説明

車載内燃機関の制御装置

【課題】車両操作に基づく自動停止・再始動可能な車載内燃機関にあって機関が完全に停止していないときのスタータ介入による機関の再始動性を改善することのできる車載内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】クランクシャフト11との常時噛み合い式のスタータ20を備えるとともに、車両操作の所定の条件下において自動停止・再始動の可能な内燃機関10を制御の対象とする。車両操作の所定の条件のもとに停止指令の発せられた内燃機関10の再始動条件成立に基づく再始動時、機関回転速度が自律運転に復帰不可能な範囲にあるときのスタータ20の介入による内燃機関10の再始動を制御する。その際、機関回転速度が機関停止には至っていないものの自律運転に復帰不可能な範囲にあることを条件に、内燃機関10のスロットルバルブ12を一定期間だけ開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車載内燃機関の制御装置に関し、特に車両操作の所定の条件下において自動停止・再始動の可能な内燃機関を対象としてその再始動時の始動性を制御する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1に記載の装置のように、車両操作に係る所定の条件が成立した場合に内燃機関の運転を自動的に停止させるとともに、この条件の解除を契機として再び内燃機関を始動させる、いわゆるエコノミーランニング機能を有する車載内燃機関の制御装置が知られている。より詳細には、こうした車載内燃機関の制御装置は、その制御対象である内燃機関を搭載した車両が信号待ち等により一時的に停車したとき、すなわち車両の走行速度が所定以下であること、運転者によるアクセルペダルの操作量が「0」であること、及び運転者によりブレーキペダルが踏み込まれていること等の条件が成立したとき、内燃機関の自動停止条件が成立したと判断する。そして、この判断のもとに内燃機関に噴射する燃料量を「0」とする、いわゆる燃料カットを実行して機関運転を自動停止させる。その後、運転者によるアクセルペダルの操作量が「0」でないこと、あるいは運転者によるブレーキペダルの踏み込みがないこと等の条件が成立したとき、内燃機関の再始動条件が成立したと判断し、内燃機関の補機である発電電動機を駆動して機関運転を再開させる。同文献に記載の制御装置では、こうした一連の制御により、機関運転に係る燃料消費量の低減を可能としている。
【0003】
一方近年は、例えば特許文献2に記載の装置のように、内燃機関の始動装置であるスタータとして、その出力軸に設けられたピニオンギヤと同ピニオンギヤの回転力を内燃機関のクランクシャフトに伝達するリングギヤとが機関始動時に限らず常に噛み合わされた状態におかれるスタータが採用されることも多い。こうした常時噛み合い式のスタータによれば、機関始動時にのみピニオンギヤとリングギヤとが噛み合わされる従来のスタータに比べて機関始動に係る時間を短縮することが可能となる。そのため、上記特許文献1に記載の装置のような自動停止・再始動の可能な内燃機関での再始動時、すなわち通常の機関始動時よりも迅速さが求められる場面においては、この常時噛み合い式のスタータによる機関始動が特に有効である。
【特許文献1】特開2005−36790号公報
【特許文献2】特開2006−63913号公報
【特許文献3】特開昭63−235633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スタータによる内燃機関の始動時には通常、例えば特許文献3に記載の装置のように、そのときの機関冷却水温や吸気温等に応じて内燃機関の自律運転時よりも燃料噴射量を増量してその始動性を高めるようにしている。そして、こうした機関始動時における燃料噴射量の増量は、上記自動停止・再始動可能な内燃機関にも適用することができる。すなわち、このような自動停止・再始動の可能な内燃機関にあっては、イグニッションスイッチをオンすることにより機関を始動する通常の機関始動時のみならず、機関の自動停止後の再始動時にも、上記燃料噴射量の増量が実行されることとなる。ただし、こうした自動停止・再始動の可能な内燃機関においては、その自動停止から再始動に至るまでの経過時間や機関回転数等によって、
A.内燃機関が完全に停止しており、スタータの介入した再始動が必要。
【0005】
B.内燃機関が完全に停止してはいないが、自律運転への移行が不可能であるため、ス
タータの介入した再始動が必要。
C.内燃機関が完全に停止しておらず、自律運転への移行が可能。
といったように、再始動時の機関状態が必ずしも一致しない。このうち、特に上記C.の状態にあれば、機関の自動停止過程から通常運転への移行も容易であり、運転者の要求に応じて迅速に再始動(車両の発進)が可能である。また、上記A.の状態にあっても、内燃機関が完全に停止して、いわばイグニッションスイッチのオンによる通常の機関始動とほぼ同様の条件となっているため、この通常始動に準じた態様にて適切に機関の再始動を図ることが可能である。一方、上記B.の状態の場合、これも再始動時にスタータの介入があるため、上記A.の状態あるいは通常始動と同様に燃料噴射量が増量される。しかしながら、これらA.の状態での再始動時あるいは通常始動時は、機関が完全に停止しているため、吸気管内の圧力が大気圧となっているのに対し、上記B.の状態では機関回転に伴う負圧が吸気管内に残存している。そのため、このB.の状態ではシリンダ内に導入される空気量が制限され、この状態で上記燃料噴射量の増量が行われると、オーバーリッチ状態となって、混合気の着火性が悪化する虞がある。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両操作に基づく自動停止・再始動可能な車載内燃機関にあって機関が完全に停止していないときのスタータ介入による機関の再始動性を改善することのできる車載内燃機関の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、機関出力軸との常時噛み合い式のスタータを備えるとともに、車両操作の所定の条件下において自動停止・再始動の可能な車載内燃機関を制御の対象とし、車両操作の所定の条件のもとに停止指令の発せられた内燃機関の再始動条件成立に基づく再始動時、機関回転速度が自律運転に復帰不可能な範囲にあるときのスタータ介入による機関の再始動を制御する車載内燃機関の制御装置であって、前記再始動条件成立時の機関回転速度が機関停止には至っていないものの前記自律運転に復帰不可能な範囲にあることを条件に、前記内燃機関の吸入空気量調量弁であるスロットルバルブを一時的に開放するようにしたことをその要旨とする。
【0008】
上記請求項1に係る発明の構成では、再始動条件が成立したときの機関回転速度が停止に至っていない、すなわち「0」でなく、且つ自律運転に復帰不可能な範囲にあることを条件に、内燃機関の吸入空気量を調量するスロットルバルブを一時的に開放するようにしている。これにより、吸気管内に残存する負圧が低減されて、機関内に吸入される空気量も通常始動時とほぼ同等に確保することが可能となるため、吸入空気に対して噴射燃料量が過多となることが抑制され、ひいてはスタータ介入による機関の再始動性を改善することが可能となる。
【0009】
なお、従来の制御装置として、内燃機関の再始動条件が成立したときの機関回転速度にかかわらず、吸気管に残存する負圧を低減するためにスロットルバルブを一時的に開放するようにしたものもある。こうした装置にあっては、上記再始動条件成立時の機関回転速度が比較的高回転である場合、すなわち、例えば機関停止条件が成立してから再始動条件が成立するまでの時間が短い等の理由でスタータの介入なしに自律運転に復帰できる回転速度である場合にも、再始動時にスロットルバルブの開放が実行されることとなる。このように自律運転に復帰可能なほどに機関回転速度が高い状態でスロットルバルブの開放が行われると、機関回転による吸入空気の牽引によって、内燃機関に吸入される空気量が過剰となり、スロットルバルブの開放に伴って機関回転速度が過度に上昇する、いわゆる機関回転の吹き上がりが生じる虞がある。この点、上記請求項1に係る発明によれば、内燃
機関を再始動する条件が成立したときの機関回転速度が自律運転に復帰不可能な範囲にあるときに限って上記スロットルバルブの一時的な開放を実行するようにしているため、このような機関回転の吹き上がりも好適に回避されるようになる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載内燃機関の制御装置において、前記機関回転速度が自律運転に復帰不可能な範囲の上限回転速度が当該内燃機関のアイドル回転速度未満の回転速度であることをその要旨とする。
【0011】
上記構成のように、自律運転に復帰不可能な機関回転速度の上限を当該内燃機関のアイドル回転速度未満とすれば、スロットルバルブを一時的に開放することに起因して機関回転速度が過剰に上昇することもなくなる。なお、当該内燃機関のアイドル回転速度が600〜800rpmである場合、上記自律運転に復帰不可能な範囲の上限回転速度としてはこれよりもやや低めの500rpm程度が望ましい。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車載内燃機関の制御装置において、前記スロットルバルブの開放期間が、前記再始動条件成立時から前記機関出力軸の回転に起因して同機関の吸気管内に残存する負圧を解消し得る一定の期間に設定されることをその要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、スロットルバルブの開放期間を機関の吸気管内に残存する負圧を解消し得る一定の期間としているため、吸気管負圧が確実に解消されることとなり、吸入空気量の確保、ひいては混合気のオーバーリッチ化の回避も容易となる。なお、この開放期間の目安としては、機関再始動条件の成立時から250ms程度の期間が望ましく、これによって吸気管内の残存負圧を解消するために十分な時間が確保されるとともに、スロットルバルブの過度の開放により吸入空気量が過剰となることも回避可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車載内燃機関の制御装置において、前記スロットルバルブの開放期間として設定される前記一定の期間の中で、前記再始動条件成立時の機関回転速度が高いほど、前記スロットルバルブの開弁度合いが大きく設定されることをその要旨とする。
【0015】
スロットルバルブの開度等、他の条件が同一である場合には、機関回転速度が大きいほど吸入空気を牽引する力が大きくなるため、吸気管内に残存する負圧も大きくなる。すなわち、機関運転の再始動条件が成立したときの機関回転速度が高いほど吸気管負圧も大きくなる。そこで、上記請求項4に係る発明によるように、上記一定の期間に渡るスロットルバルブ開放時のその開度を、上記自律運転に復帰不可能な機関回転速度の範囲内で、機関回転速度が高いほど大きく設定するようにすれば、その都度の機関回転速度によることなく確実に吸気管負圧を解消することができるようになる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車載内燃機関の制御装置において、前記再始動条件成立に伴う前記スタータの駆動が前記スロットルバルブの一時的な開放の後に行われることをその要旨とする。
【0017】
上記構成においては、スタータの駆動をスロットルバルブの一時的な開放の後に実行するようにしている。すなわち、スタータ介入による機関再始動時の各種制御が開始される以前に上記スロットルバルブの一時的な開放による負圧抜きが行われるため、それら各種制御の制御性や自由度も好適に維持されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る車載内燃機関の制御装置を自動変速機付車両、いわゆるAT車に搭
載されて、車両操作の所定の条件下における自動停止・再始動が可能な内燃機関に適用した一実施の形態について、図1〜図5を参照して説明する。
【0019】
まず、本実施の形態の制御装置が制御の対象とする車載内燃機関の概要について図1〜図3を参照して説明する。
図1は、自動変速機付車両に搭載される直列4気筒内燃機関及びその周辺構成の概略を示したものである。この図1に示されるように、内燃機関10の直列に配列された4つのシリンダ#1,#2,#3,#4には、これらシリンダ#1,#2,#3,#4に空気を供給する吸気管13、及び同シリンダ#1,#2,#3,#4での燃料と空気との混合気の燃焼により発生した排気が排出される排気管16がそれぞれ接続されている。なお、これら吸気管13及び排気管16は、シリンダ#1,#2,#3,#4との接続部で1本から4本に分岐しており、吸気管13についてはこの分岐点よりも上流に、その流入空気量を調量するスロットルバルブ12と、同流入空気量を計測するエアフローメータ47とが設けられている。また、上記シリンダ#1,#2,#3,#4での燃焼に供される燃料を高圧化しつつ燃料タンクから同シリンダ#1,#2,#3,#4へ輸送する燃料供給管14が設けられているとともに、この燃料供給管14には上記高圧燃料をシリンダ#1,#2,#3,#4内に直接噴射する燃料噴射弁15が接続されている。
【0020】
一方、上記シリンダ#1,#2,#3,#4のそれぞれには、吸気管13から供給される空気と燃料噴射弁15から噴射される燃料との混合気の燃焼に伴い、同シリンダ内#1,#2,#3,#4を上下運動するピストンが設けられている。そして、これらピストンのそれぞれは、その上下運動を回転運動に変換するコネクティングロッドを介して1本のクランクシャフト11に連結されている。このクランクシャフト11は、その一端が、車両の走行速度や内燃機関10の回転速度等の運転状況に応じて機関回転の減速度合いである変速比を自動的に変更する自動変速機30を介して駆動輪に接続されている。また、同クランクシャフト11の他端に設けられたプーリ34と発電電動機33の出力軸の端部に設けられたプーリ35とにはベルト36が掛架されている。この発電電動機33は、クランクシャフト11の回転を利用して発電して、その電力をバッテリ31に充電するとともに、同クランクシャフト11の回転が停止している際にエアコンディショナー(正確にはそのコンプレッサ)等の補機を駆動させるときには電動機として機能するものである。なお、クランクシャフト11の上記プーリ34との連結部には、ベルト36を介しての発電電動機33との駆動連結を断接する電磁クラッチ32が設けられている。
【0021】
このような内燃機関10の運転時には、機関運転状態に応じてスロットルバルブ12によって調量された空気が、吸気管13からシリンダ#1,#2,#3,#4に供給されるとともに、シリンダ#1,#2,#3,#4内でこの空気と燃料噴射弁15から噴射された燃料との混合気が燃焼され、この燃焼によって生じた排気が排気管16に排出される。こうした燃焼に伴って、シリンダ#1,#2,#3,#4内を上下動するピストンの運動はコネクティングロッドにより回転運動に変換されてクランクシャフト11を回転させる。このクランクシャフト11の回転は、電磁クラッチ32によって接続されたプーリ34を介して発電電動機33に伝達され、同発電電動機33において発電が行われる。一方、内燃機関10の停止時に上記エアコンディショナー(コンプレッサ)等の補機を駆動するような場合には、電磁クラッチ32によりクランクシャフト11とプーリ34との接続が断たれた後、発電電動機33が電動機として機能して上記補機を駆動する。
【0022】
また内燃機関10には、その運転が停止している際、イグニッションスイッチがオンされたことを契機に、上記バッテリ31から供給される電力を用いてクランクシャフト11を回転させ、内燃機関10の自律運転を促す始動装置としてスタータ20が設けられている。
【0023】
次に、このスタータ20、及び同スタータ20の回転力をクランクシャフト11に伝達する機構についてその構成を図2を参照して詳述する。
同図2に示されるように、クランクシャフト11の自動変速機30側端部に設けられた大径部11aには、転がり軸受である玉軸受26が圧入されているとともに、この玉軸受26の外周には、円盤状をなすリングギヤ21の内周に設けられたインナーレース23が嵌合されている。また、クランクシャフト11には、リングギヤ21のインナーレース23と径方向にて対向し、リングギヤ21の上記クランクシャフト11に対する特定方向の回転のみを伝達するワンウェイクラッチ22を狭持するアウターレース25を備えてこれも円盤状をなすアウターレース部材24が挿入されている。そして、このアウターレース部材24は、クランクシャフト11の自動変速機30側に挿入されて同クランクシャフト11の回転むらを抑制するフライホイール11bとともに、上記大径部11aにボルト27により締結されている。
【0024】
一方、上記リングギヤ21は、その外周に設けられた歯が、スタータ20の出力軸20aに設けられたピニオンギヤ20bの歯と常時噛み合わされている。
このようなスタータ20を用いて停止状態にあるとする内燃機関10の始動を行う際には、次のような態様にて、その動力の伝達、解除が行われることとなる。
【0025】
まず、イグニッションスイッチのオンに伴い、バッテリ31から供給された電力によりスタータ20が回転する。このスタータ20の回転により、その出力軸20aに設けられたピニオンギヤ20bが回転し、このピニオンギヤ20bの回転がこれと常時噛み合わされているリングギヤ21に伝達される。こうしてリングギヤ21に対する動力伝達が開始されると、このリングギヤ21と上記アウターレース部材24とを継合するワンウェイクラッチ22により、アウターレース部材24ともどもこれが締結されているクランクシャフト11が回転される。
【0026】
他方、こうしたクランクシャフト11の回転を経て内燃機関10が自律運転を開始し、クランクシャフト11の回転速度がスタータ20の回転速度、すなわちスタータ20に連動して回転するリングギヤ21の回転速度よりも高くなると、リングギヤ21の回転方向がクランクシャフト11と連動して回転するアウターレース部材24の回転方向に対して相対的に逆向きとなる。これにより、ワンウェイクラッチ22によるリングギヤ21とアウターレース部材24との継合が解除されることとなり、クランクシャフト11の回転がアウターレース部材24及びリングギヤ21を介してスタータ20に伝達されることはなくなる。そのため、上記ピニオンギヤ20bとリングギヤ21とが常時噛み合わされた状態であっても、例えば機関始動時のように必要なときに限りスタータ20及びリングギヤ21を回転させることができるようになる。そして、こうした常時噛み合い式のスタータ20によれば、スタータ20の駆動毎にピニオンギヤ20bとリングギヤ21とを噛み合わせるタイプのスタータと比較して、これらギヤ20b、21同士の噛み合わせに係る時間を省略できる分、内燃機関の始動に係る時間を短縮することが可能となる。
【0027】
また一方、先の図1に示されるように、内燃機関10、あるいは同内燃機関10の搭載された車両には、これら内燃機関10あるいは車両の運転状態を検出するセンサとして、
・内燃機関10の回転速度を検出する機関回転速度センサ41。
【0028】
・内燃機関10の搭載された車両の走行速度を検出する車速センサ42。
・内燃機関10を冷却する機関冷却水の温度を検出する冷却水温センサ43。
・バッテリ31の充電量を算出するために、バッテリとの間で出入りする電流を検出するバッテリ電流センサ44。
【0029】
・車両に設けられたアクセルペダルの操作量を検出するアクセル開度センサ45。
・同じく車両に設けられたブレーキペダルの操作量を検出するブレーキペダルセンサ46。
等々が設けられており、これらセンサ41〜46による検出信号及び上記エアフローメータ47の検出信号が、電子制御装置40に入力される。この電子制御装置40は、演算処理装置(CPU)やプログラムメモリ(ROM)、データメモリ(RAM)等を有して上記自動変速機30、燃料噴射弁15、及びスタータ20等の制御を含む各種制御を実行するマイクロコンピュータを中心に構成されている。そして、このマイクロコンピュータの周辺回路として、上記各種センサの検出信号が取り込まれる入力部、そしてマイクロコンピュータからの指令に基づき各種アクチュエータを駆動するドライバ等が設けられている。この電子制御装置40の入力部には上述の各種センサが、他方出力部には、各々対応するドライバを介して自動変速機30の変速比制御に係るアクチュエータ、燃料噴射弁、スタータ20等がそれぞれ電気的に接続されている。
【0030】
また、このように構成された電子制御装置40では、上記内燃機関10を搭載した車両の運転状態や、その操作に応じて内燃機関10の運転を自動的に停止及び再始動させる、いわゆるエコノミーランニングに係る制御も実行する。このエコノミーランニングに係る制御の詳細を、図3を参照して以下に説明する。
【0031】
同図3に示されるように、停止状態にある車両のイグニッションスイッチ(IG)が運転者によって「OFF(オフ)」位置から「ON(オン)」位置に操作され、上記電子制御装置40が起動されると、同電子制御装置40はエコノミーランニングに係る制御の制御モードを通常の内燃機関の運転停止を示すモードである「モード0」に設定する。また、運転者によりイグニッションスイッチが「STA(スタート)」位置に操作されると、上記スタータ20が回転駆動され、この回転に伴ってクランクシャフト11が回転されることにより内燃機関10が始動される。そして、こうした始動が完了し、内燃機関10が自律運転を開始すると、制御装置は上記制御モードを機関運転状態を示す「モード1」に設定する。この「モード1」が設定された状態で、運転者により再びイグニッションスイッチが操作されて、その位置が「OFF(オフ)」位置とされると、電子制御装置40は、通常の機関停止処理を実行して内燃機関10を停止させるとともに、制御モードを変更して「モード0」とする。なお、制御モードが上記「モード1」にあるときには、クランクシャフト11に設けられた上記電磁クラッチ32(図1)により、同クランクシャフト11と発電電動機33とが連結される。そのため、発電電動機33はクランクシャフト11の回転に連動して回転されて発電し、この発電された電力がバッテリ31に充電されることとなる。
【0032】
一方、内燃機関10が運転状態にあるときに、換言すれば上記制御モードが「モード1」に設定されているときに、例えば信号待ち等で車両が一時的に停止したことによって内燃機関10を自動停止させる条件が成立すると、電子制御装置40は制御モードを「モード2」に変更する。なお、上記自動停止条件としては、
・アクセル操作量が「0」であること。
【0033】
・車両の走行速度SPが所定速度SPa以下であること。
・ブレーキペダルが踏み込まれていること。
・機関冷却水の温度TWが所定温度TWa以上であること。
【0034】
・バッテリ31の充電量VBATが所定値VBATa以上であること。
等が挙げられ、特に、本実施の形態においては、電子制御装置40がその入力部に接続された各種センサ42,43,44,45,46の検出信号からこうした条件が全て成立したと判断したときに、内燃機関10の自動停止条件が成立したと判断するようにしている。なお、上記自動停止条件の成立判断に用いられる閾値である各種数値SPa,TWa,
VBATaは、予め実験等によって算出され、電子制御装置40(マイクロコンピュータ)の備えるプログラムメモリ(ROM)に記憶されている。ちなみに、上記所定温度TWaとしては、機関を再始動したときの混合気の燃焼に支障をきたさない最低温度が、また、所定値VBATaとしては、機関運転が可能な範囲の最小値がそれぞれ設定されている。
【0035】
このように上記自動停止条件の成立によって制御モードが「モード2」に設定されると、電子制御装置40は、燃料噴射弁15によるシリンダ#1,#2,#3,#4内への燃料噴射を停止させ、機関運転を停止させようとする。その後、内燃機関10の運転が完全に停止すると、例えば機関回転速度センサ41による検出信号が機関回転速度が「0」である旨を示している等すると、電子制御装置40は上記制御モードを自動停止による機関運転の停止を表す「モード3」に変更する。なお、制御モードがこの「モード3」にあるときには、上記電磁クラッチ32によるクランクシャフト11と発電電動機33との連結が解除される。そして、この解除に伴い、発電電動機33が電動機として駆動され、この出力によりエアコンディショナー(コンプレッサ)等の補機が駆動されることとなる。
【0036】
他方、制御モードが上記「モード3」に設定されているときに、内燃機関10を再始動させる条件が成立すると、電子制御装置40は制御モードを「モード4」に変更する。この再始動条件としては、
・ブレーキペダルの踏み込みが解除されたこと。
【0037】
・アクセルペダルの操作量が「0」でないこと。
・バッテリ31の充電量VBATの充電量が所定値未満VBATaに低下したこと。
等が挙げられ、本実施の形態においては、電子制御装置40がその入力部に接続された各種センサ44,45,46の検出信号からこうした条件のいずれかが成立したと判断したときに、同電子制御装置40が内燃機関10の再始動条件が成立したと判断するようにしている。
【0038】
こうして上記制御モードが「モード4」に設定されると、上記常時噛み合い式のスタータ20が駆動され、これに伴いクランクシャフト11が回転されて内燃機関が再始動される。また、上記電磁クラッチ32によりクランクシャフト11と発電電動機33とが再び接続され、同発電電動機33は発電機として機能するようになる。その後、スタータ20による再始動を経て内燃機関10が自律運転を開始すると、電子制御装置40は制御モードを「モード1」に設定する。
【0039】
このように、本実施の形態の電子制御装置40は、内燃機関10あるいは車両の運転状態や車両操作に応じて、機関運転を自動停止・再始動させることで、内燃機関10が消費する燃料量の低減を可能としている。
【0040】
ところで、上記制御モードが「モード2」に設定されているものの、例えば機関が完全停止に足るだけの時間を置かずに上記再始動条件が成立する等して、機関が完全に停止する前に、すなわち上記「モード3」を経ずに機関を再始動する制御モードである「モード4」に移行する場合がある。このとき、内燃機関の回転速度が自律運転に復帰可能な範囲であれば、すなわち、スタータ20の介入によるクランクシャフト11の回転を経ずとも機関運転が再開可能であれば、機関運転状態に応じて燃料噴射や点火を実行することにより通常の運転に復帰される。そして、これに伴い、制御モードも「モード1」に変更される。他方、内燃機関の回転速度が自律運転に復帰不可能な範囲であれば、すなわち上述のようなスタータ20の介入による機関始動を行わなければ機関運転を再開できないときには、通常の始動時と同様の機関始動が実行される。しかしながら、上述した通常の始動時、あるいは「モード4」時における機関再始動時には機関運転が完全に停止しているのに
対し、「モード2」から「モード4」への移行時には機関運転が停止していない。そのため、こうした制御モードの移行後の再始動時には、同制御モードへの移行時における機関回転速度に応じて上記吸気管13に負圧が残存することとなる。換言すれば、機関運転が完全に停止しているときに比較して、機関運転が停止していないときには残存負圧の分だけシリンダ内に吸入される空気量が制限され、その量が少なくなる。しかし、スタータ20の介入による機関始動の実行時には前述のように、機関冷却水温等に応じて予め設定された始動時燃料噴射量相当の燃料量が燃料噴射弁15からシリンダ#1,#2,#3,#4内に噴射されることから、このように吸入空気量の制限される機関運転が完全に停止していない状態でのスタータ20を用いての再始動時には、吸入空気量に対する噴射燃料量が過剰となり、混合気の着火性を悪化させる虞がある。
【0041】
そこで、本実施の形態の電子制御装置40においては更に、内燃機関10の自動停止後の再始動処理を通じて、機関運転が完全に停止していないときのスタータ20介入による機関の再始動性を改善するようにしている。
【0042】
以下に、電子制御装置40にて実行されるこうした再始動処理の詳細を図4、図5を参照して説明する。
図4は、上記電子制御装置40を通じて実行される内燃機関10の再始動処理の処理手順を示すフローチャートである。この再始動に係る処理は、上記自動停止条件の成立後、機関運転が完全に停止していない状態で再始動条件が成立することをもって実行される。
【0043】
同図4に示されるように、この処理ではまず、自動停止条件成立中にこうした状態で内燃機関を再始動させる条件が成立したか否かが判断される(ステップS401)。なお、この再始動条件とは、上述の3つの条件のうちのいずれかが成立したことをもって判断される。
【0044】
そして、再始動条件が成立したと判断された場合には(ステップS401:YES)、上記機関回転速度センサ41の出力から算出される回転速度の値に基づき、このときの機関回転速度がアイドル回転速度(600〜800rpm)よりもやや低めの回転速度である500rpmよりも大きいか否かが判断され(ステップS402)、機関回転速度が500rpmよりも大きい場合には(ステップS402:YES)、機関回転速度が自律運転に復帰可能な範囲であると判断し、上記スタータ20を介入させずに内燃機関10の再始動を実行する(ステップS403)。すなわち、アクセルペダルの踏み込み等に応じて通常運転時と同様の態様にて燃料噴射量やその時期、及び点火時期等を算出して機関運転を開始させる。また、機関回転速度が500rpm以下であると判断された場合には(ステップS402:NO)、機関回転に伴って吸気管13内に残存している負圧を解消するための負圧抜き処理が実行される(ステップS404)。具体的には、上記ステップS402にて機関回転速度が自律運転に復帰不可能な範囲であると判断されてから250msに渡り、吸気管13に設けられたスロットルバルブ12を開放する。なお、吸気管13の残存負圧を解消するためにこのようなスロットルバルブ12の開放を実行すると、シリンダ#1,#2,#3,#4内に吸入される空気量が過剰となり機関が過回転する、いわば機関回転の吹き上がりが生じる虞があるものの、本実施の形態のようにスロットルバルブ12の開放期間を250msに限ることにより、しかもこうした負圧抜き処理を500rpm以下の機関回転速度に限って実行することによりこうした吹き上がりの可能性を排除している。
【0045】
その後、スタータ20を駆動してクランクシャフト11を回転させるとともに(ステップS405)、上記冷却水温センサ43によって検出される機関冷却水温等に基づいて予め設定された始動時燃料噴射量により燃料噴射弁15から燃料を噴射させ、この噴射された燃料との混合気に対して点火を実行する(ステップS406)。なお、始動時燃料噴射
量は予め行われた実験等の結果に基づき算出されたものであり、例えば機関冷却水温毎の値がプロットされたマップとして電子制御装置40のプログラムメモリ(ROM)に記憶されている。また、本実施の形態においては、上記負圧抜き処理としてのスロットルバルブ12の開放が完了してから100ms後にスタータ20を駆動するようにしている。すなわち、スタータ20の介入による機関再始動時の各種制御が開始される以前に、スロットルバルブ12の一時的な開放による負圧抜きが完了されるようにしている。これにより、機関再始動時における各種制御の制御性やその自由度が高く維持されるようになる。
【0046】
図5は、図4に示した再始動処理に基づく動作例として、(a)走行モードの推移例、(b)機関回転速度(実線)の推移例、(c)スロットルバルブ開度の推移例、(d)スタータの駆動時期、及び(e)始動時燃料噴射の実行時期をそれぞれタイミングチャートとして示したものである。
【0047】
同図5に示されるように、いまタイミングt1にて、車両の走行中に内燃機関10の自動停止条件が成立したとすると、電子制御装置40により上記制御モードが「モード1」から「モード2」に変更され、これに伴いスロットルバルブ12の開度も全閉若しくは全閉にほぼ等しい開度に制御される。そしてその後、タイミングt2にて機関の再始動条件が成立するまでの期間は機関回転速度は停止に向かって徐々に低下する。そして、タイミングt2にて上記再始動条件が成立し、このときの機関回転速度が500rpm以下であったとすると、上述のようにスロットルバルブ12がタイミングt3までの250msの間だけ開放される。そしてその後は、このスロットルバルブ12が閉じられてから100ms後のタイミングt4にスタータ20が駆動され、タイミングt6に渡るこのスタータ20の駆動中、例えばタイミングt5に始動時燃料噴射が実行される。このようなスタータ20の駆動及び始動時燃料噴射の実行により内燃機関が自律運転に至るとスタータ20の駆動が停止され、制御モードが「モード4」から「モード1」に変更される。
【0048】
なお、図5(b)において二点鎖線で参考までに表す機関回転速度の推移例は、例えば機関回転速度が自律運転に復帰可能な範囲であるにもかかわらず、スロットルバルブ12の開放(負圧抜き)処理を実行した場合の機関回転速度の挙動の一例である。この図5(b)にこの二点鎖線で示すように、制御モードが「モード1」から「モード2」に変更され、機関運転の停止処理が実行されているにもかかわらず、例えばパージ弁の固着等に起因して燃料蒸気がシリンダ#1,#2,#3,#4内に流入して燃焼が継続される等、機関回転速度の十分な低下が得られないこともある。そして、このような状況の中で上記再始動条件の成立に伴いスロットルバルブ12の開放(負圧抜き)処理が実行されると、同じく図5(b)に二点鎖線で示すような機関回転速度の吹き上がりが生じることともなる。この点、本実施の形態においては上述のように、再始動条件成立時の機関回転速度が500rpmより大きい場合には、スロットルバルブ12によるこうした開放(負圧抜き)処理を禁止するようにしているため、このような吹き上がりが生じることもない。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態に係る車載内燃機関の制御装置によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)クランクシャフト11との常時噛み合い式のスタータ20を備える自動停止・再始動の可能な内燃機関10の再始動条件成立に基づくスタータ20の介入による再始動の実行時、機関回転速度が500rpm以下(「0」を含まない)であることを条件にスロットルバルブ12を一時的に開放するようにした。これにより、自動停止処理時の機関回転に伴う吸気管13内の負圧を解消することができ、スタータ20の駆動に伴って始動時燃料噴射が実行されても、内燃機関10に吸入される空気量に対する噴射燃料量の割合が過剰となることを回避することができるようになる。すなわち、スタータ20の介入による機関の再始動性を改善することが可能となる。
【0050】
(2)機関回転速度が自律運転に復帰不可能な範囲の上限回転速度として、当該内燃機関10のアイドル回転速度よりもやや低めの上記500rpmに設定した。これにより、スロットルバルブ12を開放することに起因する機関回転速度の過剰な上昇を抑制することができるようになる。
【0051】
(3)スロットルバルブ12の一時的な開放期間を250msに設定した。これにより、吸気管13内の負圧を抑制もしくは解消しつつ吸入空気量の確保を可能として、機関燃焼のオーバーリッチ化を回避することができるようになる。
【0052】
(4)再始動条件成立に伴うスタータ20の駆動が、スロットルバルブ12の一時的な開放が完了してから100ms後に行われるようにした。すなわち、スタータ20の介入による機関再始動時の各種制御が開始される以前に、スロットルバルブ12の一時的な開放による負圧抜きが完了されるようにしている。これにより、機関再始動時における各種制御の制御性やその自由度も高く維持されるようになる。
【0053】
なお、上記実施の形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・内燃機関10の自動停止・再始動条件は上記実施の形態にて例示した条件に限らず、一時的な車両走行の停止であること、あるいはこうした走行停止からの復帰であることが判断できる条件であればよい。
【0054】
・ワンウェイクラッチ22等の構成も上記実施の形態で例示したものに限らない。要は、常時噛み合い式のスタータであって、スタータ20からクランクシャフト11への回転伝達は可能であるが、その逆の回転伝達はなされないような構成であればよい。
【0055】
・制御対象となる内燃機関は、そのシリンダ#1,#2,#3,#4内(気筒内)に直接燃料を噴射する、いわゆる直噴式の内燃機関としたが、これに限らず吸気管に燃料噴射弁を備えるポート噴射式の内燃機関でもよい。また、直列4気筒内燃機関に限らず、どのような気筒配列の内燃機関にもこの発明は適用可能である。
【0056】
・内燃機関の制御装置が搭載される車両は、自動変速機付車両に限らず、例えば、手動変速機付車両、いわゆるMT車であってもよい。この場合、AT車でのブレーキペダルの踏み込みの有無に代わり、クラッチペダルの踏み込みの有無等を内燃機関の自動停止・再始動の条件とすることができる。
【0057】
・スロットルバルブ12の開度は上記開放期間中一定としたが、機関回転速度に応じて可変とするようにしてもよい。具体的には、再始動条件成立時の機関回転速度が大きいほどスロットルバルブ12の開度を大きくするようにする。これにより、上記(1)〜(4)の効果に加えて、
(5)再始動条件成立時の機関回転速度が大きい、すなわち残存負圧が大きいほど開度が大きくなるため、残存負圧の解消をより確実なものとすることができる。また、上記機関回転速度が小さい、すなわち残存負圧が小さいほど開度が小さくなるため、残存負圧を解消しつつ、スロットルバルブ12の開放処理に起因して機関10内に吸入される空気量が過剰となることをより確実に回避することも可能となる。
といった効果を奏することができるようになる。
【0058】
・スロットルバルブ12の開放期間は、例えば吸気管内に残存する負圧に対応して可変としてもよい。この場合、こうしたスロットルバルブ12の開放によって機関回転速度が過剰に上昇しない範囲内で上記開放期間を設定することが望ましい。
【0059】
・自律運転に復帰不可能な範囲の上限回転速度は、上記500rpmでなくともよい。
要は、スタータ20の介入なしでは再始動できない機関回転速度の範囲であって、負圧抜き処理を実行したときに機関回転速度が過剰に上昇しないようなアイドル回転速度未満の回転速度であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る車載内燃機関の制御装置の一実施の形態が適用される自動変速機付の直列4気筒内燃機関の概略構成を示す平面図及びブロック図。
【図2】同内燃機関に採用される常時噛み合い式スタータの概略構成を示す部分断面図。
【図3】本実施の形態に係る車載内燃機関の制御装置により実行されるエコノミーランニングに係るモードの推移態様を示す状態遷移図。
【図4】同実施の形態に係る制御装置の再始動処理についてその処理手順を示すフローチャート。
【図5】上記再始動処理の実行時における、(a)走行モードの推移例、(b)機関回転速度の推移例、(c)スロットルバルブ開度の推移例、(d)スタータの駆動の実行時期、及び(e)始動時燃料噴射の実行時期の一例を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0061】
10…内燃機関、11…クランクシャフト、11a…大径部、11b…フライホイール、12…スロットルバルブ、13…吸気管、14…燃料供給管、15…燃料噴射弁、16…排気管、20…スタータ、20a…出力軸、20b…ピニオンギヤ、21…リングギヤ、22…ワンウェイクラッチ、23…インナーレース、24…アウターレース部材、25…アウターレース、26…玉軸受、27…ボルト、30…自動変速機、31…バッテリ、32…電磁クラッチ、33…発電電動機、34,35…プーリ、36…ベルト、40…電子制御装置、41…機関回転速度センサ、42…車速センサ、43…冷却水温センサ、44…バッテリ電流センサ、45…アクセル開度センサ、46…ブレーキペダルセンサ、47…エアフローメータ、#1,#2,#3,#4…シリンダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機関出力軸との常時噛み合い式のスタータを備えるとともに、車両操作の所定の条件下において自動停止・再始動の可能な車載内燃機関を制御の対象とし、車両操作の所定の条件のもとに停止指令の発せられた内燃機関の再始動条件成立に基づく再始動時、機関回転速度が自律運転に復帰不可能な範囲にあるときのスタータ介入による機関の再始動を制御する車載内燃機関の制御装置であって、
前記再始動条件成立時の機関回転速度が機関停止には至っていないものの前記自律運転に復帰不可能な範囲にあることを条件に、前記内燃機関の吸入空気量調量弁であるスロットルバルブを一時的に開放するようにした
ことを特徴とする車載内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記機関回転速度が自律運転に復帰不可能な範囲の上限回転速度が当該内燃機関のアイドル回転速度未満の回転速度である
請求項1に記載の車載内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記スロットルバルブの開放期間が、前記再始動条件成立時から前記機関出力軸の回転に起因して同機関の吸気管内に残存する負圧を解消し得る一定の期間に設定される
請求項1又は2に記載の車載内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記スロットルバルブの開放期間として設定される前記一定の期間の中で、前記再始動条件成立時の機関回転速度が高いほど、前記スロットルバルブの開弁度合いが大きく設定される
請求項3に記載の車載内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記再始動条件成立に伴う前記スタータの駆動が前記スロットルバルブの一時的な開放の後に行われる
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車載内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−96155(P2010−96155A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270025(P2008−270025)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】