b203の通信処理部2035はこれを受けて自車IDを自車ID記憶部2037に記憶する(S904)。次に車車間通信制御部205は、図3に示す車車間無線通信部a201に自車ID情報の送信要求を行う(S905)。これを受けて車車間無線通信部a201の通信処理部2015は、自車ID記憶部2017から自車IDを取得し、スイッチ2013を送信部2011側に切替え、自車IDデータを図6に示す車両走行情報データフォーマットに設定し、送信部2011に出力し、アンテナa202を介して送信する(S906)。
【0066】
図7に示す通り、車両400の車両無線通信部a201と車両無線通信部b203は通信可能エリア内に位置しているため互いの送信したデータを受信する。従って、車両無線通信部b203が送信した車両走行情報データは、図4に示すアンテナb204を介して受信部2032にて受信する(S907)。通信処理部2035は受信部2032より受信データを取得すると、自車データ検出部2036に対し受信データが自車両から送信されたデータか否かを判定するように自車判定検出要求を行う(S908)。
【0067】
自車データ検出部2036は、受信した車両走行情報データから自車IDを取り出し、自車ID記憶部2037に記録している自車IDデータと照合し、同一の場合は受信データが自車両からの送信データであることを通信処理部2035に通知する。通信処理部2035は、これを受けて車車間通信制御部205に自車ID受信通知を送信する(S909)。また、受信データが自車両からの送信データでない場合は、受信データを破棄する(S910)。ただし、他車両からの車両走行情報の場合は、実施例2以降で説明する受信処理を行う。
【0068】
図4に示す車車間通信制御部205は、自車ID受信通知を受け取ると、車車間無線通信部b203に自車ID情報の送信要求を行う(S911)。これを受けて車車間無線通信部b203の通信処理部2035は、自車ID記憶部2037から自車IDを取得し、スイッチ2031を送信部2031側に切替え、自車IDデータを図6に示す車両走行情報データフォーマットに設定して送信部2031に出力し、アンテナb204を介して送信する(S912)。図1に示す車両無線通信部b203が送信した車両走行情報データは、アンテナa202を介して受信部2012にて受信する(S913)。
【0069】
図3に示す車車間無線通信部a201の通信処理部2015は、受信部2012より受信データを取得すると、自車データ検出部2016に出力し、受信データが自車両から送信されたデータか否かを判定するよう自車判定検出要求を行う(S914)。自車データ検出部2016は、通信処理部2015から受信した車両走行情報データから自車IDを取り出し、自車ID記憶部2017に記録している自車IDデータと照合し、同一の場合は自車両から送信されたデータであることを通信処理部2015に通知する。
【0070】
通信処理部2015はこれを受けて車車間通信制御部205に自車ID受信通知を送信する(S915)。また、受信データが自車両からの送信したデータではなかった場合は、受信データを破棄する(S916)。ただし、他車両からの車両走行情報の場合は、実施例2以降で説明する受信処理を行う。
【0071】
図1に示す車車間通信制御部205は、自車ID受信通知を受け取ると、自車両に搭載した車車間無線通信部a201、車車間無線通信部b203が互いに通信可能状態にあることを確認し、自己診断成功通知をナビゲーション部100に送信する(S917)。これを受けてナビゲーション部100は、出力部102に自己診断成功を示す表示を行う。
【0072】
一方、車車間通信制御部205が車車間無線通信部a201もしくは、車車間無線通信部b203に自車IDの送信要求を行った後、一定時間内に自車IDの受信通知が返らない場合は自己診断のエラー通知をナビゲーション部100に送信する。これを受けてナビゲーション部100は、出力部102に自己診断失敗を示す表示を行う。
【0073】
このように、車両400に設置した複数の車車間無線通信部を用いて自車IDの送受信を確認することにより、車車間無線通信部の故障診断を行うことが可能となる。
【0074】
なお本実施例で説明した車車間無線通信部の自己診断処理は、一定時間毎に定期的に行っても構わないし、車車間通信装置300の起動後に一度実施するようにしても構わない。
【0075】
また本実施例では、予め自車IDを保持している車車間通信制御部205から、起動時に車車間無線通信部a201と車車間無線通信部b203がそれぞれ自車IDを取得し、自車ID記憶部2017、自車ID記憶部2037に記録するようにしたが、予め自車IDを車車間無線通信部a201と車車間無線通信部b203がそれぞれ保持しておくようにしても構わない。
【実施例2】
【0076】
本発明の車車間通信装置の第二の実施例を図面によって説明する。
【0077】
図10は、車両400が車両C403から送信された車両走行情報の受信動作を示すブロック図である。
【0078】
図11は、前方を走行する車両がブレーキを作動した時に、車両400が周辺の車両と無線通信を行う場合の通信領域を示した車両走行図である。
【0079】
車両E405は車両D404の更に前方を走行する車両であり、車両F406は同様に車両E405の前方を走行する車両であり、車両G407は同様に車両F406の前方を走行する車両であり、車両H408は車両A401の更に後方を走行する車両であり、a地点1101は自車両400が走行している地点であり、b地点1102は車両A401が走行している地点である。
【0080】
図12は、ナビ制御部101が他車両と車車間通信にて車両走行情報を送受信する処理シーケンス図である。
【0081】
図13は、ナビ制御部101が車車間通信にて送信する自車両の車両走行情報を更新する処理シーケンス図である。
【0082】
図14は、ナビ制御部101が車車間通信にて受信した他車両の車両走行情報を解析し表示処理する場合のシーケンス図である。
【0083】
図15は、車車間通信制御部205の制御処理シーケンス図であり、ナビゲーション部100からの車両走行情報の更新通知処理、車両走行情報の送信周期設定処理、車両走行情報の送信要求処理、各車車間無線通信部からの車両走行情報受信処理を行う。
【0084】
図16は、車車間通信制御部205の車両走行情報受信処理の詳細を示すシーケンス図である。
【0085】
図17は、車車間通信制御部205が各車車間無線通信部に自車両の車両走行情報を送信要求する周期を、自車両の車両走行状態により設定するための自車両走行情報送信周期判定テーブルaである。ナビ制御部101は、本テーブル内容に従って車車間通信制御部205に自車両の車両走行情報の送信周期を設定する。
【0086】
図18は、ナビ制御部101が他車両からの車両走行情報を受信した場合に、その内容を出力部102のディスプレイに表示した場合の一実施例を示す図である。
【0087】
図19は、ナビ制御部101が他車両からの車両走行情報を受信した場合に、他車両走行情報格納部1016に記録した内容の一実施例である。
【0088】
図20は、前方を走行する車両がブレーキを作動した時に、車両400が周辺の車両と無線通信を行う場合の通信領域を示した車両走行図である。図11と同構成であるが、通信可能領域が広域となっている。
【0089】
次に、本発明の実施例である車車間通信装置において、自車両400がブレーキを作動した場合の車両走行情報の送受信動作ついて、図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図10、図11、図12、図13、図14、図15、図16、図17、図18、図19、及び図20を用いて説明する。
【0090】
車両400に搭載される車車間通信装置300が、周辺に位置する他車両と互いの車両走行情報を送受信する場合の動作について説明する。
【0091】
ナビゲーション部100では、ナビ制御部101が、周辺を走行する他車両に送信する自車両の車両走行情報の取得処理と、他車両から受信した車両走行情報の解析及び表示処理を行う。
【0092】
図1に示すナビ制御部101は、車車間通信部200が他車両の車両走行情報受信したことを無線通信制御部104から通知を受けると(S1201)、車両走行情報受信処理を行う(S1202)。
【0093】
受信した他車両の車両走行情報を図2に示す他車両走行情報格納部1016へ格納し(S1401)、位置情報(経度、緯度)から自車両からの位置を算出する(S1402)。自車両からの距離が一定範囲内の場合(S1403)、受信車両走行情報の自車IDから既に受信済の車両からのデータかを他車両走行情報格納部1016に格納した既受信データから判定する(S1404)。
【0094】
未受信の車両からのデータの場合、車両の存在位置を特定し、図18に示す通り、自車マークと共に他車両マークを表示した地図画像を出力部102に表示する(S1405)。
【0095】
一方、既受信の車両からのデータの場合は、前回受信したデータと比較し、更新されている場合は(S1406)、更新内容に従って該当車両位置を特定し、同様に自車マークと共に他車両マークを表示した地図画像を出力部102に表示する(S1407)。更新されていない場合は処理を終了する。
【0096】
また、図1に示すナビ制御部101は、車車間通信装置300が起動後、自車両の車両走行情報を定期的に取得するため、自車両走行情報更新周期タイマを起動する。前記タイマが終了すると(S1203)、車両走行情報更新処理を開始する(S1204)。
【0097】
図2に示す制御部1017は車両情報取得部1015から車両走行情報を取得すると(S1301)、取得した車両走行情報が前回取得した内容から変化したかを判定し(S1302)、変化があった場合は無線通信制御部104を介して車両走行情報及び更新通知を車車間通信制御部205へ送信する(S1303)。
【0098】
更に、車両走行情報の更新内容から、図17に示す自車両走行情報送信周期判定テーブルaを参照して、自車両走行情報送信周期を更新するかを判定し(S1304)、更新する場合は自車両走行情報送信周期更新要求を車車間通信制御部205へ送信する(S1305)。その後、自車両走行情報更新周期タイマを再度起動し(S1306)、タイマが終了すると同処理を繰り返す。
【0099】
次に、図1に示す車車間通信部200の動作について説明する。車車間通信制御部205は、車車間無線通信部a201もしくは、車車間無線通信部b203に対し、自車両の車両走行情報の送信要求を定期的に実施する。
【0100】
各車車間無線通信部からの送信データが衝突しないようにするために、車車間無線通信部a201からデータを送信するタイミングと、車車間無線通信部b203から送信するタイミングを変えて送信制御を行う。このため、車車間通信制御部205は、車車間無線通信部a201からデータ送信するタイミングを生成する自車両走行情報送信周期タイマaと、車車間無線通信部b203からデータ送信タイミングを生成する自車両走行情報送信周期タイマbを別々に起動し、それぞれのタイマが終了する毎に送信要求処理を行う。
【0101】
一方、車車間通信制御部205は、車車間無線通信部a201もしくは、車車間無線通信部b203から他車両の車両走行情報の受信通知を受け取ると(S1501)、データ受信処理を行う(S1502)。車両走行情報のデータ受信を確認すると(S1601)、既受信済みデータかを確認し(S1602)、受信済みの場合はデータを破棄し(S1603)データ受信処理を終了する。
【0102】
未受信データの場合は、図5に示すナビゲーション部100へナビゲーションインターフェース部2051を介して受信した車両走行情報を送信する(S1604)。図7に示す通り車両400と車両C403が、車車間無線通信部a201と車車間無線通信部b203の共通通信領域600に位置する場合、図10に示す通り車両C400から送信された車両走行情報は、車両400のアンテナa202、及びアンテナb204を介して車車間無線通信部a201と車車間無線通信部b203の両方で受信されることになる。従って、車車間通信制御部205では、受信データの重複検査処理を行い、検出した場合は受信データを破棄する処理を行う。この処理により、ナビゲーション部100での不要なデータ受信処理を実施しないようにすることが可能となる。
【0103】
また、車車間通信制御部205が、ナビゲーション部100から自車両の車両走行情報の更新通知を受信した場合は(S1503)、車両走行情報を送信データ格納部2053に設定する(S1504)。
【0104】
一方、車車間通信制御部205が設定した自車両走行情報送信周期タイマが終了したことを検出すると(S1505)、自車両走行情報送信周期タイマaか、自車両走行情報送信周期タイマbかを判別し(S1506)、該当する車車間無線通信部へ送信データ格納部2053に格納した自車両の車両走行情報を送信する(S1507)(S1508)。送信データを取得した車車間無線通信部は先に説明した手順にて周辺を走行する車両に対しデータ送信する。その後、車車間通信制御部205は終了したタイマを再開始する(S1509)(S1510)。
【0105】
図1に示す車車間通信制御部205は、ナビゲーション部100から自車両走行情報送信周期更新要求を受信した場合は(S1511)、車車間無線通信部a201への送信周期更新か、車車間無線通信部b203への送信周期更新かを判別し(S1512)、該当する自車両走行情報送信周期タイマを再設定する(S1513)(S1514)。
【0106】
次に、図11を用いて、車両400がブレーキを作動した場合の動作について説明する。
【0107】
車両400は、最初60km/hの速度で走行し、車両間無線通信部a201、及び車両間無線通信部b203からそれぞれ0.5秒周期で自車両走行情報を送信しているものとする。その後、車両400は同一車線前方を走行する車両D404と、同一車線後方を走行する車両A401と通信可能な領域を走行している。次に、前方の車両E405、車両F406、車両G407が走行する場所で渋滞が発生し、これにより車両D404はブレーキを作動し、その結果車両400はa地点1101でブレーキを作動する。
【0108】
図2に示すナビ制御部101の制御部1017は、車両情報取得部1015から取得した車両走行情報が、車速は0−49km/hの範囲に減速し、加速度が-b以下となったことを検知すると、図17の自車両走行情報送信周期判定テーブルaから車車間無線通信部a(自車両の前方向)の自車両走行情報送信周期タイマaを1.0秒に、車車間無線通信部b(自車両の後方向)の自車両走行情報送信周期タイマbを0.2秒に設定するように車車間通信制御部205に要求する。
【0109】
車車間通信制御部205はこれを受けて、送信周期を所定の値に変更する。この結果、後方の車両A401に対し、自車両の走行状態を単位時間当りに多数通知することになり、車両A401のドライバに前方車両の走行状態をより詳細に通知することで安全運転支援を行うことが可能になる。
【0110】
なお、図17においては、ブレーキ、アクセルの動作状態を、「ON:OFF」としているが、当該二値の情報に限定されるものではない。例えば、ブレーキ、アクセルの使用状態に応じて、段階的にデータ量を示す情報とし、この段階的なデータ量に対応させて、送信周期を変えた周期とするものに図17を変えるものであっても良い。
【0111】
本実施例では、自車両の走行状態により自車両の車両走行情報の送信周期を変更することで走行状況の通知精度を向上するようにしたが、図20に示す通り、自車両の走行状態により各車両間無線通信部の送信部からデータ送信する送信出力を大きくすることにより送信可能な通信エリアを広げ、周辺のより多くの車両に自車両の走行状態を通知するようにしても構わない。図11と図20を比較すると、図20の通信領域a601の通信エリアの方が、図11の通信領域a601の通信エリアよりも広い範囲として例示している。同様に、共通通信領域600、通信領域b602も、図20の方が図11よりも通信エリアがより広い範囲として例示している。
【0112】
さらに本実施例において、車両400が車両走行情報を送信する場合、通信領域内に存在する不特定の周辺車両全てを対象とする同報通信を行っても構わないし、また特定の車に送信するため、車両走行情報内に相手車両IDの設定し個別通信を行うようにしても構わない。
【0113】
また本実施例では、図11、図20に示すように、自車両走行中にブレーキを動作した場合に、後方の車両A401に対し自車両の走行状態を単位時間当りに多数通知するようにしたが、アクセルを駆動した場合など、自車両の速度、及び加速度が上昇した場合に、前方の車両D404に対し、車両の走行状態を単位時間当りに多数通知することで、車両D404のドライバに後方車両の走行状態をより詳細に通知するようにしても構わない。
【実施例3】
【0114】
本発明の実施例である車車間通信装置の第三の実施例を図面によって説明する。
【0115】
図21は、ナビ制御部101が車車間通信制御部205に設定する自車両の車両走行情報の送信周期を走行場所に応じて設定する動作について説明するための車両走行図である。
【0116】
s地点2101は既走行場所である地点であり、t地点2102は現在走行場所である地点であり、u地点2103はt地点通過後左折した場合に通過する地点であり、v地点2104はt地点通過後直進した場合に通過する地点であり、w地点2105はt地点通過後右折した場合に通過する地点であり、車両L2106は車両400が交差点を左折した場合に対向車線を走行する車両であり、車両M2107は交差点付近の対向車線を走行する車両であり、車両N2108は車両400が交差点を右折した場合に対向車線を走行する車両である。
【0117】
図22は、車車間通信制御部205が各車車間無線通信部に自車両の車両走行情報を送信要求する周期を、自車両の走行場所と走行速度に応じて設定するための自車両走行情報送信周期判定テーブルbである。ナビ制御部101は、本テーブル内容に従って車車間通信制御部205に自車両の車両走行情報の送信周期を設定する。
【0118】
図23は、ナビ制御部101が車車間通信にて他車両と車両走行情報を送受信する場合のシーケンス図である。
【0119】
図24は、ナビ制御部101が車車間通信にて送信する自車両の車両走行情報を更新する場合のシーケンス図である。
【0120】
次に、本発明の実施例の車車間通信装置において、自車両400が交差点を通過する場合の車両走行情報の送受信動作ついて、図1、図2、図3、図4、図5、図6、図14、図15、図16、図21、図22、図23、及び図24を用いて説明する。
【0121】
車両400に搭載される車車間通信装置300が、周辺に位置する他車両と互いの車両走行情報を送受信する場合の動作について説明する。
【0122】
最初にナビゲーション部100の動作について説明する。ナビ制御部101は、他車両からの車両走行情報受信処理、自車両の車両走行情報更新処理については、第二の実施例で説明した車車間通信装置300と同様の動作をする。
【0123】
また、図2に示すナビ制御部101は、加速度センサ1011、GPS1012、ジャイロ1013、及び地図情報記録部1014の情報より取得した自車走行場所が、図22に示す自車両走行情報送信周期判定テーブルbで設定されている送信周期再設定走行場所の場合(S2301)、車両情報取得部1015から自車両の走行速度を取得し(S2302)、自車両走行情報送信周期判定テーブルbから自車両走行情報送信周期を更新するか否かを判定し(S2303)、更新する場合は自車両走行情報送信周期判定テーブルbの設定に従って、自車両走行情報送信周期更新要求を車車間通信制御部205へ送信する(S2304)。
【0124】
車車間通信制御部205の動作は、第二の実施例で説明した車車間通信装置300と同様の動作をするものとする。
【0125】
次に車両400が交差点を走行する場合の動作について説明する。
【0126】
図21において、車両400がs地点2101を60km/hで通過すると、ナビ制御部101は自車両走行情報送信周期判定テーブルbより自車両走行情報を車両間無線通信部a201、及び車両間無線通信部b203からそれぞれ0.5秒周期で送信するように車車間通信制御部205に設定する。
【0127】
さらに、交差点に近づき、t地点2102を30km/hで通過すると、ナビ制御部101は自車両走行情報送信周期判定テーブルbより自車両走行情報を車両間無線通信部a201からは1.0秒周期で、また車両間無線通信部b203からは0.2秒周期で送信するように車車間通信制御部205に設定する。
【0128】
車車間通信制御部205はこれを受けて、送信周期を変更する。その後、車両400が左折した場合はu地点2103、直進した場合はv地点2104、右折した場合はw地点2105を、それぞれ60km/hで通過した時に、ナビ制御部101は自車両走行情報送信周期判定テーブルbから自車両走行情報を車両間無線通信部a201、及び車両間無線通信部b203からそれぞれ0.5秒周期で送信するように車車間通信制御部205に設定する。
【0129】
このように、車両400は交差点に差し掛かった時、後方の車両に対して自車両の車両走行情報を単位時間当り多数送信することで、車両のドライバに前方車両の走行状態をより詳細に通知することができ、安全運転のための情報を提供することが可能になる。
【0130】
本実施例では、自車両走行情報の送信周期を図22の自車両走行情報送信周期判定テーブルbの条件のみを考慮して決定するようにしたが、第二の実施例で使用する図17の自車両走行情報送信周期判定テーブルaと組み合わせた条件で自車両走行情報の送信周期を決定するようにしても構わない。
【0131】
本実施例では、自車両走行情報送信周期判定テーブルbに設定している送信周期再設定走行場所は、交差点付近の場所としたが、渋滞多発地点、T字路、合流車線付近など車両の走行状況が変化しやすい場所を設定しても構わない。
【実施例4】
【0132】
本発明の実施例である車車間通信装置の第四の実施例を図面によって説明する。
【0133】
図25は、本発明の車車間通信装置の全体構成の一実施例を示した図である。ナビゲーション部100は図1の車車間通信部200と同じ構成である。ナビ制御部101は、図1で説明した機能の他に、路車間車車間通信部700が路側機より受信した道路走行情報を取得し、出力部102から音声及び画像情報を表示する機能を有する。
【0134】
700は他の車両との間で車両の走行状況を示す車両走行情報を無線で通信する車車間通信機能と、道路上に設置された路側機との間で周辺道路の走行状況を示す道路走行情報を無線で通信する路車間通信機能の両機能を搭載する路車間車車間通信部であり、車車間無線通信部a201、アンテナa202、車車間無線通信部b203、アンテナb204は、図1の車車間通信部200と同じ機能を有し、250は無線で道路走行情報の送受信を行う路車間無線通信部、260は路車間車車間通信部700内の各部の制御処理を行う路車間車車間通信制御部、270は路車間無線通信部250の送受信に使用する路側用アンテナc、で構成される。301はナビゲーション部100と路車間車車間通信部700を搭載する車車間通信装置、800は車車間通信装置301を搭載する車両である。
【0135】
図26は、路車間無線通信部250の内部構成の一実施例を示す図である。2501は通信処理部2504から要求された送信データの送信処理を行う送信部、2502は路側用アンテナc270よりデータを受信する受信部、2503は送信処理と受信処理を切り替えるためのスイッチ、2504はスイッチ2503の切替処理、及び送信部2501、受信部2502、路車間車車間通信制御部260とデータ入出力を行う通信処理部、である。
【0136】
本実施例では、路車間無線通信部250が、道路上に設置される路側機と通信する場合、DSRC通信方式を用いて行うこととするが、IEEE802.11で標準化されている無線LANの通信方式を採用しても構わない。若しくは、その他で、車両と通信可能とする通信方法、または、放送等の同報によるものであっても良い。
【0137】
なお、DSRC通信方式とは、社団法人 電波産業会にて定められた標準規格“狭域通信システム標準規格ARIB STD−T75”準拠の方式であり、高速道路等の有料道路の料金所に設置した基地局装置と、車両に設置した車載端末装置の間で、5.8GHz帯域の無線通信を行い、自動的に料金収受を行うETC(Electronic Toll Collection)でも、用いられている通信方式である。
【0138】
上記実施例でも、例えば、このDSRC通信方式を利用して、走行中のドライバに周囲の道路状況、及び車両走行状況等を無線で送信し通知する安全運転支援に関するものとして提案するものである。
【0139】
車両800に搭載した車車間通信装置301は、道路走行情報を提供する路側機の近辺を通過する時、路側機との通信可能エリアに進入し、無線データ通信が可能となる。
【0140】
通信処理部2504は、路車間車車間通信制御部260からデータ送信要求を受けた場合、送信データを送信部2501に設定し、スイッチ2503を送信部2501側に切り替えてデータ送信を行う。送信処理が完了すると、スイッチ2503は受信部2502側に切り替える。また、受信部2502においてデータ受信した場合は、受信データを受信部2502から取得し、路車間車車間通信制御部260に送信する。
【0141】
図27は、路車間車車間通信制御部260の内部構成の一実施例を示す図である。2601はナビゲーション部100の無線通信制御部104との間でデータを入出力するナビゲーションインターフェース部、2602は車車間無線通信部a201、車車間無線通信部b203、路車間無線通信部250、及びナビゲーション部100とそれぞれデータの入出力制御処理を行う通信制御処理部、2603はナビゲーション部100からの要求があった車車間通信用送信データを一時的に格納する車車間送信データ格納部、2604は車車間無線通信部a201、及び車車間無線通信部b203から受信した受信データを一時的に格納する車車間受信データ格納部、2605は通信制御処理部2602と車車間無線通信部a201、車車間無線通信部b203、及び路車間無線通信部250との間でデータの入出力を行う路車間車車間通信インターフェース部、2606は自車両を特定するために予め決められた自車IDを格納しておく自車ID格納部、2607は路車間無線通信部250から受信した受信したデータを一時的に格納する路車間受信データ格納部、2608は路車間無線通信部250から受信した受信データを一時的に格納する路車間受信データ格納部である。
【0142】
図28は、路側機から道路走行情報を受信した場合に、ナビ制御部101が路車間車車間通信制御部260に設定する自車両の車両走行情報の送信周期を設定する場合について説明するための車両400が合流車線付近を走行する車両走行図である。路側機2801は合流車の存在を示す等の道路走行情報を走行中の車両に提供する路側機であり、合流車両2802は合流車線を走行する合流車両であり、p地点2803は車両800の後方を車両A401が走行する地点であり、q地点2804は車両800が走行する地点であり、o地点2805は車両800の前方を車両D404が走行する地点であり、r地点2806は合流車両2802が走行する地点である。
【0143】
図29は、ナビ制御部101が他車両と車車間通信にて車両走行情報を送受信する場合、及び路車間通信にて路側機から道路走行情報を受信した場合の処理シーケンス図である。
【0144】
図30は、路車間車車間通信制御部260の制御処理内容を示すシーケンス図である。路車間車車間通信制御部260は、各車車間無線通信部からの車両走行情報受信処理、ナビゲーション部100からの車両走行情報の更新通知処理、各車車間無線通信部への車両走行情報の送信要求処理、車両走行情報の送信周期変更処理、及び路車間無線通信部250が路側機から受信した道路走行情報の受信処理を行う。
【0145】
図31は、路車間車車間通信制御部260が路側機から道路走行情報受信した場合の受信処理詳細を示すシーケンス図である。
【0146】
図32は、路車間車車間通信制御部260が各車車間無線通信部に車両の車両走行情報を送信要求する周期を、路側機からの道路走行情報の受信内容に応じて設定するための自車両走行情報送信周期判定テーブルcである。ナビ制御部101は、本テーブル内容に従って路車間車車間通信制御部260に自車両の車両走行情報の送信周期を設定する。
【0147】
図33は、図2に示すナビ制御部101の構成部の他に、制御部1017に対し車両の異常状態を示す信号を入力する異常状態検出部1018を設けたナビ制御部101の内部構成例である。
【0148】
次に、本発明の実施例の車車間通信装置301において、車両800が合流車線部を通過する場合の車両走行情報の送受信動作ついて、図2、図3、図4、図6、図10、図13、図14、図16、図24、図25、図26、図27、図28、図29、図30、図31、図32、及び図33を用いて説明する。
【0149】
車両400に搭載される車車間通信装置301が、周辺に位置する他車両、及び路側機とデータの送受信する場合の動作について説明する。
【0150】
最初にナビゲーション部100の動作について説明する。ナビ制御部101は、他車両からの車両走行情報受信処理、自車両の車両走行情報更新処理については、第二の実施例で説明した車車間通信装置300と同様の動作をする。
【0151】
また、図25に示すナビ制御部101は、路車間車車間通信部700が路側機から道路走行情報を受信した旨の通知を、無線通信制御部104を介して受けると(S2901)、受信内容を確認し、受信したデータの内容に従って音声出力、画像表示等の表示出力を出力部102に行う(S2902)。
【0152】
また、図2に示す車両情報取得部1015から走行速度を取得し(S2903)、車両走行速度と受信した道路走行情報から図32に示す自車両走行情報送信周期判定テーブルcを参照して自車両走行情報送信周期を更新するか否かを判定する(S2904)。更新する場合は、自車両走行情報送信周期更新要求を路車間車車間通信制御部260へ送信する(S2905)。
【0153】
次に、路車間車車間通信部700の動作について説明する。図25に示す路車間車車間通信制御部260は、車車間無線通信部a201もしくは、車車間無線通信部b203から自車両の車両走行情報を定期的に送信する処理については第二の実施例で説明した車車間通信制御部205と同一の処理を行う。
【0154】
また、車車間無線通信部a201もしくは、車車間無線通信部b203からの他車両の車両走行情報の受信処理、ナビゲーション部100から自車両の車両走行情報の更新通知を受信した場合の車両走行情報更新処理、自車両走行情報送信周期タイマ終了検出処理、ナビゲーション部100からの自車両走行情報送信周期更新要求受信処理、これらの車車間通信制御に関する処理に関しては、第二の実施例で説明した車車間通信制御部205と同一の処理を行う。
【0155】
図27に示す路車間車車間通信制御部260が、路車間無線通信部250より路側機からの道路走行情報の受信通知を受け取ると(S3001)、データ受信処理を行う(S3002)。路車間受信データ格納部2607の受信データの有無を確認し(S3101)、受信データが存在する場合は、受信済みデータか否かを判別し(S3102)、既受信データの場合は破棄する(S3103)。未受信データの場合は、ナビゲーション部(S3104)に送信する。
【0156】
次に図28において、車両800が合流車線の手前を走行時、車車間通信装置301が路側機2801から道路走行情報を受信した場合に、周辺に位置する他車両と互いの車両走行情報を送受信する場合のナビゲーション部100の動作について説明する。
【0157】
車両800がp地点2803を60km/hで通過し、その後q地点2804に到達するまでの間、ナビ制御部101は図32に示す自車両走行情報送信周期判定テーブルcから自車両走行情報を車両間無線通信部a201、及び車両間無線通信部b203からそれぞれ0.5秒周期で送信するように路車間車車間通信制御部260に設定する。
【0158】
さらに車両800がq地点2804を通過し路側機2801との通信可能領域に進入すると、路側機2801から合流車線からの合流車両2802の走行を示す道路走行情報aを路車間無線通信部250から路車間車車間通信制御部260を介して受信する。
【0159】
図2に示すナビ制御部101は受信した道路走行情報aを出力部102に表示し、車両情報取得部1015から自車走行速度を取得する。取得した自車走行速度が60km/hの場合、ナビ制御部101は自車両走行情報送信周期判定テーブルcより自車両走行情報を車両間無線通信部a201からは0.5秒周期で、また車両間無線通信部b203からは0.1秒周期で送信するように路車間車車間通信制御部260に設定する。
【0160】
路車間車車間通信制御部260はこれを受けて、送信周期を変更する。その後、車両800が60km/hの速度のまま路側機2801との通信可能領域を外れると、ナビ制御部101は自車両走行情報送信周期判定テーブルcより自車両走行情報を車両間無線通信部a201、及び車両間無線通信部b203からそれぞれ0.5秒周期で送信するように路車間車車間通信制御部260に設定する。
【0161】
このように車両800は、合流車両が存在する合流車線付近を走行する時、後方の車両に対して自車両の車両走行情報を単位時間当り多数送信することで、車両のドライバに前方車両の走行状態をより詳細に通知することができ、安全運転のための情報を提供することが可能になる。
【0162】
本実施例では、自車両走行情報の送信周期を自車両走行情報送信周期判定テーブルcの条件のみを考慮して決定するようにしたが、第二の実施例で使用した図17の自車両走行情報送信周期判定テーブルa、もしくは第三の実施例で使用した図22の自車両走行情報送信周期判定テーブルbと組み合わせた条件で自車両走行情報の送信周期を決定するようにしても構わない。
【0163】
また本実施例では、車両走行情報として送信するデータは図6に示す内容としたが、路側機2801から受信した道路走行情報など任意の内容を格納するデータ領域を車両走行情報テーブルに設けて他車両に送信するようにしても構わない。
【0164】
また、本発明における他の実施例として、車両の異常が発生したことを周辺の車両により好適に知らせるようにする車車間通信装置を提供することが出来る。
【0165】
この実施例としては、例えば、図33に示すように、ナビ制御部101の制御部1017に車両の異常状態を示す信号を入力する異常状態検出部1018を設けるようにすることで実現可能となる。勿論、当該異常状態検出部を設ける他の実現手段に変えて、例えば、車両の各部の状態を示す信号をナビ制御部101に入力するようにしておき、当該信号の値が予め設定されていた所定値を超えたこと、または変化の度合いが大きくなったことをもって、ナビ制御部101、または、ナビ制御部101の制御部1017が異常と判断するものであっても良い。
【0166】
この車両の異常状態を示す信号としては、エンジンの動作状態、駆動力の伝達系の動作状態、冷却系の動作状態、車両の方向を変更する操縦系を含む走行系の動作状態などの異常を示すものがあるが、これに限定されるものではなく、車両が正常に走行するにおいて、問題となることを示す情報があれば、含まれるものとする。例えば、車両が進路方向を変更する際に、当該方向を示す方向灯や、ブレーキを踏んだ際に点灯するブレーキランプが正常に点灯しない場合などであっても良い。
【0167】
これらの異常が発生した際に、異常を示す異常情報、または、当該異常情報を元に作成された異常送信情報を、周辺の車両に対し、送信して、自己の車両の異常を知らせるようにする。例えば、前記ブレーキランプが正常に点灯しないような場合には、後方への送信頻度を多くすることで、後方を走行する車両に対しより好適に自車の異常を知らせることが可能になる。
【0168】
上述した本発明の実施例により、車両が走行中に周辺を走行する車両を運転するドライバに対し、好適なタイミングで、好適な情報量の車両走行情報を提供することが可能になり、より安全で快適な運転をドライバに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】本発明の車車間通信装置の全体構成の一実施例を示したブロック図である。
【図2】本発明の車車間通信装置におけるナビ制御部の内部構成の一実施例を示したブロック図である。
【図3】本発明の車車間通信装置における車車間無線通信部aの内部構成の一実施例を示したブロック図である。
【図4】本発明の車車間通信装置における車車間無線通信部bの内部構成の一実施例を示したブロック図である。
【図5】本発明の車車間通信装置における車車間通信制御部の内部構成の一実施例を示したブロック図である。
【図6】本発明の車車間通信装置が車両間において送受信する車両走行情報の内容の一実施例を示した構成表及びデータフォーマットを示す図である。
【図7】本発明の車車間通信装置を搭載する車両が周辺の車両と無線通信を行う場合の通信領域の一実施例を示した車両走行図である。
【図8】本発明の車車間通信装置において車車間無線通信部aから送信した車両走行情報を自車両の車車間無線通信部bで受信する場合の動作例を示すブロック図である。
【図9】本発明の車車間通信装置において車車間通信部が自己診断処理を行う場合の処理内容の一実施例を示すシーケンス図である。
【図10】本発明の車車間通信装置を搭載する車両において、周辺を走行する車両から送信された車両走行情報を受信する動作の一実施例を示すブロック図である。
【図11】前方を走行する車両がブレーキを作動した時に、本発明の車車間通信装置を搭載する車両が周辺の車両と無線通信を行う場合の通信領域を示した車両走行図である。
【図12】本発明の車車間通信装置におけるナビ制御部が、他車両と車車間通信にて車両走行情報を送受信する処理の一実施例を示すシーケンス図である。
【図13】本発明の車車間通信装置におけるナビ制御部が、車車間通信にて送信する自車両の車両走行情報を更新する処理の一実施例を示すシーケンス図である。
【図14】本発明の車車間通信装置におけるナビ制御部が、車車間通信にて受信した他車両の車両走行情報を解析し表示処理する一実施例を示すシーケンス図である。
【図15】本発明の車車間通信装置における車車間通信制御部が行う車両走行情報の送受信に関する制御処理の一実施例を示すシーケンス図である。
【図16】本発明の車車間通信装置における車車間通信制御部行う車両走行情報の受信処理の一実施例を示すシーケンス図である。
【図17】本発明の車車間通信装置における各車車間無線通信部に設定する車両走行情報の送信周期を走行状況に応じて設定する内容の一実施例を示すテーブル表である。
【図18】本発明の車車間通信装置におけるナビ制御部が他車両から受信した車両走行情報を出力部のディスプレイに表示した場合の一実施例を示す図である。
【図19】本発明の車車間通信装置におけるナビ制御部が他車両から受信した車両走行情報を記録したテーブルの一実施例を示す図である。
【図20】前方を走行する車両がブレーキを作動した時に、本発明の車車間通信装置を搭載する車両が周辺の車両と無線通信を行う場合の通信領域を示した車両走行図である。
【図21】本発明の車車間通信装置におけるナビ制御部が設定する車両走行情報の送信周期を走行場所に応じて設定する動作の一実施例を示す車両走行図である。
【図22】本発明の車車間通信装置における各車車間無線通信部に設定する車両走行情報の送信周期を走行場所に応じて設定する内容の一実施例を示すテーブル表である。
【図23】本発明の車車間通信装置におけるナビ制御部が車車間通信にて他車両と車両走行情報を送受信する処理の一実施例を示すシーケンス図である。
【図24】本発明の車車間通信装置におけるナビ制御部が車車間通信にて送信する自車両の車両走行情報を更新する処理の一実施例を示すシーケンス図である。
【図25】本発明の車車間通信装置の全体構成の一実施例を示したブロック図である。
【図26】本発明の車車間通信装置における路車間無線通信部の内部構成の一実施例を示すブロック図である。
【図27】本発明の車車間通信装置における路車間車車間通信制御部の内部構成の一実施例を示すブロック図である。
【図28】本発明の車車間通信装置におけるナビ制御部が設定する車両走行情報の送信周期を路側機からの道路走行情報を受信した場合に設定する動作の一実施例を示す車両走行図である。
【図29】本発明の車車間通信装置におけるナビ制御部が車車間通信にて他車両と車両走行情報を送受信する処理の一実施例を示すシーケンス図である。
【図30】本発明の車車間通信装置における路車間車車間通信制御部が行う車両走行情報の送受信に関する制御処理の一実施例を示すシーケンス図である。
【図31】本発明の車車間通信装置における路車間車車間通信制御部が路側機から道路走行情報受信する処理の一実施例を示すシーケンス図である。
【図32】本発明の車車間通信装置における各車車間無線通信部に設定する車両走行情報の送信周期を路側機からの道路走行情報を受信した場合に設定する内容の一実施例を示すテーブル表である。
【図33】本発明の車車間通信装置におけるナビ制御部の内部構成の一実施例を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0170】
100:ナビゲーション部
101:ナビ制御部
102:出力部
103:入力部
104:無線通信制御部
200:車車間通信部
201:車車間無線通信部a
202:アンテナa
203:車車間無線通信部b
204:アンテナb
205:車車間通信制御部
250:路車間無線通信部
260:路車間車車間通信制御部
270:路側用アンテナc
300:車車間通信装置
301:車車間通信装置
400:車両
401:車両A
402:車両B
403:車両C
404:車両D
405:車両E
406:車両F
407:車両G
408:車両H
500:道路
600:共通通信領域
601:通信領域a
602:通信領域b
700:路車間車車間通信部
800:車両
1011:加速度センサ
1012:GPS
1013:ジャイロ
1014:地図情報記録部
1015:車両情報取得部
1016:他車両走行情報格納部
1017:制御部
1018:車両異常検出分部
1101:a地点
1102:b地点
2011:送信部
2012:受信部
2013:スイッチ
2014:通信制御部
2015:通信処理部
2016:自車データ検出部
2017:自車ID記憶部
2031:送信部
2032:受信部
2033:スイッチ
2034:通信制御部
2035:通信処理部
2036:自車データ検出部
2037:自車ID記憶部
2051:ナビゲーションインターフェース部
2052:通信制御処理部
2053:送信データ格納部
2054:受信データ格納部
2055:車車間通信インターフェース部
2056:自車ID格納部
2101:s地点
2102:t地点
2103:u地点
2104:v地点
2105:w地点
2106:車両L
2107:車両M
2108:車両N
2501:送信部
2502:受信部
2503:スイッチ
2504:通信処理部
2601:ナビゲーションインターフェース部
2602:通信制御処理部
2603:車車間送信データ格納部
2604:車車間受信データ格納部
2605:路車間車車間通信インターフェース部
2606:自車ID格納部
2607:路車間受信データ格納部
2608:路車間送信データ格納部
2801:路側機
2802:合流車両
2803:p地点
2804:q地点
2805:o地点
2806:r地点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の車両と無線によりデータ通信を行う無線通信手段を複数個有し、
前記各々の無線通信手段を個別に通信制御する車車間通信制御手段と、
前記無線通信手段が受信したデータを表示出力する表示手段と、
操作設定の入力を行う入力手段と、
自己の車両の走行に関して得られる情報である走行情報を取得する走行情報取得手段と、
前記走行情報、または前記走行情報を元に作成された送信情報を、前記無線通信手段から送信するように前記車車間通信制御手段を制御する制御手段とを少なくとも具備し、
前記複数の無線通信手段の車両での設置された位置によって、前記走行情報、または前記送信情報の送信頻度を変えることを特徴とする車車間通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車車間通信装置であって、
前記走行情報とは、車両の走行位置、速度、加速度、エンジンの回転数、トルク、ブレーキ作動状態、アクセル開度状態のいずれかを含む情報であることを特徴とする車車間通信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車車間通信装置であって、
自車両の前記走行情報が変化すると、前記走行情報、または前記送信情報の送信頻度を変えることを特徴とする車車間通信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車車間通信装置であって、
前記車両情報制御手段が自車両のブレーキ作動、速度の低下、加速度の減少のいずれかの変化を検出すると、前記車車間通信制御手段は、車両の後方に設置された前記無線通信手段から送信される前記走行情報、または前記送信情報の送信頻度を多くするように制御することを特徴とする車車間通信装置。
【請求項5】
請求項1記載の車車間通信装置であって、
前記走行情報取得手段が自車両のアクセル開度、速度の増加、加速度の増加のいずれかの変化を検出すると、車両の前方に設置された前記無線通信手段から送信される前記走行情報、または前記送信情報の送信頻度を多くするように制御することを特徴とする車車間通信装置。
【請求項6】
請求項1に記載の車車間通信装置であって、
前記走行情報取得手段によって得られた自己の車両の走行場所が変化すると、前記走行情報、または前記送信情報の送信頻度を変えることを特徴とする車車間通信装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車車間通信装置であって、
前記自己の車両の走行場所が交差点付近になると、車両の後方に設置された前記無線通信手段から送信される前記走行情報、または前記送信情報の送信頻度を多くするように制御することを特徴とする車車間通信装置。
【請求項8】
他の車両と無線によりデータ通信を行う無線通信手段を複数個有し、
前記各々の無線通信手段を個別に通信制御する車車間通信制御手段と、
前記無線通信手段が受信したデータを表示出力する表示手段と、
操作設定の入力を行う入力手段と、
自己の車両の走行に関して得られる情報である走行情報を取得する走行情報取得手段と、
前記走行情報、または前記走行情報を元に作成された送信情報を、前記無線通信手段から送信するように前記車車間通信制御手段を制御する制御手段と
を少なくとも具備し、
前記複数の無線通信手段の車両での設置された位置によって、前記無線通信手段からの送信される出力の大きさを変えることを特徴とする車車間通信装置。
【請求項9】
他の車両と無線によりデータ通信を行う無線通信手段を複数個有し、
道路に沿って設置された路側機装置と無線によりデータ通信を行う路車間無線通信手段と、
前記各々の車車間無線通信手段、または前記路車間無線通信手段の通信制御を行う路車間車車間通信制御手段と、
前記車車間無線通信手段もしくは前記路車間無線通信手段が受信したデータを表示出力する表示手段と、
操作設定の入力を行う入力手段と、
自己の車両の走行に関して得られる情報である走行情報を取得する走行情報取得手段と
前記走行情報、または前記走行情報を元に作成された送信情報を、前記無線通信手段から送信するように前記路車間車車間通信制御手段を制御する制御手段と、
を少なくとも具備し、
前記路車間車車間通信制御手段は、前記路車間無線通信手段が受信したデータの内容に応じて、前記複数の無線通信手段の車両での設置された位置によって、前記走行情報、または前記送信情報の送信頻度を変えることを特徴とする車車間通信装置。
【請求項10】
請求項9記載の車車間通信装置であって、
前記前記路車間無線通信手段が受信したデータが合流車両の存在を示す情報の場合、車両の後方に設置された前記無線通信手段から送信される前記走行情報、または前記送信情報の送信頻度を多くするように制御することを特徴とする車車間通信装置。
【請求項11】
他の車両と無線によりデータ通信を行う無線通信手段を複数個有し、
自己の車両の固有情報を記録する記憶手段と、
前記各々の無線通信手段を個別に通信制御する車車間通信制御手段と、
前記無線通信手段が受信したデータを表示出力する表示手段と、
操作設定の入力を行う入力手段と、
を少なくとも具備し、
前記複数の無線通信手段の中の1つの前記無線通信手段から、前記記憶手段に記憶された自己の車両の固有情報を送信させ、他の前記無線通信手段によって受信された情報と前記記憶手段に記憶された自己の車両の固有情報とを比較することで、前記無線通信手段の動作状態を確認することを特徴とする車車間通信装置。
【請求項12】
他の車両と無線によりデータ通信を行う無線通信手段を複数個有し、
前記各々の無線通信手段を個別に通信制御する車車間通信制御手段と、
前記無線通信手段が受信したデータを表示出力する表示手段と、
操作設定の入力を行う入力手段と、
自己の車両の異常に関して得られる情報である異常情報を取得する異常情報取得手段と、
前記異常情報、または前記異常情報を元に作成された異常送信情報を、前記無線通信手段から送信するように前記車車間通信制御手段を制御する制御手段とを少なくとも具備し、
前記複数の無線通信手段の車両での設置された位置によって、前記異常情報、または前記異常送信情報の送信頻度を変えることを特徴とする車車間通信装置。
【請求項13】
請求項12に記載の車車間通信装置であって、
前記異常情報とは、エンジンの動作状態、駆動力の伝達系の動作状態、冷却系の動作状態、車両の方向を変更する操縦系を含む走行系の動作状態のいずれかの異常状態を示す情報であることを特徴とする車車間通信装置。
【請求項14】
請求項12に記載の車車間通信装置であって、
自車両の前記異常情報が変化すると、前記異常情報、または前記異常送信情報の送信頻度を変えることを特徴とする車車間通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2009−3822(P2009−3822A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165767(P2007−165767)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】