説明

車載情報機器

【課題】誤作動を防止して外部から防犯機能を制御できる安価な車載情報機器を提供する。
【解決手段】携帯型の通信機器3との間で直接に無線通信を行う通信モジュール部14と、通信モジュール部で受信された信号に基づき防犯機能を作動させる制御部17を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載される車載情報機器に関し、特に遠隔から通信により車載情報機器の防犯機能を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔から車載情報機器の防犯機能を制御する技術として、特許文献1は、運用が容易であるとともに、盗難車両をその所有者に戻すことを可能にする車両盗難防止システムを開示している。この車両盗難防止システムは、車両が盗難されたことを通報する車両盗難通報手段と、通報に応じて盗難された車両に対して盗難信号を送信する盗難防止サービスセンタと、車両に搭載されており、盗難信号の受信に応じて車両のエンジンの再始動を禁止すべく制御する盗難防止装置からなり、車両盗難通報手段は、盗難発生コードの入力に応じて盗難通報信号を発生してこれを盗難防止サービスセンタに送信する携帯電話機から構成されている。
【0003】
また、特許文献2は、自動車電話とセンタ間の回線を定期的に確立することなく、情報の問い合わせがあればそれを認知できる車載端末機器を開示している。この車載端末機器は、利用者からの盗難通報によりセンタシステムは、データベースから、車載端末機器の電子メールアドレスを取得し、電子メールを送信する。携帯電話通信事業者は、電子メールを車載端末機器に対して送信する。電子メール送信の実施は、携帯電話通信事業者が、車載端末機器の存在を確認した場合や電源が投入されたことを通知する信号を取得した場合に送信し、送信が完了するまでメールサーバに保存、待機を行う。車載端末機器は、間欠動作を実施し、起動したことを検知し、メールサーバに蓄積していた電子メールを送信する。車載端末機器は、センタシステムから電子メールを受信した場合、内容を確認し、対応する情報の送信処理を開始する。
【0004】
【特許文献1】特開2002−59812号公報
【特許文献2】特開2003−250181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に開示された技術では、盗難車両に対して遠隔操作を行うための盗難通報信号を、盗難防止サービスセンタを介して送信するので、設備およびサービスが必要となり、防犯機能の導入に高コストを要するという問題がある。
また、特許文献2に開示された技術の場合も上述した特許文献1に開示された技術と同様の問題がある。これら特許文献1および特許文献2に開示された技術の他に、防犯機能を自動制御する多くの技術が知られている。このような自動制御を行う技術には次のような問題がある。まず、防犯機能を設定した本人以外(家族または友人など)が車両を操作した場合、防犯機能が誤作動することがある。例えば、自車位置が変化したり、自車位置が移動設定範囲を超えたことをトリガにして作動する防犯機能の場合、その設定を知らない第三者が車両を操作した際に、誤って盗難防止装置を作動させてしまうという問題がある。また、本人が車両を操作した場合においても、防犯機能の解除忘れなどにより、同様の誤作動が起きるという問題もある。
【0006】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その課題は、誤作動を防止して外部から防犯機能を制御できる安価な車載情報機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明に係る車載情報機器は、通信機器との間で直接に無線通信を行う通信モジュール部と、通信モジュール部で受信された信号に基づき防犯機能を作動させる制御部を備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る車載情報機器によれば、例えば盗難防止サービスセンタといった設備を経由しないで、外部から車載情報機器を直接に制御して防犯機能を作動させることができるので、ユーザに安価な防犯機能を提供できる。また、外部から防犯機能を作動させるので、防犯機能が設定されていることを知らない善意の第三者が運転する場合に誤って防犯機能を作動させることがなくなり、誤作動を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る車載情報機器1の構成を示すブロック図である。この車載情報機器1は、車両内部の電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)2に接続されるとともに、車両外部の携帯電話、基地局を介する固定電話やPC等の通信機器3に無線通信によって接続される。図示例は通信機器として携帯電話を用いて説明する。
【0010】
電子制御ユニット2には、エンジン制御部21、警報発生装置22、ドアロック制御部23およびカメラ制御部24が接続されている。エンジン制御部21は、電子制御ユニット2からの制御信号に応じてエンジンの起動および停止を制御する。この発明のエンジン停止機能は、このエンジン制御部21により実現されている。警報発生装置22は、電子制御ユニット2からの制御信号に応じてクラクションの鳴動、および、ハザードランプなどの各種ランプの点滅を制御する。この発明の警報発生機能は、この警報発生装置22により実現されている。
【0011】
ドアロック制御部23は、電子制御ユニット2からの制御信号に応じてドアのロックおよび解除を制御する。この発明のドアロック機能は、このドアロック制御部23により実現されている。カメラ制御部24には、車内を撮影するカメラ25が接続されている。カメラ制御部24は、カメラ25の起動および停止を制御し、カメラ25で撮影することにより得られた画像を、電子制御ユニット2を介して車載情報機器1に送る。
【0012】
携帯電話3は、一般的な通話およびメールの送受信が可能な携帯電話として使用される他、車載情報機器1を制御する制御装置として使用される。
【0013】
なお、この発明の携帯型の通信機器としては、携帯電話3に限らず、例えばPDA(Personal Digital Assistant)またはパーソナルコンピュータなどといった無線通信機能を有する携帯型の機器を用いることもできる。
【0014】
車載情報機器1は、入力部11、位置検出部12、情報記憶部13、通信モジュール部14、描画部15、情報表示部16および制御部17を備えている。
【0015】
入力部11は、例えばリモートコントローラ、タッチパネル、ハードキーまたは音声入力装置などの少なくとも1つから構成されており、車載情報機器1に対する指示を入力するために使用される。この入力部11から入力された指示は、操作データとして制御部17に送られる。
【0016】
位置検出部12は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機から構成されており、GPS衛星からアンテナを介して受信されたGPS信号に基づき自車の現在位置を検出する。なお、位置検出部12は、さらに、この車載情報機器1が搭載された車両から送られてくる車速パルス信号に基づいて車両の速度を検出する車速センサおよび車両の進行方位を検出する方位センサを備えて構成できる。この場合、位置検出部12は、車速センサから送られてくる速度信号と方位センサから送られてくる方位信号とを用いて自律航法により自車の現在位置を検出する。この自律航法を採用することにより、例えばトンネルなどによってGPS受信機が使用できなくなっても、自律航法によって車両の現在位置を検出できる。
【0017】
位置検出部12は、GPS受信機から送られてくる自車位置信号に基づいて検出した自車位置または車速センサから送られてくる速度信号および方位センサから送られてくる方位信号を用いて自律航法により検出した自車位置を、緯度および経度によって表された現在位置データとして制御部17に送る。
【0018】
情報記憶部13は、地図情報、個人情報(携帯電話3の電話番号およびメールアドレスなど)、防犯機能制御用の特定文字列などを記憶する。この情報記憶部13に記憶されている内容は、制御部17によって読み出される。
【0019】
通信モジュール部14は、制御部17と携帯電話3との間の無線通信を制御する。例えば、通信モジュール部14は、携帯電話3から着信があった場合は、電話着信があった旨および電話番号を表す信号を制御部17に送る。また、通信モジュール部14は、車載情報機器1(制御部17)と携帯電話3との間の通話およびメールの送受信を制御する。
【0020】
描画部15は、制御部17から送られてくる表示データに従って、情報表示部16に画像を表示するための描画データを生成する。この描画部15で生成された描画データは、情報表示部16に送られる。情報表示部16は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)から構成されており、描画部15から送られてくる描画データに従って画像を表示する。
【0021】
制御部17は、この車載情報機器1の全体を制御する。例えば、制御部17は、通信モジュール部14で受信された信号に基づき防犯機能を作動させる制御を行う。この制御部17で行われる動作の詳細は、以下で説明する。
【0022】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係る車載情報機器1の動作を、車載情報機器1への電話番号を登録した後、携帯電話3からの発信に応じて自車位置を特定する処理を、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0023】
まず、車載情報機器1に現在位置情報の送信先が登録される(ステップST11)。すなわち、ユーザは、入力部11を操作して、現在位置情報の送信先、つまり携帯電話3の電話番号およびメールアドレスを入力する。この入力部11から入力された電話番号およびメールアドレスは、操作データとして制御部17に送られる。制御部17は、入力部11から操作データとして送られてくる電話番号およびメールアドレスを情報記憶部13に記憶する。この状態において、ユーザは、防犯機能を作動させる場合は、携帯電話3を操作して電話発信を行う。
【0024】
現在位置情報の送信先の登録が完了すると、次いで、電話着信があったかどうかが調べられる(ステップST12)。すなわち、制御部17は、通信モジュール部14から電話着信を表す信号が送られてきたかどうかを調べる。このステップST12において、電話着信がないことが判断されると、このステップST12を繰り返し実行しながら待機状態に入る。
【0025】
上記ステップST12の繰り返し実行による待機状態において、電話着信があったことが判断されると、次いで、登録されている電話番号からの着信であるかどうかが調べられる(ステップST13)。すなわち、制御部17は、通信モジュール部14から送られてくる信号によって表される電話番号が、情報記憶部13に記憶されている電話番号と一致するかどうかを調べる。このステップST13において、登録されている電話番号からの着信でないことが判断されると、防犯機能の制御でない旨が認識され、通常の通話の動作が行われる(ステップST14)。
【0026】
一方、ステップST13において、登録されている電話番号からの着信であることが判断されると、次いで、車載情報機器1と携帯電話3との間の通信が切断される(ステップST15)。すなわち、制御部17は、次に行うメールの送信を可能にするために、通信モジュール部14に通信の切断を指示する。これにより、一旦、車載情報機器1と携帯電話3との間の通信が切断される。
【0027】
次いで、現在位置情報がメールで携帯電話3に送信される(ステップST16)。すなわち、制御部17は、位置検出部12から現在位置データとして取得した緯度および経度、または、これら緯度および経度を検索キーとして図示しない住所データベースを検索することにより得られた住所を本文とし、情報記憶部13に登録されているメールアドレスを宛先とするメールを作成し、通信モジュール部14に送る。通信モジュール部14は、制御部17から受け取ったメールを無線により携帯電話3に送信する。携帯電話3の所有者は、このメールを受信することにより自車の現在位置を特定することができる。
【0028】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る車載情報機器によれば、例えば盗難防止サービスセンタといった設備を経由しないで、携帯電話3から車載情報機器1を直接に制御して防犯機能を作動させることができるので、外部から防犯機能を制御できる安価な車載情報機器を提供できる。
【0029】
また、車載情報機器1は、携帯電話3からの発信を受信した場合に、現在位置情報を、通信モジュール部14を介して携帯電話3に送信するように構成したので、車両盗難時には自車位置を簡単に割り出すことができ、迅速に盗難車両を発見することが可能となる。また、家族または友人などが車両を操作していることを承知している場合は、自車の現在位置を確認することで、安全確認を行うといった使い方も可能となる。
【0030】
なお、上述した実施の形態1に係る車載情報機器1においては、携帯電話3からの発信を受信した場合に、現在位置情報を、通信モジュール部14を介して携帯電話3に送信するように構成したが、携帯電話3からの発信を受信した場合に、現在位置情報を音声信号に変換して通信モジュール部14を介して携帯電話3に送信するように構成できる。この構成によれば、ユーザは、自車の現在位置を音声で知ることができる。
【0031】
また、車載情報機器1は、携帯電話3からの発信を受信した場合に、位置検出部12で検出された現在位置の周辺の地図情報を情報記憶部13から読み出して通信モジュール部14を介して携帯電話3に送信するように構成できる。この場合、携帯電話3は、受信した地図情報に基づき自車を中心とする地図を表示する。この構成によれば、ユーザは、自車の地図上の現在位置を知ることができる。
【0032】
また、車載情報機器1は、位置検出部12で検出された現在位置の移動軌跡を順次情報記憶部13に記憶しておき、携帯電話3からの発信を受信した場合に、情報記憶部13から移動軌跡を読み出して移動軌跡の画像を作成し、画像情報として通信モジュール部14を介して携帯電話3に送信するように構成できる。この構成によれば、ユーザは、自車の移動軌跡を知ることができる。
【0033】
また、上述した実施の形態1に係る車載情報機器1においては、携帯電話3からの発信を受信した場合に、現在位置情報を、通信モジュール部14を介して携帯電話3に送信するように構成したが、さらに、以下の動作をさせるように構成できる。
【0034】
すなわち、制御部17は、防犯機能としての車両の移動を禁止する機能の1つであるエンジン停止機能を作動させるように構成できる。具体的には、制御部17は、電子制御ユニット2にエンジン停止コマンドを送ることにより、エンジン制御部21にエンジンを停止させるように構成できる。この構成によれば、車両盗難時に車両の移動を不可能にすることができるので、迅速に盗難車両を発見することが可能になる。
【0035】
また、制御部17は、防犯機能としての警報発生機能を作動させるように構成できる。具体的には、制御部17は、電子制御ユニット2に警報発生コマンドを送ることにより、警報発生装置22に、クラクション鳴動またはハザードランプ点滅などにより警報を発生させるように構成できる。この構成によれば、周囲へ盗難車両であることを知らせることができるので、迅速に盗難車両を発見することが可能になる。
【0036】
また、制御部17は、防犯機能として、情報記憶部13に記憶されている個人情報の読み出しを禁止するように構成できる。この構成によれば、車両盗難時に個人情報が第三者へ渡ることを防ぐことが可能になる。
【0037】
また、制御部17は、防犯機能として、カメラ25で撮影された画像を、通信モジュール部14を介して携帯電話3に送信するように構成できる。具体的には、制御部17は、電子制御ユニット2に撮影開始コマンドを送ることにより、カメラ制御部24にカメラ25による撮影を開始させ、撮影により得られた画像をカメラ制御部24および電子制御ユニット2を介して取得し、通信モジュール部14を介して携帯電話3に送信するように構成できる。この構成によれば、車両盗難時に、犯人特定の可能性を高めることができる。
【0038】
また、制御部17は、防犯機能として、ドアロック機能を作動させるように構成できる。具体的には、制御部17は、電子制御ユニット2にドアロックコマンドを送ることにより、ドアロック制御部23にドアをロックさせるように構成できる。この構成によれば、車両盗難時に、犯人特定の可能性を高めることができる。
【0039】
また、制御部17は、通信モジュール部14で受信された特定の電話番号からの発信に対して、上述した複数の防犯機能のうちの少なくとも1つを割り当てるように構成できる。この構成によれば、車両盗難時のような緊急時には、エンジン停止または警報発生などといった防犯機能の少なくとも1つを動作させ、家族または友人などが車両を操作していることを承知している場合は、現在位置の確認のみに留めるといった使い分けが可能になる。
【0040】
さらに、制御部17は、防犯機能としての車両の移動を禁止する機能の1つであるエンジン停止機能、警報発生機能またはドアロック機能が解除されたことを検出した場合は、その旨を表す情報を、通信モジュール部14を介して携帯電話3に送信するように構成できる。この構成によれば、車両から離れていても、第三者の車両の操作を検知でき、迅速に防犯機能を作動させることが可能となる。
【0041】
実施の形態2.
上述した実施の形態1に係る車載情報機器1は電話着信をトリガにして防犯機能を作動させるのに対し、この発明の実施の形態2に係る車載情報機器は、メール着信をトリガにして防犯機能を作動させるようにしたものである。
【0042】
図3は、この発明の実施の形態2に係る車載情報機器の構成を示すブロック図である。この車載情報機器は、制御部17の構成が実施の形態1に係る車載情報機器のそれと異なる。以下、実施の形態1に係る車載情報機器と異なる部分を中心に説明する。
【0043】
制御部17は、メール受信部171、メール解析部172およびコマンド制御部173を備えている。メール受信部171は、携帯電話3から通信モジュール部14を介して送られてくるメールを受信する。このメール受信部171で受信されたメールは、メール解析部172に送られる。
【0044】
メール解析部172は、メール受信部171から送られてくるメールを解析し、その解析結果をコマンド制御部173に送る。コマンド制御部173は、メール解析部172から送られてくる解析結果に基づきコマンドを生成し、電子制御ユニット2に送る。
【0045】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態2に係る車載情報機器の動作を、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0046】
ここでは、防犯機能を実現するための処理として、処理A(エンジン停止)、処理B(クラクション鳴動)および処理C(ハザードランプ点滅)といった3種類を行うものとする。
【0047】
まず、動作設定処理(ステップST21〜ST24)が行われる。この動作設定処理については、まず、1つの処理に対し、1つの特定文字列が設定される(ステップST21)。すなわち、制御部17は、特定文字列の入力画面を情報表示部16に表示する。ユーザは、入力画面が表示されると、入力部11を操作して処理A(エンジン停止)用のメールの特定文字列を入力する。この入力部11から入力された特定文字列は、情報記憶部13に格納される。
【0048】
次いで、所望の処理の設定が完了したかどうかが調べられる(ステップST22)。すなわち、制御部17は、例えば「入力完了?」などのテロップを情報表示部16に表示する。ユーザは、このテロップの表示に応答して、入力部11を操作して「YES」または「NO」を入力する。このステップST22において、所望の処理の設定が完了した、つまり「YES」が入力されたことが判断されると、シーケンスはステップST25に進む。
【0049】
一方、ステップST22において、所望の処理の設定が完了していないことが判断されると、次いで、特定文字列が未設定の処理に対し、特定文字列が設定される(ステップST23)。すなわち、制御部17は、再度、特定文字列の入力画面を情報表示部16に表示する。ユーザは、入力画面が表示されると、入力部11を操作して、例えば処理B(クラクション鳴動)用のメールの特定文字列を入力する。この入力部11から入力された特定文字列は、情報記憶部13に格納される。
【0050】
次いで、3種類の処理を設定したかどうかが調べられる(ステップST24)。すなわち、制御部17は、処理A(エンジン停止)、処理B(クラクション鳴動)および処理C(ハザードランプ点滅)といった3種類の処理に対する特定文字列の設定が終了したかどうかを調べる。このステップST24において、3種類の処理を設定していないことが判断されると、シーケンスはステップST22に戻り上述した処理が繰り返される。一方、ステップST24において、3種類の処理を設定したことが判断されると、シーケンスはステップST25に進む。
【0051】
なお、以上の動作設定処理が完了した場合に、図4では図示を省略しているが、情報記憶部13に格納された特定文字列を初期設定データとして携帯電話3に送信するように構成できる。すなわち、携帯電話3が車載情報機器1の制御装置として使用される場合、携帯電話3は、車載情報機器1から送信されてくる初期設定データを受信し、この受信した初期設定データに基づき自己の内部の初期設定を行う。なお、初期設定データをメモリカード31に記憶しておき、このメモリカード31を携帯電話3に装着することにより、初期設定を行うように構成することもできる。これらの構成により、携帯電話3でメールを作成する際の特定文字列の設定の誤りをなくすことができる。
【0052】
ステップST25以下では、車載情報機器1の防犯機能を制御するための防犯機能制御処理が行われる。この防犯機能制御処理では、まず、メール着信があったかどうかが調べられる(ステップST25)。すなわち、制御部17のメール受信部171は、通信モジュール部14からメールの着信を表す信号が送られてきたかどうかを調べる。このステップST25において、メール着信がないことが判断されると、このステップST25を繰り返し実行しながら待機状態に入る。
【0053】
上記ステップST25の繰り返し実行による待機状態において、メール着信があったことが判断されると、次いで、処理A〜Cに対応する特定文字列がメールに含まれるかどうかが調べられる(ステップST26)。すなわち、メール解析部172は、メールの件名、本文または添付ファイルなどに含まれる文字列を抽出し、情報記憶部13に格納されている特定文字列に一致する文字列が存在するかどうかを調べる。このステップST26において、処理A〜Cに対応する特定文字列がメールに含まれないことが判断されると、通常のメールの受信が行われる(ステップST27)。すなわち、制御部17は、メールが受信された旨を情報表示部16に表示し、または、図示しないスピーカから音声で出力する。
【0054】
上記ステップST26において、処理A〜Cに対応する特定文字列がメールに含まれることが判断されると、次いで、処理Aに対応する特定文字列とメールの文字列が一致するかどうかが調べられる(ステップST28)。すなわち、メール解析部172は、メールの件名、本文または添付ファイルなどに含まれる文字列を抽出し、情報記憶部13に格納されている処理Aに対応する特定文字列に一致するかどうかを調べる。
【0055】
このステップST28において、処理Aに対応する特定文字列とメールの文字列が一致することが判断されると、処理Aが実行される(ステップST29)。すなわち、メール解析部172は、処理Aに対応する特定文字列をコマンド制御部173に送る。コマンド制御部173は、これに応答して、エンジン停止を指示するエンジン停止コマンドを生成し、電子制御ユニット2に送る。電子制御ユニット2は、このエンジン停止コマンドに応答して、エンジン停止を指示する制御信号を生成してエンジン制御部21に送る。これにより、当該車載情報機器が搭載されている車両のエンジンが停止される。その後、シーケンスはステップST30に進む。
【0056】
一方、ステップST28において、処理Aに対応する特定文字列とメールの文字列が一致しないことが判断されると、次いで、処理Bに対応する特定文字列とメールの文字列が一致するかどうかが調べられる(ステップST30)。すなわち、メール解析部172は、メールの件名、本文または添付ファイルなどに含まれる文字列を抽出し、情報記憶部13に格納されている処理Bに対応する特定文字列に一致するかどうかを調べる。
【0057】
このステップST30において、処理Bに対応する特定文字列とメールの文字列が一致することが判断されると、処理Bが実行される(ステップST31)。すなわち、メール解析部172は、処理Bに対応する特定文字列をコマンド制御部173に送る。コマンド制御部173は、これに応答して、クラクション鳴動を指示するクラクション鳴動コマンドを生成し、電子制御ユニット2に送る。電子制御ユニット2は、このクラクション鳴動コマンドに応答して、クラクション鳴動を指示する制御信号を生成して警報発生装置22に送る。これにより、当該車載情報機器が搭載されている車両のクラクションが鳴動する。その後、シーケンスはステップST32に進む。
【0058】
一方、ステップST30において、処理Bに対応する特定文字列とメールの文字列が一致しないことが判断されると、次いで、処理Cに対応する特定文字列とメールの文字列が一致するかどうかが調べられる(ステップST32)。すなわち、メール解析部172は、メールの件名、本文または添付ファイルなどに含まれる文字列を抽出し、情報記憶部13に格納されている処理Cに対応する特定文字列に一致するかどうかを調べる。
【0059】
このステップST32において、処理Cに対応する特定文字列とメールの文字列が一致することが判断されると、処理Cが実行される(ステップST33)。すなわち、メール解析部172は、処理Cに対応する特定文字列をコマンド制御部173に送る。コマンド制御部173は、これに応答して、ハザードランプ点滅を指示するハザードランプ点滅コマンドを生成し、電子制御ユニット2に送る。電子制御ユニット2は、このハザードランプ点滅コマンドに応答して、ハザードランプ点滅を指示する制御信号を生成して警報発生装置22に送る。これにより、当該車載情報機器が搭載されている車両のハザードランプが点滅する。その後、防犯機能制御処理は終了する。一方、ステップST32において、処理Cに対応する特定文字列とメールの文字列が一致しないことが判断された場合も、防犯機能制御処理は終了する。
【0060】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係る車載情報機器によれば、例えば盗難防止サービスセンタといった設備を経由しないで、携帯電話3から車載情報機器1を直接に制御して防犯機能を作動させることができるので、外部から防犯機能を制御できる安価な車載情報機器を提供できる。
【0061】
また、携帯電話3からのメール発信を受信した場合に、現在位置情報を、通信モジュール部14を介して携帯電話3に送信するように構成したので、車両盗難時には自車位置を簡単に割り出すことができ、迅速に盗難車両を発見することが可能となる。また、家族または友人などが車両を操作していることを承知している場合は、自車の現在位置を確認することで、安全確認を行うといった使い方も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車載情報機器の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る車載情報機器の動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態2に係る車載情報機器の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る車載情報機器の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 車載情報機器、2 電子制御ユニット、3 携帯電話、11 入力部、12 位置検出部、13 情報記憶部、14 通信モジュール部、15 描画部、16 情報表示部、17 制御部、21 エンジン制御部、22 警報発生装置、23 ドアロック制御部、24 カメラ制御部、25 カメラ、31 メモリカード、171 メール受信部、172 メール解析部、173 コマンド制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機器との間で直接に無線通信を行う通信モジュール部と、
前記通信モジュール部で受信された信号に基づき防犯機能を作動させる制御部
とを備えた車載情報機器。
【請求項2】
制御部は、通信モジュール部で受信された特定の電話番号からの発信または前記通信モジュール部で受信されたメールに含まれる特定文字列に基づき防犯機能を作動させる
ことを特徴とする請求項1記載の車載情報機器。
【請求項3】
現在位置を検出する位置検出部と、
地図情報を記憶する情報記憶部とを備え、
制御部は、防犯機能を作動させた場合に、前記位置検出部で検出された現在位置を表す現在位置情報を、前記通信モジュール部を介して外部に送信し、または、前記位置検出部で検出された現在位置を表す現在位置情報を音声信号として前記通信モジュール部を介して外部に送信し、または、前記位置検出部で検出された現在位置の周辺の地図情報を前記情報記憶部から読み出して前記通信モジュール部を介して外部に送信し、または、前記位置検出部で検出された現在位置の移動軌跡を表す画像情報を、前記通信モジュール部を介して外部に送信する
ことを特徴とする請求項2記載の車載情報機器。
【請求項4】
制御部は、防犯機能として車両の移動を禁止する機能または警報発生機能の少なくとも1つを作動させる
ことを特徴とする請求項2記載の車載情報機器。
【請求項5】
個人情報を記憶する情報記憶部を備え、
制御部は、防犯機能として、前記情報記憶部に記憶されている個人情報の読み出しを禁止する
ことを特徴とする請求項2記載の車載情報機器。
【請求項6】
車内を撮影するカメラを備え、
制御部は、防犯機能として、前記カメラで撮影された画像を、通信モジュール部を介して外部に送信する
ことを特徴とする請求項2記載の車載情報機器。
【請求項7】
制御部は、防犯機能としてドアロック機能を作動させる
ことを特徴とする請求項2記載の車載情報機器。
【請求項8】
制御部は、通信モジュール部で受信された特定の電話番号からの発信または前記通信モジュール部で受信されたメールに含まれる特定文字列に対して、複数の防犯機能のうちの少なくとも1つを割り当てる
ことを特徴とする請求項2記載の車載情報機器。
【請求項9】
制御部は、防犯機能としての車両の移動を禁止する機能、警報発生機能またはドアロック機能が解除された場合は、その旨を表す情報を、通信モジュール部を介して外部に送信する
ことを特徴とする請求項2記載の車載情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−255875(P2009−255875A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110329(P2008−110329)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】