説明

車載システム

【課題】高速無線通信網との接続品質劣化時における、移動電話網を代用した外部WAN上のサーバアクセス完了までの時間を短縮できる「車載システム」を提供する。
【解決手段】サーバアクセス要求が発生すると(b)、モバイルWiMAXによるWAN接続を介したサーバアクセス312が開始される。その後、サーバアクセス完了前に、基地局からの受信電波の電界強度がしきい値Th未満に低下すると、移動電話機のダイアルアップ接続によるWAN接続処理321が開始される。そして、モバイルWiMAXによるWAN接続の品質が劣化により、サーバアクセス312が失敗したならば、その時点までに確立している移動電話機のダイアルアップ接続によるWAN接続を用いたサーバアクセス322が開始され、サーバアクセスが完了したならば、ダイアルアップ接続によるWAN接続が解除される(323)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載された車載システムにおいて外部と通信に用いる通信網を選択する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載された車載システムにおいて、外部と通信を行う技術としては、車載システムに接続された移動電話機(「携帯電話」とも呼称される)を用いて移動電話網に接続し、移動電話網を介して外部のサーバと通信を行う技術(たとえば、特許文献1)や、外部のアクセスポイントに無線LANを介して接続し、無線LANを介して外部のサーバと通信を行う技術(たとえば、特許文献2)が知られている。
【0003】
また、本発明に関連する技術としては、携帯通信端末において、移動電話網と無線LANとのうちの一方を選択的に通信に用いる技術(たとえば、特許文献3)も知られている。この技術では、無線LANに接続可能なときには、無線LANを優先的に使用するようにしている。
【特許文献1】特開平11-328580号公報
【特許文献2】特開2003-308370号公報
【特許文献3】特開2003-110751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、モバイルWiMAX(IEEE802.16e)と呼ばれる移動体通信に対応する比較的高速な無線通信網の実用化が進んでいる。なお、「WiMAX」は、「WiMAX Forum」の登録商標である。
モバイルWiMAXによれば、移動電話網による通信よりも高速な通信が可能であるため、車載システムにおいては、外部との通信には、移動電話網よりもモバイルWiMAXを利用することが好ましい。
しかしながら、現状において、モバイルWiMAXの普及は進んでおらず、モバイルWiMAXを利用できない地域が存在する。
そして、このために、車載システムにおいてモバイルWiMAXを利用して外部ネットワーク上のサーバとの通信を開始した後に、自動車がモバイルWiMAXを利用できない地域に移動すると、モバイルWiMAXを利用した通信が失敗してしまうことになる。そして、この場合において、車載システムにおいて、モバイルWiMAXを利用した通信が失敗した後に、移動電話網を利用した外部ネットワーク上のサーバとの通信を行うようにすると、ダイアルアップ接続により実現される移動電話網を利用した外部ネットワークとの接続には時間がかかるために、サーバとの通信完了までに長時間を要してしまうことになるという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、モバイルWiMAXのような無線通信網を外部との通信に用いる車載システムにおいて、外部ネットワーク上の通信相手との通信を開始した後に、自動車が無線通信網を利用できない地域に移動した場合に、より短時間に、移動電話網を代用して、当該通信相手との通信を完了できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載された車載システムに、移動電話網を介して外部のWANにダイアルアップ接続する移動電話機と接続する移動電話機インタフェースと、前記移動電話網と異なる無線通信網を介して外部のWANに接続する無線通信装置と、前記無線通信装置を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセスを制御すると共に、前記無線通信装置を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセスの失敗が発生したときに、前記移動電話機インタフェースに接続された前記移動電話機の前記外部のWANとのダイアルアップ接続を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセスを制御するアクセス制御手段とを備え、前記アクセス制御手段において、前記無線通信装置を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセス処理中に、前記無線通信装置と前記無線通信網との通信品質が所定レベル以上劣化したときに、前記移動電話機インタフェースに接続された前記移動電話機に、前記外部のWANとのダイアルアップ接続処理を、前記無線通信装置を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセスの失敗の発生に先行して開始させるようにしたものである。
【0007】
ここで、このような車載システムには、前記無線通信装置が前記無線通信網から受信する電波の電界強度を検出する受信レベル検出手段を設け、前記アクセス制御手段において、前記受信レベル検出手段が検出した電界強度に基づいて、前記無線通信装置と前記無線通信網との通信品質を判定するように構成してもよい。
【0008】
また、このような車載システムは、前記アクセス制御手段において、前記無線通信装置と前記無線通信網との通信品質が所定レベル以上劣化したときに、前記移動電話機インタフェースに接続された前記移動電話機に、前記外部のWANとのダイアルアップ接続処理を開始させた後、前記無線通信装置を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセスの失敗が発生する前に、前記無線通信装置と前記無線通信網との通信品質が所定レベル以上良好なレベルに復帰した場合に、前記移動電話機インタフェースに接続された前記移動電話機に、前記外部のWANとのダイアルアップ接続を解除させるように構成してもよい。
【0009】
これらのような車載システムによれば、前記無線通信装置を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセスの失敗が発生する前に、前記無線通信装置と前記無線通信網との通信品質が所定レベル以上劣化したときに、前記移動電話機インタフェースに接続された前記移動電話機に、前記外部のWANとのダイアルアップ接続処理を開始させるので、前記無線通信装置を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセスの失敗が発生した時点で、先行して開始しておいたダイアルアップ接続処理によって確立された外部のWANとのダイアルアップ接続を用いて、すみやかにサーバアクセスを行えるようになる。
【0010】
よって、無線通信網を外部との通信に用いる車載システムにおいて、外部のWAN上のサーバへのアクセスを開始した後に、自動車が無線通信網を利用できない地域に移動したときに、サーバへのアクセスの失敗が発生してからダイアルアップ接続処理を開始する場合に比べ、より短時間に、サーバへのアクセスを完了できるようになる。
【0011】
なお、以上の車載システムの構成は、移動電話網を介して外部のWANにダイアルアップ接続する第1通信装置と、前記移動電話網と異なる無線通信網を介して前記WANに接続する第2通信装置とを備え、前記WAN上の任意の通信装置にアクセスする通信システムにも適用することができる。すなわち、この場合には、前記第2通信装置を用いた前記WAN上の他の通信装置へのアクセスを制御すると共に、前記第2通信装置を用いた前記WAN上の他の通信装置へのアクセスの失敗が発生したときに、前記第1通信装置の前記WANとのダイアルアップ接続を用いた前記WAN上の他の通信装置へのアクセスを制御するアクセス制御手段を通信システムに設けると共に、当該アクセス制御手段において、前記第2通信装置を用いた前記WAN上の他の通信装置へのアクセス処理中に、前記第2通信装置と前記無線通信網との通信品質が所定レベル以上劣化したときに、前記第1通信装置に、前記WANとのダイアルアップ接続処理を、前記第2通信装置を用いた前記WAN上の通信装置へのアクセスの失敗の発生に先行して開始させるようにすればよい。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、モバイルWiMAXのような無線通信網を外部との通信に用いる車載システムにおいて、外部ネットワーク上の通信相手との通信を開始した後に、自動車が無線通信網を利用できない地域に移動した場合に、より短時間に、移動電話網を代用して当該通信相手との通信を完了できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1に、本実施形態に係る車載システム100の構成を示す。
図示するように、車載システム100は、Bluetooth/IEEE802.15.1(「Bluetooth」は、「ザ ブルートゥース エスアイジー インコーポレーテッド」の登録商標)などの近距離無線通信や有線通信を介して移動電話機2と接続する移動電話機インタフェース111、モバイルWiMAX(IEEE802.16e)による無線通信を介してインターネットなどのWAN300に接続するモバイルWiMAXインタフェース112、制御部113、メモリ114、表示装置115、操作部116、GPS受信機118や車両センサ119を備えたナビゲーション装置117を備えている。
【0014】
ここで、車両センサ119は、車速センサや角速度センサなどの車両の各種走行状態を検出するセンサである。また、移動電話機2は、移動電話網を介してWAN300にダイアルアップ接続で接続する機能を備えている。
このような車載システム100において、制御部113は、モバイルWiMAXインタフェース112や移動電話機2を介してWAN300を介したデータ通信を行う。このデータ通信によって、制御部113は、たとえば、WAN300上に配置された情報サーバ400からの交通情報などの各種情報の受信などを行う。
【0015】
次に、ナビゲーション装置117は、地図データを備え、地図データに基づいて、GPS受信機118や車両センサ119の出力から現在位置を算出したり、操作部116で受け付けた目的地までの推奨される経路を、地図データを参照して探索して誘導ルートとして設定したり、地図データが表す地図上に現在位置や目的地や誘導ルートを表した案内画像を表示装置115に表示する処理などを行う。ここで、ナビゲーション装置117は、制御部113が情報サーバ400から取得した交通情報が表す渋滞の発生状況を考慮して、最短時間で目的地に到達できる経路を、誘導ルートとして探索する他、これらの交通情報が表す渋滞の発生状況の変化に応じて目的地までの推奨される経路を再探索して誘導ルートとして再設定する処理を行う。また、ナビゲーション装置117は、これらの交通情報が表す渋滞の発生状況を案内画像上に表示する処理などを行う。
【0016】
さて、このような車載システム100において、制御部113は、前述したWAN300上に配置された情報サーバ400からの交通情報の取得などの、WAN300上の各種サーバへのアクセスを、図2に示すサーバアクセス処理によって実行する。
すなわち、このサーバアクセス処理では、サーバアクセスの要求が発生すると(ステップ202)、モバイルWiMAXインタフェース112が現在、モバイルWiMAXの基地局に接続可能であるかどうかを調べ(ステップ204)、接続可能でなければ、移動電話機インタフェース111を介して移動電話機2を制御して、移動電話網を介してWAN300にダイアルアップ接続する(ステップ220)、そして、ダイアルアップ接続によるWAN接続を用いてサーバへのアクセスを開始し(ステップ230)、サーバへのアクセスが完了したならば(ステップ232)、ダイアルアップ接続によるWAN接続を解除し(ステップ218)、処理を終了する。
【0017】
一方、ステップ204で、モバイルWiMAXの基地局に接続可能であると判定された場合には、モバイルWiMAXインタフェース112を制御して、接続可能な基地局を介してWAN300に接続する(ステップ206)。ただし、既に、モバイルWiMAXによるWAN接続が行われている場合には、ステップ206の処理は行う必要はない。そして、モバイルWiMAXによるWAN接続を用いて、サーバへのアクセスを開始する(ステップ208)。
【0018】
そして、ダイアルアップ接続によるWAN接続が確立していない又はダイアルアップ接続によるWAN接続を確立しようとしていない状態において、その時点で接続可能な全ての基地局からの、モバイルWiMAXインタフェース112における受信電波の電界強度の全てがしきい値Th未満である状態の発生(ステップ210)と、ダイアルアップ接続によるWAN接続が確立している又はダイアルアップ接続によるWAN接続を確立しようとしている状態において、その時点で接続可能ないずれかの基地局からの、モバイルWiMAXインタフェース112における受信電波の電界強度がしきい値Th以上である状態の発生(ステップ212)と、サーバへのアクセスの失敗の発生(ステップ214)と、サーバへのアクセスの完了の発生(ステップ216)を監視する。
【0019】
ここで、モバイルWiMAXは、基地局のハンドオーバー(乗り換え)が可能であり、WAN接続中にモバイルWiMAXインタフェース112が接続する基地局は、自動車の移動に伴って変化する。そして、ステップ210、212で受信電波の電界強度を判定する、その時点で接続可能な基地局とは、モバイルWiMAXインタフェース112が、その時点で接続している基地局と、モバイルWiMAXインタフェース112が接続を切り替えることのできる基地局を指す。また、しきい値Thは、モバイルWiMAXインタフェース112によって正常に基地局と通信できなくなる受信電波の電界強度に所定のマージンを加えた値とする。
【0020】
さて、ダイアルアップ接続によるWAN接続が確立していない又はダイアルアップ接続によるWAN接続を確立しようとしていない状態において、その時点で接続可能な全ての基地局からの、モバイルWiMAXインタフェース112における受信電波の電界強度の全てがしきい値Th未満である状態が発生したならば(ステップ210)、移動電話機インタフェース111を介して移動電話機2に、移動電話網を介したWAN300にダイアルアップ接続を開始させ(ステップ222)、ステップ210-216の監視に戻る。
【0021】
一方、ステップ210-216の監視中に、ダイアルアップ接続によるWAN接続が確立している又はダイアルアップ接続によるWAN接続を確立しようとしている状態において、その時点で接続可能ないずれかの基地局からの、モバイルWiMAXインタフェース112における受信電波の電界強度がしきい値Th以上である状態が発生した場合には(ステップ212)、移動電話機インタフェース111を介して移動電話機2に、移動電話網を介したWAN300にダイアルアップ接続を解除させ(ステップ224)、ステップ210-216の監視に戻る。
【0022】
一方、ステップ210-216の監視中に、サーバへのアクセスの失敗が発生した場合には(ステップ214)、ステップ226に進む。ここで、サーバへのアクセスの失敗は、基地局からの受信電波の電界強度の低下などによりモバイルWiMAXによるWAN接続の品質が劣化し、サーバからアクセス要求に対する応答が所定期間以上受信できなくなった場合などに発生する。
【0023】
そして、ステップ210-216の監視中に、サーバへのアクセスの完了が発生した場合には(ステップ216)、ダイアルアップ接続によるWAN接続が確立している場合には、当該WAN接続を解除し(ステップ218)、処理を終了する。
次に、サーバへのアクセスの失敗が発生しステップ214からステップ226に進んだならば、現在、ダイアルアップ接続によるWAN接続が確立している又はダイアルアップ接続によるWAN接続を確立しようとしている状態かどうかを調べ(ステップ226)、ダイアルアップ接続によるWAN接続が確立している又はダイアルアップ接続によるWAN接続を確立しようとしている状態であれば(ダイアルアップ接続によるWAN接続を確立しようとしている状態の場合にはダイアルアップ接続によるWAN接続の確立後に)、ダイアルアップ接続によるWAN接続を用いてサーバへのアクセスを開始し(ステップ230)、サーバへのアクセスが完了したならば(ステップ232)、ダイアルアップ接続によるWAN接続を解除し(ステップ218)、処理を終了する。一方、ダイアルアップ接続によるWAN接続が確立していない又はダイアルアップ接続によるWAN接続を確立しようとしていなければ(ステップ226)、移動電話機インタフェース111を介して移動電話機2を制御して、移動電話網を介してWAN300にダイアルアップ接続した上で(ステップ228)、ダイアルアップ接続によるWAN接続を用いてサーバへのアクセスを開始し(ステップ230)、サーバへのアクセスが完了したならば(ステップ232)、ダイアルアップ接続によるWAN接続を解除し(ステップ218)、処理を終了する。
【0024】
以上、制御部113が行うサーバアクセス処理について説明した。
次に、このようなサーバアクセス処理による、WAN300上のサーバへのアクセス動作例について説明する。
図3aは、サーバアクセス要求発生時にモバイルWiMAXインタフェース112が基地局に接続可能であって、サーバアクセスを行っている期間中、モバイルWiMAXによるWAN接続の品質が良好に維持された場合についてのものである。
この場合、図示するように、モバイルWiMAXインタフェース112によるWAN接続が確立していないときには、まず、モバイルWiMAXインタフェース112によるWAN300への接続処理301が行われ、モバイルWiMAXによるWAN接続が確立したならば、WAN接続を介したサーバアクセス302が開始される。そして、サーバとの所用のデータ通信を行ってサーバアクセスが完了する。
【0025】
次に、図3bは、サーバアクセス要求発生時にモバイルWiMAXインタフェース112が基地局に接続可能であって、サーバアクセスを行っている期間中に、モバイルWiMAXによるWAN接続の品質が劣化し、サーバアクセスが失敗した場合についてのものである。
この場合、モバイルWiMAXインタフェース112によるWAN接続が確立していないときには、まず、モバイルWiMAXインタフェース112によるWAN300への接続処理311が行われ、モバイルWiMAXによるWAN接続が確立したならば、WAN接続を介したサーバアクセス312が開始される。
【0026】
そして、基地局からの受信電波の電界強度のしきい値Th未満への低下によりモバイルWiMAXによるWAN接続の品質が劣化した時点で、移動電話機2のダイアルアップ接続によるWAN接続処理321が開始される。
そして、その後、モバイルWiMAXによるWAN接続の品質が劣化により、サーバからの応答が所定期間以上受信できずに、サーバアクセス312が失敗したならば、その時点までに確立している移動電話機2のダイアルアップ接続によるWAN接続を用いたサーバアクセス322が開始される。そして、サーバとの所用のデータ通信を行ってサーバアクセスが完了したならば、ダイアルアップ接続によるWAN接続が解除される323。
【0027】
ここで、図示するように移動電話機2のダイアルアップ接続によるWAN接続処理には、比較的長時間を要する。したがって、図示するように、基地局からの受信電波の電界強度のしきい値Th未満への低下によりモバイルWiMAXによるWAN接続の品質が劣化した時点で、サーバアクセスの失敗の発生に先立って、移動電話機2のダイアルアップ接続によるWAN接続処理を開始することにより、モバイルWiMAXによるWAN接続を介したサーバアクセス312が失敗してから、移動電話機2のダイアルアップ接続によるWAN接続処理を開始する場合に比べ、サーバアクセス完了までの時間を短縮することができる。
【0028】
次に、図3cは、サーバアクセス要求発生時にモバイルWiMAXインタフェース112が基地局に接続可能であって、サーバアクセスを行っている期間中に、モバイルWiMAXによるWAN接続の品質が劣化したが、その後、サーバアクセスが失敗する前に、モバイルWiMAXによるWAN接続の品質が良好なレベルに復帰した場合についてのものである。
【0029】
この場合、モバイルWiMAXインタフェース112によるWAN接続が確立していないときには、まず、モバイルWiMAXインタフェース112によるWAN300への接続処理331が行われ、モバイルWiMAXによるWAN接続が確立したならば、モバイルWiMAXによるWAN接続を介したサーバアクセス332が開始される。
【0030】
そして、基地局からの受信電波の電界強度のしきい値Th未満への低下によりモバイルWiMAXによるWAN接続の品質が劣化した時点で、移動電話機2のダイアルアップ接続によるWAN接続処理341が開始され、ダイアルアップ接続によるWAN接続が確立される。
【0031】
そして、その後、モバイルWiMAXによるWAN接続を介したサーバアクセス332が失敗する前に、基地局からの受信電波の電界強度のしきい値Th以上への復帰によりモバイルWiMAXによるWAN接続の品質が良好なレベルに復帰した時点で、移動電話機2のダイアルアップ接続によるWAN接続は解除される342。また、モバイルWiMAXによるWAN接続を介したサーバアクセス332が失敗することなく完了することとなる。
【0032】
ところで、以上のサーバアクセス処理は、サーバアクセス要求発生時(ステップ202)に、モバイルWiMAXによる基地局との接続ができない場合に(ステップ204)は、ステップ220で移動電話機2のダイアルアップ接続処理を行う際に、ダイアルアップ接続完了前に、モバイルWiMAXによる基地局との接続が可能となったならば、ダイアルアップ接続を中止し、ステップ206に進んで、モバイルWiMAXによるWAN接続を確立して、以降の、モバイルWiMAXによるWAN接続を介したサーバアクセスの開始(ステップ208)等の処理を行うようにしてもよい。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、以上では、自動車に搭載される車載システム100への適用を例にとり説明したが、本実施形態におけるサーバアクセス処理は、移動電話網を介したダイアルアップ接続によるWAN接続と、モバイルWiMAXによるWAN接続の双方を行うことのできる任意の通信システムに同様に適用することができる。また、サーバ以外のWAN300上の任意の通信装置にアクセスする場合に同様に適用することができる。
【0034】
また、本実施形態におけるモバイルWiMAXによる無線通信網は、WiMAXによる無線通信網や無線LANなどの、移動電話網以外の任意の無線通信網に置き換えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る車載システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るサーバアクセス処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係るサーバアクセス処理の処理例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
2…移動電話機、100…車載システム、111…移動電話機インタフェース、112…インタフェース、113…制御部、114…メモリ、115…表示装置、116…操作部、117…ナビゲーション装置、118…GPS受信機、119…車両センサ、300…WAN、400…情報サーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載された車載システムであって、
移動電話網を介して外部のWANにダイアルアップ接続する移動電話機と接続する移動電話機インタフェースと、
前記移動電話網と異なる無線通信網を介して外部のWANに接続する無線通信装置と、
前記無線通信装置を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセスを制御すると共に、前記無線通信装置を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセスの失敗が発生したときに、前記移動電話機インタフェースに接続された前記移動電話機の前記外部のWANとのダイアルアップ接続を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセスを制御するアクセス制御手段とを有し、
前記アクセス制御手段は、前記無線通信装置を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセス処理中に、前記無線通信装置と前記無線通信網との通信品質が所定レベル以上劣化したときに、前記移動電話機インタフェースに接続された前記移動電話機に、前記外部のWANとのダイアルアップ接続処理を、前記無線通信装置を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセスの失敗の発生に先行して開始させることを特徴とする車載システム。
【請求項2】
請求項1記載の車載システムであって、
前記無線通信装置が前記無線通信網から受信する電波の電界強度を検出する受信レベル検出手段を有し、
前記アクセス制御手段は、前記受信レベル検出手段が検出した電界強度に基づいて、前記無線通信装置と前記無線通信網との通信品質を判定することを特徴とする車載システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の車載システムであって、
前記アクセス制御手段は、前記無線通信装置と前記無線通信網との通信品質が所定レベル以上劣化したときに、前記移動電話機インタフェースに接続された前記移動電話機に、前記外部のWANとのダイアルアップ接続処理を開始させた後、前記無線通信装置を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセスの失敗が発生する前に、前記無線通信装置と前記無線通信網との通信品質が所定レベル以上良好なレベルに復帰した場合に、前記移動電話機インタフェースに接続された前記移動電話機に、前記外部のWANとのダイアルアップ接続を解除させることを特徴とする車載システム。
【請求項4】
外部のWAN上の通信装置にアクセスする通信システムであって、
移動電話網を介して前記WANにダイアルアップ接続する第1通信装置と、
前記移動電話網と異なる無線通信網を介して前記WANに接続する第2通信装置と、
前記第2通信装置を用いた前記WAN上の通信装置へのアクセスを制御すると共に、前記第2通信装置を用いた前記WAN上の他の通信装置へのアクセスの失敗が発生したときに、前記第1通信装置の前記WANとのダイアルアップ接続を用いた前記WAN上の他の通信装置へのアクセスを制御するアクセス制御手段とを有し、
前記アクセス制御手段は、前記第2通信装置を用いた前記WAN上の他の通信装置へのアクセス処理中に、前記第2通信装置と前記無線通信網との通信品質が所定レベル以上劣化したときに、前記第1通信装置に、前記WANとのダイアルアップ接続処理を、前記第2通信装置を用いた前記WAN上の他の通信装置へのアクセスの失敗の発生に先行して開始させることを特徴とする通信システム。
【請求項5】
移動電話網を介して外部のWANにダイアルアップ接続する移動電話機と接続する移動電話機インタフェースと、前記移動電話網と異なる無線通信網を介して外部のWANに接続する無線通信装置とを備えた、自動車に搭載された車載システムにおいて、前記外部のWAN上のサーバへのアクセスを制御するアクセス制御方法であって、
前記無線通信装置を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセスを開始するステップと、
前記無線通信装置を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセス処理中に、前記無線通信装置と前記無線通信網との通信品質が所定レベル以上劣化したときに、前記移動電話機インタフェースに接続された前記移動電話機に、前記外部のWANとのダイアルアップ接続処理を開始させるステップと、
前記無線通信装置を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセスの失敗が発生したときに、前記移動電話機インタフェースに接続された前記移動電話機の前記外部のWANとのダイアルアップ接続を用いた前記外部のWAN上のサーバへのアクセスを実行するステップとを有することを特徴とするアクセス制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−74335(P2010−74335A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237437(P2008−237437)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】