説明

車載器

【課題】路側無線装置から送信される二者択一の情報について選択を促す音声情報を車載器に搭載されているボタン名称と同一の名称に置き換える。
【解決手段】路側無線装置から送信される指示応答コマンドを狭域無線通信により受信し、当該受信した指示応答コマンドに対して応答する車載器10において、前記指示応答コマンドは、二者択一の情報を含み、かつ当該二者択一のうち何れか一方を車載器10に応答させる情報であって、前記二者択一の情報と一緒に配信される選択を促す音声情報に含まれるインターフェイス情報(ボタン名称)と車載器10のインターフェイスに予め表示されているボタン名称とを照合して一致しない場合、前記二者択一の情報と一緒に配信される選択を促す音声情報に含まれるインターフェイス情報(ボタン名称)を車載器10のインターフェイスに予め表示されているボタン名称に置き換える制御部を備えた車載器10とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DSRC(Dedicated Short Range Communication)機能を有する車載器が普及しており、DSRCによる各種サービスの提供について検討されている。車載器は、道路上や駐車場等に予め設置されている路側無線装置と狭域無線通信を行い、地域に密着した情報やサービスの提供を受けることが可能となる。
【0003】
DSRCによる各種サービスの提供を受ける場合、車載器に挿入されるICクレジットカードで決済することが可能である。このとき、路側無線装置は車載器に対し、ICクレジットカードにより決済するか否かの意思確認のコマンド(以下、「指示応答コマンド」という)を送信してユーザの意思を確認することが望ましい。
【0004】
特許文献1によれば、DSRCによる各種サービスの決済において、ユーザに対してICクレジットカードの利用意思を確認し得る決済システム及び車載器が開示されている。
【特許文献1】特開2005−141633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の決済システム及び車載器では、ユーザが利用意思を伝える際に混乱する場合が生じる。例えば、路側無線装置から車載器に対し、「はい」又は「いいえ」の意思を二者択一させて応答させる指示応答コマンドが送信された場合、車載器は車載器に搭載されている意思確認ボタンと同一の「はい」及び「いいえ」、「YES」及び「NO」又は「〇」及び「×」のうち、何れかの画像を出力する。
路側無線装置は、指示応答コマンドの送信だけではユーザに意思確認を促すことが出来ないため、合わせて二者択一の情報について選択を促す音声情報(TTS)も配信する。
路側無線装置は、送信する車載器の意思確認ボタンの表記を知りえないため、一般的な「はい」又は「いいえ」を想定した音声情報を配信することになる。
車載器はどの様な表記の意思確認ボタンが搭載されているかが分かるためその表記に対応する画像を生成することが出来るが、二者択一の情報について選択を促す音声情報(TTS)の表現は受信するまで知り得ない。
車載器には、「YES」又は「NO」と表現され、音声では「はい」又は「いいえ」の選択を促される可能性がある。
【0006】
ここで、図7に、車載器の外観の例を示す。
図7に示すように、車載器のインターフェイスに表示されている文字は、機種やメーカによってそれぞれ異なる。車載器Aのインターフェイスには、「Yes」及び「No」、車載器Bのインターフェイスは「はい」及び「いいえ」、車載器Cのインターフェイスには「〇」及び「×」がそれぞれ表示されている。このように、車載器の種類によって、インターフェイスに予め表示されている文字はそれぞれ異なる。
【0007】
本発明の課題は、指示応答コマンドと一緒に配信される二者択一の情報について選択を促す音声情報(TTS)の一部を車載器に搭載されている意思確認ボタンと同一の音声情報に置き換えて、表示と音声のユーザーインターフェイスを統一する車載器を提供することである。
また、本発明の課題は、指示応答コマンドと一緒に配信される二者択一の情報について選択を促すテキスト情報を予め定められた意思確認ボタンと同一の表記に置き換えて、ボタンと画面との表記を統一する車載器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
路側無線装置から送信される指示応答コマンド及び音声情報を無線通信により受信し、当該受信した指示応答コマンドに対して応答する車載器において、
前記指示応答コマンドは、二者択一の情報を含み、かつ当該二者択一のうち何れか一方を前記車載器に応答させる情報であり、
前記音声情報は、前記指示応答コマンドに含まれる二者択一の情報について選択を促す音声情報であり、
前記二者択一の情報について選択を促す音声情報と前記車載器のインターフェイスに予め表示されている文字とを照合して一致しない場合、前記二者択一の情報について選択を促す音声情報を前記車載器のインターフェイスに予め表示されている文字に置き換える制御部、
を備えた車載器が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、
路側無線装置から送信される指示応答コマンド及びテキスト情報を無線通信により受信し、当該受信した指示応答コマンド及びテキスト情報に対して応答する車載器において、
前記指示応答コマンドは、二者択一の情報を含み、かつ当該二者択一のうち何れか一方を前記車載器に応答させるコマンドであり、
前記テキスト情報は、前記指示応答コマンドに含まれる二者択一の情報について選択を促すテキスト情報であり、
前記二者択一の情報について選択を促すテキスト情報と前記車載器のインターフェイスに予め表示されている文字とを照合して一致しない場合、前記二者択一の情報について選択を促すテキスト情報を前記車載器のインターフェイスに予め表示されている文字に置き換える制御部、
を備えた車載器が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、路側無線装置から送信される指示応答コマンドを受信した際、指示応答コマンドと合わせて配信される選択を促す音声情報(TTS)に含まれる二者択一の音声情報を車載器のインターフェイスに予め表示されている文字と同じ音声情報へと置き換えることができる。指示応答コマンド及び一緒に送信される選択を促す音声情報(TTS)に対して、ユーザは混乱することなくスムーズに応答することができる。
また、本発明によれば、指示応答コマンドと合わせて配信されるテキスト情報を車載器のインターフェイスに予め表示されている文字に置き換えることができる。路側無線装置から送信される指示応答コマンドに対し、ユーザは混乱することなくスムーズに応答することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<第1実施形態>
第1実施形態では、指示応答コマンドと合わせて送信される音声情報を車載器のインターフェイスに予め表示されている文字と同じ音声情報へと置き換える場合について説明する。
【0012】
図1に、本実施形態における車載器10の構成を示す。
車載器10は、カーナビ部1、DSRC部2、制御部3、インターフェイス4等を備えて構成される。
【0013】
カーナビ部1は、カーナビ制御部1a、現在地検出部1b、地図記憶部1c、表示部1d、ナビ記憶部1e、音声出力部1f等を備えて構成される。
カーナビ部1は、車載器10を搭載した車両の現在地から目的地までの経路を算出し、算出した経路に従って車両を目的地へ誘導する。
【0014】
カーナビ制御部1aは、カーナビ部1が備える各部を集中制御し、目的地までの経路算出や目的地までの地図画面の生成等を行う。
【0015】
現在地検出部1bは、GPSアンテナ及び角度センサ、方位センサ、距離センサ等の各種センサを備える。現在地検出部1bは、GPSアンテナ及び各種センサによる検出結果に基づいて車両の現在地を検出する。
【0016】
地図記憶部1cは、メモリやDVD等の記録媒体から構成され、案内表示に必要な地図DB、駐車場DB等を記憶する。
【0017】
表示部1dは、モニタ及び/又はタッチパネルにより構成され、カーナビ制御部1aからの表示信号に従って各種情報を表示する処理を行う。例えば、表示部1dは、設定画面や地図画面等を表示する。
【0018】
ナビ記憶部1eは、プログラムやデータ等が予め記憶されている記録媒体を備えて構成され、カーナビ制御部1aにより実行される制御プログラム及びプログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。
【0019】
音声出力部1fは、音声処理部、D/A変換器、増幅器、スピーカ等を備えて構成される。音声出力部1fは、制御部3又はカーナビ制御部1aから指示された音声合成記号から音声信号を生成し、スピーカにより音声出力する。
【0020】
DSRC部2は、DSRC制御部2a、DSRC通信部2b、DSRC記憶部2c、ETC処理部2d、カード挿入部2eを備えて構成されており、DSRCによる無線通信処理等を行う。
【0021】
DSRC制御部2aは、CPU、RAM等から構成され、DSRC記憶部2cに記憶されている制御プログラムとの協働によりDSRC部2の各部の動作を制御する。
また、DSRC制御部2aは、ICクレジットカードによる決済を行う際、DSRC通信部2bを制御して路側無線装置と決済情報の送受信を行う。
【0022】
DSRC通信部2bは、車両のダッシュボード上でフロントガラス近傍に固設されたアンテナを備える。DSRC通信部2bは、アンテナを介して路側無線装置やETC基地局等とDSRCによる無線通信を行う。
【0023】
DSRC記憶部2cは、DSRC制御部2aにより実行される制御プログラム等を記憶する。
【0024】
ETC処理部2dは、カード挿入部2eに挿入されるICチップが埋め込まれたICクレジットカードやETCカード等に対して決済情報等の読み書きを行う。
【0025】
カード挿入部2eは、ETCカード等のスロットを備え、このスロットに挿入されたETCカード等のICとETC処理部2dとの間で情報のやりとりを仲介する。
【0026】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成される。制御部3は、ナビ記憶部1eに記憶された制御プログラムとの協働により各種演算を行う他、各部の集中制御を行う。
【0027】
インターフェイス4は、ボタン4aや各種操作キー等を備えて構成される。
ボタン4aは、例えば「〇」の文字が予め表示されたボタン及び「×」の文字が予め表示されたボタンにより構成される。
ボタン4aは、路側無線装置からの指示応答コマンドに対し、二者択一して応答するためのボタンである。
【0028】
図2を参照して、指示応答コマンドを受信した際の処理について説明する。
制御部3は、路側無線装置からの指示応答コマンドを受信したか否か判断する(ステップS1)。
指示応答コマンドとは、二者択一の情報のうち何れか一方を車載器10に選択させて応答させるためのものである。
【0029】
指示応答コマンドを受信しない場合(ステップS1;N)、制御部3は、待機する。
指示応答コマンドを受信した場合(ステップS1;Y)、制御部3は、TTSファイルを受信したか否か判断する(ステップS2)。
TTSファイルとは、二者択一の情報について選択を促す音声情報(TTS)を含み、PUSHコマンドにより配信させる音声合成記号を示す。本実施形態において、音声合成記号は、JEITA規格(JEITA TT-6004におけるITS車載器用音声合成記号)に準拠する。
【0030】
TTSファイルを受信しない場合(ステップS2;N)、制御部3は、指示応答コマンドの受信処理を終了する。
TTSファイルを受信した場合(ステップS2;Y)、制御部3は、TTSファイルに含まれる二者択一の情報について選択を促す音声合成記号を抽出する(ステップS3)。
二者択一について選択を促す音声合成記号とは、例えば「はい」及び「いいえ」、「Yes」及び「NO」、「〇」及び「×」等の二者択一の文字を示す音声合成記号である。以下、「二者択一の文字」と表現して説明する。
【0031】
制御部3は、ステップS2で抽出した二者択一の文字とインターフェイス4のボタン4aに予め表示されている文字とを照合する(ステップS4)。
【0032】
制御部3は、照合した結果、一致するか否か判断する(ステップS5)。
一致する場合(ステップS5;Y)、制御部3は、ステップS2で受信したTTSファイルに含まれる音声合成記号を音声出力部1fにより音声出力して(ステップS6)、指示応答コマンドの受信処理を終了する。
なお、ステップS6において、制御部3は音声合成記号を表示部1dにより画像出力する、としてもよい。
【0033】
一致しない場合(ステップS5;N)、制御部3は、ステップS3で抽出した二者択一の文字をボタン4aに予め表示されている文字に合わせて音声合成記号を置き換える(ステップS7)。
【0034】
置き換えに際して、まず、制御部3は、抽出した二者択一の文字の音声合成記号をJEITA規格 TT-6004によって規定されていない記号で囲む。そして、制御部3は、囲んだ文字をボタン4aに予め表示されている文字に置き換える。
例えば、抽出した二者択一の文字が「はい」及び「いいえ」である場合、電子情報技術産業協会規格(JEITA TT-6004)によって規定されていない「[]」や「&」等の記号で囲む。そして、囲んだ文字「[はい]」及び「[いいえ]」をボタン4aに予め表示されている文字「マル」及び「バツ」に置き換える。
【0035】
置き換え前の音声合成記号が「料金は400円です。ICクレジットカードで決済する場合は[はい]のボタン、現金で精算する場合は[いいえ]のボタンを押して下さい。」である場合、置き換え後の音声合成記号は「料金は400円です。ICクレジットカードで決済する場合は[マル]のボタン、現金で精算する場合は[バツ]のボタンを押して下さい。」となる。
【0036】
制御部3は、置き換えた文字を含む音声合成記号を音声出力部1fにより音声出力して(ステップS8)、指示応答コマンドの受信処理を終了する。
なお、ステップS7において、制御部3は置き換えた文字を含む音声合成記号を表示部1dにより文字として画像出力する、としてもよい。
【0037】
指示応答コマンドの受信処理終了の後、制御部3はインターフェイス4により選択された二者択一のうちの何れか一方の応答を路側無線装置に送信することで、ユーザの意思を路側無線装置に伝える。
【0038】
以上のように、本発明によれば、指示応答コマンドに含まれる二者択一の文字を車載器10のインターフェイスに予め表示されている文字に置き換えることができる。
【0039】
また、置き換えた文字によって、指示応答コマンドを音声出力することができる。指示応答コマンドにより指示される二者択一に対し、ユーザは混乱することなく選択して応答することができる。
【0040】
また、置き換えた文字によって、指示応答コマンドを表示部1dに表示するとしてもよい。この場合も音声出力する場合と同様、指示応答コマンドにより指示される二者択一に対し、ユーザは混乱することなく選択して応答することができる。
【0041】
また、二者択一の文字は、例えば「はい」及び「いいえ」、「Yes」及び「No」、「〇」及び「×」である。路側無線装置からの指示応答コマンドが上記何れの二者択一の文字であっても、車載器10はインターフェイス4に予め表示されている文字に置き換えることができる。
【0042】
<第2実施形態>
第2実施形態では、指示応答コマンドと合わせて送信されるテキスト情報を車載器のインターフェイスに予め表示されている文字と同じテキスト情報へと置き換える場合について説明する。
【0043】
図3を参照して、車載器10の応答処理について説明する。
制御部3は、車両(車載器10)がDSRC通信の可能な領域内に進入し、路側無線装置とのDSRC通信を開始するか否か判断する(ステップS11)。
【0044】
DSRC通信を開始しない場合(ステップS11;N)、制御部3は、DSRC通信を開始するまで待機する。
DSRC通信を開始する場合(ステップS11;Y)、制御部3は、クライアント情報を路側無線装置に送信する(ステップS12)。クライアント情報とは、車載器10のプロファイルの情報であって、音声情報又はテキスト情報の何れか又は何れも再生(発話及び表示)可能である旨を通知する情報である。また、クライアント情報には、再生可能なデータ形式等の情報も含まれる。
【0045】
制御部3は、発話用の音声情報(TTS)を受信したか否か判断する(ステップS13)。
音声情報を受信していない場合(ステップS13;N)、制御部3は、ステップS15に移行する。
音声情報を受信した場合(ステップS13;Y)、制御部3は、受信した音声情報に基づいて音声出力部1fにより発話する(ステップS14)。
【0046】
制御部3は、表示用のテキスト情報を受信したか否か判断する(ステップS15)。
テキスト情報を受信していない場合(ステップS15;N)、つまり、音声情報もテキスト情報も受信していない場合には、制御部3は応答処理を終了する。
テキスト情報を受信した場合(ステップS15;Y)、制御部3は、テキスト情報を受信してから予め定められた特定時間が経過したか否か判断する(ステップS16)。
【0047】
ここで、受信したテキスト情報に確認要求コマンドが伴う場合には、制御部3は確認要求コマンドに対する応答を路側無線装置に対して先に行っておくこととしてもよい。確認要求コマンドとは、テキスト情報を表示画面上に表示した際に、表示した旨を応答させるためのコマンドである。確認要求コマンドは、路側無線装置が表示順序を指定して複数のテキスト情報を送信する場合等に用いられる。
本実施形態では、路側無線装置が複数のテキスト情報を送信して表示順序を指定する場合ではないため、制御部3は、受信したテキスト情報を未だ表示していない場合であっても、確認要求コマンドに対して表示した旨の応答を予め行う。これにより、制御部3は、確認要求コマンドを受信した路側無線装置から次の処理における情報(例えば、指示応答コマンド)を受信することができる。
【0048】
テキスト情報を受信してから特定時間が経過していない場合(ステップS16;N)、制御部3は、特定時間が経過するまで待機する。
テキスト情報を受信してから特定時間が経過した場合(ステップS16;Y)、制御部3は、指示応答コマンドを受信したか否か判断する(ステップS17)。
【0049】
指示応答コマンドを受信していない場合(ステップS17;N)、制御部3は、ステップS15で受信したテキスト情報を表示画面上に表示して(ステップS18)、応答処理を終了する。
指示応答コマンドを受信した場合(ステップS17;Y)、制御部3は、受信したテキスト情報に含まれる文字をインターフェイス4のボタン4aに予め表示されている文字に置き換える必要があるか否か判断する(ステップS19)。
具体的には、制御部3は、受信したテキスト情報から二者択一の文字を抽出し、抽出した二者択一の文字とボタン4aに予め表示されている文字とを照合して一致するか否か判断する。
【0050】
置き換える必要がない場合(ステップS19)、制御部3は、応答処理を終了する。
置き換える必要がない場合とは、例えば「ICクレジット決済の場合は『〇』、現金での決済の場合は『×』を押して下さい」とのテキスト情報を受信した場合であって、ボタン4aに予め『〇』/『×』が表示されている場合である。
【0051】
置き換える必要がある場合(ステップS19)、制御部3は、受信したテキスト情報に含まれる二者択一の文字をボタン4aに予め表示されている文字に置き換える(ステップS20)。
置き換える必要がある場合とは、例えば「ICクレジット決済の場合は『はい』、現金決済の場合は『いいえ』を押して下さい」とのテキスト情報を受信した場合であって、ボタン4aに予め表示されている二者択一の文字が『〇』/『×』の場合である。
【0052】
制御部3は、置き換えた後のテキスト情報を表示画面上に表示し(ステップS21)、その後、指示応答コマンドに応じた画像、つまり、指示応答コマンドよる二者択一の情報である『はい』/『いいえ』等の画像を表示画面上に表示する(ステップS22)。
なお、このとき表示画面上に表示する指示応答コマンドに応じた画像は、テキスト情報と同様、ボタン4aに予め表示されている文字と同一の文字に置き換えられたものである。
【0053】
制御部3は、指示応答コマンドに対してボタン4aにより応答して(ステップS23)、応答処理を終了する。
【0054】
以上のように、本発明によれば、路側無線装置から送信されたテキスト情報に含まれる二者択一の文字を車載器10のインターフェイス4に予め表示されている文字に置き換えることができる。
【0055】
また、置き換えた文字によって、テキスト情報及び指示応答コマンドに応じた画像を表示部1dに表示することができる。
指示応答コマンドにより指示される二者択一に対し、ユーザは混乱することなく選択して応答することができる。
【0056】
また、二者択一の文字は、「はい」/「いいえ」、「Yes」/「NO」、「〇」/「×」のうち、何れか一の二者択一の文字である。路側無線装置から送信されるテキスト情報に含まれる二者択一の文字が上記何れの二者択一の文字であっても、車載器10はインターフェイス4に予め表示されている文字に置き換えることができる。
【0057】
<第3実施形態>
第三実施形態では、路側無線装置側の処理について、主として指示応答コマンド、音声情報及びテキスト情報を車載器に送信する際の送信順序について説明する。
【0058】
図4に、路側無線装置20の内部構成を示す。
路側無線装置20は、制御部21、入力部22、表示部23、記憶部24、通信部25等を備えて構成され、各部はバス26で接続されている。
【0059】
制御部21は、図示しないCPU、RAM等から構成され、記憶部24に記憶された制御プログラムとの協働により各種演算を行う他、各部の集中制御を行う。
【0060】
入力部22は、キーボード等を備えて操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に応じた操作信号を制御部21に出力する。
【0061】
表示部23はディスプレイを備え、制御部21の表示制御に従ってディスプレイ上に各種画面を表示する。
【0062】
記憶部24は、制御部21により実行されるプログラムの他、プログラムの実行に必要な各種データを記憶する。
また、記憶部34は、送信すべき指示応答コマンド、音声情報及びテキスト情報を記憶している。
【0063】
図5を参照して、路側無線装置20の送信処理について説明する。
制御部21は、DSRC通信が可能な領域内に進入してきた車載器に対し、DSRC通信を開始することができるか否か判断する(ステップS31)。
【0064】
DSRC通信を開始できない場合(ステップS31;N)、制御部21は、ETC機能のみの車載器、又は車載器がないものと判断して(ステップS32)、送信処理を終了する。
【0065】
DSRC通信を開始できる場合(ステップ31;Y)、制御部21は、車載器からクライアント情報を受信する(ステップS33)。
【0066】
制御部21は、クライアント情報に基づいて、テキスト情報の表示が可能な車載器であるか否か判断する(ステップS34)。
テキスト情報の表示が可能な車載器でない場合(ステップS34;N)、制御部21は、音声情報の発話が可能な車載器であるか否か判断する(ステップS35)。
【0067】
音声情報の発話が可能な車載器でない場合(ステップS35;N)、制御部21は、付帯施設に案内を指示して(ステップS36)、送信処理を終了する。
付帯施設とは、例えば駐車場の発券機である。制御部21は、DSRC通信で車載器に送信できなかったテキスト情報や音声情報を発券機に付属の表示器やスピーカに表示又は発話させる。
【0068】
音声情報の発話が可能な車載器である場合(ステップS35;Y)、制御部21は、発話用の音声情報(TTS)を車載器に送信する(ステップS37)。そして、制御部21は、ステップS39に移行する。
【0069】
ステップS34に戻り、テキスト情報の表示が可能な車載器である場合(ステップS34;Y)、制御部21は、表示用のテキスト情報及び発話用の音声情報を送信する(ステップS38)。
【0070】
制御部21は、テキスト情報又は音声情報を受信してから予め定められた特定時間が経過したか否か判断する(ステップS39)。
特定時間が経過していない場合(ステップS39;N)、制御部21は、特定時間が経過するまで待機する。
特定時間が経過した場合(ステップS39;Y)、制御部21は、指示応答コマンドを車載器に送信する(ステップS40)。
【0071】
ここで、図6を参照して、テキスト情報、音声情報及び指示応答コマンドの送信順序について説明する。図6に示すフロー図は、図5のステップS38、S40について詳細に説明するフロー図である。
【0072】
パターン1〜パターン3のフローは、テキスト情報、音声情報及び指示応答コマンドの送信順序が互いに異なるフローである。
パターン1〜パターン3の何れにおいても、制御部21は、テキスト情報を送信した後に指示応答コマンドを送信する。テキスト情報の後に指示応答コマンドを送信することで、車載器側ではテキスト情報を先に表示画面上に表示させておき、その後に指示応答コマンドによる二者択一の文字を表示することができる。具体的には、「ICクレジット決済の場合は「はい」、現金での決済の場合は「いいえ」を押して下さい。」とのテキスト情報を先に車載器の表示画面上に表示させておき、その後に指示応答コマンドによる「はい」/「いいえ」との二者択一の文字を表示画面上に表示させることができる。
なお、音声情報の送信順序については、テキスト情報及び指示応答コマンドよりも先であっても後であってもよい。車載器側では、テキスト情報及び指示応答コマンドによる二者択一の文字を表示画面上に表示させるとともに音声情報を発話することが可能であるためである。
【0073】
図5に戻り、制御部21は、指示応答コマンドを送信してから予め定められた特定時間が経過したか否か判断する(ステップS41)。
特定時間が経過していない場合(ステップS41;N)、制御部21は、経過するまで待機する。
特定時間が経過した場合(ステップS41;Y)、制御部21は、車載器からの応答があるか否か判断する(ステップS42)。
【0074】
車載器からの応答がない場合(ステップS42;N)、制御部21は、意思確認ボタン(例えば図1のボタン4a)の押下を催促する旨の情報を車載器に送信する(ステップS43)。このとき送信する情報は、テキスト情報であっても音声情報であってもよい。
車載器からの応答があった場合(ステップS42;Y)、制御部21は、応答に応じた処理を開始することで(ステップS44)、送信処理を終了する。
【0075】
以上のように、本発明によれば、路側無線装置20は、テキスト情報、音声情報及び指示応答コマンドを車載器に送信する場合、テキスト情報を送信した後に指示応答コマンドを送信することができる。テキスト情報を先に車載器の表示画面上に表示させておき、その後指示応答コマンドによる二者択一の情報を表示画面上に表示させることができるため、ユーザは混乱することなくスムーズに応答することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】車載器の構成を示す図である。
【図2】指示応答コマンドと音声情報の受信処理を説明するフロー図である。
【図3】指示応答コマンドとテキスト情報の受信処理を説明するフロー図である。
【図4】路側無線装置の内部構成を示す図である。
【図5】指示応答コマンド、音声情報及びテキスト情報の送信処理を説明するフロー図である。
【図6】送信順序を説明するフロー図である。
【図7】車載器の外観を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
10 車載器
1 カーナビ部
2 DSRC部
3 制御部
4 インターフェイス
4a ボタン
20 路側無線装置
21 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路側無線装置から送信される指示応答コマンド及び音声情報を無線通信により受信し、当該受信した指示応答コマンド及び音声情報に対して応答する車載器において、
前記指示応答コマンドは、二者択一の情報を含み、かつ当該二者択一のうち何れか一方を前記車載器に応答させるコマンドであり、
前記音声情報は、前記指示応答コマンドに含まれる二者択一の情報について選択を促す音声情報であり、
前記二者択一の情報について選択を促す音声情報と前記車載器のインターフェイスに予め表示されている文字とを照合して一致しない場合、前記二者択一の情報について選択を促す音声情報を前記車載器のインターフェイスに予め表示されている文字に置き換える制御部を備えた車載器。
【請求項2】
前記二者択一の情報について選択を促す音声情報を音声により出力する音声出力部を備え、
前記制御部は、前記二者択一の情報について選択を促す音声情報を前記車載器のインターフェイスに予め表示されている文字に置き換えて、当該置き換えた後の二者択一の情報について選択を促す音声情報を前記音声出力部により出力する請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記指示応答コマンドに応じた画像を生成し画像により出力する表示部を備え、
前記制御部は、前記指示応答コマンドに含まれる二者択一の情報を前記車載器のインターフェイスに予め表示されている文字に置き換えて、当該置き換えた後の二者択一の情報を前記表示部により出力する請求項1又は2に記載の車載器。
【請求項4】
前記指示応答コマンドに含まれる二者択一の情報は、「はい」及び「いいえ」、「YES」及び「NO」又は「〇」及び「×」のうち、何れかである請求項1〜3の何れか一項に記載の車載器。
【請求項5】
路側無線装置から送信される指示応答コマンド及びテキスト情報を無線通信により受信し、当該受信した指示応答コマンド及びテキスト情報に対して応答する車載器において、
前記指示応答コマンドは、二者択一の情報を含み、かつ当該二者択一のうち何れか一方を前記車載器に応答させるコマンドであり、
前記テキスト情報は、前記指示応答コマンドに含まれる二者択一の情報について選択を促すテキスト情報であり、
前記二者択一の情報について選択を促すテキスト情報と前記車載器のインターフェイスに予め表示されている文字とを照合して一致しない場合、前記二者択一の情報について選択を促すテキスト情報を前記車載器のインターフェイスに予め表示されている文字に置き換える制御部を備えた車載器。
【請求項6】
前記テキスト情報及び前記指示応答コマンドに応じた画像を表示する表示部を備え、
前記制御部は、前記車載器のインターフェイスに予め表示されている文字に置き換えた後のテキスト情報を前記表示部により表示した後に、前記指示応答コマンドに応じた画像を前記表示部により表示する請求項5に記載の車載器。
【請求項7】
前記指示応答コマンドに含まれる二者択一の情報であって、前記テキスト情報に含まれる二者択一の情報である文字は、「はい」及び「いいえ」、「YES」及び「NO」又は「〇」及び「×」のうち、何れか一の二者択一の文字である請求項5又は6に記載の車載器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−134886(P2010−134886A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332148(P2008−332148)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】